特許第6798923号(P6798923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

特許6798923自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニット
<>
  • 特許6798923-自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニット 図000002
  • 特許6798923-自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニット 図000003
  • 特許6798923-自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニット 図000004
  • 特許6798923-自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニット 図000005
  • 特許6798923-自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニット 図000006
  • 特許6798923-自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニット 図000007
  • 特許6798923-自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニット 図000008
  • 特許6798923-自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニット 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798923
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニット
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20201130BHJP
   B62K 25/04 20060101ALI20201130BHJP
   B62J 1/00 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   B62M6/45
   B62K25/04
   B62J1/00 C
【請求項の数】28
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-71829(P2017-71829)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-24411(P2018-24411A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年3月22日
(31)【優先権主張番号】特願2016-154920(P2016-154920)
(32)【優先日】2016年8月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】黒飛 忠治
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 信吾
【審査官】 中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−144343(JP,A)
【文献】 特表2014−524389(JP,A)
【文献】 特開2016−068646(JP,A)
【文献】 特開2016−101761(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0183486(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104249794(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/40 − 6/75
B62K 25/00 − 25/32
B62J 1/00 − 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用コンポーネントに含まれる電動サスペンションおよび電動アジャスタブルシートポストの少なくとも一方の動作状態を、少なくとも自転車用電動補助ユニットの動作状態に基づいて制御する制御部を備える、自転車用制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、自動制御モードと手動制御モードとを備え、前記自動制御モードにおいては、少なくとも自転車用電動補助ユニットの動作状態に基づいて、前記自転車用コンポーネントの動作状態を制御する、請求項1に記載の自転車用制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、操作部からの入力に基づいて、前記自動制御モードと前記手動制御モードとを切り替える、請求項2に記載の自転車用制御装置。
【請求項4】
前記自転車用コンポーネントは、電動サスペンションを含み、
前記制御部は、前記電動サスペンションの動作状態を制御する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
【請求項5】
前記電動サスペンションの動作状態は、変位状態、トラベル量、減衰力、および、反発力の少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記変位状態、前記トラベル量、前記減衰力、および、前記反発力の少なくとも1つを、前記自転車用電動補助ユニットの動作状態に基づいて制御する、請求項4に記載の自転車用制御装置。
【請求項6】
前記自転車用電動補助ユニットの動作状態は、動作モードを含み、
前記制御部は、前記動作モードに基づいて、前記電動サスペンションの動作状態を制御する、請求項4または5に記載の自転車用制御装置。
【請求項7】
前記動作モードは、第1のアシスト比で自転車の走行をアシストする第1の動作モードを含み、
前記制御部は、前記動作モードが前記第1の動作モードである場合、前記電動サスペンションの変位状態がロック状態となるように前記電動サスペンションを制御する、請求項6に記載の自転車用制御装置。
【請求項8】
前記動作モードは、第2のアシスト比で前記自転車の走行をアシストする第2の動作モードを含み、
前記制御部は、動作モードが前記第2の動作モードである場合、前記電動サスペンションの変位状態がアンロック状態となるように前記電動サスペンションを制御する、請求項7に記載の自転車用制御装置。
【請求項9】
前記第2のアシスト比は、前記第1のアシスト比よりも大きい、請求項8に記載の自転車用制御装置。
【請求項10】
前記電動サスペンションは、フロント電動サスペンションおよびリア電動サスペンションを含み、
前記動作モードは、第3のアシスト比で前記自転車の走行をアシストする第3の動作モードを含み、
前記制御部は、前記自転車用電動補助ユニットの動作モードが前記第3の動作モードである場合、前記フロント電動サスペンションと前記リア電動サスペンションとを制御する、請求項8または9に記載の自転車用制御装置。
【請求項11】
前記第3のアシスト比は、前記第1のアシスト比よりも大きい、請求項10に記載の自転車用制御装置。
【請求項12】
前記第3のアシスト比は、前記第2のアシスト比よりも大きい、請求項11に記載の自転車用制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、トラベル量を変更するよう、前記フロント電動サスペンションおよび前記リア電動サスペンションの少なくとも一方を制御する、請求項10〜12のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記リア電動サスペンションのトラベル量が前記フロント電動サスペンションのトラベル量よりも大きくなるように前記フロント電動サスペンションおよび前記リア電動サスペンションの少なくとも一方を制御する、請求項13に記載の自転車用制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記リア電動サスペンションの変位状態と、前記フロント電動サスペンションの変位状態と、がロック状態となるように、前記リア電動サスペンションと、前記フロント電動サスペンションと、を制御する、請求項13または14に記載の自転車用制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、反発力を制御するよう、前記フロント電動サスペンションと前記リア電動サスペンションの少なくとも一方を制御する、請求項10〜12のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記リア電動サスペンションの前記反発力が前記フロント電動サスペンションの前記反発力よりも大きくなるように前記フロント電動サスペンションおよび前記リア電動サスペンションの少なくとも一方を制御する、請求項16に記載の自転車用制御装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記電動サスペンションの変位状態がアンロック状態となるように前記電動サスペンションを制御する、請求項16または17に記載の自転車用制御装置。
【請求項19】
前記自転車用コンポーネントは、電動アジャスタブルシートポストを含み、
前記制御部は、前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態を制御する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
【請求項20】
前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態は、前記電動アジャスタブルシートポストの高さを含み、
前記制御部は、前記電動アジャスタブルシートポストの高さを前記自転車用電動補助ユニットの動作状態に基づいて制御する、請求項19に記載の自転車用制御装置。
【請求項21】
前記自転車用電動補助ユニットの動作状態は、動作モードを含み、
前記制御部は、前記動作モードに基づいて、前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態を制御する、請求項19または20に記載の自転車用制御装置。
【請求項22】
前記動作モードは、第1のアシスト比で自転車の走行をアシストする第1の動作モード、および、前記第1のアシスト比よりも大きい第3のアシスト比で前記自転車の走行をアシストする第3の動作モードを含み、
前記制御部は、前記動作モードが前記第1の動作モードである場合、前記電動アジャスタブルシートポストの高さが第1の範囲に含まれるように前記電動アジャスタブルシートポストを制御し、前記動作モードが前記第3の動作モードである場合、前記電動アジャスタブルシートポストの高さが、前記第1の範囲よりも高い第2の範囲に含まれるように前記電動アジャスタブルシートポストを制御する、請求項21に記載の自転車用制御装置。
【請求項23】
前記動作モードは、前記第1のアシスト比よりも大きく前記第3のアシスト比よりも小さい第2のアシスト比で前記自転車の走行をアシストする第2の動作モードを含み、
前記制御部は、前記動作モードが前記第2の動作モードである場合、前記電動アジャスタブルシートポストの高さが前記第1の範囲に含まれるように前記電動アジャスタブルシートポストを制御する、請求項22に記載の自転車用制御装置。
【請求項24】
前記電動アジャスタブルシートポストは、固定筒と、シートが取り付けられる可動筒と、前記可動筒を前記固定筒に対して伸長方向に付勢し、任意の位置に固定する付勢機構とを含み、
前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態は、前記可動筒が前記固定筒に対して固定される固定状態と、前記可動筒が前記固定筒に対して移動可能な移動可能状態と、を含み、
前記制御部は、前記動作モードに基づいて、前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態を切り替える、請求項21に記載の自転車用制御装置。
【請求項25】
前記付勢機構は、前記可動筒を、気圧および油圧の少なくとも一方により付勢する、請求項24に記載の自転車用制御装置。
【請求項26】
前記制御部は、前記可動筒に加えられる力が所定の値以下であると判断した場合、前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態を前記移動可能状態に切り替える、請求項24または25に記載の自転車用制御装置。
【請求項27】
前記制御部は、自転車の傾きを検出する傾斜センサの検出結果、前記自転車の動力を検出するパワーメータの検出結果、および、前記自転車の車輪の回転速度を検出する回転速度センサの検出結果の少なくとも1つと、前記自転車用電動補助ユニットの動作モードとに基づいて、前記自転車用コンポーネントの動作状態を制御する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の自転車用制御装置を備える、自転車用電動補助ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電動サスペンションおよび電動アジャスタブルシートポストの動作状態を変更可能な自転車が知られている。例えば、特許文献1に記載の自転車では、ライダーによる操作装置の操作に応じて、電動サスペンションのロック状態とアンロック状態との切り替え、および、トラベル量の調節が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8489277号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、電動サスペンションや電動アジャスタブルシートポストの動作状態を、ライダーが快適に走行できるよう制御したいというニーズが高まっている。
本発明の目的は、ライダーが快適に走行可能な状態を提供できる自転車用制御装置、および、これを備える自転車用電動補助ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う自転車用制御装置は、電動サスペンションおよび電動アジャスタブルシートポストの少なくとも一方を含む自転車用コンポーネントの動作状態を、少なくとも自転車用電動補助ユニットの動作状態に基づいて制御する制御部を備える。
自転車用電動補助ユニットの動作状態は、一般的に、自転車の走行状態に応じて変更される。このため、少なくとも自転車用電動補助ユニットの動作状態に基づいて自転車用コンポーネントの動作状態が制御されることにより、自転車用コンポーネントの動作状態が自転車の走行状態に応じて自動的に変更される。これにより、ライダーが快適に走行可能な状態が提供される。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、自動制御モードと手動制御モードとを備え、前記自動制御モードにおいては、少なくとも自転車用電動補助ユニットの動作状態に基づいて、前記自転車用コンポーネントの動作状態を制御する。
このため、ライダーは、自動制御と手動制御を選択することができ、手動制御モードにおいては、自転車用コンポーネントの動作状態を手動で変更できる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、操作部からの入力に基づいて、前記自動制御モードと前記手動制御モードとを切り替える。
このため、ライダーは、自動制御モードと手動制御モードとを状況に応じて使い分けることができる。
【0008】
前記第1〜第3側面のいずれか1つに従う第4側面の自転車用制御装置において、前記自転車用コンポーネントは、電動サスペンションを含み、前記制御部は、前記電動サスペンションの動作状態を制御する。
電動サスペンションの動作状態が、自転車用電動補助ユニットの動作状態に基づいて自動的に変更されるため、ライダーが快適に走行可能な状態が提供される。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面の自転車用制御装置において、前記電動サスペンションの動作状態は、変位状態、トラベル量、減衰力、および、反発力の少なくとも1つを含み、前記制御部は、前記変位状態、前記トラベル量、前記減衰力、および、前記反発力の少なくとも1つを、前記自転車用電動補助ユニットの動作状態に基づいて制御する。
このため、変位状態、トラベル量、減衰力、および、反発力の少なくとも1つが自動的に変更され、ライダーが快適に走行可能な状態が提供される。
【0010】
前記第4または第5側面に従う第6側面の自転車用制御装置において、前記自転車用電動補助ユニットの動作状態は、動作モードを含み、前記制御部は、前記動作モードに基づいて、前記電動サスペンションの動作状態を制御する。
このため、電動サスペンションの動作状態が自動的に変更され、ライダーが快適に走行可能な状態が提供される。
【0011】
前記第6側面に従う第7側面の自転車用制御装置において、前記動作モードは、第1のアシスト比で自転車の走行をアシストする第1の動作モードを含み、前記制御部は、前記動作モードが前記第1の動作モードである場合、前記電動サスペンションの変位状態がロック状態となるように前記電動サスペンションを制御する。
このため、自転車用電動補助ユニットの動作状態が第1の動作モードである場合に、駆動力が自転車の車輪に効率的に伝達される。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面の自転車用制御装置において、前記動作モードは、第2のアシスト比で前記自転車の走行をアシストする第2の動作モードを含み、前記制御部は、動作モードが前記第2の動作モードである場合、前記電動サスペンションの変位状態がアンロック状態となるように前記電動サスペンションを制御する。
このため、自転車用電動補助ユニットの動作状態が第2の動作モードである場合に、自転車に加えられた衝撃が電動サスペンションにより吸収される。
【0013】
前記第8側面に従う第9側面の自転車用制御装置において、前記第2のアシスト比は、前記第1のアシスト比よりも大きい。
このため、アシスト比が小さい場合に駆動力が自転車の車輪に効率的に伝達され、アシスト比が大きい場合に自転車に加えられた衝撃が電動サスペンションにより吸収される。
【0014】
前記第8または第9側面に従う第10側面の自転車用制御装置において、前記電動サスペンションは、フロント電動サスペンションおよびリア電動サスペンションを含み、前記動作モードは、第3のアシスト比で前記自転車の走行をアシストする第3の動作モードを含み、前記制御部は、前記自転車用電動補助ユニットの動作モードが前記第3の動作モードである場合、前記フロント電動サスペンションと前記リア電動サスペンションとを制御する。
このため、フロント電動サスペンションおよびリア電動サスペンションの動作状態が自転車の走行状態に応じて自動的に変更される。
【0015】
前記第10側面に従う第11側面の自転車用制御装置において、前記第3のアシスト比は、前記第1のアシスト比よりも大きい。
このため、アシスト比が比較的大きい場合にフロント電動サスペンションおよびリア電動サスペンションの動作状態が自転車の走行状態に応じて自動的に変更される。
【0016】
前記第11側面に従う第12側面の自転車用制御装置において、前記第3のアシスト比は、前記第2のアシスト比よりも大きい。
このため、アシスト比が大きい場合にフロント電動サスペンションおよびリア電動サスペンションの動作状態が自転車の走行状態に応じて自動的に変更される。
【0017】
前記第10〜第12側面のいずれか1つに従う第13側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、トラベル量を変更するよう、前記フロント電動サスペンションおよび前記リア電動サスペンションの少なくとも一方を制御する。
このため、電動サスペンションのトラベル量が自転車の走行状態に応じて自動的に変更される。
【0018】
前記第13側面に従う第14側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記リア電動サスペンションのトラベル量が前記フロント電動サスペンションのトラベル量よりも大きくなるように前記フロント電動サスペンションおよび前記リア電動サスペンションの少なくとも一方を制御する。
自転車が登り坂を走行しているとき、アシスト比が大きくなる。このため、アシスト比が大きいときにリア電動サスペンションのトラベル量がフロント電動サスペンションのトラベル量よりも大きくなることにより、ライダーは、登り坂に適した姿勢をとることができる。
【0019】
前記第13または第14側面に従う第15側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記リア電動サスペンションの変位状態と、前記フロント電動サスペンションの変位状態と、がロック状態となるように、前記リア電動サスペンションと、前記フロント電動サスペンションと、を制御する。
自転車が登り坂を走行している場合、アシスト比が大きくなる。このため、アシスト比が大きい場合にリア電動サスペンションおよびフロント電動サスペンションの変位状態がロック状態となることにより、自転車が登り坂を走行している場合に駆動力が自転車の車輪に効率的に伝達される。
【0020】
前記第10〜第12側面のいずれか1つに従う第16側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、反発力を制御するよう、前記フロント電動サスペンションと前記リア電動サスペンションの少なくとも一方を制御する。
このため、電動サスペンションの反発力が自転車の走行状態に応じて自動的に変更される。
【0021】
前記第16側面に従う第17側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記リア電動サスペンションの前記反発力が前記フロント電動サスペンションの前記反発力よりも大きくなるように前記フロント電動サスペンションおよび前記リア電動サスペンションの少なくとも一方を制御する。
自転車が登り坂を走行している場合、アシスト比が大きくなる。このため、アシスト比が大きい場合にリア電動サスペンションの反発力がフロント電動サスペンションの反発力よりも大きくなることにより、ライダーは、登り坂に適した姿勢をとることができる。
【0022】
前記第16または第17側面に従う第18側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記電動サスペンションの変位状態がアンロック状態となるように前記電動サスペンションを制御する。
自転車が登り坂を走行している場合、アシスト比が大きくなる。このため、アシスト比が大きい場合に電動サスペンションの変位状態がアンロック状態となることにより、自転車が登り坂を走行している場合に自転車に加えられた衝撃が電動サスペンションにより吸収される。
【0023】
前記第1〜第3側面のいずれか1つに従う第19側面の自転車用制御装置において、前記自転車用コンポーネントは、電動アジャスタブルシートポストを含み、前記制御部は、前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態を制御する。
このため、電動アジャスタブルシートポストの動作状態が自転車の走行状態に応じて自動的に変更される。
【0024】
前記第19側面に従う第20側面の自転車用制御装置において、前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態は、前記電動アジャスタブルシートポストの高さを含み、前記制御部は、前記電動アジャスタブルシートポストの高さを前記自転車用電動補助ユニットの動作状態に基づいて制御する。
このため、電動アジャスタブルシートポストの高さが自転車の走行状態に応じて自動的に変更される。
【0025】
前記第19または第20側面に従う第21側面の自転車用制御装置において、前記自転車用電動補助ユニットの動作状態は、動作モードを含み、前記制御部は、前記動作モードに基づいて、前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態を制御する。
このため、電動アジャスタブルシートポストの高さが自転車の走行状態に応じて自動的に変更される。
【0026】
前記第21側面に従う第22側面の自転車用制御装置において、前記動作モードは、第1のアシスト比で自転車の走行をアシストする第1の動作モード、および、前記第1のアシスト比よりも大きい第3のアシスト比で前記自転車の走行をアシストする第3の動作モードを含み、前記制御部は、前記動作モードが前記第1の動作モードである場合、前記電動アジャスタブルシートポストの高さが第1の範囲に含まれるように前記電動アジャスタブルシートポストを制御し、前記動作モードが前記第3の動作モードである場合、前記電動アジャスタブルシートポストの高さが、前記第1の範囲よりも高い第2の範囲に含まれるように前記電動アジャスタブルシートポストを制御する。
電動アジャスタブルシートポストの高さが高い場合、ライダーは前傾姿勢をとりやすい。電動アジャスタブルシートポストの高さが低い場合、ライダーは後傾姿勢をとりやすい。電動アジャスタブルシートポストの高さが中程度の場合、ライダーは中立姿勢をとりやすい。このため、自転車が登り坂を走行している場合に、ライダーは、前傾姿勢をとりやすい。自転車が平地を走行している場合に、ライダーは、中立姿勢をとりやすい。
【0027】
前記第22側面に従う第23側面の自転車用制御装置において、前記動作モードは、前記第1のアシスト比よりも大きく前記第3のアシスト比よりも小さい第2のアシスト比で前記自転車の走行をアシストする第2の動作モードを含み、前記制御部は、前記動作モードが前記第2の動作モードである場合、前記電動アジャスタブルシートポストの高さが前記第1の範囲に含まれるように前記電動アジャスタブルシートポストを制御する。
このため、ライダーは、アシスト比が第2のアシスト比である場合にクランクに踏力を加えやすい姿勢をとることができる。
【0028】
前記第1〜第23側面のいずれか1つに従う第24側面の自転車用制御装置において、前記電動アジャスタブルシートポストは、固定筒と、シートが取り付けられる可動筒と、前記可動筒を前記固定筒に対して伸長方向に付勢し、任意の位置に固定する付勢機構とを含み、前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態は、前記可動筒が前記固定筒に対して固定される固定状態と、前記可動筒が前記固定筒に対して移動可能な移動可能状態と、を含み、前記制御部は、前記動作モードに基づいて、前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態を切り替える。
このため、付勢機構を用いてシートを適切な位置に固定できる。
【0029】
前記第24側面に従う第25側面の自転車用制御装置において、前記付勢機構は、前記可動筒を、気圧および油圧の少なくとも一方により付勢する。
このため、付勢機構が付勢する手段を選択することができる。
【0030】
前記第24または第25側面に従う第26側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記可動筒に加えられる力が所定の値以下であると判断した場合、前記電動アジャスタブルシートポストの動作状態を前記移動可能状態に切り替える。
このため、電動アジャスタブルシートポストへ加える力を弱めることにより、シートの固定を解除できる。
【0031】
前記第1〜第26側面のいずれか1つに従う第27側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、自転車の傾きを検出する傾斜センサの検出結果、前記自転車の動力を検出するパワーメータの検出結果、および、前記自転車の車輪の回転速度を検出する回転速度センサの検出結果の少なくとも1つと、前記自転車用電動補助ユニットの動作モードとに基づいて、前記自転車用コンポーネントの動作状態を制御する。
このため、自転車用コンポーネントの動作状態が自転車の走行状態に応じてより詳細に制御される。
【0032】
本発明の第28側面に従う自転車用電動補助ユニットは、前記第1〜第27側面のいずれか1つに従う自転車用制御装置を備える。
【発明の効果】
【0033】
本自転車用制御装置およびこれを備える自転車用電動補助ユニットによれば、ライダーが快適に走行可能な状態を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態の自転車用制御装置を搭載した自転車の側面図。
図2図1のブロック図。
図3図1の自転車用制御装置に予め記憶される第1のマップを示す図。
図4図1の自転車用制御装置に予め記憶される第2のマップを示す図。
図5】第2実施形態の自転車を右側から見た場合の電動アジャスタブルシートポストの拡大図。
図6】電動アジャスタブルシートポストの制御の前半を示すフローチャート。
図7】電動アジャスタブルシートポストの制御の後半を示すフローチャート。
図8】変形例の電動アジャスタブルシートポストの拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
図1に示されるように、自転車10は、自転車本体12、車輪16、ハンドル22、クランク24、フロントスプロケット26A、リアスプロケット26B、チェーン28、バッテリ30、シート34、自転車用電動補助ユニット40(以下では「電動補助ユニット40」)、および、自転車用コンポーネント50を備える。電動補助ユニット40は、自転車用制御装置42(以下では「制御装置42」)を備える。自転車用コンポーネント50は、電動サスペンション52、および、電動アジャスタブルシートポスト54の少なくとも一方を含む。シート34は、電動アジャスタブルシートポスト54に取り付けられ、ライダーの臀部を支持する。
【0036】
なお、以下の各実施形態に関する説明において、前、後、前方、後方、左、右、横、上、および、下等の方向を表す言葉は、ライダーがハンドル22を向いて自転車10のシート34に着座した状態における方向を基準として用いられる。
【0037】
自転車本体12は、フロントフォーク12Aと、フレーム14とを含む。フレーム14は、ヘッドチューブ14A、シートチューブ14B、ボトムブラケットシェル14C、ダウンチューブ14D、チェーンステー14E、リアエンド14F、および、シートステー14Gを含む。車輪16は、前輪18および後輪20を含む。前輪18は、ホイール18Aおよびハブ軸18Bを含む。ハブ軸18Bは、フロントフォーク12Aにより支持される。ハンドル22は、ヘッドチューブ14Aに取り付けられる。後輪20は、ホイール20Aおよびハブ軸20Bを含む。ホイール20Aは、ハブシェル(図示略)、リアスプロケット支持体(図示略)、複数のスポーク20D、および、リム20Eを含む。ハブシェルとリアスプロケット支持体との間にはワンウェイクラッチ(図示略)が設けられる。ハブ軸20Bは、リアエンド14Fにより支持される。
【0038】
クランク24は、ボトムブラケットシェル14Cに支持されるボトムブラケット(図示略)に取り付けられる。クランク24は、クランクアーム24A、ペダル24B、ペダル支持軸24C、および、クランク軸24Dを含む。フロントスプロケット26Aは、クランク24に取り付けられる。リアスプロケット26Bは、後輪20のハブ軸20Bに取り付けられる。チェーン28は、フロントスプロケット26Aおよびリアスプロケット26Bに巻き掛けられる。クランク24は、ライダーの踏力により回転する。クランク24とともに回転するフロントスプロケット26Aの回転がチェーン28によりリアスプロケット26Bに伝達され、リアスプロケット26Bおよび後輪20が回転する。
【0039】
バッテリ30は、ダウンチューブ14Dに取り付けられる。バッテリ30は、電動補助ユニット40および自転車用コンポーネント50に電力を供給する。バッテリ30は、電動補助ユニット40および自転車用コンポーネント50と電線(図示略)により接続される。
【0040】
電動補助ユニット40は、アシストモータ(図示略)を含み、アシストモータによりクランク24の回転をアシストする。アシストモータの一例は電気モータである。アシストモータの回転は、減速機(図示略)を介してフロントスプロケット26Aに伝達される。一例では、アシストモータとフロントスプロケット26Aとの間にワンウェイクラッチが設けられる。このワンウェイクラッチは、クランク24に加えられたライダーの踏力がアシストモータに伝達されることを回避する。
【0041】
電動補助ユニット40の動作状態は、制御装置42またはライダーにより変更される。電動補助ユニット40の動作状態は、動作モードを含む。動作モードは、第1の動作モードを含む。電動補助ユニット40の動作状態が第1の動作モードであるとき、電動補助ユニット40は、第1のアシスト比で自転車10の走行をアシストする。動作モードは、第2の動作モードをさらに含む。電動補助ユニット40の動作状態が第2の動作モードであるとき、電動補助ユニット40は、第2のアシスト比で自転車10の走行をアシストする。動作モードは、第3の動作モードをさらに含む。電動補助ユニット40の動作状態が第3の動作モードであるとき、電動補助ユニット40は、第3のアシスト比で自転車10の走行をアシストする。動作モードは、オフモードをさらに含む。電動補助ユニット40の動作状態がオフモードであるとき、電動補助ユニット40は、自転車10の走行をアシストしない。
【0042】
第3のアシスト比は、第1のアシスト比よりも大きい。第3のアシスト比は、第2のアシスト比よりも大きい。第2のアシスト比は、第1のアシスト比よりも大きい。第3の動作モードにおけるアシストモータの出力の上限は、第2の動作モードにおけるアシストモータの出力の上限よりも大きい。第2の動作モードにおけるアシストモータの出力の上限は、第1の動作モードにおけるアシストモータの出力の上限よりも大きい。
【0043】
電動サスペンション52は、フロント電動サスペンション52Aおよびリア電動サスペンション52Bを含む。フロント電動サスペンション52Aは、フロントフォーク12Aに設けられる。リア電動サスペンション52Bは、シートチューブ14Bとチェーンステー14Eとの間に設けられる。
【0044】
電動サスペンション52は、弾性体(図示略)を含み、車輪16に加えられた衝撃を弾性エネルギーに変換することにより吸収する。弾性体の例は、ばね、空気、油、および、磁性流体等を含む流体が封入されたシリンダである。フロント電動サスペンション52Aは、フロントフォーク12Aに対する前輪18の位置を変化可能に支持する。フロント電動サスペンション52Aの動作状態は、例えば、電気的に駆動されるアクチュエータ52Cにより変更される。アクチュエータ52Cの一例は、電動モータである。アクチュエータ52Cは、バッテリ30から供給される電力によって駆動する。リア電動サスペンション52Bは、シートチューブ14Bに対する後輪20の位置を変化可能に支持する。リア電動サスペンション52Bの動作状態は、例えば、電気的に駆動されるアクチュエータ52Dにより変更される。アクチュエータ52Dの一例は、電動モータである。アクチュエータ52Dは、バッテリ30から供給される電力によって駆動する。
【0045】
電動アジャスタブルシートポスト54は、シートチューブ14Bに支持される。電動アジャスタブルシートポスト54の一部は、シートチューブ14Bの内部に挿入される。電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態は、電気的に駆動されるアクチュエータ54Aにより変更される。アクチュエータ54Aの一例は、電動モータである。アクチュエータ54Aは、バッテリ30から供給される電力によって駆動する。電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態は、電動アジャスタブルシートポスト54の高さを含む。電動アジャスタブルシートポスト54のフレーム14に対する位置が変更されることにより、電動アジャスタブルシートポスト54の高さが変更される。
【0046】
自転車10は、傾斜センサ32Aを備える。傾斜センサ32Aは、フレーム14または電動補助ユニット40に設けられ、フレーム14のピッチ角度を検出する。ピッチ角度は、自転車10の左右方向に沿う所定のピッチ軸まわりの回転角度である。一例では、傾斜センサ32Aは、ピッチ角度の角速度を検出可能であり、ピッチ軸まわりの角速度を積分した値をピッチ角度として算出する。傾斜センサ32Aは、算出したピッチ角度を自転車10の傾きとして検出する。
【0047】
自転車10は、回転速度センサ32Bを備える。回転速度センサ32Bは、自転車10の車輪16の回転速度を検出する。自転車10は、前輪18に対応する回転速度センサ32B、および、後輪20に対応する回転速度センサ32Bの少なくとも一方を備える。前輪18に対応する回転速度センサ32Bは、フロントフォーク12Aに取り付けられ、前輪18に設けられた磁石18Cを検出することにより前輪18のホイール18Aの回転速度を検出する。後輪20に対応する回転速度センサ32Bは、チェーンステー14Eに取り付けられ、後輪20に設けられた磁石20Cを検出することにより後輪20のホイール20Aの回転速度を検出する。
【0048】
自転車10は、パワーメータ32Cを備える。パワーメータ32Cは、自転車10の動力を検出する。自転車10の動力は、クランク24に加えられるトルクとクランク24の回転速度との積により算出できる。パワーメータ32Cは、例えば、トルクセンサおよびクランク回転速度センサ(いずれも図示略)を含む。トルクセンサは、クランク24に加えられるトルクに応じた信号を出力するセンサである。一例では、トルクセンサは、歪センサ、磁歪センサ、または、光学センサを含む。クランク回転速度センサは、クランク24の回転速度を検出するセンサ、チェーン28の回転速度を検出するセンサ、および、フロントスプロケット26Aの回転時のチェーン28の振動数を測定するセンサの少なくとも1つを含む。
【0049】
図2に示されるとおり、自転車10は、操作部60をさらに備える。操作部60は、第1の操作部62、第2の操作部64、第3の操作部66、および、第4の操作部68を含む。各操作部62、64、66、68は、ライダーが操作可能な切替スイッチ(図示略)を含む。
【0050】
第1の操作部62は、例えば、ハンドル22(図1参照)に設けられる。第1の操作部62は、電動補助ユニット40と有線通信または無線通信できるように接続される。第1の操作部62は、電動補助ユニット40にデータセットを送信できるようにデータリンクを確立可能である。第1の操作部62は、確立されたデータリンクを通して電動補助ユニット40にデータセットを送信する。データセットは、例えば、電動補助ユニット40の制御に用いられる情報を含む。ライダーが第1の操作部62を操作することにより、電動補助ユニット40の動作モードが切り替えられる。
【0051】
第2の操作部64は、例えば、ハンドル22に設けられる。第2の操作部64は、フロント電動サスペンション52Aと有線通信または無線通信できるように接続される。第2の操作部64は、フロント電動サスペンション52Aにデータセットを送信できるようにデータリンクを確立可能である。第2の操作部64は、確立されたデータリンクを通してフロント電動サスペンション52Aにデータセットを送信する。データセットは、例えば、フロント電動サスペンション52Aの動作状態の制御に用いられる情報を含む。
【0052】
電動サスペンション52の動作状態は、変位状態、トラベル量、減衰力、および、反発力の少なくとも1つを含む。ライダーが第2の操作部64に電動サスペンション52の変位状態をロックする指示を入力すると、フロントフォーク12Aに対する前輪18の位置がロックされるようにフロント電動サスペンション52Aが動作する。ライダーが第2の操作部64に変位状態をアンロックする指示を入力すると、フロントフォーク12Aに対する前輪18の位置がアンロックされるようにフロント電動サスペンション52Aが動作する。
【0053】
ライダーが第2の操作部64に電動サスペンション52のトラベル量を長くする指示を入力すると、電動サスペンション52のトラベル量が長くなるようにフロント電動サスペンション52Aが動作する。ライダーが第2の操作部64にトラベル量を短くする指示を入力すると、電動サスペンション52のトラベル量が短くなるようにフロント電動サスペンション52Aが動作する。
【0054】
ライダーが第2の操作部64に電動サスペンション52の減衰力を大きくする指示を入力すると、電動サスペンション52の減衰力が大きくなるようにフロント電動サスペンション52Aが動作する。ライダーが第2の操作部64に電動サスペンション52の減衰力を小さくする指示を入力すると、電動サスペンション52の減衰力が小さくなるようにフロント電動サスペンション52Aが動作する。
【0055】
ライダーが第2の操作部64に電動サスペンション52の反発力を大きくする指示を入力すると、電動サスペンション52の反発力が大きくなるようにフロント電動サスペンション52Aが動作する。ライダーが第2の操作部64に電動サスペンション52の反発力を小さくする指示を入力すると、電動サスペンション52の反発力が小さくなるようにフロント電動サスペンション52Aが動作する。
【0056】
第3の操作部66は、例えば、ハンドル22に設けられる。第3の操作部66は、リア電動サスペンション52Bと有線通信または無線通信できるように接続される。第3の操作部66は、リア電動サスペンション52Bにデータセットを送信できるようにデータリンクを確立可能である。第3の操作部66は、確立されたデータリンクを通してリア電動サスペンション52Bにデータセットを送信する。データセットは、例えば、リア電動サスペンション52Bの動作状態の制御に用いられる情報を含む。第3の操作部66の操作に対応するリア電動サスペンション52Bの動作は、第2の操作部64の操作に対応するフロント電動サスペンション52Aの動作と同様である。
【0057】
第4の操作部68は、例えば、ハンドル22に設けられる。第4の操作部68は、電動アジャスタブルシートポスト54と有線通信または無線通信できるように接続される。第4の操作部68は、電動アジャスタブルシートポスト54にデータセットを送信できるようにデータリンクを確立可能である。第4の操作部68は、確立されたデータリンクを通して、電動アジャスタブルシートポスト54にデータセットを送信する。データセットは、例えば、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態の制御に用いられる情報を含む。
【0058】
ライダーが第4の操作部68に上昇指示を入力すると、フレーム14に対する電動アジャスタブルシートポスト54の高さが高くなるように電動アジャスタブルシートポスト54が動作する。ライダーが第4の操作部68に下降指示を入力すると、フレーム14に対する電動アジャスタブルシートポスト54の高さが低くなるように電動アジャスタブルシートポスト54が動作する。
【0059】
制御装置42は、制御部44を備える。制御装置42は、メモリ46およびバス48を備える。メモリ46には、制御装置42の動作に必要な情報、例えば、電動補助ユニット40の動作モード等が記憶される。第1の例では、制御部44およびメモリ46は半導体チップであり、制御装置42に含まれる基板(図示略)に実装される。第2の例では、制御装置42は半導体チップであり、制御部44およびメモリ46は半導体チップの一角を占めるモジュールである。制御部44およびメモリ46は、バス48を介して電気的に接続される。一例では、バス48は、PCI−Expressである。
【0060】
電動補助ユニット40、操作部60、傾斜センサ32A、回転速度センサ32B、および、パワーメータ32Cは、それぞれ制御装置42のバス48と有線通信または無線通信できるように接続され、制御部44とデータリンクを確立可能である。
【0061】
制御部44は、自転車用コンポーネント50の動作状態を、少なくとも電動補助ユニット40の動作状態に基づいて制御する。第1の例では、制御部44は、電動サスペンション52の動作状態を制御する。このとき、制御部44は、電動サスペンション52の変位状態、トラベル量、減衰力、および、反発力の少なくとも1つを、電動補助ユニット40の動作状態に基づいて制御する。第2の例では、制御部44は、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態を制御する。電動アジャスタブルシートポスト54の高さを調節可能な範囲は、少なくとも第1の範囲および第2の範囲を含む。第2の範囲は、第1の範囲よりも高い。一例では、電動アジャスタブルシートポスト54の高さを調節可能な範囲は、第3の範囲をさらに含む。第3の範囲は、第1の範囲よりも低い。制御部44は、電動アジャスタブルシートポスト54の高さを電動補助ユニット40の動作状態に基づいて制御する。
【0062】
制御部44は、自動制御モードおよび手動制御モードを備える。制御部44は、操作部60の切替スイッチからの入力に基づいて、自動制御モードと手動制御モードとを切り替える。自動制御モードにおいては、制御部44は、少なくとも自転車用電動補助ユニット40の動作状態に基づいて、自転車用コンポーネント50の動作状態を制御する。手動制御モードにおいては、ライダーによる操作部60の操作に基づいて、自転車用コンポーネントの動作状態を制御する。
【0063】
図3は、電動補助ユニット40の動作モードと電動サスペンション52の動作状態との関係を規定した第1のマップの一例である。図3において斜線が引かれた欄に対応する項目は、制御の内容を任意に選択可能である。制御部44は、第1のマップを予め記憶している。制御部44は、電動補助ユニット40の動作モードに基づいて、電動サスペンション52の動作状態を制御する。
【0064】
電動補助ユニット40の動作モードが第1の動作モードである場合、制御部44は、電動サスペンション52の変位状態がロック状態となるように電動サスペンション52を制御する。動作モードが第1の動作モードである場合は、電動補助ユニット40のアシスト比が小さく、自転車10は平地を走行していると推定される。この制御によれば、自転車10が平地を走行している場合にライダーが安定した姿勢をとることができる。
【0065】
電動補助ユニット40の動作モードが第2の動作モードである場合、制御部44は、電動サスペンション52の変位状態がアンロック状態となるように電動サスペンション52を制御する。動作モードが第2の動作モードである場合は、第1の動作モードよりも電動補助ユニット40のアシスト比が大きく、自転車10は荒れた状態の路面を走行していると推定される。この制御によれば、自転車10が荒れた路面を走行している場合に自転車10に作用する衝撃が電動サスペンション52により吸収される。
【0066】
電動補助ユニット40の動作モードが第3の動作モードである場合、制御部44は、フロント電動サスペンション52Aとリア電動サスペンション52Bとを制御する第1の制御を実行する。一例では、第1の制御は、制御A1〜制御A6を含む。動作モードが第3の動作モードである場合は、第2の動作モードよりも電動補助ユニット40のアシスト比が大きく、自転車10は登り坂を走行していると推定される。
【0067】
制御A1では、制御部44は、トラベル量を変更するよう、フロント電動サスペンション52Aおよびリア電動サスペンション52Bの少なくとも一方を制御する。この制御によれば、自転車10が登り坂を走行している場合にライダーが登り坂の走行に適した姿勢をとることができる。
【0068】
制御A2では、制御部44は、リア電動サスペンション52Bのトラベル量がフロント電動サスペンション52Aのトラベル量よりも大きくなるようにフロント電動サスペンション52Aおよびリア電動サスペンション52Bの少なくとも一方を制御する。ライダーは前傾姿勢をとりやすく、登り坂の走行中にライダーが感じる負担が軽減される。
【0069】
制御A3では、制御部44は、リア電動サスペンション52Bの変位状態と、フロント電動サスペンション52Aの変位状態とがロック状態となるように、リア電動サスペンション52Bとフロント電動サスペンション52Aとを制御する。登り坂の走行時には、ライダーの踏力および電動補助ユニット40のアシスト力が強い。電動サスペンション52をロック状態とすることにより、ライダーの踏力が加えられたときの自転車本体12の上下動が抑制され、ライダーは安定した姿勢をとることができる。
【0070】
制御A4では、制御部44は、反発力を制御するよう、フロント電動サスペンション52Aとリア電動サスペンション52Bの少なくとも一方を制御する。フロント電動サスペンション52Aおよびリア電動サスペンション52Bは、ライダーの体重により縮む。フロント電動サスペンション52Aおよびリア電動サスペンション52Bの反発力を変化させると、自転車本体12の傾きを変化させることができる。このため、ライダーは登り坂の走行に適した姿勢をとることができる。
【0071】
制御A5では、制御部44は、リア電動サスペンション52Bの反発力がフロント電動サスペンション52Aの反発力よりも大きくなるようにフロント電動サスペンション52Aおよびリア電動サスペンション52Bの少なくとも一方を制御する。リア電動サスペンション52Bの縮む長さは、フロント電動サスペンション52Aの縮む長さよりも短いため、ライダーは前傾姿勢をとりやすく、登り坂の走行中にライダーが感じる負担が軽減される。
【0072】
制御A6では、制御部44は、電動サスペンション52の変位状態がアンロック状態となるように電動サスペンション52を制御する。登り坂、かつ、荒れた状態の路面を走行するときに、ライダーは快適に走行できる。
【0073】
電動補助ユニット40の動作モードがオフモードである場合、制御部44は、フロント電動サスペンション52Aとリア電動サスペンション52Bとを制御する第2の制御を実行する。一例では、第2の制御は、制御B1〜制御B3を含む。動作モードがオフモードである場合は、自転車10は下り坂を走行していると推定される。
【0074】
制御B1では、制御部44は、リア電動サスペンション52Bのトラベル量がフロント電動サスペンション52Aのトラベル量よりも小さくなるようにフロント電動サスペンション52Aおよびリア電動サスペンション52Bの少なくとも一方を制御する。ライダーは後傾姿勢をとりやすく、下り坂の走行中にライダーが感じる負担が軽減される。
【0075】
制御B2では、制御部44は、リア電動サスペンション52Bの変位状態と、フロント電動サスペンション52Aの変位状態とがアンロック状態となるように、リア電動サスペンション52Bとフロント電動サスペンション52Aとを制御する。下り坂の走行においては、自転車10が速く走行しているため、自転車本体12が路面から受ける衝撃が大きくなりやすい。電動サスペンション52が路面から受ける衝撃を吸収するため、ライダーは快適に走行できる。
【0076】
制御B3では、制御部44は、リア電動サスペンション52Bの反発力がフロント電動サスペンション52Aの反発力よりも小さくなるようにフロント電動サスペンション52Aおよびリア電動サスペンション52Bの少なくとも一方を制御する。リア電動サスペンション52Bの縮む長さは、フロント電動サスペンション52Aの縮む長さよりも長いため、ライダーは後傾姿勢をとりやすく、下り坂の走行中にライダーが感じる負担が軽減される。
【0077】
図4は、電動補助ユニット40の動作モードと電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態との関係を規定した第2のマップの一例である。制御部44は、第2のマップを予め記憶している。制御部44は、動作モードに基づいて、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態を制御する。
【0078】
動作モードが第1の動作モードである場合、制御部44は、電動アジャスタブルシートポスト54の高さが第1の範囲に含まれるように電動アジャスタブルシートポスト54を制御する。ライダーは、平地を走行するときに、踏力を加えやすい姿勢をとることができる。
【0079】
動作モードが第2の動作モードである場合、制御部44は、電動アジャスタブルシートポスト54の高さが第1の範囲に含まれるように電動アジャスタブルシートポスト54を制御する。ライダーは、荒れた状態の路面を走行するときに、踏力を加えやすい姿勢をとることができる。
【0080】
動作モードが第3の動作モードである場合、制御部44は、電動アジャスタブルシートポスト54の高さが、第2の範囲に含まれるように電動アジャスタブルシートポスト54を制御する。電動アジャスタブルシートポスト54の高さが高く、ライダーは前傾姿勢をとりやすい。このため、登り坂の走行中にライダーが感じる負担が軽減される。
【0081】
動作モードがオフモードである場合、制御部44は、電動アジャスタブルシートポスト54の高さが、第3の範囲に含まれるように電動アジャスタブルシートポスト54を制御する。電動アジャスタブルシートポスト54の高さが低く、ライダーは後傾姿勢をとりやすい。このため、下り坂の走行中にライダーが感じる負担が軽減される。
【0082】
制御部44は、傾斜センサ32Aの検出結果、パワーメータ32Cの検出結果、および、回転速度センサ32Bの検出結果の少なくとも1つと、電動補助ユニット40の動作モードとに基づいて、自転車用コンポーネント50の動作状態を制御する。この制御によれば、走行路が登り坂または下り坂であるか否かの判断に、傾斜センサ32Aの検出結果が用いられる。また、走行路が下り坂であるか否かの判断に、回転速度センサ32Bの検出結果が用いられる。また、走行路が登り坂であるか否かの判断に、パワーメータ32Cの検出結果が用いられる。このため、自転車用コンポーネント50の制御をより詳細に行うことができる。
【0083】
(第2実施形態)
第2実施形態の自転車10の構造は、以下に説明する点で第1実施形態の自転車10の構造と異なる。第2実施形態の自転車10におけるその他の構造は、第1実施形態の自転車10の構造と実質的に同じである。
【0084】
図5に示されるように、アクチュエータ54Aは、シートチューブ14Bに固定される。アクチュエータ54Aの固定に関する形態は、例えば、次の第1形態および第2形態を含む。第1形態では、アクチュエータ54Aは、図示されるようにシートチューブ14Bの外部に設けられ、シートチューブ14Bの外周部に固定される。第2形態では、アクチュエータ54Aは、シートチューブ14Bの内部に設けられ、シートチューブ14Bの内周部に固定される。電動アジャスタブルシートポスト54は、固定筒56、可動筒58、および、付勢機構70を含む。シート34は、可動筒58に取り付けられる。可動筒58は、シートチューブ14B側の第1端部58A、および、第1端部58Aとは反対側の第2端部58Bを含む。シート34は、例えば、可動筒58の第2端部58Bに取り付けられる。
【0085】
自転車10は、荷重センサ36および位置センサ38をさらに備える。荷重センサ36は、可動筒58に加えられる力を検出する。荷重センサ36は、例えば、可動筒58の第2端部58Bに設けられる。荷重センサ36は、制御装置42と有線通信または無線通信可能に接続される。荷重センサ36の検出結果は、制御装置42に送信される。位置センサ38は、電動アジャスタブルシートポスト54の高さを検出する。電動アジャスタブルシートポスト54の高さは、例えば、シートチューブ14Bの中心軸心に沿う方向におけるシートチューブ14Bに対するシート34の位置である。位置センサ38は、例えば、固定筒56に設けられる。位置センサ38は、制御装置42と有線通信または無線通信可能に接続される。位置センサ38の検出結果は、制御装置42に送信される。
【0086】
可動筒58は、固定筒56の中心軸心に沿う軸方向において固定筒56に対して移動できるように構成されている。可動筒58の第1端部58Aは、固定筒56内に挿入される。固定筒56は、可動筒58側の第1端部56A、および、第1端部56Aと反対側の第2端部56Bを含む。固定筒56の第2端部56Bは、シートチューブ14B内に挿入される。固定筒56は、シートチューブ14Bに固定される。電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態は、可動筒58が固定筒56に対して固定される固定状態と、可動筒58が固定筒56に対して移動可能な移動可能状態と、を含む。
【0087】
一例では、電動アジャスタブルシートポスト54は、支持部58Cをさらに含む。支持部58Cは、可動筒58の外周に設けられる。支持部58Cは、可動筒58とは別に形成され、可動筒58の外周部に固定される。なお、支持部58Cは、可動筒58と一体に形成されてもよい。
【0088】
付勢機構70は、固定筒56の内部に設けられ、固定筒56の中心軸心に沿う軸方向において、固定筒56の下側に位置する。付勢機構70は、可動筒58を固定筒56に対して伸長方向に付勢し、任意の位置に固定する。好ましくは、付勢機構70は、可動筒58を、気圧および油圧の少なくとも一方により付勢する。可動筒58の付勢方法は一般的なものであるため、詳細な説明を省略する。なお、アクチュエータ54Aは、シートチューブ14Bの内部に設けられ、シートチューブ14Bの内周部に固定されてもよい。
【0089】
電動アジャスタブルシートポスト54は、プッシュロッド72、押圧部材74、および、ケーブル76を備える。プッシュロッド72は、第1端部72Aおよび第1端部72Aとは反対側に位置する第2端部72Bを含み、可動筒58の内部に設けられる。プッシュロッド72の第1端部72Aは、第2端部72Bよりも固定筒56の中心軸心に沿う軸方向において上方に位置する。プッシュロッド72の第2端部72Bは、付勢機構70の内部に位置する。プッシュロッド72は、固定筒56の中心軸心に沿う軸方向において移動可能である。プッシュロッド72の第1端部72Aが押圧されている状態において、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態は移動可能状態である。一方で、プッシュロッド72の第1端部72Aが押圧されていない状態において、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態は固定状態である。
【0090】
押圧部材74は、第1端部74A、第2端部74B、および、ピン74Cを含む。押圧部材74は、可動筒58に対してピン74Cの中心軸心まわりに回転可能に取り付けられる。第1端部74Aは、プッシュロッド72の第1端部72Aに接触する。第2端部74Bには、ケーブル76が連結される。
【0091】
ケーブル76は、ボーデンケーブルであり、インナーケーブル76Aおよびアウターケーシング76Bを含む。可動筒58の支持部58Cには、孔58Dが設けられる。インナーケーブル76Aは、孔58Dを貫通し、アクチュエータ54Aと押圧部材74の第2端部74Bとを連結する。アウターケーシング76Bは、端部76Cが可動筒58の支持部58Cに保持され、インナーケーブル76Aを覆っている。
【0092】
押圧部材74の動作について説明する。アクチュエータ54Aがインナーケーブル76Aを引くと、押圧部材74は、自転車10の右側から見たとき、ピン74Cの中心軸心について反時計方向回りに回転し、第1端部74Aがプッシュロッド72の第1端部72Aを押圧するように移動する。これにより、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態が移動可能状態となる。移動可能状態において、シート34に付勢機構70が可動筒58を付勢する力よりも強い力が加えられる場合、可動筒58は下方に移動する。シート34に付勢機構70が可動筒58を付勢する力よりも強い力が加えられない場合、可動筒58は上方に移動する。
【0093】
アクチュエータ54Aがインナーケーブル76Aを引く動作を解除すると、押圧部材74は、自転車10の右側から見たとき、ピン74Cの中心軸心について時計方向回りに回転し、第1端部74Aによるプッシュロッド72の第1端部72Aの押圧が解除される。このため、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態が固定状態となり、可動筒58の位置は固定される。
【0094】
図6および図7を参照して、制御部44により実行される電動アジャスタブルシートポスト54の制御の内容について説明する。制御装置42の電源がオンに切り替えられると、制御部44は電動アジャスタブルシートポスト54の制御を開始する。制御部44がこの制御を実行している最中に制御装置42の電源がオフに切り替えられた場合、制御部44は実行中の制御を終了する。
【0095】
ステップS1において、制御部44は、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態を固定状態に切り替える。具体的には、制御部44は、インナーケーブル76Aを引く動作を解除する指示を含む第1の信号をアクチュエータ54Aに送信する。アクチュエータ54Aは、第1の信号を受信するとインナーケーブル76Aを引く動作を解除する。このため、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態は、固定状態となる。
【0096】
ステップS2において、制御部44は、メモリ46に記憶されている電動補助ユニット40の動作モードの種類を判断する。制御部44は、ステップS2において、電動補助ユニット40の動作モードが第1の動作モードまたは第2の動作モードであると判断した場合、ステップS3を実行する。制御部44は、ステップS2において、電動補助ユニット40の動作モードが第3の動作モードであると判断した場合、ステップS4を実行する。制御部44は、ステップS2において、電動補助ユニット40の動作モードがオフモードであると判断した場合、ステップS5を実行する。
【0097】
ステップS3において、制御部44は、メモリ46に記憶されている第1の範囲を、制御に用いる目標範囲としてメモリ46に記憶する。
ステップS4において、制御部44は、メモリ46に記憶されている第2の範囲を、制御に用いる目標範囲としてメモリ46に記憶する。
ステップS5において、制御部44は、メモリ46に記憶されている第3の範囲を、制御に用いる目標範囲としてメモリ46に記憶する。
【0098】
ステップS6において、制御部44は、位置センサ38の検出値が目標範囲に含まれるか否かを判断する。ステップS6において、位置センサ38の検出値が目標範囲に含まれると判断した場合、制御部44は、ステップS1を実行する。
【0099】
ステップSにおいて、位置センサ38の検出値が目標範囲に含まれないと判断した場合、制御部44は、ステップS7を実行する。ステップS7において、電動アジャスタブルシートポスト54の高さを調整する必要がある旨をライダーに知らせる通知情報を、通知手段を用いて出力する。通知情報は、例えば、視覚により認識される情報、聴覚により認識される情報、および、触覚により認識される情報の少なくとも1つを含む。通知手段は、例えば、表示装置、スピーカー、および、振動装置の少なくとも1つを含む。一例では、表示装置およびスピーカーは、サイクルコンピュータに含まれる。振動装置は、シート34またはハンドル22に含まれる。また、制御部44は、荷重センサ36の検出値が所定の値よりも大きい状態が継続した時間(以下「第2の継続時間」)のカウントを開始する。
【0100】
ステップS8において、制御部44は、荷重センサ36の検出値が所定の値以下であるか否かを判断する。荷重センサ36の検出値は、可動筒58に加えられる力の値である。メモリ46は、荷重に関する所定の値を予め記憶している。制御部44は、可動筒58に加えられる力が所定の値よりも大きいと判断した場合、ステップS13を実行する。制御部44は、可動筒58に加えられる力が所定の値以下であると判断した場合、第2の継続時間のカウントをリセットし、ステップS9を実行する。
【0101】
ステップS9において、制御部44は、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態を移動可能状態に切り替える。具体的には、制御部44は、インナーケーブル76Aを引く動作を実行する指示を含む第2の信号をアクチュエータ54Aに送信する。アクチュエータ54Aは、制御部44からの第2の信号を受信すると、インナーケーブル76Aを引く。このため、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態が移動可能状態に設定される。ステップS1およびステップS9に示すように、制御部44は、動作モードに基づいて、電動アジャスタブルシートポスト54の動作状態を切り替える。
【0102】
ステップS10において、制御部44は、電動アジャスタブルシートポスト54の高さを目標範囲にするためにライダーが取るべき状態を通知するよう通知手段を制御する。例えば、ステップS10は、以下の処理を含む。現在の電動アジャスタブルシートポスト54の高さが目標範囲の上限値よりも高いと判断した場合、制御部44は、通知手段に、シート34に荷重を加えるようライダーに促す情報を通知させる。一方、現在の電動アジャスタブルシートポスト54の高さが目標範囲の下限値よりも低いと判断した場合、制御部44は、通知手段に、シート34への荷重を減少するようライダーに促す情報を通知させる。また、制御部44は、位置センサ38の検出値が目標範囲に含まれない状態が継続した時間(以下「第1の継続時間」)のカウントを開始する。
【0103】
ステップS11において、制御部44は、位置センサ38の検出値が目標範囲に含まれるか否かを判断する。ステップS11において、位置センサ38の検出値が目標範囲に含まれると判断した場合、制御部44は、第1の継続時間のカウントをリセットし、ステップS1を実行する。

【0104】
ステップS11において、位置センサ38の検出値が目標範囲に含まれないと判断した場合、制御部44は、ステップS12を実行する。ステップS12において、制御部44は、第1の継続時間が第1の所定時間以上であるか否かを判断する。メモリ46は、第1の所定時間を記憶している。
【0105】
ステップS12において、第1の継続時間が第1の所定時間未満であると判断した場合、制御部44は、ステップS11を実行する。ステップS12において、第1の継続時間が第1の所定時間以上であると判断した場合、制御部44は、第1の継続時間のカウントをリセットし、ステップS1を実行する。
【0106】
ステップS13において、制御部44は、第2の継続時間が第2の所定時間以上であるか否かを判断する。メモリ46は、第2の所定時間を記憶している。ステップS13において、第2の継続時間が第2の所定時間未満であると判断した場合、制御部44は、ステップS8を実行する。ステップS13において、第2の継続時間が第2の所定時間以上であると判断した場合、制御部44は、第2の継続時間のカウントをリセットし、ステップS1を実行する。
【0107】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は本発明に従う自転車用制御装置および自転車用電動補助ユニットが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自転車用制御装置および自転車用電動補助ユニットは実施形態以外に例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0108】
・第1実施形態および第2実施形態において、制御部44は、ペダリング情報および回転情報に基づいて電動サスペンション52を制御してもよい。ペダリング情報とは、ペダル24Bから後輪20までの駆動力伝達経路における駆動力に関する情報である。具体的には、ペダリング情報は、クランクアーム24A、ペダル24B、ペダル支持軸24C、クランク軸24D、ボトムブラケット、フロントスプロケット26A、リアスプロケット26B、チェーン28、ハブシェル、リアスプロケット支持体、ワンウェイクラッチ、複数のスポーク20D、および、リム20Eに与えられる駆動力に関する情報である。回転情報とは、ペダル24B、クランクアーム24A、ボトムブラケット、フロントスプロケット26A、リアスプロケット26B、ハブシェル、リアディレーラのプーリー、およびチェーン28の回転に関する情報である。ペダリング情報および回転情報に基づいて電動サスペンション52を制御することで、ライダーは効率的にペダリングすることができる。
【0109】
・第2実施形態において、アクチュエータ54Aの設けられる場所は、任意に変更可能である。例えば、図8に示される変形例において、アクチュエータ54Aはシートチューブ14Bの内部に設けられる。この変形例において、アクチュエータ54Aは、液体ポンプであり、油圧により可動筒58を固定筒56の中心軸心に沿う軸方向において上方に移動させる。
【0110】
付勢機構70は、アクチュエータ54Aおよび筒状部材78を含み、固定筒56の中心軸心に沿う軸方向において固定筒56の下方に設けられる。筒状部材78は、固定筒56の下端とアクチュエータ54Aとを連結する。アクチュエータ54A、筒状部材78、および、固定筒56のうちの少なくとも1つは、アクチュエータ54Aと固定筒56との間の油の流通を制限するためのバルブ(図示略)を備える。このバルブが開くとアクチュエータ54Aと固定筒56との間で油が流通する。一方、バルブが閉じるとアクチュエータ54Aと固定筒56との間で油が流通しなくなる。
【0111】
また、可動筒58は、内部にピストン(図示略)を備える。筒状部材78を介して固定筒56の下端から油が供給されると、ピストンに圧力が加えられる。その圧力により、可動筒58が上昇する。
【0112】
・第2実施形態において、電動アジャスタブルシートポスト54の移動可能状態および固定状態を手動で切り替える装置をさらに備えてもよい。この場合、ライダーが任意で電動アジャスタブルシートポスト54の高さを調整することができる。
【符号の説明】
【0113】
10…自転車、16…車輪、32A…傾斜センサ、32B…回転速度センサ、32C…パワーメータ、34…シート、40…自転車用電動補助ユニット、42…自転車用制御装置、44…制御部、50…自転車用コンポーネント、52…電動サスペンション、52A…フロント電動サスペンション、52B…リア電動サスペンション、54…電動アジャスタブルシートポスト、56…固定筒、58…可動筒、60…操作部、62…第1の操作部、64…第2の操作部、66…第3の操作部、68…第4の操作部、70…付勢機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8