特許第6798886号(P6798886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6798886癌の治療に使用するための168A−T2のポリペプチドフラグメントおよびそれらを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798886
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】癌の治療に使用するための168A−T2のポリペプチドフラグメントおよびそれらを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20201130BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20201130BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20201130BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20201130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20201130BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20201130BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20201130BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20201130BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   C12N15/12ZNA
   A61K38/10
   A61K38/17
   A61P9/00
   A61P35/00
   A61K45/00
   A61K31/282
   A61K33/24
   C07K14/705
【請求項の数】14
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2016-551784(P2016-551784)
(86)(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公表番号】特表2017-506514(P2017-506514A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】EP2015053125
(87)【国際公開番号】WO2015121428
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2018年2月6日
(31)【優先権主張番号】14155243.0
(32)【優先日】2014年2月14日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/939,932
(32)【優先日】2014年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512317032
【氏名又は名称】ジーン シグナル インターナショナル ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アル−マホメッド,サルマン
(72)【発明者】
【氏名】コリン,シルヴィ
【審査官】 野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−526549(JP,A)
【文献】 特表2005−530489(JP,A)
【文献】 特表2012−512858(JP,A)
【文献】 COLIN, S. et al.,"A TRUNCATED FORM OF CD9-PARTNER 1 (CD9P-1), GS-168AT2, POTENTLY INHIBITS IN VIVO TUMOUR-INDUCED ANGIOGENESIS AND TUMOUR GROWTH.",BRITISH JOURNAL OF CANCER,NATURE PUBLISHING GROUP,2011年 9月,Vol.105, No.7,pp.1002-1011,URL,http://dx.doi.org/10.1038/bjc.2011.303
【文献】 GUILMAIN, W. et al.,"CD9P-1 EXPRESSION CORRELATES WITH THE METASTATIC STATUS OF LUNG CANCER, AND A TRUNCATED FORM OF CD9P-1, GS-168AT2, INHIBITS IN VIVO TUMOUR GROWTH.",BRITISH JOURNAL OF CANCER,NATURE PUBLISHING GROUP,2011年 2月 1日,Vol.104, No.3,pp.496-504,URL,http://dx.doi.org/10.1038/sj.bjc.6606033
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C07K 1/00−19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列GNYYCSVTPWVKS(配列番号1)のペプチド、
(ii)配列IHSKPVFITVKMDVLNA(配列番号2)のペプチド、およ
iii)配列番号1または2の機能的な誘導体、
からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドを含むポリペプチドであって
前記誘導体は、1つもしくは複数の官能基の付加および/または1つもしくは複数の保護基の付加により修飾された配列番号1または2に相当し、
前記ポリペプチドは、配列番号3の配列のうちの20個未満の連続したアミノ酸からなる、
ポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、1つもしくは複数の官能基の付加および/または1つもしくは複数の保護基の付加により修飾されている、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記官能基が、リン酸基、酢酸基、脂質、または糖の基から選択される、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、抗血管新生および/または抗腫瘍活性を有する、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項5】
請求項1に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項5に記載のポリヌクレオチドと、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む医薬組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの抗血管新生剤、細胞毒性薬、化学療法剤、または抗癌剤をさらに含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
シスプラチンおよび/またはカルボプラチンからなる群から選択される白金錯体をさらに含む、請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
列番号1のペプチドを含む請求項1に記載のポリペプチドと、配列番号2のペプチドを含む請求項1に記載のポリペプチド、を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物が、局所投与、全身性投与、経口投与、皮下投与、経皮投与、筋肉内投与、または腹腔内投与に適した形態である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
血管新生に関連した疾患の治療に使用するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む組成物、または請求項6〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
ヒトまたは動物の身体の癌および/または腫瘍の治療に使用するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む組成物、または請求項6〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
癌細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍の治療に使用するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む組成物、または請求項6〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
治療の前にCD9P−1の発現が対象の癌および/または腫瘍の細胞を含む試料で試験される、その必要がある対象の癌および/または腫瘍の治療に使用するための、請求項13に記載の組成物または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管新生関連疾患、より具体的には癌および/または腫瘍の治療の分野に関する。本発明は、より具体的には、細胞がCD9パートナー1(CD9P−1)を発現する癌および/または腫瘍を治療する抗血管新生活性を有するポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生は、既存の血管から新規の血管を形成させる工程に対応する。血管新生は、内皮細胞の活性化と共に開始し、内皮細胞の遊走、増殖、および毛細血管への分化を含む。血管新生は、増殖、発達、および創傷治癒において正常かつ重要な工程であるが、この工程は、癌および腫瘍の進行にも鍵となる役割を果たし得る。実際に、新規の血管形成は、多くの場合、腫瘍により放出された分子のシグナリングにより刺激され、これにより栄養素および酸素の供給、および無駄な産物を除去するための新規に形成された血管のネットワークが亢進される。よって、腫瘍誘導型血管形成は、腫瘍の増殖およびおそらくは離れた部位への腫瘍の転移をもたらす。結果として、抗血管新生化合物の開発は、制癌剤の開発における主な焦点となっている。血管新生を標的化するいくつかの化学療法用の分子がすでに市場で入手可能である。これらのうち、よく知られた血管新生阻害剤として、アンジオスタチン、エンドスタチン、インターフェロン、血小板因子4、プロラクチン16kDaフラグメント、トロンボスポンジン、TIMP−1(メタロプロテアーゼ−1の組織阻害剤)、TIMP−2およびTIMP−3、ならびに、たとえばコンブレスタチン(Combrestatin)A4、EMD121974、TNP−470、スクアラミン、サリドマイド、インターフェロン−α、抗VEGF抗体などの他の薬剤が挙げられる。にもかかわらず、これら薬剤の有効性は依然として十分ではなく、その用途は、多くの場合有害な二次的効果を伴う。よって、有効性が増大しており、浸潤性または毒性が少なく、かつ回復率の増加をもたらす代替的な治療が依然として必要とされている。
【0003】
国際特許公開公報第03/080105号は、血管新生の調節に関与する5つの遺伝子、より具体的にはCD9パートナー1「CD9P−1」としても知られている「タンパク質168A」をコードする遺伝子「168」を記載している。特に、国際特許公開公報第03/080105号は、タンパク質168Aが血管新生の活性化に関与しており、たとえばTNF−αなどの血管新生誘導因子で刺激した内皮細胞で発現することを開示している。また、国際特許公開公報第03/080105号は、遺伝子168の発現の阻害が、毛細血管の形成の阻害をもたらすことを記載している。
【0004】
国際特許公開公報第2008/138894号は、タンパク質168Aの様々な切断型を開示しており、このうちのタンパク質168A−T2は、タンパク質168Aの細胞外ドメインのフラグメントに対応する。国際特許公開公報第2008/138894号は、タンパク質168A‐T2(以下SEQ ID NO:3と同定)が、用量依存的に、in vitroにおけるヒトの内皮細胞の増殖と、in vitroにおける毛細血管の形成の両方を阻害し得ることをさらに開示している。さらに、この出願は、168A−T2が、in vitroで内皮細胞の遊走の阻害を用量依存的に誘導し得ることを開示している。よって、国際特許公開公報第2008/138894号に開示された結果により、168A−T2は、抗VEGF mAbおよび/またはVEGF受容体(KDR)系の同定されたペプチドよりも少なくとも600倍効力がある強力な抗血管新生化合物であると思われる。最終的に、国際特許公開公報第2008/138894号は、タンパク質168A−T2は、in vitoにおける強力な抗腫瘍活性、およびたとえばシスプラチンなどの他の化学療法剤との併用での強力な相乗的活性を有することを開示している。
【0005】
さらに、GS−168AT2(168A−T2のタグ付けした形態)でのNC−H460を異種移植したヌードマウスの処置により、腫瘍の増殖が顕著に阻害され、腫瘍におけるCD9のin vivoでのダウンレギュレーションがもたらされたことが示された(Guilmain et al., 2011, British Journal of Cancer, 104: 496−504)。
【0006】
CD9は、最も研究されたテトラスパニンであり、膜の融合、分化、および細胞の運動性を含む複数の細胞の事象で機能することが知られており、転移の鍵となる役割を有していると考えられている。臨床的観察は、CD9のダウンレギュレーションが、固形腫瘍の進行と関連することを示唆している。テトラスパニンは、大きさの異なる2つの細胞外ドメインを表す4つの膜貫通ドメインを含むタンパク質ファミリーを構成しており、血管新生、細胞の遊走、細胞‐細胞の接触および融合を含む多くの生理的な工程に関与している。テトラスパニンの機能は、互いと相互作用し、かつ他の様々な他の表面タンパク質と相互作用することにより、テトラスパニンウェブと呼ばれる分子の相互作用のネットワークを形成する能力に関連すると考えられている。CD9パートナー1(「CD9P−1」、「FPRP」、または「EWI−F」としても知られている)は、CD9、CD81、およびCD151と結合し、よってテトラスパニンの中に局在化する。
【0007】
さらに、CD9P―1の発現が、血管新生に必要であり、タンパク質GS−168AT2(CD9P−1の切断型)は、ヒト内皮細胞(hEC)の増殖、遊走、in vitroおよびin vivoでの血管新生、ならびにin vivoでの腫瘍の増殖を用量依存的に阻害することが示された。特に、CD9P−1の発現の低減において、細胞表面でCD9およびCD151をダウンレギュレートすることによる作用をGS−168AT2が行ったことが提唱された(Colin et al., 2011, British Journal of Cancer, 105:1002−1011)。
【0008】
168A−T2は、CD9、CD151、およびCD9P−1の分解をもたらす、テトラスパニンウェブの強力な混乱を誘導することが示されていた。よって、1つのテトラスパニンのみを特異的に標的化する治療上の解決策を提供することに関心が集まっている。
【0009】
驚くべきことに、本発明者らは、168A−T2の配列の中に含まれている2つのペプチド(以下それぞれSEQ ID NO:1および2のP3およびP4)は、それ自体が抗血管新生活性を実質的に有することを発見した。よって、以下で提示されるデータは、これらペプチドが、血管新生関連疾患の治療のため、より具体的には癌および/または腫瘍を治療するための、主な抗腫瘍剤として、または主な細胞毒性薬に対する付加的な共同療法として使用され得ることを示している。驚くべきことに、上記ペプチドは、CD9およびCD9P−1の細胞内レベルを変化させないまま、CD151の分解のみをもたらすことにより、テトラスパニンウェブ(168A−T2で入手)の破壊(destructuration)からもたらされる有害な作用を限定することが示された。さらに好都合なことに、上記ペプチドは、最先端の抗CD151抗体とは対照的に、細胞が血管新生状態下にある場合のみ(すなわち細胞がCD9−P1を発現する場合のみ)、阻害活性を発揮することが示された。よって、ペプチドP3およびP4は、たとえば、組み換えエンドスタチンの欠点(大量に生成することが困難であること、長期間の保存での生物学的活性の喪失、二次的効果をもたらす患者への投与など)を伴わず、主な血管新生阻害剤であるエンドスタチンの発現を誘導することができるため、今まで知られている癌治療に対する、予測されていなかった有益な代替物を構成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、本発明は、
(i)配列GNYYCSVTPWVKS(SEQ ID NO:1)のペプチドと、
(ii)配列IHSKPVFITVKMDVLNA(SEQ ID NO:2)のペプチドと、
(iii)それらの機能的なフラグメントまたは変異体または誘導体と
からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドを含み、
上記ポリペプチドが、SEQ ID NO:3のうち50未満、40未満、好ましくは30未満、好ましくは20未満の連続したアミノ酸を含む、
ポリペプチドに関する。
【0011】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、抗血管新生活性を有する。
【0012】
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1のペプチドおよびSEQ ID NO:2のペプチドの両方を含む。本発明の特定の実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO:1のペプチドからなる。本発明の別の特定の実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO:2のペプチドからなる。
【0013】
本発明の一実施形態では、上記ポリペプチドは、リン酸基、酢酸基、脂質または糖の基などの1つもしくは複数の官能基の付加により、かつ/または1つもしくは複数の保護基の付加により修飾されている。
【0014】
一実施形態では、上記ポリペプチドは、抗腫瘍活性をさらに有する。
【0015】
さらに本発明は、上述のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。
【0016】
さらに本発明は、上述のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含む医薬組成物に関する。
【0017】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む。
【0018】
さらに本発明は、上述のポリペプチドまたはポリヌクレオチドと、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0019】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの細胞毒性薬、化学療法剤、または抗癌剤をさらに含む。本発明の特定の実施形態では、医薬組成物は、シスプラチンからなる群から選択された白金錯体をさらに含む。
【0020】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの抗血管新生剤をさらに含む。
【0021】
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、
SEQ ID NO:1のペプチドおよびSEQ ID NO:2のペプチドを含むポリペプチド、または
SEQ ID NO:1のペプチドを含む第1のポリペプチドおよびSEQ ID NO:2のペプチドを含む第2のポリペプチド
を含む。
【0022】
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:1のペプチドからなるポリペプチドを含む。本発明の別の特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:2のペプチドからなるポリペプチドを含む。
【0023】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、局所投与、全身投与、経口投与、皮下投与、経皮投与、筋肉内投与、または腹腔内投与に適した形態である。
【0024】
さらに本発明は、血管新生関連疾患の治療に使用するための本発明に係るポリペプチドまたは医薬組成物に関する。
【0025】
一実施形態では、本発明は、ヒトまたは動物の身体における癌および/または腫瘍の治療に使用するための、本発明に係るポリペプチドまたは医薬組成物に関する。
【0026】
一実施形態では、本発明は、癌細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍の治療に使用するための、本発明に係るポリペプチドまたは医薬組成物に関する。
【0027】
一実施形態では、本発明は、その必要がある対象の癌および/または腫瘍の治療に使用するためのポリペプチドまたは医薬組成物に関する。ここでは癌細胞がCD9P−1を発現し、治療の前に、上記対象の癌および/または腫瘍の細胞を含む試料でCD9P−1の発現を試験する。
【0028】
詳細な説明
よって、本発明は、上記ポリペプチドが、ペプチド配列GNYYCSVTPWVKS(P3−SEQ ID NO:1);IHSKPVFITVKMDVLNA(P4−SEQ ID NO:2)を含み、もしくはからなり、またはその機能的なフラグメントもしくは変異体もしくは誘導体であることを特徴とし、上記ポリペプチドが、SEQ ID NO:3のうち50未満、45未満、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満、19未満、18未満、17未満、16未満、15未満、14未満、13未満の連続したアミノ酸を含むことを特徴とする、ポリペプチドを指す。
【0029】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは抗血管新生活性を有する。
【0030】
本明細書中に使用されるように、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2の、またはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2を含むポリペプチドの「機能的なフラグメント」は、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2のフラグメント、またはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2と同一の機能を有する、好ましくはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2の抗血管新生活性を有するSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2を含むポリペプチドのフラグメントを指す。
【0031】
本明細書中に記載されるように、用語「ポリペプチド」は、定義された順序でのアミノ酸の結合であって、少なくとも10、15、20、25、50、75〜100個のアミノ酸のうち、結合から形成された分子を意味する。本発明に係る「単離した」ポリペプチドは、天然の環境から取り除かれたポリペプチド、または当業者により設計されたポリペプチドを指す。
【0032】
一実施形態では、本発明に係るポリペプチドは、少なくとも13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、または100個の長さのアミノ酸を有する。
【0033】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、13〜50個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13〜40個のアミノ酸を含む。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13〜30個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13〜25、24、23、22、または21個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13〜20個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13〜19、18、17、16、15、または14個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13個のアミノ酸を含む(またはからなる)。
【0034】
別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、17〜50個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、17〜40個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、17〜30個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、17〜25、24、23、22、または21個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、17〜20、19、または18個のアミノ酸を含む(またはからなる)。
【0035】
本発明の一実施形態では、上記ペプチドは、50、40、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13のアミノ酸長を有し、SEQ ID NO:1のペプチド配列を含み、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:3のうち、50未満、45未満、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満、19未満、18未満、17未満、16未満、15未満、14未満、13未満の連続したアミノ酸を含む。
【0036】
本発明の別の実施形態では、上記ペプチドが、50、40、30、25、22、20、19、18、17個の長さのアミノ酸を有し、SEQ ID NO:2のペプチド配列を含み、上記ポリペプチドが、SEQ ID NO:3のうち50未満、45未満、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満、19未満、18未満、17未満の連続したアミノ酸を含む。
【0037】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1、およびC末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上のアミノ酸、ならびに/またはN末端に2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上のアミノ酸を含む。
【0038】
本明細書中に使用されるように、「アミノ酸」は、当業者に良く知られている完全名、3文字のコード、または1文字のコードにより表されている。ペプチドのアミノ酸残基は、以下のように略記されている:フェニルアラニンはPheまたはFであり、ロイシンはLeuまたはLであり、イソロイシンはIleまたはIであり、メチオニンはMetまたはMであり、バリンはValまたはVであり、セリンはSerまたはSであり、プロリンはProまたはPであり、スレオニンはThrまたはTであり、アラニンはAlaまたはAであり、チロシンはTyrまたはYであり、ヒスチジンはHisまたはHであり、グルタミンはGlnまたはQであり、アスパラギンはAsnまたはNであり、リジンはLysまたはKであり、アスパラギン酸はAspまたはDであり、グルタミン酸はGluまたはEであり、システインはCysまたはCであり、トリプトファンはTrpまたはWであり、アルギニンはArgまたはRであり、グリシンはGlyまたはGである。
【0039】
本明細書中で使用されるように、用語「アミノ酸」は、天然および合成のアミノ酸の両方、およびDアミノ酸およびLアミノ酸の両方を含む。「標準的なアミノ酸」または「天然に存在するアミノ酸」は、一般的に天然に存在するペプチドで見出される20鎖のLアミノ酸のいずれかを意味する。「非標準的なアミノ酸残基」は、合成して調製されているか、または天然の供給源に由来するかどうかにかかわらず、標準的なアミノ酸以外のいずれかのアミノ酸を意味する。たとえば、ナフチルアラニンは、合成を促進するためにトリプトファンと置換することができる。置換できる他の合成アミノ酸として、限定するものではないが、L−ヒドロキシプロピル、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニル、L−α−ヒドロキシリシル、およびD‐α―メチルアラニル、L−α−メチルアラニルなどのαアミノ酸、βアミノ酸、ならびにイソキノリルが挙げられる。
【0040】
本明細書中で使用されるように、「アミノ酸」は、限定するものではないが、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)、および置換基を含む、化学的に修飾されたアミノ酸をも含む。本発明のポリペプチド内、特にカルボキシ末端またはアミノ末端に含まれるアミノ酸は、本発明のポリペプチドの活性に有害な影響を与えることなく、ポリペプチドの循環半減期を変化させることができる他の化学基とのメチル化、アミド化、アセチル化、または置換により修飾することができる。さらに、ジスルフィド結合が本発明のポリペプチドに存在してもよく、または存在しなくてもよい。
【0041】
本発明のポリペプチドは、天然の標準的なアミノ酸または非標準的なアミノ酸を含んでもよい。ポリペプチドの模倣物は、以下の修飾を有するポリペプチド:i)ペプチジル―C(O)NR結合のうちの1つまたは複数が、CH−カルバメート結合(−CHOC(O)NR−)、ホスホネート結合、−CH−スルホンアミド(−CH−S(O)NR−)結合、尿素(−NHC(O)NH−)結合、−CH−二級アミン結合などの非ペプチジル結合により、またはアルキル化ペプチジル結合(−C(O)NR−)を用いて置換されており、RがC1〜Cアルキルである、ポリペプチド;ii)N末端が、−NRR基、−NRC(O)R基、−NRC(O)OR基、−NRS(O)R基、−NHC(O)NHR基に誘導体化されており、RおよびRが水素であるポリペプチド、またはRおよびRが両方とも水素ではない場合はC〜Cアルキルである、ポリペプチド;iii)C末端が、−C(O)Rに誘導体化されており、Rが、C1〜Cアルコキシおよび−NRからなる群から選択されており、RおよびRが、独立して、水素およびC〜Cアルキルからなる群から選択されている、ポリペプチドを含む。
【0042】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2、またはその変異体を含む。一実施形態では、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の変異体は、抗血管新生活性を有し、好ましくはSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2と等価の抗血管新生活性を有する。
【0043】
一実施形態では、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の変異体は、それぞれSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2と比較して、保存的アミノ酸置換基を含む。
【0044】
本明細書中で使用されるように、用語「保存的アミノ酸置換基」は、以下の5つの群:
I.小分子の脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II.極性の、負に荷電している残基およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln;
III.極性の、正に荷電している残基:His、Arg、Lys;
IV.大分子の、脂肪族、非極性の残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys;
V.大分子の、芳香族残基:Phe、Tyr、Trp
のうちの1つの中でのアミノ酸の交換として定義されている。
【0045】
別の実施形態では、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の変異体は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2と、それぞれ少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有するポリペプチドである。
【0046】
別の実施形態では、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の変異体は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の配列由来の1、2、3、4、または5個のアミノ酸が、存在していない、またはいずれかのアミノ酸により置換されており、1、2、3、4、または5個のアミノ酸(連続している、または連続していない)が添加されているポリペプチドである。
【0047】
2つ以上のポリペプチドの配列間の関係で使用される場合の用語「同一性」または「同一である」は、2つ以上のアミノ酸残基の鎖の間での一致数により決定される、ポリペプチド間の配列の関係性の度合いを指す。「同一性」は、特定の数学的なモデルまたはコンピュータプログラム(すなわちアルゴリズム)により提示されるギャップアライメント(ある場合には)と2つ以上の配列の小さな配列間での同一性の一致のパーセントを測定する。関連するポリペプチドの同一性は、既知の方法により容易に計算することができる。このような方法として、限定するものではないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991;およびCarillo et al., SIAM J. Applied Math. 48, 1073 (1988)に記載される方法が挙げられる。好ましい同一性を決定する方法は、試験した配列間で最も大きな一致を得るように設計されている。同一性を決定する方法は、公開されているコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定する好ましいコンピュータプログラム方法として、GAP(Devereux et al., Nucl. Acid. Res. /2, 387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul et al., J. MoI. Biol. 215, 403−410 (1990))を含むGCCプログラムパッケージが挙げられる。BLASTXプログラムは、国立生物工学情報センター(NCBI)および他の供給源(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul et al., supra)から公開されている。またよく知られたSmith Watermanアルゴリズムも、同一性を決定するために使用してもよい。
【0048】
本明細書中で記載されるポリペプチドは、当業者に良く知られているように化学的合成または酵素的合成により合成して作製することができる。あるいは、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、タンパク質発現ベクターに導入し、かつ適切な宿主生物(たとえば細菌、昆虫細胞など)で産生させ、次に精製することができる。追加的なポリペプチド(「タグ」)を、ポリペプチドを精製または同定または精製するために付加することができる。タンパク質のタグにより、たとえばポリペプチドを高い親和性でマトリックスに吸着させ、次に複合体を全く溶出させることなく適切なバッファーでストリンジェント洗浄し、その後、吸着した複合体を選択的に溶出させることが可能となる。当業者に知られているタンパク質タグの例として、(His)タグ、Mycタグ、FLAGタグ、赤血球凝集素タグ、グルタチオントランスフェラーゼ(GST)タグ、親和性キチン結合タグを有するインテイン、またはマルトース結合タンパク質(MBP)タグがある。これらのタンパク質タグは、N末端、C末端、および/または内部に位置することができる。
【0049】
本発明の一実施形態では、上記の本明細書中で記載されるポリペプチドは、たとえば、リン酸基、酢酸基、脂質または糖の基などの1つもしくは複数の官能基の付加により、および/または1つもしくは複数の保護基の付加により、当該分野でよく知られた方法により修飾されている。
【0050】
たとえば、ポリペプチドは、リン酸塩、酢酸塩、または様々な脂質および糖などの1つまたは複数の官能基の付加により修飾することができる。また本発明のポリペプチドは、ポリペプチド誘導体として存在することもできる。用語「ポリペプチド誘導体」は、アミノ基(−−NH−−)、より具体的にはペプチド結合を有する化合物を指す。ポリペプチドは、置換されたアミドとみなされてもよい。アミド基のように、ペプチド結合は、高い度合いの共鳴安定化を示す。ペプチド結合のC−N単結合は、概して、約40%の二重結合の特徴を有し、C=O二重結合は、約40%の単結合の特徴を有する。「保護基」は、保護されていない官能基が関与する望ましくない反応(タンパク質分解など)を防止する基である。アミノ保護基の特定の例として、ホルミル;トリフルオロアセチル;ベンジルオキシカルボニル;(オルトまたはパラ)クロロベンジルオキシカルボニルおよび(オルトまたはパラ)ブロモベンジルオキシカルボニルなどの置換ベンジルオキシカルボニル;およびt−ブトキシカルボニルおよびt−アミルオキシカルボニル(amiloxycarbonyl)などの脂肪族オキシカルボニルが挙げられる。アミノ酸のカルボキシル基は、エステル基への変換により保護することができる。エステル基は、ベンジルエステル、メトキシベンジルエステルなどの置換ベンジルエステル;シクロヘキシルエステル、シクロヘプチルエステル、またはt−ブチルエステルなどのアルキルエステルを含む。グアニジノ部分は、たとえ保護基を必要としなくても、ニトロ;またはトシル、メトキシベンゼンスルホニル、もしくはメチレンスルホニルなどのアリールスルホニルにより保護されてもよい。イミダゾールの保護基として、トシル、ベンジル、およびジニトロフェニルが挙げられる。トリプトファンのインドール基は、ホルミル基により保護されていてよく、または保護されていなくてもよい。
【0051】
ポリペプチドの修飾は、特に、in vivoでのポリペプチドの寿命を改善することを目的としている。ある種類の修飾は、ポリエチレングリコール(PEG)のポリペプチドのN末端またはC末端への付加である。PEGは、高い水溶性、溶液中の高い移動性、および低い免疫原性などのポリペプチドにとって理想的キャリアーとなる多くの特性を有することが、当業者に知られている。またこの修飾は、エキソペプチターゼからポリペプチドを保護することにより、in vitroでのポリペプチド全体の安定性を上げる。
【0052】
エンドペプチダーゼまたはエキソペプチターゼによるポリペプチドの分解を防止するために使用される他の修飾は、アセチル化またはグリコシル化などのN末端の修飾、アミド化などのC末端の修飾、ならびにポリペプチド内の特定の部位の非天然のアミノ酸(βアミノ酸およびα−トリフルオロメチルアミノ酸)の使用を含む。
【0053】
ポリペプチドの分子の大きさを増大するための別の代替例として、ヒトのガンマ免疫グロブリンのFcドメインへのポリペプチドの遺伝的融合、またはアルブミンへのポリペプチドの融合がある。
【0054】
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1のペプチドおよびSEQ ID NO:2のペプチドの両方を含む。一実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:2のペプチドに融合したSEQ ID NO:1のペプチドを含む。一実施形態では、本発明のポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のアミノ酸のアミノ酸配列に対応する、リンカーにより分離したSEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2を含む、またはからなる。一実施形態では、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2は、本発明のポリペプチドにおいて同一に配向している。別の実施形態では、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2は、本発明のポリペプチドで対向して配向している。
【0055】
本発明の別の特定の実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO:1のペプチドからなる。本発明の別の特定の実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO:2のペプチドからなる。
【0056】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1または2のペプチドからなり、かつペグ化されている。
【0057】
本発明の別の目的は、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む組成物である。
【0058】
本発明の別の目的は、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせた、本明細書中に上述するポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む医薬組成物である。
【0059】
本発明の別の目的は、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む薬物である。
【0060】
用語「薬学的に許容可能な」は、過剰な毒性を伴うことなく哺乳類に投与され得る化合物および組成物を指す。よって、「薬学的に許容可能な賦形剤」は、動物、好ましくはヒトに投与される場合に、逆反応、アレルギー反応、または他の望ましくない反応を生じない賦形剤を指す。これは、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤などを含む。ヒトの投与では、調製物は、たとえばFDA局またはEMAなどの規制局により要求されている無菌性、発熱性、一般的な安全性、および純度基準と一致すべきである。
【0061】
適切な賦形剤として、水、生理食塩水、リンガー溶液、ブドウ糖溶液、およびエタノール溶液、グルコース、スクロース、デキストラン、マンノース、マンニトール、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸塩、酢酸塩、ゼラチン、コラーゲン、Carbopol(登録商標)、植物油などが挙げられる。さらに、適切な保存剤、安定剤、抗酸化剤、抗菌剤、およびたとえばBHA、BHT、クエン酸、アスコルビン酸、テトラサイクリンなどの緩衝剤などを含んでもよい。
【0062】
本発明の組成物に使用し得る薬学的に許容可能な賦形剤の他の例として、限定するものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、プロタミンスルファート、リン酸水素、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛の塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの塩または電解質、ポリアクレート、ワックス、ポリエチレン‐ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられる。
【0063】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、たとえば界面活性剤(たとえばヒドロキシプロピルセルロース;たとえば水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、および液体のポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、およびたとえばピーナッツ油およびゴマ油などの植物油を含む溶媒および分散媒体などの適切なキャリアー;たとえば糖または塩化ナトリウムなどの等張剤;たとえばレシチンなどのコーティング剤;たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収遅延剤;たとえば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、チメロサールなどの保存剤;たとえばホウ酸、および炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウムおよびホウ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのバッファー;たとえばデキストラン40、デキストラン70、ブドウ糖、グリセリン、塩化カリウム、プロピレングリコール、塩化ナトリウムなどの等張化剤;たとえば亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素などの抗酸化剤および安定剤;たとえばポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロクサマー282、およびチロキサポールなどの非イオン性湿潤剤または清澄剤;たとえばデキストラン40、デキストラン70、ゼラチン、グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース(ydroxmethylpropylcellulose)、ラノリン、メチルセルロース、ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースなどの粘度変性剤などのいくつかの賦形剤を含んでもよい。
【0064】
一実施形態では、組成物、医薬組成物、または薬物は、ポリペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。
【0065】
薬学的に許容可能な塩として、無機塩基を含む塩、有機塩基を含む塩、無機酸を含む塩、有機酸を含む塩、塩基性または酸性のアミノ酸を含む塩などが挙げられる。無機塩基を含む塩の例として、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;ならびにアンモニウム塩が挙げられる。有機塩基を含む塩の例として、トリメチルアミンを含む塩、トリエチルアミンを含む塩、ピリジンを含む塩、ピコリンを含む塩、2,6−ルチジンを含む塩、エタノールアミンを含む塩、ジエタノールアミンを含む塩、トリエタノールアミンを含む塩、シクロヘキシルアミンを含む塩、ジシクロヘキシルアミンを含む塩、およびN,N’‐ジベンジルエチレンジアミンを含む塩が挙げられる。無機酸を含む塩の例として、塩酸を含む塩、ホウ酸を含む塩、硝酸を含む塩、硫酸を含む塩、およびリン酸を含む塩が挙げられる。有機酸を含む塩の例として、ギ酸を含む塩、酢酸を含む塩、トリフルオロ酢酸を含む塩、フタル酸を含む塩、フマル酸を含む塩、シュウ酸を含む塩、酒石酸を含む塩、マレイン酸を含む塩、クエン酸を含む塩、コハク酸を含む塩、リンゴ酸を含む塩、メタンスルホン酸を含む塩、ベンゼンスルホン酸を含む塩、およびp−トルエンスルホン酸を含む塩が挙げられる。塩基性アミノ酸を含む塩の例として、アルギニンを含む塩、リジンを含む塩、およびオルニチンを含む塩を含む塩が挙げられる。酸性アミノ酸を含む塩の例として、アスパラギン酸を含む塩およびグルタミン酸を含む塩が挙げられる。適切な塩の列挙は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., p 1418, 1985に開示されており、この開示全体が、参照として本明細書中に援用されている。
【0066】
一実施形態では、薬物、組成物、または医薬組成物に存在する本発明のポリペプチドの量は、血管新生関連疾患を治療するため、好ましくは癌および/または腫瘍および/または感受性の癌および/または感受性の腫瘍を治療するために有効である。好ましくは、ポリペプチドは、薬物または組成物中で、0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%の量で存在する。この量は、当業者によりルーチンで調節可能であり、ここで当業者は回復させる患者に投与するための最良な量を選択することができる。
【0067】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、本明細書に上述したポリペプチドを少なくとも10mg、好ましくは少なくとも20mg、より好ましくは少なくとも50mgを含む。好ましい実施形態では、組成物、医薬組成物、または薬物は、本発明のポリペプチドを10〜3000mg、好ましくは50〜2000mg、より好ましくは100〜1500mg含む。
【0068】
特定の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、SEQ ID NO:1のペプチドからなるポリペプチドを含む。本発明の別の特定の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、SEQ ID NO:2のペプチドからなるポリペプチドを含む。本発明の別の特定の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、ペグ化されているSEQ ID NO:1または2のペプチドからなるポリペプチドを含む。
【0069】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、SEQ ID NO:1のペプチド、およびSEQ ID NO:2のペプチドの2つのペプチドを含む、本明細書中上述したポリペプチドを含む。
【0070】
別の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、SEQ ID NO:1のペプチドを含む第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:2のペプチドを含む第2のポリペプチドの2つのポリペプチドを含む。別の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、SEQ ID NO:1のペプチドからなる第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:2のペプチドからなる第2のポリペプチドの2つのポリペプチドを含む。
【0071】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物に含まれている唯一の活性成分である。
【0072】
別の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、別の活性成分をさらに含み、よって本発明のポリペプチドは、上記別の活性成分に付加的な治療剤であってもよい。
【0073】
本発明の特定の実施形態では、組成物、医薬組成物、または薬物は、細胞毒性薬、化学療法剤、または抗癌剤をさらに含む。
【0074】
抗癌剤の例として、限定するものではないが、たとえばシクロホスファミド(CTX;たとえばCYTOXAN(登録商標))、クロラムブシル(CHL;たとえばLEUKERAN(登録商標))、シスプラチン(CisP;たとえばPLATINOL(登録商標))、オキサリプラチン(たとえばELOXATIN(商標))、ブスルファン(たとえばMYLERAN(登録商標))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンCなどのアルキル化反応を伴うアルキル化剤など;たとえばメトトレキサート(MTX)、エトポシド(VP16;たとえばVEPESID(登録商標))、6−メルカプトプリン(6MP)、6−チオグアニン(thiocguanine)(6TG)、シタラビン(Ara−C)、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(たとえばXELODA(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)などの代謝拮抗剤など;たとえば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;たとえばADRIAMYCIN(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミスラマイシンなどの抗生剤など;たとえばビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチンといったビンカアルカロイドなどのアルカロイド類など;たとえばパクリタキセル(たとえばTAXOL(登録商標))およびパクリタキセル誘導体などの他の抗腫瘍剤、細胞分裂阻害剤、デキサメタゾン(DEX;たとえばDECADRON(登録商標))などのグルココルチコイド、およびたとえばプレドニゾンなどのコルチコステロイド、たとえばヒドロキシ尿素などのヌクレオシド酵素阻害剤、たとえばアスパラギナーゼなどのアミノ酸欠失酵素、ロイコボリン、フォリン酸、ラルチトレキセドおよび他の葉酸誘導体、ならびに類似の様々な抗腫瘍剤が挙げられる。また以下の薬剤:アミホスチン(たとえばETHYOL(登録商標))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(lornustine)(CCNU)、ドキソルビシンリポ(たとえばDOXIL(登録商標))、ゲムシタビン(たとえばGEMZAR(登録商標))、ダウノルビシンリポ(たとえばDAUNOXOME(登録商標))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(たとえばTAXOTERE(登録商標))、アルデスロイキン、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、10−ヒドロキシ 7−エチル−カンプトテシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンα、インターフェロンβ、ミトキサントロン、トポテカン、リュープロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペグアスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、またはクロラムブシルを、追加的な薬剤として使用してもよい。
【0075】
好ましい実施形態では、医薬組成物は白金錯体をさらに含む、上記白金錯体は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン(triplatin)、リポプラチン(lipoplatin)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0076】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明に係る少なくとも1つのポリペプチドとシスプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明に係る少なくとも1つのポリペプチドとカルボプラチンとを含む。
【0077】
好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:1のポリペプチド(P3)とシスプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:2のポリペプチド(P4)とシスプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:1のポリペプチド(P3)と、SEQ ID NO:2のポリペプチド(P4)と、シスプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:1のポリペプチド(P3)と、カルボプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:2のポリペプチド(P4)と、カルボプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:1のポリペプチド(P3)と、SEQ ID NO:2のポリペプチド(P4)と、カルボプラチンとを含む。
【0078】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、抗血管新生剤をさらに含む。抗血管新生剤の例として、限定するものではないが、抗VEGF−A、抗VEGFR(VEGFR−1、VEGFR−2またはVEGFR−3)、抗PDGFR(αまたはβ)、抗EGFR、抗c−KITが挙げられる。一実施形態では、上記抗血管形成剤は、ベバシズマブ、ラニビズマブ、ペガプタニブ、VEGFトラップ、アキシチニブ、イマチニブ、バタラニブ、ソラフェニブ、セマクサニブ、スニチニブ、バンデタニブ、アンジオスタチン、エンドスタチン、トロンボスポンジン−1、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0079】
本発明の別の目的は、血管新生関連疾患を治療するため、好ましくはヒトまたは動物の身体の癌および/または腫瘍を治療するための本明細書中上述したポリペプチドまたは本明細書中上述した医薬組成物である。
【0080】
一実施形態では、本発明は、癌細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍の治療に使用するための、本発明に係るポリペプチドまたは医薬組成物に関する。
【0081】
本明細書中で使用されるように、用語「治療する」は、特定の障害もしくは疾患の予防、または特定の障害もしくは病態に関連する症状の軽減、および/または上記症状の予防もしくは排除を含む。よって、一実施形態では、用語「治療」は、治療的処置、および目的が標的化された病態または障害を予防または遅延(和らげる)ことである予防的(prophylacticまたはpreventative)手段の両方を指す。治療を必要とする対象は、すでに障害を有している対象および障害を有する傾向がある対象、または障害を予防すべき対象を含む。本発明に係るポリペプチドの治療量を投与した後に、患者が、以下:病原体の細胞数の減少;病原性のある細胞の総数のパーセントの減少;および/または特定の疾患または病態に関連する症状の1つまたは複数のある程度までの緩和;罹患率および死亡率の低下;ならびに生活の質の問題の改善のうちの1つまたは複数における、観察可能かつ/または測定可能な減少または不存在を示す場合に、対象または哺乳類は、感染症に関して成功して「治療」されている。疾患における治療の成功および改善を評価するための上記のパラメータは、医師によく知られているルーチンの手法により容易に測定可能である。
【0082】
「予防的」処置は、疾患に関連した病態を発症するリスクを低下させる目的のために、疾患の徴候を呈していない対象または疾患の初期の徴候のみを呈する対象に投与する治療である。「治療的」処置は、これらの徴候を減少または排除させる目的のために、病態の徴候を呈する対象に投与する治療である。
【0083】
化合物の「治療上有効量」は、化合物を投与する対象に有益な効果を提供するために十分な化合物の量である。よって、一実施形態では、「治療上有効量」は、疾患もしくは病態の1つもしくは複数の症状の進行、悪化、もしくは増悪を遅延もしくは停止するため、または、疾患もしくは病態の症状を軽減するため、または疾患もしくは病態を治癒するために必要かつ十分な本発明のポリペプチドの量に関する。
【0084】
本発明の別の目的は、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療するための方法であって、本発明のポリペプチドの少なくとも1つの治療上有効量を、その必要がある対象に投与することを含む、方法である。
【0085】
一実施形態では、本発明の方法は、血管新生を阻害することにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する方法である。別の実施形態では、本発明の方法は、内皮細胞の増殖、遊走および/または毛細血管への分化を阻害することにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する方法である。別の実施形態では、本発明の方法は、エンドスタチンの産生を増大させることにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する方法である。
【0086】
別の実施形態では、本発明の方法は、腫瘍の増殖を阻害させる、かつ/もしくは腫瘍容積を限定もしくは減少させることにより、癌および/または腫瘍を治療する方法である。別の実施形態では、本発明の方法は、CD9、CD9P−1、およびCD81の細胞内レベルを変化させないまま、CD151の分解をもたらすことにより、癌および/または腫瘍、好ましくは癌および/または腫瘍の細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍を治療する方法に関する。別の実施形態では、本発明の方法は、CD9P−1とCD9との間、および/またはCD9P−1とCD151との間、および/またはCD9とCD151との間の相互作用を減少または阻害することにより、癌および/または腫瘍、好ましくは癌および/または腫瘍の細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍を治療する方法である。
【0087】
本発明の別の目的は、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療するため、または治療に使用するための、本明細書中上述したポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物である。
【0088】
好ましい実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物は、癌細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍の治療に使用するためのものである。一実施形態では、CD9P−1の発現が、治療の前に対象から入手した癌および/または腫瘍の細胞を含む試料で試験されている。
【0089】
一実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物は、血管新生を阻害することにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。別の実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、または薬物は、内皮細胞の増殖、遊走、および毛細血管への分化を阻害することにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。別の実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、または薬物は、エンドスタチンの産生を増大させることにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。
【0090】
別の実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物は、腫瘍の増殖を阻害、かつ/または腫瘍容積を限定もしくは減少させることにより、癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。別の実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、または薬物は、CD9、CD9P−1、およびCD81の細胞内レベルを変化させないまま、CD151の分解をもたらすことにより、癌および/または腫瘍、好ましくは癌および/または腫瘍の細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。別の実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、または薬物は、CD9P−1とCD9との間、および/または、CD9P−1とCD151との間、および/またはCD9とCD151との間の相互作用を減少または阻害させることにより、癌および/または腫瘍、好ましくは癌および/または腫瘍の細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。
【0091】
本発明によると、対象は、任意の動物、好ましくはヒトであってもよい。
【0092】
「治療上有効用量または治療上有効量」は、所望の生物学的結果を誘導するために十分な用量レベルを指す。この結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因の軽減、または他のいずれかの望ましい生物学的なシステムの変化とすることができる。好ましくは、この用量または量は、癌細胞を殺傷することにより癌性病態を軽減するためには十分であり、さらに癌の増殖および/または転移の阻害をもたらす効果をも有する。
【0093】
一実施形態では、本発明の方法は、本明細書中に上述のポリペプチドを少なくとも10mg、好ましくは少なくとも20mg、より好ましくは少なくとも50mgの投与を含む。好ましい実施形態では、本発明の方法は、10〜3000mg、好ましくは50〜2000mg、より好ましくは100〜1500mgの本発明のポリペプチドの投与を含む。
【0094】
一実施形態では、本発明に係る使用のための組成物、医薬組成物、または薬物は、少なくとも10mg、好ましくは少なくとも20mg、より好ましくは少なくとも50mgの量で投与される。好ましい実施形態では、本発明に係る使用のためのポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物は、10〜3000mg、好ましくは50〜2000mg、より好ましくは100〜1500mgの量で投与される。
【0095】
本発明の一態様では、本発明に係るポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物の治療上有効量は、約1〜約50mg/kg/日、好ましくは約3〜約40mg/kg/日、より好ましくは約5〜約30mg/kg/日、の範囲である。
【0096】
一実施形態では、本発明に係る使用のためのポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物は、1日に1回もしくは2回、または1週間に1、2、3、4、5、6回投与される。特定の実施形態では、本発明に係る使用のためのポリペプチド、組成物、または薬物は、少なくとも7日間、好ましくは少なくとも10日間、より好ましくは少なくとも12日間毎日投与される。
【0097】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療され得る癌として、限定するものではないが、
心臓性癌:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫およびテラトーマ;
肺癌:非小細胞肺癌、気管支原性肺癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫(chondromatosis hamartoma)、中皮腫;
胃腸癌:食道(扁平上皮癌、細胞腫、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(細胞腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管状腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結腸直腸、直腸;
泌尿生殖器癌:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍(Wihn’s tumor)[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、テラトーマ、胚性癌腫、テラトカルシノーマ、絨毛癌、肉腫、間質細胞腫、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);
肝臓癌:肝細胞腫(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;
骨癌:骨肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症(osteocartilaginous exostoses))、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液性線維腫、類骨腫および巨細胞腫;
神経系癌:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);
婦人科癌:子宮(子宮内膜癌)、頸部(子宮頸癌、腫瘍誘導性子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の腺癌]、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ−ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性テラトーマ)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、腟(腎明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫[胎児性横紋筋肉腫]、卵管[細胞腫]);
血液系癌:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];
皮膚癌:悪性メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫(Karposi´s sarcoma)、黒子異型母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;ならびに
副腎の癌;神経芽細胞種
が挙げられる。
【0098】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌として、限定するものではないが、乳癌、前立腺癌、結腸癌、結腸直腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、脳癌、精巣癌、胃癌、膵臓癌、皮膚癌、小腸癌、大腸癌、咽頭癌、頭頸部癌、口腔癌、骨癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、甲状腺癌、および血液癌が挙げられる。
【0099】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌として、乳癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌、および非小細胞肺癌が挙げられる。
【0100】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌として、乳癌、結腸癌(結腸直腸癌)、および肺癌(非小細胞肺癌)が挙げられる。
【0101】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌として、リンパ腫および白血病が挙げられる。
【0102】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌は、乳癌(細胞腫)、膀胱の細胞腫、結腸の細胞腫、口腔腫瘍、進行型の腫瘍、ヘアリーセル白血病、メラノーマ、進行型の頭頸部癌、転移性腎臓細胞、非ホジキンリンパ腫、転移性乳癌、乳腺癌、進行型メラノーマ、膵臓癌、胃癌、神経膠芽腫、肺癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎細胞腫、様々な固形腫瘍、多発性骨髄腫、転移性前立腺癌、悪性神経膠腫、腎細胞癌、リンパ腫、難治性転移性疾患、難治性多発性骨髄腫、子宮頸癌、カポジ肉腫、再発性未分化神経膠腫、および転移性結腸癌が挙げられる。
【0103】
好ましくは、本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌として、限定するものではないが、乳癌、カルチノイド、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、神経膠腫、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、メラノーマ、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、皮膚癌、胃癌、甲状腺癌、および/または尿路上皮癌が挙げられる。
【0104】
特定の実施形態では、本発明のペプチド、組成物、および方法により治療される癌は肺癌である。
【0105】
本発明のポリペプチド、組成物、および方法は、腫瘍細胞の転移を予防または減少させるようにも意図されている。
【0106】
さらに、血管新生が関連する疾患を治療または予防する方法であって、本発明のポリペプチドの治療上有効量を当該治療の必要がある対象に投与することを含む方法は、本発明の範囲内にある。
【0107】
血管新生関連疾患は、眼性血管新生疾患(たとえば虚血性網膜症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、角膜血管新生、血管新生緑内障)、アテローム性動脈硬化、関節炎、乾癬、肥満、およびアルツハイマー病が挙げられる。
【0108】
本発明によると、本発明のポリペプチドは、経口投与、局所投与、または皮下注射、経皮注射、もしくは筋肉内注射、徐放性製剤の移植、静脈内注射、鼻腔内投与などを含む非経口手段により、投与してもよい。
【0109】
本発明によると、本発明のポリペプチドを含む組成物は、水溶液、エマルジョン、クリーム、軟膏、懸濁剤、ゲル、リポソーム懸濁剤などであってもよい。
【0110】
本発明の別の実施形態では、本発明のポリペプチドの少なくとも1つを含む組成物を、相乗的な活性を提供するために、たとえば抗血管新生剤、細胞毒性薬、化学療法剤、または抗癌剤などの血管新生関連疾患を治療するための少なくとも1つの他の活性成分と併用して使用してもよい。本発明の一態様では、本発明のポリペプチドまたはポリペプチドの少なくとも1つを含む組成物は、血管新生関連疾患の治療のため、より具体的には癌および/または腫瘍を治療するための、主要の抗血管新生剤、細胞毒性薬、化学療法剤、または抗癌剤にとって付加的な相乗的な治療として使用してもよい。
【0111】
「相乗的な」は、有効成分を併用した効果の全体が、各有効成分の別々での効果よりも高いことを意味する。「付加的な相乗的な治療」は、単剤治療の治療上の効果を改善する相補的な作用機構を伴う薬剤を用いた併用療法を意味する。
【0112】
抗癌剤の例として、限定するものではないが、たとえばシクロホスファミド(CTX;たとえばCYTOXAN(登録商標))、クロラムブシル(CHL;たとえばLEUKERAN(登録商標))、シスプラチン(CisP;たとえばPLATINOL(登録商標))、オキサリプラチン(たとえばELOXATIN(商標))、ブスルファン(たとえばMYLERAN(登録商標))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンCなどのアルキル化反応を伴うアルキル化剤など;たとえばメトトレキサート(MTX)、エトポシド(VP16;たとえばVEPESID(登録商標))、6−メルカプトプリン(6MP)、6−チオグアニン(thiocguanine)(6TG)、シタラビン(Ara−C)、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(たとえばXELODA(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)などの代謝拮抗剤など;たとえば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;たとえばADRIAMYCIN(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミスラマイシンなどの抗生剤など;たとえばビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチンといったビンカアルカロイドなどのアルカロイドなど;ならびにたとえばパクリタキセル(たとえばTAXOL(登録商標))およびパクリタキセル誘導体などの他の抗腫瘍剤、細胞分裂阻害剤、デキサメタゾン(DEX;たとえばDECADRON(登録商標))などのグルココルチコイド、たとえばプレドニゾンなどのコルチコステロイド、たとえばヒドロキシ尿素などのヌクレオシド酵素阻害剤、たとえばアスパラギナーゼなどのアミノ酸欠失酵素、ロイコボリン、フォリン酸、ラルチトレキセド、および他の葉酸誘導体、および類似の様々な抗腫瘍剤が挙げられる。以下の薬剤:アミホスチン(たとえばETHYOL(登録商標))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(lornustine)(CCNU)、ドキソルビシンリポ(たとえばDOXIL(登録商標))、ゲムシタビン(たとえばGEMZAR(登録商標))、ダウノルビシンリポ(たとえばDAUNOXOME(登録商標))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(たとえばTAXOTERE(登録商標))、アルデスロイキン、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、10−ヒドロキシ 7−エチル−カンプトテシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンα、インターフェロンβ、ミトキサントロン、トポテカン、リュープロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペグアスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、またはクロラムブシルを、追加的な薬剤として使用してもよい。
【0113】
化学療法のレジメンにおける上述の細胞毒性薬、化学療法剤、および他の抗癌剤の用途は、癌治療の分野では一般的に良好に特徴づけられており、本明細書中のこれらの用途は、一部を調整しつつ、耐性および有効性のモニタリングおよび投与経路および用量の制御を行うための同じ考えの下にある。有効な細胞毒性薬の典型的な用量は、製造社が推奨する範囲とすることができ、ここでin vitroで表される応答または動物モデルでの応答は、最大約1桁の濃度および/または量だけ減少することができる。よって、実際の用量は、培養した主要の悪性細胞または組織培養した組織試料のin vitroでの応答性、または適切な動物モデルで観察される応答に基づく、医師の判断、患者の病態、および治療方法の有効性に依存する。
【0114】
特定の実施形態では、上述の治療方法に関連した本発明は、少なくとも1つの抗新生物剤または抗腫瘍剤を投与することをさらに含む。
【0115】
特定の実施形態では、本発明は、
上述の少なくとも1つのポリペプチド、好ましくはP3(SEQ ID NO:1)またはP4(SEQ ID NO:2);および
白金錯体
の有効量を、治療の必要がある対象に投与することを含む治療方法であって、
好ましくは、上記有効量が、癌または腫瘍の増殖を阻害するために十分である、
方法に関する。
【0116】
上記白金錯体は、好ましくは、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、リポプラチン(lipoplatin)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0117】
驚くべきことに、本出願人は、SEQ ID NO:1からなるポリペプチドおよび白金錯体を両方投与することにより相乗効果が示されたことを発見した。
【0118】
一実施形態では、上記ポリペプチドおよび上記白金錯体は同時に投与される。別の実施形態では、上記ポリペプチドおよび上記白金錯体は、順次投与される。好ましくは、上記ポリペプチドおよび上記白金錯体は、別々の経路により投与される。
【0119】
本発明の治療方法の特定の実施形態では、治療すべき対象を、CD9P−1を発現する癌細胞の存在に関して試験する、またはあらかじめ試験した。
【0120】
上記CD9P−1を発現する癌細胞の同定を、たとえばCD9P−1に特異的なプライマー、配列、抗体を使用した、免疫組織化学的検査、PCR、in situでのハイブリダイゼーションなどの当該分野でよく知られたいずれかの方法により実行してもよい。抗CD9P−1抗体の例として、以下のSAB2700379、PA017074(Sigma)がある。
【0121】
本発明の目的は、本発明の治療の必要がある対象を選択するための診断キットである。一実施形態では、上記診断キットは、CD9P−1の発現を測定するためのイムノアッセイ試薬、またはプライマー、または配列を含む。CD9P−1は、コンパニオン診断試験のためのバイオマーカーとして使用される。
【0122】
本発明の別の目的は、その必要がある対象において癌を治療する方法であって、
上記対象において、CD9P−1を発現する癌細胞の存在を評価することと、
CD9P−1を発現する癌細胞が検出される場合、次に、本明細書中上述するように上記対象を治療することと
を含む、方法である。
【0123】
本発明の別の目的は、その必要がある対象において癌を治療する方法であって、
治療前に、CD9P−1を発現する癌細胞の存在を検出することを含む、上記対象のコンパニオン診断試験を行うことと、
コンパニオン診断試験の陽性的な結果により、本明細書中上述するように上記対象を治療することと
を含む、方法である。
【0124】
また本発明は、癌細胞および/または腫瘍細胞がCD9P−1を発現する、その必要がある対象における癌および/または腫瘍を治療する方法に関する。
【0125】
本発明は、続く実験の詳細から良好に理解されるものである。しかしながら、当業者は、論述されている特定の方法および結果が、以下に続く特許請求の範囲により完全に記載される本発明の単なる例示であり、これに限定されるようには全く考えられていないことを容易に理解するものである。
【図面の簡単な説明】
【0126】
図1】ペプチド3および4によるHUVEC増殖の用量依存的な阻害を示すグラフである。ヒト内皮細胞の増殖は、溶媒の存在下で培養したHUVECからなる対照の増殖のパーセンテージで表されており、ペプチド濃度(μM)の関数として表されている。ペプチドPCR(ペプチド対照)、P3、およびP4で得た結果が比較されている。
図2】Matrigel(登録商標)細胞外マトリックス上で培養したHUVECによる毛細血管ネットワークの形成にわたる、ペプチド3および4の阻害を示す写真である。毛細血管ネットワークは、顕微鏡(倍率40倍)を用いて、カルセインで蛍光標識することにより裏付けられている。この結果は、6.5μM、13μM、および33μMのペプチド濃度に関して示されている。溶媒は、対照として使用されている。
図3】P3によるHUVECの阻害を示す写真である。のみの先端で作製した創傷にわたるHEUVECの遊走が、溶媒(対照)、PCT(66μM)、またはP3(13μM、33μM、および66μM)の存在下でt=0時間およびt=20時間で比較されている。
図4】腫瘍細胞を多く含み、かつ、ペプチドP3、P4、P1(10mg/kg)の腹腔内注射、または溶媒単独により12時間処置したスイス‐ヌード/ヌードマウスに皮下移植したmatrigel(登録商標)インプラントで測定したヘモグロビンのレベルを示すヒストグラムである。※※p<0.01。
図5】スイス‐ヌード/ヌードマウスに移植したNCI−H460細胞の腫瘍の増殖に関するin vivoでのペプチド溶媒およびP3の作用を示すヒストグラムである。腫瘍容積(mm)は、試験したペプチドの関数として表されている。溶媒は対照として使用されている。※※<0.01
図6】P3および/またはシスプライチンの作用の下での腫瘍の増殖のin vivoでの阻害を示すヒトグラムである。治療(13日間)の完了時の腫瘍容積(mm)は、投与した治療の関数として表されている。PCT:対照ペプチド;cis:シスプラチン;n.s:非有意性
図7】UMUC−3腫瘍細胞のライセート上のCD9P−1の発現を示すウェスタンブロットの写真である。タンパク質の量を増加して充填した。レーン1:10μg、レーン2:20μg、レーン3:30μg、レーン4:40μg、レーン5:50μg、レーン6:60μg、レーン7:25μgのBT20ライセート(陽性対照)。ラインAのウェスタンブロットは、抗CD9P−1モノクローナル抗体を用いて行った。ラインBのウェスタンブロットは、抗アクチンモモノクローナル抗体を用いて行った。
図8】UMUC−3細胞のin vivoでの腫瘍の増殖に関して、併用または単独で投与されたペプチドP3およびシスプラチンの作用を示すヒストグラムである。ヒストグラムは、行った治療の関数として治療(13日間)の完了時の腫瘍容積(mm)の分布を示す。溶媒は、対照として使用した。n.s.:非有意性;※p<0.05
図9図9Aは、GS―168AT2と共にインキュベートしたHUVECにおけるCD9の分解を示す写真である。列は、インキュベーションから1分後、15分後、30分後、1時間後、または3時間後の抗CD9抗体を用いて得たウェスタンブロットの結果に対応する。 図9Bは、GS−168AT2と共にインキュベートしたHUVECにおけるCD9の分解を示すヒストグラムである。ウェスタンブロットにおけるCD9に対応するバンドは、定量化されており、GAPDHに関して正規化されており、ビヒクルでインキュベートしたHUVECに関するパーセンテージで表されている。CD9の量は、試験したペプチドの関数として表されている。 図9Cは、ビヒクルまたはGS−168AT2と共にインキュベートしたHUVECにおけるCD151の分解を示す写真である。上部から下部までのラインは、抗CD151抗体、抗CD81抗体、および抗GAPDH抗体を用いて得たウェスタンブロットの結果に対応する。 図9Dは、GS−168AT2と共にインキュベートしたHUVECにおけるCD151の分解を示すヒストグラムである。ウェスタンブロットにおけるCD151に対応するバンドは、定量化されており、GAPDHに関して正規化されており、ビヒクルと共にインキュベートしたHUVECに関するパーセンテージで表されている。CD151の量は、試験したペプチドの関数として表されている。 図9E:GS−168AT2と共にインキュベートしたヒトのECにおけるCD81の分解を示すヒストグラムである。ウェスタンブロットにおけるCD81に対応するバンドは、定量化されており、GAPDHに関して正規されており、ビヒクルでインキュベートしたHUVECに関するパーセンテージで表されている。CD81の量は、試験したペプチドの関数として表されている。
図10】HUVECにおけるCD151、CD9、CD81、CD9P−1、およびインテグリンβ1鎖の発現に関するペプチドP3のin vitroでの作用を示す写真である。ラインA〜Eは、それぞれ、抗CD141抗体(レーンA);抗CD9抗体(レーンB);抗CD81抗体(レーンC);抗CD9P−1抗体(レーンD);抗β1インテグリン抗体(レーンE)、および抗GAPDH抗体(レーンF)を用いて、33μMのP3と最大5時間インキュベートした後に得たウェスタンブロットの結果に対応する。
図11図11Aは、NCI−H460細胞を多く含むmatrigel(登録商標)インプラントにおけるP3およびP4の存在下でのCD151の分解を示す写真である。ライン1〜3は、抗CD151抗体(レーン1);抗CD9P−1抗体(レーン2)、および抗GAPDH抗体(レーン3)を用いて得たウェスタンブロットの結果に対応する。 図11Bは、NCI−H460細胞を多く含むmatrigel(登録商標)インプラントにおけるP3およびP4の存在下でのCD151の分解を示すヒストグラムである。ウェスタンブロットで28kDaのバンドに対応するCD151は、定量化されており、GAPDHに関して正規化されており、溶媒に関するパーセンテージで表されている。CD151の量は、試験したペプチドの関数として表されている。
図12図12Aは、スイスヌード/ヌードマウスを、ペプチド3および4で処置する場合のNCI−H460細胞の異種移植片におけるCD151の分解を示す写真である。ライン1〜3は、抗CD151抗体(レーン1);抗CD9P‐1抗体(レーン2)、および抗GAPDH抗体(レーン3)を用いて得たウェスタンブロットの結果に対応する。 図12Bは、スイスヌード/ヌードマウスをペプチド3および4で処置した場合の、NCI−H460細胞の異種移植片におけるCD151の分解を示すヒストグラムである。ウェスタンブロットのCD151に対応するバンドは、定量化されており、GAPDHに関して正規化されており、溶媒単独で処置したマウスの異種移植片に関するパーセンテージで表されている。CD151の量は、試験したペプチドの関数として表されている。
図13】HUVECにおけるP3によるCD9−CD9P−1、CD9P−1−CD151、およびCD9−CD151の複合体の解離を表す写真である。EGM2−MV培地中33μMのP3、PCT、または溶媒で2時間インキュベートしたHUVECを、brij 97バッファーに溶解し、次に、CD81、CD9、またはCD151を、対応する抗体で免疫沈降した。ラインA:免疫沈降したCD81、CD9、およびCD151から抗CD9P‐1抗体で得たウェスタンブロットの結果。ラインB:免疫沈降したCD81、CD9、およびCD151から抗CD9抗体で得たウェスタンブロットの結果。ラインC:免疫沈降したCD81、CD9、およびCD151から抗CD151抗体で得たウェスタンブロットの結果。PCT:対照のペプチド。IP:免疫沈降。
図14図14Aは、in vivoでP3とインキュベートしたHUVECの上清におけるエンドスタチンの産生の増加を示すヒストグラムである。ELISAにより定量化した上清中のエンドスタチンの濃度(細胞ライセート中のng/mgのタンパク質で表されている)は、P3濃度の関数として表されている。※※p<0.01(溶媒に対する非パラメトリックスチューデントアッセイ)。 図14Bは、in vivoでP3とインキュベートしたHUVECの上清におけるエンドスタチンの産生の増加を示す写真である。ウェスタンブロットの結果は、抗COL18A1ポリクローナル抗体により同一の容量の上清におけるエンドスタチンの免疫沈降の後に入手した。
図15図15Aは、in vivoでの循環するエンドスタチンのP3誘導型の増加を示すヒストグラムである。ヒストグラムは、試験したペプチドの関数としての上清中のエンドスタチンの濃度を表す(ng/mgのタンパク質)。エンドスタチンの濃度は、in vivoでの試験で得た血清でのELISAにより測定した。 図15Bは、in vivoでの循環するエンドスタチンのP3誘導型の増加を示す写真である。この画像は、抗COL18A1抗体を用いたin vivoでの試験で得た血清のウェスタンブロットにより入手した。
図16】in vitroにおけるHUVEC中のP3および/またはGM6001により誘導されたエンドスタチン産生の阻害を示すヒストグラムである。上清中のエンドスタチンの濃度(ng/mgのタンパク質)を、ELISAにより測定した(溶媒に対する非パラメトリックスチューデントアッセイ)。
図17】抗CD151抗体の存在下でHUVECの上清中のエンドスタチンのin vivoでの産生を示すヒストグラムである。上清中のエンドスタチンの濃度(ng/mgのタンパク質)は、細胞に提供された処置の関数として表されている。上清中のエンドスタチンの濃度は、ELISAにより測定した(溶媒に対する非パラメトリックスチューデントアッセイ)。
図18図18Aは、エンドスタチン産生の増大が、HUVECにおけるCD151の欠乏に関連していることを示す写真である。画像は、様々なsiRNA(siRNA FITC、siRNA CD151、またはsiRNA CD9)で処置した後のHUVECライセートで得たウェスタンブロットの結果に対応する。 図18Bは、エンドスタチン産生の増大が、HUVECにおけるCD151の欠乏に関連していることを示すヒストグラムである。上清中のエンドスタチンの濃度(ng/mgのタンパク質)は、細胞に提供された処置の関数として表されている。上清中のエンドスタチンの濃度を、siRNAと48時間インキュベートしたHUVECの上清中でELISAにより測定した。
図19】Calu−6細胞のin vivoでの腫瘍の増殖における、併用または単独で投与したペグ化ペプチドP4およびシスプラチンの作用を示すヒストグラムである。ヒストグラムは、行われた治療の関数として治療(16日間)の完了時の腫瘍容積(mm3)の分布を示す。溶媒は、対照として使用した。
【0127】
実施例
材料および方法
細胞培養
ヒトの臍静脈由来の内皮細胞(HUVEC)を、EGM2−MV培地(5%のSVF;0.4%のヒトFGF−2;0.1%のVEGF;3位でグルタミンがアルギニンと置換された0.1%のIGF−1(R3−IGF−1);0.1%ヒトEGF;0.04%のヒドロコルチゾン;0.1%のアスコルビン酸;0.1%のゲンタマイシン‐100を含むEBM2培地)で培養した。
【0128】
NCI−H460細胞(非小細胞肺由来のヒトの癌細胞)を、2.5g/lのグルコース;10mMのHEPES;1mMのピルビン酸ナトリウム;10%のSVFを補充したRPMI1640培地で培養した。
【0129】
UMUC−3細胞(ヒトの膀胱癌細胞)を、10%のSVF;1mMのピルビン酸ナトリウム;および2mMのグルタミンを補充したMEM NEAA培地で培養した。
【0130】
ペプチドを選択する方法
ペプチドを、GENECUSTにより合成し、in vitroでの試験では10mg/ml、およびin vivoの試験では1mg/mlで、10%のDMSOに可溶化した。対照のペプチド(PCT)(SEQ ID NO: 5:NQKGCYDLVT;分子量1140Da)を、試験したペプチドと同一の最終濃度で使用した。
【0131】
細胞増殖試験
細胞増殖の評価を、4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5 ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)の試験を使用して行った。18時間の培養の後、培地を、ゲンタマイシンおよび5%のSVFを補充したEBM2により変えた。異なる濃度のペプチドを、10μl/ウェルの容量で添加した。細胞を、37℃で48時間インキュベートした。MTT(50μl/ウェル)を細胞に3時間添加した。
【0132】
毛細血管形成の評価
Matrigel(登録商標)上での毛細血管の形成を評価することは、Grant et al(1989 Cell 58, 933−943)に記載されるin vitroでの血管新生の試験により行った。Matrigel(登録商標)を、96ウェルプレートのウェルに滴下し、Matrigel(登録商標)の固化のために、37℃で30分間維持した。次にHUVEC細胞を播種し、5μlのペプチドを添加した。
【0133】
次に、ペプチドを37℃で18時間インキュベートした後、細胞を、カルセリン溶液(8μMで50μl/ウェル)で洗浄し、20分間インキュベートした。生存しているHUVECは、緑色の蛍光成分でカルセリンを代謝する。
【0134】
創傷試験後の遊走試験
細胞の遊走を、創傷試験にしたがって評価した(Sato and Rifkin 1988 J Cell Biol 107, 1199−1205)。HUVECを培養して、EGM2−MV培地にコンフルエントにした。創傷の幅を、ソフトウェア「Analysis」(Soft Imaging System Gmbh Digital, Olympus)を使用して測定した。次に、試験するペプチドを培地に添加した。
【0135】
In vivoでの血管新生の試験
Matrigel(登録商標)のインプラントは、血管新生のin vivoのモデルを表す。NCI−H460細胞を使用して、Matrigel(登録商標)マトリックス内の血管形成に必要な増殖因子を提供する。次に、この混合物をSwiis nu/nuマウスに皮下注射した。ペプチド(1mg/ml)を腹腔内注射により毎日処置した。12日後にインプラントを回収した。
【0136】
Matrigel(登録商標)のインプラント内のヘモグロビンレベルの定量化
インプラントのヘモグロビンの用量を、インプラントの血管の指標として使用した。インプラントの重量を計測し、粉砕した。
【0137】
In vivoにおける腫瘍増殖の試験
5〜6週齢のSwiss nu/n雌性マウスに、キシラジン(12mg/kg)およびケタミン(80mg/kg)を用いて麻酔をかけた。腫瘍細胞(NCI−H460またはUMUC−3)を、マウスの側腹部に皮下移植した。10日間の播種の後に腫瘍が100mmに達した際に、動物を無作為化し、1日おきにペプチド、シスプラチンを用いて腹腔内注射により13日間処置した。腫瘍の大きさを測定し、腫瘍の容積を計算した。疼痛の症状を検出するためにマウスの体重を測定した。
【0138】
テトラスパニンの発現の抑制
HUVECを、製造社の指示にしたがって、トランスフェクト剤GENJETを使用してsiRNAでトランスフェクトした。48時間インキュベートした後、上清を回収し、ウェスタンブロットによりタンパク質発現を試験し、エンドスタチンを定量化した。
【表1】
【表2】
【0139】
本発明は、さらに以下の実施例により例示されている。
【0140】
実施例1:P3およびP4によるHUVECの増殖の容量依存的な阻害
細胞を、EGM2−MV中で48時間増殖させ、増殖を、MTTアッセイにより定量化した。結果は、図1に表されており、溶媒の存在下で培養したHUVEXに関する細胞増殖のパーセンテージとして表されている。
【0141】
3つのペプチドの効果を、HUVEC増殖に関して試験した。P1(SEQ ID NO:4:VSWFAVHSFGLDKAPVLLSS)によって、PCT(SEQ ID NO:5:NQKGCYDLVT)では、増殖に関しては効果が観察されなかった。
【0142】
対照的にペプチド3(P3−SEQ ID NO:1)は、用量依存的にHUVEC増殖を阻害する(図1)。66μMでは、50%±1.2%(p<0.001;n=3)のHUVECの増殖が、P3により阻害されている。264μMでは、P3条件での増殖は、27.3%±0.3%(p<0.001、PCTに関連;n=3)である。ペプチド4(P4−SEQ ID NO:2)で行った試験は、66μMの濃度まで、HUVECの増殖に関して20%の阻害を示した(図1)。132μMの濃度では、P4は、26%±1.75%(p=0.0121、PCTに関連;n=3)のHUVECの増殖に関する阻害を高めた。
【0143】
実施例2:Matrigel(登録商標)上で培養したHUVECによる毛細血管ネットワークの形成のP3およびP4の阻害
細胞を播種した後、ペプチドを、6.5μM、13μM、および33μMの濃度で培養培地(EGM2−MV)に添加した。プレートを、37℃で18時間インキュベートした。蛍光標識を、カルセインを添加することにより行った。カメラを備えた蛍光顕微鏡(倍率40倍)で写真を撮影した。結果は、図2に示されている。
【0144】
観察されるネットワーク構造の形成は、溶媒の存在下で自然に発生する。PCTの添加は、HUVECによる毛細血管の形成に関して効果がない(図2)。反対に、P3は、毛細血管の長さおよびジャンクションの数の両方の用量依存的な減少を亢進し、これにより、有意なin vitroでの抗血管新生活性を示す(図2)。またP4も、in vitroでの優位な抗血管新生活性を示す、毛細血管の長さおよびジャンクションの数の両方の有意な減少を示す。
【0145】
実施例3:HUVECのP3に依存的な遊走の阻害
創傷は、細胞層上で、のみの先端を用いて行われた。ペプチドの添加後のHUVECの遊走を、創傷アッセイにより評価し、HUVECの遊走先端の進行を、20時間の培養後に解析した。結果は、溶媒またはPCTを添加した創傷が、20時間 のインキュベーションの後に完全に閉鎖されていることを示す。カメラを備えた顕微鏡(拡大40倍)を用いて写真を撮影した。13μMのP3でインキュベートした細胞で、部分的な創傷の阻害が観察される。33μMでは、P3は、HUVECを完全に遊走しないようにさせると考えられ、遊走先端の進行は、有意に阻害されている、またはほぼ停止している(図3)。
【0146】
実施例4:in vivoでの腫瘍の増殖におけるP3およびP4の効果
Passaniti et al.(1992 Experimental gerontology 27, 559−566)に記載される血管新生のin vivoのモデルを利用して、P3およびP4の効果を評価した。簡潔に述べると、癌細胞をMatrigel(登録商標)に組み込むことにより、癌細胞は、血管形成に必要な増殖および血管新生因子を提供する。混合物を、マウスの側腹部の皮下形態のすぐ下に注射した。播種した後、20匹のマウス(Swiss nu−nu)を、5匹のマウスを含む4つのグループにそれぞれ無作為化し、以下の通りに治療を行った:グループ1のマウスを、連続して12日間、溶媒単独を200μl/注射/日により処置した;グループ2のマウスを、連続して12日間、溶媒/注射/日で、P1溶液(1mg/ml)200μlにより処置した;グループ3のマウスを、連続して12日間、溶媒/注射/日で、P3溶液(1mg/ml)200μlより処置した;グループ4のマウスを、連続して12日間、溶媒/注射/日で、P4溶液(1mg/ml)200μlにより処置した。
【0147】
13日目にマウスを屠殺し、インプラントを回収し、試験した。グループ1(溶媒単独を有する対照マウス)およびグループ2(10mg/kgのP1を有するマウス)のインプラントは、赤色を特徴とし、対してグループ3(10mg/kgのP3を有するマウス)およびグループ4(10mg/kgのP4を有する)マウスから回収したインプラントは、一部赤い点を伴う黄色で特徴付けられているとの結果が示され、これは、in vivoでの血管新生の阻害を示唆するものである。インプラントにおけるヘモグロビンの用量を使用して、血液を定量することにより、インプラント内の機能的な血管の密度を評価した。P3およびP4により処置したインプラントの解析は、これらペプチドが、グループ1と比較して67.2±6.5%(p=0.0012)および29.2±8.4%(p=0.0029)の量のヘモグロビンの阻害を誘導することを示す(図4)。これらの結果は、P3およびP4は、抗血管新生特性を表すことを示す。
【0148】
実施例5:腫瘍の増殖‐NCI−H460モデルに関するP3の効果
In vivoでの腫瘍の増殖におけるペプチドの効果の評価を行った。癌細胞NCI−H460を、Swiss−nu/nuマウスの側腹部(n=20)に皮下投与により注射した。腫瘍細胞播種から10日後、マウスを2グループ(グループあたり5匹のマウス)に無作為化した。異なるグループのマウスを以下のように処置した。グループ1のマウスを、溶媒(200μl/注射/48時間)で処置し、グループ2のマウスを、P3(P3(1mg/ml)を含む溶媒200μl/注射/48時間)で処置した。すべての処置を、連続して13日間の腹腔内注射により行った。
【0149】
13日の処置の後、溶媒で腫瘍を処置した平均腫瘍容積は、1560±188.3mm(n=5)(p=0.2625;n=5)であるとの結果が示されている(図5)。対照的に、P3で処置したマウスの平均腫瘍容積は、651.5±80.97mm(p=0.005;n=5)(図5)であり、これにより64.79±4.37%(p<0.05)のin vivoでの腫瘍増殖の阻害が示唆される。
【0150】
並行して、マウスで試験されるペプチドの毒性作用を試験するために、マウスの体重を処置に沿って測定した。表1に表す通り、体重に有意差は見られなかった。
【表3】
表1:処置開始時(0日目)および終了時(13日目)のマウスの平均体重、および溶媒およびP3による処置の間のマウスの体重差異(%)
【0151】
実施例6:腫瘍の増殖に関するP3およびシスプラチンの併用的な効果
GS−168AT2とP3の生物学的な活性を比較するために、in vivoにおけるP3単独またはシスプラチンと併用したP3の抗腫瘍活性に関する試験を行った。
【0152】
NCI−H460細胞(100〜150mmの腫瘍容積)の播種のため、マウス(n=35)を、それぞれ5匹のマウスを含む7つのグループに無作為化した。異なるグループ由来のマウスを以下のように処置した。グループ1は、溶媒(200μl/注射/48時間)で処置した;グループ2のマウスは、シスプラチン(5mg/kg)で処置した。グループ3のマウスは、P3(10mg/kg)で処置した。グループ4のマウスは、P3(10mg/kg)およびシスプラチン(5mg/kg)と交互に処置した。グループ5のマウスは、シスプラチン(2.5mg/kg)で処置した。グループ6のマウスは、P3(10mg/kg)およびシスプラチン(2.5mg/kg)で交互に処置した。グループ7のマウスは、P3(10mg/kg)およびシスプラチン(1mg/kg)で交互に処置した。すべての処置を、連続して13日間にわたり腹腔内注射により行った。
【0153】
P3(10mg/kg)による単剤治療が、シスプラチン(5mg/kg)の1つと近い、または類似する治療上の効果を示すとの結果が示されている。P3で処置したグループの平均腫瘍容積は、約651.5±80.9mm(p=0.0013;n=5)であり、対照グループの平均腫瘍容積は、1698±164.9mm(n=5)であり、P3単独での処置は、61.61±4.74%(p<0.05;n=5)のin vivoでの腫瘍の増殖の阻害を誘導することが示唆される(図6)。シスプラチン単独(5mg/kg)で処置したマウスの平均腫瘍容積は、626±118.5mm(p=0.0019;n=5)であり、この処置がP3の効果と同様の腫瘍増殖の阻害を誘導することが示唆される(図6)。シスプラチン(5mg/kg)およびP3(10mg/kg)の毎日交互に行う2剤療法の効果は、この2剤療法で処置したグループの平均腫瘍容積は、551.9±122.4mm(p=0.0012;n=5)であることを示す。結果的に、この2剤療法は、69.85±7.2%(p<0.05;n=5)だけ、in vivoで腫瘍増殖を阻害する。
【0154】
単剤治療またはP3(10mg/kg)と毎日交互に行った2剤療法で投与したシスプラチン(2.5、次いで1mg/kg)の投与の減少。
この目的は、5mg/kgの用量のシスプラチンで観察された潜在的な全身性の作用、または最終的には化学療法剤の用量に依存する耐性機構を限定しつつ、治療上の有効性を維持することである。シスプラチンの1/2の用量の減少(2.5mg/kg)は、抗腫瘍性の効力の減少を亢進する(平均腫瘍容積は、1017±119.8mm;p=0.011;n=5である)。しかしながら、シスプラチン(2.5mg/kg)およびP3(10mg/kg)、またはシスプラチン(1mg/kg)およびP3(10mg/kg)を用いて毎日交互に行う2剤療法による処置は、それぞれ、318.7±103.3mm;(p=0.0004;n=5)および265.4±72.1mm(p=0.0002;n=5)の平均腫瘍容積を伴い、治療上の有効性を維持する。(図6)。
【0155】
さらに、シスプラチン(5mg/kg)で処置したマウスは、対照と比較して20±7%の体重の減少(p=0.0159、n=5)を呈し、またはP3(10mg/kg)と交互に処置したマウスは、18±11%の減少を呈した(対照と比較、P=0.079;n=5)。シスプラチンの用量を半分減少させること(2.5mg/kg)は、体重の減少を6±3%に減少させる。シスプラチン(2.5mg/kg)およびP3(10mg/kg)で交互に処置したマウスの体重の変化は、−7±1%である。シスプラチンの用量の減少(1mg/kg)は、表2に記載されるように体重の変化を強めるものではない。
【表4】
表2:処置開始時(0日目)および完了時(13日目)のマウスの平均体重、ならびにP3および/またはシスプラチンの処置の間のマウスの体重の差異(%)
【0156】
実施例7:CD9P―1の依存性を示す、UMUCモデルにおける腫瘍増殖に関するP3の効果
【0157】
P3は、CD9P−1に由来する。P3がCD9P−1と相互作用するかどうかを確認するために、P3を、CD9P−1を発現しない腫瘍細胞株に関して試験した。UMUC−3細胞株(膀胱腫瘍細胞株)を、CD9P−1を発現しない細胞株としてスクリーニングアッセイで同定した。ウェスタンブロットにより解析したUMUC−3のライセートの増加量(10〜60μg)は、これらの細胞がCD9P−1を発現しないことを示す。
【0158】
次に、P3の効果を、UMUC−3の異種移植片のin vivoのモデルにおいて、腫瘍増殖に関して試験した。UMUC−3細胞を、10日間播種し(腫瘍容積:100〜150mm)、マウス(n=20)をそれぞれ5匹のマウスを含む4つのグループに無作為化した。異なるグループを、以下のように処置した:グループ1のマウスを、溶媒(200μl/注射/48時間)で処置した;グループ2のマウスを、シスプラチン(2.5mg/kg)で処置した;グループ3のマウスを、P3(10mg/kg)で処置した。グループ4のマウスを、シスプラチン(2.5mg/kg)およびP3(10mg/kg)で交互に処置した。P3で処置したマウスの腫瘍容積は、溶媒で処置したマウスの腫瘍容積と比較して有意に変化しなかった(図8)ことから、P3は、CD9P−1を発現しない腫瘍の増殖に影響しないことが示唆される。しかしながら、これらの腫瘍は、シスプラチン(2.5mg/kg)での処置下で減少する(図8)。
【0159】
実施例8:テトラスパニンに関するP3の効果
最先端の研究では、GS−168AT2が、CD9、CD151と結合し、CD81とはそれらより弱く結合することがすでに示されている。次に、CD9、CD151、およびCD81の状態を、GS−168AT2の存在下で経時的に評価した(Colin et al. 2011 Br J Cancer 105, 1002−1011)。HUVECをGS−168AT2(40μg/ml)と共にインキュベートし、次に、溶解し、細胞ライセートを、抗CD9、抗CD151、および抗CD81の抗体を用いてウェスタンブロットを行った。結果は、GS−168AT2が、1時間の処置の後に、CD9およびCD151の分解を誘導することを示した(図9AおよびC)。さらに試験するために、GS−168AT2と共にインキュベートしたHUVECを、FACSによっても解析した。結果は、対照と比較してGS−168AT2の存在下で、経時的に細胞表面のCD9およびCD151の量の重要な減少を示し、それぞれ約40%少ない(P<0.05;図9B)および約70%少ない(P<0.01、図9D)。しかしながら、GS−168AT2に細胞を曝露した後のCD81の状態の有意な変化は観察されなかった(図9CおよびE)。CD9およびCD151の分解は、CD9とCD181との間、CD9とCD151との間、およびCD81とCD9P−1との間での相互作用を減少させる。次に類似の機構を、in vitroおよびin vivoにおいて異なる細胞モデルに関してP3で試験した。
【0160】
テトラスパニン(CD9、CD81、およびCD151)、およびインテグリンβ1に関するP3のin vitroでの作用を、内皮細胞で行った。HUVECを異なる時点で、P3(33μM)と共にインキュベートした。P3は、インキュベーションから2時間後に、CD151の有意な減少を誘導する(図10A)。しかしながら、CD9の発現(図10B)、CD81(図10C)、およびCD9P−1(図10D)、およびインテグリンβ1は、P3に影響されない。
【0161】
CD151およびCD9P−1の発現の解析を、NCI−H460を多く含むMatrigel(登録商標)のインプラントのホモジネートを用いてウェスタンブロットで行った。CD151のプロファイルは、ウェスタンブロットでの2つのバンド(1つは、28kDaであり、CD151に対応し、もう1つは26kDaであり、CD151の分解した産物に対応する)を特徴とする。結果は、12日間、P3およびP4(10mg/kg)により処置したマウスのライセートにおけるCD151の有意な減少を示す(図11A−1)。しかしながら、CD9P−1のレベルは変化しない(図11A−2)。CD151に対応するバンドの定量化(図11B)は、P3およびP4で処置したマウスのライセートにおいてCD151に対応するバンドの57%および51%の減少を示す。
【0162】
P3またはP4(10mg/kg)により1日置きに13日間処置したマウス由来の異種移植片NCI−H460細胞からのライセートでは、CD151のレベルの減少が、溶媒で処置したマウスと比較して、それぞれ73%および50%で観察される(図12AおよびB)。CD9P−1の変化は観察されなかった(図12A)。
【0163】
テトラスパニン、CD9、CD81、およびCD151とCD9P−1の結合に関するP3の効果をより正確に試験するために、免疫沈降(IP)の実験を行った。対照の実験(溶媒を用いる)では、CD9およびCD81とCD9P−1を共沈させた。弱い共沈が、P3とCD151との間で観察された。テトラスパニンとCD9P−1との間の結合は、PCT条件下では、改変しない。しかしながら、CD9P−1とCD9との間、およびCD9P−1とCD151との間の相互作用は減少し、ここではHUVECは、33μMのP3と共に2時間インキュベートされている。CD9P−1とCD81との間の結合は、P3により改変しない(図13A)。
【0164】
対照の実験(溶媒を用いる)では、CD9とCD151との間、およびCD9とCD81との間の結合は類似する。P3の添加は、CD9とCD151との間の結合の減少を誘導するが、CD9とCD81との間の結合の減少を誘導しない(図13B)。P3の添加は、複合体CD151―CD9の解離を誘導するが、CD151−CD81の解離を誘導しない(図13C)。
【0165】
実施例9:in vitroおよびin vivoのモデルにおけるエンドスタチンの産生に関するP3の効果
エンドスタチンは、コラーゲンXVIIIのフラグメントであり(O’Reilly et al. 1997 Cell 88, 277−285)、有名な血管新生の阻害剤である。さらに、GS−168AT2は、in vivoおよびin vitroでエンドスタチンの産生を誘導し、よって、この活性に影響するGS−168AT2由来のP3の特性に関連する問題が問われる。
【0166】
エンドスタチンのレベルを、P3またはPCTの濃度を増加させて48時間インキュベートしたHUVECのライセートで、ELISAにより定量化した。PCTは、溶媒条件と比較してエンドスタチンのレベルを改変しないが、33%および62%のエンドスタチン産生の増加が、それぞれ33μMおよび66μMのP3で観察される(図14A)。
【0167】
エンドスタチンはコラーゲンXVIII由来であるため、抗体は、エンドスタチンおよびコラーゲンXVIIIの両方を検出することができる。次に、ELISAによる用量が、エンドスタチンによるものであったかを確認するために、IPを行った(図14B)。
【0168】
In vivoでのエンドスタチンの産生に関するP3の効果を試験するために、腫瘍細胞NCI−H460を含む異種移植片マウス由来の血清を、ELISAおよびウェスタンブロットにより解析した。溶媒で処置したマウスと比較して、P3(10mg/kg)により処置したマウスの血清で24%の増加が観察されている(図15A)。エンドスタチンのいくつかの形態は、ウェスタンブロットにより観察される。ウェスタンブロットによる血清の解析は、P3で処置したマウスの血清におけるエンドスタチンレベルの増加を確認し、28kDaの大きさを有することを確認した(図15B)。
【0169】
エンドスタチンの産生におけるメタロプロテイナーゼ(MMP)の役割を評価するために、MMPの多価阻害剤である、GM6001を使用した。上清におけるエンドスタチンの濃度は、6.2ng/mgタンパク質のライセート/48時間である。エンドスタチンの約30%(4.4ng/mgタンパク質のライセート/48時間)の有意な減少が、対照と比較してMMPの阻害剤で観察された。33μMnのP3を用いたエンドスタチンの10%の増加(6.85ng/mgタンパク質のライセート/48時間)、および66μMのP3を用いた46%の増加(8.48ng/mgタンパク質のライセート/48時間)が観察された。P3の添加の45分前にMMPの阻害剤を添加すると、対照と比較して30%のエンドスタチンのレベルの有意な減少が観察された(図16)。GM6001は、P3により誘導されたエンドスタチンの産生を阻害する。よってMMPは、P3により誘導したエンドスタチンの産生に関与し得る。
【0170】
上述の結果は、in vitroおよびin vivoにおけるCD151の減少、ならびにin vitroおよびin vivoにおけるエンドスタチンの増加が、P3により誘導されたことを示した。これにより、エンドスタチンの産生と、CD151の減少との間の関連についての疑問が生じた。よって、CD151を欠失させ、エンドスタチンのレベルを上清で決定した。これを行うために、CD151の発現を、抗CD151抗体およびCD151をコードするmRNAに対して特異的である低分子干渉RNA(pRNAiまたはsiRNA)を使用して抑制した。
【0171】
HUVECを、抗CD151抗体(11G5a)または無関係の抗体(いずれのタンパク質も認識できない陰性対照)を含むEGM2―MV培地で48時間インキュベートした。次に、エンドスタチンのレベルを、上清においてELISAにより測定した。HUVECを、HUVEC細胞を単独で培養した基礎のエンドスタチンの産生と比較して、抗CD151抗体(11G5a)と共にインキュベートした場合、33%の増加が観察された(図17)。
【0172】
HUVEC細胞を、CD151およびCD9の特異的なsiRNAを用いてトランスフェクトした。タンパク質の発現をウェスタンブロットで解析した。並行して、エンドスタチンのレベルを、上清においてELISAにより測定した。CD151およびCD9に特異的なsiRNAでトランスフェクトしたHUVECは、それぞれの発現を抑制した(図18A)。siRNAでトランスフェクトしたHUVEC細胞の上清におけるエンドスタチンのレベルを測定した。対照とCD9の発現を抑制したもの(それぞれ、1.26ng/mgのタンパク質ライセート/48時間および2ng/mgのタンパク質のライセート/48時間)との間に変化は観察されなかった。対照的に、エンドスタチンのレベルは、CD151を欠失したHUVECにおいて、9.4ng/mgタンパク質のライセート/48時間で、エンドスタチンのレベルが増加した(図18B)。よって、CD151は、エンドスタチンの産生に関与する。
【0173】
実施例10:腫瘍容積に関するペグ化ペプチド4の効果
すべての実験は、Genopoleの組織化された動物のケアおよび用途の委員会により検閲されており、動物のケアに関する組織化されたガイドラインに従って行われた。メスのBALB/c nu/nuマウス(n=24)を、5から6週齢で使用した。この動物を、病原体フリーの条件下で、14時間の明期/10時間の暗期のスケジュールの下、層流型キャビネットに収容し、オートクレーブした標準的な固形飼料および水を自由に与えた。Calu−6細胞(5×10細胞を含む血清フリーRPMI1200μl)を、マウスの右側腹部に皮下注射した。生着後(10日目)、腫瘍容積(TV)を測定し(Balsari et al, Eur J Cancer. 2004 May;40(8):1275−81)、動物を無作為化し、それぞれ6匹の動物の4つのグループに分けて、i.p.注射(注射あたり200μl)により、16日間1日おきに処置した(8回の注射)。対照のグループ(グループ1)には、ビヒクル(0.9%の生理食塩水)を与えた。シスジアンミン白金(II)ジクロリド(CDDP;シグマ)を、0.5mg/mlで0.9%の生理食塩水に溶かし、5mg/kgの用量で注射した(グループ2)。ペグ化したペプチド(P4−PEG)を、1mg/mlでビヒクルに溶かし、10mg/kgの用量で注射した(グループ3)。グループ4では、マウスに、CDDPおよびP4―PEGの両方を投与した。腫瘍容積および体重を、処置期間(16日間)の間1日置きに測定した。
【0174】
腫瘍容積における有意な減少が、CDDP単独、P4―PEG単独、ならびにCDDPおよびP4−PEGの両方で処置したマウスで観察される。結果的に、P4−PEGは、有意な抗腫瘍作用を有する。
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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]