(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絶縁部材のうち前記対向しない部位に設けられた前記脆弱部は、一端側から他端側に向かう方向の厚さが、前記対向する部位よりも薄いことを特徴とする請求項1記載の圧力検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[圧力検出装置の構成]
図1は、本実施の形態が適用される圧力検出装置20の全体構成を示す斜視図である。また、
図2は、
図1のII−II断面図である。さらに、
図3(a)は圧力検出装置20の先端側の部分断面図であり、
図3(b)は
図3(a)のIIIB−IIIB断面図である。
この圧力検出装置20は、例えば、図示しないガスタービンエンジンの燃焼器の近傍に取り付けられ、燃焼器で発生した燃焼圧の検出(測定)を行う。
【0010】
この圧力検出装置20は、燃焼器等の検出対象から受けた圧力を検出する検出部30と、検出部30の要部を内部に収容する筐体部40とを有している。また、圧力検出装置20は、筐体部40の一端側に取り付けられ、検出対象からの圧力を受けるとともに受けた圧力を検出部30に伝達する伝達部50と、筐体部40の他端側に取り付けられ、検出部30の検出信号を外部に設けられた機器(制御装置や解析装置:図示せず)に出力する出力部60とを有している。この圧力検出装置20では、伝達部50側がガスタービンエンジンの内部に露出して燃焼器と対峙し、且つ、出力部60側がガスタービンエンジンの外部に露出するように、ガスタービンエンジンのエンジン筐体を貫いて取り付けられ且つ固定される。そこで、以下の説明においては、圧力検出装置20における伝達部50側(一端側)を「先端側」と呼び、出力部60側(他端側)を「後端側」と呼ぶことにする。また、以下の説明においては、
図1に一点鎖線で示す圧力検出装置20の中心線方向を、単に「中心線方向」と称する。
【0011】
では、圧力検出装置20を構成する各部について説明を行う。
[検出部の構成]
検出部30は、最も後端側に位置する台座部材31と、台座部材31の先端側に配置される後端側絶縁プレート32と、後端側絶縁プレート32の先端側に配置される後端側電極プレート33とを備えている。また、検出部30は、後端側電極プレート33の先端側に配置される3つの圧電素子(第1圧電素子341、第2圧電素子342および第3圧電素子343:複数の圧電素子の一例)を含む圧電素子群34を備えている。さらに、検出部30は、圧電素子群34の先端側に配置される先端側電極プレート35と、先端側電極プレート35の先端側に配置される先端側絶縁プレート36と、先端側絶縁プレート36の先端側に配置されるとともに台座部材31にレーザ溶接により接合されることで台座部材31と一体化する圧力付与部材37とを備えている。さらにまた、検出部30は、先端側が後端側電極プレート33と接続されるとともに後端側が台座部材31よりも後端側に突出する後端側電極ピン38と、先端側が先端側電極プレート35と接続されるとともに後端側が台座部材31よりも後端側に突出する先端側電極ピン39とを備えている。
【0012】
続いて、検出部30を構成する各部材について説明を行う。
(台座部材)
図4は、台座部材31の構成を説明するための図である。ここで、
図4(a)は台座部材31を先端側からみた斜視図を、
図4(b)は台座部材31を先端側からみた上面図を、
図4(c)は台座部材31を後端側からみた背面図を、それぞれ示している。
【0013】
台座部材31は、T字状の縦断面を有し且つ全体として独楽状を呈する部材であり、後端側の径が相対的に太く、先端側の径が相対的に細くなっている。この台座部材31は、析出硬化型のNi−Cr合金の一種であり、耐熱性および耐酸化性に優れたナイモニック80Aで構成されている。したがって、台座部材31は、導電性を有していることになる。
【0014】
この台座部材31は、基部314と、基部314の先端側中央部から先端側に突出して形成され、基部314よりも径が細い突出部315とを備えている。ここで、基部314には、それぞれが先端側から後端側に貫通する第1貫通孔311および第2貫通孔312が設けられる。また、台座部材31には、基部314および突出部315を、先端側から後端側に貫通する第3貫通孔313が設けられる。このように、突出部315は、内部に第3貫通孔313が設けられることにより、円筒状を呈するようになっている。ここで、第3貫通孔313を中心としたとき、第1貫通孔311および第2貫通孔312は、120°の間隔で配置されている。
【0015】
第1対向部あるいは挟み込み部材の一例としての基部314は、先端側の面および後端側の面のそれぞれに段差部が形成された、円板状のブロックで構成されている。そして、基部314の側面の一部は、
図1および
図2に示したように、圧力検出装置20を構成した場合に、筐体部40に覆われることなく、外部に露出するようになっている。
【0016】
接続部の一例としての突出部315は、基部314の先端側に設けられる薄肉部315aと、薄肉部315aの先端側に設けられ、その厚さが薄肉部315aよりも厚い厚肉部315bとを有している。ここで、薄肉部315aの厚さは0.1mmであり、厚肉部315bの厚さは0.3mmである。このように、突出部315(特に薄肉部315a)の厚さを薄くすることで、突出部315は弾性を有するバネ部材として機能する。突出部315の薄肉部315aの厚さを調整することで、突出部315のバネ定数を所望の値とすることができる。突出部315の弾性率(バネ定数)は、圧電素子群34に加える予荷重に応じて決定され、予荷重は圧電素子群34に予荷重を加えた際に圧電素子群34が破損しないよう設定される。なお、
図2および
図3から明らかなように、基部314に設けられた第3貫通孔313の内径は一定であることから、突出部315では、先端側に位置する厚肉部315bの外径が、後端側に位置する薄肉部315aの外径よりも大きくなっている。
【0017】
ここで、台座部材31に設けられる第3貫通孔313の内径は、第1貫通孔311および第2貫通孔312の各内径よりも大きい。これに対し、第1貫通孔311および第2貫通孔312の内径は等しい。
【0018】
また、第1貫通孔311の内径は、後端側電極ピン38の外径よりも大きい。さらに、第2貫通孔312の内径は、先端側電極ピン39の外径よりも大きい。
【0019】
(後端側絶縁プレート)
図5(a)は、後端側絶縁プレート32を先端側からみた斜視図を示している。
他の絶縁部材の一例としての後端側絶縁プレート32は、全体として環状を呈する部材である。この後端側絶縁プレート32は、絶縁性および耐熱性を有するセラミックス材料(ここではアルミナセラミックス)で構成されている。
【0020】
この後端側絶縁プレート32の先端側の面には、120°間隔で、放射状に3つの溝部(第1溝部324、第2溝部325、第3溝部326:他の脆弱部の一例)が形成されている。また、後端側絶縁プレート32のうち、第1溝部324と重なる部位には、後端側絶縁プレート32を先端側から後端側に貫通する第1貫通孔321が設けられている。さらに、後端側絶縁プレート32のうち、第2溝部325と重なる部位には、後端側絶縁プレート32を先端側から後端側に貫通する第2貫通孔322が設けられている。さらに、後端側絶縁プレート32の中央部には、後端側絶縁プレート32を先端側から後端側に貫通する第3貫通孔323が設けられている。ここで、第3貫通孔323を中心としたとき、第1貫通孔321および第2貫通孔322は、120°の間隔で配置されていることになる。なお、この例において、後端側絶縁プレート32の後端側の面には、第1貫通孔321〜第3貫通孔323が設けられているだけであり、上述したような溝部は設けられていない。
【0021】
ここで、後端側絶縁プレート32に設けられる第3貫通孔323の内径は、第1貫通孔321および第2貫通孔322の各内径よりも大きい。そして、第1貫通孔321および第2貫通孔322の内径は等しい。
【0022】
また、第1貫通孔321の内径は、後端側電極ピン38の外径よりも大きい。さらに、第2貫通孔322の内径は、先端側電極ピン39の外径よりも大きい。さらにまた、第3貫通孔323の内径は、台座部材31に設けられる突出部315(厚肉部315b)の外径よりも大きい。そして、後端側絶縁プレート32の外径は、先端側筐体41の内径よりも小さい。
【0023】
後端側絶縁プレート32は、第1溝部324等が設けられている面を先端側に向けた状態で、自身に設けられた第3貫通孔323が台座部材31の突出部315に挿入されることによって、台座部材31に保持されている。そして、自身に設けられた第1貫通孔321が、台座部材31の基部314に設けられた第1貫通孔311と重なり、且つ、自身に設けられた第2貫通孔322が、台座部材31の基部314に設けられた第2貫通孔312と重なるように、後端側絶縁プレート32が位置決めされている。ここで、第1貫通孔321には後端側電極ピン38が、第2貫通孔322には先端側電極ピン39が、それぞれ挿入される。
【0024】
このとき、後端側絶縁プレート32の後端側の面は、台座部材31における基部314の先端側の面と接触している。また、後端側絶縁プレート32の外周面は、筐体部40の先端側筐体41の内周面と、空隙を隔てて対峙している。さらに、第1貫通孔321の内周面は、後端側電極ピン38の外周面と対峙している。さらにまた、第2貫通孔322の内周面は、先端側電極ピン39の外周面と対峙している。そして、第3貫通孔323の内周面は、台座部材31における突出部315(薄肉部315a)の外周面と、空隙を隔てて対峙している。
【0025】
(後端側電極プレート)
図6(a)は、後端側電極プレート33を先端側からみた斜視図を示している。
他の電極部材の一例としての後端側電極プレート33は、全体として環状を呈する部材である。後端側電極プレート33は、固溶体化処理されたNi―Mo合金の一種であり、耐熱性および溶接部の耐食性に優れたハステロイB2で構成されている。したがって、後端側電極プレート33は、導電性を有していることになる。
【0026】
この後端側電極プレート33には、それぞれが後端側電極プレート33を先端側から後端側に貫通する第1貫通孔331および第2貫通孔332が設けられている。また、後端側電極プレート33の中央部には、後端側電極プレート33を先端側から後端側に貫通する第3貫通孔333が設けられている。ここで、第3貫通孔333を中心としたとき、第1貫通孔331および第2貫通孔332は、120°の間隔で配置されていることになる。
【0027】
ここで、後端側電極プレート33に設けられる第3貫通孔333の内径は、第1貫通孔331および第2貫通孔332の各内径よりも大きい。そして、第2貫通孔332の内径は、第1貫通孔331の内径よりも大きい。
【0028】
また、第1貫通孔331の内径は、後端側電極ピン38の外径とほぼ等しい。さらに、第2貫通孔332の内径は、先端側電極ピン39の外径よりも大きい。さらにまた、第3貫通孔333の内径は、台座部材31に設けられる突出部315(厚肉部315b)の外径よりも大きい。そして、後端側電極プレート33の外径は、先端側筐体41の内径よりも小さい。
【0029】
後端側電極プレート33は、
図6(a)に示す面を先端側に向けた状態で、自身に設けられた第3貫通孔333が台座部材31の突出部315に挿入されることによって、台座部材31に保持されている。そして、自身に設けられた第1貫通孔331が、後端側絶縁プレート32に設けられた第1貫通孔321と重なり、且つ、自身に設けられた第2貫通孔332が、後端側絶縁プレート32に設けられた第2貫通孔322と重なるように、後端側電極プレート33が位置決めされている。ここで、第1貫通孔331には後端側電極ピン38が、第2貫通孔332には先端側電極ピン39が、それぞれ挿入される。
【0030】
このとき、後端側電極プレート33の後端側の面は、後端側絶縁プレート32の先端側の面と接触している。また、後端側電極プレート33の外周面は、筐体部40の先端側筐体41の内周面と、空隙を隔てて対峙している。さらに、第1貫通孔331の内周面は、後端側電極ピン38の外周面と対峙している。さらにまた、第2貫通孔332の内周面は、先端側電極ピン39の外周面と、空隙を隔てて対峙している。そして、第3貫通孔333の内周面は、台座部材31における突出部315(薄肉部315a)の外周面と、空隙を隔てて対峙している。
【0031】
(圧電素子群)
次に、圧電素子群34について説明を行う。なお、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343は、共通の構成を有していることから、ここでは、第1圧電素子341を例として説明を行う。
【0032】
図7は、第1圧電素子341の構成を説明するための図である。ここで、
図7(a)は第1圧電素子341の斜視図であり、
図7(b)は
図7(a)のVIIB−VIIB断面図である。
【0033】
第1圧電素子341は、全体として直方体状且つ板状を呈する部材である。この第1圧電素子341は、表面および裏面となる第1受圧面341aおよび第2受圧面341bと、互いに対向する側面となる正電荷出力面341cおよび負電荷出力面341dとを有している。なお、本実施の形態では、圧力検出装置20(検出部30)を構成した場合に、正電荷出力面341cが後端側に、負電荷出力面341dが先端側に、それぞれ位置することになる。
【0034】
また、第1圧電素子341は、圧電体で構成された素子本体3411と、素子本体3411に対し、第1受圧面341aと正電荷出力面341cとに跨って形成された正電極膜3412と、第2受圧面341bと負電荷出力面341dとに跨って形成された負電極膜3413とを備えている。
【0035】
素子本体3411は、圧電横効果の圧電作用を示す圧電体(本実施の形態では圧電単結晶)を備えている。ここで、圧電横効果とは、圧電体の電荷発生軸に対して直交する位置にある応力印加軸に外力を作用させると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生する作用をいう。圧電単結晶としては、圧電横効果を有するランガサイト系結晶(ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、ガリウムの一部をアルミニウムで置換したランガテイト(LTGA))や水晶、ガリウムリン酸塩などを例示することができる。なお、本実施の形態では、圧電体としてランガテイト単結晶を用いている。
【0036】
また、正電極膜3142および負電極膜3413としては、それぞれ、めっきした金(Au)を用いた。
【0037】
そして、第1圧電素子341〜第3圧電素子343は、それぞれの正電荷出力面341cを後端側に、それぞれの負電荷出力面341dを先端側に、それぞれ位置させた状態で、後端側電極プレート33と先端側電極プレート35とによって挟み込まれることによって保持されている。より具体的に説明すると、本実施の形態では、圧電素子群34を除く検出部30の各構成要素を用いて、圧電素子群34に中心線方向に沿う予荷重を付与することで、第1圧電素子341〜第3圧電素子343を位置決め(固定)している。すなわち、これら第1圧電素子341〜第3圧電素子343については、接着等による固定を行っていない。
【0038】
また、これら第1圧電素子341〜第3圧電素子343は、後端側電極プレート33および先端側電極プレート35の周方向に沿って並べて配置されている。
【0039】
このとき、第1圧電素子341〜第3圧電素子343のそれぞれの後端側の面すなわち正電荷出力面341cに設けられた正電極膜3412は、後端側電極プレート33の先端側の面と接触している。また、第1圧電素子341〜第3圧電素子343のそれぞれの第1受圧面341aは、筐体部40の先端側筐体41の内周面と、空隙を隔てて対峙している。さらに、第1圧電素子341〜第3圧電素子343のそれぞれの第2受圧面341bは、台座部材31における突出部315(薄肉部315a)の外周面と、空隙を隔てて対峙している。さらにまた、第1圧電素子341〜第3圧電素子343は、互いに、空隙を隔てて対峙している。
【0040】
(先端側電極プレート)
図6(b)は、先端側電極プレート35を後端側からみた斜視図を示している。
電極部材の一例としての先端側電極プレート35の構成は、上述した後端側電極プレート33と同じである。このため、先端側電極プレート35には、第1貫通孔351と、第2貫通孔352と、第3貫通孔353とが設けられており、第3貫通孔353を中心としたとき、第1貫通孔351および第2貫通孔352は120°の間隔で配置されている。
【0041】
ここで、先端側電極プレート35に設けられる第3貫通孔353の内径は、第1貫通孔351および第2貫通孔352の各内径よりも大きい。そして、第2貫通孔352の内径は、第1貫通孔351の内径よりも大きい。
【0042】
また、第1貫通孔351の内径は、先端側電極ピン39の外径とほぼ等しい。さらに、第2貫通孔352の内径は、後端側電極ピン38の外径よりも大きい。さらにまた、第3貫通孔353の内径は、台座部材31に設けられる突出部315(厚肉部315b)の外径よりも大きい。そして、先端側電極プレート35の外径は、先端側筐体41の内径よりも小さい。
【0043】
先端側電極プレート35は、
図6(b)に示す面を後端側に向けた状態(後端側電極プレート33とは表裏が入れ替わった状態)で、自身に設けられた第3貫通孔353が台座部材31の突出部315に挿入されることによって、台座部材31に保持されている。そして、自身に設けられた第1貫通孔351が、後端側電極プレート33に設けられた第2貫通孔332と重なり、且つ、自身に設けられた第2貫通孔352が、後端側電極プレート33に設けられた第1貫通孔331と重なるように、先端側電極プレート35が位置決めされている。ここで、第1貫通孔351には先端側電極ピン39が挿入される。これに対し、第2貫通孔352には後端側電極ピン38が挿入されない。
【0044】
このとき、先端側電極プレート35の後端側の面は、第1圧電素子341〜第3圧電素子343のそれぞれの先端側の面すなわち負電荷出力面341dに設けられた負電極膜3413と接触している。また、先端側電極プレート35の外周面は、筐体部40の先端側筐体41の内周面と、空隙を隔てて対峙している。さらに、第1貫通孔351の内周面は、先端側電極ピン39の外周面と対峙している。そして、第3貫通孔353の内周面は、台座部材31における突出部315(薄肉部315a)の外周面と、空隙を隔てて対峙している。
【0045】
(先端側絶縁プレート)
図5(b)は、先端側絶縁プレート36を後端側からみた斜視図を示している。
絶縁部材の一例としての先端側絶縁プレート36の構成は、上述した後端側絶縁プレート32と同じである。このため、先端側絶縁プレート36には、第1貫通孔361〜第3貫通孔363と、第1溝部364〜第3溝部366(脆弱部の一例)とが設けられており、第3貫通孔363を中心としたとき、第1溝部364〜第3溝部366は120°の間隔で、第1貫通孔361および第2貫通孔362も120°の間隔で、それぞれ配置されている。また、第1貫通孔361は第1溝部364と重なる位置に、第2貫通孔362は第2溝部365と重なる位置に、それぞれ形成されている。
【0046】
ここで、先端側絶縁プレート36に設けられる第3貫通孔363の内径は、第1貫通孔361および第2貫通孔362の各内径よりも大きい。そして、第1貫通孔361および第2貫通孔362の内径は等しい。
【0047】
また、第1貫通孔361の内径は、先端側電極ピン39の外径よりも大きい。さらに、第2貫通孔362の内径は、後端側電極ピン38の外径よりも大きい。さらにまた、第3貫通孔363の内径は、台座部材31に設けられる突出部315(厚肉部315b)の外径よりも大きい。そして、先端側絶縁プレート36の外径は、先端側筐体41の内径よりも小さい。
【0048】
先端側絶縁プレート36は、
図5(b)に示す面を後端側に向けた状態(後端側絶縁プレート32とは表裏が入れ替わった状態)で、自身に設けられた第3貫通孔363が台座部材31の突出部315に挿入されることによって、台座部材31に保持されている。そして、自身に設けられた第1貫通孔361が、先端側電極プレート35に設けられた第1貫通孔351と重なり、且つ、自身に設けられた第2貫通孔362が、先端側電極プレート35に設けられた第2貫通孔352と重なるように、先端側絶縁プレート36が位置決めされている。ここで、第1貫通孔361には先端側電極ピン39が挿入される。これに対し、第2貫通孔362には後端側電極ピン38が挿入されない。
【0049】
(圧力付与部材)
図8は、圧力付与部材37を先端側からみた斜視図を示している。
第2対向部あるいは支持部材の一例としての圧力付与部材37は、全体として円筒状を呈する部材である。この圧力付与部材37は、台座部材31と同じナイモニック80Aで構成されている。したがって、圧力付与部材37は、導電性を有していることになる。
【0050】
この圧力付与部材37は、先端側の周縁に設けられる縁端部371と、縁端部371の内側に縁端部371よりも後端側(奥側)に凹む凹部372とを備えている。そして、圧力付与部材37には、圧力付与部材37の凹部372を先端側から後端側に貫通する貫通孔373が設けられている。
【0051】
ここで、圧力付与部材37に設けられる貫通孔373の内径は、台座部材31に設けられる突出部315(厚肉部315b)の外径よりもわずかに大きい。そして、圧力付与部材37の外径は、先端側筐体41の内径よりも小さい。
【0052】
圧力付与部材37は、縁端部371等が設けられている面を先端側に向けた状態で、自身に設けられた貫通孔373が台座部材31の突出部315に挿入されることによって、台座部材31に保持されている。そして、圧力付与部材37の貫通孔373の内周面と、台座部材31の突出部315における厚肉部315bの外周面とを対峙させた状態で、圧力付与部材37と台座部材31(突出部315)とを溶接することで、台座部材31に対して圧力付与部材37を位置決めし且つ固定している。また、台座部材31の基部314と圧力付与部材37との間に、後端側絶縁プレート32、後端側電極プレート33、圧電素子群34、先端側電極プレート35および先端側絶縁プレート36を挟み込むことで、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343のそれぞれに対し、予荷重を付与している。
【0053】
このとき、圧力付与部材37の後端側の面は、先端側絶縁プレート36の先端側の面と接触している。また、圧力付与部材37の外周面は、筐体部40の先端側筐体41の内周面と、空隙を隔てて対峙している。さらに、貫通孔373の内周面は、台座部材31における突出部315(厚肉部315b)の外周面と対峙している。
【0054】
(後端側電極ピン)
後端側電極ピン38は、全体として円柱状且つ棒状を呈する部材である。この後端側電極ピン38は、ユーディメットアロイ188で構成されている。
【0055】
後端側電極ピン38は、台座部材31の基部314に設けられた第1貫通孔311、後端側絶縁プレート32に設けられた第1貫通孔321、および、後端側電極プレート33に設けられた第1貫通孔331を貫いて配置される。後端側電極ピン38は、台座部材31の基部314に設けられた第1貫通孔311の内部において、円筒状を呈するセラミックスから構成される絶縁性リング部材(不図示)に挿入された状態で装着される。この絶縁性リング部材は、後端側電極ピン38と台座部材31との接触(短絡)を防止する。そして、後端側電極ピン38の先端側を、後端側電極プレート33に溶接することで、両者間の導通をとるとともに、後端側電極プレート33に対して後端側電極ピン38を位置決めし且つ固定している。
【0056】
(先端側電極ピン)
先端側電極ピン39は、全体として円柱状且つ棒状を呈する部材である。この先端側電極ピン39の構成は、上述した後端側電極ピン38と同じであるが、中心線方向の長さが、後端側電極ピン38よりも長い点が異なる。
【0057】
先端側電極ピン39は、台座部材31の基部314に設けられた第2貫通孔312、後端側絶縁プレート32に設けられた第2貫通孔322、後端側電極プレート33に設けられた第2貫通孔332、先端側電極プレート35に設けられた第1貫通孔351、および、先端側絶縁プレート36に設けられた第1貫通孔361を貫いて配置される。先端側電極ピン39は、台座部材31の基部314に設けられた第2貫通孔312の内部において、円筒状を呈するセラミックスから構成される絶縁性リング部材(不図示)に挿入された状態で装着される。この絶縁性リング部材は、先端側電極ピン39と台座部材31との接触(短絡)を防止する。そして、先端側電極ピン39の先端側を、先端側電極プレート35に溶接することで、両者間の導通をとるとともに、先端側電極プレート35に対して先端側電極ピン39を位置決めし且つ固定している。
【0058】
[後端側絶縁プレート、圧電素子群および先端側絶縁プレートの位置関係]
ではここで、検出部30における後端側絶縁プレート32、圧電素子群34および先端側絶縁プレート36の位置関係について説明しておく。
【0059】
検出部30では、後端側絶縁プレート32のうち第1溝部324〜第3溝部326が設けられた先端側の面と、先端側絶縁プレート36のうち第1溝部364〜第3溝部366が設けられた後端側の面とが向かい合う。そして、後端側絶縁プレート32と先端側絶縁プレート36との間に、後端側電極プレート33、圧電素子群34および先端側電極プレート35が、この順で配置される。このとき、後端側絶縁プレート32の第1溝部324と先端側絶縁プレート36の第2溝部365とが対向し、後端側絶縁プレート32の第2溝部325と先端側絶縁プレート36の第1溝部364とが対向し、後端側絶縁プレート32の第3溝部326と先端側絶縁プレート36の第3溝部366とが対向する。また、後端側絶縁プレート32の第1貫通孔321と先端側絶縁プレート36の第2貫通孔362とが対向し、後端側絶縁プレート32の第2貫通孔322と先端側絶縁プレート36の第1貫通孔361とが対向し、後端側絶縁プレート32の第3貫通孔323と先端側絶縁プレート36の第3貫通孔363とが対向する。
【0060】
図9(a)は、後端側絶縁プレート32と第1圧電素子341〜第3圧電素子343との位置関係を説明するための図である。ここで、
図9(a)は、後端側絶縁プレート32を先端側からみた図となっている。なお、上述したように、実際には、後端側絶縁プレート32と第1圧電素子341〜第3圧電素子343との間に、後端側電極プレート33が存在していることになる。
【0061】
まず、第1圧電素子341は、後端側絶縁プレート32の先端側の面のうち、第1溝部324と第3溝部326とによって挟まれた平坦な部位に対向して配置されている。また、第2圧電素子342は、後端側絶縁プレート32の先端側の面のうち、第2溝部325と第3溝部326とによって挟まれた平坦な部位に対向して配置されている。さらに、第3圧電素子343は、後端側絶縁プレート32の先端側の面のうち、第1溝部324と第2溝部325とによって挟まれた平坦な部位に対向して配置されている。
【0062】
図9(b)は、先端側絶縁プレート36と第1圧電素子341〜第3圧電素子343との位置関係を説明するための図である。ここで、
図9(b)は、先端側絶縁プレート36を後端側からみた図となっている。なお、上述したように、実際には、先端側絶縁プレート36と第1圧電素子341〜第3圧電素子343との間に、先端側電極プレート35が存在していることになる。
【0063】
まず、第1圧電素子341は、先端側絶縁プレート36の後端側の面のうち、第2溝部365と第3溝部366とによって挟まれた平坦な部位に対向して配置されている。また、第2圧電素子342は、先端側絶縁プレート36の後端側の面のうち、第1溝部364と第3溝部366とによって挟まれた平坦な部位に対向して配置されている。さらに、第3圧電素子343は、先端側絶縁プレート36の後端側の面のうち、第1溝部364と第2溝部365とによって挟まれた平坦な部位に対向して配置されている。
【0064】
したがって、第1圧電素子341は、後端側絶縁プレート32のうち第1溝部324と第3溝部326との間に存在する平坦な部位と、先端側絶縁プレート36のうち第2溝部365と第3溝部366との間に存在する平坦な部位とに挟まれる。また、第2圧電素子342は、後端側絶縁プレート32のうち第2溝部325と第3溝部326との間に存在する平坦な部位と、先端側絶縁プレート36のうち第1溝部364と第3溝部366との間に存在する平坦な部位とに挟まれる。さらに、第3圧電素子343は、後端側絶縁プレート32のうち第1溝部324と第2溝部325との間に存在する平坦な部位と、先端側絶縁プレート36のうち第1溝部364と第2溝部365との間に存在する平坦な部位とに挟まれる。このように、第1圧電素子341〜第3圧電素子343は、すべて、後端側絶縁プレート32および先端側絶縁プレート36のうち、溝や貫通孔が形成されてない部位と対向するように配置されていることになる。
【0065】
ここで、先端側絶縁プレート36からみた場合、先端側絶縁プレート36では、第1圧電素子341〜第3圧電素子343と対向しない部位に、第1貫通孔361〜第3貫通孔363および第1溝部364〜第3溝部366が形成されていることになる。また、後端側絶縁プレート32からみた場合、後端側絶縁プレート32では、第1圧電素子341〜第3圧電素子343と対向しない部位に、第1貫通孔321〜第3貫通孔323および第1溝部324〜第3溝部326が形成されていることになる。
【0066】
[圧電素子群に対する予荷重の付与]
次に、検出部30における、圧電素子群34に対する予荷重の付与について説明を行う。
【0067】
例えばガスタービンエンジンに本実施の形態の圧力検出装置20を装着して使用する場合、伝達部50は、500℃〜600℃の高温環境に晒される。また、ガスタービンエンジンは、燃焼が連続的に行われるため、レシプロエンジンと異なり、稼働中の温度の変動が少ない。このため、ガスタービンエンジンの稼働時において、圧力検出装置20に設けられた検出部30を構成する各部材には、加熱に伴う熱膨張が生じるとともに、熱膨張した状態が維持されることになる。
【0068】
本実施の形態の検出部30では、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343を、上述したように、接着等の手法を用いることなく、その先端側と後端側とから挟み込んで固定している。そして、検出部30が加熱されると、検出部30を構成する各部材(金属やセラミックス)の熱膨張率の違いに起因して、第1圧電素子341〜第3圧電素子343を挟み込む力が弱くなることがある。
【0069】
そして、第1圧電素子341〜第3圧電素子343を挟み込む力が弱くなりすぎると、検出部30における第1圧電素子341〜第3圧電素子343の位置がずれたり、検出部30から第1圧電素子341〜第3圧電素子343が脱落したりするおそれがある。
【0070】
そこで、検出部30では、圧力の検出を行う前の初期状態にて、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343のそれぞれに、予め決められた大きさの荷重(予荷重)を付与している。
【0071】
検出部30において、圧電素子群34の後端側(正極側)には、後端側電極プレート33、後端側絶縁プレート32および台座部材31の基部314が、この順で配置されている。一方、検出部30において、圧電素子群34の先端側(負極側)には、先端側電極プレート35、先端側絶縁プレート36および圧力付与部材37が、この順で配置されている。そして、検出部30において最も後端側に位置する台座部材31の基部314と最も先端側に位置する圧力付与部材37とは、台座部材31の突出部315と圧力付与部材37とを溶接することで一体化している。ここで、突出部315は、上述したように円筒状の金属材料(ナイモニック80A)で構成されており、基部314と圧力付与部材37とを近づける方向に作用するバネ部材(引っ張りバネ)として機能する。
【0072】
そして、本実施の形態では、後述するように、検出部30を組み立てた状態で、台座部材31の突出部315にレーザ照射を行うことで、中心線方向に対し突出部315を収縮させている。その結果、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343のそれぞれは、検出部30を構成する各部材によって先端側および後端側から挟む力が強められることで、中心線方向に沿う予荷重が付与されることになる。
【0073】
[筐体部の構成]
筐体部40は、検出部30の先端側を内部に収容する先端側筐体41と、検出部30の後端側に取り付けられる後端側筐体42とを備えている。
【0074】
(先端側筐体)
先端側筐体41は、全体として円筒状を呈する部材である。この先端側筐体41は、ナイモニック80Aで構成されている。
【0075】
ここで、先端側筐体41の内径は、検出部30のうち台座部材31の基部314よりも先端側となる部位の外径および伝達部50における圧力分散プレート52(詳細は後述する)の外径よりも大きい。また、先端側筐体41の外径は、台座部材31の基部314において最も外径が大きい部位よりも小さい。
【0076】
そして、先端側筐体41における先端側の面は、伝達部50におけるダイアフラムヘッド51(詳細は後述する)の後端側の面に接触している。ここで、先端側筐体41における先端側とダイアフラムヘッド51の後端側との境界部には、全周にわたってレーザ溶接による接合が施されている。また、先端側筐体41における後端側の面は、検出部30における台座部材31の基部314の先端側の面に接触している。ここで、先端側筐体41における後端側と台座部材31の基部314の先端側との境界部には、全周にわたってレーザ溶接による接合が施されている。
【0077】
(後端側筐体)
後端側筐体42は、全体として円筒状を呈する部材である。この後端側筐体42は、ナイモニック80Aで構成されている。
【0078】
ここで、後端側筐体42の内径は、出力部60におけるケーブル用筐体65(詳細は後述する)の外径よりも大きい。また、後端側筐体42の外径は、台座部材31における基部314において最も外径が大きい部位よりも小さい。
【0079】
そして、後端側筐体42における先端側の面は、検出部30における台座部材31の基部314の後端側の面に接触している。ここで、後端側筐体42における先端側と台座部材31の基部314の後端側との境界部には、全周にわたってレーザ溶接による接合が施されている。また、後端側筐体42における後端側の面は、出力部60におけるケーブル用筐体65の先端側の面に接触している。ここで、後端側筐体42における後端側とケーブル用筐体65の先端側との境界部には、全周にわたってレーザ溶接による接合が施されている。
【0080】
[伝達部の構成]
伝達部50は、先端側筐体41の先端側に取り付けられるダイアフラムヘッド51と、先端側筐体41の内部であってダイアフラムヘッド51の後端側且つ検出部30における圧力付与部材37の先端側に取り付けられる圧力分散プレート52とを備えている。したがって、圧力分散プレート52は、先端側筐体41の内側に収容されている。
【0081】
(ダイアフラムヘッド)
ダイアフラムヘッド51は、全体として円板状を呈する部材である。このダイアフラムヘッド51は、ナイモニック80Aで構成されている。
【0082】
ここで、ダイアフラムヘッド51の外径は、先端側筐体41の外径と同じである。なお、この例において、ダイアフラムヘッド51の外径は8mm程度である。
【0083】
そして、ダイアフラムヘッド51の先端側の面は、外部に露出している。また、ダイアフラムヘッド51の後端側の面のうち、周縁側となる部位は、先端側筐体41の先端側の面と接触している。さらに、ダイアフラムヘッド51の後端側の面のうち、中央側となる部位は、圧力分散プレート52における先端側の面に接触している。ここで、ダイアフラムヘッド51と先端側筐体41における先端側との境界部には、全周にわたってレーザ溶接による接合が施されている。
【0084】
(圧力分散プレート)
圧力分散プレート52は、全体として円板状を呈する部材である。この圧力分散プレート52は、台座部材31および圧力付与部材37と同じナイモニック80Aで構成されている。
【0085】
ここで、圧力分散プレート52の外径は、圧力付与部材37に設けられた凹部372の内径よりもわずかに小さい。そして、圧力分散プレート52は、圧力付与部材37に設けられた凹部372にはめ込まれるようになっている。
【0086】
そして、圧力分散プレート52の先端側の面は、ダイアフラムヘッド51の後端側且つ中央側の面と接触している。また、圧力分散プレート52の後端側の面のうち、周縁側となる部位は、圧力付与部材37の先端側に設けられた凹部372と接触している。さらに、圧力分散プレート52の後端側の面のうち、中央側となる部位は、圧力付与部材37に設けられた貫通孔373(台座部材31に設けられた第3貫通孔313)と対峙している。
【0087】
[出力部の構成]
出力部60は、検出部30の後端側において、後端側電極ピン38に接続される第1ケーブル61と、先端側電極ピン39に接続される第2ケーブル62とを備えている。また、出力部60は、後端側筐体42の内側に配置され、後端側電極ピン38と第1ケーブル61の心線とを接続する第1接続スリーブ63と、先端側電極ピン39と第2ケーブル62の心線とを接続する第2接続スリーブ64とを備えている。さらに、出力部60は、第1接続スリーブ63および第2接続スリーブ64の後端側において、第1ケーブル61および第2ケーブル62を内部に収容するケーブル用筐体65と、ケーブル用筐体65の内部に配置され、第1ケーブル61および第2ケーブル62を保持する保持部材66と、保持部材66の内側において第1ケーブル61および第2ケーブル62を固定する介在物67とを備えている。
【0088】
(第1ケーブル)
第1ケーブル61は、全体として線状を呈する部材である。この第1ケーブル61は、金属製の筒状のシースの内部に金属製の心線を配置するとともに、シースと心線との間に無機絶縁体を充填してなるMI(Mineral Insulated)ケーブルで構成されている。
そして、第1ケーブル61の先端側には心線が露出しており、この心線が、第1接続スリーブ63を介して後端側電極ピン38の後端側と接続されている。一方、第1ケーブル61の後端側は外部に露出しており、図示しない外部機器と接続することが可能となっている。
【0089】
(第2ケーブル)
第2ケーブル62は、第1ケーブル61と同じもので構成されている。
そして、第2ケーブル62の先端側には心線が露出しており、この心線が、第2接続スリーブ64を介して先端側電極ピン39の後端側と接続される。一方、第2ケーブル62の後端側は外部に露出しており、図示しない外部機器と接続することが可能となっている。
【0090】
(第1接続スリーブ)
第1接続スリーブ63は、全体として円筒状を呈する部材である。この第1接続スリーブ63は、ナイモニック80Aで構成される。
第1接続スリーブ63の内側には、後端側電極ピン38の後端側と第1ケーブル61の心線の先端側とが配置されており、第1接続スリーブ63をかしめることで、これらを電気的に接続し且つ固定している。
【0091】
(第2接続スリーブ)
第2接続スリーブ64は、第1接続スリーブ63と同じもので構成されている。
第2接続スリーブ64の内側には、先端側電極ピン39の後端側と第2ケーブル62の心線の先端側とが配置されており、第2接続スリーブ64をかしめることで、これらを電気的に接続し且つ固定している。
【0092】
(ケーブル用筐体)
ケーブル用筐体65は、全体として円筒状を呈する部材である。このケーブル用筐体65は、ナイモニック80Aで構成される。
ケーブル用筐体65における先端側の面は、後端側筐体42における後端側の面に接触している。ここで、ケーブル用筐体65における先端側と後端側筐体42における後端側との境界部には、全周にわたってレーザ溶接による接合が施されている。
【0093】
(保持部材)
保持部材66は、全体として円筒状を呈する部材である。この保持部材66は、インコネルで構成される。
保持部材66における先端側の面は、後端側筐体42の内側において、台座部材31の後端側の面と対向している。また、保持部材66における後端側の面は、外部に露出している。さらに、保持部材66の外周面は、ケーブル用筐体65の内周面と接触している。さらにまた、保持部材66の内周面は、介在物67と接触している。
【0094】
(介在物)
介在物67は、変形自在な部材である。この介在物67は、SiO
2で構成される。
介在物67は、保持部材66の内部において、保持部材66の内周面と第1ケーブル61および第2ケーブル62との間に存在する隙間を埋めている。
【0095】
[圧力検出装置における電気的な接続構造]
次に、圧力検出装置20における電気的な接続構造について説明を行う。
【0096】
(正の経路)
圧力検出装置20において、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343のそれぞれの後端側(第1圧電素子341における正電荷出力面341c側)は、金属製の後端側電極プレート33の先端側と電気的に接続される。また、後端側電極プレート33は、金属製の後端側電極ピン38の先端側と電気的に接続される。さらに、後端側電極ピン38の後端側は、金属製の第1接続スリーブ63を介して、第1ケーブル61の先端側に露出する金属製の心線と電気的に接続される。そして、第1ケーブル61の後端側は、ケーブル用筐体65の後端側まで伸び、外部に露出している。以下では、圧電素子群34の後端側の面から、第1ケーブル61の心線に至る電気的な経路を『正の経路』と称する。
【0097】
(負の経路)
一方、圧力検出装置20において、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343のそれぞれの先端側(第1圧電素子341における負電荷出力面341d側)は、金属製の先端側電極プレート35の後端側と電気的に接続される。また、先端側電極プレート35は、金属製の先端側電極ピン39の先端側と電気的に接続される。さらに、先端側電極ピン39の後端側は、金属製の第2接続スリーブ64を介して、第2ケーブル62の先端側に露出する金属製の心線と電気的に接続される。そして、第2ケーブル62の後端側は、ケーブル用筐体65の後端側まで伸び、外部に露出している。以下では、圧電素子群34の先端側の面から、第2ケーブル62の心線に至る電気的な経路を『負の経路』と称する。
【0098】
(筐体経路)
他方、圧力検出装置20において、金属製のケーブル用筐体65の内側は、金属製の保持部材66の外側と電気的に接続される。また、ケーブル用筐体65の先端側は、金属製の後端側筐体42の後端側と電気的に接続される。さらに、後端側筐体42の先端側は、金属製の台座部材31における基部314の後端側と電気的に接続される。さらにまた、台座部材31における基部314の先端側は、金属製の先端側筐体41の後端側と電気的に接続される。また、先端側筐体41の先端側は、金属製のダイアフラムヘッド51の後端側且つ周縁側と電気的に接続される。さらに、ダイアフラムヘッド51の後端側且つ中央側は、金属製の圧力分散プレート52の先端側と電気的に接続される。さらにまた、圧力分散プレート52の後端側且つ周縁側は、金属製の圧力付与部材37の先端側と電気的に接続される。そして、圧力付与部材37に設けられた貫通孔373の内周面は、金属製の台座部材31における突出部315(厚肉部315b)の外周面と電気的に接続される。以下では筐体部40、伝達部50、検出部30の一部および出力部60の一部を含む電気的な経路を『筐体経路』と称する。
【0099】
(経路同士の関係)
まず、正の経路と負の経路とは、圧力検出装置20の内部に存在するエアギャップと、第1ケーブル61に設けられた無機絶縁体と、第2ケーブル62に設けられた無機絶縁体とによって、電気的に絶縁されている。
次に、正の経路と筐体経路とは、圧力検出装置20の内部に存在するエアギャップと、後端側絶縁プレート32と、第1ケーブル61に設けられた無機絶縁体とによって、電気的に絶縁されている。
そして、負の経路と筐体経路とは、圧力検出装置20の内部に存在するエアギャップと、先端側絶縁プレート36と、第2ケーブル62に設けられた無機絶縁体とによって、電気的に絶縁されている。
【0100】
本実施の形態の圧力検出装置20では、正の経路と負の経路と筐体経路とが、互いに、電気的に絶縁されていることになる。このような構成を採用することで、この圧力検出装置20では、ジェットエンジン等の取り付け対象から筐体経路に侵入してくる電気的なノイズが、正の経路および負の経路に入り込むのを抑制している。
【0101】
なお、以上の説明から明らかなように、この圧力検出装置20において、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343は、並列に接続されていることになる。本実施の形態の圧力検出装置20では、複数の圧電素子を用いることで、圧力の変化に伴って出力される電荷量を増大させ、圧力を検出する感度を高めている。
【0102】
[検出部の製造方法]
図10は、圧力検出装置20を構成する検出部30の製造手順を示すフローチャートである。
【0103】
(電極ピン取付工程)
最初に、基部314を下方に、突出部315を上方に位置させた状態で、台座部材31を組み立て用の台にセットする。そして、台座部材31に、後端側電極ピン38および先端側電極ピン39を取り付ける(ステップ10)。ステップ10では、台座部材31の上方から、後端側電極ピン38を台座部材31の第1貫通孔311に、先端側電極ピン39を台座部材31の第2貫通孔312に、それぞれ挿入する。後端側電極ピン38および先端側電極ピン39は、円筒状を呈するセラミックスから構成される絶縁性リング部材を予め装着し、絶縁性リング部材を介して台座部材31に取り付けられる。そして、図示しない治具を用いて、台座部材31に対する後端側電極ピン38、先端側電極ピン39の位置を仮固定する。このとき、先端側電極ピン39の先端は、後端側電極ピン38の先端よりも上方に配置される。
【0104】
(後端側絶縁プレート取付工程)
次に、台座部材31に、後端側絶縁プレート32を取り付ける(ステップ20)。ステップ20では、台座部材31の上方から、後端側絶縁プレート32の第1貫通孔321に後端側電極ピン38を挿入し、後端側絶縁プレート32の第2貫通孔322に先端側電極ピン39を挿入し、後端側絶縁プレート32の第3貫通孔323に台座部材31の突出部315を挿入する。これにより、後端側絶縁プレート32は、台座部材31の基部314の上に積載される。このとき、後端側絶縁プレート32に設けられた第1溝部324〜第3溝部326は、上方すなわち基部314とは反対側を向く。また、後端側絶縁プレート32の第1貫通孔321の内周面は、後端側電極ピン38の外周面と空隙を隔てて対峙する。さらに、後端側絶縁プレート32の第2貫通孔322の内周面は、先端側電極ピン39の外周面と空隙を隔てて対峙する。さらにまた、後端側絶縁プレート32の第3貫通孔323の内周面は、突出部315の外周面と空隙を隔てて対峙する。
【0105】
(後端側電極プレート取付工程)
続いて、台座部材31に、後端側電極プレート33を取り付ける(ステップ30)。ステップ30では、台座部材31の上方から、後端側電極プレート33の第1貫通孔331に後端側電極ピン38を挿入し、後端側電極プレート33の第2貫通孔332に先端側電極ピン39を挿入し、後端側電極プレート33の第3貫通孔333に台座部材31の突出部315を挿入する。これにより、後端側電極プレート33は、後端側絶縁プレート32の上に積載される。このとき、後端側電極プレート33の第1貫通孔331の内周面は、後端側電極ピン38の外周面と対峙する。また、後端側電極プレート33の第2貫通孔332の外周面は、先端側電極ピン39の外周面と空隙を隔てて対峙する。さらに、後端側電極プレート33の第3貫通孔333の外周面は、突出部315の外周面と空隙を隔てて対峙する。
【0106】
(圧電素子群設置工程)
次いで、後端側電極プレート33に、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343を設置する(ステップ40)。
【0107】
ステップ40では、まず、正電荷出力面341cを下方に、負電荷出力面341dを上方に位置させた状態で、第1圧電素子341を、後端側電極プレート33の先端側(上方側)の面であって、後端側絶縁プレート32のうち第1溝部324と第3溝部326とによって挟まれた平坦な部位と対向する領域に設置する(
図9(a)参照)。このとき、第1圧電素子341は、正電荷出力面341cの長手方向が後端側電極プレート33の周方向に倣うように設置される。これにより、第1圧電素子341は後端側電極プレート33の上に積載され、正電荷出力面341cが後端側電極プレート33と接触し、負電荷出力面341dが鉛直上方を向いた状態となる。そして、第1圧電素子341は、この状態で、図示しない治具により仮固定される。
【0108】
ステップ40では、次に、正電荷出力面341cを下方に、負電荷出力面341dを上方に位置させた状態で、第2圧電素子342を、後端側電極プレート33の先端側(上方側)の面であって、後端側絶縁プレート32のうち第2溝部325と第3溝部326とによって挟まれた平坦な部位と対向する領域に設置する(
図9(a)参照)。このとき、第2圧電素子342は、正電荷出力面341cの長手方向が後端側電極プレート33の周方向に倣うように設置される。これにより、第2圧電素子342は後端側電極プレート33の上に積載され、正電荷出力面341cが後端側電極プレート33と接触し、負電荷出力面341dが鉛直上方を向いた状態となる。そして、第2圧電素子342は、この状態で、図示しない治具により仮固定される。
【0109】
ステップ40では、続いて、正電荷出力面341cを下方に、負電荷出力面341dを上方に位置させた状態で、第3圧電素子343を、後端側電極プレート33の先端側(上方側)の面であって、後端側絶縁プレート32のうち第1溝部324と第2溝部325とによって挟まれた平坦な部位と対向する領域に設置する(
図9(a)参照)。このとき、第3圧電素子343は、正電荷出力面341cの長手方向が後端側電極プレート33の周方向に倣うように設置される。これにより、第3圧電素子343は後端側電極プレート33の上に積載され、正電荷出力面341cが後端側電極プレート33と接触し、負電荷出力面341dが鉛直上方を向いた状態となる。そして、第3圧電素子343は、この状態で、図示しない治具により仮固定される。
【0110】
このようにして設置された圧電素子群34において、第1圧電素子341〜第3圧電素子343は、互いに120°の間隔で配置されることになる。また、これら第1圧電素子341〜第3圧電素子343は、台座部材31の突出部315を囲むように配置されることになる。さらに、これら第1圧電素子341〜第3圧電素子343は、第1溝部324〜第3溝部326を間に挟んで配置されることになるため、互いに接触しない状態となっている。
【0111】
(先端側電極プレート取付工程)
次に、台座部材31に、先端側電極プレート35を取り付ける(ステップ50)。ステップ50では、台座部材31の上方から、先端側電極プレート35の第1貫通孔351に先端側電極ピン39を挿入し、先端側電極プレート35の第3貫通孔353に台座部材31の突出部315を挿入する。なお、先端側電極プレート35まで後端側電極ピン38が到達しないことから、先端側電極プレート35の第2貫通孔352には、特に何も挿入されない。これにより、先端側電極プレート35は、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343の上に積載される。このとき、第1圧電素子341〜第3圧電素子343のそれぞれに設けられた負電荷出力面341dは、先端側電極プレート35の後端側(下方側)の面と接触する。また、先端側電極プレート35の第1貫通孔351の内周面は、先端側電極ピン39の外周面と対峙する。さらに、先端側電極プレート35の第2貫通孔352の内周面は、空隙と対峙する。さらにまた、先端側電極プレート35の第3貫通孔353の内周面は、突出部315の外周面と空隙を隔てて対峙する。
【0112】
(先端側絶縁プレート取付工程)
続いて、台座部材31に、先端側絶縁プレート36を取り付ける(ステップ60)。ステップ60では、台座部材31の上方から、先端側絶縁プレート36の第1貫通孔361に先端側電極ピン39を挿入し、先端側絶縁プレート36の第3貫通孔363に台座部材31の突出部315を挿入する。なお、先端側絶縁プレート36まで後端側電極ピン38が到達しないことから、先端側絶縁プレート36の第2貫通孔362には、特に何も挿入されない。これにより、先端側絶縁プレート36は、先端側電極プレート35の上に積載される。このとき、先端側絶縁プレート36に設けられた第1溝部364〜第3溝部366は、下方すなわち先端側電極プレート35側を向く。また、先端側絶縁プレート36の第1貫通孔361の内周面は、先端側電極ピン39の外周面と空隙を隔てて対峙する。さらに、先端側絶縁プレート36の第2貫通孔362の内周面は、空隙と対峙する。さらにまた、先端側絶縁プレート36の第3貫通孔363の内周面は、突出部315の外周面と空隙を隔てて対峙する。
【0113】
(圧力付与部材取付工程)
次いで、台座部材31に、圧力付与部材37を取り付ける(ステップ70)。ステップ70では、圧力付与部材37の凹部372を上方に向けた状態で、圧力付与部材37を、台座部材31の上方から、圧力付与部材37の貫通孔373に台座部材31の突出部315を挿入する。これにより、圧力付与部材37は、先端側絶縁プレート36の上に積載される。このとき、圧力付与部材37における貫通孔373の内周面は、台座部材31における突出部315の厚肉部315bの外周面と対峙する。そして、圧力付与部材37は、この状態で、図示しない治具により仮固定される。
【0114】
(レーザ溶接工程)
そして、台座部材31に、後端側絶縁プレート32、後端側電極プレート33、圧電素子群34、先端側電極プレート35、先端側絶縁プレート36、圧力付与部材37、後端側電極ピン38および先端側電極ピン39を取り付けた状態で、台座部材31の突出部315と圧力付与部材37とを、レーザを照射することで溶接(レーザ溶接)する(ステップ80)。これにより、台座部材31と圧力付与部材37とが一体化する。なお、ステップ80の詳細については後述する。
【0115】
(レーザ照射工程)
続いて、台座部材31と圧力付与部材37とを一体化させた状態で、台座部材31の突出部315にレーザを照射する(ステップ90)。これにより、台座部材31の突出部315が中心線方向に収縮し、台座部材31と圧力付与部材37とによって挟まれることで、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343に予荷重が付与される。なお、ステップ90の詳細については後述する。
【0116】
(後端側電極溶接工程)
次いで、後端側電極プレート33と後端側電極ピン38との対向部(第1貫通孔321近辺)とを、レーザを照射することで溶接(レーザ溶接)する(ステップ100)。
【0117】
(先端側電極溶接工程)
また、先端側電極プレート35と先端側電極ピン39との対向部(第1貫通孔351近辺)とを、レーザを照射することで溶接(レーザ溶接)する(ステップ110)。
【0118】
ここで、ステップ80〜ステップ110では、同じレーザ発振器を用いて、レーザによる加工を行うことができる。また、ステップ80〜ステップ110で使用できるレーザとしては、固体レーザ、気体レーザおよび半導体レーザを例示することができる。
【0119】
そして、レーザによる各種加工が完了した後、装着していた各種治具を取り外すとともに、さらに基台から取り外すことで、検出部30が得られる。
その後、このようにして得られた検出部30に対し、筐体部40、伝達部50および出力部60の各構成部材を取り付けていくことで、圧力検出装置20が得られる。
【0120】
[レーザ溶接工程の詳細]
では、上述したステップ80のレーザ溶接工程について、具体的に説明を行う。
図11(a)は、ステップ80のレーザ溶接工程を説明するための図である。
【0121】
本実施の形態において、ステップ70までの各工程によって仮組みがなされた検出部30では、その先端側(上方側)に圧力付与部材37が位置している。また、圧力付与部材37に設けられた貫通孔373には、台座部材31の突出部315が挿入されており、貫通孔373の内周面と突出部315における厚肉部315bの外周面とが対峙している。そして、この状態で、先端側から検出部30をみたときに、台座部材31に設けられた第3貫通孔313の内周面が露出している。
【0122】
そして、ステップ80では、台座部材31と圧力付与部材37との接触部の先端側に対し、周方向に全周にわたって、先端側よりレーザ光Lを照射する。すると、レーザ光Lが照射された部位には、厚肉部315bおよび圧力付与部材37がともに溶融し且つ凝固することに伴って、周方向に全周にわたって溶接部316が形成される。これにより、台座部材31と圧力付与部材37とが、溶接部316を介して一体化する。ここで、厚肉部315bおよび圧力付与部材37がともに溶融し且つ凝固した溶接部316が、圧力分散プレート52を圧力付与部材37に設けられた凹部372にはめ込むときの障害となるようであれば、溶接部316を研磨する工程を設けてもよい。また、圧力分散プレート52と溶接部316との間に空間をもつように、圧力付与部材37の凹部372の先端側に、凹部372の後端側より径が大きな段部をもたせ、この段部に圧力分散プレート52をはめ込む構成としてもよい。
【0123】
[レーザ照射工程の詳細]
続いて、上述したステップ90のレーザ照射工程について、具体的に説明を行う。
図11(b)は、ステップ90のレーザ照射工程を説明するための図である。
【0124】
本実施の形態において、ステップ80のレーザ溶接工程によって台座部材31と圧力付与部材37とが溶接された検出部30には、上述したように溶接部316が形成されている。
【0125】
そして、ステップ90では、台座部材31に設けられた第3貫通孔313の内周面のうち、突出部315における厚肉部315bが存在する部位すなわち薄肉部315aよりも先端側となる部位に対し、周方向に全周にわたってレーザ光Lを照射する。すると、レーザ光が照射された部位には、厚肉部315bが溶融し且つ凝固することに伴って、周方向に全周にわたって照射痕317が形成される。このとき、台座部材31における突出部315(厚肉部315b)は、照射痕317の形成に伴って中心線方向に収縮する。すると、溶接部316の形成に伴って一体化した台座部材31および圧力付与部材37において、台座部材31の基部314における先端側の面と、圧力付与部材37における後端側の面との距離は、突出部315に照射痕317を形成することにより、照射痕317の形成前よりも短くなる。そうすると、台座部材31の基部314および圧力付与部材37から、後端側絶縁プレート32、後端側電極プレート33、先端側絶縁プレート36および先端側電極プレート35を介して圧電素子群34(第1圧電素子341〜第3圧電素子343)に加わる力(予荷重)は、突出部315に照射痕317を形成することにより大きくなる。このようにして、圧電素子群34(第1圧電素子341〜第3圧電素子343)に予荷重が加えられることにより、第1圧電素子341〜第3圧電素子343は、特に接合等を行わない状態であっても、検出部30に安定して保持される。このステップ90のレーザ照射工程は、圧電素子群34(第1圧電素子341〜第3圧電素子343)に加わる予荷重が所望の値となるまで、突出部315における厚肉部315bにおけるレーザ照射位置を変え、複数回行うことができる。なお、突出部315における厚肉部315bをレーザ照射位置としているのは、突出部315の薄肉部315aへのレーザ照射では、レーザ照射により薄肉部315aが破損するおそれがあるためである。
【0126】
[まとめ]
本実施の形態では、検出部30において、台座部材31の基部314と、圧力付与部材37とを用い、後端側絶縁プレート32、後端側電極プレート33、先端側電極プレート35および先端側絶縁プレート36を介して、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343を挟み込むようにした。また、本実施の形態では、台座部材31の基部314と、圧力付与部材37とを、これら第1圧電素子341〜第3圧電素子343に囲まれた位置に設けられた台座部材31の突出部315を介して接続するようにした。さらに、突出部315における厚肉部315bと圧力付与部材37とを、レーザ溶接による溶接部316を介して一体化した。そして、突出部315における厚肉部315bに、レーザ照射による照射痕317を形成することで、突出部315を中心線方向に収縮させるようにした。これにより、検出部30において、これら第1圧電素子341〜第3圧電素子343に予荷重を付与することができる。ここで、本実施の形態では、引っ張りバネとして機能する突出部315を、第1圧電素子341〜第3圧電素子343の内側となる領域に配置することで、第1圧電素子341〜第3圧電素子343の外側に配置した場合と比較して、検出部30を小型化することができる。
【0127】
また、本実施の形態では、検出部30において、正の経路と筐体経路とを電気的に絶縁する目的で先端側絶縁プレート36を配置し、負の経路と筐体経路とを電気的に絶縁する目的で後端側絶縁プレート32を配置した。そして、先端側絶縁プレート36および後端側絶縁プレート32には、金属製の先端側電極プレート35および後端側電極プレート33と比べて、機械的に脆いセラミックス材料を用いた。
【0128】
このため、照射痕317の形成に伴って台座部材31の突出部315が収縮することにより、台座部材31の基部314における先端側の面と、圧力付与部材37における後端側の面との距離が短くなると、先端側絶縁プレート36および後端側絶縁プレート32に加わる力が増大することに伴い、先端側絶縁プレート36や後端側絶縁プレート32に割れ(クラック)が生じることになる。ここで、圧電素子群34を構成する第1圧電素子341〜第3圧電素子343との対向部位において、先端側絶縁プレート36や後端側絶縁プレート32に割れが生じると、第1圧電素子341〜第3圧電素子343に付与される予荷重が、当初予定していた設定値からずれる(変動する)おそれがある。また、検出部30における第1圧電素子341〜第3圧電素子343の保持が、不安定なものとなってしまう。
【0129】
これに対し、本実施の形態では、先端側絶縁プレート36に、平坦な部位と比べて脆弱な第1溝部364〜第3溝部366を設け、これらと対向する部位を避けて第1圧電素子341〜第3圧電素子343を配置するようにした。そして、第1溝部364には第1貫通孔361を重ねて形成し、第2溝部365には第2貫通孔362を重ねて形成するようにした。
【0130】
また、本実施の形態では、後端側絶縁プレート32に、平坦な部位と比べて脆弱な第1溝部324〜第3溝部326を設け、これらと対向する部位を避けて第1圧電素子341〜第3圧電素子343を配置するようにした。そして、第1溝部324には第1貫通孔321を重ねて形成し、第2溝部325には第2貫通孔322を重ねて形成するようにした。
【0131】
このような構成を採用することで、例えば先端側絶縁プレート36に割れが生じる場合には、相対的に脆弱な第1溝部364〜第3溝部366が基点となりやすくなる。また、例えば後端側絶縁プレート32に割れが生じる場合には、相対的に脆弱な第1溝部324〜第3溝部326が基点となりやすくなる。それゆえ、得られた検出部30ひいては圧力検出装置20において、第1圧電素子341〜第3圧電素子343に付与される予荷重の変動を抑制することができる。また、第1圧電素子341〜第3圧電素子343を安定した状態で保持することができる。
【0132】
図12は、ステップ90のレーザ照射工程後における先端側電極プレート35、先端側絶縁プレート36および圧力付与部材37の外周面の状態を示すSEM写真である。
図12より、先端側絶縁プレート36では、溝部(第1溝部324〜第3溝部326のいずれか)を基点として、割れが生じていることが分かる。
【0133】
ここで、本実施の形態では、
図9(a)に示す後端側絶縁プレート32のうち、第1溝部324〜第3溝部326の形成面を、圧電素子群34側(後端側電極プレート33側)に向け、且つ、
図9(b)に示す先端側絶縁プレート36のうち、第1溝部364〜第3溝部366の形成面を、圧電素子群34側(後端側電極プレート33側)に向けているが、これは次の理由による。
【0134】
本発明者は、検出部30において、先端側絶縁プレート36における第1溝部364〜第3溝部366の形成面を、後端側に向けた場合と先端側に向けた場合とで、第1溝部364〜第3溝部366に割れが生じる力(中心線方向に加える力)の違いについてシミュレーションを行った。
【0135】
その結果、第1溝部364〜第3溝部366に割れを生じさせるために必要な力は、第1溝部364〜第3溝部366の形成面を先端側に向けた場合よりも、第1溝部364〜第3溝部366の形成面を後端側に向けた場合の方が小さいこと(より弱い力で割れること)が分かった。このため、本実施の形態では、上述した位置関係となるように、先端側絶縁プレート36および後端側絶縁プレート32を配置している。
【0136】
[その他]
なお、本実施の形態では、圧力検出装置20を、ガスタービンエンジンの燃焼圧の検出に用いていたが、これに限られるものではなく、例えば、レシプロエンジンの燃焼圧の検出に用いてもかまわない。
【0137】
また、本実施の形態では、圧力検出装置20の先端側に圧電素子群34の負極側を配置し、圧力検出装置20の後端側に圧電素子群34の正極側を配置していたが、これに限られない。すなわち、圧力検出装置20の先端側に圧電素子群34の正極側を配置し、圧力検出装置20の後端側に圧電素子群34の負極側を配置してもかまわない。
【0138】
さらに、本実施の形態では、圧電素子群34を構成する圧電素子の数を3つとしていたが、2つ以上であれば数は制限されない。ただし、圧電素子群34を3つの圧電素子(第1圧電素子341〜第3圧電素子343)で構成した場合には、第1圧電素子341〜第3圧電素子343による三点支持が行われることから、検出部30におけるがたつきを抑制することができる。
【0139】
さらにまた、本実施の形態では、後端側絶縁プレート32および先端側絶縁プレート36のそれぞれに、脆弱部として溝部および貫通孔を設けていたが、脆弱部の構成はこれに限られない。例えば、複数の貫通孔を切り取り線状に並べて設けたり、化学的な処理等によって他の部位よりも機械的に脆い部位を設けたりしてもかまわない。
【0140】
そして、本実施の形態では、レーザを照射することで、台座部材31の突出部315(厚肉部315b)を中心線方向に収縮させていたが、これ以外の手法を用いて、突出部315を収縮させてもかまわない。