(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記移動機構により前記下型設置体と前記上型設置体とを相対的に近づけることによって、前記上型用マスター型上に配置された硬化前の樹脂材と、前記上型設置体とを接触させるとともに、前記硬化部により、前記上型用マスター型のパターンが転写された樹脂材を硬化させることによって、前記上型を成形するように制御を行うように構成されている、請求項2に記載の成形装置。
前記制御部は、前記下型、前記下型用マスター型および前記上型用マスター型が、この順番で積み重ねられて前記下型設置体上に配置された状態において、前記上型を成形するように、前記移動機構および前記硬化部を制御を行うように構成されている、請求項2または3に記載の成形装置。
前記上型設置体および前記下型設置体のそれぞれは、前記上型および前記下型のそれぞれが設置されるガラスプレートを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の成形装置。
前記下型用マスター型および前記上型用マスター型を取り除いた状態において、前記上型と前記下型とにより、成形品を成形するステップをさらに備える、請求項12に記載の成形品成形方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の成形装置では、光情報記録媒体(成形品)が、基板、および、スタンパにより成形される。このため、基板およびスタンパが、消耗するたびに、原盤である基板および原盤であるスタンパを形成しなければならないという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、下型用マスター型および上型用マスター型の形成の頻度を減少させることが可能な成形装置および成形方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面による成形装置は、上型が設置される上型設置体と、下型が設置される下型設置体と、型成形用の上型用マスター型および下型用マスター型を含み、上型および下型を成形する型成形部と、型成形部において成形され、上型設置体に設置された上型と、型成形部において成形され、下型設置体に設置された下型とを含み、成形品を成形する成形品成形部と、型成形部および成形品成形部を制御する制御部とを備え
、制御部は、上型設置体に配置された下型用マスター型と、下型設置体上に配置された樹脂材とを接触させることにより、樹脂製の下型を成形するように型成型部を制御するか、または、上型用マスター型上に配置された樹脂材と、上型設置体とを接触させることにより、樹脂製の上型を成形するように型成型部を制御するかの少なくともいずれかを行うように構成されている。
【0009】
この第1の局面による成形装置では、上記のように、上型を成形するための上型用マスター型および下型を成形するための下型用マスター型を含む型成形部と、型成形部において成形された、上型および下型により成形品を成形する成形品成形部とを備えている。これにより、上型用マスター型および下型用マスター型を用いずに、上型用マスター型により成形された上型および下型用マスター型により成形された下型を用いて、成形品を成形することができる。その結果、下型用マスター型および上型用マスター型を使用する頻度が減少するので、下型用マスター型および上型用マスター型の形成の頻度を減少させることができる。
【0010】
上記第1の局面による成形装置において、好ましくは、型成形部は、下型設置体と上型設置体とを相対的に移動させる移動機構と、上型および下型を成形するための樹脂材を硬化させる硬化部とを含み、制御部は、移動機構により下型設置体と上型設置体とを相対的に近づけることによって、上型設置体に配置された下型用マスター型と、下型設置体上に配置された硬化前の樹脂材とを接触させるとともに、硬化部により、下型用マスター型のパターンが転写された樹脂材を硬化させることによって、下型を成形する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、移動機構による下型設置体と上型設置体との相対移動により、下型用マスター型と、硬化前の樹脂材とを接触させることができる。これにより、移動機構による下型設置体および上型設置体の位置制御によって、硬化前の樹脂材に下型用マスター型のパターンを転写し、硬化部により樹脂材を硬化させることができるので、硬化前の樹脂材への下型用マスター型のパターンの転写を精度よく行うことができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、移動機構により下型設置体と上型設置体とを相対的に近づけることによって、上型用マスター型上に配置された硬化前の樹脂材と、上型設置体とを接触させるとともに、硬化部により、上型用マスター型のパターンが転写された樹脂材を硬化させることによって、上型を成形するように制御を行うように構成されている。このように構成すれば、移動機構による下型設置体と上型設置体との相対移動により、上型用マスター型と、硬化前の樹脂材とを接触させることができる。これにより、移動機構による下型設置体および上型設置体の位置制御により、硬化前の樹脂材に上型用マスター型のパターンを転写し、硬化部により樹脂材を硬化させることができるので、硬化前の樹脂材への上型用マスター型のパターンの転写を精度よく行うことができる。
【0012】
上記移動機構および硬化部を備えた構成において、好ましくは、制御部は、下型、下型用マスター型および上型用マスター型が、この順番で積み重ねられて下型設置体上に配置された状態において、上型を成形するように、移動機構および硬化部を制御するように構成されている。このように構成すれば、下型設置体上に下型、下型用マスター型および上型用マスター型の順番で積み重ねられた状態において上型が成形されるので、下型の表面と上型の表面とを平行に配置しやすくすることができる。
【0013】
上記硬化部を備えた構成において、好ましくは、樹脂材として光硬化性樹脂材を滴下する滴下部をさらに備え、硬化部は、滴下部により滴下された光硬化性樹脂材を硬化させるための光照射部を含み、制御部は、光照射部により、滴下部が滴下した光硬化性樹脂材を硬化させて、上型および下型を成形するように構成されている。このように構成すれば、光硬化性樹脂を用いて、下型および上型が成形されているので、熱硬化性樹脂を用いて、下型および上型を成形する場合よりも、加熱に起因する樹脂の熱膨張が発生しにくくなり、下型および上型を精度よく成形することができる。
【0014】
上記型成形部を備えた構成において、好ましくは、下型設置体は、上型設置体の下面に対して傾斜する上面を有し、制御部は、滴下部により、下型設置体の上面に樹脂材を滴下し、硬化部により、下型用マスター型のパターンを転写した樹脂材を硬化させることによって、上型設置体の下面に対して平行な表面を有する樹脂製の下型を成形し、滴下部により、下型上に配置された上型用マスター型上に樹脂材を滴下し、硬化部により、上型用マスター型のパターンを転写した樹脂材を硬化させることによって、下型の表面に対して平行な表面を有する樹脂製の上型を成形するように構成されている。このように構成すれば、上型設置体の下面が、組付誤差により、下型設置体の上面に対して傾斜していたとしても、型成形部による下型および上型の成形過程において、下型の表面に対する上型の表面における傾斜角度が0度に近づくように修正することができる。これにより、下型のパターンおよび上型のパターンの成形品への転写の精度をより向上させることができる。
【0015】
上記移動機構を備えた構成において、好ましくは、制御部は、移動機構により、下型用マスター型と樹脂材とが接触し、かつ、下型設置体と下型用マスター型とが非接触となる高さ位置になるように、下型設置体と上型設置体とを相対的に移動させる制御を行うことによって、下型用マスター型のパターンの転写を行うとともに、移動機構により、上型設置体と樹脂材とが接触し、かつ、上型用マスター型と上型用マスター型とが非接触となる高さ位置になるように、下型設置体と上型設置体とを相対的に移動させる制御を行うことによって、上型用マスター型のパターンの転写を行うように構成されている。このように構成すれば、下型用マスター型のパターンの転写を行う際に、下型用マスター型と樹脂材とが接触する位置において、下型用マスター型と下型設置体とが非接触となるように、移動機構により、下型設置体および上型設置体の高さ位置を制御することができる。これにより、下型用マスター型のパターンの転写を行う際に、下型用マスター型と下型設置体とが非接触となるので、下型用マスター型と下型設置体との接触による下型用マスター型の破損を抑制することができる。また、上記のように構成すれば、上型用マスター型のパターンの転写を行う際に、上型用マスター型と樹脂材とが接触する位置において、上型用マスター型と上型設置体とが非接触となるように、移動機構により、下型設置体および上型設置体の高さ位置を制御することができる。これにより、上型用マスター型のパターンの転写を行う際に、上型用マスター型と上型設置体とが非接触となるので、上型用マスター型と上型設置体との接触による上型用マスター型の破損を抑制することができる。
【0016】
上記移動機構と硬化部とを備えた構成において、好ましくは、成形品成形部は、型成形部と共通の移動機構と、型成形部と共通の硬化部とを含み、下型用マスター型および上型用マスター型が取り除かれた状態において、制御部は、移動機構による上型および下型の相対移動制御と、硬化部による上型のパターンおよび下型のパターンが転写された樹脂材の硬化制御とにより、成形品を成形するように構成されている。このように構成すれば、型成形部と共通の移動機構および硬化部を用いて、成形品成形部により成形品を成形することができる。これにより、型成形部および成形品成形部の構成を共通化することができるので、成形装置の機構を簡略化することができる。
【0017】
上記下型設置体および上型設置体を備えた構成において、好ましくは、上型設置体および下型設置体のそれぞれは、上型および下型のそれぞれが設置されるガラスプレートを含む。このように構成すれば、ガラスプレートは精度よく加工することができるので、下型の表面と上型の表面とが平行になるように、下型および上型を配置しやすくすることができる。これにより、下型および上型により成形される成形品の加工精度を向上させることができる。
【0018】
この発明の第2の局面による成形品成形方法は、型成形用の下型用マスター型を用いて、下型設置体上に設置される下型を成形するステップと、型成形用の上型用マスター型を用いて、上型設置体上に設置される上型を成形するステップと、上型設置体に設置された上型、および、下型設置体に設置された下型により、成形品を成形するステップと
、下型を成形するステップが、
上型設置体に配置された下型用マスター型と、下型設置体上に配置された樹脂材とを接触させることにより、樹脂製の下型を成形するステップを含むか、または、上型を成形するステップが、
上型用マスター型上に配置された樹脂材と、上型設置体とを接触させることにより、樹脂製の上型を成形するステップを含み、樹脂製の下型を成形するステップまたは樹脂の下型を成形するステップのうちの少なくともいずれかが行われる。
【0019】
この第2の局面による成形品成形方法では、上記のように、下型用マスター型により下型を成形するステップと、上型用マスター型により上型を成形するステップとを備えている。これにより、下型用マスター型および上型用マスター型を用いずに、下型用マスター型により成形した下型と、上型用マスター型により成形した上型とを用いて成形品を成形することができる。その結果、下型用マスター型および上型用マスター型を使用する頻度が減少するので、下型用マスター型および上型用マスター型の形成の頻度を減少させることが可能な成形品成形方法を得ることができる。
【0020】
上記第2の局面による成形品成形方法において、好ましくは、下型を成形するステップは、移動機構により、下型設置体上に滴下された樹脂材に、上型設置体に配置された下型用マスター型を接触させ、下型用マスター型のパターンを樹脂材に転写するステップと、下型用マスター型と樹脂材とを接触させた状態において、硬化部により、樹脂材を硬化させるステップとを含む。このように構成すれば、下型を成形する際に、移動機構の位置制御により、下型設置体上の樹脂材に、上型設置体に配置された下型マスター型を接触させ、樹脂材と下型マスター型とが接触した状態において、硬化部により硬化させることができる。これにより、硬化前の樹脂材への下型用マスター型のパターンの転写を精度よく行うことができる。
【0021】
この場合、上記第2の局面による成形品成形方法において、好ましくは、上型を成形するステップは、下型設置体上に、下型、下型用マスター型および上型用マスター型が、この順番で積み重ねられて配置された状態において、上型用マスター型上に滴下された樹脂材に、上型設置体を接触させることにより、上型用マスター型のパターンを転写するステップと、上型設置体と樹脂材とを接触させた状態において、樹脂材を硬化させるステップとを含む。このように構成すれば、下型設置体上に下型、下型用マスター型および上型用マスター型の順番で積み重ねられた状態において上型が成形されるので、下型の表面と上型の表面とを平行に配置しやすくすることができる。
【0022】
上記下型用マスター型および上型用マスター型を備えた構成において、好ましくは、下型用マスター型および上型用マスター型を取り除いた状態において、上型と下型とにより、成形品を成形するステップをさらに備える。このように構成すれば、下型用マスター型により上型を成形し、上型用マスター型により上型を成形した後、そのまま、下型と上型とにより成形品を成形することができる。これにより、下型および上型を別の装置により成形する場合よりも、成形品を成形するために必要な装置の数を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、下型用マスター型および上型用マスター型の形成の頻度を減少させることが可能な成形装置および成形品成形方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
(成形装置)
まず、
図1〜
図7を参照して、一実施形態による成形装置1について説明する。
図1(B)に示すように、成形装置1は、成形品用樹脂材R2(
図7(A)参照)に、下型2の下型パターン2aおよび上型3の上型パターン3aを転写し、転写した成形品用樹脂材R2を硬化することにより、成形品Pを成形するように構成されている。ここで、
図1(A)に示すように、成形装置1は、型用樹脂材R1(
図5(B)参照)に、型成形用の下型用マスター型4の下型マスター型パターン4aおよび型成形用の上型用マスター型5の上型マスター型パターン5aを転写し、転写した型用樹脂材R1を硬化することにより、下型2および上型3を成形するように構成されている。このように、本実施形態の成形装置1は、成形装置1において成形した下型2および上型3により、成形品Pを成形している。なお、成形品用樹脂材R2および型用樹脂材R1は、特許請求の範囲の「樹脂材」または「光硬化性樹脂材」の一例である。
【0027】
図2に示すように、成形装置1は、下型2および上型3と、下型2が設置される下型設置体11と、上型3が設置される上型設置体12と、後述する制御部13からの指令を表示するための表示部14とを備えている。下型2は成形品Pの下面を成形するように構成されている。下型2の表面(上面)には、
図3(A)に示すように、下型用マスター型4により転写された格子状の下型パターン2aが成形されている。上型3は、成形品Pの上面を成形するように構成されている。上型3の表面(上面)には、
図3(B)に示すように、下型用マスター型4により転写された格子状の上型パターン3aが形成されている。なお、説明の便宜上、下型パターン2aおよび上型パターン3aを格子状としただけであり、下型パターン2aおよび上型パターン3aのパターン形状は、成形品Pのパターン形状に合わせて形成される。
【0028】
下型2および上型3は、光硬化性樹脂材である型用樹脂材R1により形成されている。型用樹脂材R1は、成形品用樹脂材R2よりも粘性が低いアクリル系樹脂材により形成されている。また、型用樹脂材R1には、成形品用樹脂材R2を外れやすくするため、離型剤が含まれている。成形品Pは、光硬化性樹脂材である成形品用樹脂材R2により形成されている。成形品用樹脂材R2は、型用樹脂材R1よりも粘性が高いアクリル系樹脂材により形成されている。
【0029】
下型設置体11は、
図2に示すように、基台21と、基台21上に固定される支持体22と、支持体22上に固定されるステージ23と、ステージ23上に着脱自在に取り付けられる下型用ガラスプレート24と、基台21に固定され、上下方向に延びる複数(2本)のガイドレール25とを含んでいる。ここで、下型用ガラスプレート24の表面(上面)には下型2が固定されている。なお、下型用ガラスプレート24は、特許請求の範囲の「ガラスプレート」の一例である。
【0030】
上型設置体12は、スライド体31の上下方向の高さ位置を調節することにより、上型3の上下方向の高さ位置を調節するように構成されている。具体的には、複数のガイドレール25にスライド可能に取り付けられるスライド体31と、スライド体31をガイドレール25に沿って昇降させる昇降機構32と、スライド体31の下端部に取り付けられるベース部33とを含んでいる。
【0031】
昇降機構32は、
図2に示すように、一端部(下端部)がスライド体31に取り付けられ、上下方向を軸線とするボールネジ32aと、ボールネジ32aの他端部(上端部)に取り付けられるモータ部32bと、スライド体31の高さ位置を測定するエンコーダ部32cとを有している。成形装置1では、下型設置体11は所定位置に固定されているが、上型設置体12のスライド体31が昇降機構32により昇降されるので、昇降機構32は、下型設置体11に対して相対的に上型設置体12を移動させる。なお、昇降機構32は、特許請求の範囲の「移動機構」の一例である。
【0032】
ベース部33は、本体部33aと、本体部33aの内部に配置される光照射部33bと、本体部33aの下端部に固定される吸着部33cと、上型用ガラスプレート34とを有している。
【0033】
光照射部33bは、下方に位置する下型用ガラスプレート24に向かって、光源から紫外線を照射する。光照射部33bは、光源からの紫外線により、下型2および上型3を成形するための型用樹脂材R1を硬化させる硬化部として用いられている。また、光照射部33bは、光源からの紫外線により、成形品Pを成形するための成形品用樹脂材R2を硬化させる硬化部として用いられている。ここで、下型2、上型3、下型用ガラスプレート24、下型用マスター型4、上型用ガラスプレート34および上型用マスター型5は、光照射部33bの光源から照射される紫外線を透過するように構成されている。なお、光照射部33bは、特許請求の範囲の「硬化部」の一例である。
【0034】
吸着部33cは、先端部に負圧を発生させることにより、対象物(上型用ガラスプレート34、下型用マスター型4)を保持するために用いられる。上型用ガラスプレート34は、吸着部33cにより、着脱自在に取り付けられている。また、上型用ガラスプレート34の表面(下面)には、上型3が固定されている。なお、上型用ガラスプレート34は、特許請求の範囲の「ガラスプレート」の一例である。
【0035】
成形装置1では、調整を行ったとしても、上型設置体12の下面に対して、下型設置体11の上面が傾斜してしまう(
図5参照)場合がある。傾斜を残したまま、下型設置体11に下型2を固定し、上型設置体12に上型3を固定すると、上型3の表面に対して下型2の表面が傾斜してしまい、下型2の表面と上型3の表面とが平行にならない。このような下型2および上型3が取り付けられた成形装置1では、所望の精度を有する成形品Pを成形することが困難となってしまう。本実施形態の成形装置1は、下型設置体11の上面に対する上型設置体12の下面の傾斜が残っていたとしても、下型2の表面と上型3の表面とが平行となるように、下型2および上型3を成形するように構成されている。以下、下型2および上型3を成形するための制御を行う制御部13に関して説明をする。なお、以下の説明において、上型3の表面に対する下型2の表面の傾斜は、実際の傾斜よりも誇張して記載(
図5〜
図7参照)している。
【0036】
図4に示すように、成形装置1は、制御部13と、制御部13により制御されることによって、下型2および上型3を成形する型成形部6とを備えている。型成形部6は、上記した、下型用マスター型4と、上型用マスター型5と、昇降機構32と、光照射部33bとを含んでいる。制御部13は、ガラスプレート配置機能13aと、下型用マスター型配置機能13bと、滴下機能13cと、転写機能13dと、硬化機能13eと、上型用マスター型配置機能13fと、取出機能13gとを含んでいる。ここで、ガラスプレート配置機能13a、下型用マスター型配置機能13b、滴下機能13c、転写機能13d、硬化機能13e、上型用マスター型配置機能13fおよび取出機能13gは、制御部13内に格納されているプログラムを実行することにより機能するように構成されている。
【0037】
図5(A)に示すように、ガラスプレート配置機能13aは、下型設置体11のステージ23の上に下型用ガラスプレート24を配置させる機能を有している。具体的には、制御部13のガラスプレート配置機能13aは、表示部14に対して信号を送り、下型設置体11のステージ23の上に下型用ガラスプレート24を取り付けるようユーザーに指示する。また、
図6(A)に示すように、ガラスプレート配置機能13aは、上型設置体12の吸着部33cに上型用ガラスプレート34を配置させる機能を有している。具体的には、制御部13のガラスプレート配置機能13aは、表示部14に対して信号を送り、上型設置体12の吸着部33cに下型用ガラスプレート24を取り付けるようユーザーに指示する。
【0038】
図5(A)に示すように、下型用マスター型配置機能13bは、上型設置体12の吸着部33cに下型用マスター型4を配置させる機能を有している。具体的には、制御部13の下型用マスター型配置機能13bは、表示部14に対して信号を送り、上型設置体12の吸着部33cに下型用マスター型4を取り付けるようユーザーに指示する。
【0039】
図5(B)に示すように、滴下機能13cは、下型設置体11の下型用ガラスプレート24の表面に、滴下部15により型用樹脂材R1を滴下させる機能を有している。具体的には、制御部13の滴下機能13cは、表示部14に対して信号を送り、下型用ガラスプレート24の表面に、滴下部15により型用樹脂材R1を滴下させるようユーザーに指示する。また、
図6(B)に示すように、滴下機能13cは、上型用マスター型5の表面に型用樹脂材R1を滴下させる機能を有している。具体的には、制御部13の滴下機能13cは、表示部14に対して信号を送り、上型用マスター型5の表面に、滴下部15により型用樹脂材R1を滴下させるようユーザーに指示する。
【0040】
図5(C)に示すように、転写機能13dは、下型用マスター型4の下型マスター型パターン4aを型用樹脂材R1に転写する機能を有している。具体的には、制御部13の転写機能13dは、昇降機構32により下型設置体11と上型設置体12とを相対的に近づけることによって、上型設置体12の吸着部33cに吸着された下型用マスター型4と、下型設置体11上に配置された硬化前の型用樹脂材R1とを接触させる。ここで、制御部13の転写機能13dは、昇降機構32により、下型用マスター型4と型用樹脂材R1とが接触し、かつ、下型設置体11と下型用マスター型4とが非接触となる高さ位置になるように、上型設置体12に吸着された下型用マスター型4の下端位置P1を制御する。
【0041】
図6(C)に示すように、転写機能13dは、上型用マスター型5の上型マスター型パターン5aを型用樹脂材R1に転写する機能を有している。具体的には、制御部13の転写機能13dは、昇降機構32により下型設置体11と上型設置体12とを相対的に近づけることによって、上型設置体12の吸着部33cに吸着された上型用ガラスプレート34と、下型用マスター型4上の上型用マスター型5上に配置された硬化前の型用樹脂材R1とを接触させる。ここで、制御部13の転写機能13dは、昇降機構32により、上型設置体12と型用樹脂材R1とが接触し、かつ、上型設置体12と上型用マスター型5とが非接触となる高さ位置になるように、上型設置体12の下端位置P2を制御する。
【0042】
図5(C)に示すように、硬化機能13eは、下型用マスター型4の下型マスター型パターン4aが転写機能13dにより転写された型用樹脂材R1を硬化させ、下型2を成形する機能を有している。ここで、光照射部33bから照射された紫外線は、下型用マスター型4を透過する。また、
図6(C)に示すように、硬化機能13eは、上型用マスター型5の上型マスター型パターン5aが転写機能13dにより転写された型用樹脂材R1を硬化させ、上型3を成形する機能を有している。具体的には、制御部13の硬化機能13eは、光照射部33bから紫外線を照射させることにより、型用樹脂材R1を硬化させる。ここで、光照射部33bから照射された紫外線は、上型用ガラスプレート34を透過する。
【0043】
図6(A)に示すように、上型用マスター型配置機能13fは、下型用マスター型4上に上型用マスター型5を配置する機能を有している。具体的には、制御部13の上型用マスター型配置機能13fは、表示部14に対して信号を送り、下型用マスター型4の上面に上型用マスター型5を配置するようユーザーに指示する。この場合、下型2、下型用マスター型4および上型用マスター型5が、この順番で積み重なるように、下型設置体11上に配置されている。
【0044】
図6(D)に示すように、取出機能13gは、下型2および上型3のそれぞれから、下型用マスター型4および上型用マスター型5のそれぞれを離型させ取り出す機能を有している。具体的には、制御部13の取出機能13gは、昇降機構32により、上型設置体12を上昇させるとともに、上型用マスター型5から上型3を離型させる。さらに、制御部13の取出機能13gは、表示部14に対して信号を送り、下型2から下型用マスター型4を離型させ、下型用マスター型4および上型用マスター型5を取り出すようユーザーに指示する。
【0045】
このように、成形装置1では、
図5(B)および
図5(C)に示すように、制御部13の滴下機能13c、転写機能13dおよび硬化機能13eにより、上型設置体12の下面に対する下型設置体11の上面の傾斜は、下型2の表面において修正される。また、成形装置1では、
図6(A)に示すように、上型用マスター型配置機能13fにより、下型設置体11の上面の傾斜を修正した下型2の表面上に、下型用マスター型4および上型用マスター型5を配置している。ここで、上型用マスター型5の上面は、下型設置体11の上面の傾斜が修正された状態となる。そのため、
図6(B)および
図6(C)に示すように、制御部13の滴下機能13c、転写機能13dおよび硬化機能13eにより、下型2の表面に対して上型3の表面が平行になるように成形される。この結果、成形装置1では、制御部13の滴下機能13c、転写機能13dおよび硬化機能13eにより、上型設置体12の下面に対して下型設置体11の上面に傾斜があったとしても、上型3の表面と下型2の表面とを平行とすることが可能となる。
【0046】
図4に示すように、成形装置1は、下型用マスター型4および上型用マスター型5が取り除かれた状態において、下型2の下型パターン2aおよび上型3の上型パターン3aを成形品用樹脂材R2に転写する転写機能13dと、下型パターン2aおよび上型パターン3aが転写された成形品用樹脂材R2を硬化させる硬化機能13eとにより、成形品Pを成形するように構成されている。具体的には、成形装置1は、制御部13により制御されることによって、成形品Pを成形する成形品成形部7を備えている。成形品成形部7は、型成形部6と共通の昇降機構32と、型成形部6と共通の光照射部33bと、型成形部6において成形され、下型設置体11に設置された下型2と、型成形部6において成形され、上型設置体12に設置された上型3とを含んでいる。
【0047】
図7(A)に示すように、滴下機能13cは、下型設置体11上の下型2の表面に、滴下部15により成形品用樹脂材R2を滴下させる機能を有している。具体的には、制御部13の滴下機能13cは、表示部14に対して信号を送り、下型2の表面に、滴下部15により成形品用樹脂材R2を滴下させるようユーザーに指示する。
【0048】
図7(B)に示すように、転写機能13dは、成形品用樹脂材R2に下型2の下型パターン2aおよび上型3の上型パターン3aを転写する機能を有している。具体的には、制御部13の転写機能13dは、昇降機構32により下型設置体11と上型設置体12とを相対的に近づけることによって、下型設置体11に取り付けられた下型2および上型設置体12に取り付けられた上型3と、下型2上に配置された硬化前の成形品用樹脂材R2とを接触させる。なお、硬化機能13eは、特許請求の範囲の「相対移動制御」の一例である。
【0049】
図7(B)に示すように、硬化機能13eは、転写機能13dにより、下型2の下型パターン2aおよび上型3の上型パターン3aが転写された成形品用樹脂材R2を硬化させ、成形品Pを成形する機能を有している。具体的には、制御部13の硬化機能13eは、光照射部33bから紫外線を照射させることにより、成形品用樹脂材R2を硬化させる。ここで、光照射部33bから照射された紫外線は、上型用ガラスプレート34および上型3を透過する。なお、硬化機能13eは、特許請求の範囲の「硬化制御」の一例である。
【0050】
図7(C)に示すように、取出機能13gは、下型2および上型3から、成形品Pを離型させ取り出す機能を有している。具体的には、制御部13の取出機能13gは、昇降機構32により、上型設置体12を上昇させるとともに、上型3から成形品Pを離型させる。さらに、制御部13の取出機能13gは、表示部14に対して信号を送り、下型2から成形品Pを離型させ、成形品Pを取り出すようユーザーに指示する。
【0051】
(成形品成形処理)
次に、
図8を参照して、一実施形態による成形装置1の成形品成形処理(成形品成形方法)をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの処理は、制御部13により行われる。
【0052】
図8に示すように、ステップS1〜ステップS5において、型成形用の下型用マスター型4を用いて、下型設置体11上に設置される下型2を成形する。ステップS1において、ガラスプレート配置機能13aにより、下型設置体11に下型用ガラスプレート24を配置(
図5(A)参照)する。ステップS1では、ユーザーが、ガラスプレート配置機能13aにより表示部14に表示されたメッセージを見て、下型設置体11上に下型用ガラスプレート24を配置する。ステップS2において、下型用マスター型配置機能13bにより、上型設置体12に下型用マスター型4を配置(
図5(A)参照)する。ステップS2では、ユーザーが、下型用マスター型配置機能13bにより表示部14に表示されたメッセージを見て、上型設置体12の吸着部33cに下型用マスター型4を取り付ける。
【0053】
ステップS3において、滴下機能13cにより、下型用ガラスプレート24上に型用樹脂材R1を滴下(
図5(B)参照)する。ステップS3では、ユーザーが、滴下機能13cにより表示部14に表示されたメッセージを見て、滴下部15から下型用ガラスプレート24上に型用樹脂材R1を滴下する。ステップS4において、転写機能13dにより、型用樹脂材R1に下型用マスター型4のパターンを転写(
図5(C)参照)する。ステップS4では、下型設置体11上に滴下された型用樹脂材R1に、上型設置体12に配置された下型用マスター型4を接触させ、下型用マスター型4の下型マスター型パターン4aを転写する。具体的には、制御部13が、転写機能13dから昇降機構32に信号を送信し、上型設置体12を下降させるとともに、下型用マスター型4を下降させ、下型用マスター型4と型用樹脂材R1とを接触させる。
【0054】
ステップS5において、硬化機能13eにより、転写された型用樹脂材R1を硬化(
図5(C)参照)する。ステップS5では、下型用マスター型4と型用樹脂材R1とを接触させた状態において、型用樹脂材R1を硬化させる。具体的には、制御部13が、硬化機能13eから光照射部33bに信号を送信し、光照射部33bの光源から紫外線を照射させ、型用樹脂材R1を硬化させる。
【0055】
また、
図8に示すように、ステップS6〜ステップS11において、型成形用の上型用マスター型5を用いて、上型設置体12上に設置される上型3を成形する。ステップS6において、下型用マスター型4を上型設置体12上(
図5(D)参照)に残す。ステップS6では、制御部13は、型用樹脂材R1を硬化させた状態において、吸着部33cから外した下型用マスター型4を下型2に残したまま、昇降機構32により上型設置体12を上昇させる。ステップS7において、上型用マスター型配置機能13fにより、下型用マスター型4上に上型用マスター型5を配置(
図6(A)参照)する。ステップS7では、ユーザーが、上型用マスター型配置機能13fにより表示部14に表示されたメッセージを見て、下型用マスター型4上に上型用マスター型5を配置する。
【0056】
ステップS8において、ガラスプレート配置機能13aにより、上型設置体12に上型用ガラスプレート34を配置(
図6(A)参照)する。ステップS8では、ユーザーが、ガラスプレート配置機能13aにより表示部14に表示されたメッセージを見て、上型設置体12の吸着部33cに上型用ガラスプレート34を配置する。ステップS9において、滴下機能13cにより、上型用マスター型5上に型用樹脂材R1を滴下(
図6(B)参照)する。ステップS9では、ユーザーが、滴下機能13cにより表示部14に表示されたメッセージを見て、滴下部15から上型用マスター型5上に型用樹脂材R1を滴下する。ステップS10において、転写機能13dにより、型用樹脂材R1に上型用マスター型5の上型マスター型パターン5aを転写(
図6(C)参照)する。ステップS10では、下型設置体11上に、下型2、下型用マスター型4および上型用マスター型5が、この順番で積み重ねられた状態において、上型用マスター型5上の型用樹脂材R1に、上型用ガラスプレート34を接触させることにより、上型用マスター型5の上型マスター型パターン5aを転写する。具体的には、制御部13は、転写機能13dから昇降機構32に信号を送信し、上型設置体12を下降させるとともに、上型用ガラスプレート34を下降させ、上型用ガラスプレート34と型用樹脂材R1とを接触させる。
【0057】
ステップS11において、硬化機能13eにより、転写された型用樹脂材R1を硬化(
図6(C)参照)する。ステップS11では、上型用ガラスプレート34と型用樹脂材R1とを接触させた状態において、型用樹脂材R1を硬化させる。具体的には、制御部13は、硬化機能13eから光照射部33bに信号を送信し、光照射部33bの光源から紫外線を照射させ、型用樹脂材R1を硬化させる。
【0058】
ステップS12において、取出機能13gにより、下型用マスター型4および上型用マスター型5を下型2および上型3から取り出す(
図6(D)参照)。ステップS12では、ユーザーが、取出機能13gにより表示部14に表示されたメッセージを見て、下型用マスター型4および上型用マスター型5を下型2および上型3から取り出す。
【0059】
また、
図8に示すように、ステップS13〜ステップS16において、上型設置体12に設置された上型3および下型設置体11に設置された下型2により、成形品Pを成形する。ステップS13において、滴下機能13cにより、成形品用樹脂材R2を下型2に滴下(
図7(A)参照)する。ステップS13では、ユーザーが、滴下機能13cにより表示部14に表示されたメッセージを見て、滴下部15から下型2上に成形品用樹脂材R2を滴下する。ステップS14において、転写機能13dにより、成形品用樹脂材R2に上型3および下型2のパターンを転写(
図7(B)参照)する。ステップS14では、制御部13は、転写機能13dから昇降機構32に信号を送信し、上型設置体12を下降させるとともに、上型3を下降させ、下型2および上型3と成形品用樹脂材R2とを接触させる。このとき、成形品用樹脂材R2には、下型2の下型パターン2a、および、上型3の上型パターン3aが転写される。ステップS15において、硬化機能13eにより、下型2および上型3のパターンを転写した成形品用樹脂材R2を硬化(
図7(B)参照)させる。ステップS15では、制御部13は、硬化機能13eから光照射部33bに信号を送信し、光照射部33bの光源から紫外線を照射させ、成形品用樹脂材R2を硬化させる。ステップS16において、取出機能13gにより、上型3および下型2から成形品Pを取り出す(
図7(C)参照)。ステップS16では、ユーザーが、取出機能13gにより表示部14に表示されたメッセージを見て、下型2およびを上型3から成形品Pを取り出す。その後、成形装置1の成形品成形処理が終了される。
【0060】
(本実施形態の効果)
上記本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
本実施形態では、上記のように、上型用マスター型5および下型用マスター型4を含む型成形部6と、型成形部6において成形された、下型2および上型3により成形品Pを成形する成形品成形部7とを備えている。これにより、上型用マスター型5および下型用マスター型4を用いずに、上型用マスター型5により成形された上型3および下型用マスター型4により成形された下型2を用いて、成形品Pを成形することができる。この結果、下型用マスター型4および上型用マスター型5を使用する頻度が減少するので、下型用マスター型4および上型用マスター型5の形成の頻度を減少させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、昇降機構32による上型設置体12の昇降により、下型用マスター型4と、硬化前の樹脂材とを接触させることができる。これにより、昇降機構32による上型設置体12の位置制御により、硬化前の型用樹脂材R1に下型用マスター型4の下型マスター型パターン4aを転写し、光照射部33bにより型用樹脂材R1を硬化させることができるので、硬化前の樹脂材への下型用マスター型4のパターンの転写を精度よく行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、昇降機構32による上型設置体12の昇降により、上型用ガラスプレート34と、上型用マスター型5上に配置された硬化前の型用樹脂材R1とを接触させることができる。これにより、昇降機構32による上型設置体12の位置制御により、硬化前の型用樹脂材R1に上型用マスター型5の上型マスター型パターン5aを転写し、光照射部33bにより型用樹脂材R1を硬化させることができるので、硬化前の樹脂材への上型用マスター型5のパターンの転写を精度よく行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、下型設置体11上に下型2、下型用マスター型4および上型用マスター型5の順番で積み重ねられた状態において上型3が成形されるので、下型2の表面と上型3の表面とを平行に配置しやすくすることができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、下型設置体11の上面が、組付誤差により、上型設置体12の下面に対して傾斜していたとしても、型成形部6による下型2および上型3の成形過程において、上型3の表面に対する下型2の表面の傾斜が0度に近づくように修正することができる。これにより、成形品Pへの下型2の下型パターン2aおよび上型3の上型パターン3aの転写の精度をより向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、下型用マスター型4の下型マスター型パターン4aの転写を行う際に、下型用マスター型4と型用樹脂材R1とが接触する位置において、下型用マスター型4と下型設置体11とが非接触となるように、昇降機構32により、上型設置体12の高さ位置を制御することができる。これにより、下型用マスター型4の下型マスター型パターン4aの転写を行う際に、下型用マスター型4と下型設置体11とが非接触となるので、下型用マスター型4と下型設置体11との接触による下型用マスター型4の破損を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、上型用マスター型5の上型マスター型パターン5aの転写を行う際に、上型設置体12と型用樹脂材R1とが接触する位置において、上型用マスター型5と上型設置体12とが非接触となるように、昇降機構32により、上型設置体12の高さ位置を制御することができる。これにより、上型用マスター型5の上型マスター型パターン5aの転写を行う際に、上型用マスター型5と上型設置体12とが非接触となるので、上型用マスター型5と上型設置体12との接触による上型用マスター型5の破損を抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、型成形部6と共通の昇降機構32および光照射部33bを用いて、成形品成形部7により成形品Pを成形することができる。これにより、型成形部6および成形品成形部7の構成を共通化することができるので、成形装置1の機構を簡略化することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、ガラス製である下型用ガラスプレート24および上型用ガラスプレート34は精度よく加工することができるので、下型2の表面と上型3の表面とが平行になるように、下型2および上型3を配置しやすくすることができる。これにより、下型2および上型3により成形される成形品Pの加工精度を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、下型2を成形する際に、昇降機構32の位置制御により、下型設置体11上の樹脂材に、上型設置体12に配置された下型2マスター型を接触させ、樹脂材と下型2マスター型とが接触した状態において、光照射部33bにより硬化させることができる。これにより、硬化前の型用樹脂材R1への下型用マスター型4のパターンの転写を精度よく行うことができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、下型用マスター型4により上型3を成形し、上型用マスター型5により上型3を成形した後、そのまま、下型2と上型3とにより成形品Pを成形することができる。これにより、下型2および上型3を別の装置により成形する場合よりも、成形品Pを成形するために必要な装置の数を抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、光硬化性樹脂を用いて、下型2および上型3が成形されている。これにより、熱硬化性樹脂を用いて、下型2および上型3を成形するよりも、加熱に起因する発生する樹脂の熱膨張が発生しにくいので、下型2および上型3を精度よく成形することができる。
【0073】
[第1変形例]
次に、
図4、
図8、
図9および
図10を参照して、本実施形態の第1変形例による成形装置1を用いた成形品成形処理について説明する。第1変形例の成形品成形処理では、下型設置体11の上面に対して上型設置体12の下面が傾斜していたとしても、傾斜を修正可能である。また、図中において、上記実施形態と同様の構成には、本実施形態と同じ符号を付して説明を省略している。
【0074】
図4に示すように、成形装置1は、制御部13と、制御部13により制御されることによって、上型3および下型2を成形する型成形部6とを備えている。型成形部6は、下型用マスター型4と、上型用マスター型5と、昇降機構32と、光照射部33bとを含んでいる。制御部13は、ガラスプレート配置機能13aと、下型用マスター型配置機能13bと、滴下機能13cと、転写機能13dと、硬化機能13eと、上型用マスター型配置機能13fと、取出機能13gとを含んでいる。なお、第1変形例のその他の構成は、上記した実施形態と同様である。
【0075】
(成形品成形処理)
次に、
図8を参照して、第1変形例による成形装置1の成形品成形処理(成形品成形方法)をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの処理は、制御部13により行われる。
【0076】
図8に示すように、ステップS1において、ガラスプレート配置機能13aにより、下型設置体11に下型用ガラスプレート24を配置(
図9(A)参照)する。ステップS2において、下型用マスター型配置機能13bにより、上型設置体12に下型用マスター型4を配置(
図9(A)参照)する。ステップS3において、滴下機能13cにより、下型用ガラスプレート24上に型用樹脂材R1を滴下(
図9(A)参照)する。ステップS4において、転写機能13dにより、型用樹脂材R1に下型用マスター型4のパターンを転写(
図9(B)参照)する。ステップS5において、硬化機能13eにより、転写された型用樹脂材R1を硬化(
図9(B)参照)する。ステップS6において、下型用マスター型4を上型設置体12上(
図9(C)参照)に残す。ステップS7において、上型用マスター型配置機能13fにより、下型用マスター型4上に上型用マスター型5を配置(
図10(A)参照)する。ステップS8において、ガラスプレート配置機能13aにより、上型設置体12に上型用ガラスプレート34を配置(
図10(A)参照)する。
【0077】
ステップS9において、滴下機能13cにより、上型用マスター型5上に型用樹脂材R1を滴下(
図10(A)参照)する。ステップS10において、転写機能13dにより、型用樹脂材R1に上型用マスター型5の上型マスター型パターン5aを転写(
図10(B)参照)する。ステップS11において、硬化機能13eにより、転写された型用樹脂材R1を硬化(
図10(B)参照)する。ステップS12において、取出機能13gにより、下型用マスター型4および上型用マスター型5を下型2および上型3から取り出す(
図10(C)参照)。
【0078】
(第1変形例の効果)
第1変形例では、以下のような効果を得ることができる。
【0079】
第1変形例では、上記のように、上型設置体12の下面が、下型設置体11の上面に対して傾斜していたとしても、型成形部6による下型2および上型3の成形過程において、下型2の表面に対する上型3の表面の傾斜を修正することができる。これにより、成形品Pへの下型2のパターンおよび上型3のパターンの転写の精度をより向上させることができる。なお、第1変形例の効果は、上記した実施形態と同様である。
【0080】
[第2変形例]
次に、
図4、
図8、
図11および
図12を参照して、本実施形態の第2変形例による成形装置1を用いた成形品成形処理について説明する。第2変形例の成形品成形処理では、傾斜している下型設置体11の上面に対して上型設置体12の下面がさらに傾斜していたとしても、それぞれの傾斜を修正可能である。また、図中において、上記実施形態と同様の構成には、本実施形態と同じ符号を付して説明を省略している。
【0081】
図4に示すように、成形装置1は、制御部13と、制御部13により制御されることによって、上型3および下型2を成形する型成形部6とを備えている。型成形部6は、下型用マスター型4と、上型用マスター型5と、昇降機構32と、光照射部33bとを含んでいる。制御部13は、ガラスプレート配置機能13aと、下型用マスター型配置機能13bと、滴下機能13cと、転写機能13dと、硬化機能13eと、上型用マスター型配置機能13fと、取出機能13gとを含んでいる。なお、第2変形例のその他の構成は、上記した実施形態と同様である。
【0082】
(成形品成形処理)
次に、
図8を参照して、第2変形例による成形装置1の成形品成形処理(成形品成形方法)をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの処理は、制御部13により行われる。
【0083】
図8に示すように、ステップS1において、ガラスプレート配置機能13aにより、下型設置体11に下型用ガラスプレート24を配置(
図11(A)参照)する。ステップS2において、下型用マスター型配置機能13bにより、上型設置体12に下型用マスター型4を配置(
図11(A)参照)する。ステップS3において、滴下機能13cにより、下型用ガラスプレート24上に型用樹脂材R1を滴下(
図11(A)参照)する。ステップS4において、転写機能13dにより、型用樹脂材R1に下型用マスター型4のパターンを転写(
図11(B)参照)する。ステップS5において、硬化機能13eにより、転写された型用樹脂材R1を硬化(
図11(B)参照)する。ステップS6において、下型用マスター型4を上型設置体12上(
図11(C)参照)に残す。ステップS7において、上型用マスター型配置機能13fにより、下型用マスター型4上に上型用マスター型5を配置(
図12(A)参照)する。ステップS8において、ガラスプレート配置機能13aにより、上型設置体12に上型用ガラスプレート34を配置(
図12(A)参照)する。
【0084】
ステップS9において、滴下機能13cにより、上型用マスター型5上に型用樹脂材R1を滴下(
図12(A)参照)する。ステップS10において、転写機能13dにより、型用樹脂材R1に上型用マスター型5の上型マスター型パターン5aを転写(
図12(B)参照)する。ステップS11において、硬化機能13eにより、転写された型用樹脂材R1を硬化(
図12(B)参照)する。ステップS12において、取出機能13gにより、下型用マスター型4および上型用マスター型5を下型2および上型3から取り出す(
図12(C)参照)。
【0085】
(第2変形例の効果)
第2変形例では、以下のような効果を得ることができる。
【0086】
第2変形例では、上記のように、傾斜した上型設置体12に対して、さらに下型設置体11の上面が傾斜していたとしても、型成形部6による下型2および上型3の成形過程において、下型2の表面に対する上型3の表面の傾斜を修正することができる。なお、第2変形例の効果は、上記した実施形態と同様である。
【0087】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0088】
たとえば、上記実施形態では、下型パターン2aおよび上型パターン3aが転写された成形品Pが成形されているが、本発明はこれに限られない。たとえば、下型に下型パターンを形成しない、または、上型に上型パターンを形成しなくてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、ユーザーが滴下部15を操作し、型用樹脂材R1および成形品用樹脂材R2を滴下しているが、本発明はこれに限らない。たとえば、制御部により、滴下部を自動で操作し、型用樹脂材および成形品用樹脂材を滴下してもよい。これにより、上型および下型の成形を容易に行うことができる。
【0090】
また、上記実施形態では、ユーザーが下型用ガラスプレート24および上型用ガラスプレート34を配置しているが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部により、ロボットアームなどを自動で操作し、下型用ガラスプレートおよび上型用ガラスプレートを配置してもよい。これにより、上型および下型の成形を容易に行うことができる。
【0091】
また、上記実施形態では、ユーザーが下型用マスター型4および上型用マスター型5を配置しているが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部により、ロボットアームなどを自動により操作し、下型用マスター型および上型用マスター型を配置してもよい。これにより、上型および下型の成形を容易に行うことができる。
【0092】
また、上記実施形態では、型用樹脂材R1および成形品用樹脂材R2が、光硬化性樹脂であるが、本発明はこれに限らない。本発明では、型用樹脂材および成形品用樹脂材は、熱硬化性樹脂などであってもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、型用樹脂材R1および成形品用樹脂材R2が、アクリル系樹脂材となっているが、本発明はこれに限らない。本発明では、型用樹脂材および成形品用樹脂材は、アクリル系樹脂材以外の樹脂材であってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、上型設置体12は、吸着部33cを含んでいるが、本発明はこれに限られない。たとえば、上型設置体は、上型用ガラスプレートおよび下型用マスター型を保持するためのつめ部、ねじ部、バイス部などを含んでいてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、下型マスター型パターン4a、上型マスター型パターン5a、下型パターン2aおよび上型パターン3aが、格子状となっているが、本発明はこれに限られない。本発明では、下型マスター型パターン、上型マスター型パターン、下型パターンおよび上型パターンは、成形品のパターンに合わせて形成されていればよい。
【0096】
また、上記実施形態では、下型マスター型パターン4aと上型マスター型パターン5aとが同じパターンとなっているが、本発明はこれに限られない。本発明では、下型マスター型パターンと上型マスター型パターンとが異なるパターンであってもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、下型パターン2aと上型パターン3aとが同じパターンとなっているが、本発明はこれに限られない。本発明では、下型パターンと上型パターンとが異なるパターンであってもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、昇降機構32は、上型設置体12を昇降させているが、本発明はこれに限られない。たとえば、昇降機構は、下型設置体を昇降させてもよいし、上型設置体および下型設置体のそれぞれを昇降させてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、下型設置体11は下型用ガラスプレート24を、上型設置体12は上型用ガラスプレート34を含んでいるが、本発明はこれに限られない。本発明では、下型設置体は下型用ガラスプレートを、上型設置体は上型用ガラスプレートを含んでいなくてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、下型設置体11上に、下型2、下型用マスター型4、上型用マスター型5の順に積み上げて、上型3を成形しているが、本発明はこれに限られない。本発明では、上型を、下型設置体上に、下型、下型用マスター型、上型用マスター型の順に積み上げてから形成しなくともよい。