【文献】
NATURE,2014年,Vol. 516,pp. 250-253, METHODS, Expanded Data
【文献】
PNAS,2014年,Vol. 111, No. 50,pp. E5439-E5444, Supporting Information
【文献】
MOL. MICROBIOL.,2014年,Vol. 91, No. 5,pp. 1022-1035
【文献】
STRUCTURE,2011年,Vol. 19, No. 9,pp. 1307-1316
【文献】
MOL. MICROBIOL.,2005年,Vol. 59, No. 3,pp. 870-881
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記標的分析物が、金属イオン、無機塩、ポリマー、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、染料、漂白剤、医薬品、診断薬、レクリエーショナルドラッグ、爆発物、または環境汚染物質である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
前記1つ以上の特徴が、(i)前記ポリヌクレオチドの長さ、(ii)前記ポリヌクレオチドの同一性、(iii)前記ポリヌクレオチドの配列、(iv)前記ポリヌクレオチドの二次構造、及び(v)前記ポリヌクレオチドが修飾されているか否かから選択される、請求項13に記載の方法。
ステップa)が、前記ポリヌクレオチドをポリヌクレオチド結合タンパク質と接触させ、それにより前記ポアを通る前記ポリヌクレオチドの移動を前記タンパク質が制御するようにすることをさらに含む、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
a)前記タンパク質が前記ポアに対する前記ポリヌクレオチドの移動を制御するように、前記ポリヌクレオチドを前記ポア及び前記ポリヌクレオチド結合タンパク質と接触させることと、
b)前記ポリヌクレオチドが前記ポアに対して移動する間に、前記ポアを通過する電流であって、前記ポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す前記電流を測定し、それによって、前記標的ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む、請求項17に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0073】
開示される生成物及び方法の異なる適用が、当該技術分野における特定の必要性に適合され得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定的であることは意図されないことも理解されたい。
【0074】
さらに、本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「ポリヌクレオチド」への言及は2つ以上のポリヌクレオチドを含み、「ポリヌクレオチド結合タンパク質」への言及は2つ以上のかかるタンパク質を含み、「ヘリカーゼ」への言及は2つ以上のヘリカーゼを含み、「モノマー」への言及は2つ以上のモノマーを指し、「ポア」への言及は2つ以上のポアなどを含む。
【0075】
上記または下記の本明細書に引用される全ての出版物、特許、及び特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0076】
変異体CsgGモノマー
本発明の一態様は、変異体CsgGモノマーを提供する。変異体CsgGモノマーを使用して、本発明のポアを形成することができる。変異体CsgGモノマーは、その配列が野生型CsgGモノマーとは異なり、ポアを形成する能力を保持するモノマーである。変異体モノマーのポアを形成する能力を確認するための方法は、当該技術分野で周知であり、以下により詳細に論じられる。
【0077】
修飾R97Wを含む本発明のいくつかの実施形態のCsgGモノマーから構成されたポアは、標的ポリヌクレオチドを特徴付ける(またはシークエンシングする)ときに、97における修飾を含まない、さもなければ同一なポアと比較して増加した精度を提示する。増加した精度は、R97Wの代わりに、本発明のCsgGモノマーが修飾R93Wまたは修飾R93Y及びR97Yを含む場合にも見られる。したがって、ポアは、修飾がアミノ酸の疎水性を増加させるように、配列番号2のR97またはR93における修飾を含む1つ以上の変異体CsgGモノマーから構成され得る。例えば、かかる修飾には、例えばW及びYを含むがこれらに限定されない疎水性側鎖を含有する任意のアミノ酸でのアミノ酸置換が含まれ得る。
【0078】
R192D/Q/F/S/Tを含む本発明のいくつかの実施形態のCsgGモノマーは、192位における置換を含まないモノマーよりも発現させることが容易であり、これは正電荷の低減に起因し得る。したがって、192位は、正電荷を低減させるアミノ酸で置換されてもよい。R192D/Q/F/S/Tを含む本発明のモノマーはまた、モノマーから形成された変異体ポアの、ポリヌクレオチドなどの分析物と相互作用し、かつそれらを特徴付ける能力を改善させる追加の修飾を含んでもよい。
【0079】
V105、A106、及びI107の欠失、F193、I194、D195、Y196、Q197、R198、及びL199の欠失、またはD195、Y196、Q197、R198、及びL199の欠失、ならびに/またはF191Tを含む、本発明のいくつかの実施形態のCsgGモノマーを含むポアは、標的ポリヌクレオチドを特徴付ける(またはシークエンシングする)ときに、増加した精度を提示する。105から107位におけるアミノ酸は、ナノポアのキャップ内のシス−ループに対応し、193〜199位におけるアミノ酸は、ポアの他方の末端におけるトランス−ループに対応する。理論によって拘束されることを望むものではないが、シス−ループの欠失は、酵素のポアとの相互作用を改善させ、トランス−ループの除去は、最高のトランス側のDNA間の望ましくない相互作用を減少させると考えられている。
【0080】
K94QまたはK94Nを含む、本発明のいくつかの実施形態のCsgGモノマーを含むポアは、標的ポリヌクレオチドを特徴付ける(またはシークエンシングする)ときに、94における変異を含まない同一のポアと比較して、ノイズの多いポアポア(すなわち、シグナル:ノイズ比の増加をもたらすポア)の数の低減を示す。94位は、ポアの玄関内に見出され、電流シグナルのノイズに関して特に敏感な位置であることが見出された。
【0081】
T104KもしくはT104R、N91R、E101K/N/Q/T/H、E44N/Q、Q114K、A99R、I95R、N91R、L90R、E44Q/N、及び/またはQ42Kを含む本発明のいくつかの実施形態のCsgGモノマーを含むポアは全て、標的ポリヌクレオチドを特徴付ける(またはシークエンスする)ために使用された場合、これらの位置における置換を含まない同一のポアと比較して改善した標的ポリヌクレオチド捕捉能力を示す。
【0082】
膜貫通ポアを使用するポリヌクレオチドの特徴付け、例えばシークエンシングは、国際出願第PCT/GB2012/052343号(WO2013/041878として公開)に開示されるように実施され得る。標的ポリヌクレオチドがポアに対して、またはそれを通って移動するにつれて、分析物は、生成された固有のイオン電流シグネチャから、典型的には、ポアを通るイオン電流を測定することによって特徴付けられ得る。任意の特定の時間で測定された電流レベルは、典型的には、kポリマー(例えばヌクレオチド)単位の基に依拠し、kは、正の整数であり、典型的な電流シグネチャは、特定のk−マーを示す一連の電流レベルとして表され得る。ポアに対する、例えばそれを通るポリヌクレオチドの移動は、1つのk−マーから別のものへの移動、またはk−マーからk−マーへの移動として見ることができる。ポリヌクレオチドを特徴付ける分析技術は、例えば、ニューラルネットワークであるHMM、及び例えばForwards BackwardsアルゴリズムまたはViterbiアルゴリズムの使用を伴って、特定の配列に対応する一連の測定の可能性を判定する場合がある。代替的には、ポリヌクレオチドは、特徴ベクトルを判定し、該特徴ベクトルを別の特徴ベクトルと比較することによって特徴づけられてもよく、これは既知であり得、国際出願第PCT/GB2013/050381号(WO2013/121224として公開)に開示されている。しかしながら、ポリヌクレオチドを特徴付けるために使用される分析技術は、必ずしも上記の例に制限されない。
【0083】
本発明のモノマーが膜貫通ポアを形成し、標的ポリヌクレオチドを特徴付けるためにポリヌクレオチド結合タンパク質と共に使用される場合、修飾された位置のうちのいくつかは、ポリヌクレオチド結合タンパク質と相互作用する。例えば、モノマーが膜貫通ポアを形成し、標的ポリヌクレオチドを特徴付けるためにポリヌクレオチド結合タンパク質と共に使用される場合、R97Wは、ポリヌクレオチド結合タンパク質と相互作用する。本発明に従うCsgGモノマーの修飾は、典型的には、モノマーを含む膜貫通ポアに対する、例えばそれを通る標的ポリヌクレオチドのより一貫した移動を提供する。修飾(複数可)は、典型的には、ポアに対して、例えばそれを通って標的ポリヌクレオチドが移動する間の、より一貫した、1つのk−マーから別のものへ、またはk−マーからk−マーへの移動を提供する。修飾(複数可)は、典型的には、標的ポリヌクレオチドが、膜貫通ポアに対して、例えばそれを通ってより滑らかに移動することを可能にする。修飾(複数可)は、典型的には、膜貫通ポアに対する、例えばそれを通る標的ポリヌクレオチドの、より規則的な、またはより不規則でない移動を提供する。
【0084】
本発明に従うCsgGモノマーの修飾(例えば、R97W)は、典型的には、モノマーを含むポアに対する、例えばそれを通る標的ポリヌクレオチドの移動に関連付けられる前滑りの量を低減する。実施例に使用されるDdaヘリカーゼを含むいくつかのヘリカーゼは、ポリヌクレオチドに沿って5’から3’方向に移動する。ポリヌクレオチドの5’末端(ヘリカーゼがそこから離れて移動する末端)がポアによって捕捉されると、ヘリカーゼは、印加された電位によってもたらされる電界の方向に働き、ねじ状ポリヌクレオチドをポア内及びトランスチャンバ内に移動させる。前滑りは、DNAが、少なくとも4個の連続したヌクレオチド、典型的には10個超の連続したヌクレオチドをポアに対して前に(すなわち、その3’に向かって、かつその5’末端から離れて)移動することを伴う。前滑りは、100個以上の連続したヌクレオチドを前に移動させることを伴う場合があり、これは各鎖において一度より多く生じ得る。
【0085】
CsgGモノマーの修飾は、モノマーを含む膜貫通ポアに対する、例えばそれを通る標的ポリヌクレオチドの移動に関連付けられるノイズを低減し得る。シグナルが分析されている間の任意の寸法における標的ポリヌクレオチドの望ましくない移動は、典型的には、k−マーの電流シグネチャまたは電流レベルにおけるノイズをもたらす。修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つ以上のk−マー、例えば各k−マーに関連付けられる望ましくない移動を低減することによって、このノイズを低減し得る。修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つ以上のk−マー、例えば各k−マーの電流レベルまたはシグネチャに関連付けられるノイズを低減し得る。
【0086】
ポリヌクレオチドの移動のために用いられる酵素モーターは、ATPが加水分解されて、ポリヌクレオチドを1塩基分前に移動させる完全な触媒サイクルにおいて複数のサブステップ(例えば、ATP.Mgの結合、ADP.P.Mgを生成するための加水分解、ポリヌクレオチドを1塩基分前に移動させること、及びADP/P/Mg副生成物の放出)を有する。各サブステッププロセスは、プロセスの動力学によって決定される、特有の滞留時間分布を有する。触媒サイクルのこれらのサブステップのうちのいずれかによって読み取り装置内のポリヌクレオチドの位置が移動した場合(例えば、酵素に対してポリヌクレオチドを移動させることによって、またはポアの上部の酵素の位置を変えることによって)、これは、その変化が取得電子装置によって検出されるのに十分な長さにわたって持続する限り、ポアを通る電流の変化として認められる。サブステッププロセスがポリヌクレオチドの立体構造の変化もしくはシフトをもたらさないか、またはそれらが生じたが観察するには短すぎた場合、理想的なシステムでは、完全な触媒サイクルは、ポリヌクレオチドが1整数塩基分前に移動するための電流における1ステップの変化のみがもたらされる。
【0087】
R97Wを含有しないポア(例えば、Pro−CP1−Eco−(WT−Y51A/F56Q−StrepII(C))9)については、モデルによって予測される長い滞留時間レベルが認められ、ATP.Mg濃度に依拠する近似的な指数滞留分布を伴う。ポアAQについても、
図48に印されるように、主要レベル間のサブステップ電流レベルを短くした。サブステップ電流レベルを短くしたため、それらは、2つの広く分離した電流レベル間の間隙において最も容易に認められる。サブステップレベルは、ポリヌクレオチドの中間の約0.5塩基移動に対応し、これらの条件下で、約3ミリ秒のATP.Mg独立滞留時間を有する。
【0088】
R97Wを含有するポア(例えば、Pro−CP1−Eco−(WT−Y51A/F56Q/R97W−StrepII(C))9)は、ATP.Mg依存滞留時間と同様のより長く持続する主要レベルを示すが、これらの条件下で、またはこの取得周波数においてはっきりとした中間サブステップ電流レベルの兆候を全く示さない(考えられる説明は、それらが生じていないこと、生じるが観察するには短すぎること、またはサブステップが生じかつ原理的には観察するのに十分にゆっくりであるが、実践的には例えば酵素がポアと相互作用する方法に起因して観察されないことである)。
【0089】
生データトレース(
図48)は、ポアPro−CP1−Eco−(WT−Y51A/F56Q/R97W−StrepII(C))9(ポア97W)及びPro−CP1−Eco−(WT−Y51A/F56Q−StrepII(C))9(ポアAQ)の、ナノポアを通る酵素制御DNA鎖転移のイオン電流(y軸、pA)対時間(x軸、秒)のトレースを示す。各電流レベルは、イオンの流れを改変するナノポア読み取り装置によって保持された配列の結果であり、ポリヌクレオチドがナノポア内で位置を変えるとき、例えば酵素が鎖全体を1塩基分前に移動させるときに、電流の段階的な変化が認められる。この場合、DNA鎖は、反復配列(GGTT)nを部分的に含有する。データは、Dda酵素を合成DNAポリヌクレオチド上に装填し、生データ出力を記録するMinION(Cis緩衝液:500mM KCl、25mM HEPES(pH8)、0.6mM MgCl2、0.6mM ATP、140mV、37degC、5kHz取得周波数)上で泳動することによって取得された。ポア97Wは、ポリヌクレオチドの整数の段階的移動からの主要電流レベルのみを示し、レベル間の顕著なデータ密度はなかった。対照的に、ポアAQは、
図48において矢印で印されるように、顕著な中間サブステップレベルを有する。
【0090】
変異体モノマーは、好ましくは、改善したポリヌクレオチド読み取り特性を有し、すなわち、ポリヌクレオチド捕捉及びヌクレオチド識別の改善を提示する。とりわけ、変異体モノマーから構成されたポアは、好ましくは、野生型よりも容易にヌクレオチド及びポリヌクレオチドを捕捉する。さらに、変異体モノマーから構成されたポアは、好ましくは、異なるヌクレオチド間の識別を容易にする電流範囲の増加、及びシグナル対ノイズ比を増加させる状態の変動の低下を提示する。
【0091】
さらに、変異体から構成されたポアを通ってポリヌクレオチドが移動する間の、電流に寄与するヌクレオチドの数は、好ましくは、減少する。これは、ポアを通ってポリヌクレオチドが移動する間に認められた電流と、ポリヌクレオチド配列との間の直接的な関係性を特定することを容易にする。さらに、変異体モノマーから構成されたポアは、増加したスループットを提示し得、すなわち、ポリヌクレオチドなどの分析物と相互作用する可能性がより高い。これは、ポアを使用して分析物を特徴付けることをより容易にする。変異体モノマーから構成されたポアは、より容易に膜内に挿入し得る。本発明の変異体モノマーは、配列番号2に示される配列のバリアントを含む。配列番号2は、Escherichia coli K−12株MC4100亜株に由来する野生型CsgGモノマーである。配列番号2のバリアントは、配列番号2のものとは異なるアミノ酸配列を有し、かつポアを形成する能力を保持するポリペプチドである。ポアを形成する変異体の能力は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用してアッセイすることができる。例えば、バリアントは、他の適切なサブユニットと共に両親媒性層内に挿入され得、ポアを形成するそのオリゴマー形成能力が判定され得る。サブユニットを両親媒性層などの膜内に挿入するための方法は、当該技術分野で既知である。例えば、サブユニットは、それが膜に拡散され、膜に結合し機能状態を形成することによって挿入されるように、トリブロックコポリマー膜を含有する溶液中に精製された形態で懸濁され得る。
【0092】
本明細書中の全ての論議において、アミノ酸の標準的な1文字のコードが使用される。それらは以下の通りである:アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、及びバリン(V)。標準的な置換記法も使用され、すなわち、Q42Rは、42位におけるQがRで置換されていることを意味する。
【0093】
本発明の変異体モノマーの一実施形態では、配列番号2のバリアントは、(a)以下の位置、I41、R93、A98、Q100、G103、T104、A106、I107、N108、L113、S115、T117、Y130、K135、E170、S208、D233、D238、及びE244における1つ以上の変異(すなわち、これらの位置のうちの1つ以上における変異)、ならびに/または(b)D43S、E44S、F48S/N/Q/Y/W/I/V/H/R/K、Q87N/R/K、N91K/R、K94R/F/Y/W/L/S/N、R97F/Y/W/V/I/K/S/Q/H、E101I/L/A/H、N102K/Q/L/I/V/S/H、R110F/G/N、Q114R/K、R142Q/S、T150Y/A/V/L/S/Q/N、R192D/Q/F/S/T、及びD248S/N/Q/K/Rのうちの1つ以上を含む。バリアントは、(a)、(b)、または(a)及び(b)を含み得る。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態では、配列番号2のバリアントは、R97Wを含む。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態では、配列番号2のバリアントは、R192D/Q/F/S/T、好ましくはR192D/Q、より好ましくはR192Dを含む。(a)において、バリアントは、これらの位置のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19個などの任意の数及び組み合わせの位置において修飾を含み得る。(a)において、バリアントは、好ましくは、I41N、R93F/Y/W/L/I/V/N/Q/S、A98K/R、Q100K/R、G103F/W/S/N/K/R、T104R/K、A106R/K、I107R/K/W/F/Y/L/V、N108R/K、L113K/R、S115R/K、T117R/K、Y130W/F/H/Q/N、K135L/V/N/Q/S、E170S/N/Q/K/R、S208V/I/F/W/Y/L/T、D233S/N/Q/K/R、D238S/N/Q/K/R、及びE244S/N/Q/K/Rのうちの1つ以上を含む。
【0096】
(a)において、バリアントは、好ましくは、モノマーを含む膜貫通ポアに対する、例えばそれを通る標的ポリヌクレオチドのより一貫した移動を提供する1つ以上の修飾を含む。とりわけ、(a)において、バリアントは、好ましくは、以下の位置、R93、G103、I107における1つ以上の変異(すなわち、これらの位置のうちの1つ以上における変異)を含む。バリアントは、R93;G103;I107;R93及びG103;R93及びI107;G103及びI107;またはR93、G103及びI107を含み得る。バリアントは、好ましくは、R93F/Y/W/L/I/V/N/Q/S、G103F/W/S/N/K/R、及びI107R/K/W/F/Y/L/Vのうちの1つ以上を含む。これらは、R93位、G103位、及びI107位について示される任意の組み合わせで存在し得る。
【0097】
(a)において、バリアントは、好ましくは、変異体モノマーから構成されたポアが、好ましくはヌクレオチド及びプリヌクレオチドをより容易に捕捉することを可能にする、1つまたは修飾を含む。とりわけ、(a)において、バリアントは、好ましくは、以下の位置、I41、T104、A106、N108、L113、S115、T117、E170、D233、D238、及びE244における1つ以上の変異(すなわち、これらの位置のうちの1つ以上における変異)を含む。バリアントは、これらの位置のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11個などの任意の数及び組み合わせの位置において修飾を含み得る。バリアントは、好ましくは、I41N、T104R/K、A106R/K、N108R/K、L113K/R、S115R/K、T117R/K、E170S/N/Q/K/R、D233S/N/Q/K/R、D238S/N/Q/K/R、及びE244S/N/Q/K/Rのうちの1つ以上を含む。さらに、または代替的に、バリアントは、(c)Q42K/R、E44N/Q、L90R/K、N91R/K、I95R/K、A99R/K、E101H/K/N/Q/T、及び/またはQ114K/Rを含んでもよい。
【0098】
(a)において、バリアントは、好ましくは、より一貫した移動を提供し、かつ捕捉を増加させる1つ以上の修飾を含む。とりわけ、(a)において、バリアントは、好ましくは、以下の位置、(i)A98、(ii)Q100、(iii)G103、及び(iv)I107における1つ以上の変異(すなわち、これらの位置のうちの1つ以上における変異)を含む。バリアントは、好ましくは、(i)A98R/K、(ii)Q100K/R、(iii)G103K/R、及び(iv)I107R/Kのうちの1つ以上を含む。バリアントは、{i};{ii};{iii};{iv};{i,ii};{i,iii};{i,iv};{ii,iii};{ii,iv};{iii,iv};{i,ii,iii};{i,ii,iv};{i,iii,iv};{ii,iii,iv};または{i,ii,iii,iv}を含んでもよい。
【0099】
ポリヌクレオチドなどの分析物の捕捉の増加を提供する特に好ましい変異体モノマーは、Q42位、E44位、E44位、L90位、N91位、I95位、A99位、E101位、及びQ114のうちの1つ以上における変異を含み、これらの変異は、変異した位置において負電荷を除去し、かつ/または正電荷を増加させる。とりわけ、分析物、好ましくはポリヌクレオチドを捕捉する改善した能力を有するCsgGモノマーを生成するために、以下の変異、Q42K、E44N、E44Q、L90R、N91R、I95R、A99R、E101H、E101K、E101N、E101Q、E101T、及びQ114Kが本発明の変異体モノマーに含まれ得る。他の有益な変異と組み合わせて、これらの変異のうちの1つを含む特定の変異体モノマーの例は、実施例11に記載される。
【0100】
(a)において、バリアントは、好ましくは、特徴付け精度の増加を提供する1つ以上の修飾を含む。とりわけ、(a)において、バリアントは、好ましくは、以下の位置、Y130、K135、及びS208、例えばY130;K135;S208;Y130及びK135;Y130及びS208;K135及びS208;またはY130、K135、及びS208、における1つ以上の変異(すなわち、これらの位置のうちの1つ以上における変異)を含む。バリアントは、好ましくは、Y130W/F/H/Q/N、K135L/V/N/Q/S、及びR142Q/Sのうちの1つ以上を含む。これらの置換は、Y130、K135、及びS208について記載されるように、任意の数及び組み合わせで存在し得る。
【0101】
(b)において、バリアントは、これらの置換のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個などの任意の数及び組み合わせの置換を含み得る。(b)において、バリアントは、好ましくは、モノマーを含む膜貫通ポアに対する、例えばそれを通る標的ポリヌクレオチドのより一貫した移動を提供する1つ以上の修飾を含む。とりわけ、(b)において、バリアントは、好ましくは、(i)Q87N/R/K、(ii)K94R/F/Y/W/L/S/N、(iii)R97F/Y/W/V/I/K/S/Q/H、(iv)N102K/Q/L/I/V/S/H、及び(v)R110F/G/Nのうちの1つ以上1つ以上を含む。より好ましくは、バリアントは、K94DもしくはK94Q、及び/またはR97WもしくはR97Yを含む。バリアントは、{i};{ii};{iii};{iv};{v};{i,ii};{i,iii};{i,iv};{i,v};{ii,iii};{ii,iv};{ii,v};{iii,iv};{iii,v};{iv,v};{i,ii,iii};{i,ii,iv};{i,ii,v};{i,iii,iv};{i,iii,v};{i,iv,v};{ii,iii,iv};{ii,iii,v};{ii,iv,v};{iii,iv,v};{i,ii,iii,iv};{i,ii,iii,v};{i,ii,iv,v};{i,iii,iv,v};{ii,iii,iv,v};または{i,ii,iii,iv,v}を含んでもよい。モノマーを含む膜貫通ポアに対する、例えばそれを通る標的ポリヌクレオチドのより一貫した移動を提供するために修飾された他の好ましいバリアントは、(vi)R93W及びR93Yを含む。好ましいバリアントは、R93W及びR97W、R93Y及びR97W、R93W及びR97W、またはより好ましくはR93Y及びR97Yを含み得る。バリアントは、{vi};{i,vi};{ii,vi};{iii,vi};{iv,vi};{v,vi};{i,ii,vi};{i,iii,vi};{i,iv,vi};{i,v,vi};{ii,iii,vi};{ii,iv,vi};{ii,v,vi};{iii,iv,vi};{iii,v,vi};{iv,v,vi}、{i,ii,iii,vi};{i,ii,iv,vi};{i,ii,v,vi}、{i,iii,iv,vi};{i,iii,v,vi};{i,iv,v,vi};{ii,iii,iv,vi};{ii,iii,v,vi};{ii,iv,v,vi};{iii,iv,v,vi}、{i,ii,iii,iv,vi}、{i,ii,iii,v,vi};{i,ii,iv,v,vi};{i,iii,iv,v,vi};{ii,iii,iv,v,vi};または{i,ii,iii,iv,v,vi}を含んでもよい。
【0102】
(b)において、バリアントは、好ましくは、変異体モノマーから構成されたポアが、好ましくはヌクレオチド及びプリヌクレオチドをより容易に捕捉することを可能にする、1つまたは修飾を含む。とりわけ、(b)において、バリアントは、好ましくは、(i)D43S、(ii)E44S、(iii)N91K/R、(iv)Q114R/K、及び(v)D248S/N/Q/K/Rのうちの1つ以上を含む。バリアントは、{i};{ii};{iii};{iv};{v};{i,ii};{i,iii};{i,iv};{i,v};{ii,iii};{ii,iv};{ii,v};{iii,iv};{iii,v};{iv,v};{i,ii,iii};{i,ii,iv};{i,ii,v};{i,iii,iv};{i,iii,v};{i,iv,v};{ii,iii,iv};{ii,iii,v};{ii,iv,v};{iii,iv,v};{i,ii,iii,iv};{i,ii,iii,v};{i,ii,iv,v};{i,iii,iv,v};{ii,iii,iv,v};または{i,ii,iii,iv,v}を含んでもよい。
【0103】
(b)において、バリアントは、好ましくは、より一貫した移動を提供し、かつ捕捉を増加させる1つ以上の修飾を含む。とりわけ、(b)において、バリアントは、好ましくは、Q87R/K、E101I/L/A/H、及びN102K、例えばQ87R/K;E101I/L/A/H;N102K;Q87R/K及びE101I/L/A/H;Q87R/K及びN102K;E101I/L/A/H及びN102K;またはQ87R/K、E101I/L/A/H、及びN102K、のうちの1つ以上を含む。
【0104】
(b)において、バリアントは、好ましくは、特徴付け精度の増加を提供する1つ以上の修飾を含む。とりわけ、(a)において、バリアントは、好ましくは、F48S/N/Q/Y/W/I/Vを含む。
【0105】
(b)において、バリアントは、好ましくは、増加した特徴付け精度及び増加した捕捉を提供する1つ以上の修飾を含む。とりわけ、(a)において、バリアントは、好ましくは、F48H/R/Kを含む。
【0106】
バリアントは、(a)及び(b)の両方において修飾を含んでもよく、これはより一貫した移動を提供する。バリアントは、(a)及び(b)の両方において修飾を含んでもよく、これは増加した捕捉を提供する。
【0107】
本発明は、バリアントを含むポアを使用してポリヌクレオチドなどの分析物を特徴付けるためのアッセイの増加したスループットを提供する配列番号2のバリアントを提供する。かかるバリアントは、K94における変異、好ましくはK94QまたはK94N、より好ましくはK94Qを含み得る。他の有益な変異と組み合わせて、K94QまたはK94N変異を含む特定の変異体モノマーの例は、実施例10及び11に記載される。
【0108】
本発明は、バリアントを含むポアを使用してポリヌクレオチドなどの分析物を特徴付けるためのアッセイの増加した特徴付け精度を提供する配列番号2のバリアントを提供する。かかるバリアントには、F191における変異、好ましくはF191T;V105〜I107の欠失;F193〜L199もしくはD195〜L199の欠失;ならびに/またはR93及び/もしくはR97における変異、好ましくはR93Y、R97Y、もしくはより好ましくはR97W、R93W、もしくはR97Y及びR97Yの両方を含むバリアントが含まれる。他の有益な変異と組み合わせて、これらの変異のうちの1つ以上を含む特定の変異体モノマーの例は、実施例9に記載される。
【0109】
本発明の変異体モノマーの別の実施形態では、配列番号2のバリアントは、(A)1つ以上のR192位、F193位、I194位、D195位、Y196位、Q197位、R198位、L199位、L200位、及びE201位の欠失、ならびに/または(B)V139/G140/D149/T150/V186/Q187/V204/G205(本明細書においてバンド1と呼ばれる)、G137/G138/Q151/Y152/Y184/E185/Y206/T207(本明細書においてバンド2と呼ばれる)、及びA141/R142/G147/A148/A188/G189/G202/E203(本明細書においてバンド3と呼ばれる)のうちの1つ以上の欠失を含む。
【0110】
(A)において、バリアントは、これらの位置のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個などの任意の数及び組み合わせの欠失を含み得る。(A)において、バリアントは、好ましくは、
−D195、Y196、Q197、R198、及びL199の欠失;
−R192、F193、I194、D195、Y196、Q197、R198、L199、及びL200の欠失;
−Q197、R198、L199、及びL200の欠失;
−I194、D195、Y196、Q197、R198、及びL199の欠失;
−D195、Y196、Q197、R198、L199、及びL200の欠失;
−Y196、Q197、R198、L199、L200、及びE201の欠失;
−Q197、R198、L199、L200、及びE201の欠失;
−Q197、R198、L199の欠失;または
−F193、I194、D195、Y196、Q197、R198、及びL199の欠失を含む。
【0111】
より好ましくは、バリアントは、D195、Y196、Q197、R198、及びL199、またはF193、I194、D195、Y196、Q197、R198、及びL199の欠失を含む。(B)において、バンド1〜3の任意の数及び組み合わせ、例えばバンド1;バンド2;バンド3;バンド1及び2;バンド1及び3;バンド2及び3;またはバンド1、2、及び3が欠失され得る。
【0112】
バリアントは、(A);(B);または(A)及び(B)に従う欠失を含み得る。
【0113】
上記の(A)及び/または(B)に従う1つ以上の位置の欠失を含むバリアントは、上記及び下記の修飾または置換をさらに含んでもよい。配列番号2における欠失位置の後に現れる1つ以上の位置で修飾または置換が行われる場合、修飾または置換の1つ以上の位置の付番は、それに応じて調節されるべきである。例えば、L199が欠失した場合、E244は、E243となる。同様に、バンド1が欠失した場合、R192は、R186となる。
【0114】
本発明の変異体モノマーの別の実施形態では、配列番号2のバリアントは、(C)1つ以上の位置、V105、A106、及びI107の欠失を含む。(C)に従う欠失は、(A)及び/または(B)に従う欠失に加えて行われ得る。
【0115】
上記の欠失は、典型的には、モノマーを含む膜貫通ポアに対する、例えばそれを通る標的ポリヌクレオチドの移動に関連付けられるノイズを低減する。結果として、標的ポリヌクレオチドは、より正確に特徴付けられ得る。
【0116】
上記の段落において特定の位置における異なるアミノ酸が/記号によって分けられている場合、それらの/記号は、「または」を意味する。例えば、Q87R/Kは、Q87RまたはQ87Kを意味する。
【0117】
本発明は、ポリヌクレオチドなどの分析物の増加した捕捉を提供する配列番号2のバリアントを提供する。かかるバリアントは、T104における変異、好ましくはT104RもしくはT104K、N91における変異、好ましくはN91R、E101における変異、好ましくはE101K/N/Q/T/H、E44位における変異、好ましくはE44NもしくはE44Q、及び/またはQ42位における変異、好ましくはQ42Kを含み得る。
【0118】
配列番号2中の異なる位置における変異は、あらゆる可能な方法で組み合わせてもよい。とりわけ、本発明のモノマーは、精度を改善させる1つ以上の変異、ノイズを低減する1つ以上の変異、及び/または分析物の捕捉を向上させる1つ以上の変異を含み得る。
【0119】
本発明の変異体モノマーにおいて、配列番号2のバリアントは、好ましくは、以下の(i)以下の位置、N40、D43、E44、S54、S57、Q62、R97、E101、E124、E131、R142、T150、及びR192における1つ以上の変異(すなわち、これらの位置のうちの1つ以上における変異)、例えば以下の位置、N40、D43、E44、S54、S57、Q62、E101、E131、及びT150、またはN40、D43、E44、E101、及びE131における1つ以上の変異(すなわち、これらの位置のうちの1つ以上における変異);(ii)Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異;(iii)Q42RまたはQ42K;(iv)K49R;(v)N102R、N102F、N102Y、またはN102W;(vi)D149N、D149Q、またはD149R;(vii)E185N、E185Q、またはE185R;(viii)D195N、D195Q、またはD195R;(ix)E201N、E201Q、またはE201R;(x)E203N、E203Q、またはE203R;ならびに(xi)以下の位置、F48、K49、P50、Y51、P52、A53、S54、N55、F56、及びS57のうちの1つ以上の欠失、のうちの1つ以上を含む。バリアントは、(i)〜(xi)の任意の組み合わせを含んでもよい。とりわけ、バリアントは、{i}{ii}{iii}{iv}{v}{vi}{vii}{viii}{ix}{x}{xi}{i,ii}{i,iii}{i,iv}{i,v}{i,vi}{i,vii}{i,viii}{i,ix}{i,x}{i,xi}{ii,iii}{ii,iv}{ii,v}{ii,vi}{ii,vii}{ii,viii}{ii,ix}{ii,x}{ii,xi}{iii,iv}{iii,v}{iii,vi}{iii,vii}{iii,viii}{iii,ix}{iii,x}{iii,xi}{iv,v}{iv,vi}{iv,vii}{iv,viii}{iv,ix}{iv,x}{iv,xi}{v,vi}{v,vii}{v,viii}{v,ix}{v,x}{v,xi}{vi,vii}{vi,viii}{vi,ix}{vi,x}{vi,xi}{vii,viii}{vii,ix}{vii,x}{vii,xi}{viii,ix}{viii,x}{viii,xi}{ix,x}{ix,xi}{x,xi}{i,ii,iii}{i,ii,iv}{i,ii,v}{i,ii,vi}{i,ii,vii}{i,ii,viii}{i,ii,ix}{i,ii,x}{i,ii,xi}{i,iii,iv}{i,iii,v}{i,iii,vi}{i,iii,vii}{i,iii,viii}{i,iii,ix}{i,iii,x}{i,iii,xi}{i,iv,v}{i,iv,vi}{i,iv,vii}{i,iv,viii}{i,iv,ix}{i,iv,x}{i,iv,xi}{i,v,vi}{i,v,vii}{i,v,viii}{i,v,ix}{i,v,x}{i,v,xi}{i,vi,vii}{i,vi,viii}{i,vi,ix}{i,vi,x}{i,vi,xi}{i,vii,viii}{i,vii,ix}{i,vii,x}{i,vii,xi}{i,viii,ix}{i,viii,x}{i,viii,xi}{i,ix,x}{i,ix,xi}{i,x,xi}{ii,iii,iv}{ii,iii,v}{ii,iii,vi}{ii,iii,vii}{ii,iii,viii}{ii,iii,ix}{ii,iii,x}{ii,iii,xi}{ii,iv,v}{ii,iv,vi}{ii,iv,vii}{ii,iv,viii}{ii,iv,ix}{ii,iv,x}{ii,iv,xi}{ii,v,vi}{ii,v,vii}{ii,v,viii}{ii,v,ix}{ii,v,x}{ii,v,xi}{ii,vi,vii}{ii,vi,viii}{ii,vi,ix}{ii,vi,x}{ii,vi,xi}{ii,vii,viii}{ii,vii,ix}{ii,vii,x}{ii,vii,xi}{ii,viii,ix}{ii,viii,x}{ii,viii,xi}{ii,ix,x}{ii,ix,xi}{ii,x,xi}{iii,iv,v}{iii,iv,vi}{iii,iv,vii}{iii,iv,viii}{iii,iv,ix}{iii,iv,x}{iii,iv,xi}{iii,v,vi}{iii,v,vii}{iii,v,viii}{iii,v,ix}{iii,v,x}{iii,v,xi}{iii,vi,vii}{iii,vi,viii}{iii,vi,ix}{iii,vi,x}{iii,vi,xi}{iii,vii,viii}{iii,vii,ix}{iii,vii,x}{iii,vii,xi}{iii,viii,ix}{iii,viii,x}{i,ii,iii,iv}{i,ii,iii,v}{i,ii,iii,vi}{i,ii,iii,vii}{i,ii,iii,viii}{i,ii,iii,ix}{i,ii,iii,x}{i,ii,iii,xi}{i,ii,iv,v}{i,ii,iv,vi}{i,ii,iv,vii}{i,ii,iv,viii}{i,ii,iv,ix}{i,ii,iv,x}{i,ii,iv,xi}{i,ii,v,vi}{i,ii,v,vii}{i,ii,v,viii}{i,ii,v,ix}{i,ii,v,x}{i,ii,v,xi}{i,ii,vi,vii}{i,ii,vi,viii}{i,ii,vi,ix}{i,ii,vi,x}{i,ii,vi,xi}{i,ii,vii,viii}{i,ii,vii,ix}{i,ii,vii,x}{i,ii,vii,xi}{i,ii,viii,ix}{i,ii,viii,x}{i,ii,viii,xi}{i,ii,ix,x}{i,ii,ix,xi}{i,ii,x,xi}{i,iii,iv,v}{i,iii,iv,vi}{i,iii,iv,vii}{i,iii,iv,viii}{i,iii,iv,ix}{i,iii,iv,x}{i,iii,iv,xi}{i,iii,v,vi}{i,iii,v,vii}{i,iii,v,viii}{i,iii,v,ix}{i,iii,v,x}{i,iii,v,xi}{i,iii,vi,vii}{i,iii,vi,viii}{i,iii,vi,ix}{i,iii,vi,x}{i,iii,vi,xi}{i,iii,vii,viii}{i,iii,vii,ix}{i,iii,vii,x}{i,iii,vii,xi}{i,iii,viii,ix}{i,iii,viii,x}{i,iii,viii,xi}{i,iii,ix,x}{i,iii,ix,xi}{i,iii,x,xi}{i,iv,v,vi}{i,iv,v,vii}{i,iv,v,viii}{i,iv,v,ix}{i,iv,v,x}{i,iv,v,xi}{i,iv,vi,vii}{i,iv,vi,viii}{i,iv,vi,ix}{i,iv,vi,x}{i,iv,vi,xi}{i,iv,vii,viii}{i,iv,vii,ix}{i,iv,vii,x}{i,iv,vii,xi}{i,iv,viii,ix}{i,iv,viii,x}{i,iv,viii,xi}{i,iv,ix,x}{i,iv,ix,xi}{i,iv,x,xi}{i,v,vi,vii}{i,v,vi,viii}{i,v,vi,ix}{i,v,vi,x}{i,v,vi,xi}{i,v,vii,viii}{i,v,vii,ix}{i,v,vii,x}{i,v,vii,xi}{i,v,viii,ix}{i,v,viii,x}{i,v,viii,xi}{i,v,ix,x}{i,v,ix,xi}{i,v,x,xi}{i,vi,vii,viii}{i,vi,vii,ix}{i,vi,vii,x}{i,vi,vii,xi}{i,vi,viii,ix}{i,vi,viii,x}{i,vi,viii,xi}{i,vi,ix,x}{i,vi,ix,xi}{i,vi,x,xi}{i,vii,viii,ix}{i,vii,viii,x}{i,vii,viii,xi}{i,vii,ix,x}{i,vii,ix,xi}{i,vii,x,xi}{i,viii,ix,x}{i,viii,ix,xi}{i,viii,x,xi}{i,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v}{ii,iii,iv,vi}{ii,iii,iv,vii}{ii,iii,iv,viii}{ii,iii,iv,ix}{ii,iii,iv,x}{ii,iii,iv,xi}{ii,iii,v,vi}{ii,iii,v,vii}{ii,iii,v,viii}{ii,iii,v,ix}{ii,iii,v,x}{ii,iii,v,xi}{ii,iii,vi,vii}{ii,iii,vi,viii}{ii,iii,vi,ix}{ii,iii,vi,x}{ii,iii,vi,xi}{ii,iii,vii,viii}{ii,iii,vii,ix}{ii,iii,vii,x}{ii,iii,vii,xi}{ii,iii,viii,ix}{ii,iii,viii,x}{ii,iii,viii,xi}{ii,iii,ix,x}{ii,iii,ix,xi}{ii,iii,x,xi}{ii,iv,v,vi}{ii,iv,v,vii}{ii,iv,v,viii}{ii,iv,v,ix}{ii,iv,v,x}{ii,iv,v,xi}{ii,iv,vi,vii}{ii,iv,vi,viii}{ii,iv,vi,ix}{ii,iv,vi,x}{ii,iv,vi,xi}{ii,iv,vii,viii}{ii,iv,vii,ix}{ii,iv,vii,x}{ii,iv,vii,xi}{ii,iv,viii,ix}{ii,iv,viii,x}{ii,iv,viii,xi}{ii,iv,ix,x}{ii,iv,ix,xi}{ii,iv,x,xi}{ii,v,vi,vii}{ii,v,vi,viii}{ii,v,vi,ix}{ii,v,vi,x}{ii,v,vi,xi}{ii,v,vii,viii}{ii,v,vii,ix}{ii,v,vii,x}{ii,v,vii,xi}{ii,v,viii,ix}{ii,v,viii,x}{ii,v,viii,xi}{ii,v,ix,x}{ii,v,ix,xi}{ii,v,x,xi}{ii,vi,vii,viii}{ii,vi,vii,ix}{ii,vi,vii,x}{ii,vi,vii,xi}{ii,vi,viii,ix}{ii,vi,viii,x}{ii,vi,viii,xi}{ii,vi,ix,x}{ii,vi,ix,xi}{ii,vi,x,xi}{ii,vii,viii,ix}{ii,vii,viii,x}{ii,vii,viii,xi}{ii,vii,ix,x}{ii,vii,ix,xi}{ii,vii,x,xi}{ii,viii,ix,x}{ii,viii,ix,xi}{ii,viii,x,xi}{ii,ix,x,xi}{iii,iv,v,vi}{iii,iv,v,vii}{iii,iv,v,viii}{iii,iv,v,ix}{iii,iv,v,x}{iii,iv,v,xi}{iii,iv,vi,vii}{iii,iv,vi,viii}{iii,iv,vi,ix}{iii,iv,vi,x}{iii,iv,vi,xi}{iii,iv,vii,viii}{iii,iv,vii,ix}{iii,iv,vii,x}{iii,iv,vii,xi}{iii,iv,viii,ix}{iii,iv,viii,x}{iii,iv,viii,xi}{iii,iv,ix,x}{iii,iv,ix,xi}{iii,iv,x,xi}{iii,v,vi,vii}{iii,v,vi,viii}{iii,v
,vi,ix}{iii,v,vi,x}{iii,v,vi,xi}{iii,v,vii,viii}{iii,v,vii,ix}{iii,v,vii,x}{iii,v,vii,xi}{iii,v,viii,ix}{iii,v,viii,x}{iii,v,viii,xi}{iii,v,ix,x}{iii,v,ix,xi}{iii,v,x,xi}{iii,vi,vii,viii}{iii,vi,vii,ix}{iii,vi,vii,x}{iii,vi,vii,xi}{iii,vi,viii,ix}{iii,vi,viii,x}{iii,vi,viii,xi}{iii,vi,ix,x}{iii,vi,ix,xi}{iii,vi,x,xi}{iii,vii,viii,ix}{iii,vii,viii,x}{iii,vii,viii,xi}{iii,vii,ix,x}{iii,vii,ix,xi}{iii,vii,x,xi}{iii,viii,ix,x}{iii,viii,ix,xi}{iii,viii,x,xi}{iii,ix,x,xi}{iv,v,vi,vii}{iv,v,vi,viii}{iv,v,vi,ix}{iv,v,vi,x}{iv,v,vi,xi}{iv,v,vii,viii}{iv,v,vii,ix}{iv,v,vii,x}{iv,v,vii,xi}{iv,v,viii,ix}{iv,v,viii,x}{iv,v,viii,xi}{iv,v,ix,x}{iv,v,ix,xi}{iv,v,x,xi}{iv,vi,vii,viii}{iv,vi,vii,ix}{iv,vi,vii,x}{iv,vi,vii,xi}{iv,vi,viii,ix}{iv,vi,viii,x}{iv,vi,viii,xi}{iv,vi,ix,x}{iv,vi,ix,xi}{iv,vi,x,xi}{iv,vii,viii,ix}{iv,vii,viii,x}{iv,vii,viii,xi}{iv,vii,ix,x}{iv,vii,ix,xi}{iv,vii,x,xi}{iv,viii,ix,x}{iv,viii,ix,xi}{iv,viii,x,xi}{iv,ix,x,xi}{v,vi,vii,viii}{v,vi,vii,ix}{v,vi,vii,x}{v,vi,vii,xi}{v,vi,viii,ix}{v,vi,viii,x}{v,vi,viii,xi}{v,vi,ix,x}{v,vi,ix,xi}{v,vi,x,xi}{v,vii,viii,ix}{v,vii,viii,x}{v,vii,viii,xi}{v,vii,ix,x}{v,vii,ix,xi}{v,vii,x,xi}{v,viii,ix,x}{v,viii,ix,xi}{v,viii,x,xi}{v,ix,x,xi}{vi,vii,viii,ix}{vi,vii,viii,x}{vi,vii,viii,xi}{vi,vii,ix,x}{vi,vii,ix,xi}{vi,vii,x,xi}{vi,viii,ix,x}{vi,viii,ix,xi}{vi,viii,x,xi}{vi,ix,x,xi}{vii,viii,ix,x}{vii,viii,ix,xi}{vii,viii,x,xi}{vii,ix,x,xi}{viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,v}{i,ii,iii,iv,vi}{i,ii,iii,iv,vii}{i,ii,iii,iv,viii}{i,ii,iii,iv,ix}{i,ii,iii,iv,x}{i,ii,iii,iv,xi}{i,ii,iii,v,vi}{i,ii,iii,v,vii}{i,ii,iii,v,viii}{i,ii,iii,v,ix}{i,ii,iii,v,x}{i,ii,iii,v,xi}{i,ii,iii,vi,vii}{i,ii,iii,vi,viii}{i,ii,iii,vi,ix}{i,ii,iii,vi,x}{i,ii,iii,vi,xi}{i,ii,iii,vii,viii}{i,ii,iii,vii,ix}{i,ii,iii,vii,x}{i,ii,iii,vii,xi}{i,ii,iii,viii,ix}{i,ii,iii,viii,x}{i,ii,iii,viii,xi}{i,ii,iii,ix,x}{i,ii,iii,ix,xi}{i,ii,iii,x,xi}{i,ii,iv,v,vi}{i,ii,iv,v,vii}{i,ii,iv,v,viii}{i,ii,iv,v,ix}{i,ii,iv,v,x}{i,ii,iv,v,xi}{i,ii,iv,vi,vii}{i,ii,iv,vi,viii}{i,ii,iv,vi,ix}{i,ii,iv,vi,x}{i,ii,iv,vi,xi}{i,ii,iv,vii,viii}{i,ii,iv,vii,ix}{i,ii,iv,vii,x}{i,ii,iv,vii,xi}{i,ii,iv,viii,ix}{i,ii,iv,viii,x}{i,ii,iv,viii,xi}{i,ii,iv,ix,x}{i,ii,iv,ix,xi}{i,ii,iv,x,xi}{i,ii,v,vi,vii}{i,ii,v,vi,viii}{i,ii,v,vi,ix}{i,ii,v,vi,x}{i,ii,v,vi,xi}{i,ii,v,vii,viii}{i,ii,v,vii,ix}{i,ii,v,vii,x}{i,ii,v,vii,xi}{i,ii,v,viii,ix}{i,ii,v,viii,x}{i,ii,v,viii,xi}{i,ii,v,ix,x}{i,ii,v,ix,xi}{i,ii,v,x,xi}{i,ii,vi,vii,viii}{i,ii,vi,vii,ix}{i,ii,vi,vii,x}{i,ii,vi,vii,xi}{i,ii,vi,viii,ix}{i,ii,vi,viii,x}{i,ii,vi,viii,xi}{i,ii,vi,ix,x}{i,ii,vi,ix,xi}{i,ii,vi,x,xi}{i,ii,vii,viii,ix}{i,ii,vii,viii,x}{i,ii,vii,viii,xi}{i,ii,vii,ix,x}{i,ii,vii,ix,xi}{i,ii,vii,x,xi}{i,ii,viii,ix,x}{i,ii,viii,ix,xi}{i,ii,viii,x,xi}{i,ii,ix,x,xi}{i,iii,iv,v,vi}{i,iii,iv,v,vii}{i,iii,iv,v,viii}{i,iii,iv,v,ix}{i,iii,iv,v,x}{i,iii,iv,v,xi}{i,iii,iv,vi,vii}{i,iii,iv,vi,viii}{i,iii,iv,vi,ix}{i,iii,iv,vi,x}{i,iii,iv,vi,xi}{i,iii,iv,vii,viii}{i,iii,iv,vii,ix}{i,iii,iv,vii,x}{i,iii,iv,vii,xi}{i,iii,iv,viii,ix}{i,iii,iv,viii,x}{i,iii,iv,viii,xi}{i,iii,iv,ix,x}{i,iii,iv,ix,xi}{i,iii,iv,x,xi}{i,iii,v,vi,vii}{i,iii,v,vi,viii}{i,iii,v,vi,ix}{i,iii,v,vi,x}{i,iii,v,vi,xi}{i,iii,v,vii,viii}{i,iii,v,vii,ix}{i,iii,v,vii,x}{i,iii,v,vii,xi}{i,iii,v,viii,ix}{i,iii,v,viii,x}{i,iii,v,viii,xi}{i,iii,v,ix,x}{i,iii,v,ix,xi}{i,iii,v,x,xi}{i,iii,vi,vii,viii}{i,iii,vi,vii,ix}{i,iii,vi,vii,x}{i,iii,vi,vii,xi}{i,iii,vi,viii,ix}{i,iii,vi,viii,x}{i,iii,vi,viii,xi}{i,iii,vi,ix,x}{i,iii,vi,ix,xi}{i,iii,vi,x,xi}{i,iii,vii,viii,ix}{i,iii,vii,viii,x}{i,iii,vii,viii,xi}{i,iii,vii,ix,x}{i,iii,vii,ix,xi}{i,iii,vii,x,xi}{i,iii,viii,ix,x}{i,iii,viii,ix,xi}{i,iii,viii,x,xi}{i,iii,ix,x,xi}{i,iv,v,vi,vii}{i,iv,v,vi,viii}{i,iv,v,vi,ix}{i,iv,v,vi,x}{i,iv,v,vi,xi}{i,iv,v,vii,viii}{i,iv,v,vii,ix}{i,iv,v,vii,x}{i,iv,v,vii,xi}{i,iv,v,viii,ix}{i,iv,v,viii,x}{i,iv,v,viii,xi}{i,iv,v,ix,x}{i,iv,v,ix,xi}{i,iv,v,x,xi}{i,iv,vi,vii,viii}{i,iv,vi,vii,ix}{i,iv,vi,vii,x}{i,iv,vi,vii,xi}{i,iv,vi,viii,ix}{i,iv,vi,viii,x}{i,iv,vi,viii,xi}{i,iv,vi,ix,x}{i,iv,vi,ix,xi}{i,iv,vi,x,xi}{i,iv,vii,viii,ix}{i,iv,vii,viii,x}{i,iv,vii,viii,xi}{i,iv,vii,ix,x}{i,iv,vii,ix,xi}{i,iv,vii,x,xi}{i,iv,viii,ix,x}{i,iv,viii,ix,xi}{i,iv,viii,x,xi}{i,iv,ix,x,xi}{i,v,vi,vii,viii}{i,v,vi,vii,ix}{i,v,vi,vii,x}{i,v,vi,vii,xi}{i,v,vi,viii,ix}{i,v,vi,viii,x}{i,v,vi,viii,xi}{i,v,vi,ix,x}{i,v,vi,ix,xi}{i,v,vi,x,xi}{i,v,vii,viii,ix}{i,v,vii,viii,x}{i,v,vii,viii,xi}{i,v,vii,ix,x}{i,v,vii,ix,xi}{i,v,vii,x,xi}{i,v,viii,ix,x}{i,v,viii,ix,xi}{i,v,viii,x,xi}{i,v,ix,x,xi}{i,vi,vii,viii,ix}{i,vi,vii,viii,x}{i,vi,vii,viii,xi}{i,vi,vii,ix,x}{i,vi,vii,ix,xi}{i,vi,vii,x,xi}{i,vi,viii,ix,x}{i,vi,viii,ix,xi}{i,vi,viii,x,xi}{i,vi,ix,x,xi}{i,vii,viii,ix,x}{i,vii,viii,ix,xi}{i,vii,viii,x,xi}{i,vii,ix,x,xi}{i,viii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v,vi}{ii,iii,iv,v,vii}{ii,iii,iv,v,viii}{ii,iii,iv,v,ix}{ii,iii,iv,v,x}{ii,iii,iv,v,xi}{ii,iii,iv,vi,vii}{ii,iii,iv,vi,viii}{ii,iii,iv,vi,ix}{ii,iii,iv,vi,x}{ii,iii,iv,vi,xi}{ii,iii,iv,vii,viii}{ii,iii,iv,vii,ix}{ii,iii,iv,vii,x}{ii,iii,iv,vii,xi}{ii,iii,iv,viii,ix}{ii,iii,iv,viii,x}{ii,iii,iv,viii,xi}{ii,iii,iv,ix,x}{ii,iii,iv,ix,xi}{ii,iii,iv,x,xi}{ii,iii,v,vi,vii}{ii,iii,
v,vi,viii}{ii,iii,v,vi,ix}{ii,iii,v,vi,x}{ii,iii,v,vi,xi}{ii,iii,v,vii,viii}{ii,iii,v,vii,ix}{ii,iii,v,vii,x}{ii,iii,v,vii,xi}{ii,iii,v,viii,ix}{ii,iii,v,viii,x}{ii,iii,v,viii,xi}{ii,iii,v,ix,x}{ii,iii,v,ix,xi}{ii,iii,v,x,xi}{ii,iii,vi,vii,viii}{ii,iii,vi,vii,ix}{ii,iii,vi,vii,x}{ii,iii,vi,vii,xi}{ii,iii,vi,viii,ix}{ii,iii,vi,viii,x}{ii,iii,vi,viii,xi}{ii,iii,vi,ix,x}{ii,iii,vi,ix,xi}{ii,iii,vi,x,xi}{ii,iii,vii,viii,ix}{ii,iii,vii,viii,x}{ii,iii,vii,viii,xi}{ii,iii,vii,ix,x}{ii,iii,vii,ix,xi}{ii,iii,vii,x,xi}{ii,iii,viii,ix,x}{ii,iii,viii,ix,xi}{ii,iii,viii,x,xi}{ii,iii,ix,x,xi}{ii,iv,v,vi,vii}{ii,iv,v,vi,viii}{ii,iv,v,vi,ix}{ii,iv,v,vi,x}{ii,iv,v,vi,xi}{ii,iv,v,vii,viii}{ii,iv,v,vii,ix}{ii,iv,v,vii,x}{ii,iv,v,vii,xi}{ii,iv,v,viii,ix}{ii,iv,v,viii,x}{ii,iv,v,viii,xi}{ii,iv,v,ix,x}{ii,iv,v,ix,xi}{ii,iv,v,x,xi}{ii,iv,vi,vii,viii}{ii,iv,vi,vii,ix}{ii,iv,vi,vii,x}{ii,iv,vi,vii,xi}{ii,iv,vi,viii,ix}{ii,iv,vi,viii,x}{ii,iv,vi,viii,xi}{ii,iv,vi,ix,x}{ii,iv,vi,ix,xi}{ii,iv,vi,x,xi}{ii,iv,vii,viii,ix}{ii,iv,vii,viii,x}{ii,iv,vii,viii,xi}{ii,iv,vii,ix,x}{ii,iv,vii,ix,xi}{ii,iv,vii,x,xi}{ii,iv,viii,ix,x}{ii,iv,viii,ix,xi}{ii,iv,viii,x,xi}{ii,iv,ix,x,xi}{ii,v,vi,vii,viii}{ii,v,vi,vii,ix}{ii,v,vi,vii,x}{ii,v,vi,vii,xi}{ii,v,vi,viii,ix}{ii,v,vi,viii,x}{ii,v,vi,viii,xi}{ii,v,vi,ix,x}{ii,v,vi,ix,xi}{ii,v,vi,x,xi}{ii,v,vii,viii,ix}{ii,v,vii,viii,x}{ii,v,vii,viii,xi}{ii,v,vii,ix,x}{ii,v,vii,ix,xi}{ii,v,vii,x,xi}{ii,v,viii,ix,x}{ii,v,viii,ix,xi}{ii,v,viii,x,xi}{ii,v,ix,x,xi}{ii,vi,vii,viii,ix}{ii,vi,vii,viii,x}{ii,vi,vii,viii,xi}{ii,vi,vii,ix,x}{ii,vi,vii,ix,xi}{ii,vi,vii,x,xi}{ii,vi,viii,ix,x}{ii,vi,viii,ix,xi}{ii,vi,viii,x,xi}{ii,vi,ix,x,xi}{ii,vii,viii,ix,x}{ii,vii,viii,ix,xi}{ii,vii,viii,x,xi}{ii,vii,ix,x,xi}{ii,viii,ix,x,xi}{iii,iv,v,vi,vii}{iii,iv,v,vi,viii}{iii,iv,v,vi,ix}{iii,iv,v,vi,x}{iii,iv,v,vi,xi}{iii,iv,v,vii,viii}{iii,iv,v,vii,ix}{iii,iv,v,vii,x}{iii,iv,v,vii,xi}{iii,iv,v,viii,ix}{iii,iv,v,viii,x}{iii,iv,v,viii,xi}{iii,iv,v,ix,x}{iii,iv,v,ix,xi}{iii,iv,v,x,xi}{iii,iv,vi,vii,viii}{iii,iv,vi,vii,ix}{iii,iv,vi,vii,x}{iii,iv,vi,vii,xi}{iii,iv,vi,viii,ix}{iii,iv,vi,viii,x}{iii,iv,vi,viii,xi}{iii,iv,vi,ix,x}{iii,iv,vi,ix,xi}{iii,iv,vi,x,xi}{iii,iv,vii,viii,ix}{iii,iv,vii,viii,x}{iii,iv,vii,viii,xi}{iii,iv,vii,ix,x}{iii,iv,vii,ix,xi}{iii,iv,vii,x,xi}{iii,iv,viii,ix,x}{iii,iv,viii,ix,xi}{iii,iv,viii,x,xi}{iii,iv,ix,x,xi}{iii,v,vi,vii,viii}{iii,v,vi,vii,ix}{iii,v,vi,vii,x}{iii,v,vi,vii,xi}{iii,v,vi,viii,ix}{iii,v,vi,viii,x}{iii,v,vi,viii,xi}{iii,v,vi,ix,x}{iii,v,vi,ix,xi}{iii,v,vi,x,xi}{iii,v,vii,viii,ix}{iii,v,vii,viii,x}{iii,v,vii,viii,xi}{iii,v,vii,ix,x}{iii,v,vii,ix,xi}{iii,v,vii,x,xi}{iii,v,viii,ix,x}{iii,v,viii,ix,xi}{iii,v,viii,x,xi}{iii,v,ix,x,xi}{iii,vi,vii,viii,ix}{iii,vi,vii,viii,x}{iii,vi,vii,viii,xi}{iii,vi,vii,ix,x}{iii,vi,vii,ix,xi}{iii,vi,vii,x,xi}{iii,vi,viii,ix,x}{iii,vi,viii,ix,xi}{iii,vi,viii,x,xi}{iii,vi,ix,x,xi}{iii,vii,viii,ix,x}{iii,vii,viii,ix,xi}{iii,vii,viii,x,xi}{iii,vii,ix,x,xi}{iii,viii,ix,x,xi}{iv,v,vi,vii,viii}{iv,v,vi,vii,ix}{iv,v,vi,vii,x}{iv,v,vi,vii,xi}{iv,v,vi,viii,ix}{iv,v,vi,viii,x}{iv,v,vi,viii,xi}{iv,v,vi,ix,x}{iv,v,vi,ix,xi}{iv,v,vi,x,xi}{iv,v,vii,viii,ix}{iv,v,vii,viii,x}{iv,v,vii,viii,xi}{iv,v,vii,ix,x}{iv,v,vii,ix,xi}{iv,v,vii,x,xi}{iv,v,viii,ix,x}{iv,v,viii,ix,xi}{iv,v,viii,x,xi}{iv,v,ix,x,xi}{iv,vi,vii,viii,ix}{iv,vi,vii,viii,x}{iv,vi,vii,viii,xi}{iv,vi,vii,ix,x}{iv,vi,vii,ix,xi}{iv,vi,vii,x,xi}{iv,vi,viii,ix,x}{iv,vi,viii,ix,xi}{iv,vi,viii,x,xi}{iv,vi,ix,x,xi}{iv,vii,viii,ix,x}{iv,vii,viii,ix,xi}{iv,vii,viii,x,xi}{iv,vii,ix,x,xi}{iv,viii,ix,x,xi}{v,vi,vii,viii,ix}{v,vi,vii,viii,x}{v,vi,vii,viii,xi}{v,vi,vii,ix,x}{v,vi,vii,ix,xi}{v,vi,vii,x,xi}{v,vi,viii,ix,x}{v,vi,viii,ix,xi}{v,vi,viii,x,xi}{v,vi,ix,x,xi}{v,vii,viii,ix,x}{v,vii,viii,ix,xi}{v,vii,viii,x,xi}{v,vii,ix,x,xi}{v,viii,ix,x,xi}{vi,vii,viii,ix,x}{vi,vii,viii,ix,xi}{vi,vii,viii,x,xi}{vi,vii,ix,x,xi}{vi,viii,ix,x,xi}{vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi}{i,ii,iii,iv,v,vii}{i,ii,iii,iv,v,viii}{i,ii,iii,iv,v,ix}{i,ii,iii,iv,v,x}{i,ii,iii,iv,v,xi}{i,ii,iii,iv,vi,vii}{i,ii,iii,iv,vi,viii}{i,ii,iii,iv,vi,ix}{i,ii,iii,iv,vi,x}{i,ii,iii,iv,vi,xi}{i,ii,iii,iv,vii,viii}{i,ii,iii,iv,vii,ix}{i,ii,iii,iv,vii,x}{i,ii,iii,iv,vii,xi}{i,ii,iii,iv,viii,ix}{i,ii,iii,iv,viii,x}{i,ii,iii,iv,viii,xi}{i,ii,iii,iv,ix,x}{i,ii,iii,iv,ix,xi}{i,ii,iii,iv,x,xi}{i,ii,iii,v,vi,vii}{i,ii,iii,v,vi,viii}{i,ii,iii,v,vi,ix}{i,ii,iii,v,vi,x}{i,ii,iii,v,vi,xi}{i,ii,iii,v,vii,viii}{i,ii,iii,v,vii,ix}{i,ii,iii,v,vii,x}{i,ii,iii,v,vii,xi}{i,ii,iii,v,viii,ix}{i,ii,iii,v,viii,x}{i,ii,iii,v,viii,xi}{i,ii,iii,v,ix,x}{i,ii,iii,v,ix,xi}{i,ii,iii,v,x,xi}{i,ii,iii,vi,vii,viii}{i,ii,iii,vi,vii,ix}{i,ii,iii,vi,vii,x}{i,ii,iii,vi,vii,xi}{i,ii,iii,vi,viii,ix}{i,ii,iii,vi,viii,x}{i,ii,iii,vi,viii,xi}{i,ii,iii,vi,ix,x}{i,ii,iii,vi,ix,xi}{i,ii,iii,vi,x,xi}{i,ii,iii,vii,viii,ix}{i,ii,iii,vii,viii,x}{i,ii,iii,vii,viii,xi}{i,ii,iii,vii,ix,x}{i,ii,iii,vii,ix,xi}{i,ii,iii,vii,x,xi}{i,ii,iii,viii,ix,x}{i,ii,iii,viii,ix,xi}{i,ii,iii,viii,x,xi}{i,ii,iii,ix,x,xi}{i,ii,iv,v,vi,vii}{i,ii,iv,v,vi,viii}{i,ii,iv,v,vi,ix}{i,ii,iv,v,vi,x}{i,ii,iv,v,vi,xi}{i,ii,iv,v,vii,viii}{i,ii,iv,v,vii,ix}{i,ii,iv,v,vii,
x}{i,ii,iv,v,vii,xi}{i,ii,iv,v,viii,ix}{i,ii,iv,v,viii,x}{i,ii,iv,v,viii,xi}{i,ii,iv,v,ix,x}{i,ii,iv,v,ix,xi}{i,ii,iv,v,x,xi}{i,ii,iv,vi,vii,viii}{i,ii,iv,vi,vii,ix}{i,ii,iv,vi,vii,x}{i,ii,iv,vi,vii,xi}{i,ii,iv,vi,viii,ix}{i,ii,iv,vi,viii,x}{i,ii,iv,vi,viii,xi}{i,ii,iv,vi,ix,x}{i,ii,iv,vi,ix,xi}{i,ii,iv,vi,x,xi}{i,ii,iv,vii,viii,ix}{i,ii,iv,vii,viii,x}{i,ii,iv,vii,viii,xi}{i,ii,iv,vii,ix,x}{i,ii,iv,vii,ix,xi}{i,ii,iv,vii,x,xi}{i,ii,iv,viii,ix,x}{i,ii,iv,viii,ix,xi}{i,ii,iv,viii,x,xi}{i,ii,iv,ix,x,xi}{i,ii,v,vi,vii,viii}{i,ii,v,vi,vii,ix}{i,ii,v,vi,vii,x}{i,ii,v,vi,vii,xi}{i,ii,v,vi,viii,ix}{i,ii,v,vi,viii,x}{i,ii,v,vi,viii,xi}{i,ii,v,vi,ix,x}{i,ii,v,vi,ix,xi}{i,ii,v,vi,x,xi}{i,ii,v,vii,viii,ix}{i,ii,v,vii,viii,x}{i,ii,v,vii,viii,xi}{i,ii,v,vii,ix,x}{i,ii,v,vii,ix,xi}{i,ii,v,vii,x,xi}{i,ii,v,viii,ix,x}{i,ii,v,viii,ix,xi}{i,ii,v,viii,x,xi}{i,ii,v,ix,x,xi}{i,ii,vi,vii,viii,ix}{i,ii,vi,vii,viii,x}{i,ii,vi,vii,viii,xi}{i,ii,vi,vii,ix,x}{i,ii,vi,vii,ix,xi}{i,ii,vi,vii,x,xi}{i,ii,vi,viii,ix,x}{i,ii,vi,viii,ix,xi}{i,ii,vi,viii,x,xi}{i,ii,vi,ix,x,xi}{i,ii,vii,viii,ix,x}{i,ii,vii,viii,ix,xi}{i,ii,vii,viii,x,xi}{i,ii,vii,ix,x,xi}{i,ii,viii,ix,x,xi}{i,iii,iv,v,vi,vii}{i,iii,iv,v,vi,viii}{i,iii,iv,v,vi,ix}{i,iii,iv,v,vi,x}{i,iii,iv,v,vi,xi}{i,iii,iv,v,vii,viii}{i,iii,iv,v,vii,ix}{i,iii,iv,v,vii,x}{i,iii,iv,v,vii,xi}{i,iii,iv,v,viii,ix}{i,iii,iv,v,viii,x}{i,iii,iv,v,viii,xi}{i,iii,iv,v,ix,x}{i,iii,iv,v,ix,xi}{i,iii,iv,v,x,xi}{i,iii,iv,vi,vii,viii}{i,iii,iv,vi,vii,ix}{i,iii,iv,vi,vii,x}{i,iii,iv,vi,vii,xi}{i,iii,iv,vi,viii,ix}{i,iii,iv,vi,viii,x}{i,iii,iv,vi,viii,xi}{i,iii,iv,vi,ix,x}{i,iii,iv,vi,ix,xi}{i,iii,iv,vi,x,xi}{i,iii,iv,vii,viii,ix}{i,iii,iv,vii,viii,x}{i,iii,iv,vii,viii,xi}{i,iii,iv,vii,ix,x}{i,iii,iv,vii,ix,xi}{i,iii,iv,vii,x,xi}{i,iii,iv,viii,ix,x}{i,iii,iv,viii,ix,xi}{i,iii,iv,viii,x,xi}{i,iii,iv,ix,x,xi}{i,iii,v,vi,vii,viii}{i,iii,v,vi,vii,ix}{i,iii,v,vi,vii,x}{i,iii,v,vi,vii,xi}{i,iii,v,vi,viii,ix}{i,iii,v,vi,viii,x}{i,iii,v,vi,viii,xi}{i,iii,v,vi,ix,x}{i,iii,v,vi,ix,xi}{i,iii,v,vi,x,xi}{i,iii,v,vii,viii,ix}{i,iii,v,vii,viii,x}{i,iii,v,vii,viii,xi}{i,iii,v,vii,ix,x}{i,iii,v,vii,ix,xi}{i,iii,v,vii,x,xi}{i,iii,v,viii,ix,x}{i,iii,v,viii,ix,xi}{i,iii,v,viii,x,xi}{i,iii,v,ix,x,xi}{i,iii,vi,vii,viii,ix}{i,iii,vi,vii,viii,x}{i,iii,vi,vii,viii,xi}{i,iii,vi,vii,ix,x}{i,iii,vi,vii,ix,xi}{i,iii,vi,vii,x,xi}{i,iii,vi,viii,ix,x}{i,iii,vi,viii,ix,xi}{i,iii,vi,viii,x,xi}{i,iii,vi,ix,x,xi}{i,iii,vii,viii,ix,x}{i,iii,vii,viii,ix,xi}{i,iii,vii,viii,x,xi}{i,iii,vii,ix,x,xi}{i,iii,viii,ix,x,xi}{i,iv,v,vi,vii,viii}{i,iv,v,vi,vii,ix}{i,iv,v,vi,vii,x}{i,iv,v,vi,vii,xi}{i,iv,v,vi,viii,ix}{i,iv,v,vi,viii,x}{i,iv,v,vi,viii,xi}{i,iv,v,vi,ix,x}{i,iv,v,vi,ix,xi}{i,iv,v,vi,x,xi}{i,iv,v,vii,viii,ix}{i,iv,v,vii,viii,x}{i,iv,v,vii,viii,xi}{i,iv,v,vii,ix,x}{i,iv,v,vii,ix,xi}{i,iv,v,vii,x,xi}{i,iv,v,viii,ix,x}{i,iv,v,viii,ix,xi}{i,iv,v,viii,x,xi}{i,iv,v,ix,x,xi}{i,iv,vi,vii,viii,ix}{i,iv,vi,vii,viii,x}{i,iv,vi,vii,viii,xi}{i,iv,vi,vii,ix,x}{i,iv,vi,vii,ix,xi}{i,iv,vi,vii,x,xi}{i,iv,vi,viii,ix,x}{i,iv,vi,viii,ix,xi}{i,iv,vi,viii,x,xi}{i,iv,vi,ix,x,xi}{i,iv,vii,viii,ix,x}{i,iv,vii,viii,ix,xi}{i,iv,vii,viii,x,xi}{i,iv,vii,ix,x,xi}{i,iv,viii,ix,x,xi}{i,v,vi,vii,viii,ix}{i,v,vi,vii,viii,x}{i,v,vi,vii,viii,xi}{i,v,vi,vii,ix,x}{i,v,vi,vii,ix,xi}{i,v,vi,vii,x,xi}{i,v,vi,viii,ix,x}{i,v,vi,viii,ix,xi}{i,v,vi,viii,x,xi}{i,v,vi,ix,x,xi}{i,v,vii,viii,ix,x}{i,v,vii,viii,ix,xi}{i,v,vii,viii,x,xi}{i,v,vii,ix,x,xi}{i,v,viii,ix,x,xi}{i,vi,vii,viii,ix,x}{i,vi,vii,viii,ix,xi}{i,vi,vii,viii,x,xi}{i,vi,vii,ix,x,xi}{i,vi,viii,ix,x,xi}{i,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v,vi,vii}{ii,iii,iv,v,vi,viii}{ii,iii,iv,v,vi,ix}{ii,iii,iv,v,vi,x}{ii,iii,iv,v,vi,xi}{ii,iii,iv,v,vii,viii}{ii,iii,iv,v,vii,ix}{ii,iii,iv,v,vii,x}{ii,iii,iv,v,vii,xi}{ii,iii,iv,v,viii,ix}{ii,iii,iv,v,viii,x}{ii,iii,iv,v,viii,xi}{ii,iii,iv,v,ix,x}{ii,iii,iv,v,ix,xi}{ii,iii,iv,v,x,xi}{ii,iii,iv,vi,vii,viii}{ii,iii,iv,vi,vii,ix}{ii,iii,iv,vi,vii,x}{ii,iii,iv,vi,vii,xi}{ii,iii,iv,vi,viii,ix}{ii,iii,iv,vi,viii,x}{ii,iii,iv,vi,viii,xi}{ii,iii,iv,vi,ix,x}{ii,iii,iv,vi,ix,xi}{ii,iii,iv,vi,x,xi}{ii,iii,iv,vii,viii,ix}{ii,iii,iv,vii,viii,x}{ii,iii,iv,vii,viii,xi}{ii,iii,iv,vii,ix,x}{ii,iii,iv,vii,ix,xi}{ii,iii,iv,vii,x,xi}{ii,iii,iv,viii,ix,x}{ii,iii,iv,viii,ix,xi}{ii,iii,iv,viii,x,xi}{ii,iii,iv,ix,x,xi}{ii,iii,v,vi,vii,viii}{ii,iii,v,vi,vii,ix}{ii,iii,v,vi,vii,x}{ii,iii,v,vi,vii,xi}{ii,iii,v,vi,viii,ix}{ii,iii,v,vi,viii,x}{ii,iii,v,vi,viii,xi}{ii,iii,v,vi,ix,x}{ii,iii,v,vi,ix,xi}{ii,iii,v,vi,x,xi}{ii,iii,v,vii,viii,ix}{ii,iii,v,vii,viii,x}{ii,iii,v,vii,viii,xi}{ii,iii,v,vii,ix,x}{ii,iii,v,vii,ix,xi}{ii,iii,v,vii,x,xi}{ii,iii,v,viii,ix,x}{ii,iii,v,viii,ix,xi}{ii,iii,v,viii,x,xi}{ii,iii,v,ix,x,xi}{ii,iii,vi,vii,viii,ix}{ii,iii,vi,vii,viii,x}{ii,iii,vi,vii,viii,xi}{ii,iii,vi,vii,ix,x}{ii,iii,vi,vii,ix,xi}{ii,iii,vi,vii,x,xi}{ii,iii,vi,viii,ix,x}{ii,iii,vi,viii,ix,xi}{ii,iii,vi,viii,x,xi}{ii,iii,vi,ix,x,xi}{ii,iii,vii,viii,ix,x}{ii,iii,vii,viii,ix,xi}{ii,iii,vii,viii,x,xi}{ii,iii,vii,ix,x,xi}{ii,iii,viii,ix,x,xi}{ii,iv,v,vi,vii,viii}{ii,iv,v,vi,vii,ix}{ii,iv,v,vi,vii,x}{ii,iv,v,vi,vii,xi}{ii,iv,v,vi,viii,ix}{ii,iv,v,vi,viii,x}{ii,iv,
v,vi,viii,xi}{ii,iv,v,vi,ix,x}{ii,iv,v,vi,ix,xi}{ii,iv,v,vi,x,xi}{ii,iv,v,vii,viii,ix}{ii,iv,v,vii,viii,x}{ii,iv,v,vii,viii,xi}{ii,iv,v,vii,ix,x}{ii,iv,v,vii,ix,xi}{ii,iv,v,vii,x,xi}{ii,iv,v,viii,ix,x}{ii,iv,v,viii,ix,xi}{ii,iv,v,viii,x,xi}{ii,iv,v,ix,x,xi}{ii,iv,vi,vii,viii,ix}{ii,iv,vi,vii,viii,x}{ii,iv,vi,vii,viii,xi}{ii,iv,vi,vii,ix,x}{ii,iv,vi,vii,ix,xi}{ii,iv,vi,vii,x,xi}{ii,iv,vi,viii,ix,x}{ii,iv,vi,viii,ix,xi}{ii,iv,vi,viii,x,xi}{ii,iv,vi,ix,x,xi}{ii,iv,vii,viii,ix,x}{ii,iv,vii,viii,ix,xi}{ii,iv,vii,viii,x,xi}{ii,iv,vii,ix,x,xi}{ii,iv,viii,ix,x,xi}{ii,v,vi,vii,viii,ix}{ii,v,vi,vii,viii,x}{ii,v,vi,vii,viii,xi}{ii,v,vi,vii,ix,x}{ii,v,vi,vii,ix,xi}{ii,v,vi,vii,x,xi}{ii,v,vi,viii,ix,x}{ii,v,vi,viii,ix,xi}{ii,v,vi,viii,x,xi}{ii,v,vi,ix,x,xi}{ii,v,vii,viii,ix,x}{ii,v,vii,viii,ix,xi}{ii,v,vii,viii,x,xi}{ii,v,vii,ix,x,xi}{ii,v,viii,ix,x,xi}{ii,vi,vii,viii,ix,x}{ii,vi,vii,viii,ix,xi}{ii,vi,vii,viii,x,xi}{ii,vi,vii,ix,x,xi}{ii,vi,viii,ix,x,xi}{ii,vii,viii,ix,x,xi}{iii,iv,v,vi,vii,viii}{iii,iv,v,vi,vii,ix}{iii,iv,v,vi,vii,x}{iii,iv,v,vi,vii,xi}{iii,iv,v,vi,viii,ix}{iii,iv,v,vi,viii,x}{iii,iv,v,vi,viii,xi}{iii,iv,v,vi,ix,x}{iii,iv,v,vi,ix,xi}{iii,iv,v,vi,x,xi}{iii,iv,v,vii,viii,ix}{iii,iv,v,vii,viii,x}{iii,iv,v,vii,viii,xi}{iii,iv,v,vii,ix,x}{iii,iv,v,vii,ix,xi}{iii,iv,v,vii,x,xi}{iii,iv,v,viii,ix,x}{iii,iv,v,viii,ix,xi}{iii,iv,v,viii,x,xi}{iii,iv,v,ix,x,xi}{iii,iv,vi,vii,viii,ix}{iii,iv,vi,vii,viii,x}{iii,iv,vi,vii,viii,xi}{iii,iv,vi,vii,ix,x}{iii,iv,vi,vii,ix,xi}{iii,iv,vi,vii,x,xi}{iii,iv,vi,viii,ix,x}{iii,iv,vi,viii,ix,xi}{iii,iv,vi,viii,x,xi}{iii,iv,vi,ix,x,xi}{iii,iv,vii,viii,ix,x}{iii,iv,vii,viii,ix,xi}{iii,iv,vii,viii,x,xi}{iii,iv,vii,ix,x,xi}{iii,iv,viii,ix,x,xi}{iii,v,vi,vii,viii,ix}{iii,v,vi,vii,viii,x}{iii,v,vi,vii,viii,xi}{iii,v,vi,vii,ix,x}{iii,v,vi,vii,ix,xi}{iii,v,vi,vii,x,xi}{iii,v,vi,viii,ix,x}{iii,v,vi,viii,ix,xi}{iii,v,vi,viii,x,xi}{iii,v,vi,ix,x,xi}{iii,v,vii,viii,ix,x}{iii,v,vii,viii,ix,xi}{iii,v,vii,viii,x,xi}{iii,v,vii,ix,x,xi}{iii,v,viii,ix,x,xi}{iii,vi,vii,viii,ix,x}{iii,vi,vii,viii,ix,xi}{iii,vi,vii,viii,x,xi}{iii,vi,vii,ix,x,xi}{iii,vi,viii,ix,x,xi}{iii,vii,viii,ix,x,xi}{iv,v,vi,vii,viii,ix}{iv,v,vi,vii,viii,x}{iv,v,vi,vii,viii,xi}{iv,v,vi,vii,ix,x}{iv,v,vi,vii,ix,xi}{iv,v,vi,vii,x,xi}{iv,v,vi,viii,ix,x}{iv,v,vi,viii,ix,xi}{iv,v,vi,viii,x,xi}{iv,v,vi,ix,x,xi}{iv,v,vii,viii,ix,x}{iv,v,vii,viii,ix,xi}{iv,v,vii,viii,x,xi}{iv,v,vii,ix,x,xi}{iv,v,viii,ix,x,xi}{iv,vi,vii,viii,ix,x}{iv,vi,vii,viii,ix,xi}{iv,vi,vii,viii,x,xi}{iv,vi,vii,ix,x,xi}{iv,vi,viii,ix,x,xi}{iv,vii,viii,ix,x,xi}{v,vi,vii,viii,ix,x}{v,vi,vii,viii,ix,xi}{v,vi,vii,viii,x,xi}{v,vi,vii,ix,x,xi}{v,vi,viii,ix,x,xi}{v,vii,viii,ix,x,xi}{vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii}{i,ii,iii,iv,v,vi,viii}{i,ii,iii,iv,v,vi,ix}{i,ii,iii,iv,v,vi,x}{i,ii,iii,iv,v,vi,xi}{i,ii,iii,iv,v,vii,viii}{i,ii,iii,iv,v,vii,ix}{i,ii,iii,iv,v,vii,x}{i,ii,iii,iv,v,vii,xi}{i,ii,iii,iv,v,viii,ix}{i,ii,iii,iv,v,viii,x}{i,ii,iii,iv,v,viii,xi}{i,ii,iii,iv,v,ix,x}{i,ii,iii,iv,v,ix,xi}{i,ii,iii,iv,v,x,xi}{i,ii,iii,iv,vi,vii,viii}{i,ii,iii,iv,vi,vii,ix}{i,ii,iii,iv,vi,vii,x}{i,ii,iii,iv,vi,vii,xi}{i,ii,iii,iv,vi,viii,ix}{i,ii,iii,iv,vi,viii,x}{i,ii,iii,iv,vi,viii,xi}{i,ii,iii,iv,vi,ix,x}{i,ii,iii,iv,vi,ix,xi}{i,ii,iii,iv,vi,x,xi}{i,ii,iii,iv,vii,viii,ix}{i,ii,iii,iv,vii,viii,x}{i,ii,iii,iv,vii,viii,xi}{i,ii,iii,iv,vii,ix,x}{i,ii,iii,iv,vii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,vii,x,xi}{i,ii,iii,iv,viii,ix,x}{i,ii,iii,iv,viii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,viii,x,xi}{i,ii,iii,iv,ix,x,xi}{i,ii,iii,v,vi,vii,viii}{i,ii,iii,v,vi,vii,ix}{i,ii,iii,v,vi,vii,x}{i,ii,iii,v,vi,vii,xi}{i,ii,iii,v,vi,viii,ix}{i,ii,iii,v,vi,viii,x}{i,ii,iii,v,vi,viii,xi}{i,ii,iii,v,vi,ix,x}{i,ii,iii,v,vi,ix,xi}{i,ii,iii,v,vi,x,xi}{i,ii,iii,v,vii,viii,ix}{i,ii,iii,v,vii,viii,x}{i,ii,iii,v,vii,viii,xi}{i,ii,iii,v,vii,ix,x}{i,ii,iii,v,vii,ix,xi}{i,ii,iii,v,vii,x,xi}{i,ii,iii,v,viii,ix,x}{i,ii,iii,v,viii,ix,xi}{i,ii,iii,v,viii,x,xi}{i,ii,iii,v,ix,x,xi}{i,ii,iii,vi,vii,viii,ix}{i,ii,iii,vi,vii,viii,x}{i,ii,iii,vi,vii,viii,xi}{i,ii,iii,vi,vii,ix,x}{i,ii,iii,vi,vii,ix,xi}{i,ii,iii,vi,vii,x,xi}{i,ii,iii,vi,viii,ix,x}{i,ii,iii,vi,viii,ix,xi}{i,ii,iii,vi,viii,x,xi}{i,ii,iii,vi,ix,x,xi}{i,ii,iii,vii,viii,ix,x}{i,ii,iii,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iii,vii,viii,x,xi}{i,ii,iii,vii,ix,x,xi}{i,ii,iii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iv,v,vi,vii,viii}{i,ii,iv,v,vi,vii,ix}{i,ii,iv,v,vi,vii,x}{i,ii,iv,v,vi,vii,xi}{i,ii,iv,v,vi,viii,ix}{i,ii,iv,v,vi,viii,x}{i,ii,iv,v,vi,viii,xi}{i,ii,iv,v,vi,ix,x}{i,ii,iv,v,vi,ix,xi}{i,ii,iv,v,vi,x,xi}{i,ii,iv,v,vii,viii,ix}{i,ii,iv,v,vii,viii,x}{i,ii,iv,v,vii,viii,xi}{i,ii,iv,v,vii,ix,x}{i,ii,iv,v,vii,ix,xi}{i,ii,iv,v,vii,x,xi}{i,ii,iv,v,viii,ix,x}{i,ii,iv,v,viii,ix,xi}{i,ii,iv,v,viii,x,xi}{i,ii,iv,v,ix,x,xi}{i,ii,iv,vi,vii,viii,ix}{i,ii,iv,vi,vii,viii,x}{i,ii,iv,vi,vii,viii,xi}{i,ii,iv,vi,vii,ix,x}{i,ii,iv,vi,vii,ix,xi}{i,ii,iv,vi,vii,x,xi}{i,ii,iv,vi,viii,ix,x}{i,ii,iv,vi,viii,ix,xi}{i,ii,iv,vi,viii,x,xi}{i,ii,iv,vi,ix,x,xi}{i,ii,iv,vii,viii,ix,x}{i,ii,iv,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iv,vii,viii,x,xi}{i,ii,iv,vii,ix,x,xi}{i,ii,iv,viii,ix,x,xi}{i,ii,v,vi,vii,viii,ix}{i,ii,v,vi,vii,viii,x}{i,ii,v,vi,vii,viii,xi}{i,ii,v,vi,vii,ix,x}{i,ii,v,vi,vii,ix,x
i}{i,ii,v,vi,vii,x,xi}{i,ii,v,vi,viii,ix,x}{i,ii,v,vi,viii,ix,xi}{i,ii,v,vi,viii,x,xi}{i,ii,v,vi,ix,x,xi}{i,ii,v,vii,viii,ix,x}{i,ii,v,vii,viii,ix,xi}{i,ii,v,vii,viii,x,xi}{i,ii,v,vii,ix,x,xi}{i,ii,v,viii,ix,x,xi}{i,ii,vi,vii,viii,ix,x}{i,ii,vi,vii,viii,ix,xi}{i,ii,vi,vii,viii,x,xi}{i,ii,vi,vii,ix,x,xi}{i,ii,vi,viii,ix,x,xi}{i,ii,vii,viii,ix,x,xi}{i,iii,iv,v,vi,vii,viii}{i,iii,iv,v,vi,vii,ix}{i,iii,iv,v,vi,vii,x}{i,iii,iv,v,vi,vii,xi}{i,iii,iv,v,vi,viii,ix}{i,iii,iv,v,vi,viii,x}{i,iii,iv,v,vi,viii,xi}{i,iii,iv,v,vi,ix,x}{i,iii,iv,v,vi,ix,xi}{i,iii,iv,v,vi,x,xi}{i,iii,iv,v,vii,viii,ix}{i,iii,iv,v,vii,viii,x}{i,iii,iv,v,vii,viii,xi}{i,iii,iv,v,vii,ix,x}{i,iii,iv,v,vii,ix,xi}{i,iii,iv,v,vii,x,xi}{i,iii,iv,v,viii,ix,x}{i,iii,iv,v,viii,ix,xi}{i,iii,iv,v,viii,x,xi}{i,iii,iv,v,ix,x,xi}{i,iii,iv,vi,vii,viii,ix}{i,iii,iv,vi,vii,viii,x}{i,iii,iv,vi,vii,viii,xi}{i,iii,iv,vi,vii,ix,x}{i,iii,iv,vi,vii,ix,xi}{i,iii,iv,vi,vii,x,xi}{i,iii,iv,vi,viii,ix,x}{i,iii,iv,vi,viii,ix,xi}{i,iii,iv,vi,viii,x,xi}{i,iii,iv,vi,ix,x,xi}{i,iii,iv,vii,viii,ix,x}{i,iii,iv,vii,viii,ix,xi}{i,iii,iv,vii,viii,x,xi}{i,iii,iv,vii,ix,x,xi}{i,iii,iv,viii,ix,x,xi}{i,iii,v,vi,vii,viii,ix}{i,iii,v,vi,vii,viii,x}{i,iii,v,vi,vii,viii,xi}{i,iii,v,vi,vii,ix,x}{i,iii,v,vi,vii,ix,xi}{i,iii,v,vi,vii,x,xi}{i,iii,v,vi,viii,ix,x}{i,iii,v,vi,viii,ix,xi}{i,iii,v,vi,viii,x,xi}{i,iii,v,vi,ix,x,xi}{i,iii,v,vii,viii,ix,x}{i,iii,v,vii,viii,ix,xi}{i,iii,v,vii,viii,x,xi}{i,iii,v,vii,ix,x,xi}{i,iii,v,viii,ix,x,xi}{i,iii,vi,vii,viii,ix,x}{i,iii,vi,vii,viii,ix,xi}{i,iii,vi,vii,viii,x,xi}{i,iii,vi,vii,ix,x,xi}{i,iii,vi,viii,ix,x,xi}{i,iii,vii,viii,ix,x,xi}{i,iv,v,vi,vii,viii,ix}{i,iv,v,vi,vii,viii,x}{i,iv,v,vi,vii,viii,xi}{i,iv,v,vi,vii,ix,x}{i,iv,v,vi,vii,ix,xi}{i,iv,v,vi,vii,x,xi}{i,iv,v,vi,viii,ix,x}{i,iv,v,vi,viii,ix,xi}{i,iv,v,vi,viii,x,xi}{i,iv,v,vi,ix,x,xi}{i,iv,v,vii,viii,ix,x}{i,iv,v,vii,viii,ix,xi}{i,iv,v,vii,viii,x,xi}{i,iv,v,vii,ix,x,xi}{i,iv,v,viii,ix,x,xi}{i,iv,vi,vii,viii,ix,x}{i,iv,vi,vii,viii,ix,xi}{i,iv,vi,vii,viii,x,xi}{i,iv,vi,vii,ix,x,xi}{i,iv,vi,viii,ix,x,xi}{i,iv,vii,viii,ix,x,xi}{i,v,vi,vii,viii,ix,x}{i,v,vi,vii,viii,ix,xi}{i,v,vi,vii,viii,x,xi}{i,v,vi,vii,ix,x,xi}{i,v,vi,viii,ix,x,xi}{i,v,vii,viii,ix,x,xi}{i,vi,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v,vi,vii,viii}{ii,iii,iv,v,vi,vii,ix}{ii,iii,iv,v,vi,vii,x}{ii,iii,iv,v,vi,vii,xi}{ii,iii,iv,v,vi,viii,ix}{ii,iii,iv,v,vi,viii,x}{ii,iii,iv,v,vi,viii,xi}{ii,iii,iv,v,vi,ix,x}{ii,iii,iv,v,vi,ix,xi}{ii,iii,iv,v,vi,x,xi}{ii,iii,iv,v,vii,viii,ix}{ii,iii,iv,v,vii,viii,x}{ii,iii,iv,v,vii,viii,xi}{ii,iii,iv,v,vii,ix,x}{ii,iii,iv,v,vii,ix,xi}{ii,iii,iv,v,vii,x,xi}{ii,iii,iv,v,viii,ix,x}{ii,iii,iv,v,viii,ix,xi}{ii,iii,iv,v,viii,x,xi}{ii,iii,iv,v,ix,x,xi}{ii,iii,iv,vi,vii,viii,ix}{ii,iii,iv,vi,vii,viii,x}{ii,iii,iv,vi,vii,viii,xi}{ii,iii,iv,vi,vii,ix,x}{ii,iii,iv,vi,vii,ix,xi}{ii,iii,iv,vi,vii,x,xi}{ii,iii,iv,vi,viii,ix,x}{ii,iii,iv,vi,viii,ix,xi}{ii,iii,iv,vi,viii,x,xi}{ii,iii,iv,vi,ix,x,xi}{ii,iii,iv,vii,viii,ix,x}{ii,iii,iv,vii,viii,ix,xi}{ii,iii,iv,vii,viii,x,xi}{ii,iii,iv,vii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,viii,ix,x,xi}{ii,iii,v,vi,vii,viii,ix}{ii,iii,v,vi,vii,viii,x}{ii,iii,v,vi,vii,viii,xi}{ii,iii,v,vi,vii,ix,x}{ii,iii,v,vi,vii,ix,xi}{ii,iii,v,vi,vii,x,xi}{ii,iii,v,vi,viii,ix,x}{ii,iii,v,vi,viii,ix,xi}{ii,iii,v,vi,viii,x,xi}{ii,iii,v,vi,ix,x,xi}{ii,iii,v,vii,viii,ix,x}{ii,iii,v,vii,viii,ix,xi}{ii,iii,v,vii,viii,x,xi}{ii,iii,v,vii,ix,x,xi}{ii,iii,v,viii,ix,x,xi}{ii,iii,vi,vii,viii,ix,x}{ii,iii,vi,vii,viii,ix,xi}{ii,iii,vi,vii,viii,x,xi}{ii,iii,vi,vii,ix,x,xi}{ii,iii,vi,viii,ix,x,xi}{ii,iii,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iv,v,vi,vii,viii,ix}{ii,iv,v,vi,vii,viii,x}{ii,iv,v,vi,vii,viii,xi}{ii,iv,v,vi,vii,ix,x}{ii,iv,v,vi,vii,ix,xi}{ii,iv,v,vi,vii,x,xi}{ii,iv,v,vi,viii,ix,x}{ii,iv,v,vi,viii,ix,xi}{ii,iv,v,vi,viii,x,xi}{ii,iv,v,vi,ix,x,xi}{ii,iv,v,vii,viii,ix,x}{ii,iv,v,vii,viii,ix,xi}{ii,iv,v,vii,viii,x,xi}{ii,iv,v,vii,ix,x,xi}{ii,iv,v,viii,ix,x,xi}{ii,iv,vi,vii,viii,ix,x}{ii,iv,vi,vii,viii,ix,xi}{ii,iv,vi,vii,viii,x,xi}{ii,iv,vi,vii,ix,x,xi}{ii,iv,vi,viii,ix,x,xi}{ii,iv,vii,viii,ix,x,xi}{ii,v,vi,vii,viii,ix,x}{ii,v,vi,vii,viii,ix,xi}{ii,v,vi,vii,viii,x,xi}{ii,v,vi,vii,ix,x,xi}{ii,v,vi,viii,ix,x,xi}{ii,v,vii,viii,ix,x,xi}{ii,vi,vii,viii,ix,x,xi}{iii,iv,v,vi,vii,viii,ix}{iii,iv,v,vi,vii,viii,x}{iii,iv,v,vi,vii,viii,xi}{iii,iv,v,vi,vii,ix,x}{iii,iv,v,vi,vii,ix,xi}{iii,iv,v,vi,vii,x,xi}{iii,iv,v,vi,viii,ix,x}{iii,iv,v,vi,viii,ix,xi}{iii,iv,v,vi,viii,x,xi}{iii,iv,v,vi,ix,x,xi}{iii,iv,v,vii,viii,ix,x}{iii,iv,v,vii,viii,ix,xi}{iii,iv,v,vii,viii,x,xi}{iii,iv,v,vii,ix,x,xi}{iii,iv,v,viii,ix,x,xi}{iii,iv,vi,vii,viii,ix,x}{iii,iv,vi,vii,viii,ix,xi}{iii,iv,vi,vii,viii,x,xi}{iii,iv,vi,vii,ix,x,xi}{iii,iv,vi,viii,ix,x,xi}{iii,iv,vii,viii,ix,x,xi}{iii,v,vi,vii,viii,ix,x}{iii,v,vi,vii,viii,ix,xi}{iii,v,vi,vii,viii,x,xi}{iii,v,vi,vii,ix,x,xi}{iii,v,vi,viii,ix,x,xi}{iii,v,vii,viii,ix,x,xi}{iii,vi,vii,viii,ix,x,xi}{iv,v,vi,vii,viii,ix,x}{iv,v,vi,vii,viii,ix,xi}{iv,v,vi,vii,viii,x,xi}{iv,v,vi,vii,ix,x,xi}{iv,v,vi,viii,ix,x,xi}{iv,v,vii,viii,ix,x,xi}{iv,vi,vii,viii,ix,x,xi}{v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,viii}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,ix}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,x}{i,ii,iii,iv
,v,vi,vii,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,viii,ix}{i,ii,iii,iv,v,vi,viii,x}{i,ii,iii,iv,v,vi,viii,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,ix,x}{i,ii,iii,iv,v,vi,ix,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vii,viii,ix}{i,ii,iii,iv,v,vii,viii,x}{i,ii,iii,iv,v,vii,viii,xi}{i,ii,iii,iv,v,vii,ix,x}{i,ii,iii,iv,v,vii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,v,vii,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,viii,ix,x}{i,ii,iii,iv,v,viii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,v,viii,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,vi,vii,viii,ix}{i,ii,iii,iv,vi,vii,viii,x}{i,ii,iii,iv,vi,vii,viii,xi}{i,ii,iii,iv,vi,vii,ix,x}{i,ii,iii,iv,vi,vii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,vi,vii,x,xi}{i,ii,iii,iv,vi,viii,ix,x}{i,ii,iii,iv,vi,viii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,vi,viii,x,xi}{i,ii,iii,iv,vi,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,vii,viii,ix,x}{i,ii,iii,iv,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,vii,viii,x,xi}{i,ii,iii,iv,vii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,v,vi,vii,viii,ix}{i,ii,iii,v,vi,vii,viii,x}{i,ii,iii,v,vi,vii,viii,xi}{i,ii,iii,v,vi,vii,ix,x}{i,ii,iii,v,vi,vii,ix,xi}{i,ii,iii,v,vi,vii,x,xi}{i,ii,iii,v,vi,viii,ix,x}{i,ii,iii,v,vi,viii,ix,xi}{i,ii,iii,v,vi,viii,x,xi}{i,ii,iii,v,vi,ix,x,xi}{i,ii,iii,v,vii,viii,ix,x}{i,ii,iii,v,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iii,v,vii,viii,x,xi}{i,ii,iii,v,vii,ix,x,xi}{i,ii,iii,v,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,vi,vii,viii,ix,x}{i,ii,iii,vi,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iii,vi,vii,viii,x,xi}{i,ii,iii,vi,vii,ix,x,xi}{i,ii,iii,vi,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iv,v,vi,vii,viii,ix}{i,ii,iv,v,vi,vii,viii,x}{i,ii,iv,v,vi,vii,viii,xi}{i,ii,iv,v,vi,vii,ix,x}{i,ii,iv,v,vi,vii,ix,xi}{i,ii,iv,v,vi,vii,x,xi}{i,ii,iv,v,vi,viii,ix,x}{i,ii,iv,v,vi,viii,ix,xi}{i,ii,iv,v,vi,viii,x,xi}{i,ii,iv,v,vi,ix,x,xi}{i,ii,iv,v,vii,viii,ix,x}{i,ii,iv,v,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iv,v,vii,viii,x,xi}{i,ii,iv,v,vii,ix,x,xi}{i,ii,iv,v,viii,ix,x,xi}{i,ii,iv,vi,vii,viii,ix,x}{i,ii,iv,vi,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iv,vi,vii,viii,x,xi}{i,ii,iv,vi,vii,ix,x,xi}{i,ii,iv,vi,viii,ix,x,xi}{i,ii,iv,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,v,vi,vii,viii,ix,x}{i,ii,v,vi,vii,viii,ix,xi}{i,ii,v,vi,vii,viii,x,xi}{i,ii,v,vi,vii,ix,x,xi}{i,ii,v,vi,viii,ix,x,xi}{i,ii,v,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix}{i,iii,iv,v,vi,vii,viii,x}{i,iii,iv,v,vi,vii,viii,xi}{i,iii,iv,v,vi,vii,ix,x}{i,iii,iv,v,vi,vii,ix,xi}{i,iii,iv,v,vi,vii,x,xi}{i,iii,iv,v,vi,viii,ix,x}{i,iii,iv,v,vi,viii,ix,xi}{i,iii,iv,v,vi,viii,x,xi}{i,iii,iv,v,vi,ix,x,xi}{i,iii,iv,v,vii,viii,ix,x}{i,iii,iv,v,vii,viii,ix,xi}{i,iii,iv,v,vii,viii,x,xi}{i,iii,iv,v,vii,ix,x,xi}{i,iii,iv,v,viii,ix,x,xi}{i,iii,iv,vi,vii,viii,ix,x}{i,iii,iv,vi,vii,viii,ix,xi}{i,iii,iv,vi,vii,viii,x,xi}{i,iii,iv,vi,vii,ix,x,xi}{i,iii,iv,vi,viii,ix,x,xi}{i,iii,iv,vii,viii,ix,x,xi}{i,iii,v,vi,vii,viii,ix,x}{i,iii,v,vi,vii,viii,ix,xi}{i,iii,v,vi,vii,viii,x,xi}{i,iii,v,vi,vii,ix,x,xi}{i,iii,v,vi,viii,ix,x,xi}{i,iii,v,vii,viii,ix,x,xi}{i,iii,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,iv,v,vi,vii,viii,ix,x}{i,iv,v,vi,vii,viii,ix,xi}{i,iv,v,vi,vii,viii,x,xi}{i,iv,v,vi,vii,ix,x,xi}{i,iv,v,vi,viii,ix,x,xi}{i,iv,v,vii,viii,ix,x,xi}{i,iv,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix}{ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,x}{ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,xi}{ii,iii,iv,v,vi,vii,ix,x}{ii,iii,iv,v,vi,vii,ix,xi}{ii,iii,iv,v,vi,vii,x,xi}{ii,iii,iv,v,vi,viii,ix,x}{ii,iii,iv,v,vi,viii,ix,xi}{ii,iii,iv,v,vi,viii,x,xi}{ii,iii,iv,v,vi,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v,vii,viii,ix,x}{ii,iii,iv,v,vii,viii,ix,xi}{ii,iii,iv,v,vii,viii,x,xi}{ii,iii,iv,v,vii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v,viii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,vi,vii,viii,ix,x}{ii,iii,iv,vi,vii,viii,ix,xi}{ii,iii,iv,vi,vii,viii,x,xi}{ii,iii,iv,vi,vii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,vi,viii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iii,v,vi,vii,viii,ix,x}{ii,iii,v,vi,vii,viii,ix,xi}{ii,iii,v,vi,vii,viii,x,xi}{ii,iii,v,vi,vii,ix,x,xi}{ii,iii,v,vi,viii,ix,x,xi}{ii,iii,v,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iii,vi,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x}{ii,iv,v,vi,vii,viii,ix,xi}{ii,iv,v,vi,vii,viii,x,xi}{ii,iv,v,vi,vii,ix,x,xi}{ii,iv,v,vi,viii,ix,x,xi}{ii,iv,v,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iv,vi,vii,viii,ix,x,xi}{ii,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x}{iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,xi}{iii,iv,v,vi,vii,viii,x,xi}{iii,iv,v,vi,vii,ix,x,xi}{iii,iv,v,vi,viii,ix,x,xi}{iii,iv,v,vii,viii,ix,x,xi}{iii,iv,vi,vii,viii,ix,x,xi}{iii,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{iv,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,x}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,ix,x}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,viii,ix,x}{i,ii,iii,iv,v,vi,viii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,viii,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vii,viii,ix,x}{i,ii,iii,iv,v,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,v,vii,viii,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,vi,vii,viii,ix,x}{i,ii,iii,iv,vi,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,vi,vii,viii,x,xi}{i,ii,iii,iv,vi,vii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,vi,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,v,vi,vii,viii,ix,x}{i,ii,iii,v,vi,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iii,v,vi,vii,viii,x,xi}{i,ii,iii,v,vi,vii,ix,x,xi}{i,ii,iii,v,vi,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,v,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x}{i,ii,iv,v,vi,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iv,v,vi,vii,viii,x,xi}{i,ii,iv,v,vi,vii,ix,x,xi}{i,ii,iv,v,vi,viii,ix,x,xi}{i,ii,iv,v,vii,viii,i
x,x,xi}{i,ii,iv,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x}{i,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,xi}{i,iii,iv,v,vi,vii,viii,x,xi}{i,iii,iv,v,vi,vii,ix,x,xi}{i,iii,iv,v,vi,viii,ix,x,xi}{i,iii,iv,v,vii,viii,ix,x,xi}{i,iii,iv,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,iii,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,iv,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x}{ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,xi}{ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,x,xi}{ii,iii,iv,v,vi,vii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v,vi,viii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,vi,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iii,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vi,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,v,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,iv,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iii,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,ii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{i,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}{ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}または{i,ii,iii,iv,v,vi,vii,viii,ix,x,xi}を含み得る(スペースによって分けられた括弧{}内の各バリアントは、バリアントのリストからの任意のバリアント、すなわち、{i}または{ii}または{iii}または{iv}または{v}などを表す)。
【0120】
バリアントが、(i)及び(iii)〜(xi)のうちのいずれか1つを含む場合、それはさらに、Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上、例えばY51、N55、F56、Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異を含み得る。
【0121】
(i)において、バリアントは、N40、D43、E44、S54、S57、Q62、R97、E101、E124、E131、R142、T150、及びR192の任意の数及び組み合わせにおける変異を含み得る。(i)において、バリアントは、好ましくは、以下の位置、N40、D43、E44、S54、S57、Q62、E101、E131、及びT150における1つ以上の変異(すなわち、これらの位置のうちの1つ以上における変異)を含む。(i)において、バリアントは、好ましくは、以下の位置、N40、D43、E44、E101、及びE131における1つ以上の変異(すなわち、これらの位置のうちの1つ以上における変異)を含む。(i)において、バリアントは、好ましくは、S54及び/またはS57における変異を含む。(i)において、バリアントは、より好ましくは、(a)S54及び/またはS57における変異、ならびに(b)Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上、例えばY51、N55、F56、Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異を含む。S54及びS57が(xi)において欠失されている場合、それ/それらは(i)において変異され得ず、逆もまた同様である。(i)において、バリアントは、好ましくは、T150における変異、例えばT150Iを含む。代替的には、バリアントは、好ましくは、(a)T150における変異、ならびに(b)Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上、例えばY51、N55、F56、Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異を含む。(i)において、バリアントは、好ましくは、Q62における変異、例えばQ62RまたはQ62Kを含む。代替的には、バリアントは、好ましくは、(a)Q62における変異、ならびに(b)Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上、例えばY51、N55、F56、Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異を含む。バリアントは、D43、E44、Q62、またはこれらの任意の組み合わせ、例えばD43、E44、Q62、D43/E44、D43/Q62、E44/Q62、またはD43/E44/Q62における変異を含み得る。代替的には、バリアントは、好ましくは、(a)D43、E44、Q62、D43/E44、D43/Q62、E44/Q62、またはD43/E44/Q62における変異、ならびに(b)Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上、例えばY51、N55、F56、Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異を含む。
【0122】
(ii)及び本出願の他の箇所において異なる位置が/記号によって分けられている場合、それらの/記号は、「及び」を意味し、Y51/N55は、Y51及びN55である。(ii)において、バリアントは、好ましくは、Y51/N55における変異を含む。CsgG中の狭窄部位は、残基Y51、N55、及びF56の側鎖によって形成された3つの積み重ねられた同心円状リングで構成されることが提案されてきた(Goyal et al,2014,Nature,516,250−253)。したがって、(ii)におけるこれらの残基の変異は、ポアを通ってポリヌクレオチドが移動する間の電流に寄与するヌクレオチドの数を減らし、それにより(ポアを通ってポリヌクレオチドが移動する間に)認められた電流とポリヌクレオチドとの間の直接的な関係性を特定することを容易にし得る。F56は、本発明の方法において有用なバリアント及びポアに関連して以下に論じられる方法のいずれかで変異され得る。
【0123】
(v)において、バリアントは、N102R、N102F、N102Y、またはN102Wを含み得る。バリアントは、好ましくは、(a)N102R、N102F、N102Y、またはN102W、ならびに(b)Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上、例えばY51、N55、F56、Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異を含む。
【0124】
(xi)において、K49、P50、Y51、P52、A53、S54、N55、F56、及びS57の任意の数及び組み合わせが欠失され得る。好ましくは、K49、P50、Y51、P52、A53、S54、N55、及びS57のうちの1つ以上が欠失され得る。Y51、N55、及びF56のうちのいずれかが(xi)において欠失されている場合、それ/それらは(ii)において変異され得ず、逆もまた同様である。
【0125】
(i)において、バリアントは、好ましくは、以下の置換、N40R、N40K、D43N、D43Q、D43R、D43K、E44N、E44Q、E44R、E44K、S54P、S57P、Q62R、Q62K、R97N、R97G、R97L、E101N、E101Q、E101R、E101K、E101F、E101Y、E101W、E124N、E124Q、E124R、E124K、E124F、E124Y、E124W、E131D、R142E、R142N、T150I、R192E、及びR192Nのうちの1つ以上、例えばN40R、N40K、D43N、D43Q、D43R、D43K、E44N、E44Q、E44R、E44K、S54P、S57P、Q62R、Q62K、E101N、E101Q、E101R、E101K、E101F、E101Y、E101W、E131D、及びT150Iのうちの1つ以上、またはN40R、N40K、D43N、D43Q、D43R、D43K、E44N、E44Q、E44R、E44K、E101N、E101Q、E101R、E101K、E101F、E101Y、E101W、及びE131Dのうちの1つ以上を含む。バリアントは、これらの置換の任意の数及び組み合わせを含んでもよい。(i)において、バリアントは、好ましくは、S54P及び/またはS57Pを含む。(i)において、バリアントは、好ましくは、(a)S54P及び/またはS57P、ならびに(b)Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上、例えばY51、N55、F56、Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異を含む。Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上における変異は、以下に論じられるもののいずれかであってもよい。(i)において、バリアントは、好ましくは、F56A/S57PまたはS54P/F56Aを含む。バリアントは、好ましくは、T150Iを含む。代替的には、バリアントは、好ましくは、(a)T150Iにおける変異、ならびに(b)Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上、例えばY51、N55、F56、Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異を含む。
【0126】
(i)において、バリアントは、好ましくは、Q62RまたはQ62Kを含む。代替的には、バリアントは、好ましくは、(a)Q62RまたはQ62K、ならびに(b)Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上、例えばY51、N55、F56、Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異を含む。バリアントは、D43N、E44N、Q62R、もしくはQ62K、またはそれらの任意の組み合わせ、例えばD43N、E44N、Q62R、Q62K、D43N/E44N、D43N/Q62R、D43N/Q62K、E44N/Q62R、E44N/Q62K、D43N/E44N/Q62R、またはD43N/E44N/Q62Kを含み得る。代替的には、バリアントは、好ましくは、(a)D43N、E44N、Q62R、Q62K、D43N/E44N、D43N/Q62R、D43N/Q62K、E44N/Q62R、E44N/Q62K、D43N/E44N/Q62R、またはD43N/E44N/Q62K、ならびに(b)Y51、N55、及びF56のうちの1つ以上、例えばY51、N55、F56、Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異を含む。
【0127】
(i)において、バリアントは、好ましくは、D43Nを含む。
【0128】
(i)において、バリアントは、好ましくは、E101R、E101S、E101F、またはE101Nを含む。
【0129】
(i)において、バリアントは、好ましくは、E124N、E124Q、E124R、E124K、E124F、E124Y、E124W、またはE124D、例えばE124Nを含む。
【0130】
(i)において、バリアントは、好ましくは、R142E及びR142Nを含む。
【0131】
(i)において、バリアントは、好ましくは、R97N、R97G、またはR97Lを含む。
【0132】
(i)において、バリアントは、好ましくは、R192E及びR192Nを含む。
【0133】
(ii)において、バリアントは、好ましくは、F56N/N55Q、F56N/N55R、F56N/N55K、F56N/N55S、F56N/N55G、F56N/N55A、F56N/N55T、F56Q/N55Q、F56Q/N55R、F56Q/N55K、F56Q/N55S、F56Q/N55G、F56Q/N55A、F56Q/N55T、F56R/N55Q、F56R/N55R、F56R/N55K、F56R/N55S、F56R/N55G、F56R/N55A、F56R/N55T、F56S/N55Q、F56S/N55R、F56S/N55K、F56S/N55S、F56S/N55G、F56S/N55A、F56S/N55T、F56G/N55Q、F56G/N55R、F56G/N55K、F56G/N55S、F56G/N55G、F56G/N55A、F56G/N55T、F56A/N55Q、F56A/N55R、F56A/N55K、F56A/N55S、F56A/N55G、F56A/N55A、F56A/N55T、F56K/N55Q、F56K/N55R,F56K/N55K、F56K/N55S、F56K/N55G、F56K/N55A、F56K/N55T、F56N/Y51L、F56N/Y51V、F56N/Y51A、F56N/Y51N、F56N/Y51Q、F56N/Y51S、F56N/Y51G、F56Q/Y51L、F56Q/Y51V、F56Q/Y51A、F56Q/Y51N、F56Q/Y51Q、F56Q/Y51S、F56Q/Y51G、F56R/Y51L、F56R/Y51V、F56R/Y51A、F56R/Y51N、F56R/Y51Q、F56R/Y51S、F56R/Y51G、F56S/Y51L、F56S/Y51V、F56S/Y51A、F56S/Y51N、F56S/Y51Q、F56S/Y51S、F56S/Y51G、F56G/Y51L、F56G/Y51V、F56G/Y51A、F56G/Y51N、F56G/Y51Q、F56G/Y51S、F56G/Y51G、F56A/Y51L、F56A/Y51V、F56A/Y51A、F56A/Y51N、F56A/Y51Q、F56A/Y51S、F56A/Y51G、F56K/Y51L、F56K/Y51V、F56K/Y51A、F56K/Y51N、F56K/Y51Q、F56K/Y51S、F56K/Y51G、N55Q/Y51L、N55Q/Y51V、N55Q/Y51A、N55Q/Y51N、N55Q/Y51Q、N55Q/Y51S、N55Q/Y51G、N55R/Y51L、N55R/Y51V、N55R/Y51A、N55R/Y51N、N55R/Y51Q、N55R/Y51S、N55R/Y51G、N55K/Y51L、N55K/Y51V、N55K/Y51A、N55K/Y51N、N55K/Y51Q、N55K/Y51S、N55K/Y51G、N55S/Y51L、N55S/Y51V、N55S/Y51A、N55S/Y51N、N55S/Y51Q、N55S/Y51S、N55S/Y51G、N55G/Y51L、N55G/Y51V、N55G/Y51A、N55G/Y51N、N55G/Y51Q、N55G/Y51S、N55G/Y51G、N55A/Y51L、N55A/Y51V、N55A/Y51A、N55A/Y51N、N55A/Y51Q、N55A/Y51S、N55A/Y51G、N55T/Y51L、N55T/Y51V、N55T/Y51A、N55T/Y51N、N55T/Y51Q、N55T/Y51S、N55T/Y51G、F56N/N55Q/Y51L、F56N/N55Q/Y51V、F56N/N55Q/Y51A、F56N/N55Q/Y51N、F56N/N55Q/Y51Q、F56N/N55Q/Y51S、F56N/N55Q/Y51G、F56N/N55R/Y51L、F56N/N55R/Y51V、F56N/N55R/Y51A、F56N/N55R/Y51N、F56N/N55R/Y51Q、F56N/N55R/Y51S、F56N/N55R/Y51G、F56N/N55K/Y51L、F56N/N55K/Y51V、F56N/N55K/Y51A、F56N/N55K/Y51N、F56N/N55K/Y51Q、F56N/N55K/Y51S、F56N/N55K/Y51G、F56N/N55S/Y51L、F56N/N55S/Y51V、F56N/N55S/Y51A、F56N/N55S/Y51N、F56N/N55S/Y51Q、F56N/N55S/Y51S、F56N/N55S/Y51G、F56N/N55G/Y51L、F56N/N55G/Y51V、F56N/N55G/Y51A、F56N/N55G/Y51N、F56N/N55G/Y51Q、F56N/N55G/Y51S、F56N/N55G/Y51G、F56N/N55A/Y51L、F56N/N55A/Y51V、F56N/N55A/Y51A、F56N/N55A/Y51N、F56N/N55A/Y51Q、F56N/N55A/Y51S、F56N/N55A/Y51G、F56N/N55T/Y51L、F56N/N55T/Y51V、F56N/N55T/Y51A、F56N/N55T/Y51N、F56N/N55T/Y51Q、F56N/N55T/Y51S、F56N/N55T/Y51G、F56Q/N55Q/Y51L、F56Q/N55Q/Y51V、F56Q/N55Q/Y51A、F56Q/N55Q/Y51N、F56Q/N55Q/Y51Q、F56Q/N55Q/Y51S、F56Q/N55Q/Y51G、F56Q/N55R/Y51L、F56Q/N55R/Y51V、F56Q/N55R/Y51A、F56Q/N55R/Y51N、F56Q/N55R/Y51Q、F56Q/N55R/Y51S、F56Q/N55R/Y51G、F56Q/N55K/Y51L、F56Q/N55K/Y51V、F56Q/N55K/Y51A、F56Q/N55K/Y51N、F56Q/N55K/Y51Q、F56Q/N55K/Y51S、F56Q/N55K/Y51G、F56Q/N55S/Y51L、F56Q/N55S/Y51V、F56Q/N55S/Y51A、F56Q/N55S/Y51N、F56Q/N55S/Y51Q、F56Q/N55S/Y51S、F56Q/N55S/Y51G、F56Q/N55G/Y51L、F56Q/N55G/Y51V、F56Q/N55G/Y51A、F56Q/N55G/Y51N、F56Q/N55G/Y51Q、F56Q/N55G/Y51S、F56Q/N55G/Y51G、F56Q/N55A/Y51L、F56Q/N55A/Y51V、F56Q/N55A/Y51A、F56Q/N55A/Y51N、F56Q/N55A/Y51Q、F56Q/N55A/Y51S、F56Q/N55A/Y51G、F56Q/N55T/Y51L、F56Q/N55T/Y51V、F56Q/N55T/Y51A、F56Q/N55T/Y51N、F56Q/N55T/Y51Q、F56Q/N55T/Y51S、F56Q/N55T/Y51G、F56R/N55Q/Y51L、F56R/N55Q/Y51V、F56R/N55Q/Y51A、F56R/N55Q/Y51N、F56R/N55Q/Y51Q、F56R/N55Q/Y51S、F56R/N55Q/Y51G、F56R/N55R/Y51L、F56R/N55R/Y51V、F56R/N55R/Y51A、F56R/N55R/Y51N、F56R/N55R/Y51Q、F56R/N55R/Y51S、F56R/N55R/Y51G、F56R/N55K/Y51L、F56R/N55K/Y51V、F56R/N55K/Y51A、F56R/N55K/Y51N、F56R/N55K/Y51Q、F56R/N55K/Y51S、F56R/N55K/Y51G、F56R/N55S/Y51L、F56R/N55S/Y51V、F56R/N55S/Y51A、F56R/N55S/Y51N、F56R/N55S/Y51Q、F56R/N55S/Y51S、F56R/N55S/Y51G、F56R/N55G/Y51L、F56R/N55G/Y51V、F56R/N55G/Y51A、F56R/N55G/Y51N、F56R/N55G/Y51Q、F56R/N55G/Y51S、F56R/N55G/Y51G、F56R/N55A/Y51L、F56R/N55A/Y51V、F56R/N55A/Y51A、F56R/N55A/Y51N、F56R/N55A/Y51Q、F56R/N55A/Y51S、F56R/N55A/Y51G、F56R/N55T/Y51L、F56R/N55T/Y51V、F56R/N55T/Y51A、F56R/N55T/Y51N、F56R/N55T/Y51Q、F56R/N55T/Y51S、F56R/N55T/Y51G、F56S/N55Q/Y51L、F56S/N55Q/Y51V、F56S/N55Q/Y51A、F56S/N55Q/Y51N、F56S/N55Q/Y51Q、F56S/N55Q/Y51S、F56S/N55Q/Y51G、F56S/N55R/Y51L、F56S/N55R/Y51V、F56S/N55R/Y51A、F56S/N55R/Y51N、F56S/N55R/Y51Q、F56S/N55R/Y51S、F56S/N55R/Y51G、F56S/N55K/Y51L、F56S/N55K/Y51V、F56S/N55K/Y51A、F56S/N55K/Y51N、F56S/N55K/Y51Q、F56S/N55K/Y51S、F56S/N55K/Y51G、F56S/N55S/Y51L、F56S/N55S/Y51V、F56S/N55S/Y51A、F56S/N55S/Y51N、F56S/N55S/Y51Q、F56S/N55S/Y51S、F56S/N55S/Y51G、F56S/N55G/Y51L、F56S/N55G/Y51V、F56S/N55G/Y51A、F56S/N55G/Y51N、F56S/N55G/Y51Q、F56S/N55G/Y51S、F56S/N55G/Y51G、F56S/N55A/Y51L、F56S/N55A/Y51V、F56S/N55A/Y51A、F56S/N55A/Y51N、F56S/N55A/Y51Q、F56S/N55A/Y51S、F56S/N55A/Y51G、F56S/N55T/Y51L、F56S/N55T/Y51V、F56S/N55T/Y51A、F56S/N55T/Y51N、F56S/N55T/Y51Q、F56S/N55T/Y51S、F56S/N55T/Y51G、F56G/N55Q/Y51L、F56G/N55Q/Y51V、F56G/N55Q/Y51A、F56G/N55Q/Y51N、F56G/N55Q/Y51Q、F56G/N55Q/Y51S、F56G/N55Q/Y51G、F56G/N55R/Y51L、F56G/N55R/Y51V、F56G/N55R/Y51A、F56G/N55R/Y51N、F56G/N55R/Y51Q、F56G/N55R/Y51S、F56G/N55R/Y51G、F56G/N55K/Y51L、F56G/N55K/Y51V、F56G/N55K/Y51A、F56G/N55K/Y51N、F56G/N55K/Y51Q、F56G/N55K/Y51S、F56G/N55K/Y51G、F56G/N55S/Y51L、F56G/N55S/Y51V、F56G/N55S/Y51A、F56G/N55S/Y51N、F56G/N55S/Y51Q、F56G/N55S/Y51S、F56G/N55S/Y51G、F56G/N55G/Y51L、F56G/N55G/Y51V、F56G/N55G/Y51A、F56G/N55G/Y51N、F56G/N55G/Y51Q、F56G/N55G/Y51S、F56G/N55G/Y51G、F56G/N55A/Y51L、F56G/N55A/Y51V、F56G/N55A/Y51A、F56G/N55A/Y51N、F56G/N55A/Y51Q、F56G/N55A/Y51S、F56G/N55A/Y51G、F56G/N55T/Y51L、F56G/N55T/Y51V、F56G/N55T/Y51A、F56G/N55T/Y51
N、F56G/N55T/Y51Q、F56G/N55T/Y51S、F56G/N55T/Y51G、F56A/N55Q/Y51L、F56A/N55Q/Y51V、F56A/N55Q/Y51A、F56A/N55Q/Y51N、F56A/N55Q/Y51Q、F56A/N55Q/Y51S、F56A/N55Q/Y51G、F56A/N55R/Y51L、F56A/N55R/Y51V、F56A/N55R/Y51A、F56A/N55R/Y51N、F56A/N55R/Y51Q、F56A/N55R/Y51S、F56A/N55R/Y51G、F56A/N55K/Y51L、F56A/N55K/Y51V、F56A/N55K/Y51A、F56A/N55K/Y51N、F56A/N55K/Y51Q、F56A/N55K/Y51S、F56A/N55K/Y51G、F56A/N55S/Y51L、F56A/N55S/Y51V、F56A/N55S/Y51A、F56A/N55S/Y51N、F56A/N55S/Y51Q、F56A/N55S/Y51S、F56A/N55S/Y51G、F56A/N55G/Y51L、F56A/N55G/Y51V、F56A/N55G/Y51A、F56A/N55G/Y51N、F56A/N55G/Y51Q、F56A/N55G/Y51S、F56A/N55G/Y51G、F56A/N55A/Y51L、F56A/N55A/Y51V、F56A/N55A/Y51A、F56A/N55A/Y51N、F56A/N55A/Y51Q、F56A/N55A/Y51S、F56A/N55A/Y51G、F56A/N55T/Y51L、F56A/N55T/Y51V、F56A/N55T/Y51A、F56A/N55T/Y51N、F56A/N55T/Y51Q、F56A/N55T/Y51S、F56A/N55T/Y51G、F56K/N55Q/Y51L、F56K/N55Q/Y51V、F56K/N55Q/Y51A、F56K/N55Q/Y51N、F56K/N55Q/Y51Q、F56K/N55Q/Y51S、F56K/N55Q/Y51G、F56K/N55R/Y51L、F56K/N55R/Y51V、F56K/N55R/Y51A、F56K/N55R/Y51N、F56K/N55R/Y51Q、F56K/N55R/Y51S、F56K/N55R/Y51G、F56K/N55K/Y51L、F56K/N55K/Y51V、F56K/N55K/Y51A、F56K/N55K/Y51N、F56K/N55K/Y51Q、F56K/N55K/Y51S、F56K/N55K/Y51G、F56K/N55S/Y51L、F56K/N55S/Y51V、F56K/N55S/Y51A、F56K/N55S/Y51N、F56K/N55S/Y51Q、F56K/N55S/Y51S、F56K/N55S/Y51G、F56K/N55G/Y51L、F56K/N55G/Y51V、F56K/N55G/Y51A、F56K/N55G/Y51N、F56K/N55G/Y51Q、F56K/N55G/Y51S、F56K/N55G/Y51G、F56K/N55A/Y51L、F56K/N55A/Y51V、F56K/N55A/Y51A、F56K/N55A/Y51N、F56K/N55A/Y51Q、F56K/N55A/Y51S、F56K/N55A/Y51G、F56K/N55T/Y51L、F56K/N55T/Y51V、F56K/N55T/Y51A、F56K/N55T/Y51N、F56K/N55T/Y51Q,F56K/N55T/Y51S、F56K/N55T/Y51G、F56E/N55R、F56E/N55K、F56D/N55R、F56D/N55K、F56R/N55E、F56R/N55D、F56K/N55E、またはF56K/N55Dを含む。
【0134】
(ii)において、バリアントは、好ましくは、Y51R/F56Q、Y51N/F56N、Y51M/F56Q、Y51L/F56Q、Y51I/F56Q、Y51V/F56Q、Y51A/F56Q、Y51P/F56Q、Y51G/F56Q、Y51C/F56Q、Y51Q/F56Q、Y51N/F56Q、Y51S/F56Q、Y51E/F56Q、Y51D/F56Q、Y51K/F56Q、またはY51H/F56Qを含む。
【0135】
(ii)において、バリアントは、好ましくは、Y51T/F56Q、Y51Q/F56Q、またはY51A/F56Qを含む。
【0136】
(ii)において、バリアントは、好ましくは、Y51T/F56F、Y51T/F56M、Y51T/F56L、Y51T/F56I、Y51T/F56V、Y51T/F56A、Y51T/F56P、Y51T/F56G、Y51T/F56C、Y51T/F56Q、Y51T/F56N、Y51T/F56T、Y51T/F56S、Y51T/F56E、Y51T/F56D、Y51T/F56K、Y51T/F56H、またはY51T/F56Rを含む。
【0137】
(ii)において、バリアントは、好ましくは、Y51T/N55Q、Y51T/N55S、またはY51T/N55Aを含む。
【0138】
(ii)において、バリアントは、好ましくは、Y51A/F56F、Y51A/F56L、Y51A/F56I、Y51A/F56V、Y51A/F56A、Y51A/F56P、Y51A/F56G、Y51A/F56C、Y51A/F56Q、Y51A/F56N、Y51A/F56T、Y51A/F56S、Y51A/F56E、Y51A/F56D、Y51A/F56K、Y51A/F56H、またはY51A/F56Rを含む。
【0139】
(ii)において、バリアントは、好ましくは、Y51C/F56A、Y51E/F56A、Y51D/F56A、Y51K/F56A、Y51H/F56A、Y51Q/F56A、Y51N/F56A、Y51S/F56A、Y51P/F56A、またはY51V/F56Aを含む。
【0140】
(xi)において、バリアントは、好ましくは、Y51/P52の欠失、Y51/P52/A53の欠失、P50〜P52の欠失、P50〜A53の欠失、K49〜Y51の欠失、K49〜A53及び単一のプロリン(P)による置換、K49〜S54の欠失及び単一のPによる置換、Y51〜A53の欠失、Y51〜S54の欠失、N55/F56の欠失、N55〜S57の欠失、N55/F56の欠失及び単一のPによる置換、N55/F56の欠失及び単一のグリシン(G)による置換、N55/F56の欠失及び単一のアラニン(A)による置換、N55/F56の欠失及び単一のPによる置換ならびにY51N、N55/F56の欠失及び単一のPによる置換ならびにY51Q、N55/F56の欠失及び単一のPによる置換ならびにY51S、N55/F56の欠失及び単一のGによる置換ならびにY51N、N55/F56の欠失及び単一のGによる置換ならびにY51Q、N55/F56の欠失及び単一のGによる置換ならびにY51S、N55/F56の欠失及び単一のAによる置換ならびにY51N、N55/F56の欠失及び単一のA/Y51Qによる置換、またはN55/F56の欠失及び単一のAによる置換ならびにY51Sを含む。
【0141】
バリアントは、より好ましくは、D195N/E203N、D195Q/E203N、D195N/E203Q、D195Q/E203Q、E201N/E203N、E201Q/E203N、E201N/E203Q、E201Q/E203Q、E185N/E203Q、E185Q/E203Q、E185N/E203N、E185Q/E203N、D195N/E201N/E203N、D195Q/E201N/E203N、D195N/E201Q/E203N、D195N/E201N/E203Q、D195Q/E201Q/E203N、D195Q/E201N/E203Q、D195N/E201Q/E203Q、D195Q/E201Q/E203Q、D149N/E201N、D149Q/E201N、D149N/E201Q、D149Q/E201Q、D149N/E201N/D195N、D149Q/E201N/D195N、D149N/E201Q/D195N、D149N/E201N/D195Q、D149Q/E201Q/D195N、D149Q/E201N/D195Q、D149N/E201Q/D195Q、D149Q/E201Q/D195Q、D149N/E203N、D149Q/E203N、D149N/E203Q、D149Q/E203Q、D149N/E185N/E201N、D149Q/E185N/E201N、D149N/E185Q/E201N、D149N/E185N/E201Q、D149Q/E185Q/E201N、D149Q/E185N/E201Q、D149N/E185Q/E201Q、D149Q/E185Q/E201Q、D149N/E185N/E203N、D149Q/E185N/E203N、D149N/E185Q/E203N、D149N/E185N/E203Q、D149Q/E185Q/E203N、D149Q/E185N/E203Q、D149N/E185Q/E203Q、D149Q/E185Q/E203Q、D149N/E185N/E201N/E203N、D149Q/E185N/E201N/E203N、D149N/E185Q/E201N/E203N、D149N/E185N/E201Q/E203N、D149N/E185N/E201N/E203Q、D149Q/E185Q/E201N/E203N、D149Q/E185N/E201Q/E203N、D149Q/E185N/E201N/E203Q、D149N/E185Q/E201Q/E203N、D149N/E185Q/E201N/E203Q、D149N/E185N/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/E201N/E203Q、D149Q/E185N/E201Q/E203Q、D149N/E185Q/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/E201Q/E203N、D149N/E185N/D195N/E201N/E203N、D149Q/E185N/D195N/E201N/E203N、D149N/E185Q/D195N/E201N/E203N、D149N/E185N/D195Q/E201N/E203N、D149N/E185N/D195N/E201Q/E203N、D149N/E185N/D195N/E201N/E203Q、D149Q/E185Q/D195N/E201N/E203N、D149Q/E185N/D195Q/E201N/E203N、D149Q/E185N/D195N/E201Q/E203N、D149Q/E185N/D195N/E201N/E203Q、D149N/E185Q/D195Q/E201N/E203N、D149N/E185Q/D195N/E201Q/E203N、D149N/E185Q/D195N/E201N/E203Q、D149N/E185N/D195Q/E201Q/E203N、D149N/E185N/D195Q/E201N/E203Q、D149N/E185N/D195N/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/D195Q/E201N/E203N、D149Q/E185Q/D195N/E201Q/E203N、D149Q/E185Q/D195N/E201N/E203Q、D149Q/E185N/D195Q/E201Q/E203N、D149Q/E185N/D195Q/E201N/E203Q、D149Q/E185N/D195N/E201Q/E203Q、D149N/E185Q/D195Q/E201Q/E203N、D149N/E185Q/D195Q/E201N/E203Q、D149N/E185Q/D195N/E201Q/E203Q、D149N/E185N/D195Q/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/D195Q/E201Q/E203N、D149Q/E185Q/D195Q/E201N/E203Q、D149Q/E185Q/D195N/E201Q/E203Q、D149Q/E185N/D195Q/E201Q/E203Q、D149N/E185Q/D195Q/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/D195Q/E201Q/E203Q、D149N/E185R/E201N/E203N、D149Q/E185R/E201N/E203N、D149N/E185R/E201Q/E203N、D149N/E185R/E201N/E203Q、D149Q/E185R/E201Q/E203N、D149Q/E185R/E201N/E203Q、D149N/E185R/E201Q/E203Q、D149Q/E185R/E201Q/E203Q、D149R/E185N/E201N/E203N、D149R/E185Q/E201N/E203N、D149R/E185N/E201Q/E203N、D149R/E185N/E201N/E203Q、D149R/E185Q/E201Q/E203N、D149R/E185Q/E201N/E203Q、D149R/E185N/E201Q/E203Q、D149R/E185Q/E201Q/E203Q、D149R/E185N/D195N/E201N/E203N、D149R/E185Q/D195N/E201N/E203N、D149R/E185N/D195Q/E201N/E203N、D149R/E185N/D195N/E201Q/E203N、D149R/E185Q/D195N/E201N/E203Q、D149R/E185Q/D195Q/E201N/E203N、D149R/E185Q/D195N/E201Q/E203N、D149R/E185Q/D195N/E201N/E203Q、D149R/E185N/D195Q/E201Q/E203N、D149R/E185N/D195Q/E201N/E203Q、D149R/E185N/D195N/E201Q/E203Q、D149R/E185Q/D195Q/E201Q/E203N、D149R/E185Q/D195Q/E201N/E203Q、D149R/E185Q/D195N/E201Q/E203Q、D149R/E185N/D195Q/E201Q/E203Q、D149R/E185Q/D195Q/E201Q/E203Q、D149N/E185R/D195N/E201N/E203N、D149Q/E185R/D195N/E201N/E203N、D149N/E185R/D195Q/E201N/E203N、D149N/E185R/D195N/E201Q/E203N、D149N/E185R/D195N/E201N/E203Q、D149Q/E185R/D195Q/E201N/E203N、D149Q/E185R/D195N/E201Q/E203N、D149Q/E185R/D195N/E201N/E203Q、D149N/E185R/D195Q/E201Q/E203N、D149N/E185R/D195Q/E201N/E203Q、D149N/E185R/D195N/E201Q/E203Q、D149Q/E185R/D195Q/E201Q/E203N、D149Q/E185R/D195Q/E201N/E203Q、D149Q/E185R/D195N/E201Q/E203Q、D149N/E185R/D195Q/E201Q/E203Q、D149Q/E185R/D195Q/E201Q/E203Q、D149N/E185R/D195N/E201R/E203N、D149Q/E185R/D195N/E201R/E203N、D149N/E185R/D195Q/E201R/E203N、D149N/E185R/D195N/E201R/E203Q、D149Q/E185R/D195Q/E201R/E203N、D149Q/E185R/D195N/E201R/E203Q、D149N/E185R/D195Q/E201R/E203Q、D149Q/E185R/D195Q/E201R/E203Q、E131D/K49R、E101N/N102F、E101N/N102Y、E101N/N102W、E101F/N102F、E101F/N102Y、E101F/N102W、E101Y/N102F、E101Y/N102Y、E101Y/N102W、E101W/N102F、E101W/N102Y、E101W/N102W、E101N/N102R、E101F/N102R、E101Y/N102R、またはE101W/N102Fを含む。
【0142】
ポアを通ってポリヌクレオチドが移動する間により少ないヌクレオチドが電流に寄与する、ポアを形成する本発明の好ましいバリアントは、Y51A/F56A、Y51A/F56N、Y51I/F56A、Y51L/F56A、Y51T/F56A、Y51I/F56N、Y51L/F56NもしくはY51T/F56N、またはより好ましくはY51I/F56A、Y51L/F56A、もしくはY51T/F56Aを含む。上記のように、これは、ポアを通ってポリヌクレオチドが移動する間に認められた電流と、ポリヌクレオチドとの間の直接的な関係性を特定することを容易にする。
【0143】
増加した範囲を提示するポアを形成する好ましいバリアントは、以下の位置、
Y51、F56、D149、E185、E201、及びE203;
N55及びF56;
Y51及びF56;
Y51、N55、及びF56;または
F56及びN102における変異を含む。
【0144】
増加した範囲を提示するポアを形成する好ましいバリアントは、
Y51N、F56A、D149N、E185R、E201N、及びE203N;
N55S及びF56Q;
Y51A及びF56A;
Y51A及びF56N;
Y51I及びF56A;
Y51L及びF56A;
Y51T及びF56A;
Y51I及びF56N;
Y51L及びF56N;
Y51T及びF56N;
Y51T及びF56Q;
Y51A、N55S、及びF56A;
Y51A、N55S、及びF56N;
Y51T、N55S、及びF56Q;または
F56Q及びN102Rを含む。
【0145】
ポアを通ってポリヌクレオチドが移動する間により少ないヌクレオチドが電流に寄与する、ポアを形成する好ましいバリアントは、以下の位置、
N55及びF56における変異、例えばN55X及びF56Q(Xは、任意のアミノ酸である);または
Y51及びF56における変異、例えばY51X及びF56Q(Xは、任意のアミノ酸である)を含む。
【0146】
特に好ましいバリアントは、Y51A及びF56Qを含む。
【0147】
増加したスループットを提示するポアを形成する好ましいバリアントは、以下の位置、
D149、E185、及びE203;
D149、E185、E201、及びE203;または
D149、E185、D195、E201、及びE203における変異を含む。
【0148】
増加したスループットを提示するポアを形成する好ましいバリアントは、
D149N、E185N、及びE203N;
D149N、E185N、E201N、及びE203N;
D149N、E185R、D195N、E201N、及びE203N;または
D149N、E185R、D195N、E201R、及びE203Nを含む。
【0149】
ポリヌクレオチドの捕捉が増加したポアを形成する好ましいバリアントは、以下の変異、
D43N/Y51T/F56Q;
E44N/Y51T/F56Q;
D43N/E44N/Y51T/F56Q;
Y51T/F56Q/Q62R;
D43N/Y51T/F56Q/Q62R;
E44N/Y51T/F56Q/Q62R;または
D43N/E44N/Y51T/F56Q/Q62Rを含む。
【0150】
好ましいバリアントは、以下の変異、
D149R/E185R/E201R/E203RもしくはY51T/F56Q/D149R/E185R/E201R/E203R;
D149N/E185N/E201N/E203NもしくはY51T/F56Q/D149N/E185N/E201N/E203N;
E201R/E203RもしくはY51T/F56Q/E201R/E203R
E201N/E203RもしくはY51T/F56Q/E201N/E203R;
E203RもしくはY51T/F56Q/E203R;
E203NもしくはY51T/F56Q/E203N;
E201RもしくはY51T/F56Q/E201R;
E201NもしくはY51T/F56Q/E201N;
E185RもしくはY51T/F56Q/E185R;
E185NもしくはY51T/F56Q/E185N;
D149RもしくはY51T/F56Q/D149R;
D149NもしくはY51T/F56Q/D149N;
R142EもしくはY51T/F56Q/R142E;
R142NもしくはY51T/F56Q/R142N;
R192EもしくはY51T/F56Q/R192E;または
R192NもしくはY51T/F56Q/R192Nを含む。
【0151】
好ましいバリアントは、以下の変異、
Y51A/F56Q/E101N/N102R;
Y51A/F56Q/R97N/N102G;
Y51A/F56Q/R97N/N102R;
Y51A/F56Q/R97N;
Y51A/F56Q/R97G;
Y51A/F56Q/R97L;
Y51A/F56Q/N102R;
Y51A/F56Q/N102F;
Y51A/F56Q/N102G;
Y51A/F56Q/E101R;
Y51A/F56Q/E101F;
Y51A/F56Q/E101N;または
Y51A/F56Q/E101Gを含む
【0152】
バリアントは、好ましくは、T150における変異をさらに含む。増加した挿入を提示するポアを形成する好ましいバリアントは、T150Iを含む。T150における変異、例えばT150Iは、上記の変異のいずれかまたは上記の変異の組み合わせと組み合わされ得る。
【0153】
配列番号2の好ましいバリアントは、(a)R97W、ならびに(b)Y51及び/またはF56における変異を含む。配列番号2の好ましいバリアントは、(a)R97W、ならびに(b)Y51R/H/K/D/E/S/T/N/Q/C/G/P/A/V/I/L/M及び/またはF56 R/H/K/D/E/S/T/N/Q/C/G/P/A/V/I/L/Mを含む。配列番号2の好ましいバリアントは、(a)R97W、ならびに(b)Y51L/V/A/N/Q/S/G及び/またはF56A/Q/Nを含む。配列番号2の好ましいバリアントは、(a)R97W、ならびに(b)Y51A及び/またはF56Qを含む。配列番号2の好ましいバリアントは、R97W、Y51A、及びF56Qを含む。
【0154】
本発明の変異体モノマーにおいて、配列番号2のバリアントは、好ましくは、R192における変異を含む。バリアントは、好ましくは、R192D/Q/F/S/T/N/E、R192D/Q/F/S/T、またはR192D/Qを含む。配列番号2の好ましいバリアントは、(a)R97W、(b)Y51及び/またはF56における変異、ならびに(c)R192における変異、例えばR192D/Q/F/S/T/N/E、R192D/Q/F/S/T、またはR192D/Qを含む。配列番号2の好ましいバリアントは、(a)R97W、(b)Y51R/H/K/D/E/S/T/N/Q/C/G/P/A/V/I/L/M及び/またはF56 R/H/K/D/E/S/T/N/Q/C/G/P/A/V/I/L/M、ならびに(c)R192における変異、例えばR192D/Q/F/S/T/N/E、R192D/Q/F/S/T、またはR192D/Qを含む。配列番号2の好ましいバリアントは、(a)R97W、(b)Y51L/V/A/N/Q/S/G及び/またはF56A/Q/N、ならびに(c)R192における変異、例えばR192D/Q/F/S/T/N/E、R192D/Q/F/S/T、またはR192D/Qを含む。配列番号2の好ましいバリアントは、(a)R97W、(b)Y51A及び/またはF56Q、ならびに(c)R192における変異、例えばR192 D/Q/F/S/T/N/E、R192D/Q/F/S/T、またはR192D/Qを含む。配列番号2の好ましいバリアントは、R97W、Y51A、F56Q、及びR192D/Q/F/S/TまたはR192D/Qを含む。配列番号2の好ましいバリアントは、R97W、Y51A、F56Q、及びR192Dを含む。配列番号2の好ましいバリアントは、R97W、Y51A、F56Q、及びR192Qを含む。上記の段落において特定の位置における異なるアミノ酸が/記号によって分けられている場合、それらの/記号は、「または」を意味する。例えば、R192D/Qは、R192DまたはR192Qを意味する。
【0155】
本発明の変異体モノマーにおいて、配列番号2のバリアントは、好ましくは、R93における変異を含む。配列番号2の好ましいバリアントは、(a)R93W、ならびに(b)Y51及び/またはF56における変異、好ましくはY51A及びF56Qを含む。V105、A106、及びI107のDまたはR192N.欠失。
【0156】
上記の配列番号2の好ましいバリアントはいずれも、K94N/Q変異を含んでもよい。上記の配列番号2の好ましいバリアントはいずれも、F191T変異を含んでもよい。本発明はまた、実施例に開示されるバリアントにおいて存在する変異の組み合わせを含む、配列番号2に示される配列のバリアントを含む変異体CsgGモノマーを提供する。
【0157】
天然型アミノ酸を導入または置換するための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、メチオニン(M)は、変異体モノマーをコードするポリヌクレオチドの関連する位置においてメチオニンのコドン(ATG)をアルギニンのコドン(CGT)に置き換えることによってアルギニン(R)で置換され得る。ポリヌクレオチドはその後、下記のように発現され得る。
【0158】
非天然型アミノ酸を導入または置換するための方法も、当該技術分野で周知である。例えば、非天然型アミノ酸は、変異体モノマーを発現させるために使用されるIVTTシステム中に合成アミノアシル−tRNAを含むことによって導入され得る。代替的には、それらは、合成(すなわち、非天然)類似体の存在下で、特定のアミノ酸について栄養要求性であるE.coli 中で変異体モノマーを発現させることによって導入され得る。それらはまた、変異体モノマーが部分的ペプチド合成を使用して精製される場合、ネイキッドライゲーション(naked ligation)によって生成され得る。
【0159】
バリアント
上記の特定の変異に加えて、バリアントは、他の変異を含んでもよい。配列番号2のアミノ酸配列の全長にわたって、バリアントは、好ましくは、アミノ酸同一性に基づき、その配列に対して少なくとも50%の相同性を有する。より好ましくは、バリアントは、配列全体にわたって、アミノ酸同一性に基づき、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、97%、または99%の相同性を有し得る。100個以上、例えば125個、150個、175個、または200個以上の連続したアミノ酸のストレッチにわたって、少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、または95%のアミノ酸同一性があってもよい(「ハードホモロジー(hard homology)」)。
【0160】
相同性を判定するために、当該技術分野における標準的な方法が使用され得る。例えば、UWGCG Packageは、例えばそのデフォルト設定で使用されて、相同性を計算するために使用され得るBESTFITプログラムを提供する(Devereux et al (1984)Nucleic Acids Research 12,p387−395)。例えば、Altschul S.F.(1993) J Mol Evol 36:290−300、Altschul,S.F et al (1990)J Mol Biol 215:403−10に記載されるように、PILEUP及びBLASTアルゴリズムを使用して、相同性を計算するか、または配列を並べる(同等の残基または対応する配列を同定する(典型的には、それらのデフォルト設定において))ことができる。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて一般に利用可能である。
【0161】
配列番号2は、Escherichia coli K−12株MC4100亜株に由来する野生型CsgGモノマーである。配列番号2のバリアントは、別のCsgG相同体に存在する置換のいずれかを含み得る。好ましいCsgG相同体は、配列番号3〜7及び26〜41に示される。バリアントは、配列番号2と比較して配列番号3〜7及び26〜41に存在する置換のうちの1つ以上の組み合わせを含んでもよい。例えば、変異は、配列番号2と配列番号3〜7及び配列番号26〜41との間で異なる、配列番号2の位置のうちの1つ以上において行われ得る。かかる変異は、配列番号2のアミノ酸の、配列番号3〜7及び配列番号26〜41のいずれかの対応する位置からのアミノ酸による置換であり得る。代替的には、これらの位置のうちのいずれか1つにおける変異は、任意のアミノ酸による置換であり得るか、または欠失もしくは挿入変異、例えば2〜8個もしくは3〜6個のアミノ酸などの1〜10個のアミノ酸の欠失もしくは挿入であり得る。本明細書に開示される変異以外では、配列番号2と、配列番号3〜7及び配列番号26〜41の全てとの間で保存されたアミノ酸は、好ましくは、本発明のバリアントにおいて存在する。しかしながら、保存的変異は、配列番号2と、配列番号3〜7及び配列番号26〜41の全てとの間で保存された、これらの位置のうちのいずれか1つ以上において行われ得る。
【0162】
本発明は、配列番号2の特定の位置に対応するCsgGモノマーの構造の位置において、配列番号2の特定の位置に置換される、本明細書に記載されるアミノ酸のうちのいずれか1つ以上を含むポア形成CsgG変異体モノマーを提供する。対応する位置は、当該技術分野における標準的な技術によって判定され得る。例えば、上述のPILEUP及びBLASTアルゴリズムを使用して、CsgGモノマーの配列を配列番号2と整列させることができ、それによって対応する残基を同定することができる。
【0163】
とりわけ、本発明は、以下の、
−配列番号2のR97に対応する位置におけるW;
−配列番号2のR93に対応する位置におけるW;
−配列番号2のR97に対応する位置におけるY;
−配列番号2のR93に対応する位置におけるY;
−配列番号2のR93及びR97に対応する位置の各々におけるY;
−配列番号2のR192に対応する位置におけるD;
−配列番号2のV105〜I107に対応する位置における残基の欠失;
−配列番号2のF193〜L199に対応する位置のうちの1つ以上における残基の欠失;
−配列番号2のF195〜L199に対応する位置における残基の欠失;
−配列番号2のF193〜L199に対応する位置における残基の欠失;
−配列番号2のF191に対応する位置におけるT;
−配列番号2のK49に対応する位置におけるQ;
−配列番号2のK49に対応する位置におけるN;
−配列番号2のK42に対応する位置におけるQ;
−配列番号2のE44に対応する位置におけるQ;
−配列番号2のE44に対応する位置におけるN;
−配列番号2のL90に対応する位置におけるR;
−配列番号2のL91に対応する位置におけるR;
−配列番号2のI95に対応する位置におけるR;
−配列番号2のA99に対応する位置におけるR;
−配列番号2のE101に対応する位置におけるH;
−配列番号2のE101に対応する位置におけるK;
−配列番号2のE101に対応する位置におけるN;
−配列番号2のE101に対応する位置におけるQ;
−配列番号2のE101に対応する位置におけるT;
−配列番号2のQ114に対応する位置におけるK、のうちのいずれか1つ以上を含むポア形成CsgG変異体モノマーを提供する。
【0164】
本発明のCsgGポア形成モノマーは、好ましくは、配列番号2のY51に対応する位置におけるA、及び/または配列番号2のF56に対応する位置におけるQをさらに含む。
【0165】
ポア形成変異体モノマーは、典型的には、野生型CsgGモノマーと同じ3D構造、例えば配列番号2を有するCsgGモノマーと同じ3D構造を形成する能力を保持する。CsgGの3D構造は、当該技術分野で既知であり、例えば、Cao et al(2014)PNAS E5439−E5444に開示されている。本明細書に記載される変異に加えて任意の数の変異が野生型CsgG配列において行われ得るが、但し、CsgG変異体モノマーが、本発明の変異によってそれに付与された改善された特性を保持することを条件とする。
【0166】
典型的には、CsgGモノマーは、3つのアルファヘリックス及び5つのベータシートを含む構造を形成する能力を保持することになる。本発明者らは、特に、ポリペプチドを転移させることができる膜貫通ポアを形成するCsgGモノマーの能力に影響を及ぼすことなく、少なくとも第1のアルファヘリックスに対してN末端であるCsgGの領域において(配列番号2のS63において開始する)、第2のアルファヘリックスにおいて(配列番号2のG85〜A99)、第2のアルファヘリックスと第1のベータシートとの間のループにおいて(配列番号2のQ100〜N120)、第4及び第5のベータシートにおいて(それぞれ、配列番号2のS173〜R192及びR198〜T107)、ならびに第4のベータシートと第5のベータシートとの間のループにおいて(配列番号2のF193〜Q197)、変異が行われ得ることを示している。したがって、ポリヌクレオチドを転移させることができるポアを形成するモノマーの能力に影響を及ぼすことなく、任意のCsgGモノマーのこれらの領域のいずれかにおいてさらなる変異が行われ得ることが想定される。また、ポリヌクレオチドを転移させることができるポアを形成するモノマーの能力に影響を及ぼすことなく、アルファヘリックスのいずれかにおいて(配列番号2S63〜R76、G85〜A99、もしくはV211〜L236)、またはベータシートのいずれかにおいて(配列番号2のI121〜N133、K135〜R142、I146〜R162、S173〜R192、もしくはR198〜T107)などの他の領域において変異が行われ得ることも予想される。また、ポリヌクレオチドを転移させることができるポアを形成するモノマーの能力に影響を及ぼすことなく、アルファヘリックスとベータシートとを結合するループ領域において、ならびに/またはCsgGモノマーのN末端及び/もしくはC末端領域において1つ以上のアミノ酸の欠失が行われ得ることも予想される。
【0167】
上記のものに加えて、配列番号2のアミノ酸配列に対するアミノ酸置換、例えば最大で1、2、3、4、5、10、20、または30個の置換が行われ得る。保存的置換は、アミノ酸を、類似の化学構造、類似の化学的特性、または類似の側鎖量の他のアミノ酸で置き換える。導入されるアミノ酸は、それらが置き換えるアミノ酸と類似の極性、親水性、疎水性、塩基性、酸性、中性、または荷電性を有し得る。代替的には、保存的置換は、既存の芳香族または脂肪族アミノ酸の代わりに、芳香族または脂肪族である別のアミノ酸を導入してもよい。保存的アミノ酸変化は、当該技術分野で周知であり、以下の表2に定義されるように、20個のアミノ酸の特性に従って選択され得る。アミノ酸が類似の極性を有する場合、これはまた、表3におけるアミノ酸側鎖の疎水性スケールを参照して判定することもできる。
【表1】
【表2】
【0168】
配列番号2のアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸残基は、上記のポリペプチドからさらに欠失され得る。最大で1、2、3、4、5、10、20、または30個以上の残基が欠失され得る。
【0169】
バリアントは、配列番号2の断片を含み得る。かかる断片は、ポア形成活性を保持する。断片は、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、または少なくとも250アミノ酸長であり得る。かかる断片を使用して、ポアを生成することができる。断片は、好ましくは、配列番号2の膜貫通ドメイン、すなわちK135〜Q153及びS183〜S208を含む。
【0170】
代替的に、またはさらに、1つ以上のアミノ酸が上記のポリペプチドに付加されてもよい。配列番号2のアミノ酸配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端、またはそのポリペプチドバリアントもしくは断片に伸長が提供されてもよい。伸長は非常に短くてもよく、例えば、1〜10アミノ酸長であってもよい。代替的には、伸長はより長くてもよく、例えば、最大で50〜100個のアミノ酸であってもよい。本発明によるアミノ酸配列に、担体タンパク質が融合されてもよい。他の融合タンパク質は、以下により詳細に論じられる。
【0171】
上記のように、バリアントは、配列番号2とは異なるアミノ酸配列を有し、かつポアを形成するその能力を保持するポリペプチドである。バリアントは、典型的には、ポア形成を担う配列番号2の領域を含有する。β−バレルを含有する、CsgGのポア形成能力は、各サブユニットのβ−シートによって提供される。配列番号2のバリアントは、典型的には、β−シートを形成する配列番号2の領域、すなわちK135〜Q153及びS183〜S208を含む。得られるバリアントが、ポアを形成するその能力を保持する限り、β−シートを形成する配列番号2の領域に1つ以上の修飾が行われてもよい。配列番号2のバリアントは、好ましくは、そのα−ヘリックス及び/またはループ領域内に、1つ以上の修飾、例えば置換、付加、または欠失を含む。
【0172】
例えば、モノマーがそのような配列を天然に含有しない細胞からのそれらの分泌を促進するための、ストレプトアビジンタグの付加によって、またはシグナル配列の付加によって、CsgGに由来するモノマーを修飾して、それらの同定または純化を補助することができる。他の好適なタグは、以下により詳細に論じられる。モノマーは、顕示標識(revealing label)で標識されてもよい。顕示標識は、モノマーが検出されることを可能にする任意の好適な標識であり得る。好適な標識は、以下に記載される。
【0173】
CsgGに由来するモノマーはまた、D−アミノ酸を使用して生成され得る。例えば、CsgGに由来するモノマーは、L−アミノ酸及びD−アミノ酸の混合物を含み得る。これは、かかるタンパク質またはペプチドを生成するための当該技術分野における従来法である。
【0174】
CsgGに由来するモノマーは、ヌクレオチド識別を促進するために1つ以上の特異的修飾を含有する。CsgGに由来するモノマーはまた、それらがポア形成に干渉しない限り、他の非特異的修飾を含有してもよい。いくつかの非特異的側鎖修飾は当該技術分野で既知であり、CsgGに由来するモノマーの側鎖に行われ得る。かかる修飾には、例えば、アルデヒドとの反応に続くNaBH
4での還元によるアミノ酸の還元アルキル化、メチルアセトイミデート(methylacetimidate)によるアミジン化、または無水酢酸でのアシル化が含まれる。
【0175】
CsgGに由来するモノマーは、当該技術分野で既知の標準的な方法を使用して生成することができる。CsgGに由来するモノマーは、合成的に、または組み換え手段によって作製され得る。例えば、モノマーは、インビトロ翻訳及び転写(IVTT)によって合成され得る。ポア及びモノマーを生成するための好適な方法は、国際出願第PCT/GB09/001690号(WO2010/004273として公開)、同第PCT/GB09/001679号(WO2010/004265として公開)、または同第PCT/GB10/000133号(WO2010/086603として公開)に論じられている。ポアを膜内に挿入するための方法が論じられている。
【0176】
いくつかの実施形態では、変異体モノマーは、化学修飾される。変異体モノマーは、任意の方法で、任意の部位において化学修飾され得る。変異体モノマーは、好ましくは、1つ以上のシステインへの分子の結合(システイン結合)、1つ以上のリジンへの分子の結合、1つ以上の非天然型アミノ酸への分子の結合、エピトープの酵素修飾、または末端の修飾によって化学修飾される。かかる修飾を実施するための好適な方法は、当該技術分野で周知である。変異体モノマーは、任意の分子の結合によって化学修飾され得る。例えば、変異体モノマーは、色素またはフルオロフォアの結合によって化学修飾され得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、変異体モノマーは、モノマーを含むポアと標的ヌクレオチドまたは標的ポリヌクレオチド配列との間の相互作用を促進する分子アダプターによって化学修飾される。アダプターの存在は、ポア及びヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列のホスト−ゲストケミストリーを改善し、それにより変異体モノマーから形成されたポアのシークエンシング能力を改善する。ホスト−ゲストケミストリーの原理は、当該技術分野で周知である。アダプターは、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列とのその相互作用を改善させるポアの物理的または化学的特性に対する効果を有する。アダプターは、ポアのバレルまたはチャネルの電荷を改変し得るか、またはヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド配列と特異的に相互作用するかもしくはそれらに結合し、それによりポアとのその相互作用を促進し得る。
【0178】
分子アダプターは、好ましくは、環状分子、シクロデキストリン、ハイブリダイゼーションが可能な種、DNA結合剤もしくは相互キレート剤(interchelator)、ペプチドもしくはペプチド類似体、合成ポリマー、芳香族平面分子、正に荷電した小分子、または水素結合が可能な小分子である。
【0179】
アダプターは、環状であってもよい。環状アダプターは、好ましくは、ポアと同じ対称性を有する。CsgGが典型的に中心軸の周りに8または9個のサブユニットを有するため、アダプターは、好ましくは、8回対称性または9回対称性を有する。これは、以下により詳細に論じられる。
【0180】
アダプターは、典型的には、ホスト−ゲストケミストリーを介してヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列と相互作用する。アダプターは、典型的には、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列と相互作用することができる。アダプターは、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列と相互作用することができる1つ以上の化学基を含む。1つ以上の化学基は、好ましくは、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力、π−カチオン相互作用、及び/または静電力などの非共有結合相互作用によって、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列と相互作用する。ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列と相互作用することができる1つ以上の化学基は、好ましくは、正に荷電している。ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列と相互作用することができる1つ以上の化学基は、より好ましくはアミノ基を含む。アミノ基は、第1級、第2級、または第3級炭素原子に結合し得る。アダプターは、さらにより好ましくは、アミノ基の環、例えば、6、7、または8個のアミノ基の環を含む。アダプターは、最も好ましくは、8個のアミノ基の環を含む。プロトン化されたアミノ基の環は、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列中の負に荷電したリン酸基と相互作用し得る。
【0181】
ポア内でのアダプターの正しい位置付けは、アダプターと変異体モノマーを含むポアとの間のホスト−ゲストケミストリーによって促進され得る。アダプターは、好ましくは、ポア内の1つ以上のアミノ酸と相互作用することができる1つ以上の化学基を含む。アダプターは、より好ましくは、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力、π−カチオン相互作用、及び/または静電力などの非共有結合相互作用を介して、ポア内の1つ以上のアミノ酸と相互作用することができる1つ以上の化学基を含む。ポア内の1つ以上のアミノ酸と相互作用することができる化学基は、典型的には、ヒドロキシルまたはアミンである。ヒドロキシル基は、第1級、第2級、または第3級炭素原子に結合し得る。ヒドロキシル基は、ポア内の荷電していないアミノ酸と水素結合を形成し得る。ポアとヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列との間の相互作用を促進する任意のアダプターを使用することができる。
【0182】
好適なアダプターには、シクロデキストリン、環状ペプチド、及びククルビツリルが含まれるが、これらに限定されない。アダプターは、好ましくは、シクロデキストリンまたはその誘導体である。シクロデキストリンまたはその誘導体は、Eliseev,A.V.,and Schneider,H−J.(1994)J.Am.Chem.Soc.116,6081−6088に開示されるもののいずれかであり得る。アダプターは、より好ましくは、ヘプタキス−6−アミノ−β−シクロデキストリン(am
7−βCD)、6−モノデオキシ−6−モノアミノ−β−シクロデキストリン(am
1−βCD)、またはヘプタキス−(6−デオキシ−6−グアニジノ)−シクロデキストリン(gu
7−βCD)である。gu
7−βCDのグアニジノ基は、am
7−βCDの第1級アミンよりもはるかに高いpKaを有するため、より正に荷電されている。測定される残留電流の精度を高めるため、ならびに高温または低いデータ取得率における塩基検出率を高めるために、このgu
7−βCDアダプターを使用して、ポア中のヌクレオチドの滞留時間を増加させることができる。
【0183】
以下により詳細に論じられるようにスクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)架橋剤が使用される場合、アダプターは、好ましくは、ヘプタキス(6−デオキシ−6−アミノ)−6−N−モノ(2−ピリジル)ジチオプロパノイル−β−シクロデキストリン(am
6amPDP
1−βCD)である。
【0184】
より好適なアダプターには、9個の糖単位を含む(及びしたがって、9回対称性を有する)、γ−シクロデキストリンが含まれる。γ−シクロデキストリンは、リンカー分子を含有し得るか、または上記のβ−シクロデキストリン例において使用された修飾された糖単位のうちの全て以上を含むように修飾され得る。
【0185】
分子アダプターは、好ましくは、変異体モノマーと共有結合している。アダプターは、当該技術分野で既知の任意の方法を使用してポアと共有結合し得る。アダプターは、典型的には、化学結合を介して結合している。分子アダプターがシステイン結合を介して結合している場合、1つ以上のシステインが、好ましくは、置換によって変異体、例えばバレル内に導入され得る。変異体モノマーは、分子アダプターの、変異体モノマー中の1つ以上のシステインへの結合によって化学修飾され得る。1つ以上のシステインは、天然型、すなわち配列番号2の1位及び/または215位における天然型であってもよい。代替的には、変異体モノマーは、分子の、他の位置において導入された1つ以上のシステインへの結合によって化学修飾され得る。215位におけるシステインは、分子アダプターが1位におけるシステインまたは別の位置に導入されたシステインの代わりにその位置に結合しないことを確かにするために、例えば置換によって除去され得る。
【0186】
システイン残基の反応性は、隣接する残基の修飾によって増強され得る。例えば、側方のアルギニン、ヒスチジン、またはリジン残基の塩基性基は、システインチオール基のpKaを、より反応性のS
−基のものに変えることになる。システイン残基の反応性は、dTNBなどのチオール保護基によって保護され得る。これらは、リンカーが結合する前に、変異体モノマーの1つ以上のシステイン残基と反応され得る。
【0187】
分子は、変異体モノマーと直接結合してもよい。分子は、好ましくは、化学架橋剤またはペプチドリンカーなどのリンカーを使用して変異体モノマーに結合している。
【0188】
好適な化学架橋剤は、当該技術分野で周知である。好ましい架橋剤には、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−(ピリジン−2−イルジスルファニル)プロパノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−(ピリジン−2−イルジスルファニル)ブタノエート、及び2,5−ジオキソピロリジン−1−イル8−(ピリジン−2−イルジスルファニル)オクタナノエート(octananoate)が含まれる。最も好ましい架橋剤は、スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)である。典型的には、分子は、分子/架橋剤複合体が変異体モノマーと共有結合する前に二官能性架橋剤と共有結合しているが、二官能性架橋剤/モノマー複合体が分子に結合する前に二官能性架橋剤をモノマーと共有結合させることも可能である。
【0189】
リンカーは、好ましくは、ジチオトレイトール(DTT)に耐性である。好適なリンカーには、ヨードアセトアミド系及びマレイミド系リンカーが含まれるが、これらに限定されない。
【0190】
他の実施形態では、モノマーは、ポリヌクレオチド結合タンパク質に結合してもよい。これは、本発明のシークエンシングの方法に使用され得るモジュラーシークエンシング(modular sequencing)システムを形成する。ポリヌクレオチド結合タンパク質は、以下に論じられる。
【0191】
ポリヌクレオチド結合タンパク質は、好ましくは、変異体モノマーと共有結合している。タンパク質は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用してモノマーと共有結合し得る。モノマー及びタンパク質は、化学的に融合されるかまたは遺伝的に融合されてもよい。構造体全体が単一のポリヌクレオチド配列から発現される場合、モノマー及びタンパク質は、遺伝的に融合される。モノマーのポリヌクレオチド結合タンパク質への遺伝的融合は、国際出願第PCT/GB09/001679号(WO2010/004265として公開)に論じられている。
【0192】
ポリヌクレオチド結合タンパク質がシステイン結合を介して結合している場合、1つ以上のシステインは、好ましくは、置換によって変異体に導入されている。1つ以上のシステインは、好ましくは、変異または挿入が許容され得ることを示す相同体間の保存が低いループ領域内に導入される。それらはしたがって、ポリヌクレオチド結合タンパク質の結合に好適である。かかる実施形態では、251位における天然型システインが除去されてもよい。システイン残基の反応性は、上記の修飾によって増強され得る。
【0193】
ポリヌクレオチド結合タンパク質は、変異体モノマーに直接結合してもよく、または1つ以上のリンカーを介して結合してもよい。分子は、国際出願第PCT/GB10/000132号(WO2010/086602として公開)に記載されるハイブリダイゼーションリンカーを使用して変異体モノマーに結合してもよい。代替的には、ペプチドリンカーを使用してもよい。ペプチドリンカーは、アミノ酸配列である。ペプチドリンカーの長さ、可動性、及び親水性は、典型的には、それがモノマー及び分子の機能を妨げないように設計される。好ましい可動性ペプチドリンカーは、2〜20個、例えば4、6、8、10、または16個のセリン及び/またはグリシンアミノ酸のストレッチである。より好ましい可動性リンカーは、(SG)
1、(SG)
2、(SG)
3、(SG)
4、(SG)
5、及び(SG)
8を含み、式中、Sはセリンであり、Gはグリシンである。好ましい剛直なリンカーは、2〜30個、例えば4、6、8、16、または24個のプロリンアミノ酸のストレッチである。より好ましい剛直なリンカーは、(P)
12を含み、式中、Pはプロリンである。
【0194】
変異体モノマーは、分子アダプター及びポリヌクレオチド結合タンパク質によって化学修飾され得る。
【0195】
分子(それによってモノマーが化学修飾されている)は、国際出願第PCT/GB09/001690号(WO2010/004273として公開)、同第PCT/GB09/001679号(WO2010/004265として公開)、または同第PCT/GB10/000133号(WO2010/086603として公開)に開示されるように、モノマーに直接結合してもよく、またはリンカーを介して結合してもよい。
【0196】
本発明の変異体モノマー及びポアなどの本明細書に記載されるタンパク質はいずれも、例えば、ポリペプチドがそのような配列を天然に含有しない細胞からのそれらの分泌を促進するための、ヒスチジン残基(hisタグ)、アスパラギン酸残基(aspタグ)、ストレプトアビジンタグ、flagタグ、SUMOタグ、GSTタグ、もしくはMBPタグの付加によって、またはシグナル配列の付加によって修飾して、それらの同定または純化を補助することができる。遺伝的タグを導入することの代替法は、タンパク上の天然のまたは操作された位置上にタグを化学反応させることである。これの例は、ゲルシフト試薬を、タンパク質の外側に操作されたシステインに反応させることであろう。これは、溶血毒ヘテロオリゴマーを分離するための方法として実証されている(Chem Biol.1997 Jul;4(7):497−505)。
【0197】
本発明の変異体モノマー及びポアなどの本明細書に記載されるタンパク質はいずれも、顕示標識で標識されてもよい。顕示標識は、タンパク質が検出されることを可能にする任意の好適な標識であり得る。好適な標識には、蛍光分子、放射性同位体、例えば、
125I、
35S、酵素、抗体、抗原、ポリヌクレオチド、及びビオチンなどのリガンドが含まれるが、これらに限定されない。
【0198】
本発明の変異体モノマー及びポアなどの本明細書に記載されるタンパク質はいずれも、合成的に、または組み換え手段によって作製され得る。例えば、タンパク質は、インビトロ翻訳及び転写(IVTT)によって合成され得る。タンパク質のアミノ酸配列は、非天然型アミノ酸を含むように、またはタンパク質の安定性を増加させるように修飾され得る。タンパク質が合成手段によって生成される場合、かかるアミノ酸は、生成中に導入され得る。タンパク質はまた、合成または組み換え生成のいずれかに続いて改変され得る。
【0199】
タンパク質はまた、D−アミノ酸を使用して生成され得る。例えば、タンパク質は、L−アミノ酸及びD−アミノ酸の混合物を含み得る。これは、かかるタンパク質またはペプチドを生成するための当該技術分野における従来法である。
【0200】
タンパク質はまた、それらがタンパク質の機能に干渉しない限り、他の非特異的修飾を含有してもよい。いくつかの非特異的側鎖修飾は当該技術分野で既知であり、タンパク質(複数可)の側鎖に行われ得る。かかる修飾には、例えば、アルデヒドとの反応に続くNaBH
4での還元によるアミノ酸の還元アルキル化、メチルアセトイミデート(methylacetimidate)によるアミジン化、または無水酢酸でのアシル化が含まれる。
【0201】
本発明のモノマー及びポアを含む本明細書に記載されるタンパク質はいずれも、当該技術分野で既知の標準的な方法を使用して生成することができる。タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、当該技術分野における標準的な方法を使用して得られ、複製され得る。タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、当該技術分野における標準的な方法を使用して細菌宿主細胞において発現され得る。タンパク質は、組み換え発現ベクターからのポリペプチドのインサイツ発現によって細胞内で生成され得る。発現ベクターは、任意に、ポリペプチドの発現を制御するために誘導性プロモーターを担持する。これらの方法は、Sambrook,J.and Russell,D.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Edition.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載されている。
【0202】
タンパク質は、タンパク質生成有機体から、任意のタンパク質液体クロマトグラフィーシステムによる精製に続いて、または組み換え発現の後に大規模に生成され得る。典型的なタンパク質液体クロマトグラフィーシステムには、FPLC、AKTAシステム、Bio−Cadシステム、Bio−Rad BioLogicシステム、及びGilson HPLCシステムが含まれる。
【0203】
構造体
本発明はまた、2つ以上の共有結合したCsgGモノマーを含む構造体であって、モノマーのうちの少なくとも1つが本発明の変異体モノマーである、構造体を提供する。本発明の凹像体は、ポアを形成するその能力を保持する。これは、上記のように判定され得る。本発明の1つ以上の構造体を使用して、ポリヌクレオチドの特徴付け、例えばシークエンシングのためのポアを形成することができる。構造体は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のモノマーを含んでもよい。構造体は、好ましくは、2個のモノマーを含む。2個以上のモノマーは、同じであるか、または異なる。
【0204】
構造体中の少なくとも1つのモノマーは、本発明の変異体モノマーである。構造体中の2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、または10個以上のモノマーが、本発明の変異体モノマーであってもよい。構造体中のモノマーは全て、好ましくは、本発明の変異体モノマーである。変異体モノマーは、同じであるか、または異なってもよい。好ましい実施形態では、構造体は、2個の本発明の変異体モノマーを含む。
【0205】
構造体中の本発明の変異体モノマーは、好ましくは、およそ同じ長さであるか、または同じ長さである。構造体中の本発明の変異体モノマーのバレルは、好ましくは、およそ同じ長さであるか、または同じ長さである。長さは、アミノ酸の数及び/または長さの単位で測定され得る。
【0206】
構造体は、本発明の変異体モノマーではない1つ以上のモノマーを含み得る。本発明の変異体モノマーではないCsgG変異体モノマーには、配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41を含むモノマー、または上記のアミノ酸/位置が一切変異されていない配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41の比較バリアントが含まれる。構造体中の少なくとも1つのモノマーは、配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41を含むモノマー、または配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41に示される配列の比較バリアントを含み得る。配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または41の比較バリアントは、その配列全体にわたって、アミノ酸同一性に基づき、配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または41に対して少なくとも50%の相同性を有する。より好ましくは、比較バリアントは、配列全体にわたって、アミノ酸同一性に基づき、配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または41のアミノ酸配列に対して少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、97%、または99%の相同性を有し得る。
【0207】
構造体中のモノマーは、好ましくは、遺伝的に融合されている。構造体全体が単一のポリヌクレオチド配列から発現される場合、モノマーは、遺伝的に融合される。モノマーのコード配列は、任意の方法で組み合わされて、構造体をコードする単一のポリヌクレオチド配列を形成し得る。
【0208】
モノマーは、任意の構成で遺伝的に融合されてもよい。モノマーは、それらの末端アミノ酸を介して融合されてもよい。例えば、1つのモノマーのアミノ末端は、別のモノマーのカルボキシ末端に融合され得る。構造体中の第2の後続のモノマー(アミノからカルボキシ方向において)は、それらのアミノ末端(その各々は、前のモノマーのカルボキシ末端に融合されている)においてメチオニンを含み得る。例えば、Mがモノマー(アミノ末端メチオニンを含まない)であり、mMが、アミノ末端メチオニンを含むモノマーである場合、構造体は、配列M−mM、M−mM−mM、またはM−mM−mM−mMを含み得る。これらのメチオニンの存在は、典型的に、構造体全体をコードするポリヌクレオチド内の第2または後続のモノマーをコードするポリヌクレオチドの5’末端における開始コドン(すなわち、ATG)の発現からもたらされる。構造体中の第1のモノマー(アミノからカルボキシ方向において)も、メチオニンを含み得る(例えば、mM−mM、mM−mM−mM、またはmM−mM−mM−mM)。
【0209】
2つ以上のモノマーは、直接共に遺伝的に融合されてもよい。モノマーは、好ましくは、リンカーを使用して遺伝的に融合される。リンカーは、モノマーの移動を制約するように設計され得る。好ましいリンカーは、アミノ酸配列(すなわち、ペプチドリンカー)である。上記のペプチドリンカーのいずれかを使用することができる。
【0210】
別の好ましい実施形態では、モノマーは、化学的に融合されている。2つの部分が、例えば化学架橋剤を介して化学結合している場合、2つのモノマーは化学的に融合されている。上記の化学架橋剤のいずれかを使用することができる。リンカーは、本発明の変異体モノマー内に導入された1つ以上のシステイン残基に結合してもよい。代替的には、リンカーは、構造体中のモノマーのうちの1つの末端に結合してもよい。
【0211】
構造体が異なるモノマーを含有する場合、モノマーのそれら自体への架橋は、モノマーを大幅に超えてリンカーの濃度を維持することによって防止される。代替的には、2つのリンカーが使用される「ロックアンドキー」配置を使用してもよい。各リンカーの一方の端部のみが互いに反応してより長いリンカーを形成し、リンカーの他方の端部は各々、異なるモノマーと反応し得る。かかるリンカーは、国際出願第PCT/GB10/000132号(WO2010/086602として公開)に記載されている。
【0212】
ポリヌクレオチド
本発明はまた、本発明の変異体モノマーをコードするポリヌクレオチド配列を提供する。変異体モノマーは、上記のもののいずれかであり得る。ポリヌクレオチド配列は、好ましくは、配列全体にわたって、ヌクレオチド同一性に基づき、配列番号1の配列に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%の相同性を有する配列を含む。300個以上、例えば375個、450個、525個、または600個以上の連続したヌクレオチドのストレッチにわたって、少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、または95%のヌクレオチド同一性があってもよい(「ハードホモロジー」)。相同性は、上記のように計算することができる。ポリヌクレオチド配列は、遺伝暗号の縮重に基づき、配列番号1と異なる配列を含み得る。
【0213】
本発明はまた、遺伝的に融合された本発明の構造体のいずれかをコードするポリヌクレオチド配列を提供する。ポリヌクレオチドは、好ましくは、配列番号1に示される配列の2つ以上のバリアントを含む。ポリヌクレオチド配列は、好ましくは、配列全体にわたって、ヌクレオチド同一性に基づき、配列番号1に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%の相同性を有する2つ以上の配列を含む。600個以上、例えば750個、900個、1050個、または1200個以上の連続したヌクレオチドのストレッチにわたって、少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、または95%のヌクレオチド同一性があってもよい(「ハードホモロジー」)。相同性は、上記のように計算することができる。
【0214】
ポリヌクレオチド配列は、当該技術分野における標準的な方法を使用して得られ、複製され得る。野生型CsgGをコードする染色体DNAは、ポア生成有機体、例えばEscherichia coliから抽出され得る。ポアサブユニットをコードする遺伝子は、特異的プライマーを伴うPCRを使用して増幅され得る。増幅された配列は、次いで、部位特異的変異誘発を経ることがある。部位特異的変異誘発の好適な方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、化合連鎖反応が含まれる。本発明の構造体をコードするポリヌクレオチドは、Sambrook,J.and Russell,D.(2001).Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Edition.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載されるものなどの、周知の技術を使用して作製され得る。
【0215】
得られたポリヌクレオチド配列は、次いで、複製可能な組み換えベクター、例えばクローニングベクターに組み込まれ得る。ベクターを使用して、適合する宿主細胞においてポリヌクレオチドを複製することができる。したがって、ポリヌクレオチド配列は、複製可能なベクター内にポリヌクレオチドを導入し、適合する宿主細胞内にベクターを導入し、ベクターの複製をもたらす条件下で宿主細胞を増殖させることによって作製され得る。ベクターは、宿油脂細胞から回収され得る。ポリヌクレオチドのクローニングのために好適な宿主細胞は、当該技術分野で既知であり、以下により詳細に記載される。
【0216】
ポリヌクレオチド配列は、好適な発現ベクターへとクローニングされ得る。発現ベクターにおいて、ポリヌクレオチド配列は、典型的には、宿主細胞によるコード配列の発現を提供することができる制御配列に作動可能に結合している。かかる発現ベクターを使用して、ポアサブユニットを発現させることができる。
【0217】
「作動可能に結合している」という用語は、並置を指し、記載される構成要素は、それらの意図される様式で機能することを可能にする関係性にある。コード配列に「作動可能に結合した」制御配列は、コード配列の発現が制御配列に適合した条件下で達成されるような方法でライゲーションされる。同じまたは異なるポリヌクレオチド配列の複数のコピーが、ベクター内に導入されてもよい。
【0218】
発現ベクターは、次いで、好適な宿主細胞内に導入され得る。したがって、本発明の変異体モノマーまたはポアは、発現ベクター内にポリヌクレオチド配列を挿入し、適合する細菌宿主細胞内にベクターを導入し、ポリヌクレオチド配列の発現をもたらす条件下で宿主細胞を増殖させることによって作製され得る。組み換え発現されたモノマーまたは構造体は、宿主細胞膜のポア内に自己組織化し得る。代替的には、この方法で生成された組み換えポアは、宿主細胞から除去され、別の膜内に挿入されてもよい。少なくとも2つの異なるモノマーまたは構造体を含むポアを生成するとき、異なるモノマーまたは構造体は、上記のように異なる宿主細胞内で別個に発現され、宿主細胞から取り出され、ウサギ細胞膜または合成膜などの別個の膜のポアを形成してもよい。
【0219】
ベクターは、例えば、プラスミド、または複製開始点を伴うウイルスまたはファージベクター、任意に当該ポリヌクレオチド配列の発現のためのプロモーター、及び任意にプロモーターのレギュレーターであり得る。ベクターは、1つ以上の選択的マーカー遺伝子、例えば、テトラサイクリン抵抗性遺伝子を含有し得る。プロモーター及び他の発現調節シグナルは、そのために発現ベクターが設計される宿主細胞に適合するように選択され得る。T7、trc、lac、ara、またはλ
Lプロモーターが典型的に使用される。
【0220】
宿主細胞は、典型的に、モノマーまたは構造体を高レベルで発現する。ポリヌクレオチド配列によって形質転換された宿主細胞は、細胞を形質転換するために使用された発現ベクターと適合するように選択されることになる。宿主細胞は、典型的に細菌であり、好ましくは、Escherichia coliである。λDE3溶原菌を有する任意の細胞、例えば、C41(DE3)、BL21(DE3)、JM109(DE3)、B834(DE3)、TUNER、Origami及びOrigami Bは、T7プロモーターを含むベクターを発現することができる。上に列挙された条件に加えて、Cao et al,2014,PNAS,Structure of the nonameric bacterial amyloid secretion channel,doi−1411942111及びGoyal et al,2014,Nature,516,250−253 structural and mechanistic insights into the bacterial amyloid secretion channel CsgGに引用される方法のいずれかを使用して、CsgGタンパク質を発現することができる。
【0221】
本発明はまた、本発明の変異体モノマーまたは本発明の構造体を生成する方法を含む。本方法は、好適な宿主細胞において本発明のポリヌクレオチドを発現させることを含む。ポリヌクレオチドは、好ましくは、ベクターの一部であり、好ましくは、プロモーターに作動可能に結合している。
【0222】
ポア
本発明はまた、様々なポアを提供する。本発明のポアは、それらが異なるヌクレオチドを高度の感受性で識別することができるため、ポリヌクレオチド配列の特徴付け、例えばシークエンシングに理想的である。ポアは、驚くことに、DNA及びRNA中の4つのヌクレオチドを識別することができる。本発明のポアは、さらに、メチル化ヌクレオチド及び非メチル化ヌクレオチドを識別することができる。本発明のポアの塩基分解能は驚くほど高い。ポアは、4つのDNAヌクレオチドの全てのほぼ完全な分離を示す。ポアはさらに、ポア中の滞留時間及びポアを通って流れる電流に基づき、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)とメチル−dCMPを識別する。
【0223】
本発明のポアはまた、一定範囲の条件下で異なるヌクレオチドを識別することができる。とりわけ、ポアは、核酸の特徴付け、例えばシークエンシングに好都合な条件下でヌクレオチドを識別することになる。本発明のポアが異なるヌクレオチドを識別することができる程度は、印加される電位、塩濃度、緩衝液、温度、ならびに尿素、ベタイン、及びDTTなどの添加剤の存在を変えることによって制御することができる。これは、特にシークエンシングの際に、ポアの機能を微調整することを可能にする。これは、以下により詳細に論じられる。本発明を使用して、ヌクレオチドごとに行うのではなく、1つ以上のモノマーとの相互作用からポリヌクレオチドポリマーを同定することもできる。
【0224】
本発明のポアは、単離されているか、実質的に単離されているか、精製されているか、または実質的に精製されていてもよい。本発明のポアは、それが脂質または他のポアなどの任意の他の構成要素を一切含まない場合、単離または精製されている。ポアは、それが、その意図される使用に干渉しない担体または希釈剤と混合されている場合、実質的に単離されている。例えば、ポアは、それが、10%未満、5%未満、2%未満、または1%未満の他の構成要素、例えばトリブロックコポリマー、脂質、または他のポアを含む形態で存在する場合、実質的に単離されているか、または実質的に精製されている。代替的には、本発明のポアは、膜内に存在してもよい。好適な膜は、以下に論じられる。
【0225】
本発明のポアは、個々のポア、または単一のポアとして存在し得る。代替的には、本発明のポアは、2つ以上のポアの相同性または異種性集団において存在してもよい。
【0226】
ホモオリゴマーポア
本発明はまた、本発明の同一の変異体モノマーを含むCsgGに由来するホモオリゴマーポアを提供する。ホモオリゴマーポアは、本発明の変異体のいずれかを含んでもよい。本発明のホモオリゴマーポアは、ポリヌクレオチドの特徴付け、例えばシークエンシングに理想的である。本発明のホモオリゴマーポアは、上記の利点のいずれかを有し得る。
【0227】
ホモオリゴマーポアは、任意の数の変異体モノマーを含有し得る。ポアは、典型的に、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の同一の変異体モノマー、例えば7、8、9、または10個の変異体モノマーを含む。ポアは、好ましくは、8または9個の同一の変異体モノマーを含む。変異体モノマーのうちの1個以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、または10個は、好ましくは、上記のように化学修飾されている。
【0228】
ポアを作製するための方法は、以下により詳細に論じられる。
【0229】
ヘテロオリゴマーポア
本発明はまた、少なくとも1つの本発明の変異体モノマーを含むCsgGに由来するヘテロオリゴマーポアを提供する。本発明のヘテロオリゴマーポアは、ポリヌクレオチドの特徴付け、例えばシークエンシングに理想的である。ヘテロオリゴマーポアは、当該技術分野で既知の方法を使用して作製することができる(例えば、Protein Sci.2002 Jul;11(7):1813−24)。
【0230】
ヘテロオリゴマーポアは、ポアを形成するために十分なモノマーを含有する。モノマーは、任意の種類であり得る。ポアは、典型的に、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のモノマー、例えば7、8、9、または10個のモノマーを含む。ポアは、好ましくは、8または9個のモノマーを含む。
【0231】
好ましい実施形態では、モノマーの全て(例えば、モノマーのうちの10、9、8、または7個)は、本発明の変異体モノマーであり、それらのうちの少なくとも1個は、他のものとは異なる。より好ましい実施形態では、ポアは、8または9個の本発明の変異体モノマーを含み、それらのうちの少なくとも1個は、他のものとは異なる。それらは全て互いと異なっていてもよい。
【0232】
ポア中の本発明の変異体モノマーは、好ましくは、およそ同じ長さであるか、または同じ長さである。ポア中の本発明の変異体モノマーのバレルは、好ましくは、およそ同じ長さであるか、または同じ長さである。長さは、アミノ酸の数及び/または長さの単位で測定され得る。
【0233】
別の好ましい実施形態では、変異体モノマーのうちの少なくとも1個は、本発明の変異体モノマーではない。この実施形態では、残りのモノマーは、好ましくは、本発明の変異体モノマーである。したがって、ポアは、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個の本発明の変異体モノマーを含み得る。ポア中の任意の数のモノマーは、本発明の変異体モノマーでなくてもよい。ポアは、好ましくは、7または8個の本発明の変異体モノマー、及び本発明のモノマーではない1個のモノマーを含む。本発明の変異体モノマーは、同じであるか、または異なってもよい。
【0234】
構造体中の本発明の変異体モノマーは、好ましくは、およそ同じ長さであるか、または同じ長さである。構造体中の本発明の変異体モノマーのバレルは、好ましくは、およそ同じ長さであるか、または同じ長さである。長さは、アミノ酸の数及び/または長さの単位で測定され得る。
【0235】
ポアは、本発明の変異体モノマーではない1個以上のモノマーを含み得る。本発明の変異体モノマーではないCsgG変異体モノマーには、配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41を含むモノマー、または上記のアミノ酸/位置が一切変異/置換されていない配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41の比較バリアントが含まれる。配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または41の比較バリアントは、典型的には、その配列全体にわたって、アミノ酸同一性に基づき、配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または41に対して少なくとも50%の相同性を有する。より好ましくは、比較バリアントは、配列全体にわたって、アミノ酸同一性に基づき、配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または41のアミノ酸配列に対して少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、97%、または99%の相同性を有し得る。
【0236】
上記の全ての実施形態では、変異体モノマーのうちの1個以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、または10個は、好ましくは、上記のように化学修飾されている。
【0237】
ポアを作製するための方法は、以下により詳細に論じられる。
【0238】
構造体含有ポア
本発明はまた、少なくとも1個の本発明の構造体を含むポアを提供する。本発明の構造体は、CsgGに由来する2個以上の共有結合したモノマーを含み、モノマーのうちの少なくとも1個は、本発明の変異体モノマーである。換言すれば、構造体は、1個超のモノマーを含有しなければならない。ポアは、ポアを形成するために十分は構造体と、必要であれば、モノマーとを含有する。例えば、オクタマーポアは、(a)各々2個の構造体を含む4個の構造体、(b)各々4個のモノマーを含む2個の構造体、または(b)2個のモノマーを含む1個の構造体、及び構造体の一部を成さない6個のモノマーを含み得る。例えば、ノナマーポアは、(a)各々2個の構造体を含む4個の構造体、及び構造体の一部を成さない1個のモノマー、(b)各々4個のモノマーを含む2個の構造体、及び構造体の一部を成さない1個のモノマー、または(b)2個のモノマーを含む1個の構造体、及び構造体の一部を成さない7個のモノマーを含み得る。構造体及びモノマーの他の組み合わせが当業者によって想定され得る。
【0239】
ポア中のモノマーのうちの少なくとも2個は、本発明の構造体の形態にある。構造体、故にポアは、少なくとも1個の本発明の変異体モノマーを含む。ポアは、典型的に、合計で少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のモノマー、例えば7、8、9、または10個のモノマーを含む(そのうちの少なくとも2個は、構造体中になければならない)。ポアは、好ましくは、8または9個のモノマーを含む(そのうちの少なくとも2個は構造体中になければならない)。
【0240】
構造体含有ポアは、ホモオリゴマー(すなわち、同一の構造体を含む)であっても、またはヘテロオリゴマーポア(すなわち、少なくとも1個の構造体が他のものと異なる)であってもよい。
【0241】
ポアは、典型的に、(a)2個のモノマーを含む1個の構造体、及び(b)5、6、7、または8個のモノマーを含有する。構造体は、上述のもののいずれかであり得る。モノマーは、上記のように、配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41を含むモノマーである、本発明の変異体モノマー、または配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41の比較バリアントを含む変異体モノマーを含む、上記のもののいずれかであり得る。
【0242】
別の典型的なポアは、1個超の本発明の構造体、例えば2、3、または4個の本発明の構造体を含む。必要であれば、かかるポアは、ポアを形成するために十分な追加のモノマーまたは構造体をさらに含む。追加のモノマー(複数可)は、上記のように、配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41を含むモノマーである、本発明の変異体モノマー、または配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41の比較バリアントを含む変異体モノマーを含む、上記のもののいずれかであり得る。追加の構造体(複数可)は、上記のもののいずれかであってもよく、または配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41を含むモノマー、もしくは配列番号2、3、4、5、6、7、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、もしくは41の比較バリアントを各々含む2つ以上の共有結合したCsgGモノマーを含む構造体であってもよい。
【0243】
本発明のさらなるポアは、2個のモノマーを含む構造体のみを含み、例えば、ポアは、2個のモノマーを含む4、5、6、7、または8個の構造体を含み得る。少なくとも1個の構造体は、本発明の構造体であり、すなわち、少なくとも1個の構造体中の少なくとも1個のモノマー、好ましくは少なくとも1個の構造体中の各モノマーは、本発明の変異体モノマーである。2個のモノマーを含む構造体は全て、本発明の構造体であり得る。
【0244】
本発明による特異的ポアは、2個のモノマーを各々含む本発明の4個の構造体を含み、各構造体中の少なくとも1個のモノマー、好ましくは各構造体中の各モノマーは、本発明の変異体モノマーである。構造体は、各構造体の1個のみのモノマーがポアのチャネルに寄与するような構造で、ポア内にオリゴマー形成し得る。典型的には、構造体の他のモノマーは、ポアのチャネルの外側にあることになる。例えば、本発明のポアは、2個のモノマーを含む7、8、9、または10個の構造体を含み得、チャネルは、7、8、9、または10個のモノマーを含む。
【0245】
変異は、上記のように構造体内に導入され得る。変異は交互であってもよく、すなわち、変異は2個のモノマー構造体以内の各モノマーについて異なり、構造体はホモオリゴマーとして形成され、交互修飾をもたらす。換言すれば、MutA及びMutBを含むモノマーは、融合及び組織化されてA−B:A−B:A−B:A−Bポアを形成する。代替的には、変異は隣接していてもよく、すなわち、同一の変異が構造体中の2個のモノマー内に導入され、これは次いで、異なる変異体モノマーまたは構造体とオリゴマー形成される。換言すれば、MutAを含むモノマーは融合され、続いてMutB含有モノマーとオリゴマー形成されて、A−A:B:B:B:B:B:Bを形成する。
【0246】
構造体含有ポア中の本発明のモノマーのうちの1個以上は、上記のように化学修飾されていてもよい。
【0247】
分析物の特徴付け
本発明は、標的分析物の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定する方法を提供する。本方法は、標的分析物がポアに対して、例えばそれを通して移動するように、標的分析物を本発明のポアと接触させることと、分析物がポアに関して移動する間に1つ以上の測定値を取り、それにより分析物の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定することと、を伴う。標的分析物はまた、鋳型分析物または目的の分析物とも呼ばれ得る。
【0248】
ステップ(a)及び(b)は、好ましくは、ポアにわたって電位が印加された状態で実施される。以下により詳細に論じられるように、印加される電位は、典型的には、ポアとポリヌクレオチド結合タンパク質との複合体の形成をもたらす。印加される電位は、電圧電位であり得る。代替的には、印加される電位は、化学的電位であり得る。この例は、両親媒性層にわたって塩勾配を使用することである。塩勾配は、Holden et al.,J Am Chem Soc.2007 Jul 11;129(27):8650−5に開示されている。
【0249】
本方法は、標的分析物の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定するためのものである。本方法は、少なくとも1つの分析物の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定するためのものであってもよい。本方法は、2つ以上の分析物の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定することに関してもよい。本方法は、任意の数の分析物、例えば2、5、10、15、20、30、40、50、100個、またはそれ以上の分析物の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定することを含んでもよい。1つ以上の分析物の任意の数の特徴、例えば1、2、3、4、5、10個、またはそれ以上の特徴が判定され得る。
【0250】
標的分析物は、好ましくは、金属イオン、無機塩、ポリマー、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、染料、漂白剤、医薬品、診断薬、レクリエーショナルドラッグ、爆発物、または環境汚染物質である。本方法は、2つ以上の同じ種類の分析物、例えば2つ以上のタンパク質、2つ以上のヌクレオチド、または2つ以上の医薬品の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定することに関してもよい。代替的には、本方法は、2つ以上の異なる種類の分析物、例えば1つ以上のタンパク質、1つ以上のヌクレオチド、及び1つ以上の医薬品の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定することに関してもよい。
【0251】
標的分析物は、細胞から分泌され得る。代替的には、標的分析物は、細胞の内部に存在する分析物であり得、その場合、分析物は、本発明が実施され得る前に細胞から抽出されなければならない。
【0252】
分析物は、好ましくは、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、及び/またはタンパク質である。アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、天然型であっても非天然型であってもよい。ポリペプチドまたはタンパク質は、それらの中に合成または修飾アミノ酸を含み得る。アミノ酸へのいくつかの異なる種類の修飾が当該技術分野で既知である。好適なアミノ酸及びその修飾は、上記である。本発明の目的において、標的分析物は、当該技術分野で利用可能な任意の方法によって修飾され得ることを理解されたい。
【0253】
タンパク質は、酵素、抗体、ホルモン、成長因子、または成長調節タンパク質、例えばサイトカインであり得る。サイトカインは、インターロイキン、好ましくは、IFN−1、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、及びIL−13、インターフェロン、好ましくは、IL−γ、ならびに他のサイトカイン、例えばTNF−αから選択され得る。タンパク質は、細菌タンパク質、真菌タンパク質、ウイルスタンパク質、または寄生虫由来のタンパク質であり得る。
【0254】
標的分析物は、好ましくは、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドである。ヌクレオチド及びポリヌクレオチドは、以下に論じられる。オリゴヌクレオチドは、典型的に50個以下のヌクレオチド、例えば40個以下、30個以下、20個以下、10個以下、または5個以下のヌクレオチドを有する短いヌクレオチドポリマーである。オリゴヌクレオチドは、脱塩基及び修飾ヌクレオチドを含む、下記のヌクレオチドのいずれかを含んでもよい。
【0255】
標的分析物、例えば標的ポリヌクレオチドは、下記の好適な試料のいずれかに存在し得る。
【0256】
ポアは典型的に、下記のように、膜内に存在する。標的分析物は、下記の方法を使用して膜に結合または送達され得る。
【0257】
下記の測定値のいずれかを使用して、標的分析物の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定することができる。本方法は、好ましくは、標的分析物がポアに対して移動するように、例えばそれを通して移動するように、標的分析物をポアと接触させることと、分析物がポアに関して移動する間にポアを通過する電流を測定し、それにより分析物の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定することと、を含む。
【0258】
分析物について特異的な方法で電流がポアを通過する場合(すなわち、分析物に関連付けられる固有の電流がポアを通過することが検出された場合)、標的分析物は存在する。ヌクレオチドについて特異的な方法で電流がポアを通過しない場合、分析物は不在である。分析物の存在下で対照実験を実施して、それがポアを通過する電流にどのように影響を及ぼすかを判定することができる。
【0259】
本発明を使用して、それらがポアを通過する電流にもたらす異なる影響に基づいて、類似構造の分析物を区別することができる。個々の分析物は、それらがポアと相互作用するときの電流振幅から、単一分子レベルで同定することができる。本発明を使用して、試料中に特定の分析物が存在するか否かを判定することもできる。本発明を使用して、試料中の特定の分析物の濃度を測定することもできる。CsgG以外のポアを使用した分析物の特徴付けは、当該技術分野で既知である。
【0260】
ポリヌクレオチド特徴付け
本発明は、標的ポリヌクレオチドの特徴付けの方法、例えばポリヌクレオチドのシークエンシングの方法を提供する。ナノポアを使用してポリヌクレオチドの特徴付けまたはシークエンシングを行うためには、2つの主要な戦略、すなわち鎖の特徴付け/シークエンシング及びエキソヌクレアーゼの特徴付け/シークエンシングが存在する。本発明の方法は、いずれかの方法を伴い得る。
【0261】
鎖シークエンシングにおいて、DNAは、印加された電位と共にまたはそれに対して、ナノポアを通して転移される。二本鎖DNA上で進行的または前進的に作用するエキソヌクレアーゼをポアのシス側に使用して、印加された電位化で、または逆電位下のトランス側で、残りの一本鎖を貫通接続することができる。同様に、二本鎖DNAを解くヘリカーゼも、類似の方法で使用することができる。ポリメラーゼも使用することができる。印加された電位に対する鎖転移を必要とするシークエンシングアプリケーションの可能性もあるが、DNAはまず、逆電位下または電位のない状態下で酵素によって「捕まら」なければならない。その後、結合に続いて電位が戻されると、鎖は、ポアをシスからトランスへと通り、電流によって拡張された立体構造で保持されることになる。一本鎖DNAエキソヌクレアーゼまたは一本鎖DNA依存性ポリメラーゼは分子モーターとして作用して、印加された電位に対して、新たに転移された一本鎖を、制御された様式でポアを通してトランスからシスへと引き戻すことができる。
【0262】
一実施形態では、標的ポリヌクレオチドを特徴付ける方法は、標的配列を、本発明のポア及びヘリカーゼ酵素と接触させることを伴う。本方法において、任意のヘリカーゼを使用することができる。好適なヘリカーゼは、以下に論じられる。ヘリカーゼは、ポアに対して2つのモードで働き得る。第1に、本方法は、好ましくは、それが、印加された電位から生じる電界と共にポアを通る標的配列の移動を制御するように、ヘリカーゼを使用して実施される。このモードにおいて、DNAの5’末端がまずポア内に捕捉され、酵素は、それが最終的に二分子層のトランス側を通って転移するまで、標的配列が電界と共にポアに通されるように、DNAのポア内への移動を制御する。代替的には、本方法は、好ましくは、ヘリカーゼ酵素が、印加された電位から生じる電界に対してポアを通る標的配列の移動を制御するように実施される。このモードにおいて、DNAの3’末端がまずポア内に捕捉され、酵素は、標的配列が、最終的に二分子層のシス側に戻って排出されるまで、印加された電界に対してポアの外に引き出されるように、ポアを通るDNAの移動を制御する。
【0263】
エキソヌクレアーゼシークエンシングにおいて、エキソヌクレアーゼは、個々のヌクレオチドを標的ポリヌクレオチドの一方の末端から放出し、これらの個々のヌクレオチドは、以下のように同定される。別の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを特徴付ける方法は、標的配列をポア及びエキソヌクレアーゼ酵素と接触させることを伴う。本方法において、下記のエキソヌクレアーゼのいずれかを使用することができる。酵素は、下記のように、ポアと共有結合していてもよい。
【0264】
エキソヌクレアーゼは、典型的に、ポリヌクレオチドの一方の末端にラッチされ、その末端から1個ずつのヌクレオチドで配列を消化する酵素である。エキソヌクレアーゼは、5’から3’方向または3’から5’方向でポリヌクレオチドを消化することができる。エキソヌクレアーゼが結合するポリヌクレオチドの末端は、典型的には、使用される酵素の選択を介して、かつ/または当該技術分野で既知の方法を使用して判定される。典型的には、ポリヌクレオチドの両端におけるヒドロキシル基またはキャップ構造を使用して、ポリヌクレオチドの特定の末端へのエキソヌクレアーゼの結合を防止または促進することができる。
【0265】
本方法は、上記のようなヌクレオチドの一部の特徴付けまたは同定を可能にする速度でヌクレオチドがポリヌクレオチドの末端から消化されるように、ポリヌクレオチドをエキソヌクレアーゼと接触させることを伴う。これを行う方法は、当該技術分野で周知である。例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用してそれらが同定され得るように、ポリペプチドの末端から単一のアミノ酸を連続的に消化するためにエドマン分解が使用される。本発明において、相同法を使用することができる。
【0266】
エキソヌクレアーゼが機能する速度は、典型的には、野生型エキソヌクレアーゼの最適速度よりも遅い。本発明の方法におけるエキソヌクレアーゼの活性の好適な速度は、毎秒0.5〜1000ヌクレオチド、毎秒0.6〜500ヌクレオチド、毎秒0.7〜200ヌクレオチド、毎秒0.8〜100ヌクレオチド、毎秒0.9〜50ヌクレオチド、毎秒1〜20または10ヌクレオチドの消化を伴う。速度は、好ましくは、毎秒1、10、100、500、または1000ヌクレオチドである。エキソヌクレアーゼ活性の好適な速度は、様々な方法で達成することができる。例えば、活性の低減された最適速度を有するバリアントエキソヌクレアーゼが本発明に従って使用され得る。
【0267】
鎖特徴付け実施形態では、本方法は、ポアに対して、例えばそれを通してポリヌクレオチドが移動するように、ポリヌクレオチドを本発明のポアと接触させることと、ポリヌクレオチドがポアに対して移動する間に1つ以上の測定値を取ることであって、測定値はポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、取ることによって、標的ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む。
【0268】
エキソヌクレオチド特徴付け実施形態では、本方法は、エキソヌクレアーゼが標的ポリヌクレオチドの一方の末端から個々のヌクレオチドを消化し、かつ個々のヌクレオチドがポアに対して、例えばそれを通して移動するように、ポリヌクレオチドを本発明のポア及びエキソヌクレアーゼと接触させることと、個々のヌクレオチドがポアに対して移動する間に1つ以上の測定値を取ることであって、測定値は個々のヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、取ることによって、標的ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む。
【0269】
個々のヌクレオチドは、単一のヌクレオチドである。個々のヌクレオチドは、ヌクレオチド結合によって別のヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと結合していないものである。ヌクレオチド結合は、ヌクレオチドのリン酸基のうちの1つが、別のヌクレオチドの糖基に結合することを伴う。個々のヌクレオチドは、典型的には、ヌクレオチドによって、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1000、または少なくとも5000ヌクレオチドの別のポリヌクレオチドに結合していないものである。例えば、個々のヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチド配列、例えばDNAまたはRNA鎖から消化されている。ヌクレオチドは、下記のもののいずれかであり得る。
【0270】
個々のヌクレオチドは、任意の方法及び任意の部位でポアと相互作用することができる。ヌクレオチドは、好ましくは、上記のようなアダプターを介してまたはそれと併せて、ポアに逆向きに結合する。ヌクレオチドは、最も好ましくは、それらが膜にわたってポアを通過する間に、アダプターを介してまたはそれと併せて、ポアに逆向きに結合する。ヌクレオチドはまた、それらが膜にわたってポアを通過する間に、アダプターを介してまたはそれと併せて、ポアのバレルまたはチャネルに逆向きに結合し得る。
【0271】
個々のヌクレオチドとポアとの相互作用の間、ヌクレオチドは、典型的には、そのヌクレオチドについて特異的な方法でポアを通過する電流に影響を及ぼす。例えば、特定のヌクレオチドは、特定の平均時間にわたり、かつ特定の程度まで、ポアを通過する電流を低減させることになる。換言すれば、ポアを通る電流は、特定のヌクレオチドについて固有である。分析物の存在下で対照実験を実施して、ポアを通過する電流に対して特定のヌクレオチドが有する影響を判定することができる。試験試料上で本発明の方法を実施した結果を、その後、かかる対照実験から得られた結果と比較して、試料中の特定のヌクレオチドを同定するか、または特定のヌクレオチドが試料中に存在するかどうかを判定することができる。特定のヌクレオチドを示す様式でポアを通過する電流が影響される周波数を使用して、試料中のそのヌクレオチドの濃度を判定することができる。試料内の異なるヌクレオチドの割合も計算することができる。例えば、dCMP対メチルdCMPの割合を計算することができる。
【0272】
本方法は、標的ポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を測定することを伴う。標的ポリヌクレオチドはまた、鋳型ポリヌクレオチドまたは目的のポリヌクレオチドとも呼ばれ得る。
【0273】
この実施形態はまた、本発明のポアを使用する。標的分析物に関して上記のポア及び実施形態のいずれかが使用され得る。
【0274】
ポリヌクレオチド
核酸などのポリヌクレオチドは、2つ以上のヌクレオチドを含む高分子である。ポリヌクレオチドはまたは核酸は、任意のヌクレオチドの任意の組み合わせを含み得る。ヌクレオチドは、天然であっても人工であってもよい。ポリヌクレオチド中の1つ以上のヌクレオチドは、酸化またはメチル化されてもよい。ポリヌクレオチド中の1つ以上のヌクレオチドは、損傷していてもよい。例えば、ポリヌクレオチドは、ピリミジンダイマーを含んでもよい。かかるダイマーは、典型的には、紫外線による損傷に関連付けられ、皮膚メラノーマの主因である。ポリヌクレオチド中の1つ以上のヌクレオチドは、例えば標識またはタグによって修飾され得る。好適な標識は、以下に記載される。ポリヌクレオチドは、1つ以上のスペーサを含み得る。
【0275】
ヌクレオチドは、典型的には、核酸塩基、糖、及び少なくとも1つのリン酸基を含有する。核酸塩基及び糖は、ヌクレオシドを形成する。
【0276】
核酸塩基は、典型的には、複素環である。核酸塩基には、プリン及びピリミジン、より具体的には、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、ウラシル(U)、及びシトシン(C)が含まれるが、これらに限定されない。
【0277】
糖は、典型的には、五炭糖である。ヌクレオチド糖には、リボース及びデオキシリボースが含まれるが、これらに限定されない。糖は、好ましくは、デオキシリボースである。
【0278】
ポリヌクレオチドは、好ましくは、以下のヌクレオシド、デオキシアデノシン(dA)、デオキシウリジン(dU)及び/またはチミジン(dT)、デオキシグアノシン(dG)、ならびにデオキシシチジン(dC)を含む。
【0279】
ヌクレオチドは、典型的には、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドである。ヌクレオチドは、典型的には、一リン酸、二リン酸、または三リン酸を含有する。ヌクレオチドは、3個超のリン酸、例えば4または5個のリン酸を含み得る。リン酸は、ヌクレオチドの5’または3’側に結合し得る。ヌクレオチドには、アデノシン一リン酸(AMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、チミジン一リン酸(TMP)、ウリジン一リン酸(UMP)、5−メチルシチジン一リン酸、5−ヒドロキシメチルシチジン一リン酸、シチジン一リン酸(CMP)、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、及びデオキシメチルシチジン一リン酸が含まれるが、これらに限定されない。ヌクレオチドは、好ましくは、AMP、TMP、GMP、CMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMP、dCMP、及びdUMPから選択される。
【0280】
ヌクレオチドは、脱塩基(すなわち、核酸塩基を欠く)であってもよい。ヌクレオチドはまた、核酸塩基及び糖を欠いてもよい(すなわち、C3スペーサである)。
【0281】
ポリヌクレオチド中のヌクレオチドは、任意の方法で互いに結合し得る。ヌクレオチドは、典型的には、核酸と同様に、それらの糖及びリン酸基によって結合している。ヌクレオチドは、ピリミジンダイマーと同様に、それらの核酸塩基を介して接続し得る。
【0282】
ポリヌクレオチドは、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。ポリヌクレオチドは、好ましくは、一本鎖である。一本鎖ポリヌクレオチド特徴付けは、実施例において1Dと称される。ポリヌクレオチドの少なくとも一部は、二本鎖であってもよい。
【0283】
ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)などの核酸であり得る。ポリヌクレオチドは、DNAの1本の鎖にハイブリダイズされたRNAの1本の鎖を含み得る。ポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知の任意の合成核酸、例えば、ペプチド核酸(PNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ロックド核酸(LNA)、またはヌクレオチド側鎖を有する他の合成ポリマーであり得る。PNA骨格は、ペプチド結合によって連結した繰り返しN−(2−アミノエチル)−グリシン単位で構成されている。GNA骨格は、ホスホジエステル結合によって連結した繰り返しグリコール単位で構成されている。TNA骨格は、ホスホジエステル結合によって共に連結した繰り返しトレオース糖で構成されている。LNAは、上記のように、リボース部分における2’酸素及び4’炭素を接続する余分な架橋を有するリボヌクレオチドから形成される。架橋核酸(BNA)は、修飾RNAヌクレオチドである。それらはまた、拘束RNAまたは隔絶RNAとも呼ばれ得る。BNAモノマーは、「固定」C3’−endo糖パッカリングを有する、5員、6員、またはさらには7員の架橋構造を含有し得る。2’,4’−BNAモノマーを生成するために、架橋は、リボースの2’,4’位置に合成的に組み込まれる。
【0284】
ポリヌクレオチドは、最も好ましくは、リボ核酸核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)である。
【0285】
ポリヌクレオチドは、任意の長さであり得る。例えば、ポリヌクレオチドは、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、または少なくとも500ヌクレオチドまたはヌクレオチド対の長さであり得る。ポリヌクレオチドは、1000以上のヌクレオチドもしくはヌクレオチド対、5000以上のヌクレオチドもしくはヌクレオチド対の長さ、または100000以上のヌクレオチドもしくはヌクレオチド対の長さであり得る。
【0286】
任意の数のポリヌクレオチドを調査することができる。例えば、本発明の方法は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、50、100、またはそれ以上のポリヌクレオチドの特徴付けに関し得る。2個以上のポリヌクレオチドが特徴付けられた場合、それらは、異なるポリヌクレオチドであるか、または同じポリヌクレオチドの2個の実例であり得る。
【0287】
ポリヌクレオチドは、天然であっても人工であってもよい。例えば、本方法を使用して、製造されたオリゴヌクレオチドの配列を確かめることができる。本方法は、典型的には、インビトロで実施される。
【0288】
試料
ポリヌクレオチドは、典型的には、任意の好適な試料中に存在する。本発明は、典型的には、ポリヌクレオチドを含有することが既知であるか、それを含有する疑いがある試料上で実施される。代替的には、本発明は、試料中のその存在が既知であるかまたは予想されるポリヌクレオチドの同一性を確認するために、試料上で実施されてもよい。
【0289】
試料は、生体試料であり得る。本発明は、任意の有機体または微生物から得られたかまたは抽出された試料を使用してインビトロで実施され得る。有機体または微生物は、典型的には、古細菌、原核生物、または真核生物であり、典型的には、植物界、動物界、真菌界、モネラ界、及び原生生物界の5つ界のうちの1つに属する。本発明は、任意のウイルスから得られたかまたは抽出された試料上でインビトロで実施され得る。試料は、好ましくは、液体試料である。試料は、典型的には、患者の体液を含む。試料は、尿、リンパ液、唾液、粘液、または羊水であり得るが、好ましくは、血液、血漿、または血清である。
【0290】
典型的には、試料は、人間起源であるが、代替的には、別の哺乳動物、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、サカナ、ニワトリ、またはブタなどの商業用飼育動物であり得るか、または代替的には、ネコまたはイヌなどの愛玩動物であり得る。代替的には、試料は、植物起源であってもよく、例えば、穀物、マメ科植物、果物、または野菜などの商業用作物、例えば、小麦、大麦、オート麦、セイヨウアブラナ、トウモロコシ、大豆、米、ルバーブ、バナナ、リンゴ、トマト、ジャガイモ、ブドウ、タバコ、豆、レンズ豆、サトウキビ、ココア、綿から得られた試料であってもよい。
【0291】
試料は、非生体試料であってもよい。非生体試料は、好ましくは、液体試料である。非生体試料の例としては、外科用流体、水、例えば飲料水、海水、または河川水、及び臨床検査用の試薬が挙げられる。
【0292】
試料は、典型的には、本発明において使用される前に、例えば、遠心分離によって、または不必要な分子もしくは細胞を濾過して取り除く膜を通した通過によって、処理される。それは、採取された直後に測定されてもよい。試料はまた、典型的には、アッセイの前に、好ましくは−70℃未満で保管され得る。
【0293】
特徴付け
本方法は、ポリヌクレオチドの2つ、3つ、4つ、または5つ以上の特徴を測定することを伴い得る。1つ以上の特徴は、好ましくは、(i)ポリヌクレオチドの長さ、(ii)ポリヌクレオチドの同一性、(iii)ポリヌクレオチドの配列、(iv)ポリヌクレオチドの二次構造、及び(v)ポリヌクレオチドが修飾されているか否かから選択される。{i}、{ii}、{iii}、{iv}、{v}、{i,ii}、{i,iii}、{i,iv}、{i,v}、{ii,iii}、{ii,iv}、{ii,v}、{iii,iv}、{iii,v}、{iv,v}、{i,ii,iii}、{i,ii,iv}、{i,ii,v}、{i,iii,iv}、{i,iii,v}、{i,iv,v}、{ii,iii,iv}、{ii,iii,v}、{ii,iv,v}、{iii,iv,v}、{i,ii,iii,iv}、{i,ii,iii,v}、{i,ii,iv,v}、{i,iii,iv,v}、{ii,iii,iv,v}、または{i,ii,iii,iv,v}などの(i)〜(v)の任意の組み合わせが本発明に従って測定され得る。(i)〜(v)の異なる組み合わせは、第2のポリヌクレオチドと比較して、第1のポリヌクレオチドについて測定され得、上記に列挙された組み合わせのいずれかが含まれる。
【0294】
(i)について、ポリヌクレオチドの長さは、例えば、ポリヌクレオチドとポアとの間の相互作用の数またはポリヌクレオチドとポアとの間の相互作用の持続時間を判定することによって測定され得る。
【0295】
(ii)について、ポリヌクレオチドの同一性は、いくつかの方法で測定され得る。ポリヌクレオチドの同一性は、ポリヌクレオチドの配列の測定と併せて、またはポリヌクレオチドの配列の測定を伴わずに測定され得る。前者は簡単であり、ポリヌクレオチドがシークエンシングされ、それにより同定される。後者は、いくつかの方法で行うことができる。例えば、ポリヌクレオチド中の特定のモチーフの存在が測定され得る(ポリヌクレオチドの残りの配列を測定することなく)。代替的には、本方法における特定の電気的及び/または光学的シグナルの測定は、特定の供給源から得られるものとしてポリヌクレオチドを同定することができる。
【0296】
(iii)について、ポリヌクレオチドの配列は、前述のように判定することができる。好適なシークエンシング方法、特に電気的測定を使用するものは、Stoddart D et al.,Proc Natl Acad Sci,12;106(19):7702−7、Lieberman KR et al,J Am Chem Soc.2010;132(50):17961−72、及び国際出願第WO2000/28312号に記載されている。
(iv)について、二次構造は、様々な方法で測定され得る。例えば、方法が電気的測定を伴う場合、二次構造は、滞留時間の変化またはポアを通過する電流の変化を使用して測定され得る。これは、一本鎖及び二本鎖ポリヌクレオチドの領域を識別することを可能にする。
【0297】
(v)について、任意の修飾の存在または不在が測定され得る。本方法は、好ましくは、メチル化によって、酸化によって、損傷によって、1つ以上のタンパク質によって、または1つ以上の標識、タグ、もしくはスペーサによってポリヌクレオチドが修飾されているか否かを判定することを含む。特異的修飾は、ポアとの特異的相互作用をもたらすことになり、これは下記の方法を使用して測定することができる。例えば、メチルシオチン(methylcyotsine)は、各ヌクレオチドとのその相互作用中にポアを通過する電流に基づき、シトシンと区別され得る。
【0298】
標的ポリヌクレオチドは、本発明のポアと接触する。ポアは、典型的には、膜内に存在する。好適な膜は、以下に論じられる。本方法は、ポアが膜内に存在する膜/ポアシステムを調査するために好適な任意の装置を使用して実施することができる。本方法は、膜貫通ポアセンシングのために好適な任意の装置を使用して実施することができる。例えば、装置は、水溶液を含むチャンバと、チャンバを2つの区画に分ける障壁とを備える。障壁は、典型的には、ポアを含有する膜が形成される孔を有する。代替的には、障壁は、ポアが存在する膜を形成する。
【0299】
本方法は、国際出願第PCT/GB08/000562号(WO2008/102120)に記載される装置を使用して実施することができる。
【0300】
様々な異なる種類の測定を行うことができる。これには、電気的測定及び光学的測定が含まれるが、これらに限定されない。考えられる電気的測定としては、電流測定、インピーダンス測定、トンネル効果測定(Ivanov AP et al.,Nano Lett.2011 Jan 12;11(1):279−85)、及びFET測定(国際出願第WO2005/124888号)が挙げられる。光学的測定は、電気的測定と組み合わせられ得る(Soni GV et al.,Rev Sci Instrum.2010 Jan;81(1):014301)。測定は、膜貫通電流測定、例えば、ポアを通過するイオン電流の測定であり得る。
【0301】
電気的測定は、Stoddart D et al.,Proc Natl Acad Sci,12;106(19):7702−7、Lieberman KR et al,J Am Chem Soc.2010;132(50):17961−72、及び国際出願第WO2000/28312号に記載されるような標準的なシングルチャネルレコーディング装置を使用して行うことができる。代替的には、例えば、国際出願第WO2009/077734号及び国際出願第WO2011/067559号に記載されるような電気的測定は、マルチチャネルシステムを使用して行うことができる。
【0302】
本方法は、好ましくは、膜にわたって電位が印加された状態で実施される。印加される電位は、電圧電位であり得る。代替的には、印加される電位は、化学的電位であり得る。この例は、両親媒性層などの膜にわたって塩勾配を使用することがである。塩勾配は、Holden et al.,J Am Chem Soc.2007 Jul 11;129(27):8650−5に開示されている。いくつかの実例において、ポリヌクレオチドの配列を推定または判定するために、ポアに対してポリヌクレオチドが移動する間の、ポアを通過する電流が使用される。これは、鎖シークエンシングである。
【0303】
本方法は、ポアに対してポリヌクレオチドが移動する間の、ポアを通過する電流を測定することを伴う。したがって、本方法に使用される装置はまた、電位を印加し、膜及びポアにわたる電気シグナルを測定することができる電気回路を含み得る。本方法は、パッチクランプまたは電圧クランプを使用して実施され得る。本方法は、好ましくは、電圧クランプの使用を伴う。
【0304】
本発明の方法は、ポアに対してポリヌクレオチドが移動する間の、ポアを通過する電流の測定を伴う。膜貫通タンパク質ポアを通るイオン電流を測定するために好適な条件は、当該技術で既知であり、実施例において開示される。本方法は、典型的には、膜及びポアにわたって電圧が印加された状態で実施される。使用される電圧は、典型的には、+5V〜−5V、例えば+4V〜−4V、+3V〜−3V、または+2V〜−2Vである。使用される電圧は、典型的には、−600mV〜+600mVまたは−400mV〜+400mVである。使用される電圧は、好ましくは、−400mV、−300mV、−200mV、−150mV、−100mV、−50mV、−20mV、及び0mVから選択される下限と、+10mV、+20mV、+50mV、+100mV、+150mV、+200mV、+300mV、及び+400mVから独立して選択される上限とを有する範囲内である。使用される電圧は、より好ましくは、100mV〜240mVの範囲内、最も好ましくは、120mV〜220mVの範囲内である。増加した印加電位を使用することによって、ポアによる異なるヌクレオチド間の識別を増加させることが可能である。
【0305】
本方法は、典型的には、金属塩、例えばアルカリ金属塩、ハロゲン塩、例えば塩化物塩、例えばアルカリ金属塩化物塩などの任意のチャージキャリアの存在下で実施される。チャージキャリアには、イオン性液体または有機塩、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化トリメチルフェニルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモニウム、または1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドが含まれ得る。上記の例示的な装置において、塩は、チャンバ内の水溶液中に存在する。塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化セシウム(CsCl)、またはフェロシアン化カリウムとフェリシアン化カリウムとの混合物が典型的に使用される。KCl、NaCl、及びフェロシアン化カリウムとフェリシアン化カリウムとの混合物が好ましい。チャージキャリアは、膜にわたって不斉であり得る。例えば、チャージキャリアの種類及び/または濃度は、膜の各側で異なり得る。
【0306】
塩濃度は、飽和であり得る。塩濃度は、3M以下であり得、典型的には、0.1〜2.5M、0.3〜1.9M、0.5〜1.8M、0.7〜1.7M、0.9〜1.6M、または1M〜1.4Mである。塩濃度は、好ましくは、150mM〜1Mである。本方法は、好ましくは、少なくとも0.3M、例えば少なくとも0.4M、少なくとも0.5M、少なくとも0.6M、少なくとも0.8M、少なくとも1.0M、少なくとも1.5M、少なくとも2.0M、少なくとも2.5M、または少なくとも3.0Mの塩濃度を使用して実施される。高い塩濃度は、高いシグナル対ノイズ比をもたらし、通常の電流変動のバックグラウンドに対して、ヌクレオチドの存在を示す電流の同定を可能にする。
【0307】
本方法は、典型的には、緩衝液の存在下で実施される。上記の例示的な装置において、緩衝液は、チャンバ内の水溶液中に存在する。本発明の方法において、任意の緩衝液を使用することができる。典型的には、緩衝液は、リン酸緩衝液である。他の好適な緩衝液は、HEPES及びTris−HCl緩衝液である。本方法は、典型的には、4.0〜12.0、4.5〜10.0、5.0〜9.0、5.5〜8.8、6.0〜8.7、または7.0〜8.8、または7.5〜8.5のpHで実施される。使用されるpHは、好ましくは、約7.5である。
【0308】
本方法は、0℃〜100℃、15℃〜95℃、16℃〜90℃、17℃〜85℃、18℃〜80℃、19℃〜70℃、または20℃〜60℃で実施され得る。本方法は、典型的には、室温で実施される。本方法は、任意に、酵素機能を支持する温度、例えば約37℃で実施される。
【0309】
ポリヌクレオチド結合タンパク質
鎖特徴付け方法は、好ましくは、タンパク質が、ポアに対する、例えばそれを通るポリヌクレオチドの移動を制御するように、ポリヌクレオチドをポリヌクレオチド結合タンパク質と接触させることを含む。
【0310】
より好ましくは、本方法は、(a)タンパク質が、ポアに対する、例えばそれを通るポリヌクレオチドの移動を制御するように、ポリヌクレオチドを本発明のポアと接触させることと、(b)ポリヌクレオチドがポアに対して移動する間に1つ以上の測定値を取ることであって、測定値はポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、取ることによって、標的ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む。
【0311】
より好ましくは、本方法は、(a)タンパク質が、ポアに対する、例えばそれを通るポリヌクレオチドの移動を制御するように、ポリヌクレオチドを本発明のポアと接触させることと、(b)ポリヌクレオチドがポアに対して移動する間にポアを通る電流を測定することであって、電流はポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、測定することによって、標的ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む。
【0312】
ポリヌクレオチド結合タンパク質は、ポリヌクレオチドに結合し、かつポアを通るその移動を制御することができる任意のタンパク質であり得る。タンパク質がポリヌクレオチドに結合するか否かを判定することは、当該技術分野において簡単である。タンパク質は、典型的には、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの特性と相互作用するか、またはそれを修飾する。タンパク質は、それを開裂して個々のヌクレオチドまたはヌクレオチドのより短い鎖、例えばジヌクレオチドまたはトリヌクレオチドを形成することによってポリヌクレオチドを修飾し得る。タンパク質は、特定の位置にそれを配向するか、またはそれを移動させる、すなわちその移動を制御することによってポリヌクレオチドを修飾し得る。
【0313】
ポリヌクレオチド結合タンパク質は、好ましくは、ポリヌクレオチドハンドリング酵素(polynucleotide handling enzyme)に由来する。ポリヌクレオチドハンドリング酵素は、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの特性と相互作用しかつそれを修飾することができるポリペプチドである。酵素は、それを開裂して個々のヌクレオチドまたはヌクレオチドのより短い鎖、例えばジヌクレオチドまたはトリヌクレオチドを形成することによってポリヌクレオチドを修飾し得る。酵素は、特定の位置にそれを配向するか、またはそれを移動させることによってポリヌクレオチドを修飾し得る。ポリヌクレオチドハンドリング酵素は、それが、ポリヌクレオチドに結合し、かつポアを通るその移動を制御することができる限り、酵素活性を提示する必要がない。例えば、酵素は、その酵素活性を除去するように修飾されてもよく、または酵素として作用することを防ぐ条件下で使用されてもよい。かかる条件は、以下により詳細に論じられる。
【0314】
ポリヌクレオチドハンドリング酵素は、好ましくは、核酸分解酵素に由来する。酵素の構造体に使用されるポリヌクレオチドハンドリング酵素は、より好ましくは、酵素分類(EC)群3.1.11、3.1.13、3.1.14、3.1.15、3.1.16、3.1.21、3.1.22、3.1.25、3.1.26、3.1.27、3.1.30、及び3.1.31のうちのいずれかのメンバーに由来する。酵素は、国際出願第PCT/GB10/000133号(WO2010/086603として公開)に開示されるもののいずれかであり得る。
【0315】
好ましい酵素は、ポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、及びトポイソメラーゼ、例えばジャイレースである。好適な酵素には、E.coli由来のエキソヌクレアーゼI(配列番号11)、E.coli由来のエキソヌクレアーゼIII酵素(配列番号13)、T.thermophilus由来のRecJ(配列番号15)、及びバクテリオファージラムダエキソヌクレアーゼ(配列番号17)、TatDエキソヌクレアーゼ、及びそれらのバリアントが含まれるが、これらに限定されない。配列番号15に示される配列またはそのバリアントを含む3つのサブユニットは相互作用して、トリマーエキソヌクレアーゼを形成する。これらのエキソヌクレアーゼはまた、本発明のエキソヌクレアーゼ方法にも使用することができる。ポリメラーゼは、PyroPhage(登録商標)3173 DNAポリメラーゼ(Lucigen(登録商標)Corporationから市販されている)、SDポリメラーゼ(Bioron(登録商標)から市販されている)、またはそれらのバリアントであり得る。酵素は、好ましくは、Phi29 DNAポリメラーゼ(配列番号9)またはそのバリアントであり得る。トポイソメラーゼは、好ましくは、部分分類(EC)群5.99.1.2及び5.99.1.3のうちのいずれかのメンバーである。
【0316】
酵素は、最も好ましくは、ヘリカーゼ、例えばHel308 Mbu(配列番号18)、Hel308 Csy(配列番号19)、Hel308 Tga(配列番号20)、Hel308 Mhu(配列番号21)、TraI Eco(配列番号22)、XPD Mbu(配列番号23)、またはそれらのバリアントに由来する。本発明において、任意のヘリカーゼを使用することができる。ヘリカーゼは、Hel308ヘリカーゼ、RecDヘリカーゼ、例えばTraIヘリカーゼまたはTrwCヘリカーゼ、XPDヘリカーゼ、またはDdaヘリカーゼであり得るか、またはそれらに由来する。ヘリカーゼは、国際出願第PCT/GB2012/052579号(WO2013/057495として公開)、同第PCT/GB2012/053274号(WO2013/098562として公開)、同第PCT/GB2012/053273号(WO2013098561として公開)、同第PCT/GB2013/051925号(WO2014/013260として公開)、同第PCT/GB2013/051924号(WO2014/013259として公開)、同第PCT/GB2013/051928号(WO2014/013262として公開)、及び同第PCT/GB2014/052736号に開示されるヘリカーゼ、修飾ヘリカーゼ、またはヘリカーゼ構造体のいずれかであり得る。
【0317】
ヘリカーゼは、好ましくは、配列番号25に示される配列(Trwc Cba)もしくはそのバリアント、配列番号18に示される配列(Hel308 Mbu)もしくはそのバリアント、または配列番号24に示される配列(Dda)もしくはそのバリアントを含む。バリアントは、膜貫通ポアについて以下に論じられる任意の方法で天然配列とは異なり得る。好ましい配列番号24のバリアントは、(a)E94C及びA360C、または(b)E94C、A360C、C109A、及びC136A、ならびに任意に(ΔM1)G1G2(すなわち、M1の欠失、及びその後G1及びG2の付加)を含む。
【0318】
本発明に従い、任意の数のヘリカーゼを使用することができる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のヘリカーゼが使用され得る。いくつかの実施形態では、異なる数のヘリカーゼが使用され得る。
【0319】
本発明の方法は、好ましくは、ポリヌクレオチドを2つ以上のヘリカーゼと接触させることを含む。2つ以上のヘリカーゼは、典型的には、同じヘリカーゼである。2つ以上のヘリカーゼは、異なるヘリカーゼであってもよい。
【0320】
2つ以上のヘリカーゼは、上述のヘリカーゼの任意の組み合わせであり得る。2つ以上のヘリカーゼは、2つ以上のDdaヘリカーゼであり得る。2つ以上のヘリカーゼは、1つ以上のDdaヘリカーゼ及び1つ以上のTrwCヘリカーゼであり得る。2つ以上のヘリカーゼは、同じヘリカーゼの異なるバリアントであり得る。
【0321】
2つ以上のヘリカーゼは、好ましくは、互いに結合している。2つ以上のヘリカーゼは、より好ましくは、互いに共有結合している。ヘリカーゼは、任意の順序で、かつ任意の方法を使用して結合し得る。本発明における使用のための好ましいヘリカーゼ構造体は、国際出願第PCT/GB2013/051925号(WO2014/013260として公開)、同第PCT/GB2013/051924号(WO2014/013259として公開)、同第PCT/GB2013/051928号(WO2014/013262として公開)、及び同第PCT/GB2014/052736号に記載されている。
【0322】
配列番号9、11、13、15、17、18、19、20、21、22、23、24、または25のバリアントは、配列番号9、11、13、15、17、18、19、20、21、22、23、24、または25のものとは異なるアミノ酸配列を有し、かつポリヌクレオチド結合能力を保持する酵素である。これは、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して測定することができる。例えば、バリアントは、ポリヌクレオチドと接触させることができ、ポリヌクレオチドに結合し、かつそれに沿って移動するその能力を測定することができる。バリアントは、高い塩濃度及び/または室温において、ポリヌクレオチドの結合を促進し、かつ/またはその活性を促進する修飾を含んでもよい。バリアントは、それらがポリヌクレオチドに結合する(すなわち、ポリヌクレオチド結合能力を保持する)がヘリカーゼとして機能しない(すなわち、移動を促進するために必要な全ての構成要素、例えば、ATP及びMg
2+を提供されたときに、ポリペプチドに沿って移動しない)ように修飾され得る。かかる修飾は、当該技術分野で既知である。例えば、ヘリカーゼにおけるMg
2+結合ドメインの修飾は、典型的には、ヘリカーゼとして機能しないバリアントをもたらす。これらの種類のバリアントは、分子ブレーキとして作用し得る(下記を参照されたい)。
【0323】
配列番号9、11、13、15、17、18、19、20、21、22、23、24、または25のアミノ酸配列の全長にわたって、バリアントは、好ましくは、アミノ酸同一性に基づき、その配列に対して少なくとも50%の相同性を有することになる。より好ましくは、バリアントポリペプチドは、配列全体にわたって、アミノ酸同一性に基づき、配列番号9、11、13、15、17、18、19、20、21、22、23、24、または25のアミノ酸配列に対して少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、97%、または99%の相同性を有し得る。200個以上、例えば230個、250個、270個、280個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、または1000個以上の連続したアミノ酸のストレッチにわたって、少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、または95%のアミノ酸同一性があってもよい(「ハードホモロジー」)。相同性は、上記のように判定される。バリアントは、上記の配列番号2に関して上記の方法のいずれかにおいて野生型配列とは異なる。酵素は、ポアと共有結合していてもよい。任意の方法を使用して、酵素をポアと共有結合させることができる。
【0324】
好ましい分子ブレーキは、TrwC Cba−Q594A(変異Q594Aを含む配列番号25)である。このバリアントは、ヘリカーゼとして機能しない(すなわち、ポリヌクレオチドに結合するが、移動を促進するために必要な全ての構成要素、例えば、ATP及びMg
2+を提供されたときに、それらに沿って移動しない)。
【0325】
鎖シークエンシングにおいて、ポリヌクレオチドは、印加された電位と共にまたはそれに対して、ポアを通して転移される。二本鎖ポリヌクレオチド上で進行的または前進的に作用するエキソヌクレアーゼをポアのシス側に使用して、印加された電位化で、または逆電位下のトランス側で、残りの一本鎖を貫通接続することができる。同様に、二本鎖DNAを解くヘリカーゼも、類似の方法で使用することができる。ポリメラーゼも使用することができる。印加された電位に対する鎖転移を必要とするシークエンシングアプリケーションの可能性もあるが、DNAはまず、逆電位下または電位のない状態下で酵素によって「捕まら」なければならない。その後、結合に続いて電位が戻されると、鎖は、ポアをシスからトランスへと通り、電流によって拡張された立体構造で保持されることになる。一本鎖DNAエキソヌクレアーゼまたは一本鎖DNA依存性ポリメラーゼは分子モーターとして作用して、印加された電位に対して、新たに転移された一本鎖を、制御された様式でポアを通してトランスからシスへと引き戻すことができる。
【0326】
本方法において、任意のヘリカーゼを使用することができる。ヘリカーゼは、ポアに対して2つのモードで働き得る。第1に、本方法は、好ましくは、それが、印加された電位から生じる電界と共にポアを通してポリヌクレオチドを移動させるように、ヘリカーゼを使用して実施される。このモードにおいて、ポリヌクレオチドの5’末端がまずポア内に捕捉され、ヘリカーゼは、それが最終的に膜のトランス側を通って転移するまで、それが電界と共にポアに通されるように、ポリヌクレオチドをポア内へと移動させる。代替的には、本方法は、好ましくは、ヘリカーゼが、印加された電位から生じる電界に対して、ポアを通ってポリヌクレオチドを移動させるように実施される。このモードにおいて、ポリヌクレオチドの3’末端がまずポア内に捕捉され、ヘリカーゼは、それが、最終的に膜のシス側に戻って排出されるまで、印加された電界に対してポアの外に引き出されるように、ポアを通ってポリヌクレオチドを移動させる。
【0327】
本方法はまた、逆方向で実施されてもよい。ポリヌクレオチドの3’末端がまずポア内に捕捉され得、ヘリカーゼは、それが最終的に膜のトランス側を通って転移するまで、それが電界と共にポアに通されるように、ポリヌクレオチドをポア内へと移動させ得る。
【0328】
ヘリカーゼが、移動を促進するために必要な構成要素を含まないか、またはその移動を妨げるかもしくは防ぐように修飾されている場合、それはポリヌクレオチドに結合し、印加された電界によってポア内に引き込まれたときにポリヌクレオチドの移動を遅らせるブレーキとして作用する。不活性モードにおいて、ポリヌクレオチドが3’または5’を下にして捕捉されているかにかかわらず、トランス側に向かってポア内にポリヌクレオチドを引くのは、印加された電界であり、酵素ががブレーキとして作用する。不活性モードにあるとき、ヘリカーゼによるポリヌクレオチドの移動の制御は、ラチェッティング、スライディング、及びグレーキングを含むいくつかの方法で説明することができる。ヘリカーゼ活性を欠くヘリカーゼバリアントも、この方法において使用することができる。
【0329】
ポリヌクレオチドは、任意の順序でポリヌクレオチド結合タンパク質及びポアと接触させることができる。ポリヌクレオチドが、ヘリカーゼなどのポリヌクレオチド結合タンパク質及びポアと接触される場合、ポリヌクレオチドはまず、タンパク質と複合体を形成することが好ましい。ポアにわたって電圧が印加されると、ポリヌクレオチド/タンパク質複合体は次いで、ポアと複合体を形成し、ポアを通るポリヌクレオチドの移動を制御する。
【0330】
ポリヌクレオチド結合タンパク質を使用する方法における任意のステップは、典型的には、遊離ヌクレオチドまたは遊離ヌクレオチド類似体、及びポリヌクレオチド結合タンパク質の作用を促進する酵素補因子の存在下で実施される。遊離ヌクレオチドは、上記の個々のヌクレオチドのうちの1つ以上であり得る。遊離ヌクレオチドには、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)、及びデオキシシチジン三リン酸(dCTP)が含まれるが、これらに限定されない。遊離ヌクレオチドは、好ましくは、AMP、TMP、GMP、CMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMP、またはdCMPから選択される。遊離ヌクレオチドは、好ましくは、アデノシン三リン酸(ATP)である。酵素補因子は、構造体が機能することを可能にする因子である。酵素補因子は、好ましくは、二価金属カチオンである。二価金属カチオンは、好ましくは、Mg
2+、Mn
2+、Ca
2+、またはCo
2+である。酵素補因子は、最も好ましくは、Mg
2+である。
【0331】
ヘリカーゼ(複数可)及び分子ブレーキ(複数可)
好ましい実施形態では、本方法は、
(a)ポリヌクレオチドに結合した1つ以上のヘリカーゼ及び1つ以上の分子ブレーキを有するポリヌクレオチドを提供することと、
(b)1つ以上のヘリカーゼ及び1つ以上の分子ブレーキが共に集められ、その両方が、ポアに対する、例えばそれを通るポリヌクレオチドの移動を制御するように、ポリヌクレオチドを本発明のポアと接触させ、ポアにわたって電位を印加することと、
(c)ポリヌクレオチドがポアに対して移動する間に、1つ以上の測定値を取ることであって、測定値がポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、取ることによって、ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む。
【0332】
この種類の方法は、国際出願第PCT/GB2014/052737号に詳細に論じられている。
【0333】
1つ以上のヘリカーゼは、上記のもののいずれかであり得る。1つ以上の分子ブレーキは、ポリヌクレオチドに結合し、かつポアを通るポリヌクレオチドの移動を遅らせる任意の化合物または分子であり得る。1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、ポリヌクレオチドに結合する1つ以上の化合物を含む。1つ以上の化合物は、好ましくは、1つ以上の大環状分子である。好適な大環状分子には、シクロデキストリン、カリックスアレーン、環状ペプチド、クラウンエーテル、ククルビツリル、ピララレン(pillararene)、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。シクロデキストリンまたはその誘導体は、Eliseev,A.V.,and Schneider,H−J.(1994)J.Am.Chem.Soc.116,6081−6088に開示されるもののいずれかであり得る。薬剤は、より好ましくは、ヘプタキス−6−アミノ−β−シクロデキストリン(am
7−βCD)、6−モノデオキシ−6−モノアミノ−β−シクロデキストリン(am
1−βCD)、またはヘプタキス−(6−デオキシ−6−グアニジノ)−シクロデキストリン(gu
7−βCD)である。
【0334】
1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、1つ以上の一本鎖結合タンパク質(SSB)である。1つ以上の分子ブレーキは、より好ましくは、実効負電荷を有しないカルボキシ末端(C末端)領域を含む一本鎖結合タンパク質(SSB)、または(ii)そのC末端領域に、C末端領域の実効負電荷を減少させる1つ以上の修飾を含む修飾SSBである。1つ以上の分子ブレーキは、最も好ましくは、国際出願第PCT/GB2013/051924号(WO2014/013259として公開)に開示されるSSBのうちの1つである。
【0335】
1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、1つ以上のポリヌクレオチド結合タンパク質である。ポリヌクレオチド結合タンパク質は、ポリヌクレオチドに結合し、かつポアを通るその移動を制御することができる任意のタンパク質であり得る。タンパク質がポリヌクレオチドに結合するか否かを判定することは、当該技術分野において簡単である。タンパク質は、典型的には、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの特性と相互作用するか、またはそれを修飾する。タンパク質は、それを開裂して個々のヌクレオチドまたはヌクレオチドのより短い鎖、例えばジヌクレオチドまたはトリヌクレオチドを形成することによってポリヌクレオチドを修飾し得る。部分は、特定の位置にそれを配向するか、またはそれを移動させる、すなわちその移動を制御することによってポリヌクレオチドを修飾し得る。
【0336】
ポリヌクレオチド結合タンパク質は、好ましくは、ポリヌクレオチドハンドリング酵素に由来する。1つ以上の分子ブレーキは、上記のポリヌクレオチドハンドリング酵素のいずれかに由来し得る。分子ブレーキとして作用するPhi29ポリメラーゼ(配列番号8)の修飾バージョンは、米国特許第5,576,204号に開示されている。1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、ヘリカーゼに由来する。
【0337】
ヘリカーゼに由来する任意の数の分子ブレーキが使用され得る。例えば、分子ブレーキとして、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のヘリカーゼが使用され得る。2つ以上のヘリカーゼが分子ブレーキとして使用される場合、2つ以上のヘリカーゼは、典型的には、同じヘリカーゼである。2つ以上のヘリカーゼは、異なるヘリカーゼであってもよい。
【0338】
2つ以上のヘリカーゼは、上述のヘリカーゼの任意の組み合わせであり得る。2つ以上のヘリカーゼは、2つ以上のDdaヘリカーゼであり得る。2つ以上のヘリカーゼは、1つ以上のDdaヘリカーゼ及び1つ以上のTrwCヘリカーゼであり得る。2つ以上のヘリカーゼは、同じヘリカーゼの異なるバリアントであり得る。
【0339】
2つ以上のヘリカーゼは、好ましくは、互いに結合している。2つ以上のヘリカーゼは、より好ましくは、互いに共有結合している。ヘリカーゼは、任意の順序で、かつ任意の方法を使用して結合し得る。ヘリカーゼに由来する1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、少なくとも1つの立体構造状態においてポリペプチドがヘリカーゼから解かれることができる、ポリヌクレオチド結合ドメイン内の開口部の大きさを低減するように修飾される。これは、WO2014/013260に開示されている。
【0340】
本発明における使用のための好ましいヘリカーゼ構造体は、国際出願第PCT/GB2013/051925号(WO2014/013260として公開)、同第PCT/GB2013/051924号(WO2014/013259として公開)、同第PCT/GB2013/051928号(WO2014/013262として公開)、及び同第PCT/GB2014/052736号に記載されている。
【0341】
1つ以上のヘリカーゼが活性モードで使用される場合(すなわち、1つ以上のヘリカーゼが、移動を促進するために必要な全ての構成要素、例えば、ATP及びMg
2+を提供されているとき)、1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、(a)不活性モードで使用される(すなわち、移動を促進するために必要な構成要素の不在下で使用されるか、もしくは活性移動が不可能である)か、(b)1つ以上の分子ブレーキが1つ以上のヘリカーゼに対して反対方向に移動する、活性モードで使用されるか、または(c)1つ以上の分子ブレーキが1つ以上のヘリカーゼと同じ方向に、かつ1つ以上のヘリカーゼよりも遅く移動する、活性モードで使用される。
【0342】
1つ以上のヘリカーゼが不活性モードで使用される場合(すなわち、1つ以上のヘリカーゼが、移動を促進するために必要な全ての構成要素、例えば、ATP及びMg
2+を提供されていないか、または活性移動が不可能であるとき)、1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、(a)不活性モードで使用される(すなわち、移動を促進するために必要な構成要素の不在下で使用されるか、もしくは活性移動が不可能である)か、または(b)1つ以上の分子ブレーキが、ポリヌクレオチドと同じ方向にポリヌクレオチドに沿ってポアを通って移動する、活性モードで使用される。
【0343】
1つ以上のヘリカーゼ及び1つ以上の分子ブレーキは、それらが共に集められ、その両方が、ポアを通るポリヌクレオチドの移動を制御するように、任意の位置でポリヌクレオチドに結合し得る。1つ以上のヘリカーゼ及び1つ以上の分子ブレーキは、少なくとも1ヌクレオチド離れており、例えば、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000、少なくとも10,000、少なくとも50,000ヌクレオチド、またはそれ以上離れている。本方法が、一方の末端にYアダプター、及び他方の末端にヘアピンループアダプターを提供された二本鎖ポリヌクレオチドに関する場合、1つ以上のヘリカーゼは、好ましくは、Yアダプターに結合し、1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、ヘアピンループアダプターに結合する。この実施形態では、1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、それらがポリヌクレオチドに結合するがヘリカーゼとして機能しないように修飾された、1つ以上のヘリカーゼである。Yアダプターに結合した1つ以上のヘリカーゼは、好ましくは、以下により詳細に論じられるように、スペーサにおいて停止される。ヘアピンループアダプターに結合した1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、スペーサにおいて停止されない。1つ以上のヘリカーゼ及び1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、1つ以上のヘリカーゼがヘアピンループに達したときに共に集められる。1つ以上のヘリカーゼは、Yアダプターがポリヌクレオチドに結合する前、またはYアダプターがポリヌクレオチドに結合した後に、Yアダプターに結合し得る。1つ以上の分子ブレーキは、ヘアピンループアダプターがポリヌクレオチドに結合する前、またはヘアピンループアダプターがポリヌクレオチドに結合した後に、ヘアピンループアダプターに結合し得る。
【0344】
1つ以上のヘリカーゼ及び1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、互いに結合していない。1つ以上のヘリカーゼ及び1つ以上の分子ブレーキは、より好ましくは、互いに共有結合していない。1つ以上のヘリカーゼ及び1つ以上の分子ブレーキは、好ましくは、国際出願第PCT/GB2013/051925号(WO2014/013260として公開)、同第PCT/GB2013/051924(WO2014/013259として公開)、同第PCT/GB2013/051928号(WO2014/013262として公開)、及び同第PCT/GB2014/052736号に記載されるように、結合していない。
【0345】
スペーサ
1つ以上のヘリカーゼは、国際出願第PCT/GB2014/050175号において論じられるように、1つ以上のスペーサにおいて停止され得る。この国際出願に開示される1つ以上のヘリカーゼ及び1つ以上のスペーサの任意の構成が本発明に使用され得る。
【0346】
ポリヌクレオチドの一部がポアに進入し、印加された電位から生じる電界に沿ってポアを通って移動すると、1つ以上のヘリカーゼは、ポリヌクレオチドがポアを通って移動する間に、ポアによりスペーサを通り過ぎて移動される。これは、ポリヌクレオチド(1つ以上のスペーサを含む)がポアを通って移動し、1つ以上のヘリカーゼがポアの上部に残るためである。
【0347】
1つ以上のスペーサは、好ましくは、ポリヌクレオチドの一部であり、例えば、それらはポリヌクレオチド配列に割り込む。1つ以上のスペーサは、好ましくは、ポリヌクレオチドにハイブリダイズされたスピードバンプなどの1つ以上の封鎖分子の一部ではない。
【0348】
任意の数のスペーサ、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のスペーサがポリヌクレオチド中にあってもよい。好ましくは、2、4、または6つのスペーサがポリヌクレオチド中にある。1つ以上のスペーサがポリヌクレオチドの異なる領域中にあってもよく、例えば、Yアダプター及び/またはヘアピンループアダプター中に1つ以上のスペーサがあってもよい。
【0349】
1つ以上のスペーサは各々、1つ以上のヘリカーゼが活性モードにおいても越えることができないエネルギー障壁を提供する。1つ以上のスペーサは、ヘリカーゼの牽引を低減することによって(例えば、ポリヌクレオチド中のヌクレオチドから塩基を除去することによって)、または1つ以上のヘリカーゼの移動を物理的に封鎖することによって(例えば、嵩高い化学基を使用して)、1つ以上のヘリカーゼを停止させ得る。
【0350】
1つ以上のスペーサは、1つ以上のヘリカーゼを停止させる任意の分子または分子の組み合わせを含み得る。1つ以上のスペーサは、1つ以上のヘリカーゼがポリヌクレオチドに沿って移動することを防ぐ任意の分子または分子の組み合わせを含み得る。膜貫通ポア及び印加された電位の不在下で、1つ以上のヘリカーゼが1つ以上のスペーサにおいて停止されたか否かを判定することは簡単である。例えば、スペーサを通り過ぎて移動し、かつDNAの相補鎖に取って代わるヘリカーゼの能力は、PAGEによって測定することができる。
【0351】
1つ以上のスペーサは、典型的には、ポリマーなどの線状分子を含む。1つ以上のスペーサは、典型的には、ポリヌクレオチドとは異なる構造を有する。例えば、ポリヌクレオチドがDNAである場合、1つ以上のスペーサは、典型的には、DNAではない。とりわけ、ポリヌクレオチドがデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)である場合、1つ以上のスペーサは、好ましくは、ペプチド核酸(PNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ロックド核酸(LNA)、またはヌクレオチド側鎖を有する合成ポリマーを含む。1つ以上のスペーサは、ポリヌクレオチドと反対方向に、1つ以上のヌクレオチドを含み得る。例えば、ポリヌクレオチドが5’から3’方向にある場合、1つ以上のスペーサは、1つ以上のヌクレオチドを3’から5’方向に含み得る。ヌクレオチドは、上記のもののいずれかであり得る。
【0352】
1つ以上のスペーサは、好ましくは、1つ以上のニトロインドール、例えば1つ以上の5−ニトロインドール、1つ以上のイノシン、1つ以上のアクリジン、1つ以上の2−アミノプリン、1つ以上の2−6−ジアミノプリン、1つ以上の5−ブロモ−デオキシウリジン、1つ以上の逆位チミジン(逆位dT)、1つ以上の逆位ジデオキシ−チミジン(ddT)、1つ以上のジデオキシ−シチジン(ddC)、1つ以上の5−メチルシチジン、1つ以上の5−ヒドロキシメチルシチジン、1つ以上の2’−O−メチルRNA塩基、1つ以上のイソ−デオキシシチジン(Iso−dC)、1つ以上のイソ−デオキシグアノシン(Iso−dG)、1つ以上のiSpC3基(すなわち、糖及び塩基を欠くヌクレオチド)、1つ以上の光開裂可能な(PC)基、1つ以上のヘキサンジオール基、1つ以上のスペーサ9(iSp9)基、1つ以上のスペーサ18(iSp18)基、ポリマー、または1つ以上のチオール接続を含む。1つ以上のスペーサは、これらの基の任意の組み合わせを含み得る。これらの基の多くは、IDT(登録商標)(Integrated DNA Technologies(登録商標))から市販されている。
【0353】
1つ以上のスペーサは、任意の数のこれらの基を含有し得る。例えば、2−アミノプリン、2−6−ジアミノプリン、5−ブロモ−デオキシウリジン、逆位dT、ddT、ddC、5−メチルシチジン、5−ヒドロキシメチルシチジン、2’−O−メチルRNA塩基、Iso−dCs、Iso−dG、iSpC3基、PC基、ヘキサンジオール基、及びチオール接続の場合、1つ以上のスペーサは、好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、またはそれ以上を含む。1つ以上のスペーサは、好ましくは、2、3、4、5、6、7、8個、またはそれ以上のiSp9基を含む。1つ以上のスペーサは、好ましくは、2、3、4、5、または6個以上のiSp18基を含む。最も好ましいスペーサは、4個のiSp18基である。
【0354】
ポリマーは、好ましくは、ポリペプチドまたはポリエチレングリコール(PEG)である。ポリペプチドは、好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、またはそれ以上のアミノ酸を含む。PEGは、好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、またはそれ以上のモノマー単位を含む。
【0355】
1つ以上のスペーサは、好ましくは、1個以上の脱塩基ヌクレオチド(すなわち、核酸塩基を欠くヌクレオチド)、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、またはそれ以上の脱塩基ヌクレオチドを含む。核酸塩基は、脱塩基ヌクレオチドにおいて−H(idSp)または−OHによって置き換えられ得る。脱塩基スペーサは、1つ以上の隣接するヌクレオチドから核酸塩基を除去することによって、ポリヌクレオチド中に挿入され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、3−メチルアデニン、7−メチルグアニン、1,N6−エテノアデニンイノシン、またはヒポキサンチンを含むように修飾され得、核酸塩基は、ヒトアルキルアデニンDNAグリコシラーゼ(hAAG)を使用してこれらのヌクレオチドから除去され得る。代替的には、ポリヌクレオチドは、ウラシルを含むように修飾され得、核酸塩基は、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)によって除去され得る。一実施形態では、1つ以上のスペーサは、脱塩基ヌクレオチドを一切含まない。
【0356】
1つ以上のヘリカーゼは、各線状分子によって(すなわちその前に)、またはその上で停止され得る。線状分子スペーサが使用される場合、ポリヌクレオチドは、好ましくは、それを通りすぎて1つ以上のヘリカーゼが移動される各スペーサの末端に隣接するポリヌクレオチドの二本鎖領域を提供される。二本鎖領域は、典型的には、隣接するスペーサ上で1つ以上のヘリカーゼを停止させることを補助する。二本鎖領域(複数可)の存在は、本方法が約100mM以下の塩濃度で実施される場合に特に好ましい。各二本鎖領域は、典型的には、少なくとも10、例えば少なくとも12ヌクレオチド長である。本発明において使用されるポリヌクレオチドが一本鎖である場合、より短いポリヌクレオチドを、スペーサに隣接する領域にハイブリダイズすることによって、二本鎖領域が形成され得る。より短いポリヌクレオチドは、典型的には、ポリヌクレオチドと同じヌクレオチドから形成されるが、異なるヌクレオチドから形成されてもよい。例えば、より短いポリヌクレオチドは、LNAから形成され得る。
【0357】
線状分子スペーサが使用される場合、ポリヌクレオチドは、好ましくは、それを通りすぎて1つ以上のヘリカーゼが移動される各スペーサの末端における封鎖分子を提供される。これは、1つ以上のヘリカーゼが各スペーサ上で停止されたままであることを保証することを補助し得る。また、それ/それらが溶液中に核酸する場合に、1つ以上のヘリカーゼをポリヌクレオチド上に保持することも補助し得る。封鎖分子は、1つ以上のヘリカーゼを物理的に停止させる下記の化学基のいずれかであり得る。封鎖分子は、ポリヌクレオチドの二本鎖領域であり得る。
【0358】
1つ以上のスペーサは、好ましくは、1つ以上のヘリカーゼを物理的に停止させる1つ以上の化学基を含む。1つ以上の化学基は、好ましくは、1つ以上のペンダント化学基である。1つ以上の化学基は、ポリヌクレオチド中の1つ以上の核酸塩基に結合し得る。1つ以上の化学基は、ポリヌクレオチド骨格に結合し得る。任意の数のこれらの化学基、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、またはそれ以上が存在し得る。好適な基には、フルオロフォア、ストレプトアビジン及び/またはビオチン、コレステロール、メチレンブルー、ジニトロフェノール(DNP)、ジゴキシゲニン及び/または抗ジゴキシゲニン、ならびにジベンジルシクロオクチン基が含まれるが、これらに限定されない。
【0359】
ポリヌクレオチド中の異なるスペーサは、異なる停止分子(stalling molecule)を含み得る。例えば、1つのスペーサは、上記の線状分子のうちの1つを含み得、別のスペーサは、1つ以上のヘリカーゼを物理的に停止させる1つ以上の化学基を含み得る。スペーサは、上記の線状分子のいずれか、及び1つ以上のヘリカーゼを物理的に停止させる1つ以上の化学基、例えば1つ以上の脱塩基及びフルオロフォアを含み得る。
【0360】
好適なスペーサは、ポリヌクレオチドの種類及び本発明の方法が実施される条件に応じて設計され得る。ほとんどのヘリカーゼは、DNAに結合し、それに沿って移動するため、DNAではない任意のものを使用して停止され得る。好適な分子は、上に論じられる。
【0361】
本発明の方法は、好ましくは、遊離ヌクレオチドの存在下及び/またはヘリカーゼ補因子の存在下で実施される。これは、以下により詳細に論じられる。膜貫通ポア及び印加された電位の不在下で、1つ以上のスペーサは、好ましくは、遊離ヌクレオチドの存在下及び/またはヘリカーゼ補因子の存在下で、1つ以上のヘリカーゼを停止させることができる。
【0362】
本発明の方法が、下記のように(1つ以上のヘリカーゼが活性モードであるように)遊離ヌクレオチド及びヘリカーゼ補因子の存在下で実施される場合、それらが膜貫通ポアと接触され電位が印加される前に1つ以上のヘリカーゼがポリヌクレオチド上で停止されていることを保証するために、1つ以上のより長いスペーサが典型的に使用される。1つ以上のより短いスペーサは、(1つ以上のヘリカーゼが不活性モードであるように)遊離ヌクレオチド及びヘリカーゼ補因子の不在下で使用され得る。
【0363】
塩濃度もまた、1つ以上のスペーサの1つ以上のヘリカーゼを停止させる能力に影響を与える。膜貫通ポア及び印加された電位の不在下で、1つ以上のスペーサは、好ましくは、約100mM以下の塩濃度で、1つ以上のヘリカーゼを停止させることができる。本発明の方法において使用される塩濃度が高ければ高いほど、典型的に使用される1つ以上のスペーサは短くなり、その逆も同様である。
【0364】
特徴の好ましい組み合わせを、以下の表4に示す。
【表3】
【0365】
本方法は、スペーサを通り過ぎて2つ以上のヘリカーゼを移動させることに関する。かかる実例において、ポア及び印加された電位の不在下で後続ヘリカーゼがスペーサを通り過ぎて先行ヘリカーゼを押すことを防ぐために、スペーサ長は典型的に増加している。本方法が、1つ以上のスペーサを通り過ぎて2つ以上のヘリカーゼを移動させることに関する場合、上記のスペーサ長は、少なくとも1.5倍、例えば2倍、2.5倍、または3倍に増加し得る。例えば、本方法が、1つ以上のスペーサを通過して2つ以上のヘリカーゼを移動させることに関する場合、表4の3列目のスペーサ長は、1.5倍、2倍、2.5倍、または3倍に増加し得る。
【0366】
膜
本発明のポアは、膜内に存在し得る。本発明の方法において、ポリヌクレオチドは、典型的には、膜内で本発明のポアと接触される。本発明に従い、任意の膜を使用することができる。好適な膜は、当該技術分野で周知である。膜は、好ましくは、両親媒性層である。両親媒性層は、親水及び親油特性の両方を有する、リン脂質などの両親媒性分子から形成された層である。両親媒性分子は、合成または天然であり得る。非天然型両親媒性物質及び単分子層を形成する両親媒性物質は、当該技術分野で既知であり、例えば、ブロックコポリマー(Gonzalez−Perez et al.,Langmuir,2009,25,10447−10450)が含まれる。ブロックコポリマーは、2つ以上のモノマーサブユニットが共に重合されて単一ポリマー鎖を作製する、ポリマー材料である。ブロックコポリマーは、典型的には、各モノマーサブユニットによって寄与される特性を有する。しかしながら、ブロックコポリマーは、個々のサブユニットから形成されたポリマーが保有しない固有の特性を有し得る。ブロックコポリマーは、モノマーサブユニットのうちの1つが疎水性(すなわち、親油性)である一方、他のサブユニット(複数可)が水性媒体中で親水性であるように操作することができる。この場合、ブロックコポリマーは、両親媒性特性を保有し得、生体膜を模倣する構造を形成し得る。ブロックコポリマーは、ジブロック(2つのモノマーサブユニットからなる)であり得るが、3つ以上のモノマーサブユニットから構築されて、両親媒性物質として挙動するより複雑な配置でもあり得る。コポリマーは、トリブロック、テトラブロック、またはペンタブロックコポリマーであってもよい。膜は、好ましくは、トリブロックコポリマー膜である。
【0367】
古細菌二極性テトラエーテル脂質は、脂質が単分子層膜を形成するように構築される天然型脂質である。これらの脂質は、一般に、厳しい生物環境で生き残る好極限性細菌、好熱菌、好塩菌、及び好酸球において見出される。それらの安定性は、最終二分子層の融合性質から得られると考えられている。一般モチーフ親水性−疎水性−親水性を有するトリブロックポリマーを作製することによってこれらの生物学的存在を模倣するブロックコポリマーを構築することは簡単である。この材料は、脂質二分子層と同様に挙動するモノマー膜を形成し、ベシクルから層状膜に至るまで幅広い相挙動を包含し得る。これらのトリブロックコポリマーから形成された膜は、生体脂質膜に対していくつかの利点を有する。トリブロックコポリマーは合成されているため、その性格な構造を慎重に制御して、膜を形成し、ポア及び他のタンパク質と相互作用するために必要とされる正しい鎖長及び特性を提供することができる。
【0368】
ブロックコポリマーはまた、脂質サブ材料として分類されないサブユニットから構築されてもよく、例えば、疎水性ポリマーは、シロキサンまたは他の非炭化水素系モノマーから作製され得る。ブロックコポリマーの親水性サブセクションはまた、低いタンパク質結合特性を保有し得、これは、生の生体試料に曝露されたときに高度に耐性である膜の作製を可能にする。このヘッドグループ単位はまた、非分類脂質ヘッド基に由来してもよい。
【0369】
トリブロックコポリマー膜はまた、生体脂質膜と比較して増加した機械的及び環境的安定性、例えば、はるかに高い動作温度またはpH範囲を有する。ブロックコポリマーの合成性質は、ポリマー系膜を幅広い用途のためにカスタマイズする基盤を提供する。
【0370】
膜は、最も好ましくは、国際出願第PCT/GB2013/052766号または同第PCT/GB2013/052767号に記載される膜のうちの1つである。
【0371】
両親媒性分子は、ポリヌクレオチドへの結合を促進するように化学修飾または官能化され得る。
【0372】
両親媒性層は、一分子層または二分子層であり得る。両親媒性層は、典型的には、平面である。両親媒性層は、湾曲してもよい。両親媒性層は、支持されてもよい。
【0373】
両親媒性膜は、典型的には、天然に移動性であり、約10
−8cm s−1の脂質拡散速度を有する2次元流体として本質的に作用する。これは、ポア及び結合したポリヌクレオチドが、典型的には、両親媒性膜内で移動することができることを意味する。
【0374】
膜は、脂質二分子層膜であり得る。脂質二分子層は、細胞膜のモデルであり、幅広い実験研究のための優秀な基盤として働く。例えば、脂質二分子層は、シングルチャネルレコーディングによる膜タンパク質のインビトロ調査のために使用することができる。代替的には、脂質二分子層は、幅広い物質の存在を検出するためのバイオセンサとして使用することができる。脂質に二分子層は、任意の脂質二分子層であり得る。好適な脂質二分子層には、平面脂質二分子層、支持二分子層、またはリポソームが含まれるが、これらに限定されない。脂質二分子層は、好ましくは、平面脂質二分子層である。好適な脂質二分子層は、国際出願第PCT/GB08/000563号(WO2008/102121として公開)、国際出願第PCT/GB08/004127号(WO2009/077734として公開)、及び国際出願第PCT/GB2006/001057号(WO2006/100484として公開)に開示されている。
【0375】
脂質二分子層を形成するための方法は、当該技術分野で既知である。脂質二分子層は、Montal and Mueller(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,1972;69:3561−3566)の方法によって一般に形成され、この方法において、脂質一分子層は、水溶液/空気界面上で、その界面に対して直角な孔の両側を通り過ぎて担持される。脂質は、通常、最初にそれを有機溶媒中に溶解し、次いで少量の溶媒を孔の両側で水溶液の界面上で蒸発させることによって、電解質水溶液の界面に添加される。いったん有機溶媒が蒸発すると、孔の両側の溶液/空気界面は、二分子層が形成されるまで、孔を通り過ぎて物理的に上下に動かされる。平面脂質二分子層は、膜内の孔にわたって、または陥凹部内への開口部にわたって形成され得る。
【0376】
Montal&Muellerの方法は、費用効果があり、かつタンパク質ポア挿入のために好適である高品質の脂質二分子層を形成する比較的簡単な形成方法であるため、普及している。二分子層形成の他の一般的な方法には、先端浸漬(tip−dipping)、二分子層の塗装(painting bilayers)、及びリポソーム二分子層のパッチクランプが含まれる。
【0377】
先端浸漬二分子層形成は、孔表面(例えば、ピペット先端)を、脂質の一分子層を担持する試験溶液の界面上に接触させることを伴う。ここでまた、脂質一分子層は、有機溶媒中に溶解した少量の脂質を溶液界面において蒸発させることによって、溶液/空気界面において最初に生成される。次いで、二分子層は、Langmuir−Schaeferプロセスによって形成され、孔を溶液界面に対して移動させるために機械的自動化を必要とする。
【0378】
二分子層の塗装について、有機溶媒中に溶解した少量の脂質が孔に直接塗布され、これが、試験水溶液中に沈められる。脂質溶液は、塗装用刷毛などを使用して孔にわたって薄く広げられる。溶媒を薄くすることは、脂質二分子層の形成をもたらす。しかしながら、二分子層からの溶媒の完全な除去は困難であり、したがって、この方法によって形成された二分子層は安定性が低く、電気化学的測定中にノイズを生じやすい。
【0379】
パッチクランプは、生体細胞膜の研究において一般的に使用される。細胞膜は吸引によりピペットの端部に留められ、孔にわたって膜のパッチが付着する。この方法は、リポソームを留め、それが次いで破裂してピペットの孔にわたる脂質二分子層シールを残すことにより、脂質二分子層を生成するために適合されてきた。この方法は、安定した、巨大かつ単層のリポソームと、ガラス表面を有する材料における微小孔を作ることとを必要とする。
【0380】
リポソームは、超音波処理、押出、またはMozafari法によって形成することができる(Colas et al.(2007)Micron 38:841−847)。
【0381】
好ましい実施形態では、脂質二分子層は、国際出願第PCT/GB08/004127号(WO2009/077734として公開)に記載されるように形成される。有利には、本方法において、脂質二分子層は、乾燥脂質から形成される。最も好ましい実施形態では、脂質二分子層は、WO2009/077734(PCT/GB08/004127)に記載されるように、開口部にわたって形成される。
【0382】
脂質二分子層は、脂質の2つの対向する層から形成される。2つの脂質層は、それらの疎水性テール基が互いに向き合って疎水性の内部を形成するように配置される。脂質の親水性ヘッド基は、二分子層の両側で水性環境に向かって外側に向いている。二分子層は、液体不規則相(流体層状)、液体規則相、固体規則相(層状ゲル相、交互ゲル相)、及び平面二分子層結晶(層状サブゲル相、層状結晶相)を含むがこれらに限定されないいくつかの脂質相中に存在し得る。
【0383】
脂質二分子層を形成する任意の脂質組成物を使用することができる。脂質組成物は、必要とする特性、例えば表面荷電、膜タンパク質を支持する能力、充填密度、または機械的特性を有する脂質二分子層が形成されるように選択される。脂質組成物は、1つ以上の異なる脂質を含んでもよい。例えば、脂質組成物は、最大で100種の脂質を含有し得る。脂質組成物は、好ましくは、1〜10種の脂質を含有する。脂質組成物は、天然型脂質及び/または人工脂質を含んでもよい。
【0384】
脂質は、典型的には、ヘッド基、界面部分、及び同じであるかまたは異なり得る2つの疎水性テール基を含む。好適なヘッド基には、中性ヘッド基、例えばジアシルグリセリド(DG)及びセラミド(CM);双イオン性ヘッド基、例えばホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、及びスフィンゴミエリン(SM);負に荷電したヘッド基、例えばホスファチジルグリセロール(PG);ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、リン酸(PA)、及びカルジオリピン(CA);ならびに正に荷電したヘッド基、例えばトリメチルアンモニウム−プロパン(TAP)が含まれるが、これらに限定されない。好適な界面部分には、天然型界面部分、例えばグリセロール系またはセラミド系部分が含まれるが、これらに限定されない。好適な疎水性テール基には、飽和炭化水素鎖、例えばラウリン酸(n−ドデカノール酸(n−Dodecanolic acid))、ミリスチン酸(n−テトラデコノニン酸(n−Tetradecononic acid))、パルミチン酸(n−ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(n−オクタデカン酸)、及びアラキジン酸(n−エイコサン酸);不飽和炭化水素鎖、例えばオレイン酸(シス−9−オクタデカン酸);ならびに分岐炭化水素鎖、例えばフィタノイルが含まれるが、これらに限定されない。鎖の長さ、ならびに不飽和炭化水素鎖中の二重結合の位置及び数は変化し得る。鎖の長さ、ならびに分岐炭化水素鎖中のメチル基などの分岐の位置及び数は変化し得る。疎水性テール基は、エーテルまたはエステルとして界面部分に結合し得る。脂質は、ミコール酸であり得る。
【0385】
脂質はまた、化学修飾されてもよい。脂質のヘッド基またはテール基は、化学修飾され得る。そのヘッド基が化学修飾されている好適な脂質には、PEG修飾脂質、例えば1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000];官能化PEG脂質、例えば1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3 ホスホエタノールアミン−N−[ビオチニル(ポリエチレングリコール)2000];ならびにコンジュゲーションのために修飾された脂質、例えば1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)及び1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(ビオチニル)が含まれるが、これらに限定されない。そのテール基が化学修飾されている好適な脂質には、重合性脂質、例えば1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル(tricosadiynoyl))−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;フッ化脂質、例えば1−パルミトイル−2−(16−フルオロパルミトイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;重水素化脂質、例えば1,2−ジパルミトイル−D62−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;及びエーテル結合脂質、例えば1,2−ジ−O−フィタニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンが含まれるが、これらに限定されない。脂質は、ポリヌクレオチドへの結合を促進するように化学修飾または官能化され得る。
【0386】
両親媒性層、例えば、脂質組成物は、典型的には、層の特性に影響を与える1つ以上の添加剤を含む。好適な添加剤には、脂肪酸、例えばパルミチン酸、ミリスチン酸、及びオレイン酸;脂肪アルコール、例えばパルミチン酸アルコール、ミリスチン酸アルコール、及びオレイン酸アルコール;ステロール、例えばコレステロール、エルゴステロール、ラノステロール、シトステロール、及びスチグマステロール;リゾリン脂質、例えば1−アシル−2−ヒドロキシ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;ならびにセラミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0387】
別の好ましい実施形態では、膜は、固体層を含む。固体層は、微細電子材料、絶縁材料、例えばSi
3N
4、A1
2O
3、及びSiO、有機及び無機ポリマー、例えばポリアミド、プラスチック、例えばTeflon(登録商標)またはエラストマー、例えば二成分付加硬化シリコンゴム、及びガラスを含むがこれらに限定されない有機及び無機材料の両方から形成することができる。固体層は、グラフェンから形成され得る。好適なグラフェン層は、国際出願第PCT/US2008/010637号(WO2009/035647として公開)に開示されている。膜が固体層を含む場合、ポアは、典型的には、固体層内、例えば固体層内の穴、ウェル、間隙、チャネル、溝、または切れ目内に含まれる両親媒性膜または層内に存在する。当業者であれば、好適な固体/両親媒性ハイブリッド系を調製することができる。好適な系は、WO2009/020682及びWO2012/005857に開示されている。上記の両親媒性膜または層のいずれかを使用することができる。
【0388】
本方法は、典型的には、(i)ポアを含む人工両親媒性層、(ii)ポアを含む単離された天然型脂質二分子層、または(iii)ポアが内部に挿入された細胞を使用して実施される。本方法は、典型的には、人工両親媒性層、例えば人工トリブロックコポリマー層を使用して実施される。層は、ポアに加えて、他の膜貫通タンパク質及び/または膜内タンパク質、ならびに他の分子を含んでもよい。好適な装置及び条件は、以下に論じられる。本発明の方法は、典型的には、インビトロで実施される。
【0389】
結合
ポリヌクレオチドは、好ましくは、ポアを含む膜に結合する。本方法は、ポリヌクレオチドを、ポアを含む膜に結合させることを含み得る。ポリヌクレオチドは、好ましくは、1つ以上のアンカーを使用して膜に結合する。ポリヌクレオチドは、任意の既知の方法を使用して膜に結合し得る。
【0390】
各アンカーは、ポリヌクレオチドに結合(couple)(または結合(bind))する基と、膜に結合(couple)(または結合(bind))する基とを含む。各アンカーは、ポリヌクレオチド及び/または膜と共有結合(couple)(または結合(bind))してもよい。Yアダプター及び/またはヘアピンループアダプターが使用される場合、ポリヌクレオチドは、好ましくは、アダプター(複数可)を使用して膜に結合する。
【0391】
ポリヌクレオチドは、任意の数のアンカー、例えば2、3、4つ、またはそれ以上のアンカーを使用して膜に結合し得る。例えば、ポリヌクレオチドは、その各々がポリヌクレオチド及び膜の両方に別々に結合(couple)(または結合(bind))する、2つのアンカーを使用して膜に結合し得る。
【0392】
1つ以上のアンカーは、1つ以上のヘリカーゼ及び/または1つ以上の分子ブレーキを含み得る。
【0393】
膜が、コポリマー膜または脂質二分子層などの両親媒性層である場合、1つ以上のアンカーは、好ましくは、膜内に存在するポリペプチドアンカー及び/または膜内に存在する疎水性アンカーを含む。疎水性アンカーは、好ましくは、脂質、脂肪酸、ステロール、カーボンナノチューブ、ポリペプチド、タンパク質、またはアミノ酸、例えば、コレステロール、パルミチン酸、またはトコフェロールである。好ましい実施形態では、1つ以上のアンカーは、ポアではない。
【0394】
両親媒性分子、コポリマー、または脂質などの膜の成分は、1つ以上のアンカーを形成するように化学修飾または官能化され得る。好適な化学修飾及び膜の成分の官能化の好適な方法は、以下により詳細に論じられる。任意の割合、例えば、少なくとも0.01%、少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、または100%の膜成分が官能化され得る。
【0395】
ポリヌクレオチドは、膜に直接結合してもよい。ポリヌクレオチドを膜に結合するために使用される1つ以上のアンカーは、好ましくは、リンカーを含む。1つ以上のアンカーは、1つ以上、例えば2、3、4つ、またはそれ以上のリンカーを含み得る。1つのリンカーを使用して、1つ超、例えば2、3、4つ、またはそれ以上のポリヌクレオチドを膜に結合させることができる。
【0396】
好ましいリンカーには、ポリマー、例えばポリヌクレオチド、ポリエチレングリコール(PEG)、多糖類、及びポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。これらのリンカーは、線状、分岐、または環状であり得る。例えば、リンカーは、環状ポリヌクレオチドであり得る。ポリヌクレオチドは、環状ポリヌクレオチドリンカー上の相補的配列にハイブリダイズし得る。
【0397】
1つ以上のアンカーまたは1つ以上のリンカーは、分解されるように切断され得る成分、例えば制限部位または感光性基を含んでもよい。
【0398】
官能化リンカー、及びそれらが分子に結合し得る方法は、当該技術分野で既知である。例えば、マレイミド基で官能化されたリンカーは、タンパク質中のシステイン残基と反応し、それに結合することになる。本発明の文脈において、タンパク質は、膜内に存在し得るか、またはポリヌクレオチドに結合(couple)(または結合(bind))するために使用され得る。これは、以下により詳細に論じられる。
【0399】
「ロックアンドキー」配置を使用して、ポリヌクレオチドの架橋を回避することができる。各リンカーの一方の末端のみが共に反応してより長いリンカーを形成し得、リンカーの他方の末端は、それぞれポリヌクレオチドまたは膜と各々反応する。かかるリンカーは、国際出願第PCT/GB10/000132号(WO2010/086602として公開)に記載されている。
【0400】
下記のシークエンシング実施形態において、リンカーの使用が好ましい。それがポアと相互作用する際に切り離されない(すなわち、ステップ(b)または(e)において切り離されない)という意味で、ポリヌクレオチドが永久的に膜に直接結合している場合、膜とポアとの間の距離に起因して、シークエンシングランがポリヌクレオチドの末端まで続けることができないため、一部の配列データが失われることになる。リンカーが使用される場合、ポリヌクレオチドは完了するまで処理することができる。
【0401】
結合は、永久的であるか、または安定であり得る。換言すれば、結合は、ポアとの相互作用の際にポリヌクレオチドが膜に結合したままにするようなものである。
【0402】
結合は、一時的であり得る。換言すれば、結合は、ポアとの相互作用の際にポリヌクレオチドが膜から分離するようなものである。
【0403】
アプタマー検出などの特定の用途の場合、結合の一時的な性質が好ましい。永久的または安定リンカーがポリヌクレオチドの5’または3’末端のいずれかに直接結合し、リンカーが膜と膜貫通ポアのチャネルとの間の距離よりも短い場合、シークエンシングランがポリヌクレオチドの末端まで続けることができないため、一部の配列データが失われることになる。結合が一時的である場合、結合した末端がランダムに膜から分離されると、ポリヌクレオチドは完了するまで処理することができる。永久的/安定または一時的結合を形成する化学基は、以下により詳細に論じられる。ポリヌクレオチドは、コレステロールまたは脂肪アシル鎖を使用して両親媒性層またはトリブロックコポリマー膜に一時的に結合し得る。ヘキサデカン酸などの6〜30個の炭素原子の長さを有する任意の脂肪アシル鎖を使用することができる。
【0404】
好ましい実施形態では、核酸などのポリヌクレオチドは、両親媒性層、例えばトリブロックコポリマー膜または脂質二分子層に結合する。核酸の合成脂質二分子層への結合は、以前に、様々な異なるテザリング方法を用いて実施されてきた。これらを、以下の表5に要約する。
【表4】
【0405】
合成ポリヌクレオチド及び/またはリンカーは、コレステロール、トコフェロール、パルミチン酸、チオール、脂質、及びビオチン基などの好適なアンカー基の直接付加のために容易に適合可能である、修飾ホスホロアミダイトを合成反応中に使用して官能化され得る。これらの異なる結合化学は、ポリヌクレオチドへの結合のための一式のオプションを与える。欠く異なる修飾基は、わずかに異なる方法でポリヌクレオチドに結合し、結合は、必ずしも永久的ではないため、ポリヌクレオチドについて異なる滞留時間を膜に与える。一時的結合の利点は、上に論じられる。
【0406】
ポリヌクレオチドのリンカーまたは官能化膜への結合はまた、いくつかの他の手段によって達成することができるが、但し、相補的反応性基またはアンカー基がポリヌクレオチドに付加され得ることを条件とする。ポリヌクレオチドのいずれかの末端への反応性基の付加は、以前に報告されている。T4ポリヌクレオチドキナーゼ及びATPγSを使用して、チオール基をssDNAまたはdsDNAの5’に付加することができる(Grant,G.P.and P.Z.Qin(2007).「A facile method for attaching nitroxide spin labels at the 5’ terminus of nucleic acids.」Nucleic Acids Res 35(10):e77)。T4 ポリヌクレオチドキナーゼ及びγ−[2−アジドエチル]−ATPまたはγ−[6−アジドヘキシル]−ATPを使用して、アジド基をssDNAのdsDNAの5’−リン酸に付加することができる。チオールまたはクリックケミストリーを使用して、チオール、ヨードアセトアミドOPSS、またはマレイミド基(チオールに対して反応性)、またはDIBO(ジベンゾシクロオキシチン(dibenzocyclooxtyne))、またはアルキン基(アジドに対して反応性)のいずれかを含有するテザー(tether)は、ポリヌクレオチドと共有結合し得る。ビオチン、チオール、及びフルオロフォアなどの化学基のより多様な選択は、修飾オリゴヌクレオチドをssDNAの3’に組み込むために、末端トランスフェラーゼを使用して付加することができる(Kumar,A.,P.Tchen,et al.(1988).「Nonradioactive labeling of synthetic oligonucleotide probes with terminal deoxynucleotidyl transferase.」Anal Biochem 169(2):376−82)。任意の他のポリヌクレオチドについて、ストレプトアビジン/ビオチン及び/またはストレプトアビジン/デスチオビオチン結合を使用することができる。以下の実施例は、ストレプトアビジン/ビオチン及びストレプトアビジン/デスチオビオチンを使用してポリヌクレオチドがどのように膜に結合し得るかを説明する。また、好適な修飾ヌクレオチド(例えば、コレステロールまたはパルミチン酸)を有する末端トランスフェラーゼを使用して、アンカーがポリヌクレオチドに直接付加され得ることも可能であり得る。
【0407】
1つ以上のアンカーは、好ましくは、ハイブリダイゼーションを介してポリヌクレオチドを膜に結合させる。1つ以上のアンカーにおけるハイブリダイゼーションは、上記のような一時的な方法での結合を可能にする。ハイブリダイゼーションは、1つ以上のアンカーの任意の部分、例えば、1つ以上のアンカーとポリヌクレオチドとの間、1つ以上のアンカー内、または1つ以上のアンカーと膜との間に存在する。例えば、リンカーは、共にハイブリダイズされた2つ以上のポリヌクレオチド、例えば3、4、または5つのポリヌクレオチドを含み得る。1つ以上のアンカーは、ポリヌクレオチドにハイブリダイズし得る。1つ以上のアンカーは、ポリヌクレオチドに直接、またはポリヌクレオチドに結合したYアダプター及び/またはリーダー配列に直接、またはポリヌクレオチドに結合したヘアピンループアダプターに直接ハイブリダイズし得る(以下に論じられるように)。代替的には、1つ以上のアンカーは、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドに結合したYアダプター及び/もしくはリーダー配列、またはポリヌクレオチドに結合したヘアピンループアダプターにハイブリダイズされた1つ以上、例えば2または3つの中間ポリヌクレオチド(または「スプリント」)にハイブリダイズされ得る(以下に論じられるように)。
【0408】
1つ以上のアンカーは、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドを含み得る。アンカーの一部は、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドにライゲーションされ得る。T4 RNAリガーゼIを使用した、ssDNAの短片のライゲーションが報告されている(Trout,A.B.,M.G.McHeyzer−Williams,et al.(1992).「Ligation−anchored PCR:a simple amplification technique with single−sided specificity.」Proc Natl Acad Sci USA 89(20):9823−5)。代替的には、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドのいずれかを、二本鎖ポリヌクレオチドにライゲーションし、その後2本の鎖を熱変性または化学的変性によって分離することができる。二本鎖ポリヌクレオチドに、一本鎖ポリヌクレオチドの片を二本鎖の末端の一方または両方に付加するか、または二本鎖ポリヌクレオチドを一方または両方の末端に付加するかのいずれかが可能である。一本鎖ポリヌクレオチドの二本鎖ポリヌクレオチドへの付加の場合、一本鎖ポリヌクレオチドの他の領域へのライゲーションについては、T4 RNAリガーゼIを使用して達成することができる。二本鎖ポリヌクレオチドの二本鎖ポリヌクレオチドへの付加の場合、ライゲーションは、ポリヌクレオチド上の相補的3’dA/dTテール、及びそれぞれ付加されたポリヌクレオチド(コンカテマーまたはダイマーの形成を防ぐために、多くの試料調製用途において日常的に行われるように)を有する「平滑末端」であり得るか、またはポリヌクレオチドの制限消化及び適合性アダプターのライゲーションによって生成された「付着末端」を使用することができる。次いで、二本鎖が融解すると、各一本鎖は、一本鎖ポリヌクレオチドがライゲーションに使用された場合、5’または3’修飾のいずれかを有することになり、二本鎖ポリヌクレオチドがライゲーションに使用された場合、5’末端、3’末端、またはその両方における修飾を有することになる。
【0409】
ポリヌクレオチドが合成鎖である場合、ポリヌクレオチドの化学合成中に1つ以上のアンカーが組み込まれ得る。例えば、ポリヌクレオチドは、反応性基が結合したプライマーを使用して合成することができる。
【0410】
アデニル化ポリヌクレオチドは、ライゲーション反応における中間体であり、アデノシン−一リン酸がポリヌクレオチドの5’−リン酸に結合している。この中間体の生成のために様々なキット、例えばNEBの5’DNA Adenylation Kitが利用可能である。反応中に修飾ヌクレオチド三リン酸をATPで置換することによって、反応性基(例えばチオール、アミン、ビオチン、アジドなど)のポリヌクレオチドの5’への付加が可能となり得る。また、好適に修飾されたヌクレオチド(例えば、コレステロールまたはパルミチン酸)と共に5’DNAアデニル化キットを使用して、アンカーがポリヌクレオチドに直接付加され得ることも可能であり得る。
【0411】
ゲノムDNAの区画の増幅のための一般的な技術は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用することである。ここでは、2つの合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、DNAの同じ区画のいくつかのコピーを生成することができ、各コピーについて、二本鎖中の各鎖の5’が、合成ポリヌクレオチドとなる。ポリメラーゼを用いることによって、単一または複数のヌクレオチドを一本鎖または二本鎖DNAの3’末端に付加することができる。使用され得るポリメラーゼの例としては、末端トランスフェラーゼ、Klenow、及びE.coli Poly(A)ポリメラーゼ)が挙げられるがこれらに限定されない。反応中に修飾ヌクレオチド三リン酸をATPで置換することによって、コレステロール、チオール、アミン、アジド、ビオチン、または脂質などのアンカーが二本鎖ポリヌクレオチド内に組み込まれ得る。したがって、増幅ポリヌクレオチドの各コピーは、アンカーを含有することになる。
【0412】
理想的には、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドを官能化することを必要とせずに膜に結合する。これは、ポリヌクレオチド結合タンパク質または化学基などの1つ以上のアンカーを膜に結合し、1つ以上のアンカーにポリヌクレオチドと相互作用させることによって、または膜を官能化させることによって達成することができる。1つ以上のアンカーは、本明細書に記載される方法のいずれかによって膜に結合し得る。とりわけ、1つ以上のアンカーは、マレイミド官能化リンカーなどの1つ以上のリンカーを含み得る。
【0413】
この実施形態では、ポリヌクレオチドは、典型的には、RNA、DNA、PNA、TNA、またはLNAであり、二本鎖であっても一本鎖であってもよい。この実施形態は、ゲノムDNAポリヌクレオチドに特に適している。
【0414】
1つ以上のアンカーは、一本鎖もしくは二本鎖ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド内の特定のヌクレオチド配列、もしくはポリヌクレオチド内の修飾ヌクレオチドのパターンに結合(couple)するか、それに結合(bind)するか、もしくはそれと相互作用する任意の基、またはポリヌクレオチド上に存在する任意の他のリガンドを含み得る。
【0415】
アンカーにおける使用のための好適な結合タンパク質には、以下に列挙されるものを含む、E.coli 一本鎖結合タンパク質、P5一本鎖結合タンパク質、T4 gp32一本鎖結合タンパク質、TOPO V dsDNA結合領域、ヒトヒストンタンパク質、E.coli HU DNA結合タンパク質、及び他の古細菌、原核生物、または真核生物の一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチド(または核酸)結合タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
【0416】
特定のヌクレオチド配列は、転写因子、リボソーム、エンドヌクレアーゼ、トポイソメラーゼ、または複製開始因子によって認識される配列であり得る。修飾ヌクレオチドのパターンは、メチル化または損傷のパターンであり得る。
【0417】
1つ以上のアンカーは、ポリヌクレオチドに結合(couple)するか、結合(bind)するか、それにインターカレートするか、またはそれと相互作用する任意の基を含み得る。基は、静電気、水素結合、またはファンデルワールス相互作用を介してポリヌクレオチドにインターカレートするかまたはそれと相互作用する。かかる基には、リジンモノマー、ポリ−リジン(ssDNAまたはdsDNAと相互作用することになる)、臭化エチジウム(dsDNAにインターカレートすることになる)、ユニバーサル塩基またはユニバーサルヌクレオチド(任意のポリヌクレオチドにハイブリダイズし得る)、及びオスミウム錯体(メチル化塩基に対して反応し得る)が含まれる。ポリヌクレオチドは、したがって、膜に結合した1つ以上のユニバーサルヌクレオチドを使用して膜に結合し得る。各ユニバーサルヌクレオチドは、1つ以上のリンカーを使用して膜に結合し得る。ユニバーサルヌクレオチド好ましくは、以下の核酸塩基、ヒポキサンチン、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、6−ニトロインドール、ホルミルインドール、3−ニトロピロール、ニトロイミダゾール、4−ニトロピラゾール、4−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロインダゾール、4−アミノベンゾイミダゾール、またはフェニル(C6芳香族環)のうちの1つを含む。ユニバーサルヌクレオチドは、より好ましくは、以下のヌクレオシド、2’−デオキシイノシン、イノシン、7−デアザ−2’−デオキシイノシン、7−デアザ−イノシン、2−アザ−デオキシイノシン、2−アザ−イノシン、2−O’−メチルイノシン、4−ニトロインドール2’−デオキシリボヌクレオシド、4−ニトロインドールリボヌクレオシド、5−ニトロインドール2’−デオキシリボヌクレオシド、5−ニトロインドールリボヌクレオシド、6−ニトロインドール2’−デオキシリボヌクレオシド、6−ニトロインドールリボヌクレオシド、3−ニトロピロール2’−デオキシリボヌクレオシド、3−ニトロピロールリボヌクレオシド、ヒポキサンチンの非環状糖、ニトロイミダゾール2’−デオキシリボヌクレオシド、ニトロイミダゾールリボヌクレオシド、4−ニトロピラゾール2’−デオキシリボヌクレオシド、4−ニトロピラゾールリボヌクレオシド、4−ニトロベンゾイミダゾール2’−デオキシリボヌクレオシド、4−ニトロベンゾイミダゾールリボヌクレオシド、5−ニトロインダゾール2’−デオキシリボヌクレオシド、5−ニトロインダゾールリボヌクレオシド、4−アミノベンゾイミダゾール2’−デオキシリボヌクレオシド、4−アミノベンゾイミダゾールリボヌクレオシド、フェニルC−リボヌクレオシド、フェニルC−2’−デオキシリボシルヌクレオシド、2’−デオキシネブラリン、2’−デオキシイソグアノシン、K−2’−デオキシリボース、P−2’−デオキシリボース、及びピロリジンのうちの1つを含む。ユニバーサルヌクレオチドは、より好ましくは、2’−デオキシイノシンを含む。ユニバーサルヌクレオチドは、より好ましくは、IMPまたはdIMPである。ユニバーサルヌクレオチドは、最も好ましくは、dPMP(2’−デオキシ−P−ヌクレオシド一リン酸)またはdKMP(N6−メトキシ−2,6−ジアミノプリン一リン酸)である。
【0418】
1つ以上のアンカーは、フーグスティーン水素結合(2つの核酸塩基が水素結合によって共に保持されている)、または逆フーグスティーン水素結合(一方の核酸塩基が他方の核酸塩基に対して180°回転している)を介して、ポリヌクレオチドに結合(couple)(または結合(bind))し得る。例えば、1つ以上のアンカーは、ポリヌクレオチドとフーグスティーン水素結合または逆フーグスティーン水素結合を形成する1つ以上のヌクレオチド、1つ以上のオリゴヌクレオチド、または1つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。これらの種類の水素結合は、第3のポリヌクレオチド鎖が二本鎖ヘリックスに巻き付き、三本鎖を形成することを可能にする。1つ以上のアンカーは、二本鎖構造と共に三本鎖を形成することによって、二本鎖ポリヌクレオチドに結合(couple)(または結合(bind))し得る。
【0419】
この実施形態では、少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、または100%の膜成分が官能化され得る。
【0420】
1つ以上のアンカーがタンパク質を含むとき、例えばそれが、膜に適合する外部の疎水性領域を既に有する場合、それらはさらなる官能化を伴わずに膜内に直接固定することできる。かかるタンパク質の例としては、膜貫通タンパク質、膜内タンパク質、及び膜タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。代替的には、タンパク質は、膜に適合する遺伝的に融合された疎水性領域によって発現され得る。かかる疎水性タンパク質領域は、当該技術分野で既知である。
【0421】
1つ以上のアンカーは、好ましくは、膜との接触の前にポリヌクレオチドと混合されるが、1つ以上のアンカーは膜と接触され、その後にポリヌクレオチドと接触されてもよい。
【0422】
別の態様では、ポリヌクレオチドは、それが特異的結合基によって認識され得るように、上記の方法を使用して官能化されてもよい。具体的には、ポリヌクレオチドは、ビオチン(ストレプトアビジンへの結合のため)、アミロース(マルトース結合タンパク質または融合タンパク質への結合のため)、Ni−NTA(ポリ−ヒスチジンまたはポリ−ヒスチジンタグタンパク質)、またはペプチド(例えば、抗原)などのリガンドによって官能化され得る。
【0423】
好ましい実施形態に従い、1つ以上のアンカーを使用して、ポア内に優先的に入るリーダー配列にポリヌクレオチドが結合しているときに、ポリヌクレオチドを膜に結合させることができる。リーダー配列は、以下により詳細に論じられる。好ましくは、ポリヌクレオチドは、ポア内に優先的に入るリーダー配列に結合(例えばライゲーション)している。かかるリーダー配列は、ホモポリマーポリヌクレオチドまたは脱塩基領域を含み得る。リーダー配列は、典型的には、直接、または1つ以上の中間ポリヌクレオチド(もしくはスプリント)を介して、1つ以上のアンカーにハイブリダイズするように設計される。かかる実例において、1つ以上のアンカーは、典型的には、リーダー配列中の配列または1つ以上の中間ポリヌクレオチド(もしくはスプリント)中の配列に対して相補的ポリヌクレオチド配列を含む。かかる実例において、1つ以上のスプリントは、典型的には、リーダー配列中の配列に対して相補的ポリヌクレオチド配列を含む。
【0424】
化学的結合に使用される分子の例は、EDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミドヒドロクロリド)である。市販のキット(Thermo Pierce、部品番号22980)を使用して、反応性基をポリヌクレオチドの5’に付加することもできる。好適な方法には、ヒスチジン残基及びNi−NTAを使用する一時的親和性結合、ならびに反応性システイン、リジン、または非天然型アミノ酸によるより強固な共有結合が含まれるが、これらに限定されない。
【0425】
二本鎖ポリヌクレオチド
ポリヌクレオチドは、二本鎖であってもよい。ポリヌクレオチドが二本鎖である場合、本方法は、好ましくは、接触ステップの前に、ヘアピンループなどの架橋部分をポリヌクレオチドの1つの末端にライゲーションすることをさらに含む。ポリヌクレオチドの2本の鎖は、その後、本発明に従いポリヌクレオチドがポアに接触される間に、またはその前に分けられる。2本の鎖は、ポアを通るポリヌクレオチドの移動が、ヘリカーゼなどのポリヌクレオチド結合タンパク質または分子ブレーキによって制御される間に分けられてもよい。
【0426】
この方法で二本鎖構造体上の両方の鎖を結合し、調べることは、特徴付けの効率及び精度を増加させる。
【0427】
架橋部分は、標的ポリヌクレオチドの2本の鎖を結合することができる。架橋部分は、典型的には、標的ポリヌクレオチドの2本の鎖を共有結合させる。架橋部分は、標的ポリヌクレオチドの2本の鎖を結合することができる任意のものであり得るが、但し、架橋部分が、膜貫通ポアを通る一本鎖ポリヌクレオチドの移動に干渉しないことを条件とする。
【0428】
架橋部分は、当該技術分野で既知の任意の好適な手段によって標的ポリヌクレオチド に結合し得る。架橋部分は、別個に合成され、標的ポリヌクレオチドに化学的に結合するか、またはそれに酵素的にライゲーションし得る。代替的には、架橋部分は、標的ポリヌクレオチドの処理中に生成されてもよい。
【0429】
架橋部分は、標的ポリヌクレオチドの1つの末端において、またはその近くで標的ポリヌクレオチドに結合する。架橋部分は、好ましくは、標的ポリヌクレオチドの末端の10ヌクレオチド以内で標的ポリヌクレオチドに結合する。
【0430】
好適な架橋部分には、ポリマーリンカー、化学リンカー、ポリヌクレオチド、またはポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、架橋部分は、DNA、RNA、修飾DNA(例えば、脱塩基DNA)、RNA、PNA、LNA、またはPEGを含む。架橋部分は、より好ましくは、DNAまたはRNAである。
【0431】
架橋部分は、最も好ましくは、ヘアピンループまたはヘアピンループアダプターである。好適なヘアピンアダプターは、当該技術分で既知の方法を使用して設計することができる。ヘアピンループは、任意の長さであり得る。ヘアピンループは、典型的には、110ヌクレオチド長以下、例えば100ヌクレオチド長以下、90ヌクレオチド長以下、80ヌクレオチド長以下、70ヌクレオチド長以下、60ヌクレオチド長以下、50ヌクレオチド長以下、40ヌクレオチド長以下、30ヌクレオチド長以下、20ヌクレオチド長以下、または10ヌクレオチド長以下である。ヘアピンループは、好ましくは、約1〜110、2〜100、5〜80、または6〜50ヌクレオチド長である。ループがアダプターの分別選択性に関与する場合、ヘアピンループのより長い長さ、例えば50〜110ヌクレオチドが好ましい。同様に、ループが下記の選択的結合に関与していない場合、ヘアピンループのより短い長さ、例えば1〜5ヌクレオチドが好ましい。
【0432】
ヘアピンアダプターは、第1及び/または第2のポリヌクレオチドのいずれかの末端、すなわち5’または3’末端にライゲーションされ得る。ヘアピンアダプターは、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して、第1及び/または第2のポリヌクレオチドにライゲーションされ得る。ヘアピンアダプターは、T4 DNAリガーゼ、E.coli DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tma DNAリガーゼ、及び9
oN DNAリガーゼなどのリガーゼを使用してライゲーションされ得る。
【0433】
ポリヌクレオチドの2本の鎖は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して分けられ得る。例えば、それらは、ポリヌクレオチド結合タンパク質によって、または脱ハイブリダイゼーションを好む条件を使用して分けられ得る(脱ハイブリダイゼーションを好む条件には、恒温、高pH、及び水素結合または塩基対合を破壊することができる薬剤、例えばホルムアミド及び尿素の添加が含まれるが、これらに限定されない)。
【0434】
ヘアピンアダプターは、好ましくは、選択的結合部分を含む。これは、第1及び/または第2のポリヌクレオチドが精製または単離されることを可能にする。選択的結合部分は、その結合特性に基づいて選択され得る部分である。したがって、選択的結合部分は、好ましくは、表面に特異的に結合する部分である。それが、本発明に使用される任意の他の部分よりもはるかに大きい程度で表面に結合する場合、選択的結合部分は表面に特異的に結合する。好ましい実施形態では、部分は、本発明に使用される他の部分が結合しない表面に結合する。
【0435】
好適な選択的結合部分は、当該技術分野で既知である。好ましい選択的結合部分には、ビオチン、ポリヌクレオチド配列、抗体、抗体断片、例えばFab及びScSv、抗原、ポリヌクレオチド結合タンパク質、ポリヒスチジンテール、ならびにGSTタグが含まれるが、これらに限定されない。最も好ましい選択的結合部分は、ビオチン及び選択的ポリヌクレオチド配列である。ビオチンは、アビジンでコーティングされた表面に特異的に結合する。選択的ポリヌクレオチド配列は、相同配列でコーティングされた表面に特異的に結合する(すなわち、ハイブリダイズする)。代替的には、選択的ポリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド結合タンパク質でコーティングされた表面に特異的に結合する。
【0436】
ヘアピンアダプター及び/または選択的結合部分は、切断、ニック、開裂、または加水分解され得る領域を含んでもよい。かかる領域は、精製または単離後に、第1及び/または第2のポリヌクレオチドが、それが結合する表面から除去されることを可能にするように設計され得る。好適な領域は、当該技術分野で既知である。好適な領域には、RNA領域、デスチオビオチン及びストレプトアビジンを含む領域、ジスルフィド結合、ならびに光開裂可能な領域が含まれるが、これらに限定されない。
【0437】
二本鎖標的ポリヌクレオチドは、好ましくは、ヘアピンループまたはヘアピンループアダプターなどの架橋部分の反対の末端にリーダー配列を含む。リーダー配列は、以下により詳細に論じられる。
【0438】
ラウンドザコーナー(Round the corner)シークエンシング
好ましい実施形態では、標的二本鎖ポリヌクレオチドは、ヘアピンループまたはヘアピンループアダプターなどの架橋部分を1つの末端に提供され、本方法は、ポアを通してポリヌクレオチドの両方の鎖が移動するように、ポリヌクレオチドをポアと接触させることと、ポリヌクレオチドの両方の鎖がポアに対して移動する間に1つ以上の測定値を取ることであって、測定値はポリヌクレオチドの鎖の1つ以上の特徴を示す、取ることによって、標的二本鎖ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む。別の好ましい実施形態では、標的二本鎖ポリヌクレオチドは、ヘアピンループまたはヘアピンループアダプターなどの架橋部分を1つの末端に提供され、本方法は、ポリヌクレオチドの両方の鎖が消化されて個々のヌクレオチドを形成するように、ポリヌクレオチドをポア及びエキソヌクレアーゼと接触させることを含む。上記の実施形態のいずれも、この実施形態に同等に適用される。
【0439】
リーダー配列
鎖特徴付け/シークエンシング方法における接触ステップの前に、本方法は、好ましくは、ポア内に優先的に入るリーダー配列をポリヌクレオチドに結合させることを含む。リーダー配列は、本発明の方法を促進する。リーダー配列は、ポア内に優先的に入り、それによりポアを通るポリヌクレオチドの移動を促進するように設計される。リーダー配列を使用して、上記のようにポリヌクレオチドを1つ以上のアンカーに結合することもできる。
【0440】
リーダー配列は、典型的には、ポリマーを含むポリマーは、好ましくは、負に荷電されている。ポリマーは、好ましくは、ポリヌクレオチド、例えばDNAもしくはRNA、修飾ポリヌクレオチド(例えば、脱塩基DNA)、PNA、LNA、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリペプチドである。リーダーは、好ましくは、ポリヌクレオチドを含み、より好ましくは、一本鎖ポリヌクレオチドを含むリーダー配列は、上記のポリヌクレオチドのいずれかを含んでもよい。一本鎖リーダー配列は、最も好ましくは、DNAの一本鎖、例えばポリdTセクションを含む。リーダー配列は、好ましくは、1つ以上のスペーサを含む。
【0441】
リーダー配列は、任意の長さであり得るが、典型的には、10〜150ヌクレオチド長、例えば20〜150ヌクレオチド長である。リーダーの長さは、典型的には、本方法に使用される膜貫通ポアに依拠する。
【0442】
リーダー配列は、好ましくは、以下に定義されるようにYアダプターの一部である。
【0443】
二重結合
本発明の方法は、二本鎖ポリヌクレオチドの二重結合を伴い得る。好ましい実施形態では、本発明の方法は、
(a)二本鎖ポリヌクレオチドに、一方の末端においてYアダプター、及び他方の末端においてヘアピンループアダプターなどの架橋部分アダプターを提供することであって、Yアダプターは、ポリヌクレオチドを膜に結合させるための1つ以上の第1のアンカーを含み、架橋部分アダプターは、ポリヌクレオチドを膜に結合させるための1つ以上の第2のアンカーを含み、架橋部分アダプターの膜への結合強度が、Yアダプターの膜への結合強度よりも大きい、提供することと、
(b)ポアに対して、例えばそれを通してポリヌクレオチドが移動するように、ステップ(a)において提供されたポリヌクレオチドを本発明のポアと接触させることと、
(c)ポリヌクレオチドがポアに対して移動する間に、1つ以上の測定値を取ることであって、測定値がポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、取ることによって、標的ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む。
【0444】
この種類の方法は、英国出願第1406147.7号に詳細に論じられている。
【0445】
二本鎖ポリヌクレオチドは、一方の末端においてYアダプター、及び他方の末端において架橋部分アダプターを提供される。Yアダプター及び/または架橋部分アダプターは、典型的には、ポリヌクレオチドアダプターである。それらは、上記のポリヌクレオチドのいずれかから形成され得る。
【0446】
Yアダプターは、典型的には、(a)二本鎖領域と、(b)一本鎖領域または他方の末端において相補的ではない領域と、を含むYアダプターは、それが一本鎖領域を含む場合、オーバーハングとして説明することができる。Yアダプター中の非相補領域の存在は、二本鎖部分とは異なり2本の鎖が典型的には互いにハイブリダイズしないため、アダプターにY形状を与える。Yアダプターは、1つ以上の第1のアンカーを含む。アンカーは、上により詳細に論じられる。
【0447】
Yアダプターは、好ましくは、ポア内に優先的に入るリーダー配列を含む。これは、上に論じられる。
【0448】
架橋部分アダプターは、好ましくは、上記のように選択的結合部分を含む。架橋部分アダプター及び/または選択的結合部分は、切断、ニック、開裂、または加水分解され得る領域を含んでもよい。
【0449】
上記のように1つ以上のヘリカーゼ及び1つ以上の分子ブレーキが使用される場合、Yアダプターは、好ましくは、1つ以上のヘリカーゼを含み、架橋部分アダプターは、好ましくは、1つ以上の分子ブレーキを含む。
【0450】
Yアダプター及び/または架橋部分アダプターは、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して、ポリヌクレオチドにライゲーションされ得る。アダプターのうちの一方または両方は、T4 DNAリガーゼ、E.coli DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tma DNAリガーゼ、及び9
oN DNAリガーゼなどのリガーゼを使用してライゲーションされ得る。代替的には、アダプターは、以下に論じられる本発明の方法を使用して、ポリヌクレオチドに付加され得る。
【0451】
好ましい実施形態では、本方法のステップa)は、それが一方の末端においてYアダプター、及び他方の末端位おいて架橋部分アダプターを含むように、二本鎖ポリヌクレオチドを修飾することを含む。任意の修飾方法を使用することができる。本方法は、好ましくは、本発明に従って二本鎖ポリヌクレオチドを修飾することを含む。これは、以下により詳細に論じられる。修飾及び特徴付けの方法は、任意の方法で組み合わせられ得る。
【0452】
架橋部分アダプターの膜への結合(coupling)(または結合(binding))強度は、Yアダプターの膜への結合(coupling)(または結合(binding))強度よりも大きい。これは、任意の方法で測定することができる。結合(coupling)(または結合(binding))強度を測定するための好適な方法は、英国特許第1406147.7号の実施例において開示されている。
【0453】
架橋部分アダプターの結合(coupling)(または結合(binding))強度は、好ましくは、Yアダプターの結合(coupling)(または結合(binding))強度の少なくとも1.5倍、例えば、Yアダプターの結合(coupling)(または結合(binding))強度の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍である。架橋部分アダプターの膜に対する親和定数(Kd)は、好ましくは、Yアダプターの親和定数の少なくとも1.5倍、例えばYアダプターの結合強度の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍である。
【0454】
架橋部分アダプターが、Yアダプターよりも強く膜に結合(couple)(または結合(bind))するいくつかの方法がある。例えば、架橋部分アダプターは、Yアダプターよりも多いアンカーを含み得る。例えば、架橋部分アダプターは、2つ、3つ、またはそれ以上の第2のアンカーを含み得る一方、Yアダプターは、1つの第1のアンカーを含み得る。
【0455】
1つ以上の第2のアンカーの膜への結合(coupling)(または結合(binding))強度は、1つ以上の第1のアンカーの膜への結合(coupling)(または結合(binding))強度よりも大きくてもよい。1つ以上の第2のアンカーの架橋部分アダプターへの結合(coupling)(または結合(binding))強度は、1つ以上の第1のアンカーのYアダプターへの結合(coupling)(または結合(binding))強度よりも大きくてもよい。1つ以上の第1のアンカー及び1つ以上の第2のアンカーは、ハイブリダイゼーションを介してそれらのそれぞれのアダプターに結合し得、ハイブリダイゼーション強度は、1つ以上の第1のアンカーにおけるよりも1つ以上の第2のアンカーにおいてより大きい。本発明において、これらの実施形態の任意の組み合わせを使用することもできる。結合(coupling)(または結合(binding))強度は、当該技術分野で既知の技術を使用して測定することができる。
【0456】
1つ以上の第2のアンカーは、好ましくは、膜に結合(couple)(または結合(bind))する1つ以上の第1のアンカー中の1つ以上の基よりも大きい強度で膜に結合(couple)(または結合(bind))する1つ以上の基を含む。好ましい実施形態では、架橋部分アダプター/1つ以上の第2のアンカーは、コレステロールを使用して膜に結合(couple)(または結合(bind))し、Yアダプター/1つ以上の第1のアンカーは、パルミチン酸を使用して膜に結合(couple)(または結合(bind))する。コレステロールは、パルミチン酸よりも強くトリブロックコポリマー膜及び脂質膜に結合する。代替的な実施形態では、架橋部分アダプター/1つ以上の第2のアンカーは、パルミチン酸などのモノアシル種を使用して膜に結合(couple)(または結合(bind))し、Yアダプター/1つ以上の第1のアンカーは、ジパルミトイルホスファチジルコリンなどのジアシル種を使用して膜に結合(couple)(または結合(bind))する。
【0457】
ヘアピンループ及びリーダー配列の付加
提供される前に、二本鎖ポリヌクレオチドは、MuAトランスポザーゼ及び二本鎖MuA基質の集団と接触され得、集団中の基質の一部は、リーダー配列を含むYアダプターであり、集団中の気質の一部は、ヘアピンループアダプターである。トランスポザーゼは、二本鎖ポリヌクレオチド分析物を断片化し、MuA基質を断片の一方または両方の末端にライゲーションする。これにより、一方の末端においてリーダー配列、及び他方の末端においてヘアピンループを含む複数の修飾二本鎖ポリヌクレオチドが生成される。修飾二本鎖ポリヌクレオチドは、次いで、本発明の方法を使用して調査され得る。
【0458】
集団中の各基質は、トランスポザーゼが鋳型ポリヌクレオチドを断片化し、二本鎖断片の一方または両方の末端に基質をライゲーションし、それにより複数の断片/基質構造体を生成するように、好ましくは、ユニバーサルヌクレオチドの少なくとも1つのオーバーハングを含み、本方法は、オーバーハングを構造体中の断片にライゲーションし、それにより複数の修飾二本鎖ポリヌクレオチドを生成することをさらに含む。好適なユニバーサルヌクレオチドは、上に論じられる。オーバーハングは、好ましくは、5ヌクレオチド長である。
【0459】
代替的には、集団中の各基質は、好ましくは、(i)少なくとも1つのオーバーハングと、(ii)トランスポザーゼが鋳型ポリヌクレオチドを断片化し、二本鎖断片の一方または両方の末端に基質をライゲーションし、それにより複数の断片/基質構造体を生成するように、鋳型ポリヌクレオチド中に存在しないヌクレオシドを含む、少なくとも1つのオーバーハングと同じ鎖内の少なくとも1つのヌクレオチドと、を含み、本方法は、(a)少なくとも1つのヌクレオチドを選択的に除去することによって構造体からオーバーハングを除去し、それにより一本鎖ギャップを含む複数の二本鎖構造体を生成することと、(b)構造体中の一本鎖ギャップを修復し、それにより複数の修飾二本鎖ポリヌクレオチドを生成することと、をさらに含む。ポリヌクレオチドは、典型的には、ヌクレオシド、デオキシアデノシン(dA)、デオキシウリジン(dU)及び/またはチミジン(dT)、デオキシグアノシン(dG)、ならびにデオキシシチジン(dC)を含む。ポリヌクレオチド中に存在しないヌクレオシドは、好ましくは、脱塩基、アデノシン(A)、ウリジン(U)、5−メチルウリジン(m
5U)、シチジン(C)、もしくはグアノシン(G)であるか、または尿素、5,6ジヒドロキシチミン、チミングリコール、5−ヒドロキシ−5メチルヒダントン(methylhydanton)、ウラシルグリコール、6−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロチミン、メチルタルトロニル尿素(methyltartronylurea)、7,8−ジヒドロ−8−オキソグアニン(8−オキソグアニン)、8−オキソアデニン、fapy−グアニン、メチル−fapy−グアニン、fapy−アデニン、アフラトキシンB1−fapy−グアニン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシ−ウラシル、3−メチルアデニン、7−メチルグアニン、1,N6−エテノアデニン、ヒポキサンチン、5−ヒドロキシウラシル、5−ヒドロキシメチルlウラシル、5−ホルミルウラシル、またはシス−syn−シクロブタンピリミジンダイマーを含む。少なくとも1つのヌクレオチドは、好ましくは、オーバーハングから10ヌクレオチド以下である。少なくとも1つのヌクレオチドは、オーバーハング中の最初のヌクレオチドである。オーバーハング中の全てのヌクレオチドは、好ましくは、鋳型ポリヌクレオチド中に存在しないヌクレオシドを含む。
【0460】
これらのMuAに基づく方法は、国際出願第PCT/GB2014/052505号に開示されている。これらはまた、英国出願第1406147.7号に詳細に論じられている。
【0461】
1つ以上のヘリカーゼは、それらが二本鎖ポリヌクレオチド及びMuAトランスポザーゼと接触する前に、MuA基質のYアダプターに結合し得る。代替的には、1つ以上のヘリカーゼは、それらが二本鎖ポリヌクレオチド及びMuAトランスポザーゼと接触する前に、MuA基質のYアダプターに結合し得る。
【0462】
1つ以上の分子ブレーキは、それらが二本鎖ポリヌクレオチド及びMuAトランスポザーゼと接触する前に、MuA基質のヘアピンループアダプターに結合し得る。代替的には、1つ以上の分子ブレーキは、それらが二本鎖ポリヌクレオチド及びMuAトランスポザーゼと接触する前に、MuA基質のヘアピンループアダプターに結合し得る。
【0463】
切り離し
本発明の方法は、複数の標的ポリヌクレオチドを特徴付けることと、少なくとも第1の標的ポリヌクレオチドを切り離すことと、を伴い得る。
【0464】
好ましい実施形態では、本発明は、2つ以上の標的ポリヌクレオチドを特徴付けることを伴い得る。本方法は、
(a)第1の試料中の第1のポリヌクレオチドを提供することと、
(b)第2の試料中の第2のポリヌクレオチドを提供することと、
(c)第1の試料中の第1のポリヌクレオチドを、1つ以上のアンカーを使用して膜に結合させることと、
(d)ポアに対して、例えばそれを通してポリヌクレオチドが移動するように、第1のポリヌクレオチドを本発明のポアと接触させることと、
(e)第1のポリヌクレオチドがポアに対して移動する間に、1つ以上の測定値を取ることであって、測定値が第1のポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、取ることによって、第1のポリヌクレオチドを特徴付けることと、
(f)第1のポリヌクレオチドを膜から切り離すことと、
(g)第2の試料中の第2のポリヌクレオチドを、1つ以上のアンカーを使用して膜に結合させることと、
(h)ポアに対して、例えばそれを通して第2のポリヌクレオチドが移動するように、第2のポリヌクレオチドを本発明のポアと接触させることと、
(i)第2のポリヌクレオチドがポアに対して移動する間に、1つ以上の測定値を取ることであって、測定値が第2のポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、取ることによって、第2のポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む。
【0465】
この種類の方法は、英国出願第1406155.0号に詳細に論じられている。
【0466】
ステップ(f)(すなわち、第1のポリヌクレオチドの切り離し)は、ステップ(g)の前(すなわち、第2のポリヌクレオチドを膜に結合させる前)に行われ得る。ステップ(g)は、ステップ(f)の前に行われ得る。第2のポリヌクレオチドが、第1のポリヌクレオチドが切り離される前に膜に結合する場合、ステップ(f)は、好ましくは、第1のポリヌクレオチドを膜から選択的に切り離す(すなわち、膜から第1のポリヌクレオチドを切り離すが、第2のポリヌクレオチドは切り離されない)ことを含む。当業者であれば、選択的切り離しが達成されるシステムを設計することができる。ステップ(f)及び(g)は、同時に実施され得る。これは、以下により詳細に論じられる。
【0467】
ステップ(f)において、第1のポリヌクレオチドの少なくとも10%は、好ましくは、膜から切り離される。例えば、第1のポリヌクレオチドの少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、膜から切り離され得る。好ましくは、第1のポリヌクレオチドの全てが膜から切り離される。膜から切り離される第1のポリヌクレオチドの量は、ポアを使用して判定され得る。これは、実施例に開示されている。
【0468】
第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドは、互いに異なり得る。代替的には、第1及び第2のポリヌクレオチドは、異なるポリヌクレオチドであり得る。かかる実例において、第2のポリヌクレオチドを添加する前に、第1の試料の少なくとも一部を除去する必要がない場合がある。これは、以下により詳細に論じられる。本方法が3つ以上のポリヌクレオチドを調査することを伴う場合、それらは全て互いに異なり得るか、またはそれらのうちのいくつかは互いに異なり得る。
【0469】
第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドは、同じポリヌクレオチドの2つの実例であり得る。第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドと同一であり得る。これは、プルーフリーディングを可能にする。本方法が3つ以上のポリヌクレオチドを調査することを伴う場合、それらは全て同じポリヌクレオチドの3つ以上の実例であり得るか、またはそれらのうちのいくつかは同じポリヌクレオチドの別個の実例であり得る。
【0470】
第1の試料及び第2の試料は、互いに異なり得る。例えば、第1の試料は、ヒトに由来し得、第2の試料は、ウイルスに由来し得る。第1及び第2の試料が互いに異なる場合、それらは同じ第1及び第2のポリヌクレオチドを含有し得るか、または含有することが疑われる。本方法が3つ以上の試料を調査することを伴う場合、それらは全て互いに異なり得るか、またはそれらのうちのいくつかは互いに異なり得る。
【0471】
第1の試料及び第2の試料は、好ましくは、同じ試料の2つの実例である。第1の試料は、好ましくは、第2の試料と同一である。これは、プルーフリーディングを可能にする。本方法が3つ以上の試料を調査することを伴う場合、それらは全て同じ試料の3つ以上の実例であり得るか、またはそれらのうちのいくつかは同じ試料の別個の実例であり得る。
【0472】
任意の数のポリヌクレオチドを調査することができる。例えば、本発明の方法は、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、50、100、またはそれ以上のポリヌクレオチドの特徴付けに関し得る。本発明の方法を使用して3つ以上のポリヌクレオチドが調査される場合、第2のポリヌクレオチドも膜から切り離され、第3のポリヌクレオチドについて必要なステップ数が追加される。4つ以上のポリヌクレオチドの場合も同様である。
【0473】
本発明の方法は、第1のポリヌクレオチドを膜から切り離すことを伴う。本発明の方法は、3つ以上のポリヌクレオチドが調査される場合、第2のポリヌクレオチドを膜から切り離すことを伴い得る。
【0474】
第1のポリヌクレオチドは、任意の既知の方法を使用して膜から切り離され得る。第1のポリヌクレオチドは、好ましくは、ステップ(f)において膜貫通ポアを使用して膜から切り離されていない。第1のポリヌクレオチドは、好ましくは、電圧または印加された電位を使用して膜から切り離されていない。
【0475】
ステップ(f)は、好ましくは、1つ以上のアンカーを膜から除去することによって第1のポリヌクレオチドを膜から切り離すことを含む。アンカーが除去されると、第2のポリヌクレオチドは、他の(または別個の)アンカーを使用して膜に結合する。第2のポリヌクレオチドを結合するために使用されるアンカーは、第1のポリヌクレオチドを結合するために使用されるアンカーと同じ種類であるか、または異なる種類のアンカーであり得る。
【0476】
ステップ(f)は、より好ましくは、1つ以上のアンカーを、アンカーが膜に対して有するよりも高い1つ以上のアンカーに対する親和性を有する薬剤と接触させることを含む。分子の特異的結合能力を判定するための競合結合またはイムノラジオメトリックアッセイの多様なプロトコルが、当該技術分野で周知である(例えば、Maddox et al,J.Exp.Med.158,1211−1226,1993を参照されたい)。薬剤は、アンカー(複数可)を膜から除去し、それにより第1のポリヌクレオチドを切り離す。薬剤は、好ましくは、糖である。1つ以上のアンカーが膜に対して有するよりも高い親和性で1つ以上のアンカーに結合する任意の糖を使用することができる。糖は、下記のように、シクロデキストリンまたはその誘導体であり得る。
【0477】
1つ以上のアンカーがコレステロールなどの疎水性アンカーを含む場合、薬剤は、好ましくは、シクロデキストリンもしくはその誘導体、または脂質である。シクロデキストリンまたはその誘導体は、Eliseev,A.V.,and Schneider,H−J.(1994)J.Am.Chem.Soc.116,6081−6088に開示されるもののいずれかであり得る。薬剤は、より好ましくは、ヘプタキス−6−アミノ−β−シクロデキストリン(am
7−βCD)、6−モノデオキシ−6−モノアミノ−β−シクロデキストリン(am
1−βCD)、またはヘプタキス−(6−デオキシ−6−グアニジノ)−シクロデキストリン(gu
7−βCD)である。本明細書に開示される脂質のいずれかを使用することができる。
【0478】
アンカーが、ストレプトアビジン、ビオチン、またはデスチオビオチンを含む場合、薬剤は、好ましくは、ビオチン、デスチオビオチン、またはストレプトアビジンである。ビオチン及びデスチオビオチンはいずれも、ストレプトアビジンが膜に結合するよりも高い親和性でストレプトアビジンに結合し、逆もまた同様である。ビオチンは、ストレプトアビジンに対してデスチオビオチンよりも強い親和性を有する。ストレプトアビジンを含むアンカーは、したがって、ビオチンまたはストレプトアビジンを使用して膜から除去され得、逆もまた同様である。
【0479】
アンカーがタンパク質を含む場合、薬剤は、好ましくは、タンパク質に特異的に結合する抗体またはその断片である。抗体は、それが優先的または高い親和性でタンパク質に結合する場合に、タンパク質に特異的に結合するが、他のまたは異なるタンパク質には結合しないか、または低い親和性でのみ結合する。抗体は、それが1×10
−6M以下、より好ましくは1×10
−7M以下、5×10
−8M以下、より好ましくは1×10
−8M以下、またはより好ましくは5×10
−9M以下のKdで結合する場合に、優先的または高い親和性で結合する。抗体は、それが1×10
−6M以上、より好ましくは1×10
−5M以上、より好ましくは1×10
−4M以上、より好ましくは1×10
−3M以上、さらにより好ましくは1×10
−2M以上のKdで結合する場合に、低い親和性で結合する。任意の方法を使用して、結合または特異的結合を検出することができる。抗体のタンパク質への結合を定量的に測定する方法は、当該技術分野で周知である。抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。抗体の好適な断片には、Fv、F(ab’)、及びF(ab’)
2断片、ならびに一本鎖抗体が含まれるが、これらに限定されない。さらに、抗体またはその断片は、キメラ抗体もしくはその断片、CDR移植抗体もしくはその断片、またはヒト化抗体もしくはその断片であり得る。
【0480】
ステップ(f)は、好ましくは、1つ以上のアンカーを、1つ以上のアンカーの膜への結合能力を低減させる薬剤と接触させることを含む。例えば、薬剤は、1つ以上のアンカーの構造及び/または疎水性に干渉し、それによりそれらの膜への結合能力を低減させることができる。アンカーがコレステロールを含む場合、薬剤は、好ましくは、コレステロールデヒドロゲナーゼである。アンカーが脂質を含む場合、薬剤は、好ましくは、ホスホリパーゼである。アンカーがタンパク質を含む場合、薬剤は、好ましくは、プロテイナーゼまたは尿素である。好適なアンカー及び薬剤の他の組み合わせは、当業者には明らかになるであろう。
【0481】
ステップ(f)は、好ましくは、第1のポリヌクレオチドを1つ以上のアンカーから分けることによって第1のポリヌクレオチドを膜から切り離すことを含む。これは、任意の方法で行うことができる。例えば、リンカーが、リンカーを含むアンカー内で切断され得る。この実施形態は、ハイブリダイゼーションを介した結合を伴うアンカーに特に適用可能である。かかるアンカーは、上に論じられる。
【0482】
ステップ(f)は、より好ましくは、第1のポリヌクレオチド及び1つ以上のアンカーを、1つ以上のアンカーへの結合について第1のポリヌクレオチドと競合する薬剤と接触させることによって、第1のポリヌクレオチドを膜から切り離すことを含む。競合結合を判定及び測定するための方法は、当該技術分野で既知である。薬剤は、好ましくは、1つ以上のアンカーへのハイブリダイゼーションについて第1のポリヌクレオチドと競合するポリヌクレオチドである。例えば、第1のポリヌクレオチドがハイブリダイゼーションを伴う1つ以上のアンカーを使用して膜に結合している場合、1つ以上のアンカーを、ハイブリダイゼーション部位にまたハイブリダイズするポリヌクレオチドと接触させることによって、ポリヌクレオチドは切り離され得る。ポリヌクレオチド薬剤は、典型的には、第1のポリヌクレオチド及び1つ以上のアンカーの濃度よりも高い濃度で添加される。代替的には、ポリヌクレオチド薬剤は、第1のポリヌクレオチドよりも強く1つ以上のアンカーにハイブリダイズし得る。
【0483】
ステップ(f)は、より好ましくは、(i)第1のポリヌクレオチド及び1つ以上のアンカーを、尿素、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、ジチオトレイトール(DTT)、ストレプトアビジンもしくはビオチン、紫外線、酵素、または結合剤と接触させること、(ii)第1のポリヌクレオチド及び1つ以上のアンカーを加熱すること、または(iii)pHを変えることを含む。尿素、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、またはジチオトレイトール(DTT)は、アンカーを破壊し、第1のポリヌクレオチドを膜から分離することができる。アンカーがストレプトアビジン−ビオチン結合を含む場合、ストレプトアビジン薬剤は、ビオチンへの結合について競合することになる。アンカーがストレプトアビジン−デスチオビオチン結合を含む場合、ビオチン薬剤は、ストレプトアビジンへの結合について競合することになる。紫外線を使用して、感光性基を分解することができる。酵素及び結合剤を使用して、アンカーを切断、分解、または解くことができる。好ましい酵素には、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、またはヘリカーゼが含まれるが、これらに限定されない。好ましい結合剤には、酵素、抗体もしくはその断片、または一本鎖結合タンパク質(SSB)が含まれるが、これらに限定されない。下記の酵素または上記の抗体のいずれかを使用することができる。熱及びpHを使用して、ハイブリダイゼーション及び他の結合を破壊することができる。
【0484】
第1のポリヌクレオチドを1つ以上のアンカーから分けることによって第1のポリヌクレオチドが膜から切り離される場合、1つ以上のアンカーは、膜内に残ることになる。ステップ(g)は、好ましくは、第1のポリヌクレオチドから分けられた1つ以上のアンカーを使用して、第2のポリヌクレオチドを膜に結合させることを含む。例えば、第2のポリヌクレオチドはまた、膜内に残る1つ以上のアンカーにハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドを提供され得る。代替的には、ステップ(g)は、好ましくは、第1のポリヌクレオチドから分けられたものからの1つ以上の別個のアンカー(すなわち、1つ以上の他のアンカー)を使用して、第2のポリヌクレオチドを膜に結合させることを含む。1つ以上の別個のアンカーは、第1のポリヌクレオチドを膜に結合するために使用されるアンカーと同じ種類であるか、または異なる種類のアンカーであり得る。ステップ(g)は、好ましくは、第1のポリヌクレオチドから分けられた1つ以上のアンカーからの1つ以上の異なるアンカーを使用して、第2のポリヌクレオチドを膜に結合させることを含む。
【0485】
好ましい実施形態では、ステップ(f)及び(g)は、第2のポリヌクレオチドが、1つ以上のアンカーへの結合について第1のポリヌクレオチドと競合し、第1のポリヌクレオチドに取って代わるように、膜を第2のポリヌクレオチドと接触させることによって、第1のポリヌクレオチドを膜から切り離すことを含む。例えば、第1のポリヌクレオチドがハイブリダイゼーションを伴う1つ以上のアンカーを使用して膜に結合している場合、1つ以上のアンカーを、1つ以上のアンカーにおけるハイブリダイゼーション部位にまたハイブリダイズするポリヌクレオチドに結合した第2のポリヌクレオチドと接触させることによって、第1のポリヌクレオチドは切り離され得る。第2のポリヌクレオチドは、典型的には、第1のポリヌクレオチド及び1つ以上のアンカーの濃度よりも高い濃度で添加される。代替的には、第2のポリヌクレオチドは、第1のポリヌクレオチドよりも強く1つ以上のアンカーにハイブリダイズし得る。
【0486】
除去または洗浄
ステップ(f)において第1のポリヌクレオチドは膜から切り離されるが、それは必ずしも除去されるかまたは洗い流されない。第2のポリヌクレオチドが第1のポリヌクレオチドと容易に識別され得る場合、第1のポリヌクレオチドを除去する必要はない。
【0487】
ステップ(f)と(g)との間で、本方法は、好ましくは、第1の試料の少なくとも一部を膜から除去することをさらに含む。第1の試料の少なくとも10%が除去されてもよく、例えば、第1の試料の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%が除去されてもよい。
【0488】
本方法は、より好ましくは、第1の試料の全てを膜から除去することをさらに含む。これは、任意の方法で行うことができる。例えば、膜は、第1のポリヌクレオチドが切り離された後に、緩衝液で洗浄され得る。好適な緩衝液は、以下に論じられる。
【0489】
修飾ポリヌクレオチド
特徴付けの前に、標的ポリヌクレオチドは、ポリメラーゼが標的ポリヌクレオチドを鋳型として使用して修飾ポリヌクレオチドを形成する条件下で、ポリヌクレオチドをポリメラーゼ及び遊離ヌクレオチドの集団と接触させることによって、修飾され得、ポリメラーゼは、修飾ポリヌクレオチドを形成する際に、標的ポリヌクレオチド中のヌクレオチド種のうちの1つ以上を異なるヌクレオチド種で置き換える。修飾ポリヌクレオチドは次いで、ポリヌクレオチドに結合した1つ以上のヘリカーゼ、及びポリヌクレオチドに結合した1つ以上の分子ブレーキを提供される。この種類の修飾は、英国出願第1403096.9号に記載されている。上記のポリメラーゼのいずれかを使用することができる。ポリメラーゼは、好ましくは、Klenowまたは9o Northである。
【0490】
鋳型ポリヌクレオチドは、ポリメラーゼが鋳型ポリヌクレオチドを鋳型として使用して修飾ポリヌクレオチドを形成する条件下でポリメラーゼと接触される。かかる条件は、当該技術分野で既知である。例えば、ポリヌクレオチドは、典型的には、New England Biolabs(登録商標)からの緩衝液などの市販のポリメラーゼ緩衝液中でポリメラーゼと接触される。温度は、好ましくは、Klenowの場合は20〜37℃、9o Northの場合は60〜75℃である。プライマーまたは3’ヘアピンは、典型的には、ポリメラーゼ伸長のための核形成点として使用される。
【0491】
膜貫通ポアを使用するポリヌクレオチドの特徴付け、例えばシークエンシングは、典型的には、k個(kは正の整数である)のヌクレオチドからなるポリマー単位(すなわち、「k−マー」)を分析することを伴う。これは、国際出願第PCT/GB2012/052343号(WO2013/041878として公開)に論じられている。異なるk−マーについての電流測定間に明確な分離があることが望ましいものの、これらの測定の一部が重複することは一般的である。特に、k−マー中のポリマー単位の数が多い(すなわち、kの値が大きい)場合、異なるk−マーによって生成された測定値を分析することが難しくなり得、ポリヌクレオチドに関する情報の取得、例えば、ポリヌクレオチドの基礎となる配列の推定に不利益となる。
【0492】
標的ポリヌクレオチド中の1つ以上のヌクレオチド種を、修飾ポリヌクレオチド中の異なるヌクレオチド種で置き換えることによって、修飾ポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドにおけるものとは異なるk−マーを含有する。修飾ポリヌクレオチド中の異なるk−マーは、標的ポリヌクレオチド中のk−マーとは異なる電流測定値を生成することができ、そのため、修飾ポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドとは異なる情報を提供する。修飾ポリヌクレオチドからの追加の情報は、標的ポリヌクレオチドを特徴付けることをより容易にし得る。いくつかの実例において、修飾ポリヌクレオチド自体が、特徴付けることが容易である場合がある。例えば、修飾ポリヌクレオチドは、それらの電流測定値間の増加した分離もしくは明確な分離を有するk−マー、または減少したノイズを有するk−マーを含むように設計され得る。
【0493】
ポリメラーゼは、好ましくは、修飾ポリヌクレオチドを形成する際に、標的ポリヌクレオチド中のヌクレオチド種のうちの2つ以上を異なるヌクレオチド種で置き換える。ポリメラーゼは、標的ポリヌクレオチド中の2つ以上のヌクレオチド種の各々を固有のヌクレオチド種で置き換え得る。ポリメラーゼは、標的ポリヌクレオチド中の2つ以上のヌクレオチド種の各々を同じヌクレオチド種で置き換え得る。
【0494】
標的ポリヌクレオチドがDNAである場合、修飾中の異なるヌクレオチド種は、典型的には、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、もしくはメチルシトシンとは異なる核酸塩基を含み、かつ/またはデオキシアデノシン、デオキシグアノシン、チミジン、デオキシシチジン、もしくはデオキシメチルシチジンとは異なるヌクレオシドを含む。標的ポリヌクレオチドがDNAである場合、修飾ポリヌクレオチド中の異なるヌクレオチド種は、典型的には、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、もしくはメチルシトシンとは異なる核酸塩基を含み、かつ/またはアデノシン、グアノシン、ウリジン、シチジン、もしくはメチルシチジンとは異なるヌクレオシドを含む。異なるヌクレオチド種は、上記のユニバーサルヌクレオチドのいずれかであり得る。
【0495】
ポリメラーゼは、1つ以上のヌクレオチド種を、1つ以上のヌクレオチド種に不在である化学基または原子を含む異なるヌクレオチド種で置き換えることができる。化学基は、プロピニル基、チオ基、オキソ基、メチル基、ヒドロキシメチル基、ホルミル基、カルボキシ基、カルボニル基、ベンジル基、プロパルギル基、またはプロパルギルアミン基であり得る。
【0496】
ポリメラーゼは、1つ以上のヌクレオチド種を、1つ以上のヌクレオチド種中に存在する化学基または原子を欠く異なるヌクレオチド種で置き換えることができる。ポリメラーゼは、ヌクレオチド種のうちの1つ以上を、改変された電気陰性度を有する異なるヌクレオチド種で置き換えることができる。改変された電気陰性度を有する異なるヌクレオチド種は、好ましくは、ハロゲン原子を含む。
【0497】
本方法は、好ましくは、核酸塩基を修飾ポリヌクレオチド中の1つ以上の異なるヌクレオチド種から選択的に除去することをさらに含む。
【0498】
分析物送達
標的分析物は、好ましくは、分析物を膜に向けて送達する微粒子に結合している。この種類の送達は、英国出願第1418469.1号に開示されている。任意の種類の微粒子及び結合を使用してもよい。
【0499】
他の特徴付け方法
別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドに付加され、その後解放された標識種を検出することによって特徴づけられる。ポリメラーゼは、ポリヌクレオチドを鋳型として使用する。各標識種は、各ヌクレオチドに特異的である。ポリヌクレオチドは、ポリメラーゼによってリン酸標識種がポリヌクレオチドに順次付加されるように、本発明のポア、例えば本発明のポア、ポリメラーゼ、及び標識ヌクレオチドと接触され、リン酸種は、各ヌクレオチドに特異的な標識を含有する。標識種は、それらがヌクレオチドから解放される前に(すなわち、標的ポリヌクレオチドに付加される間に)、またはそれらがヌクレオチドから解放された後に、ポアを使用して検出することができる。
【0500】
ポリメラーゼは、上記のもののいずれかであり得る。リン酸標識種はポアを使用して検出され、それによりポリヌクレオチドを特徴付ける。この種類の方法は、欧州出願第13187149.3号(EP2682460として公開)に開示されている。上記の実施形態のいずれも、この方法に同等に適用される。
【0501】
標識種の例としては、ポリマー、ポリエチレングリコール、糖、シクロデキストリン、フルオロフォア、薬物、代謝物、ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。かかるタグの非限定的な例は、Kumar et al.Sci Rep.2012;2:684.Epub 2012 Sep 21の研究に見出すことができる。
【0502】
センサの形成方法
本発明はまた、標識ポリヌクレオチドを特徴づけるためのセンサの形成方法を提供する。本方法は、本発明のポアと、ヘリカーゼまたはエキソヌクレアーゼなどのポリヌクレオチド結合タンパク質との複合体を形成することを含む。複合体は、ポア及びタンパク質を標的ポリヌクレオチドの存在下で接触させることと、その後、ポアにわたって電位を印加することと、によって形成され得る。印加される電位は、上記のように化学的電位または電圧電位であり得る。代替的には、複合体は、ポアをタンパク質に共有結合させることによって形成され得る。共有結合のための方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、国際出願第PCT/GB09/001679号(WO2010/004265として公開)及び同第PCT/GB10/000133号(WO2010/086603として公開)に開示されている。複合体は、標的ポリヌクレオチドを特徴付けるためのセンサである。本方法は、好ましくは、本発明のポアとヘリカーゼとの複合体を形成することを含む。上記の実施形態のいずれも、この方法に同等に適用される。
【0503】
本発明はまた、標識ポリヌクレオチドを特徴づけるためのセンサを提供する。センサは、本発明のポアとポリヌクレオチド結合タンパク質との複合体を含む。上記の実施形態のいずれも、本発明のセンサに同等に適用される。
【0504】
キット
本発明はまた、標的ポリヌクレオチドを特徴付けるためのキットを提供する。キットは、本発明のポアと、膜の構成要素と、を含む。膜は、好ましくは、構成要素から形成される。ポアは、好ましくは、膜内に存在する。キットは、上に開示される膜、例えば両親媒性層またはトリブロックコポリマー膜のいずれかの構成要素を含み得る。
【0505】
キットは、ポリヌクレオチド結合タンパク質をさらに含み得る。上記のポリヌクレオチド結合タンパク質のいずれかを使用することができる。
【0506】
キットは、ポリヌクレオチドを膜に結合させるための1つ以上のアンカーをさらに含み得る。
【0507】
キットは、好ましくは、二本鎖ポリヌクレオチドを特徴付けるためのものであり、好ましくは、Yアダプター及びヘアピンループアダプターを含む。Yアダプターには、好ましくは、1つ以上のヘリカーゼが結合し、ヘアピンループアダプターには、好ましくは、1つ以上の分子ブレーキが結合している。Yアダプターは、好ましくは、ポリヌクレオチドを膜に結合させるための1つ以上の第1のアンカーを含み、ヘアピンループアダプターは、好ましくは、ポリヌクレオチドを膜に結合させるための1つ以上の第2のアンカーを含み、ヘアピンループアダプターの膜への結合強度は、好ましくは、Yアダプターの膜への結合強度よりも大きい。
【0508】
本発明のキットは、上記の実施形態のいずれかを実施することを可能にする1つ以上の他の試薬または器具をさらに含み得る。かかる試薬または器具には、好適な緩衝液(複数可)(水溶液)、対象から試料を得るための手段(容器もしくは針を含む器具)、ポリヌクレオチドを増幅及び/もしくは発現させるための手段、または電圧、またはパッチクランプ装置のうちの1つ以上が含まれる。試薬は、流体試料が試薬を再懸濁するように、乾燥状態でキット内に存在してもよい。キットはまた、任意に、キットが本発明の方法で使用されることを可能にするための使用説明書、または本方法が使用され得る有機体に関する詳細を含んでもよい。
【0509】
装置
本発明はまた、標識ポリヌクレオチドなどの標的分析物を特徴づけるための装置を提供する。装置は、本発明の複数の本発明と、複数の膜とを含む。複数のポアは、好ましくは、複数の膜内に存在する。ポア及び膜の数は、好ましくは、等しい。好ましくは、各膜内に単一のポアが存在する。
【0510】
装置は、好ましくは、本発明の方法を実施するための説明書をさらに含む。装置は、分析物分析のための任意の従来の装置、例えばアレイまたはチップであり得る。本発明の方法に関連して上に論じられる実施形態のいずれも、本発明の装置に同等に適用される。装置は、本発明のキットに存在する特徴のいずれかを含んでもよい。
【0511】
装置は、好ましくは、本発明の方法を実施するように設定される。
【0512】
装置は、好ましくは、
複数のポア及び膜を支持することができ、ポア及び膜を使用して分析物の特徴付けを実施するように動作可能であるセンサデバイスと、
特徴付けを実施するための材料の送達のための少なくとも1つのポートと、を含む。
【0513】
代替的には、装置は、好ましくは、
複数のポア及び膜を支持することができ、ポア及び膜を使用して分析物の特徴付けを実施するように動作可能であるセンサデバイスと、
特徴付けを実施するための材料を保持するための少なくとも1つの貯蔵器と、を含む。
【0514】
装置は、より好ましくは、
膜ならびに複数のポア及び膜を支持することができ、ポア及び膜を使用して分析物の特徴付けを実施するように動作可能であるセンサデバイスと、
特徴付けを実施するための材料を保持するための少なくとも1つの貯蔵器と、
材料を少なくとも1つの貯蔵器からセンサデバイスへと制御可能に供給するように構成された流体工学システムと、
それぞれの試料を受容するための1つ以上の容器であって、流体工学システムが、試料を1つ以上の容器からセンサデバイスへと選択的に供給するように構成されている、1つ以上の容器と、をさらに含む。
【0515】
装置は、国際出願第PCT/GB08/004127号(WO2009/077734として公開)、同第PCT/GB10/000789号(WO2010/122293として公開)、国際出願第PCT/GB10/002206号(WO2011/067559として公開)、または国際出願第PCT/US99/25679号(WO00/28312として公開)に記載されるもののいずれかであり得る。
【0517】
実施例1
この実施例は、CsgG内でのDNA挙動を調査するために行ったシミュレーションを説明する。
【0518】
材料及び方法
CsgG−Eco及び様々な変異体のDNA転移に対するエネルギー障壁の大きさを調査するために、操舵分子動力学シミュレーションを行った。GROMACSパッケージバージョン4.0.5を使用し、GROMOS 53a6力場及びSPC水モデルでシミュレーションを行った。CsgG−Eco(配列番号2)の構造は、タンパク質データバンク、受託コード4UV3から取られた。CsgG−Eco変異体のモデルを作製するために、PyMOLを使用して野生型タンパク質構造を変異させた。研究した変異体は、CsgG−Eco−(F56A)(変異F56Aを含む配列番号2)、CsgG−Eco−(F56A−N55S)(変異F56A/N55Sを含む配列番号2)、及びCsgG−Eco−(F56A−N55S−Y51A)(変異F56A/N55S/Y51Aを含む配列番号2)であった。
【0519】
次いで、DNAをポア内に置いた。2つの異なるシステムを設定した:
i.単一のグアニンヌクレオチドをポア内で、狭窄領域(残基56環の上に約5〜10オングストローム)のすぐ上に置いた。
ii.DNAの一本鎖(ssDNA)をポア軸に沿って、5’末端をポアのベータ−バレル側に向けて置いた。この設定において、ssDNAをポアの全長にわたって予め通されていた。
【0520】
その後、シミュレーションボックスを溶媒和させ、次いで、最急降下アルゴリズムを使用してエネルギーを最小化した。
【0521】
Berendsenサーモスタット及びBerendsenバロスタットを300Kまで使用して、各システムをNPTアンサンブル中でシミュレーションした。シミュレーションを通して、ポアの骨格に拘束を適用した。
【0522】
ポアを通してDNAを引くために、単一グアニンシミュレーションにおいてリン原子に引張力を加えた。ssDNAシミュレーションにおいて、鎖の5’末端でリン原子に引張力を加えた。上記のDNAリン原子と、ポア軸に対して平行に一定速度で移動する仮想点との間のバネを接続することによって、引張力を一定速度で加えた。ばねは、任意の形状を有しず、流体力学的抗力を一切経験しない。ばね定数は、5kJmol
−1Å
−2に等しかった。
【0523】
結果
単一G転移
図3に示すように、引張力対時間のプロットは、野生型CsgG−Ecoポアにおけるフェニルアラニン残基F56へのヌクレオチド進入には大きな障壁があることを示す。研究したCsgG−Eco変異体について、グアニン転移の顕著な障壁は認められなかった。
【0524】
ssDNA転移
ssDNA転移について、ポア当たり2つのシミュレーションを行い、各ランに、異なる引張速度(100Å/ns及び10Å/ns)を加えた。より速い引張速度シミュレーションを例証する
図4に示すように、CsgG野生型ポアは、ssDNA転移を可能にするために最も大きい引張力を必要とした。より遅い引張速度シミュレーションを例証する
図5に示すように、CsgG−Eco(野生型、配列番号2)及びCsgG−Eco−(F56A)ポアはいずれも、ssDNA転移を可能にするために最も大きい加えられる力を必要とした。CsgG及びMspAベースラインポアを通るssDNA転移に必要とされる引張力は、同様のレベルのssDNA転移を可能にするためにCsgGポアの変異が必要とされることを示す。
【0525】
実施例2
この実施例は、いくつかのCsgG変異体の特徴付けを説明する。
【0526】
材料及び方法
実験を設定する前に、DNA構造体X(最終濃度0.1nM、構造体Xの漫画描写の
図13及び説明を参照されたい)を室温で5分間、T4 Dda−E94C/C109A/C136A/A360C(変異E94C/C109A/C136A/A360Cを含む配列番号24、ナノポアシステムに添加した最終濃度は10nMであり、これは緩衝液(151.5mM KCl、25mMリン酸カリウム、5%グリセロール、pH7.0、1mM EDTA)中に提供された)と共に予めインキュベートした。5分後、TMAD(100μM)をプレミックス中に添加し、混合物をさらに5分間インキュベートした。最後に、MgCl2(1.5mM最終濃度をナノポアシステムに添加)、ATP(1.5mM最終濃度をナノポアシステムに添加)、KCl(500mM最終濃度をナノポアシステムに添加)、及びリン酸カリウム緩衝液(25mM最終濃度をナノポアシステムに添加)をプレミックス中に添加した。
【0527】
緩衝液(25mM Kリン酸緩衝液、150mMフェロシアン化カリウム(II)、150mMフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)中でブロックコポリマーに挿入された多様な単一CsgGナノポアから電気的測定を得た。ブロックコポリマーに挿入された単一ポアを達成した後に、次いで、緩衝液(2mL、25mM Kリン酸緩衝液、150mMフェロシアン化カリウム(II)、150mMフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)をシステムに通して流して任意の余剰CsgGナノポアを除去した。次いで、150uLの500mM KCl、25mM Kリン酸、1.5mM MgCl2、1.5mM ATPをシステムに通して流した。10分後、150uLの500mM KCl、25mMリン酸カリウム、1.5mM MgCl2、1.5mM ATP、pH8.0をシステムに通して流し、次いで、酵素(T4 Dda−E94C/C109A/C136A/A360C、10nM最終濃度)、DNA構造体X(0.1nM最終濃度)、燃料(MgCl2 1.5mM最終濃度、ATP 1.5mM最終濃度)プレミックス(合計150μl)を次いで、単一ナノポア実験システム内に流した。実験は−120mVで行い、ヘリカーゼ制御DNA移動を監視した。
【0528】
結果
増加した範囲を示すポア(
図6〜8及び18〜30)
CsgG−Eco−(StrepII(C))(配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約10pAの範囲を有する(
図6(a)を参照されたい)一方、以下のCsgG−Ecoポア変異体は、増加した電流範囲を呈した。
1−CsgG−Eco−(Y51N−F56A−D149N−E185R−E201N−E203N−StrepII(C))9(変異Y51N/F56A/D149N/E185R/E201N/E203Nを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約30pAの範囲を呈した(
図6(b)を参照されたい)。
2−CsgG−Eco−(N55A−StrepII(C))9(変異N55Aを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約35pAの範囲を呈した(
図6(c)を参照されたい)。
3−CsgG−Eco−(N55S−StrepII(C))9(変異N55Sを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約40pAの範囲を呈した(
図7(a)を参照されたい)。
4−CsgG−Eco−(Y51N−StrepII(C))9(変異Y51Nを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約40pAの範囲を呈した(
図7(b)を参照されたい)。
5−CsgG−Eco−(Y51A−F56A−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Aを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約30pAの範囲を呈した(
図7(c)を参照されたい)。
6−CsgG−Eco−(Y51A−F56N−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Nを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約20pAの範囲を呈した(
図8(a)を参照されたい)。
7−CsgG−Eco−(Y51A−N55S−F56A−StrepII(C))9(変異Y51A/N55S/F56Aを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約30pAの範囲を呈した(
図8(b)を参照されたい)。
8−CsgG−Eco−(Y51A−N55S−F56N−StrepII(C))9(変異Y51A/N55S/F56Nを含む配列番号2、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約30pAの範囲を呈した(
図8(c)を参照されたい)。
13−CsgG−Eco−(F56H−StrepII(C))9(変異F56Hを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約35pAの範囲を呈した(
図18を参照されたい)。
14−CsgG−Eco−(F56Q−StrepII(C))9(配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約40pAの範囲を呈した(
図19を参照されたい)。
15−CsgG−Eco−(F56T−StrepII(C))9(変異F56Tを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約35pAの範囲を呈した(
図20を参照されたい)。
16−CsgG−Eco−(S54P/F56A−StrepII(C))9(変異S54P/F56Aを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約35pAの範囲を呈した(
図21を参照されたい)。
17−CsgG−Eco−(Y51T/F56A−StrepII(C))9(変異Y51T/F56Aを含む配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約30pAの範囲を呈した(
図22を参照されたい)。
18−CsgG−Eco−(F56P−StrepII(C))9(変異F56Pを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約30pAの範囲を呈した(
図23を参照されたい)。
19−CsgG−Eco−(F56A−StrepII(C))9(変異F56Aを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約40pAの範囲を呈した(
図24を参照されたい)。
20−CsgG−Eco−(Y51T/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51T/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約30pAの範囲を呈した(
図25を参照されたい)。
21−CsgG−Eco−(N55S/F56Q−StrepII(C))9(変異N55S/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約35pAの範囲を呈した(
図26を参照されたい)。
22−CsgG−Eco−(Y51T/N55S/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51T/N55S/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約35pAの範囲を呈した(
図27を参照されたい)。
23−CsgG−Eco−(F56Q/N102R−StrepII(C))9(変異F56Q/N102Rを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約30pAの範囲を呈した(
図28を参照されたい)。
24−CsgG−Eco−(Y51Q/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51Q/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約40pAの範囲を呈した(
図29を参照されたい)。
25−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、約35pAの範囲を呈した(
図30を参照されたい)。
【0529】
増加したスループットを示すポア(
図9及び10)
図9及び10において見ることができるように、以下の変異体ポア(以下の9〜12)は、チャネル毎に4時間で複数のヘリカーゼ制御DNA移動(
図9及び10においてXと標識される)を呈した一方、
図9(a)に示されるCsgG−Eco−(StrepII(C))(StrepII(C)が配列番号47であり、かつC末端において結合している、配列番号2)は、チャネル毎に4時間で1つまたは2つのヘリカーゼ制御DNA移動(
図9(a)においてXと標識される)のみを呈し、代わりに延長したブロック領域(
図9(a)においてYと標識される)を呈した。
9−CsgG−Eco−(D149N−E185N−E203N−StrepII(C))9(変異D149N/E185N/E203Nを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)(
図9(b))
10−CsgG−Eco−(D149N−E185N−E201N−E203N−StrepII(C))9(変異D149N/E185N/E201N/E203Nを含む配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)(
図9(c))
11−CsgG−Eco−(D149N−E185R−D195N−E201N−E203N)−StrepII(C))9(変異D149N/E185R/D195N/E201N/E203Nを含む配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)(
図10(a))
12−CsgG−Eco−(D149N−E185R−D195N−E201R−E203N)−StrepII(C))9(変異D149N/E185R/D195N/E201R/E203Nを含む配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)(
図10(b))
【0530】
増加した挿入を示すポア(
図11及び12)
11及び12を比較することによって見ることができるように、
図12に示される変異体ポアCsgG−Eco−(T150I−StrepII(C))9(変異T150Iを含む配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)は、CsgG−Eco−(StrepII(C))(配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)ポア(
図11に示される)と比較して増加したポア数(約4〜5倍)で膜内に存在した。
図11及び12における矢印は、4時間の実験中にブロックコポリマー内に挿入されたCsgG−Ecoナノポアの数を例証した(
図11において130〜140、
図12において1〜11、別個のナノポア実験に各々対応する)。CsgG−Eco−(StrepII(C))(StepII(C)が配列番号47であり、かつC末端において結合している、配列番号2)の場合、3つの実験が1つのナノポアの挿入を示した一方、変異体ポア(CsgG−Eco−(T150I−StrepII(C))9)の場合、各実験は少なくとも1つのナノポアの挿入を示し、いくつかの実験は複数のポア挿入を示した。
【0531】
実施例3
この実施例は、CsgGポアを精製するために開発されたE.Coli精製法を説明した。
【0532】
材料及び方法
ポリペプチドPro−CsgG−Eco−(StrepII(C))(配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端に結合しており、かつProが配列番号48であり、N末端に結合している)をコードするDNAをGenScript USA Inc.において合成し、アンピシリン耐性遺伝子を含有するpT7ベクター内にクローニングした。pT7ベクターのタンパク質発現を、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)によって誘発した。DNA溶液の濃度を400ng/uLに調節した。DNA(1μl)を使用してLemo21(DE3)コンピテントE.coli細胞(50μl、NEB、カタログ番号C2528H)を形質転換させた。形質転換の前に、Lemo21(DE3)細胞(Gene Bridges GmbH,Germany)からCsgG遺伝子をノックアウトした。次いで、アンピシリン(0.1mg/mL)を含有するLB寒天上に細胞をプレートアウトし、37℃で約16時間インキュベートした。
【0533】
アンピシリンを含有するLBプレート上で細菌コロニーを増殖させ、CsgGプラスミドを組み込んだ。1つのかかるコロニーを使用して、カルベニシリン(0.1mg/mL)を含有するLB培地(100mL)の種菌を植え付けた。OD600が1.0〜1.2に達するまで、撹拌を伴って種菌を37℃で増殖させた。種菌を使用して、カルベニシリン(0.1mg/mL)及びラムノース(500μM)を含有する500mLの新鮮なLB培地を0.1のO.D.600まで植え付けた。OD600が0.6に達するまで、撹拌を伴って培養菌を37℃で増殖させた。その後、培養菌の温度を18℃に調節し、IPTG(0.2mM最終濃度)の添加により誘発を開始した。誘発は、撹拌を伴って18℃で約18時間行った。
【0534】
誘発に続き、培養菌を6,000gで30分間、遠心分離により造粒した。プロテアーゼ阻害剤(Merck Millipore 539138)、ベンゾナーゼヌクレアーゼ(Sigma E1014)、及び1Xバグバスター(Merck Millipore 70921)pH8.0(小粒1グラム当たり約10mLの緩衝液)を含有する50mM Tris、300mM NaCl中に小粒を再懸濁させた。懸濁液を、十分に均質になるまでしっかりと混合し、その後、試料を4℃で約5時間ローラーミキサーに移した。可溶化液を20,000gで45分間、遠心分離により造粒し、0.22μM PESシリンジフィルターを通して上清を濾過した。CsgG(試料1として知られる)を含有した上清をカラムクロマトグラフィーによる精製のために進めた。
【0535】
試料1を、5mL Strep Trapカラム(GE Healthcare)に適用した。10カラム容量の安定したベースラインが維持されるまで、カラムを25mM Tris、150mM NaCl、2mM EDTA、0.01% DDM(pH8)で洗浄した。次いで、150mM緩衝液に戻す前に、カラムを25mM Tris、2M NaCl、2mM EDTA、0.01% DDM(pH8)で洗浄した。10 mMデスチオビオチンを用いて溶出を行った。CsgGタンパク質のStrep trap(GE Healthcare)精製のクロマトグラフィーのトレースの例を
図14に示す。溶出ピークは、E1と標識されている。
図15は、初期Strep精製後のCsgG−Ecoタンパク質の典型的なSDS−PAGE視覚化の例を示す。レーン1〜3は、矢印で示されるようにCsgGタンパク質を含有した主溶出ピーク(
図14でE1と標識された)を示す。レーン4〜6は、汚染物質を含有した主溶出ピーク(
図14でE1と標識された)のテールの溶出分画に対応した。
【0536】
溶出ピークをプールし、65℃で15分間加熱して、熱不安定性不純タンパク質を除去した。加熱した溶液を20,000gで10分間、遠心分離に供し、小粒を破棄した。上清を、25mM Tris、150mM NaCl、2mM EDTA、0.01% DDM、0.1% SDS(pH8)中、120mL Sephadex S200カラム(GE Healthcare)上でゲル濾過に供した。タンパク質の低トリプトファン成分に起因して、220nMで監視を実施した。試料を約55mL容量で溶出した(
図16は、サイズ排除カラムのトレースを示し、55mL試料のピークは星で標識されている)。溶出ピークを4−20% TGX(
図17を参照されたい、Bio Rad)上で運転して、目的のポアCsgG−Eco−(StrepII(C))(配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)の存在を確認した。識別した分画をプールし、50kD Amiconスピンカラムによって濃縮した。
【0537】
実施例4
この実施例は、CsgG−Eco−(Y51T/F56Q)−StrepII(C))9(変異Y51T/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端ポア変異体No.20において結合している)と、T4 Dda−(E94C/C109A/C136A/A360C)(E94C/C109A/C136A/A360C変異、次いで(ΔM1)G1G2を含む配列番号24)との相互作用を調査するために行ったシミュレーションを説明する。
【0538】
シミュレーション方法
GROMACSパッケージバージョン4.0.5を使用し、GROMOS 53a6力場及びSPC水モデルでシミュレーションを行った。
【0539】
CsgG−Eco−(Y51T/F56Q)−StrepII(C))9(変異Y51T/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端ポア変異体No.20に結合している)モデルは、タンパク質データバンク、受託コード4UV3及び4Q79において見出されたCsgGの結晶構造に基づいた。関連する変異は、PyMOLを使用して作製した。次いで、最急降下アルゴリズムを使用して得られたポアモデルのエネルギーを最小化した。T4 Dda−(E94C/C109A/C136A/A360C)(変異E94C/C109A/C136A/A360C、次いで(ΔM1)G1G2を含む配列番号24)モデルは、タンパク質データバンク、受託コード3UPUにおいて見出されたDda1993構造に基づいた。再び、PyMOLを使用して関連する変異を作製し、最急降下アルゴリズムを使用してモデルのエネルギーを最小化した。
【0540】
その後、T4 Dda−(E94C/C109A/C136A/A360C)(変異E94C/C109A/C136A/A360C、次いで(ΔM1)G1G2を含む配列番号24)モデルをCsgG−Eco−(Y51T/F56Q)−StrepII(C))9(変異Y51T/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端ポア変異体No.20に結合している)の上に置いた。異なる初期酵素立体構造を用いて3つのシミュレーションを行った(ラン1〜3(0ns)、
図31を参照されたい):
【0541】
全ての酵素立体構造において、DNAの5’末端がポアに向くように酵素を配向し、酵素はシミュレーションを通して拘束しなかった。ポア骨格を拘束し、シミュレーションボックスを溶媒和させた。Berendsenサーモスタット及びBerendsenバロスタットを300Kまで使用して、システムをNPTアンサンブル中で40nsシミュレーションした。
【0542】
GROMACS分析ソフトウェア及びローカルに書かれたコードの両方を使用して、酵素とポアとの間の接触を分析した。以下の表は、ポア及び酵素アミノ酸の両方について認められた接触数を示す。表6〜8は、酵素上のアミノ酸接触点と相互作用するポア上のアミノ酸接触点を示す。3つのシミュレーションのうちの2つにおいて、酵素は、ポアの頂点で傾く(ラン2及び3(20、30、及び40ns)、
図31及び32)。ラン1は、酵素が傾かず、そのため表6において高い相互作用を有することが示される点は、ポアキャップ上の酵素安定性を増加させるために最適化され得る。
【表5】
【表6】
【表7】
【0543】
実施例5
この実施例は、a)CsgG−Eco−(Y51A/F56Q)−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端ポア変異体No.25において結合している)とT4 Dda−(E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C)(変異E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C、次いで(ΔM1)G1G2を含む配列番号24)との相互作用、及びb) CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W)−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97Wを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端ポア変異体No.26において結合している)とT4 Dda−(E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C)(変異E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C、次いで(ΔM1)G1G2を含む配列番号24)との相互作用を調査するために行ったシミュレーションを説明する。
【0544】
シミュレーション方法
実施例4に記載したようにシミュレーションを行った。
【0545】
CsgG−Eco−(Y51A/F56Q)−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端ポア変異体No.25に結合している)及びCsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W)−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97Wを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端ポア変異体No.26に結合している)モデルは、タンパク質データバンク、受託コード4UV3及び4Q79において見出されたCsgGの結晶構造に基づいた。関連する変異は、PyMOLを使用して作製した。次いで、最急降下アルゴリズムを使用して得られたポアモデルのエネルギーを最小化した。
【0546】
T4 Dda−(E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C)(変異E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C、次いで(ΔM1)G1G2を含む配列番号24)モデルは、タンパク質データバンク、受託コード3UPUにおいて見出されたDda1993構造に基づいた。再び、PyMOLを使用して関連する変異を作製し、最急降下アルゴリズムを使用してモデルのエネルギーを最小化した。
【0547】
その後、T4 Dda−(E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C)(変異E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C、次いで(ΔM1)G1G2を含む配列番号24)モデルを、変異体ポア25及び26の上に置いた。
【0548】
シミュレーションにおいて、DNAの5’末端がポアに向くように酵素を配向し、酵素はシミュレーションを通して拘束しなかった。調査した変異体ポアの各々について、2つのシミュレーションを行った。第1のシミュレーションでは、ポア骨格を拘束し、シミュレーションボックスを溶媒和させ、第2のシミュレーションでは、キャップ領域を除いてポア骨格を拘束し、シミュレーションボックスを溶媒和させた。Berendsenサーモスタット及びBerendsenバロスタットを300Kまで使用して、システムをNPTアンサンブル中で40nsシミュレーションした。
【0549】
GROMACS分析ソフトウェア及びローカルに書かれたコードの両方を使用して、酵素とポアとの間の接触を分析した。以下の表は、ポア及び酵素アミノ酸の両方について認められた接触数(変異体25及び26について、T4 Dda−(E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C)との接触)を示す。表9(ポア骨格が拘束されている)及び表10(ポア骨格が拘束され、キャップ領域は拘束されていない)は、ポア変異体25上のアミノ酸接触点、及びそれらが酵素(T4 Dda−(E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C))と接触する数を示す。表11(ポア骨格が拘束されている)及び表12(ポア骨格が拘束され、キャップ領域は拘束されていない)は、酵素(T4 Dda−(E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C))上のアミノ酸接触点と相互作用するポア変異体25(CsgG−Eco−(Y51A/F56Q)−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)上のアミノ酸接触点を示す。表13(ポア骨格が拘束されている)及び表14(ポア骨格が拘束され、キャップ領域は拘束されていない)は、ポア変異体26上のアミノ酸接触点、及びそれらが酵素(T4 Dda−(E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C))と接触する数を示す。表15(ポア骨格が拘束されている)及び表16(ポア骨格が拘束され、キャップ領域は拘束されていない)は、酵素(T4 Dda−(E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C))上のアミノ酸接触点と相互作用するポア変異体26(CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W)−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97Wを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)上のアミノ酸接触点を示す。
図33は、ポア変異体26及びT4 Dda−(E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C)の初期スナップショットを示す。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【0550】
実施例6
この実施例は、改善された特徴付け精度を示すいくつかのCsgG変異体の特徴付けを説明する。
【0551】
材料及び方法
この実施例に使用した材料及び方法は、実施例2について上に記載されるものと同じである。移動を制御するために使用した酵素は、酵素1=T4 Dda−E94C/C109A/C136A/A360C(変異E94C/C109A/C136A/A360Cを含む配列番号24)または酵素2=T4 Dda−E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360C(変異E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360Cを含む配列番号24)のいずれかであった。
【0552】
国際出願第PCT/GB2012/052343号(WO/2013/041878として公開)に開示される方法を使用して、1D精度特徴付け測定値を計算した。
【0553】
結果
T4 Dda−E94C/F98W/C109A/C136A/K194L/A360CによりDNA転移が制御されたMspA変異体×=MspA−((Del−L74/G75/D118/L119)D56F/E59R/L88N/D90N/D91N/Q126R/D134R/E139K)8(変異D56F/E59R/L88N/D90N/D91N/Q126R/D134R/E139K、及びアミノ酸L74/G75/D118/L119の欠失を含む配列番号50)の1Dベースコール特徴付け精度は68.7%であった。試験した変異体の全て(以下の表17を参照されたい)は、MspA変異体Xと比較して改善された1Dベースコール特徴付け精度を示した。
27−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/R192Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97W/R192Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
28−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/R192D−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97W/R192Dを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
29−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/K135L/T150I/S208V−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/K135L/T150I/S208Vを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
30−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/T150I/S208V−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/T150I/S208Vを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
31−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/S208V−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/S208Vを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
32−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/T150I−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/T150Iを含む配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
33−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/K135V/T150Y−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/K135V/T150Yを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
34−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/K135L−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/K135Lを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
35−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97F/R192D−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97F/R192Dを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
36−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/K135L/T150I−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/K135L/T150Iを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
37−CsgG−Eco−((Del−D195/Y196/Q197/R198/L199)−Y51A/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合しており、及びアミノ酸D195/Y196/Q197/R198/L199の欠失)
38−CsgG−Eco−((Del−R192/F193/I194/D195/Y196/Q197/R198/L199/L200)−Y51A/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合しており、及びアミノ酸R192/F193/I194/D195/Y196/Q197/R198/L199/L200の欠失)
39−CsgG−Eco−((Del−Q197/R198/L199/L200)−Y51A/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合しており、及びアミノ酸Q197/R198/L199/L200の欠失)
40−CsgG−Eco−((Del−I194/D195/Y196/Q197/R198/L199)−Y51A/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合しており、及びアミノ酸I194/D195/Y196/Q197/R198/L199の欠失)
41−CsgG−Eco−((Del−V139/G140/D149/T150/V186/Q187/V204/G205)−Y51A/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合しており、及びアミノ酸V139/G140/D149/T150/V186/Q187/V204/G205の欠失)
42−CsgG−Eco−((Del−D195/Y196/Q197/R198/L199/L200)−Y51A/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合しており、及びアミノ酸D195/Y196/Q197/R198/L199/L200の欠失)
43−CsgG−Eco−((Del−Y196/Q197/R198/L199/L200/E201)−Y51A/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合しており、及びアミノ酸Y196/Q197/R198/L199/L200/E201の欠失)
44−CsgG−Eco−((Del−Q197/R198/L199)−Y51A/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合しており、及びアミノ酸Q197/R198/L199の欠失)
45−CsgG−Eco−((Del−F193/I194/D195/Y196/Q197/R198/L199)−Y51A/F56Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合しており、及びアミノ酸F193/I194/D195/Y196/Q197/R198/L199の欠失)
46−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R192T−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R192Tを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
47−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/N102S−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/N102Sを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
48−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/Q42R−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/Q42Rを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
49−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R192S−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R192Sを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
50−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/G103N−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/G103Nを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
51−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97N/N102R−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97N/N102Rを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
52−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97L−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97Lを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
53−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R192D−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R192Dを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
54−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97N/N102G−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97N/N102Gを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
55−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/F48S−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/F48Sを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
56−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/G103S−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/G103Sを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
57−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/E101L−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/E101Lを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
58−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R192Q−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R192Qを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
59−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/K135N/R142N/R192N−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/K135N/R142N/R192Nを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
60−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97N−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97Nを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
61−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R192N−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R192Nを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
62−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/Y130W−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/Y130Wを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
63−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/E101G−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/E101Gを含む配列番号2であって、StrepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)
【表16】
【0554】
実施例7
この実施例は、いくつかの異なる変異体ナノポアのDNA捕捉を比較する。
【0555】
材料及び方法
緩衝液(25mM Kリン酸緩衝液、150mMフェロシアン化カリウム(II)、150mMフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)中でブロックコポリマーに挿入された多様な単一CsgGまたはMspAナノポアから電気的測定を得た。ブロックコポリマーに挿入された単一ポアを達成した後に、次いで、緩衝液(2mL、25mM Kリン酸緩衝液、150mMフェロシアン化カリウム(II)、150mMフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)をシステムに通して流して任意の余剰ナノポアを除去した。次いで、150uLの500mM KCl、25mM Kリン酸、1.5mM MgCl2、1.5mM ATPをシステムに通して流した。10分後、150uLのDNA(配列番号51、200nM)を次いで、単一ナノポア実験システム内に流した。実験は−120mVで行い、ヘリカーゼ制御DNA移動を監視した。
【0556】
結果
CsgG変異体CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/E101S/R192D−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97W/E101S/R192Dを含む配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)(
図36を参照されたい)は、MspA−((Del−L74/G75/D118/L119)D56F/E59R/L88N/D90N/D91N/Q126R/D134R/E139K)8(
図34を参照されたい)よりも高い捕捉率を示す(例えば、DNAポリヌクレオチドをより容易に捕捉する)。電流トレースにおける各スパイクは、酵素に制御されることなくナノポアを通るDNAポリヌクレオチド(配列番号51)の転移に対応する。
図34における10秒間の電流トレースは、CsgGナノポア−CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/E101S/R192D−StrepII(C))9についての10秒間の電流トレースよりも少ないDNA転移を示す。
【0557】
E101位のE101Sへの変異は、E101S変異を含まないCsgG変異体と比較して、捕捉率の増加をもたらした。
図35は、CsgG変異体CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/R192D−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97W/R192Dを含む配列番号2であって、StepII(C)が配列番号47であり、C末端において結合している)についての10秒間の電流トレースが、CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/E101S/R192D−StrepII(C))9よりも少ない転移を呈したことを示す。CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/R192D−StrepII(C))9の転移の平均数は、1秒当たり7.25であり(n=12)、CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/E101S/R192D−StrepII(C))9の転移の平均数は、1秒当たり18(n=14)であった。
【0558】
実施例8
この実施例は、2つの異なるCsgG変異体ポアの発現レベルを比較する。
【0559】
材料及び方法
この実施例においてナノポア(A=CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W)−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97Wを含む配列番号2であって、StrepII(C)は、配列番号47であり、C末端に結合している)及びB=CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/R192D)−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97W/R192Dを含む配列番号2であって、StrepII(C)は、配列番号47であり、C末端に結合している))を作製するために使用した材料及び方法は、実施例3について上に記載されたものと同じである。
【0560】
結果
2つのナノポア(A=CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W)−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97Wを含む配列番号2であって、StrepII(C)は、配列番号47であり、C末端に結合している)及びB=CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/R192D)−StrepII(C))9(変異Y51A/F56Q/R97W/R192Dを含む配列番号2であって、StrepII(C)は、配列番号47であり、C末端に結合している))を、全く同じプロトコルを使用して発現及び精製し、同じ容量の各ナノポアを、ゲル濾過クロマトグラム(120mL S200カラム、
図37を参照されたい)及びSDS−PAGE分析(
図38を参照されたい)を使用して分析した。Bの吸光値(470.3mAu)は、A(11.4mAu)よりもはるかに高く、これは、CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/R192D)−StrepII(C))9が、CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W)−StrepII(C))9よりもはるかに高いレベルで発現したことを示す。
図38におけるバンドの強度も、2つのポアの発現レベルを示す。バンドA〜C(CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W)−StrepII(C))9を含有する)は、バンドD〜E(CsgG−Eco−(Y51A/F56Q/R97W/R192D)−StrepII(C))9を含有する)よりも強度が低かった。2つの分析方法はいずれも、R192D変異の付加が、CsgG変異体の認められる発現を大きく増加させたことを示した。
【0561】
実施例9
この実施例は、改善された特徴付け精度を示すいくつかのCsgG変異体の特徴付けを説明する。
【0562】
材料及び方法
CsGポア
以下の8個のCsgG変異体ポアを試験した。上記の実施例Xに記載された変異体28をベースラインポアとして使用した。配列番号2において変異を作製し、精製タグStrepIIは、配列番号47に示される配列を有する。
【表17】
【0563】
ナノポア調製
各々に単一のCsgG変異体ナノポアが挿入されたブロックコポリマー膜の複数のウェルを含有するナノポアアレイチップを調製するために、以下の方法を使用した。E.coli中に発現されたCsgG変異体を精製し、25mM Tris、150mM NaCl、2mM EDTA、0.01% DDM、0.1% SDS、0.1% Brij 58(pH8)を含有する緩衝液中に保管した。25mMリン酸カリウム、150mMフェロシアン化カリウム(II)、150mMフェリシアン化カリウム(III)(pH8.0)を含む緩衝液を使用して、これらの変異体CsgGポアを100万分の1に希釈し、チップに添加してウェルの各々において単一のポアを得た。ポア挿入後、25mMリン酸カリウム、150mMフェロシアン化カリウム(II)、150mMフェリシアン化カリウム(III)(pH8.0)を含む1mL緩衝液でアレイチップを洗浄して、余剰ポアを除去した。数分後、470mM KCl、25mM HEPES、11mM ATP、及び10mM MgCl2を含有する500mLのシークエンシングミックスで各チップを2回流した。
【0564】
DNA試料調製
以下の方法を使用してシークエンシングのためにDNA試料を調製した。1 μgのDNA分析物を、アダプターに予め結合したT4 Ddヘリカーゼ酵素及び平滑末端TAリガーゼを含有する40nMのアダプターミックスと共に10分間インキュベートした(https://store.nanoporetech.com/から入手可能)。アダプターの構造は
図43に示され、アダプター中に含まれる配列は、配列番号52〜55に記載される。次いで、ライゲーション混合物を精製して、ライゲーションされていない遊離アダプターを、Spri精製を使用して除去した。ライゲーションされた最終混合物を、40mM CAPS(pH10)、40mM Kcl、及び400nMコレステロールテザーを含有する25μl溶出緩衝液中に溶出した。各チップについて、12μlのDNA−アダプターのライゲーションされたミックスを、シークエンシングミックス(150μlの最終容量)と混合し、シークエンシングのためにチップに添加した。その後、実験を160mVで6時間行った。
【0565】
WO/2013/041878に開示される方法を使用して、1D精度特徴付け測定値を計算した。
【0567】
鋳型速度を以下の方法によって測定した。各くねった線を参照配列と整列させた。アラインメントにわたる塩基の数(アラインメント開始位置からアラインメント終了位置を引く)を、アラインメントの終了に対応する事象と、アラインメントの開始に対応する事象との間の時間で割った。
【0568】
結果
ベースコール精度
図39に示すように、8個のCsgG変異体ポアの全てが、実施例6に記載されるベースラインポアである変異体28(CsgG−(WT−Y51A/F56Q/R97W/R192D−StrepII)9)と比較して改善したベースコール精度を有することが見出された。表17に示すように、変異体28は、実施例5に記載される変異体25(CsgG−(WT−Y51A/F56Q−StrepII)9)がベースライン変異体であった実施例6で試験された全てのCsgG変異体の中で最も高いベースライン精度(80.2%)を示した。したがって、D195−L199、F193−L199、もしくはV105−I107の欠失、またはF191Tの置換は、変異体28におけるR97W及びR192D置換によってもたらされる精度の改善に加え、さらなる精度の改善をもたらす。
【0569】
D195〜L199、F193〜L199、もしくはV105〜I107の欠失、またはF191Tの置換の各々もまた、CsgG配列における他の変異の存在下で、またはR97W、R192D、Y51A、及び/もしくはF56Q変異の不在下で精度を改善することが予想される。例えば、del(V105−I107)変異に加えて変異K94Qを含有する変異体Eは、変異体28と比較して改善した精度を有し、R97Wを含有しないが、代わりにR93W置換を含有するdel(V105−I107)含有変異体Gも同様である。
【0570】
実施例26における表17は、R97W置換を含有する変異体26が、変異体28(80.2%)にほぼ劣らないベースコール精度(79.2%)を有することを示す。これは、R97W変異が、増加したベースコール精度の基礎となっていることを示す。この実施例において、R97W変異を含有しない(かつR192D変異も含有しない)2つの変異体であって、代わりに
R93W置換を含有する(変異体F)か、またはR93Y置換及びR97Y置換の両方を含有する(変異体H)2つの変異体を試験し、それらは変異体28よりも高いベースコール精度を有することが見出された。これは、R93W及びR93Y/R97Y置換を使用して、CsgGナノポアのベースコール精度を改善させることができることを示す。
【0571】
鋳型速度及び鋳型精度
図40Aに示すように、変異体D(CsgG−(WT−Y51A/F56Q/R97W/R192D−del(V105−I107)−StrepII)9)は、ベースライン変異体28 CsgG−(WT−Y51A/F56Q/R97W/R192D−StrepII)9と比較して、速度群の密になった分布を有する。
【0572】
図40Bは、変異体D(CsgG−(WT−Y51A/F56Q/R97W/R192D−del(V105−I107)−StrepII)9)が、ベースライン変異体28 CsgG−(WT−Y51A/F56Q/R97W/R192D−StrepII)9と比較して、鋳型精度の密になった分布を示す。
【0573】
データにおける変動が少ないため、密になった速度及び精度分布を有することは有利である。また、データの精度中央値は、生成されるより低い精度のデータの量を低減することによって増加することになる。したがって、CsgGナノポアのV105〜I107からのアミノ酸の欠失を使用して、ポリヌクレオチドを特徴付けるための改善した特性を有するCsgGナノポアを生成することができる。
【0574】
実施例10
この実施例は、ノイズの多いポアシグナルの低減を示すCsgG変異体の特徴付けを説明する。
【0575】
材料及び方法
CsGポア
以下のCsgG変異体ポアを試験した。上記の実施例Xに記載された変異体28をベースラインポアとして使用した。配列番号2において変異を作製し、精製タグStrepIIは、配列番号47に示される配列を有する。
【表18】
【0576】
ナノポア調製
実施例9に記載されるように、各々に単一のCsgG変異体ナノポアが挿入されたブロックコポリマー膜の複数のウェルを含有するチップを調製した。
【0577】
DNA試料調製
実施例9に記載される方法を使用してシークエンシングのためにDNA試料を調製した。
【0578】
ノイズの多いポア状態での経過時間の判定
ノイズの多いポア状態での経過時間の割合を以下のように計算した。各チャネル内の事象検出シグナルを、非重複短ウィンドウに分割した。各ウィンドウについて、電流レベル及び電流レベルの分散の平均を計算した。次いで、ウィンドウがノイズの多いシグナルを含有するかどうかを表示する標識を返す分類器に得られた値を通した。分類器は、予め標識されたデータをそれに提供することによってノイズの多いシグナルを検出するように訓練された。
【0579】
結果
ノイズの多いポア状態
図41は、ベースライン変異体28 CsgG−(WT−Y51A/F56Q/R97W/R192D−StrepII)9によって呈される「ノイズの多い」ポアエラーモードを示す例示的な「くねった線」を表示する。
図41の上のパネルは、「良好な」ポア状態の間及び「ノイズの多い」ポア状態の間の、ポアを通る電流の流れの差を示す。
図41の下のパネルは、「良好な」状態から「ノイズの多い」状態への移行の拡大図を示す。
【0580】
図42は、少なくとも5回の泳動の平均を取った、ベースライン変異体28と比較した場合の、変異体I及び変異体Jのノイズの多い状態の低減を示す。
【0581】
変異体J及び変異体Iの両方によるノイズの多いポア状態での経過時間の割合は、ベースラインと比較して著しく低減されている。変異体I及びJは、ベースラインとして使用された変異体28と、1つの残基においてのみ異なる。変異体I及び変異体Jはいずれも、K94の置換を含有する。変異体Iは、K94N変異を含有し、変異体IIは、K94Q変異を含有する。したがって、CsgGナノポアにおけるK94の置換、特にNまたはQでの置換を使用して、ポリヌクレオチドを特徴付けるための改善した特性を有するCsgGナノポアを生成することができる。
【0582】
実施例11
この実施例は、改善した捕捉活性を示すいくつかのCsgG変異体の特徴付けを説明する。
【0583】
材料及び方法
CsGポア
以下のCsgG変異体ポアを試験した。上記の実施例9に記載された変異体Eをベースラインポアとして使用した。配列番号2において変異を作製し、精製タグStrepIIは、配列番号47に示される配列を有する。
【表19】
【0584】
ナノポア調製
各々に単一のCsgG変異体ナノポアが挿入されたブロックコポリマー膜の複数のウェルを含有するナノポアアレイチップを調製するために、以下の方法を使用した。E.coli中に発現されたCsgG変異体を精製し、25mM Tris、150mM NaCl、2mM EDTA、0.01% DDM、0.1% SDS、0.1% Brij 58(pH8)を含有する緩衝液中に保管した。25mMリン酸カリウム、150mMフェロシアン化カリウム(II)、150mMフェリシアン化カリウム(III)(pH8.0)を含む緩衝液を使用して、これらの変異体CsgGポアを100万分の1に希釈し、チップに添加してウェルの各々において単一のポアを得た。ポア挿入後、25mMリン酸カリウム、150mMフェロシアン化カリウム(II)、150mMフェリシアン化カリウム(III)(pH8.0)を含む1mL緩衝液でアレイチップを洗浄して、余剰ポアを除去した。25mMリン酸カリウム、150mMフェロシアン化カリウム(II)、150mMフェリシアン化カリウム(III)(pH8.0)中、240nM TBA分析物を含有する1mLの溶液をチップ内に流した。
【0585】
捕捉活性の判定
トロンビン結合アプタマー(TBA)(配列番号51)を捕捉するその能力により、DNA分析物を捕捉する変異体ポアの能力を評価した。実験を180mVで行った。ポアによるTBA捕捉を測定するために、TBA事象間の時間の中央値を計算した。
【0586】
結果
図44に示すように、13個の変異体のTBA事象間の時間の中央値は、ベースラインと比較して著しく低減され、これは、13個の変異体の全てが増加した鋳型DNA捕捉率を呈することを示す。
【0587】
13個の変異体の各々は、ベースラインポアと比較して単一のアミノ酸置換を有した。個々の置換は、Q42K、E44N、E44Q、L90R、N91R、I95R、A99R、E101H、E101K、E101N、E101Q、E101T、及びQ114Kであった。これらの変異は全て、負に荷電したアミノ酸の、荷電していないアミノ酸または正に荷電したアミノ酸による置換、または荷電していないアミノ酸の、正に荷電したアミノ酸による置換を伴う。したがって、Q42位、E44位、E44位、L90位、N91位、I95位、A99位、E101位、及びQ114位のうちの1つ以上におけるアミノ酸の、負電荷を除去するか、または正電荷を増加させるアミノ酸によるこれらの位置における置換は、ポリヌクレオチドの増加した捕捉をもたらすと結論付けることができる。
【0588】
様々なCsgG相同体の配列アラインメント
図45は、上に詳述される21個のCsgG相同体間の配列アラインメントを示す。配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、及び配列番号41上で複数の配列アラインメントを行った。
【0589】
相同性拡張及び二次構造情報を統合する複数の配列アラインメントツールボックスであるPralineソフトウェアを使用して、アラインメントを実施したhttp://www.ibi.vu.nl/programs/pralinewww/、Simossis VA1,Heringa J.;Nucleic Acids Res.2005 Jul 1;33(Web Server issue):W289−94も参照されたい。BLOSUM62残基交換マトリックスを使用してアラインメントをスコア化した。この方法の詳細については、例えば、Henikoff S,Henikoff JG;Proc.Natl.Acad.Sci.USA Vol.89,pp.10915−10919,November 1992を参照されたい。12及び1のギャップオープニング及びエクステンションペナルティをそれぞれ使用した。PSIPREDを使用した二次構造推測を使用して、アラインメントをガイドした。この方法の詳細については、例えば、Jones D.T.;J Mol Biol.1999 Sep 17;292(2):195−202を参照されたい。配列を整列させるために使用される上記の方法は例示的であり、当該技術分野で既知の他の配列アラインメント方法を使用してもよい。
【0590】
図45の配列アラインメントを参照すると、配列アラインメントの各区画各位置における保存は、ヒストグラム及びスコアによって示されている。スケール上の数字0〜9は、増加する保存を示し、保存されるアミノと類似する特性をもたらす変異を有する柱はプラス(「+」)でマークされ、星印(「*」)は、その位置における100%の配列同一性を示す。残基の多くが、非常に高いか、またはさらに完全な配列同一性を示すことを配列アラインメントの保存値から見ることができ、これは、これらの21個の相同体が密接に関連していることを示す。
【0591】
図46は、推測されるアルファヘリックス二次構造領域がさらに灰色に網掛けされた、
図45と同じ相対的な配列アラインメントを示す。
図47は、推測されるベータシート二次構造領域がさらに灰色に網掛けされた、
図45と同じ相対的な配列アラインメントを示す。
図46及び47は、CsgGナノポアの重要な二次構造である、これらの相同体の推測されるアルファヘリックス及びベータシートの領域が、高度に保存されていることを示す。
【0592】
複数の配列アラインメントは、配列が関連していることを強く示し、アラインメントに沿って高度の保存が存在するだけでなく、推測される二次構造要素も整列されている。
【0593】
図45、46、及び47における配列アラインメントは、互いに整列する相対的位置を示す参照として使用され得る。したがって、配列番号2に対して同定されたアミノ酸残基、及び他のCsgG相同体における対応するアミノ酸残基を同定することができる。同定を容易にするために、残基R97及びR192の位置がアスタリスクで示されている。例えば、配列番号2のR192が配列番号32の残基R191及び配列番号37の残基K177に対応することを表から見ることができる。
【0594】
図45〜47を参照して容易に理解されるように、CsgGモノマーは高度に保存されている。さらに、配列番号2に関連する変異の知識から、配列番号2のもの以外のCsgGモノマーの変異の同等の位置を判定することができる。
【0595】
したがって、特許請求の範囲及び本明細書中の他の箇所に記載される、配列番号2に示される配列のバリアント及びその特異的アミノ酸変異を含む変異体CsgGモノマーは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、及び配列番号41に示される配列のバリアント、ならびにそれらの対応するアミノ酸変異を含む変異体CsgGモノマーも包含する。同様に、特許請求の範囲及び本明細書中の他の箇所に記載される、配列番号2に示される配列のバリアント及びその特異的アミノ酸変異を含む変異体CsgGモノマーに関連する、構造体、ポア、またはポアの使用を伴う方法は、上に開示される配列番号による配列のバリアント及びそれらの対応するアミノ酸変異を含む変異体CsgGモノマーに関連する構造体、ポア、または方法も包含する。本発明が、本明細書に明確に特定されていない、高度に保存された領域を示す他のバリアントCsgGモノマーに及ぶことがさらに理解されるであろう場合。
本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.R97W;R93W;R93Y及びR97Y;F191T;V105、A106、及びI107の欠失;ならびに/またはR192位、F193位、I194位、D195位、Y196位、Q197位、R198位、L199位、L200位、及びE201位のうちの1つ以上の欠失を含む、配列番号2に示される配列のバリアントを含む、変異体CsgGモノマー。
2.前記バリアントが、R97Wを含む、上記1に記載の変異体CsgGモノマー。
3.F193、I194、D195、Y196、Q197、R198、及びL199の欠失、またはD195、Y196、Q197、R198、及びL199の欠失を含む、上記3または4に記載の変異体CsgGモノマー。
3.前記バリアントが、(i)以下の位置、N40、D43、E44、S54、S57、Q62、R97、E101、E124、E131、R142、T150、及びR192における1つ以上の変異、(ii)Y51/N55、Y51/F56、N55/F56、またはY51/N55/F56における変異、(iii)Q42RまたはQ42K、(iv)K49RまたはK94Q、(v)N102R、N102F、N102Y、またはN102W、(vi)D149N、D149Q、またはD149R、(vii)E185N、E185Q、またはE185R、(viii)D195N、D195Q、またはD195R、(ix)E201N、E201Q、またはE201R、(x)E203N、E203Q、またはE203R、(xi)以下の位置、F48、K49、P50、Y51、P52、A53、S54、N55、F56、及びS57のうちの1つ以上の欠失、ならびに(xii)以下の位置、L90、N91、I95、A99、Q114における1つ以上の変異、のうちの1つ以上を含む、上記1または2に記載の変異体CsgGモノマー。
4.前記バリアントが、(a)Y51及び/もしくはF56における変異、ならびに/または(b)R192における変異を含む、上記1〜3のいずれかに記載の変異体モノマー。
5.前記Y51における変異が、Y51Aであり、かつ/またはY56における変異が、F56Qである、上記4に記載の変異体モノマー。
6.前記R192における変異が、R192Dである、上記4または5に記載の変異体モノマー。
7.(a)前記バリアントが、以下の置換、N40R、N40K、D43N、D43Q、D43R、D43K、E44N、E44Q、E44R、E44K、S54P、S57P、Q62R、Q62K、R97N、R97G、R97L、E101N、E101Q、E101R、E101K、E101F、E101Y、E101W、E101T、E124N、E124Q、E124R、E124K、E124F、E124Y、E124W、E131D、R142E、R142N、T150I、R192E、及びR192Nのうちの1つ以上を含み、
(b)前記バリアントが、(ii)において、F56N/N55Q、F56N/N55R、F56N/N55K、F56N/N55S、F56N/N55G、F56N/N55A、F56N/N55T、F56Q/N55Q、F56Q/N55R、F56Q/N55K、F56Q/N55S、F56Q/N55G、F56Q/N55A、F56Q/N55T、F56R/N55Q、F56R/N55R、F56R/N55K、F56R/N55S、F56R/N55G、F56R/N55A、F56R/N55T、F56S/N55Q、F56S/N55R、F56S/N55K、F56S/N55S、F56S/N55G、F56S/N55A、F56S/N55T、F56G/N55Q、F56G/N55R、F56G/N55K、F56G/N55S、F56G/N55G、F56G/N55A、F56G/N55T、F56A/N55Q、F56A/N55R、F56A/N55K、F56A/N55S、F56A/N55G、F56A/N55A、F56A/N55T、F56K/N55Q、F56K/N55R,F56K/N55K、F56K/N55S、F56K/N55G、F56K/N55A、F56K/N55T、F56N/Y51L、F56N/Y51V、F56N/Y51A、F56N/Y51N、F56N/Y51Q、F56N/Y51S、F56N/Y51G、F56Q/Y51L、F56Q/Y51V、F56Q/Y51A、F56Q/Y51N、F56Q/Y51Q、F56Q/Y51S、F56Q/Y51G、F56R/Y51L、F56R/Y51V、F56R/Y51A、F56R/Y51N、F56R/Y51Q、F56R/Y51S、F56R/Y51G、F56S/Y51L、F56S/Y51V、F56S/Y51A、F56S/Y51N、F56S/Y51Q、F56S/Y51S、F56S/Y51G、F56G/Y51L、F56G/Y51V、F56G/Y51A、F56G/Y51N、F56G/Y51Q、F56G/Y51S、F56G/Y51G、F56A/Y51L、F56A/Y51V、F56A/Y51A、F56A/Y51N、F56A/Y51Q、F56A/Y51S、F56A/Y51G、F56K/Y51L、F56K/Y51V、F56K/Y51A、F56K/Y51N、F56K/Y51Q、F56K/Y51S、F56K/Y51G、N55Q/Y51L、N55Q/Y51V、N55Q/Y51A、N55Q/Y51N、N55Q/Y51Q、N55Q/Y51S、N55Q/Y51G、N55R/Y51L、N55R/Y51V、N55R/Y51A、N55R/Y51N、N55R/Y51Q、N55R/Y51S、N55R/Y51G、N55K/Y51L、N55K/Y51V、N55K/Y51A、N55K/Y51N、N55K/Y51Q、N55K/Y51S、N55K/Y51G、N55S/Y51L、N55S/Y51V、N55S/Y51A、N55S/Y51N、N55S/Y51Q、N55S/Y51S、N55S/Y51G、N55G/Y51L、N55G/Y51V、N55G/Y51A、N55G/Y51N、N55G/Y51Q、N55G/Y51S、N55G/Y51G、N55A/Y51L、N55A/Y51V、N55A/Y51A、N55A/Y51N、N55A/Y51Q、N55A/Y51S、N55A/Y51G、N55T/Y51L、N55T/Y51V、N55T/Y51A、N55T/Y51N、N55T/Y51Q、N55T/Y51S、N55T/Y51G、F56N/N55Q/Y51L、F56N/N55Q/Y51V、F56N/N55Q/Y51A、F56N/N55Q/Y51N、F56N/N55Q/Y51Q、F56N/N55Q/Y51S、F56N/N55Q/Y51G、F56N/N55R/Y51L、F56N/N55R/Y51V、F56N/N55R/Y51A、F56N/N55R/Y51N、F56N/N55R/Y51Q、F56N/N55R/Y51S、F56N/N55R/Y51G、F56N/N55K/Y51L、F56N/N55K/Y51V、F56N/N55K/Y51A、F56N/N55K/Y51N、F56N/N55K/Y51Q、F56N/N55K/Y51S、F56N/N55K/Y51G、F56N/N55S/Y51L、F56N/N55S/Y51V、F56N/N55S/Y51A、F56N/N55S/Y51N、F56N/N55S/Y51Q、F56N/N55S/Y51S、F56N/N55S/Y51G、F56N/N55G/Y51L、F56N/N55G/Y51V、F56N/N55G/Y51A、F56N/N55G/Y51N、F56N/N55G/Y51Q、F56N/N55G/Y51S、F56N/N55G/Y51G、F56N/N55A/Y51L、F56N/N55A/Y51V、F56N/N55A/Y51A、F56N/N55A/Y51N、F56N/N55A/Y51Q、F56N/N55A/Y51S、F56N/N55A/Y51G、F56N/N55T/Y51L、F56N/N55T/Y51V、F56N/N55T/Y51A、F56N/N55T/Y51N、F56N/N55T/Y51Q、F56N/N55T/Y51S、F56N/N55T/Y51G、F56Q/N55Q/Y51L、F56Q/N55Q/Y51V、F56Q/N55Q/Y51A、F56Q/N55Q/Y51N、F56Q/N55Q/Y51Q、F56Q/N55Q/Y51S、F56Q/N55Q/Y51G、F56Q/N55R/Y51L、F56Q/N55R/Y51V、F56Q/N55R/Y51A、F56Q/N55R/Y51N、F56Q/N55R/Y51Q、F56Q/N55R/Y51S、F56Q/N55R/Y51G、F56Q/N55K/Y51L、F56Q/N55K/Y51V、F56Q/N55K/Y51A、F56Q/N55K/Y51N、F56Q/N55K/Y51Q、F56Q/N55K/Y51S、F56Q/N55K/Y51G、F56Q/N55S/Y51L、F56Q/N55S/Y51V、F56Q/N55S/Y51A、F56Q/N55S/Y51N、F56Q/N55S/Y51Q、F56Q/N55S/Y51S、F56Q/N55S/Y51G、F56Q/N55G/Y51L、F56Q/N55G/Y51V、F56Q/N55G/Y51A、F56Q/N55G/Y51N、F56Q/N55G/Y51Q、F56Q/N55G/Y51S、F56Q/N55G/Y51G、F56Q/N55A/Y51L、F56Q/N55A/Y51V、F56Q/N55A/Y51A、F56Q/N55A/Y51N、F56Q/N55A/Y51Q、F56Q/N55A/Y51S、F56Q/N55A/Y51G、F56Q/N55T/Y51L、F56Q/N55T/Y51V、F56Q/N55T/Y51A、F56Q/N55T/Y51N、F56Q/N55T/Y51Q、F56Q/N55T/Y51S、F56Q/N55T/Y51G、F56R/N55Q/Y51L、F56R/N55Q/Y51V、F56R/N55Q/Y51A、F56R/N55Q/Y51N、F56R/N55Q/Y51Q、F56R/N55Q/Y51S、F56R/N55Q/Y51G、F56R/N55R/Y51L、F56R/N55R/Y51V、F56R/N55R/Y51A、F56R/N55R/Y51N、F56R/N55R/Y51Q、F56R/N55R/Y51S、F56R/N55R/Y51G、F56R/N55K/Y51L、F56R/N55K/Y51V、F56R/N55K/Y51A、F56R/N55K/Y51N、F56R/N55K/Y51Q、F56R/N55K/Y51S、F56R/N55K/Y51G、F56R/N55S/Y51L、F56R/N55S/Y51V、F56R/N55S/Y51A、F56R/N55S/Y51N、F56R/N55S/Y51Q、F56R/N55S/Y51S、F56R/N55S/Y51G、F56R/N55G/Y51L、F56R/N55G/Y51V、F56R/N55G/Y51A、F56R/N55G/Y51N、F56R/N55G/Y51Q、F56R/N55G/Y51S、F56R/N55G/Y51G、F56R/N55A/Y51L、F56R/N55A/Y51V、F56R/N55A/Y51A、F56R/N55A/Y51N、F56R/N55A/Y51Q、F56R/N55A/Y51S、F56R/N55A/Y51G、F56R/N55T/Y51L、F56R/N55T/Y51V、F56R/N55T/Y51A、F56R/N55T/Y51N、F56R/N55T/Y51Q、F56R/N55T/Y51S、F56R/N55T/Y51G、F56S/N55Q/Y51L、F56S/N55Q/Y51V、F56S/N55Q/Y51A、F56S/N55Q/Y51N、F56S/N55Q/Y51Q、F56S/N55Q/Y51S、F56S/N55Q/Y51G、F56S/N55R/Y51L、F56S/N55R/Y51V、F56S/N55R/Y51A、F56S/N55R/Y51N、F56S/N55R/Y51Q、F56S/N55R/Y51S、F56S/N55R/Y51G、F56S/N55K/Y51L、F56S/N55K/Y51V、F56S/N55K/Y51A、F56S/N55K/Y51N、F56S/N55K/Y51Q、F56S/N55K/Y51S、F56S/N55K/Y51G、F56S/N55S/Y51L、F56S/N55S/Y51V、F56S/N55S/Y51A、F56S/N55S/Y51N、F56S/N55S/Y51Q、F56S/N55S/Y51S、F56S/N55S/Y51G、F56S/N55G/Y51L、F56S/N55G/Y51V、F56S/N55G/Y51A、F56S/N55G/Y51N、F56S/N55G/Y51Q、F56S/N55G/Y51S、F56S/N55G/Y51G、F56S/N55A/Y51L、F56S/N55A/Y51V、F56S/N55A/Y51A、F56S/N55A/Y51N、F56S/N55A/Y51Q、F56S/N55A/Y51S、F56S/N55A/Y51G、F56S/N55T/Y51L、F56S/N55T/Y51V、F56S/N55T/Y51A、F56S/N55T/Y51N、F56S/N55T/Y51Q、F56S/N55T/Y51S、F56S/N55T/Y51G、F56G/N55Q/Y51L、F56G/N55Q/Y51V、F56G/N55Q/Y51A、F56G/N55Q/Y51N、F56G/N55Q/Y51Q、F56G/N55Q/Y51S、F56G/N55Q/Y51G、F56G/N55R/Y51L、F56G/N55R/Y51V、F56G/N55R/Y51A、F56G/N55R/Y51N、F56G/N55R/Y51Q、F56G/N55R/Y51S、F56G/N55R/Y51G、F56G/N55K/Y51L、F56G/N55K/Y51V、F56G/N55K/Y51A、F56G/N55K/Y51N、F56G/N55K/Y51Q、F56G/N55K/Y51S、F56G/N55K/Y51G、F56G/N55S/Y51L、F56G/N55S/Y51V、F56G/N55S/Y51A、F56G/N55S/Y51N、F56G/N55S/Y51Q、F56G/N55S/Y51S、F56G/N55S/Y51G、F56G/N55G/Y51L、F56G/N55G/Y51V、F56G/N55G/Y51A、F56G/N55G/Y51N、F56G/N55G/Y51Q、F56G/N55G/Y51S、F56G/N55G/Y51G、F56G/N55A/Y51L、F56G/N55A/Y51V、F56G/N55A/Y51A、F56G/N55A/Y51N、F56G/N55A/Y51Q、F56G/N55A/Y51S、F56G/N55A/Y51G、F56G/N55T/Y51L、F56G/N55T/Y51V、F56G/N55T/Y51A、F56G/N55T/Y5
1N、F56G/N55T/Y51Q、F56G/N55T/Y51S、F56G/N55T/Y51G、F56A/N55Q/Y51L、F56A/N55Q/Y51V、F56A/N55Q/Y51A、F56A/N55Q/Y51N、F56A/N55Q/Y51Q、F56A/N55Q/Y51S、F56A/N55Q/Y51G、F56A/N55R/Y51L、F56A/N55R/Y51V、F56A/N55R/Y51A、F56A/N55R/Y51N、F56A/N55R/Y51Q、F56A/N55R/Y51S、F56A/N55R/Y51G、F56A/N55K/Y51L、F56A/N55K/Y51V、F56A/N55K/Y51A、F56A/N55K/Y51N、F56A/N55K/Y51Q、F56A/N55K/Y51S、F56A/N55K/Y51G、F56A/N55S/Y51L、F56A/N55S/Y51V、F56A/N55S/Y51A、F56A/N55S/Y51N、F56A/N55S/Y51Q、F56A/N55S/Y51S、F56A/N55S/Y51G、F56A/N55G/Y51L、F56A/N55G/Y51V、F56A/N55G/Y51A、F56A/N55G/Y51N、F56A/N55G/Y51Q、F56A/N55G/Y51S、F56A/N55G/Y51G、F56A/N55A/Y51L、F56A/N55A/Y51V、F56A/N55A/Y51A、F56A/N55A/Y51N、F56A/N55A/Y51Q、F56A/N55A/Y51S、F56A/N55A/Y51G、F56A/N55T/Y51L、F56A/N55T/Y51V、F56A/N55T/Y51A、F56A/N55T/Y51N、F56A/N55T/Y51Q、F56A/N55T/Y51S、F56A/N55T/Y51G、F56K/N55Q/Y51L、F56K/N55Q/Y51V、F56K/N55Q/Y51A、F56K/N55Q/Y51N、F56K/N55Q/Y51Q、F56K/N55Q/Y51S、F56K/N55Q/Y51G、F56K/N55R/Y51L、F56K/N55R/Y51V、F56K/N55R/Y51A、F56K/N55R/Y51N、F56K/N55R/Y51Q、F56K/N55R/Y51S、F56K/N55R/Y51G、F56K/N55K/Y51L、F56K/N55K/Y51V、F56K/N55K/Y51A、F56K/N55K/Y51N、F56K/N55K/Y51Q、F56K/N55K/Y51S、F56K/N55K/Y51G、F56K/N55S/Y51L、F56K/N55S/Y51V、F56K/N55S/Y51A、F56K/N55S/Y51N、F56K/N55S/Y51Q、F56K/N55S/Y51S、F56K/N55S/Y51G、F56K/N55G/Y51L、F56K/N55G/Y51V、F56K/N55G/Y51A、F56K/N55G/Y51N、F56K/N55G/Y51Q、F56K/N55G/Y51S、F56K/N55G/Y51G、F56K/N55A/Y51L、F56K/N55A/Y51V、F56K/N55A/Y51A、F56K/N55A/Y51N、F56K/N55A/Y51Q、F56K/N55A/Y51S、F56K/N55A/Y51G、F56K/N55T/Y51L、F56K/N55T/Y51V、F56K/N55T/Y51A、F56K/N55T/Y51N、F56K/N55T/Y51Q、F56K/N55T/Y51S、F56K/N55T/Y51G、F56E/N55R、F56E/N55K、F56D/N55R、F56D/N55K、F56R/N55E、F56R/N55D、F56K/N55E、もしくはF56K/N55Dを含み、
(c)前記バリアントが、Y51/P52の欠失、Y51/P52/A53の欠失、P50〜P52の欠失、P50〜A53の欠失、K49〜Y51の欠失、K49〜A53の欠失及び単一のプロリン(P)による置換、K49〜S54の欠失及び単一のPによる置換、Y51〜A53の欠失、Y51〜S54の欠失、N55/F56の欠失、N55〜S57の欠失、N55/F56の欠失及び単一のPによる置換、N55/F56の欠失及び単一のグリシン(G)による置換、N55/F56の欠失及び単一のアラニン(A)による置換、N55/F56の欠失及び単一のPによる置換ならびにY51N、N55/F56の欠失及び単一のPによる置換ならびにY51Q、N55/F56の欠失及び単一のPによる置換ならびにY51S、N55/F56の欠失及び単一のGによる置換ならびにY51N、N55/F56の欠失及び単一のGによる置換ならびにY51Q、N55/F56の欠失及び単一のGによる置換ならびにY51S、N55/F56の欠失及び単一のAによる置換ならびにY51N、N55/F56の欠失及び単一のA/Y51Qによる置換、もしくはN55/F56の欠失及び単一のAによる置換ならびにY51Sによる置換を含み、かつ/または
(d)前記バリアントが、L90RもしくはL90K、N91RもしくはN91K、I95RもしくはI95K、A99RもしくはA99K、Q114KもしくはQ114Rのうちの1つ以上を含む、上記1〜6のいずれかに記載の変異体モノマー。
8.前記バリアントが、D195N/E203N、D195Q/E203N、D195N/E203Q、D195Q/E203Q、E201N/E203N、E201Q/E203N、E201N/E203Q、E201Q/E203Q、E185N/E203Q、E185Q/E203Q、E185N/E203N、E185Q/E203N、D195N/E201N/E203N、D195Q/E201N/E203N、D195N/E201Q/E203N、D195N/E201N/E203Q、D195Q/E201Q/E203N、D195Q/E201N/E203Q、D195N/E201Q/E203Q、D195Q/E201Q/E203Q、D149N/E201N、D149Q/E201N、D149N/E201Q、D149Q/E201Q、D149N/E201N/D195N、D149Q/E201N/D195N、D149N/E201Q/D195N、D149N/E201N/D195Q、D149Q/E201Q/D195N、D149Q/E201N/D195Q、D149N/E201Q/D195Q、D149Q/E201Q/D195Q、D149N/E203N、D149Q/E203N、D149N/E203Q、D149Q/E203Q、D149N/E185N/E201N、D149Q/E185N/E201N、D149N/E185Q/E201N、D149N/E185N/E201Q、D149Q/E185Q/E201N、D149Q/E185N/E201Q、D149N/E185Q/E201Q、D149Q/E185Q/E201Q、D149N/E185N/E203N、D149Q/E185N/E203N、D149N/E185Q/E203N、D149N/E185N/E203Q、D149Q/E185Q/E203N、D149Q/E185N/E203Q、D149N/E185Q/E203Q、D149Q/E185Q/E203Q、D149N/E185N/E201N/E203N、D149Q/E185N/E201N/E203N、D149N/E185Q/E201N/E203N、D149N/E185N/E201Q/E203N、D149N/E185N/E201N/E203Q、D149Q/E185Q/E201N/E203N、D149Q/E185N/E201Q/E203N、D149Q/E185N/E201N/E203Q、D149N/E185Q/E201Q/E203N、D149N/E185Q/E201N/E203Q、D149N/E185N/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/E201N/E203Q、D149Q/E185N/E201Q/E203Q、D149N/E185Q/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/E201Q/E203N、D149N/E185N/D195N/E201N/E203N、D149Q/E185N/D195N/E201N/E203N、D149N/E185Q/D195N/E201N/E203N、D149N/E185N/D195Q/E201N/E203N、D149N/E185N/D195N/E201Q/E203N、D149N/E185N/D195N/E201N/E203Q、D149Q/E185Q/D195N/E201N/E203N、D149Q/E185N/D195Q/E201N/E203N、D149Q/E185N/D195N/E201Q/E203N、D149Q/E185N/D195N/E201N/E203Q、D149N/E185Q/D195Q/E201N/E203N、D149N/E185Q/D195N/E201Q/E203N、D149N/E185Q/D195N/E201N/E203Q、D149N/E185N/D195Q/E201Q/E203N、D149N/E185N/D195Q/E201N/E203Q、D149N/E185N/D195N/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/D195Q/E201N/E203N、D149Q/E185Q/D195N/E201Q/E203N、D149Q/E185Q/D195N/E201N/E203Q、D149Q/E185N/D195Q/E201Q/E203N、D149Q/E185N/D195Q/E201N/E203Q、D149Q/E185N/D195N/E201Q/E203Q、D149N/E185Q/D195Q/E201Q/E203N、D149N/E185Q/D195Q/E201N/E203Q、D149N/E185Q/D195N/E201Q/E203Q、D149N/E185N/D195Q/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/D195Q/E201Q/E203N、D149Q/E185Q/D195Q/E201N/E203Q、D149Q/E185Q/D195N/E201Q/E203Q、D149Q/E185N/D195Q/E201Q/E203Q、D149N/E185Q/D195Q/E201Q/E203Q、D149Q/E185Q/D195Q/E201Q/E203Q、D149N/E185R/E201N/E203N、D149Q/E185R/E201N/E203N、D149N/E185R/E201Q/E203N、D149N/E185R/E201N/E203Q、D149Q/E185R/E201Q/E203N、D149Q/E185R/E201N/E203Q、D149N/E185R/E201Q/E203Q、D149Q/E185R/E201Q/E203Q、D149R/E185N/E201N/E203N、D149R/E185Q/E201N/E203N、D149R/E185N/E201Q/E203N、D149R/E185N/E201N/E203Q、D149R/E185Q/E201Q/E203N、D149R/E185Q/E201N/E203Q、D149R/E185N/E201Q/E203Q、D149R/E185Q/E201Q/E203Q、D149R/E185N/D195N/E201N/E203N、D149R/E185Q/D195N/E201N/E203N、D149R/E185N/D195Q/E201N/E203N、D149R/E185N/D195N/E201Q/E203N、D149R/E185Q/D195N/E201N/E203Q、D149R/E185Q/D195Q/E201N/E203N、D149R/E185Q/D195N/E201Q/E203N、D149R/E185Q/D195N/E201N/E203Q、D149R/E185N/D195Q/E201Q/E203N、D149R/E185N/D195Q/E201N/E203Q、D149R/E185N/D195N/E201Q/E203Q、D149R/E185Q/D195Q/E201Q/E203N、D149R/E185Q/D195Q/E201N/E203Q、D149R/E185Q/D195N/E201Q/E203Q、D149R/E185N/D195Q/E201Q/E203Q、D149R/E185Q/D195Q/E201Q/E203Q、D149N/E185R/D195N/E201N/E203N、D149Q/E185R/D195N/E201N/E203N、D149N/E185R/D195Q/E201N/E203N、D149N/E185R/D195N/E201Q/E203N、D149N/E185R/D195N/E201N/E203Q、D149Q/E185R/D195Q/E201N/E203N、D149Q/E185R/D195N/E201Q/E203N、D149Q/E185R/D195N/E201N/E203Q、D149N/E185R/D195Q/E201Q/E203N、D149N/E185R/D195Q/E201N/E203Q、D149N/E185R/D195N/E201Q/E203Q、D149Q/E185R/D195Q/E201Q/E203N、D149Q/E185R/D195Q/E201N/E203Q、D149Q/E185R/D195N/E201Q/E203Q、D149N/E185R/D195Q/E201Q/E203Q、D149Q/E185R/D195Q/E201Q/E203Q、D149N/E185R/D195N/E201R/E203N、D149Q/E185R/D195N/E201R/E203N、D149N/E185R/D195Q/E201R/E203N、D149N/E185R/D195N/E201R/E203Q、D149Q/E185R/D195Q/E201R/E203N、D149Q/E185R/D195N/E201R/E203Q、D149N/E185R/D195Q/E201R/E203Q、D149Q/E185R/D195Q/E201R/E203Q、E131D/K49R、E101N/N102F、E101N/N102Y、E101N/N102W、E101F/N102F、E101F/N102Y、E101F/N102W、E101Y/N102F、E101Y/N102Y、E101Y/N102W、E101W/N102F、E101W/N102Y、E101W/N102W、E101N/N102R、E101F/N102R、E101Y/N102R、またはE101W/N102Fを含む、上記1〜7のいずれかに記載の変異体。
9.前記バリアントが、T150における変異を含む、上記1〜8のいずれかに記載の変異体モノマー。
10.2つ以上の共有結合したCsgGモノマーを含む構造体であって、前記モノマーのうちの少なくとも1つが、上記1〜9のいずれかに記載の変異体モノマーである、構造体。
11.前記2つ以上の変異体モノマーが、同じであるか、または異なる、上記10に記載の構造体。
12.前記2つ以上の変異体モノマーが、遺伝的に融合されている、上記10または11に記載の構造体。
13.前記2つ以上の変異体モノマーが、1つ以上のリンカーを介して結合している、上記10〜12のいずれかに記載の構造体。
14.前記構造体が、上記1〜6のいずれかに記載の2つの変異体モノマーを含む、上記10〜13のいずれかに記載の構造体。
15.上記1〜9のいずれかに記載の変異体モノマーまたは上記12に記載の構造体をコードする、ポリヌクレオチド。
16.上記1〜9のいずれかに記載の同一の変異体モノマーまたは上記10〜14のいずれかに記載の同一の構造体を含むCsgGに由来する、ホモオリゴマーポア。
17.前記ポアが、上記1〜9のいずれかに記載の9つの同一の変異体モノマーを含む、上記16に記載のホモオリゴマーポア。
18.上記1〜9のいずれかに記載の少なくとも1つの変異体モノマーまたは上記10〜13のいずれかに記載の少なくとも1つの構造体を含むCsgGに由来する、ヘテロオリゴマーポア。
19.前記ポアが、(a)上記1〜9のいずれかに記載の9つの変異体モノマーであって、それらのうちの少なくとも1つが他のものと異なる、9つの変異体モノマー、または(b)上記1〜9のいずれかに記載の1つ以上の変異体モノマー及び配列番号2を含む十分な追加のモノマーを含む、上記18に記載のヘテロオリゴマーポア。
20.標的分析物の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定するための方法であって、
(a)前記標的分析物が前記ポアに対して移動するように、前記標的分析物を、上記16〜19のいずれかに記載のポアと接触させることと、
(b)前記分析物が前記ポアに対して移動する間に1つ以上の測定値を取り、それにより前記分析物の前記存在、不在、または1つ以上の特徴を判定することと、を含む、方法。
21.前記標的分析物が、金属イオン、無機塩、ポリマー、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、染料、漂白剤、医薬品、診断薬、レクリエーショナルドラッグ、爆発物、または環境汚染物質である、上記16〜20のいずれかに記載の方法。
22.前記標的分析物が、標的ポリヌクレオチドである、上記21に記載の方法。
23.前記方法が、標的ポリヌクレオチドを特徴付けるためのものであり、前記方法が、
a)前記ポリヌクレオチドが前記ポアに対して移動するように、前記ポリヌクレオチドを前記ポアと接触させることと、
b)前記ポリヌクレオチドが前記ポアに対して移動する間に、1つ以上の測定値を取ることであって、前記測定値が前記ポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、取ることによって、前記標的ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む、上記22に記載の方法。
24.前記1つ以上の特徴が、(i)前記ポリヌクレオチドの長さ、(ii)前記ポリヌクレオチドの同一性、(iii)前記ポリヌクレオチドの配列、(iv)前記ポリヌクレオチドの二次構造、及び(v)前記ポリヌクレオチドが修飾されているか否かから選択される、上記23に記載の方法。
25.前記ポリヌクレオチドの前記1つ以上の特徴が、電気的測定及び/または光学的測定によって測定される、上記23または24に記載の方法。
26.前記電気的測定が、電流測定、インピーダンス測定、トンネル測定、または電界効果トランジスタ(FET)測定である、上記25に記載の方法。
27.ステップa)が、前記ポリヌクレオチドをポリヌクレオチド結合タンパク質と接触させ、それにより前記ポアを通る前記ポリヌクレオチドの移動を前記タンパク質が制御するようにすることをさらに含む、上記23〜26のいずれかに記載の方法。
28.a)前記タンパク質が前記ポアに対する前記ポリヌクレオチドの移動を制御するように、前記ポリヌクレオチドを前記ポア及び前記ポリヌクレオチド結合タンパク質と接触させることと、
b)前記ポリヌクレオチドが前記ポアに対して移動する間に、前記ポアを通過する前記電流を測定することであって、前記電流が前記ポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、測定することによって、前記標的ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む、上記27に記載の方法。
29.前記ポリヌクレオチド結合タンパク質が、ヘリカーゼであるか、またはヘリカーゼに由来する、上記27または28に記載の方法。
30.前記方法が、標的ポリヌクレオチドを特徴付けるためのものであり、前記方法が、
a)前記ポリヌクレオチドを、上記13〜16のいずれかに記載のポア及びエキソヌクレアーゼと接触させ、それにより前記エキソヌクレアーゼが前記標的ポリヌクレオチドの一方の末端からの個々のヌクレオチドを消化し、前記個々のヌクレオチドが前記ポアに対して移動するようにすることと、
b)前記個々のヌクレオチドが前記ポアに対して移動する間に、1つ以上の測定値であって、前記測定値が前記個々のヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す、1つ以上の測定値を取り、それにより前記標的ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む、上記22に記載の方法。
31.前記ポアが、膜内にある、上記17〜30のいずれかに記載の方法。
32.膜が、両親媒性層であるか、または固体層を含む、上記31に記載の方法。
33.前記標的分析物が、前記ポアと接触する前に、前記膜に結合する、上記21または32に記載の方法。
34.前記標的分析物が、前記分析物を前記膜に向けて送達する微粒子に結合している、上記31〜33のいずれかに記載の方法。
35.標的ポリヌクレオチドを特徴付けるためのセンサを形成する方法であって、上記16〜19のいずれかに記載のポアとポリヌクレオチド結合タンパク質との複合体を形成し、それにより前記標的ポリヌクレオチドを特徴付けるためのセンサを形成することを含む、方法。
36.前記複合体が、(a)前記標的ポリヌクレオチドの存在下で前記ポア及び前記ポリヌクレオチド結合タンパク質を接触させることと、(a)前記ポアにわたって電位を印加することと、によって形成される、上記35に記載の方法。
37.前記電位が、電圧電位または化学的電位である、上記36に記載の方法。
38.前記複合体が、前記ポアを前記タンパク質に共有結合させることによって形成される、上記35に記載の方法。
39.標的ポリヌクレオチドを特徴付けるためのセンサであって、上記16〜19のいずれかに記載のポアとポリヌクレオチド結合タンパク質との複合体を含む、センサ。
40.標的分析物の存在、不在、または1つ以上の特徴を判定するための、上記16〜19のいずれかに記載のポアの使用。
41.(a)上記16〜19のいずれかに記載のポアと、(b)膜の構成要素と、を含む、標的分析物を特徴付けるためのキット。
42.(a)上記16〜19のいずれかに記載の複数のポアと、(b)複数の膜と、を含む、試料中の標的分析物を特徴付けるための装置。
43.前記複数のポア及び膜を支持することができ、前記ポア及び膜を使用して分析物の特徴付けを実施するように動作可能であるセンサデバイスと、
前記特徴付けを実施するための前記材料の送達のための少なくとも1つのポートと、を含む、上記42に記載の装置。
44.前記複数のポア及び膜を支持することができ、前記ポア及び膜を使用して分析物の特徴付けを実施するように動作可能であるセンサデバイスと、
前記特徴付けを実施するための材料を保持するための少なくとも1つの貯蔵器と、を含む、上記43に記載の装置。
45.材料を前記少なくとも1つの貯蔵器から前記センサデバイスへと制御可能に供給するように構成された流体工学システムと、
それぞれの試料を受容するための複数の容器であって、前記流体工学システムが、前記試料を前記容器から前記センサデバイスへと選択的に供給するように構成されている、複数の容器と、をさらに含む、上記43または44に記載の装置。
46.標的ポリヌクレオチドを特徴付ける方法であって、
a)ポリメラーゼによってリン酸標識種が前記標的ポリヌクレオチドに順次付加されるように、前記ポリヌクレオチドを、上記16〜19のいずれかに記載のポア、前記ポリメラーゼ、及び標識ヌクレオチドと接触させることであって、前記リン酸種が、各ヌクレオチドに特異的な標識を含有する、接触させることと、
b)前記ポアを使用して前記リン酸標識種を検出し、それにより前記ポリヌクレオチドを特徴付けることと、を含む、方法。
47.上記1〜9のいずれかに記載の変異体モノマー、または上記12に記載の構造体を生成する方法であって、好適な宿主細胞において上記15に記載のポリヌクレオチドを発現させ、それにより上記1〜9のいずれかに記載の変異体モノマー、または上記12に記載の構造体を生成すること、を含む、方法。