特許第6798896号(P6798896)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798896
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/06 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   A61M1/06
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-11495(P2017-11495)
(22)【出願日】2017年1月25日
(65)【公開番号】特開2018-117884(P2018-117884A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2020年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112288
【氏名又は名称】ピジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(72)【発明者】
【氏名】落合 志文
(72)【発明者】
【氏名】陳 麗嬌
(72)【発明者】
【氏名】原 美紀子
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−299905(JP,A)
【文献】 特表2008−513181(JP,A)
【文献】 特開2015−116431(JP,A)
【文献】 米国特許第4705504(US,A)
【文献】 国際公開第02/081003(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0156419(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0074379(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0041365(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0114090(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0287766(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0317728(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルを着脱可能な着脱部を有する搾乳器本体と、前記ボトルを外した状態で前記搾乳器本体に接続される母乳収容袋との接続構造であって、
前記搾乳器本体の少なくとも前記着脱部の下端部は、大きさの異なる複数の前記母乳収容袋の夫々の母乳の注入口に挿入可能な大きさとされており、
前記搾乳器本体の前記挿入する部分である挿入部の外側に配置された前記母乳収容袋を、前記挿入部と協働して、重力方向と交差する方向に沿って挟持する挟持体を有する
ことを特徴とする搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造。
【請求項2】
前記挟持した状態において、前記挟持体の前記重力方向への移動を規制する規制部が前記挿入部の外面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造。
【請求項3】
前記挟持体は、前記挟持する方向に弾性力を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造。
【請求項4】
前記挟持体は、前記母乳収容袋を介して前記挿入部を挟むようにした一対の挟持片を有し、
前記一対の挟持片は、一方が互いに連結した連結部であり、他方が互いに連結していない非連結部である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造。
【請求項5】
前記連結部と接続することで前記挟持体を支持する支持アダプターを有し、
前記支持アダプターは、前記挟持体を介して前記搾乳器本体を支持することで、前記母乳収容袋を略垂下可能である
ことを特徴とする請求項4に記載の搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造。
【請求項6】
前記挟持体は、前記搾乳器本体の前記挿入部以外の部分を囲むことができる略リング状部を有し、前記挿入部に対して接近離間する方向にスライド可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造。
【請求項7】
前記挟持体は、前記挟持する方向の外側に比べて内側が柔軟性を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造。
【請求項8】
前記挟持体は、前記母乳収容袋を介して前記挿入部を挟むようにした一対の挟持片を有し、
前記一対の挟持片は、その両端部が互いに連結し、かつ、互いに接近及び離間する方向に弾性力を発揮する板バネである
ことを特徴とする請求項1〜3に記載の搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳した母乳を入れる母乳収容袋を搾乳器本体に接続するための接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
搾乳した母乳を後で乳児に飲ませる場合や、乳房から直接授乳できない場合などに、母乳を保存したり一旦収容したりする母乳収容袋(母乳保存袋、等ともいう)が用いられる。この際、搾乳器本体に母乳収容袋を接続し、搾乳器本体で搾乳しながら、その母乳を母乳収容袋に注入することが行われている。特許文献1は、この搾乳器本体に対する母乳収容袋の接続構造に関する。
【0003】
この特許文献1では、その図5に示されるように、母乳収容袋20を搾乳器本体30に接続する際、母乳排出口30aに接続していたボトルを取り外し、そのままでは母乳収容袋20は接続できないので、母乳排出口30aに補助筒10を接続し、そして、補助筒10を母乳収容袋20の受け口20aに挿し込むようにしている。これにより、搾乳器本体30で搾乳した母乳は、補助筒10を介して母乳収容袋20に充填される。
この点、母乳収容袋20は母乳が充填されると、その重さにより補助筒10から脱落するため、特許文献1では補助筒10にクリップを設け、このクリップで母乳収容袋20を挟んで脱落を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−116431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような母乳収容袋の接続構造では、補助筒10をいちいち搾乳器本外30に取り付けるのが面倒である。
また、脱落防止用のクリップがあるとは言え、母乳収容袋20を吊り下げるように挟んでいるために脱落する恐れが依然残っており、特に母乳収容袋20に母乳などが付着して滑り易くなった場合、その恐れは高まってしまう。
このような脱落を防止するには、補助筒10やクリップの形状に合致した母乳収容袋20を利用すればよいが、そうすると、専用の母乳収容袋20しか使えなくなってしまい不便である。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、複数種の母乳収容袋を容易に接続し、かつ、その脱落を防止できる搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、本発明によれば、ボトルを着脱可能な着脱部を有する搾乳器本体と、前記ボトルを外した状態で前記搾乳器本体に接続される母乳収容袋との接続構造であって、前記搾乳器本体の少なくとも前記着脱部の下端部は、大きさの異なる複数の前記母乳収容袋の夫々の母乳の注入口に挿入可能な大きさとされており、前記搾乳器本体の前記挿入する部分である挿入部の外側に配置された前記母乳収容袋を、前記挿入部と協働して、重力方向と交差する方向に沿って挟持する挟持体を有する搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造により解決される。
【0008】
本発明の構成によれば、搾乳器本体の少なくとも着脱部の下端部は、大きさの異なる複数の母乳収容袋の夫々の母乳の注入口に挿入可能な大きさとされている。この点、着脱部はボトルの瓶口を付ける部分であって、そこには例えば搾乳した母乳の排出口を囲む等の構造がある。従って、専用の母乳収容袋でなくても、少なくとも着脱部の下端部を母乳収容袋に差し込んで、排出口から母乳収容袋に母乳を注入できる。
ここで、搾乳器本体の母乳収容袋に挿入する部分(少なくとも着脱部の下端部)である挿入部に比べて母乳収容袋の注入口が大きくても、挿入部と協働して挟持する挟持体を有するため、母乳収容袋の挿入部からの脱落を有効に防止できる。しかも、この挟持体は、重力方向と交差する方向に沿って挟持するため、より有効に母乳収容袋の脱落を防止できる。
このようにして、搾乳器本体の挿入部を母乳収容袋の注入口に挿入し、母乳収容袋は脱落が防止されつつ搾乳器本体から直接、母乳を受け取ることができるので、別途アダプターを搾乳器本体に取付ける必要がなく、容易に母乳収容袋を装着できる。
【0009】
また好ましくは、前記挟持した状態において、前記挟持体の前記重力方向への移動を規制する規制部が前記挿入部の外面に形成されていることを特徴とする。従って、挟持体が重力方向にずれ落ちる事態を防止して、母乳収容袋の脱落を更に有効に防止できる。
【0010】
また好ましくは、前記挟持体は、前記挟持する方向に弾性力を有することを特徴とする。従って、様々な形状を有する母乳収容袋を、弾性力をもって有効に挟持できる。
【0011】
また好ましくは、前記挟持体は、前記母乳収容袋を介して前記挿入部を挟むようにした一対の挟持片を有し、前記一対の挟持片は、一方が互いに連結した連結部であり、他方が互いに連結されていない非連結部であることを特徴とする。
上記構成によれば、一対の挟持片は一方が互いに連結した連結部であるので、例えばクリップや洗濯バサミのようにして挿入部を挟むことができる。そして、一対の挟持片は他方が互いに連結されていない非連結部であるため、母乳収容袋の注入口が挿入部よりも相当に大きな場合であっても、該挿入部よりも大きな母乳収容袋の部分を非連結部から外側にはみ出させて挟持できる。従って、無理やり母乳収容袋の注入口全体を挟持して、注入口が波打つなどして、かえって挿入部と注入口との間に隙間が生じる事態を可及的に防止できる。
【0012】
また好ましくは、前記連結部と接続することで前記挟持体を支持する支持アダプターを有し、前記支持アダプターは、前記挟持体を介して前記搾乳器本体を支持することで、前記母乳収容袋を略垂下可能であることが好ましい。これにより、母乳収容袋が可撓性を有していても、搾乳器本体と母乳収容袋とが接続された状態で、それをテーブル等に置くことができ、その間、他の作業ができるなど、便利である。なお、上記「略垂下」とは、母乳収容袋の底が下に全く着かない状態だけではなく、母乳収容袋の底が下に多少着く状態も含むものであり、母乳収容袋が開口部から母乳が漏れることなく概ね立っている状態を意味する。
【0013】
また好ましくは、前記挟持体は、前記搾乳器本体の前記挿入部以外の部分を囲むことができる略リング状部を有し、前記挿入部に対して接近離間する方向にスライド可能であることを特徴とする。そうすると、挟持体をクリップのように着脱するのではなく、搾乳器本体に装着したままにし、これをスライドさせて母乳収容袋を挟持できる。従って、挟持体を探したり紛失したりする事態を回避できる。
【0014】
また好ましくは、前記挟持体は、前記挟持する方向の外側に比べて内側が柔軟性を有することを特徴とする。このため、例えば、挟持された母乳収容袋の注入口が波打つなどし、その形態が挟持体の内側の面と多少異なっていても、柔軟性を有する部分が変形して接触面積を増やし、母乳収容袋の形状に合った挟持が可能となる。従って、挟持体による挟持を確実なものとして、母乳収容袋の脱落をより有効に防止できる。また、挟持体の内側が柔軟性を有することで、母乳収容袋の損傷も防止できる。
【0015】
また好ましくは、前記挟持体は、前記母乳収容袋を介して前記挿入部を挟むようにした一対の挟持片を有し、前記一対の挟持片は、その両端部が互いに連結し、かつ、互いに接近及び離間する方向に弾性力を発揮する板バネであることを特徴とする。
そうすると、板バネである一対の挟持片の両端部を摘まんで、互いに接近する方向に押し込むように力を入れれば、一対の挟持片は離れる方向に広がり、その広がった空間に母乳収容袋を介して搾乳器本体の挿入部を差し込むことができる。そして、その両端部を押し込んでいる力を抜けば、板バネである一対の挟持片は互いに接近する方向に弾性力を発揮し、これにより、母乳収容袋を介して搾乳器本体の挿入部を挟持し、挿入部と協働して母乳収容袋を挟持することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上、本発明によれば、複数種の母乳収容袋を容易に接続し、かつ、その脱落を防止できる搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造を説明するための搾乳器の概略中央縦断面図。
図2図1の搾乳器本体に母乳収容袋を接続する際に用いられる各部材の斜視図。
図3図2の搾乳器本体と母乳収容袋とを接続した状態の部分斜視図。
図4図3のA−A断面図。
図5】搾乳器本体に母乳収容袋を接続した図3の状態とは異なる状態の部分斜視図。
図6】第1実施形態の第1変形例に係る挟持体の平面図。
図7】第1実施形態の第2変形例に係る挟持体の斜視図。
図8】第1実施形態の第3変形例に係る搾乳器本体と挟持体の斜視図。
図9】第1実施形態の第4変形例であり、図2の挟持体を支持する支持アダプターの斜視図。
図10】本発明の第2実施形態に係る搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造を説明するための搾乳器本体と挟持体の側面図。
図11図10の挟持体の平面図。
図12】第2実施形態の第1変形例に係る挟持体の平面図。
図13】第2実施形態の第2変形例に係る搾乳器本体と挟持体の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図において付した同じ符号は同様の構成を有している。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る搾乳器本体と母乳収容袋との接続構造を説明するための搾乳器20の図である。
搾乳器20は、乳児に直接母乳を与えることが困難な場合、乳頭が傷ついている場合、乳腺炎を予防する場合などに、搾乳器本体21にボトル11を接続して用いられる。一般的に、搾乳器本体21とボトル11とは着脱可能であり、使用者は搾乳器本体21から排出される母乳を接続したボトル11に溜め、その後、ボトル11を搾乳器本体21から外し、ボトル11に乳首を付けて授乳している。なお、図1ではボトル11を搾乳器本体21から外した状態を図示している。
ところが、授乳時と搾乳時とは必ずしも一致するものではない。そこで、搾乳した母乳を一旦保存するため、ボトル11の代わりに母乳収容袋(母乳保存袋、母乳保存用バッグ等とも呼ばれる)を搾乳器本体21に接続し、搾乳した母乳を母乳収容袋に貯留することが行われている。
【0020】
このような搾乳器本体21と母乳収容袋との接続構造を説明する前に、先ず搾乳器20について概説する。
本発明の搾乳器は電動式であっても構わないが、図1の搾乳器20は一例として手動式を示している。ここでは、乳房にあてがわれる「フード部16」、このフード部16で囲まれた空間S1と連通した空間である連通部S2を有する「搾乳器本体21」、この搾乳器本体21の連通部S2に負圧を発生させる「負圧発生部材30」、搾乳した母乳を貯留するための「ボトル11」を有する状態を搾乳器20と呼んでいる。
【0021】
「フード部16」はファネル、或いはブレストキャップ等とも言い、全体的に漏斗状とされており、搾乳時に乳房を覆う略ラッパ状の搾乳口18と、搾乳器本体21に着脱可能に接続される筒状部17とを有している。搾乳口18は、乳房が挿入される空間S1を有し、この空間S1は乳房が収まると略密閉空間とされる。そして、この密閉空間を負圧にすることで搾乳する構造となっている。
【0022】
「搾乳器本体21」は、比較的軽く、かつ、硬質な合成樹脂材料により成形されており、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニルサルフォン等により形成されている。
搾乳器本体21の上部は、フード部16が装着される装着部75と、後述する負圧発生部材30が接続される領域を有している。
装着部75は、その内側に通気及び搾乳した母乳の通路とされる通気路23を有し、通気路23は、本体21の内側の上下に連通して形成された連通部S2と空間的に繋がっている。連通部S2は負圧が付与される領域であり、連通部S2が負圧状態になると、通気路23を介して、フード部16で囲まれた空間S1を負圧にできる。
【0023】
搾乳器本体21の高さ方向の中間部は、連通部S2を内側に有する筒状であり、上部や下部に比べて細く括れた首部19とされている。搾乳時には、この首部19に親指TBが置かれて使用される。
搾乳器本体21の下部は、搾乳した母乳を外部に出す排出口27と、この排出口27を囲むと共にボトル11を着脱可能な着脱部28を有する。即ち、排出口27は着脱部28の内側空間S3に配置されている。
【0024】
排出口27は、連通部S2の下端であり、ボトル11に向かって開口した部分に弁26を有する。弁26はシリコーンゴム等の弾性体で形成され、先端にスリット26aを有している。スリット26aは、連通部S2を負圧状態にすると閉じ、負圧状態を解放すると開くようになっている。これにより、連通部S2を負圧状態にすると母乳を引き込み、該負圧状態を解放するとスリット26aが開いて、連通部S2にある母乳をボトル11に落とすことができる。
【0025】
着脱部28は、その下端にボトル11が差し込まれる開口部28Aを有している。また、着脱部28の内面には雌ネジ部25が形成され、この雌ネジ部25に差し込まれたボトル11の瓶口が螺合される。なお、本発明の着脱部28とボトル11とは着脱可能であれば螺合に限らず、その他の方法で接続されても構わない。
着脱部28の外面は、首部19に親指TBを自然に置けるように、上側が首部19に向かうに従って除々に細くなり、概ねドーム状とされている。これに対して、着脱部28の外面の下端部28Bは、外径寸法W1が略変わらない垂直部22を有し、この垂直部22の上下に凸状部29が形成されている。凸状部29は後述する挟持体の移動を規制するための規制部である。規制部(凸状部)29については後で更に説明する。
【0026】
「負圧発生部材30」は、上記連通部S2を負圧状態の有無を生成する手段であり、搾乳器20が電動式の場合はポンプ等が利用されるが、図の手動式の場合、ダイヤフラム24とハンドル61により負圧状態の有無が生成される。
ダイヤフラム30は、全体が比較的弾性に富んだ柔軟な変形材料、例えばシリコーンゴム等であり、連通部S2の上端の開口を覆うように配置される。
ハンドル61は、比較的軽く、かつ、硬質な合成樹脂材料により成形され、変形し難くなっており、例えばポリプロピレンから形成されている。このハンドル61は、搾乳器本体21の上部から延びたアーム48の上端の支軸部49に取り付けられ、この支軸部49を中心に回動自在とされている。
これらダイヤフラム30とハンドル61とは結合部70を介して連結され、ハンドル61の回動操作によりダイヤフラムは変形し、連通部S2の空間の容積を変更させて、一定量の負圧を付与するようになっている。即ち、ハンドル61は、結合部70と連結してダイヤフラム30を持ち上げるリフト部61Aと、このリフト部61Aから曲折して搾乳器本体21の側面に対応して位置するレバー部61Bとを有する。そして、レバー部61Bの外面側にそえた指FGを、上述した搾乳器本体21の首部19及び着脱部28に接近するように動かすことで、ハンドル61が支軸部49を中心に回動し、リフト部61Aが結合部70を介してダイヤフラム30を上に持ち上げ、これにより連通部S2の空間が大きくなって負圧状態となり、母乳が搾られる。これに対し、指FGの力を弱めると、ダイヤフラム30の弾性力が発揮して、ダイヤフラム30は元の状態に復帰し、連通部S2の負圧状態が解消されると共に弁26が開いて、搾られた母乳はボトルに落ちる。
【0027】
「ボトル11」は、その瓶口の周囲に形成された雄ネジ部11aを有し、搾乳器本体21の着脱部28の内面に形成された雌ネジ部25と螺合されることで着脱可能になっている。尚、ボトル11は、搾乳器20の専用品でもよいし、上述した着脱構造に適合した哺乳瓶等を利用してもよい。
ところで、本実施形態のフード部16、ダイヤフラム30、ハンドル61、及びボトル11は、好ましい態様として、搾乳器本体21に対して着脱可能となっているが、本発明は必ずしもこれに限られず、搾乳器本体21に対して固定されていてもよい。
【0028】
図2は、母乳収容袋10を搾乳器本体21に接続する際に用いる各部材10,21,33の斜視図である。なお、図2では上述したフード部16及び負圧発生部材30を取り外しているが、これらを搾乳器本体21に接続した状態であっても、母乳収容袋10を搾乳器本体21に接続できる。
【0029】
〔母乳収容袋について〕
母乳収容袋10は、母乳を保存等する際に使用される袋である。具体的には、2枚の合成樹脂製フィルムを滅菌し、これらの周囲を熱融着して密封したものであり(図2では上縁部10Aを切断して開封した状態を示している)、開封前はその内部空間S4は清潔に密封されている。該合成樹脂製フィルムとしては、ある程度の強度があり、かつ熱可塑性がある材料を利用できる。このような材料としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の周知のフィルムを用いることができる。このような合成樹脂製フィルムからなる母乳収容袋10は可撓性を有し、透明又は半透明が好ましい。
【0030】
母乳収容袋10の上側の切り口12より下側にはチャック部15が形成され、開封した後であっても、内部空間S4は清潔に密封される。チャック部15から切り口12までの寸法は各社により異なり、10mmや45mmなど区々である。
図の母乳収容袋10の左右の熱融着部であって、チャック部15よりも上には、上部の切除を容易にするための上部切り込み部18が形成されている。これにより、上部切り込み部18を契機にして幅方向に沿って切断すれば、チャック部15よりも上側に母乳を入れるための注入口31が形成される。即ち、注入口31には上述した搾乳器本体21の少なくとも着脱部28の下端部28Bが挿入され、この着脱部28に囲まれた排出口27から出た母乳を注入口31で受けることができる。図の場合、母乳収容袋10の下端部の左右の熱融着部にも下部切り込み部19が形成され、内部空間S4に溜められた母乳を下側から出すこともできる。
【0031】
〔搾乳器本体について〕
搾乳器本体21の概要は上述した通りであるが、ボトルを着脱可能な着脱部28の少なくとも下端部28Bの最大外径W3は、母乳収容袋10の注入口31に挿入可能な大きさとされている。
ここで、母乳収容袋10の注入口31は各社によりその幅寸法W2が区々である。このため、着脱部28は、複数種の母乳収容袋10の夫々の注入口31に挿入可能な大きさとされている。従って、母乳収容袋10の種類が異なっていても、少なくとも着脱部28の下端部を注入口31に挿入して、母乳を内部空間S4に充填できる。なお、本発明の着脱部28は、市販されている全ての母乳収容袋に挿入できなくても構わず、複数種の母乳収容袋に挿入できればよい。
この着脱部28には挟持体33の重力方向の移動を規制する規制部29が形成されているが、規制部29については後述する。
【0032】
〔挟持体、等について〕
挟持体33については、図2と、搾乳器本体21と母乳収容袋10とを接続した状態の部分斜視図である図3と、図3のA−A断面図である図4を用いて説明する。なお、図3は母乳収容袋10の内側にある搾乳器本体21が透明な母乳収容袋10を透かして見えた状態である。
挟持体33は、搾乳器本体21及び母乳収容袋10とは別体であり、図3及び図4に示すように、母乳収容袋10の注入口31に挿入する搾乳器本体21の部分である挿入部(図3の場合は着脱部28の下端部28Bからその若干上までの部分)NSの外側に配置された母乳収容袋10を、挿入部NSと協働して挟持する手段である。
【0033】
本第1実施形態の挟持体33は、母乳収容袋10を介して挿入部NSの外面を挟むようにした一対の挟持片34,35を有している。そして、一対の挟持片34,35は、図2及び図3に示すように、一方が互いに連結した連結部36であり、他方が互いに連結していない非連結部37であり、全体がクリップ又は洗濯バサミのような形状とされている。
このように挟持体33は非連結部37を有するため、図3に示すように母乳収容袋10の注入口31が挿入部NSよりも相当に大きな場合であっても、その大きな母乳収容袋の部分10Bを非連結部37から外側にはみ出させて挟持できる。従って、無理やり母乳収容袋10の注入口31全体を挟持して注入口31が波打つなどして、かえって挿入部NSと注入口31との間に隙間が生じる事態を可及的に防止できる。
なお、図3の挟持体33は、所定の位置(上下の規制部29の間)で挿入部NSに接続された場合、一対の挟持片34,35の非連結部37側の先端34b,35bが互いに接触しないように、後述する狭窄部38から先端34b,35bまでの長さL1(図2参照)が決められている。
【0034】
一対の挟持片34,35同士の間の寸法W4は、挿入部NSの挟持体33を接続しようとする部分(本実施形態の場合は下端部28Bの垂直部22)の外径W3よりも小さく形成されると共に、互いに接近する方向(挟持する方向)に発揮する所定の弾性力を有している。なお、図の挟持体33は弾性力の高い合成樹脂で形成されているが、金属製であっても構わない。また、挟持片34,35の夫々は、後述する狭窄部38から非連結部37までが、挿入部NSの外面の水平断面形状(図の場合は円形状)に対応した略円弧状を有し、全体的にはC字状又はU字状とされている。
このようにして、図3及び図4に示すように、挟持した際、挟持片34,35の内面34a,35aが挿入部NSに密着し、挟持体33は挿入部NSと協働して母乳収容袋10を確実に挟持できる。
【0035】
ところで、図2に示すように、挟持体33の非連結部37の位置では、挟持片34,35の先端34b,35bが互いに離間する方向に開いて(即ち、先端に向かうに従って除々に離れるように)形成されている。これにより、この非連結部37を挿入部NSに向かって(図2のF方向に)押し込むと、一対の挟持片34,35は互いに離間する方向に開き易くなり、挟持体33を容易に挿入部NSに接続し易くなる。なお、挟持体33を母乳収容袋10を介して挿入部NSに押し込むと、必要以上に力を入れて押し込まない限り、図3に示すように後述する狭窄部38の位置で止まり、そして、狭窄部38から連結部36までの一対の挟持片34,35の間にも母乳収容袋10が入っていいようになっている。
一方、母乳収容袋10を挿入部NSから外す際は、一対の挟持片34,35を互いに離間する方向に開いて、挟持体33と挿入部NSとの協働による挟持状態を解除又は弱めて外すことになる。この点、挟持体33は、図2に示す長手方向の中央部CTよりも連結部36側に、一対の挟持片34,35同士の距離W5が狭くなった狭窄部38を有している。図の狭窄部38の寸法W5は非連結部37側の先端34b,35b同士の間の寸法と同様又はそれより小さく、挟持体33を挿入部NSに向って軽く押し込んでも、狭窄部38よりも連結部36側に行かないようになっている。また、狭窄部38から中央部CTに向かって、一対の挟持片34,35は除々に互いに離間するように円弧状とされている。これにより、図3の挟持体33の挟持状態から更に挿入部NSに向かって(図のF方向に)押し込むと、狭窄部38の内面に挿入部NSが当たって、一対の挟持片34,35は更に互いが離間するように開き、挟持体33と挿入部NSとの協働による挟持力を弱めることができ、これにより母乳収容袋10を挿入部NSから外し易くなる。
【0036】
ここで、挟持体33は、重力方向と交差する方向に沿って母乳収容袋10を挟持するようになっている。本実施形態の場合、挟持体33は、重力方向と直交する水平方向に沿って母乳収容袋10を挟持可能とされている。具体的には、搾乳器本体21の全体的にドーム状である着脱部28の下端部28Bには、上述した垂直部22が水平方向に沿って形成され、この垂直部22の上下双方に水平方向に沿った凸状部である規制部29が形成されている。従って、使用者は、この上側の規制部29aと下側の規制部29bとの間にある垂直部22に沿って、上述した非連結部37を挿入部NSに向かって(図のF方向に)押し込めば、挟持体33は上下の規制部29にガイドされながら、母乳収容袋10を介して挿入部NSを水平方向に沿って挟持できる。なお、上側の規制部29aと下側の規制部29bとの間の寸法H1は、挟持片34,35の高さ方向の寸法H2に対応して、僅かに大きいのが好ましい。
【0037】
このような挟持体33の母乳収容袋10を介した挿入部NSへの接続をする際のガイドとなる規制部29は、挟持体33の略水平の挟持状態を維持するための凸状部でもある。即ち、規制部29の着脱部28の外面から突出した幅D1は、母乳収容袋10と挟持片34,35が垂直部22に保持される寸法とされている。図では、上側の規制部29aと下側の規制部29bとの突出した幅D1は同様であるが、本発明はこれに限られず、下側の規制部29bの幅D1を上側の規制部29aに比べて大きくしても構わない。
【0038】
このような上側の規制部29aと下側の規制部29bは共にリング状とされ、互いに平行に配置されている。このため、挟持体33をどの角度からも上側の規制部29aと下側の規制部29bとの間に押し込むことができる。従って、例えばハンドル61が動く方向A1(図1参照)と交差する方向から挟持体33を押し込んで、挟持体33の連結部36が搾乳時のハンドル61(図1参照)の動きに邪魔になる恐れを防止することができる。
【0039】
ところで、図3に示す搾乳器本体21に対する挟持体33の接続位置は、着脱部28の下端部28Bであり、これにより図4に示すように、母乳収容袋10のチャック部15よりも上側にのみ搾乳器本体21の挿入部NSを挿入して、該上側の部分を挟持体33と挿入部NSとで挟持できる。従って、着脱部28がチャック部15よりも下側に挿入することなく、着脱部28により母乳収容袋10の内部空間S4が汚染される事態を防止できる。
なお、図3及び図4では好ましい実施形態として、母乳収容袋10のチャック部15よりも上側にのみ挿入部NSを挿入しているが、本発明はこれに限られるものではない。搾乳器本体21は基本的に消毒してから使用されるため、図5に示すように、挿入部NSは母乳収容袋10のチャック部15よりも下側に挿入されても特段の問題はない。なお、図5に示すように、挟持体33も着脱部28の上側及び/又は首部19に配置して、母乳収容体10を挟持するようにしてもよい。挟持体33の首部19への配置を想定した場合、規制部29を首部19に形成するのが好ましく、また、挟持体33の狭窄部38から非連結部37までの内面の形状についても、首部19の外面の水平断面形状に対応して形成するのが好ましい。また、規制部29の凸状部を着脱部28の下端部28Bから首部19にかけて、挟持体33の高さ寸法H2毎に形成してもよい。
【0040】
〔第1実施形態の第1変形例〕
次に、図6を用いて第1実施形態の第1変形例に係る挟持体40を説明する。図6は該挟持体40の平面図である。図6において、図1図5で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この挟持体40は、全体の形状は図2の挟持体33と同様であるが、材質のみが異なっている。
【0041】
即ち、挟持体40は、挟持する方向(図6の上下方向)の外側の部材41に比べて、内側の部材42が柔軟性を有している。例えば、外側の部材41はABS樹脂などであり、内側の部材42はこれより柔軟性と弾力性のあるシリコーンゴムから形成され、二色成形となっている。
このため、挟持体40は、例えば、挟持された母乳収容袋の注入口が波打つなどし、その形態が挟持体40の内側の部材42と多少異なっても、柔軟性を有する内側の部材42が変形して、挟持された母乳収容袋の形状に合った挟持が可能となる。従って、挟持体40による重力方向と交差する方向の挟持を確実なものとして、母乳収容袋の脱落をより有効に防止できる。また、内側の部材42が柔軟性を有することで、母乳収容袋の損傷も防止できる。
【0042】
〔第1実施形態の第2変形例〕
次に、図7を用いて第1実施形態の第2変形例に係る挟持体45を説明する。図7は該挟持体45の斜視図である。図7において、図1図6で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この挟持体45は、一対の挟持片46,47が板バネから形成されている点等が異なっている。
【0043】
具体的には、板バネからなる一対の挟持片46,47は図2に示す挟持体33と同様に、一方の端部46a,47a同士が連結された連結部45Aであるのに対して、他方の端部46b,47b同士は連結されていない非連結部45Bである。なお、連結部45Aでは、一方の端部46a,47a同士はピン48を介して連結している。
そして、図7の挟持片46,47は、互いに接近及び離間する方向に可撓性及び弾力性を有し、図7の一点鎖線のように互いに離間することで、図2の挿入部NSを母乳収容袋10を介して挟持するように接続可能となる。また、図7の一対の挟持片46,47は、その間に所定の空間S5ができるように円弧状部46c,47cを有している。この円弧状部46c,47cが、図2の挿入部NSに母乳収容袋10を介して接続される部分であり、板バネの弾性力により挿入部NSと協働して母乳収容袋10を挟持できる。
また、挟持片46,47は、円弧状部46c,47cから非連結部45Bに向かって延伸した延伸部46d,47dを有している。この延伸部46d,47dは、円弧状部46c,47cでは挟持し切れなかった母乳収容袋の注入口の部分を挟持する部位であり、延伸部46d,47d同士は略接触しているため、母乳収容袋の注入口の全体を概ね閉じることができ、該注入口から埃等が入る事態を防止することができる。
【0044】
ところで、この第2変形例では、他方の端部46b,47b同士は連結されていないが、二点鎖線で囲った図に示すように、連結部45Aと同様、他方の端部46b,47b同士もピン48を介して連結されてもよい。この場合、一対の板バネ46,47は、ピン48の周りを回動可能とするのが好ましい。これにより、挟持体45の長手方向の両端を中央に向かって(図のF1方向に)押し込むことで、板バネ46,47同士が離間するように作用して、その間に図3の挿入部NS及び母乳収容袋10を挟むことができる。
【0045】
〔第1実施形態の第3変形例〕
次に、図8を用いて第1実施形態の第3変形例に係る搾乳器本体50及び挟持体51を説明する。図8は該搾乳器本体50と挟持体51の斜視図である。図8において、図1図7で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この搾乳器本体50と挟持体51は、挟持体51の重力方向の移動を規制する規制手段52のみが異なり、その他の構成は同じである。
【0046】
即ち、本変形例の規制手段52は、搾乳器本体50の挿入部NSの外面に対して水平方向に沿って複数形成された凸部53、及び挟持体51の一対の挟持片34,35の内面に形成された複数の凹部54によりなっている。これにより、挟持体51を母乳収容袋を介して挿入部NSに接続すると、挿入部NSの外面に形成された複数の凸部53と、挟持体51の内面に形成された複数の凹部54とが係合して、挟持体51の水平方向の挟持状態が維持される。なお、挿入部NSの外面に凹部を、挟持体51の内面にこの凹部と係合される凸部を設けるようにしてもよい。
【0047】
〔第1実施形態の第4変形例〕
次に、図9を用いて第1実施形態の第4変形例について説明する。図9図2の挟持体33を支持する支持アダプター55の斜視図である。図9において、図1図8で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図9の搾乳器本体21と母乳収容袋10との接続構造では、搾乳器本体21、母乳収容袋10、挟持体33自体は図1図5で説明したものと同じであり、搾乳器本体21と母乳収容袋10とが接続した状態で、挟持体33を介して搾乳器本体21及び母乳収容袋10をリフトしている点が異なる。
【0048】
即ち、本第4変形例では、挟持体33の連結部36と接続することで挟持体33を支持する支持アダプター55を有している。支持アダプター55は、挟持体33を介して搾乳器本体21を支持することで、母乳収容袋10を略垂下可能としている。
図の場合、支持アダプター55は、挟持体33が接続される接続部56と、挟持体33を所定の高さに配置するための柱部57と、この柱部57を自立させるための台座部58とを有する。
【0049】
接続部56は、挟持体33を柱部57に接続する部分であり、この接続は着脱式でもよいし、或いは、固定式でもよい。図の場合、より好ましい態様として着脱式を採用しており、接続部56は柱部57の先端面に形成され、挟持体33の連結部36が嵌合する溝状とされている。そして、挟持体33の連結部36が柱部57に接続されると、少なくとも一対の挟持片34,35が片持ち式に水平方向に沿って支持される。なお、本発明の連結部36と柱部57と接続は、図の方式に限られるものではなく、例えばネジ止めやリベット締めであってもよい。
【0050】
柱部57は棒状又は板状であって、挟持体33を所定の高さに配置する長さL2を有している。本変形例では、長さL2は、市販されている複数種の母乳収容袋の内、長さが大きい母乳収容袋10の底が下に着かない程度の寸法にされている。なお、本発明の柱部57はこのような態様に限られるものではなく、母乳収容袋10の底が少し下に着く長さであってもよいし、或いは、長さL2を調整自在にしても構わない。
【0051】
台座部58は、図の場合、柱部57を垂直に自立可能にするための部材であり、平面視がC字状又はU字状とされている。なお、本発明の台座部58の形状はこれに限られるものではなく、単なる平板状であっても構わない。また、柱部57が台座部58に対して垂直に自立しておらず、傾斜して自立していても構わない。
【0052】
以上の支持アダプター55により、挟持体33を介して搾乳器本体21を所定の高さで支持できるので、母乳収容袋10が可撓性を有する部材であるため自立不可能であっても、搾乳器本体21と母乳収容袋10とが接続された状態で、これをテーブル等に置くことができる。
【0053】
〔第2実施形態〕
図10及び図11は、本発明の第2実施形態に係る搾乳器本体21と母乳収容袋10との接続構造を説明するための図であり、図10は搾乳器本体21と挟持体60の側面図、図11図10の挟持体60の平面図である。これらの図において、図1図9で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この第2実施形態に係る搾乳器本体21と母乳収容袋10との接続構造が、第1実施形態と異なるのは、概ね挟持体60の構成である。
【0054】
即ち、第2実施形態の挟持体60は、搾乳器本体21の挿入部NS以外の部分を囲むことができる略リング状部とされ、かつ、挿入部NSに対して接近離間する方向(図の上下方向Y)にスライド可能とされている。
図の場合の挟持体60は平面視が円形状であり、その内径W6が着脱部28の下端部28Bにおける上側の規制部29aと下側の規制部29bとの間の外径W1と同じか又は僅かに大きく形成されている。これにより、着脱部28は概ねドーム状であるため、着脱部28の下端部28Bから首部19にかけて上下方向Yにスライド可能となる。また、挟持体60の高さH3は、上側の規制部29aと下側の規制部29bとの間の高さH1と同じか又は僅かに小さい。なお、挟持体60の厚みD2は、破損しない範囲で可及的に薄いのが好ましい。
【0055】
挟持体60の内径W6は、着脱部28の下端部28Bにおける規制部29の外径W3よりも小さく、挟持体60のスライドは制限される。具体的には、上側の規制部29aはシリコーンゴムなどの柔軟性と弾性力を有する材料で形成されており、挟持体60を下側に力を加えてスライドさせると、挟持体60は上側の規制部29aを乗り越えることが可能である。これに対して、下側の規制部29bは、上側の規制部29aに比べて硬質な材料、例えばABS樹脂などで形成されている。これにより、挟持体60は、スライドさせて上側の規制部29aを一旦乗り越えると、上側の規制部29aと下側の規制部29bとの間に係止されることになる。
なお、本発明はこのような態様に限られるものではなく、例えば、上側の規制部29aも硬質な材料で形成しても構わない(この際、リング状の上側の規制部29aは、リング状の下側の規制部29bに比べて外径を小さくして、挟持体60を乗り越え可能とするのが好ましい)。或いは、全ての規制部29を硬質な材料で形成し、挟持体60の方をシリコーンゴムなどの柔軟性と弾性力を有する材料で形成しても構わない。
【0056】
本第2実施形態に係る搾乳器本体21と母乳収容袋10との接続構造は以上のように構成されている。このため、使用者は、着脱部28の下端部28Bより外径が小さな首部19や着脱部28の上部に挟持体60を配置して、図10のように母乳収容袋10を挟持体60の内側に通すことができる。そして、挟持体60を下側に力を加えると、挟持体60はスライドして上側の規制部29aを一旦乗り越え、上側の規制部29aと下側の規制部29bとの間に係止される。従って、上側の規制部29aと下側の規制部29bとの間(本実施形態の場合、垂直部22)と挟持体60とで協働して母乳収容袋10を挟んで、母乳収容袋10を搾乳器本体21に接続できる。
【0057】
なお、搾乳器本体21にボトルを接続して搾乳する場合、挟持体60は上側の規制部29aと下側の規制部29bとの間に留置しておくのが好ましい。この際、挟持体60及び/又は規制部29がシリコーンゴムなどの弾性力を有する材料であると、グリップ力が生じ、搾乳時における滑りを防止できるため好ましい。
また、挟持体60は、搾乳器本体21からフード部16と負圧発生部材30を取り外せば、搾乳器本体21から取り外すこともでき、消毒の際に取り外して内側を消毒することもできる。
更に、挟持体60がシリコーンゴムなどの弾性力を有する材料であると、ハンドル61を回動させて搾乳器本体21に接近させた際、ハンドル61が上側の規制部29aと下側の規制部29bとの間にある挟持体60に衝突し、該衝突音を減少させることもできる。
【0058】
〔第2実施形態の第1変形例〕
次に、図12を用いて第2実施形態の第1変形例に係る挟持体62について説明する。図12はこの挟持体62の平面図である。図12において、図1図11で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図12の挟持体62が図11の挟持体60と異なるのは、完全なリング状ではなく、一部に切り欠き部又はスリット64が形成されている点である。
これにより、図3のように母乳収容袋10の注入口31が挿入部NSの外径よりも相当に大きな場合であっても、図12の挟持体62の切り欠き部又はスリット64から、その大きな部分を外側にはみ出させて挟持できる。
【0059】
〔第2実施形態の第2変形例〕
次に、図13を用いて第2実施形態の第2変形例について説明する。図13は該第2変形例に係る搾乳器本体21と挟持体65の側面図である。図13において、図1図12で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図13の搾乳器本体21と母乳収容袋との接続構造では、搾乳器本体21の着脱部28の下端部28Bと挟持体65の形状が図11とは異なる。
【0060】
即ち、本第2変形例では、搾乳器本体21の着脱部28の外面には、図2に示す凸状部(規制手段)29や垂直部22がなく、着脱部28は全体が略ドーム状とされている(即ち、下側に向って外径が除々に大きくなっている)。
一方、挟持体65は、この着脱部28の外面に対応した形状とされており、かつ、厚みを除く内径寸法W7は着脱部28の下縁部の外径寸法W8よりも小さくなっている。
これにより挟持体65を下側にスライドさせると、着脱部28の下縁部で止まって挟持体65の脱落を防止できる。このように、本第2変形例では着脱部28の外面そのものが、挟持体65の移動を規制するための規制手段となる。
そして、挟持体65の内面65aも外面65bも着脱部28の少なくとも下端部28Bと略相似であり、これにより、挟持体65の内面65aと着脱部28の外面とで母乳収容袋を確実に挟持できる。また、搾乳をする際、挟持体65が邪魔になることも可及的に回避できる。
【0061】
ところで本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の個別の構成は、必要により省略したり、説明しない他の構成と組み合わせたりしてもよい。
例えば、図3の挟持体33は、水平方向に沿って母乳収容袋10を挟持しているが、水平方向から所定の角度を有し、重力方向と交差する方向に沿って挟持するようにしても構わない。
また、図2図3の規制手段29は、好ましい態様として上下双方に形成されているが、下側の規制部29bだけであっても構わない。
また、図13の挟持体65について、外面の部材に比べて、内面の部材を弾力性のある材料(例えばシリコーンゴム)から形成してもよい。これにより、内面の部材の弾力性でグリップ力を発揮し、母乳収容袋の脱落をより有効に防止できるし、ハンドル61を挟持体65に衝突させて、衝突音を低減できる。
なお、本発明では、上述した各図の挟持体33,40,45,51,60,62,65(特に、図10図13の挟持体60,62,65)を搾乳器の一部品とし、上述した挟持体33,40,45,51,60,62,65を備えた搾乳器と把握することも勿論できる。
【符号の説明】
【0062】
10・・・母乳収容袋、11・・・ボトル、20・・・搾乳器、21・・・搾乳器本体、27・・・排出口、28・・・着脱部、28B・・・着脱部の下端部、29・・・規制手段、31・・・注入口、33,40,45,51,60,62,65・・・挟持体、34,35・・・挟持片、36・・・連結部、37・・・非連結部、55・・・支持アダプター、NS・・・挿入部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13