(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799071
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】導光体を用いたハイ・ロービームシステム及び車両用ランプ
(51)【国際特許分類】
F21S 41/63 20180101AFI20201130BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20201130BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20201130BHJP
F21S 41/16 20180101ALI20201130BHJP
F21S 41/26 20180101ALI20201130BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20201130BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20201130BHJP
F21W 102/145 20180101ALN20201130BHJP
F21W 102/19 20180101ALN20201130BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20201130BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20201130BHJP
【FI】
F21S41/63
F21S41/143
F21S41/151
F21S41/16
F21S41/26
F21S41/24
F21V8/00 330
F21V8/00 320
F21V8/00 340
F21W102:145
F21W102:19
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-543145(P2018-543145)
(86)(22)【出願日】2018年5月9日
(65)【公表番号】特表2020-516007(P2020-516007A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(86)【国際出願番号】CN2018086100
(87)【国際公開番号】WO2019196156
(87)【国際公開日】20191017
【審査請求日】2018年8月14日
(31)【優先権主張番号】201810331745.4
(32)【優先日】2018年4月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518211749
【氏名又は名称】ハスコ ビジョン テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】チェン、 チャオユ
【審査官】
杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−532250(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2018/0058651(US,A1)
【文献】
国際公開第2015/198527(WO,A1)
【文献】
特開2007−287490(JP,A)
【文献】
特開2017−212112(JP,A)
【文献】
特表2014−515554(JP,A)
【文献】
特開平05−038976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/63
F21S 41/143
F21S 41/151
F21S 41/16
F21S 41/24
F21S 41/26
F21V 8/00
F21W 102/145
F21W 102/19
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視準器と導光体とを有し、
前記視準器と前記導光体とは、光源から出射された光束の方向に沿って順に設置され、
前記導光体の出光面が凸面であり、
少なくとも1つの前記光源から出射された光束は、前記視準器と前記導光体とを順に通して出射され、上下の光束が平行し左右の光束が拡散するスポットを形成し、
異なる光源の組み合わせにより、ロービーム横延在配光パターン、ロービーム変更配光パターン又はハイビーム配光パターンのうちの一種が実現され、
前記視準器の出光部は、前記導光体の断面に形成されたレンズのフォーカルプレーンに位置し、
前記導光体と前記視準器の出光部との相対高さを調整するように、前記視準器及び前記導光体は、縦方向で相対に移動可能に構成されている
ことを特徴とする導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項2】
前記視準器の光路径は、次第に大きくなってそして次第に小さくなることを特徴とする請求項1に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項3】
前記視準器は、入光面から出光面方向に向かって次第に大きくなる入光部と、入光部から出光面方向に向かって次第に小さくなる出光部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項4】
前記入光部の延在長さが前記出光部の延在長さより短いとともに、前記入光部のテーパが前記出光部のテーパより大きいことを特徴とする請求項3に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項5】
前記導光体の入光面は、平面と、凹面と、凸面とからなる組の中のいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項6】
前記スポットがロービーム変更配光パターンのものとなるとき、前記視準器の出光部の高さは、前記スポットがロービーム横延在配光パターンのものとなるときの前記視準器の出光部の高さより低い
ことを特徴とする請求項2に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項7】
ハイビームスポットを形成するための予め設置された光源をオフすることにより眩惑防止機能を実現できるように、ハイビームスポットを形成するための予め設置された光源は、そのオンオフが制御可能であるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項8】
前記視準器と前記導光体とは、一体に成形されることを特徴とする請求項1に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項9】
前記視準器は、コリメータレンズと、コンデンサと、凸レンズと、フレネルレンズとからなる組の中のいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項10】
前記導光体の入光面は、平面であるとともに前記フォーカルプレーンと平行することを特徴とする請求項1に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項11】
前記視準器と前記導光体とは離れるように設置され、
前記導光体は、断面がアーチ状ガイドラインに沿って積層されて形成されたアーチ状構成であり、
前記断面は、直線である第1サイドラインと外側へ凸となるアーチ状ラインである第2サイドラインとにより囲まれて形成されたものであり、
前記第1サイドラインは、前記アーチ状ガイドラインの延在方向に積層されて前記導光体の入光面を形成し、前記第2サイドラインは、前記アーチ状ガイドラインの延在方向に積層されて前記導光体の出光面を形成し、
前記アーチ状ガイドラインは、前記第2サイドラインの突出方向に向かって、外側へ凸となるアーチ状曲線であり、
前記視準器の出光部は、前記導光体の入光面に対向している
ことを特徴とする請求項1に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項12】
前記視準器と前記導光体とは、一体に成形され、
出光面から離間する前記導光体の側が前記視準器の出光面に一体に接続されることによって、前記導光体と前記視準器とを一体の構成に形成させる
ことを特徴とする請求項3に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項13】
前記導光体の出光面は、外側へ凸となる曲線がアーチ状ガイドラインに沿って積層されて形成された外側へ凸となるアーチ面であり、
前記導光体は、前記視準器の出光面と前記導光体の出光面との間に囲まれ、断面が略扇形に形成されている
ことを特徴とする請求項12に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項14】
前記視準器の出光面の高さ方向の寸法は、前記導光体の出光面の高さ方向の寸法より小さいように形成されることによって、前記導光体は、前記視準器に接近する側の高さ方向の寸法が比較的に小さく、前記視準器から離間する側の高さ方向の寸法が比較的に大きく、断面を略扇形に形成するように構成されることを特徴とする請求項13に記載の導光体を用いたハイ・ロービームシステム。
【請求項15】
光源と、請求項1〜14のいずれか1項に記載の前記導光体を用いたハイ・ロービームシステムとを有し、
前記光源が、視準器に対応して設置され、
前記光源は、複数個を有し、
複数の前記光源は、前記導光体の延在方向に沿って順に配設され、前記導光体の入光面側に位置している
ことを特徴とする車両用ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本出願は、2018年04月13日に中国専利局に提出された出願番号が2018103317454であり、名称が「導光体を用いたハイ・ロービームシステム及び車両用ランプ」である中国特許出願に基づいて優先権を出張し、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、車両用ランプ照明システム技術分野に属し、殊に、導光体を用いたハイ・ロービームシステム及び車両用ランプに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、自動車の車両用ランプ照明光学システムにおいて、ハイ・ロービームの形式は、主にレンズ式と反射式の二式があり、単純である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、従来技術においてハイ・ロービームの形式が単純である技術課題を解決するため、ロービーム、ハイビーム及びAFS、ADB等の多種の機能を実現できる導光体を用いたハイ・ロービームシステムを提供することを目的とする。
【0005】
本開示は、さらに、上記導光体を用いたハイ・ロービームシステムを有する車両用ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的の少なくとも1つを実現するため、本開示は、下記のような技術案を提供した。
【0007】
本開示の第1局面による導光体を用いたハイ・ロービームシステムは、視準器と導光体とを有し、前記視準器と前記導光体とは、光源から出射された光束の方向に沿って順に設置され、前記導光体の出光面が凸面であり、少なくとも1つの前記光源から出射された光束は、前記視準器と前記導光体とを順に通して出射され、上下の光束が平行し左右の光束が拡散するスポットを形成し、異なる光源の組み合わせにより、ロービーム横延在配光パターン、ロービーム変更配光パターン又はハイビーム配光パターンのうちの一種が実現される。
【0008】
前記視準器の出光部は、前記導光体の断面に形成されたレンズのフォーカルプレーンに位置していることが好ましい。
【0009】
前記視準器の光路径は、次第に大きくなってそして次第に小さくなることが好ましい。
【0010】
前記視準器は、入光面から出光面方向に向かって次第に大きくなる入光部と、入光部から出光面方向に向かって次第に小さくなる出光部とを有することが好ましい。
【0011】
前記入光部の延在長さが前記出光部の延在長さより短いとともに、前記入光部のテーパが前記出光部のテーパより大きいことが好ましい。
【0012】
前記導光体の入光面は、平面と、凹面と、凸面とからなる組の中のいずれ一種であることが好ましい。
【0013】
前記視準器と前記導光体の組み合わせは、複数の前記光源が、アーチラインに沿って配列されて、前記視準器視準器に出射するとき、前記導光体の出光面を通して形成された配光パターンのスポットの上端が、中国国家標準ロービームの左側カットオフラインに位置することが好ましい。
【0014】
前記配光パターンを、ロービーム配光パターンの横延在部分とすることが好ましい。
【0015】
前記スポットがロービーム変更配光パターンのものとなるとき、前記視準器の出光部の高さは、前記スポットがロービーム横延在配光パターンのものとなるときの前記視準器の出光部の高さより低く、単一光源で形成されたスポットの上端は、ロービーム配光パターンの右側カットオフラインの位置に達し、且つ変更部が形成されていることが好ましい。
【0016】
前記導光体に対する前記視準器の出光部の高さを調整するように、前記視準器は、前記導光体に対して縦方向に移動できるように構成されていることが好ましい。
【0017】
前記視準器の出光部の開口は、大きさが調整可能であるように構成され、前記導光体に対する前記視準器の出光部の高さを調整するように、前記視準器は、前記導光体に対して縦方向に移動できるように構成され、前記視準器の出光部の開口の大きさ及び/又は前記導光体の上下方向における出光部の位置を調整することによりハイビーム配光パターンを形成することが好ましい。
【0018】
ハイビームスポットを形成するための予め設置された光源をオフすることにより眩惑防止機能を実現できるように、ハイビームスポットを形成するための予め設置された光源は、そのオンオフが制御可能であるように構成されていることが好ましい。
【0019】
前記視準器と前記導光体とは、一体に成形されることが好ましい。
【0020】
前記視準器は、コリメータレンズと、コンデンサと、凸レンズと、フレネルレンズとからなる組の中のいずれ一種であることが好ましい。
【0021】
前記導光体の入光面は、平面であるとともに前記フォーカルプレーンと平行することが好ましい。
【0022】
前記視準器と前記導光体とは離れるように設置され、前記導光体は、断面がアーチ状ガイドラインに沿って積層されて形成されたアーチ状構成であり、前記断面は、直線である第1サイドラインと、外側へ凸となるアーチ状
ラインである第2サイドラインとにより囲まれて形成されたものであり、前記第1サイドラインが前記アーチ状ガイドラインの延在方向に積層されて前記導光体の入光面を形成し、前記第2サイドラインが前記アーチ状ガイドラインの延在方向に積層されて前記導光体の出光面を形成し、前記アーチ状
ガイドラインは、前記第2サイドラインの突出方向に向かって、外側へ凸となるアーチ状曲線であり、前記視準器の出光部は、前記導光体の入光面に対向していることが好ましい。
【0023】
前記視準器と前記導光体とは、一体に成形され、出光面から離間する前記導光体の側が前記視準器の出光面に一体に接続されることによって、前記導光体と前記視準器とを一体の構成に形成させることが好ましい。
【0024】
前記導光体の出光面は、外側へ凸となる曲線がアーチ状ガイドラインに沿って積層されて形成された外側へ凸となるアーチ面であり、前記導光体は、前記視準器の出光面と前記導光体の出光面との間に囲まれ、断面が略扇形に形成されていることが好ましい。
【0025】
前記視準器の出光面の高さ方向の寸法は、前記導光体の出光面の高さ方向の寸法より小さいように形成されることによって、前記導光体は、前記視準器に接近する側の高さ方向の寸法が比較的に小さく、前記視準器から離間する側の高さ方向の寸法が比較的に大きく、断面を略扇形に形成するように構成されることが好ましい。
【0026】
本開示のもう1つの局面による車両用ランプは、光源と上記の導光体を用いたハイ・ロービームシステムとを有し、前記光源が、視準器に対応して設置され、前記光源は、複数個を有し、複数の前記光源は、前記導光体の延在方向に沿って順に配設され、前記導光体の入光面側に位置している。
【0027】
上記技術案を用いることにより、本開示は、下記のような有益効果を有している。
【0028】
本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムは、前記視準器と前記導光体とが、光源から出射された光束の方向に沿って順に設置され、前記導光体の出光面が凸面であり、少なくとも1つの前記光源から出射された光束は、前記視準器と前記導光体を順に通して出射して、上下の光束が平行し左右の光束が拡散するスポットを形成する。異なる光源の組み合わせにより、ロービーム横延在配光パターン、ロービーム変更配光パターン又はハイビーム配光パターンのうちの一種が実現され、さらに、AFSとADB等の多種の機能を実現することもできる。
【0029】
説明する必要があるのは、AFS(Adaptive Front lighting System)は、アダプティブフロントライティングシステムの略称である。配光可変ヘッドランプ(Adaptive Driving Beam、ADBと略称する)は、自動な眩惑を防止するハイビームシステムである。LED−ADBは、LEDからなりADB機能を備える自動な眩惑を防止するハイビームシステムである。LED−ADBシステムは、カメラを介して車両走行の前方にあるその他の車両を感知し、リアルタイムに演算を行いながらハイビームユニットにおける該当するLEDを暗くさせ又は消灯させるように制御して、前方車両に対して眩惑の影響を生じることを避ける。最高の視野を保証する同時に、運転の安全性も保証できた。
【0030】
以下、本開示の実施形態又は従来技術の技術案をより明瞭に説明するため、本開示を実施するための形態又は従来技術の技術案の説明に必要な図面を簡単に説明する。下記の図面は、本開示の一部の実施形態を示したものに過ぎず、当業者は、創造的な労働をしなくても、これらの図面からその他の図面を得ることが可能であることが無論である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示の実施例による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの構成模式図である。
【
図2】本開示の実施例による一実施形態における導光体を用いたハイ・ロービームシステムの原理の断面構成模式図である。
【
図3】本開示の実施例によるもう1つの実施形態における導光体を用いたハイ・ロービームシステムの原理の断面構成模式図である。
【
図4】本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの単一光源で形成されたスポットの模式図である。
【
図5】本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成されたスポットの模式図である。
【
図6】本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成されたベンディング機能を有するスポットの模式図である。
【
図7】本開示の実施例によるもう1つの実施形態における的導光体を用いたハイ・ロービームシステムの原理の断面構成模式図である。
【
図8】本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成された単独の変更部によるスポットの模式図である。
【
図9】本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成された複数の変更部によるスポットの模式図である。
【
図10】本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成された右カーブ道路用照明の変更部によるスポットの模式図である。
【
図11】本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成された、左カーブ道路用照明の変更部によるスポットの模式図である。
【
図12】本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの単一光源で形成されたハイビームスポットの模式図である。
【
図13】本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成されたハイビームスポットの模式図である。
【
図14】本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムにおいて、幾つの光源をオフしてADB機能を実現する場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本開示の技術案を明瞭且つ完全に説明する。説明される実施例は、本開示の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないと理解すべきである。当業者が本開示の実施例に基づいて創造的な労働をせずに得られる全てのその他の実施例は、本開示の保護範囲に属する。矛盾がない限り、本願の実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせることが可能であると理解すべきである。
【0033】
本開示の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」等の用語で表された方向または位置関係は、図面に基づくものであり、本開示を便宜及び簡略に説明するためのものに過ぎず、該当装置または素子が、必ず定められた方向を有したり、定められた方向に構成されたり、操作されたり、することを明示または暗示するものではないため、本開示を限定するものではないと理解すべきである。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明するためのものであり、重要性を明示または暗示するものではないと理解すべきである。
【0034】
本開示の説明において、明確な規定と制限がない限り、「取付」、「相接」、「接続」などの用語は、広義的に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、電気的な接続でもよい。また、直接に接続してもよいし、中間物を介して間接に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通してもよい。当業者は、具体的な状況により、本開示における上記用語の具体的な意味を理解することが可能である。
【0035】
以下、具体的な実施形態により、本開示の技術案をさらに説明する。
【0036】
図1は、本開示の実施例による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの構成模式図である。
図2は、本開示の実施例による一実施形態における導光体を用いたハイ・ロービームシステムの原理の断面構成模式図である。
図3は、本開示の実施例によるもう1つの実施形態における導光体を用いたハイ・ロービームシステムの原理の断面構成模式図である。
図4は、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの単一光源で形成されたスポットの模式図である。
【0037】
図5は、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成されたスポットの模式図である。
図6は、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成されたベンディング機能を有するスポットの模式図である。
図7は、本開示の実施例によるもう1つの実施形態における的導光体を用いたハイ・ロービームシステムの原理の断面構成模式図である。
図8は、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成された単独の変更部によるスポットの模式図である。
図9は、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成された複数の変更部によるスポットの模式図である。
図10は、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成された右カーブ道路用照明の変更部によるスポットの模式図である。
図11は、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成された左カーブ道路用照明の変更部によるスポットの模式図である。
図12は、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの単一光源で形成されたハイビームスポットの模式図である。
図13は、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムの複数の光源で形成されたハイビームスポットの模式図である。
図14は、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムにおいて、幾つの光源をオフしてADB機能を実現する場合の模式図である。
【0039】
図1〜14に示すように、本実施例による導光体を用いたハイ・ロービームシステムは、視準器と導光体3とを有している。
【0040】
具体的に、
図1〜3に示すように、前記視準器と前記導光体3は、光源1から出射された光束4の方向に沿って順次に設置されている。前記導光体3の出光面が凸面である。少なくとも1つの前記光源1から出射された光束4は、前記視準器と前記導光体3を順に通して出射され、上下の光束4が平行し左右の光束4が拡散するスポット7を形成する。異なる光源1の組み合わせにより、ロービーム横延在配光パターン(
図5に示すように、複数の光源1により形成された配光パターンのスポット7が中国国家標準ロービームの左側カットオフラインのところに位置している)、ロービーム変更配光パターン(
図9乃至
図11に示すように、複数の光源1により形成された配光パターンのスポットが、中国国家標準ロービームの左側カットオフラインのところに位置するスポットと、中国国家標準ロービームの右側カットオフラインの位置に達し且つ変更部が形成されるスポットとを含む)又はハイビーム配光パターンのうちの一種が実現される。
【0041】
上記実施例において、
図2〜3に示すように、前記視準器の出光部6は、前記導光体3の断面に形成されたレンズのフォーカルプレーン5に位置している。導光体3の入光面は、平面であるとともに前記フォーカルプレーン5と平行することが好ましい。
【0042】
前記視準器の光路径は、次第に大きくなってそして次第に小さくなることが好ましい。
【0043】
説明すべきところとして、前記導光体3の入光面は、平面、凹面及び凸面のうちの一種である。また、前記視準器は、コリメータレンズ2、コンデンサ、凸レンズ、フレネルレンズ、又はその他のコリメート機能を備える透光部材であってもよい。
【0044】
好ましい実施形態として、コリメータレンズ2を視準器とする。光源1から出射された光束4は、出光部6が前記導光体3の断面に形成されたレンズのフォーカルプレーン5に位置しているコリメータレンズ2によりコリメートされた後に、導光体3を通して、上下の光束4が略平行し左右の光束4が拡散するスポット7を形成する。
【0045】
本実施例におけるコリメータレンズ2と導光体3とは、相互に独立した部品であるとともに、間接に接続することができるように構成されてもよく、複合レンズとして形成され、即ち、コリメータレンズ2と導光体3とが1つの単独の部品として一体に成形されてもよい。
【0046】
図2は、コリメータレンズ2と導光体3とが、相互に独立した部品の形式に設けられた構成を示している。
図2に示すように、視準器2と導光体3とは離れるように設置されている。導光体3は、断面がアーチ状ガイドラインL0(
図1を参照)に沿って積層されて形成されたアーチ状構成である。そして、断面は、直線である第1サイドラインL2と外側へ凸となるアーチ状
ラインである第2サイドラインL1とにより囲まれて形成されたものである。第1サイドラインL2は、アーチ状ガイドラインL0の延在方向に積層されて導光体3の入光面を形成するように構成され、第2サイドラインL1は、アーチ状ガイドラインL0の延在方向に積層されて導光体3の出光面を形成するように構成されている。アーチ状
ガイドライン
L0は、第2サイドラインL1の突出する方向に向かって、外側へ凸となるアーチ状曲線である。視準器2の出光部は導光体3の入光面に対向している。視準器2は、入光面から出光面方向に向かって次第に大きくなる入光部21と入光部21から出光面方向に向かって次第に小さくなる出光部22とを有することが好ましい。光束をよく通過させるとともに適切なスポットをよく形成させるように、入光部21の延在長さが出光部22の延在長さより短くするとともに、入光部21のテーパが出光部22のテーパより大きくすることが好ましい。
【0047】
好ましい実施形態において、導光体3に対する視準器2の出光部の高さを調整するように、視準器2は、導光体3に対して縦方向に移動できるように構成されている。例えば、車両用ランプ構成において、導光体3を固定設置し、視準器2を制御可能に可動設置し、又は視準器2を固定設置し、導光体3を制御可能に可動設置するように構成されている。視準器2は、その出光部の開口の大きさが調整可能であるように構成されるとともに、導光体3に対する視準器2の出光部の高さを調整するように、導光体3に対して縦方向に移動できるように構成されることが好ましい。よって、視準器2の出光部の開口の大きさ及び/又は導光体3の上下方向における位置を調整することによって、ハイビーム配光パターンを形成することができる。
【0048】
図3に示すように、視準器2と導光体3とは一体に成形されている。出光面から離間する導光体3の側が視準器2の出光面に一体に接続されることによって、導光体3と視準器2とを一体の構成に形成させる。導光体3の出光面は、外側へ凸となる曲線がアーチ状ガイドラインL0に沿って積層されて形成された外側へ凸となるアーチ面である。導光体3は、視準器2の出光面と導光体3の出光面との間に囲まれ、その断面が略扇形に形成されている。視準器2の出光面の高さ方向の寸法は導光体3の出光面の高さ方向の寸法より小さいように形成されることによって、導光体3は、視準器2に接近する側の高さ方向の寸法が比較的に小さく、視準器2から離間する側の高さ方向の寸法が比較的に大きく、断面を略扇形に形成するように構成されることが好ましい。
【0049】
本実施例において、ハイビームスポットを形成するための予め設置された光源をオフすることにより眩惑防止機能を実現できるように、ハイビームスポットを形成するための予め設置された光源は、そのオンオフが制御可能であるように構成されてもよい。
【0050】
図4は、単一光源1により形成されたスポット7を示している。
図5に示すように、複数の前記光源1は、アーチラインに沿って配列されて、前記視準器に出射し、前記導光体3の出光面を通ることにより、配光パターンのスポット7が形成された。該スポット7の上端は、中国国家標準(GB)のロービームの左側カットオフラインに位置し、即ち、スポット7の上方は、−0.57となる中国国家標準ロービームの左側カットオフラインのところに位置している。該配光パターンを、ロービーム配光パターン8の横延在部分とすることができ、また、単独にGB/T30036又はECE R123により規定されるV級のロービームとすることもできる。
【0051】
前記配光パターンをロービーム配光パターンの横延在部分とすることができることは好ましい。また、
図6に示すように、LED光源のような光源1の点灯/消灯を制御することができる。LED光源の点灯/消灯の制御によって、外側のモジュール(該モジュールの配光パターンとロービーム部分の配光パターンとは完全一致となるが、ロービームスポットに対する角度がより外側に傾いている)をオンにして、ベンディング(bending)機能を実現することができる。
【0052】
上記実施例の1つの実施形態において、
図7に示すように、ロービーム変更配光パターンの場合、前記視準器の出光部6の高さは、ロービーム横延在配光パターンの場合の前記視準器の出光部6の高さより低い。これによって、より集中したスポット7を形成することができる。
【0053】
図8に示すように、単一光源1で形成されたスポット7の上端は、ロービーム配光パターンの右側カットオフラインの位置(具体的な角度範囲は−0.57〜1度である)に達し、且つ変更部が形成されている。
【0054】
図9に示すように、複数の光源1が同時に点灯するとき、完全なロービーム配光パターン8が形成される。該ロービーム配光パターン8は、GB25991又はECE R112により規定されるロービームを満たすとともに、GB/T30036又はECE R123により規定されるC級及びE級のロービームの要求を満たしている。
【0055】
車両がカーブを走行しているとき、
図10と
図11に示すように、光源1の点灯/消灯を制御することにより、変更部を有するスポット7の位置の変更を実現し、カーブ照明の効果を奏するので、AFSの機能が実現される。
【0056】
上記実施例のもう1つの好ましい実施形態において、
図12と13に示すように、前記視準器の出光部6の開口の大きさ及び前記導光体3の上下方向における出光部6の位置を調整することにより、ハイビームスポット9を形成することができる。
【0057】
複数の光源1が同時に点灯するとき、ハイビーム配光パターンが形成される。
【0058】
上記実施例のもう1つの好ましい実施形態において、
図14に示すように、ハイビームスポットを形成するための予め設置された光源をオフすることにより、眩惑防止機能を実現することができる。つまり、幾つの光源をオフして暗領域10を形成することにより、その他の車両に対する眩惑を防止して、ADB機能を実現することができる。なお、暗領域10の位置を、前車の位置に応じて光源を消灯することにより自由に調整することができる。
【0060】
本開示の実施例2による車両用ランプは、上記実施例1のいずれか一つの技術案に記載の前記導光体を用いたハイ・ロービームシステムと光源とを有し、前記光源は、視準器に対応して設置されている。
【0061】
前記光源は、LED光源又はレーザ光源であってもよく、その他の適切な光源であってもよい。
【0062】
本開示の実施例2による車両用ランプには、実施例1による導光体を用いたハイ・ロービームシステムが設置されていることにより、実施例1による導光体を用いたハイ・ロービームシステムのすべての有益効果を有するため、ここでその説明を省略する。前記光源は、複数個を有する。複数の前記光源は、前記導光体の延在方向に沿って順に配設され、前記導光体の入光面側に位置している。
【0063】
具体的には、自動車の車両用ランプ照明光学システムにおいて、ハイ・ロービームの形式は、主にレンズ式と反射式との二式があり、単純であるが、本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステムにおいて、前記視準器と前記導光体とは、光源から出射された光束の方向に沿って順に設置され、前記導光体の出光面が凸面であり、少なくとも1つの前記光源から出射された光束は、前記視準器と前記導光体を順に通して出射して、上下の光束が平行し左右の光束が拡散するスポットを形成する。異なる光源の組み合わせにより、ロービーム横延在配光パターン、ロービーム変更配光パターン又はハイビーム配光パターンのうちの一種が実現され、さらに、AFSとADB等の多種の機能を実現することもできる。
【0064】
最後に説明する必要があるのは、上記の各実施例が、本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。上記の各実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したにもかかわらず、当業者は、上記の各実施例に記載された技術案を変更してもよく、その内の一部または全ての技術的特徴を均等に置き換えてもよい。これらの変更または置き換えは、該当する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱させていない。また、前記一部の実施例は、その他の実施例に含まれる一部の特徴を有しているが、異なる実施例の特徴の組合せは、本発明の範囲に属し、別の実施例ともなると、当業者が理解すべきである。例えば、特許請求の範囲において、保護しようとする実施例を、任意に組合せてもよい。背景技術の部分に開示された情報は、本発明の背景技術全体に対する理解を深めるためのものであり、当業者にとっての周知の従来技術となっていることを認めることや如何なる形式で暗示することではないと理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示による導光体を用いたハイ・ロービームシステム及び車両用ランプは、異なる光源の組み合わせにより、ロービーム横延在配光パターン、ロービーム変更配光パターン又はハイビーム配光パターンのうちの一種が実現され、さらに、AFSとADB等の多種の機能を実現することもできるため、工業に適用する。
【符号の説明】
【0066】
1 光源、2 コリメータレンズ、21 入光部、22 出光部、3 導光体、4 光束、5 フォーカルプレーン、6 出光部、7 スポット、8 ロービーム配光パターン、9 ハイビームスポット、10 暗領域、L0 アーチ状ガイドライン、L1 第2サイドライン、L2 第1サイドライン。