特許第6798846号(P6798846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798846
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】機械構造物の固定方法及びその固定構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20201130BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20201130BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20201130BHJP
   H02B 1/54 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   H05K7/18 H
   F16B5/02 U
   H05K5/02 E
   H05K5/02 B
   H05K5/02 L
   H02B1/54
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-196498(P2016-196498)
(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公開番号】特開2018-60889(P2018-60889A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】横張 孝志
【審査官】 鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−147523(JP,A)
【文献】 実開昭57−047095(JP,U)
【文献】 実開昭48−059965(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
F16B 5/02
H02B 1/54
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械構造物の機器本体と、該機器本体を支える架台とをボルトで締結して固定する機械構造物の固定方法であって、
前記機器本体の底面部と前記架台の上面部は矩形状を成し、このそれぞれの矩形状の角部に内側から外側に向って又は矩形状の一側面と平行に内側から外側に向って狭隘部分に誘導する誘導穴が形成され、この誘導穴を介して前記機器本体と前記架台とを初期位置において前記ボルトで一時締結し、この状態からボルト押出支持部品により、前記ボルトを、前記誘導穴を介して内側から外側に押出すことで、前記初期位置から前記狭隘部分の最終位置に誘導されて前記機器本体と前記架台とが前記ボルトで最終締結されることを特徴とする機械構造物の固定方法。
【請求項2】
請求項に記載の機械構造物の固定方法において、
前記誘導穴は長円形を成し、前記ボルトは、前記長円形の前記誘導穴の内側端部から外側端部に向って前記ボルト押出支持部品により押出されて誘導されることを特徴とする機械構造物の固定方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の機械構造物の固定方法において、
前記機器本体と前記架台及び前記ボルト押出支持部品は、前記初期位置では前記ボルトで一緒に締結され、この状態から前記ボルトと前記ボルト押出支持部品が前記誘導穴を移動して前記狭隘部分の最終位置に誘導され、前記狭隘部分の最終位置で前記機器本体と前記架台及び前記ボルト押出支持部品が前記ボルトで最終締結されることを特徴とする機械構造物の固定方法。
【請求項4】
請求項に記載の機械構造物の固定方法において、
前記ボルトは、前記初期位置では該ボルトが前記誘導穴を移動可能な締付け力であり、前記狭隘部分の最終位置では該最終位置で必要な最終締結が維持できる締付け力であることを特徴とする機械構造物の固定方法。
【請求項5】
請求項に記載の機械構造物の固定方法において、
前記狭隘部分の最終位置で前記機器本体と前記架台及び前記ボルト押出支持部品が前記ボルトで最終締結された状態で、前記ボルト押出支持部品の前記誘導穴での押出し方向とは反対方向への移動が第2のボルトで阻止されていることを特徴とする機械構造物の固定方法。
【請求項6】
請求項に記載の機械構造物の固定方法において、
前記ボルトが前記誘導穴の端部に移動するまで前記ボルト押出支持部品を、ネジ溝を有する固定板を介して第2のボルトで押し込むことにより固定することを特徴とする機械構造物の固定方法。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の機械構造物の固定方法において、
前記機器本体は、無停電電源装置、電力変換供給装置、産業用ドライブの制御盤、計算機サーバーのいずれかであることを特徴とする機械構造物の固定方法。
【請求項8】
機械構造物の機器本体と、該機器本体を支える架台とをボルトで締結して固定する機械構造物の固定構造であって、
前記機器本体と前記架台のそれぞれに、前記機器本体と前記架台との狭隘部分に誘導する前記ボルトがスライド可能な誘導穴を有すると共に、前記ボルトには、該ボルトを前記誘導穴をスライドさせて初期位置から前記狭隘部分に押出すボルト押出支持部品を備え、
前記ボルト押出支持部品に力を加えることにより、前記ボルトを、前記誘導穴をスライドさせて前記初期位置から前記狭隘部分に押出すことで誘導して、前記狭隘部分の最終位置で前記機器本体と前記架台とが前記ボルトで最終締結されていることを特徴とする機械構造物の固定構造。
【請求項9】
請求項に記載の機械構造物の固定構造において、
前記機器本体の底面部と前記架台の上面部は矩形状に形成され、それぞれの矩形状の角部に内側から外側に向って又は矩形状の一側面と平行に内側から外側に向って前記誘導穴が設けられ、該誘導穴を前記ボルトが前記ボルト押出支持部品により内側から外側に押出すことで、前記初期位置から前記狭隘部分の最終位置に誘導されて前記機器本体と前記架台とが前記ボルトで最終締結されることを特徴とする機械構造物の固定構造。
【請求項10】
請求項に記載の機械構造物の固定構造において、
前記狭隘部分の最終位置で前記機器本体と前記架台及び前記ボルト押出支持部品が前記ボルトで最終締結された状態で、前記ボルト押出支持部品の前記誘導穴での押出し方向とは反対方向への移動を阻止する第2のボルト、或いは前記ボルトが前記誘導穴の端部に移動するまで前記ボルト押出支持部品を、ネジ溝を有する固定板を介して押し込むことで固定する第2のボルトを備えていることを特徴とする機械構造物の固定構造。
【請求項11】
請求項に記載の機械構造物の固定構造において、
前記機器本体の底面部と前記架台の上面部のいずれか一方の前記ボルトの初期位置で締結される部分の板厚を、前記ボルトの最終位置で最終締結される部分の板厚よりも薄くしていることを特徴とする機械構造物の固定構造。
【請求項12】
請求項乃至11のいずれか1項に記載の機械構造物の固定構造において、
前記機器本体は、無停電電源装置、電力変換供給装置、産業用ドライブの制御盤、計算機サーバーのいずれかであることを特徴とする機械構造物の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械構造物の固定方法及びその固定構造に係り、特に、機械構造物と別の機械構造物(例えば、UPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)やPCS(Power Conditioning System:電力変換供給装置)、産業ドライブ等の制御盤や計算機サーバー等の装置本体と、それを載せる架台)とを狭隘部分(手が入りづらく作業性が悪い箇所)でボルト締結するものに好適な機械構造物の固定方法及びその固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
機械構造物と別の機械構造物とを狭隘部分でボルト締結する装置の1つとして想定される電子装置用筐体(例えば、計算機サーバーの装置本体)には耐震性が求められており、IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)やJIS(Japanese Industrial Standards:日本工業規格)等で規定された耐震規格に準じた設計が行われている。
【0003】
通常、筐体設計においては、強度を制約条件として、重量を最小化する必要があるが、一般に、筐体強度を増すと重量も増加し、重量増によって、製造、輸送、据付コスト等が増加し製品価格が高くなるため、需要者の費用負担を低く抑えるには、重量を極力増やさずに筐体強度を担保することが重要である。
【0004】
電子装置等の機器を設置する場合、頑丈な床に架台を固定し、その上に機器本体(筐体)をボルト締結する方法が一般的である。ボルト締結位置は、作業性の観点で筐体側面から数十mm内側にあり、ボルト締結されていない筐体外端部は、地震時に浮き上がりが生じ(図9(c)参照)、水平変形量が増える要因となっている。
【0005】
このような地震時の筐体の浮き上がりを低減する技術が特許文献1に記載されている。この特許文献1には、架台に引っ掛け穴を設け、機器本体(筐体)の底面に設けたフランジ状の突起をその引っ掛け穴に通して、機器本体(筐体)と架台の端部を固定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−147523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1には、地震などによる機器本体(筐体)の浮き上がりを低減する技術が記載されているが、機器本体(筐体)の底面に設けたフランジ状の突起を、架台に設けた引っ掛け穴に通して引っ掛ける機構であるため、ボルト締結に比べると締結力が弱いという問題がある。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、機器構造物と架台を狭隘部分においてボルト締結するものであっても、地震などによる機器構造物の架台からの浮き上がりを抑制し、耐震性の高い締結構造が得られる機械構造物の固定方法及びその固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の機械構造物の固定方法は、上記目的を達成するために、機械構造物の機器本体と、該機器本体を支える架台とをボルトで締結して固定する機械構造物の固定方法であって、前記機器本体の底面部と前記架台の上面部は矩形状を成し、このそれぞれの矩形状の角部に内側から外側に向って又は矩形状の一側面と平行に内側から外側に向って狭隘部分に誘導する誘導穴が形成され、この誘導穴を介して前記機器本体と前記架台とを初期位置において前記ボルトで一時締結し、この状態からボルト押出支持部品により、前記ボルトを、前記誘導穴を介して内側から外側に押出すことで、前記初期位置から前記狭隘部分の最終位置に誘導されて前記機器本体と前記架台とが前記ボルトで最終締結されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の機械構造物の固定構造は、上記目的を達成するために、機械構造物の機器本体と、該機器本体を支える架台とをボルトで締結して固定する機械構造物の固定構造であって、前記機器本体と前記架台のそれぞれに、前記機器本体と前記架台との狭隘部分に誘導する前記ボルトがスライド可能な誘導穴を有すると共に、前記ボルトには、該ボルトを前記誘導穴をスライドさせて初期位置から前記狭隘部分に押出すボルト押出支持部品を備え、前記ボルト押出支持部品に力を加えることにより、前記ボルトを、前記誘導穴をスライドさせて前記初期位置から前記狭隘部分に押出すことで誘導して、前記狭隘部分の最終位置で前記機器本体と前記架台とが前記ボルトで最終締結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機器構造物と架台を狭隘部分においてボルト締結するものであっても、地震などによる機器構造物の架台からの浮き上がりを抑制し、耐震性の高い締結構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例1が適用される産業用ドライブの制御盤を示す斜視図である。
図2(a)】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例1におけるボルトを初期位置で一時締結した状態を示す側面図である。
図2(b)】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例1におけるボルトを初期位置で一時締結した状態を示す平面図である。
図3(a)】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例1におけるボルトを狭隘部分で最終締結した状態を示す側面図である。
図3(b)】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例1におけるボルトを狭隘部分で最終締結した状態を示す平面図である。
図4】従来手段により装置類である制御回路部と架台とを連結する一例を示す斜視図である。
図5】従来の架台の構造の一例を示す平面図である。
図6】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例1における装置類である制御回路部と架台とを連結する一例を示す斜視図である。
図7(a)】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例1における架台の構造の一例を示す平面図である。
図7(b)】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例1における架台の構造の他の例を示す平面図である。
図8(a)】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例1における制御回路部と架台とを最終締結した後の状態を示す斜視図である。
図8(b)】図8(a)のC部の拡大図である。
図9(a)】従来手段によるボルト締結状態を示す模式図である。
図9(b)】本発明の実施例1によるボルト締結状態を示す模式図である。
図9(c)】従来手段によるボルト締結状態における筐体の変形状態を示す模式図である。
図9(d)】本発明の実施例1によるボルト締結状態における筐体の変形状態を示す模式図である。
図10】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例2におけるボルトを狭隘部分で最終締結した状態を示す側面図である。
図11】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例3におけるボルトを狭隘部分で最終締結した状態を示す側面図である。
図12】本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造の実施例4におけるボルトを移動させる際に、より頑強に締結する手段の一例を示す図である。
図13(a)】架台からの機器本体の浮き上がりを抑制するための従来手段の一例を示す図である。
図13(b)】架台からの機器本体の浮き上がりを抑制するための従来手段の他の例を示す図である。
図13(c)】架台からの機器本体の浮き上がりを抑制するための従来手段の更に他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造を説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の機械構造物の固定方法及びその固定構造が適用される電子装置等の一例である機器本体として産業用ドライブの制御盤1と、それを支える架台2を示したものである。
【0015】
該図において、産業用ドライブの制御盤1は、筐体1A内に格納される装置類である電力変換器3と制御回路部4から成り、これが架台2により支えられている。なお、5は筐体1A内部にアクセスするための扉である。
【0016】
図2(a)及び図2(b)は、本実施例の概略構成を示すものであり、ボルトを初期位置で一次締結した状態である。
【0017】
該図において、6は産業用ドライブの制御盤1と架台2とを締結するためのボルト、7はボルト6とペアで使われるナット、8a、8bはボルト6とナット7に付随して、接触面の面圧を下げるためのワッシャー(座金)、9はボルト押出支持部品、10は架台2と産業用ドライブの制御盤1の双方に設けたボルト6を側面に誘導する長円形の誘導穴である。
【0018】
即ち、本実施例では、産業用ドライブの制御盤1と架台2のそれぞれに、産業用ドライブの制御盤1と架台2との狭隘部分に誘導するボルト6がスライド可能な長円形の誘導穴10を有すると共に、ボルト6には、このボルト6を誘導穴10をスライドさせて初期位置から狭隘部分に押出すボルト押出支持部品9を備えているものである。
【0019】
筐体1Aの強度を高め、地震時の変形を低減する観点からは、より側面近傍でボルト締結することが望ましいが、側面近傍でボルト締結することは作業性を悪化させる要因となるため、汎用架台等では側面からの距離が規定されている。図2(a)において、矢印で示した「D」と書いた距離がそれに相当する。
【0020】
本実施例においては、先ず、この規定された位置を初期位置として、架台2と産業用ドライブの制御盤1、それにボルト押出支持部品9を一緒にしてボルト6で一次締結を行う。但し、後に詳細は述べるが、本実施例は、一時締結した状態のボルト6を移動することを特徴としており、ボルト6の移動を可能にするため、初期位置でのボルト6の締め付け力は適切に管理される(初期位置でボルト6の移動が可能で、かつ、最終位置で必要な締結が維持できる締め付け力としている)ものとする。
【0021】
そして、ボルト押出支持部品9を、ボルト6を側面に誘導する誘導穴10に沿って押し出す(ボルト押出支持部品9に力を加える)。このボルト押出支持部品9の押し出しには、一般的な手動のハンマーを用いることも可能であるが、例えば、短い周期で衝撃加振力を断続的に与えることのできる自動ハンマーを用いるとより良い。
【0022】
図3(a)及び図3(b)は、本実施例の手段により、ボルト6を初期位置(一時締結位置)から誘導穴10に沿って移動して狭隘部分で最終締結した状態の一例である。
【0023】
該図に示すように、最終的に産業用ドライブの制御盤1にボルト押出支持部品9が突き当たるまでボルト6での締結部を先に述べた手段(ボルト押出支持部品9に力を加えることにより、ボルト6を、長円形の誘導穴10の内側端部から外側端部に向ってスライドさせて初期位置(一時締結位置)から狭隘部分に押出すことで誘導する)により移動させ、狭隘部分の最終位置で産業用ドライブの制御盤1と架台2とがボルト6で最終締結される。
【0024】
より具体的に説明すると、産業用ドライブの制御盤1の底面部と架台2の上面部は矩形状を成し、それぞれの矩形状の角部に内側から外側に向って長円形の誘導穴10が形成され、この長円形の誘導穴10をボルト6がボルト押出支持部品7により内側端部から外側端部に押し出すことで、初期位置(一時締結位置)から狭隘部分の最終位置に誘導されて産業用ドライブの制御盤1と架台2とがボルト6で最終締結されている。
【0025】
これにより、産業用ドライブの制御盤1と架台2の外端部とを、より強固に密着させることができ、架台2からの産業用ドライブの制御盤1の浮き上がりが低減される。従って、地震などによる産業用ドライブの制御盤1の架台2からの浮き上がりを抑制し、耐震性の高い締結構造を得ることができる。
【0026】
図4は、従来手段により装置類である制御回路部4と架台2とを連結する一例、図5は、従来の架台2の構造の一例を示すものである。
【0027】
該図において、4は制御回路部、2は架台、4aは制御回路部4の底面部の規定位置に設けられたボルト締結用のネジ穴、2aは同じく架台2の上面部に設けられたネジ穴、11は架台2の上面を示す。
【0028】
図4において、制御回路部4や架台2を、説明の便宜上、厚みの無い面で表現しているが、実際には図2(a)及び図2(b)や図3(a)及び図3(b)に示したように、板厚を持つものである。
【0029】
図4及び図5に示すように、従来は、制御回路部4の底面部の規定位置に設けられたボルト締結用のネジ穴4aと架台2の上面部に設けられたネジ穴2aは、架台2に制御回路部4を載せた時に、それぞれのネジ穴4aとネジ穴2aの中心位置が合致するように開けられており、制御回路部4の底面部と架台2の上面部に開けられた作業用の穴(図示せず)に手を入れてボルト締めを行っていた。
【0030】
これに対して、本実施例では、図6に示すように、制御回路部4の底面部と架台2の上面部は矩形状を成し、それぞれの矩形状の角部に内側から外側に向って長円形の誘導穴10a及び10bが形成され、この長円形の誘導穴10a及び10bをボルトがボルト押出支持部品により内側端部から外側端部に押し出すことで、初期位置(一時締結位置)から狭隘部分の最終位置に誘導されて制御回路部4と架台2とがボルトで最終締結されるものである。
【0031】
図7(a)及び図7(b)は、本実施例の架台2の構造の一例であり、11は架台2の上面を示したものである。
【0032】
図7(a)では、長円形の誘導穴10bが、矩形状の架台2の上面部の二側面が交わるコーナー方向に向かって(矩形状の角部に内側から外側に向かって)形成され、ボルトを二側面が交わるコーナー方向に向かって移動させる例を示しているが、筐体が揺れる方向等を考慮して、図7(b)に示すように、矩形状の架台2の上面部の一側面方向に向かって(矩形状の一側面と平行に内側から外側に向かって)移動させるように長円形の誘導穴10bを設けても良い。
【0033】
図8(a)及び図8(b)は、上述した本実施例の手段により制御回路部4と架台2とを最終締結した状態を示す図である。
【0034】
図8(a)は、上述したように、矩形状を成している制御回路部4の底面部と架台2の上面部の、矩形状の角部に内側から外側に向って形成されている長円形の誘導穴10をボルトがボルト押出支持部品により内側端部から外側端部に押し出すことでコーナー部に移動させて、狭隘部分の最終位置に誘導して制御回路部4と架台2とをボルトで最終締結した後の状態(符号12は、その状態)を示し、図8(b)は、その拡大図である。なお、ボルト押出支持部品やボルトの詳細形状は省略している。
【0035】
このように機器本体と架台とのボルト締結部を機器本体の側面近傍に寄せた方が良い理由を、図9(a)、図9(b)、図9(c)及び図9(d)を用いて説明する。
【0036】
図9(a)、図9(b)、図9(c)及び図9(d)は、本実施例と従来手段における機器本体の筐体変形度合を表した模式図である。図9(a)は従来手段によるボルト締結状態、図9(b)は本実施例によるボルト締結状態を示している。
【0037】
図9(a)において、15は従来手段のボルト締結を前提とした機器本体、16は機器内部に収納する装置類の質量を表したもの、17は従来手段によるボルト締結位置である。そして、これを水平方向に加振するものとし、18は加振により変形した筐体形状を表している。
【0038】
また、図9(b)において、19は本実施例によるボルト締結手段を前提とした機器本体、20は本実施例によるボルト締結位置、21は加振により変形した筐体形状を表している。
【0039】
図9(c)及び図9(d)は、機器本体の筐体の変形部位がわかり易いように、変形を強調して示したものである。
【0040】
図9(c)に示す従来手段によるボルト締結では、ボルト締結されていない筐体外端部が浮き上がることで、図9(c)の従来手段によるボルト締結位置17が変形するため、機器上面の最大変位(図9(c)のA)が大きくなる。
【0041】
これに対して、図9(d)に示す本実施例では、ボルト締結部を機器本体の側面近傍に寄せているため、筐体外端部が浮き上がることはなく、ボルト締結位置20が変形しないため、本実施例のボルト締結による機器上面の最大変位(図9(d)のB)が、図9(c)に示す従来手段よりも小さくなることが分かる。
【実施例2】
【0042】
ところで、地震動や機器自身が発生する振動によって、ボルト押出支持部品が緩みボルトが最終位置より初期位置方向に戻る可能性がある。
【0043】
図10は、本発明の実施例2として、ボルト押出支持部品9の緩みを防止しボルト6が最終位置より初期位置方向に戻らないようにする一例を示すものである。
【0044】
即ち、図10に示すように、本実施例では、狭隘部分の最終位置で産業用ドライブの制御盤1と架台2及びボルト押出支持部品9がボルト6で最終締結された状態で、ボルト押出支持部品9の誘導穴10での押出し方向とは反対方向への移動を阻止する第2のボルト22を備えている。
【0045】
このような本実施例の構成とすることにより、実施例1と同様な効果を得ることができることは勿論、第2のボルト22でボルト押出支持部品9の緩みを防止してボルト6が最終位置より初期位置方向に戻らないようにすることができる。
【実施例3】
【0046】
図11は、本発明の実施例3として、ボルト押出支持部品9の緩みを防止しボルト6が最終位置より初期位置方向に戻らないようにする他の例を示すものである。
【0047】
即ち、図11に示すように、本実施例では、狭隘部分の最終位置で産業用ドライブの制御盤1と架台2及びボルト押出支持部品9がボルト6で最終締結された状態で、ボルト6が誘導穴10の端部に移動するまでボルト押出支持部品9を、ネジ溝を有する固定板24を介して押し込むことで固定する第2のボルト23を備えている。
【0048】
このような本実施例の構成とすることにより、実施例1と同様な効果を得ることができることは勿論、第2のボルト23でボルト押出支持部品9の緩みを防止してボルト6が最終位置より初期位置方向に戻らないようにすることができる。なお、図11は、ボルト押出支持部品9を押し出す機構も兼ね備えている。
【実施例4】
【0049】
図12は、本発明の実施例4として、ボルト6を誘導穴10内を移動させる際に、より頑強に締結する手段の一例を示すものである。
【0050】
即ち、図12に示すように、本実施例では、架台2の上面部のボルト6の初期位置で産業用ドライブの制御盤1の底面部と締結される部分の板厚を、ボルト6の最終位置で最終締結される部分の板厚よりも薄くしている(産業用ドライブの制御盤1の底面部のボルト6の初期位置で架台2の上面部と締結される部分の板厚を、ボルト6の最終位置で最終締結される部分の板厚よりも薄くしても良い)。
【0051】
このような本実施例の構成とすることにより、実施例1と同様な効果を得ることができることは勿論、初期締結位置の板厚を最終締結位置よりも薄くすることで、楔と同様の効果が得られ、ボルト6の移動後の締結力を高めることができる。
【0052】
図13(a)、図13(b)及び図13(c)は、架台2からの産業用ドライブの制御盤1の浮き上がりを抑制するための従来手段を示すものである。
【0053】
図13(a)は、装置の外面に産業用ドライブの制御盤1と架台2との境界部を跨ぐ補助板25を設け、この補助板25を介してボルト6及びナット7で産業用ドライブの制御盤1と架台2とを接合するものである。
【0054】
図13(b)は、装置の外面にフランジ状の出っ張り部1a、2bを設け、このフランジ状の出っ張り部1a、2bをボルト6及びナット7で産業用ドライブの制御盤1と架台2とを接合するものである。
【0055】
図13(c)は、万力状の固定具26を使用して、産業用ドライブの制御盤1と架台2とを、より装置端部で接合するものである。
【0056】
上述した図13(a)、図13(b)及び図13(c)に示す従来手段は、いずれも産業用ドライブの制御盤1の浮き上がりを抑制する上で効果があると考えられるが、例えば、情報機器のサーバー装置を設置する場合、架台の上面がフリーアクセスフロアの床面よりも下にあることが多く、図13(a)や図13(b)で示した手段は、作業性の観点で適用が難しい。また、図13(c)は、装置の内側で作業できるので床面に干渉する問題は無いが、設置費用が増加する懸念がある。
【0057】
このような図13(a)、図13(b)及び図13(c)に示す従来手段に代えて、上述した本実施例の手段を用いれば、従来手段と比較した際の設置費用の増加を最小限に抑えつつ、揺れに強い筐体を実現できる。
【0058】
なお、本実施例では、産業用ドライブの制御盤1と架台2とのボルト締結について説明したが、産業用ドライブの制御盤1に代えて、無停電電源装置、電力変換供給装置、計算機サーバーのいずれかに適用できることは言うまでもない。また、電子装置用筐体の他、一般キャビネットへの応用も可能である。
【0059】
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…産業用ドライブの制御盤、1A…筐体、1a…フランジ状の出っ張り部、2…架台、2a…架台の上面部に設けられたネジ穴、2b…架台のフランジ状の出っ張り部、3…電力変換器、4…制御回路部、4a…制御回路部の底面部に設けられたネジ穴、5…扉、6…ボルト、7…ナット、8a、8b…ワッシャー、9…ボルト押出支持部品、10、10a、10b…誘導穴、11…架台の上面、12…制御回路部と架台とをボルトで最終締結した後の状態、15…従来手段のボルト締結を前提とした機器本体、16…機器内部に収納する装置類の質量、17…従来手段のボルト締結位置、18、21…加振により変形した筐体形状、19…本発明のボルト締結を前提とした機器本体、20…本発明のボルト締結位置、22、23…第2のボルト、24…固定板、25…補助板、26…万力状の固定具。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図9(d)】
図10
図11
図12
図13(a)】
図13(b)】
図13(c)】