(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉鎖状態において、前記接続部分の全体、前記中間部分の全体および前記掴み部分の少なくとも一部は、前記シース内に位置付けられる、請求項1に記載の把持器具。
前記第1のジョーの前記掴み部分は複数のプロングを有するように構成され、および前記第2のジョーの前記掴み部分は少なくとも1つのプロングを有するように構成されている、請求項1に記載の把持器具。
前記第1および第2のジョーの前記プロングは、互いに係合し、かつ前記閉鎖状態において前記ステントが前記把持ヘッドから係合解除されるのを効果的に防止するように構成されている、請求項7に記載の把持器具。
前記シースの前記遠位端は、前記第1および第2のジョーのそれぞれの前記テーパ付きゾーンの前記第1および第2の外面と、前記シースの前記遠位端の前記内面との間の係合が2つの係合点においてもたらされるように構成されている、請求項1に記載の把持器具。
前記把持ヘッドの長手方向における前記掴み部分の第1の長さは、前記把持ヘッドの前記長手方向における前記中間部分の第2の長さと前記接続部分の第3の長さとを組み合わせた全長を上回る、請求項1に記載の把持器具。
前記把持ヘッドの長手方向における前記掴み部分の第1の長さは、前記接続部分の第3の長さの4〜6倍であるように構成され、および前記中間部分の第2の長さは、前記接続部分の前記第3の長さの2〜4倍であるように構成されている、請求項1に記載の把持器具。
前記複数の構成要素は、把持具スリーブ、ラウンドコイル、フラットコイル、前記コイル間の移行部において前記コイルの周囲に設けられたコイルスリーブ、および端スリーブを含む、請求項17に記載の把持器具。
前記端スリーブは、前記第1の近位端に位置付けられ、かつ少なくともある程度遠位に延在して、前記シースの前記複数の構成要素の別の1つと係合するように構成されている、請求項18に記載の把持器具。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明では添付図面が参照され、添付図面は本明細書の一部を形成し、かつ説明のために、本発明が実施され得る具体的な実施形態を示す。これに関連して、説明している図の向きに関して方向の用語、例えば「上部」、「底部」、「前方」、「後方」、「先」、「後」等を使用する。実施形態の構成要素は、いくつもの異なる向きで位置決めされ得るため、方向の用語は、説明のために使用され、何ら限定するものではない。他の実施形態を用いてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく構造的または論理的な変更形態がなされ得ることが理解される。したがって、以下の詳細な説明は、限定ととられるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0006】
特に具体的に断りがない限り、本明細書で説明した様々な例示的な実施形態の特徴が互いに組み合わせられ得ることが理解される。
【0007】
本開示では、「体腔」という用語は、限定されるものではないが、尿管、尿道、結腸および回腸などの全体的にチューブ状の身体部位を含む。
【0008】
特に具体的に明記しない限り、本明細書では、「端」という用語は、物の端部、すなわち物のまさしく端点から物の中間点に向かう方向に延在する部分を意味する。
【0009】
実施形態は、患者の体腔からステントを除去するのに有用である把持器具を提供する。実施形態は、患者の尿管から患者の膀胱および尿道を経由して尿管ステントを除去するのに特に有用である把持器具を提供する。
【0010】
実施形態は、最大保持力を得る一方で最小の操作力を必要とするように構成される把持器具を提供する。実施形態は、2つのジョーを備える把持器具を提供し、これらのジョーは、それぞれジョーのバネ特性を強めるために厚さが薄くされた部分を有する。実施形態は、協働するジョーを有する把持器具を提供し、これらのジョーは、ジョーを閉鎖するための低減された力を必要としながらも、ステントの周囲で確実に閉鎖するように構成されている。
【0011】
一態様では、本開示は、患者からステントを除去するための把持器具に関する。
【0012】
図1は、把持器具20(下記では単に「器具」とも称する)の一実施形態の側面図である。
図1は、閉鎖状態にある器具20を示す。一実施形態では、器具20は、器具の近位部分を形成するハンドルハウジング22を含む。器具20は、第1の近位端26および第1の遠位端28を有するシース24を含む。一実施形態では、第1の近位端26はハンドルハウジング22に接続される。一実施形態では、器具20は、シース24内で可動である運動伝達部材30を含む。運動伝達部材30は、第2の近位端32および第2の遠位端34を有する。一実施形態では、運動伝達部材30はワイヤである。一実施形態では、第2の近位端32は、ハンドルハウジング22上に設けられた器具操作部材36に接続される。一実施形態では、運動伝達部材30の第2の遠位端34は、器具20の把持ヘッド38に接続される。一実施形態では、器具操作部材36は、ハンドルハウジング22の一部分に沿って可動であるようにハンドルハウジング22と係合する。
【0013】
図2および
図3は、器具20の一実施形態の側面図である。
図2は、閉鎖状態における器具20を示し、および
図3は、開放状態にある器具20を示す。
図3から最もよく分かるように、一実施形態では、把持ヘッド38は、第1のジョー40および第2のジョー42を含む。第1および第2のジョーは、器具操作部材36を作動させることによって閉鎖状態と開放状態との間でシフトされるように構成される。一実施形態では、器具操作部材36を作動させることによってシース24に対して運動伝達部材30を動かして、把持ヘッド38がシース24の遠位端28の開口部から出るように動いて、第1および第2のジョー40、42を開放状態へとシフトさせる。一実施形態では、器具操作部材36の作動は、ハンドルハウジング22の長手方向範囲に沿って器具操作部材36を動かすことを含む。一実施形態では、器具操作部材36の作動は、器具操作部材36をハンドルハウジング22の中心軸CAの方へ押すことを含む。器具操作部材36の作動を促す他の方法も容認可能である。
【0014】
図4は、器具20の把持ヘッド38の一実施形態の拡大側面図である。第1のジョー40は、接続部分44、中間部分46および掴み部分48を含む。同様に、第2のジョー42は、接続部分50、中間部分52および掴み部分54を含む。把持ヘッド38のジョー40、42は、互いに接続部分44、50で接続されている。一実施形態では、接続部分44、50は一緒に溶接されている。
【0015】
図5は、把持ヘッドが未完成の状態にある、すなわち全ての製造ステップを経て
図4に示す構成に到達していない状況にある把持ヘッド38の一実施形態の側面図である。一実施形態では、把持ヘッド38は単一のブランクから製造され、
図4に示す把持ヘッド38の接続部分44、50の第1の厚さT1、中間部分46、52の第2の厚さT2、および掴み部分48、54の第3の厚さT3を有する最終形状に付形されている。一実施形態では、単一のブランクは好適な金属条片から作製される。把持ヘッド38を製造するための1つの好適なプロセスは、(限定されるものではないが)パンチング、コイニングおよび曲げなどの部分的な加工を含むプログレッシブスタンピングである。一例では、供給システムが金属条片をプログレッシブスタンピングダイの複数のステーションに通し、その場合、個々のステーションは条片に1つ以上の作業を行う。最終的に、把持ヘッドなどの完成部品は金属の搬送ウェブから分離される。実施形態では、把持ヘッド38のジョー40、42の好適な材料は、限定されるものではないが、AISI 304、AISI 316、17−7 PH AISI 631タイプなどのステンレス鋼を含む。
【0016】
図5では、第1のジョー40は把持ヘッド38の中心線CLの左側に対応し、および第2のジョー42は中心線CLの右側に対応する。一実施形態では、第2の厚さT2は第3の厚さT3よりも薄い(すなわちそれを下回る)。ジョー40、42の中間部分46、52に厚さT3よりも薄い厚さT2を提供することにより、開放状態から閉鎖状態へシフトするために必要な初期力が小さくなる把持ヘッド38を提供する。一実施形態では、接続部分44、50の厚さT1は、掴み部分48、54の第3の厚さT3と実質的に同一である。「実質的に同一」という用語は、厚さT1およびT3が通常の製造公差以外で互いに異ならないことを意味する。中間部分46、52の厚さT2が薄いことにより、さらに、特にそれが有利な場合に把持ヘッド38に柔軟性をもたらすのを促進し、それにより、把持ヘッド48をシース24内へと引き込むのに必要な力を低減させる。次に、掴み部分48、54の厚さT3が厚いことにより、除去されるステント上で把持ヘッド38のジョー40、42のより確実な掴みをもたらすのを促進するのに有利な場合にさらなるスチフネスをもたらす。
【0017】
一実施形態では、中間部分46、52の第2の厚さT2は、掴み部分48、54の第3の厚さT3の1/3(三分の一)〜2/3(三分の二)の厚さに製造される。
【0018】
図6は、
図5の左側の拡大図に対応する、把持ヘッド38の第1のジョー40の一実施形態の拡大側面図である。一実施形態では、中間部分46はテーパ付きゾーン60を含み、このゾーンでは、第1のジョー40の厚さが中間部分46の第2の厚さT2から掴み部分48の第3の厚さT3へと移行している。
図6は第1のジョー40のみに焦点を当てているが、実施形態では、第2のジョー42も同様にテーパ付きゾーン60を含むことが理解される。移行ゾーン60の有利な効果の1つは、中間セクション46、52の厚さT2が薄いことと併せて、さらに、ジョーを閉鎖する初期において器具20を開放状態から閉鎖状態へとシフトさせるために必要な力を低減させることである。すなわち、器具操作部材36を作動させることにより、把持ヘッド38がシース24の遠位端28(
図1)内へと引き込まれ始めると、移行ゾーン60は、それぞれのジョー40、42とシース24との間を摺動式に係合させるためのランプとして効果的に機能する。これは、さらに、引き込みシーケンスの初期を滑らかなものとし、すなわち、急な引張りまたは不安定な(staggered)動きが全くない。
【0019】
一実施形態では、把持ヘッド38の長手方向に測定された掴み部分48の第3の長さL3は、接続部分44の第1の長さL1と中間部分46の第2の長さL2とを組み合わせた全長L4よりも長い。一実施形態では、掴み部分48の第3の長さL3は、接続部分44の第1の長さL1の4〜6倍であるように構成され、および中間部分46の第2の長さL2は、接続部分44の第1の長さL1の2〜4倍であるように構成される。
【0020】
図7は、
図5の把持ヘッド38の一実施形態の上面図であり、
図5にあるように、依然として把持ヘッドの完成した形状になっていない状態を示す。
図7は、第1および第2のジョー40、42のそれぞれの、接続部分44、50、中間部分46、52および掴み部分48、54を示す。
図7は、把持ヘッド38の実施形態における接続部分、中間部分および掴み部分の相対的な幅方向範囲をさらに示す。一実施形態では、それぞれの接続部分44、50は第1の幅W1を有し、それぞれの中間部分46、52は第2の幅W2を有し、およびそれぞれの掴み部分48、54は第3の幅W3を有する。実施形態では、中間部分46、52の近位セグメント53aは、中間部分46、52の遠位セグメント53bの幅W2を下回る幅を有する。
【0021】
一実施形態では、第1のジョー40の掴み部分48は、複数(すなわち2つ以上)のプロング51a、51bを有するように構成され、および第2のジョー42の掴み部分54は、少なくとも1つのプロング57を有するように構成される。実施形態では、第2のジョー42の掴み部分54は、第1のジョー40の掴み部分48に設けられるプロングの数よりも少ない、1つのプロングを有するように構成される。実施形態では、第1のジョー40の複数のプロング51a、51bは、第1のジョー40の掴み部分48の第1の端セグメント49に設けられ、および第2のジョー42のプロング57は、第2のジョー42の第2の端セグメント55に設けられる。
【0022】
一実施形態では、掴み部分48の第1の端セグメント49における第1のジョー40の幅W4は、幅W3を上回る。一実施形態では、掴み部分54の第2の端セグメント55における第2のジョー42の幅W5は、幅W3を上回る。一実施形態では、幅W4は幅W5を上回る。第1および第2の端セグメント49、55の幅は、例えば、限定されるものではないが、特定の所望の数のプロングに適合するように変化し得る。
【0023】
図7Aは、一実施形態の掴み部分48の断面図を示す、
図7に示す線A−Aに沿って取った断面図である。
図7Aはまた、
図7の線A−Aにおける掴み部分48の幅W3および厚さT3を示す。一実施形態では、第1のジョー40および第2のジョー42の縁56、58は、製造中に丸みを付けられて滑らかになっている。
【0024】
図8は、中心線CL(
図7に示す)に沿って接続部分44、50で折り曲げられているブランクを含む、
図4に示す最終形状に対応する把持ヘッド38の一実施形態の上面図である。
図8の図では、第2のジョー42が第1のジョー40の「上部に」位置付けられているため、第1のジョーは、プロング51、51bを含む端セグメント49の一部を除いて
図8の図では見えない。
図8の図では、プロング51a、51bおよび57は、
図4に示す構成へと付形されており、ここで、それらは接続部分44、50を通って延びる長手方向軸LAに対してほぼ垂直であることが理解される。
図8の図では、第2のジョー42のプロング57は、紙面の平面上へと、図を見る者から離れる方向を指向していることが理解される。一実施形態では、第2のジョー42の少なくとも1つのプロング57は、閉鎖状態にある第1のジョー40の2つの隣接するプロング51aおよび51b間に嵌るように構成される。一実施形態では、第1および第2のジョー40、42のプロング51a、51bおよび57は互いに係合し、かつ除去されるステントが閉鎖状態の把持ヘッド38から係合解除されるのを効果的に防止するように構成される。実施形態では、第1のジョー40のプロング51a、51bと第2のジョー42のプロング57との係合により、第1のジョーと第2のジョーとの間に摩擦を生じ、この摩擦は器具20に追加的な保持力をもたらすのを促進する。
【0025】
図9は、器具の開放状態にある、シース24の遠位端28における把持ヘッド38の一実施形態の側面図である。一実施形態では、開放状態の位置において、把持ヘッド38は、掴み部分48、54の全体および中間部分46、52の少なくとも一部62がシース24の遠位端28を越えて位置付けられるように位置している。換言すると、一実施形態では、把持ヘッド38がシース24から延在されると、第1のジョー40および第2のジョー42の中間部分48、54の一部分62はシース24の遠位端28の外側に位置する一方、残りの部分64はシース24内に位置付けられる。一実施形態では、それぞれ第1および第2のジョー40、42の1つ以上のプロング51a、51b、57は、掴み部分48、54の長手方向軸Jから、プロング51a、51b、57と長手方向軸Jとの間で測定された約73度の角度Kで離れる方向に延在する。角度Kの±3度の製造公差が容認できる。
【0026】
図10は、閉鎖状態にあるシース24の遠位端28にかつ全体的にシース内に位置付けられた把持ヘッド38の一実施形態の側面図である。一実施形態では、運動伝達部材30の遠位端34は、把持ヘッドの接続部分44、50に接続される。一実施形態では、運動伝達部材30の遠位端34に停止部66が設けられ、および停止部は、把持ヘッド38がシース24内へと引き込まれ得る距離を停止させるかまたは制御するように構成される。停止部66の詳細は、
図11を参照して下記でさらに詳細に開示される。一実施形態では、閉鎖状態の位置において把持ヘッド38はシース24内に位置して、接続部分44、50の全体、中間部分46、52の全体および掴み部分48、54の少なくとも一部68がシース24内に位置付けられるようにする。換言すると、一実施形態では、停止部66を設けることによって把持ヘッド38が制御されて、完全に引き込まれるときに第1のジョー40および第2のジョー42の掴み部分48、54の一部分70がシース24の遠位端28の外側に位置する、すなわち遠位端を越えて延在する。
【0027】
図10Aは、
図10の図のように閉鎖状態にあるシース24の遠位端28において、遠位方向から近位方向へ向かって見たときの一実施形態の拡大端面図である。一実施形態では、第1のジョー40の第1の外面72および第2のジョー42の第2の外面74は、開放状態から閉鎖状態へのシフト中またはその逆のシフト中も同様に、シース24の遠位端28の内面76と係合するように構成されている。一実施形態では、第1のジョー40の第1の外面72および第2のジョー42の第2の外面74のそれぞれは、2つの係合点78、80および82、84でシース24の内面76と係合するように構成されている。一実施形態では、開放状態において、第1のジョー40の第1の外面72および第2のジョー42の第2の外面74は、それぞれ第1および第2のジョー40、42の中間部分46、52の外面である(
図9参照)。
【0028】
一実施形態では、開放状態において、第1のジョー40の中間部分46のテーパ付きゾーン60の第1の外面86(
図6参照)および第2のジョー42の中間部分52のテーパ付きゾーン60の第2の外面86は、シース24の遠位端28の内面76と係合する。
【0029】
一実施形態では、シース24の遠位端28は、それぞれ第1および第2のジョー40、42のテーパ付きゾーン60の第1および第2の外面86と、遠位端28の内面76との間の係合が2つの係合点78、80および82、84においてそれぞれ発生するように構成されている。2つの係合点でジョー40、42の外面72、74とシース24の内面76との間に係合をもたらすことにより、ジョーセクションとシースとの間の摩擦に打ち勝つために必要な力を低減させるのをさらに促進する。実施形態では、シースの開放状態で中間部分のテーパ付きゾーン60の外面86を2つの係合点に位置付けることにより、開放状態から閉鎖状態へのシフトを開始するときの係合部分間の静止摩擦に打ち勝つために必要な力を低減させるのをさらに促進する。
【0030】
一実施形態では、開放状態から閉鎖状態へのシフト中、シース24の内面76と係合するジョー40、42の外面72、74の部分は、中間部分46、52の外面である状態から、掴み部分48、54の外面である状態へシフトする(動く)。閉鎖状態から開放状態へのシフト中、順序が逆にされる、すなわち外面72、74と内面76との間の係合の箇所は、最初は掴み部分48、54の外面上にあり、それに続いて中間部分46、52の外面において係合される。他の実施形態では、把持ヘッド38およびシース24の遠位端28は、掴み部分48、54の外面72、74のみにおいてジョー40、42と内面76との間に係合をもたらすように構成される。内面76と係合するための外面72、74上の特定の箇所は、把持器具38の所望の掴む力を制御することを補助し、かつまたいずれサイズのステントが把持器具38によって除去され得るかを決定するのを補助する。実施形態では、把持器具38は、Φ1.6mm〜Φ3mmに対応するフレンチサイズFR(CHと略されることもある)4.8〜9のステントを掴むように適合される。
【0031】
一実施形態では、把持ヘッド38は、閉鎖状態においてシース24内に完全に引き込まれるように構成される。この実施形態の閉鎖状態では、ジョー40、42の外面72、74と内面76との間の係合は、掴み部分48、54の第1の端セグメント49(
図7)の外面に位置付けられる。これによる有利な点は、より有利な方法で患者の体腔または体管内の作業位置に対して前進および後退させ得る把持器具を提供するのを促進し、かつ同時に、器具の移動中に処置に関係ない組織と接触するのを回避することである。
【0032】
図11は、シース24の遠位端28の一実施形態の断面図である。
図11はまた、把持ヘッド38と運動伝達部材30の第2の遠位端34との間の接続部の詳細を示す。一実施形態では、接続チューブ86の遠位部分が把持ヘッドの第1および第2のジョーの接続部分44、50に溶接され、および接続チューブ86の近位部分が運動伝達部材30の遠位端34に溶接される。一実施形態では、接続チューブ86の外径は、接続チューブ86がシース24の遠位端28内で長手方向軸LAに沿って線形に動くことができるように構成され、すなわち、接続チューブ86の外径はシース24の内径よりもわずかに小さい。シース24の遠位端28は、接続された把持ヘッド38と接続チューブ86が線形に動くための空間89を画定する。一実施形態では、シース24は、把持具スリーブ88を含む。一実施形態では、把持具スリーブ88は、シース24の遠位端28に位置付けられる。一実施形態では、把持具スリーブ88は、シース24の第1の遠位端28と第1の近位端26との間のシース24の全体未満を提供する。別の実施形態では、把持具スリーブ88は、第1の遠位端28と第1の近位端26との間のシース24の全体を提供する。
【0033】
図12を参照してさらに説明する一実施形態では、シース24は、第1の近位端26と第1の遠位端28との間のシース24の全体を提供するように構成された複数の構成要素を含む。
図11を参照して説明すると、一実施形態では、接続チューブ86の外径はシース構成要素90の内径よりも大きく、それにより、接続チューブ86の近位部分87がシース構成要素90の遠位端に停止部66を提供する。一実施形態では、シース24の構成要素90はラウンドコイル91を含み、その内部で運動伝達部材30は動くことができる。停止部66は、運動伝達部材30が近位方向へ動かされるときに、把持ヘッドが把持具スリーブ88内へ引き込まれ得る度合いを制御する。一実施形態では、把持具スリーブ88は、ラウンドコイル91に、それらの間の重なり部分92に沿って溶接される。一実施形態では、接続部分44、50は、94a、94bにおいて接続チューブ86に溶接されて、接続チューブ86の遠位部分を閉鎖する。
【0034】
図12は、把持器具20の一実施形態のシース24、運動伝達部材30および把持ヘッド38を示す拡大側面図である。一実施形態では、シース24の複数の構成要素は、把持具スリーブ88、ラウンドコイル91、フラットコイル(flat coil)98、コイルスリーブ96および端スリーブ102を含む。一実施形態では、コイルスリーブ96は、コイル間の移行部97においてコイル96、98の周囲に設けられる。コイルスリーブ96は、ラウンドコイル91とフラットコイル98とを接続する。一実施形態では、コイルスリーブ96は、ラウンドコイル91およびフラットコイル98に溶接される。一実施形態では、把持具スリーブ88の近位端は、ラウンドコイル91に溶接される。一実施形態では、端スリーブ102は、シース24の第1の近位端26に位置付けられるように構成され、かつシース24の複数の構成要素88、91、96、98の別の1つとの係合に向かって少なくともある程度遠位に延在する。
【0035】
一実施形態では、フラットコイル98は、端スリーブ102の遠位に設けられ、およびラウンドコイル91は、フラットコイル96の遠位に設けられ、コイルスリーブ96が2つのコイル91、98を接続し、および把持具スリーブ88は、ラウンドコイル91の遠位端に接続されかつそれから延在する。それらの断面形状プロファイルに起因して、フラットコイル構成要素98は、シース24のより硬いまたはより剛性のセクションを提供し、およびラウンドコイル91は、シース24のより曲げやすい、あまり剛性でないセクションを提供する。シース24のより剛性のフラットコイル98の遠位により柔軟性のラウンドコイル91を構成することにより、体管または体腔内への挿入中などの器具20の取り扱いを最適にするのを促進する。実施形態では、シースの異なる構成要素は、異なる個々の曲げ特性および張力特性を有するように構成される。実施形態では、個々の構成要素は、異なる個々の内径を有するように構成される。実施形態では、シース24を構成する構成要素88、91、96、98、102の個々の長さは、把持器具20の特定の使用例に依存して、異なる仕様(限定されるものではないが、より高いまたは低い柔軟性など)に適合するように選択される。
【0036】
一実施形態では、運動伝達部材30は、シース24を構成する複数の構成要素88、91、96、98、102内で線形に可動である内部ワイヤ100である。一実施形態では、フラットコイル98と端スリーブ102とは係合せず、それにより、シース24に沿って開放ゾーン104をもたらして、内部ワイヤ100にアクセス可能にする。一実施形態では、内部ワイヤ100の近位端は、器具操作部材36に接続される。
【0037】
図13および
図14は、患者の体腔からステントを除去するための把持器具20の使用を示す概略図である。
図13および
図14の器具20の図示の例示的な使用例では、器具20は、腎臓Rと膀胱Vとの間の患者の尿管U内に位置付けられた尿管ステントS、限定されるものではないが、JJ−またはピッグテール−ステントなどを除去するために使用される。図示の例では、ステントSの「ピッグテール」のうちの1つは、尿管口UMのちょうど外側で膀胱Vに位置付けられる。この例では、把持器具20は、最初に尿道口TMで挿入され、かつ尿道Tを経て患者の膀胱Vまで前進させられる。把持器具20は、さらに、把持ヘッド38をシースの遠位端から延在させ、かつジョー40、42を開放し、かつそれらをステントS上の好適な掴み箇所の周囲に位置決めするように操作する。その後、把持器具20は、ステントSの周囲でジョー40、42を確実に閉鎖するように操作する。ここで、ステントSと係合された把持器具20は、膀胱Vおよび尿道Tを経由して引き込まれて、ステントSが除去されるようにする。
図14は、把持器具20自体が尿道口TMのちょうど外側の位置まで引き込まれたが、ステントSの大部分が患者の尿路を離れていない状況を示す。
図14の拡大した詳細は、把持ヘッド38のジョー40、42によるステントSの掴みを示す。ステントSは、器具20が閉鎖状態にあるとき、把持ヘッド38によって確実に保持された状態に維持されている。第1のジョー40のプロング51a、51bと第2のジョーのプロング57とは係合しており、確実に固定されたステントSがジョー40、42の掴みから逃げるのを防ぐのを支援する。
【0038】
1つの有利な実装例では、把持器具20は内視鏡に結合され、内視鏡は、尿道Tを通って膀胱V内へと挿入され、かつステントS上の好適な掴み箇所を特定するために使用される。他の実装例では、把持器具20は、内視鏡または他の外科装置とは無関係であり、限定されるものではないが、器具20上に1つ以上の放射線不透過マーカを設け、かつ処置中に患者が放射線を受けるようにすることなどにより、内視鏡を使用せずに位置決めされ得る。
【0039】
図15は、内視鏡106に結合された把持器具20を含む例示的なシステムの概略図である。把持器具20の把持ヘッド38のごく一部が内視鏡106の遠位端108で見えるにすぎない。内視鏡106は、1つ以上の器具操作部材112、114を含むハンドルハウジング110を含む。ハンドルハウジング110では、内視鏡は、ケーブル118を介してモニター116に接続される。
【0040】
一態様では、本開示は、患者からステントを除去する方法に関する。
【0041】
図16は、252における、把持器具20の製造を含め、患者からステントを除去する方法の一実施形態を示すボックス図である。把持器具は、第1のジョー40および第2のジョー42を含む。各ジョー40、42は、第1の厚さを有する接続部分44、50と、第2の厚さを有する中間部分46、52と、第3の厚さを有する掴み部分48、54とを含む。第2の厚さT2は第3の厚さT3よりも薄い(すなわちそれを下回る)。第1のジョー40および第2のジョー42は、接続部分44、50において互いに接続される。把持器具20はまた、第1の近位端26および第2の遠位端28を有するシース24を含む。
【0042】
254において、方法は、把持器具20を内視鏡と結合することを含む。実施形態では、把持器具20は、内視鏡の挿入チューブ内を動くように構成される。把持器具20は、内視鏡のハンドル上にある制御装置を介して前進させられ、引き込まれ、および作動され得る(ジョーが開閉され得る)。一実施形態では、内視鏡と把持器具20との結合は、使用者に複合器具を提供するために製造時に行われる。別の実施形態では、内視鏡および把持器具は使用者に別個に提供され、それにより、内視鏡と把持器具の結合は、ステントを除去するための処置に備えて医療従事者によって実施される。
【0043】
256において、方法は、(把持器具20に結合された)内視鏡を患者の体腔に挿入し、内視鏡を使用してステント上の好適な掴み箇所を特定することを含む。一実施形態では、方法は、尿道を経由して患者の膀胱または尿管まで内視鏡を挿入することを含む。258において、方法は、把持器具20の第1のジョー40および第2のジョー42をシース24の第2の遠位端28から出るように前進させ、把持器具20を開放状態へシフトすることを含む。もはやシース24によって閉じ込められていないため、ジョー40、42は互いに離れるように動いて広がるように構成される。260において、方法は、それぞれの第1および第2のジョー40、42の掴み部分48、54をステントの掴み箇所に位置付けることを含む。
【0044】
262において、方法は、把持器具20の第1のジョー40および第2のジョー42をシース24の第2の遠位端28内へと引き込み、閉鎖状態においてそれぞれの第1のジョー40および第2のジョー42の掴み部分48、54をステントと係合することを含む。
【0045】
264において、方法は、内視鏡およびステントと係合した把持器具を患者から引き込むことを含む。一実施形態では、方法は、内視鏡および尿管ステントと係合した把持器具を患者の尿道から出すように引き込むことにより、尿管ステントを除去することを含む。
【0046】
図17は、患者からステントを除去する方法のさらなる実施形態を示すボックス図である。一実施形態では、266において、方法は、ケーブルを介して別個のハンドルハウジングをモニターに接続することを含む。一実施形態では、268において、方法は、別個のハンドルハウジングから内視鏡を外し、および把持器具20および内視鏡を両方とも廃棄することを含む。一実施形態では、内視鏡および把持器具は、バイオハザード材料用の容器内に廃棄される。
【0047】
本開示において提案した把持器具は、器具を開放状態から閉鎖状態へシフトするための低減された操作力を必要としながらも、ステント周囲で閉鎖して固定するためのジョーの十分な保持力を得るように構成されている。十分な保持力を維持しながら、器具を開放状態から閉鎖状態へフトするために必要な力を低減させることにより、器具の構成要素、特に力伝達または移動部品を小さい寸法にでき、および/または軽量な(あまり嵩張らない)材料から作製できるようにする。把持器具が内視鏡に結合されている場合、器具を操作するために必要な力を低減させることにより、同様に、内視鏡の構成要素を小さい寸法にでき、および/または軽量な材料から作製できるようにする。これは、次に、把持器具および内視鏡を比較的低コストにでき、したがってこれらを使い捨てにできる。これは、内視鏡および器具を繰り返し滅菌する必要をなくすことにより(使い捨て製品であるため、内視鏡および把持器具は、使用者に供給される前、製造時に一度滅菌される)、遥かに効率的かつコスト削減された外科的処置を提供するために特に有利である。使い捨ての内視鏡および器具を提供することはまた、患者間の交差汚染のリスクを低減させ、かつ設備稼働率の障害を低減させるのを促進する。
【0048】
内視鏡および器具は、内視鏡を片手で使用できるようにするため、一人の医療従事者が内視鏡および器具を操作でき、それにより、処置を行うために必要なスタッフの人数を削減し、同様に処置へのアクセスがより簡単になり、およびそれに伴うコストを削減する操作方法を得ることができる。
本開示は以下の態様を含む
[1] 患者からステントを除去するための把持器具であって、
前記把持器具の近位部分を形成するハンドルハウジングと、
第1の近位端および第1の遠位端を有するシースと、
前記シース内で可動であり、かつ第2の近位端および第2の遠位端を有する運動伝達部材であって、前記第2の近位端は、前記ハンドルハウジング上に設けられた器具操作部材に接続され、および前記第2の遠位端は把持ヘッドに接続されている、運動伝達部材と
を含み、
前記把持ヘッドは、前記器具操作部材を作動させることによって閉鎖状態と開放状態との間でシフトされるように構成される第1および第2のジョーを含み、
前記第1のジョーおよび前記第2のジョーのそれぞれは、第1の厚さを有する接続部分、第2の厚さを有する中間部分および第3の厚さを有する掴み部分を含み、前記第2の厚さは前記第3の厚さよりも薄く、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは、前記接続部分において互いに接続されており、
前記把持ヘッドと前記運動伝達部材との間の接続部は、前記把持ヘッドおよび前記運動伝達部材に溶接され、かつ前記シース内で可動であるように構成された接続チューブを含み、
前記接続チューブは、前記シース内への前記把持ヘッドの引き込みの度合いを制御する停止部を提供するように構成されている、把持器具。
[2]前記シースの前記第1の近位端は、前記ハンドルハウジングに接続されている、[1]に記載の把持器具。
[3]前記第1のジョーおよび前記第2のジョーのそれぞれの前記接続部分は、前記運動伝達部材の前記第2の遠位端に接続されている、[1]に記載の把持器具。
[4]前記接続部分の前記第1の厚さおよび前記掴み部分における前記第3の厚さは実質的に同一である、[1]に記載の把持器具。
[5]前記中間部分は、ジョーの厚さが前記第2の厚さから前記第3の厚さへ移行するテーパ付きゾーンをさらに含む、[1]に記載の把持器具。
[6]前記閉鎖状態において、前記接続部分の全体、前記中間部分の全体および前記掴み部分の少なくとも一部は、前記シース内に位置付けられる、[1]に記載の把持器具。
[7]前記開放状態において、前記掴み部分の全体および前記中間部分の少なくとも一部は、前記シースの前記遠位端を越えて位置付けられる、[1]に記載の把持器具。
[8]前記第1のジョーの前記掴み部分は複数のプロングを有するように構成され、および前記第2のジョーの前記掴み部分は少なくとも1つのプロングを有するように構成されている、[1]に記載の把持器具。
[9]プロングは、前記掴み部分の長手方向軸から離れる方向において、前記プロングと前記長手方向軸との間の角度を約73度として延在する、[8]に記載の把持器具。
[10]前記第2のジョーの前記少なくとも1つのプロングは、前記閉鎖状態において、前記第1のジョーの2つの隣接するプロング間に嵌るように構成されている、[8]に記載の把持器具。
[11]前記第1および第2のジョーの前記プロングは、互いに係合し、かつ前記閉鎖状態において前記ステントが前記把持ヘッドから係合解除されるのを効果的に防止するように構成されている、[8]に記載の把持器具。
[12]前記開放状態において、前記第1のジョーの前記中間部分の前記テーパ付きゾーンの第1の外面および前記第2のジョーの前記中間部分の前記テーパ付きゾーンの第2の外面は、前記シースの前記遠位端の内面と係合する、[5]に記載の把持器具。
[13]前記シースの前記遠位端は、前記第1および第2のジョーのそれぞれの前記テーパ付きゾーンの前記第1および第2の外面と、前記シースの前記遠位端の前記内面との間の係合が2つの係合点においてもたらされるように構成されている、[12]に記載の把持器具。
[14]前記把持ヘッドの長手方向における前記掴み部分の第1の長さは、前記把持ヘッドの前記長手方向における前記中間部分の第2の長さと前記接続部分の第3の長さとを組み合わせた全長を上回る、[1]に記載の把持器具。
[15]前記把持ヘッドの長手方向における前記掴み部分の第1の長さは、前記接続部分の第3の長さの4〜6倍であるように構成され、および前記中間部分の第2の長さは、前記接続部分の前記第3の長さの2〜4倍であるように構成されている、[1]に記載の把持器具。
[16]前記シースは把持具スリーブを含む、[1]に記載の把持器具。
[17]前記把持具スリーブは、前記第1の遠位端と前記第1の近位端との間の前記シースの全体未満を提供する、[16]に記載の把持器具。
[18]前記把持具スリーブは、前記第1の遠位端と前記第1の近位端との間の前記シースの全体を提供する、[16]に記載の把持器具。
[19]前記シースは、前記第1の近位端と前記第1の遠位端との間の前記シースの全体を提供するように構成された複数の構成要素を含む、[1]に記載の把持器具。
[20]前記複数の構成要素は、把持具スリーブ、ラウンドコイル、フラットコイル、前記コイル間の移行部において前記コイルの周囲に設けられたコイルスリーブ、および端スリーブを含む、[19]に記載の把持器具。
[21]前記端スリーブは、前記第1の近位端に位置付けられ、かつ少なくともある程度遠位に延在して、前記シースの前記複数の構成要素の別の1つと係合するように構成されている、[20]に記載の把持器具。
[22]患者からステントを除去するための把持器具であって、
前記把持器具の近位部分を形成するハンドルハウジングと、
第1の近位端および第1の遠位端を有するシースと、
前記シース内で可動であり、かつ第2の近位端および第2の遠位端を有する運動伝達部材であって、前記第2の近位端は、前記ハンドルハウジング上に設けられた器具操作部材に接続され、および前記第2の遠位端は把持ヘッドに接続されている、運動伝達部材と
を含み、
前記把持ヘッドは、前記器具操作部材を作動させることによって閉鎖状態と開放状態との間でシフトされるように構成される第1および第2のジョーを含み、
前記第1のジョーおよび前記第2のジョーのそれぞれは、第1の厚さを有する接続部分、第2の厚さを有する中間部分および第3の厚さを有する掴み部分を含み、前記第2の厚さは前記第3の厚さよりも薄く、
前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは、前記接続部分において互いに接続されている、把持器具。