(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において「希釈用コーヒー組成物」とは、一般的に飲用されるコーヒー飲料よりもBrixが高いものであって、水やミルク等で希釈後に飲用に供されるものである。
本発明により得られる希釈用コーヒー組成物は、Brixが通常3%以上であるが、ハンドリング性の観点から、3.5%以上が好ましく、4%以上がより好ましい。なお、Brixの上限値は特に限定されないが、生産効率の観点から、99%が好ましく、98%がより好ましく、97%が更に好ましい。かかるBrixの範囲としては、好ましくは3〜99%、より好ましくは3.5〜99%、更に好ましくは4〜98%、殊更に好ましくは4〜97%である。ここで、本明細書において「Brix」とは、糖用屈折計を利用して測定した値であり、20℃のショ糖水溶液の質量百分率に相当する値である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0011】
本発明に係る希釈用コーヒー組成物には、例えば、本発明の製造方法により得られた希釈用コーヒー組成物を、更に濃縮又は乾燥したものが包含される。すなわち、本発明に係る希釈用コーヒー組成物の形態は、例えば、液体、粉末、顆粒、錠剤等の種々のものがあり、適宜選択することができる。例えば、希釈用コーヒー組成物が液体の場合、ポーションタイプの希釈飲料とすることができる。一方、希釈用コーヒー組成物が粉末の場合、インスタントコーヒーとするのに好適であり、その形態としては、スプーンで計量し調製するもの、透過性浸出パッケージ又はカップ1杯分毎に小分けしたスティックタイプとすることができる。
【0012】
本発明の希釈用コーヒー組成物の製造方法は、第1の工程と、第2の工程と、第3の工程を含むものである。以下、各工程について説明する。
【0013】
(第1の工程)
第1の工程は、原料焙煎コーヒー豆を、加湿条件下、加熱する工程である。第1の工程後の焙煎コーヒー豆は、原料焙煎コーヒー豆の焙煎度と略同一であり、焙煎コーヒー豆の焙煎度を大きく変動させることなく、ヒドロキシヒドロキノンを焙煎コーヒー豆中に通常含まれる量よりも低減することができ、またカフェイン等の夾雑物を原料焙煎コーヒー豆から除去することができる。なお、原料焙煎コーヒー豆の焙煎度と略同一とは、焙煎コーヒー豆のL値が原料焙煎コーヒー豆と同一、あるいはL値の差が±1以内の範囲であることをいう。
【0014】
原料焙煎コーヒー豆の豆種及び産地は特に限定されず、嗜好性に応じて適宜選択することができる。原料焙煎コーヒー豆の豆種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種等が挙げられる。また、コーヒー豆の産地としては、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム、インドネシア等を挙げることができる。本発明においては、豆種や産地の異なる焙煎コーヒー豆を2種以上混合して使用することができる。
【0015】
原料焙煎コーヒー豆は、生コーヒー豆を焙煎したものでも、市販品でもよい。生コーヒー豆の焙煎方法としては特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。例えば、焙煎温度は好ましくは180〜300℃、より好ましくは190〜280℃、更に好ましくは200〜280℃であり、加熱時間は所望の焙煎度が得られるように適宜設定可能である。また、焙煎装置としては、例えば、焙煎豆静置型、焙煎豆移送型、焙煎豆攪拌型等の装置を使用できる。具体的には、棚式乾燥機、コンベア式乾燥機、回転ドラム型乾燥機、回転V型乾燥機等が挙げられる。加熱方式としては、直火式、熱風式、半熱風式、遠赤外線式、赤外線式、マイクロ波式、過熱水蒸気式等が挙げられる。
【0016】
原料焙煎コーヒー豆の焙煎度は特に限定されないが、風味バランスの観点から、色差計で測定したL値として、15以上が好ましく、20以上がより好ましく、22以上が更に好ましく、そして35以下が好ましく、33以下がより好ましく、31以下が更に好ましい。かかるL値の範囲としては、好ましくは15〜35、より好ましくは20〜33、更に好ましくは22〜31である。ここで、本明細書において「L値」とは、黒をL値0とし、また白をL値100として、焙煎コーヒー豆の明度を色差計で測定したものである。本発明においては、焙煎度の異なる2種以上の焙煎コーヒー豆を使用することも可能である。焙煎度の異なる2種以上の焙煎コーヒー豆を使用する場合、L値が上記範囲外のものを用いても差し支えないが、L値の平均値が上記範囲内となるように適宜組み合わせて使用することが好ましい。L値の平均値は、使用する焙煎コーヒー豆のL値に、当該焙煎コーヒー豆の含有質量比を乗じた値の総和として求められる。
【0017】
また、原料焙煎コーヒー豆は、未粉砕のものでも、粉砕したものでもよい。中でも、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、粉砕したものが好ましい。粉砕方法は特に限定されず、公知の方法及び装置を用いることができる。例えば、カッターミル、ハンマーミル、ジェットミル、インパクトミル、ウィレー粉砕機等の粉砕装置を挙げることができる。カッターミルとしては、例えば、ロールグラインダー、フラットカッター、コニカルカッター、グレードグラインダーを挙げることができる。
【0018】
粉砕された原料焙煎コーヒー豆の平均粒径は、ヒドロキシハイドロキノン量の低減の観点から、5mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、1.5mm以下が更に好ましく、また生産効率の観点から、0.001mm以上が好ましく、0.01mm以上がより好ましく、0.05mm以上が更に好ましい。かかる平均粒径の範囲としては、好ましくは0.001〜5mm、より好ましくは0.01〜2.5mm、更に好ましくは0.05〜1.5mmである。ここで、本明細書において「平均粒径」とは、レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積粒度分布曲線において50%(d50)に相当する粒子径である。なお、Tyler標準篩、ASTM標準篩、JIS標準篩等を用いて平均粒径が上記範囲内となるように分級することも可能であり、また所望する平均粒径がレーザ回折・散乱法粒度分布測定装置の測定範囲外である場合にも前記篩を用いて分級することができる。
【0019】
加湿方法としては、例えば、原料焙煎コーヒー豆に水を添加する方法を挙げることができる。水の添加方法は、原料焙煎コーヒー豆の表面を水と接触させることができれば特に限定されず、例えば、容器内の原料焙煎コーヒー豆に対し、直接水を投入する方法、あるいは水を噴霧する方法等が挙げられる。水の添加後、あるいは水を添加しながら、原料焙煎コーヒー豆を撹拌混合することができる。なお、水の添加は、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれでもよいが、添加のし易さの観点から、常圧下がよい。また、水を添加する際の焙煎コーヒー豆の温度は、室温ないし室温付近の温度で行うことができる。焙煎コーヒー豆の温度は、例えば、好ましくは10〜100℃、より好ましくは15〜70℃、更に好ましくは15〜30℃、殊更に好ましくは18〜25℃である。
また、加湿方法として、容器内に水を収容した容器を置く方法、容器内に吸水性材料を置き、該吸水性材料に水を添加する方法、容器内に予め水を添加した吸水性材料を置く方法等を採用することができる。吸水性材料としては、吸水性を有し、かつ加熱により変質しないものであれば特に限定されないが、例えば、布、不織布、紙製ウエス等が挙げられる。なお、容器内に吸水性材料を置く場合には、その吸水性材料に接触するように原料焙煎コーヒー豆を収容してもよく、また吸水性材料と原料焙煎コーヒー豆とが接触しないよう容器内にメッシュ等の仕切り板を設けて収容してもよい。
容器の形状及び材質は特に限定されないが、加熱により変質せず、かつ加圧に耐え得る容器が好ましく、例えば、金属製容器、ガラス製容器等を挙げることができる。より具体的には、例えば、ビーカー、レトルトパウチ、缶、ビン等が挙げられる。なお、缶及びピンは、栓や蓋により開閉自在なものが好ましい。
【0020】
使用する水は特に限定されず、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、天然水等を適宜選択して使用することができる。また、添加する水の温度は、水温調整のし易さの観点から、好ましくは10〜100℃、より好ましくは15〜70℃、更に好ましくは18〜50℃、殊更に好ましくは18〜25℃である。
【0021】
原料焙煎コーヒー豆に対する水の添加量は、原料焙煎コーヒー豆の細孔が十分に空気と接触できる量であればよいが、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、原料焙煎コーヒー豆に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が殊更に好ましい。また、クロロゲン酸類の溶出防止の観点から、120質量%以下が好ましく、115質量%以下がより好ましく、110質量%以下が更に好ましく、105質量%以下が殊更好ましい。水の添加量の範囲としては、原料焙煎コーヒー豆に対して、好ましくは5〜120質量%、より好ましくは10〜115質量%、更に好ましくは15〜110質量%、殊更に好ましくは20〜105質量%である。なお、水は、全量を連続的に添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
【0022】
加熱温度は、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、30℃以上が好ましく、35℃以上がより更好ましく、40℃以上が好ましく、また風味バランスの観点から、150℃以下が好ましく、135℃以下がより好ましく、120℃以下が更に好ましい。加熱温度の範囲としては、好ましくは30〜150℃、より好ましくは35〜135℃、更に好ましくは35〜120℃、殊更好ましくは40〜120℃である。
【0023】
加熱時間は、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、1分間以上が好ましく、0.1時間以上がより好ましく、0.2時間以上が更に好ましく、0.5時間以上がより更に好ましく、1時間以上が殊更に好ましく、また生産効率の観点から、12時間以下が好ましく、9時間以下がより好ましく、7時間以下が更に好ましく、5時間以下が殊更に好ましい。加熱時間の範囲としては、好ましくは1分間から12時間、より好ましくは0.1〜9時間、更に好ましくは0.2〜7時間、殊更に好ましくは0.5〜5時間である。ここでいう加熱時間は、予め加熱装置を所望の温度に加熱しておく場合は、加熱装置に密閉容器を投入してからの経過時間であり、また加熱装置に密閉容器を投入後に昇温を行う場合は、所望の温度に到達してからの経過時間である。
【0024】
加熱処理は、常圧下、加圧下又は減圧下で行うことができるが、風味バランスの観点から、常圧下で行うことが好ましい。なお、加熱装置は、所望の温度に制御可能であれば特に限定されず、例えば、恒温槽、乾燥機、オートクレーブ等が挙げられる。
また、加熱処理は、密封状態で行うことができる。ここで、本明細書において「密閉状態」とは、蒸気や空気等のガスの流通が遮断され、開放大気系に直接接触しないことをいい、例えば、水と接触後の原料焙煎コーヒー豆を密閉容器に収容し、その状態を保持すればよい。密閉容器はガスの流通を遮断できれば、その形状及び材質は特に限定されないが、加熱により変質せず、かつ加圧に耐え得る容器が好ましく、例えば、金属製容器、ガラス製容器等を挙げることができる。密閉容器の具体例としては、例えば、レトルトパウチ、缶、ビン、ビーカー等が挙げられ、缶、ピン及びビーカーは、栓や蓋により密閉可能で、かつ開閉自在なものが好ましい。
【0025】
加熱処理後、加熱装置から原料焙煎コーヒー豆を取り出し、そのまま次工程に使用しても構わないが、冷却してもよい、冷却は、30分以内に0〜100℃、更に10〜60℃まで冷却することが好ましい。
【0026】
(第2の工程)
第2の工程は、第1の工程後の焙煎コーヒー豆を超臨界二酸化炭素抽出する工程である。第2の工程後の焙煎コーヒー豆は、原料焙煎コーヒー豆の焙煎度と略同一であり、焙煎コーヒー豆の焙煎度を大きく変動させることなく、ヒドロキシヒドロキノンを焙煎コーヒー豆中に通常含まれる量よりも低減することができ、またカフェイン等の夾雑物を原料焙煎コーヒー豆から除去することができる。なお、原料焙煎コーヒー豆の焙煎度と略同一とは、焙煎コーヒー豆のL値が原料焙煎コーヒー豆と同一、あるいはL値の差が±1以内の範囲であることをいう。
【0027】
ここで「超臨界二酸化炭素」とは、7MPa以上の圧力及び31℃以上の温度の条件下で流体状態になった二酸化炭素を意味する。また、「超臨界二酸化炭素抽出」とは、このような超臨界状態の二酸化炭素を抽出媒体として用いる抽出方法をいう。抽出操作は公知の方法を採用することが可能であり、一般的に行われているような抽出装置を用いることができる。
【0028】
超臨界二酸化炭素抽出における圧力条件は、ヒドロキシヒドロキノン低減、雑味抑制、後味改善の観点から、8MPa以上が好ましく、12MPa以上がより好ましく、20MPa以上が更に好ましく、そして50MPa以下が好ましく、40MPa以下がより好ましく、35MPa以下が更に好ましい。かかる圧力の範囲としては、好ましくは8〜50MPa、より好ましくは12〜40MPa、更に好ましくは20〜35MPaである。
【0029】
また、抽出温度は、ヒドロキシヒドロキノン低減、雑味抑制、後味改善の観点から、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましく、そして150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下が更に好ましい。かかる抽出温度の範囲としては、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜140℃、更に好ましくは60〜130℃である。
【0030】
抽出時間は、ヒドロキシヒドロキノン低減、雑味抑制、後味改善の観点から、0.5時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましく、4時間以上が更に好ましく、そして20時間以下が好ましく、15時間以下がより好ましく、10時間以下が更に好ましい。かかる抽出時間の範囲としては、好ましくは0.5〜20時間、より好ましくは2〜15時間、更に好ましくは4〜10時間である。
【0031】
抽出倍率(二酸化炭素(気体換算、常温・常圧)/原料焙煎コーヒー豆)は、雑味抑制、後味改善の観点から、0.01(m
3/g)以上が好ましく、0.02(m
3/g)以上がより好ましく、0.04(m
3/g)以上が更に好ましく、0.06(m
3/g)以上がより更に好ましく、そして0.20(m
3/g)以下が好ましく、0.16(m
3/g)以下がより好ましく、0.12(m
3/g)以下が更に好ましい。かかる抽出倍率の範囲としては、好ましくは0.01〜0.20(m
3/g)、より好ましくは0.02〜0.16(m
3/g)、更に好ましくは0.04〜0.12(m
3/g)である。ここで、本明細書において「常温・常圧」とは、温度20±15℃、圧力101325Pa(標準大気圧)の状態を意味する(財団法人 日本規格協会編、「JIS工業用語大辞典」、第5版、財団法人 日本規格協会、2001年3月30日)。
【0032】
また、本工程においては、超臨界二酸化炭素抽出をエントレーナーの存在下で行うことができる。ここで、超臨界二酸化炭素に第2の抽出媒体を加えると、特定の溶質に対する溶解度が大きく変化することが知られている。これをエントレーナー効果といい、第2の抽出媒体をエントレーナーという。
エントレーナーとしては、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、天然水等の水、エタノール等のアルコールが挙げられる。
なお、エントレーナー存在下で超臨界二酸化炭素抽出する方法としては、エントレーナー及び超臨界二酸化炭素の混合媒体を抽出媒体として用いれば特に限定されないが、例えば、エントレーナーを充填した充填槽に超臨界二酸化炭素を通液し、エントレーナー及び超臨界二酸化炭素の混合媒体を抽出槽に供給して抽出する方法が挙げられる。
【0033】
第2の工程後、得られた焙煎コーヒー豆をそのまま次工程に使用しても構わないが、乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、送風ファンを用いて乾燥する方法、減圧乾燥する方法、凍結乾燥する方法等を挙げることができる。
【0034】
(第3の工程)
第3の工程は、第2の工程後の焙煎コーヒー豆を、加圧条件下、110〜170℃の温度にて抽出する工程である。これにより、ヒドロキシヒドロキノンの生成を抑制しつつ、糖類や多糖類といった固形分を豊富に含み、固形分濃度の高い希釈用コーヒー組成物を得ることができる。
【0035】
抽出方法としては、バッチ法でも、カラム法でもよく、適宜選択することができる。抽出の際には、撹拌してもよく、撹拌速度は適宜選択することができる。
バッチ法の場合には、例えば、密閉可能な釜や鍋、オートクレーブ等を抽出機として用い、該抽出機内に焙煎コーヒー豆及び水を収容して密閉した後、加圧条件で抽出すればよい。この場合、抽出機内に水を収容し、予め70〜90℃に加温した後、焙煎コーヒー豆を投入し、加圧抽出することもできる。
カラム法の場合には、例えば、カラム型抽出機内に焙煎コーヒー豆を収容し、抽出機内に大気圧よりも高い圧力条件の熱水を供給すればよい。この場合、多段階抽出することもできる。ここで、本明細書において「多段階抽出」とは、複数の独立した抽出塔を配管で直列につないだ装置を用いる抽出方法をいう。より具体的には、複数の独立した抽出塔に焙煎コーヒー豆をそれぞれ投入し、1段階目の抽出塔に抽出溶媒を供給して該抽出塔からコーヒー抽出液を排出させ、該コーヒー抽出液を次段階目の抽出塔に供給するという操作を繰り返し行い、最終段階の抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を回収する抽出方法をいう。また、多段階抽出の際には、1段階目から最終段階の抽出塔とは異なる予備抽出塔に新たな焙煎コーヒー豆を充填し待機させてラインの切り替え操作を行っても、抽出後の焙煎コーヒー豆を抽出塔から抜き出し、該抽出塔に新たな焙煎コーヒー豆を充填する交換操作を行ってもよい。ここで、「独立した抽出塔」とは、抽出塔が完全に遮断されていることを意味するのではなく、焙煎コーヒー豆の移動は制限されるが、抽出溶媒又は製造途中のコーヒー抽出液を次段階の抽出塔に送液可能な連結手段を有する1つの抽出塔をいう。なお、カラム法の場合、抽出溶媒は、下方から上方への上昇流、あるいは上方から下方への下降流で供給することができる。
【0036】
抽出溶媒としては、水、又はエタノール等のアルコール含有水溶液等が挙げられ、中でも、風味の観点から、水が好ましい。水としては、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、天然水等を適宜選択して使用することができる。中でも、イオン交換水が好ましい。抽出溶媒のpH(20℃)は、風味の観点から、好ましくは4〜10、更に好ましくは5〜7である。
抽出溶媒の使用量は、生産効率の観点から、第2の工程後の焙煎コーヒー豆に対して、1質量倍以上が好ましく、2質量倍以上がより好ましく、4質量倍以上が更に好ましく、そして15質量倍以下が好ましく、13質量倍以下がより好ましく、10質量倍以下が更に好ましい。かかる抽出溶媒の使用量の範囲としては、第2の工程後の焙煎コーヒー豆に対して、好ましくは1〜15質量倍、より好ましくは2〜13質量倍、更に好ましくは4〜10質量倍である。
【0037】
抽出温度は110〜170℃であるが、固形分濃度の向上の観点から、115℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、125℃以上が更に好ましく、またヒドロキシヒドロキノンの生成抑制の観点から、160℃以下が好ましく、150℃以下が更に好ましい。抽出温度の範囲としては、好ましくは115〜160℃、より好ましくは120〜150℃、更に好ましくは125〜150℃である。
抽出圧力(ゲージ圧)は所望の抽出温度となるように適宜選択可能であるが、風味バランス及び抽出効率の観点から、0.1MPa以上が好ましく、0.15MPa以上がより好ましく、0.18MPa以上が更に好ましく、そして1.5MPa以下が好ましく、1.4MPa以下がより好ましく、1.3MPa以下が更に好ましい。抽出圧力(ゲージ圧)の範囲としては、好ましくは0.1〜1.5MPa、より好ましくは0.15〜1.4MPa、更に好ましくは0.18〜1.3MPaである。
抽出時間は抽出スケール等により一様ではないが、10分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、20分以上が更に好ましく、そして120分以下が好ましく、90分以下がより好ましく、60分以下が更に好ましい。抽出時間の範囲としては、好ましくは10〜120分、より好ましくは15〜90分、更に好ましくは20〜60分である。
【0038】
このようにして本発明の希釈用コーヒー組成物を製造することができる。得られた希釈用コーヒー組成物は、Brix(20℃)が通常3%以上であるが、必要により濃縮することができる。濃縮法としては、常圧にて溶媒の蒸発を行う常圧濃縮法、減圧にて溶媒の蒸発を行う減圧濃縮法、膜分離により溶媒を除去する膜濃縮法等を挙げることができる。また、希釈用コーヒー組成物の製品形態が固体である場合、噴霧乾燥や凍結乾燥等の公知の方法により粉体化することができる。
【0039】
本発明の製造方法により得られた希釈用コーヒー組成物は、ヒドロキシヒドロキノン量が希釈用コーヒー組成物中に通常含まれる量よりも低減されている一方、クロロゲン酸類や全糖等の固形分を豊富に含有するものであり、以下の特性を具備することができる。ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸を併せての総称であり、本発明においては、上記6種のクロロゲン酸類のうち少なくとも1種を含有すればよい。なお、クロロゲン酸類の含有量は、上記6種の合計量に基づいて定義される。また、「全糖」とは、希釈用コーヒー組成物中に含まれる糖類及び多糖類であり、具体的には、グルコース、フルクトース等の単糖、ショ糖、マルトース、乳糖等のオリゴ糖、でん粉、ヘミセルロース等の多糖が含まれる。なお、ヒドロキシヒドロキノン、クロロゲン酸類及び全糖の分析は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。
【0040】
(1)希釈用コーヒー組成物中のヒドロキシヒドロキノンの含有量は、原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たり、150mg以下が好ましく、100mg以下がより好ましく、50mg以下が更に好ましい。なお、かかるヒドロキシヒドロキノンの含有量は、原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たり、0mgであっても構わない。ここで、「ヒドロキシヒドロキノンの含有量が0mg」とは、後掲の実施例に記載の「ヒドロキシヒドロキノンの分析」において、ヒドロキシヒドロキノンの含有量が検出限界以下である場合を包含する概念である。
(2)希釈用コーヒー組成物中の全糖の含有量は、原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たり、50g以上が好ましく、100g以上がより好ましく、120g以上が更に好ましい。なお、上限は特に限定されるものではないが、例えば、原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たり、500g以下が好ましく、300g以下がより好ましく、200g以下が更に好ましい。かかる全糖の含有量の範囲としては、原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たり、好ましくは50〜500g、より好ましくは100〜300g、更に好ましくは120〜200gである。
(3)希釈用コーヒー組成物中のクロロゲン酸類の含有量は、生理効果の観点から、原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たり、1g以上が好ましく、2g以上がより好ましく、3g以上が更に好ましく、10g以上が更に好ましく、20g以上が更に好ましく、30g以上が更に好ましく、また風味バランスの観点から、80g以下が好ましく、75g以下がより好ましく、70g以下が更に好ましい。かかるクロロゲン酸類の含有量の範囲としては、原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たり、好ましくは1〜80g、より好ましくは2〜80g、更に好ましくは3〜75g、より更に好ましくは10〜70g、より更に好ましくは20〜70g、殊更に好ましくは30〜70gである。
【0041】
本明細書における原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たりの、希釈用コーヒー組成物中のヒドロキシヒドロキノンの含有量は、本発明製法により得られた希釈用コーヒー組成物中のヒドロキシヒドロキノン含有量に基づいて下記式により求めたものである。なお、クロロゲン酸類及び全糖の含有量についても同様の方法により算出することができる。
【0042】
原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たりの、希釈用コーヒー組成物中のヒドロキシヒドロキノンの含有量(mg/kg)=[希釈用コーヒー組成物中のヒドロキシヒドロキノン含有量(mg/kg)]×[希釈用コーヒー組成物の質量(kg)]/[原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量(kg)]
【0043】
また、本明細書における第2の工程後の原料焙煎コーヒー豆(超臨界処理焙煎豆)中のヒドロキシヒドロキノン量(mg/kg)は、原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kgに対する量であり、次の分析条件により求めたものである。焙煎コーヒー豆0.8gに、抽出用水(リン酸1gと、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDPO)0.03gをイオン交換水1Lに溶解した液)を80g加え、95〜99℃の間に保持しながら10分間浸漬抽出を行う。次に、コーヒー抽出液の上清を採取し、それを後掲の実施例の記載の方法に供して、ヒドロキシヒドロキノン量を分析する。
【0044】
本発明の希釈用コーヒー組成物は、2種以上の希釈用コーヒー組成物をブレンドしてもよい。
また、希釈用コーヒー組成物は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミ蒸着フィルム等を材質とするレトルトパックで提供しても、更に金属缶、PETボトル、ガラス容器のような形態で提供してもよい。この場合、密封容器内に窒素ガス等の不活性ガスを充填し、また加熱殺菌することもできる。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されず、例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。
【実施例】
【0045】
1.ヒドロキシヒドロキノンの分析
ヒドロキシヒドロキノンの分析法は次の通りである。
分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、開発・製造:米国ESA社、輸入・販売:エム・シー・メディカル(株))を使用した。
装置の構成ユニットの名称・型番は次の通りである。
・アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー
・クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A
・溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー
・オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー
・デガッサー:Degasys Ultimate DU3003
・カラムオーブン:505
・カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm((株)資生堂)
【0046】
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・電気化学検出器の印加電圧:200mV
・カラムオーブン設定温度:40℃
・溶離液A:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液
・溶離液B:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、50(V/V)%メタノール溶液
【0047】
溶離液A及びBの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、高速液体クロマトグラフィー用メタノール(関東化学(株))、リン酸(特級、和光純薬工業(株))、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業(株))を用いた。
【0048】
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
10.1分 0% 100%
20.0分 0% 100%
20.1分 100% 0%
50.0分 100% 0%
【0049】
分析試料の調製は、試料5gを精秤後、0.5(W/V)%リン酸、0.5mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液にて10mLにメスアップし、この溶液について遠心分離を行い、上清を得た。この上清について、ボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。
【0050】
HPLC−電気化学検出器の上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノンの保持時間は、6.38分であった。得られたピークの面積値から、ヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業(株))を標準物質とし、質量%を求めた。
【0051】
2.全糖の分析
全糖の分析は、フェノール硫酸法により行う。すなわち、5gのフェノールにイオン交換水を加えて100gにメスアップする。試料0.5mLにフェノール溶液0.5mL添加し、混合する。次に、精密分析用硫酸(98%)を2.5mL加えて更に混合する。室温で15分間放置後に、490nmの吸光度を測定する。あらかじめ作成した検量線より、濃度換算を行う。
【0052】
3.クロロゲン酸類の分析
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV−VIS検出器:SPD20A(島津製作所社製)、
・カラムオーブン:CTO−20AC(島津製作所社製)、
・ポンプ:LC−20AT(島津製作所社製)、
・オートサンプラー:SIL−20AC(島津製作所社製)、
・カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト社製)、
・デガッサー:DGU−20A−5(島津製作所社製)。
【0053】
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL、
・流量:1.0mL/min、
・UV−VIS検出器設定波長:325nm、
・カラムオーブン設定温度:35℃、
・溶離液C:0.05M 酢酸、0.1mM HEDPO、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液、
・溶離液D:アセトニトリル。
【0054】
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液C 溶離液D
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
【0055】
HPLCでは、コーヒー抽出液を、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A、孔径0.45μm、ジーエルサイエンス社製)にて濾過後、分析に供した。
クロロゲン酸類の保持時間(単位:分)
・モノカフェオイルキナ酸:5.3、8.8、11.6の計3点
・モノフェルラキナ酸:13.0、19.9、21.0の計3点
ここで求めた6種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、クロロゲン酸類含有量(質量%)を求めた。
【0056】
4.L値の測定
試料のL値を、色差計((株)日本電色社製 スペクトロフォトメーター SE2000)を用いて反射法にて測定した。
【0057】
5.Brixの測定
20℃における試料のBrixを、糖度計(Atago RX-5000、Atago社製)を用いて測定した。
【0058】
実施例1
(第1の工程)
L30の粉砕した焙煎コーヒー豆(平均粒径1.4mm)を2800gとイオン交換水2800gをステンレス製の容器に量り取り混合後、ラップにて密閉し、40℃の恒温槽にて6時間加熱保持した。得られた焙煎豆を「含水加熱処理焙煎豆」とする。含水加熱処理焙煎豆のL値は30であった。
(第2の工程)
含水加熱処理焙煎豆を、円筒状抽出塔(内径150mm×高さ990mm)に5600g充填した。その後、液化二酸化炭素として85kg/hrの流量で送液後、30MPa、70℃に昇圧、昇温し、超臨界二酸化炭素状態にて、抽出槽へ送液した。6時間送液後に、抽出槽を減圧し、「超臨界処理焙煎豆」を取り出した。その後、処理豆を凍結乾燥機にて乾燥した。得られた焙煎豆を「超臨界処理焙煎豆」とする。なお、抽出操作での超臨界二酸化炭素の供給量(気体換算、常温・常圧)は272m
3であった。超臨界処理焙煎豆の含水率は24%であり、超臨界処理焙煎豆中のヒドロキシヒドロキノン量は原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たり5.2mgであった。
(第3の工程)
攪拌機付の円筒状抽出搭(内径42mm×高さ140mm)に、蒸留水130g入れ、85℃まで余熱した後、「超臨界処理焙煎豆」を、13g(原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量12.94gに相当する)加えて、容器を密閉した。撹拌しながら加熱を行い、内液温が130℃に到達後30分間保持した。圧力は、ゲージ圧で0.2MPaであった。その後、抽出塔を氷冷し、吸引ろ過(2号ろ紙;ADVANTEC)にて、焙煎豆と抽出液を分けた。得られた希釈用コーヒー組成物の回収液量は106.51gであった。
得られた希釈用コーヒー組成物について、Brix、並びに原料焙煎コーヒー豆の乾燥質量1kg当たりのヒドロキシヒドロキノン量、全糖量及びクロロゲン酸類量を分析した。その結果を表1に示す。
【0059】
実施例2、並びに比較例1及び2
表1に示す抽出温度に変更して第3の工程を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作にて希釈用コーヒー組成物を得た。実施例2により得られた希釈用コーヒー組成物の回収液量は107.97gであった。比較例1の回収液量は、108.66gであり、また比較例2の回収液量は、105gであった。そして、得られた希釈用コーヒー組成物について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例3
表2に示す抽出時間に変更して第3の工程を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作にて希釈用コーヒー組成物を得た。実施例3により得られた希釈用コーヒー組成物の回収液量は107.06gであった。そして、得られた希釈用コーヒー組成物について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を表2に示す。
【0062】
実施例4
表2に示す抽出時間に変更して第3の工程を行ったこと以外は、実施例2と同様の操作にて希釈用コーヒー組成物を得た。実施例4により得られた希釈用コーヒー組成物の回収液量は107.15gであった。そして、得られた希釈用コーヒー組成物について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を表2に示す。
【0063】
比較例3
表2に示す抽出時間に変更して第3の工程を行ったこと以外は、比較例1と同様の操作にて希釈用コーヒー組成物を得た。比較例1により得られた希釈用コーヒー組成物の回収液量は109.67gであった。そして、得られた希釈用コーヒー組成物について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
実施例5
未粉砕であり、かつL値が30の原料焙煎コーヒー豆を用い、表3に示す加熱温度に変更したこと以外は、実施例4の第1の工程と同様の操作を行った後、第1の工程後の原料焙煎コーヒー豆を平均粒径1.4mmに粉砕し、実施例4の第2の工程及び第3の工程と同様の操作にて希釈用コーヒー組成物を得た。得られた希釈用コーヒー組成物の回収液量は111.13gであった。そして、得られた希釈用コーヒー組成物について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を表3に示す。
【0066】
比較例4
未粉砕であり、かつL値が30の原料焙煎コーヒー豆を用い、表3に示す加熱温度に変更したこと以外は、比較例3の第1の工程と同様の操作を行った後、第1の工程後の原料焙煎コーヒー豆を平均粒径1.4mmに粉砕し、比較例3の第2の工程及び第3の工程と同様の操作にて希釈用コーヒー組成物を得た。得られた希釈用コーヒー組成物の回収液量は111.13gであった。そして、得られた希釈用コーヒー組成物について、実施例1と同様の方法にて分析を行った。その結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
表1、2から、原料焙煎コーヒー豆を加湿条件下で加熱し、次いで超臨界二酸化炭素抽出した後、加圧条件下、特定温度にて抽出することにより、ヒドロキシヒドロキノンの生成を抑制しつつ、固形分濃度の高い希釈用コーヒー組成物を製造できることがわかる。また、表3から、未粉砕の原料焙煎コーヒー豆を用いても、表1、2の粉砕原料焙煎コーヒー豆と同様に、ヒドロキシヒドロキノンの生成を抑制しつつ、固形分濃度の高い希釈用コーヒー組成物を製造できることがわかる。