(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る遊技機の実施の形態について次の順序で説明する。なお、実施の形態では回胴遊技機を例に挙げる。
<1.遊技機の構成>
<2.扉の開閉構造>
[2−1.上扉及び下扉の傾き]
[2−2.上扉の開閉構造]
[2−3.下扉の開閉構造]
[2−4.上扉と下扉の開閉順序]
[2−5.下扉の取り外し]
[2−6.下扉の垂れ防止構造]
[2−7.上扉の脱落防止構造]
<3.筐体の特徴>
[3−1.本体ケースの厚み]
[3−2.背板の構成]
[3−3.鍵折れ対策]
[3−4.下部パネルの基板保護カバー]
[3−5.下部パネルの静電気対策]
[3−6.ステージプレートの不正対策構造]
[3−7.上部ユニット受け板金]
[3−8.上部ユニットの固定]
[3−9.スピーカの音響対策]
[3−10.各種材質の複層構造]
<4.第1演出ボタン>
[4−1.第1演出ボタンの構成]
[4−2.第1演出ボタン基板の保持構造]
[4−3.振動方向が手のひらに非平行]
[4−4.タクトスイッチ]
[4−5.第1モータにゴム巻き]
[4−6.挟み止め]
<5.第2演出ボタン>
[5−1.第2演出ボタン及び取り付け箇所の構造]
[5−2.メダル流路]
<6.スピーカ>
[6−1.下段スピーカユニットの構成]
[6−2.中段スピーカユニットの構成]
<7.メダル経路及び補助タンク>
[7−1.補助タンクの構成]
[7−2.メダルセレクタとメダルシュータの構成]
[7−3.メダル通過ダクトの構成]
<8.ブロアー機構の構成>
<9.ハーネス、基板、封印バンド>
[9−1.封印バンド]
[9−2.ハーネスの交換有無による取り付け方法]
[9−3.基板の複層化]
[9−4.メダル払出装置と電源監視基板ユニット]
[9−5.電源基板ユニットと電源監視基板ユニットの配置]
[9−6.基板ユニットの取り付け方法]
<10.装飾部品の取り付け>
<11.弾球遊技機>
【0009】
<1.遊技機の構成>
遊技機1の構成について、各図に基づいて説明する。
具体的には、遊技機1の一例としての回胴遊技機を説明する。
なお、以下の説明においては、遊技者と遊技機1の位置関係として、遊技者側を「前方」、遊技機1側を「後方」と記載する。また、左右方向に関しては遊技者側から見た方向を用いて説明する。
なお、遊技機1を遊戯するのに必要な遊技メダルを単に「メダル」と記載する。
【0010】
遊技機1は、
図1に示すように、内部空間に各種部品や基板が収納される本体ケース2と、本体ケース2の内部空間における上方に収納される上部ユニット3と、上部ユニット3の下方空間を前方から閉塞するための下扉4とを備えている。
本体ケース2の内部空間における下方、即ち上部ユニット3の下方空間には、メダル払出装置5と、メダル払出装置5の側方に配置され余剰メダルが貯留される補助タンク6が配置されている(
図2参照)。
【0011】
本体ケース2は、何れも略矩形の板状とされた底板7と側板8,9と天板10と背板11を有している。底板7,側板8,9,天板10は枠状に組み立てられており、その後方の開口を閉塞する背板11が取り付けられている(
図3参照)。即ち、底板7、側板8,9、天板10、背板11で形成された本体ケース2は、前方に開口した箱状とされている。
なお、遊技者から見て左側の側板を側板8、右側の側板を側板9とする。
【0012】
本体ケース2の前方の開口端には、内側に本体ケース板金12が取り付けられている。
本体ケース板金12は、左右に延びる上辺部13と、上辺部13の左右両端から下方に延びる二つの側辺部14と、側辺部14の下端同士を繋ぐ下辺部15とで枠状に形成されている。
本体ケース板金12の左側の側辺部14には、下扉4を取り付けるための上下に開口された略筒状の下扉用挿入孔16と下扉用凸部17が設けられている。
【0013】
本体ケース2の内部空間の略中央には、内部空間を上部空間と下部空間に分離する上部ユニット受け板金18が配置されている。上部ユニット受け板金18の上部には、上部ユニット3が前方から嵌め込まれて取り付けられる。そのために、本体ケース2の背板11には、本体ケース2の内側に突出された円柱形状の支え凸部11aが設けられている。また、本体ケース3には、支え凸部11aが挿入される図示しない孔が形成されている。
上部ユニット3の図示しない孔に本体ケース2の支え凸部11aが挿入されることにより、上部ユニット3は保持される。なお、支え凸部11aは、背板11に対する上部ユニット3の位置を決めるための案内部材としての役割も担っている。
【0014】
上部ユニット3は、前方及び下方に開口された上部ユニット外筐19と、上部ユニット外筐19に配置されるリールユニット20と、上部ユニット外筐19に対して前方に開く上扉21を備えている(
図4参照)。
リールユニット20は、三つの回転リール(回胴)22a,22b,22cと、回転リール22a,22b,22cが取り付けられるリールケース23と、回転リール22a,22b,22cを回転/停止させるための機構などを含んで構成されている。
【0015】
各回転リール22a,22b,22cには、各種図柄、例えばBB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)用の図柄や、各種のフルーツ図柄、リプレイ図柄などが描かれている。以降の記載では、回転リール22a,22b,22cの何れかを指す場合や全てを指す場合に回転リール22と記載する場合もある。
【0016】
リールユニット20には、各種基板ユニットや基板が取り付けられている。
具体的には、回胴LED(Light Emitting Diode)中継基板(不図示)と回胴中継基板(不図示)とが設けられ、回転リール22a,22b,22cの各内部には、回転リール22が停止した状態において視認される9個の図柄それぞれを内側から照射可能な位置に回胴用LEDが配置されている(不図示)。
それぞれの回胴用LEDはそれぞれの回転リール22の回転状態や停止状態、或いは各種演出に応じて点灯・消灯される。
【0017】
図5は、本体ケース2に収納された上部ユニット3から上扉21を外した状態を示した図である。
図5に示すように、上部ユニット外筐19の前方端の縁部内側には、上部ユニット板金24が取り付けられている。上部ユニット板金24には、上扉21を取り付けるための三つの上扉用凸部25が設けられている。
【0018】
上扉21は、後方に開口された箱状に形成され、前面には各回転リール22に形成された各種図柄を遊技者が視認可能にするための前面開口部26が設けられている(
図4参照)。前面開口部26には、開口を閉塞するように表示窓27が取り付けられている。遊技者は前面開口部26に取り付けられた表示窓27を通して回転リール22を視認可能とされる。
上扉21には、種々の部品が取り付けられている。具体的には、遊技動作を盛り上げるためなどに各種のキャラクタが表示されるLCD(Liquid Crystal Display)ユニット28(
図1参照)や、遊技状態を示す報知ユニット29(
図4参照)が設けられている。
報知ユニット29は、LED群(不図示)や、遊技成果として払出されるメダル数を表示する払出表示部(不図示)や、貯留数表示部(不図示)が設けられている。
【0019】
報知ユニット29のLED群は、例えば、当ゲームに投入されたメダルの枚数を示すLEDや再遊技状態を示すLED、回胴を回転させる準備が整ったことを示すLED(当ゲームの遊技に要する所定枚数のメダルの投入が完了したことを示すLED)、メダルの投入の受付状態を示すLEDなどで構成されている。
払出表示部(不図示)は、7セグメントLEDを2個連設した構成とされており、払出メダル数を特定すると共に、何らかの異常事態の発生時には、異常内容を表示するエラー表示器としても機能する。
貯留数表示部(不図示)は、クレジット状態で貯留されているメダル数が表示されている。
【0020】
なお、個々の説明は省略するが、上扉21には、演出や動作状態を示すための各種のLEDが適宜配置されている。
【0021】
この表示窓27を通しては、各回転リール22の回転方向に、各々3個程度の図柄が見えるようにされている。そして、例えば合計9個の図柄の水平方向の二本(又は三本)と、対角線方向の二本が仮想的な停止ラインとなる。
【0022】
上扉21の開口端の内側には、
図4及び
図6に示すように、上扉板金30が取り付けられている。
上扉板金30は、左右方向に延びる上辺部31及び下辺部32と、それぞれの右端を繋ぐ側辺部33と、それぞれの左端を繋ぐ側辺部33によって枠状に形成されている。
上扉板金30の側辺部33には、上部ユニット板金24の上扉用凸部25が挿入される三つの取付軸孔34が設けられている。上扉21は、上扉用凸部25を回動軸として上部ユニット外筐19に対する開閉が可能とされている。なお、上部ユニット3が本体ケース2の内部空間に載置された状態においては、上扉21を上部ユニット外筐19に対して開閉することで上扉21が本体ケース2に対して開閉される。
【0023】
図7は下扉4を後方から示した図である。
図示するように、下扉4は、種々の部品が取り付けられた下扉本体部35を有している。
下扉本体部35は、
図7に示すように、樹脂等で形成され後方に開口された箱状の下扉ベース36と、下扉ベース36を補強するために下扉ベース36の後面に取り付けられる下扉ベース裏板金37を備えている。
下扉4は、一方の側辺を回動軸として本体ケース2に対して開閉される。
【0024】
下扉4は、回動軸側の端部(即ち閉じた状態における左側の端部)が内周側端部4aとされ、逆側の端部(即ち閉じた状態における右側の端部)が外周側端部4bとされている。
内周側端部4aには下扉内周側板金38が取り付けられ、外周側端部4bには下扉外周側板金39が取り付けられている。
図8は、本体ケース板金12と下扉内周側板金38を示した図である。
図示するように、下扉内周側板金38には、本体ケース2の本体ケース板金12の下扉用挿入孔16に挿入される取付軸部40と、下扉用凸部17が挿入され上下に開口された筒状の被挿入部41が設けられている(
図8参照)。
【0025】
下扉4の下扉本体部35における上部には、各種操作子が取り付けられるステージプレート42が取り付けられている(
図9参照)。ステージプレート42の上面は略平坦な配置面43とされ、該配置面43には、演出用の操作子としての第1演出ボタン44が略中央部に設けられている。配置面43には、他にもクレジット状態のメダルを擬似的に三枚投入するマックス投入ボタン45とクレジット状態のメダルを擬似的に一枚投入する一枚投入ボタン46とクレジット状態のメダルを払い出すクレジット精算ボタン47とが第1演出ボタン44の左方に設けられている。
マックス投入ボタン45と一枚投入ボタン46とクレジット精算ボタン47は、ボタンユニット48としてユニット化されており、遊技機1への取り付けの簡易化が図られている。
第1演出ボタン44の右方には、メダルを投入するメダル投入口49が設けられている。
【0026】
下扉4の下扉本体部35の前面側には、
図9に示すように、左右方向の略中央部に回転中の回転リール22a,22b,22cをそれぞれ停止させるための停止ボタン50a,50b,50cが設けられている。
停止ボタン50aの左方には、回転リール22a,22b,22cの回転を開始させるためのスタートレバー51が取り付けられ、停止ボタン50cの右方には、専用のキーを差し込むための鍵穴52aが設けられたシリンダ錠52が配置されている。
下扉4が本体ケース2に対して閉じた状態において、鍵穴に差し込まれた専用キーを右へ回すことにより下扉4が解錠され(以下「解錠動作」と表記)、下扉4の本体ケース2に対する開閉が可能となる。また、鍵穴に差し込まれた専用キーを左へ回すことにより、打ち止めやエラーによる遊技の中止状態が解除される。
なお、以下の説明においては、停止ボタン50a、50b、50cの何れかを示す場合に停止ボタン50と記載する場合もある。
【0027】
下扉4のシリンダ錠52の下方には、操作により回動可能な第2演出ボタン53が取り付けられている。第2演出ボタン53の詳細については後述する。
また、下扉本体部35の前方側には、停止ボタン50a,50b,50cやスタートレバー51や第2演出ボタン53など遊技に必要な部分を表出させつつもその他の部分を覆い隠すための下部パネル54が取り付けられている。
下部パネル54は、
図10に示すように、遊技機に対する興味を惹起させる目的のために、特徴のある意匠が描かれた化粧板55と、化粧板55が後方から取り付けられる化粧板保護パネル56と、化粧板保護パネル56が後方から取り付けられる下扉前面パネル57を備えている。特徴のある意匠とは、例えば、遊技機1のテーマとなる絵柄が施されたり、特徴的な形状の部材が表面に配置されたりしている。
化粧板保護パネル56は透明な部材で形成されており、化粧板55の後方から照射される光を遊技機1の前方へ透過させるレンズの役割を担っている。
下扉前面パネル57は枠状に形成されており、略中央には化粧板保護パネル56の一部を表出させる中央孔57aが形成されている。遊技者は、下扉前面パネル57に形成された孔から表出する化粧板保護パネル56を介して化粧板55を視認可能とされる。
下扉前面パネル57は、スタートレバー51や停止ボタン50a,50b,50cやシリンダ錠52などの周辺を覆うように取り付けられ、スタートレバー51や停止ボタン50a,50b,50cやシリンダ錠52を前方側に表出させるための表出孔57bが形成されている。
【0028】
下部パネル54の下方には、
図9に示すように、メダルを蓄える横長の凹部を有する受け皿58と、遊技者が獲得したメダルが吐出されるメダル導出口59とが設けられている。
【0029】
本体ケース2の内部空間は、上部ユニット3を取り付けた状態において、上扉21と下扉4を共に閉じることにより、遊技者からのアクセスを絶つことができる。上扉21及び下扉4の開閉についての詳細は、後述する。
【0030】
本体ケース2の内部空間のうち、上部ユニット3の下方の空間即ち上部ユニット受け板金18の下方の空間には、
図2及び
図3に示すように、メダル払出装置5や補助タンク6や電源基板ユニット600や電源監視基板ユニット601などが配置される。
メダル払出装置5は、
図11に示すように、メダルを貯留するメダルタンク5aと、メダルを払い出すための払出ケース5bと、限界量を越えてメダルタンク5aに貯留されたメダルを補助タンク6に排出するための超過メダル導出部5cを有している。払出ケース5bには、メダルを吐出する払出口5dが形成されている。
払出ケース5bの内部には、払出モータ、払出接続基板、ホッパー基板、メダル払出センサ等(何れも不図示)が収納されている。
メダルタンク5aに貯留されたメダルは、払出モータの回転に基づいて、払出口5dから前方に向けて射出される。
【0031】
電源基板ユニット600は、電源基板600a(
図3参照)とそれを保護するための電源基板ケース600bを備えており、本体ケース2の側板8に沿って配置されている。
電源監視基板ユニット601は、電源監視基板601a(
図3参照)とそれを保護するための電源監視基板ケース601bを備えており、本体ケース2の背板11に沿ってメダル払出装置5の後方に配置されている。
【0032】
下扉4の後方側には、メダル投入口49から投入されたメダルを選別する機構が取り付けられている(
図7参照)。具体的には,投入されたメダルが正規のものか否かを判別するためのメダルセレクタ60と、メダルセレクタ60を通過した正規のメダルをメダルタンク5aに落とすためのメダルシュータ61と、メダルセレクタ60で不適正と判定されて通過できなかったメダルをメダル導出口59に案内するためのメダル通過ダクト62とが設けられている。メダル通過ダクト62の内面の一部は、メダルを遊技者に返却するための返却通路63として形成されている。
【0033】
本体ケース2の右の側板9には、ホールコンピュータなどとデータの送受信を行う外部集中端子板(不図示)が取り付けられている。
【0034】
遊技機1には、遊技興趣を向上させるための音演出に用いられるスピーカが複数取り付けられている。
具体的には、
図6に示すように、上扉21には下方の左右にそれぞれ一つずつの中段スピーカユニット64が前方に向けて配置されている。
下扉4には、下方の左右にそれぞれ一つずつの下段スピーカユニット65が前方に向けて配置されている。
【0035】
<2.扉の開閉構造>
上扉21と下扉4の開閉について、及び上扉21と下扉4の取り付け/取り外し等について説明する。
【0036】
[2−1.上扉及び下扉の傾き]
本体ケース2に対して上部ユニット3の上扉21及び下扉4が閉じられた状態を模式的に示したものが
図12Aである。
図示するように、本体ケース2の前方の開口端は、水平方向に対して略6°上方に向けられている。従って、上扉21及び下扉4の回動軸は垂直方向に対して略6°後方に傾いている。即ち、上扉21や下扉4は、
図12B及び
図12Cに示すように水平方向に対して略6°傾いた状態で開閉される。
【0037】
[2−2.上扉の開閉構造]
上扉21は、上部ユニット外筐19に対して回動する際の回動軸側の端部が内周側端部21aとされ、内周側端部21aと反対側の端部が外周側端部21bとされている。上扉21の外周側端部21bに取り付けられた上扉板金30の側辺部33における下方内側には、上扉21を上部ユニット外筐19に対して閉じた際に上扉21を所定の位置へ収めるためのローラー部66が後方に突出されて設けられている(
図4、
図6等参照)。
上部ユニット3の上部ユニット外筐19に取り付けられた上部ユニット板金24には、上扉21を閉じたときにローラー部66が乗り上げるローラー受け板金67が設けられている(
図13参照)。ローラー受け板金67は、水平に対して前方側が略6°上方に傾いた第1傾斜部67aと、水平に対して前方側が下方に傾いた第2傾斜部67bを有する略「への字」状に形成されている。
【0038】
上部ユニット外筐19に対して上扉21を閉じる操作を行った場合のローラー部66とローラー受け板金67について説明する。
上部ユニット外筐19に対して上扉21が開放されている状態においては、上部ユニット外筐19の前方の開口端が略6°上方へ向けられていることから、上扉21の下端部21cは水平に対して略6°傾いた状態となる(
図12C参照)。即ち、上扉21の外周側端部21bの下端が内周側端部21aの下端に対して上方に位置する状態とされる。
【0039】
しかし実際には、上扉21はそれ自体の重さに加え、取り付けられた各種の装飾品や部材の重さを有している。更に、上扉板金30の取付軸孔34と上部ユニット板金24の上扉用凸部25は、嵌合した際に若干のクリアランスが確保されている。
従って、重力を考慮すると、上扉21の外周側端部21bの下端は内周側端部21aの下端に対して想定よりも下方に位置することとなる。即ち、上扉21の下端部21cは、水平に対して6°よりも少ない傾きとなる。
【0040】
この状態で上扉21を上部ユニット外筐19に対して閉じる動作を行うと、ローラー部66はローラー受け板金67に対して想定よりも下方から接近して接触する(
図14A参照)。
この状態から上扉21を上部ユニット外筐19に対して閉じていくと、ローラー部66がローラー受け板金67の第2傾斜部67bの傾斜に従って上方に移動することにより、上扉21が本来の開閉軌跡に近づいていく(
図14B参照)。
【0041】
更に続けて上扉21を上部ユニット外筐19に対して閉じていくと、ローラー部66が第1傾斜部67a上を移動していく(
図14C参照)。
【0042】
ローラー部66とローラー受け板金67の動作により、外周側端部21bが垂れた状態の上扉21が適正な場所に誘導されつつ上部ユニット外筐19に対して閉じられる。
なお、ローラー部66とローラー受け板金67が
図14Cに示す状態となった際に、
図15に示す上扉側ロック機構68が
図16に示す上部ユニット板金24の上扉用ロック機構69と係合することにより、上扉21が上部ユニット外筐19に対して閉じた状態で固定される。
【0043】
上扉21にローラー部66が設けられ、上部ユニット板金24にローラー受け板金67が設けられていることにより、扉の開閉をスムーズに行うことが可能となる。
具体的には、ローラー受け板金67が略「への字」状とされ、第2傾斜部67bが前方に行くに従って下方へ変位するような斜面に形成されていることにより、重力で外周側端部21bが下方に垂れた状態の上扉21を上方の適正位置へと誘導しながら閉じることが可能となる。また、ローラー部66が回転しながら第2傾斜部67bを転がり上ることにより、上扉21を閉じるために必要な力を低減することができる。
そして、第2傾斜部67bの傾斜が前方に行くに従って下方へ変位するような斜面とされていることにより、即ち、ローラー部66を受け止めるような斜面とされていることから、ローラー部66がローラー受け板金67に乗り上げる際に、上扉21の回動により生じた勢いが低減される。これにより、上扉21を閉める際に生じる上部ユニット外筐19への衝撃が緩和され、上部ユニット外筐19の破損等を防止することができる。従って、上部ユニット外筐19の部材の劣化を防止することができる。
【0044】
また、第1傾斜部67aが上扉21の開閉角度に合わせて水平に対して6°傾いていることにより、第1傾斜部67aとローラー部66が接触した状態から上扉21を閉め切るまでに必要な力が少なくて済む。即ち、上扉側ロック機構68と上扉用ロック機構69が接触するまで、及び、上扉側ロック機構68と上扉用ロック機構69がロック状態とされるまでに必要な力も少なくて済む。なお、この場合においても、ローラー部66が第1傾斜部67aを転がり進むことにより、閉じるために必要な力の低減が図られる。
【0045】
なお、上扉21が上部ユニット外筐19に対して閉じられた状態においては、第1傾斜部67aをローラー部66が上らないと上扉21が開放方向へと回動しないため、無闇に上扉21が開いてしまうことを防止することができる。特に、上扉用ロック機構69と上扉側ロック機構68を完全にロックさせない状態でメンテナンス作業などを行う場合には、上扉21が上部ユニット外筐19に対して自然と開かない状態が保たれるため、怪我や事故を防止することが可能となり、作業効率の向上に寄与することができる。
この効果は、上扉21の重さが重いほど、自重により閉まる方向に働くため、高めることができる。
【0046】
上部ユニット板金24には、ローラー受け板金67を支えるための構造が設けられている。
具体的には、
図13及び
図14に示すように、上部ユニット板金24の一部分が左方に突出されることにより、ローラー受け板金67の第1傾斜部67aを下方から支える支え凸部24aが設けられている。
また、上部ユニット板金24には、ローラー受け板金67の第2傾斜部を下方から支持するための支え板金70が取り付けられている。
支え板金70は、上部ユニット板金24に取り付ける部分とされた取付部70aと、取付部70aの一端から左方に突出して形成された支え部70bを有している。
【0047】
ローラー受け板金67が上方または前方から押圧されて支え板金70の支え部70bに力が加わると、支え板金70が回転してしまう虞がある。これを防ぐために、上部ユニット板金24の一部がブリッジ状に加工されたブリッジ部24bとして形成されている。
【0048】
ローラー受け板金67を支えるための支え凸部24a及び支え板金70が設けられていることにより、上扉21を上部ユニット外筐19に対して開閉した際にローラー部66が第2傾斜部67bに衝突してローラー受け板金67が曲がってしまうことを防止することができる。
【0049】
このように実施の形態では、前扉の1つである上扉21を閉じた状態で上扉21の開放端側に設けられたローラー部66を載置するように、筐体内にローラー受け板金67が設けられている。そしてローラー受け板金67の下面側を支える支え部(支え凸部24a、支え板金70)が形成されている。
このようにローラー受け板金67の下方を支える支え部を設けることで、前扉を載置しているときの加重や前扉を閉める際の衝撃によってローラー受け板金67の載置面が変形してしまわないようにすることができ、上扉21を閉じた状態の安定性を維持や、閉じる際の円滑性の維持に好適となる。
【0050】
特に上記のように支え凸部24aが第1傾斜部67aの下面側を支えるように形成されていることで、前扉を載置している際の荷重に対してローラー受け板金67が耐えられるように補助でき、これにより第1傾斜部67aが変形しないようにされることで、閉じられた状態での前扉の安定性を維持できる。
また支え板金70が第2傾斜部67bの下面側を支えるように形成されていることで、上扉21を閉じる際に衝撃が加わる第2傾斜部67bに変形等が生じないように補助でき、これにより上扉21を閉じる際に常に適切な当接状態が得られ、閉じる際の円滑性を維持できる。
【0051】
なお、このようなローラー受け板金67と支え凸部24a、支え板金70のような構造は、下扉4についても有効である。
また上記例では支え凸部24aと支え板金70の両方が設けられている例を示したが、いずれか一方のみでも有効である。例えば閉じる際の当接による衝撃が懸念される場合、支え板金70が設けられれば有用である。
【0052】
更に、支え板金70の回動を防止するためのブリッジ部24bが上部ユニット板金24に設けられることで、ローラー部66の衝突によるローラー受け板金67の曲がりが更に起きにくくされる。
なお、ブリッジ部24bが上部ユニット板金24の一部分を加工することにより設けられることで、別部材をブリッジ部24bとして取り付ける必要が無い。従って、別部材や取付部品(螺子など)のコストや取付工数の削減を図ることができる。
【0053】
支え板金70やブリッジ部24bなどによりローラー受け板金67が曲がりにくくされていることにより、上述した各種効果を高めることができる。即ち、ローラー受け板金67が曲がりにくいことにより、第1傾斜部67aや第2傾斜部67bのそれぞれの傾き具合が維持され、扉の開閉をスムーズに行うことができることや、上扉21を閉じるために必要な力を低減することができる効果や、無闇に上扉21が開いてしまうことを防止することができる効果や、作業効率の向上に寄与することができる効果などを高めることができる。
【0054】
[2−3.下扉の開閉構造]
下扉4の開閉に伴って係合する下扉内周側板金38と本体ケース板金12について説明する。
図8には、下扉4を本体ケース2に対して閉じた状態における下扉内周側板金38と本体ケース板金12を示している。
図示するように、下扉4の下扉内周側板金38は、下扉4を閉じた状態において、上下方向に延び左右方向を向く板状の第1板部71と、第1板部71の前方端から右方に延びる板状の第2板部72と、第2板部72の右端から後方に延びる板状の第3板部73とを備えている。
下扉内周側板金38は横断面が略「コ字状」とされている(
図17参照)。
【0055】
下扉内周側板金38と本体ケース板金12には、上下に二つのヒンジ機構が設けられている。
上方のヒンジ機構を下扉第1ヒンジ機構74とし、下方のヒンジ機構を下扉第2ヒンジ機構75する(
図8参照)。
【0056】
下扉第1ヒンジ機構74について説明する。
本体ケース板金12には、下扉用挿入孔16が設けられている。
下扉内周側板金38の第2板部72の後面には、取付軸部40を下扉用挿入孔16まで案内するための案内板金76と、案内板金76の直下に配置される軸スライダ77が取り付けられている。
案内板金76及び軸スライダ77には上下方向を向く孔が形成されており、該孔に挿通された状態で取付軸部40が取り付けられている。取付軸部40は、軸スライダ77に対して固定されており、軸スライダ77の上下移動に応じて取付軸部40も上下に移動する。
軸スライダ77には軸スライダ77を上下に移動させるための摘子部77aが前面に突出されて設けられており、第2板部72には該摘子部77aを前面へ露出させるための摘子孔72aが形成されている。
【0057】
摘子部77aが摘子孔72aの上端に位置する状態を「取り付け位置」とし、下端に位置する状態を「取り外し位置」とする。
摘子部77aが取り付け位置にある状態においては、取付軸部40の先端部40aが下扉用挿入孔16に挿入された状態とされる。摘子部77aが取り外し位置にある状態においては、取付軸部40の先端部40aが下扉用挿入孔16に挿入されずに下方に位置する状態とされる(
図18参照)。
【0058】
下扉第2ヒンジ機構75について説明する。
本体ケース板金12には、下扉用凸部17が設けられている。
下扉内周側板金38の第2板部72には、被挿入部41が取り付けられている。
【0059】
下扉第1ヒンジ機構74において取付軸部40が下扉用挿入孔16に挿入され、下扉第2ヒンジ機構75において下扉用凸部17が被挿入部41に挿入されることにより、二つのヒンジ機構による下扉4の開閉が可能とされる。
【0060】
本体ケース2に対して下扉4を閉じた状態の本体ケース板金12の一部と下扉内周側板金38を示した図が
図8及び
図17である。この状態から本体ケース2に対して下扉4を開いた状態を示した図が
図19及び
図20である。
図示するように、本体ケース板金12には下扉4の回動を規制するための回動規制部78が設けられている。下扉4を本体ケース2に対して略90°開いた状態では、下扉4の下扉内周側板金38の第1板部71の内面が回動規制部78の後面に当接されてそれ以上下扉4が開いてしまうことが防止される。
【0061】
なお、上扉21の内周側端部21aに取り付けられた上扉板金30の側辺部33の形状が下扉内周側板金38と同様の形状とされ、上扉21の開放角度を略90°に規制するための部材が上部ユニット板金24に設けられていてもよい。
【0062】
このように実施の形態の遊技機1において、ヒンジ機構(下扉第1ヒンジ機構74及び下扉第2ヒンジ機構75)による扉側板金(下扉内周側板金38)の本体ケース板金12に対する回動は、前扉(下扉4)が閉状態から略90度の開放状態となる開放位置までの範囲のみで可能となるように規制する規制手段が設けられている。
下扉4が略90°よりも開かない構成とされることにより、遊技機1が店舗に設置された状態において下扉4が隣の遊技機の前方に被ることがない。即ち、隣の遊技機の遊技の妨げになることを防止することができる。
また、下扉4の開放角度が略90°とされることにより、メダル払出装置5のメダルタンク5aにコインを補給する作業など下扉4を開放して行う各種の作業に必要な最低限のスペースは確保されるため、作業効率を低下させることもない。
また略90度の開放状態で規制されることで、ホールスタッフ等の作業者は全開状態にしておけばよく、開放角度を気にせずに作業でき、作業効率を向上させることができる。
【0063】
また扉側板金(下扉内周側板金38)に、回動規制部78が設けられ、下扉4が略90°の開放位置に達した際に、回動規制部78が本体ケース板金12に当接することで回動を規制するように構成されている。
下扉4と本体ケース2の当接する部分、即ち、扉の開放時に最も負荷が加わる部分とされた回動規制部78及び第1板部71が共に板金で形成されていることにより、扉の開放の際に回動規制部78及び第1板部71が破壊されてしまうことを防止することができる。
即ち本体ケース板金12の一部として回動規制部78を設けることができ、構成の簡易化を図ることができる。
また下扉内周側板金38の上下方向の略中央近辺に回動規制部78を設けることで、当接による回動規制が下扉4について良好に機能する。
【0064】
下扉4の外周側端部4bには、
図15に示すように、下扉側ロック機構79が設けられている。本体ケース2の本体ケース板金12には、下扉側ロック機構79に対応する位置に下扉用ロック機構80が設けられている(
図21参照)。
下扉側ロック機構79が下扉用ロック機構80と係合することにより、下扉4が本体ケース2に対して固定される。この状態において、下扉4を本体ケース2に対して開放するためには、前述した解錠動作が必要となる。即ち、下扉4を本体ケース2に対して閉める動作を行うだけで、下扉4の施錠が行われる。従って、扉の施錠に特別な作業を行うことがないため、店舗の営業中などに幾度となく行われる扉を閉める作業の効率化を図ることができる。
【0065】
なお以上の効果は上扉21に当該技術を採用した場合に、上扉21についても得られることは言うまでもない。
もちろん、上扉と下扉が分離していないタイプの遊技機、つまり前扉が1つの遊技機において、その前扉の回動規制のための機構としても採用できる。
また回動規制部78は本体ケース板金12側に設けたが、下扉内周側板金38側に設けてもよいし、下扉内周側板金38側と本体ケース板金12側の両方に設けても良い。
【0066】
[2−4.上扉と下扉の開閉順序]
上記では、上扉21の開放角度を略90°に規制するための部材が上部ユニット板金24に設けられていてもよい旨を記載したが、本実施の形態においては、上扉21の開放角度が下扉4によって規制される構造とされている。
具体的に、上扉21と下扉4の縦断面図を示した
図22及び
図23を参照して説明する。
図23は、
図22において上扉21と下扉4が係合している部分を拡大した拡大断面図である。
【0067】
下扉4のステージプレート42の後端面81は、上扉21の前方への移動を規制するための規制部として働く。
そのために、上扉21の前面開口部26の下方には、ステージプレート42の後端面81と係合する係止面82が設けられている。
図23は、上扉21が下扉4よりも回動していない状態を示している。図示するように、上扉21の係止面82が下扉4の後端面81に係合することにより、上扉21の前方への移動(即ちそれ以上の開放)が規制される。
【0068】
前述したように、下扉4の回動が略90°までに規制されていることにより、上扉21の回動も下扉4により略90°までに規制される。
この構成によれば、上扉21の上扉板金30の側辺部33に開放角度を規制するための機構を設ける必要がない。従って、部品点数の削減や上扉板金30の形状の設計自由度を増すことができる。
【0069】
上扉21の後方であってリールユニット20の上方には、
図4に示すように、主制御基板ユニット602や演出制御基板ユニット603などの主要な基板が配置されている。
上記構成によれば、下扉4を閉じた状態においては上扉21を開放することができない。上扉21を開放するためには、下扉4を開放した状態で上扉21を開放する必要がある。更に、下扉4を少し開放しただけでは上扉21を十分に開放することはできない。
従って、上扉21を開放して主制御基板ユニット602や演出制御基板ユニット603などの主要な基板に対する不正なアクセスを行う場合には下扉4も開放状態にする必要があるため、不正アクセスを防止しやすい。
【0070】
[2−5.下扉の取り外し]
下扉4を取り外すための構造について説明する。
本実施の形態における上扉21や下扉4は、上方に持ち上げることにより取り外しを行う。具体的には、上扉21は上部ユニット外筐19に対して上方に持ち上げることにより取り外しを行う。また、下扉4は本体ケース2に対して上方に持ち上げることにより取り外しを行う。
下扉4の取り外しにおいては、上扉21を取り外した状態でないと上扉21が妨げとなり、取り外しができない可能性がある。本構成では、上扉21を取り外さなくても下扉4を取り外すことが可能な構成を備えている。
【0071】
下扉4の取り外し手順について説明する。
下扉4を本体ケース2に対して閉じた状態における下扉内周側板金38と本体ケース板金12を示した図が
図8である。
【0072】
図8に示す状態から摘子部77aを下方にスライドさせて取り外し位置とすることにより取付軸部40の先端部40aを下扉用挿入孔16から抜去した状態を示した図が
図18である。
図示するように、
図8に示す状態よりも軸スライダ77、案内板金76、取付軸部40が下方に移動されている。これは、下扉4を本体ケース2に対して閉じた状態において、摘子部77aに対するアクセスが可能であればよい。
【0073】
図18に示す状態から下扉4を本体ケース2に対して前方へ傾けた状態を示した図が
図24である。
図24に示すように、下扉内周側板金38の案内板金76が下扉用挿入孔16の下方に位置しておらず、下扉用挿入孔16を避けて上方に移動可能な状態とされている。
なお、下扉4を本体ケース2に対して傾けた状態は、下扉用凸部17と被挿入部41の挿入状態にクリアランスが設けられていることにより可能とされる。このクリアランスは、下扉用凸部17と被挿入部41がヒンジ機構の役目を担っていることにより必然的に設けられているものである。従って、下扉4を本体ケース2に対して傾けることを可能とするためだけにクリアランスを設ける必要はない。また、下扉4が下扉用凸部17の軸方向に引き抜けずに上記クリアランス以上に被挿入部41が下扉用凸部17に対して傾いてしまった場合には、被挿入部41の前側のスリット(端部の結合されていない部分)が開いて力を逃がすことで、下扉用凸部17が曲がってしまうことを避けることができる。
【0074】
上記構成により、上扉21を本体ケース2に対して閉じた状態のまま下扉4を本体ケース2から取り外すことが可能とされる。
遊技機1のメンテナンスにおいて下扉4を外して行う作業が発生した際に、上扉21を取り付けた状態で保つことにより、上扉21を取り外すための作業工数を削減することができる。
【0075】
また、店舗で稼働中において遊技機1に不具合が生じた際には、下扉4のみを取り外して不具合の解消を図ることにより、上扉21の後方に位置する重要な基板を遊技者に視認させること無く作業を行うことができる。これにより、遊技者が基板に対する不正アクセスを働くための知見を得る機会を減らすことができ、不正を防止することができる。
【0076】
なお、上扉21を取り外すことにより解消可能な不具合が生じた際には、上扉21のみを取り外して作業を行うことが可能である。これにより、作業工数の削減を図ることができる。
【0077】
なお、上扉21を本体ケース2に対して閉じた状態で下扉4を取り外す例を説明したが、上扉21及び下扉4を略90°開いた状態で下扉4を取り外すことも可能である。
例えば、
図19及び
図25に示すように上扉21及び下扉4を略90°開放した状態から摘子部77aを下方にスライドさせて取り外し位置とし(
図26参照)、下扉4を本体ケースに対して傾けた状態(
図5参照)とすることで、下扉4のみを取り外すことができる。このとき、下扉4は本体ケース2に対して外周側端部4bが下方へ垂れるように前方に傾けることで、下扉4を上方へ引き抜くことが可能である。
【0078】
上記したように、下扉4を本体ケース2に対して閉じた状態で摘子部77aに対してアクセス可能である場合には、摘子部77aを操作して取り外し位置とすることが可能である。これは、下扉4を大きく開放せずに下扉4を取り外すことができることを示しており、下扉4を取り外す必要性が生じたときに下扉4を開放するスペースがなくても作業可能なことを意味する。即ち、作業効率や作業性の向上を図ることができる。
【0079】
なお、下扉4を開放した状態で下扉4を取り外す場合には、軸スライダ77の摘子部77aを操作せずに、下扉4の後方から軸スライダ77を直接操作することにより取り外し位置とすることも可能である。この場合には、下扉4を本体ケース2に対して閉じた状態において、摘子部77aに対するアクセスが不可能とされていてもよい。これにより、遊技者が不正に下扉4を取り外してしまうことが防止される。
【0080】
[2−6.下扉の垂れ防止構造]
下扉4には各種の部材が設けられており、また下扉4が本体ケース2に対して回動する際の回動軸は下扉4の側端部付近とされているため、下扉4が本体ケース2に対して回動する際には下扉4の外周側端部4bが下方に垂れた状態となりやすい。
外周側端部4bが下方に垂れた状態で下扉4が回動すると、下扉4の外周側端部4bの底部が地面に接触してしまう虞がある。特に、店舗において設置されている状態の遊技機は、設置台に備え付けられている灰皿などに下扉4の底面が接触してしまう虞が高くなる。
【0081】
本実施の形態における遊技機1は、この問題を解決するために、下扉第1ヒンジ機構74の軸1と下扉第2ヒンジ機構75の軸2が同一軸上に無い状態とされている。
具体的に
図27を参照して説明する。
図27は、各ヒンジ機構の軸線を模式的に表した図である。
図示するように、下扉第1ヒンジ機構74の軸1は下扉第2ヒンジ機構75の軸2よりも下扉4の外周側端部4bから離れて位置している。
【0082】
例えば、下扉第1ヒンジ機構74を構成する各部のうち、下扉用挿入孔16を外周側端部4bから離すことによって下扉4の外周側端部4bが内周側端部4aと比べて上方に位置しがちな状態となる。この状態の下扉4に対して重力が働くことにより、下扉4の外周側端部4bの下方への垂れ量が低減(若しくは解消)される。
【0083】
このように実施の形態では、下扉4の外周側端部4bが重力により垂れてしまう分、下扉第1ヒンジ機構74の軸線を下扉第2ヒンジ機構75の軸線からずらすことにより、下扉4の開閉の際に前述した6°の傾きを保ったまま回動することができる。これにより、下扉4の下面が地面等に衝突することなく回動可能とされるため、下扉4の破損を防止することができる。
またヒンジ機構(下扉第1ヒンジ機構74と下扉第2ヒンジ機構75)は、前扉に固定された扉側板金(下扉内周側板金38)と、本体ケース2側に固定された本体ケース板金12との間に形成されている。即ち板金に一体形成されることで重量物である下扉4の回動軸としての十分な剛性が得られ、下扉4が垂れないように持ち上げる機能に十分耐えられる構造となる。
またヒンジ機構が板金の一部で形成されることで構成が簡略化される。
なお以上の効果は、上扉21に当該技術を採用した場合に、上扉21についても得られることは言うまでもない。
もちろん、上扉と下扉が分離していないタイプの遊技機、つまり前扉が1つの遊技機において、その前扉の回動規制のための機構としても採用できる。
また回動規制部78は下扉内周側板金38側に設けたが、本体ケース板金12側に設けてもよいし、下扉内周側板金38側と本体ケース板金12側の両方に設けても良い。
【0084】
[2−7.上扉の脱落防止構造]
上扉21及び本体ケース2は、上部ユニット3が本体ケース2に嵌め込まれた状態において上扉21が上方に抜けてしまうことを防止する機構を備えている。
具体的に
図28及び
図29を参照して説明する。
各図には、上扉21の上扉板金30の上辺部31と、本体ケース板金12の上辺部13を示している。
【0085】
図示するように、上扉板金30の上辺部31には、内周側の一端から後方に突出された扇形の被規制凸部31aが設けられている。
一方、本体ケース板金12の上辺部13における左方には、被規制凸部31aの上下方向の移動を規制するための前方に突出された規制凸部13aが設けられている。
【0086】
図28に示すように、上扉21を本体ケース2に対して閉じた状態においては、被規制凸部31aの上方に規制凸部13aが位置することにより、上扉21が本体ケース2に対して上方に移動してしまい上扉21が脱落してしまうことが防止される。
更に、
図28の状態においては、上扉板金30の上辺部31の後端と本体ケース板金12の上辺部13の前端が係合することによっても、上扉21の上方への移動が規制されている。
【0087】
上扉21を本体ケース2に対して略90°開放した状態を示した図が
図29である。
図29に示す状態においても、規制凸部13aの一部が被規制凸部31aの一部と係合しているため、本体ケース2に対する上扉21の上方への移動が規制されている。従って、上部ユニット3を本体ケース2に嵌め込んだ状態においては、略90°開放した状態の上扉21が遊技機1から脱落してしまうことが防止されている。
なお、本実施の形態における上扉21は、下扉4によって略90°以上の開放が規制されている。そのため、上部ユニット3を本体ケース2に嵌め込んだ状態であれば上扉21を取り外すことはできない構成とされている。
【0088】
上部ユニット3を本体ケース2から取り外した状態を示した図が
図4及び
図30である。
図4に示すように、本体ケース2から取り外された状態の上部ユニット3においては、上扉板金30よりも上方に位置する部材が上部ユニット外筐19側にないため、被規制凸部31aの上方への移動を規制できない。従って、上扉21を上方に移動させることによって上部ユニット3から上扉21を取り外すことが可能である。上扉21を上部ユニット外筐19に対して上方に移動させて取付軸孔34から上扉用凸部25を抜去した状態を示した図が
図30である。
図30に示す状態から上扉21を略水平方向に移動させることにより上部ユニット3から上扉21を取り外すことができる。
【0089】
<3.筐体の特徴>
[3−1.本体ケースの厚み]
前述したように、本体ケース2は天板10、底板7、側板8、9、背板11を備えている。
本実施の形態の遊技機1は、各板の厚みが異なる構成とされている。
具体的には、天板10、底板7、側板8、9の厚みが略同じに形成されており、それに対して背板11の厚みが薄くされている。
例えば、
図31に示すように、天板10、底板7、側板8、9の厚みD1が15mm、背板11の厚みD2が9mmとされている。
【0090】
遊技機1は、店舗において遊技機1を設置するために前方に開放された凹部に嵌め込まれた状態で使用されることが多い。
このような状態においては、背板11側(即ち遊技機1の後方から)から不正にアクセスされることによって遊技機1が操作される可能性は低い。
そこで、背板11を薄くすることによって遊技機1の軽量化を図り、遊技機1の設置作業や運搬作業の効率化を図ることができる。
【0091】
また、遊技機1は各種の可動役物などが搭載されることがあり、近年部品点数が増加しつつある。そのために、各種の部品を遊技機1の前面(例えば上扉21や下扉4の前方)に取り付けられることが増えている。しかし、遊技機1の前方への部品の取り付けが多くなりすぎてしまうと、遊技者の遊技スペースの確保が困難になってしまったり、不正な作業を店員から隠蔽するための遮蔽物となってしまったりする可能性が否めない。
そこで、背板11を薄くすることにより、遊技機1の本体ケース2の内部空間を広く確保し、本体ケース2の内部空間に収納する部品を多くすることができる。また、これにより、遊技機1の前面に取り付けられる部品を少なくしたり、遊技機1の前面に取り付けられる部品の前方への張出量を軽減することができる。
【0092】
なお、遊技機1は、天板10と底板7と側板8と側板9とで枠状に構成されており、該枠状によって遊技機1の略箱状の強度を保っている。従って、天板10や底板7や側板8,9などを薄くしてしまうと箱状の形状を保つための強度を損なってしまう虞がある。そこで、背板11を薄くすることにより、部品の収納スペースを確保しつつ遊技機1の強度を損なわない構成とすることができる。
【0093】
遊技機1においては、前扉(上扉21や下扉4)に各種部品が搭載されているが、特に、LCDユニット28や演出制御基板ユニット603や下段スピーカユニット65などのように前扉内に収まらずに後方に少なくとも一部が突出された部品(後方突出部品83)が配置されている。具体的には、
図32に示すように、一点鎖線で示した前扉の枠の位置(上扉板金30や下扉内周側板金38や下扉外周側板金39の後端位置)よりも後方(本体ケース2側)に突出された部品が後方突出部品83として前扉に設けられている。
このような部品は、扉を閉めた状態において本体ケース2の内部空間の一部を占めてしまうため、本体ケース2内に配置される部品の配置自由度が減ってしまう。
また、本体ケース2側においても、リールユニット20のように本体ケース2の前端(
図33に一点鎖線で図示)よりも前方に一部が突出された部品(前方突出部品84)が配置されている。このような部品は、前扉に取り付けられる各種部品の配置自由度を損なってしまう可能性がある。
【0094】
本実施の形態の遊技機1においては、背板11の厚みが天板10、底板7、側板8、側板9のそれぞれの最大厚みよりも薄くされているため、前後方向の部品配置自由度を増すことができる。
また、換言すれば、前後方向の配置自由度が増すことにより、後方突出部品83や前方突出部品84を前扉や本体ケース2に設けることが可能となる。
更に、このような構成とすることで、本体ケース2の内部空間の中で後方突出部品83の後方となる位置に他の部材を配置することができる。そして配置する部品の形状の自由度を増すこともできる。同様に、前扉の後面側の中で前方突出部品84の前方となる位置に他の部材を配置することができると共に、配置可能な部品の自由度も増す。
【0095】
なお、背板11を薄くしたことにより背板11が衝撃に弱くなる可能性がある。そこで、本実施の形態の遊技機1では、背板11と側板8,9を連結した状態で設けられる上部ユニット受け板金18を備えている(
図3参照)。これにより、背板11の剛性を高めると共に、背板11が受ける衝撃の一部を側板8,9に逃がす効果を得ることができる。
また、
図34に示すように、背板11には縦に長い長孔が形成されている。背板11には、排熱のために孔を形成することが望ましいが、その孔形状を全て横長の孔としてしまうと、縦方向の掛かる重力等の影響により背板11が破損してしまう虞がある。本実施の形態の遊技機1では、一部を縦長の孔としており、これにより、上記のような損傷を防止することができる。
特に、縦に長い長孔の数を横に長い長孔よりも多くすることで、これらの効果を増加させることができる。
【0096】
まとめると、本実施の遊技機1は、複数の板状部材により開口箱状に構成された本体ユニット(本体ケース2)と、本体ユニットに取り付けられる本体側部品(リールユニット20やメダル払出装置5などの各種部品)と、本体ユニットの開口部の全部又は一部を開閉可能な扉ユニット(上扉21や下扉4)と、扉ユニットに取り付けられる扉側部品(LCDユニット28や演出制御基板ユニット603や下段スピーカユニット65などの各種部品)と、を有している。そして、複数の板状部材には、本体ユニットの上部側面を成す天板10と、該天板10と対向する底板7と、本体ユニットの左側面を成す左側面板(側板8)と、該左側面板と対向する右側面板(側板9)と、本体ユニットの開口部と対向する背面板(背板11)とが含まれ、背面板の一部又は全部を、天板、底板、左側面板、右側面板それぞれの最大厚みよりも薄くしている。
これにより、遊技機1の前面に設けられる各種部品を過剰に突出させることなく遊技機1に各種部品を取り付けることができる。そして、本体ケース2の内部空間を広く利用できると共に、部品配置の自由度を増加させることができる。
【0097】
また、扉側部品には、当該部品のすべてが扉ユニット内に収まる非突出部品(例えばメダルセレクタ60など)と、当該部品の少なくとも一部が本体ユニット側に向かって突出している突出部品(例えばLCDユニット28や演出制御基板ユニット603や下段スピーカユニット65など)とが含まれ、背面板は少なくとも突出部品と対向する位置が薄くされている。
これにより、部品配置の自由度を増すことができる。なお、背板11の厚みを一部のみ薄くすることにより、背板11の剛性の低下を最小限にとどめることもできる。
【0098】
更に、突出部品と対向する位置に本体側部品を備えてもよい。背板11を薄くすることにより、突出部品の対向位置に取り付けられる部品の形に多様性を持たせることが可能となる。また、背板11を薄くしたことによって、後方突出部品83と本体側部品(例えば下段スピーカユニット65と補助タンク6)を前後方向に並べることができる。
【0099】
加えて、左右の側板8,9と背板11を連結する板金部材が設けられている。これにより、背板11を薄くしたことによる剛性の低下を抑制することができる。
また、背板11には、水平方向に長い長孔より垂直方向に長い長孔が多く形成されており、これによっても背板11の剛性の低下を抑制する効果を得ることができる。
【0100】
なお、演出に用いられる可動体などが遊技機1に設けられる場合、各種部材の損傷を防ぐために、可動体とその周辺に配置された部材との間にはある程度のクリアランスを設けておくことが好ましい。
このような場合、各種部品の配置自由度が減少することになるが、本実施の形態の遊技機1のように背板11の少なくとも一部を薄くすることによって、このような可動体の配置自由度を増すこともできる。換言すれば、可動体が配置された遊技機1においてこのような構成を用いることは極めて有用である。
【0101】
店舗等において遊技機1を設置するために設けられた凹部は遊技機1の外形に合わせて作られていることが多い。遊技機1の外面と該凹部の内面の間に大きな間隙が生じてしまうと、その間隙から不正行為を行うことが容易となってしまう可能性がある。そのために遊技機1と該凹部の間隙を少なくするために該凹部が遊技機1の外形に合わせて作られているが、逆に間隙がなさ過ぎると遊技機1を該凹部に設置するための作業が困難になってしまう虞がある。特に、湿気の多い季節には、遊技機1の天板10、底板7、側板8、9などが吸湿してしまい、膨張してしまう場合がある。このとき、前述の凹部に遊技機1が設置し難い状況が生じてしまう。
【0102】
そこで、本実施の形態の遊技機1は、天板10,底板7,側板8,9の厚みを変えること無く高さを抑えた構成とされている。例えば、本実施の形態の遊技機1以外の遊技機の高さ810mmに合わせて形成された凹部に本実施の形態の遊技機1を設置しやすくするために、遊技機1の高さH1を809mmにする。
なお、天板10,底板7,側板8,9が吸湿により膨張する場合には、各板の厚み方向の膨張は無視できるほど小さいが、面が広がる方向の膨張は大きくなる。更に、天板10の左右方向の長さよりも側板8、9の高さ方向の長さの方が長いため、板が吸湿することによって生じる膨張量は、遊技機1の高さ方向が最も大きくなる可能性が高い。
遊技機1においては、前記凹部の高さに対して遊技機1の高さ方向にクリアランスを設けるように形成しているため、遊技機1の外面と該凹部の内面の間に生じる間隙を必要最低限にしつつ作業容易性を向上させることができる。
【0103】
凹部の高さよりも遊技機1の高さを低くすることで遊技機1の設置を容易にすると共に、遊技機1の高さを無闇に低くしすぎないことで遊技機1に対する不正行為をし易くすることがない。また、遊技機1の高さを無闇に低くしすぎないことで、遊技機1の本体ケース2に部品を配置するためのスペースを確保し、部品配置の設計容易性を担保することも可能となる。
【0104】
[3−2.背板の構成]
遊技機1を背面から見た図が
図34である。
遊技機1の背板11には、メダルを自動補給するためのダクトを通すダクト孔11bが形成されている。
店舗によってメダルを自動で補給している場合と手動で補給している場合がある。メダルを手動で補給している場合には、ダクト孔11bは不要であり、背板11にダクト孔11bが開いたままでは不正行為が行われる可能性が高まってしまうことから、ダクト孔11bを閉塞してしまうことが望ましい。
そのために、背板11のダクト孔11bには
図34に示すように閉塞板85が取り付けられている。
【0105】
但し、店舗がメダルの補給方式を手動から自動へと変更した場合などは、閉塞板85が不要となる可能性がある。また、自動から手動へ変更する場合や、遊技機1の売却する場合などには、取り外していた閉塞板85を再び取り付ける可能性がある。
このようなときのために、遊技機1から取り外した閉塞板85を紛失せずに保管することが重要である。
【0106】
本実施の形態の遊技機1は、閉塞板85をダクト孔11bから取り外した場合に、閉塞板85をそのまま背板11に掛置して保管するための掛置凸部11cが設けられている。
閉塞板85には、
図35に示すように、掛置凸部11cに係合するための係合凹部86が形成されている。
係合凹部86は、掛置凸部11cが挿抜される孔部86aと、孔部86aから上方に連続する溝状の縦溝部86bを備えており、孔部86aから挿入された掛置凸部11cが縦溝部86bに位置するようにされることで、閉塞板85が背板11に掛置される。
【0107】
背板11に設けられたダクト孔11bから取り外された閉塞板85が、同じく背板11の後面に設けられた掛置凸部11cに掛置されて保管されることにより、閉塞板85の取り外し及び保管に関する作業の効率化が図られる。また、閉塞板85を紛失してしまう虞を低減することもできると共に、閉塞板85の保管場所を別途設けなくてもよいため、スペースの有効活用にもなる。
更に、再び閉塞板85をダクト孔11bに取り付ける際にも、作業効率の向上が図られる。
【0108】
更にまた、掛置凸部11cを設ける位置によっては、閉塞板85を用いて通常は閉塞されることが望ましい孔を塞ぐことができる。これにより、孔が開いたままでいることによる不正行為が行われる可能性を低減することができる。また、孔を塞ぐ部材として閉塞板85を用いることで、部材の削減を図ることができる。
なお、通常は閉塞されることが望ましい孔としては、後述する解錠のために設けられた解錠孔11dなどが考えられる。
【0109】
[3−3.鍵折れ対策]
遊技機1は、メンテナンスやメダル補給のために下扉4を開放することがある。
前扉の1つである下扉4は錠機構が形成され、閉じた状態で施錠されている。なお本実施の形態の場合、上扉21は下扉4が開いていないと開けない構造としているため、錠機構は下扉4のみに設けられている。
下扉4の開放を行うためには、通常は
図9に示す鍵穴52aに専用キーを差し込んで回転させることにより解錠を行う(前述の解錠動作)。しかし、鍵穴52aに差し込んだ状態で専用キーが折れてしまうと、下扉4の解錠が不能となってしまう虞がある。
【0110】
本実施の形態の遊技機1では、このような事態を考慮した構造とされている。
具体的には、
図34に示すように、遊技機1の背板11に解錠のための解錠孔11dが設けられている。
下扉4の後面側には、
図36に示すように、解錠孔11dに対応する位置に略上下にスライド移動可能な解錠トリガ87が設けられている。
図36に破線で示す部分を拡大したものが
図37Aである。
図37Aに示すように、本体ケース2に対して下扉4を閉じた状態においては、解錠トリガ87は下方にスライド可能とされている。
鍵穴52aに専用キーを差し込むことによる解錠動作が不能となった場合には、背板11の解錠孔11dから棒状の解錠治具88を差し込み解錠トリガ87を下方にスライドさせることにより、下扉4の解錠が可能とされている。
図37Bは、
図7に示す解錠トリガ87が設けられた部分を拡大して示した図である。
図37Bに示すように、下扉4の後面には、解錠トリガ87の後方に上下に長い長孔が案内孔89として形成されている。即ち、解錠孔11d及び案内孔89の双方を挿通させるように解錠治具88を背面側から挿入することにより解錠トリガ87へのアクセスが可能とされている。
【0111】
鍵穴52aに専用キーの一部分が残ってしまうことにより専用キーを用いた解錠が不能となってしまった場合に、解錠のための別手段が用意されていないと、下扉4の後方から取り付け/取り外しが可能なシリンダ錠52の交換作業ができない可能性がある。
本実施の形態の遊技機1の構成によれば、専用キーを用いずに下扉4の解錠が可能な手段が用意されていることにより、専用キーの鍵折れなどが発生しても下扉4を開放状態へとすることが可能となり、シリンダ錠52の交換等の作業を行うことができる。即ち、メンテナンス作業が滞ってしまうことを防止することができる。
【0112】
なお、遊技機1の背面側に解錠孔11dが設けられているため、遊技中の不正行為に解錠孔11dが用いられる可能性は低く、遊技機1に対する不正をし易くしてしまう弊害が生じることはない。
また、解錠孔11d及び案内孔89の双方を挿通させないと解錠トリガ87にアクセスできないことから、不正行為をし難くする効果を得ることができる。
そして、解錠孔11d及び案内孔89の二つの孔を挿通させた状態においては、解錠治具88を動かせる方向が限られてくるため、シリンダ錠52を下方へスライドさせる操作が容易とされている。案内孔89が解錠トリガ87の近傍に形成されていることで、解錠動作がし易くされている。
【0113】
解錠トリガ87を上方から下方へスライドさせて解錠する構成とされているため、棒状の治具を用いることで容易に操作可能である。
また、通過させる案内孔89が長孔であることで、解錠動作としてのスライド操作がしやすい。
長孔の案内孔89の上端をガイドにすることで解錠トリガ87に治具を適切に当接させることができ、棒状治具を解錠操作可能な状態にすることが容易である。特に棒状治具を背面から挿入した後は、手探りで操作する必要があるが、案内孔89の長孔をガイドとできるため操作がしやすくなっている。
【0114】
解錠孔11dと案内孔89の軸が一致していないことで、棒状治具を傾けて挿入することになる。その上で、案内孔89に通して解錠トリガ87に達した棒状治具の手前の部分(使用者が持つ方の部分)を解錠孔11dの縁部に当てることで、テコの要領で解錠操作ができる。従って棒状治具によってレバーをスライドさせる操作が容易化されている。
【0115】
解錠孔11dは例えば円形とし、他の通気口と同様の孔形状としている。このため正式なメンテナンス担当者以外は、解錠孔11dの存在、或いは解錠孔11dがどれであるかがわかりにくい。従って、ホールでの設置前などにおいても、解錠孔11dを用いた不正な解錠がなされにくくなるようにしている。
なお、このようなカムフラージュの意味では、他の通気口が長孔の場合は、解錠孔11dも長孔とすることが望ましい。
なお、案内孔89は、解錠治具88の動きを制限しシリンダ錠52へのアクセスを案内する役割を担っているが、この役割を解錠孔11dに持たせてもよい。
【0116】
以上、下扉4についての錠機構及び背面側からの解錠のための構成について述べたが、遊技機の構造によっては、上扉側に錠機構が設けられる場合もあり、その場合も上記のように背面側から解錠できるようにすることが考えられる。もちろん前扉が1つの場合も上記構造は適用できる。
【0117】
[3−4.下部パネルの基板保護カバー]
遊技機1の下扉4には、前述したように下部パネル54が取り付けられている(
図9参照)。
下部パネル54の後方に位置する下扉本体部35には、
図38に示すように、下部パネル54に対して後方から光を照射するためのLEDが搭載された各種のLED基板90が配置されている。
各種のLED基板90によって後方から照射された下部パネル54の化粧板55は、光を透過させる素材や導光素材で形成されている。化粧板55は、LED基板90に搭載されたLEDによって後方から照射されることにより、高い意匠性を発揮することができる。
【0118】
遊技機1は遊技者に対する訴求力を向上、或いは復活させるために意匠を変更することがある。例えば、下部パネル54或いは化粧板55に施された意匠を異なるものに変更する場合がある。
このとき、下扉4ごと交換することも可能であるが、コストの面から好ましくない。
そのため、下部パネル54や化粧板55を新しいものに交換することが考えられる。例えば遊技機1から取り外した下部パネル54に取り付けられている化粧板55を取り外し、新しい意匠を施した別の化粧板55を取り付けた後、下部パネル54を遊技機1に取り付けることや、古い化粧板55が取り付けられている下部パネル54を新しい化粧板55が取り付けられている下部パネル54に交換するなどである。
【0119】
このとき、下部パネル54を遊技機1の下扉4から取り外す作業が発生する(
図39参照)。遊技機1の下扉4の下扉本体部35には、上述したような各種のLED基板90が配置されており、LED基板90が部品配置面等が剥き出しの状態で取り付けられていると、作業中の接触による基板の破損や破壊が起こってしまう可能性がある。
従って、下扉本体部35には、
図38に示すように、前面に取り付けられたLED基板90などの各種基板それぞれに対して、基板を保護するための基板保護カバー91が取り付けられている。
【0120】
LED基板90などの各種基板に対して基板保護カバー91が取り付けられていることにより、下部パネル54を遊技機1から取り外す作業を行う際に基板に触れてしまう可能性を低減させ、基板の故障や破損等を防止することができる。
また、基板の保護という観点からは、基板全体を覆う基板ケースに基板を収納した状態で遊技機1に取り付けることも考えられる。しかし、基板ケースに収納した状態では場所を取ってしまうことによる遊技機1の大型化や、コストの増大を招来してしまう。特に主制御基板602aのように不正防止の観点から基板に対する不正アクセスを遮断する必要がある場合には、基板ケースに収納した状態で遊技機1に取り付けることが望ましいが、単なるLED基板90のような不正防止を考慮しなくてもよい基板に対しては、基板ケースに収納するよりも基板保護カバー91を必要な場所に適宜取り付ける方が、コストや組み立て工数の観点や遊技機の小型化の観点から望ましい。
【0121】
基板に対して基板保護カバー91を設けることにより、下部パネル54の取り外し作業が容易となるため、作業可能な作業員を拡大させることができ、作業効率を向上させることができる。
また、手軽に下部パネル54の交換や化粧板55を交換することができるため、遊技機1の遊技者に対する高い訴求力を長期間保つことができる。
【0122】
[3−5.下部パネルの静電気対策]
下部パネル54は、
図39に示すように、遊技機1の外装の一部を構成する。即ち、遊技者が接触する可能性がある。特に、本実施の形態の第2演出ボタン53のように、操作子が下部パネル54付近に設置されている場合には、操作子を操作する際に下部パネル54に遊技者が触れる可能性が高まる。
下部パネル54は、遊技者に触れられることにより静電気が発生し蓄電されていく。
静電気量が一定量を超えると、下部パネル54の後方(内部)に配置されている各種基板(LED基板90など)に対して放電してしまい、静電破壊が生じてしまう虞がある。静電破壊が起きてしまうと、LEDが消灯してしまうことによる見栄えの低下や遊技機1の誤動作などが起こってしまう虞がある。
【0123】
これを防止するために、本実施の形態における下部パネル54には静電破壊対策が施されている。
静電破壊対策としては、下部パネル54から、基準電位点(アース電位)とされている本体ケース板金12まで、電気的に接続することが挙げられる。ここでいうアースは例えば電源基板におけるアースと共通である。
具体的には、アースのための配線によって下部パネル54とシリンダ錠52を接続し、下部パネル54に溜まった静電気をシリンダ錠52を介して本体ケース板金12(アース電位)へと逃がすことが考えられる。多くの場合シリンダ錠52はアース接続されているためである。
しかし、この方法では、上述した下部パネル54の交換の際にアース配線の付け替えを行う作業が発生してしまう。具体的には、下部パネル54を下扉本体部35から取り外す際にアース配線を下部パネル54から取り外し、新たな下部パネル54を下扉本体部35に取り付ける際にアース配線を下部パネル54に取り付ける作業である。
即ち、この方法では、前述した下部パネル54の交換容易性が損なわれてしまう虞がある。
【0124】
本実施の形態における遊技機1では、
図40に示すように、下部パネル54に導電スポンジ92が取り付けられている。導電スポンジ92は、下部パネル54を下扉本体部35に取り付けた状態においてシリンダ錠52の外周と接触するように設けられている(
図39参照)。換言すれば、下部パネル54とシリンダ錠52の隙間を閉塞するように導電スポンジ92が配置されている。
この構成によれば、下扉本体部35に対して下部パネル54を取り付ける作業を行うだけで必然的に導電スポンジ92及びシリンダ錠52を介して下部パネル54と本体ケース板金12が電気的に接続される。
即ち、下部パネル54と本体ケース板金12の電気的な接続を行うためだけの作業を行う必要がないため、下部パネル54の静電破壊対策を行うと共に、下部パネル54の交換容易性などの先の効果を最大限発揮することができる。
また、下部パネル54に蓄えられた静電気の放電によって遊技者に不快な思いをさせずに済む。
【0125】
なお、導電スポンジ92は、シリンダ錠52の外周に取り付けられていても同様の効果を得ることができる。
【0126】
まとめると、筐体前面側(遊技機1の前方側)に配置された前面カバー(下部パネル54)と、アース電位に接続された錠機構(シリンダ錠52)と、を備え、前面カバーと錠機構の間に形成される間隙には、前面カバーと錠機構の双方に接触された状態で弾性導電体(導電スポンジ92)が設けられている。
これにより、下部パネル54が帯びた電荷が錠機構を介して除電されるため、帯電しにくくされる。従って、遊技者が静電気の放電によって不快な思いをする可能性を低減することができる。またチップ等の電子素子の静電破壊の可能性も抑えることができる。
【0127】
また、錠機構は、筐体前面において開閉可能に取り付けられた前扉(下扉4)の施錠状態を解錠する機構とされている。
前扉は遊技者が触れやすい場所である。そして錠機構の鍵穴部分は筐体前面に表出されている。従って、前扉と前扉と錠機構の鍵穴部分は距離が近いため、錠機構を弾性導電体で電気的に接続することが容易となる。また、接続する場合に必要な弾性導電体の大きさも小さくて済む。即ち、部品コストを抑えることができる。
【0128】
そして、弾性導電体は、導電スポンジ92である。従って、前扉と錠機構の間に形成される間隙に弾性導電体を配置する場合に、弾性導電体が間隙の形状に合わせて自然と弾性変形される。そのため、弾性導電体の大きさ及び形状を精密に設計する必要がなく、配置する場合の作業も容易となる。
【0129】
[3−6.ステージプレートの不正対策構造]
遊技機1の下扉4には、
図9に示すように、ステージプレート42が設けられている。
ステージプレート42にはメダル投入口49やマックス投入ボタン45や第1演出ボタン44を配置するための配置孔93が設けられている。
配置面43のうち、配置孔93の縁部とされている部分は、配置孔93に配置される各部品のフランジ部分等が掛かるための平面とされた環状平面部43aとされ、環状平面部43aの外周側は、配置面における他の平面部よりも隆起した土手部43bとされている(
図41A参照)。土手部43bは、配置孔93に配置される部品の外周を囲むように形成されている。
【0130】
図41A、
図41Bに示す例では、メダル投入口49の外周を囲むように土手部43bが形成されている。ボタンユニット48についても、外周を囲むように土手部43bが形成されている。
また、
図41Aに示すように、第1演出ボタン44が配置される配置孔93の後方には別部材(後述するブロアー機構94が取り付けられる送風口95)が配置されているため、第1演出ボタン44の後方を除いた前方及び側方に沿って土手部43bが形成されている。
【0131】
遊技機1に関しては、不正対策のために遊技機1の内部への侵入可能となる間隙を極力設けないように構成することが重要である。
遊技機1に取り付けられる部品のうち、外側から取り付けられるものについては、取り付け方向の逆方向に力を加えることで部品と取り付け部分の間に間隙が生じてしまう虞がある。
具体的には、ドライバや錐などの道具を用いて外部から取り付ける部品を浮かせて間隙を作られてしまう虞がある。
【0132】
本実施の形態の遊技機1では、ステージプレート42に形成された配置孔93に配置される各部品の外周に沿って土手部43bが形成されていることにより、部品と環状平面部43aの間に道具を差し込まれてしまうことを防止し、延いては間隙を作られてしまうことを防止している。
これにより、遊技機1の内部に配置された各種基板に対する不正なアクセスを防止している。
【0133】
また、環状平面部43aが土手部43b(或いは他の配置面43)よりも一段低くされていることにより、環状平面部43aと各部品の当接面が表出しないため、部品と環状平面部43aの間に道具を差し込まれてしまうことをより防止することができる。
これにより、遊技機1の内部の各種基板に対する不正アクセスをより困難にしている。
【0134】
[3−7.上部ユニット受け板金]
遊技機1の本体ケース2に取り付けられた上部ユニット受け板金18(
図3参照)には上部ユニット3が上方に取り付けられる。上部ユニット3は、上部ユニット外筐19にリールユニット20が取り付けられて構成されており、更に前方には上扉21が取り付けられている(
図4参照)。上扉21には、LCDユニット28などの各種部品が取り付けられており、上部ユニット3の重量を増加させる要因となっている。
【0135】
上部ユニット3が載置される上部ユニット受け板金18は、上部ユニット3の重量によって曲がってしまう虞がある。上部ユニット受け板金18が曲がってしまうと、上部ユニット3の位置も本来の位置からずれてしまう。特に、上部ユニット3に搭載されているリールユニット20の位置がずれてしまうと、表示窓27から視認可能な回転リール22の各図柄の位置もずれてしまうため、視認性の低下や遊技状態の悪化を招来してしまう。
【0136】
そこで、本実施の形態の遊技機1においては、上部ユニット受け板金18の前方端は下方に垂れた下垂部18aとされており、本体ケース板金12の側辺部14と連結されて固定されている(
図42参照)。
本体ケース板金12に対する上部ユニット受け板金18の固定は、螺子等によってされていてもよいし板金同士の半田付けによってされていてもよい。また、上部ユニット受け板金18と本体ケース板金12が一つの金属部材の折り曲げ加工によって形成されていてもよい。
【0137】
上部ユニット受け板金18が本体ケース板金12と連結されていることにより、上部ユニット受け板金18の曲がりなどが防止され、上部ユニット3を最適な位置に収納することが可能となる。従って、各回転リール22に描かれた各図柄の視認性が低下することも無く、上部ユニット受け板金18の曲がりによって遊技機1が動作不良に陥ることも無い。
また上部ユニット受け板金18の前方端に下方に垂れた下垂部18aを設け、下垂部18aと本体ケース板金12の側辺部14と連結して固定することで、上部ユニット受け板金18の剛性の高めることができる。
【0138】
[3−8.上部ユニットの固定]
本実施の形態の遊技機1は、上部ユニット3が本体ケース2に対して挿抜可能とされており、上部ユニット3の前方への意図しない脱落が生じないように上部ユニット3を本体ケース2へ固定する手段を備えている。
図43を参照して説明する。
本体ケース2に取り付けられた本体ケース板金12は、一部が本体ケース2の内方に折り曲げられた前後方向を向く板状に形成された折曲部96とされている。
折曲部96の前方を向く面には、突出部97が前方に突出されて設けられている。
【0139】
突出部97は、前後方向を向く円柱形状とされた第1円柱部98と、第1円柱部98の前方に連続した部分とされ第1円柱部98よりも径の大きな円柱形状とされた第2円柱部99を備えている。なお、
図43乃至
図47の各図では、四つの突出部97のうちの一つを示している。
【0140】
上部ユニット3には、上部ユニット3を本体ケース2に固定するための機構を取り付けるためのロック機構取付部100が略四隅に一つずつ設けられている。
図43乃至
図47の各図では、ロック機構取付部100のうちの一つを示している。
【0141】
ロック機構取付部100には、回動板101を螺子1000で取り付けるための螺子孔(不図示)が設けられている。回動板101と螺子1000の間には、ウェーブワッシャー102と平ワッシャー103が用いられている。平ワッシャー103は、ウェーブワッシャー102よりも前方に位置している。
【0142】
ロック機構取付部100には、回動板101を取り付けるため螺子1000の下方に、先の突出部97の先端部分を上部ユニット3の内部に露出するための露出孔104が設けられている。
露出孔104の周辺の面は、露出孔104の上部と下部で前後方向の位置が異なっており、上部の面は第1平面105とされ、下部の面は第1平面105よりも前方に形成された面である第2平面106とされている。
第2平面106の一端は面取りされた斜面として形成された乗上面107とされている。
第2平面106には、半球状の凹部として半球凹部106aが形成されている。
【0143】
回動板101は、略矩形状とされており、例えば金属を加工して形成されている。回動板101は一部が略半円状の切欠部101aを備えており、該半円のカーブ形状は突出部97の第1円柱部98の円柱形状に沿った形状とされている。
回動板101の後方の面には後方に突出された半球状の半球凸部101bが設けられている。
回動板101は、略180°の回動が可能とされている。
回動板101を螺子1000を回動中心として回動させることにより、上部ユニット3が本体ケース2に固定されたロック状態と、上部ユニット3が本体ケース2に固定されずに本体ケース2から抜去することが可能とされた非ロック状態を切り換える。
【0144】
図43は、非ロック状態を示した図であり、
図44はロック状態を示した図である。
図43に示す状態から回動板101を回動させていくと、回動板101の半球凸部101bがロック機構取付部100の乗上面107に接触する直前の状態となる。この状態を側方及び下方から見た図が
図45A及び
図45Bである。
【0145】
図45A及び
図45Bの状態から更に回動板101を回動させると、半球凸部101bが乗上面107に乗り上げることにより回動板101の下端が前方に傾いていく。そのまま回動を続けると、
図46A及び
図46Bに示すように、半球凸部101bが第2平面106に乗り上げた状態となる。
【0146】
更に回動板101を回動させると、半球凸部101bが第2平面106に形成された半球凹部106aに嵌まり込み、回動板101の前後方向の傾きが解消された状態となる。このとき、回動板101の切欠部101aの内周面が突出部97の第1円柱部の外周面に密着された状態となる(
図44、
図47A及び
図47B参照)。
【0147】
ロック状態においては、回動板101の回動が規制された状態となる。即ち、
図44に示すロック状態においては、右方への回動は切欠部101aが第1円柱部98に当接されていることにより規制されている。また、左方への回動は半球凸部101bの外面と半球凹部106aの内面が係合していることにより規制されている。
なお、左方への回動については、一定以上の力を加えて回動させることにより、ロック状態から非ロック状態へと回動板101を移動させることが可能である。
ロック状態において、回動板101の回動が規制されていることにより、意図せずにロック状態が解除されてしまい上部ユニット3が本体ケース2から脱落してしまうことを防止することができる。
【0148】
ロック状態においては、更に、回動板101の切欠部101a周辺部の前方を向く面が第2円柱部99の後面に当接されることにより、本体ケース2に対する上部ユニット3の前方への移動が規制されている。
これにより、ロック状態において、上部ユニット3が本体ケース2から脱落してしまうことが防止される。
なお、上部ユニット3に回動板101が四つ設けられ、本体ケース2に突出部97が四つ設けられていることにより、上部ユニット3を本体ケース2に対して四箇所でロックすることができるため、上部ユニット3を本体ケース2に対してしっかりと固定することが可能となる。また、四箇所のうちの一箇所程度ロックをし忘れたとしても、上部ユニット3が本体ケース2から脱落してしまうことを防止することができる。
【0149】
ロック機構取付部100に乗上面107が設けられていることにより、ロック状態とするために回動板101を回動させたときの動きを滑らかにすることができ、ロック機構取付部100の傷付きや半球凸部101bの傷付き等を防止することができる。
【0150】
半球凸部101bが第2平面106上を移動している際には、回動板101の下端が前方へ変位することにより、ウェーブワッシャー102の一部が前後方向に過剰に押しつぶされる。これにより、ウェーブワッシャー102が元の形状へ復元しようとする力が回動板101へ伝わるため、回動板101の下端が第2平面106へ押しつけられる力が強くなる。従って、半球凸部101bと第2平面106の間に働く摩擦力が増加し、回動板101を回動させるために必要な力量が増加する。
これにより、半球凸部101bを第2平面106上で移動させるためにはある程度の力が必要となるため、意図せずにロック状態としてしまうことを防止することができる。
【0151】
半球凸部101bが半球凹部106aに嵌合した状態においては、回動板101の下端が前方へ傾いた状態が解消されるため、ウェーブワッシャー102の一部が前後方向に過剰に押しつぶされた状態が解消されると共に、回動板101のそれ以上の回動が規制されるため、ロック状態となったことを指先で感じ取ることができる。そのため、例えば手元が見えない状態でロック作業を行ったとしても、ロックが不十分となってしまうことが防止され、確実にロック作業を行うことができる。
【0152】
ウェーブワッシャー102は、平ワッシャー103と回動板101の前面に挟まれた状態とされている。これにより、
図46A及び
図46Bに示すように回動板101の下端が前方へ変位して回動板101が傾いた状態において、ウェーブワッシャー102が平ワッシャー103と回動板101に挟まれて効率よく前後方向につぶされる。従って、ウェーブワッシャー102の復元力を効率よく得ることができ、半球凸部101bと第2平面106の間に働く摩擦力を増加させることができる。
【0153】
なお、平ワッシャー103を用いる例を説明したが、頭の大きな螺子1000を用いることで同様の効果を得ることもできる。
【0154】
[3−9.スピーカの音響対策]
スピーカはコーン紙の振動を空気に伝達することによって音を発生させる仕組みである。スピーカは、スピーカ前方の空気を振動させると共に、それとは逆位相でスピーカ後方の空気を振動させる。従って、スピーカ前方の空間とスピーカ後方の空間を繋げてしまうと、振動が打ち消し合う現象が起きてスピーカから出力される音圧が低下してしまう虞がある。これを防止するためには、スピーカの前後の空間を隔てるように構成することが重要となる。
【0155】
一方、遊技機1における中段スピーカユニット64(
図15参照)の周辺には、遊戯興趣を高めるための演出用の部材や表示機器等(
図2参照)が配置されている。演出用の部材には、LED基板等が配置されている。
従って、電源基板ユニット600やその他の各種基板と該LED基板や表示機器等を電気的に接続するための配線(ハーネス108)が必要となる。
各種基板は例えば電源基板ユニット600のように中段スピーカユニット64の後方に位置するものがある一方、先のLED基板や表示機器は中段スピーカユニット64の前方に配置されている。それらを電気的に接続するためには、中段スピーカユニット64の前方の空間と後方の空間を繋ぐ配線用の孔を設ける必要がある。しかし、中段スピーカユニット64の前方空間と後方空間が繋がってしまうと前述したような問題が生じてしまう。
【0156】
本実施の形態の遊技機1では、
図48に示すように、中段スピーカユニット64の近くに前方空間109と後方空間110を繋ぐ配線孔111が形成されている。そして、配線孔111にはハーネス108が通されると共に、ハーネス108周辺の余分な間隙を閉塞するように弾性部材112が配置されている。弾性部材112としては、例えば、スポンジなどを挙げることができる。
【0157】
前方空間109と後方空間110を隔てるための方法としては、中段スピーカユニット64の前方空間109と後方空間110に跨がって設置されるハーネス108を通すための配線孔111を可能な限り小さく形成する方法もあるが、その方法では、配線作業が困難になってしまう虞がある。
本構成のように、スポンジなどの弾性部材112が配線孔111に配置されることにより、配線作業の容易性を確保することができる。また、ハーネス108が配線孔111の内面と弾性部材112の間に挟持され、弾性部材112によって配線孔111の内面に押しつけられることにより、ハーネス108が引っ張られて張力が働いたとしてもある程度の張力であればハーネス108が動かずに済む。従って、ハーネス108が基板から引き抜かれてしまう虞を低減することができる。
【0158】
また、基板の交換等の事由によりハーネス108を取り除く必要が発生したとしても、弾性部材112を取り除くだけでハーネス108を自由に動かせるようになるため、作業効率の低下を招来せずに済む。
【0159】
弾性部材112によって、中段スピーカユニット64の前方空間109と後方空間110を隔てることができるため、中段スピーカユニット64の音響性能の低下を防止することができる。また、弾性部材112の素材を適切に選択することによって、防止効果を向上させることが可能である。
また、前方空間109と後方空間110を隔てるためのスポンジなどの弾性部材112が配線孔111に配置されることで、部品の隙間等から前方空間109に挿通したピアノ線等の道具を、配線孔111に通して後方空間110に配置された各種基板に不正にアクセスするといった行為を防止することができる。
【0160】
[3−10.各種材質の複層構造]
遊技機1は、それぞれが何らかの役割を持つ材質を複数重ね合わせた複層構造を備えている。
一例について、
図49A及び
図49Bを参照して説明する。
図には、異なる材質で形成された複数の板状部材が積層された合板113を示している。合板113は、例えばポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂やガラスなどの素材で形成され最も遊技機1の外面側に配置される第1層部114と、例えばメッキ加工などを施されるABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂などで形成された第2層部115と、第1層部114及び第2層部115を取り付けるために樹脂素材で形成される第3層部116と、第3層部116の強度を補強するために金属などで形成された第4層部117とを備えている。
第1層部114及び第2層部115は、意匠が施される意匠層118とされている。第3層部116及び第4層部117は、合板113の剛性を保つための補強層119とされている。
【0161】
図49Bは、合板113を上扉21の前面開口部26と表示窓27の間に形成された隙間に後方から(即ち遊技機1の内部側から)あてがうように取り付けた例である。
図示するように合板113は、一部が表示窓27を介して遊技者が可視可能である。そのため、例えば、第1層部114は透明な部材で形成されると共に表面には意匠が施されている。第2層部115は第3層部116が不可視となるようにメッキ加工が施されている。第3層部116は、第1層部114及び第2層部115から成る意匠層118の取り付けが可能とされる部材で形成され、意匠層118の剛性を補強している。第4層部117は、第1層部114から第3層部116までの剛性を更に補強するために金属などで形成されている。
【0162】
合板113は、各種の部材が積層されて層状に構成されていることから、様々な役割を担うことが可能とされている。
例えば、金属板が含まれていることから、剛性不足の解消を図ることが可能である。また、意匠層118が含まれていることから、遊技機1の内部が遊技者に視認されてしまうことを防止するための目隠し部材として用いることも可能である。
従って、各種の目的を達成するために様々な部分に取り付けることが可能である。ここでは表示窓27の後方に配置される例を説明したが、例えば、各種部品間の隙間に配置してもよい。例えば、ステージプレート42とその周辺部材の隙間などである。
また、第1層部114が遊技機1の最外面に取り付けられていてもよい。この場合には、例えば第1層部114を耐燃性の高い部材で形成してもよい。また、透明であることが必要でない場合は、不透明な樹脂等で形成されていてもよい。
なお、合板113は、前面開口部26と表示窓27の隙間に取り付けられており、合板113が金属のような高硬度の材質の層を含んでいることから、隙間を狙って行われる不正行為を防止する役割も担っている。
【0163】
複層構造としての他の例について、
図50を参照して説明する。
遊技機1は下扉4を備えている。下扉4は、下部パネル54と下扉本体部35を備えている。
下部パネル54は、下扉前面パネル57と化粧板55と化粧板保護パネル56を備えている。下扉本体部35は、下扉ベース36と下扉ベース裏板金37を備えている。
枠状に形成された下扉前面パネル57とレンズ体としての役割を担う化粧板保護パネル56が遊技機1の外形を形成するように最外面に位置しており、その後方には化粧板55が配置されている。更にその後方には、基板保護カバー91に保護されたLED基板90が配置されている。LED基板90の後方には,下扉本体部35の下扉ベース36が位置している。
下扉前面パネル57と化粧板保護パネル56と化粧板55と基板保護カバー91とLED基板90と下扉ベース36は、間に空間を挟みつつ各種の部材が積層された構成とされている。
【0164】
下扉前面パネル57は例えば樹脂部材で形成されている。下扉前面パネル57にメッキ加工を施す場合には、ABS樹脂などで形成されている。
化粧板保護パネル56や化粧板55や基板保護カバー91は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂やガラスなどの透明な素材で形成されている。
LED基板90は、フェノール樹脂やエポキシ樹脂やガラス繊維などで形成されている。
下扉ベース36はABS樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂やポリアミド樹脂等の素材により形成されている。
【0165】
異なる材質で形成した複数の部材を重ねて配置することで、剛性を保ちつつ様々な役割を担うことが可能となる。具体的には、レンズの役目を果たす透明樹脂等で形成された化粧板保護パネル56は、それ以外の化粧板55やLED基板90や下扉ベース36などと共に用いられることで、不正対策や基板保護などの各種目的を果たすことが可能となる。
【0166】
<4.第1演出ボタン>
[4−1.第1演出ボタンの構成]
第1演出ボタン44の構成について、図を参照しながら説明する。第1演出ボタン44は、
図1や
図9に示すように、ステージプレート42の略中央に取り付けられている。
第1演出ボタン44の斜視図が
図51である。
図51に示すように、第1演出ボタン44は、複数の部品で構成されている。第1演出ボタン44の分解斜視図である
図52を参照して説明する。
【0167】
第1演出ボタン44は、内部に振動体が配置されるモータケース120とその上方に重ねて配置されるボタン配置体121を備え、モータケース120とボタン配置体121の間には各種の部材が配置されている。モータケース120とボタン配置体121は、ケース体122を構成する。
モータケース120は、略中央部にモータ配置凹部123が形成され、モータ配置凹部123の内部空間は振動体を配置するための配置空間124とされている。本実施の形態では、配置空間124に配置される振動体として、振動ユニット125を例に用いる。
【0168】
モータケース120には、配置空間124の上部を閉塞するための蓋部126が取り付けられている。振動ユニット125は、蓋部126によって閉塞された配置空間124で駆動される。配置空間124は、振動ユニット125の外形に沿った形状とされ、振動ユニット125の駆動時には振動ユニット125が配置空間124内で不必要に振動してしまうことが防止されている。なお、配置空間124には、振動ユニット125を駆動するために必要な配線を通すための間隙が設けられている。
【0169】
振動ユニット125は、内部にモータ機構を有するモータ本体127aとモータ本体127aから側方に突出された軸部127b(
図53等参照)を備えた第1モータ127を備えている。また、振動ユニット125は、軸部127bに取り付けられた回転子128を有している。
モータ本体127aに電力が供給されて軸部127bが回転すると、軸部127bに取り付けられた回転子128が回転する。回転子128の重心は軸部127bの回転軸上に位置していないため、回転子128の回転によって振動ユニット125全体が振動する。
【0170】
モータケース120の上方には、第1演出ボタン44を用いた演出を行うための第1演出ボタン基板129が配置されている。第1演出ボタン基板129の上面129aには、光演出を行うためのLED素子129bが配置されている。第1演出ボタン基板129の上方にはLED素子129bから出射された光を拡散するための第1レンズ体130が設けられている。第1レンズ体130には、上面及び下面に光を拡散するために必要な所定の凹凸が形成されている。
【0171】
第1演出ボタン基板129は、モータケース120と第1レンズ体130に挟持された二つの基板保持部材131によって保持されている。
基板保持部材131は、略円柱形状とされ、中央には上下に貫通されたボス挿入孔131aが形成されている。基板保持部材131の外周面における上下方向の略中央には、周方向に第1演出ボタン基板129の厚さと略同じ幅の保持溝131bが形成されている。
モータケース120には、基板保持部材131の下端が配置される保持部材配置凹部132が二つ形成されている。
第1レンズ体130には、下方に突出された角柱形状の角ボス133が二つ形成されている。
第1演出ボタン基板129の左右両端には、略半円状の切り欠きとされた被保持切欠129cが形成されている。
【0172】
図53Aは、第1演出ボタン基板129が基板保持部材131によって保持されている状態を示す断面図である。
図示するように、基板保持部材131は、下端がモータケース120の保持部材配置凹部132に収納された状態でボス挿入孔131aに角ボス133が挿入されることによってモータケース120と第1レンズ体130に挟持されて固定されている。
第1演出ボタン基板129は、被保持切欠129cが基板保持部材131の保持溝131bに保持されている。
基板保持部材131は、例えばゴム部材などの弾性部材とされている。
【0173】
図52及び
図53に示すように、ボタン配置体121には、略中央部分にメインボタン134が配置されるメインボタン配置凹部121aが形成され、メインボタン配置凹部121aの左前及び右前にはサブボタン135が配置されるサブボタン配置孔121bが形成されている。
メインボタン配置凹部121aの下面は、メインボタン134の下方への移動を規制する規制面121cとされている。
【0174】
ボタン配置体121の下面には、下方に突出された三つの固定凸部121dが設けられている。ボタン配置体121は、固定凸部121dがモータケース120に設けられた三つの固定孔120aに挿入された状態で螺子止めされることにより、モータケース120に対して固定される。
【0175】
メインボタン134の上面は、遊技者によって押圧されるボタン押圧面134aとされている。
メインボタン134の下面には、下方に突出された二つの凸部134bが設けられている。第1レンズ体130には、メインボタン134の凸部134bが挿通される案内孔130aが形成されている。
メインボタン134の凸部134bの先端には、フランジ部がついた螺子1000等の部品(
図53A参照)が取り付けられており、第1レンズ体130の下面に該フランジ部が当接することにより、第1レンズ体130に対するメインボタン134の上方への移動が規制されている。
メインボタン134は、凸部134bが案内孔130aによって上下方向に案内されることにより、メインボタン134の上下移動の移動方向が規制される。
【0176】
第1レンズ体130には、案内孔130aの周辺部が上方に突出された筒状部130bとされており、筒状部130bの外周に沿ってコイルバネ136が取り付けられている。
コイルバネ136の下端は第1レンズ体130の上面に当接し、コイルバネ136の上端はメインボタン134の下面に当接されている。
メインボタン134は、コイルバネ136によって上方に付勢されている。
【0177】
メインボタン134が押下されると、
図53Bに示すように、コイルバネ136が圧縮された状態となり、メインボタン134の下面の周縁部がボタン配置体121の規制面121cに当接され、それ以上のメインボタン134の下方への移動が規制される。
【0178】
メインボタン134の下面には、
図52及び
図53に示すように、被検出板134cが下方に突出されて設けられている。被検出板134cは、メインボタン134の上下移動に合わせて第1レンズ体130に設けられた被検出板挿通孔130c内を上下移動する。
モータケース120には、センサ配置溝120bが設けられており、センサ配置溝120bにはメインボタンセンサ137が取り付けられている。メインボタンセンサ137は、向かい合わせに配置された2枚の検出板137aを備えている。
2枚の検出板137aは、例えば透過型光電センサとされ、一方の検出板137aには発光素子が設けられ、他方の検出板137aには受光素子が設けられている。発光素子と受光素子は対向して配置されており、発光素子と受光素子の間に物体が位置するか否かに応じて検出信号を得る構成とされている。
メインボタン134が押下されると、
図53Bに示すように、メインボタン134の被検出板134cがメインボタンセンサ137の2枚の検出板137aの間に位置する状態となる。これにより、メインボタンセンサ137によってメインボタン134が押下されたことが検知される。
【0179】
サブボタン135は、壁部135aによって下方に開放された箱状に形成されており、箱状の内部には下方に突出された凸部135bが設けられている。
サブボタン135の凸部135bは、第1レンズ体130に形成された挿通孔130dに挿通されており、サブボタン135の押下に応じて第1演出ボタン基板129の上面129aに配置されたタクトスイッチ138を押下するように構成されている。
【0180】
[4−2.第1演出ボタン基板の保持構造]
図53A及び
図53Bに示すように、第1演出ボタン基板129は、弾性部材とされた基板保持部材131の保持溝131bに挟持されることによって保持されている。
即ち、実施の形態の遊技機1は、回転によって振動を発生させる回転子128と、該振動によって振動するケース体122に装着される電子回路基板(第1演出ボタン基板129)であって、ケース体122に対しては弾性部材(基板保持部材131)の介在により非接触状態で取り付けられている電子回路基板を有する。
つまりケース体122に対して電子回路基板は非接触状態(いわゆるフローティング状態)で、弾性部材を介して装着されている。この場合、回転子128の回転によって発生する振動は、ケース体122を振動させるものとなるが、その振動は、弾性部材を介して電子回路基板に伝わることになる。この弾性部材(例えばゴム部材)が振動を吸収することで、振動は減衰して電子回路基板に伝わる。従って回転子128の回転により発生する振動が、ケース体122から電子回路基板に伝わりにくくなる。
【0181】
これによって、電子回路基板の品質維持や安定動作を実現できる。
特に回転子128の近辺の電子回路基板については、通常の螺子止め等を行うと、破損、粉ふき、固定状態の緩みなどが生じた。
つまり電子回路基板をケース体122内に螺子止めすると、振動によって、螺子と螺子孔部分の擦れや、電子回路基板と電子回路基板が接触している部材との擦れが発生する。これによって電子回路基板や部材の摩耗が発生し、強度的に弱くなる。結果として電子回路基板や周辺部材の破損の恐れが高くなっていた。
また擦れにより生じた粉が電子回路基板の電子部品内、例えばコネクタ内に混入し、電気的な接触不良等を引き起こす場合もあった。
また螺子部分の擦れによって螺子の緩みが生じ、固定状態が不安定になることもあった。
本実施の形態の場合、フローティング状態で電子回路基板を保持しているため、これらの問題が解消される。つまり破損や電気的接触不良の恐れ、粉ふき、螺子の緩みが解消され、電子回路基板の品質維持や長寿命化、安定した動作状態の長期継続を実現できる。
【0182】
また振動によって電子回路基板が揺れ、他の部材との擦れが生じると、半田部分が擦れで弱くなり、電子部品の電気的接触不良が生ずることもある。更にひどい場合、実装部品の剥がれの恐れもある。また擦れによってプリントパターンの消耗、切断が生じることもある。
この点でも、本実施の形態のフローティング構造は有用である。振動による基板面(上面129a及び下面)の擦れが生じないことで、回転子128に近い環境下の電子回路基板における電気的性能の長期的維持を実現できる。
【0183】
また本実施の形態では電子回路基板に伝わる振動が減衰されているため、電子回路基板上のコネクタに対するハーネスの接続状態に振動の影響が加わることが低減され、コネクタ接続状態の安定化も実現できる。
【0184】
特に遊技機1では演出効果の向上のために振動を大きくする傾向がある。振動が大きくなるほど電子回路基板に加わる振動の影響は大きくなるため、本実施の形態のようにフローティング状態で電子回路基板を保持装着することは、遊技機1において品質維持や長寿命化に著しく有効である。
【0185】
また実施の形態の遊技機1において、電子回路基板は、基板面が、回転子128の回転によって発生する振動の主たる振動方向(第1方向)に相当する平面と略直交する方向性(第2方向)で取り付けられている。(
図54A参照)。なお、
図54Aでは、ボス挿入孔131aの図示を省略している。
これにより基板の平面方向(第2方向)に加わる振動成分が少なくなる。従って基板平面がその面の広がり方向に揺動するような振動成分は少ない。これはマウントされた電子部品やコネクタを左右に揺らすような振動成分が比較的少ないことを意味する。従ってマウントされた電子部品の保護や、コネクタにおける接続安定性の点で有利である。コネクタについては、ハーネスに対してコネクタが揺れる成分が少ないことで、ハーネス側のコネクタの部分に負荷がかかりにくく消耗が少ない。
【0186】
なお、場合によっては、電子回路基板を、その基板面が、回転子128の回転によって発生する振動の主たる振動方向(第1方向)に相当する平面と略平行(第1方向)の方向性で取り付けられるようにした方が有利である(
図54B参照)。なお、
図54Bでは、ボス挿入孔131aの図示を省略している。
例えば基板をフローティングさせている部材が、第1方向にのみ弾性を有する場合や、コネクタ部分に第1方向の振動が加わっても問題なく、逆にコネクタがその上下の揺れ(
図54Bの第2方向)に弱い場合などである。
さらに、部材に対して基板の端部近辺の実装状況などにより、基板を浅くしか保持できない場合がある。即ち図中に示す距離D3が短くならざるを得ないような場合である。この場合フローティングによる保持力が、距離D3が深くとれる場合に比べて低下するため、図示の第1方向が基板平面方向となるようにすると、フローティング保持力を維持しやすく好適である。
【0187】
また実施の形態の遊技機1において、弾性部材としての基板保持部材131は、回転子128の回転によって発生する振動の主たる振動方向と略共通の方向に対して弾性を有している。
振動が主に加わる方向に弾性を有することで基板に伝わる振動を効果的に吸収することができ、基板の保護に有効である。
【0188】
さらに弾性部材としての基板保持部材131は、回転子128の回転によって発生する振動の主たる振動方向とは略直交する方向にも弾性を有している。主たる振動の方向とは直交する方向にも弾性を有することで、基板に伝わる振動をより減衰させることができる。
特に本実施の形態の遊技機1においては、基板をフローティング保持するための部材の形状に特徴を有している。具体的には、
図52及び
図55Aに示すように、基板保持部材131のボス挿入孔131aが円形の孔とされているのに対し、角ボス133が角柱形状とされている。従って、角ボス133がボス挿入孔131aに挿入された状態においては、周面方向にあそびを持つことができ、基板の水平面方向振動を効率よく吸収できる。
なお、
図55Bに示すように、ボス挿入孔131aが四角形の孔とされ、角ボス133の代わりに円柱ボス133Aが用いられていてもよい。このような構成であっても、基板の水平面方向振動を効率よく吸収することができる。
【0189】
また実施の形態において回転子128を収納したケース体122は、演出用の操作手段である第1演出ボタン44を構成するケース体122である。
即ち実施の形態の構造では回転子128は第1演出ボタン44を振動させる。
第1演出ボタン44は遊技者が押圧操作により触れる部位であるため、振動させることによる演出効果の向上、遊技者に与える興趣の向上に適している。
ところが、第1演出ボタン44内の電子回路基板には、回転子128の振動に加えて、ユーザの押圧による振動も加わることになる。第1演出ボタン44は、遊技者が遊戯中に思い切り叩くように押したり、高速で連打するように操作することが多く、その衝撃は非常に大きい。
このことを考慮しても、本実施の形態のようなフローティング状態での電子回路基板の装着は有効である。即ちユーザのボタン操作による衝撃を吸収することになるため電子回路基板の品質維持や長寿命化を実現する。
【0190】
なお実施の形態では、第1演出ボタン44内に回転子128が設けられる例を挙げたが、回転子128は第1演出ボタン44内以外に用いられる場合もある。例えば可動体役物を振動させる場合に、可動体役物の筐体内に設ける場合などである。その場合、当該可動体役物の筐体内部に配置される電子回路基板についても、フローティング状態で保持することで、上記の効果が得られる。
また、第1演出ボタン基板129をフローティング状態で保持することで、第1演出ボタン基板129の上面側及び下面側に空間が形成され、第1演出ボタン基板129で発生した熱の放熱性を向上させることができる。
【0191】
[4−3.振動方向が手のひらに非平行]
第1演出ボタン44は、上述したように、演出用の操作手段であるとともに、振動手段でもある。
振動ユニット125が発生させる振動の主振動方向が、遊技者が第1演出ボタン44のメインボタン134の押圧操作を行う際に触れる箇所(操作時接触面)であるボタン押圧面134aに対して非平行となる面の面内方向とされている(
図56A参照)。
なお、メインボタン134のボタン押圧面134aに対して回転子128が発生させる振動の主振動方向が非平行となる面の面内方向とされている別の例を示した図が
図56Bである。そして、メインボタン134のボタン押圧面134aに対して回転子128が発生させる振動の主振動方向が平行となる面の面内方向とされている例を示した図が
図56Cである。
【0192】
図56Aや
図56Bに示すように、メインボタン134のボタン押圧面134aに対して回転子128が発生させる振動の主振動方向が非平行となる面の面内方向とされていることにより、第1演出ボタン44のボタン押圧面134aに回転子128が発生させる主振動がよりダイレクトに伝達される。従ってボタン押圧面134aの振動が大きくなる。このため遊技者が操作を行うために第1演出ボタン44のボタン押圧面134aに手を触れた状態において、手に、振動をより効果的に感じさせることができる。従って振動演出の演出効果を高め、遊技興趣を向上させることができる。
また仮に遊技者が第1演出ボタン44に触れていないとしても、第1演出ボタン44の振動が大きくなることで、振動していることを遊技者にアピールしやすくなり演出効果を高めることができる。
つまり振動ユニット125(第1モータ127や回転子128)の大型化を行わなくとも、振動演出の演出効果の高めることができる。
【0193】
さらには、第1演出ボタン44の振動を大きくできることは、逆に言えば、振動を発生させるための部材(回転子128やモータ本体127a)を小型化して発生させる振動エネルギーを多少小さくしても、十分な演出効果が得られることを意味する。従って回転子128やモータ本体127aの小型化、配置空間の小型化等にも好適であり、コストダウンや設計自由度の向上を促進できる。
【0194】
また前述した第1演出ボタン44の構造によれば、振動ユニット125が発生させる振動の主振動方向は、操作時接触面であるボタン押圧面134aに対して略直交する面の面内方向とされている。
これによりボタン押圧面134aに対して振動が最も効率よく伝わることになり、ボタン押圧面134aを最も効果的に振動させることができるため、演出効果の向上に最適である。また回転子128や振動ユニット125の小型化を行う場合にも特に適している。
【0195】
また振動ユニット125は回転子128の回転により振動を発生させる構造とされ、回転子128の回転軸は、操作時接触面であるボタン押圧面134aに対して略平行に配置されている。
この配置により、振動ユニット125で発生される主たる振動の振動方向がボタン押圧面134aに対して略垂直の面の面内方向となる。つまり振動ユニット125(第1モータ127や回転子128)の配置により、主振動方向をボタン押圧面134aに対して非平行となる面の面内方向とすることができる。
【0196】
また第1演出ボタン44は押圧操作される部材(メインボタン134)を有する操作手段であり、操作時接触面はメインボタン134のボタン押圧面134aとなっている。即ち、ボタン押圧操作を行う操作手段を振動手段により振動させる構造である。
第1演出ボタン44のような押圧操作の対象となる部材を有する操作手段の場合、元々ボタン押圧面134aは押圧ストローク方向に変位可能な構造である。即ち、上述した構造においては、
図53等に示すように、ボタン押圧面134aは上下方向に変位可能な構造とされている。第1演出ボタン44の構造は、このボタン押圧面134aに対して、押圧ストローク方向と略一致する方向に主振動を伝える配置関係となっている。
つまり元々振動しやすい構造部位に振動しやすい方向性で主振動を伝えることとなっており、より動きの大きい振動を発生させることができる。
また、元々変位可能な構造とされている押圧ストローク方向に振動が与えられることで、ボタン構造に負荷が掛かりにくく、第1演出ボタン44の機構的な消耗が振動演出によって促進されるようなことを防止又は低減できる。
また元々揺動する押圧ストローク方向に振動を与える構造とすることで、構造各部の擦れの発生も少なくなり、擦れで発生する粉ふきによる悪影響も低減される。例えば第1演出ボタン44内の基板の電気系統に擦れ粉が悪影響を及ぼす恐れも少なくなる。
【0197】
[4−4.タクトスイッチ]
第1演出ボタン44が備えるタクトスイッチ138を操作するための機構について説明する。
図52で説明したように、第1演出ボタン44には、第1演出ボタン基板129の上面129aにタクトスイッチ138が取り付けられている。
タクトスイッチ138は、基部138aと基部138aに対して上下方向に移動可能なボタン部138bを備えている。基部138a内には、ボタン部138bの押下状態に基づいて信号を発生する機構が設けられると共に、ボタン部138bを上方へ付勢する機構が設けられている。
【0198】
モータケース120には、タクトスイッチ138の下方の位置に支持凸部120cが設けられている。
サブボタン135は、前述したように、壁部135aと凸部135bを備えている。
【0199】
図57Aはサブボタン135を押下していない状態(非押下状態)を示しており、
図57Bはサブボタン135を押下した状態(押下状態)を示している。
サブボタン135の非押下状態においては、タクトスイッチ138のボタン部138bに対する上方の付勢力によってサブボタン135の凸部135bが上方へ押圧され、サブボタン135が最も上方へ位置した状態とされている。
【0200】
サブボタン135の押下状態においては、サブボタン135の凸部135bによってタクトスイッチ138のボタン部138bを下方へ押し込まれた状態とされる。
サブボタン135の押下状態においては、サブボタン135の壁部135aの下端が第1レンズ体130の上面に当接された状態とされる。また、第1演出ボタン基板129の下面がモータケース120の支持凸部120cの上面と当接された状態とされる。
【0201】
このように、サブボタン135が遊技者の操作によって押下状態にあるときは、壁部135aの下端が第1レンズ体130の上面に当接することにより、それ以上のタクトスイッチ138のそれ以上の押し込みが防止されている。
従って、タクトスイッチ138の押し込みすぎによる破損や第1演出ボタン基板129の破損が防止されている。
【0202】
また、タクトスイッチ138の真下の位置に第1演出ボタン基板129を支えるための支持凸部120cが設けられていることにより、サブボタン135の押下状態において第1演出ボタン基板129が下方へ湾曲してタクトスイッチ138が逃げてしまい、タクトスイッチ138のボタン部138aを正常に押下できなくなってしまう状態が防止されている。
即ち、タクトスイッチ138及び第1演出ボタン基板129は、サブボタン135の凸部135bとモータケース120の支持凸部120cによって常に挟まれているため、タクトスイッチ138の操作不良が生じることなくボタン部138bを押下することが可能とされている。
【0203】
また、サブボタン135に対する押下操作によって第1演出ボタン基板129が湾曲してしまうことが防止されているため、第1演出ボタン基板129の破損や粉ふき等が防止されており、基板の保護が図られている。
【0204】
なお、壁部135aが設けられていることにより、モータケース120の支持凸部120cが破損或いは欠損してしまったとしても、タクトスイッチ138の押し込み量が過剰となってしまうことが防止されており、この点からも基板の保護が図られている。
【0205】
[4−5.第1モータにゴム巻き]
本実施の形態の遊技機1においては、第1演出ボタン44の内部に配置された振動ユニット125に弾性部材が巻装されている。具体的には、
図52に示すように、振動ユニット125は、モータ本体127aの外周に弾性巻装材127cを備えている。
前述したように、第1演出ボタン44は、演出用の操作手段であるとともに、振動手段でもある。
そして振動ユニット125は、第1モータ127の軸部127bに取り付けた回転子128を回転させることで第1モータ127自体を振動させる構成であり、第1モータ127は、モータ本体127aの外周に弾性巻装材127cが巻装され、弾性巻装材127cが配置空間124を形成する部材に接触する状態で保持されている。
つまり第1モータ127の振動は弾性巻装材127cを介して配置空間124を形成する部材に伝達され、その配置空間124を有するユニット部分が振動する。
この場合に、第1モータ127の振動成分が弾性巻装材127cによって変化し、不規則な振動成分が生ずる。人間の体感的には派手な振動となる。振動を波形化したときの周波数で考えると、弾性巻装材127cの影響で、振動成分の位相のばらつきが生じ、例えば第1モータ127の主たる振動周波数成分より低周波のうねりを持つ振動が生まれる。また高周波成分が生ずることもある。
即ち弾性巻装材127cによって振動周波数の位相乱れや周波数成分の多様化が生じ、振動ユニット125が体感上、派手に振動するように感じられるものとなる。
このため遊技者に対して印象深い振動を提供でき、振動の演出効果を向上させることができ、遊技の興趣を高めることができる。
【0206】
第1演出ボタン44の振動ユニット125としてこのような構造を採用することで、第1演出ボタン44のボタン押圧面134aに発生させる派手な振動が遊技者に伝わる。特に直接遊技者の手のひら等に体感させる振動が派手な振動となり、得られる演出効果は高い。
また仮に遊技者が第1演出ボタン44に触れていないとしても、第1演出ボタン44の振動が大きくなることで、振動していることを遊技者にアピールしやすくなり演出効果を高めることができる。
【0207】
また、派手な振動を実現できることで、大型のモータ等を用いてむやみに強力な振動を発生させなくても十分な演出効果を得ることができることになる。従って、振動ユニット125の大型化等を行わなくとも良い。さらに言えば、第1モータ127を小型化して第1モータ127自体に発生させる振動エネルギーを多少小さくしても、十分な演出効果が得られることにもなる。従って回転子128や第1モータ127の小型化、配置空間124の小型化等にも好適である。コストダウンや設計自由度の増大を促進できる。
【0208】
また第1モータ127は、配置空間124を形成する周辺部材によって弾性巻装材127cを券装した部分が挟み込まれた状態で保持されている。このように挟み止めにより第1モータ127を取り付けることで、第1モータ127はあそびを持った状態で装着されている。第1モータ127があそびを有することで、第1モータ127自体の振動が固定によって減殺されにくくなる。換言すれば、配置空間124内で第1モータ127が暴れやすい状態である。これによって第1モータ127を内蔵するユニット全体(第1演出ボタン44全体)で、より派手な振動が生じやすくなり、演出用の振動として好適である。
【0209】
また弾性巻装材127cの材質として例えばゴム材などが考えられる。ゴム材のように弾性が高いものを弾性巻装材127cとすることで、派手に感じられる振動を得やすい。
なお、振動の変化は弾性巻装材127cの材質や厚みなどにもよる。例えば弾性巻装材127cの材質としては天然ゴム、合成ゴム、ウレタンのゴム・エラストマ材料、プラスチック樹脂材料、布材、紙材、その他各種のものが考えられるが、柔らかい程揺れの大きな振動となりやすい。
【0210】
[4−6.挟み止め]
前述した第1演出ボタン44では、内部に有した第1演出ボタン基板129Aが弾性部材で形成された基板保持部材131によって保持されている例を説明した。
ここでは、第1演出ボタン基板129Aが挟み止めによって保持された第1演出ボタン44Aについて説明する。
【0211】
図58A,
図58Bは、挟み止めによって第1演出ボタン基板129Aが第1演出ボタン44Aに取り付けられる様子を示した図である。
図58Aに示すように、第1演出ボタン44Aは、メインボタン134とサブボタン135が取り付けられたボタン配置体121と第1レンズ体130を有する第1部分ユニット139と、内部に
図52に示す振動ユニット125を有するモータケース120と蓋部126を有する第2部分ユニット140と、それらに挟持されることによって保持される第1演出ボタン基板129Aとを備えている。
【0212】
図58Aは、第1部分ユニット139に形成された基板配置凹部139aに第1演出ボタン基板129Aが配置された状態を示した図である。第1演出ボタン基板129Aは位置決め舌片129dを備えており、第1部分ユニット139は位置決め切欠139bを備えている。図示する状態は、第1演出ボタン基板129Aの位置決め舌片129dが第1部分ユニット139の位置決め切欠139bに嵌め込まれた状態を示している。
この状態での第1演出ボタン基板129Aは、第1部分ユニット139に固定されていないため、基板配置凹部139aから容易に脱落する状態とされる。
【0213】
図58Bは、第1部分ユニット139と第2部分ユニット140が螺子止め等によって組み付けられた状態を示した図である。
図示するように、第1演出ボタン基板129Aは螺子止されることは無く、第1部分ユニット139及び第2部分ユニット140に挟み込まれることで挟持されている。
但し、位置決め舌片129dが位置決め切欠139bに嵌め込まれることにより、第1演出ボタン基板129Aが第1部分ユニット139に対して位置決めされているため、第1演出ボタン基板129Aが第1部分ユニット139に対して大きく動くことはない。そして、第1演出ボタン基板129Aは螺子止め等によってしっかり固定されているものではないため、ある程度のあそびをもって第1部分ユニット139と第2部分ユニット140に挟持された状態である。
【0214】
挟み止めによれば、第1部分ユニット139と第2部分ユニット140を組み付けるための部材(例えば螺子等)によって、同時に間に挿まれる第1演出ボタン基板129Aの取り付け及び固定を行うことができる。これは、第1部分ユニット139と第2部分ユニット140に取り付けるための螺子1000を第1演出ボタン基板129Aの固定にも兼用することとなる。即ち、第1演出ボタン基板129Aを第1部分ユニット139(または第2部分ユニット140)に取り付けるための専用の部材が不要となる。従って、部品点数の削減が可能となり、コスト削減や組み付け工数の削減を図ることが可能となる。
【0215】
また、第1演出ボタン基板129Aの故障等により第1演出ボタン基板129Aを交換する必要が出てきた場合には、第1部分ユニット139に対する第2部分ユニット140の固定を解除するだけで、即ち第2部分ユニット140を第1部分ユニット139から取り外すだけで、第1演出ボタン基板129Aの第1部分ユニット139(または第2部分ユニット140)に対する固定が解除されて取り外すことが可能となる。従って、第1演出ボタン基板129Aを取り外す際においても、工数削減を図ることが可能となる。
なお、第1演出ボタン基板129Aや基板配置凹部139aの形状によっては、螺子1000を完全に抜去せずに緩めるだけで第1演出ボタン基板129Aを第1演出ボタン44Aから取り外すことが可能となる。
これにより、第1演出ボタン基板129Aを交換する場合の作業効率の向上を見込むことができる。
【0216】
なお、
図58A及び
図58Bでは、第1演出ボタン基板129Aが挟み止めによって第1演出ボタン44Aに取り付けられる例を示したが、第1演出ボタン基板129Aが収納された基板ケースが挟み止めによって第1演出ボタン44Aに取り付けられても同様の効果を得ることができる。
【0217】
また、第1演出ボタン44Aの内部に配置されている第1演出ボタン基板129Aは、挟持部材によって挟み込まれた状態で保持されていることにより、第1演出ボタン44A内の第1演出ボタン基板129Aに対しては螺子等によって固定しないで、挟み止めによりあそびを持たせた状態で保持されている。
これにより第1演出ボタン基板129Aは衝撃をある程度逃がすことができ、衝撃による消耗が低減される。従って第1演出ボタン基板129Aの品質維持や安定動作を実現できる。
特に第1演出ボタン44A等の操作手段内の第1演出ボタン基板129Aについては、通常の螺子止め等を行うと、破損、粉ふき、固定状態の緩みなどが生じやすい。第1演出ボタン44Aの操作は遊技者によって多様で、衝撃も強い。
そのため第1演出ボタン基板129Aを第1部分ユニット139若しくは第2部分ユニット140に螺子止めすると、衝撃及びそれに伴う振動によって、螺子と螺子孔部分の擦れや、第1演出ボタン基板129Aと第1演出ボタン基板129Aが接触している部材との擦れが発生する。これによって第1演出ボタン基板129Aや部材の摩耗が発生し、強度的に弱くなる。結果として第1演出ボタン基板129Aや周辺部材の破損の恐れが高くなった。
また擦れにより生じた粉が第1演出ボタン基板129Aの電子部品内、例えばコネクタ内に混入し、電気的な接触不良等を引き起こす場合もあった。
また螺子部分の擦れによって螺子の緩みが生じ、固定状態が不安定になることもあった。
本実施の形態の場合、ある程度のあそびをもつ挟み止めで第1演出ボタン基板129Aを保持しているため、衝撃を逃して基板自体の消耗を低減し、また螺子を使わないことで螺子孔の摩耗、粉ふきを解消する。従って破損や電気的接触不良の恐れ、粉ふき、螺子の緩みが解消される。また衝撃による基板のパターン切れや電子部品の故障、コネクタ外れ等が発生する可能性を低減する。これらのことから第1演出ボタン基板129Aの品質維持や長寿命化、安定した動作状態の長期継続を実現できる。
【0218】
なお、第1演出ボタン44A内に複数の基板が搭載される場合、全ての基板が挟み止めであるとよいが、少なくとも1つが挟み止めとされていることが有効である。また2つの基板を有する場合に、1つは上述のフローティング状態で保持され、他の1つが挟み止めで保持されるなどとしてもよい。
【0219】
図59Aに示したように、挟持部材141Aが基板142の両面に対して2点の接触頂点で接触するように保持してもよいが、
図59Bに示したように挟持部材141Bが基板142の両面に対して2点以上の複数の接触頂点で接触する状態で挟み込む状態で保持するようにしてもよい。振動方向は
図59Cに示すように基板の平面方向(第1方向)とされている。
この場合、基板平面に第1方向のあそびを多く持たせることができる。従って衝撃の影響を低減しやすい。
【0220】
図58A,
図58Bに示した例は、第1部分ユニット139及び第2部分ユニット140の一部が挟持部材とされている例である。この場合、挟持部材を別途用意する必要がなく、第1演出ボタンの構成の簡略化やコストダウンを図ることができる。
【0221】
図59Aに示す挟持部材141Aが弾性部材とされていてもよい。振動方向は
図59Cに示す第1方向とされている。
この場合、挟み止めによるあそびに加えて、弾性部材自体が衝撃や振動を吸収できるため、基板142の保護機能を高めることができる。
【0222】
また第1演出ボタン基板129Aなどの電子回路基板は、その基板面が、第1演出ボタン44Aに加わる操作による衝撃方向と略直交する方向から挟持部材によって挟まれて保持されていてもよい。
つまり基板面に平行な方向が、衝撃の方向となる。基板面に対して垂直方向から衝撃が加わらない。さらに、挟み止めによる逃げの方向(基板のあそびの方向)が衝撃方向となる。これによって操作の衝撃が基板に加わることを効果的に低減できる。
【0223】
ところで各例では、挟持部材自体はケース体122に螺子止めされたり、ケース体122(或いは、第1部分ユニット139や第2部分ユニット140)の一部が挟持部材となって他の部分と螺子止めされたりしている。螺子止め部分は衝撃や振動によって粉ふきや緩みが生じ易いが、その部分は、ある程度は仕方がないとしている。
実施の形態では、少なくとも基板においてこのような粉ふきや緩みによる悪影響がでないようにするものである。基板の場合、実装部品の不具合が遊技機の動作へ影響する度合いが大きいためである。換言すれば、衝撃による消耗によって遊技動作に影響を与える可能性が高い電子回路基板をなるべく厚く保護することで、遊技機の長期耐用を実現するものと言える。
【0224】
<5.第2演出ボタン>
[5−1.第2演出ボタン及び取り付け箇所の構造]
前述したように、遊技機1の下扉4には、略上下に回動可能な第2演出ボタン53が取り付けられている。具体的に
図60を参照して説明する。
【0225】
第2演出ボタン53は、例えば金属によって形成された第2演出ボタンベース板金143と、第2演出ボタンベース板金143に対して回動する部分とされた回動部144と、回動部144を回動させるためのねじりコイルバネ145と、メダルが第2演出ボタン53の後方へ入り込んでしまうことを防止するための屋根146とを備えている。
回動部144は、ねじりコイルバネ145の一端が取り付けられる回動ベース147と、回動ベース147の前端に取り付けられるレンズ保持部148と、レンズ保持部148に取り付けられる第2レンズ体149を備えている。
【0226】
下扉4の下扉ベース36には、第2演出ボタン53を取り付けるための半円形状の取付凹部150が形成されている。
【0227】
第2演出ボタンベース板金143は、下端が前方へ突出された略L字型とされ、取付凹部150に収まる形状とされている。
第2演出ボタンベース板金143には、ねじりコイルバネ145の一端を掛設するための掛孔143aが形成されている。
回動部144の回動ベース147には、ねじりコイルバネ145のもう一端を掛設するための掛孔147aが形成されている。
【0228】
回動ベース147とレンズ保持部148と第2レンズ体149によって囲まれた空間は基板を配置するための基板配置空間151とされる。基板配置空間151には、第2演出ボタン53の内部から光演出などを行うための第2演出ボタン基板152が配置されている。第2演出ボタン基板152には、前面の部品実装面に演出用LED152aが複数取り付けられている。
【0229】
第2演出ボタン53は、第2演出ボタンベース板金143が下扉ベース36に取り付けられる。このとき、第2演出ボタンベース板金143と下扉ベース36と共にその裏に位置する下扉ベース裏板金37が共締めされている。
第2演出ボタン53は比較的重いユニットであり樹脂等で形成された下扉ベース36だけに取り付けてしまうと、下扉ベース36に係る負担が過大になるため、樹脂等比較的柔らかい材質の下扉ベース36を、金属などの比較的堅い材質の第2演出ボタンベース板金143及び下扉ベース裏板金37で挟んだ状態で共締めする構成としている。
【0230】
図60及び
図9は、第2演出ボタン53の回動部144がねじりコイルバネ145によって上方に付勢されている状態を示した図である。
遊技者によって第2演出ボタン53が下方に押下されると、第2演出ボタン53の回動部144がねじりコイルバネ145の中心線を回動軸として下方に回動される(
図61参照)。このとき、演出態様や遊技状態によっては、
図9に示す状態から第2演出ボタン53が強く叩かれて
図61に示す状態となる可能性がある。この場合には、強打に伴う強い衝撃が下扉ベース36に加わることとなる。
【0231】
なお、
図60には、第2演出ボタン基板152の後方の位置に第2演出ボタン53を振動させる演出を行うための第2モータ153が取り付けられている。
【0232】
以上のように実施の形態では、樹脂で形成された下扉ベース36(ベース板部)と、下扉ベース36に取り付けられるとともに下扉ベース36への取付部位としての第2演出ボタンベース板金143(被取付用の第1板金)を有する第2演出ボタン53(被取付体)と、下扉ベース36との重なり部分を有する下扉ベース裏板金37(第2板金)とを有している。
そして第2演出ボタン53(被取付体)は、第2演出ボタンベース板金143(第1板金)と下扉ベース裏板金37(第2板金)が下扉ベース36(ベース板部)を挟接した状態で下扉ベース36に取り付けられている。
【0233】
演出用のボタンは遊技者が強く押したり叩いたりするため、取付強度が要求される。特に第2演出ボタン53は、遊技者が手を上方から下方にたたきつけるように操作するもので、その操作に応じた上下方向の回動のために、下扉ベース36の垂直面において、前面側に突出するように取り付けられている(
図60参照)。
また第2演出ボタン53は遊技者の操作性を考慮して比較的大型に設計され、これによって重量も比較的重いものとなっている。
これらのことから下扉ベース36には大きな負荷がかかる。
そこで上述のように、下扉ベース36を第2演出ボタンベース板金143及び下扉ベース裏板金37で挟んだ状態として、第2演出ボタン53を固定している。
板金により挟み込むことで、下扉ベース36への負荷を軽減することができ、下扉ベース36の破損が防止できる。換言すれば、下扉ベース36を金属で形成しなくても十分に耐用性を得ることができる。
【0234】
なお、このように金属板(板金)で樹脂部分を挟み込み、共締め固定することは、他の部位にも適用できる。特に、垂直面に対して前後方向に突出するように取り付けられる部位において好適である。
また演出用の操作子に限らず、遊技者の操作に供されるユニットの取付にも金属板(板金)で樹脂部分を挟み込み、共締め固定することは、破損防止、耐用性向上に有効である。
【0235】
[5−2.メダル流路]
前述したように、第2演出ボタン53は、屋根146を備えている(
図60及び
図62参照)。屋根146は、第2レンズ体149の後方にあるレンズ保持部148の更に後方及び下方に位置している。屋根146は、メダルが滑落する滑走面146aと、滑走面146aの後端から上方に突出されメダルが後方へ移動することを防止する規制面146bとを備えている。
屋根146は、第2演出ボタン53の左右方向の中心部分が最も上方に位置するように形成されており、そこから左右にずれるほど下方へと変位するようにされている。屋根146において最も高い位置は、尾根146cとされている。
【0236】
第2演出ボタン53と下扉ベース36の取付凹部150の間には、間隙154が形成されており、間隙154から第2演出ボタン53の後方へメダルが入り込んでしまう虞がある(
図61参照)。
メダルが第2演出ボタン53の内部に入り込んでしまうと、動作不良などを起こす虞がある。また、遊技者にとってメダルの紛失は不利益となってしまう。更に、第2演出ボタン53を操作するたびにメダルが内部で衝突することによる雑音が発生してしまい、音演出による効果を低減させてしまう虞がある。
【0237】
本実施の形態の遊技機1においては、第2演出ボタン53にメダルを受け皿58に環流させるための屋根146が設けられている。
間隙154から入り込んだメダルは、
図9レンズ保持部148の上部後面側を滑り落ちた後、屋根146の規制面146bに衝突するなどして滑走面146aに落ち、尾根146cを境目とした左右の何れかの滑走面146aを滑り落ちて受け皿58に戻される(
図62参照)。
間隙154に入り込んだメダルが受け皿58に戻されることにより、遊技者はメダルを探すことなく次の遊技に自然と移ることが可能となる。即ち、遊戯興趣を低下させること無く遊技を継続することが可能とされている。
なお、本実施の形態において滑走面146aは尾根146cを境に左方に進むにつれ下方に変位する傾斜面と右方に進むにつれて下方に変位する傾斜面を有しているが、両傾斜面は、前方に進むにつれ下方に変位する面であってもよい。これにより、間隙154から入り込んだメダルが、より受け皿58に滑り落ちやすくなる。
【0238】
このように実施の形態では、遊技メダルや遊技球等の遊技媒体が隙間から入り込んだ場合、滑落経路により受け皿に排出される。
これにより入り込んだメダル(遊技媒体)によって遊技機の不具合が生じたり、遊技を中断させる必要が生じたりすることはない。
またメダルが隙間に入り込むのは、遊技者の不注意か、或いは遊技者の故意によるものであることが多いと想定される。
不注意でメダルを入り込ませてしまった場合、遊技者はメダルを探すことをしたり、心配になったりするが、受け皿に帰ってくることで遊技者の心配を解消でき、遊技者に安心して遊技を継続させることができる。
また何らかの意図をもって故意にメダルを隙間に落としたような悪意をもった遊技者には、メダルが受け皿に返ってくることで、そのような行為が無駄であることを知らしめることができる。
【0239】
また第2演出ボタン53等の演出用の操作子の場合、操作に応じて操作子の位置変化が生ずることで隙間が生ずる場合がある。即ち、本来遊技機は、その正面側には不要な隙間を設けないように設計されるが、演出用の操作子はその動きの前後又は過程における位置変位により、隙間が生じざるを得ない場合がある。
そこで実施の形態のように、第2演出ボタン53の近辺で生ずる隙間に対応して滑落経路を形成する。これにより第2演出ボタン53を備えて隙間が生ずることがあっても、メダルの入り込みによる不具合は生じない。
またメダルの場合、数ミリ程度の隙間が生ずるのみで、入り込んでしまう恐れがある。そこで、メダルを使用する回動遊技機の場合に、隙間に対応して上記の滑落経路を形成することが有用となる。
【0240】
なお、もちろんパチンコ遊技機において遊技球が入り込み可能な隙間が生ずる場合は、その対策として、上記のように遊技媒体を受け皿に導く滑走面を設ける構造が有用である。
また、実施の形態では、第2演出ボタン53の周囲に生ずる隙間を対象としたが、演出用の操作子の周囲に限らず、遊技機の正面側(遊技者側)に隙間が生ずる場合は、上記の構造を採用することが好適である。
【0241】
<6.スピーカ>
[6−1.下段スピーカユニットの構成]
前述したように、本実施の形態の遊技機1には、下扉4の下部に下段スピーカユニット65が左右に離隔されて取り付けられている(
図15参照)。
下段スピーカユニット65の斜視図が
図63A及び
図63Bである。
図示するように、下段スピーカユニット65は、スピーカとしての機能を果たすスピーカ体155と、スピーカ体155の後方に取り付けられるスピーカ背面カバー156を備えている。
【0242】
スピーカ体155とスピーカ背面カバー156を分解した状態を示す分解斜視図が
図64A及び
図64Bである。また、スピーカ体155とスピーカ背面カバー156を組み付けた状態の下段スピーカユニット65を断面で示した図が
図65Aである。
各図に示すように、スピーカ体155は、振動板157と、スピーカフレーム158と、ダンパ159と、コイルボビン160と、ボイスコイル161と、磁性体ユニット162と端子部163とを備えている。
【0243】
振動板157は、円環状或いは楕円環状に形成され中心へ行くに従って後方に変位するように形成された環状部164と、環状部164の中心孔を前方から閉塞するセンターキャップ165を備えている。
【0244】
スピーカフレーム158は、環状部164の外周端が取り付けられ円環状或いは楕円環状に形成されたエッジ取付部166と、エッジ取付部166の後方に位置する後面部167を備えるとともに、エッジ取付部166と後面部167を連結し周方向に離隔して設けられた複数の連結脚部168を備えている。スピーカフレーム158は、例えば樹脂によって形成されている。
エッジ取付部166には、下段スピーカユニット65を遊技機1に取り付けるための取付孔166aが周方向に離隔して複数設けられている。
エッジ取付部166と後面部167と連結脚部168によって形成された開口は、振動板157の後方に位置する空気を効率よく振動させるために設けられた後方開口部169とされている。
スピーカフレーム158の後面部167は、前後方向を向く円環状に形成されたベース部170と、ベース部170の外周端から前方に突出された周面部171から成る。
【0245】
ベース部170の後方には、磁性体ユニット162が取り付けられている。
磁性体ユニット162は、トッププレート172とマグネット173とバックプレート174とを備えている。
トッププレート172は、軸方向が前後方向とされた円環状に形成された磁性体とされている。
マグネット173は、トッププレート172の後面側に取り付けられ軸方向が前後方向とされた円環状に形成されている。
バックプレート174は、磁性体で形成されており、マグネット173の後方に配置される前後方向を向く円盤状に形成された円盤部175と、円盤部175の中央から前方に突出された円柱形状または筒状の突出部176から成る。
【0246】
バックプレート174の突出部176の前端には、少なくとも一部が円筒状に形成されたコイルボビン160が前後方向に摺動可能な状態で取り付けられている。
コイルボビン160の前端側の外周面には、振動板157の環状部164の中心孔の内周部が取り付けられている。
コイルボビン160の後端側の外周面には、ボイスコイル161が巻き付けられている。
【0247】
コイルボビン160の外周面においては、振動板157の環状部164が取り付けられている部分の後方の位置にダンパ159が取り付けられている。
ダンパ159は、薄い円環状に形成され、弾性変形可能とされている。ダンパ159は、内周端がコイルボビン160の外周面に取り付けられると共に、外周端がスピーカフレーム158の後面部167における周面部171の前方端に取り付けられている。
【0248】
ボイスコイル161に電圧が印加されてバックプレート174の突出部176に対して摺動すると、ボイスコイル161に取り付けられたダンパ159及び振動板157が前後方向に振動する。ダンパ159は、コイルボビン160の軸方向における過剰な変動を抑制する機能を有している。
【0249】
端子部163は二つの端子を備えており、それぞれの端子にはボイスコイル161を形成する金属線の一端が電気的に接続されている(
図64B参照)。
【0250】
本実施の形態の下段スピーカユニット65は、上記したスピーカ体155の後方にスピーカ背面カバー156が取り付けられている。
スピーカ背面カバー156は、取付フランジ部177と、第1円筒部178と、第2円筒部179とを備えている。
【0251】
取付フランジ部177は、前後方向を向く略円環状とされ、スピーカ背面カバー156を遊技機1に取り付けるための取付孔177aが周方向に離隔して形成されている。
取付フランジ部177の内周側には円筒形状の第1円筒部178が連続して設けられており、第1円筒部178の内周側には第1円筒部178よりも小径とされた円筒形状の第2円筒部179が連続して設けられている。
【0252】
第1円筒部178は、円環状に形成された第1底部180と、第1底部180の外周端から前方に突出されて設けられた第1周面部181とを備えている。
第1底部180からは、前方に突出されたリブユニット182が周方向に離隔して複数設けられている。
【0253】
図65Bは、
図65Aとは異なる方向から示す下段スピーカユニット65の断面図である。
図示するように、リブユニット182は、第1周面部181の外周面の一部を形成する周方向に延びる第1リブ183と、第1リブ183の一端から第1円筒部178の中央部に向かって(即ち径方向に)延びる第2リブ184と、第2リブ184の内周端から第1リブ183と同方向に延びる第3リブ185と、第2リブ184の径方向の略中央部から第1リブ183及び第3リブ185と逆方向に延びる第4リブ186から成る。
なお、リブユニット182は、全てが第1リブ183、第2リブ184、第3リブ185、第4リブ186を備えている必要はなく、設けられている場所によっては一部のリブが欠けていてもよい。
【0254】
あるリブユニット182の第1リブ183と、隣り合うリブユニット182の第1リブ183の間の部分は、第1円筒部178の外周面に設けられた第1通気孔187とされている。
隣り合う二つのリブユニット182の間に形成された通路は、ヘアピンカーブ形状を含む連続カーブが続く第1通気路188とされている。スピーカ体155の振動板157の後方の空間であってスピーカ背面カバー156の内側の空間は、振動板後方空間189とされている。
【0255】
第1底部180には、他にも、端子部163が有する二つの端子を下段スピーカユニット65の外部に表出させるための端子孔190が形成されている。
【0256】
第2円筒部179は、円環状に形成された第2底部191と、第2底部191の外周端から前方に突出されて設けられた第2周面部192とを備えている。
第2底部191の中央に設けられた孔は、磁性体ユニット162のバックプレート174の円盤部175が配置される配置孔193として形成されている。
第2底部191には、周方向に離隔して複数の底孔194が設けられている。
第2円筒部179には、周方向に離隔して複数の第2通気孔195が形成されている。
第2底部191及び第2周面部192は、磁性体ユニット162の円盤部175及びマグネット173との間に若干の間隙が形成されている。この間隙を通じて、底孔194と第2通気孔195は振動板後方空間189と連通された状態とされている。磁性体ユニット162の円盤部175とマグネット173との間に形成された間隙は第2通気路196とされている。
即ち、振動板後方空間189に位置する空気は、第1通気路188を介して第1通気孔187から外部へ移動することや、第2通気路196を介して底孔194や第2通気孔195から外部へ移動することや、またその逆方向へ移動することが可能とされている。
【0257】
ところで、遊技機1に取り付けられている各種のスピーカは、不正行為の対象として狙われやすいという特徴がある。不正行為を行う不正者は、遊技機の構造上の理由で設けられやすい部品間の隙間などからピアノ線等の道具を用いて各種基板にアクセスし、不正に当たりを誘発するなどの行為を行う。下段スピーカユニット65などのスピーカにおいて、振動板は前後方向(音出力を行う方向)に振動しなければならないことから、硬度のある材料で構成することが困難である。即ち、スピーカの振動板はピアノ線等の道具を貫通させることが可能とされている。
そこで、スピーカの後方空間を金属などの高硬度の材質で囲んでしまうことが考えられる。しかし、スピーカの後方空間が密閉空間とされてしまうと、スピーカの振動板を振動させることが困難になってしまったり、振動させるために高出力が必要となり消費電力が上がってしまう虞などがある。また、比較的小型のスピーカにおいては、開放型のスピーカを採用することが望ましい。
【0258】
本実施の形態の遊技機1の下段スピーカユニット65は、振動板後方空間189と外部の空間を遮断することがない構成とされているが、振動板157を介してピアノ線などの道具が進入してきたとしても遊技機1が備える各種の基板に対するアクセスを困難とするための構成を備えている。
即ち、
図65Bに一点鎖線で示すように、振動板157を通過して振動板後方空間189に進入したピアノ線等の道具は、カーブ(屈折)の連続した第1通気路188を通過した後に第1通気孔187から各種基板が配置された空間へと抜けることが可能とされている。しかし、第1通気路188がカーブの連続した通路とされていることにより、第1通気孔187を通過した道具の先端を不正者が自由に操作することが困難とされている。
従って、主制御基板ユニット602の主制御基板602a(主制御基板ケース602bに収納された主制御基板602a)や演出制御基板ユニット603の演出制御基板603a(演出制御基板ケース603bに収納された演出制御基板603a)に対する不正アクセスが困難とされている。
【0259】
また、
図65Aに一点鎖線で示すように、下段スピーカユニット65の振動板後方空間189に進入したピアノ線等の道具が第2通気路196を通過し、第2通気孔195を抜けて各種基板に不正アクセスを行う可能性もある。
しかし、磁性体ユニット162と第2円筒部179の内面とが形成する間隙が狭くされているため、ピアノ線等の道具の進入が困難とされている。それに加えて、マグネット173の外周面と第2周面部192の内面の隙間を抜けた後にマグネット173の後方に回り込み、略90°方向を変えて第2通気孔195を通過する経路は、第1通気路と同様にカーブの連続した経路とされているため、下段スピーカユニット65の外部空間へと進入した道具の先端を不正者が自由に操作することは困難とされている。
【0260】
従って、第1通気孔187や第2通気孔195を通過したピアノ線等の道具を自在に操り各種基板へと不正アクセスを働くことを困難とする構造を下段スピーカユニット65は有していることとなる。
【0261】
なお、下段スピーカユニット65の構造は、振動板後方空間189と下段スピーカユニット65の外部空間が遮蔽されておらず連通されているため、高品質の音出力を行うことが可能とされている。即ち、不正行為を防止しつつ高い演出効果を発揮するための音出力を行うことが可能である。
【0262】
まとめると、遊技機1は、演出音を出力するスピーカ(スピーカ体155)と、該スピーカの振動板157の背面側に取り付けられた背面カバー(スピーカ背面カバー156)を有するスピーカユニット(下段スピーカユニット65)を備え、前記背面カバーには、前記スピーカに取り付けられた状態において前記背面カバーの内部空間(振動板後方空間189)と外部空間を連通する通気路(第1通気路188及び第2通気路196)が形成されており、前記通気路は、前記内部空間と前記外部空間を直線経路として連通するものではないことが特徴とされている。
【0263】
また、前記通気路は、1又は複数回屈折する経路として形成されている。これにより、不正行為を行いにくい構造とされている。
【0264】
そして、前記通気路は、前記背面カバーの周面(第1周面部181や第2周面部192)に形成されている。これにより、前方から振動板157を通過してきた不正治具が直線的に進むだけではスピーカ背面カバー156の外部空間に進出することはできず、少なくとも一度は不正治具を屈曲させる必要がある。従って、不正治具の自由な操作を困難にし、不正行為の発生を抑制する効果を得ることができる。
【0265】
[6−2.中段スピーカユニットの構成]
本実施の形態の遊技機1には、上扉21に中段スピーカユニット64が取り付けられている。
中段スピーカユニット64は、例えば、先述した下段スピーカユニット65のような構成とされている。中段スピーカユニット64自体の構成についての詳述は省略する。
【0266】
図66に示すように、上扉21の表示窓27の左右両側には、中段スピーカユニット64が一つずつ設けられている。表示窓27及びLCDユニット28の周辺部分は意匠を施した上扉前面パネル197が設けられている。
上扉前面パネル197には、中段スピーカユニット64の前方に位置する部分に中段スピーカユニット64から発せられる音演出を遊技者に聞かせるための開口部198が設けられている(
図67参照)。
【0267】
開口部198は、前方に向けて開口された前方開口部199と側方(表示窓27側)に向けて開口された側方開口部200の二つの開口を備えている。
即ち、表示窓27の左右両側に設けられた二つの中段スピーカユニット64のうち、表示窓27の左側に設けられた中段スピーカユニット64Aに対しては、中段スピーカユニット64Aの前方に位置する上扉前面パネル197の部分に、前方に向けて開口された前方開口部199と、右方に向けて開口された側方開口部200が設けられている。
また、表示窓27の右側に設けられた中段スピーカユニット64Bに対しては、中段スピーカユニット64Bの前方に位置する上扉前面パネル197の部分に、前方に向けて開口された前方開口部199と、左方に向けて開口された側方開口部200が設けられている。
【0268】
なお、本実施の形態においては、中段スピーカユニット64に前方開口部199と側方開口部200を左右に隣接するように設けているが、当該前方開口部199と側方開口部200を上下に隣接するように設けることとしてもよい。
また開口部の数についても前方開口部199と側方開口部200の2つに限られることなく、必要に応じて複数の開口部を設けることとしてもよい。
さらに開口部の開口方向においても、前後左右方向、上下方向と様々な方向に開口することが可能である。
【0269】
前方開口部199及び側方開口部200には、樹脂で形成された保護網(不図示)が嵌め込まれている。保護網は樹脂以外にも、金属やスポンジ状の材料で形成されていてもよい。
中段スピーカユニット64は、振動板を前面に備えている。振動板は、前述したように硬度の高い材料で形成することが困難であるため、遊技者に直接触れられるような環境は、遊技機1の保護の観点から好ましくない。
前方開口部199及び側方開口部200に嵌め込まれた保護網は、振動板を保護する役割を備えている。更に、保護網は、先述したピアノ線等を用いた不正行為をしにくくする防止効果も備えている。
なお、
図66においては、保護網の図示は省略している。
【0270】
中段スピーカユニット64から出力される音は、前方開口部199及び側方開口部200を通過して遊技者に届く。このとき、側方開口部200が形成されておらず、前方開口部199のみである場合には、音の指向性が狭くなる虞がある。音の指向性が狭くなると、遊技者の背の高さや座高の高さ、或いはスピーカとの距離により聞き取り難い位置が生じてしまう虞がある。
中段スピーカユニット64に対しては、前方開口部199及び側方開口部200の二つの開口部が設けられているため、音の聞き取り難い位置の発生を抑制する効果を得ることができる。これにより、遊技機1においては、遊技者に対して遊戯興趣を高め、効果の高い音演出を行うことが可能とされている。
また、音の聞き取りがし難い位置が発生しにくいため、同様の効果を得るための音を得るために必要なスピーカの出力を低下させることが可能となる。これにより、消費電力の抑制が可能である。
更に、無闇にスピーカの出力を上昇させることが不要となるため、逆に音が大きすぎて遊技者が不快に感じてしまう位置を発生させずに済む。
そして、スピーカからの音を出力するための開口部が複数の方向に向けられている構成は、遊技者の姿勢によらず同程度の演出効果を得るための好適な構成と考えることができる。
【0271】
<7.メダル経路及び補助タンク>
[7−1.補助タンクの構成]
遊技機1には、前述したように、メダル払出装置5の横に補助タンク6が配置されている。
補助タンク6は、メダル払出装置5のメダルタンク5aから溢れたメダルを貯留するために設置されているものである。補助タンク6に貯留されたメダルも過剰となってしまった場合には、エラーによる遊技の中止状態へと遊技機1は遷移してしまう。
このような状況が生じた場合に遊技機1を正常な状態に戻すには、補助タンク6を遊技機1から取り出し、補助タンク6の内部に貯留されている余剰なメダルを取り除いた上で、補助タンク6を遊技機1に設置し直す作業が必要となる。
また、この状態ではメダルタンク5aにはメダルが目一杯貯留された状態が続いているため、すぐに補助タンク6へのメダルの貯留が始まってしまうため、メダル払出装置5のメダルタンク5aに貯留されたメダルの量を適正にする作業を行うことが多い。
メダル払出装置5のメダルタンク5aから余剰メダルを取り除く際には、一度空となった補助タンク6を遊技機1に設置した後に、メダルタンク5aから補助タンク6に余剰メダルを移し、再度補助タンク6を遊技機1から取り外して内部のメダルを空にした後に再び遊技機1に補助タンク6を設置する作業が行われる可能性がある。
つまり、補助タンク6が満載となってしまったことによる遊技中止状態を解除するために、補助タンク6を取り外して再設置する一連の作業が2回行われる可能性がある。
【0272】
また、店舗の閉店後の遊技機1のメンテナンス作業において、遊技機1の内部に貯留されたメダル、即ちメダルタンク5a及び補助タンク6に貯留されたメダルの量を適正な量に戻す作業を全ての遊技機1に対して行うことが多い。
【0273】
このように、補助タンク6を遊技機1から取り外す作業及び再設置する作業は、比較的頻繁に行われる作業であり、作業容易性が求められる。
遊技機1においては、前述したように、補助タンク6の右側前方には下扉用ロック機構80が設けられている(
図68A参照)。
頻繁に行われる作業である補助タンク6の取り外し作業と再設置作業において、補助タンク6を破損させないためには、下扉用ロック機構80にぶつからないように作業する必要がある。
【0274】
本実施の形態における遊技機1が備える補助タンク6は、
図68及び
図69に示すように、底部6aと壁部6bによって箱状に形成されており、一つの壁部6bの上端から側方(右方)に延びるリブ6cを備えている。
リブ6cの下方の空間は、下扉用ロック機構80が収まることが可能な広さとされている。
【0275】
リブ6cの先端を本体ケース2の内壁に沿わせながら補助タンク6を設置することで補助タンク6の壁部6bが下扉用ロック機構80に接触しない。取り外しの際にも同様である。
これにより、補助タンク6の取り外し作業及び設置作業の作業容易性を確保することが可能とされている。また、作業効率の向上に寄与することもできる。
特に、店舗の営業中においては、遊技者が遊技機1の前に座った状態でこのような作業を行うことが多々あるため、作業者は体勢が不十分な状態で作業を行う必要性が生じる可能性がある。
このような状況を鑑みても、リブ6cが補助タンク6の取り外し作業や設置作業の案内部材としての役割を果たすことにより、作業容易性や作業効率の向上に寄与する部分は大きい。
案内のための機構としては、例えば補助タンク6の底部に凹部(または凸部)を設け、遊技機1の底板7に凸部(または凹部)を設け、該凹部と凸部を係合させる機構が考えられる。しかし、この方法では、凹部と凸部を係合させるという細かい作業が加わってしまい、作業容易性の向上に十分に寄与することはできない場合がある。
本実施の遊技機1におけるリブ6cにおいては、リブ6cの先端を遊技機1の側板9に当てるだけであり、細かい作業は発生しない。この点からも、作業容易性の向上に十分寄与することができる。
【0276】
更に、補助タンク6が遊技機1内に設置された状態においては、リブ6cの先端部分が遊技機1の内壁に触れた状態を保つことで、リブ6cが位置決め部材としての役割を担うことにもなる。
そして、遊技機1は演出の関係上振動することがあるが、そのような振動が起きたとしても、補助タンク6が下扉用ロック機構80に触れないため、下扉用ロック機構80の故障や破損、粉吹きを防止することもできる。
また、遊技機1内で補助タンク6が移動してしまうことを更に防止するには、
図68Bに示すように、移動規制部201を補助タンク6の設置位置の左方に設けるだけでよい。換言すれば、リブ6cが移動規制のための部材の役割も担うことになる。即ち、補助タンク6の移動を規制するためだけの専用の部品を左右両側に設ける必要はない。
【0277】
補助タンク6が設置される遊技機1の内面には、各種の凹凸や螺子等が設けられている。補助タンク6の底部6aがそのまま設置面と接触する構成では、各種の凹凸や螺子に底部6aが乗り上げてしまい、補助タンク6のガタつきが生じてしまう虞がある。
本実施の形態の遊技機1における補助タンク6は、
図68及び
図69に示すように、底部6aの縁から下方に突出された下駄部6dを備えている。下駄部6dは、底部6aの縁の略全周に亘って形成されているが、一部に回避切欠6eが形成されている。
【0278】
回避切欠6eは、本体ケース2に本体ケース板金12の下辺部15(
図69A及び
図69Bには不図示)を取り付けるための螺子1000との衝突を避けるために設けられている。
例えば、補助タンク6を遊技機1に設置する作業を行う場合の手順の一例を説明する。作業者は、補助タンク6を大雑把に本体ケース2の底板7の右方へ載置する。このとき、本体ケース板金12を取り付けるための螺子1000が下駄部6dで囲まれた凹部に位置するように置く。
次に、補助タンク6のリブ6cの端部を側板9に押し当てながら補助タンク6を後方へスライドさせる。
このとき、下駄部6dの一部に回避切欠6eが設けられており、回避切欠6eが下駄部6dのうちの螺子1000の上方を通過する部分に形成されていることから、螺子1000が下駄部6dに接触することなく補助タンク6が所定の位置に移動可能とされる。
【0279】
このように、遊技機1が備える補助タンク6においては、下方に突出された下駄部6dの一部に回避切欠6eが設けられているため、螺子1000の存在を意識することなく補助タンク6の設置作業を容易に行うことができる。また、補助タンク6の取り外し作業においても螺子1000の存在を考慮せずに行うことができる。
そして、前述したように、補助タンク6の設置作業や取り外し作業は、度々行われる作業であることから、作業容易性を確保する意味は大きい。更に、店舗の営業中においては、遊技者と遊技者の間の狭い空間で作業を行う必要性があることから、作業容易性を確保することによる作業効率の向上が図られることは重要である。そしてまた、補助タンク6を本体ケース2の内部空間における右下の位置に配置することにより、下扉4を僅かに開くだけで補助タンク6を着脱することが可能である。
【0280】
[7−2.メダルセレクタとメダルシュータの構成]
遊技機1には、メダルセレクタ60と、メダルシュータ61が設けられている(
図7参照)。
メダル投入口49から投入されたメダルは、メダルセレクタ60の内部へと、導かれた後、内部に設けられたセレクタ部(不図示)によって正規のメダルか否か判別される。非正規のメダルと判定されたメダルは、メダル通過ダクト62の返却通路63からメダル導出口59へと案内されて受け皿58へと戻される。
一方、正規のメダルと判定されたメダルは、メダルセレクタ60の側方に設けられたメダル出口60aからメダルシュータ61へと移動する。
【0281】
メダルシュータ61は、メダル取込通路202を備えている。メダル取込通路202は、メダルセレクタ60側の一端が始端202aとされ、他端が終端202bとされている。メダルシュータ61に移動してきたメダルはメダル取込通路202の始端202a付近へ着地した後、メダル取込通路202を転がり進み、終端202bからメダルタンク5aへと落下する。
【0282】
図70は、メダルセレクタ60とメダルシュータ61の横断面図である。図には、メダル1001がメダルシュータ61のメダル取込通路202の終端202bに到達した状態を示している。図示するように、メダルセレクタ60のメダル出口60aとメダルシュータ61の始端202aの間には間隙D4が設けられている。間隙D4はメダルの直径に比べて十分に小さい隙間とされている。
【0283】
遊技機1に取り付けられるメダルセレクタ60とメダルシュータ61は、異なる部品である。メダルシュータ61を取り付ける際に、メダルセレクタ60に対して傾いて取り付けられてしまう虞がある。
このとき、メダルセレクタ60のメダル出口60aとメダルシュータ61の始端202aが密接して取り付けられる構造だと、メダル出口60aと始端202aの一部同士が過剰に押しつけ合った状態とされてしまう虞がある。
メダル出口60aと始端202aは、大量のメダルが通過する場所である。多い時には、一日数千〜数万のメダルが通過する。メダルが通過する際には、周辺部品に振動が生じる。従って、メダル出口60aと始端202aが過剰に押しつけ合った状態でメダルが大量に通過すると、接触している部分が擦れ合い、部品の破損や粉吹きを生じてしまう。
場合によっては、メダルセレクタ60とメダルシュータ61をメダルが正常に通過できなくなってしまう虞がある。
【0284】
本実施の形態の遊技機1においては、メダルセレクタ60のメダル出口60aとメダルシュータ61の始端202aの間には間隙D4が設けられているため、部品同士の擦れが生じずに、部品の長寿命化、遊技機1の長寿命化に寄与することができる。また、遊技機1が動作不良に陥る可能性を低減することにもなる。
【0285】
また、メダルセレクタ60のメダル出口60aとメダルシュータ61の始端202aの間に間隙D4が設けられることから、メダルシュータ61の取り付け作業に過剰な正確性が求められないため、作業容易性の向上や作業効率の向上を図ることが可能となる。そして、メダルセレクタ60やメダルシュータ61の製造に関しても、過剰な精密性を問われることがなく、生産性向上や部品の歩留まり向上を図ることが可能となる。
【0286】
[7−3.メダル通過ダクトの構成]
遊技機1は、受け皿58へとメダルを環流させるためのメダル通過ダクト62が設けられている(
図7参照)。メダル通過ダクト62は、例えば樹脂等によって形成されている。
メダル通過ダクト62の一部を断面で示した図が
図71Aである。
メダル通過ダクト62には、上端及び下端に孔が形成されている。上端の孔は、メダルセレクタ60から受け皿58へと環流されるメダルを受け入れる環流メダル受入口203とされている。下端の孔は前述したメダル導出口59に接続されるメダル排出口204とされている。環流メダル受入口203とメダル排出口204を繋ぐように形成されたメダル通過ダクト62の内面は、返却通路63とされている。
【0287】
メダル通過ダクト62における上下方向の中央部には、後方に突出して形成されメダル払出装置5の払出口5dに接続される接続凸部205が形成されている。接続凸部205の中央には、横向きの状態のメダルが通過可能な矩形状の払出メダル受入口206が形成されている。払出メダル受入口206は、メダル通過ダクト62の内部空間に通じている。
払出メダル受入口206とメダル排出口204を繋ぐメダル通過ダクト62の内面は、払出通路207とされている。払出通路207は、返却通路63の一部とされている。
【0288】
払出通路207を形成するメダル通過ダクト62の内面のうち払出メダル受入口206を通貨したメダルが衝突する部分、即ち、メダル通過ダクト62の前面部208の中で払出メダル受入口206と略同じ高さから下方に位置する部分は、メダルの衝突から保護されるべき被保護面部209とされている。
被保護面部209は、前後方向を向く面を備えた第1垂直面部209aと、第1垂直面部209aの下端から連続する部分とされ下方に行くに従って後方に変位する斜面が形成された斜面部209bと、斜面部209bの下端から下方に連続する部分とされ略前後方向を向く面を備えた第2垂直面部209cとを有している。第2垂直面部209cは、例えば、下方に行くに従って前方に緩やかに変位する面である。
斜面部209bと第2垂直面部209cの間の部分は、角部209dとされている。
【0289】
被保護面部209には、例えば薄い金属などが折り曲げられて形成された保護プレート210が被保護面部209に沿うように取り付けられている。従って、保護プレート210は、被保護面部209と同様に、第1垂直面部210aと斜面部210bと第2垂直面部210cとを備えている。
【0290】
メダル払出装置5の払出口5dから払い出されたメダルは、メダル通過ダクト62の内部に吐き出される。払出メダル受入口206がメダルの形状よりも大きな孔として形成されているため、払い出されたメダルが払出メダル受入口206の縁部に接触せずに勢いよくメダル通過ダクト62の内部に吐き出される。
前面部208の後方に保護プレート210が取り付けられていない場合、前面部208に払出メダルが衝突し、樹脂等で形成された前面部208が破損する虞がある。
特に、メダルの払い出しは頻繁に行われる挙動である。クレジット状態で貯留されているメダルが所定枚数を超えると、超過した分のメダルが払出口5dから払い出される。また、遊技を途中で終了する場合には、クレジット精算ボタン47を押下することによりクレジット状態のメダルが払出口5dから払い出される。
このように、何度も払い出し操作が行われると、前面部208が破損する虞が高まる。
特に、被保護面部209の角部209dは、メダルが衝突し易い形状であると共に、衝撃によって破断しやすい箇所となるため、メダルの衝突による衝撃に弱い箇所となる。角部209dを、丸みを帯びた角部209dとして形成することにより、ある程度は衝撃に強くなるが、それでも幾度となく繰り返されるメダルの衝突に対して十分な強度を得られない可能性がある。また、角部209dは、メダルが衝突する頻度に関しても高くなる。このことからも、メダルの衝突から保護すべき部分とされている。
【0291】
本実施の形態の遊技機1においては、被保護面部209の後面側に金属などで形成された保護プレート210が取り付けられている。これにより、被保護面部209の破損を防止することが可能となる。
なお、保護プレート210の材質としては、メダルの衝突により生じる衝撃を吸収するゴムなどの弾性部材を用いることも考えられる。
また、被保護面部209が破損することにより、遊技者に環流すべきメダルが破損部分から遊技機1の内部に入り込んでしまい、遊技者の不利益となってしまうことを防止することができる。
また、前面部208に、下方に行くに従って後方に変位する斜面として形成された斜面部209bを設けることで、第2垂直面部209cについてメダルが衝突する方向に対する剛性の向上を図ることができる。
また第2垂直面部209cが、下方に行くに従って前方に緩やかに変位することにより、排出されるメダルの勢いを遊技者に不利益がない程度まで弱めつつ、第2垂直面部209c(第2垂直面部210c)へのメダルの衝突による衝撃を前方に逃がすことができる。これにより、第2垂直面部209c(第2垂直面部210c)の消耗を軽減させることが可能となる。
【0292】
なお、メダル通過ダクト62が前面部208、被保護面部209、保護プレート210を備えている例を説明したが、他の例も考えられる。
例えば、メダル通過ダクト62が前面部208を備えておらず、横断面がコ字状とされていてもよい。このとき、前面部208の代わりに、メダル通過ダクト62の前方にある部材の後面部を用いてもよい。即ち、前方にある部材の後面部に保護プレート210が装着されて、その後方に保護プレート210を覆うようにメダル通過ダクト62が取り付けられていてもよい。この場合には、前方にある部材の後面部が被保護面部209とされる。
また、このような構成によれば、前面部208を省く分メダル通過ダクト62を小型化することができる。そして、材料コストの削減を行うことができる。
【0293】
また、他の変形例として、保護プレート210を用いない構成とされていてもよい。
例えば、被保護面部209の形状によって被保護面部209の保護が図られていてもよい。具体的には被保護面部209が角部209dを有さない形状とされた例を挙げる。
図71Bに示す被保護面部209Aは、S字形状の断面形状を有する構成とされている。被保護面部209Aは、前方に凸となる曲面部とされた第1曲面部209eと、第1曲面部209eの下方に連続した部分とされ前方に凸となる曲面部とされた第2曲面部209fを備えている。
【0294】
メダル払出装置5の払出口5dから吐出されたメダルは、第1曲面部209eと第2曲面部209fの境目付近に衝突する。このとき、メダルは被保護面部209Aの曲面により、勢いを削がれた後下方に落下する。従って、メダル通過ダクト62の下面部211に対して衝突する際の衝撃も低減され、下面部211の保護効果を得ることができる。
【0295】
被保護面部209Aは角部を有さない曲面のみによって構成されているため、メダルの衝突による衝撃に弱い部分が存在しないため、メダル通過ダクト62の破損を防止することができ、遊技者に環流すべきメダルが破損部分から遊技機1の内部に入り込んでしまい、遊技者の不利益となってしまうことを防止することができる。そしてメダル通過ダクト62の長寿命化を図ることができ、メンテナンス頻度を低く抑えることができる。
【0296】
なお、被保護面部209を一つの垂直面部として形成することも考えられるが、メダル払出装置5の払出口5dから吐出されたメダルの勢いを十分に削ぐことができずに、メダル通過ダクト62の下面部211に落下した際の衝撃が強くなってしまう虞がある。
このことからも、連続した曲面部で被保護面部209Aを形成することが有効である。
そして、被保護面部209Aのメダルが衝突する部分が第1曲面部209eと第2曲面部209fの略境目とされ、該境目が垂直な面よりも上方を向く面とされていることにより、吐出されたメダルの勢いを十分に減衰させることができる構成とされている。
【0297】
<8.ブロアー機構の構成>
遊技機1は、ステージプレート42に一端が取り付けられるブロアー機構94を備えている。ブロアー機構94の構成について、
図72A及び
図72Bを参照して説明する。
【0298】
図72Aに示すように、ブロアー機構94は、羽根を備えた図示しない回転体が内部に配置されるケース体212と、ケース体212で発生した空気の流れをステージプレート42の送風口95まで送る送風ダクト213を有している。
【0299】
ケース体212は、回転体が配置される内部空間を備えた略円柱形状とされ、円柱形の軸方向を向く一面が吸気面部214とされている。吸気面部214には、空気を吸入するための孔が吸気口214aとして多数形成されている。
ケース体212の周面部には、回転体の回転によって内部から押し出される空気を外部へ送るための接続口215が形成されている。接続口215は、略矩形状の孔とされている。
【0300】
送風ダクト213は、両端に略矩形状の孔が形成された筒状とされており、一端に形成された孔は接続口215に取り付けられる送風ダクト入口216とされ、他端に形成された孔はステージプレート42に形成された送風口95に取り付けられる送風ダクト出口217とされている。
送風ダクト213の送風ダクト出口217がステージプレート42の送風口95に取り付けられた状態を示す図が
図72Bである。
【0301】
図72Aに示すように、送風ダクト出口217の矩形形状は送風ダクト入口216の矩形形状よりも小さな形状とされている。換言すれば、送風ダクト出口217の口の面積は送風ダクト入口216の口の面積よりも小さくされている。
これにより、送風ダクト入口216付近での空気の流速に比べて送風ダクト出口217付近での空気の流速が速くされている。従って、回転体や羽根の大きさに比べて比較的強い風を遊技者に対して送ることが可能とされている。
また、強い風を遊技者に対して送ることが可能であることは、所定の強さの風量を得るために必要な回転体や羽根の大きさを小型化することが可能ということである。
なお、風力を上昇させるための付加装置を新たに設けることや、大型のブロアー装置を設けることも考えられる。しかし、遊技機1の内部には、各種の様々な部品や部材が配置されており、送風演出のために大型の装置を内部に設けることは困難である。このことからも、送風ダクト出口217の矩形形状は送風ダクト入口216の矩形形状よりも小さな形状とすることにより送風の風量を上昇させることは有効である。
【0302】
更に、送風口95からの風力を増加させるために、送風ダクト213における送風ダクト入口216と送風ダクト出口217の形状以外にも工夫が取り入れられている。
具体的には、送風ダクト213の形状は、送風ダクト入口216から送風ダクト出口217に向かっていくにつれて断面積が徐々に小さくなるように形成されている。
これにより、空気の流れを円滑にし、最大限の風力増加効果を得ることができるようにされている。
また、送風ダクト213の内面が曲面で形成されているため、内部を通過する空気と内面の間で生ずる摩擦力が低減されている。これによっても、空気の流速を最大限に高める効果を得ることができる。
【0303】
<9.ハーネス、基板、封印バンド>
[9−1.封印バンド]
実施の形態の遊技機に用いられる封印バンドについて図面を参照して説明する。
図73は、封印バンド218が使用される遊技機1の部分を示す説明図である。
図74A及び
図74Bは、本実施の形態における封印バンド218の上方からの斜視図及び下方からの斜視図である。
図75は封印バンド218の部分断面図である。
図76は封印バンド218の封印状態における断面図である。
なお封印バンド218については、
図74に矢印で示す方向で上下方向及び前後方向を説明するものとする。
【0304】
封印バンド218は合成樹脂等で形成され、
図73に示すように、上部ユニット3が本体ケース2の上部に収納された際に、本体ケース2の結束孔219と上部ユニット3の結束孔220を連結するために用いられる。封印バンド218を介して本体ケース2と上部ユニット3を連結しておくことで、上部ユニット3が不正目的により取り外された場合に封印バンド218が破断、損傷し、不正行為の痕跡を残すことができる。
【0305】
なお、封印バンド218は、本体ケース2と上部ユニット3の連結のみならず、いわゆるゴト行為等の不正行為の痕跡を残すために、メイン基板やサブ基板等のケースの外部カバーへの連結等、様々な場面で使用することができる。
また、封印バンド218は、不正行為に対する対策のみならず、ハーネスをまとめる等の様々な用途でも使用することができる。
【0306】
図74A及び
図74Bに示すように、封印バンド218は、バンド部221と本体部222から成る。バンド部221と本体部222は一体に成形されている。バンド部221は略帯状に形成され、本体ケース2の結束孔219と上部ユニット3の結束孔220を締め付けるために用いられる。
本体部222は、挿入されたバンド部221の先端部223を抜き取り不能な状態に係合保持する。本体部222で先端部223は係合保持されることで、固持バンド部221による締め付けが弛むことはない。
【0307】
バンド部221は、帯状に形成された連結部224と略円盤状に形成された蓋部225と先端部223とを有する。連結部224は、一端が本体部222と結合され、他端が蓋部225に結合されている。先端部223は、蓋部225の、連結部224が結合されている面とは反対側の面に結合されている。
【0308】
連結部224には、本体部222との結合部分に略矩形の孔である破断孔226が設けられている。破断孔226を設けることで、不正の目的で本体部222からバンド部221を引き抜こうとする際にバンド部221が引っ張られて破断しやすくなり、不正行為の痕跡を容易に残すことができる。
なお、破断孔226は、バンド部221が引っ張られた際に破断しやすくなればどの部分に設けてもよい。例えば連結部224の長手方向における中央に設けてもよいし、蓋部225に結合されている端部に設けてもよい。
【0309】
先端部223は、上面側に複数の係止部227と側壁部228が設けられ下面側に被案内突部229が設けられている部分と、それよりも先端寄りの部分とされた傾斜部230を備えている。
【0310】
図74Aに示すように、複数の係止部227は、バンド部221の短手方向に延びるよう突出して形成され、バンド部221の長手方向に沿って所定間隔に設けられている。
側壁部228、それぞれが係止部227の両端に接するようにバンド部221の短手方向の両側縁部に長手方向に沿って延びるように形成されている。側壁部228は、複数の係止部227と略同じ高さとなるように形成されている。
【0311】
図74Bに示すように、被案内突部229は、複数の係止部227が設けられた面の反対側の面に設けられている。被案内突部229は、バンド部221の短手方向における中央部から長手方向に延びるように突状に形成されている。被案内突部229の両側部にはそれぞれ被案内部229aが形成されている。
【0312】
傾斜部230は、バンド部221の先端に行くほど上方へ変位するように斜め上を向いて形成されている。側壁部228の傾斜部230に形成された部分及び傾斜部230の下面の把持部231はローレット形状が形成されている。これにより、作業者がバンド部221を後述するロック部232に通す際に、滑らずに傾斜部230を掴むことができる。
【0313】
本体部222は、ロック部232と蓋受部233と薄板状に形成されるタグ部234を有する。
ロック部232は、対向して位置された壁部232a,232bと、該壁部232a,232bの両側端部に連結された壁部232c,232cとで囲まれた挿通路235を有する、上下方向に延びる略四角柱状に形成される。ロック部232には、入口235aと出口235bが設けられている。バンド部221の先端部223は、入口235aから挿入され出口235bから表出して引っぱり可能とされる。
【0314】
挿通路235の入口235a側の壁部232bの短手方向における両側部と一対の壁部232c,232cとの連結部分には、一対の案内部236,236が形成されている。一対の案内部236,236は、挿通路235の入口235a側から出口235b側まで延びるように形成されている。一対の案内部236,236により挟まれた部分は案内溝237とされている。
一対の案内部236,236は、挿通路235の入口235a側にバンド部221の先端部223を挿入した際に、被案内部229aに当接してバンド部221をガイドする。案内溝237は、挿通路235の入口235a側にバンド部221を挿入した際に被案内突部229に当接してバンド部221をガイドする。
【0315】
ロック部232を形成する壁面に、ロック部232の短手方向の中央部から長手方向に突状に延びるように第1リブ238が設けられている。このようにロック部232に第1リブ238を設けることで、バンド部221を外そうとしてロック部232を掴んだ際に第1リブ238が損傷し、不正行為の痕跡を容易に残すことができる。
【0316】
蓋受部233は、ロック部232の入口235aを囲うようにリング状に突出して形成される。蓋受部233は、バンド部221を本体部222のロック部232に挿通させる際に、蓋部225が嵌合するように形成されている。蓋部225が蓋受部233に当接するまでバンド部221を引き込むことで、これにより、ロック部232に挿通させたバンド部221と挿通路235の入口235aの間に生じる隙間を閉塞することができる。従って、当該隙間から挿通路235への不正アクセスを困難にすることができる。ここでの不正アクセスとは、例えば針状のもの等を挿入して、後述する
図76のような係合状態を解除して結束を解こうとする行為を指している。
【0317】
タグ部234は、バンド部221と対向する方向にロック部232の入口235a側の表面から突出して形成されている。タグ部234の上面における後方の外縁には、上方に突出する第2リブ239が設けられている。このように第2リブ239を設けることで、バンド部221を外そうとしてタグ部234を掴んだ際に第2リブ239が損傷し、不正行為の痕跡を容易に残すことができる。
タグ部234の下面には、下方に僅かに突出する略円柱状の凸部とされた滑止凸部240が複数形成されている。これにより、作業者がバンド部221をロック部232に通す際に、滑らずにタグ部234を掴むことができる。
【0318】
次にロック部232の内部構造について、
図75を参照して説明する。
ロック部232の挿通路235内には、係止片241がロック部232の前後方向(少なくとも前方)に撓み可能に設けられている。係止片241は、一端が壁部232aの内面の入口235a側から出口235bに向かって延びる結合部241aと、結合部241aの先端に設けられた係止爪241bから成る。
係止爪241bは、封印バンド218の先端部223に設けられている複数の係止部227のいずれかに係止するために、壁部232bの方向(後方)に突出された凸部とされている。
【0319】
係止片241が設けられた壁部232aの内面には、挿通路235の出口235b方向に行くほど壁部232aの外面に向かう方向に変位する第1傾斜部242が形成されている。第1傾斜部242を形成することにより、係止片241と壁部232aの内面との間に空間が形成される。これにより、バンド部221の先端が挿通路235の出口235bから引き出される際に、係止片241が壁部232aに向かう方向に撓むことで係止爪241bがバンド部221の複数の係止部227を順次乗り越えてバンド部221の動きを許容する。
なおバンド部221の先端の引き出しは、
図76のように蓋部225が蓋受部233に嵌合されるまでを限度として可能とされている。
【0320】
またバンド部221が挿通路235の入口235a側に引っ張られたときには、係止部227が係止爪241bに引っかかって持ち上げるようにするため、係止状態が解除できず、バンド部221の戻りが規制される。
【0321】
また、壁部232bに設けられた一対の案内部236,236には、挿通路235の出口235b側に第2傾斜部243がそれぞれ設けられている。第2傾斜部243は、挿通路235の出口235b方向に行くほど対面する壁部232aに向かう方向に変位する。
【0322】
次に、上記構成を有する封印バンド218の使用方法について、
図73乃至
図76を用いて説明する。
【0323】
まず、
図76に示すように、バンド部221を、複数の係止部227が内側となるように湾曲させて、
図73に示す本体ケース2の結束孔219と上部ユニット3の結束孔220を結束するための孔に巻き付けると共に、その先端側からロック部232の挿通路235の入口235aに挿入する。
【0324】
そして、バンド部221の被案内突部229を、案内溝237に、被案内部229aを案内部236に当接させてガイドさせながら、バンド部221を挿通路235に挿通して、バンド部出口235bから挿出させる。タグ部234を掴みつつ、バンド部221の挿出した傾斜部230の部分を引っ張ることにより、係止片241が結合部241aを介して撓みながら、係止爪241bがバンド部221の係止部227を順次乗り越えて、バンド部221が引き出されていき、本体ケース2の結束孔219と上部ユニット3の結束孔220をバンド部221で締め付ける。
【0325】
このとき、側壁部228の傾斜部230に形成された部分及び傾斜部230の挿通路235の出口235b側の面にはローレット形状が形成され、タグ部234には、下方に僅かに突出する略円柱状のリブである滑止凸部240が複数形成されている。これにより、作業者は、本体ケース2の結束孔219と上部ユニット3の結束孔220をバンド部221で締め付ける際に、滑ることなく傾斜部230とタグ部234を掴むことができる。従って、作業者の操作性の向上及び作業効率の向上を図ることができる。
【0326】
蓋部225が蓋受部233に嵌合され、蓋部225が壁部232a,232b,232cにおける挿通路235の入口235a側に形成された表面に接することで、バンド部221が最も締め付けられた状態となる。
ロック部232に挿入されたバンド部221は、係止片241の係止爪241bにバンド部221の係止部227が係止して、バンド部221がロック部232にロックされて抜け止めされ、本体ケース2の結束孔219と上部ユニット3の結束孔220がしっかりと結束されることで、封印された状態に維持される。
【0327】
この場合において、蓋部225が蓋受部233に嵌合されることで、ロック部232に挿通させたバンド部221と挿通路235の入口235aの間に生じる隙間を閉塞することができる。これにより、当該隙間に器具を挿入し係止片241を壁部232aの外面方向に撓ませ、係止爪241bをバンド部221の係止部227から外すことでロック部232からバンド部221を取り外すことが困難となる。従って、不正の目的による封印バンド218の取り外しを防止することができる。
【0328】
また本実施の形態においては、被案内部229aを案内部236に当接させてガイドさせながらバンド部221を挿通路235に挿通する際に、案内部236は第2傾斜部243を有するため、バンド部221を壁部232aの方向に反らせながらガイドする。これにより、バンド部221は、挿通路235の出口235bから、先端部223の係止部227を有する面が壁部232aの内壁に接するように取り出される。
【0329】
先端部223の係止部227を有する面が壁部232aの内壁に接することで、ロック部232に挿通させたバンド部221と壁部232aの内壁の間に生じる隙間を閉塞することができる。これにより、当該隙間に挿通路235の出口235bから例えば針状の器具を挿入し係止片241を壁部232aの外面方向に撓ませ、係止爪241bをバンド部221の係止部227から外すことでロック部232からバンド部221を取り外すことが困難となる。従って、不正の目的による封印バンド218の取り外しを防止することができる。
また、第2傾斜部243でバンド部221が壁部232aの方向に押しつけられるようにすることで、係止片241の係止爪241bの係止状態をより強固にする。これにより結束を解く方向(抜く方向)への引き出しが強く阻止される。
【0330】
[9−2.ハーネスの交換有無による取り付け方法]
遊技機1には、多数の基板と共に、それらの基板同士を電気的に接続するためのハーネスが多数備えられている。
図77に示す一例を用いて説明する。
図77には、三つの基板ケースA1,A2,A3を図示している。各基板ケースには、それぞれ一つ以上の基板(不図示)が格納されている。基板ケースA1,A2,A3には、コネクタを表出させるための端子孔Atがそれぞれ形成されている。
端子孔Atから表出したコネクタにはハーネスが接続されている。ハーネスには、遊技機1の稼働が続いても交換不要の恒久ハーネスHA1,HA2,・・・と、一定の稼働を続ける毎に交換が必要となる消耗ハーネスHB1,HB2,・・・がある。
【0331】
恒久ハーネスと消耗ハーネスの例について説明する。各種のハーネスのうち、メンテナンス作業や遊技機1の動作上、触れられる虞がないハーネスや引っ張られる虞のないハーネスは、恒久ハーネスとされる。一方、作業者によって触れられる虞のあるハーネスや、遊技機1の動作上負担が掛かる可能性のあるハーネスは、消耗ハーネスとされる。
例えば、遊技機1が可動役物を有している場合であって、可動役物に設けられた基板(LED基板等)と可動役物以外に設けられた基板を接続するハーネスには、可動役物が稼働する際に引っ張る力が加えられる虞がある。頻繁に可動する役物ほど、その可能性が高くなる。
また、上扉21や下扉4に取り付けられている基板と、本体ケース2に取り付けられている基板を接続するハーネスは、扉の開閉の際に引っ張られる虞や、扉と本体ケース2の間に挟み込まれてしまう虞がある。
このようなハーネスは消耗ハーネスとし、定期的に交換することにより、遊技機1の安定した動作を保証する。そして、ハーネスが断線すること(メンテナンス不良)により動作不良に陥ってしまい遊技機1の稼働率の低下を招来してしまう可能性を低減することができる。
【0332】
図77に示すように、基板に接続される複数のハーネスのうち、恒久ハーネスHA1,HA2,・・・は恒久ハーネス群HAとして一つにまとめられ、消耗ハーネスHB1,HB2,・・・は消耗ハーネス群HBとして一つにまとめられている。即ち、恒久ハーネスは恒久ハーネス同士でまとめ、消耗ハーネスは消耗ハーネス同士でまとめられている。
恒久ハーネス及び消耗ハーネスは、それぞれ結束バンド244(或いは先の封印バンド218でもよい)でそれぞれ一纏めにされている。
なお、遊技機1が備える全ての恒久ハーネスを一纏めにして恒久ハーネス群HAとする必要はなく、恒久ハーネス群HAが複数設けられていてもよい。消耗ハーネス群HBに関しても同様に複数設けられていてもよい。
例えば、恒久ハーネス群HAは、ハーネスが通される場所や接続されている基板の位置などに応じて複数設けられることが考えられる。
また、消耗ハーネス群HBは、ハーネスの通される場所や接続されている基板の位置に応じて複数設けられていてもよいし、ハーネスの交換時期が同時期となるハーネスごとに一つの消耗ハーネス群HBにまとめられていてもよい。
交換時期に応じて消耗ハーネス群HBが分けられている場合には、交換作業の効率を高めることができると共に、交換時期まで期間のある消耗ハーネスを誤って交換してしまうことを防止することができる。また、交換時期が到来した消耗ハーネスの交換漏れを抑制し、確実に交換することができる。
【0333】
恒久ハーネス同士及び消耗ハーネス同士でまとめられることにより、消耗ハーネスの交換の際にどのハーネスが交換対象であるのか分かりやすくされる。従って、作業効率の向上を見込め、メンテナンス費用の削減を図ることができる。
また、恒久ハーネスの配線について、遊技機1に取り付けられた各種の部品の裏側を通すなどすることにより、恒久ハーネスの取り外しがし難くなる。これにより、遊技機1の上扉21や下扉4を開放して消耗ハーネスを交換する際に、交換しやすい位置にあるハーネスが消耗ハーネスとなり、作業効率の向上を図ることができる。
【0334】
恒久ハーネスと消耗ハーネスは、遊技機1に取り付けられる際に作業の効率を高めるために、必要な長さ(基板間の距離)よりも長めにされている。これにより、作業がしやすくされるが、取り付けられた状態においては、ハーネスのたるみが生じてしまい、部品間に挟み込まれてしまう虞やメンテナンス作業者が誤って引っ張ってしまう虞が高くなってしまう。
これを防止するために、ハーネスを掛けるためのフックを遊技機1の各所に設け、ハーネスをフックに掛けることによりハーネスのたるみを解消している。
【0335】
恒久ハーネスと消耗ハーネスは、取り外し作業が発生しやすいか否かが異なる。これにより、それぞれのハーネスのたるみを解消するために最適なフックが異なる。一例を
図77を参照して説明する。
図示するように、恒久ハーネスHA1,HA2,・・・をまとめた恒久ハーネス群HAは、第1のフック245によって遊技機1の内壁等に取り付けられている。
第1のフック245は、一つの主凸部246と二つの副凸部247から成る。
第1のフック245は、各種の部品や遊技機1の内部に設けられた設置面248に形成されている。
【0336】
主凸部246は、設置面248から略垂直に屹立する垂直面部246aと、垂直面部246aに連続し設置面248に略平行とされた平行面部246bとを備えている。
平行面部246bにおける設置面248側の面の先端部分には、設置面248に向かって突出された凸部が掛止凸部246cとして設けられている。
副凸部247は、例えば、三角柱形状の凸部とされている。
【0337】
恒久ハーネス群HAは、主凸部246の掛止凸部246cと副凸部247によって抱え込まれるように保持される。掛止凸部246cと副凸部247によって保持された恒久ハーネス群HAを第1のフック245から取り外すためには、主凸部246を外方(設置面248から遠ざけるように)変形させることにより、掛止凸部246cを設置面248から離して取り外す。しかし、取り外し作業の際に主凸部246が欠損してしまう虞があるため、取り外し作業の発生がしにくい恒久ハーネス群HAを掛止するのに第1のフック245が好適である。
【0338】
消耗ハーネスHB1,HB2,・・・をまとめた消耗ハーネス群HBは、第2のフック249によって遊技機1の内壁等に取り付けられている。
第2のフック249は、遊技機1の内壁等に設けられた掛止凹部250と掛止凹部250に一部が挿入される掛止バンド部251から成る。
掛止凹部250は、凹部の入口が矩形状とされ、入口よりも底の面積が広くされたL字形状の孔とされている。凹部の深さ方向の中央には、底を向く面とされた掛止面250aが形成されている。
掛止バンド部251は、一本のバンドを折り曲げた形状とされており、ハーネスを押さえるための抑え部251aと、抑え部251aに連続した部分とされ掛止凹部250に挿入される第1挿入部251bと、第1挿入部251bに連続し第1挿入部251bを略180°折り曲げた形状とされ先端部分が掛止凹部250の外に突出された第2挿入部251cを備えている。
第2挿入部251cには、掛止凹部250の掛止面250aによって凹部の外へ向かう移動が規制される掛止凸部251dが設けられている。
【0339】
消耗ハーネス群HBは、第2のフック249が設置されている設置面252と、抑え部251aに挟持されることにより保持されている。
第2のフック249に保持されている消耗ハーネス群HBを取り外すためには、第2挿入部251cの先端部分を抑え部251aに近づける方向へ弾性変形させる作業を行う。この作業により、掛止面250aと掛止凸部251dの係合状態が解消されて第1挿入部251b及び第2挿入部251cを掛止凹部250から引き抜くことが可能となり、第2のフック249から消耗ハーネス群HBを取り外すことが可能となる。
このような取り外し作業は、第1のフック245よりも容易に行うことができるため、消耗ハーネス群HBの保持や固定に第2のフック249を用いることが好適である。
【0340】
消耗ハーネスHB1,HB2,・・・が結束バンド244や封印バンド218以外の方法でまとめられた消耗ハーネス群HBについて、
図78Aを参照して説明する。
図示するように、消耗ハーネス群HBは、幅広の環状体253で全周を巻かれることによってまとめられている。環状体253は、例えば熱可塑性樹脂などによって形成されている。
環状体253の幅は、消耗ハーネス群HBの中で保護されるべき部分の長さに応じたものとされている。
【0341】
例えば、下扉4に取り付けられた基板と本体ケース2に取り付けられた基板を接続するための消耗ハーネスHB1,HB2,・・・をまとめた消耗ハーネス群HBに対して、環状体253が取り付けられる場合、下扉4と本体ケース2の間に挟み込んでしまう虞のある部分の長さよりも幅が広い環状体253とされている。
上記のように消耗ハーネス群HBとしてまとめる際に、例えば幅が数mm程度の結束バンド244を用いてしまうと、消耗ハーネス群HBとしてまとめられた一本の消耗ハーネスHB1を構成する配線1本のみを下扉4と本体ケース2の間に挟み込んでしまっても作業者がきがつきにくい虞がある。また、挟み込んでしまった場合に断線してしまう可能性が高まる。
【0342】
一方、消耗ハーネス群HBとしてまとめる際に、例えば幅が数十cmとされた環状体253を用いることによって、下扉4と本体ケース2の間に配線1本のみを挟み込んでしまう虞を解消することができる。また、挟み込んでしまう場合には、環状体253及び消耗ハーネス群HBを共に挟み込んでしまうことになるため、作業者はほぼ確実に挟み込んでしまった状態を認識することができる。また、挟み込んだ場合の衝撃を環状体253が吸収するため、消耗ハーネスHB1,HB2,・・・が断線してしまう可能性を低減させることができ、部品コストの増大を抑制することができる。
【0343】
恒久ハーネス群HAのたるみを解消するための別の方法について、
図78B,
図78C,
図78Dを参照して説明する。
図78Bには、第3のフック254を用いて保持された恒久ハーネス群HAが図示されている。図示するように、第3のフック254は、第1凸部255と第2凸部256から成る。
第1凸部255は、第3のフック254が設置されている設置面257から垂直に屹立する部分とされた垂直面部255aと、垂直面部255aに連続し設置面257に対して平行な部分とされた平行面部255bを備えている。
第2凸部256は、第1凸部255と略同じ形状とされた垂直面部256aと、垂直面部256aから第1凸部255の方へ突出された平行面部256bを備えている。
第1凸部255の平行面部255bの先端部分と第2凸部256の平行面部256bの先端部分の間には間隙が設けられている。
【0344】
設置面257と第1凸部255と第2凸部256に囲まれた空間に恒久ハーネス群HAが保持される。
ハーネス群を第3のフック254から取り外すためには、第1凸部255の平行面部255bや第2凸部256の平行面部256bを弾性変形させる必要がある。取り外し作業の際に、弾性変形させた部分が欠損してしまう虞があるため、取り外し作業の発生がしにくい恒久ハーネス群HAを掛止するのに第3のフック254は好適である。
【0345】
図78Cには、第4のフック258を用いて保持された恒久ハーネス群HAが図示されている。図示するように、第4のフック258は、金属等で形成された半円状のリング形状とされている。
第4のフック258によって恒久ハーネス群HAのたるみを解消するためには、第4のフック258の近くに持ってきた恒久ハーネス群HAとリング状の第4のフック258を結束バンド244や先の封印バンド218でまとめて結束することにより恒久ハーネス群HAを保持する。
例えば先の封印バンド218を用いる場合、封印バンド218が結束状態を解除するのに不向きな構造とされていることから、取り外し作業の発生がしにくい恒久ハーネス群HAを掛止するのに第4のフック258は好適である。
なお、結束バンド244が結束状態と非結束状態を容易に変えられるものである場合には、消耗ハーネス群HBを保持する場合に好適である。
【0346】
図78Dには、第5のフック259を用いて保持された恒久ハーネス群HAが図示されている。図示するように、第5のフック259は、図示しない螺子孔が形成された設置面260と、設置面260に取り付けられる例えば金属製の抑え部材261を備えている。
抑え部材261は、螺子孔262が形成された両端部分とされた平面部263と、平面部263の間の部分とされアーチ形状に形成されたアーチ形状部264から成る。
第5のフック259によって恒久ハーネス群HAのたるみを解消するためには、設置面260の螺子孔(不図示)の間に恒久ハーネス群HAを位置させた状態で、抑え部材261の平面部263を螺子1000によって設置面260に取り付けることにより行う。
ハーネス群の保持状態を解消するためには、螺子1000を抜去するためのドライバなどの道具を用いる必要があることから、取り外し作業の発生がしにくい恒久ハーネス群HAを掛止するのに第5のフック259は好適である。
なお、アーチ形状部264は必ずしもアーチ形状とされていなくてもよい。例えば保持するハーネスがフレキシブルプリント基板などのように薄いものであれば、保持した状態がアーチ形状とされる必要はない。
【0347】
消耗ハーネス群HBのたるみを解消するために第6のフック265を利用する例について、
図79A及び
図79Bを参照して説明する。
第6のフック265は、取付面266に対して垂直に立てられて取り付けられる取付部267と、ハーネスを押さえることによってハーネスを保持する抑え部268と、抑え部268を取付部267に対して回動させるための機構を備えた回動部269から成る。
取付部267と抑え部268を略一直線となるように回動部269を回動させた状態を「開放状態」とし、取付部267に対して抑え部268を略90°折り曲げた状態を「保持状態」とする。
【0348】
図79Aは開放状態を示す図である。
図79Bは保持状態を示す図である。
開放状態とされた第6のフック265を保持状態とすることによって、消耗ハーネス群HBのたるみを解消し、消耗ハーネス群HBが部品間に挟み込まれてしまう虞やメンテナンス作業者が誤って引っ張ってしまう虞などを排除することが可能である。また、消耗ハーネス群HBは定期的に交換することが必要となるが、第6のフック265は保持状態から開放状態へと変えることが可能であるため、消耗ハーネス群HBの交換を容易に行うことが可能である。
また、消耗ハーネス群HBに張りを持たせた状態で保持することにより、遊技機1の上扉21や下扉4を開放して行う作業(例えば、メダル補充作業など)を行う際に、消耗ハーネス群HBが作業の邪魔となってしまう可能性を抑制することができる。そして、作業中に消耗ハーネス群HBに触れてしまい、断線させてしまう虞を抑制でき、余分なハーネスの交換作業が発生してしまう虞を低減させ、部品交換コストの発生を抑えることができる。
【0349】
特に保持状態ではハーネスが最大限緩み部分が無いようにすることができる。これは第6のフック265における抑え部268が開放状態と保持状態で回動可能とされていることによる。
保持状態ではハーネスを係止した状態で固定されるが、この場合にハーネスが最大限(ハーネス自体に負荷が係らない限度で)、ピン張りされることになるように第6のフック265の配置位置が設定されればよい。
一方、取り替えなどでハーネスを外すときは、抑え部268を開放状態に回動させれば良い。つまり、取り外しのためにハーネスに余裕を持たせた状態で保持するという必要が無いことを意味する。
従って保持状態でハーネスの撓みを最大限なくすことが可能で、挟み込みなどによる損傷をより有効に防止できる。
また、ハーネスを抑えて保持する抑え部268が、保持状態と開放状態となるように回動可能に構成されている。抑え部268の回動により、容易に保持状態と開放状態を切り替えることができ、メンテナンス時にハーネスの取り外しや装着が容易となる。
【0350】
[9−3.基板の複層化]
遊技機1の内部には、各種の基板が配置されている。各基板には、基板同士を接続するハーネスが取り付けられており、各基板の配置によってはハーネスの長さが長くなるため、ハーネスの取り回しが煩雑になる虞がある。また、ハーネスが長い場合には、遊技機1の上扉21や下扉4を開けて行う作業がし難くなってしまう虞がある。そして、作業中にハーネスを引っ張ってしまい、断線させてしまう虞が生じる。
【0351】
図80Aには、二つの基板ケースA1,A2を示している。
基板ケースA1の中には、二つの電子回路基板K1,K2が収納されている。
基板ケースA1には、電子回路基板K1に設けられたコネクタ端子T1をケース外に表出させるための端子孔Atが形成されている。更に、基板ケースA1には、電子回路基板K2に設けられたコネクタ端子T2をケース外に表出させるための端子孔Atが形成されている。
基板ケースA1から表出されたコネクタ端子T1及びT2には、それぞれハーネスC1,C2が接続されている。
ハーネスC1,C2のもう一方の端部は、基板ケースA2から表出されたコネクタ端子T3及びT4に接続されている。
【0352】
電子回路基板K1及びK2は、取り付けられるハーネスC1,C2の行く先が同一の基板ケースA2とされている。これにより、ハーネスC1,C2は大部分が結束バンド244などによって一本にまとめられて遊技機1の内部に取り付けられている。
ハーネスの行き先が同じ基板ケース(或いは電子回路基板)となるような電子回路基板K1及びK2が同じ基板ケースA1に収納されることで、ハーネスC1,C2がまとめられて一本のハーネスのように扱うことが可能とされている。従って、遊技機1の内部におけるハーネスの取り回しも簡易となり、ハーネス同士が絡み合ってしまうことを防止することができる。即ち、遊技機1の内部がすっきりとした配線となることにより、各種作業のし易さが確保されると共に、ハーネスの取り替え作業も容易となる。そして、遊技機1の内部空間に余裕が生まれるため、ハーネスの取り回し経路が無闇に長くならないため、ハーネスの長さも短くて済み、ハーネスのコスト削減にも繋がる。
【0353】
またコネクタ端子T1及びT2は、基板ケースA1に対して同じ側に設けられている。これにより、コネクタ端子T1及びT2以外のコネクタ端子がない場合コネクタ端子T1及びT2が設けられていない側からハーネスが延びることはないため他の基板を設置するスペースを確保することが容易となる。
なお、コネクタ端子T1がコネクタ端子T2に対して基板ケースA1の反対側に設けられていてもよい。即ち、基板ケースA1の両面にコネクタ端子が設けられていてもよい。これにより、結束バンド244などによって一本にまとめる際に、ハーネスC1とハーネスC2がある程度区別できる態様でまとめることができる。従って、ハーネスを取り外す際に、異なるハーネス同士が絡まることを防止することができる。
【0354】
別の例について、
図80Bに示す。
図80Bには、三つの基板ケースA3,A4,A5を示している。
基板ケースA3には図示しない電子回路基板が収納されており、基板ケースA3の表面には電子回路基板に設けられたコネクタ端子T5をケース外に表出させるための端子孔Atが形成されている。基板ケースA3から表出されたコネクタ端子T5には、ハーネスC3の一端が接続されている。
基板ケースA4にも同様にコネクタ端子T6を表出させるための端子孔Atが形成されており、ハーネスC4の一端が接続されている。
ハーネスC3,C4の他端は、基板ケースA5から表出されたコネクタ端子T7及びT8にそれぞれ接続されている。
【0355】
図80Bに示す構成であっても、前述したものと同様の効果を得ることができる。即ち、ハーネスC3,C4を一本のハーネスのように扱うことができ、遊技機1の内部空間におけるハーネスの取り回しも容易となる。そして、遊技機1の内部で行う各種の作業がし易くなり、ハーネスの交換作業も容易となる。
【0356】
[9−4.メダル払出装置と電源監視基板ユニット]
電源監視基板601aを備えた電源監視基板ユニット601は、メダル払出装置5の後方に配置されている。
メダル払出装置5と、電源監視基板ユニット601の電源監視基板ケース601bの形状等について、
図11、
図3及び
図22を参照して説明する。
【0357】
メダル払出装置5は、メダルタンク5aとその下方に配置されている払出ケース5bを備えており、払出ケース5bの内部には、メダルを払出口5dに運ぶための搬送機構が設けられている(
図11参照)。
メダルタンク5aは、搬送機構にメダルを集約させるために略すり鉢状の形状とされている。従って、メダル払出装置5においては、メダルタンク5aの後部形状が下方に行くほど前方に変位する傾斜面とされている。
また、メダル払出装置5の払出ケース5bの下部は、安定した設置状態を保つために、先のすり鉢状の底の部分よりも前後方向に長い形状とされた土台部5eとされている。土台部5eとメダルタンク5aの間の部分である払出ケース5bは、図示するように、くびれた部分とされている。
払出ケース5bの下端には、左右両側の端部に左右方向に突出された位置決めリブ5fが設けられている(
図11参照)。
【0358】
本体ケース2の底板7には、
図3に示すように、メダル払出装置5を取り付けるための取付板金270が取り付けられている。
取付板金270は、払出ケース5bを上方から抑えるための抑え凸部270aを備えている。
メダル払出装置5の位置決めリブ5fが取付板金270の抑え凸部270aの下方に位置するように前方からスライドさせることにより、メダル払出装置5の遊技機1への取り付けが行われる。
【0359】
メダル払出装置5の後方に配置された電源監視基板ケース601bは、先のくびれた部分に形成されたスペースに配置されている。そのため、電源監視基板ケース601bは略立方体形状とされているが、一部が上方に行くほど後方へ変位するようにされた斜め上を向く傾斜部601cを有している(
図22参照)。
【0360】
電源監視基板ケース601bは一部が傾斜部601cとされていることにより、メダルを搬送装置に集約させるために形成されたメダルタンク5aの傾斜面に沿う形状となり、メダル払出装置5が備えるくびれ部分に配置することが可能となる。従って、メダルタンク5aの後方の空間を有効利用することが可能とされている。
遊技機1には内部に各種の部品が取り付けられており、遊技機1の内部空間には限りがあることから、メダル払出装置5の後方に形成された空間などを有効利用することは、他の部品の配置余裕を確保することにも繋がるため、非常に有効である。そして、遊技機1の内部のメンテナンス作業などの作業空間を確保することにも繋がることからも有効である。
【0361】
また、電源監視基板ケース601bがメダル払出装置5の後方に形成された空間に配置可能な形状とされているため、メダル払出装置5を後方へ押し込んだとしても、図示するように電源監視基板ケース601bに接触することが回避される。従って、遊技機1にメダル払出装置5を取り付ける際に電源監視基板ケース601bを破損してしまう虞がなく、内部に配置された電源監視基板601aを壊してしまうこともない。
【0362】
[9−5.電源基板ユニットと電源監視基板ユニットの配置]
遊技機1の下部、即ち下扉4の後方には、電源基板600aを内包する電源基板ユニット600と、電源監視基板601aを内包する電源監視基板ユニット601が取り付けられている。
電源基板ユニット600と電源監視基板ユニット601の位置関係について、各図を参照しながら説明する。
【0363】
図3は、電源基板ユニット600と電源監視基板ユニット601が遊技機1の内部に配置されている状態を示す斜視図である。
図示するように、電源基板ユニット600は底板7上における左端に設置されている。電源監視基板ユニット601は前述したように、左右方向の略中央における後方の位置に背板11に取り付けられることによって配置されている。
【0364】
先ず、電源基板ユニット600の取り付けについて、
図81を参照して説明する。なお、
図81は、遊技機1から底板7及び左の側板9を外した状態を下方から示した斜視図である。
電源基板ユニット600は、例えば薄い金属によって形成された電源基板ケース600bを備えている。電源基板ケース600bは、内部に配置された電源基板600aの実装面が左右方向を向くように取り付けられている。
電源基板ケース600bは、前面下端部から前方に突出された取付凸部600cを備えている。取付凸部600cは、上下方向を向く金属板とされ、螺子孔が一つ形成されている。
電源基板ケース600bは、下面からは、後部側の下面から下方及び後方に突出された被抑え舌片600dが設けられている。
本体ケース2の底板7に取り付けられた取付板金270は、電源基板ケース600bの下方に位置する部分に抑え舌片270bが設けられている。
【0365】
電源基板ケース600bは、被抑え舌片600dを抑え舌片270bの下方に差し込んだ後に取付凸部600cを螺子止めすることによって本体ケース2に固定される。
【0366】
電源基板ケース600bに内包された電源基板600aは、部品実装面にトランスが取り付けられているため、重量が重くなりがちである。そのため、輸送時などの振動により、取り付け部分に掛かる負担が増大する。これにより、電源基板ユニット600は運送時等に発生する揺れなどの衝撃に弱い構造とされている。
また、電源基板ユニット600は、底板7に平置き状態で設置されているわけではなく、立てた状態で設置されているため、左右方向の揺れに弱い。
更に、電源基板ケース600bは、前方の取付凸部600cと後部側に位置する被抑え舌片600dによって前後方向に離隔した部分が取り付けられていることからも、前後方向の揺れに強く左右方向の揺れに弱い構造とされる。
【0367】
輸送時などにおいて、電源基板ユニット600に揺れの衝撃が加わると、被抑え舌片600dが抑え舌片270bを押し曲げて電源基板ユニット600が横倒しになってしまう虞がある。
そこで、本実施の形態の遊技機1においては、電源監視基板ユニット601を電源基板ユニット600の電源基板ケース600bの右側面に接するように配置している。
これにより、電源基板ユニット600が側方(即ち右方)に横倒しになってしまうことを防止している。
【0368】
基板ケースの配置によって電源基板ユニット600の設置状態の安定性を向上していることから、良好な設置状態を保つための新たな部材を取り付ける必要がなく、部品コストや取り付け作業工数の削減を図ることができる。
また、電源基板ユニット600を固定するためだけに用いられる部材としては、前方の取付凸部600cに設けられた螺子孔に取り付けられる螺子1000のみである。換言すれば、電源監視基板ユニット601の配置を工夫することによって電源基板ユニット600の固定に用いる部材を必要最低限となる螺子1個としている。
即ち、螺子1000を取り付けるだけで、電源基板ユニット600の取り付け作業が完了する。これにより、作業工数の削減や部品点数の削減を図ることができる。また、取り付け作業だけでなく、故障時などの取り外し作業においても、作業工数の削減を見込むことができる。
【0369】
[9−6.基板ユニットの取り付け方法]
遊技機1には、様々な基板ユニットが取り付けられている。基板ユニットには、汎用性を持たせるために、複数種類の取り付け方法を選択可能に構成されているものがある。
具体的に、
図82A,
図82B,
図83A,
図83Bを参照して説明する。
【0370】
電子回路基板271と基板ケース272とを有する基板ユニット273は、フック止めによる取り付け方法と、螺子止めによる取り付け方法が選択可能な構造とされている。
各図に示すように、略立方体形状とされた基板ユニット273には、一端から外方へ突出された板状の第1取付リブ274が二つ設けられている。それぞれの第1取付リブ274には、螺子孔275が設けられている。
基板ユニット273には、第1取付リブ274が設けられている端部とは別の端部に外方に向けて突出された第2取付リブ276が設けられている。例に挙げる基板ユニット273には、二つの第2取付リブ276が別の端部に設けられている。第2取付リブ276は板状とされ、略中央部に螺子孔277が形成されている。
【0371】
図82A及び
図82Bは、基板ユニット273を遊技機1に設けられた基板の取付部278にフック止めによって取り付ける場合について説明した図である。
遊技機1に設けられた取付部278には、基板ユニット273が載置されるための段差が設けられており、高くされた部分は第1の高段部279とされている。第1の高段部279には、取り付けられた基板ユニット273に向かって開放されている二つの位置決め凹部280が長手方向に離隔して設けられている。
【0372】
取付部278には、基板ユニット273を挟んで第1の高段部279とは逆側に第2の高段部281が設けられている。第1の高段部279と第2の高段部281の間の部分は取付面282とされている。
第2高段部281には、取付面282から離隔する方向に基板ユニット273が移動してしまうことを抑制するフック部283が取り付けられている。
フック部283は、例えば円柱形状とされ軸回り方向に回動可能な回動部283aと、回動部283aの周面から突設された抑え凸部283bとを備えている。
抑え凸部283bは、取付面282の上方から待避した位置とされる開放位置と取付面282の上方に一部が位置する抑え位置の間で回動可能とされている。
【0373】
図82Aは、取付部278に基板ユニット273が取り付けられる前の状態を示しており、抑え凸部283bが開放位置とされている。
図82Bは、取付部278に基板ユニット273が取り付けられた状態を示しており、抑え凸部283bが抑え位置とされている。
図示するように、基板ユニット273の二つの第1取付リブ274を位置決め凹部280にそれぞれ嵌合させた後に、フック部283の回動部283aを回動させることにより抑え凸部283bを抑え位置に移動させることによって基板ユニット273を取付部278に固定させることができる。
この取り付け方法は、螺子等の取り付け部品を用いない方法であり、取り付け作業に必要な工具が不要とされている。これにより、基板ユニット273の取り付け作業及び取り外し作業が容易となり、作業工数の削減や部品点数の削減を図ることができる。
なお、取付面282が他の基板ユニットの外周面によって形成されている場合がある。このような場合には、当該他の基板ユニットの取り外しを行うためには、基板ユニット273の取り外しが必要となるが、基板ユニット273がフック部283を利用した工具不要の取り付け方法とされていることにより、当該他の基板ユニットの取り外しを行う必要性が生じた場合に作業効率の向上を図ることができる。
【0374】
なお、第1の高段部279や第2の高段部281が取付部278に設けられていなくてもよい。例えば、取付部278が略平面とされた取付面282によって構成され、位置決め凹部280の位置には立方体形状の凸部が設けられ、該凸部に位置決め凹部280が形成されていてもよい。また、フック部283は、取付面282に設けられていてもよい。この場合には、フック部283の回動部283aが取り付けられる基板ユニット273の高さよりも高い円柱形状とされ、抑え凸部283bは回動部283aにおいて基板ユニット273の高さと略同じ位置に設けられる。
また、基板ユニット273には、抑え凸部283bに抑えられるリブが設けられていてもよく、その場合には、抑え凸部283bの位置は該リブと略同じ高さに設けられる。
【0375】
図83A及び
図83Bは、基板ユニット273を遊技機1に設けられた基板の取付部284に螺子止めによって取り付けられる場合について説明した図である。
遊技機1に設けられた取付部284は略平面とされ、四つの螺子孔285が形成されている。
図83Aは、基板ユニット273が取付部284に取り付けられる前の状態を示しており、
図83Bは、基板ユニット273が螺子1000によって取付部284に取り付けられた状態を示している。
基板ユニット273は、第1取付リブ274に設けられた螺子孔275及び第2取付リブ276に設けられた螺子孔277と、取付部284に設けられた螺子孔285を螺子1000によって螺合することにより取り付けられる。
基板ユニット273は、螺子によって取り付けられることにより、取付部284にしっかりと取り付けることができる。取り外し作業にはドライバなどの道具を必要とすることから、基板ユニット273の取り外しに一定の労力が必要となり、電子回路基板271を交換されることによる不正行為を抑制することができる。
【0376】
基板ユニット273の基板ケース272が備える第1取付リブ274に螺子孔が形成されることにより、第1取付リブ274を位置決めのための部分として用いる方法や螺子止めによって固定される部分として用いる方法の二つの方法から取り付け方法を選択することが可能とされている。即ち、基板ユニット273は二つの取り付け方法を選択可能に構成されている。
これにより、遊技機1に設けられた取り付け場所に応じて適切な固定方法を選択することができるため、作業工数の削減や不正行為の抑制に寄与することができる。
また、基板ケース272の共通化を図ることができるため、様々な電子回路基板に対して同型の基板ケース272を採用することができる。これにより、製造コストの削減が可能となる。
【0377】
<10.装飾部品の取り付け>
遊技機1には、各種の装飾部品が取り付けられる。例えば、内部にLED等が配置され演出の際に光る部品や、演出に応じて可動する部品等がある。
それらの中には、遊技者に視認しやすいように、遊技機1の前方に配置されるものが多い。即ち、上扉21や下扉4に取り付けられる部品が多い。
以降では、上扉21を例にして説明する。
【0378】
ところで、上扉21は、垂直に取り付けられるのではなく、前述したように垂直に対してやや上方を向くように(例えば略6°上方を向くように)取り付けられている。
このような上扉21の樹脂部分を射出成形等で製造する場合には、例えば、
図84に示すように、上扉21の樹脂部分を上扉板金30に取り付けるために該樹脂部分に形成される取付孔286や、上扉21に装飾部品を取り付けるための取付凸部287がやや上方を向くようにされる。即ち、上扉21の樹脂部分を製造する際の金型の抜き方向が取付孔286や取付凸部287の軸方向とされている。
【0379】
ところが、装飾部品を取り付けるための取付凸部287がやや上方を向くように設けられている場合、装飾部品を単純に取り付けることができなくなる。
例えば、
図85に示す装飾部品288には、前方に突出する突出部289が設けられており、該突出部289が略水平になるように装飾部品288を取り付ける場合には、
図86Aに示すように装飾部品288の背面側に斜めの取付孔290を形成するか、或いは
図86Bに示すように斜めの取付孔290を形成したスペーサ291を装飾部品288の背面に取り付けることが考えられる。
【0380】
しかし、
図86Aに示す装飾部品288は、樹脂等を用いた射出成形によって形成することを考えると、金型の抜き方向が突出部289と取付孔290で異なるため、スライド金型などを用いる必要性などが生じる。従って、金型のコストが増大してしまう虞や、生産性が減少してしまう虞が生じる。
また、
図86Bに示す装飾部品288は、スペーサ291を用いているため、部品コストの増加や部品点数の増加により、遊技機1の製造工数の増加や製造コストの増加を招来してしまう。
【0381】
そこで、上扉21の樹脂部分に形成される取付孔286や取付凸部287が予め水平となるように上扉21の樹脂部分を射出成形で形成することが考えられる(
図87A参照)。
しかし、このままでは、
図87Bに示すように、螺子1000を用いて上扉21の樹脂部分を上扉板金30に取り付ける場合に、螺子1000の螺子頭の一部が上扉板金30の後面から浮いてしまい、固定状態の安定性を欠いてしまう可能性が生じる。
【0382】
従って、本実施の形態においては、
図88Aに示すように、上扉板金30に形成される螺子1000用の螺子孔292の周辺部分が、略垂直な面とされた垂直面部293とされている。
これにより、螺子1000を螺子孔292に取り付けた際に、螺子1000の螺子頭が垂直面部293の後面から浮くことがなく、固定状態の安定性を確保することができる(
図88B参照)。
また、突出部289が略水平に突出されるように装飾部品288を上扉21の樹脂部分に取り付ける際に、突出部289の突出方向と取付孔290の軸方向が同一方向とされているため、装飾部品288を射出成形で形成する場合にスライド金型などの特殊な金型を用いることなく形成することが可能となる。また、スペーサ291を用いずに取り付けることが可能となる。従って、金型のコスト削減や部品点数の削減や部品コストの削減、遊技機1を組み立てる際の作業効率の向上や作業工数の削減を図ることができる。
なお、上記した例では上扉21を用いたが、下扉4を同様の構成としてもよい。
【0383】
<11.弾球遊技機>
上記説明では、本発明が回胴式遊技機(いわゆるスロット遊技機)としての遊技機1に適用される例を示したが、回胴式遊技機としての遊技機1に特有の構成が必要となる部分を除いて、パチンコ遊技機のような弾球遊技機にも好適に適用できるものである。
具体的に
図89及び
図90を参照して、上述した各種構造を適応可能な弾球遊技機2100の構成を説明する。
図89は実施の形態の弾球遊技機2100の外観を示す正面側の斜視図であり、
図90は遊技盤の正面図である。
図89,
図90に示す弾球遊技機2100は、主に「枠部」と「遊技盤部」から成る。
「枠部」は以下説明する前枠2102,外枠2104、ガラス扉2105、操作パネル2107を有して構成される。「遊技盤部」は
図90の遊技盤2103から成る。以下の説明上で、「枠部」「枠側」とは前枠2102,外枠2104、ガラス扉2105、操作パネル2107の総称とする。また「盤部」「盤側」とは遊技盤2103を示す。
【0384】
図89に示すように弾球遊技機2100は、木製の外枠2104の前面に額縁状の前枠2102が開閉可能に取り付けられている。図示していないが、この前枠2102の裏面には遊技盤収納フレームが形成されており、その遊技盤収納フレーム内に
図90に示す遊技盤2103が装着される。これにより遊技盤2103の表面に形成した遊技領域2103aが前枠2102の開口部2102aから
図89の弾球遊技機2100の前面側に臨む状態となる。
なお遊技領域2103aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉2105が設けられており、遊技領域2103aは透明ガラスを介して前面の遊技者側に表出される。
【0385】
ガラス扉2105は軸支機構2106により前枠2102に対して開閉可能に取り付けられている。そしてガラス扉2105の所定位置に設けられた扉ロック解除用キーシリンダ2101を操作することで、前枠2102に対するガラス扉2105のロック状態を解除し、ガラス扉2105を前側に開放できる構造とされている。また扉ロック解除用キーシリンダ2101の操作によっては、外枠2104に対する前枠2102のロック状態も解除可能な構成とされている。
またガラス扉2105の前面側には、枠側の発光手段として装飾ランプ2120wが各所に設けられている。装飾ランプ2120wは、例えばLEDによる発光動作として、演出用の発光動作、エラー告知用の発光動作、動作状態に応じた発光動作などを行う。
【0386】
ガラス扉2105の下側には操作パネル2107が設けられている。この操作パネル2107も、図示しない軸支機構により、前枠102に対して開閉可能とされている。
操作パネル2107には、上受け皿ユニット2108、下受け皿ユニット2109、発射操作ハンドル2110が設けられている。
【0387】
上受け皿ユニット2108には、弾球に供される遊技球を貯留する上受け皿2108aが形成されている。下受け皿ユニット2109には、上受け皿2108aに貯留しきれない遊技球を貯留する下受け皿2109aが形成されている。
また上受け皿ユニット2108には、上受け皿2108aに貯留された遊技球を下受け皿2109a側に抜くための球抜きボタン2116が設けられている。下受け皿ユニット2109には、下受け皿2109aに貯留された遊技球を弾球遊技機2100の下方に抜くための球抜きレバー2117が設けられている。
また上受け皿ユニット2108には、図示しない遊技球貸出装置に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン2114と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン2115とが設けられている。
さらに上受け皿ユニット2108には、演出ボタン2111,2112、十字キー2113が設けられている。演出ボタン2111,2112は、所定の入力受付期間中に内蔵ランプが点灯されて操作可能となり、その内蔵ランプ点灯時に押下することにより演出に変化をもたらすことができる押しボタンとされる。また十字キー2113は遊技者が演出状況に応じた操作や演出設定等のための操作を行う操作子である。
【0388】
発射操作ハンドル2110は操作パネル2107の右端部側に設けられ、遊技者が弾球のために発射装置(不図示)を作動させる操作子である。
また前枠2102の上部の両側と、発射操作ハンドル2110の近傍には、演出音を音響出力するスピーカ2125が設けられている。
【0389】
次に
図90を参照して、遊技盤2103の構成について説明する。遊技盤2103は、略正方形状の木製合板または樹脂板を主体として構成されている。この遊技盤2103には、発射された遊技球を案内する球誘導レール2131が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール2131に取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域2103aとなっている。
【0390】
この遊技領域2103aの略中央部には、主液晶表示装置2132M(例えばLCD)が設けられ、また主液晶表示装置2132Mの右側には副液晶表示装置2132Sが設けられている。
主液晶表示装置2132Mでは、演出制御基板の制御の下、背景画像上で、例えば左、中、右の3つの装飾図柄の変動表示が行われる。また通常演出、リーチ演出、スーパーリーチ演出などの各種の演出画像の表示も行われる。副液晶表示装置2132Sも、同様に各種演出に応じた表示が行われる。
【0391】
また遊技領域2103a内には、主液晶表示装置2132M及び副液晶表示装置2132Sの表示面の周囲を囲むように、センター飾り2135Cが設けられている。
センター飾り2135Cは、そのデザインにより装飾効果を発揮するだけでなく、周囲の遊技球から主液晶表示装置2132M及び副液晶表示装置2132Sの表示面を保護する作用を持つ。さらにセンター飾り2135Cは、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長による遊技球の流路の左右打ち分けを可能とする部材としても機能する。すなわち球誘導レール2131を介して遊技領域2103a上部に打ち出された遊技球の流下経路は、センター飾り2135Cによって分割された左遊技領域2103bと右遊技領域2103cのいずれかを流下することとなる。いわゆる左打ちの場合、遊技球は左遊技領域2103bを流下していき、右打ちの場合、遊技球は右遊技領域2103cを流下していく。
【0392】
また左遊技領域2103bの下方には、左下飾り2135Lが設けられ、装飾効果を発揮するとともに左遊技領域2103bとしての範囲を規定する。
同様に右遊技領域2103cの下方には右下飾り2135Rが設けられ、装飾効果を発揮するとともに左遊技領域2103bとしての範囲を規定する。
なお、遊技領域2103a(左遊技領域2103b及び右遊技領域2103c)内には、所要各所に釘2149や風車2147が設けられて遊技球の多様な流下経路を形成する。
また主液晶表示装置2132Mの下方にはセンターステージ2135Sが設けられており、装飾効果を発揮するとともに、遊技球の遊動領域として機能する。
なお図示していないが、センター飾り2135Cには、適所に視覚的演出効果を奏する可動体役物が設けられている。
【0393】
遊技領域2103aの右上縁付近には、複数個のLEDを配置して形成されたドット表示器による図柄表示部2133が設けられている。
この図柄表示部2133では、所定のドット領域により、第1特別図柄表示部、第2特別図柄表示部、及び普通図柄表示部が形成され、第1特別図柄、第2特別図柄、及び普通図柄のそれぞれの変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作)が行われる。
なお、上述した主液晶表示装置2132Mは、図柄表示部2133による第1、第2特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示する。
【0394】
センター飾り2135Cの下方には、上始動口2141(第1の特別図柄始動口)を有する入賞装置が設けられ、さらにその下方には下始動口2142a(第2の特別図柄始動口)を備える普通変動入賞装置2142が設けられている。
上始動口2141及び下始動口2142aの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサが形成されている。
上始動口2141は、図柄表示部2133における第1特別図柄の変動表示動作の始動条件に係る入賞口で、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置となっている。
【0395】
下始動口2142aを有する普通変動入賞装置2142は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されている。すなわち下始動口2142aを開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)2142bを備えた、いわゆる電動チューリップ型の入賞装置である。
この普通変動入賞装置2142の下始動口2142aは、図柄表示部2133における第2特別図柄の変動表示動作の始動条件に係る入賞口である。そして、この下始動口2142aの入賞率は可動翼片2142bの作動状態に応じて変動する。すなわち可動翼片2142bが開いた状態では、入賞が容易となり、可動翼片2142bが閉じた状態では、入賞が困難又は不可能となるように構成されている。
【0396】
また普通変動入賞装置2142の左右には、一般入賞口2143が複数個設けられている。各一般入賞口2142の内部には、遊技球の通過を検出する検出センサが形成されている。
また右遊技領域2103cの下部側には、遊技球が通過可能なゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口2144が設けられている。この普通図柄始動口2144は、図柄表示部2133における普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出するセンサが形成されている。
【0397】
右遊技領域2103c内の普通図柄始動口2144から普通変動入賞装置2142へかけての流下経路途中には第1特別変動入賞装置2145(特別電動役物)が設けられている。
第1特別変動入賞装置2145は、突没式の開放扉2145bにより第1大入賞口2145aを閉鎖/開放する構造とされている。また、その内部には第1大入賞口2145aへの遊技球の通過を検出するセンサが形成されている。
第1大入賞口2145aの周囲は、右下飾り2135Rが遊技盤2103の表面から膨出した状態となっており、その膨出部分の上辺及び開放扉2145bの上面が右流下経路2103cの下流案内部を形成している。従って、開放扉2145bが盤内部側に引き込まれることで、下流案内部に達した遊技球は容易に第1大入賞口2145aに入る状態となる。
【0398】
また普通変動入賞装置2142の下方には、第2特別変動入賞装置2146(特別電動役物)が設けられている。第2特別変動入賞装置2146は、下部が軸支されて開閉可能な開放扉2146bにより、その内側の第2大入賞口2146aを閉鎖/開放する構造とされている。また、その内部には第2大入賞口2146aへの遊技球の通過を検出するセンサが形成されている。
開放扉2146bが開かれることで第2大入賞口2146aが開放される。この状態では、左遊技領域2103b或いは右遊技領域2103cを流下してきた遊技球は、高い確率で第2大入賞口2146aに入ることとなる。
【0399】
以上のように盤面の遊技領域には、入賞口として上始動口2141、下始動口2142a、普通図柄始動口2144、第1大入賞口2145a、第2大入賞口2146a、一般入賞口2143が形成されている。
本実施の形態の弾球遊技機2100においては、これら入賞口のうち、普通図柄始動口2144以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に設定された入賞球1個当りの賞球数が遊技球払出装置(不図示)から払い出される。
なお、これらの各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口2148を介して遊技領域2103aから排出される。
ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、ゲートを遊技球が通過したりすることをいう。実際には入賞口ごとに形成されたセンサ(各入賞検出スイッチ)により遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。
【0400】
以上のような盤面において、センター飾り2135C、左下飾り2135L、右下飾り2135R、センターステージ2135S、第1特別変動入賞装置2145、第2特別変動入賞装置2146、さらには図示していない可動体役物には、詳細には図示していないが各所に、盤側の発光手段として装飾ランプ2120bが設けられている。
装飾ランプ2120bは、例えばLEDによる発光動作として、演出用の発光動作、エラー告知用の発光動作、動作状態に応じた発光動作などを行う。
【0401】
このような弾球遊技機2100において、上述した遊技機1(スロット遊技機)を用いて説明した各種の構成を適用することができる。具体的には、例えば、
図13,
図14等に示したような扉の開閉構造に掛かる構成は、弾球遊技機2100に適用してもスロット遊技機と同様の効果を得ることができる。
また、
図8,
図17,
図18,
図19,
図24等で説明した扉の取り外しに掛かる構成や扉の開放角度を規制するための構成は、弾球遊技機2100に適用することが可能である。
【0402】
そして、
図20,
図23等で説明した扉の開放順序に掛かる構成を弾球遊技機2100に適用することもできる。なお、先の例では、上下に扉が二つある構成を示したが、二つの扉が弾球遊技機2100の外枠2104とガラス扉2105のように前後に重ねられた構造であってもよい。即ち、一方の扉の一部分が他方の扉の一部分によって規制される構成とされていれば、同様の効果を得ることができる。
更に、
図27で説明した扉の外周側の垂れを防止する構成を弾球遊技機2100に適用することが可能である。
また、
図28,
図29,
図30等で説明したような扉の脱落防止構造を弾球遊技機2100に適用することも可能である。
【0403】
また、
図31,
図32,
図33等で説明したケースを構成する板状の部品の厚みを場所によって変える構成は、背板が設けられた弾球遊技機2100であれば適用することが可能である。
他にも、
図35等で説明したように、使用可否を選択できるような閉塞板85のような部材を保管可能な構造物を弾球遊技機2100に設けることも可能である。
また、
図36,
図37等で説明した鍵折れ対策のための構成を弾球遊技機2100に適用することが可能である。
【0404】
そして、
図38や
図39等で説明したようにメンテナンス作業中に表出するような基板を保護するためのカバーを設ける構成を弾球遊技機2100に適用することが可能である。
また、
図40等で説明した静電対策のための構成を弾球遊技機2100に適用することが可能である。例えば、操作パネル2107とキーシリンダ2101の間に設けられた間隙に弾性導電体を設置することにより、上述した各種の効果を奏する。
【0405】
そしてまた、
図41等で説明したような各種部品回りの不正対策を弾球遊技機2100に適用することが可能である。具体的には、演出ボタン2111,2112、十字キー2113が取り付けられる部分に同様の構成を適用することにより、不正対策の防止効果を得ることができる。
また、
図42で説明した板金同士を連結して剛性を高める構成を弾球遊技機2100に適用することができる。
【0406】
加えて、
図43乃至
図47の各図で説明したロック機構を弾球遊技機2100に適用することが可能である。例えば、外枠2104に対して前枠2102をロックするための機構に同様の構成を加えることができる。
また、
図48で説明したスピーカユニット周辺の間隙を弾性部材で閉塞する構成を弾球遊技機2100に適用することが可能である。
【0407】
また、
図49や
図50で説明したような複層構造とされた合板(或いは各種部品の配置)を弾球遊技機2100の各所に用いることもできる。
そして、
図51乃至
図59の各図で説明した演出ボタンの構成を弾球遊技機2100に適用することができる。具体的には、演出ボタン内部の基板の保持構造や演出ボタン内部に配置された振動ユニットと基板の位置関係やスイッチの過剰な押し込みを防止する構成や振動ユニットを弾性巻装材で巻装する構成などである。
加えて、
図60乃至
図62の各図で説明した演出ボタンの保持構造や遊技媒体(メダルや遊技球)が間隙へ入り込んでしまうことを防止する構造を弾球遊技機2100に適用することができる。
【0408】
また、
図63乃至
図65の各図で説明したスピーカユニットの不正防止対策のための構成や、
図66及び
図67で説明したスピーカユニットの前方に配置された部材に設けられた開口の形状等を弾球遊技機2100に適用することができる。
【0409】
そして、
図71で説明した払出経路に関わる部材の破損防止構造を弾球遊技機2100に適用することができる。例えば、遊技球の払い出しに関わる部材を同様の構成とすることが可能である。
また、弾球遊技機2100がブロアー機構を有する場合には、
図72で説明したブロアー機構の送風ダクトの構成を適用することができる。
【0410】
なお、弾球遊技機2100が有する部材を結束バンドで連結する場合には、
図73乃至
図76の各図で説明した封印バンドを用いることが可能である。
また、弾球遊技機2100が備える各種のハーネスに対して、
図77乃至
図80の各図で示した構成を適用することが可能である。
そして、弾球遊技機2100が備える各種の基板ユニットに対しては、
図82及び
図83で説明したような基板ケースに収納された基板ユニットを用いることが可能である。