(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798982
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】バッテリーシステム及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20201130BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20201130BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20201130BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20201130BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20201130BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20201130BHJP
【FI】
H01M2/10 S
H01M2/10 F
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6567
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-516747(P2017-516747)
(86)(22)【出願日】2015年9月22日
(65)【公表番号】特表2017-533546(P2017-533546A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】EP2015071632
(87)【国際公開番号】WO2016046147
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2018年8月21日
(31)【優先権主張番号】102014114020.6
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515239892
【氏名又は名称】オブリスト テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】フランク オブリスト
(72)【発明者】
【氏名】マルティン グラーツ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ゲオルク ロート
【審査官】
結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0242423(US,A1)
【文献】
特開2014−116310(JP,A)
【文献】
特開2014−116313(JP,A)
【文献】
特開2012−199148(JP,A)
【文献】
特開2011−119157(JP,A)
【文献】
特開2012−238393(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/086989(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/086991(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/120688(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/119037(WO,A1)
【文献】
米国特許第07433794(US,B1)
【文献】
特開平10−270095(JP,A)
【文献】
特開平10−270006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/643
H01M 10/6556
H01M 10/6567
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体接続セグメント(12)と、エネルギー貯蔵セグメント(13)と、電気/電子セグメント(14)と、を有するハウジング(11)を備えたバッテリーシステム(10)であって、前記エネルギー貯蔵セグメント(13)は、少なくとも2つの貫流可能な冷却エレメント(15)と、少なくとも1つのセルブロック(16)と、を有しており、前記セルブロックはそれぞれコンタクトプレート(15)によって電気的及び機械的に接続された複数のバッテリーセル(17)から形成されており、前記セルブロック(16)は2つの冷却エレメント(15)の間に配置されており、
前記エネルギー貯蔵セグメント(13)は、前記流体接続セグメント(12)と電気/電子セグメント(14)との間に配置されており、前記ハウジング(11)の全内容積の少なくとも0.5倍に相当する直方体容積を有し、
前記エネルギー貯蔵セグメント(13)は、少なくとも1つの下部冷却エレメント(15a)、下部セルブロック(16a)、中間冷却エレメント(15b)、上部セルブロック(16b)、及び上部冷却エレメント(15c)を有することを特徴とするバッテリーシステム(10)。
【請求項2】
前記直方体容積は、前記ハウジング(11)の全内容積の少なくとも0.55倍に相当することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項3】
前記バッテリーセル(17)は、円筒セルによって形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項4】
前記ハウジング(11)は、最高で200mmの全高を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項5】
すべての取外し可能な電気接続(21)及び/又はすべての取外し可能な流体接続(20)は、前記ハウジング(11)の外部に配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項6】
前記セルブロック(16)に沿って側方に、前記エネルギー貯蔵セグメント(13)に割当てられる、バッテリー監視システムのための電子基板が配置されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリーシステム(10)を備えた自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された、特にハイブリッド駆動のためのバッテリーシステム並びに斯かるバッテリーシステムを備えた自動車に関する。斯かるバッテリーシステムは、例えば同一出願人に帰する欧州特許出願公開第2744034(A1)号明細書により知られている。
【背景技術】
【0002】
既知のバッテリーシステムでは、ハウジング内に、冷却エレメントによって互いに分離された、セルブロックが配置されている。セルブロックの端側には流体接続が設けられており、個々のセルブロックの相互の配線が流体接続の間に配置されている。この点でハウジングは複数のセグメントに分割され、エネルギー貯蔵セグメントと、電気/電子セグメントと、少なくとも1つの流体接続セグメントと、が区別される。
【0003】
具体的には欧州特許出願公開第2744034(A1)号明細書によるバッテリーシステムでは2つの流体接続セグメントが設けられており、それら間に電気/電子セグメントが延びている。流体接続セグメント及び電気/電子セグメントはエネルギー貯蔵セグメントの同じ端側に配置されている。流体接続セグメントには複数の流体路をまとめて案内するための接続配管が設けられているが、これらは比較的大きい構成スペースを占め、これが既知のバッテリーシステムの外寸に関して不利であることが明らかとなった。更に、電気/電子セグメントと流体接続セグメントが空間的に近いことは懸念すべきであることが分かった。
【発明の概要】
【0004】
従って本発明の課題は、冒頭で述べた形式のバッテリーシステムを、サイズがコンパクトで運転安全性が高められるように改良することである。更に本発明の課題は、斯かるバッテリーシステムを有する車両を提供することである。
【0005】
本発明によりこの課題は特許請求項1の対象によって解決される。
【0006】
これにより、流体接続セグメントと、エネルギー貯蔵セグメントと、電気/電子セグメントと、を有するハウジングを備えた、特にハイブリッド駆動のためのバッテリーシステムが提案される。エネルギー貯蔵セグメントは、少なくとも2つの貫流可能な冷却エレメントと、1つのセルブロックと、を有している。セルブロックは、コンタクトプレートによって電気的に接続された複数のバッテリーセルから形成される。この場合、セルブロックは2つの冷却エレメントの間に配置されている。本発明によれば、エネルギー貯蔵セグメントは流体接続セグメントと電気/電子セグメントとの間に配置される。
【0007】
バッテリーシステムを本発明に従って構成することにより、一方では流体接続セグメントと電気/電子セグメントとがエネルギー貯蔵セグメントによって互いに分離されているので運転安全性が高められる。特に流体接続セグメントはハウジングの一方の端側に配置され、電気/電子セグメントは反対の端側に配置でき、その結果として構造的な分離がもたらされて熱事象に伴う短絡の危険が低減される。
【0008】
更に、本発明においてエネルギー貯蔵セグメントは、ハウジングの全内容積の少なくとも0.5倍に相当する直方体容積を有するようにされている。これにより特に高いパッケージ密度がもたらされ、その結果としてバッテリーシステム、特にハウジングの外寸は既知のバッテリーに対して縮小されている。これによりバッテリーシステムをハイブリッド駆動に統合する別の可能性が開かれると同時に、高い貯蔵容量が提供される。このバッテリーシステムを車両に使用すると、バッテリーシステムのコンパクトな寸法にもかかわらず車両の航続距離を高めることができる。
【0009】
本発明の特に好適な実施形態において、エネルギー貯蔵セグメントは少なくとも3つの貫流可能な冷却エレメントと、少なくとも2つの互いに上下に配置されたセルブロックと、を有しており、2つの冷却エレメントの間にそれぞれ1つのセルブロックが配置されている。
【0010】
小さい外寸で貯蔵密度を更に高めるために、若しくは等しい貯蔵密度で外寸を更に縮小するために、本発明の特に好適な変形例において直方体容積は、ハウジングの全内容積の少なくとも0.55倍、特に少なくとも0.6倍、特に少なくとも0.62倍、特に少なくとも0.65倍に相当するようにされている。これに関連して注記すると、直方体容積は、個々のセグメントの各辺の長さを測定することによって求められる。
【0011】
バッテリーシステムのバッテリーセルは、特にタイプ18650の、特に円筒セルによって形成されてよい。斯かる円筒セルは安い単価で大量に入手できるので、バッテリーシステムを廉価に生産することが可能である。
【0012】
バッテリーシステムのコンパクトな外寸に関して、ハウジングは、最高で200mm、特に最高で190mm、特に最高で180mm、特に最高で170mm、特に最高で160mmの全高を有すると好都合である。
【0013】
本発明の好適な変形例においてすべての取外し可能な電気接続及び/又はすべての取外し可能な流体接続はハウジングの外部に配置されている。このことはバッテリーシステムの運転安全性の向上に寄与する。なぜなら取外し可能な流体接続に漏れが生じてもハウジングの内部に液体が溜まらないからである。むしろ電流を帯びている部材との有利な分離が生み出されている。
【0014】
セルブロックに沿って側方に、エネルギー貯蔵セグメントに割当てられる、バッテリー監視システムのための電子基板を配置できる。電子基板は個々のバッテリーセルの電圧及び/又は温度を監視するために使用でき、有利にはセルブロックと連結されて、バッテリーシステムに内蔵することによりエネルギー貯蔵セグメントの直方体容積は最大限でも僅かしか変化せず、好ましくは変化しないままであるように構成されている。
【0015】
本発明は付帯的な側面の枠内で更に、上記のバッテリーシステムを備えた自動車、特にハイブリッド車に関する。バッテリーシステムの外寸が小さいと同時に貯蔵密度が高いためにバッテリーシステムは簡単且つ省スペースで車両に統合できる。
【0016】
以下に本発明を実施例に基づき、添付の模式的な図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明によるバッテリーシステムのハウジングの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
バッテリーシステムは、流体接続セグメント12と、エネルギー貯蔵セグメント13と、電気/電子セグメント14と、に区分されるハウジング11を有している。この機能区分は、エネルギー貯蔵セグメント13が実質的に直方体容積を有しており、その中に少なくとも2つの互いに上下に配置されたセルブロック16が配置され、それぞれ2つの貫流可能な冷却エレメント15の間に配置されている構造を反映している。
【0019】
エネルギー貯蔵セグメント13は、直方体の外縁によって画定され、少なくとも1つの下部冷却エレメント15aと、下部セルブロック16aと、中間冷却エレメント15bと、上部セルブロック16bと、上部冷却エレメント15cと、を有する。セルブロック16はそれぞれ複数のバッテリーセル17から形成され、コンタクトプレートによって互いに電気的及び機械的に接続されている。従って全体として直方体容積の高さは、冷却エレメント15とセルブロック16とからなる層構造より計算され、セルブロック16の高さはバッテリーセル17の高さにコンタクトプレートの厚さの2倍を加えたものに相当する。
【0020】
好ましくはエネルギー貯蔵セグメントに対して少なくとも全内容積の0.5倍に相当する直方体容積が生成される。特にハウジングは直方体形の内容積を有するようにされている。具体的な実施形態において直方体容積はまた、ハウジング11の全内容積の少なくとも0.55倍、特に少なくとも0.6倍、好ましくは少なくとも0.62倍、特に有利には少なくとも0.65倍に相当してよい。
【0021】
具体的な構造においてハウジング11の内容積は約54リットルであり、セルブロック16の直方体容積は約36リットルである。
【0022】
バッテリーセルは、円筒セルによって形成されている。円筒セルは例えばそれぞれ断面直径18mm及び高さ65mmを有することができる。円筒セルはタイプ18650のリチウムイオン電池であることが好ましい。この場合、バッテリーセル17は直列に列配置され、バッテリーセル17の互いに並置された複数の列がセルブロック16にまとめられるようにすることができる。それぞれ隣接する列は互いにずらして配置でき、特にそれぞれセル直径約半分ずらすとセルブロック16の内部で特に高いパッケージ密度が達成される。これはバッテリーシステムの全体寸法に肯定的な影響を与える。換言すれば、ハウジング11の大きさは変わらずに高められたエネルギー貯蔵器密度を達成できる。
【0023】
バッテリーシステム10の図に示された実施例では、セルブロック16当り合計768つのバッテリーセル17が設けられている。バッテリーセル17の数は多いにもかかわらず、ハウジング11は、好ましくは160mm〜180mm、特に約170mmの全高を有する。
【0024】
冷却エレメント15は、フレキシブルな外壁を有する冷却袋若しくは冷却バッグとして形成されてよい。いずれの場合も冷却エレメント15は冷媒が貫流でき、そのために冷却エレメント15はそれぞれ流体接続20を含んでいる。流体接続20は各々の冷却エレメント15の接続端に配置されており、エネルギー貯蔵セグメント13から出て流体接続セグメント12内に延びている。流体接続セグメント12はハウジング11の後端壁19によって制限されている。冷却エレメント15と一体的に、従って取外しできないように結合されている流体接続20は、後端壁19を貫通して延び、後端壁19内で固定されシールされている。
【0025】
流体接続セグメント12とは反対のエネルギー貯蔵セグメント13の側には電気/電子セグメント14が配置されている。電気/電子セグメント14は、ハウジング11の前端壁18でセルブロック16を電気接続21と接続するために必要なすべての電気配線及び電子部材を含んでいる。電気接続21は電流接続も信号及び/又はデータ接続も含むことができる。
【0026】
電気接続21は前端壁18の外側に配置されて、前端壁18に固定され、前端壁18に対してシールされている。電気接続21及び流体接続20は、ハイブリッド駆動のバッテリーシステムと統合するためにレセプタクルを提供する。図に示された実施例では好適にはすべての取外し可能な電気接続21及びすべての取外し可能な流体接続20は、ハウジング11の外部に配置されている。これによりバッテリーシステム10の運転安全性が高められる。しかしながらパッケージ密度を増すために、流体接続20又は電気接続21のいずれかをハウジングの外部に配置することも考えられる。
【0027】
完全を期して言えば、バッテリー監視を提供するために、エネルギー貯蔵セグメント13は追加的にセルブロック16と直接機械的及び電気的に接続された1つ以上の電子基板を有することができる。電子基板は実質的に個々のバッテリーセル17の個々の列を通して電圧を取り出すことを可能にする。同時に電子基板を個々のセルブロック16の温度測定に利用することができる。実質的に電子基板はセルブロック16に沿った側面に同一平面で配置されて、電子基板が完全にエネルギー貯蔵セグメントの直方体容積内に完全に入るようになっている。斯かる電子基板は、各セルブロック16に好ましくはそれぞれ1つのみ配置されており、直方体容積を計算する際には電気/電子セグメント14ではなくエネルギー貯蔵セグメント13bに加算される。この場合、電子基板は好ましくはセルブロック16のコンタクトプレートの間に密に同一平面で統合されており、直方体容積の計算にはほとんど影響しない。
【符号の説明】
【0028】
10 バッテリーシステム
11 ハウジング
12 流体接続セグメント
13 エネルギー貯蔵セグメント
14 電気/電子セグメント
15 冷却エレメント
15a 下部冷却エレメント
15b 中間冷却エレメント
15c 上部冷却エレメント
16 セルブロック
16a 下部セルブロック
16b 上部セルブロック
17 バッテリーセル
18 前端壁
19 後端壁
20 流体接続
21 電気接続