特許第6798826号(P6798826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798826
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】三次元造形物製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20201130BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20201130BHJP
【FI】
   G06T19/00 A
   B33Y50/00
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-169352(P2016-169352)
(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公開番号】特開2018-36842(P2018-36842A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】原山 健次
(72)【発明者】
【氏名】大川 将勝
【審査官】 村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−024395(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/149106(WO,A1)
【文献】 特開2006−062089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00 − 19/20
G06F 30/00 − 30/28
B33Y 50/00 − 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体物と組み合わされることによって目的物が生成される三次元造形物の3Dデータを生成し、生成した3Dデータに基づいて前記三次元造形物を製造する三次元造形物製造方法であって、
前記目的物の3Dデータから前記立体物の3Dデータを差し引くことによって前記三次元造形物の3Dデータを生成し、
前記三次元造形物は、前記立体物に追加される任意の装飾であり、
前記三次元造形物は、カラーインクによって表面部分が形成され、前記カラーインクによる発色のための白インクによって内部が形成されることを特徴とする三次元造形物製造方法
【請求項2】
前記立体物の3Dデータは、前記立体物が現物である場合に、前記現物が3Dスキャンされることによって取得されることを特徴とする請求項1に記載の三次元造形物製造方法
【請求項3】
前記三次元造形物の3Dデータは、前記三次元造形物が複数のパーツに分割されたデータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の三次元造形物製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体的に造形された造形物である三次元造形物の3Dデータを生成する3Dデータ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の三次元造形物として、実物大の胸像などが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−196486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の三次元造形物は、三次元造形物自体が目的物である。しかしながら、本願の発明者は、立体物と組み合わされることによって目的物が生成される三次元造形物について研究した。
【0005】
そこで、本発明は、立体物と組み合わされることによって目的物が生成される三次元造形物の3Dデータの生成を容易化することができる3Dデータ生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の3Dデータ生成方法は、立体物と組み合わされることによって目的物が生成される三次元造形物の3Dデータを生成する3Dデータ生成方法であって、前記目的物の3Dデータから前記立体物の3Dデータを差し引くことによって前記三次元造形物の3Dデータを生成することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の3Dデータ生成方法は、立体物と組み合わされることによって目的物が生成される三次元造形物の3Dデータを生成する場合に、目的物の3Dデータから立体物の3Dデータを差し引くことによって三次元造形物の3Dデータを生成するので、三次元造形物の3Dデータの生成を容易化することができる。
【0008】
本発明の3Dデータ生成方法において、前記立体物の3Dデータは、前記立体物が現物である場合に、前記現物が3Dスキャンされることによって取得されても良い。
【0009】
この構成により、本発明の3Dデータ生成方法は、立体物が現物である場合に、この立体物の3Dデータが3Dスキャンによって取得されるので、現物と、三次元造形物とが組み合わされることによって生成される目的物の生成を容易化することができる。
【0010】
本発明の3Dデータ生成方法は、現物において特定の部分に特定の色を付した後、前記現物から3Dスキャンによって読み取った3Dデータから前記特定の色の部分を除去することによって三次元造形物の3Dデータを生成することを特徴とする。
【0011】
この構成により、本発明の3Dデータ生成方法は、現物から3Dスキャンによって読み取った3Dデータから特定の色の部分を除去することによって三次元造形物の3Dデータを生成するので、三次元造形物の3Dデータの生成を容易化することができる。本発明の3Dデータ生成方法は、立体物と組み合わされることによって目的物が生成される三次元造形物の3Dデータを生成する場合、現物においてこの立体物に相当する部分に特定の色を付した後、現物から3Dスキャンによって読み取った3Dデータからこの特定の色の部分を除去することによって三次元造形物の3Dデータを生成することができるので、立体物と組み合わされることによって目的物が生成される三次元造形物の3Dデータの生成に適している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の3Dデータ生成方法は、立体物と組み合わされることによって目的物が生成される三次元造形物の3Dデータの生成を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る3Dデータ生成方法を実現するための3Dデータ生成システムのブロック図である。
図2図1に示すコンピューターのブロック図である。
図3】3Dデータを生成する場合の図2に示すコンピューターの動作のフローチャートである。
図4】(a)本発明の第1の実施の形態に係る3Dデータ生成方法における立体物の一例を示す図である。 (b)図4(a)に示す立体物に装飾が追加された目的物の一例を示す図である。 (c)図4(b)に示す目的物のうち三次元造形物の部分を示す図である。
図5】(a)本発明の第1の実施の形態に係る3Dデータ生成方法における立体物の一例を示す図である。 (b)図5(a)に示す立体物に装飾が追加された目的物の一例を示す図である。 (c)図5(a)に示す立体物に施される装飾を示す図である。
図6】本発明の第1の実施の形態において三次元造形物を製造する3Dプリンターの正面図である。
図7図6に示す3Dプリンターのブロック図である。
図8】本発明の第2の実施の形態において特定の部分に特定の色を付した現物の一例を示す正面図である。
図9】本発明の第2の実施の形態において3Dデータを生成する場合のコンピューターの動作のフローチャートである。
図10図8に示す現物から生成された3Dデータに基づいた三次元造形物を示す図である。
図11図10に示す三次元造形物が取り付けられる胴体部分のマネキンの一例を示す正面図である。
図12図11に示すマネキンに、図10に示す三次元造形物が取り付けられた目的物の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る3Dデータ生成方法を実現するための3Dデータ生成システムについて説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る3Dデータ生成システム10のブロック図である。
【0017】
図1に示すように、3Dデータ生成システム10は、PC(Personal Computer)などのコンピューター20と、現物の3Dデータを取得する3Dスキャナー30とを備えている。
【0018】
コンピューター20と、3Dスキャナー30とは、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク11を介さずに有線または無線によって直接に、または、ネットワーク11経由で、互いに通信可能である。
【0019】
図2は、コンピューター20のブロック図である。
【0020】
図2に示すように、コンピューター20は、種々の操作が入力されるマウス、キーボードなどの入力デバイスである操作部21と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部22と、ネットワーク11(図1参照。)を介さずに有線または無線によって直接に、または、ネットワーク11経由で、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部23と、各種の情報を記憶する半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部24と、コンピューター20全体を制御する制御部25とを備えている。
【0021】
記憶部24は、3Dデータを生成するためのモデリングソフトウェア24aを記憶している。モデリングソフトウェア24aは、コンピューター20の製造段階でコンピューター20にインストールされていても良いし、USB(Universal Serial Bus)メモリー、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの外部の記憶媒体からコンピューター20に追加でインストールされても良いし、ネットワーク11上からコンピューター20に追加でインストールされても良い。
【0022】
制御部25は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部24に記憶されているプログラムを実行する。
【0023】
制御部25は、モデリングソフトウェア24aを実行することによって、3Dデータを生成する3Dデータ生成手段25aを実現する。
【0024】
次に、本実施の形態に係る3Dデータ生成方法について説明する。
【0025】
図3は、3Dデータを生成する場合のコンピューター20の動作のフローチャートである。
【0026】
図3に示すように、3Dデータ生成手段25aは、生成する3Dデータに基づいて3Dプリンターによって製造される三次元造形物と組み合わされることによって目的物が生成される立体物の3Dデータを、操作部21を介した操作に応じて取得する(S101)。ここで、立体物の3Dデータは、この立体物が現物である場合には、3Dスキャナー30によって3Dスキャンされることによって取得されても良い。また、立体物の3Dデータは、この立体物が3Dデータに基づいて3Dプリンターによって製造される物である場合、3Dプリンターによる製造に使用される3Dデータであっても良い。
【0027】
3Dデータ生成手段25aは、S101の処理の後、S101において取得した3Dデータによって示される立体物に任意の装飾を追加して、目的物の3Dデータを生成する(S102)。ここで、3Dデータ生成手段25aは、S101において取得した3Dデータによって示される立体物に装飾が追加された状態を示す画像を表示部22に表示する。したがって、作業者は、表示部22に表示された画像を確認しながら、操作部21を介して装飾を編集することが可能である。
【0028】
3Dデータ生成手段25aは、S102の処理の後、S102において生成した目的物の3Dデータから、S101において取得した立体物の3Dデータを差し引くことによって、目的物のうち上述の装飾の部分に相当する三次元造形物の3Dデータを生成して(S103)、図3に示す動作を終了する。
【0029】
次に、本実施の形態に係る3Dデータ生成方法の具体例について説明する。
【0030】
図4(a)は、本実施の形態に係る3Dデータ生成方法における立体物40の一例を示す図である。図4(b)は、立体物40に装飾が追加された目的物50の一例を示す図である。図4(c)は、目的物50のうち三次元造形物60の部分を示す図である。
【0031】
3Dデータ生成手段25aは、図4(a)に示す立体物40の3Dデータを取得する(S101)。ここで、立体物40は、球状の部材である。
【0032】
3Dデータ生成手段25aは、S101の処理の後、図4(b)に示す目的物50の3Dデータを生成する(S102)。ここで、目的物50は、外形が立方体である透明な物の内部に立体物40が収納された物である。目的物50は、立体物40と、立体物40に組み合わされる三次元造形物60とによって構成される。三次元造形物60は、それぞれ半球状の溝が形成されたパーツ61および62によって構成される。例えば、作業者が透明な立方体の3Dデータを立体物40の3Dデータに重ねると、3Dデータ生成手段25aは、透明な立方体と、立体物40とが重なっている部分については、立体物40の部分のみを残して目的物50の3Dデータを生成する。また、作業者は、立体物40に三次元造形物60を装着するために三次元造形物60が分割される必要があると判断した場合に、三次元造形物60をパーツ61および62に分割するように目的物50の3Dデータを生成することができる。
【0033】
3Dデータ生成手段25aは、S102の処理の後、S102において生成した目的物50の3Dデータから、S101において取得した立体物40の3Dデータを差し引くことによって、図4(c)に示す三次元造形物60の3Dデータを生成する(S103)。
【0034】
図5(a)は、本実施の形態に係る3Dデータ生成方法における立体物70の一例を示す図である。図5(b)は、立体物70に装飾が追加された目的物80の一例を示す図である。図5(c)は、立体物70に施される装飾90を示す図である。
【0035】
3Dデータ生成手段25aは、図5(a)に示す立体物70の3Dデータを取得する(S101)。ここで、立体物70は、公園などに設置されている滑り台である。立体物70の3Dデータは、例えば、3Dスキャンによって取得される。
【0036】
3Dデータ生成手段25aは、S101の処理の後、図5(b)に示す目的物80の3Dデータを生成する(S102)。ここで、目的物80は、立体物70に図5(c)に示す恐竜の装飾90が施された物である。目的物80は、立体物70と、立体物70に組み合わされる三次元造形物とによって構成される。例えば、作業者が装飾90の3Dデータを立体物70の3Dデータに重ねると、3Dデータ生成手段25aは、装飾90と、立体物70とが重なっている部分については、立体物70の部分のみを残して目的物80の3Dデータを生成する。また、作業者は、操作部21を介して3Dデータ生成手段25aに指示することによって、目的物80に任意の編集を行うことができる。例えば、作業者は、滑り台の鉛直方向における上側の部分が露出するように目的物80の3Dデータを生成することができるし、立体物70に三次元造形物を装着するために三次元造形物が分割される必要があると判断した場合には、三次元造形物に相当する部分を複数のパーツに分割するように目的物80の3Dデータを生成することができる。
【0037】
3Dデータ生成手段25aは、S102の処理の後、S102において生成した目的物80の3Dデータから、S101において取得した立体物70の3Dデータを差し引くことによって、三次元造形物の3Dデータを生成する(S103)。
【0038】
次に、三次元造形物の製造方法について説明する。
【0039】
図6は、三次元造形物を製造する3Dプリンター200の正面図である。
【0040】
図6に示すように、3Dプリンター200は、矢印200aで示す鉛直方向における下側に紫外線硬化型インク(以下「UVインク」と言う。)210aを吐出する複数のインクジェットヘッド210と、インクジェットヘッド210によって吐出されたUVインク210aに紫外線220aを照射するための紫外線照射装置220とを搭載しているキャリッジ230を備えている。
【0041】
なお、図6においては、インクジェットヘッド210が1つしか描かれていない。しかしながら、実際には、3Dプリンター200は、例えば、UVインク210aの種類毎にインクジェットヘッド210を備えていても良い。
【0042】
UVインク210aとしては、例えば、三次元造形物の材料になる造形インクと、造形インクによって任意の形状の三次元造形物を形成するために三次元造形物を支持するサポート部の材料になるサポートインクとが存在する。造形インクとしては、三次元造形物の表面部分を形成するカラーインクと、カラーインクによる発色のために三次元造形物の内部を形成する白インクとが存在しても良い。サポートインクは、例えば、水などの特定の液体によって容易に除去されることが可能なインクである。3Dプリンター200において、サポート部は、三次元造形物に対して鉛直方向における下側や水平方向に形成される。例えば、サポート部は、三次元造形物がオーバーハング部を備える場合に、オーバーハング部に対して鉛直方向における下側に形成されてオーバーハング部を支持する。
【0043】
3Dプリンター200は、インクジェットヘッド210によって吐出されて紫外線照射装置220による紫外線220aによって硬化されたUVインク210aによって形成される三次元造形物やサポート部を支持する支持面240aが形成されている台240を備えている。
【0044】
支持面240aは、矢印200bで示す水平方向に延在している。
【0045】
キャリッジ230および台240の一方は、他方に対して水平方向に相対移動可能である。
【0046】
例えば、キャリッジ230は、水平方向のうち主走査方向に移動可能に図示していない機構によって支持されていることによって、台240に対して主走査方向に相対移動可能である。なお、以下においては、キャリッジ230が主走査方向に移動することによって台240に対して主走査方向に相対移動する例について説明するが、台240が主走査方向に移動することによってキャリッジ230に対して主走査方向に相対移動しても良いし、キャリッジ230および台240がそれぞれ主走査方向に移動することによってキャリッジ230および台240の一方が他方に対して主走査方向に相対移動しても良い。
【0047】
また、キャリッジ230は、水平方向のうち主走査方向に直交する副走査方向に移動可能に図示していない機構によって支持されていることによって、台240に対して副走査方向に相対移動可能である。なお、以下においては、キャリッジ230が副走査方向に移動することによって台240に対して副走査方向に相対移動する例について説明するが、台240が副走査方向に移動することによってキャリッジ230に対して副走査方向に相対移動しても良いし、キャリッジ230および台240がそれぞれ副走査方向に移動することによってキャリッジ230および台240の一方が他方に対して副走査方向に相対移動しても良い。
【0048】
キャリッジ230および台240の一方は、他方に対して鉛直方向に相対移動可能である。例えば、台240は、鉛直方向に移動可能に図示していない機構によって支持されていることによって、キャリッジ230に対して鉛直方向に相対移動可能である。なお、以下においては、台240が鉛直方向に移動することによってキャリッジ230に対して鉛直方向に相対移動する例について説明するが、キャリッジ230が鉛直方向に移動することによって台240に対して鉛直方向に相対移動しても良いし、キャリッジ230および台240がそれぞれ鉛直方向に移動することによってキャリッジ230および台240の一方が他方に対して鉛直方向に相対移動しても良い。
【0049】
図7は、3Dプリンター200のブロック図である。
【0050】
図7に示すように、3Dプリンター200は、キャリッジ230を主走査方向に移動させる主走査方向移動装置251と、キャリッジ230を副走査方向に移動させる副走査方向移動装置252と、台240を鉛直方向に移動させる鉛直方向移動装置253と、LANなどのネットワークを介さずに有線または無線で直接に、または、ネットワークを介して、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部254と、3Dプリンター200全体を制御する制御部255とを備えている。
【0051】
制御部255は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0052】
制御部255は、通信部254を介して入力された3Dデータに基づいて、インクジェットヘッド210、紫外線照射装置220、主走査方向移動装置251、副走査方向移動装置252および鉛直方向移動装置253を制御する。具体的には、制御部255は、副走査方向移動装置252によって台240に対する副走査方向におけるキャリッジ230の位置を変更する度に、主走査方向移動装置251によって主走査方向にキャリッジ230を移動させながら、インクジェットヘッド210および紫外線照射装置220によって造形インクやサポートインクによる水平方向に延在する層を形成する。そして、制御部255は、鉛直方向移動装置253によってキャリッジ230に対する鉛直方向における台240の位置を変更する度に、上述した動作を繰り返すことによって、造形インクやサポートインクによる水平方向に延在する層を鉛直方向に積層して、台240上に三次元造形物やサポート部を形成する。
【0053】
作業者は、サポート部が付された三次元造形物が形成された場合、三次元造形物からサポート部を除去することによって、三次元造形物を得ることができる。
【0054】
次に、目的物の製造方法について説明する。
【0055】
作業者は、以上のようにして3Dプリンター200による三次元印刷によって三次元造形物を得た後、立体物に三次元造形物を取り付けることによって、目的物を得ることができる。例えば、作業者は、3Dプリンター200による三次元印刷によって得た、図4(c)に示す三次元造形物60を、図4(a)に示す立体物40に取り付けることによって、図4(b)に示す目的物50を得ることができる。同様に、作業者は、3Dプリンター200による三次元印刷によって得た三次元造形物を、図5(a)に示す立体物70に取り付けることによって、図5(b)に示す目的物80を得ることができる。
【0056】
以上に説明したように、本実施の形態に係る3Dデータ生成方法は、立体物と組み合わされることによって目的物が生成される三次元造形物の3Dデータを生成する場合に、目的物の3Dデータから立体物の3Dデータを差し引くことによって三次元造形物の3Dデータを生成する(S103)ので、三次元造形物の3Dデータの生成を容易化することができる。
【0057】
本実施の形態に係る3Dデータ生成方法は、立体物が現物である場合に、この立体物の3Dデータが3Dスキャンによって取得されるので、現物と、三次元造形物とが組み合わされることによって生成される目的物の生成を容易化することができる。
【0058】
なお、三次元造形物は、以上において3Dプリンター200による三次元印刷によって製造されるが、例えば、FDM(Fused Deposition Modeling)方式、粉体方式、光造形(液体の充填された容器にレーザ光をスポット照射して造形)など、3Dプリンター200による三次元印刷以外の方法で製造されても良い。
【0059】
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態に係る3Dデータ生成方法を実現するための3Dデータ生成システムについて説明する。
【0060】
本実施の形態に係る3Dデータ生成システムの構成は、第1の実施の形態に係る3Dデータ生成システム10(図1参照。)の構成と同様である。したがって、以下においては、本実施の形態に係る3Dデータ生成システムの構成のうち、3Dデータ生成システム10の構成と同様の構成については、3Dデータ生成システム10の構成と同一の符号を使用して説明する。
【0061】
次に、本実施の形態に係る3Dデータ生成方法について説明する。
【0062】
まず、作業者は、現物において特定の部分に特定の色を付す。
【0063】
図8は、特定の部分320に特定の色を付した現物310の一例を示す正面図である。
【0064】
図8に示す現物310は、人である。図8において濃く描かれている部分320は、青や緑などの特定の色のタイツなどの衣服である。
【0065】
なお、以上においては、衣服の着用によって現物310に特定の色を付しているが、他の方法によって現物310に特定の色を付しても良い。例えば、現物310に特定の色を塗っても良い。
【0066】
次に、作業者は、部分320に特定の色を付した現物310を3Dスキャナー30による読み取り位置に配置した後、三次元造形物の3Dデータの生成を操作部21を介してコンピューター20に指示する。
【0067】
図9は、3Dデータを生成する場合のコンピューター20の動作のフローチャートである。
【0068】
図9に示すように、3Dデータ生成手段25aは、現物310を3Dスキャナー30によって3Dスキャンさせた(S301)後、現物310から3Dスキャンによって読み取った3Dデータから特定の色の部分320を除去することによって三次元造形物の3Dデータを生成して(S302)、図9に示す動作を終了する。
【0069】
なお、作業者は、操作部21を介して3Dデータ生成手段25aに指示することによって、三次元造形物の3Dデータに任意の編集を行うことができる。例えば、作業者は、三次元造形物が大型であるために三次元造形物が分割される必要があると判断した場合には、三次元造形物に相当する部分を複数のパーツに分割するように三次元造形物の3Dデータを生成することができる。
【0070】
図10は、図8に示す現物310から生成された3Dデータに基づいた三次元造形物330を示す図である。
【0071】
図10に示す三次元造形物330は、頭部分331、右腕部分332、左腕部分333、右脚部分334および左脚部分335を含んでいる。頭部分331、右腕部分332、左腕部分333、右脚部分334および左脚部分335のそれぞれは、複数のパーツから構成されていても良い。
【0072】
次に、三次元造形物330の製造方法について説明する。
【0073】
S302において生成された3Dデータに基づいた三次元造形物330は、第1の実施の形態と同様に、3Dプリンター200(図6参照。)による三次元印刷や、例えば、FDM方式、粉体方式、光造形(液体の充填された容器にレーザ光をスポット照射して造形)など、3Dプリンター200による三次元印刷以外の方法によって製造される。
【0074】
次に、目的物の製造方法について説明する。
【0075】
図11は、三次元造形物330が取り付けられる胴体部分のマネキン340の一例を示す正面図である。図12は、目的物350の一例を示す正面図である。
【0076】
作業者は、図11に示すマネキン340に、図10に示す頭部分331、右腕部分332、左腕部分333、右脚部分334および左脚部分335を取り付けることによって、図12に示す目的物350を生成する。
【0077】
以上に説明したように、本実施の形態に係る3Dデータ生成方法は、現物310から3Dスキャンによって読み取った3Dデータから特定の色の部分320を除去することによって三次元造形物330の3Dデータを生成するので、三次元造形物330の3Dデータの生成を容易化することができる。
【0078】
本実施の形態に係る3Dデータ生成方法は、立体物であるマネキン340と組み合わされることによって目的物350が生成される三次元造形物330の3Dデータを生成する場合、現物310においてマネキン340に相当する部分320に特定の色を付した後、現物310から3Dスキャンによって読み取った3Dデータからこの特定の色の部分320を除去することによって三次元造形物330の3Dデータを生成することができるので、マネキン340と組み合わされることによって目的物350が生成される三次元造形物330の3Dデータの生成に適している。
【0079】
通常、人は、衣服を着用しているので、肌が露出している部分が少ない。したがって、本実施の形態において説明したように、肌が露出していない部分にマネキンを使用することによって、人の全身の模型を製造する場合に、製造する三次元造形物の総体積を低減することができる。その結果、人の全身の模型を製造する場合の納期の短縮と、材料コストなどのコストの低減とを実現することができる。
【0080】
なお、人の全身の模型の製造は、本実施の形態に係る3Dデータ生成方法の利用例の一例である。本実施の形態に係る3Dデータ生成方法は、人の全身の模型の製造以外の様々な用途に利用されることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
40 立体物
50 目的物
60 三次元造形物
70 立体物
80 目的物
310 現物
320 部分(特定の部分)
330 三次元造形物
340 マネキン(立体物)
350 目的物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12