特許第6799043号(P6799043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799043
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】生物体液の極微標本管理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20201130BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   G01N1/10 V
   G01N1/10 N
   G01N33/48 S
   G01N33/48 K
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-201082(P2018-201082)
(22)【出願日】2018年10月25日
(62)【分割の表示】特願2017-510648(P2017-510648)の分割
【原出願日】2016年3月9日
(65)【公開番号】特開2019-49563(P2019-49563A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2019年2月26日
(31)【優先権主張番号】62/130,878
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラン イヴォセビッチ
(72)【発明者】
【氏名】キショア ケー.ボッカ スリニヴァサ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター スクートニク
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ブイ.トリス
【審査官】 北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−513754(JP,A)
【文献】 特開2009−282035(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0054949(US,A1)
【文献】 米国特許第04703761(US,A)
【文献】 特開2005−095621(JP,A)
【文献】 特表2013−535249(JP,A)
【文献】 特開平07−333216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/10
G01N 1/00
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物体液採取装置であって、
試料導入開口部を有する第1の端部と、試料小出し口を有する第2の端部と、前記試料導入開口部と前記試料小出し口との間に延在する通路と、を含むハウジングと、
前記通路と流体連通している収容室と、
前記ハウジングの前記第1の端部を覆う閉鎖物と、
前記ハウジングの前記第2の端部を覆うキャップと、
前記収容室の少なくとも一部を画定し、前記収容室内に収容された試料を強制的に前記試料小出し口から出すようにした起動部材と、を含む採取用モジュールと、
開口端および閉口端を有する外側ハウジングと、を含み、
前記採取用モジュールは、前記外側ハウジングの内側に位置決めされ、前記閉鎖物が、該外側ハウジングの前記開口端を閉じる生物体液採取装置。
【請求項2】
前記通路と流体連通している混合室をさらに備え、
前記試料導入開口部に導入された試料が、前記混合室を通過し、その後、前記収容室に入る請求項1に記載の生物体液採取装置。
【請求項3】
前記混合室は、該混合室の内部の抗凝固剤または血液安定剤を含む請求項2に記載の生物体液採取装置。
【請求項4】
前記混合室が、連続気泡発泡体で満たされる請求項2に記載の生物体液採取装置。
【請求項5】
前記連続気泡発泡体は、スポンジ材料を含む請求項4に記載の生物体液採取装置。
【請求項6】
前記キャップは、空気が前記キャップを通過可能とされ、血液試料が前記キャップを通過するのを防止するようにした請求項1に記載の生物体液採取装置。
【請求項7】
前記キャップは、排気プラグを含み、前記排気プラグにより、空気が前記排気プラグを通過可能とされ、血液試料が前記排気プラグを通過するのを防止する請求項1に記載の生物体液採取装置。
【請求項8】
前記混合室は、前記収容室に送る前に前記試料導入開口部に導入された血液試料が前記混合室を通過するように、前記収容室よりも前記ハウジングの前記第1の端部の近くに位置決めされる請求項2に記載の生物体液採取装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記ハウジングの外部から前記通路まで延在して、前記通路と流体連通する前記ハウジング内の開口部を構築する凹部を画定する請求項1に記載の生物体液採取装置。
【請求項10】
前記起動部材は、前記凹部を少なくとも一部を包囲する弾性スリーブを含む請求項9に記載の生物体液採取装置。
【請求項11】
前記キャップが前記採取用モジュールから取り外された場合、前記ハウジング内の前記凹部に向かう内向きの圧力が、前記収容室内の前記試料を前記試料小出し口から強制的に出す請求項10に記載の生物体液採取装置。
【請求項12】
前記キャップは排気プラグを含み、前記排気プラグは、多孔質のプラグである請求項1に記載の生物体液採取装置。
【請求項13】
前記キャップは、光学的に透明な材料から作られたフランジを含む請求項1に記載の生物体液採取装置。
【請求項14】
前記フランジの外面は、前記排気プラグを拡大して見せるための凸状の外表面を含む請求項13に記載の生物体液採取装置。
【請求項15】
前記閉鎖物は、ストッパを通過するルアーロック接続部を含む請求項1に記載の生物体液採取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物体液の採取装置について述べられ、具体的には、血液の小量のサンプルを採取して試料の一部をポイントオブケア(point-of-care)デバイスまたはニアペイシェントテスト(near-patient-testing)デバイスなどの試料を分析するように意図または設計されたデバイスに、試料の一部を小出しするための血液の採取装置について述べられる。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書の一部を構成する、2015年3月10日に出願した米国特許仮出願第62/130,878号明細書、名称「Biological Fluid Micro−Sample Management Device」の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
患者のポイントオブケアの用途のような、分析のための500マイクロリットル未満の採取試料のような極微標本の採取を可能にする、改良された装置が、必要とされている。現行の装置は、ポイントオブケア用カートリッジの受け入れポート、即ち、器具の受入ポートに少量の血液試料を移すために、従来の試料採取と、それに続く1mlの注射器またはピペットの使用とを必要とする。この開放系手法(open system approach)は、指定された検査手順に必要とされる標本の過剰な採取だけでなく、検査を行う人員への血液暴露リスクの増大をもたらす。
【0004】
したがって、暴露リスクを最小限に抑えながら従来の自動的な採血を採用し、新規な制御された試料の小出し機能を含む、ポイントオブケアの用途のための血液試料採取および小出し用ツールを有することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、採取用モジュールと外側ハウジングとを含む生物体液の採取装置について述べられる。採取用モジュールは、試料導入開口部を有する第1の端部と、試料小出し口を有する第2の端部と、試料導入開口部と試料小出し口との間に延在する通路とを有するハウジングを含む。混合室および収容室が、試料導入開口部に導入された試料が混合室を通過し、その後、収容室に入るように、通路と流体連通している。採取用モジュールは、ハウジングの第1の端部を覆う閉鎖物と、ハウジングの第2の端部を覆い排気プラグを有するキャップと、収容室内に収容された試料を強制的に試料小出し口から出すようにした起動部材とをさらに含む。採取用モジュールは、外側ハウジングの内側に位置決めされ、採取用モジュールの閉鎖物は、外側ハウジングの開口端を閉じる。
【0006】
その混合室は、その中に配置された抗凝固剤を含み得る。混合室は、連続気泡発泡体も含み得る。
【0007】
キャップは、空気がそこを通過するのを可能にしかつ血液試料がそこを通過するのを防止する、多孔質のプラグのような排気プラグを含み得る。排気プラグは、ハウジングの通路が血液で満たされた場合、採取装置内への血液試料の流れを止めることができる。
【0008】
その混合室は、収容室に送る前に試料導入開口部に導入された血液試料が混合室を通過するように、収容室よりもハウジングの第1の端部の近くに位置決めされ得る。
【0009】
その収容室は、ハウジングの一部分を包囲する弾性スリーブと、ハウジング内の凹部とによって画定されてもよく、起動部材は、収容室を画定している弾性スリーブの少なくとも一部分であってもよい。キャップが採取装置から取り外され、内向きの圧力がハウジング内の凹部に向かう方向に収容室を画定している弾性スリーブの一部分に配される場合、収容室内の血液試料は、試料小出し口から強制的に出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一面に従う、外側ハウジング内に配置された採取用モジュールを有する生物体液採取装置の正面の斜視図である。
図2図2は、図1における生物体液採取装置の部分断面の斜視図である。
図3図3は、本発明の他の一面に従う、外側ハウジング内に配置された採取用モジュールを有する生物体液採取装置の正面の斜視図である。
図4図4は、図3における生物体液採取装置の部分断面の斜視図である。
図5A図5Aは、本発明の一面に従う、チューブホルダに挿入されている図1の生物体液採取装置の部分断面の斜視図である。
図5B図5Bは、生物体液試料がチューブホルダを通じて採取用モジュールに流入している、図1における生物体液採取装置の部分断面の斜視図である。
図5C図5Cは、本発明の一面に従う、チューブホルダから取り外された図1における生物体液採取装置の部分断面の斜視図である。
図5D図5Dは、本発明の一面に従う、図1における外側ハウジングから取り外された図1における生物体液採取装置の採取用モジュールの部分断面の斜視図である。
図5E図5Eは、本発明の一面に従う、図1における生物体液採取装置の採取用モジュールから取り外されたキャップの部分断面の斜視図である。
図5F図5Fは、本発明の一面に従う、採取用モジュールから生物体液を小出しするために起動された、図1における生物体液採取装置の採取用モジュールの起動部材の部分断面の斜視図である。
図6図6は、本発明の他の一面に従う、外側採取ハウジング内に配置された生物体液の採取用モジュールを有する生物体液採取装置の下端部の部分斜視図である。
図7図7は、図6における生物体液採取装置の下端部の部分断面の斜視図である。
図8図8は、本発明の他の一面に従う生物体液採取装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、本発明を実施するために考えられ説明されている実施例を当業者が製造および使用することを可能にするようにもたらされる。しかし、様々な変更物、均等物、変形物、および代替物が、当業者にとってただちに明らかであろう。そのような変更物、変形物、均等物、および代替物のようなありとあらゆるものが、本発明の精神および範囲に含まれることが意図されている。
【0012】
以下、説明の目的のために、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横方向」、「縦方向」という用語、およびこれらの派生語は、図面の図内で或る方向に向けられるとき、本発明に関連するものとする。しかし、本発明は、そうでないと明確に明記されていない限り、様々な代替的な変形物を想定することができることが、理解されるべきである。また、添付図面に示され以下の明細書において説明される複数の特有の装置は、単に本発明の例示的な実施例であるということを、理解されるべきである。したがって、本明細書において開示される実施例に関係する特定の寸法および他の物理的特徴は、限定されるものとみなされない。
【0013】
図1および図2を参照すると、生物体液採取装置は、外側ハウジング34内に配置された採取用モジュール10を含む。採取用モジュール10は、血液試料などの生物体液試料を受け入れるようにしたものであり、ハウジング12と、閉鎖物14と、混合室16と、収容室18と、キャップ20、および起動部材22とを含む。
【0014】
1つの実施例では、ハウジング12は、第1の端部24と、第2の端部26と、および、それらの間に延在しハウジング12の第1の端部24と第2の端部26との間の流体連通をもたらす通路28を含む。その通路28は、ハウジング12の第1の端部24に試料導入開口部30を有し、ハウジング12の第2の端部26に試料試料小出し口32を有する。混合室16および収容室18は、通路28と流体連通して設けられる。混合室16および収容室18は、通路28の試料導入開口部30内に導入された血液試料などの生物体液試料が、通路28の試料小出し口32に到達する前に、まず、混合室16を通過し、その後収容室18に入るように、位置決めされる。このようにして、血液試料は、安定化された試料が収容室18内に受け入れられ貯蔵される前に、混合室16内に設けられた抗凝固剤または他の添加物と混合され得る。
【0015】
混合室16により、血液試料が通路28の中を流れるとき、血液試料と血液安定剤のような抗凝固剤または他の添加剤との受動混合が可能となる。混合室16の内部は、適切な構造または形態により、血液試料が通路28を通過するとき、血液試料と抗凝固剤または他の添加剤との混合が可能になるのであれば、任意の適切な構造または形態を有することができる。混合室16は、混合室16上または混合室16内に付着されたヘパリンもしくはEDTAなどの乾燥抗凝固剤を含み得る。混合室16は、例えば、連続気泡発泡体の気泡内に分散した乾燥抗凝固剤を含有する連続気泡発泡体(図1)を含んで、流れによる混合(flow-through mixing)および抗凝固剤の取込みの有効性を高めることができる。
【0016】
連続気泡発泡体は、連続気泡発泡体の細孔にわたって細かく分布した乾燥抗凝固剤粉末を形成するために、抗凝固剤で処理され得る。血液試料が混合室16に入ると、血液試料は、連続気泡発泡体を通過して、連続気泡発泡体の内部の細孔構造にわたって利用可能な抗凝固剤粉末にさらされる。
【0017】
連続気泡発泡体は、血液に対して不活性の、柔らかく変形可能な連続気泡発泡体、例えば、BASFから市販されているBasotect(登録商標)発泡体などのメラミン発泡体であってもよく、または、ホルムアルデヒド−メラミン−亜硫酸水素ナトリウム共重合体(formaldehyde-melamine-sodium bisulfite copolymer)で構成されてもよい。連続気泡発泡体はまた、熱および有機溶剤に対して実質的に耐性を有する、柔軟で親水性の連続気泡発泡体であってもよい。一つの実施例では、発泡体はスポンジ材料を含んでもよい。
【0018】
抗凝固剤または他の添加剤は、発泡体を添加剤と水との溶液に浸し、その後水分を蒸発させて、発泡体の内部構造にわたって細かく分布した乾燥添加剤粉末を形成することにより、連続気泡発泡体内に導入されてもよい。
【0019】
血液試料は、混合室16を通過した後、収容室18に向けられ得る。収容室18は、所望の検査に必要な十分な量の血液、例えば500μl以下の血液を貯蔵するために、任意の適切な形状およびサイズをとることができる。図1および2に示された実施例では、収容室18は、ハウジング12の外部の周りに固着された弾性スリーブ40との併用で、ハウジング12の一部分によって画定される。弾性スリーブ40は、天然ゴムまたは合成ゴム、および他の適切な弾性材料を含むがそれらに限定されない、柔軟で、変形可能で、かつハウジング12に流体密シールをもたらすことが可能な、任意の材料で作られ得る。ハウジング12は凹部42を含み、この凹部42は、ハウジング12の外部から通路28まで延在して、通路28と流体連通するハウジング12内の開口部を事実上作り出す。弾性スリーブ40は、凹部42を覆って、500μl以下の内部充填容積を有する収容室18を画定する。
【0020】
ハウジング12の第2の端部26に配置されたキャップ20が、通路28の試料小出し口32を覆う。キャップ20は、キャップ20の内部表面からキャップ20の外部表面まで延在する、多孔質プラグ44などの排気プラグを含む。排気プラグ44の構造は、血液試料がキャップ20を通過するのを防止しながら空気がキャップ20を通過することを可能にし、また、疎水性のフィルタを含み得る。排気プラグ44は、通路28の充填率を細かく制御するために使用され得る、選択された空気通過抵抗を有する。プラグの多孔度を変化させることにより、キャップ20からの空気の流出速度、したがって採取用モジュール10内への血液試料の流入速度を、制御することができる。採取用モジュール10内への血液試料の流入速度が速すぎると、溶血現象が起こる可能性がある。採取用モジュール10内への血液試料の流入速度が遅すぎると、試料採取時間が過度に長くなる可能性がある。
【0021】
閉鎖物14がハウジング12の第1の端部24に係合されて、通路28を密閉する。閉鎖物14は、ハウジング12の通路28内への血液試料の導入を可能にし、また、Becton,Dickinson and Companyから市販されているHemogard(商標)キャップなどの、外側保護物38を有する穿孔可能な自己密閉ストッパ36を含み得る。閉鎖物14はまた、Becton,Dickinson and Companyから市販されているVacutainer(登録商標)採血管などの内部が真空の採血管であってもよい外側ハウジング34に固着される。
【0022】
ハウジング12の第2の端部26に配置されたキャップ20はまた、使用者がハウジング12からキャップ20を取り外す際に使用者の助けとなるように、フランジ46を含み得る。図2に示されるように、フランジは、採取用モジュール10が入れられ得る外側ハウジング34の内径未満の外径を有し得る。あるいは、図6および7に示されるように、フランジ46は、外側ハウジング34の内径に実質的に等しい外径を有してもよい。この構成では、フランジ46は、上部表面から下部表面まで延在して外側ハウジング34内の真空がフランジ46を迂回することを可能にする、凹部または溝48を含み得る。さらに、図6および7に示されるように、フランジ46は、光学的に透明な材料で作られてもよく、また、キャップ20の排気プラグ44領域を拡大して見せるように凸状の外径表面を有して、いつ血液試料が通路28を完全に満たしてキャップ20に到達したか、医師が分かるようにすることができる。フランジ46はまた、外側ハウジング34の内壁の凹部に係合されて、それと共にキャップ20を拘束してもよい。
【0023】
使用に際して、針カニューレ50(図5Aおよび5C)が、閉鎖物14の穿孔可能な自己密閉ストッパ36のような、試料導入開口部30を介してハウジング12の通路28に挿入される。図5Aに示されるように、組み合わせられた採取用モジュール10および外側ハウジング34は、生物体液が通過させられるカニューレを有する、従来のチューブホルダ52に挿入され得る。
【0024】
生物体液試料は、外側ハウジング34内部の真空の引込みにより、従来のチューブホルダ52からハウジング12の通路28内に引き込まれる(図5B)。血液試料は、最初に混合室16に入り、その後収容室18に入って、通路28内に存在するいかなる空気も外側ハウジング34内に排出することにより、通路28全体を満たす。上述のように、生物体液試料は、混合室16を通過するときに、抗凝固剤または他の添加剤にさらされて、抗凝固剤または他の添加剤と混合される。キャップ20は、採取用モジュール10の通路28、混合室16、および収容室18が完全に満たされたときに、血液試料の採取を止める。キャップ20の排気プラグ44は、血液が外側ハウジング34に入るのを防ぐ。
【0025】
試料採取が完了すると、採取用モジュール10を含む外側ハウジング34は、チューブホルダ52から分離され(図5C)、次いで、外側ハウジング34は、採取用モジュール10に依然として取り付けられている閉鎖物14を外側ハウジング34から取り外すことにより、採取用モジュール10から分離される(図5D)。閉鎖物14の取り外しは、使用者が閉鎖物14の外側保護物38および外側ハウジング34の両方を把持して、それらを反対方向に引っ張るかまたは捻ることにより、達成され得る。
【0026】
採取用モジュール10が外側ハウジング34から分離されると、次いで、キャップ20は、採取用モジュール10から取り外されて(図5E)、ハウジング12の第2の端部26を露出させることができる。取り外しは、使用者がフランジ46を把持してキャップ20をハウジング12から引っ張ることにより、達成され得る。血液試料は、キャップ20の取り外し後の毛管作用により、ハウジング12の通路28内に保持される。あるいは、キャップ20の取り外しは、外側ハウジング34からの採取用モジュール10の取り外しに応じて起こってもよい。この構成では、キャップ20は、フランジ46と外側ハウジング壁の対応する凹部との相互作用により、外側ハウジング34内に拘束されている。さらなる実施例では、キャップ20は、外側ハウジング34およびキャップ20が1ステップで取り外されるように、外側ハウジング34に接続され得る。
【0027】
次いで、血液試料は、収容室18を覆っている弾性スリーブ40の部分に対して矢印の方向に内向きの圧力を加えて血液試料を強制的に収容室18から出して試料小出し口32を通過させることなど、起動部材22を作動させることにより、採取用モジュール10から小出しされる(図5F)。このようにして、血液試料は、血液試料への医師の暴露を最小限に抑えながら、カートリッジテスタのようなポイントオブケア検査デバイスなどの試料を分析することを目的とするデバイスへ、またはポートを介して移され得る。
【0028】
弾性スリーブ40の一部分が、収容室18を部分的に画定しかつ採取用モジュール10から血液試料を小出しするための起動部材22として機能するものとして、図示されかつ説明されているが、同様の結果を得るための他の代替的構成が想定される。例えば、収容室18は、全面的にハウジング12によって画定されてもよく、また、プランジャ、押しボタン、スライド、等を含むがそれらに限定されない、収容室18に係合された別体の動作デバイスが、血液試料を小出しするために作動されてもよい。
【0029】
図3および4に示される別の実施例では、閉鎖物14は、ストッパ36を通過するルアーロック接続部54を有し得る。この構成は、動脈から血液試料を引き抜く場合に有用であり、動脈から血液試料を引き抜く場合には、採取用モジュール100内に血液試料を引き入れるのに、静脈採血では必要とされる真空が必要とされない。採取用モジュール100は、嵌まり合うルアーロック接続部を有するウィングセット(wing set)または他の採取手段に採取用モジュール100を接続して血液試料を通路28に導入するためにルアーロック接続部54が使用されることを除けば、採取用モジュール10と同じように使用される。
【0030】
また、採取用モジュール10、100は、外側ハウジング34なしで使用されてもよい。採取用モジュール10の場合では、採取用モジュール10に試料を引き込むために、注射器または他の動力源が使用され得る。さらに、本明細書での記述は、血液試料を採取してそれを抗凝固剤または他の添加剤と混合するために採取用モジュール10、100を使用することに重点を置いたが、採取用モジュール10、100は、他の体液などの任意の液体試料を採取するために使用されてもよく、または、別の手段により前もって採取された試料の混合および分注を実現するために使用されてもよい。
【0031】
さらなる構成では、採取用モジュール10は、閉鎖物14および外側ハウジング34の両方に付着されたラベル56a、56bを含むことができ、それらのラベル56a、56bは、採取用モジュール10を外側ハウジング34から取り外すために破壊される必要がある。図1乃至図4に示されるように、ラベル56aは、閉鎖物14および外側ハウジング34の外周の一部分に沿ってのみ延在する条片であり得る。閉鎖物14を外側ハウジング34に対して捻ることにより、条片は、条片が外側ハウジング34から閉鎖物14へ移行する位置で破壊される。閉鎖物14が捻られたときに条片が壊れるのを支援するために、ラベル56aが外側ハウジング34から閉鎖物14へ移行する位置において、ラベル56aにミシン目58が設けられてもよい。あるいは、図8に示されるように、ラベル56bは、閉鎖物14および外側ハウジング34の両方の全周を包囲してもよい。ラベル56bが外側ハウジング34から閉鎖物14に移行する位置においてラベル56bにミシン目58が設けられて、外側ハウジング34を包囲するラベル56bの部分から分離され得る、閉鎖物14の周りの帯60を形成する。閉鎖物14から帯60を取り外すことにより、閉鎖物14を外側ハウジング34から取り外すことが可能になる。プルタブ62が、帯60上に設けられて、外側ハウジング34を包囲するラベル56bの部分から帯60を分離するのを支援し得る。
【0032】
本開示の装置の特定の実施例が詳細に説明されたが、それらの詳細に対する様々な変更および代替が本開示の全体的な教示を踏まえて開発され得ることが、当業者には理解されるであろう。したがって、開示された具体的な構成は、単に例示的なものであって、添付の請求の範囲の全容によって与えられることになる本開示の装置およびそのあらゆる均等物の範囲に関して限定するものではないことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8