【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、本発明は、
(i)配列GNYYCSVTPWVKS(SEQ ID NO:1)のペプチドと、
(ii)配列IHSKPVFITVKMDVLNA(SEQ ID NO:2)のペプチドと、
(iii)それらの機能的なフラグメントまたは変異体または誘導体と
からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドを含み、
上記ポリペプチドが、SEQ ID NO:3のうち50未満、40未満、好ましくは30未満、好ましくは20未満の連続したアミノ酸を含む、
ポリペプチドに関する。
【0011】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、抗血管新生活性を有する。
【0012】
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1のペプチドおよびSEQ ID NO:2のペプチドの両方を含む。本発明の特定の実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO:1のペプチドからなる。本発明の別の特定の実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO:2のペプチドからなる。
【0013】
本発明の一実施形態では、上記ポリペプチドは、リン酸基、酢酸基、脂質または糖の基などの1つもしくは複数の官能基の付加により、かつ/または1つもしくは複数の保護基の付加により修飾されている。
【0014】
一実施形態では、上記ポリペプチドは、抗腫瘍活性をさらに有する。
【0015】
さらに本発明は、上述のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。
【0016】
さらに本発明は、上述のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含む医薬組成物に関する。
【0017】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む。
【0018】
さらに本発明は、上述のポリペプチドまたはポリヌクレオチドと、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0019】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの細胞毒性薬、化学療法剤、または抗癌剤をさらに含む。本発明の特定の実施形態では、医薬組成物は、シスプラチンからなる群から選択された白金錯体をさらに含む。
【0020】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの抗血管新生剤をさらに含む。
【0021】
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、
SEQ ID NO:1のペプチドおよびSEQ ID NO:2のペプチドを含むポリペプチド、または
SEQ ID NO:1のペプチドを含む第1のポリペプチドおよびSEQ ID NO:2のペプチドを含む第2のポリペプチド
を含む。
【0022】
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:1のペプチドからなるポリペプチドを含む。本発明の別の特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:2のペプチドからなるポリペプチドを含む。
【0023】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、局所投与、全身投与、経口投与、皮下投与、経皮投与、筋肉内投与、または腹腔内投与に適した形態である。
【0024】
さらに本発明は、血管新生関連疾患の治療に使用するための本発明に係るポリペプチドまたは医薬組成物に関する。
【0025】
一実施形態では、本発明は、ヒトまたは動物の身体における癌および/または腫瘍の治療に使用するための、本発明に係るポリペプチドまたは医薬組成物に関する。
【0026】
一実施形態では、本発明は、癌細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍の治療に使用するための、本発明に係るポリペプチドまたは医薬組成物に関する。
【0027】
一実施形態では、本発明は、その必要がある対象の癌および/または腫瘍の治療に使用するためのポリペプチドまたは医薬組成物に関する。ここでは癌細胞がCD9P−1を発現し、治療の前に、上記対象の癌および/または腫瘍の細胞を含む試料でCD9P−1の発現を試験する。
【0028】
詳細な説明
よって、本発明は、上記ポリペプチドが、ペプチド配列GNYYCSVTPWVKS(P3−SEQ ID NO:1);IHSKPVFITVKMDVLNA(P4−SEQ ID NO:2)を含み、もしくはからなり、またはその機能的なフラグメントもしくは変異体もしくは誘導体であることを特徴とし、上記ポリペプチドが、SEQ ID NO:3のうち50未満、45未満、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満、19未満、18未満、17未満、16未満、15未満、14未満、13未満の連続したアミノ酸を含むことを特徴とする、ポリペプチドを指す。
【0029】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは抗血管新生活性を有する。
【0030】
本明細書中に使用されるように、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2の、またはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2を含むポリペプチドの「機能的なフラグメント」は、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2のフラグメント、またはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2と同一の機能を有する、好ましくはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2の抗血管新生活性を有するSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2を含むポリペプチドのフラグメントを指す。
【0031】
本明細書中に記載されるように、用語「ポリペプチド」は、定義された順序でのアミノ酸の結合であって、少なくとも10、15、20、25、50、75〜100個のアミノ酸のうち、結合から形成された分子を意味する。本発明に係る「単離した」ポリペプチドは、天然の環境から取り除かれたポリペプチド、または当業者により設計されたポリペプチドを指す。
【0032】
一実施形態では、本発明に係るポリペプチドは、少なくとも13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、または100個の長さのアミノ酸を有する。
【0033】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、13〜50個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13〜40個のアミノ酸を含む。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13〜30個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13〜25、24、23、22、または21個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13〜20個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13〜19、18、17、16、15、または14個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、13個のアミノ酸を含む(またはからなる)。
【0034】
別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、17〜50個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、17〜40個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、17〜30個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、17〜25、24、23、22、または21個のアミノ酸を含む(またはからなる)。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、17〜20、19、または18個のアミノ酸を含む(またはからなる)。
【0035】
本発明の一実施形態では、上記ペプチドは、50、40、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13のアミノ酸長を有し、SEQ ID NO:1のペプチド配列を含み、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:3のうち、50未満、45未満、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満、19未満、18未満、17未満、16未満、15未満、14未満、13未満の連続したアミノ酸を含む。
【0036】
本発明の別の実施形態では、上記ペプチドが、50、40、30、25、22、20、19、18、17個の長さのアミノ酸を有し、SEQ ID NO:2のペプチド配列を含み、上記ポリペプチドが、SEQ ID NO:3のうち50未満、45未満、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満、19未満、18未満、17未満の連続したアミノ酸を含む。
【0037】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1、およびC末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上のアミノ酸、ならびに/またはN末端に2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上のアミノ酸を含む。
【0038】
本明細書中に使用されるように、「アミノ酸」は、当業者に良く知られている完全名、3文字のコード、または1文字のコードにより表されている。ペプチドのアミノ酸残基は、以下のように略記されている:フェニルアラニンはPheまたはFであり、ロイシンはLeuまたはLであり、イソロイシンはIleまたはIであり、メチオニンはMetまたはMであり、バリンはValまたはVであり、セリンはSerまたはSであり、プロリンはProまたはPであり、スレオニンはThrまたはTであり、アラニンはAlaまたはAであり、チロシンはTyrまたはYであり、ヒスチジンはHisまたはHであり、グルタミンはGlnまたはQであり、アスパラギンはAsnまたはNであり、リジンはLysまたはKであり、アスパラギン酸はAspまたはDであり、グルタミン酸はGluまたはEであり、システインはCysまたはCであり、トリプトファンはTrpまたはWであり、アルギニンはArgまたはRであり、グリシンはGlyまたはGである。
【0039】
本明細書中で使用されるように、用語「アミノ酸」は、天然および合成のアミノ酸の両方、およびDアミノ酸およびLアミノ酸の両方を含む。「標準的なアミノ酸」または「天然に存在するアミノ酸」は、一般的に天然に存在するペプチドで見出される20鎖のLアミノ酸のいずれかを意味する。「非標準的なアミノ酸残基」は、合成して調製されているか、または天然の供給源に由来するかどうかにかかわらず、標準的なアミノ酸以外のいずれかのアミノ酸を意味する。たとえば、ナフチルアラニンは、合成を促進するためにトリプトファンと置換することができる。置換できる他の合成アミノ酸として、限定するものではないが、L−ヒドロキシプロピル、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニル、L−α−ヒドロキシリシル、およびD‐α―メチルアラニル、L−α−メチルアラニルなどのαアミノ酸、βアミノ酸、ならびにイソキノリルが挙げられる。
【0040】
本明細書中で使用されるように、「アミノ酸」は、限定するものではないが、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)、および置換基を含む、化学的に修飾されたアミノ酸をも含む。本発明のポリペプチド内、特にカルボキシ末端またはアミノ末端に含まれるアミノ酸は、本発明のポリペプチドの活性に有害な影響を与えることなく、ポリペプチドの循環半減期を変化させることができる他の化学基とのメチル化、アミド化、アセチル化、または置換により修飾することができる。さらに、ジスルフィド結合が本発明のポリペプチドに存在してもよく、または存在しなくてもよい。
【0041】
本発明のポリペプチドは、天然の標準的なアミノ酸または非標準的なアミノ酸を含んでもよい。ポリペプチドの模倣物は、以下の修飾を有するポリペプチド:i)ペプチジル―C(O)NR結合のうちの1つまたは複数が、CH
2−カルバメート結合(−CH
2OC(O)NR−)、ホスホネート結合、−CH
2−スルホンアミド(−CH
2−S(O)
2NR−)結合、尿素(−NHC(O)NH−)結合、−CH
2−二級アミン結合などの非ペプチジル結合により、またはアルキル化ペプチジル結合(−C(O)NR−)を用いて置換されており、RがC1〜C
4アルキルである、ポリペプチド;ii)N末端が、−NRR
1基、−NRC(O)R基、−NRC(O)OR基、−NRS(O)
2R基、−NHC(O)NHR基に誘導体化されており、RおよびR
1が水素であるポリペプチド、またはRおよびR
1が両方とも水素ではない場合はC
1〜C
4アルキルである、ポリペプチド;iii)C末端が、−C(O)R
2に誘導体化されており、R
2が、C1〜C
4アルコキシおよび−NR
3R
4からなる群から選択されており、R
3およびR
4が、独立して、水素およびC
1〜C
4アルキルからなる群から選択されている、ポリペプチドを含む。
【0042】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2、またはその変異体を含む。一実施形態では、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の変異体は、抗血管新生活性を有し、好ましくはSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2と等価の抗血管新生活性を有する。
【0043】
一実施形態では、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の変異体は、それぞれSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2と比較して、保存的アミノ酸置換基を含む。
【0044】
本明細書中で使用されるように、用語「保存的アミノ酸置換基」は、以下の5つの群:
I.小分子の脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II.極性の、負に荷電している残基およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln;
III.極性の、正に荷電している残基:His、Arg、Lys;
IV.大分子の、脂肪族、非極性の残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys;
V.大分子の、芳香族残基:Phe、Tyr、Trp
のうちの1つの中でのアミノ酸の交換として定義されている。
【0045】
別の実施形態では、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の変異体は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2と、それぞれ少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有するポリペプチドである。
【0046】
別の実施形態では、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の変異体は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2の配列由来の1、2、3、4、または5個のアミノ酸が、存在していない、またはいずれかのアミノ酸により置換されており、1、2、3、4、または5個のアミノ酸(連続している、または連続していない)が添加されているポリペプチドである。
【0047】
2つ以上のポリペプチドの配列間の関係で使用される場合の用語「同一性」または「同一である」は、2つ以上のアミノ酸残基の鎖の間での一致数により決定される、ポリペプチド間の配列の関係性の度合いを指す。「同一性」は、特定の数学的なモデルまたはコンピュータプログラム(すなわちアルゴリズム)により提示されるギャップアライメント(ある場合には)と2つ以上の配列の小さな配列間での同一性の一致のパーセントを測定する。関連するポリペプチドの同一性は、既知の方法により容易に計算することができる。このような方法として、限定するものではないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991;およびCarillo et al., SIAM J. Applied Math. 48, 1073 (1988)に記載される方法が挙げられる。好ましい同一性を決定する方法は、試験した配列間で最も大きな一致を得るように設計されている。同一性を決定する方法は、公開されているコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定する好ましいコンピュータプログラム方法として、GAP(Devereux et al., Nucl. Acid. Res. /2, 387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul et al., J. MoI. Biol. 215, 403−410 (1990))を含むGCCプログラムパッケージが挙げられる。BLASTXプログラムは、国立生物工学情報センター(NCBI)および他の供給源(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul et al., supra)から公開されている。またよく知られたSmith Watermanアルゴリズムも、同一性を決定するために使用してもよい。
【0048】
本明細書中で記載されるポリペプチドは、当業者に良く知られているように化学的合成または酵素的合成により合成して作製することができる。あるいは、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、タンパク質発現ベクターに導入し、かつ適切な宿主生物(たとえば細菌、昆虫細胞など)で産生させ、次に精製することができる。追加的なポリペプチド(「タグ」)を、ポリペプチドを精製または同定または精製するために付加することができる。タンパク質のタグにより、たとえばポリペプチドを高い親和性でマトリックスに吸着させ、次に複合体を全く溶出させることなく適切なバッファーでストリンジェント洗浄し、その後、吸着した複合体を選択的に溶出させることが可能となる。当業者に知られているタンパク質タグの例として、(His)
6タグ、Mycタグ、FLAGタグ、赤血球凝集素タグ、グルタチオントランスフェラーゼ(GST)タグ、親和性キチン結合タグを有するインテイン、またはマルトース結合タンパク質(MBP)タグがある。これらのタンパク質タグは、N末端、C末端、および/または内部に位置することができる。
【0049】
本発明の一実施形態では、上記の本明細書中で記載されるポリペプチドは、たとえば、リン酸基、酢酸基、脂質または糖の基などの1つもしくは複数の官能基の付加により、および/または1つもしくは複数の保護基の付加により、当該分野でよく知られた方法により修飾されている。
【0050】
たとえば、ポリペプチドは、リン酸塩、酢酸塩、または様々な脂質および糖などの1つまたは複数の官能基の付加により修飾することができる。また本発明のポリペプチドは、ポリペプチド誘導体として存在することもできる。用語「ポリペプチド誘導体」は、アミノ基(−−NH−−)、より具体的にはペプチド結合を有する化合物を指す。ポリペプチドは、置換されたアミドとみなされてもよい。アミド基のように、ペプチド結合は、高い度合いの共鳴安定化を示す。ペプチド結合のC−N単結合は、概して、約40%の二重結合の特徴を有し、C=O二重結合は、約40%の単結合の特徴を有する。「保護基」は、保護されていない官能基が関与する望ましくない反応(タンパク質分解など)を防止する基である。アミノ保護基の特定の例として、ホルミル;トリフルオロアセチル;ベンジルオキシカルボニル;(オルトまたはパラ)クロロベンジルオキシカルボニルおよび(オルトまたはパラ)ブロモベンジルオキシカルボニルなどの置換ベンジルオキシカルボニル;およびt−ブトキシカルボニルおよびt−アミルオキシカルボニル(amiloxycarbonyl)などの脂肪族オキシカルボニルが挙げられる。アミノ酸のカルボキシル基は、エステル基への変換により保護することができる。エステル基は、ベンジルエステル、メトキシベンジルエステルなどの置換ベンジルエステル;シクロヘキシルエステル、シクロヘプチルエステル、またはt−ブチルエステルなどのアルキルエステルを含む。グアニジノ部分は、たとえ保護基を必要としなくても、ニトロ;またはトシル、メトキシベンゼンスルホニル、もしくはメチレンスルホニルなどのアリールスルホニルにより保護されてもよい。イミダゾールの保護基として、トシル、ベンジル、およびジニトロフェニルが挙げられる。トリプトファンのインドール基は、ホルミル基により保護されていてよく、または保護されていなくてもよい。
【0051】
ポリペプチドの修飾は、特に、in vivoでのポリペプチドの寿命を改善することを目的としている。ある種類の修飾は、ポリエチレングリコール(PEG)のポリペプチドのN末端またはC末端への付加である。PEGは、高い水溶性、溶液中の高い移動性、および低い免疫原性などのポリペプチドにとって理想的キャリアーとなる多くの特性を有することが、当業者に知られている。またこの修飾は、エキソペプチターゼからポリペプチドを保護することにより、in vitroでのポリペプチド全体の安定性を上げる。
【0052】
エンドペプチダーゼまたはエキソペプチターゼによるポリペプチドの分解を防止するために使用される他の修飾は、アセチル化またはグリコシル化などのN末端の修飾、アミド化などのC末端の修飾、ならびにポリペプチド内の特定の部位の非天然のアミノ酸(βアミノ酸およびα−トリフルオロメチルアミノ酸)の使用を含む。
【0053】
ポリペプチドの分子の大きさを増大するための別の代替例として、ヒトのガンマ免疫グロブリンのFcドメインへのポリペプチドの遺伝的融合、またはアルブミンへのポリペプチドの融合がある。
【0054】
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1のペプチドおよびSEQ ID NO:2のペプチドの両方を含む。一実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:2のペプチドに融合したSEQ ID NO:1のペプチドを含む。一実施形態では、本発明のポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のアミノ酸のアミノ酸配列に対応する、リンカーにより分離したSEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2を含む、またはからなる。一実施形態では、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2は、本発明のポリペプチドにおいて同一に配向している。別の実施形態では、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2は、本発明のポリペプチドで対向して配向している。
【0055】
本発明の別の特定の実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO:1のペプチドからなる。本発明の別の特定の実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO:2のペプチドからなる。
【0056】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1または2のペプチドからなり、かつペグ化されている。
【0057】
本発明の別の目的は、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む組成物である。
【0058】
本発明の別の目的は、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせた、本明細書中に上述するポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む医薬組成物である。
【0059】
本発明の別の目的は、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む薬物である。
【0060】
用語「薬学的に許容可能な」は、過剰な毒性を伴うことなく哺乳類に投与され得る化合物および組成物を指す。よって、「薬学的に許容可能な賦形剤」は、動物、好ましくはヒトに投与される場合に、逆反応、アレルギー反応、または他の望ましくない反応を生じない賦形剤を指す。これは、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤などを含む。ヒトの投与では、調製物は、たとえばFDA局またはEMAなどの規制局により要求されている無菌性、発熱性、一般的な安全性、および純度基準と一致すべきである。
【0061】
適切な賦形剤として、水、生理食塩水、リンガー溶液、ブドウ糖溶液、およびエタノール溶液、グルコース、スクロース、デキストラン、マンノース、マンニトール、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸塩、酢酸塩、ゼラチン、コラーゲン、Carbopol(登録商標)、植物油などが挙げられる。さらに、適切な保存剤、安定剤、抗酸化剤、抗菌剤、およびたとえばBHA、BHT、クエン酸、アスコルビン酸、テトラサイクリンなどの緩衝剤などを含んでもよい。
【0062】
本発明の組成物に使用し得る薬学的に許容可能な賦形剤の他の例として、限定するものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、プロタミンスルファート、リン酸水素、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛の塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの塩または電解質、ポリアクレート、ワックス、ポリエチレン‐ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられる。
【0063】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、たとえば界面活性剤(たとえばヒドロキシプロピルセルロース;たとえば水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、および液体のポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、およびたとえばピーナッツ油およびゴマ油などの植物油を含む溶媒および分散媒体などの適切なキャリアー;たとえば糖または塩化ナトリウムなどの等張剤;たとえばレシチンなどのコーティング剤;たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収遅延剤;たとえば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、チメロサールなどの保存剤;たとえばホウ酸、および炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウムおよびホウ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのバッファー;たとえばデキストラン40、デキストラン70、ブドウ糖、グリセリン、塩化カリウム、プロピレングリコール、塩化ナトリウムなどの等張化剤;たとえば亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素などの抗酸化剤および安定剤;たとえばポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロクサマー282、およびチロキサポールなどの非イオン性湿潤剤または清澄剤;たとえばデキストラン40、デキストラン70、ゼラチン、グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース(ydroxmethylpropylcellulose)、ラノリン、メチルセルロース、ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースなどの粘度変性剤などのいくつかの賦形剤を含んでもよい。
【0064】
一実施形態では、組成物、医薬組成物、または薬物は、ポリペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。
【0065】
薬学的に許容可能な塩として、無機塩基を含む塩、有機塩基を含む塩、無機酸を含む塩、有機酸を含む塩、塩基性または酸性のアミノ酸を含む塩などが挙げられる。無機塩基を含む塩の例として、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;ならびにアンモニウム塩が挙げられる。有機塩基を含む塩の例として、トリメチルアミンを含む塩、トリエチルアミンを含む塩、ピリジンを含む塩、ピコリンを含む塩、2,6−ルチジンを含む塩、エタノールアミンを含む塩、ジエタノールアミンを含む塩、トリエタノールアミンを含む塩、シクロヘキシルアミンを含む塩、ジシクロヘキシルアミンを含む塩、およびN,N’‐ジベンジルエチレンジアミンを含む塩が挙げられる。無機酸を含む塩の例として、塩酸を含む塩、ホウ酸を含む塩、硝酸を含む塩、硫酸を含む塩、およびリン酸を含む塩が挙げられる。有機酸を含む塩の例として、ギ酸を含む塩、酢酸を含む塩、トリフルオロ酢酸を含む塩、フタル酸を含む塩、フマル酸を含む塩、シュウ酸を含む塩、酒石酸を含む塩、マレイン酸を含む塩、クエン酸を含む塩、コハク酸を含む塩、リンゴ酸を含む塩、メタンスルホン酸を含む塩、ベンゼンスルホン酸を含む塩、およびp−トルエンスルホン酸を含む塩が挙げられる。塩基性アミノ酸を含む塩の例として、アルギニンを含む塩、リジンを含む塩、およびオルニチンを含む塩を含む塩が挙げられる。酸性アミノ酸を含む塩の例として、アスパラギン酸を含む塩およびグルタミン酸を含む塩が挙げられる。適切な塩の列挙は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., p 1418, 1985に開示されており、この開示全体が、参照として本明細書中に援用されている。
【0066】
一実施形態では、薬物、組成物、または医薬組成物に存在する本発明のポリペプチドの量は、血管新生関連疾患を治療するため、好ましくは癌および/または腫瘍および/または感受性の癌および/または感受性の腫瘍を治療するために有効である。好ましくは、ポリペプチドは、薬物または組成物中で、0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%の量で存在する。この量は、当業者によりルーチンで調節可能であり、ここで当業者は回復させる患者に投与するための最良な量を選択することができる。
【0067】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、本明細書に上述したポリペプチドを少なくとも10mg、好ましくは少なくとも20mg、より好ましくは少なくとも50mgを含む。好ましい実施形態では、組成物、医薬組成物、または薬物は、本発明のポリペプチドを10〜3000mg、好ましくは50〜2000mg、より好ましくは100〜1500mg含む。
【0068】
特定の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、SEQ ID NO:1のペプチドからなるポリペプチドを含む。本発明の別の特定の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、SEQ ID NO:2のペプチドからなるポリペプチドを含む。本発明の別の特定の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、ペグ化されているSEQ ID NO:1または2のペプチドからなるポリペプチドを含む。
【0069】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、SEQ ID NO:1のペプチド、およびSEQ ID NO:2のペプチドの2つのペプチドを含む、本明細書中上述したポリペプチドを含む。
【0070】
別の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、SEQ ID NO:1のペプチドを含む第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:2のペプチドを含む第2のポリペプチドの2つのポリペプチドを含む。別の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、SEQ ID NO:1のペプチドからなる第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:2のペプチドからなる第2のポリペプチドの2つのポリペプチドを含む。
【0071】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物に含まれている唯一の活性成分である。
【0072】
別の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または薬物は、別の活性成分をさらに含み、よって本発明のポリペプチドは、上記別の活性成分に付加的な治療剤であってもよい。
【0073】
本発明の特定の実施形態では、組成物、医薬組成物、または薬物は、細胞毒性薬、化学療法剤、または抗癌剤をさらに含む。
【0074】
抗癌剤の例として、限定するものではないが、たとえばシクロホスファミド(CTX;たとえばCYTOXAN(登録商標))、クロラムブシル(CHL;たとえばLEUKERAN(登録商標))、シスプラチン(CisP;たとえばPLATINOL(登録商標))、オキサリプラチン(たとえばELOXATIN(商標))、ブスルファン(たとえばMYLERAN(登録商標))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンCなどのアルキル化反応を伴うアルキル化剤など;たとえばメトトレキサート(MTX)、エトポシド(VP16;たとえばVEPESID(登録商標))、6−メルカプトプリン(6MP)、6−チオグアニン(thiocguanine)(6TG)、シタラビン(Ara−C)、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(たとえばXELODA(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)などの代謝拮抗剤など;たとえば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;たとえばADRIAMYCIN(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミスラマイシンなどの抗生剤など;たとえばビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチンといったビンカアルカロイドなどのアルカロイド類など;たとえばパクリタキセル(たとえばTAXOL(登録商標))およびパクリタキセル誘導体などの他の抗腫瘍剤、細胞分裂阻害剤、デキサメタゾン(DEX;たとえばDECADRON(登録商標))などのグルココルチコイド、およびたとえばプレドニゾンなどのコルチコステロイド、たとえばヒドロキシ尿素などのヌクレオシド酵素阻害剤、たとえばアスパラギナーゼなどのアミノ酸欠失酵素、ロイコボリン、フォリン酸、ラルチトレキセドおよび他の葉酸誘導体、ならびに類似の様々な抗腫瘍剤が挙げられる。また以下の薬剤:アミホスチン(たとえばETHYOL(登録商標))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(lornustine)(CCNU)、ドキソルビシンリポ(たとえばDOXIL(登録商標))、ゲムシタビン(たとえばGEMZAR(登録商標))、ダウノルビシンリポ(たとえばDAUNOXOME(登録商標))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(たとえばTAXOTERE(登録商標))、アルデスロイキン、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、10−ヒドロキシ 7−エチル−カンプトテシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンα、インターフェロンβ、ミトキサントロン、トポテカン、リュープロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペグアスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、またはクロラムブシルを、追加的な薬剤として使用してもよい。
【0075】
好ましい実施形態では、医薬組成物は白金錯体をさらに含む、上記白金錯体は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン(triplatin)、リポプラチン(lipoplatin)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0076】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明に係る少なくとも1つのポリペプチドとシスプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明に係る少なくとも1つのポリペプチドとカルボプラチンとを含む。
【0077】
好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:1のポリペプチド(P3)とシスプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:2のポリペプチド(P4)とシスプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:1のポリペプチド(P3)と、SEQ ID NO:2のポリペプチド(P4)と、シスプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:1のポリペプチド(P3)と、カルボプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:2のポリペプチド(P4)と、カルボプラチンとを含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、SEQ ID NO:1のポリペプチド(P3)と、SEQ ID NO:2のポリペプチド(P4)と、カルボプラチンとを含む。
【0078】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、抗血管新生剤をさらに含む。抗血管新生剤の例として、限定するものではないが、抗VEGF−A、抗VEGFR(VEGFR−1、VEGFR−2またはVEGFR−3)、抗PDGFR(αまたはβ)、抗EGFR、抗c−KITが挙げられる。一実施形態では、上記抗血管形成剤は、ベバシズマブ、ラニビズマブ、ペガプタニブ、VEGFトラップ、アキシチニブ、イマチニブ、バタラニブ、ソラフェニブ、セマクサニブ、スニチニブ、バンデタニブ、アンジオスタチン、エンドスタチン、トロンボスポンジン−1、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0079】
本発明の別の目的は、血管新生関連疾患を治療するため、好ましくはヒトまたは動物の身体の癌および/または腫瘍を治療するための本明細書中上述したポリペプチドまたは本明細書中上述した医薬組成物である。
【0080】
一実施形態では、本発明は、癌細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍の治療に使用するための、本発明に係るポリペプチドまたは医薬組成物に関する。
【0081】
本明細書中で使用されるように、用語「治療する」は、特定の障害もしくは疾患の予防、または特定の障害もしくは病態に関連する症状の軽減、および/または上記症状の予防もしくは排除を含む。よって、一実施形態では、用語「治療」は、治療的処置、および目的が標的化された病態または障害を予防または遅延(和らげる)ことである予防的(prophylacticまたはpreventative)手段の両方を指す。治療を必要とする対象は、すでに障害を有している対象および障害を有する傾向がある対象、または障害を予防すべき対象を含む。本発明に係るポリペプチドの治療量を投与した後に、患者が、以下:病原体の細胞数の減少;病原性のある細胞の総数のパーセントの減少;および/または特定の疾患または病態に関連する症状の1つまたは複数のある程度までの緩和;罹患率および死亡率の低下;ならびに生活の質の問題の改善のうちの1つまたは複数における、観察可能かつ/または測定可能な減少または不存在を示す場合に、対象または哺乳類は、感染症に関して成功して「治療」されている。疾患における治療の成功および改善を評価するための上記のパラメータは、医師によく知られているルーチンの手法により容易に測定可能である。
【0082】
「予防的」処置は、疾患に関連した病態を発症するリスクを低下させる目的のために、疾患の徴候を呈していない対象または疾患の初期の徴候のみを呈する対象に投与する治療である。「治療的」処置は、これらの徴候を減少または排除させる目的のために、病態の徴候を呈する対象に投与する治療である。
【0083】
化合物の「治療上有効量」は、化合物を投与する対象に有益な効果を提供するために十分な化合物の量である。よって、一実施形態では、「治療上有効量」は、疾患もしくは病態の1つもしくは複数の症状の進行、悪化、もしくは増悪を遅延もしくは停止するため、または、疾患もしくは病態の症状を軽減するため、または疾患もしくは病態を治癒するために必要かつ十分な本発明のポリペプチドの量に関する。
【0084】
本発明の別の目的は、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療するための方法であって、本発明のポリペプチドの少なくとも1つの治療上有効量を、その必要がある対象に投与することを含む、方法である。
【0085】
一実施形態では、本発明の方法は、血管新生を阻害することにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する方法である。別の実施形態では、本発明の方法は、内皮細胞の増殖、遊走および/または毛細血管への分化を阻害することにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する方法である。別の実施形態では、本発明の方法は、エンドスタチンの産生を増大させることにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する方法である。
【0086】
別の実施形態では、本発明の方法は、腫瘍の増殖を阻害させる、かつ/もしくは腫瘍容積を限定もしくは減少させることにより、癌および/または腫瘍を治療する方法である。別の実施形態では、本発明の方法は、CD9、CD9P−1、およびCD81の細胞内レベルを変化させないまま、CD151の分解をもたらすことにより、癌および/または腫瘍、好ましくは癌および/または腫瘍の細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍を治療する方法に関する。別の実施形態では、本発明の方法は、CD9P−1とCD9との間、および/またはCD9P−1とCD151との間、および/またはCD9とCD151との間の相互作用を減少または阻害することにより、癌および/または腫瘍、好ましくは癌および/または腫瘍の細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍を治療する方法である。
【0087】
本発明の別の目的は、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療するため、または治療に使用するための、本明細書中上述したポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物である。
【0088】
好ましい実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物は、癌細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍の治療に使用するためのものである。一実施形態では、CD9P−1の発現が、治療の前に対象から入手した癌および/または腫瘍の細胞を含む試料で試験されている。
【0089】
一実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物は、血管新生を阻害することにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。別の実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、または薬物は、内皮細胞の増殖、遊走、および毛細血管への分化を阻害することにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。別の実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、または薬物は、エンドスタチンの産生を増大させることにより、血管新生関連疾患、好ましくは癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。
【0090】
別の実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物は、腫瘍の増殖を阻害、かつ/または腫瘍容積を限定もしくは減少させることにより、癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。別の実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、または薬物は、CD9、CD9P−1、およびCD81の細胞内レベルを変化させないまま、CD151の分解をもたらすことにより、癌および/または腫瘍、好ましくは癌および/または腫瘍の細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。別の実施形態では、上記ポリペプチド、組成物、または薬物は、CD9P−1とCD9との間、および/または、CD9P−1とCD151との間、および/またはCD9とCD151との間の相互作用を減少または阻害させることにより、癌および/または腫瘍、好ましくは癌および/または腫瘍の細胞がCD9P−1を発現する癌および/または腫瘍を治療する際に使用するためのものである。
【0091】
本発明によると、対象は、任意の動物、好ましくはヒトであってもよい。
【0092】
「治療上有効用量または治療上有効量」は、所望の生物学的結果を誘導するために十分な用量レベルを指す。この結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因の軽減、または他のいずれかの望ましい生物学的なシステムの変化とすることができる。好ましくは、この用量または量は、癌細胞を殺傷することにより癌性病態を軽減するためには十分であり、さらに癌の増殖および/または転移の阻害をもたらす効果をも有する。
【0093】
一実施形態では、本発明の方法は、本明細書中に上述のポリペプチドを少なくとも10mg、好ましくは少なくとも20mg、より好ましくは少なくとも50mgの投与を含む。好ましい実施形態では、本発明の方法は、10〜3000mg、好ましくは50〜2000mg、より好ましくは100〜1500mgの本発明のポリペプチドの投与を含む。
【0094】
一実施形態では、本発明に係る使用のための組成物、医薬組成物、または薬物は、少なくとも10mg、好ましくは少なくとも20mg、より好ましくは少なくとも50mgの量で投与される。好ましい実施形態では、本発明に係る使用のためのポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物は、10〜3000mg、好ましくは50〜2000mg、より好ましくは100〜1500mgの量で投与される。
【0095】
本発明の一態様では、本発明に係るポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物の治療上有効量は、約1〜約50mg/kg/日、好ましくは約3〜約40mg/kg/日、より好ましくは約5〜約30mg/kg/日、の範囲である。
【0096】
一実施形態では、本発明に係る使用のためのポリペプチド、組成物、医薬組成物、または薬物は、1日に1回もしくは2回、または1週間に1、2、3、4、5、6回投与される。特定の実施形態では、本発明に係る使用のためのポリペプチド、組成物、または薬物は、少なくとも7日間、好ましくは少なくとも10日間、より好ましくは少なくとも12日間毎日投与される。
【0097】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療され得る癌として、限定するものではないが、
心臓性癌:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫およびテラトーマ;
肺癌:非小細胞肺癌、気管支原性肺癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫(chondromatosis hamartoma)、中皮腫;
胃腸癌:食道(扁平上皮癌、細胞腫、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(細胞腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管状腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結腸直腸、直腸;
泌尿生殖器癌:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍(Wihn’s tumor)[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、テラトーマ、胚性癌腫、テラトカルシノーマ、絨毛癌、肉腫、間質細胞腫、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);
肝臓癌:肝細胞腫(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;
骨癌:骨肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症(osteocartilaginous exostoses))、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液性線維腫、類骨腫および巨細胞腫;
神経系癌:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);
婦人科癌:子宮(子宮内膜癌)、頸部(子宮頸癌、腫瘍誘導性子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の腺癌]、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ−ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性テラトーマ)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、腟(腎明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫[胎児性横紋筋肉腫]、卵管[細胞腫]);
血液系癌:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];
皮膚癌:悪性メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫(Karposi´s sarcoma)、黒子異型母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;ならびに
副腎の癌;神経芽細胞種
が挙げられる。
【0098】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌として、限定するものではないが、乳癌、前立腺癌、結腸癌、結腸直腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、脳癌、精巣癌、胃癌、膵臓癌、皮膚癌、小腸癌、大腸癌、咽頭癌、頭頸部癌、口腔癌、骨癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、甲状腺癌、および血液癌が挙げられる。
【0099】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌として、乳癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌、および非小細胞肺癌が挙げられる。
【0100】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌として、乳癌、結腸癌(結腸直腸癌)、および肺癌(非小細胞肺癌)が挙げられる。
【0101】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌として、リンパ腫および白血病が挙げられる。
【0102】
本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌は、乳癌(細胞腫)、膀胱の細胞腫、結腸の細胞腫、口腔腫瘍、進行型の腫瘍、ヘアリーセル白血病、メラノーマ、進行型の頭頸部癌、転移性腎臓細胞、非ホジキンリンパ腫、転移性乳癌、乳腺癌、進行型メラノーマ、膵臓癌、胃癌、神経膠芽腫、肺癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎細胞腫、様々な固形腫瘍、多発性骨髄腫、転移性前立腺癌、悪性神経膠腫、腎細胞癌、リンパ腫、難治性転移性疾患、難治性多発性骨髄腫、子宮頸癌、カポジ肉腫、再発性未分化神経膠腫、および転移性結腸癌が挙げられる。
【0103】
好ましくは、本発明のペプチド、組成物、および方法により治療し得る癌として、限定するものではないが、乳癌、カルチノイド、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、神経膠腫、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、メラノーマ、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、皮膚癌、胃癌、甲状腺癌、および/または尿路上皮癌が挙げられる。
【0104】
特定の実施形態では、本発明のペプチド、組成物、および方法により治療される癌は肺癌である。
【0105】
本発明のポリペプチド、組成物、および方法は、腫瘍細胞の転移を予防または減少させるようにも意図されている。
【0106】
さらに、血管新生が関連する疾患を治療または予防する方法であって、本発明のポリペプチドの治療上有効量を当該治療の必要がある対象に投与することを含む方法は、本発明の範囲内にある。
【0107】
血管新生関連疾患は、眼性血管新生疾患(たとえば虚血性網膜症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、角膜血管新生、血管新生緑内障)、アテローム性動脈硬化、関節炎、乾癬、肥満、およびアルツハイマー病が挙げられる。
【0108】
本発明によると、本発明のポリペプチドは、経口投与、局所投与、または皮下注射、経皮注射、もしくは筋肉内注射、徐放性製剤の移植、静脈内注射、鼻腔内投与などを含む非経口手段により、投与してもよい。
【0109】
本発明によると、本発明のポリペプチドを含む組成物は、水溶液、エマルジョン、クリーム、軟膏、懸濁剤、ゲル、リポソーム懸濁剤などであってもよい。
【0110】
本発明の別の実施形態では、本発明のポリペプチドの少なくとも1つを含む組成物を、相乗的な活性を提供するために、たとえば抗血管新生剤、細胞毒性薬、化学療法剤、または抗癌剤などの血管新生関連疾患を治療するための少なくとも1つの他の活性成分と併用して使用してもよい。本発明の一態様では、本発明のポリペプチドまたはポリペプチドの少なくとも1つを含む組成物は、血管新生関連疾患の治療のため、より具体的には癌および/または腫瘍を治療するための、主要の抗血管新生剤、細胞毒性薬、化学療法剤、または抗癌剤にとって付加的な相乗的な治療として使用してもよい。
【0111】
「相乗的な」は、有効成分を併用した効果の全体が、各有効成分の別々での効果よりも高いことを意味する。「付加的な相乗的な治療」は、単剤治療の治療上の効果を改善する相補的な作用機構を伴う薬剤を用いた併用療法を意味する。
【0112】
抗癌剤の例として、限定するものではないが、たとえばシクロホスファミド(CTX;たとえばCYTOXAN(登録商標))、クロラムブシル(CHL;たとえばLEUKERAN(登録商標))、シスプラチン(CisP;たとえばPLATINOL(登録商標))、オキサリプラチン(たとえばELOXATIN(商標))、ブスルファン(たとえばMYLERAN(登録商標))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンCなどのアルキル化反応を伴うアルキル化剤など;たとえばメトトレキサート(MTX)、エトポシド(VP16;たとえばVEPESID(登録商標))、6−メルカプトプリン(6MP)、6−チオグアニン(thiocguanine)(6TG)、シタラビン(Ara−C)、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(たとえばXELODA(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)などの代謝拮抗剤など;たとえば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;たとえばADRIAMYCIN(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミスラマイシンなどの抗生剤など;たとえばビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチンといったビンカアルカロイドなどのアルカロイドなど;ならびにたとえばパクリタキセル(たとえばTAXOL(登録商標))およびパクリタキセル誘導体などの他の抗腫瘍剤、細胞分裂阻害剤、デキサメタゾン(DEX;たとえばDECADRON(登録商標))などのグルココルチコイド、たとえばプレドニゾンなどのコルチコステロイド、たとえばヒドロキシ尿素などのヌクレオシド酵素阻害剤、たとえばアスパラギナーゼなどのアミノ酸欠失酵素、ロイコボリン、フォリン酸、ラルチトレキセド、および他の葉酸誘導体、および類似の様々な抗腫瘍剤が挙げられる。以下の薬剤:アミホスチン(たとえばETHYOL(登録商標))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(lornustine)(CCNU)、ドキソルビシンリポ(たとえばDOXIL(登録商標))、ゲムシタビン(たとえばGEMZAR(登録商標))、ダウノルビシンリポ(たとえばDAUNOXOME(登録商標))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(たとえばTAXOTERE(登録商標))、アルデスロイキン、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、10−ヒドロキシ 7−エチル−カンプトテシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンα、インターフェロンβ、ミトキサントロン、トポテカン、リュープロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペグアスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、またはクロラムブシルを、追加的な薬剤として使用してもよい。
【0113】
化学療法のレジメンにおける上述の細胞毒性薬、化学療法剤、および他の抗癌剤の用途は、癌治療の分野では一般的に良好に特徴づけられており、本明細書中のこれらの用途は、一部を調整しつつ、耐性および有効性のモニタリングおよび投与経路および用量の制御を行うための同じ考えの下にある。有効な細胞毒性薬の典型的な用量は、製造社が推奨する範囲とすることができ、ここでin vitroで表される応答または動物モデルでの応答は、最大約1桁の濃度および/または量だけ減少することができる。よって、実際の用量は、培養した主要の悪性細胞または組織培養した組織試料のin vitroでの応答性、または適切な動物モデルで観察される応答に基づく、医師の判断、患者の病態、および治療方法の有効性に依存する。
【0114】
特定の実施形態では、上述の治療方法に関連した本発明は、少なくとも1つの抗新生物剤または抗腫瘍剤を投与することをさらに含む。
【0115】
特定の実施形態では、本発明は、
上述の少なくとも1つのポリペプチド、好ましくはP3(SEQ ID NO:1)またはP4(SEQ ID NO:2);および
白金錯体
の有効量を、治療の必要がある対象に投与することを含む治療方法であって、
好ましくは、上記有効量が、癌または腫瘍の増殖を阻害するために十分である、
方法に関する。
【0116】
上記白金錯体は、好ましくは、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、リポプラチン(lipoplatin)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0117】
驚くべきことに、本出願人は、SEQ ID NO:1からなるポリペプチドおよび白金錯体を両方投与することにより相乗効果が示されたことを発見した。
【0118】
一実施形態では、上記ポリペプチドおよび上記白金錯体は同時に投与される。別の実施形態では、上記ポリペプチドおよび上記白金錯体は、順次投与される。好ましくは、上記ポリペプチドおよび上記白金錯体は、別々の経路により投与される。
【0119】
本発明の治療方法の特定の実施形態では、治療すべき対象を、CD9P−1を発現する癌細胞の存在に関して試験する、またはあらかじめ試験した。
【0120】
上記CD9P−1を発現する癌細胞の同定を、たとえばCD9P−1に特異的なプライマー、配列、抗体を使用した、免疫組織化学的検査、PCR、in situでのハイブリダイゼーションなどの当該分野でよく知られたいずれかの方法により実行してもよい。抗CD9P−1抗体の例として、以下のSAB2700379、PA017074(Sigma)がある。
【0121】
本発明の目的は、本発明の治療の必要がある対象を選択するための診断キットである。一実施形態では、上記診断キットは、CD9P−1の発現を測定するためのイムノアッセイ試薬、またはプライマー、または配列を含む。CD9P−1は、コンパニオン診断試験のためのバイオマーカーとして使用される。
【0122】
本発明の別の目的は、その必要がある対象において癌を治療する方法であって、
上記対象において、CD9P−1を発現する癌細胞の存在を評価することと、
CD9P−1を発現する癌細胞が検出される場合、次に、本明細書中上述するように上記対象を治療することと
を含む、方法である。
【0123】
本発明の別の目的は、その必要がある対象において癌を治療する方法であって、
治療前に、CD9P−1を発現する癌細胞の存在を検出することを含む、上記対象のコンパニオン診断試験を行うことと、
コンパニオン診断試験の陽性的な結果により、本明細書中上述するように上記対象を治療することと
を含む、方法である。
【0124】
また本発明は、癌細胞および/または腫瘍細胞がCD9P−1を発現する、その必要がある対象における癌および/または腫瘍を治療する方法に関する。
【0125】
本発明は、続く実験の詳細から良好に理解されるものである。しかしながら、当業者は、論述されている特定の方法および結果が、以下に続く特許請求の範囲により完全に記載される本発明の単なる例示であり、これに限定されるようには全く考えられていないことを容易に理解するものである。