(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798984
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】バッテリーシステム
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20201130BHJP
H01M 10/613 20140101ALN20201130BHJP
H01M 10/6556 20140101ALN20201130BHJP
H01M 10/625 20140101ALN20201130BHJP
H01M 10/6554 20140101ALN20201130BHJP
H01M 10/617 20140101ALN20201130BHJP
B60K 6/28 20071001ALN20201130BHJP
【FI】
H01M2/10 SZHV
!H01M10/613
!H01M10/6556
!H01M10/625
!H01M10/6554
!H01M10/617
!B60K6/28
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-516750(P2017-516750)
(86)(22)【出願日】2015年9月22日
(65)【公表番号】特表2017-535917(P2017-535917A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】EP2015071630
(87)【国際公開番号】WO2016046145
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2018年8月6日
(31)【優先権主張番号】102014114019.2
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515239892
【氏名又は名称】オブリスト テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】フランク オブリスト
(72)【発明者】
【氏名】マルティン グラーツ
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ボント
【審査官】
結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/120770(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/008321(WO,A1)
【文献】
特開2010−238554(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0295208(US,A1)
【文献】
特開2014−116313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
B60K 6/28
B60L 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(11)と、前記ハウジング(11)の内部に配置された複数のバッテリーセル(21)と、を備えたバッテリーシステム(10)であって、前記バッテリーセルが1つのセルブロック(20)にまとめられており、前記セルブロック(20)と前記ハウジング(11)の少なくとも1つのハウジング壁(12)との間に可変の内部容積を備えた容器が配置されており、前記容器によって前記セルブロック(20)が前記ハウジング(11)に対して緊定可能であり、
前記容器は硬化可能な若しくは硬化した媒体(25)で充填されており、
前記ハウジング壁(12)は、外方に変形されて、前記ハウジングの内部に向かう緊定力を、前記容器を介して前記セルブロック(20)に及ぼしており、前記容器は、前記セルブロックの、横側(14)、上側(15)、下側(16)及び端側(17)を含む4つの側を包囲していること、を特徴とするバッテリーシステム(10)。
【請求項2】
前記容器は圧力バッグ(30)であることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項3】
前記容器は、少なくとも1.5バールの圧力強度を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項4】
前記容器は、それぞれの縁部によって互いに溶接された2つの複合フィルムによって形成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項5】
前記複合フィルムのそれぞれは、ポリプロピレンからなる結合層とポリアミドからなる支持層とを有することを特徴とする、請求項4に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項6】
前記容器は、前記セルブロックの端側に配置可能な又は配置された、ピンチ弁又は逆止め弁からなる供給弁を備えていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項7】
前記媒体は、発泡体、樹脂、エポキシ樹脂又はゲルであるプラスチックであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項8】
前記ハウジングは、2mm〜5mmの壁厚を有する鋼板から形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーシステム(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのバッテリーシステム(10)を備えた自動車。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーシステム(10)の組立方法であって、
a)前記容器の中央領域を前記セルブロックの横側に配置するステップと、
b)前記容器の前記中央領域から張り出す2つの縁領域を折り曲げて、一方の縁領域を前記セルブロックの上側に置き他方の縁領域を前記セルブロックの下側に置くステップと、
c)前記容器の一方の前記縁領域から突出する前方領域を折り曲げて、前記前方領域を前記セルブロックの端側に置くステップと、
d)前記容器で包囲された前記セルブロックを前記ハウジング内に配置するステップと、
e)硬化可能な媒体を前記容器内に圧力下で充填するステップと、
f)前記媒体を硬化させるステップと、
を実行する、バッテリーシステム(10)の組立方法。
【請求項11】
前記硬化可能な媒体の充填は、0.3バール〜2バールの圧力で行われることを特徴とする、請求項10に記載のバッテリーシステム(10)の組立方法。
【請求項12】
前記硬化可能な媒体を充填し又は硬化させる際に、前記ハウジングは少なくとも前記容器の前記縁領域に関連する前記ハウジング壁で弾性的に変形することを特徴とする、請求項10又は11に記載のバッテリーシステム(10)の組立方法。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーシステム(10)用の圧力バッグを製造する方法において、2つの複合フィルムが互いに一致して配設され、且つ、それらの縁部が一緒に溶接され、前記溶接はレーザビームによって行われる、方法。
【請求項14】
前記複合フィルムは互いに一定の間隔で走る2つの溶接線で接続される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前提部に記載された、特にハイブリッド駆動のためのバッテリーシステムに関する。更に本発明は、斯かるバッテリーシステムを備えた自動車及び製造方法に関する。冒頭に記載した種類のバッテリーシステムは、例えば同一出願人の欧州特許出願公開第2744034(A1)号明細書により知られている。
【背景技術】
【0002】
上記の欧州特許出願公開第2744034(A1)号明細書は、ハウジングの内部に配置されたバッテリーセルからなる複数のセルブロックを有するバッテリーシステムを開示している。セルブロックとハウジングとの間には空気又は窒素を充填できる圧力ポケットが配置されている。従って一般的にセルブロックをハウジングに対して緊定するために、圧縮可能な媒体が充填された、可変の内部容積を備えた容器が設けられている。この方式によるバッテリーシステムの個々の部材の緊定は全く有利であるにも拘わらず、バッテリーシステムの改良の過程で、バッテリーシステムの量産使用にとってはリスクがあることが分かった。例えば圧力ポケット内の圧力が温度の変動によって変化し、それによりセルブロックに異なる緊定力が作用する危険がある。更に、圧力ポケットが例えば老化作用によって不密になり、それにより押圧機能を失う危険がある。従って全体としてバッテリーシステムの内部で長期的に安定した緊定は保証され得ない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の課題は、個々の部材の持続的に安定な緊定を備えたバッテリーシステムを提供することである。更に、本発明の課題は、斯かるバッテリーシステムを備えた自動車及びバッテリーシステムの組立方法及びバッテリーシステム用の圧力バッグを製造する方法を提供することである。
【0004】
この課題は本発明により、バッテリーシステムに関しては、特許請求項1の対象によって、自動車に関しては特許請求項11の対象によって、バッテリーシステムの組立方法に関しては特許請求項12の対象によって、及びバッテリーシステム用の圧力バッグの製造方法に関しては特許請求項15の対象によって解決される。
【0005】
本発明の基礎をなす思想は、バッテリーシステムが、ハウジングと、ハウジングの内部に配置された複数のバッテリーセルと、を含む、特にハイブリッド駆動のためのバッテリーシステムを提供することである。バッテリーセルは、1つのセルブロックにまとめられている。セルブロックとハウジングの少なくとも1つのハウジング壁との間に可変の内部容積を備えた容器が配置されている。容器によってセルブロックがハウジングに対して緊定され得る。本発明によれば、容器は硬化可能な若しくは硬化したプラスチックで充填されている。
またハウジング壁は、外方に変形されて、ハウジングの内部に向かう緊定力を、容器を介してセルブロックに及ぼしている。
【0006】
冒頭に記載したバッテリーシステムのこの改良において、可変の内部容積を備えた容器には硬化可能な媒体が充填される。これは好ましくは圧力下で行われるので、バッテリーシステムを組み立てる際にセルブロックに付勢が加えられる。特にセルブロックはハウジング壁に対して緊定される。硬化可能な媒体を使用することによって、媒体が硬化した後で付勢がセルブロックに一定に作用することが達成される。硬化した媒体は好ましくは圧縮不能であるため、例えば温度変化はセルブロックに対する圧力負荷にほとんど影響しない。最後に、硬化した媒体は形状安定なため漏れの危険もなくなる。従って容器が破損した場合でさえ付勢は維持される。
【0007】
容器は圧力バッグであることが好ましい。圧力バッグは、特に縁部が溶接された2つのフィルムから形成されてよい。容器は圧力バッグとして特に簡単且つ廉価に製造可能である。
【0008】
本発明によるバッテリーシステムの特に好適な変形例において、ハウジング壁は外方に変形し、特に湾曲している。この場合、ハウジング壁はハウジング内部に向けられた緊定力をセルブロックに加える。緊定力は特に容器を介して若しくは圧力バッグを介してセルブロックに及ぼされる。従って持続的にセルブロックに作用する付勢力は容器若しくは硬化可能な媒体に由来するものではなく、ハウジングによって持続的にもたらされるのである。圧力下で容器若しくは圧力バッグに充填される硬化可能な媒体がハウジング壁を弾性的に変形させ、ハウジング壁の復元力がハウジング内部に向けられた緊定力を生み出す。この緊定力は、硬化した媒体が形状安定に充填された容器若しくは圧力バッグからセルブロックに伝えられる。この付勢力をセルブロックに加えるための原理は、特に耐久性がある。外方に変形したハウジング壁は実質的に板ばねのように作用して、硬化した媒体が充填された容器を押圧し、容器がこの緊定力をセルブロックに伝える。
【0009】
容器は、特に圧力バッグは、セルブロックの4つの側を包囲できる。特に容器若しくは圧力バッグはセルブロックの上側、下側、横側及び端側を包囲するようにされてよい。この容器若しくは圧力バッグの配置構成は、一方ではセルブロックに対する付勢をすべての側から達成するために、他方では容器若しくは圧力バッグの構造をできるだけ単純に形成するために特に効果的である。特に容器若しくは圧力バッグをセルブロックの互いに反対側の上側と下側に配置することは、バッテリーシステムを組み立てる際に有利である。容器若しくは圧力バッグを2つの側に配置することによって、容器若しくは圧力バッグに硬化可能な媒体を充填する際にセルブロックがハウジング内で移動しないことが確保される。
【0010】
容器若しくは圧力バッグは、少なくとも1.5バールの耐圧性を有することが好ましい。容器若しくは圧力バッグの耐圧性が少なくとも2バール、特に少なくとも2.5バールに等しければ特に好適である。それにより媒体が完全に硬化するまで、容器若しくは圧力バッグが硬化可能な媒体による圧力作用に耐えることが確保される。
【0011】
容器の、特に圧力バッグの特に簡単な製造は、容器が2つの縁部によって互いに溶接された複合フィルムによって形成されていることによって達成される。双方の複合フィルムは実質的に同一の層構造を有することができ、若しくは生産方法を更に簡単にするために同一に形成されてよい。
【0012】
有利には複合フィルムはそれぞれ1つの、特にポリプロピレンからなる結合層と、特にポリアミドからなる支持層と、を有する。結合層が溶接可能であれば目的に適っており、これにはポリプロピレンが特に適している。支持層は特に複合フィルム安定化若しくは構造形成の働きをする。容器若しくは圧力バッグを生産する際には、双方の複合フィルムを好ましくはそれら結合層で互いに配設し且つレーザビームによって一緒に溶接する。その際に特に高速のスキャナーレーザー溶接法を使用でき、それによって容器若しくは圧力バッグの生産プロセスが加速される。
【0013】
容器若しくは圧力バッグは好ましくは供給弁を含んでいる。供給弁はセルブロックの端側に配置可能であるか又は配置されている。供給弁はピンチ弁又は逆止め弁であってよい。供給弁をセルブロックの端側に配置することは、製造上の理由から有利である。そうするとセルブロックを未充填の容器若しくは圧力バッグと一緒にハウジングバッテリーシステムに差し込むことができる。続いてハウジングの端側の開口部を通して硬化可能な媒体を容器に充填できる。その際に容器が拡張してハウジングのハウジング壁を伸ばすので、ハウジング壁は外方に湾曲して付勢される。十分な量の硬化可能な媒体が容器に充填されたら、直ちに硬化可能な媒体の供給チューブを供給弁から取り外すことができる。供給弁が逆止め弁として形成されている場合、これが自動的に媒体の流出を阻止する。続いてハウジングの端側を終端キャップで閉じることができ、それによってバッテリーシステムの組立は完了する。
【0014】
硬化可能な又は硬化した媒体はプラスチックであることが好ましい。特に媒体は発泡体、好ましくは高強度発泡体、樹脂、好ましくはエポキシ樹脂、又はゲルであることができる。発泡体を使用する特別な利点は、媒体を充填した後で媒体が自動的に拡張してハウジング壁に追加の圧力をかけて付勢することにある。これに対して樹脂は耐漏れ性に関して利点がある。たとえ容器若しくは圧力バッグが例えば老化が原因で破損し若しくは透過するようになっても、樹脂は堅固なブロックを形成してハウジング壁に対する与圧を維持する。
【0015】
ハウジングは、2mm〜5mmの鋼板から形成できる。特に鋼板は2.5mm〜4mmの壁厚を有することができる。特に有利なのは3mmの壁厚を備えた鋼板を使用することである。セルブロックに弾性的付勢力を加えることができるように、鋼板はばね鋼から形成されていることが好ましい。特にハウジングの材料として高張力微粒子構造用鋼の使用が想定されている。一般にハウジングに使用される鋼板の最小降伏点R
p0.2は500を上回るべきである。引張強さR
mは400以上とすべきである。セルブロックの付勢に適した特に良好な弾性を有する鋼は、規格DINEN10027−2:2013−09に従う材料番号1.0060である。斯かる鋼は略称ST60−2若しくはE335でも知られている。
【0016】
付帯的な態様によれば、本発明は少なくとも1つの上記のバッテリーシステムを備えた自動車、特にハイブリッド車を提供するという思想に基づいている。
【0017】
本発明の別の付帯的な態様は、上記のバッテリーシステムを組み立てる方法に関する。本発明による方法において、
a)容器の、特に圧力バッグの中央領域をセルブロックの横側に配置するステップと、
b)容器の、特に圧力バッグの、上側を越えて張り出す縁領域を折り曲げて、それぞれ1つの縁領域をセルブロックの上側及び下側に敷くステップと、
c)容器の、特に圧力バッグの、中央領域を越えて突出する前方領域を折り曲げて、前方領域をセルブロックの端側に敷くステップと、
d)容器で、特に圧力バッグで包囲されたセルブロックをハウジング内に配置するステップと、
e)硬化可能な媒体を容器内に、特に圧力バッグ内に圧力下で充填するステップと、
f)媒体を硬化させるステップと、が実行される。
【0018】
本発明による方法は、ハウジングの内部でセルブロックが緊定されているバッテリーシステムを特に簡単に製造することを可能にする。この場合、セルブロックに作用する緊定力は、ハウジングによって持続的に加えられる。硬化可能な媒体を充填すると、媒体が原因で容器内の圧力が一時的に上昇する。これに加えて媒体の硬化過程により更に圧力が加えられる。容器の内部の圧力はハウジングの膨張を引き起こし、それによりハウジングは弾性的に付勢される。ハウジング若しくはハウジング壁は最初の状態に戻ろうとして、セルブロックに緊定力を及ぼす。
【0019】
硬化可能な媒体の充填は、0.3バール〜2バールの圧力で行われるのが好ましい。特に硬化可能な媒体を充填する際の圧力は、0.35バール〜1.5バール、特に0.4バール〜1バール、好ましくは0.45バール〜0.7バール、特に有利には0.5バールの充填圧力で行われるようにされている。
【0020】
硬化可能な媒体の充填及び/又は硬化において、ハウジングは弾性的に変形されることが有利である。この弾性的変形は、特に容器若しくは圧力バッグの縁領域に関連するハウジング壁で行われる。つまり具体的にはハウジングの上側及び下側が弾性的に変形されて、ハウジング内部に作用する緊定力を発生させるようにされている。
【0021】
更に本発明の枠内で、冒頭に記載したバッテリーシステムのために、2つの複合フィルムが実質的に互いに一致して配設され、且つ、それら縁部が一緒に溶接される、圧力バッグを製造する方法が開示及び請求される。溶接はレーザビームによって行われるのが好ましい。この製造方法は特に簡単且つ廉価に実現可能であり、それゆえ量産製造によく適している。
【0022】
複合フィルムの縁部の溶接は、スキャナーレーザー溶接法によって行うことができる。複合フィルムは2つの溶接線で接続されてもよく、その場合2つの溶接線は互いに一定の間隔で走る。これは追加の漏れ防止を形成する。特にそうすることによって冗長性が生み出されて、一方の溶接シームに漏れが生じた場合でも圧力バッグの密閉性が確保される。
【0023】
以下に本発明を添付の模式的な図面を参照して実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明によるバッテリーシステムのための容器の、特に圧力バッグの斜視図である。
【
図2】
図1に従う容器若しくは圧力バッグを有する、本発明によるバッテリーシステムのセルブロックの斜視図である。
【
図4a】圧力バッグに硬化可能な媒体を充填する前の、
図2に従うセルブロックを備えたバッテリーシステムのハウジング断面図である。
【
図4b】圧力バッグに硬化可能な媒体を充填した後の、
図2に従うセルブロックを備えたバッテリーシステムのハウジング断面図である。
【
図5】
図2に従うバッテリーシステムのセルブロックの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、例として好ましくは圧力バッグ30として形成された可変の内部容積を備えた容器が示されている。圧力バッグ30は実質的にバッグ状若しくはクッション状に形成されており、縁部で互いに溶接された2つの複合フィルムからなる。圧力バッグ30のジオメトリは、中央領域31と、2つの縁領域32と、前方領域33とに区分される。ここで前方領域33は一方の縁領域32を起点としている。これら縁領域32は、中央領域31によって互いに分離されている。前方領域33には供給弁34が配置されている。供給弁34は実質的に逆止め弁として形成されており、圧力バッグ30と固く接続され、例えば接着又は溶接されている。
【0026】
圧力バッグは硬化可能な媒体35、好ましくはプラスチックを充填できる。硬化可能な媒体35として特に発泡体又は樹脂、例えばエポキシ樹脂が使用される。この場合、圧力バッグ30は膨張して媒体35の充填圧力を付勢力の形で周囲の部材に与える。特に圧力バッグ30は媒体35の充填圧力の結果としてバッテリーシステム10のハウジング11に付勢力を及ぼすことができる。
【0027】
バッテリーシステム10における圧力バッグ30の配置は、
図2に明瞭に見られる。
図2はバッテリーシステム10のセルブロック20の斜視図を示しており、バッテリーシステム10は更にハウジング壁12を備えたハウジング11を有する。
図2にはセルブロック20の周囲に配置された圧力バッグ30が暗示されている。
図2に従う圧力バッグ30は、
図1に示された圧力バッグに対応している。特に圧力バッグ30は、双方の縁領域32と、中央領域31と、前方領域33とを含んでいる。
【0028】
バッテリーシステム10を組み立てた状態で圧力バッグ30の中央領域31は、セルブロック20の横側14上に延びている。
【0029】
双方の縁領域32はそれぞれセルブロック20の上側15及び下側16に延びている。一方の縁領域32に配設された前方領域33は、セルブロック20の端側17に配設されるように配置されている。従って圧力バッグ30は実質的にセルブロック20を取り囲む4つの側に折り畳まれて、ハウジング11内でセルブロック20を効果的に緊定する。
【0030】
同様に
図2に認められるように、セルブロック20の端側17には複数の流体接続25が配置されている。流体接続25は、セルブロック20の内部に配置されている、バッテリーセル21の冷却に利用できる冷却エレメント23と連結されている。セルブロック20の内部構造は
図5に関連して詳細に説明される。
【0031】
図3は、セルブロック20を正面図で示しており、ここでもセルブロック20が圧力バッグ30によって包囲されていることが見られる。供給弁34は前方領域33に、及びそれにより流体接続25も支持しているのと同じ端側17に配置されている。従って液体を供給されるすべての接続若しくは供給弁34は、セルブロック20の同じ側に設けられている。好ましくは高電圧セルブロック20として形成されているセルブロック20の電気接続は、セルブロック20の反対側の端側に配置されていることが有利である。そのため高電圧領域と流体接続領域を効果的に分離することが可能である。
【0032】
図4a及び
図4bに従う断面図は、図示の実施例で実現されている本発明の原理を明らかにしている。ここで
図4aは、セルブロック20を配置できる内部スペース18を備えたハウジング11と、上側15、下側16及び横側14に置かれている未充填の圧力バッグ30と、を示している。
【0033】
一般に本発明において、圧力バッグ30は硬化可能な媒体35が充填され、媒体35は時間と共に、好ましくは2時間以内に硬化し、それによって固い付勢層を形成するようにされている。圧力バッグ30がセルブロック20の周囲に配置され、このセルブロック20と一緒にハウジング11に挿入された後、最初は液状の硬化可能な媒体35が圧力下で圧力バッグ30に注入される。ハウジング11は圧力バッグ30の内部の圧力によって変形する。これは
図4bに目に見えるように示されている。ここでは
図4aと同じ断面が示されており、圧力バッグは硬化可能な媒体で充填されている。ハウジング壁12の湾曲が、特に上側15及び下側16で生じている。
【0034】
ハウジング11は、好ましくは鋼板から形成されたハウジング壁12を有している。鋼板は圧力バッグ30内の圧力を受けて弾性的領域で膨張して外方に湾曲する。そうすることによって鋼板若しくはハウジング壁12はばね状に付勢される。その結果として復元力が生じ、緊定力としてハウジング11の内部スペース18に作用する。その際に特に相対的に幅の広い上側15と下側16とがハウジング11の外方に湾曲する。上側及び下側15、16の湾曲と同時に、圧力バッグ30の中央領域31に沿って延びる横側14に伸展力が及ぼされて横側14の湾曲に対抗する。それゆえ
図4bに見られるように、硬化可能な媒体を注入することによってハウジング11の横側14は著しく変形しない。
【0035】
圧力バッグ30の実質的に等しい容積の双方の縁領域32が上側15及び下側16に沿って配置されているので、硬化可能な媒体35を圧力バッグ30に充填する際にハウジングの内部でセルブロック20が移動することが回避される。上側15及び下側16は圧力バッグ30内の圧力によって湾曲しており、上側15若しくは下側16の最初は平坦な向きに対する頂点における湾曲は、少なくともハウジング壁12の肉厚に相当する高さを有している。換言すれば頂点における湾曲は少なくとも3mmの高さを有している。実際には、頂点における湾曲の高さは約5mmであり、ハウジングの硬化可能な媒体を充填した後(
図4b)の全高は、硬化可能な媒体を充填する前(
図4a)より約10mm大きいことが分かった。
【0036】
図5には、明瞭にするためにバッテリーシステム10のハウジング11内に統合されているセルブロック20の構造が示されている。セルブロック20は、複数のバッテリーセル21が並べて置かれた2つのバッテリー層26を含んでいる。バッテリーセル21は円筒セルとして形成されており、それら極で接触板22によって互いに機械的及び電気的に接続されている。この場合、バッテリーセル21は並列及び直列に互いに連結されている。更に、セルブロック20は冷却バッグの形で3つの冷却エレメント23を有しており、それぞれ2つの冷却エレメント23が間に1つのバッテリー層26を含んでいる。ここで冷却エレメント23は接触板22に載って熱伝導的に接触している。冷却エレメント23はそれら長手方向端部にそれぞれ2つの流体接続25を含んでおり、これら流体接続25が冷却エレメント23と冷却回路との接続を可能にする。
【0037】
冷却エレメント23の内部には流路構造24が設けられており、冷却エレメント23の均等な貫流、ひいては均等な排熱をもたらす。冷却エレメント23はバッテリーセル21と共にセルブロック20を形成している。セルブロック20はバッテリーシステム10を組み立てる際に圧力バッグ30によって4つの側で包囲されて、圧力バッグ30と一緒にハウジング11に挿入される。次に圧力バッグ30に硬化可能な媒体25が充填され、その際にハウジング壁12の湾曲が生じるように充填圧力が調整される。ハウジング11は復元力に基づいてハウジング壁12内に緊定力を生み出し、これがセルブロック20に作用して、冷却エレメント23とバッテリー層26との間の確実な熱伝導接触を保証する。
【符号の説明】
【0038】
10 バッテリーシステム
11 ハウジング
12 ハウジング壁
14 横側
15 上側
16 下側
17 端側
18 内部スペース
20 セルブロック
21 バッテリーセル
22 接触板
23 冷却エレメント
24 流路構造
25 流体接続
26 バッテリー層
30 圧力バッグ
31 中央領域
32 縁領域
33 前方領域
34 供給弁