(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
検査対象基板上に実装されたデバイス間のインタフェース(デバイス間インタフェース)における電圧の検査では、検査対象基板上の接点に、手作業でテスターやオシロスコープ等の端子を接触させること(プロービング)により検査が行われることが多い。尚、接点は、デバイスに接続された、端子、コネクタ、導体パターン、ビアホール(スルーホール)、リード等である。又、プロービングによる検査では、検査対象基板の表面及び裏面の両方にテスター等の端子を接触させることが多い。そのため、そのような検査には、検査対象基板を固定すると共に電源を供給する冶具が必要であることが多い。
【0003】
デバイスにおける多ピン化の進展に伴い、プロービングに要する時間が増大してきた。プロービングに要する時間を短縮するために、プロービングを自動化することが考えられる。しかしながら、プロービングの自動化は、設備(装置、ソフトウェア、検査対象基板の種類毎に必要な設定情報等)に多大なコストを必要とする。又、プロービングを自動化したとしても、プロービングは機械的な移動を伴って逐次行われるため、時間の短縮には限界がある。
【0004】
そこで、検査のために検査用基板が用いられることがある。検査対象基板上の複数の接点に、それぞれが同時に接触する電極を有する検査用基板を用いることにより、プロービングを行うことなく、デバイス間インタフェースにおける電圧の検査を行うことができる。このような検査用基板を用いれば、テスター等の端子を移動させる必要がないため、検査に要する時間が短縮される。特に、検査対象基板上の接点に接触させる検査用基板上の端子の配置を規格化することにより、1つの検査用基板を用いて複数種類の検査対象基板における電圧の検査を行うことができる。
【0005】
検査用基板を用いた電圧検査技術の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1のテスト装置は、測定部と、判定部とを含む。測定部は、被測定装置が装着された装着テストボードを介して被測定装置に電流を印加し、被測定装置の所定部位の電圧を測定する。判定部は、測定部による測定結果を取得し、測定結果を規格値と比較することにより、被測定装置の合否を判定する。判定部は、合否の判定に際して、測定結果に影響を与える、装着テストボードに固有な固有抵抗値を取得し、測定結果における固有抵抗値の影響を除去する。
【0006】
上記構成の結果、特許文献1のテスト装置は、被測定装置が装着テストボードに装着されて行われる電圧テストにおいて、装着テストボードが有する固有抵抗値のばらつきに影響されること無く、正確に合否判定を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、すべての図面において、同等な構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態における構成について説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態における検査システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
検査システム100は、検査対象基板110と、検査装置140とを含む。検査対象基板110は、電圧を検査する対象の回路基板である。検査装置140は、検査対象基板110における電圧を検査する。検査システム100は、PC(Personal Computer)150を更に含んでもよい。
【0019】
検査対象基板110は、デバイス120とデバイス130とを含む。デバイス120とデバイス130とは、デバイス間インタフェース160を介して接続される。デバイス間インタフェース160は、電圧が検査される1つ以上の接点(端子、コネクタ、導体パターン、ビアホール、リード等)を含む。デバイス間インタフェース160の接点における信号(以下、「被検査信号」と称す)は、高値側の値(以下、「HIGH」で表す)又は低値側の値(以下、「LOW」で表す)の何れかの値を電圧で表す2値信号である。
【0020】
検査装置140は、デバイス間インタフェース160の接点において、検査用に分岐された被検査信号を入力し、被検査信号の電圧を検査する。
【0021】
PC150は、情報処理装置である。PC150は、検査装置140に接続される。PC150は、検査装置140を制御する。又、PC150は、検査装置140による検査結果を収集してもよい。又、PC150は、検査装置140の機能の一部をソフトウェア等を用いて代替してもよい。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施形態における検査装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
検査装置140は、スイッチ210と、降圧回路260と、昇圧回路270と、検査部230とを含む。尚、検査装置140は、制御部250を更に含んでもよい。又、デバイス間インタフェース160が検査対象である複数の接点を含む場合には、検査装置140は、スイッチ210と降圧回路260と昇圧回路270と検査部230との組を複数含んでもよい。或いは、デバイス間インタフェース160が検査対象である複数の接点を含む場合には、検査装置140は、複数系統の信号を同時に処理できる、スイッチ210、降圧回路260、昇圧回路270、又は検査部230を含んでもよい。
【0024】
スイッチ210は、被検査信号の電圧を降圧回路260又は昇圧回路270の何れかに出力する。スイッチ210は、検査部230により出力先を制御される。スイッチ210は、例えば、バススイッチである。
【0025】
降圧回路260は、HIGHを示す被検査信号の電圧を降圧する。降圧される電圧の幅(降圧幅)は、検査において「下限値」(後述)に加算するマージンに応じて決定される。例えば、HIGHを示す被検査信号の電圧として実際に予想される電圧の最小値と下限値との間に、下限値の5%のマージンが必要であれば、降圧幅を約5%にすればよい。即ち、検査装置140は、下限値に降圧幅が加算された値を実効的な下限値として、HIGHを示す被検査信号の電圧を検査する。降圧回路260は、例えば、入力電圧を分圧して出力する分圧抵抗である。
【0026】
昇圧回路270は、LOWを示す被検査信号の電圧を昇圧する。昇圧される電圧の幅(昇圧幅)は、検査において「上限値」(後述)から減算するマージンに応じて決定される。例えば、LOWを示す被検査信号の電圧として実際に予想される電圧の最大値と上限値との間に、上限値の5%のマージンが必要であれば、昇圧幅を約5%にすればよい。即ち、検査装置140は、上限値から昇圧幅が減算された値を実効的な上限値として、LOWを示す被検査信号の電圧を検査する。昇圧回路270は、例えば、入力電圧と電源電圧との間の電圧を分圧して出力する分圧抵抗、又は電圧増幅器である。
【0027】
検査部230は、検査条件を予め保持する。検査条件は、電源電圧、期待値、下限値、及び上限値を含む。電源電圧は、デバイス120及びデバイス130の電源電圧である。期待値は、被検査信号がHIGH又はLOWの何れを示すかを表す値である。下限値は、HIGHを表す被検査信号として許容される電圧の下限である。上限値は、LOWを表す被検査信号として許容される電圧の上限である。
【0028】
検査部230は、期待値がHIGHならば、スイッチ210の出力先を降圧回路260に決定し、降圧回路260により出力された電圧が下限値以上であるか否かを判定する。或いは、検査部230は、期待値がLOWならば、スイッチ210の出力先を昇圧回路270に決定し、昇圧回路270により出力された電圧が上限値以下であるか否かを判定する。尚、降圧回路260により出力された電圧が下限値以上であれば検査結果は正常(以下、「OK」で示す)で、そうでなければ検査結果は異常(以下、「NG」で示す)である。又、昇圧回路270により出力された電圧が上限値以下であれば検査結果はOKで、そうでなければ検査結果はNGである。
【0029】
制御部250は、PC150との通信内容に応じて、検査部230を制御する。具体的には、例えば、制御部250は、PC150からの指示に基づいて、検査部230における検査条件の設定を行う。又、例えば、制御部250は、検査部230による検査結果をPC150へ送信する。又、例えば、制御部250は、直接又は検査部230を介して、スイッチ210の出力先を制御してもよい。
【0030】
検査部230又は制御部250は、検査装置140に含まれる、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現されてもよい。又、検査部230又は制御部250の機能の一部は、PC150のソフトウェア等として実現されてもよい。
【0031】
本実施形態における降圧回路260及び昇圧回路270の具体例について説明する。尚、以下の説明において、分圧抵抗の抵抗値は一例であり、本実施形態における分圧抵抗の抵抗値はこれらに限定されない。
【0032】
降圧回路260は、被検査信号の電圧を分圧する。降圧回路260は、入力信号の電圧を10kΩの抵抗(信号側)と33kΩの抵抗(接地(GND)側)とにより分圧した電圧を出力する。その結果、降圧回路260は、HIGHを示す被検査信号の電圧を降圧する。
【0033】
昇圧回路270は、電源電圧と入力信号の電圧との間の電圧を12kΩの抵抗(信号側)と10kΩの抵抗(電源電圧側)とにより分圧した電圧を出力する。その結果、昇圧回路270は、LOWを示す被検査信号の電圧を昇圧する。
【0034】
図3は、2値信号を利用するデバイス間インタフェース規格の一例を示す表である。
図3において、各規格は、その規格における電源電圧(1.5V、1.8V、2.5V、3.3V)により示される。LOWを表す典型的な電圧は、規格によらず0Vである。LOWを表す電圧の最小値は“VIL”の「最小」の列に示され、LOWを表す電圧の最大値は“VIL”の「最大」の列に示される。又、HIGHを表す典型的な電圧は、その規格における電源電圧である。HIGHを表す電圧の最小値は“VIH”の「最小」の列に示され、HIGHを表す電圧の最大値は“VIH”の「最大」の列に示される。
【0035】
説明を簡単にするために、
図3におけるHIGHを表す電圧の最小値のみに注目して単純化した例について説明する。即ち、HIGHを表す電圧の最小値より低い電圧はLOWと判定され、HIGHを表す電圧の最小値以上の電圧はHIGHと判定されるものとする。
【0036】
規格が3.3Vである場合を例に説明する。
【0037】
例えば、期待値がHIGHで、被検査信号の電圧が3.3Vである場合には、降圧回路260は、約76%まで降圧した約2.5Vの電圧を出力する。下限値(HIGHを表す電圧の最小値)は2.0Vであるため、検査部230は、電圧がHIGHであると判定する。
【0038】
一方、例えば、期待値がLOWで、被検査信号の電圧が0.1Vである場合には、昇圧回路270は、約1.8Vの電圧を出力する。上限値(HIGHを表す電圧の最小値)は2.0Vであるため、検査部230は、電圧がLOWであると判定する。
【0039】
本実施形態における動作について説明する。
【0040】
図4は、本発明の第1の実施形態における検査システムの動作を示すフローチャートである。尚、
図4に示すフローチャート及び以下の説明は一例であり、適宜求める処理に応じて、処理順等を入れ替えたり、処理を戻したり、又は処理を繰り返したりしてもよい。
【0041】
まず、検査対象基板110が検査装置140に接続された状態において、検査装置140が起動される(ステップS1)。尚、検査装置140は、検査条件を予め保持しているものとする。
【0042】
検査部230は、期待値がHIGHならばスイッチ210の出力先を降圧回路260へ切り替え、期待値がLOWならばスイッチ210の出力先を昇圧回路270へ切り替える(ステップS2)。尚、昇圧回路270が上述した分圧抵抗である場合には、昇圧回路270における電源電圧は、デバイス間インタフェース規格に応じて切り替えられるものとする。
【0043】
検査部230は、期待値がHIGHであり且つ降圧回路260により出力された電圧が下限値以上であるか、又は期待値がLOWであり且つ昇圧回路270により出力された電圧が上限値以下であるならば検査結果はOKであると判定する。検査部230は、そうでなければ検査結果はNGであると判定する(ステップS3)。
【0044】
尚、ステップS3の判定を所定の回数だけ繰り返して、1回でも検査結果がNGであれば最終的な検査結果がNGであると判定し、全ての検査結果がOKであれば最終的な検査結果がOKであると判定してもよい。これにより、検査結果の確実性を向上させることができる。
【0045】
図5は、本発明の第1の実施形態における検査システムの動作例を説明するための表である。具体的には、
図5は、
図3に示した各デバイス間インタフェース規格における、検査システム100による検査結果の一例を示す。
図5の表において、第1列はデバイス間インタフェース規格を、第2列は期待値を、第3列はデバイスの出力電圧を、第4列はスイッチ210の出力先を、第5列は降圧回路260又は昇圧回路270の出力電圧を、第6列は下限値を、第7列は検査部による被検査信号の電圧の判定結果を、第8列は検査部による検査結果を示す。
【0046】
尚、説明を簡単にするために、
図3におけるHIGHを表す電圧の最小値のみに注目して単純化した例について説明する。即ち、HIGHを表す電圧の最小値より低い電圧はLOWと判定され、HIGHを表す電圧の最小値以上の電圧はHIGHと判定されるものとする。又、降圧回路260及び昇圧回路270は、上述した分圧抵抗であるものとする。
【0047】
まず、規格が3.3Vである場合について説明する。
【0048】
降圧回路260は、被検査信号の電圧を10kΩの抵抗(信号側)と33kΩの抵抗(接地(GND)側)とにより分圧する。そのため、降圧回路260は、例えば、被検査信号の電圧が3.3Vである場合には約2.5Vの電圧を出力する。又、降圧回路260は、例えば、被検査信号の電圧が2.5Vである場合には約1.9Vの電圧を出力する。HIGHを表す電圧の最小値は2.0Vであるため、被検査信号の電圧が3.3Vである場合には検査結果はOKであり、被検査信号の電圧が2.5Vである場合には検査結果はNGである。
【0049】
昇圧回路270は、電源電圧3.3Vと被検査信号の電圧との間の電圧を10kΩの抵抗(電源電圧側)と12kΩの抵抗(信号側)とにより分圧する。そのため、昇圧回路270は、例えば、被検査信号の電圧が0.1Vである場合には約1.8Vの電圧を出力する。又、昇圧回路270は、例えば、被検査信号の電圧が0.5Vである場合には約2.0Vの電圧を出力する。HIGHを表す電圧の最小値は2.0Vであるため、被検査信号の電圧が0.1Vである場合には検査結果はOKであり、被検査信号の電圧が0.5Vである場合には検査結果はNGである。
【0050】
次に、規格が2.5Vである場合について説明する。
【0051】
降圧回路260は、被検査信号の電圧を10kΩの抵抗(信号側)と33kΩの抵抗(接地側)とにより分圧する。そのため、降圧回路260は、例えば、被検査信号の電圧が2.5Vである場合には約1.9Vの電圧を出力する。又、降圧回路260は、例えば、被検査信号の電圧が2.0Vである場合には約1.5Vの電圧を出力する。HIGHを表す電圧の最小値は1.7Vであるため、被検査信号の電圧が2.5Vである場合には検査結果はOKであり、被検査信号の電圧が2.0Vである場合には検査結果はNGである。
【0052】
昇圧回路270は、電源電圧2.5Vと被検査信号の電圧との間の電圧を10kΩの抵抗(電源電圧側)と12kΩの抵抗(信号側)とにより分圧する。そのため、昇圧回路270は、例えば、被検査信号の電圧が0.1Vである場合には約1.4Vの電圧を出力する。又、昇圧回路270は、例えば、被検査信号の電圧が0.8Vである場合には約1.7Vの電圧を出力する。HIGHを表す電圧の最小値は1.7Vであるため、被検査信号の電圧が0.1Vである場合には検査結果はOKであり、被検査信号の電圧が0.8Vである場合には検査結果はNGである。
【0053】
次に、規格が1.8Vである場合について説明する。
【0054】
降圧回路260は、被検査信号の電圧を10kΩの抵抗(信号側)と33kΩの抵抗(接地側)とにより分圧する。そのため、降圧回路260は、例えば、被検査信号の電圧が1.8Vである場合には約1.4Vの電圧を出力する。又、降圧回路260は、例えば、被検査信号の電圧が1.4Vである場合には約1.1Vの電圧を出力する。HIGHを表す電圧の最小値は1.1Vであるため、被検査信号の電圧が1.8Vである場合には検査結果はOKであり、被検査信号の電圧が1.4Vである場合には検査結果はNGである。
【0055】
昇圧回路270は、電源電圧1.8Vと被検査信号の電圧との間の電圧を10kΩの抵抗(電源電圧側)と12kΩの抵抗(信号側)とにより分圧する。そのため、昇圧回路270は、例えば、被検査信号の電圧が0.1Vである場合には約1.0Vの電圧を出力する。又、昇圧回路270は、例えば、被検査信号の電圧が0.5Vである場合には約1.2Vの電圧を出力する。HIGHを表す電圧の最小値は1.17Vであるため、被検査信号の電圧が0.1Vである場合には検査結果はOKであり、被検査信号の電圧が0.5Vである場合には検査結果はNGである。
【0056】
次に、規格が1.5Vである場合について説明する。
【0057】
降圧回路260は、被検査信号の電圧を10kΩの抵抗(信号側)と33kΩの抵抗(接地側)とにより分圧する。そのため、降圧回路260は、例えば、被検査信号の電圧が1.5Vである場合には約1.2Vの電圧を出力する。又、降圧回路260は、例えば、被検査信号の電圧が1.0Vである場合には約0.8Vの電圧を出力する。HIGHを表す電圧の最小値は0.957Vであるため、被検査信号の電圧が1.5Vである場合には検査結果はOKであり、被検査信号の電圧が1.0Vである場合には検査結果はNGである。
【0058】
昇圧回路270は、電源電圧1.5Vと被検査信号の電圧との間の電圧を10kΩの抵抗(電源電圧側)と12kΩの抵抗(信号側)とにより分圧する。そのため、昇圧回路270は、例えば、被検査信号の電圧が0.1Vである場合には約0.9Vの電圧を出力する。又、昇圧回路270は、例えば、被検査信号の電圧が0.5Vである場合には約1.0Vの電圧を出力する。HIGHを表す電圧の最小値は0.957Vであるため、被検査信号の電圧が0.1Vである場合には検査結果はOKであり、被検査信号の電圧が0.5Vである場合には検査結果はNGである。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の検査システム100では、検査装置140の検査部230は、期待値がHIGHを示す場合に、降圧回路260により降圧された被検査信号の電圧と下限値とを比較する検査を行う。つまり、被検査信号の電圧と下限値とは、動作マージンが付与された上で、比較される。また、検査装置140の検査部230は、期待値がLOWを示す場合に、昇圧回路270により昇圧された被検査信号の電圧と上限値とを比較する検査を行う。つまり、被検査信号の電圧と上限値とは、動作マージンが付与された上で、比較される。従って、本実施形態の検査システム100には、2値信号の電圧検査において、動作マージンが付与された検査を行うことができるという効果がある。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態の基本である、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の最小限の構成を有する。
【0060】
図6は、本発明の第2の実施形態における検査システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0061】
本実施形態の検査システム102は、検査対象装置112と、検査装置142とを含む。
【0062】
検査対象装置112は、高値側の値又は低値側の値の何れかをとる2値信号を表す被検査信号を生成する。2値信号の高値側の値及び低値側の値は、電圧を用いて表される。
【0063】
検査装置142は、降圧回路262と、昇圧回路272と、検査部232とを含む。
【0064】
降圧回路262は、検査対象装置112から被検査信号を入力し、被検査信号の電圧を降圧した電圧を出力する。
【0065】
昇圧回路272は、検査対象装置112から被検査信号を入力し、被検査信号の電圧を昇圧した電圧を出力する。
【0066】
検査部232は、期待値と下限値と上限値とを予め保持する。期待値は、被検査信号が高値側の値又は低値側の値のいずれを表すかを示す。下限値は、2値信号の高値側の値を示す信号の電圧として許容される電圧の下限である。上限値は、2値信号の低値側の値を示す信号の電圧として許容される電圧の上限である。
【0067】
検査部232は、期待値が高値側の値を示す場合に、被検査信号を降圧回路262へ入力させ、降圧回路262から出力された電圧が下限値以上であるか否かの検査を行う。
【0068】
検査部232は、期待値が低値側の値を示す場合に、被検査信号を昇圧回路272へ入力させ、昇圧回路272から出力された電圧が上限値以下であるか否かの検査を行う。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の検査システム102では、検査装置142の検査部232は、期待値が高値側の値を示す場合に、降圧回路262により降圧された被検査信号の電圧と下限値とを比較する検査を行う。つまり、被検査信号の電圧と下限値とは、動作マージンが付与された上で、比較される。また、検査装置142の検査部232は、期待値が低値側の値を示す場合に、昇圧回路272により昇圧された被検査信号の電圧と上限値とを比較する検査を行う。つまり、被検査信号の電圧と上限値とは、動作マージンが付与された上で、比較される。従って、本実施形態の検査システム102には、2値信号の電圧検査において、動作マージンが付与された検査を行うことができるという効果がある。
【0070】
尚、本実施形態の検査システム102では、検査部232は、特定のインタフェース規格に対応する下限値と上限値との複数の組から、特定の下限値又は特定の上限値を選択し、選択した特定の下限値又は特定の上限値を用いて検査を行ってもよい。この場合には、本実施形態の検査システム102には、1台の検査装置142が、複数のインタフェース規格に対応する検査を行うことができるという効果がある。
【0071】
又、本実施形態の検査システム102では、降圧回路262は、被検査信号の電圧を分圧した電圧を出力する分圧抵抗であってもよい。更に、昇圧回路272は、被検査信号の電圧と、低値側の値として予想される被検査信号の電圧の上限より高い定電圧との間の電圧を分圧した電圧を出力する分圧抵抗であってもよい。この場合には、本実施形態の検査システム102には、検査装置142を安価に実現できるという効果がある。尚、定電圧は、特定のインタフェース規格に対応する電源電圧であってもよい。
【0072】
又、本実施形態の検査システム102では、期待値、下限値、及び上限値は、検査装置142に接続されたPC152により選択され、PC152は検査装置142から検査結果を受け取ってもよい。PC152と検査装置142との間の通信は、制御部252を介して行われる。この場合には、本実施形態の検査システム102には、検査の実行及び検査結果の収集が容易であるという効果がある。
【0073】
又、本実施形態の検査システム102は、降圧回路262と昇圧回路272と検査部232との複数の組と、検査用基板(不図示)とを更に備えてもよい。検査用基板は、検査対象装置112に対して固定され、検査対象装置112の異なる位置に接触する複数の電極を介して、検査対象装置112から被検査信号を、降圧回路262と昇圧回路272と検査部232との組毎に入力する。この場合には、本実施形態の検査システム102には、1台の検査装置142が、検査対象装置112における複数の位置における信号をまとめて検査できるという効果がある。更に、本実施形態の検査システム102では、検査対象装置112は、デバイス間インタフェース(不図示)を介して接続された複数のデバイス(不図示)を備えてもよい。ここで、電極が接触する検査対象装置112における位置は、デバイス間インタフェースに含まれる接点の位置である。この場合には、本実施形態の検査システム102には、1台の検査装置142が、デバイス間インタフェースに含まれる接点をまとめて検査できるという効果がある。
【0074】
又、本実施形態の検査システム102がPC152を含む場合には、PC152は検査装置142の機能の一部をソフトウェア等を用いて代替してもよい。
【0075】
図7は、本発明の各実施形態における検査装置を実現可能なハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0076】
検査装置907は、記憶装置902と、CPU(Central Processing Unit)903と、キーボード904と、モニタ905と、I/O(Input/Output)908とを備え、これらが内部バス906で接続されている。記憶装置902は、検査部232等のCPU903の動作プログラムを格納する。CPU903は、検査装置907全体を制御し、記憶装置902に格納された動作プログラムを実行し、I/O908を介して検査部232等のプログラムの実行やデータの送受信を行なう。尚、上記の検査装置907の内部構成は一例である。検査装置907は、必要に応じて、キーボード904、モニタ905を接続する装置構成であってもよい。
【0077】
上述した本発明の各実施形態における検査装置は、専用の装置によって実現してもよいが、コンピュータ(情報処理装置)によっても実現可能である。この場合、係るコンピュータは、記憶装置902に格納されたソフトウェア・プログラムをCPU903に読み出し、読み出したソフトウェア・プログラムをCPU903において実行する。上述した各実施形態の場合、係るソフトウェア・プログラムには、上述したところの、
図2に示した検査装置140の各部の機能、
図6に示した検査装置142の各部の機能を実現可能な記述がなされていればよい。ただし、これらの各部には、適宜ハードウェアを含むことも想定される。そして、このような場合、係るソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム)は、本発明を構成すると捉えることができる。更に、係るソフトウェア・プログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体も、本発明を構成すると捉えることができる。
【0078】
以上、本発明を、上述した各実施形態及びその変形例によって例示的に説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態及びその変形例に記載した範囲に限定されない。当業者には、係る実施形態に対して多様な変更又は改良を加えることが可能であることは明らかである。そのような場合、係る変更又は改良を加えた新たな実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得る。そしてこのことは、特許請求の範囲に記載した事項により明らかである。