特許第6798964号(P6798964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798964
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】延反機
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/32 20060101AFI20201130BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20201130BHJP
   B65H 35/06 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   B26D7/32 A
   B26D7/06 Z
   B65H35/06
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-199957(P2017-199957)
(22)【出願日】2017年10月14日
(65)【公開番号】特開2019-72789(P2019-72789A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2019年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101638
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 峰太郎
(72)【発明者】
【氏名】有北 礼治
(72)【発明者】
【氏名】和田 英之
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−140469(JP,A)
【文献】 特開2016−060024(JP,A)
【文献】 特開2016−172287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/32
B26D 7/06
D06H 7/00 − 7/18
B65H 35/06
B65H 29/36
B65G 21/14
B65G 57/112
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地を搬送するコンベアベルトと、搬送方向の前端側でコンベアベルトが巻掛けられる前端ローラーと、前端ローラーよりも搬送方向の後端側でコンベアベルトの上側と下側とを受けて案内する上部案内ローラーおよび下部案内ローラーとを含み、コンベアベルトは上部案内ローラーから前端ローラーへの生地排出部分で下方に傾斜して生地を排出し、前端ローラーは、搬送方向の前後に往復移動しながら、載置面上に生地を積重ねて積層体を形成し、積層厚に応じて昇降する延反機において、
前端ローラー、上部案内ローラーおよび下部案内ローラーの相対的な位置関係を保つように保持する保持フレームと、
ンベアベルトの生地排出部分の下方への傾斜が、前端ローラーが上昇すれば緩く、下降すれば急になるように、保持フレームの変位を案内する案内機構と、
前端ローラーの搬送方向前方に隣接するように保持フレームで支持され、生地排出部分の延長上で生地を載置面上に案内する生地案内板とを含む、
ことを特徴とする延反機。
【請求項2】
前記案内機構は、前記前端ローラーを垂直方向に、前記上部案内ローラーまたは前記下部案内ローラーを前記搬送方向の前後となる水平方向に、それぞれ直線状の経路で移動するように案内する、
ことを特徴とする請求項1記載の延反機。
【請求項3】
前記保持フレームは、前記搬送方向に垂直な幅方向の両側に配置され、
前記生地排出部分とその下側のコンベアベルト間に配置され、両側の保持フレーム間に渡る梁部材を含む、
ことを特徴とする請求項1または2記載の延反機。
【請求項4】
前記梁部材は、前記幅方向の中間部分で、前記前端ローラーを補強するように支持する、
ことを特徴とする請求項3記載の延反機。
【請求項5】
前記保持フレームによって支持され、前記下部案内ローラーの後方で、前記コンベアベルトの下側を押圧して弛みを吸収する弛み取りローラーを含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の延反機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛などの生地を切断して載置面上に積層する延反機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、裁断機で裁断する生地を積層するためなどに延反機が使用されている。延反機としては、テーブルの載置面の上方を移動可能なコンベア式の搬送機構を備え、ロール状の原反から引き出して切断した生地を載置面上に積み重ねて積層体を形成する延反積層装置などが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、特許文献1の延反積層装置の概略的な構成について説明する。特許文献1の記載と異なる名称を使用する部分には、特許文献1での対応する名称をカッコ付で示す。生地(布地)を搬送するコンベアベルトと、搬送方向の前端(他端)側でコンベアベルトが巻掛けられる前端(上端)ローラーと、前端ローラーよりも搬送方向の後端(一端)側でコンベアベルトの上側と下側とを受けて案内する上部案内ローラーおよび下部案内ローラーとを含み、コンベアベルトは上部案内ローラーから前端ローラーへの生地排出部分で下方に傾斜して生地を排出し、前端ローラーは、搬送方向の前後に往復移動しながら、載置面上に生地を積重ねて積層体を形成し、積層厚に応じて昇降する。前端ローラーから排出される生地は、一定の傾斜角度を有する生地(布地)案内板で案内されて載置面上に移行する。生地案内板は、前端ローラーとともに昇降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5781205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の延反積層装置では、前端ローラーが生地の積層厚に応じて昇降するのに対して、上部案内ローラーよりも後方の部分が水平に保たれている。コンベアベルトが上部案内ローラーから前端ローラーに架かる生地排出部分は下方に傾斜するけれども、下方への傾斜角度は、前端ローラーの昇降に対応してそれぞれ減増する。生地案内板の傾斜角度は、一定に保たれる。この傾斜角度は、前端ローラーが最も下降している場合のコンベアベルト生地排出部分の傾斜角度に合わせてあるけれども、前端ローラーが上昇すると、コンベアベルトの生地排出部分の傾斜角度が減少し、生地案内板の傾斜角度よりも小さくなる(特許文献1の図6参照)。このような角度差が生じ、前端ローラーと生地案内板との間隔も広がるので、生地の先端が前端ローラーから生地案内板に円滑に移行することができなくなるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、前端ローラーが昇降しても、コンベアベルトの生地排出部分と生地案内板との間の角度が変らない延反機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、生地を搬送するコンベアベルトと、搬送方向の前端側でコンベアベルトが巻掛けられる前端ローラーと、前端ローラーよりも搬送方向の後端側でコンベアベルトの上側と下側とを受けて案内する上部案内ローラーおよび下部案内ローラーとを含み、コンベアベルトは上部案内ローラーから前端ローラーへの生地排出部分で下方に傾斜して生地を排出し、前端ローラーは、搬送方向の前後に往復移動しながら、載置面上に生地を積重ねて積層体を形成し、積層厚に応じて昇降する延反機において、
前端ローラー、上部案内ローラーおよび下部案内ローラーの相対的な位置関係を保つように保持する保持フレームと、
ンベアベルトの生地排出部分の下方への傾斜が、前端ローラーが上昇すれば緩く、下降すれば急になるように、保持フレームの変位を案内する案内機構と、
前端ローラーの搬送方向前方に隣接するように保持フレームで支持され、生地排出部分の延長上で生地を載置面上に案内する生地案内板とを含む、
ことを特徴とする延反機である。
【0008】
また本発明で、前記案内機構は、前記前端ローラーを垂直方向に、前記上部案内ローラーまたは前記下部案内ローラーを前記搬送方向の前後となる水平方向に、それぞれ直線状の経路で移動するように案内する、
ことを特徴とする。
【0009】
また本発明で、前記保持フレームは、前記搬送方向に垂直な幅方向の両側に配置され、
前記生地排出部分とその下側のコンベアベルト間に配置され、両側の保持フレーム間に渡る梁部材を含む、
ことを特徴とする。
【0010】
また本発明で、前記梁部材は、前記幅方向の中間部分で、前記前端ローラーを補強するように支持する、
ことを特徴とする。
【0011】
また本発明では、前記保持フレームによって支持され、前記下部案内ローラーの後方で、前記コンベアベルトの下側を押圧して弛みを吸収する弛み取りローラーを含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生地を搬送するコンベアベルトが巻掛けられる前端ローラー、上部案内ローラーおよび下部案内ローラーは、保持フレームによって相対的な位置関係を保つように保持される。生地案内板は、前端ローラーの搬送方向前方に隣接し、生地排出部分の延長上で生地を載置面上に案内するように保持するので、前端ローラーを生地の積層厚に応じて昇降させて生地排出部分の傾斜角度が変っても、生地案内板も同一の傾斜角度に変り、生地排出部分との間の角度が変らないようにすることができる。
【0013】
また本発明によれば、前端ローラーを垂直方向に、上部案内ローラーまたは下部案内ローラーを搬送方向の前後となる水平方向に、それぞれ直線状の経路で移動するように案内するので、円滑かつ安定な案内を行うことができる。
【0014】
また本発明によれば、幅方向の両側での保持フレームの支持によって、前端ローラー、上部案内ローラーおよび下部案内ローラーの相対的な位置関係は変らず、生地排出部分とその下側のコンベアベルトとの間の空間も3つのローラーや保持フレームに対する位置関係は変らない。この空間に生地排出部分の幅方向の強度を補強する梁部材を配置することができる。
【0015】
また本発明によれば、前端ローラーは、幅方向の中間部分で補強されるので、生地排出部分での前端ローラーの撓みを防止することができる。
【0016】
また本発明によれば、前端ローラーが上昇して、生地排出部分の傾斜が緩む際に、下部案内ローラーの後方で、コンベアベルトの下側を押圧して弛みを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施例1としての延反機1の概略的な構成を示す模式的な側面断面図である。
図2図2は、図1のキャリッジ5の概略的な構成を示す右側面図である。
図3図3は、図1のキャリッジ5の概略的な構成を示す平面図である。
図4図4は、図3の切断面線A−Aから見た側面断面図である。
図5図5は、図1の前端ローラー11の昇降とコンベアベルト4の生地排出部分4aの傾斜の変化との関係を示す簡略化した右側面図である。
図6図6は、本発明の実施例2および実施例3でのコンベアベルト4の弛み取りの効果を示す簡略化した右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図5で、本発明の実施例1としての延反機1の構成について説明する。また図6では、本発明の実施例2および実施例3について、簡単に説明する。説明の便宜上、説明対象の図には記載されていない部分について、他の図に記載される参照符を付して言及する場合がある。
【実施例1】
【0019】
図1は、延反機1の概略的な構成を示す。延反機1は、テーブル2の載置面2a上に生地3を積層する。生地3は、原反ロール3aから引き出され、積層体3bを形成するように、コンベアベルト4で搬送する。コンベアベルト4は、無端状で、搬送方向の前端側のキャリッジ5と後端側の後端ローラー6との間に架けられ、コンベア駆動ユニット7によって搬送用に駆動される。キャリッジ5は、キャリッジ駆動ユニット8による駆動で、載置面2aの上方を、搬送方向の前後に移動する。後端ローラー6は、キャリッジ5と連動して移動する。原反ロール3aから引き出された生地3が上部案内ローラー12に至る経路のコンベアベルト4上には、カッターユニット9が設けられ、カッター駆動ユニット10による駆動で、搬送方向の前後に移動する。
【0020】
キャリッジ5は、コンベアベルト4が巻掛けられる前端ローラー11と、上部案内ローラー12と下部案内ローラー13とを含む。上部案内ローラー12は、前端ローラー11よりも搬送方向の後端側でコンベアベルト4の上側を受けて案内する。下部案内ローラー13は、前端ローラー11の搬送方向の後端側でコンベアベルト4の下側を受けて案内する。生地案内板14は、前端ローラー11の搬送方向前方に隣接するように配置され、生地排出部分4aの延長上で生地3を載置面2a上に案内する。コンベアベルト4は、上部案内ローラー12から前端ローラー11への生地排出部分4aで下方に傾斜して生地3を排出する。キャリッジ5に搭載される前端ローラー11は、搬送方向の前後に往復移動しながら、載置面2a上に生地3を積重ねて積層体3bを形成し、積層厚に応じて昇降する。前端ローラー11の斜め上前方に配置される生地押え15は、生地3の先端付近を前端ローラー11の外周に押付けて押えることができる。
【0021】
キャリッジ5は、前端ローラー11、上部案内ローラー12および下部案内ローラー13、ならびに生地案内板14の相対的な位置関係を保つように保持する保持フレーム16を含む。保持フレーム16は、ほぼ板状であるけれども、ブロック状や、部材の組合せであってもよい。キャリッジ5の搬送方向の後方で、コンベアベルト4は水平の経路を保った後、下方に曲り、さらに前方に曲って後端ローラー6に巻き掛けられる。コンベアベルト4が下方に曲る位置の後方には、原反ロール3aから引き出された生地3が下方に弛まされる放反部17が設けられる。後端ローラー6に巻き掛けられたコンベアベルト4は、後方に戻り、上方に曲って弛み取り部18を通過し、前方の下部案内ローラー13に戻る。カッターユニット9は、幅方向に移動して生地3を切断するカッター19を備える。
【0022】
図2および図3は、図1のキャリッジ5の概略的な構成を示す。キャリッジ5の外側は、ハウジング20で覆われている。
【0023】
図2に示すように、キャリッジ5には、前端ローラー11を上下方向に直線移動するように案内する上下案内機構21が設けられる。上下案内機構21とともに、案内機構22として、下部案内ローラー13を搬送方向の前後の水平方向に直線移動するように案内する前後案内機構23も設けられる。上下案内機構21では、直線状のガイド21aがキャリッジ5で支持され、ガイド21aがスライダー21bを直線状に移動可能なように支持する。スライダー21bは、前端ローラー11の軸11aを支持する。前後案内機構23では、直線状のガイド23aがキャリッジ5で支持され、ガイド23aがスライダー23bを直線状に移動可能なように支持する。保持フレーム16は、軸11a,13aを回転可能に支持するとともに、上部案内ローラー12の軸12aも回転可能に支持する。案内機構22は、保持フレーム16の変位を案内し、前端ローラー11の昇降に応じてコンベアベルト4の生地排出部分4aの下方への傾斜をそれぞれ緩急させる。前後案内機構23のスライダー23bは、軸支持板23cを介して軸13cを支持する。載置面2a上を前後に移動するキャリッジ5には、車輪24,25が設けられている。
【0024】
キャリッジ5は、前端ローラー11を昇降させるために、昇降板26および昇降駆動機構27を備えている。昇降板26は、前端ローラー11の軸11aおよび上下案内機構21のスライダー21bを支持する。昇降板26の後部には、ラック26aが設けられ、昇降駆動機構27のピニオン27aと噛合している。昇降駆動機構27は、ピニオン27aとともに、従動ベルト27b、連絡プーリー27c、連絡軸27d、駆動ベルト27e、駆動プーリー27fおよび伝達プーリー27gを含む。
【0025】
図3に示すように、キャリッジ5および保持フレーム16は、幅方向の両側に設けられている。昇降板26、および昇降駆動機構27のピニオン27aと連絡プーリー27cも、幅方向の両側に設けられている。さらに両側には、ピニオン27aと同軸に、伝達プーリー27gが設けられる。伝達プーリー27gには、従動ベルト27bまたは駆動ベルト27eが掛る。両側の連絡プーリー27c間は、連絡軸27dで連結されるけれども、説明の便宜上、幅方向の中間部分の図示は省略する。図では下方となるキャリッジ5の一側方には従動ベルト27bが設けられる。キャリッジ5の他側方には、駆動ベルト27eおよび駆動プーリー27fが設けられ、駆動プーリー27fを回転駆動するモーター27hも設けられる。
【0026】
図2に示すように、軸11a,12a,13aは保持フレーム16によって支持されている。保持フレーム16間では、コンベアベルト4が保持フレーム16に連動して傾斜が変化する。幅方向の両側での保持フレーム16の支持によって、前端ローラー11、上部案内ローラー12および下部案内ローラー13の相対的な位置関係は変らず、生地排出部分4aとその下側のコンベアベルト4との間には、位置関係が変らない空間が形成される。本実施例では、この空間を利用して、図3に示すように、梁部材30を配置して保持フレーム16間の幅方向の強度を補強している。梁部材30は、幅方向の中間部分で、前端ローラー11を補強するように支持する支持部材31を備えている。前端ローラー11は、幅方向の中間部分で補強されるので、生地排出部分4aでの前端ローラー11の撓みを防止することができる。梁部材30を利用すれば、コンベアベルト4の生地排出部分4aを下方から支持したり、振動を与えるバイブレーターなどを配置したりして、生地3の搬送の円滑化も図ることもできる。
【0027】
図4は、図3の切断面線A−Aから見た側面断面の構成を示す。保持フレーム16間の幅方向には、他の図では図示を省略しているけれども、取付部材32も掛け渡され、生地押え15を駆動するエアシリンダー33を支持する。また、取付部材32は、生地案内板14の前端付近で生地3の先端を検出する生地センサー34も支持する。生地押え15およびエアシリンダー33は、幅方向に間隔をあけて複数設けられる。複数の生地押え15は、生地センサー34による生地3の検出結果に応じて動作する。たとえば、コンベアベルト4で生地3を搬送し、生地3の先端を生地センサー34が検出すると、生地3の先端を前端ローラー11まで戻して、生地3の先端を前端ローラー11の位置に保持するように生地押え15を同時に作動させることができる。
【0028】
図5は、図1の前端ローラー11の昇降とコンベアベルト4の生地排出部分4aの傾斜の変化とのキャリッジ5内での関係を示す。(a)は本実施例1、(b)は変形例、(c)は特許文献1の例、をそれぞれ、前端ローラー11の昇降の上下での生地排出部分4aの傾斜変化として示す。前端ローラー11の上下移動のストローク、下降位置での上部案内ローラー12および下部案内ローラー13の配置などは同一とする。下降位置での配置は実線、上昇位置での配置は二点鎖線でそれぞれ示す。
【0029】
(a)に示すように、本実施例1では、前端ローラー11は上下に、下部案内ローラー13は前後に、それぞれ直線状の移動となるように案内される。(b)の変形例では、下部案内ローラー13に替えて、上部案内ローラー12を直線状に案内する。(c)に示すように、特許文献1の考え方では、上部案内ローラー12および下部案内ローラー13はキャリッジ5に対して移動しない。
【0030】
(a)に示すように、本実施例1では、前後の直線状の案内距離を最短にすることができる。ただし、(b)のように上部案内ローラー12を直線状に案内すれば、上部案内ローラー12よりも後方のコンベアベルト4は水平となる。(a)および(b)では、コンベアベルト4の生地排出部分4aと生地案内板14とが同一傾斜で続き、生地3を円滑に移動させることができる。また、上下案内機構21も前後案内機構23も直線状の案内を行うので、積層体3bの厚み変化に伴う傾斜角度の変化も、円滑かつ安定して行うことができる。
【0031】
(c)に示すように、特許文献1の考え方では、前端ローラー11が昇降しても、上部案内ローラー12の位置は変らない。コンベアベルト4の生地排出部分4aは、傾斜角度の減少で長さも減少するけれども、生地案内板14の傾斜角度は一定であるので、生地排出部分4aとの間に段差が生じる。
【0032】
なお、案内機構22では、前端ローラー11の軸11aを曲線状の経路で案内してもよい。上部案内ローラー12または下部案内ローラー13の軸12a,13aも曲線状の経路で案内したり、揺動軸として位置を固定したりすることもできる。ただし、上下案内機構21および前後案内機構23のような直線状の経路の方が安定した案内を行うことができる。前端ローラー11を昇降駆動するために、ラック26aとピニオン27aとの組合せを使用しているけれども、他の機構、たとえばボールねじなどを使用することもできる。
【実施例2】
【0033】
図6(a)は、本発明の実施例2でのコンベアベルト4の弛み取りの効果を示す。本実施例2は、保持フレーム16によって支持され、下部案内ローラー13の後方で、コンベアベルト4の下側を押圧して弛みを吸収する弛み取りローラー40を含む。図5(a)に実線で示す下降位置から、二点鎖線で示すように前端ローラー11が上昇すると、保持フレーム16で支持される上部案内ローラー12および下部案内ローラー13は後方に移動し、ベルト4に弛みが生じる。この弛みは、図1に示す弛み取り部18で減少するけれども、弛み取りローラー40で下方に押圧することで、一層の弛み取りを行うことができる。
【実施例3】
【0034】
図6(b)は、本発明の実施例3でのコンベアベルト4の弛み取りの効果を示す。本実施例3は、実施例2の弛み取りローラー40の後方に、キャリッジ5によって支持され、キャリッジ5に対しては固定される保持ローラー41を設ける。保持ローラー41が存在するので、実線で示す下降位置から前端ローラー11が上昇するに伴う、二点鎖線で示す弛み取りローラー40による弛み取りの効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 延反機
2a 載置面
3 生地
3a 原反ロール
3b 積層体
4 コンベアベルト
4a 生地排出部
5 キャリッジ
11 前端ローラー
11a,12a,13a 軸
12 上部案内ローラー
13 下部案内ローラー
14 生地案内板
15 生地押え
16 保持フレーム
21 上下案内機構
22 案内機構
23 前後案内機構
30 梁部材
31 支持部材
34 生地センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6