(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る金額算出装置、金額算出方法および金額算出プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
[1.概要]
IT(Information Technology)業界、コンサルタント業界、サービス業界等の分野においては、得意先会社から依頼されたプロジェクトに取り組む際に、プロジェクト単位で、SES契約(システムエンジニアリングサービス契約)により外注社員に業務を委託することがよくある。
【0013】
このように、業務を外注する場合、社員ごとの契約情報および売上予定金額、前記依頼されたプロジェクトに要する予算、ならびに、外注先会社への外注社員の手配を管理する必要があるが、これらの情報の管理は、これまでは、異なるシステムを用いて別々に行っており、各情報の連携が出来ず、非常に効率が悪かった。
【0014】
そこで、本実施形態においては、プロジェクト単位で、社員ごと、月ごとの工数(作業時間)および残業時間を要員管理データとして登録することにより、社員ごとの契約情報および売上予定金額、プロジェクトに要する予算、ならびに、外注先会社への外注社員の手配を一元的に管理できる販売管理装置、販売管理方法および販売管理プログラムを提供している。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0015】
[2.構成]
本発明を包含する本実施形態に係る販売管理装置100の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、販売管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
販売管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、販売管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0017】
販売管理装置100は、
図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。販売管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0018】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、販売管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、販売管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバ200に格納されてもよい。
【0019】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0020】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0021】
記憶部106は、社員マスタ106aと、第一の単価マスタとしての社員原価単価マスタ106bと、第二の単価マスタとしての社員契約単価マスタ106cと、PJデータ106dと、社員管理データとしての要員管理データ106eと、を備えている。これらのうち、社員マスタ106aは、任意の構成要素であり、販売管理装置100に含まれていても含まれていなくてもよい。また、PJデータ106dおよび要員管理データ106eは、
図1に示すように、記憶部106に格納されていてもよいが、販売管理装置100の使用時にオペレータにより入力されることが好ましい。
【0022】
記憶部106に格納されている前述の3つのマスタおよび前述の2つのデータが含む各項目を、主に
図2および
図3を用いて詳細に説明する。
図2は、記憶部に格納されている情報およびそれに基づき作成されるデータの関連を示すテーブル図である。
図3は、記憶部に格納されている情報の一例を示す図である。
【0023】
なお、以下の説明において、各項目の後ろに示すかっこ内の表記は、各項目の具体例のことであり、図面においては、前記各項目の具体例を示している。例えば、社員識別情報(社員CD)と記載した場合には、社員識別情報の具体例として、社員CDがあげられることを意味する。また、以下の説明においては、得意先会社(○×株式会社)より依頼されたプロジェクトに、自社社員である山田太郎と外注社員である鈴木一郎が取り組む場面を想定している。
【0024】
社員マスタ106aは、自社社員および外注社員の各個人を識別するための情報を格納するマスタである。社員マスタ106aは、
図2および
図3に示すように、社員識別情報(社員CD)、社員名、外注先識別情報(外注先CD)、自社社員用識別情報(原価単価CD)、所属部署識別情報(所属部署CD)等の項目を含む。識別情報の表記としては、文字や数字やアルファベットの羅列のような識別CD(識別コード)であってもよいし、具体的な名称(例えば、具体的な社員名、外注先会社名、部署名等)であってもよく、これは以下においても同様である。
【0025】
社員マスタ106aが含む各項目のうち、社員識別情報は、自社社員と外注社員の両方に対して振られる識別情報であるが、自社社員と外注社員を区別しやすいように、例えば、識別コードの頭文字のアルファベットを異なるものにすることが好ましい。例えば、
図3に示すように、自社社員である山田太郎には、社員CDとして、Sの頭文字で始まるS001が振られ、外注社員である鈴木一郎には、社員CDとして、Pの頭文字で始まるP001が振られている。また、自社社員用識別情報は、自社社員に対してのみ振られる識別情報であり、
図3に示すように、自社社員である山田太郎には、自社社員用識別情報(原価単価CD)として、T10が振られている。
【0026】
社員原価単価マスタ106bは、自社社員の費用単価情報を格納するマスタである。社員原価単価マスタ106bは、
図2および
図3に示すように、自社社員用識別情報(原価単価CD)、適用日、単価名、費用の種類(原価要素)、費用単価(単価)等の項目を含む。
図3の社員原価単価マスタは、自社社員用識別情報=T10である山田太郎の費用単価情報を格納している。
【0027】
社員原価単価マスタ106bが含む各項目のうち、費用の種類は、自社社員に対してかかる費用であり、例えば、
図3の社員原価単価マスタに示すように、労務費、残業代、間接費、販管費等である。また、費用単価は、前記費用の種類ごとの、1時間あたりの金額である。費用単価は、前記自社社員用識別情報および前記費用の種類の組合せに基づき、1つの数値が決定される。これにより、自社社員一人一人に対して、異なる費用単価を設定することができる。例えば、
図3に示すように、自社社員用識別情報=T10である山田太郎の場合、残業代は2,500円/時であるが、自社社員用識別情報=T20である別の自社社員には、図示していないが、例えば、残業代3,000円/時を設定することが可能となる。適用日とは、前記費用単価が前記自社社員に対して適用される日付である。単価名は、各自社社員の役職名、ランク等の情報である。社員原価単価マスタの表示画面の一例を、
図7に示す。
【0028】
社員契約単価マスタ106cは、自社社員および外注社員の契約単価情報を格納するマスタである。社員契約単価マスタ106cは、
図2および
図3に示すように、自社社員に関して、社員識別情報(社員CD)、適用日、売上単価、得意先超過単価、得意先減額単価等の項目を含み、外注社員に関して、社員識別情報(社員CD)、適用日、売上単価、得意先超過単価、得意先減額単価、仕入単価、仕入先超過単価、仕入先減額単価等の項目を含む。
図3の社員契約単価マスタは、社員識別情報=S001である自社社員の山田太郎および社員識別情報=P001である外注社員の鈴木一郎の契約単価情報を格納している。
【0029】
社員契約単価マスタ106cが含む各項目のうち、売上単価は、前記自社社員および前記外注社員の1か月あたりの売上予定金額であり、社員により異なる金額が設定される。例えば、社員CD=S001の社員については、
図3の社員契約単価マスタに示すように、売上単価を1,000,000円/月と設定する一方で、社員CD=S002の別の社員については、図示していないが、例えば、売上単価を2,000,000円/月と設定することができる。仕入単価は、前記外注社員の1か月あたりの外注金額であり、前記売上単価と同様に、外注社員により異なる金額が設定される。得意先超過単価は、社員が基準時間を上回って労働した場合に、得意先に対して請求する時間あたりの金額である。例えば、基準時間が150〜180時間の契約であるS001の社員が、190時間労働した場合、基準時間より10時間分多く働いているため、得意先に対しては、1,000,000円(売上単価)+3,000円(得意先超過単価)×10時間=1,030,000円請求することとなる。得意先減額単価は、基準時間を下回って労働した場合に、得意先に対する請求から控除される時間あたりの金額である。例えば、前記S001の社員が140時間しか労働しなかった場合、基準時間より労働時間が10時間少ないため、得意先に対しては、1,000,000円(売上単価)−5,000円(得意先減額単価)×10時間=950,000請求することとなる。仕入先超過単価および仕入先減額単価は、請求先が仕入先となる以外は、得意先超過単価および得意先減額単価と同義である。
【0030】
PJデータ106dは、得意先会社から依頼されるプロジェクトに関するデータである。PJデータ106dは、
図2および
図3に示すように、案件識別情報(PJNO)、受注日、得意先識別情報(得意先)、作業期間(期間)、受注金額(金額)等の項目を含む。
【0031】
PJデータ106dが含む各項目のうち、PJNOは、プロジェクトナンバーであり、受注日は、プロジェクトを受注した日付であり、得意先は、前記プロジェクトを依頼した得意先の会社名であり、期間は、前記プロジェクトに対する作業期間であり、受注金額は、前記プロジェクトの受注金額である。
【0032】
要員管理データ106eは、プロジェクトに携わる要員(社員)の情報を管理するためのデータである。オペレータは、前記プロジェクトに関する売上予定金額、外注社員の仕入金額、前記プロジェクトに要する費用等を予め見積もるために、プロジェクト開始前に、要員管理データ106eの各項目を入力することが好ましい。要員管理データ106eは、
図2および
図3に示すように、案件識別情報(PJNO)、社員識別情報(社員CD)、年月情報(年月)、作業期間(期間)、作業時間(作業工数)、残業時間等の項目を含む。
【0033】
要員管理データ106eが含む各項目のうち、年月情報および作業期間は、それぞれ、社員が前記プロジェクトに取り組む年月および期間である。また、作業時間は、1月あたりの、残業代を含めない作業時間、いわゆる、標準作業時間であり、本例では、標準作業時間=150時間としている。作業工数とは、前記標準作業時間を作業工数=1と定義したものであり、本例では、150時間を作業工数=1と定義している。このため、例えば、ある社員が1か月あたりに170時間作業を行った場合は、作業工数=1、残業時間=20時間となる。要員管理データ106eの入力画面の一例を、
図5に示す。なお、以下において、単に「工数」と言う場合、作業工数のことを指す。
【0034】
制御部102は、販売管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、(1)外部からの入力に応じて、前記要員管理データを編集する編集手段としての編集部102aと、(2)前記第二の単価マスタに含まれる社員識別情報に対応する売上単価と、入力された社員管理データに含まれる社員識別情報および作業期間の組合せに対応する作業時間と、に基づき、自社社員と外注社員における売上金額を算出する売上金額算出手段としての売上金額算出部102bと、(3)前記第二の単価マスタに含まれる外注社員の社員識別情報に対応する仕入単価と、前記社員管理データに含まれる社員識別情報および作業期間の組合せに対応する作業時間と、に基づき、仕入金額を算出する仕入金額算出手段としての仕入金額算出部102cと、(4)前記第一の単価マスタに含まれる費用単価と、前記社員管理データに含まれる作業時間または残業時間と、に基づき、費用の種類ごとに、各費用を算出する各費用算出手段としての各費用算出部102dと、(5)当該編集された要員管理データを表示する表示手段としての表示部102eと、を備えている。これらのうち、売上金額算出部102b、仕入金額算出部102cおよび各費用算出部102dが実行する処理の詳細については、以下の[3.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0035】
編集部102aは、前述のとおり、外部からの入力に応じて、前記要員管理データを編集する。ここでいう編集とは、前記要員管理データが含む各項目の追加・削除・変更・修正等を含む広い概念を意味する。
【0036】
表示部102eは、前述のとおり、編集された要員管理データを表示する。なお、表示部102eは、少なくとも、編集された要員管理データを表示すればよいが、これに加えて、売上金額算出部102bが算出した売上算金額出結果、仕入金額算出部102cが算出した仕入金額算出結果および各費用算出部102dが算出した各費用算出結果を表示してもよい。
【0037】
このように、本実施形態に係る販売管理装置100によれば、例えば、前記要員管理データを外注先の会社のシステムと紐付けておくことにより、外注先会社への外注社員の手配を効率よく管理できる。また、本実施形態に係る販売管理装置100によれば、現場担当者等が、前記要員管理データにおける各社員の作業工数や残業時間の項目を参照することにより、各社員の忙しさを把握し、その結果、例えば、残業が多い社員の作業量を減らす等の調整を行うことにより、社員の負荷の調整を容易に行うことができる。さらに、本実施形態に係る販売管理装置100は、社員により日報等に入力される売上実績を含めば、社員の予定と、日報等に入力される売上実績等と、を同時に管理(いわゆる予実管理)できる。
【0038】
[3.処理の具体例]
本実施形態に係る処理の具体例について、
図4、
図6および
図8を参照して詳細に説明する。
図4は、作成されるデータの一例を示す図である。
図6は、作成されるPJ予算データの出力画面の一例を示す図である。
図8は、作成されるSES契約データおよびPJ予算データの出力画面の一例を示す図である。
【0039】
ここで、本実施形態における処理の概略を説明する。本実施形態に係る販売管理装置100は、以下のようにして、自社社員および外注社員における売上金額、外注社員に関する仕入金額およびプロジェクトの遂行に要する各費用を、同時に算出する。具体的には、売上金額算出部102bが、社員契約単価マスタ106cと、要員管理データ106eと、に基づき、売上金額算出処理を行い、自社社員および外注社員における売上金額を算出する。仕入金額算出部102cが、社員契約単価マスタ106cと、要員管理データ106eと、に基づき、仕入金額算出処理を行い、前記外注社員に関する仕入金額を算出する。各費用算出部102dが、社員原価単価マスタ106bと、要員管理データ106eと、に基づき、各費用算出処理を行い、プロジェクトの遂行に要する各費用を算出する。以下、この処理の順序で、詳細に説明をする。
【0040】
[売上金額算出処理]
売上金額算出部102bは、社員契約単価マスタに含まれる社員CDに対応する売上単価と、入力された要員管理データに含まれる社員CDおよび期間の組合せに対応する工数と、に基づき、自社社員および外注社員における売上金額を算出する。
【0041】
具体例として、
図4に示すSES契約データにおける、上から1つ目(社員CD=S001、期間=4/16〜4/30)の売上金額(売上単価)=500,000円を算出する場合について説明する。まず、社員契約単価マスタに含まれる社員CD(S001)に対応する売上単価は、1,000,000円/月である。一方で、入力された要員管理データに含まれる社員CD(S001)および期間(4/16〜4/30)の組合せに対応する工数は、0.5である。
【0042】
これらより、売上金額算出部102bは、前記対応する売上単価(1,000,000円/月)と、前記対応する工数(0.5)と、に基づき、社員CDがS001である自社社員の、4/16〜4/30の期間における売上金額を、1,000,000円/月×0.5=500,000円と算出する。なお、本例では、社員CDがS001である自社社員の売上金額の算出について説明したが、社員CDがP001である外注社員の売上金額も、同様の方法で算出できる。
【0043】
このように算出された売上金額は、
図4に示すように、SES契約データの表として示してもよい。前記SES契約データの表は、
図4に示すように、PJNO、社員CD、期間、算出した売上金額(売上単価)の項目を含むほか、社員契約単価マスタにおける得意先超過単価および得意先減額単価の数値をそのまま右2列に示してもよい。なお、
図8に、作成されるSES契約データの出力画面の一例を示す。
【0044】
このように、本実施形態に係る販売管理装置100によれば、作成された前記SES契約データの表を参照することにより、社員ごとの契約情報(社員CD、期間等)および売上予定金額を、効率よく管理することができる。
【0045】
[仕入金額算出処理]
仕入金額算出部102cは、社員契約単価マスタに含まれる外注社員の社員CDに対応する仕入単価と、入力された要員管理データに含まれる社員CDおよび期間の組合せに対応する工数と、に基づき、前記外注社員に関する仕入金額を算出する。
【0046】
具体例として、
図4に示すSES発注予定データにおける、上から1つ目(社員CD=P001、期間=4/16〜4/30)の仕入金額(仕入単価)=200,000円を算出する場合について説明する。まず、社員契約単価マスタに含まれる外注社員の社員CD(P001)に対応する仕入単価は、400,000円/月である。一方で、入力された要員管理データに含まれる社員CD(P001)および期間(4/16〜4/30)の組合せに対応する工数は、0.5である。
【0047】
これらより、仕入金額算出部102cは、前記対応する仕入単価(400,000円/月)と、前記対応する工数(0.5)と、に基づき、社員CDがP001である外注社員の、4/16〜4/30の期間における仕入金額を、400,000円/月×0.5=200,000円と算出する。
【0048】
このように算出された売上金額は、
図4に示すように、SES発注予定データの表として示してもよい。前記SES発注予定データの表は、
図4に示すように、PJNO、社員CD、外注先CD、期間、算出した仕入金額(仕入単価)の項目を含むほか、社員契約単価マスタにおける仕入先超過単価および仕入先減額単価の数値をそのまま右2列に示してもよい。
【0049】
このように、本実施形態に係る販売管理装置100によれば、作成された前記SES発注予定データの表を参照することにより、プロジェクトに要する予算の一種である仕入金額、すなわち、外注費を、効率よく管理することができる。
【0050】
[各費用算出処理]
各費用算出部102dは、社員原価単価マスタに含まれる単価と、入力された要員管理データに含まれる工数または残業時間と、に基づき、費用の種類ごとに、各費用を算出する。
【0051】
なお、ここでいう各費用とは、
図4に示すPJ予算データの各費用のうち、労務費、残業代、間接費および販管費のことを指す。これらの費用はすべて、自社社員に対してかかる費用である。一方、外注社員に対してかかる費用である外注費は、これらの費用の中には入っておらず、前述の仕入金額の算出方法により算出することができる。
【0052】
各費用の算出の具体例として、
図4に示すPJ予算データにおける、4月分における自社社員の労務費および残業代を算出する場合について説明する。
【0053】
最初に、労務費の算出について説明する。社員原価単価マスタに含まれる、労務費の単価は、2,000円/時である。一方、入力された要員管理データに含まれる、自社社員(S001)の4月分の工数は、工数=0.5である。
【0054】
これらより、各費用算出部102dは、前記労務費の単価(2,000円/時)と、前記自社社員の4月分の工数(0.5)と、に基づき、自社社員の4月分の労務費を算出する。ここで、前述の[2.構成]の要員管理データ106eの説明箇所で述べたとおり、本例においては、1月あたりの標準作業時間である150時間を、作業工数=1としている。このため、各費用算出部102dは、自社社員の4月分の労務費を、労務費の単価/時×1月あたりの標準作業時間数×4月分の工数=2000円/時×150時間×0.5=150,000円と算出する。間接費および販管費も、同様の方法で算出できる。
【0055】
つぎに、残業代の算出について説明する。社員原価単価マスタに含まれる、残業代の単価は、2,500円/時である。一方、入力された要員管理データに含まれる、自社社員(S001)の4月分の残業時間は、10時間である。
【0056】
これらより、各費用算出部102dは、前記残業代の単価(2,500円/時)と、前記自社社員の4月分の残業時間(10時間)と、に基づき、自社社員の4月分の残業代を、2,500円/時×10時間=25,000円と算出する。
【0057】
このように算出された各費用は、
図4に示すように、PJ予算データの表として示してもよい。前記PJ予算データの表には、
図4に示すように、月ごとに、労務費、残業代、間接費および販管費が記されている。また、前記PJ予算データの表において、外注社員に対してかかる費用である外注費の項目も、
図4に示すように追加してもよいが、外注費の値は、本項目の[各費用算出処理]の算出方法ではなく、[仕入金額算出処理]の算出方法により算出されるものである。なお、
図6に、間接費および販管費が記載されたPJ予算データの出力画面の一例を示し、
図8に、外注費、労務費(通常)および労務費(残業)が記載されたPJ予算データの出力画面の一例を示す。
【0058】
このように、本実施形態に係る販売管理装置100によれば、作成されたPJ予算データの表を参照することにより、プロジェクトに要する予算(労務費、残業代、外注費、間接費、販管費等)を、効率よく管理することができる。
【0059】
以上まとめると、本実施形態に係る販売管理装置100によれば、前記SES契約データを参照して、社員ごとの契約情報および売上予定金額を管理でき、前記SES発注予定データおよび前記PJ予算データを参照して、プロジェクトに要する予算を管理でき、前記要員管理データを参照して、外注先会社への外注社員の手配を管理できる。すなわち、本実施形態に係る販売管理装置100によれば、前記社員ごとの契約情報および売上予定金額、プロジェクトに要する予算、ならびに、外注先会社への外注社員の手配を一元的に管理できるため、非常に管理効率がよく、見易さの観点においても優れている。
【0060】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0061】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0062】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0063】
また、販売管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0064】
例えば、販売管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて販売管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0065】
また、このコンピュータプログラムは、販売管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0066】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム商品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。 したがって、本明細書で説明したような処理又は処理方法を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0067】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0068】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0069】
また、販売管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、販売管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0070】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。