【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、式(I)
(X)W(Y)
(I)
により規定され、式中、
・Xが0又は5を示し、
・Yが4〜20の範囲の整数を示す
SAEJ300分類に従った等級の潤滑組成物であって、
(a)ASTM D445標準に従って100℃で測定した場合に、動粘度が1.5〜8mm
2/sの範囲である、少なくとも1つのポリアルファオレフィン油(PAO)と、
(b)ASTM D445標準に従って100℃で測定した場合に、動粘度が1.5〜8mm
2/sの範囲である、組成物の10〜80wt%の少なくとも1つのグループVの油と、
(c)側鎖が50個以上の炭素原子を含み、かつ、少なくとも1つのポリオレフィンと少なくとも1つのポリ(アルキル)メタクリレートとのコポリマー;少なくとも1つのポリオレフィンと少なくとも1つのポリ(アルキル)アクリレートとのコポリマーから選択される、少なくとも1つの櫛型ポリマーと
を含む、潤滑組成物を提供する。
【0013】
本発明に係る潤滑組成物は、特に有利な粘度等級を有する。本発明に係る潤滑組成物の粘度等級は、特に、
・式(II)又は(III)
0W(Y) 5W(Y)
(II) (III)
により規定され、式中、Yは4〜20の範囲、特に4〜16又は4〜12の範囲の整数を示されるSAEJ300分類に従った等級と、
・式(IV)又は(V)
(X)W8 (X)W12
(IV) (V)
により規定され、式中、Xは0又は5を示すSAEJ300分類に従った等級とから選択することができる。
【0014】
好ましくは、本発明に係る潤滑組成物のSAEJ300分類に従った等級は、0W4、0W8、0W12、0W16、0W20、5W4、5W8、5W12、5W16、5W20の中から選択される。より好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、0W12のSAEJ300に従った等級を有する。
【0015】
また好ましくは、本発明に係る潤滑組成物におけるASTM D445標準に従って40℃で測定した動粘度は、12〜30mm
2/s、好ましくは14〜25mm
2/sの範囲である。
【0016】
本発明に係る組成物は、少なくとも1つのポリアルファオレフィン(PAO)と、組成物の10〜80wt%の少なくとも1つのグループVの油と、少なくとも1つの櫛型ポリマーとを含む。
【0017】
好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、ASTM D445標準に従って100℃で測定した場合に、動粘度が、1.5〜6mm
2/s、又は2〜8mm
2/s、又はさらに2〜6mm
2/sの範囲であるPAOを含む。
【0018】
PAOの平均重量分子量は、極めて大きく変化することがある。好ましくは、PAOの平均重量分子量は、500Da未満である。PAOの平均重量分子量はまた、50〜500Da、50〜350Da、又はさらに50〜300Daの範囲であることができる。
【0019】
また好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、低重量のPAO、特に、ASTM D445標準に従って100℃で測定した場合に、動粘度が、3〜4mm
2/sであり、かつ、50wt%超の9−メチル−11−オクチルヘンイコサンの式(A)の1−デセントリマーを含むPAOを含む。
【化1】
【0020】
PAOに加えて、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の10〜80wt%の範囲の量でグループVの油を含む。好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、組成物の20〜80wt%、20〜60wt%、20〜50wt%、30〜80wt%、30〜60wt%、30〜50wt%の範囲のグループVの油を含む。より好ましくは、本発明に潤滑組成物は、組成物の35〜45%、例えば40wt%のグループVの油を含む。
【0021】
また好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、モノエステル、ジエステル、ポリエステル、エストリド、ポリアルキレングリコール(PAG)の中から選択されるグループVの油を含む。好ましくは、グループVの油は、モノエステル又はポリアルキレングリコール(PAG)の中から選択される。
【0022】
好ましいモノエステルとしては、式(B1)
【化2】
のモノエステルであって、式中、
・R
1が、14〜24個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素基を示し、
・R
2が、2〜18個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基を示す
モノエステルを挙げることができる。
【0023】
より好ましいモノエステルとしては、式(B1)のモノエステルであって、式中、
・R
1が飽和基であり、R
2が不飽和基であるか、又は
・R
1が不飽和基であり、R
2が飽和基であるか、又は
・R
1及びR
2が飽和基であるか、又は
・R
1及びR
2が不飽和基である
モノエステルか、又はさらに、
式(B1)の1つのモノエステルであって、式中、
・R
1が、14〜20個の炭素原子、好ましくは14〜18個の炭素原子、より好ましくは16〜18個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基を示すか、又は
・R
2が、3〜14個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子、より好ましくは4〜10個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基を示すか、又は
・R
1が直鎖状基であり、R
2が分枝状基であるか、又は
・R
1が分枝状基であり、R
2が直鎖状基であるか、又は
・R
1及びR
2が直鎖状基であるか、又は
・R
1及びR
2が分枝状基である
モノエステルを挙げることができる。
【0024】
特に好ましいモノエステルとしては、式(B1)のモノエステルであって、R
1のみ、R
2のみ、又はR
1及びR
2が、
・直鎖状飽和基
・1〜5個の分枝状鎖を含む分枝状飽和基
・分枝状鎖が1〜5個の炭素原子を含む分枝状飽和基
・1〜5個の分枝状鎖を含み、分枝状鎖が1〜5個の炭素原子を含む分枝状飽和基
から選択されるモノエステルを挙げることができる。
【0025】
好ましいモノエステルの例としては、
・ステアリン酸塩、好ましくは、ステアリン酸アルキル及びステアリン酸アルケニル、より好ましくは、C
4〜C
10のステアリン酸アルキル、特に、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ペンチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ノニル、ステアリン酸デシル;
・オレイン酸塩、好ましくは、オレイン酸アルキル及びオレイン酸アルケニル、より好ましくは、C
4〜C
10のオレイン酸アルキル、特に、オレイン酸ブチル、オレイン酸ペンチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸ヘプチル、オレイン酸オクチル、オレイン酸ノニル、オレイン酸デシル
を挙げることができる。
【0026】
好ましいモノエステルの例としては、アルケンモノエステル及びアルキルモノエステル、好ましくはC
2〜C
10のアルキルモノエステル、特に、エチルモノエステル、プロピルモノエステル、ブチルモノエステル、ペンチルモノエステル、ヘキシルモノエステルをまた挙げることができる。
【0027】
好ましいポリアルキレングリコール(PAG)としては、式(B2)
【化3】
のPAGであって、式中、
・R
3が、直鎖状及び分枝状C
1〜C
30アルキル基を示し、
・m及びnが、独立して、1〜5の範囲の平均数を示す
PAGを挙げることができる。
【0028】
好ましくは、式(B2)のPAGについて、R
3が、直鎖状C
8アルキル基、分枝状C
8アルキル基、直鎖状C
9アルキル基、分枝状C
9アルキル基、直鎖状C
10アルキル基、分枝状C
10アルキル基、直鎖状C
11アルキル基、分枝状C
11アルキル基、直鎖状C
12アルキル基、分枝状C
12アルキル基、直鎖状C
13アルキル基、分枝状C
13アルキル基、直鎖状C
14アルキル基、分枝状C
14アルキル基、直鎖状C
15アルキル基、分枝状C
15アルキル基の中から選択される基を示す。
【0029】
また好ましくは、式(B2)のPAGについて、
・mがn以上であるか、又は
・mが2〜4.5の範囲の平均数、特に2〜3.5の範囲の平均数を示すか、又は
・nが1.5〜4の範囲の平均数、特に1.5〜3の範囲の平均数を示す。
【0030】
より好ましくは、式(B2)のPAGについて、mが2.5の平均数を示し、nが2の平均数を示すか、又は、mが3.5の平均数を示し、nが2.8の平均数を示す。
【0031】
有利には、本発明に係る潤滑組成物について、式(B2)のPAGは、
・ASTM D445標準に従って100℃で測定した場合に、2.5〜4.5mm
2/sである動粘度、又は
・160超、又は160〜210に含まれる粘度指数、又は
・−40℃未満の流動点、又は
・ASTM D5293標準に従って−35℃で測定した場合に、1200mPa・s未満の粘度(CCS)
を有する。
【0032】
好ましい例示のPAGは、式(B2)のPAGであって、mが2.5の平均数を示し、nが2の平均数を示し、ASTM D445標準に従って100℃で測定した場合に、動粘度が2.5〜3.5mm
2/sであり、粘度指数が160〜180に含まれ、流動点が−40℃未満であり、ASTM D5293標準に従って−35℃で測定した場合に、粘度(CCS)が500mPa・s未満であるPAGである。
【0033】
別の好ましい例示のPAGは、式(B2)のPAGであって、mが3.5の平均数を示し、nが2.8平均数を示し、ASTM D445標準に従って100℃で測定した場合に、動粘度が3.5〜4.5mm
2/sであり、粘度指数が180〜210に含まれ、流動点が−50℃未満であり、ASTM D5293標準に従って−35℃で測定した場合に、粘度(CCS)が1200mPa・s未満であるPAGである。
【0034】
別のポリアルキレングリコール(PAG)としては、式(B3)のブロックポリマー又は式(B3)のランダムポリマーであって、
【化4】
式中、
・R
4が、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
30アルキル基、好ましくは直鎖状又は分枝状のC
8〜C
12アルキル基を示し、
・pが2〜60、好ましくは5〜30又は7〜15の範囲の数を示し、
・R
5及びR
6が、同一であるか又は異なっており、独立して、水素原子又はC
1〜C
2アルキル基を示す
ブロックポリマー又はランダムポリマーを挙げることができる。
【0035】
他の特定のポリアルキレングリコール基(PAG)としては、
式(B4)のブロックポリマー又は式(B4)のランダムポリマーであって、
【化5】
式中、
・R
4が、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
30アルキル基、好ましくは直鎖状又は分枝状のC
8〜C
12アルキル基を示し、
・qが2〜60、好ましくは5〜30又は7〜15の範囲の数であり、
・R
7及びR
8が水素原子を示すか;又はR
7が水素原子を示し、R
8がメチル基を示すか;又はR
7がメチル基を示し、R
8が水素を示すか;R
7及びR
8がメチル基を示すか;又はR
7がエチル基を示し、R
8が水素原子を示すか;又はR
7が水素原子を示し、R
8がエチル基を示す
ブロックポリマー又はランダムポリマーと;
式(B5)のブロックポリマー又は式(B5)のランダムポリマーであって、
【化6】
・R
4が、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
30アルキル基、好ましくは直鎖状又は分枝状のC
8〜C
12アルキル基を示し、
・r及びtが、独立して、1〜30、好ましくは2〜15又は2〜8の範囲の数を示し、
・R
9及びR
10が水素原子を示すか;又はR
9が水素原子を示し、R
10がメチル基を示すか;又はR
9がメチル基を示し、R
10が水素を示すか;又はR
9及びR
10がメチル基を示すか;又はR
9がエチル基を示し、R
10が水素原子を示すか;又はR
9が水素原子を示し、R
10がエチル基を示し、
・R
11及びR
12が水素原子を示すか;又はR
11が水素原子を示し、R
12がメチル基を示すか;又はR
11がメチル基を示し、R
12が水素を示すか;又はR
11及びR
12がメチル基を示すか;又はR
11がエチル基を示し、R
12が水素原子を示すか;又はR
11が水素原子を示し、R
12がエチル基を示す
ブロックポリマー又はランダムポリマーとを挙げることができる。
【0036】
他の特定のポリアルキレングリコール(PAG)基のように、式(B6)のブロックポリマー又は式(B6)のランダムポリマーであって、
【化7】
式中、
・R
13が、直鎖状又は分枝状のC
8〜C
12アルキル基を示し、
・vが2〜6の範囲の数を示し、
・wが2〜5の範囲の数を示す
ブロックポリマー又はランダムポリマーを挙げることができる。
【0037】
PAO及びグループVの油に加えて、本発明に係る潤滑組成物は櫛型ポリマーを含む。
【0038】
好ましくは、櫛型ポリマーは、オレフィンの重合又は共重合により得られる側鎖を含む。より好ましくは、櫛型ポリマーは、8〜17個の炭素原子を含むオレフィン、特に、スチレン、置換スチレン、1,4付加のブタジエン、1,2付加のブタジエン、式(C1)の化合物であって、
【化8】
式中、Q
1及びQ
2が、独立して、水素原子又はC
1〜C
18アルキル基を示す式(C1)の化合物の中から選択されるオレフィンの重合又は共重合により得られる側鎖を含む。
【0039】
より好ましくは、櫛型ポリマーは、
式(C2)のオレフィン系モノマーであって、
【化9】
式中、
・Q
3が、直鎖状又は分枝状のC
2〜C
8アルキル基、C
3〜C
8シクロアルキル基、C
6〜C
10アリール基を示し、
・Q
4が、水素原子又はメチル基を示し、
・L
1が、ブタジエンの1,4付加体の残基;少なくとも1つのC
1〜C
6アルキル基で置換されたブタジエンの1,4付加体の残基;スチレンのビニル付加体の残基;少なくとも1つのC
1〜C
6アルキル基で置換されたスチレンのビニル付加体の残基を示し、
・L
2が、ブタジエンのビニル付加体の残基;少なくとも1つのC
1〜C
6アルキル基で置換されたブタジエンのビニル付加体の残基、スチレンのビニル付加体の残基;少なくとも1つのC
1〜C
6アルキル基で置換されたスチレンのビニル付加体の残基を示し、
・k及びjが、独立して、0又は1〜3000の範囲の整数を示し、合計(k+j)が、7〜3000の範囲、10〜3000の整数である
オレフィン系モノマーと、
式(C3)のアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルのモノマーであって、
【化10】
式中、
・Q
5が、水素原子又はメチル基を示し、
・Q
6が、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26アルキル基を示す
アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルのモノマーとの共重合により調製される。
【0040】
より好ましくは、Q
3がフェニル基又は直鎖状若しくは分枝状のブチル基、特に、n−ブチル基を示す。
【0041】
より特に好ましくは、櫛型ポリマーは、
式(C4)のオレフィン系モノマーであって、
【化11】
式中、
・Q
7がC
1〜C
6アルキル、C
6アリール基を示し、
・Q
8が、水素原子又はメチル基を示し、
・Q
9、Q
10及びQ
11が、独立して、水素原子又はC
1〜C
18アルキル基を示し、
・x、y及びzが独立して、0か又は1〜3000の範囲の整数を示し、合計(x+y+z)が、7〜3000の範囲、好ましくは10〜3000の範囲の整数である
オレフィン系モノマーと、
式(C3)のアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルのモノマーであって、
【化12】
式中、
・Q
5が、水素原子又はメチル基を示し、
・Q
6が、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26アルキル基を示す
アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルのモノマーとの共重合により調製される。
【0042】
より好ましくは、Q
7がフェニル基又は直鎖状若しくは分枝状のブチル基、特に、n−ブチル基を示す。
【0043】
より特に好ましくは、櫛型ポリマーは、
式(C5)のオレフィン系モノマーであって、
【化13】
式中、
・Q
8が、水素原子又はメチル基を示し、
・x及びyが、独立して0又は1〜3000の範囲の整数を示し、合計(x+y)が、7〜3000の範囲、好ましくは10〜3000の範囲の整数である
オレフィン系モノマーと、
式(C3)のアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルのモノマーであって、
【化14】
式中、
・Q
5が、水素原子又はメチル基を示し、
・Q
6が、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26アルキル基を示す
アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルのモノマーとの共重合により調製される。
【0044】
櫛型ポリマーの例は、製品Viscoplex 3−200(Evonik Corporation)である。
【0045】
本発明に係る潤滑組成物の範囲において、(a)PAO、(b)グループVの油、及び(c)櫛型ポリマーの各々の量を変えることができる。好ましくは、(a)ポリアルファオレフィン油(PAO)と、(b)グループVの油との間の重量比(a/b)は、0.1〜4、好ましくは0.3〜3.6の範囲である。
【0046】
本発明に係る潤滑組成物は、特に高いVIを有する。好ましくは、本発明に係る潤滑組成物のVIは220超である。より好ましくは、本発明に係る潤滑組成物のVIは250超、又はさらに270超若しくは300超である。