(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799069
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】LTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20201130BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20201130BHJP
G11C 19/28 20060101ALI20201130BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20201130BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 622E
G09G3/20 621F
G09G3/20 622C
G11C19/28 230
G02F1/1345
G02F1/133 505
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-541120(P2018-541120)
(86)(22)【出願日】2016年6月13日
(65)【公表番号】特表2019-512715(P2019-512715A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】CN2016085598
(87)【国際公開番号】WO2017197684
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2018年8月6日
(31)【優先権主張番号】201610331196.1
(32)【優先日】2016年5月18日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517264292
【氏名又は名称】武漢華星光電技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN CHINA STAR OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李 亜鋒
【審査官】
西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第105355187(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0302934(US,A1)
【文献】
特開2009−301698(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/054516(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G02F 1/133
G02F 1/1345
G09G 3/20
G11C 19/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路であって、
縦続接続される複数のGOAユニットを備え、各段のGOAユニットはいずれも走査制御モジュール、出力モジュール、プルダウンモジュール及び出力調整モジュールを含み、
nを正の整数とすると、1段目及び最終段のGOAユニットを除き、n段目のGOAユニットにおいて、
前記走査制御モジュールは第1薄膜トランジスタ、第3薄膜トランジスタ及び第5薄膜トランジスタを備え、前記第1薄膜トランジスタのゲート電極が第1クロック信号配線に電気的に接続され、ソース電極が前段である第n−1段のGOAユニットの出力端子G(n−1)に電気的に接続され、ドレイン電極が第3ノードに電気的に接続され、前記第3薄膜トランジスタのゲート電極が第3クロック信号配線に電気的に接続され、ソース電極が次段である第n+1段のGOAユニットの出力端子G(n+1)に電気的に接続され、ドレイン電極が前記第3ノードに電気的に接続され、前記第5薄膜トランジスタのゲート電極が定電圧ハイレベルに電気的に接続され、ソース電極が前記第3ノードに電気的に接続され、ドレイン電極が第1ノードに電気的に接続され、
前記第5薄膜トランジスタは、前記定電圧ハイレベルの制御によって常に導通され、
前記出力モジュールは第2薄膜トランジスタ及び第1ブートストラップコンデンサを備え、前記第2薄膜トランジスタのゲート電極が前記第1ノードに電気的に接続され、ソース電極が第2クロック信号配線に電気的に接続され、ドレイン電極が出力端子G(n)に電気的に接続され、前記第1ブートストラップコンデンサの一端が前記第1ノードに電気的に接続され、他端が前記出力端子G(n)に電気的に接続され、
前記プルダウンモジュールは第4薄膜トランジスタ、第6薄膜トランジスタ、第7薄膜トランジスタ、第8薄膜トランジスタ及び第2ブートストラップコンデンサを備え、前記第4薄膜トランジスタのゲート電極が第2ノードに電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記出力端子G(n)に電気的に接続され、前記第6薄膜トランジスタのゲート電極が前記第3ノードに電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記第2ノードに電気的に接続され、前記第7薄膜トランジスタのゲート電極が前記第2ノードに電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記第1ノードに電気的に接続され、前記第8薄膜トランジスタのゲート電極が第4クロック信号配線に電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記出力端子G(n)に電気的に接続され、前記第2ブートストラップコンデンサの一端が前記第2ノードに電気的に接続され、他端が前記第2クロック信号配線に電気的に接続され、かつ、
前記出力調整モジュールは第9薄膜トランジスタ、第10薄膜トランジスタ、第11薄膜トランジスタ及び第12薄膜トランジスタを備え、前記第9薄膜トランジスタのゲート電極が前記第2クロック信号配線に電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ハイレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が第4ノードに電気的に接続され、前記第10薄膜トランジスタのゲート電極が前記第1ノードに電気的に接続され、ソース電極が前記第4ノードに電気的に接続され、ドレイン電極が前記出力端子G(n)に電気的に接続され、前記第11薄膜トランジスタのゲート電極が前記出力端子G(n−1)に電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記第4ノードに電気的に接続され、前記第12薄膜トランジスタのゲート電極が前記出力端子G(n+1)に電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記第4ノードに電気的に接続され、
前記第1クロック信号配線における第1クロック信号、前記第2クロック信号配線における第2クロック信号、前記第3クロック信号配線における第3クロック信号、前記第4クロック信号配線における第4クロック信号のパルスが順次に出力されて、互いに重ならないLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路。
【請求項2】
順方向に走査する時、前記第1薄膜トランジスタに電気的に接続される前記第1クロック信号及び前記出力端子G(n−1)がハイレベルを同時に提供し、逆方向に走査する時、前記第3薄膜トランジスタに電気的に接続される前記第3クロック信号及び前記出力端子G(n+1)がハイレベルを同時に提供する請求項1に記載のGOA回路。
【請求項3】
すべての薄膜トランジスタがいずれも低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタである請求項1に記載のGOA回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示分野に関し、特にGOA回路出力点の出力能力を向上させることができるLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路に関する。
【背景技術】
【0002】
GOA(Gate Driver on Array、アレイ基板行駆動)技術は、従来のTFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)アレイプロセスを利用してGate行走査駆動回路をアレイ基板に製造し、それによりGateを一行ずつ走査する駆動方式技術である。GOA技術は外部IC(Integrated Circuit、集積回路)の半田づけ(bonding)のプロセスを簡素化することができ、生産能力を向上させ且つ製品コストを削減する可能性があり、且つ液晶表示パネルを狭額縁又は額縁なしの表示製品の製造に適することができる。
【0003】
低温ポリシリコン(Low Temperature Poly−silicon、LTPS)半導体薄膜トランジスタの発展に伴い、LTPS−TFT液晶ディスプレイもますます人気があり、LTPS−TFT液晶ディスプレイは解像度が高く、応答速度が速く、輝度が高く、開口率が高いなどの利点を有する。且つLTPS半導体自体はキャリア移動度が極めて高いという特性を有するため、GOA技術でゲートドライバを薄膜トランジスタアレイ基板に製造することにより、システム統合の目的を実現し、スペースを節約し且つドライバICのコストを削減することができる。
【0004】
図1は従来のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路の模式図である。前記GOA回路は縦続接続される複数のGOAユニットを備え、nを正整数として設定し、n段目のGOAユニットは、ゲート電極が第1クロック信号CK1に電気的に接続され、ソース電極が前段である第n−1段のGOAユニットの出力端子G(n−1)に電気的に接続され、ドレイン電極が第3ノードH(n)に電気的に接続される第1薄膜トランジスタT1と、ゲート電極が第1ノードQ(n)に電気的に接続され、ソース電極が第2クロック信号CK2に電気的に接続され、ドレイン電極が出力端子G(n)に電気的に接続される第2薄膜トランジスタT2と、ゲート電極が第3クロック信号CK3に電気的に接続され、ドレイン電極が第3ノードH(n)に電気的に接続され、ソース電極が次段である第n+1段のGOAユニットの出力端子G(n+1)に電気的に接続される第3薄膜トランジスタT3と、ゲート電極が第2ノードP(n)に電気的に接続され、ドレイン電極が出力端子G(n)に電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルVGLに電気的に接続される第4薄膜トランジスタT4と、ゲート電極が定電圧ハイレベルVGHに電気的に接続され、ソース電極が第3ノードH(n)に電気的に接続され、ドレイン電極が第1ノードQ(n)に電気的に接続される第5薄膜トランジスタT5と、ゲート電極が第3ノードH(n)に電気的に接続され、ドレイン電極が第2ノードP(n)に電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルVGLに電気的に接続される第6薄膜トランジスタT6と、ゲート電極が第2ノードP(n)に電気的に接続され、ドレイン電極が第1ノードQ(n)に電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルVGLに電気的に接続される第7薄膜トランジスタT7と、ゲート電極が第2クロック信号CK2に電気的に接続され、ソース電極が出力端子G(n)に電気的に接続され、ドレイン電極が定電圧ローレベルVGLに電気的に接続される第8薄膜トランジスタT8と、一端が第1ノードQ(n)に電気的に接続され、他端が出力端子G(n)に電気的に接続される第1コンデンサC1と、一端が第2ノードP(n)に電気的に接続され、他端が第2クロック信号CK2に電気的に接続される第2コンデンサC2と、を備える。
【0005】
図1に示すGOA回路は順方向に走査することができるだけでなく、逆方向に走査することもでき、順、逆方向に走査する動作プロセスが同様である。
図1及び
図2に示すように、順方向に走査することを例として説明し、
図2は
図1に示す従来のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路の順方向走査シーケンス図である。順方向に走査する時、その動作プロセスは、G(n−1)及びCK1がハイレベルを同時に提供し、T1が導通し、T5ゲート電極が定電圧ハイレベルVGHに接続され、従って、T5が常に導通状態にあり、第3ノードH(n)がハイレベルまで予備充電され、T6が導通し、第3ノードH(n)及び第1ノードQ(n)のレベルが常に同じであり、第1ノードQ(n)がハイレベルまで予備充電され、第2ノードP(n)が引き下げられ、T4、T7が遮断される予備充電段階1と、G(n−1)及びCK1がローレベルまでホッピングし、CK2がハイレベルを提供し、第1ノードQ(n)が第1コンデンサC1の貯蔵作用のためハイレベルを維持し、T2が導通し、CK2のハイレベルを出力端子G(n)に出力し、それにより出力端子G(n)がハイレベルを出力して、第1ノードQ(n)をより高いレベルまで引き上げるという出力端子G(n)がハイレベルを出力する段階2と、CK3及びG(n+1)がハイレベルを同時に提供し、第1ノードQ(n)がハイレベルに維持され、CK2がローレベルまでホッピングし、CK2のローレベルを出力端子G(n)に出力し、それにより出力端子G(n)がローレベルを出力するという出力端子G(n)がローレベルを出力する段階3と、CK1がハイレベルを再び提供し、G(n−1)がローレベルを維持し、T1が導通して第1ノードQ(n)を定電圧ローレベルVGLまで引き下げ、T6が遮断されるという第1ノードQ(n)を定電圧ローレベルVGLまで引き下げる段階4と、CK2がハイレベルまでホッピングし、第2コンデンサC2のブートストラップ作用のため、第2ノードP(n)がハイレベルまで充電され、T4、T7が導通することにより、第1ノードQ(n)及び出力端子G(n)をローレベルに維持することができる第1ノードQ(n)及び出力端子G(n)のローレベル維持段階5と、を含む。
【0006】
上記従来のGOA回路において、出力端子G(n)のハイ・ローレベルは主に薄膜トランジスタT2によって実現される。つまり、第1ノードQ(n)が予備充電された後、クロック信号CK2がハイである時、薄膜トランジスタT2によって出力端子G(n)を引き上げ、クロック信号CK2がローである時、薄膜トランジスタT2によって出力端子G(n)を引き下げる。一定の時間内に、薄膜トランジスタT2の対応する充電能力が限られ、特にインチあたりの画像画素数(Pixel Per Inch、PPI)が多いほど、充電時間が急に短縮するため、出力端子G(n)は予め要求される電位に達することができない恐れがあり、又は対応するRC Delay(RC遅延)時間が長すぎる恐れがあり、以上の場合はいずれも面内画素(Pixel)の充電結果に悪影響を与え、更に液晶パネルの表示効果に悪影響を与えてしまう。
【0007】
このため、新しいGOA回路を提供し、GOA回路出力点の出力能力を向上させることが強く要望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、LTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路を提供することであり、従来のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路に比べて、同じ時間内に、出力点G(n)の出力能力を向上させ、面内画素の充電率を向上させ、負荷能力を向上させ、更に液晶パネルの表示効果を改善できることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を実現するために、本発明はLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路を提供し、縦続接続される複数のGOAユニットを備え、各段のGOAユニットはいずれも走査制御モジュール、出力モジュール、プルダウンモジュール及び出力調整モジュールを含み、nを正の整数とすると、1段目及び最終段のGOAユニットを除き、n段目のGOAユニットにおいて、前記走査制御モジュールは第1薄膜トランジスタ、第3薄膜トランジスタ及び第5薄膜トランジスタを備え、前記第1薄膜トランジスタのゲート電極が第1クロック信号に電気的に接続され、ソース電極が前段である第n−1段のGOAユニットの出力端子G(n−1)に電気的に接続され、ドレイン電極が第3ノードに電気的に接続され、前記第3薄膜トランジスタのゲート電極が第3クロック信号に電気的に接続され、ソース電極が次段である第n+1段のGOAユニットの出力端子G(n+1)に電気的に接続され、ドレイン電極が前記第3ノードに電気的に接続され、前記第5薄膜トランジスタのゲート電極が定電圧ハイレベルに電気的に接続され、ソース電極が前記第3ノードに電気的に接続され、ドレイン電極が第1ノードに電気的に接続され、前記出力モジュールは第2薄膜トランジスタ及び第1ブートストラップコンデンサを備え、前記第2薄膜トランジスタのゲート電極が前記第1ノードに電気的に接続され、ソース電極が第2クロック信号に電気的に接続され、ドレイン電極が出力端子G(n)に電気的に接続され、前記第1ブートストラップコンデンサの一端が前記第1ノードに電気的に接続され、他端が前記出力端子G(n)に電気的に接続され、前記プルダウンモジュールは第4薄膜トランジスタ、第6薄膜トランジスタ、第7薄膜トランジスタ、第8薄膜トランジスタ及び第2ブートストラップコンデンサを備え、前記第4薄膜トランジスタのゲート電極が第2ノードに電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記出力端子G(n)に電気的に接続され、前記第6薄膜トランジスタのゲート電極が前記第3ノードに電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記第2ノードに電気的に接続され、前記第7薄膜トランジスタのゲート電極が前記第2ノードに電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記第1ノードに電気的に接続され、前記第8薄膜トランジスタのゲート電極が第4クロック信号に電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記出力端子G(n)に電気的に接続され、前記第2ブートストラップコンデンサの一端が前記第2ノードに電気的に接続され、他端が前記第2クロック信号に電気的に接続され、及び前記出力調整モジュールは第9薄膜トランジスタ、第10薄膜トランジスタ、第11薄膜トランジスタ及び第12薄膜トランジスタを備え、前記第9薄膜トランジスタのゲート電極が前記第2クロック信号に電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ハイレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が第4ノードに電気的に接続され、前記第10薄膜トランジスタのゲート電極が前記第1ノードに電気的に接続され、ソース電極が前記第4ノードに電気的に接続され、ドレイン電極が前記出力端子G(n)に電気的に接続され、前記第11薄膜トランジスタのゲート電極が前記出力端子G(n−1)に電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記第4ノードに電気的に接続され、前記第12薄膜トランジスタのゲート電極が前記出力端子G(n+1)に電気的に接続され、ソース電極が前記定電圧ローレベルに電気的に接続され、ドレイン電極が前記第4ノードに電気的に接続される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の利点は、本発明に係るLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路に、第9、第10、第11、第12薄膜トランジスタT9、T10、T11、T12で構成される出力調整モジュールを導入するため、順方向に走査する時又は逆方向に走査する時、第4ノードM(n)のレベルはいずれも、第2クロック信号CK2がハイ、ローレベルの間をホッピングすると共に、同様にハイ、ローレベルをホッピングする。従来技術において出力端子G(n)のハイ・ローレベルは主に第2薄膜トランジスタT2によって実現されることに比べ、本発明に係るLTPS薄膜トランジスタによるGOA回路は、同じ時間内に、出力端子G(n)の出力能力をある程度向上させ、面内Pixelの充電率を向上させ、更に液晶パネルの表示効果を改善することができる。本発明に係るGOA回路は携帯電話、ディスプレイ、テレビのゲート駆動の分野に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は従来のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路の模式図である。
【
図2】
図2は
図1に示す従来のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路の順方向走査シーケンス図である。
【
図3】
図3は本発明に記載のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路の模式図である。
【
図4】
図4は
図3に示す本発明のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路の順方向走査シーケンス図である。
【
図5】
図5は
図3に示す本発明のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路の逆方向走査シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明に係るLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路を詳しく説明する。
【0013】
図3は本発明に記載のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路の模式図である。前記GOA回路は縦続接続される複数のGOAユニットを備え、各段のGOAユニットはいずれも走査制御モジュール32、出力モジュール34、プルダウンモジュール36及び出力調整モジュール38を含む。
【0014】
nを正の整数とすると、1段目及び最終段のGOAユニットを除き、n段目のGOAユニットにおいて、前記走査制御モジュール32は第1薄膜トランジスタT1、第3薄膜トランジスタT3及び第5薄膜トランジスタT5を備え、前記出力モジュール34は第2薄膜トランジスタT2及び第1ブートストラップコンデンサC1を備え、前記プルダウンモジュール36は第4薄膜トランジスタT4、第6薄膜トランジスタT6、第7薄膜トランジスタT7、第8薄膜トランジスタT8及び第2ブートストラップコンデンサC2を備え、前記出力調整モジュール38は第9薄膜トランジスタT9、第10薄膜トランジスタT10、第11薄膜トランジスタT11及び第12薄膜トランジスタT12を備える。
【0015】
前記走査制御モジュール32において、第1薄膜トランジスタT1のゲート電極が第1クロック信号CK1に電気的に接続され、ソース電極が前段である第n−1段のGOAユニットの出力端子G(n−1)に電気的に接続され、ドレイン電極が第3ノードH(n)に電気的に接続され、第3薄膜トランジスタT3のゲート電極が第3クロック信号CK3に電気的に接続され、ソース電極が次段である第n+1段のGOAユニットの出力端子G(n+1)に電気的に接続され、ドレイン電極が第3ノードH(n)に電気的に接続され、第5薄膜トランジスタT5のゲート電極が定電圧ハイレベルVGHに電気的に接続され、ソース電極が第3ノードH(n)に電気的に接続され、ドレイン電極が第1ノードQ(n)に電気的に接続される。
【0016】
前記出力モジュール34において、第2薄膜トランジスタT2のゲート電極が第1ノードQ(n)に電気的に接続され、ソース電極が第2クロック信号CK2に電気的に接続され、ドレイン電極が出力端子G(n)に電気的に接続され、第1ブートストラップコンデンサC1の一端が第1ノードQ(n)に電気的に接続され、他端が出力端子G(n)に電気的に接続される。
【0017】
前記プルダウンモジュール36において、第4薄膜トランジスタT4のゲート電極が第2ノードP(n)に電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルVGLに電気的に接続され、ドレイン電極が出力端子G(n)に電気的に接続され、第6薄膜トランジスタT6のゲート電極が第3ノードH(n)に電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルVGLに電気的に接続され、ドレイン電極が第2ノードP(n)に電気的に接続され、第7薄膜トランジスタT7のゲート電極が第2ノードP(n)に電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルVGLに電気的に接続され、ドレイン電極が第1ノードQ(n)に電気的に接続され、第8薄膜トランジスタT8のゲート電極が第4クロック信号CK4に電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルVGLに電気的に接続され、ドレイン電極が出力端子G(n)に電気的に接続され、第2ブートストラップコンデンサC2の一端が第2ノードP(n)に電気的に接続され、他端が第2クロック信号CK2に電気的に接続される。
【0018】
前記出力調整モジュール38において、第9薄膜トランジスタT9のゲート電極が第2クロック信号CK2に電気的に接続され、ソース電極が定電圧ハイレベルVGHに電気的に接続され、ドレイン電極が第4ノードM(n)に電気的に接続され、第10薄膜トランジスタT10のゲート電極が第1ノードQ(n)に電気的に接続され、ソース電極が第4ノードM(n)に電気的に接続され、ドレイン電極が出力端子G(n)に電気的に接続され、第11薄膜トランジスタT11のゲート電極が出力端子G(n−1)に電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルVGLに電気的に接続され、ドレイン電極が第4ノードM(n)に電気的に接続され、第12薄膜トランジスタT12のゲート電極が出力端子G(n+1)に電気的に接続され、ソース電極が定電圧ローレベルVGLに電気的に接続され、ドレイン電極が第4ノードM(n)に電気的に接続される。
【0019】
具体的に、本発明に記載の各薄膜トランジスタはいずれも低温ポリシリコン半導体薄膜トランジスタである。
【0020】
具体的に、前記GOA回路の4つのクロック信号である前記第1クロック信号CK1、前記第2クロック信号CK2、前記第3クロック信号CK3及び前記第4クロック信号CK4のパルスは順次に出力されて、互いに重ならない。
【0021】
特に、1段目のGOAユニットにおいて、第1薄膜トランジスタT1のソース電極が回路開始信号STVに電気的に接続され、最終段のGOAユニットにおいて、第3薄膜トランジスタT3のソース電極が回路開始信号STVに電気的に接続される。本発明に記載のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路は、1段目から最終段まで順に順方向に走査することができるだけでなく、最終段から1段目まで順に逆方向に走査することもできる。順方向に走査する時、まず、1段目のGOAユニットにおける第1薄膜トランジスタT1に第1クロック信号(つまりCK1がハイレベルである)及び回路開始信号STVを提供し、つまり、順方向に走査する時、前記第1薄膜トランジスタT1に電気的に接続される第1クロック信号CK1及び前段である第n−1段のGOAユニットの出力端子G(n−1)がハイレベルを同時に提供する。逆方向に走査する時、まず、最終段のGOAユニットにおける第3薄膜トランジスタT3に第1クロック信号(つまりCK3がハイレベルである)及び回路開始信号STVを提供し、つまり、逆方向に走査する時、前記第3薄膜トランジスタに電気的に接続される第3クロック信号CK3及び次段である第n+1段のGOAユニットの出力端子G(n+1)がハイレベルを同時に提供する。
【0022】
本発明に記載のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路において、順方向に走査する時又は逆方向に走査する時、第4ノードM(n)のレベルはいずれも、第2クロック信号CK2がハイ、ローレベルの間をホッピングすると共に、同様にハイ、ローレベルをホッピングする。従来技術に比べて、同じ時間内に、出力端子G(n)の出力能力をある程度で向上させ、面内Pixelの充電率を向上させ、更に液晶パネルの表示効果を改善することができる。
【0023】
図4は
図3に示す本発明のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路の順方向走査シーケンス図である。順方向に走査する時、その動作プロセスは以下を含む。
【0025】
クロック信号CK1及び出力端子G(n−1)がいずれもハイレベルを提供し、クロック信号CK2、CK3、CK4がいずれもローレベルを提供し、出力端子G(n+1)もローレベルを提供し、第1薄膜トランジスタT1がクロック信号CK1の制御によって導通し、第3ノードH(n)がハイレベルまで予備充電され、第3ノードH(n)により制御される第6薄膜トランジスタT6が導通し、第5薄膜トランジスタT5が定電圧ハイレベルVGHの制御によって常に導通し、従って、第3ノードH(n)及び第1ノードQ(n)のレベルが常に同じであり、第1ノードQ(n)がハイレベルまで予備充電され、第2ノードP(n)が定電圧ローレベルVGLまで引き下げられ、第2ノードP(n)により制御される第4、第7薄膜トランジスタT4、T7が遮断され、同時に、出力端子G(n−1)がハイレベルを提供するため、第11薄膜トランジスタT11が導通し、第4ノードM(n)が引き下げられる。
【0026】
段階2、出力端子G(n)がハイレベルを出力する。
【0027】
クロック信号CK1及び出力端子G(n−1)がいずれもローレベルまでホッピングし、クロック信号CK2がハイレベルを提供し、クロック信号CK3、CK4及び出力端子G(n+1)が依然としてローレベルを提供し、第1ノードQ(n)が第1ブートストラップコンデンサC1の貯蔵作用のためハイレベルを維持し、第2薄膜トランジスタT2が導通し、クロック信号CK2のハイレベルを出力端子G(n)に出力し、それにより出力端子G(n)がハイレベルを出力して、第1ノードQ(n)をより高いレベルまで引き上げ、第6薄膜トランジスタT6が依然として導通し、第2ノードP(n)が定電圧ローレベルVGLを維持し、第2ノードP(n)により制御される第4、第7薄膜トランジスタT4、T7が依然として遮断され、同時に、クロック信号CK2がハイレベルを提供するため、第9薄膜トランジスタT9が導通し、定電圧ハイレベルVGHが第4ノードM(n)を定電圧ハイレベルVGHまで予備充電し、第10薄膜トランジスタT10が導通し、第4ノードM(n)のハイレベルが出力端子G(n)を充電する。
【0028】
段階3、出力端子G(n)がローレベルを出力する。
【0029】
クロック信号CK2がローレベルまでホッピングし、クロック信号CK3及び出力端子G(n+1)がいずれもハイレベルを提供し、クロック信号CK1、CK4及び出力端子G(n−1)が依然としてローレベルを提供し、クロック信号CK3により制御される第3薄膜トランジスタT3が導通し、第1ノードQ(n)がハイレベルを維持し、第2、第6薄膜トランジスタT2、T6が依然として導通し、第2ノードP(n)が依然として定電圧ローレベルVGLを維持し、第2ノードP(n)により制御される第4、第7薄膜トランジスタT4、T7が依然として遮断され、第2薄膜トランジスタT2が依然として導通するため、クロック信号CK2のローレベルを出力端子G(n)に出力し、それにより出力端子G(n)を引き下げ、同時に、クロック信号CK2がローレベルを提供するため、第9薄膜トランジスタT9が遮断され、出力端子G(n+1)がハイレベルを提供するため、第12薄膜トランジスタT12が導通し、定電圧ローレベルVGLが第4ノードM(n)を定電圧ローレベルVGLまで予備充電し、第10薄膜トランジスタT10が依然として導通状態にあり、第4ノードM(n)のローレベルも出力端子G(n)を引き下げる役割を果たす。
【0030】
段階4、第1ノードQ(n)を定電圧ローレベルVGLまで引き下げる。
【0031】
クロック信号CK1がハイレベルを再び提供し、クロック信号CK2、CK3、CK4及び出力端子G(n−1)がローレベルを提供し、クロック信号CK1により制御される第1薄膜トランジスタT1が導通し、第1ノードQ(n)を定電圧ローレベルVGLまで引き下げることにより、第2、第6薄膜トランジスタT2、T6を遮断させる。
【0032】
段階5、第1ノードQ(n)及び出力端子G(n)のローレベル維持段階
【0033】
クロック信号CK2がハイレベルを再び提供し、クロック信号CK1がローレベルまでホッピングし、クロック信号CK3、CK4及び出力端子G(n−1)、G(n+1)がローレベルを提供し、第2ブートストラップコンデンサC2のブートストラップのため、第2ノードP(n)がハイレベルまで充電され、第4、第7薄膜トランジスタT4、T7が導通し、それにより第1ノードQ(n)及び出力端子G(n)をローレベルに維持する。
【0034】
従来技術における出力端子G(n)のハイ・ローレベルは主に第2薄膜トランジスタT2によって実現され、一定の時間内に第2薄膜トランジスタT2の対応する充電能力が限られることに比べて、本発明に係るLTPS薄膜トランジスタによるGOA回路は、第1ノードQ(n)予備充電段階において、第9、第10、第11、第12薄膜トランジスタT9、T10、T11、T12で構成される出力調整モジュールによって、同じ時間内に、出力端子G(n)の出力能力をある程度で向上させ、面内Pixelの充電率を向上させ、更に液晶パネルの表示効果を改善することができる。
【0035】
図5は
図3に示す本発明のLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路の逆方向走査シーケンス図であり、順、逆方向に走査する動作プロセスは同様であるため、以下では、逆方向に走査する動作プロセスを略述する。逆方向に走査する時、その動作プロセスは以下を含む。
【0037】
クロック信号CK3及び出力端子G(n+1)がいずれもハイレベルを提供し、第3薄膜トランジスタT3がクロック信号CK3の制御によって導通し、第3ノードH(n)がハイレベルまで予備充電され、第3ノードH(n)により制御される第6薄膜トランジスタT6が導通し、第5薄膜トランジスタT5が定電圧ハイレベルVGHの制御によって常に導通し、従って、第3ノードH(n)及び第1ノードQ(n)のレベルが常に同じであり、第1ノードQ(n)がハイレベルまで予備充電され、第2ノードP(n)が定電圧ローレベルVGLまで引き下げられ、第4、第7薄膜トランジスタT4、T7が遮断され、同時に、出力端子G(n+1)がハイレベルを提供するため、第12薄膜トランジスタT12が導通し、第4ノードM(n)が引き下げられる。
【0038】
段階2、出力端子G(n)がハイレベルを出力する。
【0039】
クロック信号CK2がハイレベルを提供し、第1ノードQ(n)が第1ブートストラップコンデンサC1の貯蔵作用のためハイレベルを維持し、第2薄膜トランジスタT2が導通し、クロック信号CK2のハイレベルを出力端子G(n)に出力し、それにより出力端子G(n)がハイレベルを出力して、第1ノードQ(n)をより高いレベルまで引き上げ、同時に、クロック信号CK2がハイレベルを提供するため、第9薄膜トランジスタT9が導通し、定電圧ハイレベルVGHが第4ノードM(n)を定電圧ハイレベルVGHまで予備充電し、第10薄膜トランジスタT10が導通し、第4ノードM(n)のハイレベルが出力端子G(n)を充電する。
【0040】
段階3、出力端子G(n)がローレベルを出力する。
【0041】
クロック信号CK2がローレベルまでホッピングし、クロック信号CK1及び出力端子G(n−1)がいずれもハイレベルを提供し、第1ノードQ(n)が依然としてハイレベルであり、第2薄膜トランジスタT2が依然として導通し、クロック信号CK2のローレベルを出力端子G(n)に出力し、それにより出力端子G(n)がローレベルを出力し、同時に、クロック信号CK2がローレベルを提供するため、第9薄膜トランジスタT9が遮断され、出力端子G(n−1)がハイレベルを提供するため、第11薄膜トランジスタT11が導通し、定電圧ローレベルVGLが第4ノードM(n)を定電圧ローレベルVGLまで予備充電し、第10薄膜トランジスタT10が依然として導通状態にあり、第4ノードM(n)のローレベルも出力端子G(n)を引き下げる役割を果たす。
【0042】
段階4、第1ノードQ(n)を定電圧ローレベルVGLまで引き下げる。
【0043】
クロック信号CK3がハイレベルを再び提供し、出力端子G(n+1)がローレベルを提供し、第3薄膜トランジスタT3が導通し、第1ノードQ(n)を定電圧ローレベルVGLまで引き下げる。
【0044】
段階5、第1ノードQ(n)及び出力端子G(n)のローレベル維持段階
【0045】
クロック信号CK2がハイレベルを再び提供し、クロック信号CK3がローレベルまでホッピングし、第2ブートストラップコンデンサC2のブートストラップのため、第2ノードP(n)がハイレベルまで充電され、第4、第7薄膜トランジスタT4、T7が導通し、それにより第1ノードQ(n)及び出力端子G(n)をローレベルに維持する。
【0046】
従来技術における出力端子G(n)のハイ・ローレベルは主に第2薄膜トランジスタT2によって実現され、一定の時間内に第2薄膜トランジスタT2の対応する充電能力が限られていることに比べ、本発明に係るLTPS薄膜トランジスタによるGOA回路は、第1ノードQ(n)予備充電段階において、第9、第10、第11、第12薄膜トランジスタT9、T10、T11、T12で構成される出力調整モジュールによって、同じ時間内に、出力端子G(n)の出力能力をある程度向上させ、面内Pixelの充電率を向上させ、更に液晶パネルの表示効果を改善することができる。
【0047】
要するに、本発明に係るLTPS半導体薄膜トランジスタによるGOA回路に、第9、第10、第11、第12薄膜トランジスタT9、T10、T11、T12で構成される出力調整モジュールを導入するため、順方向に走査する時又は逆方向に走査する時、第4ノードM(n)のレベルはいずれも、第2クロック信号CK2がハイ、ローレベルの間をホッピングすると共に、同様にハイ、ローレベルをホッピングする。従来技術における出力端子G(n)のハイ・ローレベルが主に第2薄膜トランジスタT2によって実現されることに比べ、本発明に係るLTPS薄膜トランジスタによるGOA回路は、同じ時間内に、出力端子G(n)の出力能力をある程度向上させ、面内Pixelの充電率を向上させ、更に液晶パネルの表示効果を改善することができる。本発明に係るGOA回路は携帯電話、ディスプレイ、テレビのゲート駆動の分野に適用される。
【0048】
以上の説明は本発明の好適な実施形態であり、当業者であれば、本発明の原理を逸脱せずに、種々の改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾は本発明の保護範囲内に含まれると見なされるべきである。