(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂繊維を用いた繊維強化樹脂(FRP)からなる樹脂部品本体(41)と、少なくとも前記樹脂部品本体(41)の車両外方に露出する外面(41a)に設けられ、前記樹脂部品本体(41)と一体形成される樹脂構造部(51)と、を備え、
前記樹脂繊維は、ポリプロピレンからなる樹脂材料からなり、
前記樹脂構造部(51)は、ポリプロピレンおよびエポキシからなる群より選ばれる樹脂材料からなることを特徴とする車両用樹脂部品。
前記樹脂部品本体(41)は、前記樹脂繊維に比して融点が低いマトリクス樹脂を有する繊維強化樹脂(FRP)からなることを特徴とする請求項1に記載の車両用樹脂部品。
前記樹脂構造部(51)は、前記樹脂部品本体(41)の外面(41a)から車両外方に突出して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用樹脂部品。
前記樹脂構造部(51)は、前記樹脂部品本体(41)の樹脂繊維の指向方向に対して交差する方向に延びる補強部(61a,61b,62)を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の車両用樹脂部品。
前記補強部(61a,61b,62)は、前記樹脂部品本体(41)の外面(41a)から車両外方に突出して設けられ、前記樹脂部品本体(41)の車体取り付け部(42)からこの車体取り付け部(42)と反対側の端部まで延び、側面視で端部側ほど徐々に樹脂部品本体(41)からの突出高さが低くなることを特徴とする請求項4に記載の車両用樹脂部品。
前記樹脂構造部(51)は、前記樹脂部品本体(41)から車両外方に突出して設けられる外側補強部(61a)と、前記樹脂部品本体(41)から車両内方に突出して設けられる内側補強部(61b)と、を備え、
前記外側補強部(61a)および内側補強部(61b)は、樹脂部品本体(41)の厚さ方向で樹脂部品本体(41)の一部を挟んで互いに対向して設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の車両用樹脂部品。
前記樹脂構造部(51)に連続して前記樹脂部品本体(41)と一体形成される部品取付部(67)を備えていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の車両用樹脂部品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リアフェンダを含む車両用樹脂部品については、車体に対する取り付け剛性を確保しつつ、外部に接触した際に自他を保護する保護機能を高めるために、剛性とたわみを高いレベルで両立させることが求められている。また、繊維強化樹脂を用いた場合にも外観上の変化が求められている。
【0005】
そこで本発明は、繊維強化樹脂を用いた車両用樹脂部品において、剛性とたわみの設定自由度を高め、かつ斬新な外観を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、樹脂繊維を用いた繊維強化樹脂(FRP)からなる樹脂部品本体(41)と、少なくとも前記樹脂部品本体(41)の車両外方に露出する外面(41a)に設けられ、前記樹脂部品本体(41)と一体形成される樹脂構造部(51)と、を備え、前記樹脂繊維は、ポリプロピレン
からなる樹脂材料からなり、前記樹脂構造部(51)は、ポリプロピレンおよびエポキシからなる群より選ばれる樹脂材料からなる。
この構成によれば、樹脂部品本体に含まれる強化繊維と、樹脂部品本体と一体形成される樹脂構造部の樹脂材料と、が互いに同質の素材または互いに溶融する素材であるため、これらが異質の素材または少なくとも一方が溶融しない素材である場合と比較して、樹脂構造部の樹脂部品本体への結合力を高めることができる。また、樹脂からなる繊維素材を用いて母体となる樹脂部品本体を構成することで、炭素等からなる従来の繊維素材を用いる場合に比べて、高い剛性を得ながらも母体をたわみやすくし、衝撃吸収を可能として保護機能を持たせることができる。また、樹脂構造部が車両外方に露出する外面に設けられるので、樹脂構造部を意匠としても利用し、デザイン性を高めることができる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記樹脂部品本体(41)は、前記樹脂繊維に比して融点が低いマトリクス樹脂を有する繊維強化樹脂(FRP)から構成される。
この構成によれば、樹脂部品本体は、前記樹脂繊維に比して融点が低いマトリクス樹脂を有するため、樹脂構造部との結合の際にマトリクス樹脂が溶融しやすく、結合力を高めることが出来る。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記樹脂構造部(51)は、前記樹脂部品本体(41)の外面(41a)から車両外方に突出して設けられている。
この構成によれば、樹脂部品本体の外方に突出して樹脂構造部を形成することで、樹脂部品の断面係数を増やして樹脂部品の剛性を向上させることに加え、樹脂部品のデザイン自由度を高めることができる。すなわち、樹脂材料同士の結合力により樹脂構造部の剥離が抑制されるため、外乱の影響を受け易い外面にも意匠としての樹脂構造部を設けることができ、樹脂構造部を含んだ斬新なデザインを得ることができる。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記樹脂構造部(51)は、前記樹脂部品本体(41)の樹脂繊維の指向方向に対して交差する方向に延びる補強部(61a,61b,62)を備えている。
この構成によれば、樹脂繊維の異方性を補うように延びる補強部を設けることで、繊維シートの積層枚数を増やすことなく樹脂部品の剛性を向上させることができる。樹脂部品本体をプレス成型する場合は、繊維シートの積層枚数を増やす場合に比べて、熱プレスの均一加熱を行いやすく、成形性を高めることができる。
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記補強部(61a,61b,62)は、
前記樹脂部品本体(41)の外面(41a)から車両外方に突出して設けられ、前記樹脂部品本体(41)の車体取り付け部(42)からこの車体取り付け部(42)と反対側の端部まで延び、側面視で端部側ほど徐々に樹脂部品本体(41)からの突出高さが低くなる。
この構成によれば、樹脂部品本体の車体取り付け部から車体取り付け部と反対側の端部までの間で補強部が延びるので、補強部が途中で終端する場合に比べて、補強部の終端位置で応力集中が生じることを抑止することができる。応力が生じやすい基端側(車体取り付け部側)では、補強部の突出高さにより剛性を確保し、基端側に比べて応力が発生し難い端部側では、補強部を低くして軽量化を図ることができる。
【0011】
請求項6に記載した発明は、前記樹脂構造部(51)は、前記樹脂部品本体(41)から車両外方に突出して設けられる外側補強部(61a)と、前記樹脂部品本体(41)から車両内方に突出して設けられる内側補強部(61b)と、を備え、前記外側補強部(61a)および内側補強部(61b)は、樹脂部品本体(41)の厚さ方向で樹脂部品本体(41)の一部を挟んで互いに対向して設けられている。
この構成によれば、樹脂部品本体の一方側に補強部(内側補強部)を設けた場合に他方側(外側)に生じやすいヒケ(樹脂の収縮に伴い表面に生じる凹み)の発生箇所に、外側補強部を設けることができるため、ヒケが視認しづらくなり、意匠性を向上させることが出来る。
【0012】
請求項7に記載した発明は
、前記樹脂構造部(51)に連続して前記樹脂部品本体(41)と一体形成される部品取付部(67)を備えている。
この構成によれば、樹脂構造部とともに部品取付部を一体成形することで、部品取付部が成形容易であるとともに、部品取付部は繊維レスであるため、部品の取り付けや外乱の影響等を受けても繊維が露出せず、外観を良好にするとともに、樹脂繊維が部品の取り付けの妨げになることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、繊維強化樹脂を用いた車両用樹脂部品において、剛性とたわみの設定自由度を高め、かつ斬新な外観を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、車体左右中心を示す線CLが示されている。
【0016】
<車両全体>
図1に示すように、本実施形態の鞍乗り型車両は、オフロードタイプの自動二輪車1である。自動二輪車1の前輪2は、左右一対のフロントフォーク3の下端部に支持されている。左右フロントフォーク3の上部は、ステアリングステム4を介して、車体フレーム5の前端部のヘッドパイプ6に支持されている。ステアリングステム4のトップブリッジ4a上には、バータイプの操向ハンドル7が取り付けられている。
【0017】
車体フレーム5は、例えばアルミ合金等の金属からなる前部フレーム5aと、例えば炭素繊維強化樹脂等の繊維強化樹脂からなる後部フレーム5bと、を有している。後部フレーム5bは、シート33を支持するシートフレームとして機能し、その前縁部が前部フレーム5aの後縁部に、前後一対の締結部5cによって連結されている。
【0018】
前部フレーム5aは、ヘッドパイプ6と、ヘッドパイプ6から後下方へ延びる左右一対のメインチューブ8と、左右メインチューブ8の後端部を接続する左右一対のピボットフレーム9と、ヘッドパイプ6から左右メインチューブ8よりも急傾斜をなして後下方へ延びる単一のダウンフレーム11と、ダウンフレーム11の下端部から左右に分岐した後に後方へ湾曲して延びて左右ピボットフレーム9の下端部に接続される左右一対のロアフレーム12と、を有している。
【0019】
左右ピボットフレーム9には、スイングアーム15の前端部が上下揺動可能に支持されている。スイングアーム15の後端部には、自動二輪車1の後輪17が支持されている。スイングアーム15の前部下側には、不図示のリンク機構を介して、リヤクッションユニット19の下端部が連結されている。リヤクッションユニット19の上端部は、左右メインチューブ8の後端部間に渡る不図示のクロスメンバに連結されている。
【0020】
前部フレーム5aの内側には、自動二輪車1の原動機であるエンジン21が搭載されている。エンジン21は、車幅方向(左右方向)に平行なクランク軸を有する水冷単気筒エンジンであり、その下部を形成するクランクケース22の前部上方に不図示のシリンダが起立している。シリンダの後部側にはエンジン21の吸気系が接続され、シリンダの前部側にはエンジン21の排気系が接続されている。図中符号27は排気系における車体後部まで延びる排気管、符号28は排気管27の下流端が接続されるサイレンサをそれぞれ示す。クランクケース22の後部側方には出力軸が突出し、この出力軸と後輪17とがチェーン式伝動機構で連係されている。
【0021】
ヘッドパイプ6の前部には、前方に突出する前部ステー34が固定されている。前部ステー34には、ヘッドライト34a、ウインドスクリーン34b、メータ類34c等が支持されている。
自動二輪車1においては、エンジン21の燃料タンク30として、車体前部両側に分割して配置された左右一対の前部タンク31と、後部フレーム5b内に設けられた後部タンク32と、を備えている。左右前部タンク31は、側面視で左右メインチューブ8を上下に跨ぎ、その下部がエンジン21の側方を覆うように設けられている。
【0022】
左右前部タンク31の上端部後側の間には、シート33の前端部33aが上方から被さるように配置されている。左右前部タンク31の上端部の車幅方向内側には、車体前方側からエアクリーナ装置25方向に外気を誘導するための吸気ダクト26が設けられている。
図中符号35はステアリングステム4のボトムブリッジ4bに支持されたフロントフェンダ、符号40はシート33の後方側に延びるリアフェンダ、符号29はダウンフレーム11の左右両側に配置された左右一対のラジエータ、符号37は左右前部タンク31の前方に配置されて左右ラジエータ29の側方を覆う左右一対のシュラウド、符号38は車体下部を覆うアンダーカバーをそれぞれ示す。
【0023】
<リアフェンダ>
以下、本実施形態のリアフェンダ40について詳細に説明する。
図2〜
図8に示すように、リアフェンダ40は、例えばPP(ポリプロピレン)からなる樹脂繊維を用いた繊維強化樹脂(PPFRP:ポリプロピレン繊維強化プラスチック)でフェンダ本体41を形成している。PPFRPは、例えば長尺(長繊維糸)のポリプロピレン繊維やナイロン等の延伸可能な樹脂繊維を平織、綾織および繻子織等で織り込む等により単位シートを形成し、この単位シートを複数積層してエポキシ、あるいはポリプロピレン等の樹脂(マトリクス樹脂)で固めることで形成されている。
【0024】
リアフェンダ40は、シート状のPPFRPを加熱してプレス成型し、大まかな全体形状をなすフェンダ本体41を形成する(
図8参照)。フェンダ本体41は、略均一の厚さを有する薄板部材として構成される。フェンダ本体41の外面(表面、意匠面)41aおよび内面(裏面、車輪対向面)41bには、それぞれポリプロピレン繊維と同質の樹脂(本実施形態では同一樹脂であるポリプロピレン)からなり繊維は含まない樹脂構造部51が一体形成され、もってリアフェンダ40が構成されている。前記「同質の樹脂」とは、互いに溶融する素材であることを含み、繊維樹脂がポリプロピレンである際には同一樹脂であるポリプロピレンの他、例えばエポキシ樹脂が挙げられる。
【0025】
また、フェンダ本体41は、樹脂繊維に比して融点が低いマトリクス樹脂からなる繊維強化樹脂(FRP)にて構成されていると、フェンダ本体41と樹脂構造部51を一体成形する際に、マトリクス樹脂が溶融しやすく、フェンダ本体41と樹脂構造部51との接合強度をより高めることが出来る。例えば、フェンダ本体41がポリプロピレン繊維をマトリクス樹脂としてのポリエチレンで固めたものが挙げられる。
【0026】
リアフェンダ40は、フェンダ本体41をプレス成形した後、樹脂構造部51の射出成形を行う。
【0027】
図13に示すように、リアフェンダを成形する金型Mに対し、まず、キャビティ型Mcaおよびコア型Mcoの間に平坦な繊維強化樹脂FRP(本願では符号として「FRP」を用いる。)の基材が搬入される(
図13(a))。次いで、キャビティ型Mcaおよびコア型Mcoを型締めして繊維強化樹脂FRPにプレス成形を行い、金型M内で予め定めた形状のフェンダ本体41を形成する(
図13(b))。この状態で、キャビティ型Mcaおよびコア型Mcoのそれぞれに形成された射出空間(キャビティC)に溶融樹脂を圧送する(
図13(c))。この溶融樹脂が凝固した後にキャビティ型Mcaおよびコア型Mcoを型割りし、フェンダ本体41の外面および内面にそれぞれ樹脂構造部51が形成されたリアフェンダ40を得る(
図13(d))。尚、樹脂構造部51は、前述の通り、プレス成形を行った金型内にて成形しても良いし、あるいはプレス成形にてフェンダ本体41を成形した後、射出成形用金型へフェンダ本体41を移した後に射出成形することで成形しても良い。
【0028】
図14に示すように、キャビティCが繊維強化樹脂FRPの厚さ方向で対向せず面方向でずれて配置される場合、当該部位に配置された繊維強化樹脂FRPは、一側面が金型Mに固定される(射出された溶融樹脂に押圧されて金型Mに接触する)。このため、射出された溶融樹脂の圧力を受けた際にも繊維強化樹脂FRPの位置ずれが抑えられる。また、面方向で相互にずれたキャビティCの間の範囲Hで、繊維強化樹脂FRPが金型Mに挟持されることでも、繊維強化樹脂FRPの位置ずれが抑えられる。
【0029】
図2〜
図8に示すように、リアフェンダ40は、前後方向に長い長尺の形状とされている。リアフェンダ40は、その前部に設けられた車体取り付け部42と、車体取り付け部42から後端部まで延びる延出部45と、を備えている。
【0030】
車体取り付け部42は、後輪17との接触を避ける半球状の曲面部42aと、曲面部42aの左右方向両側で前後方向と直交するように設けられ、前後方向に延びるボルト等によって車体側に固定される垂直面部42bと、左右垂直面部42bの上端部間に跨るようにU字状に設けられ、曲面部42aの外面から後ろ上がりに傾斜して延び、シート33(
図1参照)の後端部を接触させる傾斜面部42cと、を備えている。垂直面部42bには、車体側に取り付けるためのボルト等を挿通する貫通孔42b1が形成されている。曲面部42aの略中央部には、上方に凸の膨出部42dが形成されている。膨出部42dには、前後方向に延びるボルト等を挿通する貫通孔42d1が形成されている。
【0031】
貫通孔42d1の周囲には、ボルト等の座面を形成する締結部52が一体形成されている。締結部52は、フェンダ本体41の車両外方側に設けられる外側締結部52aと、フェンダ本体41の車両内方側に設けられる内側締結部52bと、貫通孔42d1の内周縁部に沿う孔内周形成部52cと、を備えている。外側締結部52aは、曲面部42aの外面側(上面側)で膨出部42dの貫通孔42d1の周囲に設けられ、円環状の座面を形成する。内側締結部52bは、曲面部42aの内面側(下面側)で膨出部42dの貫通孔42d1の周囲に設けられ、円環状の座面を形成する。
【0032】
図11を参照し、外側締結部52aおよび内側締結部52bは、フェンダ本体41の厚さ方向でフェンダ本体41の一部を挟んで互いに対向している。このため、内側締結部52bを設けることでフェンダ本体41の厚さ方向で対面側の表面に生じやすいヒケ(樹脂の収縮に伴い表面に生じる凹み)発生箇所に外側締結部52aを設けることができるため、ヒケが視認しづらくなるため意匠性を向上させることが出来る。外側締結部52aと内側締結部52bとは、孔内周形成部52cを介して互いに一体に連続し、貫通孔42d1の内周縁部を覆っている。繊維強化樹脂FRP(フェンダ本体41)の貫通孔42d1の内周縁が、繊維レスの樹脂構造部51である締結部52に覆われることで、強化繊維の繊維端の露出(ささくれや毛羽立ち)を無くすための末端処理が省略可能となる。
【0033】
図2〜
図8を参照し、フェンダ本体41の車両外方側で締結部52の周囲には、樹脂繊維と同質の樹脂材料からなり、フェンダ本体41と一体形成される外側締結サポート部53が締結部52と一体に設けられている。外側締結サポート部53は、締結部52から後方に三本、前方に一本に振り分けて概ね放射方向に延びる複数の補強ビード部53a〜53cを備えている。具体的に、補強ビード部53a〜53cは、締結部52から前方へ延びる前補強ビード部53aと、締結部52から斜め前方へ延びる前外補強ビード部53bと、締結部52から後方へ延びる後補強ビード部53cと、を備えている。
【0034】
フェンダ本体41の車両内方側で締結部52の周囲には、樹脂繊維と同質の樹脂材料からなり、フェンダ本体41と一体形成される内側締結サポート部55が締結部52と一体に設けられている。内側締結サポート部55は、繊維強化樹脂FRPの貫通孔42d1(内側締結部52b)の周囲を囲むように環状に設けられている。
【0035】
図9〜
図12を参照し、外側締結サポート部53および内側締結サポート部55は、フェンダ本体41の厚さ方向から見て互いに相手側を避ける退避部54,56を備えている。
外側締結サポート部53は、前記退避部54として、内側締結サポート部55の外周形状で区画される環状の範囲HA内でフェンダ本体41の表面側(車両外方側)に、環状の範囲HAの周方向で隣り合う補強ビード部53a〜53cの間に形成される凹状の外側切り欠き部54aを備えている。
【0036】
内側締結サポート部55は、その外周形状で区画される環状の範囲HA内でフェンダ本体41の裏面側(車両内方側)に、前記退避部56として内側切り欠き部56aを備えている。
外側締結サポート部53および内側締結サポート部55の各退避部54,56は、それぞれ膨出部42dの外面および内面に沿って傾斜して設けられている。
【0037】
外側切り欠き部54aおよび内側切り欠き部56aは、それぞれ複数設けられている。これら複数の外側切り欠き部54aおよび内側切り欠き部56aは、フェンダ本体41の厚さ方向から見て、環状の範囲HAの周方向で交互に並んで配置されている。すなわち、外側締結サポート部53の補強ビード部53a〜53cは、フェンダ本体41の厚さ方向から見て、内側切り欠き部56aと少なくとも一部が重なる位置で内側締結サポート部55を避けて延設されている。
【0038】
図10に示す断面位置では、外側切り欠き部54a−1および内側切り欠き部56a−1がフェンダ本体41の厚さ方向で互いに重なることで、外側締結サポート部53および内側締結サポート部55が互いに相手側を避けている。
図11に示す断面位置では、内側切り欠き部56a−1が消失するものの外側切り欠き部54a−1が存在することで、外側締結サポート部53および内側締結サポート部55が互いに相手側を避けている。
図12に示す断面位置では、外側切り欠き部54a−1が消失するものの内側切り欠き部56a−2が存在することで、外側締結サポート部53および内側締結サポート部55が互いに相手側を避けている。
【0039】
図14を併せて参照し、内外の締結サポート部53,55を射出成形する際、金型Mにおける内外の締結サポート部53,55を形成する部位では、繊維強化樹脂FRPの一側面側にのみ射出空間(キャビティC)を設けることとなる。すると、当該部位に配置された繊維強化樹脂FRPは、前述したように、一側面が金型に固定されるため、射出された溶融樹脂の圧力を受けた際にも繊維強化樹脂FRPの位置ずれが抑えられる。
【0040】
また、交互に並ぶ内外のキャビティCの間の範囲で、繊維強化樹脂FRPを金型で挟持することも可能である。これにより、繊維強化樹脂FRPに形成された締結部材挿通用の開口の位置ずれが生じ難く、締結部52の成形精度(形状精度)が高まる。
【0041】
外側締結サポート部53および内側締結サポート部55においては、繊維強化樹脂FRPに形成された開口(貫通孔42d1)を囲むように略円環状に設けられるとともに、その略円環状の範囲HAにおいて繊維強化樹脂FRPを介在して対向した位置に、それぞれ、外側切り欠き部54aおよび内側切り欠き部56aを設けている。
【0042】
これにより、フェンダ本体41を構成する繊維強化樹脂FRPを円環状に金型に固定できるため、フェンダ本体41(繊維強化樹脂FRP)に形成された開口(貫通孔42d1)の位置ずれが生じ難く、より成形精度(形状精度)が高まるとともに、さらにその開口貫通孔42d1)の周囲に切り欠き部54a,56aを設けることで、繊維強化樹脂FRPを両方の金型で把持できるため、より開口(貫通孔42d1)の成形精度(形状精度)が高まる。
【0043】
なお、退避部54,56は、外側締結サポート部53および内側締結サポート部55の一方のみに設けられてもよい。この場合も、繊維強化樹脂FRPの一側面側にのみ射出空間(キャビティC)を設ける部位では、繊維強化樹脂FRPの一側面を金型に固定する作用が得られる。
【0044】
図2〜
図8を参照し、延出部45は、略水平な上面を形成する天板部45aと、天板部45aの左右外側から下方に延びる左右一対の側板部45a1と、を備えている。左右側板部45a1は、天板部45aの左右側縁部から略垂直に下方へ延びる上部垂下部45bと、上部垂下部45bの下縁部から下方かつ左右外側へ斜めに延びる側部傾斜部45cと、側部傾斜部45cの前部の下縁部から略垂直に下方へ延びる下部垂下部45dと、を備えている。下部垂下部45dは、下縁部が後ろ上がりに切れ上がることで、側面視で前後に長い三角形状をなしている。下部垂下部45dの前端縁部は、垂直面部42bの外側縁部に接続されている。
【0045】
リアフェンダ40を形成する繊維強化樹脂FRPは、指向方向が互いに直交する二方向の繊維糸を織って構成されている。繊維強化樹脂FRPは、延出部45においては、繊維糸の指向方向が前後方向(延出部45の長手方向)に対して約45度傾くように(非平行となるように)配置されている。
【0046】
延出部45は、走行時には後端側を上下動させるように振動する。延出部45は、自動二輪車1の転倒時等の外乱を受けたり、使用者が車体を支えたり牽引したりするための取っ手として用いることがあり、種々方向の荷重入力がある。これに対し、上記した繊維方向の工夫により、延出部45に上下の振動や種々方向の荷重入力があっても、繊維強化樹脂FRPに生じる応力が分散されやすく、表面のシワや白化が抑えられ、かつ樹脂層の積層剥離も抑えられる。
【0047】
リアフェンダ40は、車体取り付け部42および延出部45の各々に、繊維を含まない樹脂構造部51を備えている。樹脂構造部51は、繊維強化樹脂FRPからなるフェンダ本体41の表裏面側にそれぞれ溶着されて一体成形されている。以下、フェンダ本体41の表面を車両外方を向く外面41a、フェンダ本体41の裏面を車両内方を向く内面41b、と称することがある。
【0048】
樹脂構造部51は、前後方向に延びる複数の前後方向リブ61a,61bおよびモール部62と、車幅方向に延びる複数の幅方向リブ63と、左右垂直面部42bの外面側(前面側)を被覆する左右一対の垂直面被覆部64と、傾斜面部42cの外面側(上前面側)を被覆する傾斜面被覆部65と、フェンダ本体41の後端縁部を被覆する後部モール部66と、フェンダ本体41の後部下側から下後方へ斜めに延びるライセンスプレート取付部67と、締結部52と、を備えている。ライセンスプレート取付部67は、軽量化のための中央開口67aと、中央開口67aの左右側に配置される左右一対の貫通孔67bと、を備えている。貫通孔67bは、ライセンスプレートを締結するボルト等を挿通する締結孔である。この貫通孔67bが繊維糸を含まない樹脂構造部51に形成されるので、ライセンスプレート着脱時の繊維糸のささくれや毛羽立ちが抑えられる。
【0049】
前後方向リブ61a,61bは、延出部45の外面側で天板部45aと左右側板部45a1との間の境界部分に沿って前後方向に延びる外側前後方向リブ61aと、延出部45の内面側で天板部45aと左右側板部45a1との間の境界部分に沿って前後方向に延びる内側前後方向リブ61bと、を備えている。外側前後方向リブ61aと内側前後方向リブ61bとは、各々の基端部をフェンダ本体41の厚さ方向で対向させ、各々の基端部の間にフェンダ本体41(繊維強化樹脂FRP)を挟み込んでいる。このため、内側前後方向リブ61bを設けることでフェンダ本体41の厚さ方向で対面側の表面に生じやすいヒケ(樹脂の収縮に伴い表面に生じる凹み)発生箇所に外側前後方向リブ61aを設けることができるため、ヒケが視認しづらくなるため意匠性を向上させることが出来る。
【0050】
モール部62は、延出部45の下縁部に沿って前後方向に延び、延出部45の下縁部を覆っている。延出部45の下縁部を繊維のない樹脂製のモール部62で覆うことで、乗員や整備士等が延出部45を把持した際に、その手にかかる負担が低減される。モール部62は、下部垂下部45dの外面も覆っている。
延出部45の後端部は、この後端部に沿って左右方向に延びる後部モール部66に覆われている。繊維強化樹脂FRP(フェンダ本体41)の端縁がモール部62,66に覆われることで、強化繊維の繊維端の露出(ささくれや毛羽立ち)を無くすための末端処理が省略可能となる。
【0051】
前後方向リブ61a,61bおよびモール部62は、延出部45の後端部まで延びている。左右の前後方向リブ61a,61bおよびモール部62の各後端部は、後部モール部66の両端部にそれぞれ接続されている。左右モール部62の後部は、ライセンスプレート取付部67の上端部両側にそれぞれ接続されている。前後方向リブ61a,61bおよびモール部62の前端部は、傾斜面被覆部65および左右垂直面被覆部64の両端部にそれぞれ接続されている。樹脂構造部51が延出部45の前後で適宜連結されることで、樹脂構造部51の射出成形時の溶融樹脂の流れが良好になる。
【0052】
前後方向リブ61a,61bおよびモール部62は、延出部45の後側(先端側)ほどフェンダ本体41からの突出高さを減少させるように(すなわち前側(基端側)ほどフェンダ本体41からの突出高さを増加させるように)設けられている。このため、片持ち梁の態様をなす延出部45の振動や荷重入力に対し、前後方向リブ61a,61bおよびモール部62によって効率よく強度剛性が確保される。
【0053】
幅方向リブ63は、前後方向と略直交する板状をなし、内側前後方向リブ61bとモール部62とを相互に連結するように設けられている。幅方向リブ63は、内側前後方向リブ61bおよびモール部62の長さ方向(前後方向)で複数設けられている。複数の幅方向リブ63は、内側前後方向リブ61bおよびモール部62の間の節として機能し、リアフェンダ40の側部の剛性を高めている。
【0054】
本実施形態のリアフェンダ40(車両用樹脂部品)は、フェンダ本体41が繊維強化樹脂FRPで形成され、このフェンダ本体41の外面41aに、部分的な補強として樹脂構造部51が設けられている。フェンダ本体41に繊維強化樹脂FRPを用いることで、薄くて軽いリアフェンダ40を得ることができる。このフェンダ本体41の剛性面で必要な部分にのみ補強としての樹脂構造部51を設けることで、軽量なフェンダ本体41を効率よく補強することが可能となる。このため、材料コストを抑えた上で高剛性のリアフェンダ40を得ることができる。フェンダ本体41と樹脂構造部51とで各々材料原着による色彩を持たせることが可能であり、外装部品のカラーバリエーションを設定することができる。
【0055】
繊維強化樹脂FRPのシートから形成されたフェンダ本体41は、細かな凹凸形状を形成することが難しいが、このフェンダ本体41に繊維糸と同素材の樹脂構造部51を一体形成することで、繊維糸に溶着して強固に一体化した細部形状を高い自由度と精度で形成することができる。よってフェンダ本体41の表面側で樹脂構造部51による意匠形状を形成することもできる。
【0056】
前後方向リブ61a,61bは、リアフェンダ40の基端側(前側)ほどフェンダ本体41からの突出高さを増加させるので、リアフェンダ40の振動や荷重入力に対する剛性を効率よく高めることができる。前後方向リブ61a,61bは、リアフェンダ40の後端まで至るので、リアフェンダ40の途中で終端する場合に比べて、リアフェンダ40の振動や荷重入力による応力集中の発生を抑えることができる。リアフェンダ40の端縁部はモール部62,66に被覆されるので、フェンダ本体41の下縁部における繊維糸のささくれや毛羽立ちを抑えることができる。左右の上下方向リブの後端部間は、リアフェンダ40の後端部を被覆する後部モール部66で連結されているので、リアフェンダ40の後縁部における繊維糸のささくれや毛羽立ちを抑えるとともに、射出成形時の溶融樹脂の流路を確保して先細りの前後方向リブ61a,61bの後端側の成形性を高めることができる。
【0057】
前後方向リブ61bとモール部62との間に複数の横リブが設けられることで、複数の横リブが前後方向リブ61bとモール部62との間に渡る節となり、重量増加を抑えた上で側板部45a1全体を効率よく補強し、もってリアフェンダ40全体を効率よく補強することができる。前後方向リブ61a,61bがフェンダ本体41の厚さ方向で互いに対向しているので、内外の前後方向リブ61a,61bが互いに補強し合うこととなり、リアフェンダ40の剛性を効果的に高めることができる。このため、内側前後方向リブ61bを設けることでフェンダ本体41の厚さ方向で対面側の表面に生じやすいヒケ(樹脂の収縮に伴い表面に生じる凹み)発生箇所に外側前後方向リブ61aを設けることができるため、ヒケが視認しづらくなるため意匠性を向上させることが出来る。
【0058】
前後方向リブ61a,61bおよびモール部62の各々の前端部が、フェンダ本体41の段差状の傾斜面部42cおよび垂直面部42bを被覆する被覆部に連結されているので、フェンダ本体41の段差形状と被覆部とによる高剛性部位に前後方向リブ61a,61bおよびモール部62を連結することができ、リアフェンダ40の剛性を効果的に高めることができる。車体取り付け部42の締結座面を形成する締結部52が繊維糸を含まない樹脂で形成されるので、リアフェンダ40の着脱時に繊維糸のささくれや毛羽立ちを抑えることができる。締結部52における繊維糸を含む層の厚さが抑えられるので、繊維糸を含む層が経年劣化で痩せて車体取り付け部42にガタ等を生じさせることを抑止することができる。
【0059】
以上説明したように、上記実施形態における車両用樹脂部品(リアフェンダ40)は、樹脂繊維を用いた繊維強化樹脂FRPからなるフェンダ本体41と、前記樹脂繊維と同質の樹脂材料からなり、少なくともフェンダ本体41の車両外方に露出する外面41aに設けられ、フェンダ本体41と一体形成される樹脂構造部51と、を備えている。
この構成によれば、フェンダ本体41に含まれる強化繊維と、フェンダ本体41と一体形成される樹脂構造部51の樹脂材料と、が互いに同質の素材であるため、これらが異質の素材である場合と比較して、樹脂構造部51のフェンダ本体41への結合力を高めることができる。また、樹脂からなる繊維素材を用いて母体となるフェンダ本体41を構成することで、炭素等からなる従来の繊維素材を用いる場合に比べて、高い剛性を得ながらも母体をたわみやすくし、衝撃吸収を可能として保護機能を持たせることができる。また、樹脂構造部51が車両外方に露出する外面41aに設けられるので、樹脂構造部51を意匠としても利用し、デザイン性を高めることができる。
【0060】
また、上記車両用樹脂部品において、フェンダ本体41は、樹脂繊維に比して融点が低いマトリクス樹脂を有する繊維強化樹脂FRPから構成される。
この構成によれば、フェンダ本体41は、樹脂繊維に比して融点が低いマトリクス樹脂を有するため、樹脂構造部51との結合の際にマトリクス樹脂が溶融しやすく、結合力を高めることが出来る。
【0061】
また、上記車両用樹脂部品において、樹脂構造部51は、フェンダ本体41の外面41aから車両外方に突出して設けられている。
この構成によれば、フェンダ本体41の外方に突出して樹脂構造部51を形成することで、樹脂部品の剛性を向上させることに加え、樹脂部品のデザイン自由度を高めることができる。すなわち、樹脂材料同士の結合力により樹脂構造部51の剥離が抑制されるため、外乱の影響を受け易い外面41aにも意匠としての樹脂構造部51を設けることができ、樹脂構造部51を含んだ斬新なデザインを得ることができる。
【0062】
また、上記車両用樹脂部品において、樹脂構造部51は、フェンダ本体41の樹脂繊維の指向方向に対して交差する方向に延びる補強部(前後方向リブ61a,61bおよびモール部62)を備えている。
この構成によれば、樹脂繊維の異方性を補うように延びる補強部を設けることで、繊維シートの積層枚数を増やすことなく樹脂部品の剛性を向上させることができる。フェンダ本体41をプレス成型する場合は、繊維シートの積層枚数を増やす場合に比べて、熱プレスの均一加熱を行いやすく、成形性を高めることができる。
【0063】
また、上記車両用樹脂部品において、補強部は、フェンダ本体41の車体取り付け部42から車体取り付け部42と反対側の端部まで延びるとともに、側面視で端部側ほど徐々にフェンダ本体41からの突出高さが低くなる。
この構成によれば、フェンダ本体41の車体取り付け部42から車体取り付け部42と反対側の端部までの間で補強部が延びるので、補強部が途中で終端する場合に比べて、補強部の終端位置で応力集中が生じることを抑止することができる。応力が生じやすい基端側(車体取り付け部42側)では、補強部の突出高さにより剛性を確保し、基端側に比べて応力が発生し難い端部側では、補強部を低くして軽量化を図ることができる。
【0064】
また、上記車両用樹脂部品において、樹脂構造部51は、フェンダ本体41から車両外方に突出して設けられる外側補強部(外側前後方向リブ61a)と、フェンダ本体41から車両内方に突出して設けられる内側補強部(内側前後方向リブ61b)と、を備え、外側補強部および内側補強部は、フェンダ本体41の厚さ方向でフェンダ本体41の一部を挟んで互いに対向して設けられている。
この構成によれば、内外の補強部を射出成形する際、金型Mにおける内外の補強部を形成する部位では、繊維強化樹脂FRPが溶融樹脂の射出時の抵抗となり難いので、樹脂構造部51の成形が容易になり、射出圧を下げて成形することが可能となり、製造コストを抑えることができる。
なお、樹脂構造部51と樹脂繊維とは同質の素材であり、両射出空間に挟まれた繊維強化樹脂FRPが厚さ方向で位置ずれしてもリアフェンダ40の剛性への影響は少ないため、繊維強化樹脂FRPの厚さ方向の位置精度はさほど求めなくてもよい。
【0065】
また、上記車両用樹脂部品において、樹脂繊維と同質の樹脂材料からなり、樹脂構造部51に連続してフェンダ本体41と一体形成される部品取付部(ライセンスプレート取付部67)を備えている。
この構成によれば、樹脂構造部51とともに部品取付部を一体成形することで、部品取付部が成形容易であるとともに、部品取付部は繊維レスであるため、部品の取り付けや外乱の影響等を受けても繊維が露出せず、外観を良好にするとともに、樹脂繊維が部品の取り付けの妨げになることを防ぐことができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、樹脂繊維強化樹脂は、ポリプロピレン繊維強化プラスチックに限らず、セルロース繊維やアラミド繊維等、ポリプロピレン以外の樹脂繊維を用いたものであってもよい。
本発明を適用する車両用樹脂部品は、リアフェンダに限らず、フロントフェンダやシュラウド等の他の外装部品、さらにはエアクリーナボックス等の機能部品であってもよい。
前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。また、鞍乗り型車両に限らず、車室を有する車両に適用してもよい。
【0067】
図15は、本発明をシュラウド37に適用した例を示す。この例では、樹脂構造部51は、繊維強化樹脂FRPの補強部ではなく、樹脂部品の外観構成部として用いられている。つまり、樹脂繊維は、カーボン繊維やガラス繊維に比べて、材料原着により色彩を持たせることが可能であるため、樹脂構造部51を外面に突出させるのではなく、フェンダ本体41の外面端部に並べて(連ねて)一体成形することで、例えば材料原着により色彩を持たせた樹脂構造部51と繊維強化樹脂FRPからなる樹脂部品本体とから意匠面を構成することが可能であり、カラーバリエーション豊かで且つ剛性(接合強度)の高い外装部品を提供可能である。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。