特許第6798843号(P6798843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798843
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/24 20090101AFI20201130BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20201130BHJP
【FI】
   H04W36/24
   H04W76/10
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-188228(P2016-188228)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-56691(P2018-56691A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 史也
【審査官】 石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−506362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、前記基地局との間で無線通信するための地域コードを記憶した移動局と、前記基地局を介して前記移動局と通信する制御局と、から構成される無線通信システムにおいて、
前記移動局は、第1の地域コードを記憶しており、
前記制御局は、前記第1の地域コードとは異なる第2の地域コードと、前記第2の地域コードの使用可能期間と、を前記移動局へ送信し、
前記第2の地域コードを受信した前記移動局は、前記第1の地域コードと共に、前記第2の地域コードと、前記使用可能期間と、を追加で記憶し、前記使用可能期間を過ぎると、記憶した前記第2の地域コードを削除することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記移動局は、個別番号が割り当てられており、
前記制御局は、前記移動局の前記個別番号と、前記第2の地域コードと、前記第2の地
域コードの使用可能期間と、を対応付けて記憶しており、前記個別番号が割り当てられた移動局に対して、前記第2の地域コードと、前記使用可能期間と、を送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2記載の無線通信システムにおいて、
前記制御局は、前記移動局の在圏情報を登録する際に、当該移動局の個別番号と対応付けられた前記第2の地域コードが記憶されているかどうかを確認し、前記第2の地域コードが記憶されている場合は、前記第2の地域コードを当該移動局へ送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、移動局が地域コードの異なる無線通信エリアに移動する場合の地域コードの追加、並びに削除を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基地局装置を切り替えるハンドオフを行うに際して、所望の通信エリアに対応した基地局装置へ切り替えることができる移動局装置が開示されている。
しかし、特許文献1のハンドオフ技術は、[図1]の無線通信システムに示されているように、指令装置1から回線制御装置2を経由して接続された複数の基地局装置3A〜3Dの個別通信エリア4A〜4D内において、その中を移動する移動局装置5のハンドオフ技術に関するものである。
【0003】
そこで、特許文献1の[図1]に示された無線通信システムを、2つの異なる地域内にそれぞれ構築しているような従来の無線通信システムについて、図7を用いて説明する。図7は、従来の無線通信システムの概略構成例を示す図である。
図7に示す従来の無線通信システムは、隣接、または異なる地域(例えば、異なる市区町村)である2つの地域(A)と地域(B)それぞれに構築された2つの無線通信システムから成り、互いに無線通信システムの構成は同じである。ただし、制御局(A)501と制御局(B)601は設置された地域に応じて各々固有の地域コードを保持しており、また、それに合わせて、移動局(A)506−1,506−2と移動局(B)606−1,606−2も、制御局(A)501と制御局(B)601それぞれに対応した地域コードを保持している。地域コードにはそれぞれ該当地域に設置されている基地局が対応付けられ、移動局は自身の地域コードに属した基地局の中から任意の基地局を使用して通信を行っている。
【0004】
図7に示す従来の無線通信システムの場合、移動局(A)506−1および移動局(A)506−2には、自身の地域コードとして、例えば“A0001”が登録されており、地域コード“A0001”には基地局(A)502−1,基地局(A)502−2,基地局(A)502−3が属している。移動局(A)506−1および移動局(A)506−2は、基地局(A)502−1、基地局(A)502−2または基地局(A)502−3の中から任意の基地局を使用して通信を行う。
【0005】
また、例えば、移動局(A)506−1が災害時の作業応援などで地域(B)に移動した場合、移動局(A)506−1は地域(B)内に存在する基地局を使用できず、通信へ参加できない。移動局(A)506−1が地域(B)で通信を行うためには、移動局(A)506−1の地域コード“A0001”を、制御局(B)601の地域コードである“B0001”へ変更する必要がある。変更することで、制御局(B)601を介して地域(B)に設置されている基地局(B)602−1,基地局(B)602−2,基地局(B)602−3を使用した通信が行えるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−167253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来、移動局の地域コードを変更する手段としては、移動局自身の操作によるものであったため、災害などによって作業応援等が発生した際、目的地に到着してから即座に通信に参加したい場合であっても、地域コードの変更作業が終了するまでは通信に参加することができず、非常に使い勝手が悪いという問題があった。
また、地域を移動する前に地域コードを変更してしまうと、本来の所属地域での通話が行えなくなってしまう。
【0008】
したがって、上述した問題を解決するためには、移動局の移動前後での地域の境界を認識し、地域の境界で地域コードの変更を行う必要があるが、地域の境界を認識することは難しく、また車載型移動局の場合は移動中の装置の操作は不可である。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、移動局に対して地域コードを自動的に追加する機能を付加することにより、システム利用者の利便性向上を図ることが可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の無線通信システムは、基地局と、前記基地局との間で無線通信するための地域コードを記憶した移動局と、前記基地局を介して前記移動局と通信する制御局と、から構成される無線通信システムにおいて、前記移動局は、第1の地域コードを記憶しており、前記制御局は、前記第1の地域コードとは異なる第2の地域コードを前記移動局へ送信し、前記第2の地域コードを受信した前記移動局は、前記第1の地域コードと共に、前記第2の地域コードを追加で記憶することを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の無線通信システムは、上記した無線通信システムにおいて、前記移動局は、個別番号が割り当てられており、前記制御局は、前記移動局の前記個別番号と、前記第2の地域コードと、を対応付けて記憶しており、前記個別番号が割り当てられた移動局に対して、前記第2の地域コードを送信することを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明の無線通信システムは、上記した無線通信システムにおいて、前記制御局は、前記移動局の前記個別番号と、前記第2の地域コードと、前記第2の地域コードの使用可能期間と、を対応付けて記憶しており、前記個別番号が割り当てられた移動局に対して、前記第2の地域コードと、前記使用可能期間と、を送信し、当該移動局は、受信した前記第2の地域コードと、前記使用可能期間と、を記憶し、前記使用可能期間を過ぎると、記憶した前記第2の地域コードを削除することを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明の無線通信システムは、上記した無線通信システムにおいて、前記制御局は、前記移動局の在圏情報を登録する際に、当該移動局の個別番号と対応付けられた前記第2の地域コードが記憶されているかどうかを確認し、前記第2の地域コードが記憶されている場合は、前記第2の地域コードを当該移動局へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移動局に対して地域コードを自動的に追加する機能を付加することにより、システム利用者の利便性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの指令卓、制御局、統制台、統制サーバおよび基地局の概略構成を示すブロック図である。
図3】統制サーバ内の地域コード管理用テーブルの構成の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの移動局の概略構成を示すブロック図である。
図5】移動局内の地域コード個別情報テーブルの構成の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおいて、移動局に地域コードを追加登録する際の動作シーケンスを示す図である。
図7】従来の無線通信システムの概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る無線通信システムについて説明する。
本発明の一実施形態に係る無線通信システムは、移動局が通常時使用する地域コードの他に、複数の地域コードを保持できるようにし、保持する地域コードに属する全ての基地局を使用できるようにする。これにより、地域を移動する前に予め移動先の地域コードを追加登録しておくことで、移動中に地域の境界を意識することなく移動前後の地域で通信に参加することができるものである。
【0017】
[無線通信システムの構成]
本発明の一実施形態に係る無線通信システムの構成について、図1図5を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成例を示す図である。
本発明の無線通信システムは、図1に示すように、隣接、または異なる地域(例えば、異なる市区町村)である2つの地域(A)と地域(B)それぞれに構築された2つの無線通信システムから成り、互いに無線通信システムの構成は同様である。
図1において、101および201は、それぞれ制御局(A),制御局(B)、102−1,102−2,102−3、並びにこれらを総称する102、および202−1,202−2,202−3、並びにこれらを総称する202は、基地局(A),基地局(B)、110および210は、それぞれ基地局(A)102,基地局(B)202の通信エリア、つまり、地域(A)内,地域(B)内の通信エリアを示している。103および203は、それぞれ統制サーバ(A),統制サーバ(B)、104および204は、それぞれ統制台(A),統制台(B)、105および205は、それぞれ指令卓(A),指令卓(B)を示している。また、制御局(A)101と基地局(A)102,統制サーバ(A)103,統制台(A)104,指令卓(A)105との間、および制御局(B)201と基地局(B)202,統制サーバ(B)203,統制台(B)204,指令卓(B)205との間は、それぞれ有線またはマイクロ回線等の伝送路で接続されている。
【0018】
106−1,106−2、並びにこれらを総称する106、および206−1,206−2、並びにこれらを総称する206は、移動局(A),移動局(B)を示している。なお、移動局(A)106,移動局(B)206は、車両等に搭載された無線機、携帯無線機、または情報端末局等を含むものとする。
また、制御局(A)101と制御局(B)201は、設置された地域に応じて各々固有の地域コードを保持しており、また、それに合わせて、移動局(A)106−1,106−2と移動局(B)206−1,206−2も、制御局(A)101と制御局(B)201それぞれに対応した地域コードを保持している。地域コードにはそれぞれ該当地域に設置されている基地局が対応付けられ、通常、移動局は自身の地域コードに属した基地局の中から任意の基地局を使用して通信を行っている。
なお、図1では、制御局(A)101に接続される統制サーバ(A)103,統制台(A)104,指令卓(A)105、並びに制御局(B)201に接続される統制サーバ(B)203,統制台(B)204,指令卓(B)205をそれぞれ1台ずつ示しているが、複数台接続されていても構わない。また、制御局(A)101に接続される基地局(A)102、並びに制御局(B)201に接続される基地局(B)202をそれぞれ3台ずつ示しているが、少なくとも1台以上接続されていればよい。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの指令卓、制御局、統制台、統制サーバおよび基地局の概略構成を示すブロック図である。図3は、統制サーバ内の地域コード管理用テーブルの構成の一例を示す図である。図4は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの移動局の概略構成を示すブロック図である。また、図5は、移動局内の地域コード個別情報テーブルの構成の一例を示す図である。なお、図1において、制御局(A)101と制御局(B)201の構成、基地局(A)102と基地局(B)202の構成、統制サーバ(A)103と統制サーバ(B)203の構成、統制台(A)104と統制台(B)204の構成、および指令卓(A)105と指令卓(B)205の構成はそれぞれ同一であるため、地域(A)内のシステムの構成の詳細について説明する。
【0020】
指令卓(A)105は、CPU等で構成された制御部51、記憶部52、表示部53、操作部54、音声を出力するスピーカ55、オペレータの音声が入力されるマイク56で構成され、マイク56とスピーカ55を用いて基地局(A)102を介して移動局(A)106との間で、移動局(A)106への指令等に関する通話を行う、つまり通話信号を交信する。図2では指令卓(A)105は1つであるが、移動局(A)106との間で同時に複数の通話を行う必要がある場合は、指令卓(A)105を複数有するように構成することができる。
【0021】
制御局(A)101は、CPU等で構成された制御部11および記憶部12で構成され、指令卓(A)105と通話する移動局(A)106が接続される基地局(A)102を自動的に選択し、また、指令卓(A)105からの、あるいは移動局(A)106からの発呼(call)制御等の制御を行うものである。移動局(A)106との間で同時に複数の通話を行う構成の場合は、制御局(A)101は、複数の指令卓(A)105のうち、どの指令卓(A)105を用いるかについても自動的に選択する。記憶部12は、その時点で制御局(A)101が選択している基地局(A)102である現基地局がどの基地局であるかを記憶するもので、例えば基地局(A)102の番号(つまり基地局(A)102の識別子)を記憶する。
【0022】
基地局(A)102は、送信用無線機23、受信用無線機24、CPU等で構成された制御部21、および記憶部22で構成されており、制御部21は、基地局(A)102の各構成部を制御する。送信用無線機23は、指令卓(A)105からの通話信号を、例えば無線キャリアF1で移動局(A)106に送信する。また、受信用無線機24は、移動局(A)106から、例えば無線キャリアf1で送られてくる通話信号を受信する。 制御部21は、制御局(A)101を介して受信した指令卓(A)105からの通話信号を送信用無線機23へ送信し、また、受信用無線機24で受信した移動局(A)106からの通話信号を制御局(A)101を介して指令卓(A)105へ送信する。
【0023】
統制台(A)104は、CPU等で構成された制御部41および操作指示部42で構成され、運用者からのシステム設定入力の受付などを行う。例えば、運用者は、他の地域での作業応援等に移動局(A)106を向かわせるために、特定の移動局(A)106に対する地域コードの追加指示を統制台(A)104の操作指示部42から行う。統制台(A)104では、運用者からの操作指示により、統制サーバ(A)103に対して、特定の移動局(A)106への所定の地域(例えば、地域(B))に関する地域コードの追加登録要求を送信する。
【0024】
統制サーバ(A)103は、CPU等で構成された制御部31および記憶部32で構成され、システム内の各移動局(A)106に登録されている地域コードを管理するための後述する地域コード管理用テーブル32aを記憶部32に備えている。統制サーバ(A)103は、運用者からの操作指示により、統制局(A)104から送信された特定の移動局(A)106への地域コード追加登録要求に基づき、記憶部32の地域コード管理用テーブル32aの内容を更新する。
【0025】
そこで、記憶部32の地域コード管理用テーブル32aについて、図3を用いて説明する。
地域コード管理用テーブル32aは、図3に示すように、移動局32aaと、移動局個別番号32abと、デフォルト地域コード32acと、追加地域コード32adと、地域コード追加実施状況32aeと、追加地域コード使用可能期間32afと、追加地域コード削除状況32agとから構成されている。
【0026】
移動局個別番号32abには、システム内でユニークに割り当てられた移動局(A)106を識別するための移動局個別番号が格納されている。デフォルト地域コード32acには、移動局(A)106のデフォルト地域コード(本例では地域(A)の地域コード“A0001”)が格納されている。追加地域コード32adには、移動局(A)106に追加する地域コードが格納される。地域コード追加実施状況32aeには、地域コード追加の実施有無情報が格納され、移動局(A)106に対する地域コード追加処理が完了した場合に完了フラグを立てる。追加地域コード使用可能期間32afには、所定期間経過後に追加した地域コードを移動局(A)106に自動削除させる期間が格納される。追加地域コード削除状況32agには、移動局(A)106が追加した地域コードの削除を行ったかを確認するため、移動局(A)106からの追加地域コード削除情報に基づき、該当移動局個別番号の追加地域データを本テーブルから削除する。
【0027】
次に、移動局(A)106の構成について、図4を用いて説明する。なお、図4で示す移動局(A)106は、上り方向無線キャリア(f1),下り方向無線キャリア(F1)のペア波(無線CH1)が用いられ、プレストークによる単信方式の無線通信装置を示しているが、同時送受波ができる複信方式の無線通信装置で構成することもできる。
図4において、62は基地局(A)102との送受信を行うためのアンテナ、63は送受信を切替えるための切換スイッチ、64は受信部、65は受信信号処理部、66はスピーカ、61は制御部、67は表示部、68は操作部、69はマイク、70は送信信号処理部、71は送信部である。
【0028】
移動局(A)106において、マイク69から入力される音声信号は、送信信号処理部70で送信のための所定の信号処理を施した後、送信部71に入力される。送信部71に入力された信号は、送信のための所定の変調がなされ、無線CH1の送信周波数f1に変換され、切換スイッチ63を介してアンテナ62から出力され、基地局(A)102の受信用無線機24へ送信される。
【0029】
一方、基地局(A)102の送信用無線機23からの無線CH1の無線キャリア(F1)は、アンテナ62で受信され、切換スイッチ63を介して受信部64に入力される。受信部64に入力された信号は、高周波増幅され、所定の中間周波数に変換され、更に、復調され、受信信号処理部65に供給される。受信信号処理部65では、所定の信号処理がなされた後、スピーカ66から音声信号を出力する。
【0030】
表示部67は、例えば上述した基地局(A)102から送信された信号に含まれ、指令卓(A)105から送信された文字情報や画像情報等を表示する。
【0031】
操作部68は、例えば指令卓(A)105からの連絡に対する応答操作や、無線通信を行う基地局(A)102を切り替える際の閾値やCHサーチ等の条件を設定操作する端末である。
【0032】
制御部61は、地域コード追加・削除手段61aと、記憶部61bとを備えている。制御部61は、移動局(A)106の各構成部を制御する。また、制御部61の記憶部61bには、地域コードを登録するための地域コード個別情報テーブル61baを備えている。制御部61の地域コード追加・削除手段61aは、制御局(A)101から送信された地域コード追加データを基に地域コード個別情報テーブル61baに地域コードの追加を行う一方、地域コード追加データに含まれる追加地域コード使用可能期間を基に所定期間経過後に追加した地域コードを削除する。
【0033】
そこで、記憶部61bの地域コード個別情報テーブル61baについて、図5を用いて説明する。
地域コード個別情報テーブル61baは、図5に示すように、移動局61baaと、移動局個別番号61babと、デフォルト地域コード61bacと、追加地域コード61badと、追加地域コード使用可能期間61baeとから構成されている。
【0034】
移動局個別番号61babには、システム内でユニークに割り当てられた移動局(A)106を識別するための移動局個別番号が格納されている。デフォルト地域コード61bacには、移動局(A)106のデフォルト地域コード(本例では地域(A)の地域コード“A0001”)が格納されている。追加地域コード61badには、移動局(A)106に追加する地域コードが格納される。追加地域コード使用可能期間61baeは、所定期間経過後に追加した地域コードを制御部61の地域コード追加・削除手段61aが削除する期間が格納される。
【0035】
[無線通信システムにおける地域コード追加登録の動作]
次に、本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおいて、移動局(A)106に地域コードを追加登録する際の動作について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおいて、移動局に地域コードを追加登録する際の動作シーケンスを示す図である。
例えば、地域(A)の無線通信システムの運用者は、地域(B)で発生した災害に対し、地域(A)に所属する移動局(A)106を作業応援のために地域(B)に派遣する際、統制台(A)104の操作指示部42を操作し、派遣する移動局(A)106を指定して、地域コードの追加登録要求を入力する(ステップS101)。
統制台(A)104の制御部41は、統制サーバ(A)103に対して地域コード追加登録要求を送信する(ステップS102)。
統制サーバ(A)103の制御部31は、地域コード追加登録要求を受信すると(ステップS103)、統制台(A)104から送信された地域コード追加登録要求から、指定の移動局、追加地域コードおよび追加地域コード使用可能期間等の情報を取得し、記憶部32の地域コード管理用テーブル32aに登録する(ステップS104)。例えば、図3に示すように、移動局(A)106−1,106−2に対し、追加地域コード32adには“B0001”が、追加地域コード使用可能期間32afには“2016/10/01〜2016/12/31”が登録される。
【0036】
一方、地域(A)内に所属する移動局(A)106は、電源が投入され(ステップS111)、任意の基地局(A)102を捕捉することによって存圏状態になると(ステップS112)、制御局(A)101に対し基地局(A)102を経由した無線通信により在圏情報通知を行う(ステップS113)。制御局(A)101は、移動局(A)106から送信された在圏情報に基づき、統制サーバ(A)に対して在圏情報の登録指示を行う(ステップS114)。
【0037】
統制サーバ(A)103は、移動局(A)106の在圏情報を記憶部32の所定の領域に登録する(ステップS115)。
また、統制サーバ(A)103は、地域コード管理用テーブル32aに在圏情報を登録した当該移動局に対する地域コード追加登録要求の有無を確認する(ステップS116)。在圏情報を登録した移動局(A)106への地域コード追加登録要求が登録されていた場合(ステップS116:有)には、統制サーバ(A)103は、制御局(A)101に対し当該移動局への地域コード追加データを送信する(ステップS117)。統制サーバ(A)103からの地域コード追加データを受信した制御局(A)101は、登録してある在圏情報を元に、該当する基地局(A)102経由の無線通信により、地域コード追加データを移動局(A)106に対して送信する(ステップS118)。
【0038】
移動局(A)106は、制御局(A)101から地域コード追加データを受信すると、制御部61aの地域コード追加・削除手段61aが、受信した地域コード追加データから、追加地域コードおよび追加地域コード使用可能期間の情報を記憶部61bの地域コード個別情報テーブル61baに登録する(ステップS119)。例えば、図5に示すように、移動局(A)106−1の場合、追加地域コード61badには“B0001”が、追加地域コード使用可能期間61baeには“2016/10/01〜2016/12/31”が登録される。
現在通信中の移動局(A)106の制御部61は、地域コード追加登録が完了すると、地域コード追加登録完了通知を、基地局(A)102経由の無線通信により、制御局(A)101に対して送信する(ステップS120)。
【0039】
制御局(A)101の制御部12は、移動局(A)106から地域コード追加登録完了通知を受信すると、統制サーバ(A)103に対して、該当する移動局(A)106の地域コード追加登録要求完了の指示を行う(ステップS121)。
統制サーバ(A)103は、制御局(A)101から移動局(A)106に対する地域コード追加登録要求完了の指示を受信すると(ステップS122)、地域コード管理用テーブル32aの地域コード追加実施状況に実施済を示す完了フラグを立てる(ステップS123)(図3参照)。なお、統制サーバ(A)103は、在圏情報を登録した移動局(A)106への地域コード追加登録要求が登録されていない場合(ステップS116:無)には、在圏情報登録後の処理は行わない。
【0040】
また、移動局(A)106では、制御部61aの地域コード追加・削除手段61aが、記憶部61bの地域コード個別情報テーブル61baに登録された追加地域コード使用可能期間61baeを定期的に確認し、追加地域コード使用可能期間を経過した場合には、追加した地域コードは自動的に削除される。移動局(A)106に時刻情報を取得する手段がある場合は、取得した時刻情報と、追加地域コード使用可能期間61baeとを照らし合わせ、削除するかどうかを判断するようにしてもよい。
【0041】
なお、上記した実施例では、移動局(A)106に追加登録された地域コードの削除を移動局(A)106自身で行っているが、図6で示した地域コード追加登録の動作シーケンスと同様に、統制台(A)104からの操作指示でシステム運用者が行うようにしても良い。
【0042】
上述したように、本発明の一実施形態に係る無線通信システムによれば、移動局が保持できる地域コードの数を増やすこと、並びに、事前に制御局に必要な地域コード情報を登録しておき、無線通信による遠隔操作で地域コードを自動的に追加する機能を付加することにより、システム利用者の利便性向上を図ることができる。
なお、制御局は、移動局の個別番号と、追加地域コードと、を対応付けて記憶しておき、個別番号が割り当てられた移動局に対して、追加地域コードを送信するようにしてもよい。これにより、必要な移動局に対してのみ追加地域コードを登録させることが可能となる。
また、制御局は、移動局の個別番号と、追加地域コードと、追加地域コードの使用可能期間と、を対応付けて記憶しておき、個別番号が割り当てられた移動局に対して、追加地域コードと、前記使用可能期間と、を送信し、該地域コードと、該使用可能期間と、を受信した移動局は、受信した追加地域コードと、使用可能期間と、を記憶しておき、使用可能期間を過ぎると、記憶した追加地域コードを削除するようにしてもよい。これにより、応援期間が過ぎた際に自動で地域コードを削除することが可能となる。
また、制御局は、移動局の在圏情報を登録する際に、当該移動局の個別番号と対応付けられた追加地域コードが記憶されているかどうかを確認し、追加地域コードが記憶されている場合は、当該追加地域コードを当該移動局へ送信するようにしてもよい。これにより、移動局へ追加地域コードを確実に送信することが可能となる。
【0043】
なお、上記した実施形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、無線通信システムにおいて、特に、移動局が地域コードの異なる無線通信エリアに移動する場合の地域コードの追加、並びに削除を行う際に利用される。
【符号の説明】
【0045】
11:制御部、12:記憶部、21:制御部、22:記憶部、23:送信用無線機、24:受信用無線機、31:制御部、32:記憶部、32a:地域コード管理用テーブル、32aa:移動局、32ab:移動局個別番号、32ac:デフォルト地域コード、32ad:追加地域コード、32ae:地域コード追加実施状況、32af:追加地域コード使用可能期間、32ag:追加地域コード削除状況、41:制御部、42:操作指示部、51:制御部、52:記憶部、53:表示部、54:操作部、55:スピーカ、56:マイク、61:制御部、61a:地域コード追加・削除手段、61b:記憶部、61ba:地域コード個別情報テーブル、61baa:移動局、61bab:移動局個別番号、61bac:デフォルト地域コード、61bad:追加地域コード、61bae:追加地域コード使用可能期間、62:アンテナ、63:切換スイッチ、64:受信部、65:受信信号処理部、66:スピーカ、67:表示部、68:操作部、69:マイク、70:送信信号処理部、71:送信部、101:制御局(A)、102,102−1,102−2,102−3:基地局(A)、103:統制サーバ(A)、104:統制台(A)、105:指令卓(A)、106,106−1,106−2:移動局(A)、110:地域(A)内の通信エリア、201:制御局(B)、202,202−1,202−2,202−3:基地局(B)、203:統制サーバ(B)、204:統制台(B)、205:指令卓(B)、206,206−1,206−2:移動局(B)、210:地域(B)内の通信エリア、501:制御局(A)、502,502−1,502−2,502−3:基地局(A)、503:統制サーバ(A)、504:統制台(A)、505:指令卓(A)、506,506−1,506−2:移動局(A)、510:地域(A)内の通信エリア、601:制御局(B)、602,602−1,602−2,602−3:基地局(B)、603:統制サーバ(B)、604:統制台(B)、605:指令卓(B)、606,606−1,606−2:移動局(B)、610:地域(B)内の通信エリア。
図1
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図7