(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798888
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】電解液の交換のためのピットストップ及びその方法
(51)【国際特許分類】
H01M 12/06 20060101AFI20201130BHJP
H01M 2/40 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
H01M12/06 H
H01M2/40 A
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-555503(P2016-555503)
(86)(22)【出願日】2015年3月4日
(65)【公表番号】特表2017-511964(P2017-511964A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】IL2015050233
(87)【国際公開番号】WO2015132789
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2018年2月13日
(31)【優先権主張番号】61/948,080
(32)【優先日】2014年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/973,315
(32)【優先日】2014年4月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513287255
【氏名又は名称】フィナジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ヤドガー アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ミラー イスラエル
(72)【発明者】
【氏名】チドン デケル
(72)【発明者】
【氏名】チドン アビブ
【審査官】
原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】
特表平08−505730(JP,A)
【文献】
特開昭51−015126(JP,A)
【文献】
特開昭62−021033(JP,A)
【文献】
特開2010−244731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/00−16/00
H01M 2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属空気バッテリー内の電解液を交換するためのシステムであって、
基板外の電解液を保持するための第1のタンクと、
基板上の電解液を受容するための第2のタンクと、
中間電解液タンクと、
廃棄電解液タンクと、
前記第1のタンク及び前記第2のタンクを前記バッテリーに接続するための流体導管と、
前記基板上の電解液の前記バッテリーから前記中間電解液タンクへのまたは前記第2のタンクへの移送を制御し、かつ前記基板上の電解液の品質が閾値を超える場合は、前記基板上の電解液の前記中間電解液タンクから前記第2のタンクへの移送を制御し、そうでない場合は、前記基板上の電解液の前記廃棄電解液タンクへの移送を制御し、かつ前記基板外の電解液の前記第1のタンクから前記バッテリーへの移送を制御するための制御器と、を備え、
前記品質は、前記電解液の化学組成、前記電解液の温度、前記電解液中の固体粒子の量、前記電解液の抵抗率、前記電解液のpH、及び前記バッテリー内の前記電解液の瞬間的な量のうちの1つまたは複数の品質を示す1つまたは複数のセンサから受信した値に基づいて決定される、システム。
【請求項2】
前記第1のタンクが、加熱要素を含み、前記制御器が、前記基板外の電解液の温度を既定の温度範囲内に制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
加熱された基板外の電解液を保持するための第3のタンクをさらに備え、前記第3のタンクが、加熱要素を含み、前記制御器が、前記第3のタンク内の前記基板外の電解液の温度を既定の温度範囲内に制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記導管の前記バッテリーへの接続が安全であるかどうかを示す第1のユニットをさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記バッテリーの制御器と通信して前記バッテリー内の前記電解液の状態の指標を受信するための通信ユニットをさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のユニットからの指標が「安全」ではない場合、前記制御器が、前記システムと前記バッテリーとの間の電解液の移送を防止するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御器が、閾値に従った前記電解液の品質の検査のために、前記基板上の電解液を前記バッテリーから前記中間電解液タンクへ移送するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記基板上の電解液の前記バッテリーから前記第2のタンクへの移送を制御する第1の弁と、
前記基板外の電解液の前記第1のタンクから前記バッテリーへの移送を制御する第2の弁と、をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
低温の前記基板上の電解液の前記バッテリーから前記第2のタンクへの移送を制御する第1の弁と、
加熱された前記基板外の電解液の前記第3のタンクから前記バッテリーへの移送を制御する第2の弁と、をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項10】
前記基板上の電解液の前記バッテリーから前記中間電解液タンクへの移送を制御する第3の弁と、
前記基板上の電解液の前記中間電解液タンクから前記第2のタンクへの移送を制御する第4の弁と、
前記基板上の電解液の前記中間電解液タンクから前記廃棄電解液タンクへの移送を制御する第5の弁と、をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
1つを超えるバッテリーと接続するようにさらに適合される、請求項1〜10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
バッテリー内の電解液を交換するための方法であって、
金属空気バッテリー内の基板上の電解液の品質を検査することと、
前記品質が前記品質の第1の閾値を超える場合、以下の交換方法で前記基板上の電解液を基板外の電解液と交換すること、を含み、
前記交換方法は、
前記基板上の電解液を、前記金属空気バッテリーから、バッテリー内の電解液を交換するためのシステムに含まれる中間電解液タンクへまたは第2のタンクへ移送すること、
前記基板上の電解液の品質が第2の閾値を超える場合は、前記基板上の電解液を前記中間電解液タンクから前記第2のタンクへ移送し、そうでない場合は、前記基板上の電解液を廃棄電解液タンクへ移送すること、及び
前記基板外の電解液を、バッテリー内の電解液を交換するための前記システムに含まれる第1のタンクから、前記金属空気バッテリーへ移送することによって、前記基板上の電解液を前記基板外の電解液と交換することと、を含み、
前記品質は、前記電解液の化学組成、前記電解液の温度、前記電解液中の固体粒子の量、前記電解液の抵抗率、前記電解液のpH、及び前記バッテリー内の前記電解液の瞬間的な量のうちの1つまたは複数の品質を示す1つまたは複数のセンサから受信した値に基づいて決定される、方法。
【請求項13】
前記品質が、前記基板上の電解液の化学組成、前記基板上の電解液の温度、前記基板上の電解液中の固体粒子の量、前記基板上の電解液の抵抗率、前記基板上の電解液のpH、及び前記バッテリー内の基板上の電解液の瞬間的な量のうちの少なくとも1つであり、それぞれが対応する第1の閾値を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基板上の電解液の2つ以上の品質を検査することと、
前記2つ以上の品質のうちの少なくとも1つが前記対応する第1の閾値を下回る場合、前記基板上の電解液を交換することと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板外の電解液を移送する前に、前記第1のタンク内の前記基板外の電解液を既定の温度範囲に加熱することを含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第3のタンクがバッテリー内の電解液を交換するための前記システムに含まれ、第3のタンク内に保持された基板外の電解液を規定の温度範囲に加熱することと、
前記加熱された前記基板外の電解液を前記第3のタンクから前記バッテリーへ移送することと、を含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記基板上の電解液を、前記バッテリーから、バッテリー内の電解液を交換するための前記システムに含まれる中間電解液タンクへ移送することと、
前記電解液の前記品質が前記第2の閾値を超えるかどうかを検査することと、をさらに含む、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記基板上の電解液の前記品質が前記第2の閾値を超える場合、前記基板上の電解液を前記第2のタンクへ移送することと、
そうでない場合、前記基板上の電解液を前記廃棄電解液タンクへ移送することと、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数の金属空気バッテリーを、バッテリー内の電解液を交換するためのシステムに接続することと、
それぞれの前記複数の金属空気バッテリー内の前記基板上の電解液が、前記第1の閾値及び第2の閾値を超える場合、
前記基板上の電解液のそれぞれを、バッテリー内の電解液を交換するための前記システムに含まれる第2のタンクへ移送すること、及び
前記基板外の電解液を、バッテリー内の電解液を交換するための前記システムに含まれる第1のタンクから、複数の前記金属空気バッテリーのそれぞれへ移送することによって、前記基板上の電解液のそれぞれを前記基板外の電解液と交換することと、をさらに含む、請求項12〜18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
金属空気電池は当該技術分野において既知である。そのような金属空気セルまたはバッテリーは、例えば、アルミニウム、亜鉛、リチウム、ベリリウム、カルシウムなど含む材料で作製されている金属陽極、及びガス拡散陰極を含む。バッテリー内に電気を生成する化学反応は、水溶性または非水溶性のいずれかの電解液の存在下での金属陽極の酸化である。電解液は、陰極と陽極との間のイオンの移送のために使用される。場合によっては、電解液は、陽極を被覆する反応生成物(すなわち、金属の酸化物)を洗い流し、これにより陽極の酸化反応を継続させ、かつバッテリーが電気を供給することを可能にするために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
反応が進行するにつれて、電解液中の反応生成物の量が増加し、電解液が劣化し、電解液を新しい電解液と交換しなければならない。反応の副生成物は、熱である。酸化反応は、電解液の温度を上昇させる発熱反応である。バッテリーの効率は、電解液の温度に依存する。例えば、空気アルミニウムバッテリーにおける効率的な動作のための最適な電解液温度範囲は、50〜80℃である。したがって、最適な電解液温度範囲で金属空気バッテリーの動作を開始し、その範囲内に電解液の温度を維持することが有益である。金属空気バッテリーは、車両内、または無停電電源(UPS)、遠隔オフグリッドサイト、もしくは発電機などの静止装置内に組み立てられ得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明の態様は、バッテリー内の電解液を交換するためのシステムに関係し得る。本システムは、基板外の電解液を保持するための第1のタンクと、基板上の電解液を受容するための第2のタンクとを含み得る。本システムは、第1のタンク及び第2のタンクをバッテリーに接続するための流体導管と、基板上の電解液のバッテリーから第2のタンクへの移送を制御し、かつ基板外の電解液の第1のタンクからバッテリーへの移送を制御するための制御器とをさらに含み得る。
【0004】
本発明の追加の態様は、バッテリー内の電解液を交換するための方法を対象とし得る。本方法は、金属空気バッテリー内の基板上の電解液の特性を検査することと、該特性が該特性の第1の閾値を下回る場合、基板上の電解液を基板外の電解液と交換することとを含み得る。基板上の電解液を交換することは、基板上の電解液を、金属空気バッテリーから、バッテリー内の電解液を交換するためのシステムに含まれる第2のタンクへ移送することと、基板外の電解液を、バッテリー内の電解液を交換するためのシステムに含まれる第1のタンクから、メタ空気バッテリーへ移送することとを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結論部分で具体的に指摘され、かつ明確に主張される。しかしながら、本発明は、動作の機構及び方法の両方に関して、目的、機能、及びその利点と共に、添付の図面と合わせて読むとき、以下の発明を実施するための形態を参照することにより最もよく理解され得る。
【0006】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態に従う基板上の電解液の交換のための例示的なサービスステーションの高レベルなブロック図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態に従う金属空気バッテリー内の基板上の電解液の交換のための例示的なシステムの高レベルなブロック図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態に従う金属空気バッテリー内の基板上の電解液の交換のための方法のフローチャートである。
【0007】
例証の簡潔性及び明白性のために、図で示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。例えば、要素のうちのいくつかの寸法は、明白性のために他の要素に対して誇大されている場合がある。さらに、適切であると見なされる場合には、参照数字は、対応する要素または類似した要素を示すために異なる図中で繰り返される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の発明を実施するための形態では、本発明の十分な理解を提供するために、多数の具体的詳細が明記される。しかしながら、本発明はこれらの具体的詳細なしに実践され得ることが当業者により理解されるものとする。他の例では、周知の方法、手順、及び構成要素は、本発明を分かりにくくしないように詳細には記載されていない。
【0009】
本発明の実施形態は、別途具体的に明記されない限り、以下の考察から明らかなように、これに関して限定されるものではないが、例えば、「処理すること(processing)」、「コンピューティング(computing)」、「計算すること(calculating)」、「判定すること(determining)」、「確立すること(establishing)」、「分析すること(analyzing)」、「割り当てること(allocating)」、「確認すること(checking)」、「受信すること(receiving)」、「選択すること(selecting)」、「比較すること(comparing)」、「報告すること(reporting)」、「記録すること(recording)」、「検出すること(detecting)」、「促すこと(prompting)」、「記憶すること(storing)」など等の用語を利用する議論は、コンピュータのレジスタ及び/またはメモリ内の物理的な(例えば、電子的な)量として表されるデータを操作及び/または変換して、動作及び/またはプロセスを実施するための指示を記憶し得るコンピュータのレジスタ及び/もしくはメモリあるいは他の情報持続性記憶媒体内の物理的な量として同様に表される他のデータにする、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、または他の電子コンピューティングデバイスの操作(複数可)及び/もしくはプロセス(複数可)を指すことが理解されよう。
【0010】
本発明の実施形態は、これに関して限定されるものではないが、本明細書で使用される「複数(plurality)」及び「複数(a plurality」」という用語は、例えば、「複数(multiple)」または「2つ以上(two or more)」を含み得る。「複数(plurality)」または「複数(a plurality)」という用語は、2つ以上の構成要素、デバイス、要素、ユニット、パラメータなどを説明するために本明細書全体にわたって使用され得る。はっきりと明記されない限り、本明細書に記載される方法実施形態は、特定の順序または順番に制約されない。さらに、記載される方法実施形態の一部またはその要素は、同時に(simultaneously)、同じ時点で、または同時に(concurrently)、発生し得るか、実施され得る。
【0011】
本明細書で使用される場合、「記憶ユニット(storage unit)」という用語は、例えば、動画記録など、データを記憶するように構成される任意の装置、デバイス、システム、及び/またはデバイスのアレイを指し得る。記憶ユニットは、大容量記憶デバイス、例えば、セキュアデジタル(SD)カード、CD、DVD、またはレーザーディスク(登録商標)などの光学記憶デバイス、テープなどの磁気記憶デバイス、ハードディスク、独立した複数のディスクからなる助長配列(RAID)、ダイレクトアタッチトストレージ(DAS)、ストレージエリアネットワーク(SAN)、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)などを含み得る。記憶ユニットはそれぞれ、記憶にデータを書き込み、かつその後の使用のために記憶ユニットからデータを読み出す能力を含み得、例えば、動画ファイルは、要求に応じて、例えば、事象の調査が要求されるとき、記憶ユニットから読み出され得る。
【0012】
記憶ユニットは、例えば、ITストレージルーム内に物理的に位置する複数のハードディスクなど、組織施設(複数可)内に物理的に位置し得るか、例えば、ストレージエリアネットワーク(SAN)またはネットワークアタッチトストレージ(NAS)など、ネットワーク接続を介して組織が利用可能であるものであり得る。
【0013】
本発明のいくつかの態様は、金属空気バッテリー内の電解液の交換のためのシステム及び方法、例えば、車両内または任意の他の装置内に組み立てられるメタ空気バッテリーに関連し得る。バッテリー内またはバッテリーと連結するタンク内の電解液は、酸化反応に既に関与した使用済み電解液、または酸化反応にまだ関与していない新しい電解液の少なくとも2つの状態にあり得る。バッテリーまたはバッテリーと連結するタンク内に含まれる使用済み電解液及び新しい電解液は共に、本明細書内では「基板上の」電解液と見なされ得る。本発明のいくつかの実施形態に従うシステム(例えば、サービスステーション)は、基板上の電解液を、システムと連結する少なくとも1つのタンク内に格納された電解液と交換し得る。そのような電解液は、本明細書内では「基板外の」電解液と見なされ得る。
【0014】
本発明の実施形態に従って、基板上の電解液は、少なくとも2つの異なる状況下で交換され得る。使用済みの基板上の電解液は、電解液中のアルカリの濃度(例えば、イオン)が閾値よりも下がり、化学反応速度が遅くなり、さらに電解液中の望ましくない反応生成物の量が第2の閾値を超えて増加し、化学反応速度がさらに遅くなるとき、新しい基板外の電解液と交換され得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、金属空気バッテリー内の電解液は、保温のための熱バッテリーとして、例えば、車両の客室または運転席もしくはメインバッテリー(例えば、リチウムバッテリー)などの電気車両の他の構成要素を加熱するために、使用され得る。タンク内の電解液は、所望の温度範囲、例えば、30〜100℃または50〜80℃で予熱され得るか、バッテリーまたはバッテリーと連結するタンク内に導入され得る。所望の温度は、所望の使用に従って判定され得る。例えば、電解液が熱バッテリーでの使用のための蓄熱液体として使用される場合、基板外の電解液は比較的高温、例えば、80℃超に加熱され得る。さらに別の例において、電解液が金属空気バッテリー内の化学反応において(及び任意に蓄熱液体としても)使用される場合、電解液は金属空気バッテリーの最適動作温度範囲、例えば、空気アルカリバッテリーでは50〜80℃に加熱され得る。使用済みまたは未使用のいずれかの低温の基板上の電解液は、本発明の実施形態に従うサービスステーション内で加熱された基板外の電解液と交換され得る。
【0016】
本システムは、静止または可動性のいずれかであり得、少なくとも1つの金属空気バッテリーが搭載されるか、それを含むさまざまな種類の装置に役立ち得る。本システムは、1つを超えるバッテリーまたは装置に同時に役立ち得る。可動性(例えば、電気車両またはハイブリッド車両)または静止(例えば、無停電電源(UPS)、遠隔オフグリッドサイト、またはジェネレータ)のいずれかの、金属空気バッテリーによって少なくとも部分的に駆動され得る装置10は、
図1に例証される。そのような装置は、基板上の電解液を交換するためにサービスステーションに進入し得るか、可動性サービスステーションが、基板上の電解液の交換のためにその装置に送られ得る。その装置は、装置に含まれるコネクタを介して、本発明のいくつかの実施形態に従う電解液の交換のための電解液交換システムに含まれる接続管に接続され得る。装置のコネクタの接続管への接続後、装置の金属空気バッテリーと連結する制御器と交換システムの制御器との間に通信接続が確立され得る。装置の制御器は、有線または無線通信チャネルのいずれかを用いて、基板上の電解液の状態に関する情報を送信し得る。
【0017】
装置内の金属空気バッテリーは、バッテリー内の電解液の特性を検知するための1つ以上のセンサを含み得る。例えば、金属空気バッテリーは、電解液の化学組成、電解液の温度、電解液中の固体粒子の量、電解液の抵抗率、電解液のpH、バッテリー内の電解液の瞬間的な量などを検知するためのセンサを含み得る。装置に含まれ、かつ金属空気バッテリーと連結する制御器は、1つ以上のセンサからバッテリー内の電解液の特性を示す値を受信し得る。装置のサービスステーションとの接続後、金属空気バッテリーと連結する制御器は、その値をサービスステーションの制御器に送信し得る。サービスステーション内の制御器は、金属空気バッテリー内の電解液を交換すべきかどうかを判定し得る。いくつかの実施形態に従って、制御器は、使用済み電解液の値、及びそれに含まれる物質、例えば、汚染物質をさらに判定し得る。
【0018】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に従う基板上の電解液(例えば、使用済み電解液または低温の電解液(使用済みまたは未使用のいずれか))の交換のための例示的なシステム100(例えば、サービスステーション、ピットストップなど)の高レベルなブロック図を例証する
図1を参照する。システム100は、第1の電解液タンク110、第2の電解液タンク115、及び制御器130、ならびにシステム100を、サービスを受ける金属空気バッテリー12に接続するための接続手段(電解液導管、通信チャネル)を備え得る。システム100は、静止または可動性であり得、静止及び/または可動性装置の両方に役立ち得る。システム100は、単一または複数の装置に含まれる1つを超える装置または1つを超える金属空気バッテリー12に同時に役立ち得る。装置10がシステム100を備えるサービスステーションに進入するとき、またはシステム100が装置10に到達するとき、1つ以上の金属空気バッテリー12は、コネクタ15を介してシステム100に接続され得る。システム100は、基板外の電解液を収容するための少なくとも1つの第1のタンク110と、基板上の電解液を収容するための少なくとも1つの第2のタンク115と、少なくとも1つの制御器130とを含み得る。システム100は、第3のタンク120及び1つ以上の中間タンク150をさらに含み得る。第3のタンク120は、既定の温度範囲に加熱された、加熱された基板外の電解液を保持し得る。
【0019】
中間タンク150は、電解液の第2のタンク115への送達の前に、金属空気バッテリー12から基板上の電解液を受容し得る。タンク150は、タンク150内の電解液の特性を測定するために1つ以上のセンサ(例証せず)を含み得る。例えば、金属空気バッテリー12は、電解液の化学組成、電解液の温度、電解液中の固体粒子の量、電解液の抵抗率、電解液のpH、バッテリー内の電解液の瞬間的な量などを検知するためのセンサを含み得る。これらの測定は、金属空気バッテリーから取り出された基板上の電解液中の有益な物質の量を測定するため、ならびに使用済み電解液中に汚染物質が存在するかどうかを、それらが既にタンク内にある電解液を汚染し得る場合に、使用済みの電解液を基板上の電解液タンクに追加する前に判定するために、行われ得る。基板上の電解液が、いかなる有益な物質も含有しないか、第2のタンク内の基板上の電解液を汚染または害し得る望ましくない物質を含有する場合、タンク150からの電解液は、廃棄タンク170へ送達され得る。
【0020】
第1のタンク110は、金属空気バッテリー12に送達される基板外の電解液(例えば、加熱された電解液、新しい電解液など)を保持し得る。タンク110は、腐食電解液を保持するように構成され得、したがって耐腐食性材料で作製または被覆され得る。第2のタンク115は、車両10の金属空気バッテリー12から、または中間タンク150から基板上の電解液を受容し得る。タンク115は、基板上の電解液などの腐食液を保持するように構成され得る。タンク115は、耐腐食性材料で作製または被覆され得る。
【0021】
システム100は、金属空気バッテリー12内の基板上の電解液の状態の指標を受信するように構成され得る制御器130をさらに含み得る。制御器130は、装置10に含まれ、かつ金属空気バッテリー12と連結するコンピュータまたは制御器、例えば、いくつかの実施形態に従って、金属空気バッテリー12の動作を制御する制御器から指標を受信し得る。この指標は、有線または無線通信のいずれかによって受信され得る。制御器130は、受信した指標を基に、金属空気バッテリー12内の電解液を交換すべきかどうか(例えば、基板上の電解液の化学組成または温度に起因して)を判定するようにさらに構成され得る。この測定はまた、車両内の基板上の電解液の温度の測定を支援して、基板上の電解液が低温の基板上の電解液(例えば、既定の閾値を下回る温度を有する)であり、加熱された基板外の電解液と交換されるべきかどうかを判定し得る。
【0022】
制御器130は、基板上の電解液を、金属空気バッテリー12から、例えば、第2のタンク115または中間電解液タンク150に流し得る。制御器130は、タンク150の内側に位置するセンサから、タンク150内の基板上の電解液の状態の指標を受信し得る。本制御器は、受信した指標に基づいて、基板上の電解液が十分に高い品質(例えば、電解液の特性が第1の閾値を上回る)を有し、かつ汚染されていない場合には、それを第2のタンク115に送達することができること、またはそうでない場合は、それが廃棄タンク170に送達されるべきであることを判定し得る。制御器130は、基板外の電解液を、第1のタンク110から、金属空気バッテリー12または中間電解液タンク150に流し得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、システム100は、基板上の電解液の金属空気バッテリー12から中間電解液タンク150への移送を制御するための第3の弁(例証せず)、及び基板上の電解液の中間電解液タンク150から第2のタンク115への移送を制御するための第4の弁(例証せず)をさらに含み得、例えば、基板上の電解液は、十分に高い品質を有し、かつ汚染されていない。いくつかの実施形態において、本システムは、例えば、基板上の電解液の品質が悪いか、非常に汚染されているとき、基板上の電解液の中間電解液タンク150から廃棄電解液タンク170への移送を制御するための第5の弁(例証せず)をさらに含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、基板外の電解液は、金属空気バッテリー12への送達前に、既定の温度範囲に加熱され得る。基板外の電解液は、第1のタンク110内で加熱され得るか、第3のタンク120内で加熱され得る。第1のタンク110は、加熱要素116を含み得、制御器130は、基板外の電解液の温度を既定の温度範囲内に制御するように構成され得る。加えて、または代替的に、システム100は、加熱された基板外の電解液を保持するための第3のタンク120をさらに含み得る。第3のタンク120は、加熱要素126を含み得、制御器130は、第3のタンク内の基板外の電解液の温度を既定の温度範囲内に制御するように構成され得る。既定の範囲は、30〜100℃、50〜80℃、少なくとも30℃、少なくとも50℃などであり得る。加熱要素116及び/または126は、加熱液体について当該技術分野において既知の任意の加熱要素であり得る。加熱要素116及び/または126は、グリッドからの電気によって駆動され得る。いくつかの実施形態において、制御器130は、加熱された基板外の電解液を第1のタンク110及び/または第3のタンク120から金属空気バッテリー12へ流し得る。ここで、本発明のいくつかの実施形態に従う金属空気バッテリー内の基板上の電解液を交換するための例示的なシステム100(サービスステーションとしても知られる)の高レベルのブロック図をさらに詳細に例証する
図2を参照する。システム100は、第1のタンク110と、第2のタンク115と、少なくとも1つの制御器130とを含み得る。システム100は、
図1に例証される第3のタンク120及び中間タンク150と、それぞれが適切な接続センサ165を有する1つ以上のコネクタ160とを含み得る。システム100は、第1の電解液ポンプ114、第1の電解液弁117、1つ以上の電解液第1のセンサ118、第2の電解液ポンプ125、第2の電解液弁127、及び1つ以上の第2の電解液センサ128をさらに含み得る。システム100は、複数の金属空気バッテリーに対して同時に、基板上の電解液を交換するための、すなわち、基板上の電解液を受容し、かつ基板外の電解液を提供するための、複数の接続管160を含み得る。システム100の液圧要素は、太線で例証される管によって液圧で接続され得る。システム100内の電子及び制御通信は、細線で例証される。
【0025】
制御器130は、制御器と連結される持続性メモリ内に保存されたコードに従ってシステム100を制御するように構成され得る任意の計算プラットフォームを含み得、それが実行されると、本発明に従う、及びユーザインターフェースを使用するユーザから受信される指示に従う方法をシステム100に実施させる。制御器130は、プロセッサ(例えば、CPU、マイクロ制御器、プログラマブル論理制御器(PLC)など)と、プロセッサによって実行されたときに本発明の実施形態に従う方法を実施するコードを記憶するための持続性メモリと、ユーザが制御器と通信することを可能にする任意のデバイスを含み得るユーザインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース)とを含み得る。
【0026】
金属空気バッテリー12などのバッテリーを含む装置10などの装置が制御器130と通信するとき、制御器130は、金属空気バッテリー12内の基板上の電解液を交換すべきである(例えば、古すぎるか、低温すぎる)という指標を受信し得る。制御器は、ポンプ114を制御して、基板上の電解液を、金属空気バッテリー12から接続管160を介して、第2のタンク115または
図1の中間タンク150(例証せず)などの中間タンクへポンプ圧送し得る。弁117は、制御器130によって制御されて、基板上の電解液の第2のタンク115または中間タンク150への流れを制御し得る。センサ118は、タンク115内の基板上の電解液の特性に関するデータを制御器130に送信し得る。例えば、化学組成、タンク115内の電解液のレベル、電解液の温度、電解液のpHなど。
【0027】
制御器130は、ポンプ125を制御して、基板外の電解液(例えば、新しい電解液または加熱された電解液)を、接続管160を介して、第1のタンク110または第3のタンク120から金属空気バッテリー12へポンプ圧送し得る。弁127は、制御器130によって制御されて、新しい基板外の電解液の第1のタンク110からの流れを制御するか、加熱された電解液の第1のタンク110または第3のタンク120のいずれかからの流れを制御し得る。センサ128は、タンク110内の基板外の電解液の特性に関するデータを制御器130に送信し得る。例えば、化学組成、電解液のレベル、電解液の温度またはpHなど。制御器130は、金属空気バッテリー12内に補充されている新しい電解液の状態及び量を表すデータを、金属空気バッテリー12の動作を制御する車両10の制御器にさらに送信し得る。追加のセンサ(例証せず)は、タンク120内の基板外の電解液の特性に関するデータ、例えば、基板外の電解液の温度を制御器130に送信し得る。センサ118、128、及び追加のセンサは、温度計、pHセンサ、導電率/抵抗率センサなどを含み得る。
【0028】
制御器130は、接続管160とコネクタ15との間の接続が電解液の移送を可能にするのに十分に密閉されているという指標をセンサ165からさらに受信し得る。センサ165は、接続管160とコネクタ15との間の接続における潜在的な漏出を検知し得る。例えば、センサ165は、液体漏出、気体漏出などを検知し得る。漏出が発生したという指標が制御器130により受信された場合、制御器は、ポンプ115及び/または125にポンプ圧送を停止させ得、金属空気バッテリー12とシステム100との間の電解液の送達が停止され得る。
【0029】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に従う電子車両(ハイブリッド車両)に含まれる金属空気バッテリー内の基板上の電解液の交換の方法のフローチャートを例証する
図3を参照する。
図3の方法は、システム100によって、または金属空気バッテリー内の基板上の電解液を基板外の電解液と交換するように構成される任意の他のシステムによって実施され得る。ボックス310において、本方法は、金属空気バッテリー内の基板上の電解液の特性を検査することを含み得る。金属空気バッテリーを備える装置(例えば、装置10)のコンピューティングシステムは、金属空気バッテリー内またはその近くに位置する1つ以上のセンサから、バッテリー内の基板上の電解液の特性に関する値を受信し得る。装置のコンピューティングシステムは、その値を、電解液の交換のためのシステム(例えば、システム100)に含まれる制御器に送信し得る。制御器(例えば、制御器130)は、有線または無線通信を介して、バッテリー内の基板上の電解液の特性に関する値を受信し得る。該特性は、電解液の化学組成、電解液の温度、電解液中の固体粒子の量、電解液の抵抗率、電解液のpH、バッテリー内の電解液の瞬間的な量などを含み得る。
【0030】
ボックス320において、本方法は、少なくとも1つの特性パラメータがそのそれぞれの閾値を超えたかどうかを判定することを含み得る。この説明全体にわたる「超える(exceed)」という用語の使用は、特性を示す測定された値がそれぞれの閾値を超えたために、この状況を修正するには行動を起こす必要があるということを意味することに注目されたい。制御器は、特性に関する値またはパラメータを制御器に含まれるメモリまたは記憶デバイスに記憶されたデータと比較し得る。このデータは、関連した特性それぞれの第1の閾値を含み得る。少なくとも1つの特性の値がそのそれぞれの閾値を超えるとき、基板上の電解液を交換すべきである[はい]。システムが、唯一超えた特性が基板上の電解液の温度であると検出する場合、これは基板上の電解液のすべての他の特性が良好であり、特別ルートが取られることを意味する[温度のみ超過]。例えば、30〜55°Cの閾値より低い(すなわち、超えている)電解液の温度。この例では、電解液の温度がこの範囲を下回る(すなわち、閾値を超える)場合、電解液は交換され得る。しかし、本発明の実施形態に従って、低すぎる温度のみに起因して基板上の電解液を交換するという決定がなされる前に、周囲温度、次の計画された移動の予期される長さなどの他のパラメータが検査され得る。どの閾値も超えなかった(すなわち、基板上の電解液が今後の使用に良好である)場合、プロセスは停止する。
【0031】
温度のみ超過の場合、基板上の電解液は、それを所望の温度に加熱するために[ボックス384]、制御システムによって、中間タンク(
図1のタンク150など)[ボックス382]を介して基板外システム(
図1のシステム100など)へ送られ得る。電解液が所望の温度に加熱されたとき、それは金属空気バッテリー(
図1の金属空気バッテリー12など)に戻され得る[ボックス350]。いくつかの実施形態において、基板上の電解液に対して検査され得る複数の特性及びそれらのパラメータは、基板上の電解液の温度及びpHの量を検査することを含み得る。さらに別の例において、基板上の電解液の温度、化学組成、及び抵抗率が検査され得る。
【0032】
特性が特性の第1の閾値を超える(例えば、場合によって、下回るまたは上回る)とき、本方法は、ボックス325において、基板上の電解液を基板外の電解液と交換することを含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、2つ以上の閾値のうちの少なくとも1つが対応する第1の閾値を下回るとき、基板上の電解液を交換することを含み得る。例えば、電解液は、基板上の電解液の温度が30℃を下回り、かつpHが12を下回るとき、交換され得る。
【0033】
電解液は、第2の電解液タンク、例えば、タンク115、または中間電解液タンク、例えば、タンク150へ、システムがそのようなタンクを含む場合に、送達または移送されることができる。システム(例えば、システム100)が中間タンクを含まない場合(ボックス340)、本方法は、基板上の電解液を、第2の電解液タンク、例えば、システム100に含まれるタンク115へ移送することを含み得る。電解液は、金属空気バッテリーから、バッテリーを電解液の交換のためのシステムに接続するコネクタを介して(例えば、ポンプ114によって)ポンプ圧送され、基板上の電解液タンクへ移送され得る。代替的に、センサから受信される値が第1の閾値を超えなかった場合、プロセスは終了し得る(ボックス330)。
【0034】
ボックス350において、本方法は、基板外の電解液を、バッテリー内の電解液を交換するためのシステムに含まれる第1のタンクから、メタ空気バッテリーへ移送することを含み得る。基板外の電解液は、第1のタンクから金属空気バッテリーへ(例えば、ポンプ125によって)ポンプ圧送され得る。いくつかの実施形態において、基板外の電解液は、最適化された化学組成を有する未使用の(例えば、新しい)電解液であり得る。さらに別の実施形態において、基板外の電解液は、既定の温度に加熱された、加熱された電解液であり得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、本方法は、基板外の電解液を移送する前に、第1のタンク内の基板外の電解液を、既定の温度範囲に加熱することを含み得る。例えば、基板外の電解液は、加熱要素(例えば、加熱要素116)を使用して第1のタンク内で30〜100℃または50〜80℃の温度範囲に加熱され得る。いくつかの実施形態において、本方法は、第3のタンク(例えば、システム100に含まれるタンク120)に保持される基板外の電解液を既定の温度範囲に加熱することを含み得る。例えば、基板外の電解液は、加熱要素(例えば、加熱要素126)を使用して第3のタンク内で30〜100℃または50〜80℃の温度範囲に加熱され得る。いくつかの実施形態において、本方法は、例えば、ポンプ125を使用して、加熱された基板外の電解液を第3のタンクからバッテリーへ移送することを含み得る。
【0036】
システムが中間タンク(例えば、タンク150)を含む場合、本プロセスは、点線に沿って図の左側に従って実施され得る。ボックス360内の動作は、基板上の電解液を金属空気バッテリーから中間電解液タンク、例えば、システム100に含まれるタンク150へ移送することを含み得る。使用済み電解液は、金属空気バッテリーから、交換システムに含まれる接続管に接続されたコネクタを介してポンプ圧送され、中間タンクへ送達され得る。
【0037】
ボックス370において、本方法は、電解液の特性が第2の閾値を上回るかどうか(それが使用可能/有益な物質を含み、かつ汚染されすぎていないことを意味し得る)、つまりそれが廃棄タンクに送られるべきかどうかを検査することを含み得る。制御器は、中間タンク内に位置するセンサから、例えば、基板上の電解液の化学組成など、基板上の電解液の1つ以上の特性に関する指標(複数可)を受信し得る。該特性が第2の閾値を超えた場合、ボックス340において、使用済み電解液は、第2の電解液タンクへ移送され得る。指標が第2の閾値を超えなかった場合、使用済み電解液は、ボックス380において、廃棄タンク(例えば、タンク170)へ移送または送達され得る。例えば、第2の指標が、基板上の電解液中の有益な物質の量が所望の閾値を上回るか、望まない物質及び汚染の量が所望の閾値を下回ることを示す場合、使用済み電解液は第2の電解液タンクへ送達され得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、本方法は、金属空気バッテリーにそれぞれ含まれる基板上の電解液の特性を検査することを含み得る。例えば、2つ以上の車両が、システム100などのサービスステーションに進入し、それに続いて各車両内の金属空気バッテリー内の基板上の電解液の温度の検査が行われ得る。いくつかの実施形態において、本方法は、対応する閾値を下回る検査された特性を有する基板上の電解液のそれぞれを、基板外の電解液と交換することをさらに含み得る。例えば、2つ以上の車両内の基板上の電解液の温度が30℃を下回る場合、両方の基板上の電解液を交換すべきである。
【0039】
いくつかの実施形態において、基板上の電解液を交換することは、基板上の電解液のそれぞれを、第2のタンク(例えば、システム100に含まれるタンク115)へ移送することと、基板外の電解液を、第1のタンク(例えば、システム100に含まれるタンク110)から、閾値を下回る検査された特性を持つ電解液を有するバッテリーそれぞれへ移送することとを含み得る。代替的に、本方法は、基板外の電解液(例えば、加熱された基板外の電解液)を、第3のタンク(例えば、システム100に含まれるタンク120)から、閾値を下回る検査された特性を持つ電解液を有するバッテリーそれぞれへ移送することを含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、本方法は、車両と電解液の交換のためのシステムとの間の接続の状態に関する指標を受信することをさらに含み得る。センサは、車両に含まれるコネクタ内または電解液の交換のシステムに含まれる接続管内に位置し得、漏出が発生した場合、システムに警告し得る。センサは、液体漏出、気体漏出などを検知し得る。漏出が検出された場合、電解液を移送するプロセスは直ちに停止され得る。
【0041】
本発明の特定の機能が本明細書に例証及び記載されているが、ここでは多くの変形形態、代替、変更、及び均等物が、当業者には着想されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨に入る限りすべてのそのような変形形態及び変更を網羅することが意図されることが理解されるものとする。