特許第6798909号(P6798909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マクセルホールディングス株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6798909-粘着テープおよび粘着テープの製造方法 図000003
  • 特許6798909-粘着テープおよび粘着テープの製造方法 図000004
  • 特許6798909-粘着テープおよび粘着テープの製造方法 図000005
  • 特許6798909-粘着テープおよび粘着テープの製造方法 図000006
  • 特許6798909-粘着テープおよび粘着テープの製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798909
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】粘着テープおよび粘着テープの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20201130BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20201130BHJP
   C09J 7/21 20180101ALI20201130BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20201130BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20201130BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20201130BHJP
   B65D 63/10 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J7/29
   C09J7/21
   C09J201/00
   B32B5/26
   B32B27/00 M
   B65D63/10
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-44293(P2017-44293)
(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2018-145357(P2018-145357A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセルホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(72)【発明者】
【氏名】小平 健太
(72)【発明者】
【氏名】村上 育也
【審査官】 井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−137296(JP,A)
【文献】 特開2003−286455(JP,A)
【文献】 特開2011−088654(JP,A)
【文献】 特表2004−524376(JP,A)
【文献】 特開2000−129220(JP,A)
【文献】 特開平09−221614(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/013427(WO,A1)
【文献】 特開2014−019963(JP,A)
【文献】 特開2016−60512(JP,A)
【文献】 特開2011−140212(JP,A)
【文献】 特開2012−36516(JP,A)
【文献】 特開2011−88654(JP,A)
【文献】 特開2012−214937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 − 201/10
B32B 5/26
B32B 27/00
B65D 63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ繊維を含む中心層と、当該中心層の両面に設けられ、レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維を含む表面層とを有し、目付量が50.0g/m以上100.0g/m以下の不織布である基材と、
前記基材の少なくとも一方の表面側に設けられた粘着層と、
を備え、
前記中心層の目付量は、当該中心層の目付量および前記表面層の目付量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下である粘着テープ。
【請求項2】
前記ポリエステル繊維の重量の割合は、前記レーヨン繊維、当該ポリエステル繊維および前記熱融着繊維の重量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記ポリエステル繊維は、太さが1.0d(デニール)以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着テープは、ワイヤハーネスの電線群を結束するためのものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記基材は、一方の表面側に前記粘着層が設けられ、当該粘着層が設けられる側とは逆の表面側に剥離層が設けられることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
中心層の両面のそれぞれに表面層を有し、目付量が50.0g/m以上100.0g/m以下の不織布である基材を作製する基材作製工程と、
前記基材の少なくとも一方の表面側に粘着層を形成する粘着層形成工程と、
を含み、
前記基材作製工程は、
パルプ繊維を分散した水溶液を用いて湿式抄紙し、前記基材の前記中心層のフリースを形成する中心層のフリース(繊維の集積層)形成工程と、
レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維を分散した水溶液を用いて湿式抄紙し、前記基材の前記表面層のフリースを形成する表面層のフリース形成工程と、
前記中心層のフリースの両面に前記表面層のフリースを抄紙機上で重ね合わせた後、ウォータージェットあるいはエアージェットによって当該中心層及び当該表面層内の繊維および当該中心層と当該表面層間の繊維を相互に絡合させて一体化させる一体化工程と、
を含み、
前記中心層の目付量は、当該中心層および前記表面層の目付量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下とする粘着テープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ等に関する。より詳しくは、ワイヤハーネスを結束する用途等に使用される粘着テープ等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に配索されるワイヤハーネスの電線群の結束、保護および外部干渉材による干渉防止のために、基材に粘着剤が塗布された粘着テープをワイヤハーネスの電線群の外周面に螺旋状に巻き付けることがある。一方、近年、粘着テープに代えて、コルゲートチューブ等のチューブにワイヤハーネスの電線群を挿通して結束、保護する場合も多い。しかしコルゲートチューブは比較的硬く、かつ、重量があるため、粘着テープよりも車両でのワイヤハーネスの配索作業が容易ではない。またコルゲートチューブ等のチューブ類は軸線方向にスリットを設け、このスリットから電線群を横入れした後、スリットを閉鎖するためにコルゲートチューブの外周にさらにテープ巻きを行なうため、作業工数が増加する問題がある。このため、コルゲートチューブ等のチューブ類よりも従来用いられていた粘着テープが見直されつつある。
【0003】
特許文献1では、少なくとも三層、すなわち第一の外側層、第二の外側層、第一の外側層及び第二の外側層の間にありそして第一の外側層及び第二の外側層に少なくとも部分的にしっかり接合されている中間層よりなるテープであって、ノイズ抑制性で高い耐摩耗性のテープ、特に導体又はケーブルハーネスの様な長く伸びた製品を被覆するためのテープにおいて、第一の外側層がステッチボンド不織布よりなり、第二の外側層が不織布よりなりそして中間層が、両側に粘弾性接着剤が塗布されているフィルムよりなる片面接着テープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−137296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイヤハーネスを結束するための粘着テープとしては、従来、塩化ビニルテープが用いられることが多い。しかしながら、塩化ビニルテープは、この用途として使用するには、耐摩耗性、消音性の点で改善の余地があった。またステッチボンド不織布よりなる第一の外側層、不織布よりなる第二の外側層、およびその間の中間層を備える粘着テープについても、同様に耐摩耗性、消音性の点でまだ改善の余地があった。
さらに近年は、作業性の観点から切断器具等を用いず人の手で粘着テープを容易に切ることができる手切れ性が要求されている。手切れ性が良好であると、粘着テープを切断する際の作業性の向上が期待できる。しかしながらステッチボンド不織布よりなる第一の外側層、不織布よりなる第二の外側層、およびその間の中間層を備える粘着テープについては、手切れ性を付与するために、ミシン目のような弱体化ラインをテープに設ける必要があり、工数面で改善の余地があった。
本発明は、耐磨耗性、消音性、手切れ性に優れる粘着テープ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の粘着テープは、パルプ繊維を含む中心層と、中心層の両面に設けられ、レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維を含む表面層とを有し、目付量が50.0g/m以上100.0g/m以下の不織布である基材と、基材の少なくとも一方の表面側に設けられた粘着層と、を備え、中心層の目付量は、中心層の目付量および表面層の目付量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下であることを特徴とする。
【0007】
ここでポリエステル繊維の重量の割合は、レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維の重量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下であることが好ましい。
またポリエステル繊維は、太さが1.0d(デニール)以上であることがさらに好ましい。
そして粘着テープは、ワイヤハーネスの電線群を結束するためのものとすることができる。
さらに基材は、一方の表面側に粘着層が設けられ、粘着層が設けられる側とは逆の表面側に剥離層が設けられるようにすることができる。
【0008】
また本発明の粘着テープの製造方法は、中心層の両面のそれぞれに表面層を有し、目付量が50.0g/m以上100.0g/m以下の不織布である基材を作製する基材作製工程と、基材の少なくとも一方の表面側に粘着層を形成する粘着層形成工程と、を含み、基材作製工程は、パルプ繊維を分散した水溶液を用いて湿式抄紙し、基材の中心層のフリースを形成する中心層のフリース(繊維の集積層)形成工程と、レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維を分散した水溶液を用いて湿式抄紙し、基材の表面層のフリースを形成する表面層のフリース形成工程と、中心層のフリースの両面に表面層のフリースを抄紙機上で重ね合わせた後、ウォータージェットあるいはエアージェットによって中心層及び表面層内の繊維および中心層と表面層間の繊維を相互に絡合させて一体化させる一体化工程と、を含み、中心層の目付量は、中心層および表面層の目付量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐磨耗性、消音性、手切れ性に優れる粘着テープ等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態が適用される粘着テープについて示した断面図である。
図2】(a)〜(b)は、熱融着繊維について示した断面図である。
図3】粘着テープの製造方法について説明したフローチャートである。
図4】粘着テープの消音性を評価する消音性評価試験機について示した図である。
図5】粘着テープの消音性を評価する耐摩耗性評価試験機について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定するものではない。またその要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。さらに使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
【0012】
<粘着テープの全体構成の説明>
図1は、本実施の形態が適用される粘着テープ1について示した断面図である。
図示する粘着テープ1は、複数の層が積層された構造を取る。具体的には粘着テープ1は、基材2と、基材2の一方の表面側に設けられた粘着層3と、基材2の粘着層3が設けられる側とは逆の表面側に設けられたポリエチレンラミネート層4と、ポリエチレンラミネート層4の上に設けられた剥離層5とを備える。
【0013】
粘着テープ1は、図示した状態から製造時に渦巻き状に巻回された状態にされて出荷される。即ち、巻回された状態では、粘着層3と剥離層5とは、接触し、図示した構造が連続的に積層された状態となる。なお粘着テープ1を使用する際には、作業者が粘着層3と剥離層5との間を剥離させる。そして粘着層3を被着体側にし、粘着テープ1を被着体に巻き付ける。その結果、粘着層3が被着体に対し粘着し、この粘着力により被着体を結束させることができる。この被着体は、例えば、上述したようにワイヤハーネスの電線群である。
【0014】
なお粘着テープ1の用途は、これに限られるものではない。例えば、ワイヤハーネス以外のものをまとめて結束してもよく、また結束に限らず、粘着テープを貼り付け、被着体の端部同士を接合するなどの用途に使用してもよい。
また図示した例では、粘着層3は、基材2の一方の表面側のみに設けられていたが、一方の表面側とは逆の表面側である他方の表面にさらに設けてもよい。即ち、この場合、粘着層3は、基材2の両面に設けられることになり、両面テープとなる。
【0015】
<基材>
基材2は、粘着層3、ポリエチレンラミネート層4および剥離層5を形成する支持体となるものである。そして基材2は、粘着テープ1全体の機械的強度を確保する機能が求められるとともに、粘着テープ1が貼り付けられる被着体に対し追従し、柔軟にその形状を変化することができる機能が求められる。さらに本実施の形態では、基材2を以下の構成にすることで、粘着テープ1に優れた耐磨耗性、消音性、手切れ性を付与する。
【0016】
本実施の形態において、基材2は、不織布である。即ち、基材2は、不織布を構成する繊維を織らずに絡み合わせたシート状のものである。基材2を不織布とすることで、粘着テープ1の消音性が向上する。また優れた手切れ性を付与することができる。
【0017】
また基材2の目付量は、50.0g/m以上100.0g/m以下である。目付量が50.0g/mより小さいと耐摩耗性が低下しやすくなる。また目付量が100.0g/mより大きいと粘着テープ1の厚さが厚くなり重量が大きくなったり、手切れ性が低下しやすくなる。
【0018】
基材2は、中心層21と、中心層21の両面に設けられる表面層22とを備える。
中心層21は、パルプ繊維を含み、パルプ繊維を主成分とする。パルプ繊維を使用することで、粘着テープ1に優れた消音性および手切れ性を付与することができる。
【0019】
パルプ繊維としては、木材パルプ繊維、非木材パルプ繊維、シルク等の動物繊維パルプ繊維などを使用することができる。木材パルプ繊維としては、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)繊維、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)繊維、マーセル化パルプ繊維などを使用することができる。また非木材パルプ繊維としては、ケナフパルプ繊維、マニラ麻繊維、亜麻繊維、大麻繊維、黄麻繊維等の麻パルプ繊維、リンターパルプ繊維、ケナフパルプ繊維、バガスパルプ繊維、三椏パルプ繊維、楮パルプ繊維、竹パルプ繊維、藁パルプ繊維、コットンパルプ繊維、雁皮パルプ繊維などを使用することができる。針葉樹クラフトパルプ(NBKP)繊維としては、樹種、産地ともに特に限定されず、例えば、アカマツ、クロマツ、トウヒ、エゾマツ、トドマツ、モミ、カラマツ、ツガ、スギ、ダグラスファー等を原料とするものを使用することができる。一方、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)繊維としても、樹種、産地ともに特に限定されず、例えば、カバ、ハンノキ、ナラ、ブナ、シイノキ、ポプラ、ユーカリ等を原料とするものを使用することができる。
【0020】
なお中心層21には、本発明の効果を妨げない限りにおいては、パルプ繊維の他に、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の添加剤を含ませることもできる。
【0021】
添加剤として帯電防止剤を含ませることで、粘着層3と剥離層5とを剥離した際の剥離帯電を抑制することができる。帯電防止剤としては、例えば、導電性化合物、界面活性剤、帯電防止性樹脂などが挙げられる。
【0022】
このうち導電性化合物としては、例えば、銀、銅、アルミニウム等の金属、酸化錫、酸化インジウム、酸化鉛等の金属酸化物;黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、炭素繊維、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素材料などが挙げられる。
【0023】
また界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキルアミン・アミド類、ソルビタン類等の非イオン系界面活性剤;脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類、アルキルピリジウム塩類等のカチオン系界面活性剤;脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、脂肪族アミン等のアニオン系界面活性剤;ベンダイン型、イミグゾリン誘導体、両性イオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0024】
さらに帯電防止性樹脂としては、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子、カリウムアイオノマー、ポリエーテルエステルアミド、ポリスチレンスルホン酸などが挙げられる。
【0025】
添加剤として難燃剤を含ませることで、粘着テープ1を燃焼しにくくすることができる。
難燃剤は、例えば、難燃フィラーである。この場合、難燃剤は、微粒子状の形態で中心層21中に分散する。
難燃剤としては、水酸化物、リン化合物、メラミン化合物、トリアジン化合物、グアニジン化合物、グアニル尿素化合物、ジシアンジアミド、および硼酸化合物等が挙げられる。
【0026】
水酸化物の難燃剤としては、例えば、金属水酸化物が挙げられる。具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
難燃剤が水酸化物の場合、加熱とともに吸熱脱水反応を起こし冷却を行なうことにより難燃性を向上させることができる。
【0027】
またリン化合物の難燃剤としては、例えば、リン酸エステル系のものが挙げられる。具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等の脂肪族リン酸エステルを挙げることができる。また他に、ポリリン酸メラミン、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジル2、6キシレニルホスフェート、トリス(tブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(イソプロピル化フェニル)ホスフェート、リン酸トリアリールイソプロピル化物等の芳香族リン酸エステルを挙げることができる。さらにレゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート等の芳香族縮合リン酸エステル等を挙げることができる。
難燃剤がリン化合物の場合、加熱により不燃性の被膜を形成し、酸素の流入を遮断することにより難燃性を向上させることができる。
【0028】
添加剤として着色剤を含ませることで、粘着テープ1を所望の色に着色することができる。着色剤としては、着色したい色を有する顔料、染料等が挙げられる。
【0029】
表面層22は、レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維を含み、これらの繊維を主成分とする。
レーヨン繊維は、木材パルプ等を原料として製造される繊維である。そのため粘着テープ1に主に消音性を付与することができる。
【0030】
ポリエステル繊維は、例えば、ポリエステル樹脂を溶融紡糸し、冷却して引き取り、延伸し、必要に応じて熱処理や捲縮処理を施したものを使用することができる。ポリエステル繊維を使用することで、粘着テープ1に優れた耐磨耗性を付与することができる。
【0031】
熱融着繊維とは、加熱処理で溶融し、隣接する繊維との間で融着を起こす繊維をいう。
図2(a)〜(b)は、熱融着繊維について示した断面図である。
熱融着繊維は、図2(a)に示すように、融点が相対的に高い素材でできた芯材Cの表面に、加熱処理で融着が起きる融点が相対的に低い熱融着性の素材でできた鞘材S1をコーティングした芯鞘型と、図2(b)に示すように全体を相対的に低い熱融着性の素材S2で形成した全融型がある。
【0032】
図2(a)の芯鞘型の場合、芯材Cの融点より低く鞘材S1の融点より高い温度に加熱されると、鞘材S1は溶融するが、芯材Cは溶融しない。また周囲にあるレーヨン繊維やポリエステル繊維も溶融しない。その結果、表面層22を加熱して熱融着繊維の鞘材S1が溶融すると、熱融着繊維同士が接合し、より長尺な繊維となる。その結果、粘着テープ1の耐摩耗性が向上する。また溶融した鞘材S1がバインダとして機能し、レーヨン繊維同士、ポリエステル繊維同士、あるいはレーヨン繊維とポリエステル繊維とを接着する。
芯材Cと鞘材S1との組み合わせとしては、例えば、ポリエチレンとポリプロピレン、ポリエステルとポリエチレン、ポリエステルと低融点ポリエステルなどが挙げられる。
【0033】
また図2(b)の全融型の場合、素材S2の融点より高い温度に加熱されると、素材S2が溶融するが、周囲にあるレーヨン繊維やポリエステル繊維は溶融しない。その結果、芯鞘型の場合と同様に、熱融着繊維同士が接合し、より長尺な繊維となる。また溶融した素材S2がバインダとして機能し、レーヨン繊維同士、ポリエステル繊維同士、あるいはレーヨン繊維とポリエステル繊維とを接着する。
【0034】
本実施の形態では、ポリエステル繊維の重量の割合は、レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維の重量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下であることが好ましい。
この範囲において、耐摩耗性と消音性の両立を図りやすくなる。つまりポリエステル繊維の重量の割合が、40.0重量%未満であると、相対的にポリエステル繊維の量が少なすぎ、耐摩耗性が低下しやすくなる。一方、ポリエステル繊維の重量の割合が、70.0重量%を超えると、相対的にレーヨン繊維の量が少なすぎ、消音性が低下しやすくなる。
【0035】
またポリエステル繊維は、太さが1.0d(デニール)以上であることが好ましい。これにより耐摩耗性が向上しやすくなる。よってポリエステル繊維は、太さが1.0d未満であると、耐摩耗性が低下しやすくなる。
【0036】
また熱融着繊維の重量の割合は、他の繊維の重量の割合との兼ね合いにより適切な範囲が異なるので一概には言えないが、レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維の重量の合計に対し10.0重量%以上であることが好ましい。
【0037】
中心層21の目付量は、中心層21の目付量および表面層22の目付量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下である。
この範囲で、耐摩耗性と消音性の両立を図ることができる。つまり中心層21の目付量が、40.0重量%未満であると、相対的に中心層21の占める割合が少なすぎ、消音性が低下しやすくなる。一方、中心層21の目付量が、70.0重量%を超えると、相対的に表面層22の占める割合が少なすぎ、耐摩耗性が低下しやすくなる。
【0038】
なお表面層22には、本発明の効果を妨げない限りにおいては、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、熱融着繊維の他に、上述した帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の添加剤を含ませることもできる。
【0039】
なお表面層22は、中心層21の両面にそれぞれ設けられるが、これらは、上述した条件を満たす限り、同じ組成でもよく、異なる組成であってもよい。
【0040】
<粘着層>
粘着層3は、粘着性を有し、粘着テープ1と被着体との間で粘着力を発揮させる機能層である。粘着層3は、特に限定されるものではないが、好適には、粘着付与剤が主剤に分散する構成をとる。
【0041】
粘着付与剤は、粘着層3に粘着性を付与する。粘着付与剤は、特に限定されるものではなく、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族系石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、フェノール系樹脂、不均化ロジン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等を使用することができる。
【0042】
主剤は、粘着付与剤を保持しつつ分散させるバインダである。主剤としては、例えば、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤等を使用することができる。
【0043】
アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを共重合させることにより得られるポリマー等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル等の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが挙げられる。なお(メタ)アクリル酸エステルモノマーに(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸等の官能基を含むモノマーや酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、2−メチロールエチルアクリルアミド等を添加して共重合させてもよい。
【0044】
ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、及びスチレン・イソプレンブロックコポリマー等が挙げられる。
【0045】
本実施の形態では、耐摩耗性の向上の観点から、主剤としてゴム系粘着剤を特に好適に用いることができる。
なお粘着層3には、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、プロセスオイル、架橋剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0046】
<ポリエチレンラミネート層>
ポリエチレンラミネート層4は、剥離層5を形成する際に使用する剥離層用溶液を塗布する際に、剥離層用溶液が基材2に浸透するのを抑制する機能層である。ポリエチレンラミネート層4を設けることで、剥離層用溶液が基材2に浸透するのを抑制できる。その結果、剥離層用溶液の使用量を削減することができる。また剥離層用溶液が基材2に浸透することで基材2が膨潤し、厚さが増加することを抑制できる。
【0047】
<剥離層>
剥離層5は、粘着テープ1が製造時に渦巻き状に巻回された状態では、基材2と粘着層3の間に位置する。そして使用される際に、粘着層3を容易に剥離させるための機能層である。
剥離層5には、剥離剤が含まれる。本実施の形態で使用される剥離剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、硫化モリブデンなどが挙げられる。
【0048】
<粘着テープの製造方法>
図3は、粘着テープ1の製造方法の一例について説明したフローチャートである。
まずパルプ繊維を分散した水溶液を作製する(ステップ101:中心層用溶液作製工程)。またこのとき添加剤が必要であれば、添加剤を添加する。
次にパルプ繊維を分散した水溶液を用いて湿式抄紙し、基材2の中心層21のフリースを形成する(ステップ102:中心層のフリース(繊維の集積層)形成工程)。
【0049】
次にレーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維を分散した水溶液を作製する(ステップ103:表面層用溶液作製工程)。またこのとき添加剤が必要であれば、添加剤を添加する。
次にレーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維を分散した水溶液を湿式抄紙し、基材2の表面層22のフリースを形成する(ステップ104:表面層のフリース形成工程)。
【0050】
そして中心層21のフリースの両面に表面層22のフリースを抄紙機上で重ね合わせた後、ウォータージェットあるいはエアージェットによって中心層21及び表面層22内の繊維および中心層21と表面層22間の繊維を相互に絡合させて一体化させる(ステップ105:フリース一体化工程)。つまり、中心層21と表面層22間の繊維を絡ませて機械的に一体化させ強化する。その後さらに熱融着繊維が溶融する温度で加熱することにより繊維が部分的に熱固定され表面層22がさらに強化される。
【0051】
これにより基材2を作製することができる。即ち、ステップ101〜ステップ105の工程は、中心層21の両面のそれぞれに表面層22を有する不織布である基材2を作製する基材作製工程として捉えることができる。また本実施の形態では、このとき基材2の目付量が50.0g/m以上100.0g/m以下になるようにする。さらに本実施の形態では、中心層21の目付量が、中心層21および表面層22の目付量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下になるようにする。
【0052】
次にポリエチレンラミネート層4を表面層22の片方の表面側に形成する(ステップ106:ポリエチレンラミネート層形成工程)。ポリエチレンラミネート層4は、例えば、ポリエチレンのペレットを、予め300℃程度に加熱溶融し、表面層22上にラミネートするヒートラミネートを行なうことで形成することができる。またこの際に表面層22の熱融着繊維が再び溶融し、ポリエチレンラミネート層4と接合する。これにより基材2とポリエチレンラミネート層4の接合は、より強固なものとなる。
【0053】
次に剥離層用溶液を作製する(ステップ107:剥離層用溶液作製工程)。剥離層用溶液は、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、硫化モリブデン等の剥離処理剤を所定の溶媒に分散させることにより作製することができる。
【0054】
そしてポリエチレンラミネート層4上に剥離層用溶液を塗布し、剥離層5を形成する(ステップ108:剥離層形成工程)。つまりポリエチレンラミネート層4上に剥離層用溶液を塗布し、これにより形成された塗布膜を乾燥させることにより剥離層5が形成される。
【0055】
次に粘着層用溶液を作製する(ステップ109:粘着層用溶液作製工程)。粘着層用溶液は、主剤および粘着付与剤等を混合することより作製することができる。またこのとき添加剤が必要であれば、添加剤を添加する。なお粘着層用溶液は、水や溶剤等の溶媒を使用した溶媒系の粘着層用溶液であっても構わないが、水や溶剤等の溶媒を使用しない非溶媒系の粘着剤組成物であることが好ましい。溶媒を使用しないことにより粘着層用溶液(熱溶融された粘着剤組成物)が表面層22に過度に浸透しにくくなり、表面層22が膨潤したり、粘着層3が過度に薄くなることを抑制することができる。
【0056】
そして基材2上であり、剥離層5が設けられる側とは逆側の表面側に粘着層用溶液あるいは非溶媒系粘着剤組成物を塗布し、粘着層3を形成する(ステップ110:粘着層形成工程)。つまり基材2上に粘着層用溶液を塗布し、これにより形成された塗布膜を乾燥させることにより、あるいは非溶媒系粘着剤組成物を溶融塗工することにより粘着層3が形成される。
以上の工程により粘着テープ1を製造することができる。
【0057】
以上詳述した形態によれば、耐磨耗性および消音性が両立でき、さらに手切れ性が良好な粘着テープ1を提供することができる。この粘着テープ1は、特にワイヤハーネスの電線群を結束するのに好適に使用することができる。例えば、車両が移動する際に生じる振動により結束したワイヤハーネスが周辺と接触することがある。その際に粘着テープ1が摩耗するのを低減することができるとともに、接触音を抑制できる。さらに手切れ性が良好であるために、ワイヤハーネスの電線群を結束する際の作業性を向上させることができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。本発明は、その要旨を越えない限りこれらの実施例により限定するものではない。
【0059】
図1で示す粘着テープ1を作製し、評価を行った。なお実施条件および評価結果を下記表1に示す。なお表1の中で、中心層の項目の「割合」は、中心層21の目付量および表面層22の目付量の合計に対する中心層21の目付量の割合を意味する。また両面層の項目の「割合」は、レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維の重量の合計に対する各繊維の重量の割合を意味する。
〔粘着テープ1の作製〕
(実施例1)
本実施例では、パルプ繊維を分散した水溶液を用いて、目付量27.0g/mの中心層21を湿式抄紙した。
【0060】
次いで、レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維を分散した水溶液を用いて、目付量16.5g/mの表面層22を湿式抄紙した。
【0061】
このときレーヨン繊維は、太さが1.7d(デニール)、長さが40mmのものを使用した。またポリエステル繊維は、太さが1.4d(デニール)、長さが44mmのものを使用し、熱融着繊維は、芯材をポリエステル、鞘材をポリエチレンとした太さが2.2d(デニール)、長さが44mmのものを使用した。またこのときレーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維の重量比は、これらの合計を100重量%としたときに、それぞれ20.0重量%、56.4重量%、23.6重量%とした。
【0062】
そして、中心層21の表裏両面に表面層22をそれぞれ配置し、ウォータージェットによって、原料繊維を中心層21、表面層22内の繊維および中心層21と表面層22間の繊維において相互に絡合させて一体化し、その後、加熱して熱融着繊維を溶融し、表面層22内の繊維の一部を熱固定し、表面層22を強化した。
【0063】
これにより基材2を作製することができた。その結果、基材2の目付量は、60.0g/mとなった。また基材2の中心層21の目付量は、中心層21の目付量および表面層22の目付量の合計に対し45.0重量%となった。
【0064】
次に黒色顔料を含有したポリエチレンのマスターバッチペレットを熱溶融し、一方の表面層22上に、ヒートラミネートすることでポリエチレンラミネート層4を形成した。ポリエチレンラミネート層4の目付量は30.0g/mとした。
【0065】
さらにポリエチレンラミネート層4上に、次のようにして剥離層5を形成した。
ここでは溶媒としてトルエンを用い、この溶媒に剥離剤である長鎖アルキル系剥離処理剤を溶解させ、撹拌することで剥離層用溶液を作製した。
このとき剥離剤である長鎖アルキル系剥離処理剤は、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製のピーロイル(登録商標)1010を用いた。また剥離剤は、溶媒も含む全体100重量%としたときに、1.5重量%となるようにした。
そしてポリエチレンラミネート層4上に剥離層用溶液を塗布し、乾燥させることで、剥離層5を形成した。
【0066】
また基材2上であり、剥離層5が設けられる側とは逆側の表面側に、次のようにして粘着層3を形成した。
ここでは粘着付与剤である脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、充填剤である炭酸カルシウム粉末、プロセスオイル、および主剤である天然ゴムをニーダーにて混練し、非溶媒系粘着剤組成物を作製した。
このとき粘着付与剤である脂肪族系石油樹脂は、日本ゼオン株式会社製のクイントン(登録商標)M100を用い、芳香族系石油樹脂は、東ソー株式会社製のペトコール(登録商標)120を用いた。充填剤である炭酸カルシウム粉末は、有恒鉱業株式会社製のミクロカル250(登録商標)を用いた。プロセスオイルは、出光興産株式会社のダイアナ(登録商標)プロセスオイルNS90Sを用いた。
またさらに主剤であるゴム系粘着剤としては、DAU TIENG RUBBER CORPORATION製のSVR−CV60(登録商標)を用いた。
このとき粘着付与剤である脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、充填剤である炭酸カルシウム粉末、プロセスオイルおよび主剤である天然ゴムとの重量比は、これらの合計を100重量%としたときに、それぞれ15重量%、7重量%、47重量%、9重量%、22重量%とした。
そして基材2上に非溶媒系粘着剤組成物を溶融塗工し、粘着層3を形成した。
【0067】
以上の工程により本実施例の粘着テープ1を作製した。
【0068】
(実施例2〜11)
実施例1に対し、表1に示すように変更を行なった以外は、実施例1と同様にして粘着テープ1を作製した。
【0069】
このうち実施例2は、実施例1に対し、中心層21のパルプ繊維の含有量を増加させ、目付量を増加させたものである。その結果、中心層21の目付量は、中心層21の目付量および表面層22の目付量の合計に対し45.0重量%から55.0重量%に増加している。
【0070】
実施例3は、実施例1に対し、表面層22のレーヨン繊維の重量の割合を増加させ、ポリエステル繊維の重量の割合を減少させたものである。その結果、ポリエステル繊維の重量の割合が、56.4重量%から43.6重量%に減少している。
【0071】
実施例4は、実施例1に対し、表面層22のポリエステル繊維の重量の割合を増加させ、レーヨン繊維の重量の割合を減少させたものである。その結果、ポリエステル繊維の重量の割合が、56.4重量%から74.6重量%に増加している。
【0072】
実施例5は、実施例1に対し、表面層22のレーヨン繊維およびポリエステル繊維の重量の割合を増加させ、熱融着繊維の重量の割合を減少させたものである。その結果、熱融着繊維の重量の割合が、23.6重量%から10.9重量%に減少している。
【0073】
実施例6は、実施例1に対し、ポリエステル繊維の太さを減少させたものである。その結果、ポリエステル繊維の太さは、1.4d(デニール)から0.9d(デニール)に減少している。
【0074】
実施例7は、実施例1に対し、中心層21の目付量を、中心層21の目付量および表面層22の目付量の合計に対し減少させたものである。その結果、中心層21の目付量は、45.0重量%から下限値の40.0重量%に減少している。
【0075】
実施例8は、実施例1に対し、中心層21の目付量を、中心層21の目付量および表面層22の目付量の合計に対し増加させたものである。その結果、中心層21の目付量は、45.0重量%から上限値の70.0重量%に増加している。
【0076】
実施例9は、実施例6と同様に、実施例1に対し、ポリエステル繊維の太さを減少させたものである。その結果、ポリエステル繊維の太さは、1.4d(デニール)から1.0d(デニール)に減少している。
【0077】
実施例10は、実施例3と同様に、実施例1に対し、表面層22のレーヨン繊維の重量の割合を増加させ、ポリエステル繊維の重量の割合を減少させたものである。その結果、ポリエステル繊維の重量の割合が、56.4重量%から38.2重量%に減少している。
【0078】
実施例11は、実施例1に対し、基材2の目付量を増加させたものである。その結果、基材2の目付量は、60.0g/mから上限値の100.0g/mとなっている。
【0079】
(比較例1〜4)
実施例1に対し、表1に示すように変更を行なった以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0080】
このうち比較例1は、実施例7と同様に、実施例1に対し、中心層21の目付量を、中心層21の目付量および表面層22の目付量の合計に対し減少させたものである。その結果、中心層21の目付量は、45.0重量%から下限値の40.0重量%を下回る38.0重量%に減少している。
【0081】
比較例2は、実施例8と同様に、実施例1に対し、中心層21の目付量を、中心層21の目付量および表面層22の目付量の合計に対し増加させたものである。その結果、中心層21の目付量は、45.0重量%から上限値の70.0重量%を超える73.0重量%に増加している。
【0082】
比較例3は、実施例1に対し、表面層22にポリエステル繊維を含ませず、0重量%としたものである。
【0083】
比較例4は、実施例1に対し、基材2の目付量を減少させたものである。その結果、基材2の目付量は、60.0g/mから下限値の50.0g/mを下回る40.0g/mとなっている。
【0084】
【表1】
【0085】
〔評価方法〕
粘着テープ1の消音性の評価として、消音性、耐摩耗性、手切れ性の試験を行なった。
【0086】
(消音性試験)
図4は、粘着テープ1の消音性を評価する消音性評価試験機について示した図である。
図示する消音性評価試験機100は、鉄棒110と、支持台120と、アルミ板130と、騒音計140とを備える。
鉄棒110は、直径が8mmの円柱状の鉄製の部材である。また鉄棒110の長さは、例えば、245mmであり、重量は16gである。鉄棒110には、粘着テープ1が巻き付けられている。粘着テープ1は鉄棒110の長手方向に50mmの長さで1層で貼り付けられている。
支持台120は、鉄棒110の一方の端部を支持する。そして支持する箇所である接続部Pを中心にして鉄棒110は、自在に回転することができる。また、接続部Pから170mmの点を粘着テープ1の貼り付け位置の中心とする。
アルミ板130は、アルミニウムからなる薄板状の部材であり、図示するように半円状に湾曲して固定される。アルミ板130は、湾曲していない状態で、例えば、大きさが350mm×190mmであり、厚さが0.3mmである。そして長辺方向を湾曲させ、図示するような状態とする。
騒音計140は、詳しくは後述するが、鉄棒110を落下させ、鉄棒110がアルミ板130に衝突する際の音圧を測定する。
【0087】
この消音性評価試験機100において、鉄棒110を水平状態に持ち上る。このとき、鉄棒110と湾曲したアルミ板130の頂点との距離は20mmとする。鉄棒110を離すと、鉄棒110は、接続部Pを中心にして回転し、落下する。その結果、鉄棒110は、アルミ板130に衝突し、衝突音を発する。このとき騒音計140で衝突音の音圧を測定する。騒音計140の集音する端部と湾曲したアルミ板130の頂点との距離が50mmとなる位置を騒音計140の設置場所とする。ここではテープ1を巻きつけないときの音圧を0dBとし、この音圧との差により消音性を評価した。即ち、粘着テープ1の消音性が優れているほど、音圧の差は大きくなり、粘着テープ1の消音性が劣るほど、音圧の差は小さくなる。即ち、音圧の差により粘着テープ1の消音性が評価できる。
【0088】
(耐摩耗性試験)
粘着テープ1の耐摩耗性の評価として、次のような試験を行なった。
図5は、粘着テープ1の耐摩耗性を評価する耐摩耗性評価試験機について示した図である。
図示する耐摩耗性評価試験機200は、鉄棒210と、押圧部材220と、ピアノ線230とを備える。
鉄棒210は、直径が10mmの円柱状の鉄製の部材である。鉄棒210には、粘着テープ1が貼り付けられている。粘着テープ1は鉄棒210の長手方向に50mmの長さで1層で貼り付けられている。
押圧部材220は、直径0.45mmのピアノ線230を先端に装着し、7Nの力で、ピアノ線230を粘着テープ1に押圧する。
【0089】
この耐摩耗性評価試験機200において、押圧部材220を図中両矢印方向に20mmの距離を1分間に60回のスピードで往復運動させる。このときピアノ線230は、粘着テープ1を擦過する。押圧部材220は、導電性であり、押圧部材220と鉄棒210との間には、図示しない電源により電圧が印加されている。粘着テープ1がある状態では、粘着テープ1が絶縁するため、押圧部材220と鉄棒210との間には電流は流れない。対して粘着テープ1が擦過され、鉄棒210が露出することでピアノ線230と鉄棒210とが接触すると、押圧部材220と鉄棒210との間には電流が流れる。これは図示しない電流計等により検知する。この場合、粘着テープ1の耐摩耗性が優れているほど、押圧部材220の往復回数は多くなり、粘着テープ1の耐摩耗性が劣るほど、押圧部材220の往復回数は少なくなる。即ち、往復回数により粘着テープ1の耐摩耗性が評価できる。
【0090】
(手切れ性試験)
粘着テープ1を人の手で実際に引きちぎることで切断し、その容易性について評価を行なった。
【0091】
〔評価結果〕
評価結果を表1に示す。
ここで消音性の試験は、音圧の差が、4.0dB以上であれば合格とし、4.0dB未満であれば不合格とした。また耐摩耗性試験は、往復回数が70回以上であれば合格とし、70回未満であれば不合格とした。さらに手切れ性試験は、手切れ性がよい場合を〇とし、よくない場合を×とした。
【0092】
まず、不織布である基材2の目付量が50.0g/m以上100.0g/m以下の範囲外であるか、または、基材2の中心層21の目付量が、中心層21の目付量および表面層22の目付量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下の範囲外となっている比較例1、2および4の粘着テープ1は、消音性と耐摩耗性が両立できていない結果となった。これに対し、不織布である基材2の目付量が50.0g/m以上100.0g/m以下の範囲であり、かつ、基材2の中心層21の目付量が、中心層21の目付量および表面層22の目付量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下の範囲となっている実施例1〜実施例11の粘着テープ1は、消音性、耐摩耗性および手切れ性がすべて良好であることがわかる。
また、基材2の表面層22にポリエステル繊維を含まない比較例3の粘着テープ1は、
耐摩耗性が極端に悪いことがわかる。
【0093】
また、基材2の目付量、中心層21の目付量が同一で、表面層22のポリエステル繊維の重量の割合のみが異なる実施例1、実施例3、実施例4、実施例5および実施例10の粘着テープ1を、それぞれ比較すると、実施例1、実施例3および実施例5の粘着テープ1が、実施例4および実施例10の粘着テープ1よりも消音性と耐摩耗性をバランス良く両立できていることがわかる。すなわち、消音性と耐摩耗性をよりバランス良く両立できる範囲としては、表面層22のポリエステル繊維の重量の割合は、レーヨン繊維、ポリエステル繊維および熱融着繊維の重量の合計に対し40.0重量%以上70.0重量%以下であることが好ましいことがわかる。
【0094】
また、基材2の目付量、中心層21の目付量および表面層22のレーヨン繊維、ポリエステル繊維、熱融着繊維の重量の割合が同一で、ポリエステル繊維の太さのみが異なる実施例1、実施例6および実施例9の粘着テープ1を、それぞれ比較すると、消音性は同等であるが、耐摩耗性はポリエステル繊維の太さが小さく(細く)なるほど、やや低下する傾向にある。すなわち、耐摩耗性の観点からは、ポリエステル繊維の太さは、1.0d(デニール)以上であることが好ましいことがわかる。
【0095】
本発明は、耐磨耗性、消音性、手切れ性に優れる粘着テープであり、例えばワイヤハーネスの電線群を結束するために好適に用いることができる粘着テープである。
【符号の説明】
【0096】
1…粘着テープ、2…基材、3…粘着層、4…ポリエチレンラミネート層、5…剥離層、21…中心層、22…表面層
図1
図2
図3
図4
図5