(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る自動給液システムの第1実施形態を、
図1から
図8を参照しながら説明する。
図1から
図3に示すように、本実施形態の自動給液システム1は、本実施形態の液面センサ装置11と、液面センサ装置11の水位センサ(液面センサ)12に接続された自動給液装置46と、を備えている。なお、以下の全ての図面は模式的なものであり、自動給液システムの各構成の長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
液面センサ装置11は、目盛り13が設けられたセンサガイド(支持部)14と、用水(液体)の液面の位置を検出する前述の水位センサ12と、センサガイド14に水位センサ12を取付け可能なセンサマウント(センサ取付け部)15と、センサガイド14の少なくとも一部、水位センサ12、及びセンサマウント15を収容する収容空間16aが形成された収容パイプ(収容体)16と、を有している。
【0017】
水位センサ12としては、例えば公知のフロート式のセンサを用いることができる。水位センサ12は、図示はしないがシャフトに通されたフロートを有している。用水に浸されたときにフロートが浮かぶことで、シャフトの内部のスイッチ回路がOFF状態からON状態に切り替わる。この例では、液面の位置が水位センサ12の基準位置12aよりも下方から上方に移ったときに、スイッチ回路がOFF状態からON状態に切り替わるとする。一方で、液面の位置が水位センサ12の基準位置12aよりも上方から下方に移ったときに、スイッチ回路がON状態からOFF状態に切り替わるとする。
水位センサ12がOFF状態及びON状態に切り替わることで、水位センサ12の基準位置12aに用水の液面があることが分かる。
ただし、水位センサ12の基準位置12aはこの位置に限定されず、水位センサ12の仕様等に応じて適宜設定される。
【0018】
水位センサ12には、リード線19の第一端部が接続されている。リード線19の長さは、例えば30cmである。リード線19の第二端部には、コネクタ20が設けられている。このコネクタ20及び後述する自動給液装置46のコネクタ48は、防水性を有するコネクタであることが好ましい。
【0019】
センサガイド14は、
図1及び3に示すように、例えば棒状であって、長手方向に直交する断面がU字状に形成されている。すなわち、センサガイド14は、背板22と、背板22の各端部から背板22に直交する方向に延びる一対の側板23とを有する。一対の側板23は、対向するように配置されている。センサガイド14は、ステンレス鋼材を折り曲げること等で形成することができる。
【0020】
図4に示すように、背板22には前述の目盛り13が形成されている。目盛り13は、主目盛り13aと、補助目盛り13b、13cと、説明用の文字13dとを有している。主目盛り13aは、例えばセンサガイド14の幅方向に延びる比較的長い直線状の溝であり、センサガイド14の長手方向に例えば5cmおきに形成されている。補助目盛り13b、13cは、センサガイド14の幅方向に延びる比較的短い直線状の溝であり、センサガイド14の長手方向に例えば1cmおきに形成されている。
文字13dは、鉛直方向の原点である0cmを表す主目盛り13aの位置に「0」と記載されている。文字13dは、この0cmを表す主目盛り13aの上方に、例えば10cmおきに「10」、「20」、「30」と記載されている。一方で、文字13dは、この0cmを表す主目盛り13aの下方に、例えば10cm離間した位置に「−10」と記載されている。
目盛り13は、背板22にプレス加工等によりセンサガイド14の長手方向に沿って形成される。目盛り13は、水位センサ12が設置される高さを表す。
【0021】
センサガイド14の第一端部には、目盛り13から下方に向かって延びる埋め込み部14aが形成されている。埋め込み部14aは、地盤等に埋め込まれるための部分である。
図2及び
図4に示すように、センサガイド14の第一端部における埋め込み部14aよりも下方には、先細り部14bが形成されている。先細り部14bでは、一対の側板23の幅が下方に向かうにしたがって狭くなっている。先細り部14bの先端部のなす角度θは、鋭角である。
センサガイド14に先細り部14bが形成されていることで、後述するようにセンサガイド14の挿し込み作業が容易になる。
図1に示すように、センサガイド14は、センサガイド14の長手方向が収容パイプ16の軸線C方向に沿うように配置されている。
【0022】
図1及び
図3に示すように、センサマウント15は、角筒状に形成されたマウント本体26と、側面視でL字状に形成され、マウント本体26の外面に固定された係合部27と、マウント本体26に螺合する止めネジ28と、を有している。
マウント本体26は、角筒状の筒孔の内部にセンサガイド14が挿入可能である。
係合部27は、マウント本体26の外面から水平方向に延びるセンサ固定部を備えている。このセンサ固定部に対して水位センサ12が、ネジ等により着脱可能に固定されている。なお、係合部27に水位センサ12を固定する方法は、これに限定されない。
止めネジ28は、マウント本体26の図示しない雌ネジ部に螺合する。マウント本体26に対して止めネジ28を回転させることで、マウント本体26に対する止めネジ28の相対位置が変化する。これにより、マウント本体26の筒孔内に突出する止めネジ28の長さを調節することができる。
【0023】
センサガイド14の長手方向において、水位センサ12の基準位置12aとマウント本体26の下端とが一致していてもよい。このように構成することで、センサガイド14の目盛り13に水位センサ12の基準位置12aを合わせやすくなる。
また、マウント本体26には、センサガイド14の長手方向における水位センサ12の基準位置12aに対応する位置にスリットや孔等が形成されていてもよい。使用者がスリット等を通してセンサガイド14の目盛り13を視認することで、水位センサ12の基準位置12aを所望の高さに配置することができる。
【0024】
このように構成されたセンサマウント15において、使用者は、センサマウント15の係合部27に水位センサ12を取付ける。センサマウント15のマウント本体26の筒孔内に、センサガイド14を挿入する。センサガイド14の目盛り13に対する水位センサ12の位置を調節する。具体的には、センサガイド14の長手方向において、水位センサ12の基準位置12aを、目盛り13で表示された所望の高さに一致させる。
この状態で止めネジ28を回転させてセンサガイド14に止めネジ28を押し付け、センサガイド14にマウント本体26を固定する。
以上の工程を行うことで、センサガイド14の目盛り13の所望の位置に水位センサ12を固定することができる。
なお、目盛り13に対する水位センサ12の位置を調節するには、センサガイド14から止めネジ28が離間するように止めネジ28を回転させ、センサガイド14に対するマウント本体26の固定を解除する。その後、センサガイド14に対してマウント本体26をセンサガイド14の長手方向に沿って移動させる。再び止めネジ28を回転させて、センサガイド14に止めネジ28を押し付け、センサガイド14にマウント本体26を固定する。
【0025】
図1及び
図3に示すように、収容パイプ16は、塩化ビニル等の樹脂や金属により円筒状に形成されている。なお、収容パイプ16の軸線Cに直交する断面における縁部の形状は、円形に限られず、楕円形、多角形等でもよい。
収容パイプ16の筒孔が、前述の収容空間16aである。収容パイプ16の軸線C方向の第一端部である地盤差込み部(差込み部)16bには、開口31が形成されている。
収容パイプ16の軸線C方向の地盤差込み部16bには、収容パイプ16の側面16dから収容空間16aに達する第一切欠き(切欠き)32が形成されている。第一切欠き32は、収容パイプ16の軸線C方向の端面から軸線C方向に所定の長さ延びている。第一切欠き32は、収容パイプ16の周方向に半周以上にわたって形成されている。
第一切欠き32を形成することで収容パイプ16の地盤差込み部16bに形成される突部33は、収容パイプ16の周方向の一部に形成されている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、収容パイプ16の軸線C方向の第二端部16cには、開口35が形成されている。収容パイプ16の第二端部16cには、収容パイプ16の側面16dから収容空間16aに達する第二切欠き36が形成されている。第二切欠き36は、収容パイプ16の軸線C方向の端面から軸線C方向に所定の長さ延びている。第二切欠き36の幅は、自動給液装置46の後述するリード線47の外径程度である。
収容パイプ16の側面16dには、側面16dを貫通する複数の第一連通孔(連通孔)37が形成されている。各第一連通孔37は、収容パイプ16の外部と収容空間16a(内部)との間で用水を流通させる。複数の第一連通孔37は、収容パイプ16の軸線C周りに互いに間隔を空けて形成されている。複数の第一連通孔37は、収容パイプ16の軸線C方向に互いに間隔を空けて形成されている。
【0027】
本実施形態の液面センサ装置11は、第一蓋部40を備える。第一蓋部40は、収容パイプ16の第二端部16cに着脱可能に取付けられ、収容パイプ16の開口35を覆う。第一蓋部40は、円板状の蓋本体41と、蓋本体41の縁部から立設された外縁部42とを有している。外縁部42の内径は、収容パイプ16の外径よりも大きい。
図2に示すように、外縁部42の軸線C方向の長さL1は、第二切欠き36の軸線C方向の長さL2よりも短い。このため、第二切欠き36の一部は、収容パイプ16に第一蓋部40を取付けたときに第一蓋部40に覆われない。第一蓋部40から露出した第二切欠き36の一部により、通し部36aが形成される。
【0028】
自動給液装置46は公知の構成のものであり、図示しない給水ポンプや制御部等を備えている。制御部には、
図1に示すリード線47の第一端部が接続されている。リード線47は、収容パイプ16の通し部36aを通る。
リード線47の第二端部には、コネクタ48が設けられている。コネクタ48は、水位センサ12に接続されたコネクタ20に着脱可能である。
制御部は、水位センサ12がOFF状態であるときには、給水ポンプを駆動して用水を供給する。一方で、制御部は、水位センサ12がON状態であるときには、給水ポンプを停止させる。このように、制御部は、水位センサ12の検出結果に基づいて用水を水田等の被供給体に供給する。
【0029】
次に、以上のように構成された自動給液システム1を水田の平坦な地盤に設置する手順について説明する。
まず、
図5に示すように、使用者はセンサガイド14にセンサマウント15を取付け、センサマウント15の係合部27に水位センサ12を取付ける。
次に、水田Fの地盤(被設置体)F1にセンサガイド14の第一端部を挿し込む(挿入する)。センサガイド14は棒状に形成され、しかもセンサガイド14の第一端部には先細り部14bが形成されているため、地盤F1にセンサガイド14の第一端部を容易に挿し込むことができる。
なお、地盤F1にセンサガイド14を取付けてから、このセンサガイド14にセンサマウント15及び水位センサ12を取付けてもよい。
【0030】
地盤F1にセンサガイド14を挿し込むときに、センサガイド14の長手方向が鉛直方向に平行になるようにする。さらに、目盛り13の「0」の文字13dが示された主目盛り13aが、地盤F1の表面に一致するようにする。この場合、地盤F1の表面から用水の液面までの高さと、目盛り13による高さの表示とが一致する。
【0031】
次に、止めネジ28を回転させて、センサガイド14から止めネジ28を離間させる。センサガイド14に対してマウント本体26をセンサガイド14の長手方向に移動させ、センサガイド14の目盛り13に対する水位センサ12の位置を調節する。目盛り13は水位センサ12が設置される高さを表すため、使用者は地盤F1の表面から水位センサ12までの高さが容易にわかる。
例えば、センサガイド14の長手方向における水位センサ12の基準位置12aを18.5cmに対応する補助目盛り13cに合わせる(
図1参照)。
この状態で止めネジ28を回転させてセンサガイド14に止めネジ28を押し付け、センサガイド14にマウント本体26を固定する。
【0032】
なお、地盤F1の表面に一致させる目盛りは、「0」の文字13dが示された主目盛り13aに限定されず、他の主目盛り13aや補助目盛り13b、13c等でもよい。この場合には、使用者は、「0」の文字13dが示された主目盛り13aに対する地盤F1の表面に一致させた他の主目盛り13a等の位置を補正値として記憶する。この補正値を考慮して、センサガイド14の長手方向における水位センサ12の基準位置12aを、所望の目盛り13に合わせる。
例えば、10cmを表す主目盛り13aを地盤F1の表面に一致させたときに、地盤F1の表面から15cmの高さに水位センサ12の基準位置12aを配置する場合について説明する。この場合には補正値は10cmとなり、所望の水位センサ12の高さである15cmに補正値の10cmを加えた25cmに対応する主目盛り13aに水位センサ12の基準位置12aを合わせる。
【0033】
次に、
図6に示すように、センサガイド14の少なくとも一部、水位センサ12、及びセンサマウント15を囲うように収容パイプ16を配置する。地盤F1に収容パイプ16の突部33を挿し込む。このとき、センサガイド14の少なくとも一部、水位センサ12、及びセンサマウント15が、収容パイプ16の収容空間16a内に収容される。泥土等の付着物が、収容パイプ16の地盤差込み部16bの収容空間16a内に入る。地盤F1に収容パイプ16を挿し込んだときに、収容パイプ16の開口31の全体が地盤F1により塞がれる。
収容パイプ16が円柱状ではなく中空の円筒状に形成されているため、収容パイプ16を軸線C方向に沿って地盤F1に挿し込むことにより、地盤F1から受ける抵抗を抑えて挿し込みやすくなる。
【0034】
後述するように水位センサ12の高さを変更するときには、地盤F1から収容パイプ16を抜き取る。このため、地盤F1に収容パイプ16を挿し込む深さは、地盤F1にセンサガイド14を挿し込む深さに比べて例えば70mmほど短い。
使用者は、自動給液装置46のコネクタ48と水位センサ12のコネクタ20とを接続する。収容パイプ16の第二切欠き36に、自動給液装置46のリード線47を通す。
【0035】
次に、
図7に示すように、収容パイプ16の第二端部16cに第一蓋部40を取付ける。収容パイプ16に第一蓋部40を取付けることで、ゴミ等の異物が収容パイプ16内に入りにくくなる。
このとき、第二切欠き36には第一蓋部40から露出した通し部36aが形成されるため、第二切欠き36の通し部36aからリード線47が収容パイプ16の外部に引き出される。
以上の工程により、水田Fの平坦な地盤F1に自動給液システム1が設置される。
【0036】
次に、自動給液システム1を水田Fの凹んだ地盤F1に設置する手順について説明する。
まず、
図8に示すように、地盤F1に凹部F2を形成する。凹部F2の底面にセンサガイド14の第一端部を挿し込む。このとき、センサガイド14の長手方向が鉛直方向に平行になるようにする。目盛り13の「0」の文字13dが示された主目盛り13aが、地盤F1の凹部F2以外の表面に一致するようにする。センサガイド14の長手方向において、水位センサ12の基準位置12aを、例えば−6cmに対応する補助目盛り13bに合わせる。センサガイド14にセンサマウント15及び水位センサ12を固定する。
凹部F2の底面に収容パイプ16を挿し込み、収容パイプ16でセンサガイド14等を囲う。自動給液装置46のコネクタ48及びリード線47を前述のように処理し、収容パイプ16に第一蓋部40を取付ける。
以上の工程により、凹部F2の底面に自動給液システム1が設置される。
【0037】
このように自動給液システム1を設置すると、地盤F1の凹部F2以外の表面から6cm下方の位置に用水の液面の高さが保たれる。
【0038】
次に、水位センサ12の高さを変更する手順について説明する。
まず、使用者は、収容パイプ16から第一蓋部40を取外す。収容パイプ16の第二切欠き36から自動給液装置46のリード線47を外す。自動給液装置46のコネクタ48と水位センサ12のコネクタ20との接続を解除する。
地盤F1から収容パイプ16を抜き取る。収容パイプ16の地盤差込み部16bから収容空間16a内に入った泥土等の付着物は、地盤差込み部16bに第一切欠き32が形成されていることで、収容空間16a内に保持されにくくなる。したがって、地盤F1から収容パイプ16を抜き取るときに収容パイプ16の地盤差込み部16bに付着物が残ったまま収容パイプ16が持ち上げられるのが抑えられる。
【0039】
次に、センサガイド14から止めネジ28が離間するように止めネジ28を回転させ、センサガイド14に対してマウント本体26をセンサガイド14の長手方向に沿って移動させる。センサガイド14の長手方向における水位センサ12の基準位置12aを、新たな所望の目盛り13に合わせる。
再び止めネジ28を回転させて、センサガイド14に止めネジ28を押し付け、センサガイド14に水位センサ12を固定する。
地盤F1に収容パイプ16を挿し込み、収容パイプ16でセンサガイド14等を囲う。自動給液装置46のコネクタ48及びリード線47を前述のように処理し、収容パイプ16に第一蓋部40を取付ける。
以上の工程により、水位センサ12の高さが変更される。
【0040】
次に、自動給液システム1の動作について説明する。
例えば、
図1及び
図2に示すように、用水の液面の位置L6が水位センサ12の基準位置12aを合わせた18.5cmに対応する補助目盛り13cよりも下方である場合で説明する。
この場合、用水は、収容パイプ16の第一連通孔37を通って収容空間16a内に浸入する。用水の水面に枯れ草等の浮遊物F6が浮かんでいる場合がある。この場合でも、複数の第一連通孔37が軸線C周りに互いに間隔を空けて形成されていることで、複数の第一連通孔37の一部が浮遊物F6により詰まっても、残部の全てが詰まる可能性は小さい。したがって、複数の第一連通孔37が完全には詰まりにくくなる。
また、複数の第一連通孔37が軸線C方向に互いに間隔を空けて形成されていることで、液面の軸線C方向の位置によらず、第一連通孔37を通して収容空間16a内に用水が浸入しやすくなる。
収容パイプ16の収容空間16a内にセンサガイド14の少なくとも一部、水位センサ12、及びセンサマウント15が収容されているため、風雨等により水位センサ12が破損したり、センサガイド14に対して水位センサ12が位置ずれしたりしにくくなる。
【0041】
用水の液面の位置L6が水位センサ12よりも下方であるので、水位センサ12はOFF状態になる。制御部は、給水ポンプを駆動して用水を水田Fに供給する。用水が水田Fに供給されると、用水の液面の位置L6が上昇する。
図1に示すように、用水の液面の位置L7が18.5cmに対応する補助目盛り13cに達すると、水位センサ12はON状態になる。制御部は、給水ポンプを停止させる。
【0042】
給水ポンプが停止してから一定の時間が経過すると、用水が蒸発する等して用水の液面の位置L7が下降する。水位センサ12はOFF状態になり、制御部は給水ポンプを駆動して用水を水田Fに供給する。
このように、水位センサ12が用水の液面の位置を検出し、水位センサ12の検出結果に基づいて自動給液装置46が水田Fに用水を供給することで、地盤F1の表面から用水の液面までの高さが約18.5cm以上に保たれる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の液面センサ装置11によれば、使用者は、地盤F1にセンサガイド14を設置する。目盛り13に対する水位センサ12の位置を調節して、センサマウント15によりセンサガイド14に水位センサ12を取付ける。目盛り13は水位センサ12が設置される高さを表すため、使用者は地盤F1の表面から水位センサ12までの高さを容易に認識することができる。
液面センサ装置11が収容パイプ16を備えることで、風雨等により水位センサ12が破損したり、センサガイド14に対して水位センサ12が位置ずれしたりしにくくすることができる。ごみ等による水位センサ12の精度の低下を防ぐことができる。
【0044】
収容パイプ16は筒状に形成されている。そして、センサガイド14は棒状に形成され、センサガイド14は、センサガイド14の長手方向が収容パイプ16の軸線C方向に沿うように配置されている。収容パイプ16は筒状であってセンサガイド14は棒状であるため、地盤F1に収容パイプ16及びセンサガイド14を軸線C方向に挿し込みやすくすることができる。
収容パイプ16の地盤差込み部16bの収容空間16a内に入った泥土等の付着物は、地盤差込み部16bに第一切欠き32が形成されていることで、収容空間16a内に保持されにくくなる。したがって、地盤F1から収容パイプ16を抜き取るときに収容パイプ16の地盤差込み部16bに泥土等が残ったまま収容パイプ16が持ち上げられるのを抑えることができる。
【0045】
液面センサ装置11が第一蓋部40を備えることで、ゴミ等の異物を収容パイプ16内に入りにくくすることができる。
第一蓋部40から露出した通し部36aがある第二切欠き36が形成されていることで、通し部36aから自動給液装置46のリード線47を収容パイプ16の外部に引き出すことができる。
【0046】
複数の第一連通孔37が軸線C周りに互いに間隔を空けて形成されているため、用水の液面に浮かんだ浮遊物F6等により複数の第一連通孔37の一部が詰まっても、複数の第一連通孔37の残部の全てが詰まる可能性は小さい。したがって、複数の第一連通孔37の残部により用水を通すことができる。
また、本実施形態の自動給液システム1によれば、地盤F1の表面から水位センサ12までの高さを容易に認識することができる液面センサ装置11を用いて、自動給液装置46を安定的に制御することができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2施形態について
図9から16を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図9及び10に示すように、本実施形態の自動給液システム2は、第1実施形態の自動給液システム1の液面センサ装置11に代えて、本実施形態の液面センサ装置71を備えている。
液面センサ装置71は、液面センサ装置11のセンサマウント15、収容パイプ16、及び第一蓋部40に代えて、センサマウント73、収容パイプ74、第一蓋部75、及び第二蓋部76を備えている。
【0048】
図11及び12に示すように、センサマウント73は、センサマウント15の各構成に加えて、センサマウント15のセンサ固定部から下方に向かって延びる一対の狭持片78を有している。一対の狭持片78は、補助固定部79を構成する。一対の狭持片78は、マウント本体26からセンサ固定部が延びる方向に間隔を空けて配置されている。後述するように、補助固定部79は、センサマウント73に収容パイプ74を取付けるためのものである。
【0049】
図13に示すように、収容パイプ74は、塩化ビニル等の樹脂や金属により円筒状に形成されている。収容パイプ74の上端部となる軸線C2方向の第二端部には、収容パイプ74の側面から収容パイプ74の収容空間に達する案内切欠き82が形成されている。案内切欠き82は、収容パイプ74の第二端部の端面から軸線C2方向に所定の長さ延びている。案内切欠き82の幅は、センサマウント73の係合部27の幅よりも長い。
なお、例えば、本実施形態で用いられる水位センサ12に接続されるリード線19の長さは、350cmである。
収容パイプ74には、案内切欠き82の底面から収容パイプ74の周方向に延びる固定切欠き(固定部)83が形成されている。固定切欠き83は、収容パイプ74の側面から収容パイプ74の収容空間に達する。固定切欠き83は、案内切欠き82に連通する。
【0050】
収容パイプ74の第二端部には、前述の第二切欠き36と同様に第二切欠き84が形成されている。第二切欠き84は、案内切欠き82とは周方向に位置をずらしている。第二切欠き84は、収容パイプ74の第二端部の端面から軸線C2方向に所定の長さ延びている。第二切欠き84の幅は、コネクタ20に接続されたリード線19の外径程度である。
なお、収容パイプ74の第一端部に、第二切欠き84と同様の切欠きが形成されてもよい。
図11に示すように、収容パイプ74には、収容パイプ74の外部と内部とをつなぐ第一連通孔85が形成されている。この例では、第一連通孔85は、収容パイプ74の軸線C2周りに間隔を空けて複数形成されている。各第一連通孔85は、直径3mm〜7mmの丸穴形状に形成されている。各第一連通孔85を、スリット状に形成してもよい。
【0051】
ここで、このように構成された収容パイプ74にセンサマウント73を取付ける手順について説明する。センサマウント73には、予め水位センサ12が固定されているとする。
図14に示すように、収容パイプ74の収容空間に水位センサ12を配置するとともに、収容パイプ74の案内切欠き82内の位置P1にセンサマウント73の係合部27を配置する。収容パイプ74における案内切欠き82の縁部が、補助固定部79の一対の狭持片78により挟み込まれる。収容パイプ74に対してセンサマウント73を軸線C2周りの一方に回転させて、収容パイプ74の固定切欠き83内にセンサマウント73の係合部27を配置する。これにより、収容パイプ74にセンサマウント73が取付けられる。このように、固定切欠き83及び補助固定部79は、センサマウント73を収容パイプ74に固定する。
図9に示すように、センサガイド14にセンサマウント73を固定すると、収容パイプ74は、軸線C2がセンサガイド14の長手方向が沿うように配置される。
【0052】
センサマウント73を介して水位センサ12と一体になった収容パイプ74は、目盛り13が設けられたセンサガイド14に対してセンサマウント73によりセンサガイド14の長手方向の位置の調節が可能である。
収容パイプ74は、センサマウント73の一部及び水位センサ12を収容する。収容パイプ74は、センサマウント73を介してセンサガイド14に着脱可能である。
【0053】
一方で、収容パイプ74からセンサマウント73が取外すには、収容パイプ74に対してセンサマウント73を軸線C2周りの他方に回転させる。収容パイプ74の案内切欠き82内から、センサマウント73を取外す。
【0054】
図11に示すように、第一蓋部75は、前述の第一蓋部40とは大きさのみが異なる。第一蓋部75は、円板状の蓋本体88と、蓋本体88の縁部から立設された外縁部89とを有している。外縁部89の内径は、収容パイプ74の外径よりも大きい。第一蓋部75は、収容パイプ74の第二端部に着脱可能に取付けられる。第一蓋部75は、収容パイプ74の第二端部に形成された開口を覆う。
【0055】
図11及び15に示すように、第二蓋部76は、円板状の蓋本体92と、蓋本体92の縁部から立設された外縁部93とを有している。蓋本体92には、収容パイプ74の外部と内部とをつなぐ第二連通孔92aが形成されている。
外縁部93の内径は、収容パイプ74の外径よりも大きい。第二蓋部76は、収容パイプ74の第一端部に着脱可能に取付けられる。第二蓋部76は、収容パイプ74の第一端部に形成された開口を覆う。
【0056】
この例では、収容パイプ74の第二切欠き84に水位センサ12のリード線19が通されている。
図9に示すように、自動給液装置46、及び互いに接続されたコネクタ20、48は、ケーシング96に収容されている。
【0057】
次に、以上のように構成された自動給液システム2を地盤F1の凹部F2に設置する手順について説明する。
まず、使用者は、センサガイド14にセンサマウント73及び水位センサ12を取付ける。収容パイプ74で水位センサ12等を囲う。前述のように、センサマウント73に収容パイプ74を取付ける。収容パイプ74の第二切欠き84に、水位センサ12のリード線19を通す。収容パイプ74に、第一蓋部75及び第二蓋部76を取付ける。
図16に示すように、地盤F1に形成した凹部F2の底面にセンサガイド14の第一端部を挿し込む。
自動給液装置46のコネクタ48と水位センサ12のコネクタ20とを接続する。互いに接続したコネクタ20、48、及び自動給液装置46をケーシング96に収容する。
以上の工程により、凹部F2の底面に自動給液システム2が設置される。
用水は、第二蓋部76の第二連通孔92a及び収容パイプ74の第一連通孔85を通って、収容パイプ74の収容空間内に浸入したり、収容パイプ74から外部に流れ出たりする。
【0058】
なお、水位センサ12の位置を調節するときには、収容パイプ74内に水位センサ12を収容したまま、センサガイド14に対してセンサマウント73を鉛直方向に移動させてもよい。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の液面センサ装置71によれば、使用者が地盤F1の凹部F2の底面から水位センサ12までの高さを容易に認識することができる。
収容パイプ74と水位センサ12とが一体になって、目盛り13に対して位置の調節が可能である。これにより、目盛り13に対して収容パイプ74及び水位センサ12を一体にして、位置の調節をすることができる。
収容パイプ74に固定切欠き83が形成されていることで、収容パイプ74にセンサマウント73を固定することができる。
液面センサ装置71が収容パイプ74を備えることで、風雨等により水位センサ12が破損するのを防いだり、ごみ等による水位センサ12の精度の低下を防いだりすることができる。
【0060】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、収容パイプに形成される第一連通孔の数は、複数でなく1つでもよい。
【0061】
収容パイプ16の第二切欠き36の通し部36aが第一蓋部40から露出するとしたが、第二切欠き36に重なるように第一蓋部40の外縁部42に切欠きが形成されること等により、第二切欠き36の全体が第一蓋部40から露出するように構成してもよい。第2実施形態についても、同様である。
液面センサ装置を設置する場所の周囲にゴミ等が少ない場合等には、液面センサ装置は蓋部を備えなくてもよい。
収容パイプ16の地盤差込み部16bに泥土等が付着しても問題がない場合には、収容パイプ16に第一切欠き32が形成されなくてもよい。
収容体は筒状に形成されているとしたが、収容体は球殻状や箱状等に形成されていてもよい。
【0062】
液面センサ装置に作用する風雨等の影響が充分小さいことが分かっている場合等には、液面センサ装置は収容パイプを備えなくてもよい。
液体は用水に限られず、水、純水、水溶液やブライン等でもよい。
自動給液装置46による給液方法は給水ポンプの駆動に限らず、給水バルブの開閉等であってもよい。