【実施例1】
【0033】
図1は本発明実施例の無人搬送車の平面図、
図2はその側面図である。
図1、
図2において、100は無人搬送車の全体を示し、無人搬送車100は矢印で示す前方(図面で右側)に無人で自動的に移動する。1は、無人搬送車100の前方に配置された箱型の牽引駆動部であり、走行用モータ、充電バッテリー、充電器、操舵機構(いずれも図示せず。)を内蔵する。
【0034】
2は、牽引駆動部1の前方の下部に取り付けられたステップで、作業者12がその上に乗って無人搬送車を必要な場所へ人為的に移動操作を行う。3は、ステップ2に取り付けられたフットスイッチで、作業者の足で操作することにより前記走行用モータへの電源の投入、遮断を行う。
【0035】
4は、前記ステップ2の前端に取り付けられたバンパースイッチで、無人搬送車の自動走行中に前方で何らかの障害物に接触したとき、直ちに牽引駆動部の駆動電源を遮断して無人搬送車を停止させる。
【0036】
5は、牽引駆動部1の天板上に横に伸びるように突設された作業者12が掴まるためのステーである。6は、牽引駆動部1の天板上に縦に伸びるように突設されたシグナルタワーである。
【0037】
7は、複数の被牽引台車(後述)をまとめて前記牽引駆動部1側に押さえるベルトを巻き取るための巻取りロールである。ベルトは通常(被牽引台車を牽引しないとき)、巻取りロール7に巻き取られており、複数の被牽引台車を牽引するとき、巻取りロール7から引き出されて、複数の牽引台車の外周に掛け回されて使用される。8は、牽引駆動部1の裏面に設けられたクッションで、被牽引台車が牽引駆動部1側に押さえられたときの緩衝材として作用する。
【0038】
牽引駆動部1の天板上には、作業者12によって手動操作される前進、後進走行用のジョイスティックや、操舵用ステアリング、表示器などが設けられるが、図示省略されている。
【0039】
9は、牽引通路の側方の領域を検出する側域センサで、牽引駆動部1の側方の障害物を検出する。10は、走行ルートの床上に施設された磁気テープ等が発する磁気アドレスを検知するアドレスセンサであり、前記牽引駆動部1に現在位置の信号を送信する。11は、牽引駆動部1の下方に設けられた操舵と牽引を行う駆動輪で、前記操舵機構と走行用モータとによって駆動される。
【0040】
21は、前方が前記牽引駆動部1の下部に固定され、後方に伸びるように一体形成された断面コ字型の鋼材からなる長尺のフォークで、被牽引台車の牽引時にその下面に挿入される。22は、先細り形状をしているフォーク21の後端部である。フォーク21は、牽引駆動部1の下部から後端部22まで伸びて長尺に一体形成されている。このようにフォーク21は、一体形成により剛性が確保され、牽引駆動部1による牽引力がフォーク21に直接加わるので、フォーク21と牽引駆動部1との接合部の破断を回避することができる。
【0041】
23は、フォーク21の断面コ字型の両側部に固定された断面L字型のガイドで、L字型の水平部分がフォーク21の上面(天板の上面)と同一面となるように取付けられる。また、ガイド23は、後端部にガイド傾斜部24を有し、ガイド傾斜部24はフォーク21の後端部22とほぼ連続した傾斜面を形成する。
【0042】
25は、フォーク21の裏面に設けられフォークの自重を支える固定車輪で、旋回しないようにフォークの長尺方向に固定的に向けて取り付けられる。26は、フォーク21の裏面の固定車輪25より後方寄りに設けられたウェイトで、フォークの後方の重量を調整して、フォークと比べて大きな質量を有する牽引駆動部1との重量バランスを取る。このウェイト26により、単体状態での無人搬送車100の重量バランスが改善されるので、無人搬送車100の単体走行でも安定性を増すことができる。
【0043】
28は、フォーク21の最後部の上面に着脱可能に取り付けられるU字型金具からなる係止部で、取り付け時にフォーク21の上面から突出して被牽引台車(後述)に係止される。27は、フォーク21の裏面に取付けられ、係止部28で操作されるリミットスイッチである。リミットスイッチ27は、フォーク21へ係止部28の取り付け時にON状態に操作され、牽引駆動部1を動作可能に設定し、係止部28の取り外し時にOFF状態に操作され、牽引駆動部1の動作不可能な状態に設定する。
【0044】
上記の構成によれば、フォーク挿入に際し、係止部を取り外し状態とするので、フォークの挿入が容易になると共に、牽引駆動部が動作できない状態になるので安全性が確保できる。また、フォークが挿入された被牽引台車に係止した係止部の取付け状態で、牽引駆動部1が動作可能な状態に操作されるので、牽引動作の安全性が確保できる。
【0045】
図3は、本発明実施例の被牽引台車を複数連ねて牽引する説明図である。
図3において、50は、被牽引台車としての折り畳み式のカゴ車で、荷物を搭載できる開いた状態が示されている。カゴ車50は、背枠51、背枠51の両側部に横方向に開閉可能に枢支された側枠52、背枠51の底部に固定された底枠53からなる。
【0046】
底枠53の裏面には、挿入されたフォーク21を跨ぐように複数対の旋回自在なキャスター61、71が取り付けられる。キャスターは、後キャスター61と、前キャスター71の二対のキャスターからなり、後キャスター61は前キャスター71より幅が狭く設定される。以下、後キャスターを狭幅のキャスター、前キャスターを広幅のキャスターと称する。
【0047】
13は、巻取りロール7から端部が引き出されたベルトであり、重ねて並べられた複数台のカゴ車50の側面を1周させて、その端部を牽引駆動部1の巻取りロール7の反対側に固定部(図示せず)に固定する。固定された状態のベルト13は、その張力で複数台のカゴ車50を牽引駆動部1の後部に押し付ける。この時、最前部のカゴ車の背枠51が牽引駆動部1の裏面に設けられたクッション8に押圧され、牽引時にカゴ車と牽引駆動部1との接触安定性が図られる。
【0048】
このように
図3では、開いた状態の3台のカゴ車50が、重ねられた状態でフォーク21が挿入され、ベルト13により牽引駆動部1の後部に押し付けられた状態で、矢印方向に自動牽引される。
【0049】
図4は、本発明実施例の被牽引台車にフォークが挿入された状態のフォークと被牽引台車の関係の説明図である。
【0050】
図4では、図の複雑さを避けるために、カゴ車50の底面に、狭幅のキャスター61のみの取り付け構造が示され、広幅のキャスター71が省略されている。一対の狭幅のキャスター61は、それぞれ、カゴ車50の底枠53の裏面に、一対の取付け部62を介して固定される。二点鎖線と破線は、狭幅のキャスター61の旋回する範囲(状態)を示している。なお、
図4には示されないが、広幅のキャスター71も取付け部62を介して底枠53の裏面に固定される。
【0051】
フォーク21は、その断面コ字型の両側部にガイド23が固定されており、挿入時にこのガイド23が一対の取付け部62の内側の側面に係合することで案内される。ここで、フォーク21とガイド23の合計の幅(W)は、一対の取付け部62の内側の側縁同士の幅より少し小さめに設定されており、フォークの挿入時において円滑に案内される。
【0052】
この状態では、フォーク21の断面コ字型の両側部が、狭幅のキャスター61の旋回範囲と所定間隔を保つており、狭幅のキャスター61と接触することはない。キャスターの移動自在性が損なわれなく、カゴ車50を円滑に移動することができる。ここで、ガイド23が係合する部分として、狭幅のキャスター61の一対の取付け部62の内側の側縁としているが、これに限ることはなく、一対の狭幅のキャスター61に対応した取付け部62から独立した突起部であっても良い。
【0053】
U字型金具からなる係止部28は、フォーク21の上面の最後部に取り付けられるとき、最後部のカゴ車50の底枠53の隙間から上方に突出し、この突出部分が横方向に移動するとき、カゴ車50の底枠53に係止して、カゴ車を牽引する。
【0054】
図5と
図6は、本発明実施例の折畳んだカゴ車(被牽引台車)を複数連ねて牽引する平面図と側面図である。
図5で、折畳まれたカゴ車50の連ねた中間部分が省略されて示される。
【0055】
図5で、カゴ車50の底枠53は、後端部に向かって先細り形状に形成されており、その後端部の裏面に狭幅のキャスター61が設けられ、前端部に広幅のキャスター71が設けられている。したがって、カゴ車を折畳んだ状態で複数台重ねたとき、隣接のカゴ車の底枠53の後端部同士が入れ子構造となって嵌まり込み、コンパクトに重ねることができる。
【0056】
54は底枠53の後端部であり、この後端部54に平行な枠体55が設けられ、平行な枠体55の裏面に狭幅のキャスター61用の一対の取付け部62が取り付けられる。広幅のキャスター71も、枠体55の前端部の両端裏面に、一対の取付け部62を介して取り付けられる。各キャスター61、71の周囲の円は、その旋回範囲を示している。また側枠52は、折り畳まれた状態で、背枠51と平行に示されている。
【0057】
図5で分かるように、フォーク21は、各カゴ車50の狭幅のキャスター61の一対の取付け部62の間に挿入され、この挿入により各カゴ車50が整列され、自在キャスター特有の横ブレが抑えられる。
【0058】
また、フォーク21は、狭幅のキャスター61間に挿入されるので、幅寸法が小さくて済み軽量化できる。さらに、フォーク21は、折畳まれ重ねられた状態の最前部のカゴ車50の広幅のキャスターの前方から、後方の狭幅のキャスター61の間に挿入されるので、挿入が極めて容易となる。なお、広幅のキャスターは、カゴ車の設置安定性を保ち、商品が搭載された状態でも安定的に移動できる。
【0059】
図6は、折畳まれた9台のカゴ車50が重ねられた状態を示しており、巻取りロール7から端部が引き出されたベルト13で、9台のカゴ車50の側面を1周させて固定する。前記したように、カゴ車50は、底枠53が後方に向かって先細り形状を有しているため、折畳んだ状態で重ねたとき隣接のカゴ車の底枠53同士が入れ子構造となって嵌まり込む。
【0060】
従って、隣接するカゴ車同士をコンパクトに重ねることができ、また、隣接するカゴ車同士が横ブレすることなく整列される。更に、挿入されたフォーク21とカゴ車の外側をベルト13で固定することにより、複数台のカゴ車を効率良く、かつ安定的に整列することができる。この状態で、牽引駆動部1を駆動することにより、折畳まれた9台のカゴ車50が、効率良く、かつ安定的に矢印方向に自動牽引される。
【0061】
図7と
図8は、本発明実施例の開いた状態のカゴ車(被牽引台車)を複数連ねて牽引する平面図と側面図で、3台のカゴ車50を連ねている。また、カゴ車50に搭載された商品の横方向への落下を防止すべく、各側枠52にカバー板57が取り付けられている。カバー板57は各側枠52と一体的に移動し、カゴ車50の折畳み時に、背枠51の両側部に枢支された側枠52と共に背枠51と平行となるように閉じられる。
【0062】
58は、開いた状態のカゴ車50の底枠53の上に載せられた底板で、その上に商品が載せられる。底板58は、その前端(無人搬送車の進行方向の端部)が背枠51の底部に枢支され、カゴ車の折畳み時に、単体で背枠51側に撥ね上げられて閉じられる。なお、底板58は、背枠51の底部に枢支されないで、着脱式にカゴ車の底枠53の上に載せられるように構成されても良い。
【0063】
このように
図7、
図8では、製品が搭載された3台のカゴ車50が、重ねられた状態でフォーク21が挿入され、ベルト13により牽引駆動部1の後部に押し付けられた状態で、矢印で示す前方に自動牽引される。
【0064】
図9と
図10は、本発明実施例の折畳まれたカゴ車(被牽引台車)を複数連ねて牽引する平面図と側面図で、10台のカゴ車を連ねている。これらの図でも、折畳まれた10台のカゴ車が重ねられた状態でフォーク21が挿入され、ベルト13により牽引駆動部1の後部に押し付けられた状態で、矢印で示す前方に自動牽引される。
【0065】
自動牽引に際しては、牽引駆動部1の駆動輪11の駆動によりカゴ車が矢印で示す前方に牽引され、駆動輪11の操舵により予め設定された直線ルートおよび曲線ルートに沿って走行する。
【0066】
走行ルートに沿って移動するに際し、製品を載せた状態のカゴ車および折畳まれて多数重ねられたカゴ車は重量が大きいため、その重量によってカゴ車単体には走行ルートからずれようとする力が作用する場合がある。
【0067】
例えば、走行床面に傾斜があると、自在に旋回するキャスターによって低い方向に流れて移動しようとする。また、走行ルートで曲線に移る際には、複数の各キャスターが方向を変えるために任意方向に旋回するため、カゴ車の動きが一瞬不安定となり易い。さらには、キャスターの車輪が使用によるすり減りで変形すると、直線走行でも不安定になり易い。
【0068】
本実施例では、各カゴ車の狭幅のキャスター61の間にフォーク21を挿入することで、狭幅のキャスター61の旋回の動きが規制され、広幅のキャスター71もこれに追随する。そして、フォーク21の裏面に固定的に牽引方向に向けられた固定車輪が設けられているので、走行ルートに正確に沿って移動するフォークにより、各カゴ車がフォークの移動方向に規制される。
【0069】
したがって、製品を載せたカゴ車、および折畳まれたカゴ車の何れであっても、複数台重ねた状態で重量が大きくなっても、フォーク21の移動と共に効率よく、かつ安定的に牽引され、牽引コストを大幅に低減できる。
【0070】
図11は、本発明実施例の開いた状態のカゴ車(被牽引台車)の説明図である。
図11(A)はカゴ車の正面図であり、
図11(B)はカゴ車の側面図である。56は、背枠51に枢支された両方の側枠52を開いた状態に保つために、側枠52同士を連結する連結棒であり、折畳み時は一方の側枠52に吊り下げられる。
図11(A)に示すように、背枠51に商品の前方向への落下を防止するカバー板57が設けられている。
【0071】
底枠53の裏面には、取付け部62を介して狭幅のキャスター61と、広幅のキャスター71が取り付けられており、一点鎖線で各キャスターの旋回範囲を示している。
【0072】
図12は、本発明実施例の開いた状態のカゴ車(被牽引台車)の平面の説明図である。カゴ車50は、上方が開放されているので、
図12には主に底枠53が示されている。底枠53には、これを覆うように底板58が設置され、底枠53および底枠の後端部54は、破線で示されている。
【0073】
図13は、物流センターにおける、本発明実施例の無人搬送車の移動状態の説明図である。物流センターは、大まかに入荷場82、仕分け場83および出荷場84で構成される。食品関係の物流センターでは、入荷場82に、各地から商品の種類(農産物、水産物、畜産物、その他の食品)ごとにトラック81で集荷される。
【0074】
仕分け場83内では、集荷された製品を、保管温度別に仕分けて、温度別の保管エリアに一時保管される。小売店や顧客から発注があると、注文された商品の種類とその数量分が、センター内に一時保管されている棚等からカゴ車に集められる(ピッキング)。この際、1台のカゴ車が必要な保管エリアを移動して、注文の商品を集める。または、各保管エリアで専用のカゴ車が用意され、そのカゴ車に注文の商品を数量分だけ載せ、この専用のカゴ車を集めることが行われる。
【0075】
仕分け場には走行ルートが施設され、このルートに沿って無人搬送車100が走行し、通って集められた商品が載せられたカゴ車、および折畳んだカゴ車を牽引するように構成される。
【0076】
具体的には、仕分け場で集められたA店向けの複数台のカゴ車を、複数台重ねた状態で無人搬送車により牽引し、A店向けの専用のトラック85まで搬送する。同様に、B店向けの複数台のカゴ車を、複数台重ねた状態で無人搬送車により牽引し、B店向けの専用のトラック86まで搬送する。
【0077】
出荷場84では、仕分け場83で集められた注文内容に応じた種類と数量の商品が、各小売店や各顧客向けて、専用のトラック85、86で搬送される。