特許第6798904号(P6798904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798904
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】省電力装置セット
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/01 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   H02J3/01
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-36991(P2017-36991)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2017-208996(P2017-208996A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2018年4月16日
【審判番号】不服2020-687(P2020-687/J1)
【審判請求日】2020年1月17日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0059830
(32)【優先日】2016年5月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517071531
【氏名又は名称】チェ、ソングォン
【氏名又は名称原語表記】choi sung gwun
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソングォン
【合議体】
【審判長】 千葉 輝久
【審判官】 樫本 剛
【審判官】 小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−531128(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0969678(KR,B1)
【文献】 国際公開第2008/133438(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 7/12, 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースの内部に、互いの装置外面を当接させた状態で積重して配設され、永久的電気特性を有するトルマリン鉱物及び永久的磁気特性を有する永久磁石粉末の混合物が内部に充填された複数の省電力装置と、
前記ケースの内部に積重した複数の前記省電力装置の間及び最も外側に位置する最外側省電力装置の最外側面に設置され、接地線とそれぞれ電気的に接続された接地板と、
前記最外側省電力装置の前記最外側面に設置された前記接地板及び前記ケースの間に設けられ、電気的に絶縁させるための絶縁板とを含んで構成される省電力装置セットであって
前記省電力装置は、
装置筐体と、
前記装置筐体の内部に収容されたトルマリン粉末、永久磁石粉末、及び水分(HO)の混合物層であるトルマリン中間層と、
前記装置筐体の内部で前記トルマリン中間層を挟んで位置する導電性金属の電離板と、
前記トルマリン中間層に埋め込まれた状態で位置する導電板と、
を含み
前記トルマリン中間層の中には、前記永久磁石粉末とは別に、複数のブロック状の磁石が埋設され、前記永久磁石粉末はマグネタイト粉末であり、
前記省電力装置セットは、変圧器の二次側に接続されている受電盤の内部で、気中遮断器と配線用遮断器との間の電力母線に接続され、
前記省電力装置セットは、前記電力母線と略同一の電位を有する省電力装置セット。
【請求項2】
請求項1に記載の前記省電力装置セットにおいて、
前記装置筐体の内部で前記トルマリン中間層を挟んで位置する前記トルマリン粉末及び前記水分の混合物層である第二トルマリン中間層を更に含み、
前記電離板は、前記トルマリン中間層及び前記第二トルマリン中間層の境界面に介設されることを特徴とする省電力装置セット。
【請求項3】
請求項1に記載の前記省電力装置セットにおいて、
前記ケースは、
プラスチック、ステンレス、及びステンレス鋼板のいずれか一つで構成され、
前記絶縁板は、
プラスチックまたはゴムで構成され、
前記接地板は、
銅板、アルミニウム板、及び鉄板のいずれか一つで構成されることを特徴とする省電力装置セット。
【請求項4】
請求項に記載の前記省電力装置セットにおいて、
前記電力母線が単相2線式の場合に前記省電力装置の2つの単体モジュールが2本の電力線に設けられ、それぞれ電気的に接続されていることを特徴とする省電力装置セット。
【請求項5】
請求項に記載の前記省電力装置セットにおいて、
前記電力母線が単相3線式の場合に前記省電力装置の3つの単体モジュールが3本の電力線に設けられ、それぞれ電気的に接続されていることを特徴とする省電力装置セット。
【請求項6】
請求項に記載の前記省電力装置セットにおいて、
前記電力母線が三相4線式の場合に前記省電力装置の4つの単体モジュールが4本の電力線に設けられ、それぞれ電気的に接続されていることを特徴とする省電力装置セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力装置セットに関するものであり、更に詳しくは、トルマリン鉱物及び永久磁石粉末の混合物を利用して、電子の移動と流れを改善する複数の省電力装置の間と省電力装置の外側面に接地板とを設け、接地板をアースさせることで高調波を減衰(低減)させることが可能な省電力装置セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、環境汚染とエネルギー資源の欠如のために石炭や石油に代わる代替エネルギー資源を開発するための諸研究が積極的に行われている。例えば、原子力、風力、潮力、太陽光、または同種のものを利用したエネルギー資源を開発して効果的に利用する諸研究がなされている。
【0003】
しかしながら、石炭、石油、または原子力から発生する熱エネルギーは直接に使用することもできるが、ほとんどの熱エネルギーは電気エネルギーに変換して使用するのが一般的である。また、風力、太陽光または潮力から発生するエネルギーを直接に利用することは不可能であり、その発生したエネルギーは風力発電、太陽光発電または潮力発電によって電気エネルギーに変換して使用しなければならない。
【0004】
したがって、人類が使用するためには、ほとんどのエネルギーは電気エネルギーに変換されて使用していると言える。電気エネルギーは、毎年その使用量が増加しており、化石エネルギー資源の価格上昇などにより、電気エネルギーの供給価格も上昇する傾向がある。したがって、電気エネルギーの消費を削減するために、あらゆる試みが社会的、経済的に行われている。特に、省電力製品の開発、送電過程の改善、及び使用電力の削減が可能な省電力装置の開発が注目を浴びている。
【0005】
このような省電力装置や方法と関連し、遠赤外線を利用する節電方法が特許文献1に開示されており、これは、遠赤外線を放射するセラミック鉱物をモーターの基軸部に設置して、モーターの発熱による抵抗負荷の発生を抑制することで節電する技術に関するものである。また、特許文献2には、絹雲母または金剛薬石のような遠赤外線放射体から放射される遠赤外線が電力線に供給されることで共鳴吸収作用が最大化され、省電力化する方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、これらすべての従来技術は、いずれも遠赤外線を利用するものであり、特定の波長帯域(8〜11μm)の遠赤外線を発生させる必要があり、遠赤外線の発生量が一定水準に達しないと、放射される遠赤外線の発生量が満足あものでなく、省電力効果が低下する問題点があった。例えば、前述の絹雲母などの鉱物が粉末化されて特定サイズのボックスに塗布される場合、放射される遠赤外線の発生量は十分でなく、その省電力効果も満足できるものでなかった。
【0007】
前述と関連し、特許文献3には、省電力装置の内壁に絹雲母を主物質とし、かつ回転電磁波を放出するセラミック層が省電力装置の内壁に設けられ、そのセラミック層から放出される回転電磁波を繰り返して吸収・放出することで共鳴吸収作用を呈する内部カバー板がデバイス内部に設けられた前記省電力装置が開示されている。
【0008】
前記特許文献3では、セラミック層から放出される回転電磁波が自由空間(遊離空間)で遠赤外線に変換される方法を採用しており、その遠赤外線は、ハウジング内壁のセラミック層と内部カバー板のセラミック層間との間で共鳴吸収作用(反射及び吸収の繰り返し)を発生し、それによって回転電磁波(すなわち、遠赤外線)の発生量を増加させている。しかしながら、この方法でも遠赤外線の発生量が満足するものではなく、省電力効果も僅かなものであり、衝撃的に有用な省電力効果を有しない。
【0009】
したがって、遠赤外線を利用する従来の省電力(節電)デバイス及び方法は、解決されるべき問題を有していた。
【0010】
一方、電力は電圧、電流及び力率の積として定義することができるため、電流の流れを改善することにより電流値を減少させると、電力を削減することが可能である。
【0011】
本出願人は、トルマリン鉱物を利用する場合、電子の移動と流れを改善することができるという点に着目し、永久的電気特性を有するトルマリン鉱物と永久磁気特性を有する永久磁石粉末との混合物を用い、電子の移動と流れを改善して電力を節約することができる省電力装置を開発し、既に特許出願して登録されている(特許文献4)。
【0012】
一方、1970年代移行に高調波歪みによる電気供給システムの問題が発生し、係る問題を解決するために、高調波フィルタが開発されている。これにより、R−L−C回路による高調波フィルタが開発され、係る高調波フィルタは、熱の発生が高く、消費電力が高い問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平05−261355号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2002−0028862号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10−0419312号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10−0939757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の通り、本願出願人が既に出願した省電力装置を利用して、高調波を減衰させる省電力装置セットを実現するために創出されたものであって、複数の省電力装置を利用して省電力装置セットを構成し、その構造を変更することにより不必要な高調波を効果的に低減させることができる省電力装置セットの提供をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した目的を達成するための本発明の実施形態に係る省電力装置セットは、
[1] ケースと、前記ケースの内部に、互いの装置外面を当接させた状態で積重して配設され、永久的電気特性を有するトルマリン鉱物及び永久的磁気特性を有する永久磁石粉末の混合物が内部に充填された複数の省電力装置と、前記ケースの内部に積重した複数の前記省電力装置の間及び最も外側に位置する最外側省電力装置の最外側面に設置され、接地線とそれぞれ電気的に接続された接地板と、前記最外側省電力装置の前記最外側面に設置された前記接地板及び前記ケースの間に設けられ、電気的に絶縁させるための絶縁板とを含んで構成されている。
【0016】
[2] 前記[1]に記載の省電力装置セットであって、前記省電力装置は、装置筐体と、前記装置筐体の内部に収容されたトルマリン粉末、永久磁石粉末、及び水分(HO)の混合物層であるトルマリン中間層と、前記装置筐体の内部で前記トルマリン中間層を挟んで位置する導電性金属の電離板と、前記トルマリン中間層に埋め込まれた状態で位置する導電板とを含むことを特徴とする。
【0017】
[3] 前記[2]に記載の省電力装置セットであって、前記装置筐体の内部で前記トルマリン中間層を挟んで位置する前記トルマリン粉末及び前記水分の混合物層である第二トルマリン中間層を更に含み、前記電離板は、前記トルマリン中間層及び前記第二トルマリン中間層に介設されることを特徴とする。
【0018】
[4] 前記[1]に記載の省電力装置セットであって、前記ケースは、プラスチック、ステンレス、及びステンレス鋼板のいずれか一つで構成され、前記絶縁板は、プラスチックまたはゴムで構成され、前記接地板は、銅板、アルミニウム板、及び鉄板のいずれか一つで構成されることを特徴とする。
【0019】
[5] 前記[1]に記載の省電力装置セットであって、前記省電力装置セットは、変圧器の二次側に接続されている受電盤の内部で、気中遮断器と配線用遮断器との間の電力母線に接続されていることを特徴とする。
【0020】
[6] 前記[5]に記載の省電力装置セットであって、前記電力母線が単相2線式の場合に前記省電力装置の2つの単体モジュールが2本の電力線に設けられ、それぞれ電気的に接続されていることを特徴とする。
【0021】
[7] 前記[5]に記載の省電力装置セットであって、前記電力母線が単相3線式の場合に前記省電力装置の3つの単体モジュールが3本の電力線に設けられ、それぞれ電気的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
[8] 前記[5]に記載の省電力装置セットであって、前記電力母線が三相4線式の場合に前記省電力装置の4つの単体モジュールが4本の電力線に設けられ、それぞれ電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
上記した課題の解決手段によると、省電力装置を利用して省電力装置セットを構成し、その構造を変更することにより、不必要な高調波を効果的に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第一実施形態に係る省電力装置セットの構成図である。
図2a図1に示した省電力装置の一例を示す分解斜視図である。
図2b図1に示した省電力装置の一例を示す断面図である。
図3】本発明の第二実施形態に係る省電力装置セットの構成図である。
図4】本発明の第三実施形態に係る省電力装置セットの構成図である。
図5】本発明の省電力装置セットの設置例を示す図である。
図6】本発明の省電力装置セットに高調波低減効率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参考に、その構成及び作用を説明する。図面中で同一の構成要素に関しては、仮に他の図面上に表示されていても、可能な限り同一の参照番号または符合で示していることに留意しなければならない。
【0026】
下記で本発明を説明するにあたり、関連する公知の技術や構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に曖昧にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略することがある。また、特定部分が特定の構成要素を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、当該他の構成要素を含むことができるものとする。
【0027】
図1は、本発明の第一実施形態に係る省電力装置セット1000の構成図であり、三相4線式の場合の構成図である。図1に示すように、省電力装置セット1000は、省電力装置100、ケース200、絶縁板300、及び接地板500を含んで構成されている。
【0028】
ケース200は、防水性及び防塵性を有する材質で形成される必要があり、例えば、プラスチック、ステンレス、及びステンレス鋼板などの材質で形成することができる。ケース200の内部に配設される複数の省電力装置100は、永久的電気特性を有するトルマリン鉱物と永久的磁気特性を有する永久磁石粉末との混合物を利用して、電子の移動と流れを改善することにより、電気エネルギーの省電力化を実現する装置であり、以下、図2a及び図2bに基づいて詳述する。
【0029】
これらの省電力装置100は、一つの単体モジュールとして、電力母線が三相4線式であり、4つの省電力装置100が互いの装置外面を当接させた状態で上下に四段に積重して配設されてケース200の内部に収容され、電源端に提供された4本の電力線R,S,T,Nにそれぞれ独立して電気的に接続されている。
【0030】
接地板500は、銅板、アルミニウム板、或いは鉄板などで構成されたものであり、前述の積重した4つの省電力装置100の間、及び最も外側に位置する省電力装置100の最外側面、すなわち、最上段及び最下段にそれぞれ位置する最外側省電力装置100の最上段側及び最下段側の二箇所の最外側面に設置され、接地線Gとそれぞれ電気的に接続され、電気的に地面(アース)との結合することで省電力装置100との間の電位差を0に近づくようにしている。
【0031】
絶縁板300は、プラスチックやゴムなどの材料を板状に成形したものであり、最外側省電力装置100の最上段側の最外側面に設置された接地板500及びケース200の間、及び、最外側省電力装置100の最下段側の最外側面に設置された接地板500及びケース200の間とを電気的に絶縁させるものである。
【0032】
このような省電力装置セット1000の構成により、接地板500が地面(アース)と接続され、省電力装置100の電位差による自由電子の放出量を高め、高調波の低減効果を高める。
【0033】
また、省電力装置100を構成するトルマリンの特性上、高調波を減衰する役割を果たすので、接地板500を介して地面に接続されると、電力系統で発生する高調波が省電力装置100に導入され、高調波がトルマリンの電気的な性質を減少させる。
【0034】
図2a及び図2bは、図1に示す省電力装置100の一実施例を示す分解斜視図及び断面図である。図2a及び図2bに示すように、省電力装置100の一実施例は、装置筐体10と、装置筐体10の内部に充填されたトルマリン粉末、永久磁石粉末、及び水分(HO)の混合物層であるトルマリン中間層20と、装置筐体10の内部でトルマリン中間層20を挟んで位置する電離板30と、装置筐体10の内部で前記トルマリン中間層を挟んで電離板30の外側に位置するトルマリン粉末及び水分の混合物層である一対の第二トルマリン中間層50と、前記トルマリン中間層20に埋め込まれた導電板40とを含んで構成される。更に、トルマリン中間層20の中には、永久磁石粉末とは別に、複数のブロック状の磁石80が埋設されている。ここで、図2a,2bに示すように、本発明の第一実施形態の省電力装置セット1000において、省電力装置100は、トルマリン中間層20を上下方向から挟んだ位置に一対の電離板30が設けられ、更にその一対の電離板30を上下方向から挟んだ位置に一対の第二トルマリン中間層50が設けられている。すなわち、電離板30は、トルマリン中間層20及び第二トルマリン中間層50の境界面に介設されている。
【0035】
上記の装置筐体10は、互いに着脱自在に結合されるカバー12と、ハウジング14とを用いて構成され、例えば、はんだ、溶接、或いは接着剤を用いて互いに接合することが可能であり、または、上記のカバー12とハウジング14のそれぞれのコーナーの対応する部分に雌ねじを形成した後、雄ねじを利用して結合することができる。上記のカバー12及びハウジング14によって内部に形成される空間に、上記トルマリン中間層20、一対の電離板30、及び一対の第二トルマリン中間層50が層状となって構成される(図2b参照)。
【0036】
また、上記のカバー12とハウジング14は、防水性及び防塵性を有する材質で形成される必要がある。例えば、上記のカバー12及びハウジング14を、鉄、アルミニウム、或いはプラスチック等の材質で形成することができる。
【0037】
しかしながら、絶縁性及び安定性のために、不導体を使用することが好ましく、プラスチック材料を使用することが好適である。例えば、上記のカバー12とハウジング14とは、PC/ABS樹脂で形成することが最も好適であるが、PC/ABS樹脂は、その強度が鉄と近似し、難燃性の材質であるため、省電力装置100の装置筐体10の材質として最適の条件を有している。
【0038】
一方、プラスチック材料を使用する場合、装置筐体10の内壁に亜鉛メッキをすることが可能であり、亜鉛メッキが難しい場合には、亜鉛成分(50%以上)の塗料を使用してもよく、更に亜鉛成分の塗料を塗布する場合、その塗布厚さは1mm以下とすることが望ましい。
【0039】
また、上記のカバー12とハウジング14とを接合する場合、カバー12及びハウジング14の枠部分の継ぎ目16に、シリコーン処理を施し、防水が確実になるようにすることが好ましく、特に上記のカバー12とハウジング14を雄ねじを利用して締結するときは、それらの枠部分が正確に密着できない可能性があるため、シリコーンによる防水処理は不可欠なものとなる。
【0040】
上記の装置筐体10の内部に、所定の厚さに積層された状態で収容されるトルマリン中間層20は、トルマリン粉末、永久磁石粉末、及び水分(HO)の混合物からなる層であり、ここでトルマリンが最も重要な要素である。
【0041】
永久磁石は、外部から電気エネルギーを供給されない状態でも安定した磁場を生成し、維持する磁石であり、ここで、永久磁石粉末は、商業的に入手可能な永久磁石の粉末であれば使用することが可能であり、特にマグネタイト粉末を使用することが望ましい。
【0042】
ここで、トルマリン中間層20で使用されるトルマリン粉末及び永久磁石粉末は、325メッシュ以上の粉末を使用することが望ましい。
【0043】
上記第二トルマリン中間層50は、上記トルマリン中間層20から永久磁石粉末を除いて構成されるものであり、上部第二トルマリン中間層50aは、前述のカバー12の上部内壁に向かって所定の厚さに積層された状態で配置され、下部第二トルマリン中間層50bは、ハウジング14の下部内壁に向かって所定の厚さに積層された状態で配置される。
【0044】
電離板30は、装置筐体10の内部でトルマリン中間層20の上下(図2b参照)に位置して設けられ、上側の電離板30aは、トルマリン中間層20及び上部第二トルマリン中間層50aの間の境界面に位置し、装置筐体10のハウジング14からカバー12を分離した場合、カバー12とともにハウジング14から離脱する。
【0045】
一方、下側の電離板30bは、トルマリン中間層20及び下部第二トルマリン中間層50bの間の境界面に位置し、装置筐体10のハウジング14からカバー12を分離した場合、ハウジング14内に残る。
【0046】
上述の上側及び下側の一対の電離板30a,30bは、それぞれ銅やアルミニウムなどの導電性金属で形成され、導電性金属からなる電離板30a,30bは、トルマリン中間層20及び第二トルマリン中間層50a,50bとそれぞれ密着し、コンデンサの両端の金属板としての機能を担うことになる。
【0047】
したがって、トルマリン中間層20によって生成された電子は、電離板30のコンデンサとしての機能によって帯電された後、放電され、後述する導電板40を介して装置内部に充填された物質と外部入力端子との間を導体化させる。導電板40は、トルマリン中間層20に埋め込まれた状態で配置され、材質は銅(純度99.9%)であることが望ましい。なお、トルマリン中間層20に替えて、モルガナイト(MORGANITE)鉱物の粉末から形成されたモルガナイト粉末層(図示しない)を使用するものであっても構わない。ここで、モルガナイトは、河川の砂や煙水晶などに多く含まれている鉱物(BeAlSi18)であり、これを粉砕化を経て粉末として325メッシュまたは80メッシュの粉末の状態で使用される。モルガナイト粉末層によって、トルマリン中間層20と同様の機能を発揮することができる。
【0048】
この導電板40は、水分を含有したトルマリン中間層20に埋め込まれた状態にあり、水分による酸化のおそれがあるものの、前述した電離板30による放電作用によって放電される電子の還元作用により、水分による酸化を最小限に抑えることができる。
【0049】
したがって、省電力装置100の内部に収容されている導電板40のような金属製部品の酸化を最小化することができ、装置としての寿命を延ばすことができる。導電板40と電源端(図示せず)の電力母線を接続する電力線60は、市販されているいくつかの電力線を使用することが可能であり、十分な太さを有する安全規格に合致する電力線が使用される。この電力線の一端部60aと、導電板40を接続する端子70は、確実に締結され、隙間が生じないようにする必要がある。
【0050】
電力線保持部62は、電力線60に合致するものが利用され、上述した装置筐体10のハウジング14と電力線60とを接続した際に、内部の水分が外部に漏出することがないように、シリコーンや接着剤を使用して確実に密封して固定される。
【0051】
省電力装置100は、電気的或いは化学的反応によって剰余電子を発生させる装置である。一方、電力線60は、銅を主成分として構成され、電流が流れる状況下において、陽子と電子の数が同一な中性の状態となる。そのため、省電力装置セット1000が電力線60に剰余電子を供給する場合、その電力線60に供給される剰余電子は、電子の移動速度が早い伝導帯(Conduction Band)に留まることになる。ここで、伝導帯とは、バンドギャップ(禁止帯または禁制帯)のある系において、バンドギャップの直上にある空のバンドを意味する。また、バンドギャップとは、バンド構造における電子に占有された最も高いエネルギーバンド(価電子帯)の頂上から、最も低い空のエネルギーバンド(伝導帯)の底までの間のエネルギー準位を示す。
【0052】
一般に金属導体(Conductor)では、伝導帯を回っている自由電子が電流を流せる原因となる。仮に、伝導帯に自由電子の数が増加し、いくつかの剰余電子がより移動速度の速い伝導帯に留まるとしたら、電力線60の抵抗は減少することになる。そのため、電力線の抵抗により発生するジュール(Joule)熱が減少し、消費する電力を減らすことができる。
【0053】
そして、剰余電子は、電力線60内で抵抗成分として作用する正孔を埋め、電力線60の電流の流れを良好なものとし、更に当該剰余電子は陽子に拘束されて流れる自由電子ではなく、独立して移動可能な電子であるため、相対的に移動速度が速くなる性質を有している。
【0054】
係る剰余電子の速い移動速度によって、剰余電子は高調波の発生の領域或いは電磁波の誘導される部位から速やかに投入され、抜け出せる機能を奏し、これによって高調波及び電磁波の形でエネルギーが浪費されることを抑制することができる。
【0055】
高調波及び電磁波が発生する原因は、電力線60や電力系統の種々の電子機器内の電子と陽子の時間的密度が変化するためであり、剰余電子は極めて速い速度で高調波を抑えることで、電力の損失を抑制する機能を奏している。
【0056】
更に、剰余電子は、電力線60内では、速やかに移動することが可能であるものの、省電力装置から電力線に供給する場合には速く移動することがない。これら、本発明の省電力装置セット1000は、電力線60とほぼ同一の電位を有するため、急激に変化する電場や磁場の要素がないためである。
【0057】
しかしながら、電力線60に印加される電圧によって、電力線60内では剰余電子の密度差が発生し、これを補充する過程で省電力装置セット1000と電力線60との間に微細な電流のみが流れることになる。
【0058】
ここで、省電力装置セット1000から電力線60に供給される剰余電子の数は、電力線60を構成する銅に存在する電子の数と比較して、無視できるほどの微小なものであり、電力系統に悪い影響を及ぼすことがなく、かつ電力線60同士が接続されている際の負荷時に供給される電力効率を高める機能のみを有する。
【0059】
更に加えると、本発明を実施するに当たり、二次側を中心として両側に位置する電力線60の中の一箇所のみを省電力装置セット1000に接続しても電力伝達効率を高めることができるものの、係る場合は双方の電力線60に印加される電圧差によって、電力線60同士の互いの剰余電子の密度を変化させることもあるため、二次側を中心として両側に位置するそれぞれの電力線60に、本発明の省電力装置セット1000をつなげ、剰余電子を供給することがより効率的であると想到する。
【0060】
更に、本発明における省電力装置セット1000は、少量の剰余電子を電力線60に供給し、電力線60に存在する剰余電子の密度差を必要に応じて補充するものであるため、その供給する量を非常に小さいものとする長所を有する。したがって、既存の工場の配電盤内の空いた空間に容易に挿入し、制作することが可能であり、既存の工場のレイアウトを全く変更することなく設置が可能となる。
【0061】
更に、省電力装置セット1000は、電力線60に各々並列させて取り付けるものであるため、電力線60への電源供給があった場合でも当該電力線60の接続は可能である。
【0062】
一方、省電力装置セット1000は、使用環境によって要求される絶縁の程度に合わせてその大きさを任意に作成することができ、または使用環境によって要求される剰余電子の供給数量に合わせてその大きさを任意に作成することができる。
【0063】
更に、本発明の省電力装置セット1000は、如何なる電気機器や電力系統に接続しても、当該電気機器や電力系統に損失を与える副作用を生じさせることがなく、電力伝達効率を高める機能を有する。特に、交流電圧が供給される環境下では、本発明によって供給される剰余電子が、高調波の減衰及び電圧・電流間の位相差を減少させる機能を有するので、電力伝達効率をより一層高めることになる。
【0064】
図3は、本発明の第二実施形態に係る省電力装置セット1000の構成図であり、単相3線式の場合の構成図である。図3に示すように、省電力装置セット1000は、省電力装置100、ケース200、絶縁板300、及び接地板500を含んで構成されている。
【0065】
上記ケース200は、防水性及び防塵性を有する材質で形成される必要があり、例えば、プラスチック、ステンレス、及びステンレス鋼板などの材質で形成することができる。上記ケース200の内部に複数備えられる省電力装置100は、前述したように、永久的電気特性を有するトルマリン鉱物と永久的磁気特性を有する永久磁石粉末の混合物を利用して、電子の移動と流れを改善することにより、電気エネルギーの省電力化を実現する装置である。
【0066】
これらの省電力装置100は、一つの単体モジュールとして、電力母線が単相3線式であり、3つの省電力装置100が互いの装置外面を当接させた状態で上下に三段に積重して配設されてケース200の内部に収容され、電源端に提供された3本の電力線R,S,Tにそれぞれ独立して電気的に接続されている。
【0067】
接地板500は、銅板、アルミニウム板、或いは鉄板などで構成されたものであり、前述の積重した2つの省電力装置100との間、及び最も外側に位置する省電力装置100の最外側面、すなわち、最上段及び最下段にそれぞれ位置する最外側省電力装置100の最上段側及び最下段側の二箇所の最外側面に設置され、接地線Gとそれぞれ電気的に接続され、電気的に地面(アース)との結合することで省電力装置100との間の電位差を0に近づくようにしている。
【0068】
絶縁板300は、プラスチックやゴムなどの材料を板状に成形したものであり、最外側省電力装置100の最上段側の最外側面に設置された接地板500及びケース200の間、及び、最外側省電力装置100の最下段側の最外側面に設置された接地板500及びケース200の間とを電気的に絶縁させるものである。
【0069】
このような省電力装置セット1000の構成により、接地板500が地面(アース)と接続され、省電力装置100の電位差による自由電子の放出量を高め、高調波の低減効果を高める。
【0070】
図4は、本発明の第三実施形態に係る省電力装置セット1000の構成図であり、単相2線式の場合の構成図である。図4に示すように、省電力装置セット1000は、省電力装置100、ケース200、絶縁板300、及び接地板500を含んで構成されている。
【0071】
上記ケース200は、防水性及び防塵性を有する材質で形成される必要があり、例えば、プラスチック、ステンレス、及びステンレス鋼板などの材質で形成することができる。上記ケース200の内部に配設された複数の省電力装置100は、永久的電気特性を有するトルマリン鉱物と永久的磁気特性を有する永久磁石粉末の混合物を利用して、電子の移動と流れを改善することにより、電気エネルギーの省電力化を実現する装置である。
【0072】
これらの省電力装置100は、一つの単体モジュールとして、電力母線が単相2線式であり、2つの省電力装置100が互いの装置外面を当接させた状態で上下に二段に積重して配設されてケース200の内部に収容され、電源端に提供された2本の電力線L,Nにそれぞれ独立して電気的に接続されている。
【0073】
接地板500は、銅板、アルミニウム板、或いは鉄板などで構成されたものであり、前述の積重した3つの省電力装置100との間、及び最も外側に位置する省電力装置100の最外側面、すなわち、最上段及び最下段にそれぞれ位置する最外側省電力装置100の最上段側及び最下段側の二箇所の最外側面に設置され、接地線Gとそれぞれ電気的に接続され、電気的に地面(アース)との結合することで省電力装置100との間の電位差を0に近づくようにしている。
【0074】
絶縁板300は、プラスチックやゴムなどの材料を板状に成形したものであり、最外側省電力装置100の最上段側の最外側面に設置された接地板500及びケース200の間、及び、最外側省電力装置100の最下段側の最外側面に設置された接地板500及びケース200の間とを電気的に絶縁させるものである。
【0075】
このような省電力装置セット1000の構成により、接地板500が地面(アース)と接続され、省電力装置100の電位差による自由電子の放出量を高め、高調波の低減効果を高める。
【0076】
図5は、本発明の実施形態に係る省電力装置セットに設置例を示す図である。図5に示すように、省電力装置セット1000は、変圧器TRの二次側に接続されている受電盤600の内部に設けられ、気中遮断器ACBと配線用遮断器MCCBとの間に設置される。
【0077】
上記の気中遮断器ACB(Air Circuit Breaker)は、受電盤600に設置され、建物の各ユーザ単位(例えば、建物の各フロア、アパートの各棟)への電力供給を事前に遮断して、漏電や過負荷によるリスクの発生を未然に防止する装置である。
【0078】
具体的には、気中遮断器ACBは、低圧線の保護と変圧器TRの保護の役割を果たすものであり、短絡電流遮断、地絡電流遮断、過負荷電流遮断、及び低電圧遮断などの役割を果たす。
【0079】
また、漏電や過負荷がない平常時の気中遮断器ACBは、受電盤600の外部から供給される電力を電力母線610を介して分配することになる。
【0080】
この電力母線610は、前述した三相4線式、三相3線式、または単相2線式によって、4本、3本、または2本の電力線60を介してそれぞれ省電力装置セット1000に電気的に接続されている。
【0081】
配線用遮断器MCCBは、電力母線を介して分配される電力を各ユーザ単位(例えば、建物の各フロア)、すなわち、負荷に供給直前に電源を事前に遮断して漏電や過負荷による危険の発生を防止する装置である。
【0082】
例えば、配線用遮断器MCCB(Molded Case Circuit Breaker)は、過負荷と断線の異常発生時に、自動的に電流を遮断して250V以下の低圧屋内線を保護する。
【0083】
下記表1は、省電力装置セット1000の設置前後の減少率を表示したものであり、図6は本発明の実施形態に係る省電力装置セットの高調波低減効率を示す図である。省電力装置セット1000を設置した後、アースに接続された接地板500と、トルマリンの電気的な性質によって高調波が顕著に減少することがわかる。
【0084】
【表1】
【0085】
以上で本発明の技術的思想を添付図面とともに述べたが、これは本発明の好適な実施形態を例示的に説明したものであり、本発明を限定するものではない。また、この技術分野における通常の知識を有する者であれば、如何なる者でも、本発明の技術的思想の範疇を逸脱しない範囲内で種々の変形や模倣が可能なことは明白な事実である。
【0086】
例えば、省電力セットを構成する省電力装置として、本出願人によって出願され、登録された省電力装置(韓国特許第10−0419312号公報:特許文献4)を例示したが、本出願人によって出願公開された省電力装置(韓国特許出願公開第2002−0028862号公報)にも適用することができ、更に、図において、省電力装置が上下に積層されるものを示したが、当然に左右に積層することができる。
【符号の説明】
【0087】
100:省電力装置,最外側省電力装置、200:ケース、300:絶縁板、500:接地板、600:受電盤、1000:省電力装置セット。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6