【実施例】
【0296】
実施例1:CLDN18.2およびCD3を標的化する二重特異性結合剤の作製および試験
a.bi−scFv構築物の配列起源、設計および発現ベクターへのクローニング
ヒトT細胞受容体成分CD3およびヒト腫瘍関連抗原(TAA)に対して特異的である結合ドメインを含有する二重特異性のタンデム型単鎖抗体構築物(bi−scFv)を調製した。それぞれの構築物のための対応する可変重鎖領域(VH)および対応する可変軽鎖領域(VL)を具体的には、N末端からC末端に、下記の連続する順で配置した:
【化1】
【0297】
表1には、本発明の過程で作製された、TAA CLDN18.2およびPLAC1に対して特異的であるすべてのbi−scFv構築物がまとめられる。これらのbi−scFv構築物を、対応する抗体のVH配列およびVL配列を使用してGeneArt AG(GeneArt/Life Technologies GmbH、Regensburg、ドイツ)による遺伝子合成によって作製した。コドン最適化、例えば、ヒト(Homo sapiens)(HS)、ハツカネズミ(Mus musculus)(MM)またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)をGeneArt社のGeneOptimizer(登録商標)ソフトウエアによって実行した。これらが表1に示される。特異性、モノクローナル抗体(mAB)からの配列起源、コドン使用頻度、さらなる配列特徴、および、すべての適用されたドメインの参考文献に関する情報が表2にまとめられる。それぞれのCD3抗体の可変ドメイン配列起源が表2に示される。ヒトTAAおよびマウスTAAの大きい相同性のために、同じ抗TAA VH配列およびVL配列を、マウス特異的な抗CD3抗体クローン145−2C11のVH配列、VL配列との組合せでの場合を除いて、マウスアッセイのためのbi−scFv構築物の作製のために使用することができた。
DNAクローニングおよび発現ベクター構築を、当業者によって広く知られている標準的な手順(Green/Sambrook、Molecular Cloning、2012)に従って行った。簡単に記載すると、最初のbi−scFv DNA配列には、5'側でのHindIII制限部位および3'側でのXhoI制限部位(bi−scFv 1BiMABの場合にはHindIIIおよびXbaI)が発現プラスミドへのクローニングのために与えられた。分泌シグナル配列を細胞質から培養培地へのタンパク質分泌のために5'末端においてbi−scFv配列の上流側に導入した。15個〜18個のアミノ酸の柔軟なグリシン−セリンペプチドリンカーをコードする配列を、一方がCD3に結合し、かつ、他方がTAAに結合する単鎖可変抗体フラグメント(scFv)を組み立てるためのVHドメインおよびVLドメインをつなぎ合わせるために挿入した。二重特異性単鎖抗体を形成するために、これら2つのscFvドメイン配列を、短いペプチドリンカー(GGGGS)をコードする配列によってつないだ。このリンカー配列と一緒に、BamHI制限部位を、今後予定されているbi−scFV構築物のクローニングのためのscFvドメイン交換のために導入した。詳細には、5'側のscFvドメインをHindIIIおよびBamHIの制限によって交換することができ、3'側のscFvドメインをBamHIおよびXhoIの制限によって交換することができた。構築物の概要については、
図1もまた参照のこと。
すべての使用されたbi−scFv抗体構築物を標準的な哺乳動物発現ベクターのpcDNA(商標)3.1/myc−His(+)(Invitrogen/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)にクローン化した。C末端の6×Hisタグが、タンパク質の金属親和性精製のために、また、検出分析のために役立った。すべての構築物をMWGの単回読み取り配列サービス(Eurofins MWG Operon、Ebersberg、ドイツ)による配列決定によって確認した。
【0298】
【表1】
【0299】
【表2】
【0300】
b.安定な産生細胞株の作製
CLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質の安定な産生細胞クローンを作製するために、ヒト胚性腎臓細胞株HEK293(ATCC CRL−1573)およびチャイニーズハムスター卵巣細胞株CHO−K1(ATCC CCL−61)を使用した。
【0301】
HEK293のトランスフェクション
1×10
7個のHEK293細胞をトランスフェクションの2日前に、14.5cmの組織培養ディッシュに、20mlの完全DMEM培地(10%の熱不活化FBSおよび0.5%のペニシリン−ストレプトマイシンが補充されるDMEM/F−12 GlutaMax;すべての試薬を、Gibco/Life Technologies GmbH(Darmstadt、ドイツ)から得た)において置床した。トランスフェクションの前に、細胞を、2mMのEDTAが補充されるDPBSにより洗浄し、その後、FBSも抗生物質も含まない20mlの非補充DMEMを加えた。実施例1.aで記載される構築物の20μgの線状化DNAを0.5mlの非補充DMEM/F−12培地で希釈した。1mg/mlの線状PEI溶液(ポリエチレンイミン;Polysciences Europe GmbH、Eppelheim、ドイツ)の75μlを希釈されたDNAに加え、激しくボルテックス撹拌した。RTでの15分間のインキュベーションの後、DNA/PEI複合物を細胞に滴下して加え、細胞培養ディッシュを穏やかに回転させ、その後、37℃、5%CO
2においてインキュベーションした。トランスフェクション後24時間で、培地を交換した。トランスフェクションされた細胞の選抜を、G418硫酸塩(Gibco/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)を0.8mg/mlの最終濃度で用いてトランスフェクション後48時間で開始した。G418を常時、細胞培養のために培養培地に加えた。
【0302】
CHO−K1のトランスフェクション
1×10
6個のCHO−K1細胞をトランスフェクションの1日前に、6ウエル組織培養プレートに、2mlの完全DMEM培地(10%の熱不活化FBSが補充され、抗生物質を含まないDMEM/F−12 GlutaMax;すべての試薬を、Gibco/Life Technologies GmbH(Darmstadt、ドイツ)から得た)において置床した。トランスフェクションの前に、細胞を、2mMのEDTAが補充されるDPBSにより洗浄し、その後、FCSも抗生物質も含まない1.5mlの非補充DMEMを加えた。実施例1.aで記載される構築物の4μgの線状化DNAを0.25mlの非補充DMEM/F−12培地で希釈し、穏やか混合した。第2の反応チューブにおいて、2.5μlのリポフェクタミン2000(Invitrogen/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)を0.25mlの非補充DMEM/F12培地で希釈し、穏やかに混合し、RTで5分間インキュベーションした。DNAミックスおよびリポフェクタミンミックスを1:1の比率で一緒にし、穏やかに混合し、RTで20分間インキュベーションした。DNA/リポフェクタミン2000複合物を細胞に滴下して加え、細胞培養ディッシュを穏やかに回転させ、その後、37℃、5%CO
2においてインキュベーションした。トランスフェクション後6時間で、培地を完全DMEM/F−12培地に交換した。細胞を翌日、1:10の比率で分割した。トランスフェクションされた細胞の選抜を、G418硫酸塩(Gibco/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)を0.5mg/mlの最終濃度で用いてトランスフェクション後48時間で開始した。G418を常時、細胞培養のために培養培地に加えた。
【0303】
c.産生細胞としてのHEK293の選抜
実施例1.bで記載される安定的にトランスフェクションされたHEK293細胞株およびCHO−K1細胞株によるbi−scFvタンパク質の発現を、bi−scFv発現を標準的な手順(Current Protocols in Immunology、2012)に従って検出するために免疫蛍光染色によって特徴づけた。簡単に記載すると、2×10
5個の細胞をガラススライド上で24時間成長させ、その後、細胞に2%PFAを浸透させた。5%のBSAおよび0.2%のサポニンが補充されるDPBSをブロッキング緩衝液として使用した。DPBSによる洗浄およびブロッキング緩衝液によるブロッキング処理の後、細胞を、ブロッキング緩衝液において1:500で希釈される一次抗体のAnti−HIS Epitope−Tag(Dianova GmbH、Hamburg、ドイツ)とRTで30分間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液による洗浄の後、ブロッキング緩衝液において1:500で希釈される二次のCy3コンジュゲート化ヤギ抗マウスIgG(H+L)抗体(Jackson ImmunoResearch Europe、Suffolk、英国)を加え、RTで3時間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液およびH2Oによる洗浄の後、細胞を、Hoechst 33342色素(Pierce/Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL、米国)が補充されるDAKO封入剤(Dako、Carpinteria、CA、米国)に包埋した。スライドを、bi−scFv陽性細胞の存在について、Nikon−Eclipse Ti蛍光顕微鏡を用いて調べ、写真撮影した(データは示されず)。HEK293細胞は、CHO−K1細胞よりも全体的に良好なbi−scFvタンパク質の発現を示し、したがって、HEK293細胞を産生細胞株として選んだ。
【0304】
d.HEK293クローン#28によるbi−scFvタンパク質1BiMABの産生および検出
bi−scFvの1BiMABを、様々なアッセイを確立するために産生され、精製され、また、使用されるための最初のbi−scFvタンパク質として選んだ。この目的のために、1BiMABを安定的に発現するHEK293未分画(bulk)細胞のクローン細胞株(実施例1.bを参照のこと)を、FACSAria細胞選別器(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を使用する単一細胞選別によって得た。ほぼ40個のクローン株を拡大培養した後、最も良い産生体クローンを実施例1.cで記載されるように免疫蛍光によって選抜した。
選抜された産生体クローン#28を拡大培養し、10層のCell Factory(Nunc、Roskilde、デンマーク)で、10%のFBS、0.5%のペニシリン−ストレプトマイシンおよび0.8mg/mlのG418が補充されるDMEM/F−12 GlutaMax(すべての試薬を、Gibco/Life Technologies GmbH(Darmstadt、ドイツ)から得た)において製造者の指針に従って培養した。コンフルエントな段階で、細胞をDPBSにより洗浄し、培地を、抗生物質を含むが、FBSを含まないDMEM/F−12培地に変えた。bi−scFvタンパク質1BiMABを含有する細胞上清を4週間までにわたって3日〜5日毎に集めた。上清を、500mlのSteritop Filter Unit(Merck Millipore、Billerica、MA、米国)を用いてろ過し、FPLC精製まで4℃で貯蔵した。
FPLC精製の前に、細胞培養上清におけるbi−scFvの存在を、標準法(Current Protocols in Protein Science、2012)によって行われるポリアクリルアミドゲル電気泳動、続く、クーマシー染色およびウエスタンブロット分析によって調べた。上清を、製造者のプロトコルに従って、Centricon Centrifugal Filter Device(10K MWCO)(Merck Millipore、Billerica、MA、米国)によって5×〜10×濃縮した。濃縮された上清および濃縮されていない上清を、NuPAGE Novex 4−12%Bis−Trisゲル(Invitrogen/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)で分離した。続いて、ゲルを、細胞培養上清に含有される50kD〜60kDの間のbi−scFvタンパク質1BiMABおよび他のタンパク質の間においてを検出するために標準的な手順に従ってクーマシーブリリアントブルー溶液により染色した。ウエスタンブロット分析を、bi−scFcタンパク質1BiMABをその6×Hisタグにより特異的に検出するために行った。簡単に記載すると、タンパク質をPVDFメンブランにブロットし、ブロッキング処理をPBST/3%粉乳により行った後、メンブランを、ブロッキング緩衝液において1:500で希釈される一次抗体Anti−HIS Epitope−Tag(Dianova GmbH、Hamburg、ドイツ)と4℃で1時間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液による洗浄の後、メンブランを、ブロッキング緩衝液において1:10000で希釈されるFc特異的な二次のペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗マウスIgG抗体(Sigma Aldrich、ドイツ)と4℃で1時間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液による洗浄の後、シグナルを、SuperSignal West Femto Chemiluminescent Substrate(Pierce/Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL、米国)によって可視化し、ImageQuant LAS 4000 Imager(GE Healthcare Life Sciences、Munich、ドイツ)によって記録した。bi−scFvのシグナルが、内部分子量標準と比較した場合、50kDと60kDとの間に検出された(
図3Aおよび
図3Bを参照のこと)。
【0305】
e.bi−scFvタンパク質1BiMABの精製および定量
bi−scFvタンパク質1BiMABを含有するHEK293クローン#28の細胞培養上清(実施例1.dで記載されるもの)を、標準的な手順(Current Protocols in Protein Science、2012)を使用する固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)に供した。簡単に記載すると、ろ過された細胞培養上清を、AKTA Purifier 10 FPLCシステムにつながれるHis Trap FF(5ml)カラムに負荷した(ともに、GE Healthcare Life Sciences、Munich、ドイツ)。PBS洗浄緩衝液は10mMのイミダゾールを含有し、PBS溶出緩衝液は、500mMのNaCl、50mMのNaH
2PO
4および250mMのイミダゾールを含有し、両方の緩衝液のpHを7.4に調節した。溶出を段階的勾配によって行った。溶出されたbi−scFvタンパク質1BiMABを、Slide−A−Lyzer G2 Dialysis Cassette(10K MWCO)(Pierce/Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL、米国)を使用して1×PBSに対して直ちに透析した。1×PBSに対する透析の後、bi−scFvを、H2Oに基づく200mMアルギニン緩衝液(L−アルギニン一塩酸塩;Roth、Karlsruhe、ドイツ)に対して透析した。
bi−scFvの濃度を、ProtParamツール(http://web.expasy.org/protparam/)により求められるbi−scFvタンパク質1BiMABの吸光係数および分子量の考慮のもと、NanoDrop 2000cを用いた280nmでの測定によって求めた。精製されたタンパク質を小分けし、長期間の貯蔵のためには−80℃で貯蔵し、直ちに使用するためには4℃で保った。
bi−scFvタンパク質1BiMABの品質および純度を、実施例1.dで記載されるようにクーマシー染色およびウエスタンブロット分析によって調べた(
図3Aおよび
図3Bもまた参照のこと)。BSA標準物希釈物を、NanoDropによって測定される濃度を大雑把に確認するためにクーマシー手法では含めた(データは示されず)。
【0306】
f.ELISAアッセイの確立
HEK293細胞の細胞培養上清における1BiMABの定量化のために、特異的なELISAアッセイを確立しなければならなかった。この目的のために、実施例1.dからの上清と、実施例1.eで記載される精製されたbi−scFvタンパク質1BiMABとを使用した。BSAで事前にブロッキング処理されたNi−NTAプレート(Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL、米国)を使用して、bi−scFvタンパク質1BiMABをその6×Hisタグにより固定化した。すべての洗浄工程をウエルあたり200μlの1×PBS/0.05%Tween(洗浄緩衝液)により3回行い、すべての工程を室温で実行した。標準物として、精製された1BiMABタンパク質を使用し、これを10ng/ml〜500ng/mlの範囲内において1×PBSで希釈した。上清を1×PBSにおいて1:10で希釈した。100μlの希釈タンパク質または上清をそれぞれのウエルに移し、振とうしながら1時間インキュベーションした。洗浄後、mCLDN18.2abのVH−VLドメインに対する抗イディオタイプ抗体を1×PBS/3%BSAにおいて0.5μg/mlの最終濃度に希釈した。100μlの抗mCLDN18.2ab溶液をウエルあたり加え、振とうしながら1時間インキュベーションした。洗浄後、APコンジュゲート化抗マウスFc抗体(Jackson ImmunoResearch Europe、Suffolk、英国)を1×PBS/3%BSAにおいて300ng/mlの最終濃度に希釈した。100μlのこの二次抗体溶液をウエルあたり加え、振とうしながらさらに1時間インキュベーションした。陰性コントロールとして、二次抗体のみ、1BiMAB+二次抗体、および、抗mCLDN18.2ab+二次抗体を使用した。加えて、bi−scFvタンパク質を含まないHEK293細胞上液をアッセイに含めた。最後に、50μlのAP基質溶液(1mlの基質緩衝液あたり1.5mgのpNPP、AppliChem GmbH、Darmstadt、ドイツ)を洗浄後にウエルあたり加えた。暗所での5分、15分および30分のインキュベーションの後、492nmの励起波長を用いた405nmにおける吸収を、Infinite M200 Tecanマイクロプレートリーダー(Tecan、Mannedorf、スイス)を用いて測定した。上清由来のbi−scFvタンパク質の濃度を標準物列に対する計算によって求めた(データは示されず)。
【0307】
g.比較研究のためのCLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質の一過性トランスフェクション
好ましくは多量のCLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質を一過性に生成させるために、ヒト胚性腎臓細胞株HEK293T(ATCC CRL−11268)をトランスフェクションのために使用した。
1×10
7個のHEK293T細胞をトランスフェクションの2日前に、14.5cmの組織培養ディッシュに、20mlの完全DMEM培地(10%の熱不活化FBSおよび0.5%のペニシリン−ストレプトマイシンが補充されるDMEM/F−12 GlutaMax;すべての試薬を、Gibco/Life Technologies GmbH(Darmstadt、ドイツ)から得た)において置床した。トランスフェクションの前に、細胞を、2mMのEDTAが補充されるDPBSにより洗浄し、その後、FBSも抗生物質も含まない20mlの非補充DMEMを加えた。20μgの環状DNA構築物(1BiMAB、no.11〜no.20およびno.35(これらは実施例1.bで記載される))を0.5mlの非補充DMEM/F−12培地で希釈した。1mg/mlの線状PEI溶液(ポリエチレンイミン;Polysciences Europe GmbH、Eppelheim、ドイツ)の75μlを希釈されたDNAに加え、激しくボルテックス撹拌した。RTでの15分間のインキュベーションの後、DNA/PEI複合物を細胞に滴下して加え、細胞培養ディッシュを穏やかに回転させ、その後、37℃、5%CO
2において24時間インキュベーションした。非補充DMEM/F−12による培地交換の後、細胞を、33℃、5%CO
2においてさらに48時間インキュベーションした。細胞上清をインキュベーション後に集め、0.2μmのMinisartシリンジフィルター(Sigma−Aldrich、ドイツ)により無菌ろ過した。続いて、bi−scFvタンパク質を製造者のプロトコル(Qiagen、Hilden、ドイツ)に従ってNi−NTAスピンカラムによって細胞培養上清から小規模で精製した。bi−scFvタンパク質の濃度を、実施例1.fで記載されるようにELISAによって見積もり、実施例1.eで記載されるようにウエスタンブロット分析によって確認した(データは示されず)。精製されたタンパク質を、直ちに使用するために4℃で貯蔵した。
【0308】
実施例2:bi−scFvタンパク質によって媒介される標的変更させられたT細胞による特異的なT細胞活性化および標的細胞溶解をモニターするための機能的アッセイの確立
FPLC精製されたbi−scFvタンパク質1BiMABを使用して、ヒトエフェクター細胞をTAA陽性標的細胞に特異的に標的変更させるbi−scFvタンパク質の能力をモニターするためのインビトロアッセイを確立した。この目的は、影響を可視化すること、ならびに、ヒトT細胞の活性化および特異的な標的細胞溶解を定量化することであった。
【0309】
a.bi−scFvタンパク質によって標的細胞に標的変更させられるT細胞の顕微鏡法分析
bi−scFvタンパク質の機能性を可視化するためには、bi−scFvタンパク質によるCLDN18.2発現標的細胞へのエフェクター細胞の標的変更を顕微鏡により示すためのアッセイを確立しなければならなかった。この目的のために、比較的高レベルのヒトCLDN18.2を内因的に発現する胃ガン細胞株NugC4(Sahin U.他、Clin Cancer Res、2008(Dec 1)、14(23):7624〜34)を標的細胞株として使用した。
ヒトエフェクター細胞を標準的な手順(Current Protocols in Immunology、2012)に従って健康なドナーからのヒト血液から新たに単離した:簡単に記載すると、血液をDPBSにより希釈し、Ficoll−Paque Plus(GE Healthcare Life Sciences、Munich、ドイツ)に重層し、遠心分離した。末梢血単核細胞(PBMC)を相間から回収し、2mMのEDTAが補充される冷DPBSにより洗浄し、計数した。続いて、ヒトT細胞を、PBMCから、Pan T Cell Isolation Kit II(Miltenyi Biotec、Teterow、ドイツ)により製造者の指針に従って磁気活性化細胞分離(MACS)によって分離した。
1×10
5個のNugC4細胞を組織培養用6ウエルプレートにウエルあたり播種した。ヒト細胞を上記のように調製し、5:1のエフェクター対標的(E:T)比で加えた。5%の熱不活化ヒトAB血清、0.5%のペニシリン−ストレプトマイシン、1×NEAAおよび1mMのピルビン酸ナトリウムが補充されるRPMI1640培地(Gibco/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)をすべての細胞のために使用し、ウエルあたりの最終体積を2ml/ウエルに調節した。コントロールサンプルは、bi−scFvタンパク質を伴って、また、bi−scFvタンパク質を伴うことなく、単独での標的細胞またはT細胞を含んだ。組織培養プレートを続いて、37℃、5%CO
2においてインキュベーションした。アッセイを、共インキュベーションの6時間から48時間まで、Wilovert S倒立顕微鏡(Hund、Wetzlar、ドイツ)を用いて連続して観察した。bi−scFvタンパク質1BiMABの存在下における標的細胞上でのT細胞クラスター化、免疫学的シナプスの形成および標的細胞の殺傷に関しての著しい影響が24時間で認められた。48時間後、生存可能な標的細胞をほとんど見出すことができなかった。写真を、Nikon Eclipse TS100倒立顕微鏡(Nikon、日本)を用いて24時間において撮影した。
図5もまた参照のこと。
このアッセイをさらには、様々なウエル形式でのすべての細胞傷害性アッセイにおいて可視性コントロールとして含めた。
【0310】
b.bi−scFvタンパク質1BiMABによる標的依存的なT細胞活性化
bi−scFvタンパク質によるヒトT細胞の特異的な活性化を検出するために、フローサイトメトリーアッセイを確立した。T細胞活性化を検出するために、初期活性化マーカーCD69および後期活性化マーカーCD25を蛍光コンジュゲート化抗体による染色のために選択した。標的細胞およびT細胞の混合物におけるヒトT細胞の検出のために、T細胞上のCD3を染色した。
上記から設定されるアッセイを選んだ(実施例2.a)。簡単に記載すると、NugC4標的細胞を2mlの完全培地において5:1のE:T比でヒトT細胞と一緒に播種し、bi−scFvタンパク質1BiMABを0.001ng/ml〜1000ng/mlの範囲内の濃度で加えた。コントロールサンプルは、bi−scFvタンパク質1BiMABを伴って、また、bi−scFvタンパク質1BiMABを伴うことなく、単独での標的細胞またはT細胞を含有した。24時間後および/または48時間後(これは可視性コントロールの結果に依存した)、すべての細胞を、Cell Scrapers(Sarstedt AG&Co、Nurmbrecht、ドイツ)を用いて穏やかにかき取ることによって集め、5mlの丸底チューブ(BD Falcon、Heidelberg、ドイツ)に移した。細胞を遠心分離し、DPBSにより洗浄した。細胞染色のために、マウス抗ヒトCD3−FITC、マウス抗ヒトCD69−APCおよびマウス抗ヒトCD25−PE(すべての抗体が、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を使用した。細胞ペレットを、蛍光コンジュゲート化抗体を含有する50μlのFACS緩衝液(5%のFBSが補充されるDPBS)に再懸濁した。インキュベーションを暗所において4℃で20分間行った後、サンプルを4mlのDPBSにより洗浄し、細胞ペレットを、死細胞の検出のために、ヨウ化プロピジウム(PI)または7−AAD(ともに、Sigma Aldrich、ドイツ)を1:1000の最終希釈度で含有する200μlのFACS緩衝液に再懸濁した。サンプルを、測定期間中を通して氷上および暗所において保った。アッセイの確立を、FACSCaliburを用いて行い、その後の測定を、FACSCanto IIフローサイトメーターを用いて行った(ともに、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)。分析をFlowJoソフトウエア(Tree Star、San Carlos、CA、米国)によって評価した。
図6Aおよび
図6Bに示されるように、1BiMAB媒介のT細胞活性化が標的細胞の非存在下では全く検出できず、このことは、bi−scFv機能性の厳密な標的依存性を強調している。標的細胞の存在下における著しいT細胞活性化が24時間後にほんの0.01ng/mlの1BiMABにより生じた。最大効率には、100ng/mlの1BiMABを使用して達した。
T細胞活性化の研究のほかに、このアッセイはまた、標的細胞集団に対してゲート開閉し、PI陽性または7−AAD陽性の標的細胞の割合を推定することによって標的細胞殺傷に対するbi−scFv媒介影響の定性的分析を可能にする(データは示されず)。すべての分析を、FlowJoソフトウエア(Tree Star、San Carlos、CA、米国)を用いて行った。
【0311】
c.ルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイ
CLDN18.2およびCD3に対して向けられるbi−scFvタンパク質の標的細胞殺傷能におけるかすかな違いを明らかにするために、高感度アッセイを開発しなければならなかった。この目的は、標的細胞殺傷をハイスループット様式で定量的にモニターすることができるアッセイを確立することであった。このことを達成するために、ルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイを選んだ。これとともに、生存可能な標的細胞によるルシフェラーゼ発現の測定は、抗体の存在下で細胞傷害性エフェクター細胞によって媒介される標的細胞溶解を間接的に求めることを可能にする。
最初に、NugC4細胞(上記)を、ホタルルシフェラーゼ、EGFPレポーター遺伝子および抗生物質選択マーカーを有するレンチウイルスベクターにより形質導入した。形質導入された細胞の抗生物質による選抜の後、EGFP高発現細胞をFACSAria細胞選別器(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)によって選別し、ルシフェラーゼの高発現について分析し、続いて、さらなる研究のために拡大培養した。
ヒトエフェクター細胞を実施例2.aで記載されるように調製した。アッセイの確立をbi−scFvタンパク質1BiMABの1ng/ml〜100ng/mlの範囲内で行い、それにより、5ng/mlの濃度が非常に効率的かつ再現性のある影響をもたらすことが見出され、この濃度をさらには、標準濃度として使用した。ルシフェラーゼを安定的に発現するNugC4細胞(上記)を標的細胞として使用した。1×10
4個の標的細胞を白色の平底96ウエルプレートにウエルあたり播種した。ヒトT細胞(実施例2.aで記載されるように調製されたもの)を5:1のE:T比で加えた。上記(実施例2.a)で記載される培地を使用し、ウエルあたりの最終体積を100μlに調節した。試験サンプルおよびコントロールサンプルを少なくとも三連で置床した。
細胞培養マイクロプレートを、37℃、5%CO
2において24時間および48時間インキュベーションした。分析のために、1mg/mlのルシフェリン(BD Monolight、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)および50mMのHEPESを含有する水溶液の50μlをウエルあたり加え、続いて、プレートを37℃において暗所で30分間インキュベーションした。ルシフェラーゼを発現する生細胞によるルシフェリンの酸化から生じる発光をマイクロプレートリーダー(Infinite M200、Tecan、Mannedorf、スイス)で測定した。特異的な標的細胞溶解の百分率を下記の式によって計算した:%特異的溶解=[1−(発光試験サンプル−L
max)/(L
min−L
max)]×100、ただし、"L"は溶解を示す。L
minはbi−scFvの非存在下における最小溶解を示し、L
maxは、Triton X−100(2%の最終濃度)の添加によって達成されるbi−scFvの非存在下における最大溶解(自然発光カウント数に等しい)を示す。
エフェクター細胞に依存しない標的細胞に対するbi−scFvタンパク質の潜在的な直接的影響を、すべてのコントロール(例えば、L
minおよびL
maxなど)を含めて、ヒトT細胞を伴うことなく標的細胞を置床することによって求めた。
このアッセイを、標的細胞の特異的なT細胞媒介溶解を詳しく調べるためのさらなる研究のために使用した。様々な改変を、例えば、bi−scFv濃度、bi−scFvタンパク質、E:T比またはエフェクター細胞(CD8
+T細胞、CD4+T細胞、PBMC)を変更することによって実行した。
【0312】
実施例3:CLDN18.2特異的bi−scFvリード候補物の選択
最も強力なbi−scFv変化体を選択するための様々なCLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質を用いたルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイ
TAA CLDN18.2に対して特異的な10個すべてのCHOコドン最適化構築物(no.11〜no.20)を、CLDN18.2を内因的に発現し、かつ、ルシフェラーゼを異所性に発現するNugC4標的細胞を用いたルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイにおいてヒトコドン最適化bi−scFvタンパク質1BiMABとの比較で試験した(実施例2.cもまた参照のこと)。使用されたbi−scFvタンパク質の特徴が表2に詳しく示される。PLAC1がNugC4細胞によって発現されないので、TAA PLAC1に対して特異的なbi−scFv no.35をイソタイプコントロールとして使用した。ヒトT細胞上のCD3に対する結合活性がFACS結合アッセイで証明されていた(データは示されず)。すべてのbi−scFvタンパク質を、実施例1.gで記載されるように作製し、実施例2.cで記載されるように設定される細胞傷害性アッセイのために使用した。
すべてのbi−scFvタンパク質を5ng/mlの最終濃度で使用した。L
minの決定のために、コントロールのbi−scFvタンパク質no.35を標的細胞およびT細胞とともに九連で播種し、試験サンプルを六連で置床した。時点あたり1つのプレートを分析のために調製した。
それぞれの分析された時点(8h、16h、24h)における特異的な溶解を、使用されたbi−scFvタンパク質に対してプロットした。bi−scFvタンパク質の1BiMAB(配列番号39)およびno.15(配列番号41)(これらは、同じ配向で構築され、かつ、同じ抗CD3配列(TR66)を含有しており、核酸レベルでのそれらのコドン使用頻度において、また、リンカー配列においてだけ異なる)は、標的細胞溶解を媒介することにおいて最も強力な抗体であることが判明した(
図2を参照のこと)。1BiMABおよびno.15はそれらの効率において等しいので、これまでに比較的良好に調べられているbi−scFvタンパク質1BiMABをすべてのその後のアッセイのために選択した。18PHU3および18PHU5の構築物(表1および表2を参照のこと)を1BiMABに対してその後の時点で比較した。18PHU5の効率が1BiMABと同等であり、18PHU3はそれほど強力でなかった(データは示されず)。
【0313】
実施例4:bi−scFvタンパク質1BiMABの結合能
FACSに基づく結合アッセイの確立
bi−scFvタンパク質のCLDN18.2標的化成分およびCD3標的化成分の結合能を評価するために、フローサイトメトリーアッセイを確立した。CLDN18.2を内因的に発現するNugC4細胞を、抗CLDN18.2部位を詳しく調べるために使用し、ヒトT細胞を、抗CD3部位を詳しく調べるために使用した。
抗CLDN18.2結合能を詳しく調べるために、NugC4細胞をトリプシン処理し、完全RPMI1640培地により洗浄し、続いてDPBSにより洗浄した。すべての洗浄工程を4℃における6分間の1200rpmでの遠心分離によって行った。2.5×10
5個のNugC4細胞を5mlの丸底チューブに移し、FACS緩衝液における50μg/mlのFPLC精製された1BiMABタンパク質と4℃で30分間インキュベーションした。細胞を2mlのFACS緩衝液により洗浄し、続いて、3.3μg/mlのモノクローナル抗体Anti−HIS Epitope−Tag(Dianova GmbH、Hamburg、ドイツ)と4℃で30分間インキュベーションした。2mlのFACS緩衝液による洗浄の後、細胞ペレットを、FACS緩衝液における1:200の希釈度でのAPCコンジュゲート化ヤギ抗マウス二次抗体(Jackson ImmunoResearch Europe、Suffolk、英国)と暗所において4℃で20分間インキュベーションした。細胞を2mlのFACS緩衝液により2回洗浄し、最後に、1μg/mlのPI(Sigma Aldrich、ドイツ)が補充される150μlのFACS緩衝液に再懸濁して、死細胞を対比染色した。Anti−HIS Epitope−Tag抗体を用いないことを除いて同じ手順による別の染色が、50μg/mlの1BiMABおよびAPCコンジュゲート化ヤギ抗マウス二次抗体(1:200)を使用して含まれた。陰性コントロールサンプルには、単独での二次のヤギ抗マウスAPC抗体、モノクローナル抗体Anti−HIS Epitope−Tag+二次のヤギ抗マウスAPC抗体が含まれた。陽性コントロールとして、二次のヤギ抗ヒトAPC抗体(Jackson ImmunoResearch Europe、Suffolk、英国)により染色される10μg/mlのモノクローナルなCLDN18.2特異的抗体mCLDN18.2ab、および、その二次抗体のみのコントロールを実行した。
サンプルを、FACSCaliburフローサイトメーター(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いて測定し、FlowJoソフトウエア(Tree Star、San Carlos、CA、米国)によって分析した。強いシグナルが、1BiMAB、Anti−HIS Epitope−Tagおよびヤギ抗マウスAPCによる逐次染色によって検出された。シグナル強度が、ヤギ抗ヒトAPCを伴う陽性コントロールmCLDN18.2abと同程度であった。1BiMABに対するヤギ抗マウスAPCの低い直接的な結合が、Anti−HIS Epitope−Tagを伴うことなく1BiMABおよびヤギ抗マウスAPCにより染色されるサンプルにおいて認められた(
図4Aを参照のこと)。
bi−scFvタンパク質の結合能を詳しく調べるためのすべてのさらなるFACS結合アッセイのために、bi−scFv、Anti−HIS Epitope−Tagおよびヤギ抗マウスAPCによる逐次染色プロトコルを使用した(
図4B、
図4Cおよび
図4Dを参照のこと)。1BiMABの非特異的な結合を除外するために、RT−PCRによって確認されるような、CLDN18.2を発現しない標的細胞(データは示されず)を、FACSに基づいたこの結合アッセイに供した。1BiMABの非特異的な結合が、
図4Dに示されるように何ら検出されなかった。
【0314】
bi−scFvタンパク質1BiMABの抗CD3アームの結合能を詳しく調べるために、ヒトT細胞を使用した。実施例2.aにおいて記載されるように調製される1×10
6個のT細胞を5mlの丸底チューブに移し、FACS緩衝液における0.002μg/ml〜2μg/mlの範囲内でのFPLC精製された1BiMABタンパク質と4℃で30分間インキュベーションした。さらなる染色手順は上記の通りであった。コントロールサンプルには、単独での二次のヤギ抗マウスAPC抗体、および、モノクローナル抗体Anti−HIS Epitope−Tag+二次のヤギ抗マウスAPC抗体が含まれた。測定および分析を上記のように行った。著しいシグナルが2μg/mlの1BiMABにより得られた(
図4Cを参照のこと)。
【0315】
実施例5:bi−scFvの1BiMABによる非常に特異的な標的依存的T細胞活性化の調査
高レベルまたは低レベルのCLDN18.2を内因的に発現するガン細胞株、および、CLDN18.2を発現しないガン細胞株を、インビトロ細胞傷害性アッセイにおけるbi−scFvタンパク質1BiMABの厳密な標的依存性を証明するために選んだ。選ばれた細胞株は、CLDN18.2を発現する2つの主要なガン腫タイプのものであった:胃ガン(NugC4、MKN7、SNU−1)および膵臓ガン(DanG、KP−4)。乳ガン細胞株のMCF7を陰性コントロールとして使用した。
【0316】
a.ガン細胞株のCLDN18.2のRT−PCR
総RNAを製造者のプロトコル(Quiagen、Hilden、ドイツ)に従ってRNEasy Mini Kitの手順によって上述のガン腫細胞株から抽出した。5μg のRNAを、SuperScriptII逆転写酵素(Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)によるcDNA合成のために使用した。
RT−PCR分析を、Sybr Green色素および下記のプライマーを使用して、ABI Prism 7300 Real Time PCR System(Applied Biosystems/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)で行った:
CLDN18.2、順方向:TGGCTCTGTGTCGACACTGTG;逆方向:GTGTACATGTTAGCTGTGGAC
HPRT、順方向:TGACACTGGCAAAACAATGCA;逆方向:GGTCCTTTTCACCAGCAAGCT
デルタCtを、ハウスキーピング遺伝子HPRTのCt値をCLDN18.2のCt値から引くことによって計算した(結果については
図7Aを参照のこと)。
【0317】
b.CLDN18.2の存在下における排他的なT細胞活性化
細胞傷害性アッセイを実施例2.aで記載されるように設定した。定量的RT−PCRにより実施例5.aでCLDN18.2転写物について調べられるガン腫細胞株を標的細胞として使用した。このアッセイにおけるbi−scFvタンパク質1BiMABの濃度を5ng/mlに設定した。標的細胞をヒトT細胞および1BiMABとともに二連で播種して、T細胞活性化を分析した。bi−scFタンパク質1BiMABに依存しない標的細胞に対するT細胞の何らかの潜在的な同種反応性をモニターするために、標的細胞およびT細胞を、1BiMABを伴うことなく二連で播種した。細胞を、T細胞のクラスター化および標的細胞の結合を確認するために顕微鏡で継続的に観察した。CLDN18.2高発現細胞株のNugC4の場合には、著しい影響が24時間後に生じた;48時間後では、生存可能な標的細胞がほとんど認められなかった。CLDN18.2低発現細胞株のDanGの場合には、最初の影響が96時間後に見られ、著しい影響が120時間後に見られた。CLDN18.2陰性細胞株に関しては、何らかのT細胞活性化を示す影響を144時間後でさえ見ることができなかった。すべてのサンプルのT細胞を、初期T細胞活性化マーカーのCD69および後期活性化マーカーのCD25について実施例2.aで記載されるようにフローサイトメトリーにより、標的細胞との144時間の共インキュベーションの後で分析し、T細胞集団についてはCD3により対比染色し、死細胞についてはPIにより対比染色した。興味深いことに、NugC4および1BiMABと共インキュベーションされたT細胞の100%までがCD25陽性であり、しかし、CD69陰性であった。このことは、CD69のダウンレギュレーションが既に生じたT細胞の長期間の活性化を示している。DanGおよび1BiMABと共インキュベーションされたT細胞の大雑把には75%が活性化され、そのうちの約40%がCD25およびCD69を同時に発現した。このことは、依然として継続中であるT細胞活性化を示している。CLDN18.2陰性細胞株と共インキュベーションされたT細胞はT細胞活性化の兆候を何ら示さなかった:CD69またはCD25のどちらの発現も、1BiMABを伴わないサンプルのレベルと比較して著しく上昇しなかった(
図7Bもまた参照のこと)。
【0318】
実施例6:bi−scFvタンパク質1BiMABにより誘導されるT細胞機能の調査
a.T細胞増殖の誘導
T細胞増殖はT細胞活性化の指標である。T細胞増殖をCLDN18.2陽性標的細胞の存在下でのbi−scFvタンパク質1BiMABに対する応答において示すために、フローサイトメトリーアッセイを使用した。簡単に記載すると、実施例2.aで記載されるように単離された1×10
6個のヒトT細胞を、DPBSに溶解される0.5μMのカルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル(CellTrace CFSE、Invitrogen/Life Technologies GmbH、ドイツ)により暗所において37℃で10分間染色した。染色を、5体積の冷却された完全RPMI1640培地を加えることによって停止させた。細胞を氷上で5分間保ち、完全RPMI培地(5%の熱不活化ヒトAB血清、0.5%のペニシリン−ストレプトマイシン、1×NEAAおよび1mMのピルビン酸ナトリウム)により3回洗浄し、続いて、1×10
5細胞/mlに再懸濁した。実施例2.bで記載されるような細胞傷害性アッセイを、CLDN18.2を内因的に発現するNugC4細胞と、エフェクター細胞としてのヒトT細胞とを用いて設定した。1mlの培地あたり50UのIL−2を細胞に加えた。サンプルには、単独でのT細胞、1ng/mlの1BiMABを伴うT細胞、T細胞およびNugC4細胞、ならびに、1ng/mlの1BiMABおよびNugC4細胞を伴うT細胞が含まれた。120時間の共インキュベーションの後、T細胞を集め、5mlの丸底チューブに採取し、洗浄し、死細胞を対比染色するために1:1000での7−AADのDPBS溶液により4℃で15分間線染色した。DPBSによる洗浄の後、細胞をFACS緩衝液に再懸濁し、FACSCanto II(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いて分析した。
T細胞の増殖が、標的細胞およびbi−scFvタンパク質1BiMABの存在下のみにおける低下するCFSEシグナルによって検出された(
図8Aもまた参照のこと)。
【0319】
b.セリンプロテアーゼのグランザイムBの誘導
CLDN18.2陽性標的細胞の存在下でbi−scFvタンパク質1BiMABによって媒介されるT細胞活性化の後におけるタンパク質分解性分子のアップレギュレーションを明らかにするために、フローサイトメトリー分析によるセリンプロテアーゼのグランザイムBの検出を選んだ。実施例2.bで記載されるような細胞傷害性アッセイを、CLDN18.2を内因的に発現するNugC4細胞と、エフェクター細胞としてのヒトT細胞とを用いて設定した。サンプルには、単独でのT細胞、5ng/mlの1BiMABを伴うT細胞、T細胞およびNugC4細胞、ならびに、5ng/mlの1BiMABおよびNugC4細胞を伴うT細胞が含まれた。96時間の共インキュベーションの後、T細胞を集め、5mlの丸底チューブに採取し、洗浄し、死細胞を対比染色するために1:1000での7−AADのDPBS溶液により4℃で15分間線染色した。DPBSによる洗浄の後、細胞をRTで20分間、100μlのCytoperm/Cytofix溶液により固定処理した。細胞を1×Perm/Washにより洗浄し、続いて、PEコンジュゲート化マウス抗ヒトグランザイムB抗体によりRTで20分間染色した。洗浄後、細胞をFACS緩衝液に再懸濁し、FACSCanto IIを用いて分析した(すべての試薬およびFACS装置が、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)。
T細胞におけるグランザイムBのアップレギュレーションが、標的細胞およびbi−scFvタンパク質1BiMABの存在下のみにおいて検出された(
図8Bもまた参照のこと)。
【0320】
実施例7:インビトロ細胞傷害性アッセイにおけるbi−scFvタンパク質1BiMABのEC
50の決定
ルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイ
bi−scFvタンパク質1BiMABの50%最大有効用量を求めるために、1BiMABの力価測定列を、主に実施例2.cで記載されるようにインビトロルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイで試験した。
実施例2.cで記載される安定的にルシフェラーゼを発現するNugC4細胞を、ヒトT細胞および(10倍ずつで)1pg/mlから1μg/mlまでの範囲におけるbi−scFvタンパク質1BiMAB濃度とともに、または、L
min値を求めるために、1BiMABを伴うことなくインキュベーションした。生細胞の発光を、アッセイ設定後の24時間および48時間で、Infinite M200 Tecanプレートリーダーを用いて測定した。特異的な標的細胞溶解を、実施例2.cで例示される式によって計算した。
最大溶解には、1ng/ml〜10ng/mlの1BiMABにより48時間後に達した。このアッセイにおける48時間後での決定されたEC
50がおよそ10pg/mlである(
図9もまた参照のこと)。このアッセイの結果は、他者によってもまた報告されるように(例えば、Lutterbuese,R他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2010(Jul 13)、107(28):12605〜10)、ドナーの免疫状態に従って変化するヒトT細胞の効力に強く依存する。そのことに加えて、使用された標的細胞株NugC4は、結果に同様に影響を与えるCLDN18.2の様々な発現を示す。したがって、10pg/ml〜300pg/mlの範囲におけるbi−scFvタンパク質1BiMABのEC
50値の変動が本発明の過程の期間中に観測されている。
【0321】
実施例8:マウス異種移植モデルにおける効力
bi−scFvタンパク質1BiMABの治療可能能をインビボで詳しく調べるために、NOD.Cg−Prkd
scidIL2rg
tm1Wjl/SzJまたはshort NSGのマウス系統(Jackson laboratory、Bar Harbour、ME、米国)を選んだ。 記載された研究のために、マウスにおけるヒトエフェクター細胞およびヒトTリンパ球の生着が、T細胞と会合するbi−scFvの影響をインビボで研究するためには不可欠である。B細胞、T細胞およびNK細胞を完全に欠いているので、マウス系統NSGがこの種の異種移植研究のためには好適である。PBMC注入後の生着したヒトT細胞を主に有するマウスモデルを発明の一部として確立した。
【0322】
a.bi−scFvタンパク質1BiMABを用いたマウスにおける進行したCLDN18.2高発現腫瘍の後期開始処置
例示された研究において、8週齢での40匹のメスNSGマウスに、高レベルのヒトCLDN18.2を安定的に発現する1×10
7個のHEK293細胞(HEK293−CLDN18.2)を皮下に接種した。腫瘍細胞接種後5日で、マウスをそれらの腫瘍体積に従って処置群に階層化し、腫瘍成長を有しないマウスは除外した。同じ日に、末梢血単核細胞(PBMC)を、実施例2.aで記載されるようなFicoll密度勾配技術によって健康なドナーのヒト血液から単離し、インビボでのエフェクター細胞として使用した。300μlのDPBSで希釈される2×10
7個のPBMCを、"PBMC"により示される実験処置群に単離当日に腹腔内注入した。"PBS"により示される処置群は300μlの非補充DPBSを代わりに腹腔内に受け、ヒトエフェクター細胞を伴わないコントロールとして役立った。"PBS"コントロール群により、1BiMAB自体による腫瘍成長に対する潜在的影響、あるいは、マウス組織に対するヒトエフェクター細胞によってではなく、1BiMABまたはビヒクルによって引き起こされる何らかの潜在的副作用(すなわち、マウス組織に対するヒトエフェクター細胞によって及ぼされる移植片対宿主反応)の調査を調べることができた。群"PBS/ビヒクル"は4匹のマウスを含み(n=4)、群"PBS/1BiMAB"は5匹のマウスを含み(n=5)、群"PBMC/ビヒクル"は13匹のマウスを含み(n=13)、群"PBMC/1BiMAB"は15匹のマウスを含んだ(n=15)。治療を、DPBSまたはPBMCを適用した1日後に開始した:群"PBS/1BiMAB"および群"PBMC/1BiMAB"は動物あたり、200μlのDPBSで希釈される5μgの精製されたbi−scFvタンパク質1BiMABを腹腔内に受けた。群"PBS/ビヒクル"および群"PBMC/ビヒクル"は、DPBSで希釈されるビヒクル緩衝液(H2Oに溶解される200mMのL−アルギニン一塩酸塩、無菌ろ過されたもの)の200μlを腹腔内に受けた。処置群が表3にまとめられる。治療を22日間にわたって毎日行った。週に2回、腫瘍の大きさを校正済みのデジタル式カリパスにより測定し、腫瘍体積を下記の式に従って計算した:mm
3=長さ×幅×(幅/2)。
図10Aおよび
図10Bは、ヒトエフェクター細胞の存在下での抗体のみによる"PBMC/1BiMAB"群のマウスの半数における腫瘍成長の阻害および腫瘍負荷の除去を例示する。マウスを、腫瘍体積が500mm
3を超えたとき、または、重篤な病的状態の場合(移植片対宿主症状が一部のマウスにおいて認められた)には頸椎脱臼によって屠殺した。
【0323】
【表3】
【0324】
b.体重に対する治療影響の決定
それぞれのマウスの体重を、実験室用はかりを使用して週に2回測定した。どの群のマウスも体重減少を処置期間にわたって示さなかった(データは示されず)。両方の"PBMC"群における一部のマウスが移植片対宿主反応の症状をPBMC注入の4週間後および処置終了の数日後に示した。体重に対する1BiMAB自体の影響、または、マウスの健康に関する何らかの他の副作用は認められなかった。
【0325】
c.組織の保存および脾細胞の単離
マウスを殺した後、腫瘍を解剖し、組織を直ちに、免疫組織化学分析のために10mlのRoti−Histofix 4%(Carl Roth、Karlsruhe、ドイツ)において固定処理した。そのうえ、脾臓を、ヒト細胞の生着をフローサイトメトリー分析によって検出するために解剖した。脾細胞の単離を、脾臓を3ml〜5mlのシリンジの無菌プランジャーによりすりつぶして、50mlの反応チューブの中に置かれる70μmの細胞ろ過器に通し、温DPBSによる細胞ろ過器の反復したフラッシングを行うことによって脾臓解剖の直後に行った。単離された脾細胞を遠心分離し、DPBSをデカンテーションによって除き、脾細胞のペレットを、10%のDMSOが補充される1mlの熱不活化ウシ胎児血清に再懸濁した。すべてのマウスからの脾細胞サンプルが完了するまで、サンプルを直ちに−80℃で凍結し、貯蔵した。
【0326】
d.マウス脾臓におけるヒトTリンパ球の生着の分析
すべてのマウスからの脾細胞を実施例8.cで記載されるように集め、凍結した。脾細胞サンプルの完成した収集物を一度に解凍し、すべての細胞を温DPBSにより2回洗浄し、サンプルあたり1×10
6個の脾細胞を蛍光コンジュゲート化抗体と暗所において4℃で20分間インキュベーションして、ヒト細胞の生着を抗CD45染色によって検出し、ヒトT細胞の割合を、抗CD3染色、抗CD4染色および抗CD8染色によって検出した。フローサイトメトリー分析を、FACSCalibur(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いて行った。両方の"PBMC"群におけるヒトT細胞の生着を、
図10Dに示されるように、CD45−CD3の二重陽性脾細胞の大きい割合によって確認することができた。
【0327】
実施例9:CLDN6およびCD3を標的化する二重特異性結合剤の作製および試験
a.bi−scFv構築物の配列起源、設計および発現ベクターへのクローニング
二重特異性のタンデム型単鎖抗体構築物(bi−scFv)は、ヒトT細胞受容体成分CD3およびヒト腫瘍関連抗原(TAA)に対して特異的である結合ドメインを含有した。対応する可変重鎖領域(VH)および対応する可変軽鎖領域(VL)が、それぞれの構築物について具体的には、N末端からC末端に、下記の連続する順で配置される:
【化2】
【0328】
表4には、本発明の過程で作製された、TAA CLDN6に対して特異的であるすべてのbi−scFv構築物がまとめられる。CLDN18.2特異的bi−scFv構築物1BiMABをコントロール抗体として使用した。これらのbi−scFv構築物を、対応する抗体のVH配列およびVL配列を使用してGeneArt AG(GeneArt/Life Technologies GmbH、Regensburg、ドイツ)による遺伝子合成によって作製した。コドン最適化、例えば、ヒト(Homo sapiens)(HS)またはハツカネズミ(Mus musculus)(MM)をGeneArt社のGeneOptimizer(登録商標)ソフトウエアによって実行した。これらが表5に示される。特異性、モノクローナル抗体(mAB)からの配列起源、コドン使用頻度、さらなる配列特徴、および、すべての適用されたドメインの参考文献に関する情報が表5にまとめられる。それぞれのCD3抗体の可変ドメイン配列起源が表5に示される。ヒトTAAおよびマウスTAAの大きい相同性のために、同じ抗TAA VH配列およびVL配列を、マウス特異的な抗CD3抗体クローン145−2C11のVH配列、VL配列との組合せでの場合を除いて、マウスアッセイのためのbi−scFv構築物の作製のために使用することができた。
DNAクローニングおよび発現ベクター構築を、当業者によって広く知られている標準的な手順(Sambrook、1989)に従って行った。簡単に記載すると、bi−scFv DNA配列には、5'側でのHindIII制限および3'側でのBamHI制限が発現プラスミドへのクローニングのために与えられた。分泌シグナル配列を細胞質から培養培地へのタンパク質分泌のために5'末端においてbi−scFv配列の上流側に導入した。15個〜18個のアミノ酸の柔軟なグリシン−セリンペプチドリンカーをコードする配列を、一方がCD3に結合し、かつ、他方がTAAに結合する単鎖可変抗体フラグメント(scFv)を組み立てるためのVHドメインおよびVLドメインをつなぎ合わせるために挿入した。二重特異性単鎖抗体を形成するために、これら2つのscFvドメイン配列を、短いペプチドリンカー(GGGGS)をコードする配列によってつないだ。このリンカー配列と一緒に、BamHI制限部位を、今後予定されているbi−scFV構築物のクローニングのためのscFvドメイン交換のために導入した。詳細には、5'側のscFvドメインをHindIIIおよびBamHIの制限によって交換することができ、3'側のscFvドメインをBamHIおよびXhoIの制限によって交換することができた。
すべての使用されたbi−scFv抗体構築物を標準的な哺乳動物発現ベクターのpcDNA(商標)3.1/myc−His(+)(Invitrogen/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)にクローン化した。C末端の6×Hisタグが、タンパク質の金属親和性精製のために、また、検出分析のために役立った。すべての構築物をMWGの単回読み取り配列サービス(Eurofins MWG Operon、Ebersberg、ドイツ)による配列決定によって確認した。構築物の概要については、
図11もまた参照のこと。
【0329】
【表4】
【0330】
【表5】
【0331】
b.安定な産生細胞株の作製
CLDN6特異的bi−scFvタンパク質の安定な産生細胞クローンを作製するために、ヒト胚性腎臓細胞株HEK293(ATCC CRL−1573)を使用した。
1×10
7個のHEK293細胞をトランスフェクションの2日前に、14.5cmの組織培養ディッシュに、20mlの完全DMEM培地(10%の熱不活化FBSおよび0.5%のペニシリン−ストレプトマイシンが補充されるDMEM/F−12 GlutaMax;すべての試薬を、Gibco/Life Technologies GmbH(Darmstadt、ドイツ)から得た)において置床した。トランスフェクションの前に、細胞を、2mMのEDTAが補充されるDPBSにより洗浄し、その後、FBSも抗生物質も含まない20mlの非補充DMEMを加えた。pcDNA3.1/6PHU5およびpcDNA3.1/6PHU3の構築物(これらは実施例9.aで記載される)の20μgの線状化DNAを0.5mlの非補充DMEM/F−12培地で希釈した。1mg/mlの線状PEI溶液(ポリエチレンイミン;Polysciences Europe GmbH、Eppelheim、ドイツ)の75μlを希釈されたDNAに加え、激しくボルテックス撹拌した。RT(室温)での15分間のインキュベーションの後、DNA/PEI複合物を細胞に滴下して加え、細胞培養ディッシュを穏やかに回転させ、その後、37℃、5%CO
2においてインキュベーションした。トランスフェクション後24時間で、培地を交換した。トランスフェクションされた細胞の選抜を、G418硫酸塩(Gibco/Life Technologies GmbH GmbH、Darmstadt、ドイツ)を0.8mg/mlの最終濃度で用いてトランスフェクション後48時間で開始した。G418を常時、細胞培養のために培養培地に加えた。
【0332】
c.ポリクローナルなHEK293細胞によるbi−scFvタンパク質の6PHU5および6PHU3の小規模産生
bi−scFvタンパク質の6PHU5および6PHU3をインビトロ比較のために小規模で産生させ、ポリクローナルなHEK293細胞の上清から精製した。
簡単に記載すると、コンフルエントな状態において、FBSを含まない上清を、実施例9.bで記載されるポリクローナルな細胞株から集め、0.2μmのMinisartシリンジフィルター(Sigma−Aldrich、ドイツ)によりろ過した。続いて、bi−scFvタンパク質を製造者のプロトコル(Qiagen、Hilden、ドイツ)に従ってNi−NTAスピンカラムによって細胞培養上清から小規模で精製した。bi−scFvタンパク質の濃度を、bi−scFvタンパク質の6PHU5および6PHU3の吸光係数および分子量(これらはProtParamツール(http://web.expasy.org/protparam/)により求められる)の考慮のもと、NanoDrop 2000cを用いた280nmでの測定によって求めた。精製されたタンパク質を、直ちに使用するために4℃で貯蔵した。
bi−scFvタンパク質を、標準的な手順(Current Protocols in Protein Science、2012)によって行われるポリアクリルアミドゲル電気泳動、続く、クーマシー染色およびウエスタンブロット分析によって試験した。小規模で精製されたタンパク質を、NuPAGE Novex 4−12%Bis−Trisゲル(Invitrogen/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)で分離した。続いて、ゲルを、細胞培養上清に含有されるbi−scFvタンパク質の6PHU5および6PHU3ならびに他のタンパク質を検出するために標準的な手順(Current Protocols in Protein Science、2012)に従ってクーマシーブリリアントブルー溶液により染色した。ウエスタンブロット分析を、bi−scFvタンパク質の6PHU5および6PHU3をそれらの6×Hisタグにより特異的に検出するために行った。簡単に記載すると、タンパク質をPVDFメンブランにブロットし、ブロッキング処理をPBST/3%粉乳により行った後、メンブランを、ブロッキング緩衝液において1:500で希釈される一次抗体Anti−HIS Epitope−Tag(Dianova GmbH、Hamburg、ドイツ)と4℃で1時間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液による洗浄の後、メンブランを、ブロッキング緩衝液において1:10000で希釈されるFc特異的な二次のペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗マウスIgG抗体(Sigma Aldrich、ドイツ)と4℃で1時間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液による洗浄を再び行った後、シグナルを、SuperSignal West Femto Chemiluminescent Substrate(Pierce/Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL、米国)によって可視化し、ImageQuant LAS 4000 Imager(GE Healthcare Life Sciences、Munich、ドイツ)によって記録した。bi−scFvタンパク質のシグナルが、内部分子量標準と比較した場合、50kDと60kDとの間に検出された。
【0333】
d.ポリクローナルなHEK293細胞によるbi−scFvタンパク質6PHU3の大規模産生
ポリクローナルな産生細胞株を、10層のCell Factory(Nunc、Roskilde、デンマーク)で、10%のFBS、5.0%のペニシリン−ストレプトマイシンおよび0.8mg/mlのG418が補充されるDMEM/F−12 GlutaMax(すべての試薬を、Gibco/Life Technologies GmbH(Darmstadt、ドイツ)から得た)において製造者の指針に従って培養した。コンフルエントな段階で、細胞をDPBSにより洗浄し、培地を、抗生物質を含むが、FBSを含まないDMEM/F−12培地に変えた。bi−scFvタンパク質6PHU3を含有する細胞上清を3週間までにわたって3日〜5日毎に集めた。上清を、500mlのSteritop Filter Unit(Merck Millipore、Billerica、MA、米国)を用いてろ過し、FPLC精製まで4℃で貯蔵した。
FPLC精製の前に、細胞培養上清におけるbi−scFvの存在を、実施例9.cで簡単に記載されるような標準的な手順によって行われるポリアクリルアミドゲル電気泳動、続く、クーマシー染色およびウエスタンブロット分析によって調べた。
【0334】
e.bi−scFvタンパク質6PHU3の精製および定量
bi−scFvタンパク質6PHU3を含有するポリクローナルなHEK293細胞の細胞培養上清(実施例9.bで記載されるもの)を、標準的な手順(Current Protocols in Protein Science、2012)を使用する固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)に供した。簡単に記載すると、細胞培養上清を、AKTA Purifier 10 FPLCシステムにつながれるHis Trap FF(5ml)カラムに負荷した(ともに、GE Healthcare Life Sciences、Munich、ドイツ)。PBS洗浄緩衝液は10mMのイミダゾールを含有し、PBS溶出緩衝液は、500mMのNaCl、50mMのNaH2PO4および250mMのイミダゾールを含有し、両方の緩衝液のpHを7.4に調節した。溶出を段階的勾配によって行った。溶出されたbi−scFvタンパク質6PHU3を、Slide−A−Lyzer G2 Dialysis Cassette(10K MWCO)(Pierce/Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL、米国)を使用して1×PBSに対して直ちに透析した。PBS透析の後、bi−scFvを、H2Oに基づく200mMアルギニン緩衝液(L−アルギニン一塩酸塩;Roth、Karlsruhe、ドイツ)に対して透析した。
bi−scFvの濃度を、bi−scFvタンパク質6PHU3の吸光係数および分子量の考慮のもと、NanoDrop 2000cを用いた280nmでの測定によって求めた。精製されたタンパク質を小分けし、長期間の貯蔵のためには−80℃で貯蔵し、直ちに使用するためには4℃で保った。
bi−scFvタンパク質6PHU3の品質および純度を、実施例9.cで記載されるようにクーマシー染色およびウエスタンブロット分析によって調べた。BSA標準物希釈物を、NanoDropによって測定される濃度を大雑把に確認するためにクーマシー手法では含めた(データは示されず)。
【0335】
実施例10:CLDN6を標的化するbi−scFv候補物の6PHU5および6PHU3の効率
a.bi−scFvタンパク質の6PHU5および6PHU3によって標的細胞に標的変更させられるT細胞の顕微鏡法分析
エフェクター細胞がbi−scFvタンパク質によってCLDN6発現標的細胞に標的変更させられることを顕微鏡法分析により可視化するために、インビトロ細胞傷害性アッセイを行った。NiNTAカラムで精製されたbi−scFvタンパク質の6PHU3および6PHU5(実施例9.cを参照のこと)を使用して、これら2つの変化体をそれらの効率に従って比較した。標的細胞株として、高レベルのヒトCLDN6を内因的に発現する卵巣奇形ガン細胞株PA−1を使用した。
ヒトエフェクター細胞を標準的な手順(Current Protocols in Protein Science、2012)に従って健康なドナーからのヒト血液から新たに単離した:簡単に記載すると、血液をDPBSにより希釈し、Ficoll−Paque Plus(GE Healthcare Life Sciences、Munich、ドイツ)に重層し、遠心分離した。末梢血単核細胞(PBMC)を相間から回収し、2mMのEDTAが補充される冷DPBSにより洗浄し、計数した。続いて、ヒトT細胞を、PBMCから、Pan T Cell Isolation Kit II(Miltenyi Biotec、Teterow、ドイツ)により製造者の指針に従って磁気活性化細胞分離(MACS)によって分離した。
ウエルあたり1×10
5個のPA−1細胞を組織培養用6ウエルプレートに播種した。ヒト細胞を上記のように調製し、5:1のエフェクター対標的(E:T)比で加えた。10%の熱不活化ヒトFBS、0.5%のペニシリン−ストレプトマイシン、1×NEAA、1mMの重炭酸ナトリウムおよび1mMのピルビン酸ナトリウムが補充されるMEM培地(Gibco/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)をすべての細胞のために使用し、ウエルあたりの最終体積を2ml/ウエルに調節した。使用されたbi−scFvタンパク質濃度はこのアッセイでは50ng/mlであった。コントロールサンプルは、bi−scFvタンパク質を伴うことなく、単独での標的細胞またはT細胞を含んだ。組織培養プレートを続いて、37℃、5%CO
2においてインキュベーションした。アッセイを、共インキュベーションの6時間から24時間まで、Wilovert S倒立顕微鏡(Hund、Wetzlar、ドイツ)を用いて連続して観察した。bi−scFvタンパク質の6PHU5および6PHU3の存在下における標的細胞上でのT細胞クラスター化、免疫学的シナプスの形成および標的細胞の殺傷に関しての著しい影響が24時間で認められ、これらの影響を、Nikon Eclipse TS100倒立顕微鏡(Nikon、日本)を用いて写真撮影した。両方のbi−scFvタンパク質が、
図12に示されるような強いT細胞クラスター化および標的細胞殺傷を引き起こす。
【0336】
b.bi−scFvタンパク質の6PHU5および6PHU3により媒介されるT細胞活性化
T細胞活性化を検出するために、また、これら2つのCLDN6特異的bi−scFv変化体の効率における違いを明確にするために、FACSに基づくT細胞活性化アッセイを使用した。初期活性化マーカーCD69および後期活性化マーカーCD25を蛍光コンジュゲート化抗体による染色のために選択した。標的細胞およびT細胞の混合物におけるヒトT細胞の検出のために、T細胞上のCD3を染色した。
一般には、上記から設定されるアッセイを選んだ(実施例10.a)。簡単に記載すると、CLDN6を内因的に発現するPA−1標的細胞を2mlの完全培地において5:1のE:T比でヒトT細胞と一緒に播種し、bi−scFvタンパク質の6PHU5または6PHU3を5ng/ml〜200ng/mlの範囲内の濃度で加えた。コントロールサンプルは、bi−scFvタンパク質を伴って、また、bi−scFvタンパク質を伴うことなく、単独での標的細胞またはT細胞を含んだ。24時間後および48時間後、T細胞をフラッシングによって集め、5mlの丸底チューブ(BD Falcon、Heidelberg、ドイツ)に移した。細胞を遠心分離し、DPBSにより洗浄した。細胞染色のために、マウス抗ヒトCD3−FITC、マウス抗ヒトCD69−APCおよびマウス抗ヒトCD25−PE(すべての抗体が、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を使用した。細胞ペレットを、蛍光コンジュゲート化抗体を含有する50μlのFACS緩衝液(5%のFBSが補充されるDPBS)および2μlの7−AAD(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)において再懸濁した。インキュベーションを暗所において4℃で20分間行った後、サンプルを4mlのDPBSにより洗浄し、細胞ペレットを200μlのFACS緩衝液に再懸濁した。サンプルを、FACSCanto IIフローサイトメーター(ともに、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いた測定の期間中を通して氷上および暗所において保った。分析をFlowJoソフトウエア(Tree Star、San Carlos、CA、米国)によって評価した。
両方のCDLN6特異的bi−scFv変化体が、60%までの効率的なT細胞活性化をもたらした。変化体6PHU3(bi−scFv CD3×CLDN6)は5ng/ml〜10ng/mlの低濃度範囲においてより強力であり(
図13もまた参照のこと)、したがって、さらなる研究のために選択された。
【0337】
実施例11:bi−scFv 6PHU3の結合能
FACS結合アッセイ
bi−scFvタンパク質6PHU3のCLDN6標的化成分およびCD3標的化成分の結合能を評価するために、フローサイトメトリーアッセイを使用した。CLDN6を内因的に発現するPA−1細胞およびOV−90細胞を、抗CLDN6部位を詳しく調べるために使用し、ヒトT細胞を、抗CD3部位を詳しく調べるために使用した。CLDN6陰性のNugC4細胞をコントロール細胞として使用した。
抗CLDN6結合能を詳しく調べるために、CLDN6陽性細胞(PA−1、OV−90)およびCLDN6陰性細胞(NugC4)をトリプシン処理し、完全培地により洗浄し、続いてDPBSにより洗浄した。すべての洗浄工程を4℃における6分間の1200rpmでの遠心分離によって行った。1×10
5個の細胞を5mlの丸底チューブに移し、FACS緩衝液における0.01μg/ml〜10μg/mlのFPLC精製された6PHU3タンパク質またはコントロールbi−scFvタンパク質1BiMABと4℃で30分間インキュベーションした。細胞を2mlのFACS緩衝液により洗浄し、続いて、3.3μg/mlのモノクローナル抗体Anti−HIS Epitope−Tag(Dianova GmbH、Hamburg、ドイツ)と4℃で30分間インキュベーションした。2mlのFACS緩衝液による洗浄の後、細胞ペレットを、FACS緩衝液における1:200の希釈度でのAPCコンジュゲート化ヤギ抗マウス二次抗体(Jackson ImmunoResearch Europe、Suffolk、英国)と暗所において4℃で20分間インキュベーションした。細胞を2mlのFACS緩衝液により2回洗浄し、最後に、1μg/mlのPI(Sigma Aldrich、ドイツ)が補充される150μlのFACS緩衝液に再懸濁して、死細胞を対比染色した。陰性コントロールサンプルには、単独での二次のヤギ抗マウスAPC抗体が含まれていた。陽性コントロールとして、二次のヤギ抗ヒトAPC抗体(Jackson ImmunoResearch Europe、Suffolk、英国)により染色される10μg/mlのモノクローナルなCLDN6特異的抗体mCLDN6ab、および、その適切な二次抗体のみのコントロールを実行した。
サンプルを、FACSCaliburフローサイトメーター(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いて測定し、FlowJoソフトウエア(Tree Star、San Carlos、CA、米国)によって分析した。10μg/mlの6PHU3のシグナル強度は陽性コントロールmCLDN6abの1/4〜1/9であった(
図15Aを参照のこと)。CLDN6陰性細胞株NugC4に対する6PHU3の非特異的な結合は検出されなかった(
図15C)。
【0338】
bi−scFvタンパク質6PHU3の抗CD3アームの結合能を詳しく調べるために、ヒトT細胞を使用した。5×10
5個のT細胞を5mlの丸底チューブに移し、FACS緩衝液における100ng/ml〜10μg/mlの範囲内でのFPLC精製された6PHU3タンパク質と4℃で30分間インキュベーションした。さらなる染色手順は上記の通りであった。コントロールサンプルには、単独での二次のヤギ抗マウスAPC抗体、および、モノクローナル抗体Anti−HIS Epitope−Tag+二次のヤギ抗マウスPE抗体が含まれた。測定および分析を上記のように行った。著しいシグナルが100ng/mlの6PHU3により得られた(
図15Bもまた参照のこと)。
【0339】
実施例12:bi−scFvの6PHU3による標的依存的T細胞活性化の調査
実施例10.aおよび実施例10.bで記載されるような細胞傷害性アッセイを行った。簡単に記載すると、CLDN6を内因的に発現するPA−1標的細胞を2mlの完全培地において5:1のE:T比でヒトT細胞と一緒に播種し、bi−scFvタンパク質6PHU3を0.001ng/ml〜1000ng/mlの範囲内の濃度で加えた。bi−scFv媒介のT細胞活性化についての標的依存性を分析するために、T細胞を、標的細胞を伴うことなく播種し、しかし、標的細胞+T細胞のサンプルと同じ濃度のbi−scFv 6PHU3とインキュベーションした。24時間後および48時間後、T細胞をフラッシングによって集め、5mlの丸底チューブ(BD Falcon、Heidelberg、ドイツ)に移した。細胞染色および分析を実施例10.bで記載されるように行った。
図16Aおよび
図16Bに示されるように、6PHU3媒介のT細胞活性化が標的細胞の非存在下では全く検出できず、このことは、bi−scFv機能性の厳密な標的依存性を強調している。著しいT細胞活性化がほんの0.1ng/mlの6PHU3により48時間後に生じた。
【0340】
実施例13:インビトロ細胞傷害性アッセイにおけるbi−scFv 6PHU3のEC
50の決定
ルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイ
bi−scFvタンパク質6PHU3の50%最大有効用量を求めるために、6PHU3の力価測定列をインビトロルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイで試験した。
安定的にルシフェラーゼを発現するPA−1細胞とヒトT細胞とを5:1のE:T比で、(10倍ずつで)1pg/mlから1μg/mlまでの範囲におけるbi−scFvタンパク質6PHU3濃度とともに、または、L
min値を求めるために、6PHU3を伴うことなくインキュベーションした。
細胞培養マイクロプレートを、37℃、5%CO
2において24時間および48時間インキュベーションした。分析のために、1mg/mlのルシフェリン(BD Monolight、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)および50mMのHEPESを含有する水溶液の50μlをウエルあたり加え、続いて、プレートを37℃において暗所で30分間インキュベーションした。ルシフェラーゼを発現する生細胞によるルシフェリンの酸化から生じる発光を、Inifinite M200 Tecanマイクロプレートリーダー(Tecan、Mannedorf、スイス)を用いて測定した。特異的な標的細胞溶解の百分率を下記の式によって計算した:%特異的溶解=[1−(発光試験サンプル−L
max)/(L
min−L
max)]×100、ただし、"L"は溶解を示す。L
minはbi−scFvの非存在下における最小溶解を示し、L
maxは、Triton X−100(2%の最終濃度)の添加によって達成されるbi−scFvの非存在下における最大溶解(自然発光カウント数に等しい)を示す。
最大溶解には、1ng/ml〜10ng/mlの6PHU3により48時間後に達し、48時間後における決定されたEC
50がおよそ10pg/mlである(
図17もまた参照のこと)。このアッセイの結果は、他者によってもまた報告されるように(例えば、Lutterbuese,R他、2010、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2010(Jul 13)、107(28):12605〜10を参照のこと)、ドナーの免疫状態に従って変化するヒトT細胞の効力に強く依存する。したがって、3倍の差でのbi−scFvタンパク質6PHU3のEC
50値の変動が本発明の過程の期間中に観測されている。
【0341】
実施例14:マウス異種移植モデルにおける効力
bi−scFvタンパク質6PHU3の治療可能能をインビボで詳しく調べるために、NOD.Cg−Prkd
scidIL2rg
tm1Wjl/SzJまたはshort NSGのマウス系統(Jackson laboratory、Bar Harbour、ME、米国)を選んだ。 記載された研究のために、マウスにおけるヒトエフェクター細胞およびヒトTリンパ球の生着が、T細胞と会合するbi−scFvの影響をインビボで研究するためには不可欠である。B細胞、T細胞およびNK細胞を完全に欠いているので、マウス系統NSGがこの種の異種移植研究のためには好適である。PBMC注入後の生着したヒトT細胞を主に有するマウスモデルを発明の一部として確立した。
【0342】
a.bi−scFvタンパク質6PHU3によるマウスにおける進行したCLDN6高発現腫瘍の後期開始処置
例示された研究において、8週齢〜11週齢での25匹のメスNSGマウスおよび25匹のオスNSGマウスに、高レベルのヒトCLDN6を内因的に発現する1×10
7個のPA−1細胞を皮下に接種した。腫瘍細胞接種後15日で、マウスをそれらの腫瘍体積に従って処置群に階層化し、腫瘍成長を有しないマウスは除外した。同じ日に、末梢血単核細胞(PBMC)をFicoll密度勾配技術によって健康なドナーのヒト血液から単離し、インビボでのエフェクター細胞として使用した。200μlのDPBSで希釈される2×10
7個のPBMCを、"PBMC"により示される実験処置群に単離当日に腹腔内注入した。"PBS"により示される処置群は200μlの非補充DPBSを代わりに腹腔内に受け、ヒトエフェクター細胞を伴わないコントロールとして役立った。"PBS"コントロール群により、6PHU3自体による腫瘍成長に対する潜在的影響、あるいは、マウス組織に対するヒトエフェクター細胞によってではなく、6PHU3またはビヒクルによって引き起こされる何らかの潜在的副作用(すなわち、マウス組織に対するヒトエフェクター細胞によって及ぼされる移植片対宿主反応)の調査を調べることができた。群"PBS/ビヒクル"は8匹のマウスを含み(n=8)、群"PBS/6PHU3"は8匹のマウスを含み(n=8)、群"PBMC/ビヒクル"は7匹のマウスを含み(n=7)、群"PBMC/6PHU3"は7匹のマウスを含み(n=7)群"PBMC/1BiMAB"は8匹のマウスを含んだ(n=8)。治療を、DPBSまたはPBMCを適用した7日後に開始した:群"PBS/6PHU3"、群"PBMC/6PHU3"および群"PBMC/1BiMAB"は動物あたり、200μlのDPBSで希釈される5μgの精製されたbi−scFvタンパク質6PHU3またはbi−scFvタンパク質1BiMABを腹腔内に受けた。群"PBS/ビヒクル"および群"PBMC/ビヒクル"は、DPBSで希釈されるビヒクル緩衝液(H2Oに溶解される200mMのL−アルギニン一塩酸塩、無菌ろ過されたもの)の200μlを腹腔内に受けた。処置群が表6にまとめられる。治療を26日間にわたって毎日行った。週に2回、腫瘍の大きさを校正済みのデジタル式カリパスにより測定し、腫瘍体積を下記の式に従って計算した:mm
3=長さ×幅×幅/2。
図18Aおよび
図18Bは、ヒトエフェクター細胞の存在下での抗体による"PBMC/6PHU3"群のすべてのマウスにおける腫瘍成長の阻害を例示する。マウスを、腫瘍体積が1500mm
3に達したとき、または、重篤な病的状態の場合(移植片対宿主症状が一部のマウスにおいて認められた)には頸椎脱臼によって屠殺した。
【0343】
【表6】
【0344】
b.体重に対する治療影響の決定
それぞれのマウスの体重を、実験室用はかりを使用して週に2回測定した。どの群のマウスも体重減少を処置期間にわたって示さなかった(データは示されず)。
【0345】
c.組織の保存および脾細胞の単離
マウスを殺した後、腫瘍を解剖し、組織を直ちに、免疫組織化学分析のために10mlのRoti−Histofix 4%(Carl Roth、Karlsruhe、ドイツ)において固定処理した。そのうえ、脾臓を、ヒト細胞の生着をフローサイトメトリー分析によって検出するために解剖した。脾細胞の単離を、脾臓を3ml〜5mlのシリンジの無菌プランジャーによりすりつぶして、50mlの反応チューブの中に置かれる70μmの細胞ろ過器に通し、温DPBSによる細胞ろ過器の反復したフラッシングを行うことによって脾臓解剖の直後に行った。単離された脾細胞を遠心分離し、DPBSをデカンテーションによって除き、脾細胞のペレットを、10%のDMSOが補充される1mlの熱不活化ウシ胎児血清に再懸濁した。すべてのマウスからの脾細胞サンプルが完了するまで、サンプルを直ちに−80℃で凍結し、貯蔵した。
【0346】
d.マウス脾臓におけるヒトTリンパ球の生着の分析
すべてのマウスからの脾細胞を実施例14.cで記載されるように集め、凍結した。脾細胞サンプルの完成した収集物を一度に解凍し、すべての細胞を温DPBSにより2回洗浄し、サンプルあたり1×10
6個の脾細胞を蛍光コンジュゲート化抗体と暗所において4℃で20分間インキュベーションして、ヒト細胞の生着を抗CD45染色によって検出し、ヒトT細胞の割合を、抗CD3染色、抗CD4染色および抗CD8染色によって検出した。フローサイトメトリー分析を、FACSCalibur(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いて行った。両方の"PBMC"群におけるヒトT細胞の生着を、
図18Dに示されるように、CD45−CD3の二重陽性脾細胞の大きい割合によって確認することができた。
【0347】
e.標的発現およびT細胞増殖を求めるための免疫組織化学
腫瘍を、解剖後、4%の緩衝化ホルムアルデヒド溶液(Roti−Histofix、Carl Roth、Karlsruhe、ドイツ)を使用して4℃で48時間、固定処理した。固定処理された腫瘍を2つに分け、脱水のための自動化された真空組織処理装置ASP200(Leica Microsystems GmbH、Wetzlar、ドイツ)に移し、その後、パラフィン・ディスペンサー・ステーションMPS/C(Slee Medical GmbH、Mainz、ドイツ)によりパラフィン(Paraplast、Carl Roth、Karlsruhe、ドイツ)に包埋した。免疫組織化学染色のために、ホルマリン固定されたパラフィン包埋組織の3μm厚の切片を、回転ミクロトームRM2255(Leica Microsystems GmbH、Wetzlar、ドイツ)を使用して作製した。脱パラフィン化および再水和を並行(bi−linear)回分式染色装置StainMate Max(Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL、米国)で行い、その後、熱誘導によるエピトープ回復を、0.05%のTween20を伴う10mMクエン酸緩衝液(pH6)において120℃で10分間行った。内因性ペルオキシダーゼを、続いてPBSにおける0.3%のH2O2溶液(Carl Roth)を15分間使用して失活させ、その後、PBSにおける10%のヤギ血清(PAA Laboratories GmbH/GE Healthcare、Pasching、オーストリア)とのインキュベーションを、非特異的な抗体結合部位を阻止するために30分間行った。TAAクローディン6が、ポリクローナルな一次抗体の抗マウスクローディン6(C)ウサギ(IBL−America、Minneapolis、MN、米国)との4℃での一晩のインキュベーションによって検出された;T細胞が、ポリクローナルな抗CD3AB(Abcam、Cambridge、英国)を4℃で一晩使用して、その後、BrightVisionポリマーHRPコンジュゲート化抗ウサギ二次抗体(ImmunoLogic、Duiven、オランダ)とのインキュベーションによって連続切片において検出された。結合反応を、Vector NovaREDキット(Vector Laboratories Ltd.、Peterborough、英国)を製造者の説明書に従って使用して、その後、ヘマトキシリン対比染色(Carl Roth)、脱水および固定を行って可視化した。分析および記録を、Axio Imager M2またはMiraxスキャナーのどちらかを使用して行った(ともに、Carl Zeiss Microscopy GmbH、Goettingen、ドイツ)。
図19に示されるように、最大のT細胞浸潤が、とりわけCLDN6発現の境界領域において、CD3染色によって"PBMC/6PHU3"群の腫瘍において検出された。コントロール群におけるTAA CLDN6の不均一な発現パターン(
図19A、
図19B、
図19Cおよび
図19D)が、治療の結果として"PBMC/6PHU3"群の腫瘍におけるCLDN6発現のより密集した領域に変化した(
図19D)。
【0348】
実施例15:CLDN18.2およびCD3を標的化する二重特異性結合剤の作製および試験
a.bi−scFv構築物の配列起源、設計およびテンプレートべクターへのクローニング
ヒトT細胞受容体成分CD3イプシロンおよびヒト腫瘍関連抗原(TAA)に対して特異的である結合ドメインを含有する二重特異性のタンデム型単鎖抗体構築物(bi−scFv)を調製した。それぞれの構築物のための対応する可変重鎖領域(VH)および対応する可変軽鎖領域(VL)を具体的には、5'末端から3'末端に、下記の連続する順で配置した:
【化3】
【0349】
表7には、本発明の過程で作製された、TAA CLDN18.2およびPLAC1に対して特異的であるすべてのbi−scFv構築物がまとめられる。これらのbi−scFv構築物を、対応する抗体のVH配列およびVL配列を使用してGeneArt AG(GeneArt/Life Technologies GmbH、Regensburg、ドイツ)による遺伝子合成によって作製した。コドン最適化、例えば、ヒト(Homo sapiens)(HS)、ハツカネズミ(Mus musculus)(MM)またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)をGeneArt社のGeneOptimizer(登録商標)ソフトウエアによって実行した。これらが表7に示される。特異性、モノクローナル抗体(mAB)由来の配列起源、コドン使用頻度、さらなる配列特徴、および、すべての適用されたドメインの参考文献に関する情報が表8にまとめられる。それぞれのCD3抗体の可変ドメイン配列起源が表8に示される。ヒトTAAおよびマウスTAAの大きい相同性のために、同じ抗TAA VH配列およびVL配列を、マウス特異的な抗CD3抗体クローン145−2C11のVH配列、VL配列との組合せでの場合を除いて、マウスアッセイのためのbi−scFv構築物の作製のために使用することができた。
DNAクローニングおよび発現ベクター構築を、当業者によって広く知られている標準的な手順(Green/Sambrook、Molecular Cloning、2012)に従って行った。簡単に記載すると、最初のbi−scFv DNA配列には、5'側でのBsmBI制限部位および3'側でのXhoI制限部位がpST1プラスミドへのクローニングのために与えられた。分泌シグナル配列をbi−scFvの分泌のために5'末端においてbi−scFv配列の上流側に導入した。15個〜18個のアミノ酸の柔軟なグリシン−セリンペプチドリンカーをコードする配列を、一方がCD3に結合し、かつ、他方がTAAに結合する単鎖可変抗体フラグメント(scFv)を組み立てるためのVHドメインおよびVLドメインをつなぎ合わせるために挿入した。二重特異性単鎖抗体を形成するために、これら2つのscFvドメイン配列を、短いペプチドリンカー(GGGGS)をコードする配列によってつないだ。このリンカー配列と一緒に、BamHI制限部位を、今後予定されているbi−scFv構築物のクローニングのためのscFvドメイン交換のために導入した。簡単に記載すると、5'側のscFvドメインをBsmBIおよびBamHIの制限によって交換し、3'側のscFvドメインをBamHIおよびXhoIの制限によって交換した。C末端の6×Hisタグを、翻訳されたタンパク質の検出分析のために実行した。bi−scFv配列のヒトアルファグロビンの5'側の非翻訳領域およびヒトベータグロビンの3'側の非翻訳領域がpST1ベクターに存在した(詳細については、国際公開WO2007/036366A2;Waggoner,S.他(2003)、Exp.Biol.Med.(Maywood)、228(4)、387頁〜395頁を参照のこと)。
1BiMABレプリコンベクターの作製のために、分泌シグナルおよび6×Hisタグを含む完全な1BiMAB配列を、K.Lundstromによって譲渡されたセムリキ森林ウイルスレプリコンベクター(pSFV)のサブゲノムプロモーターの3'側にサブクローン化した(Lundstrom,K.他(2001)、Histochem.Cell Biol.、115(1)、83頁〜91頁;Ehrengruber,M.U.他(1999)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、96(12)、7041頁〜7046頁)。
すべての構築物をMWGの単回読み取り配列サービス(Eurofins MWG Operon、Ebersberg、ドイツ)による配列決定によって確認し、正しい配列および100個を超えるアデニンのポリ(A)テールを有する構築物のみをインビトロRNA転写のために使用した。
構築物の概要については、
図20Aもまた参照のこと。
【0350】
【表7】
【0351】
【表8】
【0352】
b.IVT−RNA合成
抗CLDN18.2特異的bi−scFvのIVTテンプレートを作製するために、プラスミドを、クラスIIsのエンドヌクレアーゼを使用してポリ(A)テールの下流側で線状化した。線状化されたテンプレートDNAを、どこか他のところで記載されるようにフェノール/クロロホルム抽出および酢酸ナトリウム沈澱によって精製した(Holtkamp,S.他(2006)、Blood、108(13)、4009頁〜4017頁)。
線状化されたDNAテンプレートを、MEGAscript Kits(Ambion /Life Technologies、Darmstadt、ドイツ)を製造者の指針に従って使用するインビトロ転写に供した:pST1テンプレートを、MEGAscript T7 Kitを用いて転写し、pSFVテンプレートをMEGAscript SP6 Kitを用いて転写した。キャップアナロガとの反応のために、GTP濃度を1.5mMに下げ、6mMのARCA、beta−S−ARCA(D1)またはbeta−S−ARCA(D2)(これらは、どこか他のところで記載されるように合成された;Kowalska,J.他(2008)、RNA、14(6)、1119頁〜1131頁;Grudzien,E.他(2004)、RNA、10(9)、1479頁〜1487頁;Stepinski,J.他(2001)、RNA、7(10)、1486頁〜1495頁)を反応液に加えた。IVT−mRNAの精製を、MEGAclear Kit(Ambion/Life Technologies、Darmstadt、ドイツ)を用いてマニュアルに従って行った。IVT−RNAの濃度および品質を、分光光度法、および、2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies、Santa Clara、CA、米国)での分析によって評価した。
【0353】
実施例16:様々なCLDN18.2特異的IVT−mRNAによりトランスフェクションされた標的細胞によるbi−scFv分泌に対する応答でのT細胞活性化
CLDN18.2特異的bi−scFvのIVT−RNAの機能性を調べるために、比較的高レベルのヒトCLDN18.2を内因的に発現する胃ガン細胞株NugC4(Sahin U.他(2008)、Clin Cancer Res、14(23)、7624頁〜7634頁)を標的細胞株として使用した。
NugC4標的細胞(これは、どのアッセイの前においてもFACS分析によってTAA発現について日常的に試験される)を、氷冷されたX−Vivo15培地(LONZA、Basel、スイス)により2回洗浄し、2×107細胞/mlの密度に再懸濁した。250μlの細胞懸濁物を、事前に冷却された0.4cmのGene Pulser/MicroPulserキュベット(Bio−Rad、Dreieich、ドイツ)に移し、20μg/mlのIVT−mRNAを加えた。使用されたIVT−mRNAは、1BiMAB、no.2、no.3、no.4、no.5、no.7、no.8、no.9およびno.10であった。bi−scFv変化体に関するさらなる情報については、表7および表8を参照のこと。注意深く混合した後、細胞を、BTX ECM 830エレクトロポレーター(Harvard Apparatus、Holliston、MA、米国)を用いて、下記の条件を使用してトランスフェクションした:250V、2回のパルス、12msのパルス長さ、400msの間隔長さ。エレクトロポレーション後直ちに、キュベットを短時間氷上に置き、その後、細胞懸濁物を15mlのチューブにおけるRTの温かいアッセイ培地(5%の熱不活化ヒトAB血清、0.5%のペニシリン−ストレプトマイシン、1×NEAAおよび1mMのピルビン酸ナトリウムが補充されるRPMI1640培地)(Gibco/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)に移した。トランスフェクションされた標的細胞を計数し、1×10
5細胞/mlに調節した。
ヒトエフェクター細胞を標準的な手順(Current Protocols in Immunology、2012)に従って健康なドナーのヒト血液から新たに単離した:簡単に記載すると、血液をDPBSにより希釈し、Ficoll−Paque Plus(GE Healthcare Life Sciences、Munich、ドイツ)に重層し、遠心分離した。末梢血単核細胞(PBMC)を相間から回収し、2mMのEDTAが補充される冷DPBSにより洗浄し、計数した。ヒト細胞傷害性T細胞を、PBMCから、CD8
+ T Cell Isolation Kit(ヒト)(Miltenyi Biotec、Teterow、ドイツ)により製造者の指針に従って磁気活性化細胞分離(MACS)によって単離した。エフェクター細胞分離物を、FACS分析(CD4染色、CD8染色)により、成功したT細胞単離について日常的に調べた。T細胞をアッセイ培地において5×10
5細胞/mlに調節した。
1×10
5個の標的細胞を6ウエルプレートのウエルあたり播種し、ヒト細胞傷害性T細胞を5:1のE:T比に加えた。ウエルたりの最終体積が2mlであった。エフェクター細胞および標的細胞を含有するコントロールサンプルは、no.25(親のIgG mAB chCLDN18.2ab)を分泌する標的細胞を含み、また、1BiMABタンパク質を5ng/mlの最終濃度で陽性コントロールとして含んだ。コントロールには、単独でのエレクトロポレーション後の標的細胞または単独でのT細胞が、1BiMABタンパク質を伴って、また、1BiMABタンパク質を伴うことなく含まれた。48時間後、T細胞および標的細胞を集め、標識し、フローサイトメトリーによって分析した。簡単に記載すると、すべての細胞を、Cell Scrapers(Sarstedt AG&Co、Nurmbrecht、ドイツ)を用いて穏やかにかき取ることによって集め、5mlの丸底チューブ(BD Falcon、Heidelberg、ドイツ)に移した。細胞を遠心分離し、DPBSにより洗浄した。細胞染色のために、マウス抗ヒトCD3−FITC、マウス抗ヒトCD69−APCおよびマウス抗ヒトCD25−PE(すべての抗体が、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を使用した。細胞ペレットを、蛍光コンジュゲート化抗体を含有する50μlのFACS緩衝液(5%のFBSが補充されるDPBS)に再懸濁した。インキュベーションを暗所において4℃で20分間行った後、サンプルを4mlのDPBSにより洗浄し、細胞ペレットを、死細胞の検出のために、ヨウ化プロピジウム(PI)(Sigma Aldrich、ドイツ)を1:1000の最終希釈度で含有する200μlのFACS緩衝液に再懸濁した。サンプルを、測定されるまで氷上および暗所において保った。アッセイの確立を、FACSCalibur(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いて行った。分析をFlowJoソフトウエア(Tree Star、San Carlos、CA、米国)によって評価した。
図21Aに示されるように、それぞれのCLDN18.2特異的なIVT−mRNAが、効率的なT細胞活性化において見られるようなbi−scFvタンパク質の分泌をもたらした。ほんのわずかな差をT細胞活性化において有する非常に強力な変化体が、大きい順に、no.5 >no.8>no.10>no.3>1BiMABであった。これらの変化体のすべてが、55%を超える総T細胞活性化を引き起こし、これに対して、no.2、no.4、no.7およびno.9の変化体は40%〜50%の総T細胞活性化を引き起こした。
特異的な標的細胞溶解を下記の式によって計算した:%溶解=(%PI
+標的細胞サンプル−%PI
+標的細胞EP参照)、ただし、"サンプル"は、共インキュベーションされたエフェクター細胞および標的細胞を示し、"EP参照"は、それぞれの個々のIVT−mRNAエレクトロポレーションだけのエレクトロポレーションされた標的細胞を示す。
図21Bに示されるように、65%を超える標的細胞溶解が、大きい順に、変化体1BiMAB>変化体no.5>変化体no.8>変化体no.3によって達成された。他の変化体は55%〜64%の標的細胞溶解を媒介した。
最も強力なCLDN18.2特異的bi−scFvはTR66のVHドメインおよびVLドメインを有し(1BiMAB、no.5、no.10)、または、UCHT1のVHドメインおよびVLドメインを有する(no.3、no.8)。ドメイン配向に関しては、タンパク質bi−scFv変化体とは対照的に、著しい違いが何ら認められなかった(実施例3を参照のこと)。タンパク質研究に従って、1BiMABをコードするIVT−mRNAをさらなる研究のために選んだ。
18RHU5および18RHU3の構築物(表7および表8を参照のこと)を1BiMABに対してその後の時点で比較した。18RHU5の効率が1BiMABと同等であり、18RHU3はそれほど強力でなかった(データは示されず)。
【0354】
実施例17:CLDN18.2特異的bi−scFvの1BiMABを分泌する標的細胞に標的変更させられるT細胞の顕微鏡法分析
アッセイ設定は本質的には、実施例2.aで記載される通りであった。
ヒト細胞傷害性T細胞を、新たに単離されたPBMCから、CD8
+ T Cell Isolation Kit(ヒト)(Miltenyi Biotec、Teterow、ドイツ)により製造者の指針に従ってMACSによって単離した。
NugC4標的細胞を調製し、そして、80μg/mlの1BiMAB IVT−mRNAまたは80μg/mlのno.25 ctrl IVT−mRNAが使用されたことを除いて実施例16で記載されるようにトランスフェクションした。トランスフェクションされた標的細胞を計数し、2×10
5細胞/mlに調節した。1×10
4個の標的細胞を96ウエルプレートのウエルあたり播種し、ヒト細胞傷害性T細胞を5:1のE:T比に従って加えた。ウエルたりの最終体積が100μlであった。コントロールサンプルは、単独でのトランスフェクション後の標的細胞を、エレクトロポレーション後の健常性を証明するために含み、また、コントロールbi−scFvによりトランスフェクションされた標的細胞を、エフェクター細胞を伴って含んだ。組織培養プレートを続いて、37℃、5%CO
2においてインキュベーションした。1BiMABによりトランスフェクションされた標的細胞を含有するサンプルにおける標的細胞上でのT細胞クラスター化、免疫学的シナプスの形成および標的細胞の殺傷に関しての著しい影響が24時間で認められ、これらの影響を、Nikon Eclipse TS100倒立顕微鏡(Nikon、日本)を用いて記録した。T細胞クラスター化または標的細胞溶解が、no.25によりトランスフェクションされた標的細胞を有するコントロールサンプルでは何ら認められず、このことは、T細胞の活性化を誘導するためのTAA発現に対する厳密な依存性を暗示していた。
図22もまた参照のこと。
【0355】
実施例18:CLDN18.2特異的bi−scFvの1BiMABによる濃度依存的なT細胞活性化のフローサイトメトリー分析
TAA発現標的細胞の存在下におけるT細胞のbi−scFv濃度依存的な活性化を詳しく調べるために、3倍希釈系列をトランスフェクションプロセスに適用した。
NugC4標的細胞を調製し、実施例16で記載されるように、しかし、40μg/mlの最終IVT−mRNA濃度によりトランスフェクションした。1BiMABのIVT−mRNAの濃度は0.4μg/mlから40μg/mlにまで及び、これらには、適量のルシフェラーゼIVT−mRNAが、すべてのサンプルをIVT−mRNA量に関して同じストレスレベルにさらすという目的により満たされた。
1×10
5個のトランスフェクションされた標的細胞およびヒト細胞傷害性T細胞(実施例16で記載されるように単離されたもの)を6ウエル形式における2mlのアッセイ培地において10:1のE:T比で播種した。コントロールサンプルは、1BiMABのIVT−mRNAによるのではなく、40μg/mlのルシフェラーゼIVT−mRNAによりトランスフェクションされた標的細胞を含有した。標的細胞およびエフェクター細胞の24時間および48時間の共インキュベーションの後、細胞を、実施例16で記載されるように集め、染色し、分析した。
図23Aおよび
図23Bに示されるように、著しいT細胞活性化が、4μg/mlの1BiMAB IVT−mRNAによりトランスフェクションされた標的細胞を含有するサンプルにおいて認められた。このアッセイにおける最大のT細胞活性化には、40μg/mlの1BiMAB IVT−mRNAにより達した。CD69およびCD25の発現が、共インキュベーション時間(
図23A〜
図23B)およびIVT−mRNA濃度とともに変化した。1BiMAB IVT−mRNAのより大きい量(12μg/mlおよび40μg/ml)は、例えば、
図23BにおけるCD69の発現と比較してCD25の増大した発現においてはっきり見られるように、T細胞活性化機構のより速い開始を引き起こした。総T細胞活性化は約40%を超えなかった。
【0356】
実施例19:CLDN18.2特異的bi−scFvの1BiMABによる濃度依存的なT細胞媒介の標的細胞溶解のフローサイトメトリー分析
bi−scFv濃度依存的なT細胞媒介の標的細胞溶解を詳しく調べるために、実施例18で記載される実験設定を使用した。エフェクター細胞および標的細胞の共インキュベーションサンプル("サンプル")のほかに、個々にエレクトロポレーションされた標的細胞もまた単独で播種した。後者は、エレクトロポレーションプロセス自体によって死んだ標的細胞をT細胞によって溶解された標的細胞から引くための参照サンプル("EP参照")として役立った。
採取および染色を実施例18に従って行った。標的細胞を最後に、FACSCalibur(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いて、ヨウ化プロピジウムのそれらの取り込みにより分析した。
特異的な標的細胞溶解の割合をバックグラウンドでの死細胞の二段階の減算によって求めた:
1.%T細胞媒介溶解=(%PI
+標的細胞サンプル−%PI
+標的細胞EP参照)
2.%特異的溶解=(%T細胞媒介溶解サンプル−%T細胞媒介溶解ctrl)
"%T細胞媒介溶解ctrl"が、エフェクター細胞を伴う場合および伴わない場合のコントロールサンプル(40μg/mlのルシフェラーゼIVT−mRNAのみ)のPI
+標的細胞の差から推定される。
この計算によって、55.5%+/−5.6%の最大特異的溶解には、この実験では12μg/mlの1BiMAB IVT−mRNAにより達する。エレクトロポレーションのストレスに対するNugC4標的細胞の感受性、および、それに加えて、差し引かれる避けらないバックグラウンドでの死んでいる標的細胞のために、プロットされた特異的標的細胞溶解は、この実験設定では、実際の溶解割合よりも低いかもしれない。
【0357】
実施例20:1BiMABのIVT−mRNAによるトランスフェクションに対する応答におけるT細胞増殖
T細胞増殖はT細胞活性化の指標である。特異的なT細胞増殖をCLDN18.2陽性標的細胞の存在下でのbi−scFvコードIVT−mRNA 1BiMABに対する応答において示すために、フローサイトメトリーアッセイを使用した。簡単に記載すると、実施例16で記載されるように単離された1×10
7個のヒトT細胞を、DPBSに溶解される1μMのカルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル(CellTrace CFSE、Invitrogen/Life Technologies GmbH、ドイツ)により暗所においてRTで5分間染色した。細胞をDPBS/5%FCSにより2回洗浄し、2×106細胞/mlにアッセイ培地において再懸濁した。標的細胞として、ヒトCLDN18.2がレンチウイルスにより形質導入されるNugC4細胞、および、特異性試験のためにはCLDN18.2陰性乳ガン細胞株MDA−MB−231を選んだ。20μg/mlのIVT−mRNA 1BiMABまたは非標的化コントロールをエレクトロポレーションのために使用した。NugC4のエレクトロポレーションを実施例16で記載されるように行った。MDA−MB−231のエレクトロポレーションを、下記の条件を使用して行った:400V、3msのパルス長さ、1回のパルス、400msの間隔長さ、0.4cmのGene Pulser/MicroPulserキュベット(Bio−Rad、Dreieich、ドイツ)において。実施例16で記載されるような細胞傷害性アッセイを、トランスフェクションされた標的細胞と、エフェクター細胞としてのCFSE標識されたヒトT細胞とを用いて設定した。単独でのT細胞、および、トランスフェクションされていない標的細胞またはコントロールトランスフェクションされた標的細胞+T細胞を陰性コントロールとして使用した。5μg/mlのOKT3(Bio X Cell、West Lebanon、NH、米国)および2μg/mlの抗CD28(BioLegend、Fell、ドイツ)により刺激される単独でのT細胞が陽性コントロールとして役立った。5ng/mlの濃度での1BiMABタンパク質を、アッセイの妥当性を確認するために、トランスフェクションされていない標的細胞+T細胞に適用した。非標的化bi−scFvタンパク質6PHU3と一緒にされるサンプルを特異性コントロールとして含めた。すべてのサンプルを96ウエルにおける0.2mlのアッセイ培地の総体積において三連で設定した。72時間の共インキュベーションの後、T細胞を集め、5mlの丸底チューブに採取し、洗浄し、ヒトT細胞を腫瘍細胞から区別するために2μlの抗CD45−APCにより、また、200μlのDPBSにおいて死細胞を対比染色するために0.25μlのeFluor506(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)により4℃で30分間染色した。DPBSによる洗浄の後、細胞をFACS緩衝液に再懸濁し、FACSCanto II(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いて分析した。
T細胞の増殖が、CLDN18.2陽性標的細胞およびbi−scFv 1BiMABの存在下のみにおける低下するCFSEシグナルによって検出された(
図25もまた参照のこと)。陽性コントロールのほかに、42%〜48%のT細胞増殖を、1BiMABタンパク質との組合せでCDLN18.2陽性標的細胞の存在下で認めることができた。1BiMABのIVT−mRNAによりトランスフェクションされた標的陽性細胞は、22%+/−3%をもたらした。タンパク質に対する場合よりも低い、IVT−mRNAに対する応答における増殖はおそらくは、NugC4標的細胞により達成可能である低いトランスフェクション効率のためである。CLDN18.2陰性標的細胞MDA−MB−231とインキュベーションされるT細胞は、どのような型においてであれ、同様にまた、陽性コントロールを除いて、標的細胞を伴わないT細胞において著しい増殖を示していない。
【0358】
実施例21:効力のある比率を決定するためのエフェクター対標的比の用量設定
FACS分析に基づくインビトロ細胞傷害性アッセイの状況における好適なE:T比を求めるために、3倍ずつで0.3:1から10:1にまで及ぶE:T比を選んだ。
NugC4標的細胞を調製し、40μg/mlのIVT−mRNA濃度を用いて実施例16で記載されるようにトランスフェクションした。1BiMABのIVT−mRNAによりトランスフェクションされた細胞の1つの調製物をすべての試験サンプルのために使用した。40μg/mlのルシフェラーゼIVT−mRNAのトランスフェクションを陰性コントロールとして選択した。
ヒト細胞傷害性T細胞を実施例16で記載されるように、新たに単離されたPBMCから分離し、エフェクター細胞として扱った。1×10
5個のトランスフェクションされた標的細胞を、6ウエルプレートにおいて二連で、下記のエフェクター対標的比で細胞傷害性T細胞と共インキュベーションした:0.3:1〜1:1〜3:1〜10:1。加えて、ヒト細胞傷害性T細胞を、バックグラウンドでのT細胞活性化を求めるために標的細胞の非存在下で培養した。コントロールのIVT−mRNAまたは1BiMABのIVT−mRNAによりトランスフェクションされる標的細胞はまた、エレクトロポレーションのストレスによるバックグラウンドでの死細胞を明確にするためにエフェクター細胞の非存在下で培養された。ルシフェラーゼ陰性コントロールは10:1の最大E:T比で播種されただけであった。48時間の共インキュベーションの後、細胞を、実施例16で記載されるように集め、標識し、分析した。
図26Aは、NugC4標的細胞による1BiMAB分泌に対する応答における細胞傷害性T細胞の特異的な活性化を示す。サンプルにおけるT細胞の数に関係なく、50%〜60%の総活性化が検出された。そのうえ、サンプルにおけるCD25発現およびCD69発現の分布が非常に類似している。このことは、細胞傷害性T細胞の集団には、活性化され得るある特定の割合のT細胞が存在することを示している。
図26Bでは、効率的な標的細胞溶解が細胞傷害性T細胞の数に依存することが明白になる。標的細胞がほんの0.3:1のE:T比で溶解されるとしても、強力な溶解が3:1の比により始まる。
【0359】
実施例22:1BiMABのIVT−mRNAによりトランスフェクションされたエフェクター細胞を用いるFACS型アッセイにおけるT細胞活性化および標的細胞溶解の分析
この実験では、目的が、同様にヒトエフェクター細胞もIVT−mRNAトランスフェクションの後で1BiMABを産生し、かつ、分泌し得るかを試験することであった。この背後にある理論的根拠が、患者自身のT細胞をbi−scFvによりトランスフェクションし、その後、患者に再移入することができるであろうという仮想上の患者状況であった。
ヒト細胞傷害性T細胞(実施例16で記載されるように単離されたもの)をX−Vivo15培地(LONZA、Basel、スイス)により2回洗浄し、2×107細胞/mlの密度に再懸濁した。250μlの細胞懸濁物を、事前に冷却された0.4cmのGene Pulser/MicroPulserキュベット(Bio−Rad、Dreieich、ドイツ)に移し、80μg/mlまたは240μg/mlのIVT−mRNAを加えた。使用されるIVT−mRNAは、1BiMABと、コントロールとしてのeGFPとであった。注意深く混合した後、細胞を、BTX ECM 830(Harvard Apparatus、Holliston、MA、米国)エレクトロポレーターを用いて、下記の条件を使用してエレクトロポレーションした:500V、1回のパルス、3msのパルス長さ、400msの間隔長さ。エレクトロポレーション後直ちに、キュベットを短時間氷上に置き、その後、細胞懸濁物を、10U/mlのIL−2を含有するアッセイ培地(5%の熱不活化ヒトAB血清、0.5%のペニシリン−ストレプトマイシン、1×NEAAおよび1mMのピルビン酸ナトリウムが補充されるRPMI1640培地)(Gibco/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)に移した。トランスフェクションされたエフェクター細胞を、37℃、5%CO
2において一晩培養した。翌日、トランスフェクション効率をFACSによって分析し、これにより、70%を超えるトランスフェクション効率が、eGFPのIVT−mRNAの両方の濃度について明らかにされた。それぞれのエフェクター細胞サンプルを計数し、5×10
5細胞/mlに調節した。NugC4標的細胞をトリプシン処理によって集め、アッセイ培地により洗浄し、計数し、1×10
5細胞/mlに調節した。エフェクター細胞および標的細胞を混合し、5:1の最終E:T比および2mlの最終体積を用いて6ウエルに二連で播種した。処理されていないT細胞を、バックグラウンドでの活性化シグナルを求めるために標的細胞を伴うことなく播種した。アッセイ分析を、37℃、5%CO
2における48時間の共インキュベーションの後、実施例16で記載されるように行った。
1BiMABのIVT−mRNAによりトランスフェクションされ、かつ、標的細胞と共インキュベーションされる細胞傷害性T細胞の著しい活性化が、
図27Aに示されるように達成された。1BiMABのIVT−mRNAによりトランスフェクションされたT細胞による標的細胞溶解が、
図27Bにプロットされるように60%を超えていた。80μg/mlの1BiMAB IVT−mRNAの影響は、より大きいRNA量により増大させることができなかった。
この実験から結論づけると、エフェクター細胞を理論的には、bi−scFvを産生し、かつ、分泌するレシピエント細胞として使用することができるであろう。
【0360】
実施例23:CLDN18.2陰性標的細胞を使用するルシフェラーゼ型細胞傷害性アッセイにおける1BiMAB IVT−mRNAの標的特異性の調査
厳密な標的特異性が、望まれない有害影響を患者において回避するための重要な検討事項である。この予備的研究では、CLDN18.2陰性細胞株である奇形ガン細胞株PA−1(ATCC CRL−1572)が、IVT−mRNAとして導入される1BiMABの非特異的な細胞溶解能を調べるために選ばれている。
使用されるPA−1細胞株はレンチウイルスのルシフェラーゼベクターにより安定的に形質導入されており、したがって、ルシフェラーゼに基づく細胞傷害性アッセイにおいて適用することができた。PA−1/luc標的細胞を、実施例16で記載されるようにエレクトロポレーションのために調製した。合計で40μg/mlのIVT−mRNAをサンプルあたりトランスフェクションした。使用されるIVT−mRNAは、1BiMAB、no.25および6RHU3であった。no.25は、発現されないTAA PLAC−1を標的とし、6RHU3はPA−1/luc細胞において高発現の標的CLDN6を標的とする。bi−scFv変化体に関するさらなる情報については、表7および表8を参照のこと。no.25を、RNAトランスフェクションによって引き起こされる同じストレスレベルをすべての標的細胞サンプルについて保証するために、4μg/mlのIVT−mRNAによるエレクトロポレーションサンプルにおけるフィルアップ用IVT−mRNAとして使用した。注意深く混合した後、細胞を、BTX ECM 830エレクトロポレーター(Harvard Apparatus、Holliston、MA、米国)を用いて、0.4cmのキュベットのための下記の条件を使用してトランスフェクションした:200V、2回のパルス、12msのパルス長さ、400msの間隔長さ。エレクトロポレーション後直ちに、キュベットを短時間氷上に置き、その後、細胞懸濁物を15mlのチューブにおけるRTの温かいPA−1アッセイ培地(10%の熱不活化FCS、0.5%のペニシリン−ストレプトマイシン、1×NEAA、1.5g/lの重炭酸ナトリウムおよび1mMのピルビン酸ナトリウムが補充されるMEM培地)(Gibco/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)に移した。トランスフェクションされた標的細胞を計数し、1×10
5細胞/mlに調節した。
ヒトエフェクター細胞を実施例16で記載されるように単離した。ヒト細胞傷害性T細胞を、PBMCから、Pan T Cell Isolation Kit II(ヒト)(Miltenyi Biotec、Teterow、ドイツ)により製造者の指針に従って磁気活性化細胞分離(MACS)によって単離した。T細胞をPA−1アッセイ培地において5×10
5細胞/mlに調節した。
1×10
4個の標的細胞を96ウエルプレートのウエルあたり播種し、ヒト細胞傷害性T細胞を5:1のE:T比に加えた。ウエルたりの最終体積が100μlであった。エフェクター細胞および標的細胞を含有するコントロールサンプルは、陰性コントロールとしての、no.25を分泌する標的細胞、陽性コントロールとしての6RHU3タンパク質または6PHU3タンパク質、および、1BiMABタンパク質を含んだ。タンパク質濃度を100ng/mlの最終濃度に設定し、no.25によりトランスフェクションされた標的細胞と一緒にして、同じ条件を使用された標的細胞について保証した。最小溶解コントロール(L
min)には、それぞれのエレクトポレーションされた標的細胞サンプルが単独で含まれた。自然溶解コントロール(L
max)は、L試験サンプルからの減算のための非処理の標的細胞およびエフェクター細胞(L
max1)、または、L
minからの減算のための単独での処理されていない標的細胞の(L
max2)からなった。それぞれのサンプルを三連で播種した。アッセイ分析を、37℃、5%CO
2における72時間のインキュベーションの後で着手した。自然溶解コントロール(L
max)を、2%の最終濃度でのTriton X−100により処理した。
分析のために、1mg/mlのルシフェリン(BD Monolight、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)および50mMのHEPESを含有する水溶液の50μlをウエルあたり加え、続いて、プレートを37℃において暗所で30分間インキュベーションした。ルシフェラーゼを発現する生細胞によるルシフェリンの酸化から生じる発光をマイクロプレートリーダー(Infinite M200、Tecan、Mannedorf、スイス)で測定した。特異的な標的細胞溶解の百分率を下記の式によって計算した:%特異的溶解=[1−(発光試験サンプル−L
max1)/(L
min−L
max2)]×100。
図28は、特異的な標的細胞溶解の割合を示す。陰性コントロールno.25または1BiMABによりトランスフェクションされるCLDN18.2陰性のPA−1/luc細胞は、著しい溶解を72時間のインキュベーションの後さえ示さない。同様に、100ng/mlの1BiMABタンパク質は著しい溶解を生じさせておらず、これに対して、TAAを標的化する6RHU3のbi−scFv分泌による溶解、または、100ng/mlの6PHU3タンパク質による溶解は85%〜93%の間であった。24時間および48時間の時点を同様に分析した。これらの時点は、同等な結果を示す(データは示されず)。
【0361】
実施例24:哺乳動物細胞のIVT−RNAトランスフェクションの後における1BiMABタンパク質産生の定性的分析
タンパク質へのRNA翻訳を哺乳動物細胞において詳しく調べるために、細胞株BHK21(ATCC CRL−13001)を発現系として選んだ。2×10
7個/mlのBHK21細胞を、すべての工程がRTで行われたという違いを伴って実施例16で記載されるようにエレクトロポレーションによってトランスフェクションした。250μlの細胞懸濁物を0.4cmのGene Pulser/MicroPulserキュベット(Bio−Rad、Dreieich、ドイツ)に移し、40μg/mlの1BiMAB IVT−mRNAまたはIVT−レプリコンRNAを加えた。エレクトロポレーション条件は下記の通りであった:300V、16msのパルス長さ、1回のパルス、400msの間隔長さ。
エレクトロポレーションされた細胞をRTでの培養培地(RPMI1640、10%のFCS)に再懸濁し、15cmの培養ディッシュに移した。播種後5時間で、FCSを含有する培地をFCS非含有培地によって取り換えた。実施例24aおよび実施例24bの場合には、細胞培養上清および細胞をエレクトロポレーション後18時間で別々に集めた。細胞ペレットを1×LDSサンプル緩衝液(カタログ番号NP0008;Life technologies、Darmstadt、ドイツ)において溶解し、72℃で15分間加熱した。ELISA分析のために、濃縮されていない上清およびおよそ50倍濃縮された上清を使用した。濃縮を、Amicon ウルトラ−15遠心ろ過ユニット(Merck Millipore、Billerica、MA、米国)を用いて製造者のプロトコルに従って行った。実施例24c(IVT−mRNAのみ)の場合には、上清をトランスフェクション後48時間で集め、上記で記載されるように40倍濃縮に供した。
【0362】
a.上清を使用するELISA
ELISA分析のために、ニッケル被覆プレート(Thermo Fisher Scientific、Bonn、ドイツ)を、分析物をそのHisタグにより捕捉するために使用した。最初に、プレートをウエルあたり200μlの洗浄緩衝液(1×PBSにおける0.01%のTween−20)により3回洗浄した。標準物として、精製された1BiMABタンパク質を1×PBSにおける1.75%のNaカゼイン(=希釈液)に希釈した。希釈列は2倍ずつで2.34ng/mlから37.50ng/mlにまで及んだ。標準希釈物あたり100μlをそれぞれの濃度の三連でウエルに移した。したがって、100μlのサンプルが三連で移された。プレートを接着性フィルムにより密封し、37℃で30分間インキュベーションした。その後、プレートをウエルあたり200μlの洗浄緩衝液により3回洗浄した。1BiMABの検出のために、mCLDN18.2abのVH−VLに特異的に結合し、したがって、1BiMABにまた特異的に結合する抗イディオタイプのモノクローナルIgG 8B1F3を使用した。8B1F3を1μg/mlの最終濃度に希釈液に混合した。100μlの抗イディオタイプ抗体溶液をそれぞれのウエルに移し、その後には、37℃での30分のインキュベーション時間が続いた。続いて、プレートをウエルあたり200μlの洗浄緩衝液により3回洗浄し、100μlのAPコンジュゲート化抗マウス検出抗体(Jackson Immuno Research Laboratories、West Grove、PA、米国)(希釈液で1:500希釈されたもの)をそれぞれのウエルに加え、その後、37℃で30分のインキュベーションを行った。最後の洗浄工程(200μlの洗浄緩衝液、3回)の後、適切な基質緩衝液(1Mのジエタノールアミン、0.5mMのMgCl2、0.01%のアジ化Na、pH9.8)における1.5mg/mlの基質pNPPをそれぞれのウエルに加え、その後、インキュベーションを暗所においてRTで30分間行った。100μlの3M KOHをそれぞれのウエルのために使用して、酵素反応を停止させた。吸光度を、マイクロプレートリーダー(Infinite M200、Tecan、Mannedorf、スイス)を用いて測定した。二重波長分析のために、405nmを測定波長として設定し、492nmを参照波長として設定した。吸光度値を、参照波長を測定波長から引くことによって計算した。
図29Aにおいて、標準偏差を含む405nmにおける平均吸光度値がプロットされる。1BiMAB IVT−mRNAおよびIVT−レプリコンによりトランスフェクションされた細胞から得られる濃縮された上清は、bi−scFvをコードするIVT−RNAの翻訳を証明する著しいシグナルを引き起こした。模擬トランスフェクションされた細胞から得られる濃縮された上清はシグナルを何ら生じさせなかった。実際のタンパク質濃度は、IVT−mRNA構築物およびIVT−レプリコン構築物の異なる毒性ならびにわずかに異なるx倍濃縮物のために提案することができない。濃縮されていない上清における近似的タンパク質濃度の推定は、IVT−レプリコンサンプルについては1.5ng/mlの範囲であり、IVT−mRNAサンプルについては2.4ng/mlの範囲であった。
【0363】
b.上清および細胞溶解物(IVT−mRNAサンプルおよびIVT−レプリコンサンプル)のウエスタンブロット分析
ウエスタンブロットによる分析のために、濃縮上清および細胞溶解物を、NuPAGE Novex 4−12%Bis−Trisゲル(Invitrogen/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)で分離した。1BiMABのIVT−mRNA、IVT−レプリコンRNAによりトランスフェクションされたBHK21細胞または非処理細胞の上清および細胞溶解物、ならびに、陽性コントロール(0.1μgの精製された1BiMABタンパク質)を負荷した。ウエスタンブロット分析を標準的な手順(Current Protocols in Protein Science、2012)によって行った。簡単に記載すると、タンパク質をPVDFメンブランにブロットし、ブロッキング処理をPBST/3%粉乳により行った後、メンブランを、ブロッキング緩衝液において1:500で希釈される一次抗体Anti−HIS Epitope−Tag(Dianova GmbH、Hamburg、ドイツ)と4℃で1時間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液による繰り返された洗浄の後、メンブランを、ブロッキング緩衝液において1:10000で希釈されるFc特異的な二次のペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗マウスIgG抗体(Sigma Aldrich、ドイツ)と4℃で1時間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液による繰り返された洗浄の後、シグナルを、SuperSignal West Femto Chemiluminescent Substrate(Pierce/Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL、米国)によって可視化し、ImageQuant LAS 4000 Imager(GE Healthcare Life Sciences、Munich、ドイツ)によって記録した。1BiMABのシグナルが、内部分子量標準と比較した場合、50kDと60kDとの間に検出された。
図29Bに示されるように、弱いシグナルが、IVT−mRNAによりトランスフェクションされた細胞(レーン2)およびIVT−レプリコンRNAによりトランスフェクションされた細胞(レーン3)において検出されたが、これに対して、上清が非処理細胞に由来するレーン4はシグナルを伴っていない。強いシグナルを、IVT−mRNAによりトランスフェクションされた細胞(レーン5)およびIVT−レプリコンRNAによりトランスフェクションされた細胞(レーン6)の細胞溶解物により生じさせることができた。非処理細胞に由来する細胞溶解物(レーン7)は再度ではあるが、シグナルを全くもたらさなかった。すべてのシグナルが、精製された1BiMABタンパク質コントロール(レーン8)と同じくらいの大きさで現れた。上清における弱いシグナル、および、それとともに、弱い1BiMAB分泌はおそらくは、トランスフェクション後のインキュベーション時間が比較的短いためである。レプリコンRNAの毒性影響のために、より長いインキュベーション時間は調べることができなかった。
両方の分析は定性的であり、タンパク質濃度の決定のためには役立たない。
【0364】
c.上清(IVT−mRNAサンプル)のウエスタンブロット分析
トランスフェクション後48時間で採取された上清をSDS−PAGEによって分離し、その後、ウエスタンブロット分析を実施例24bで記載されるように行った。
図29Cに示されるように、IVT−mRNAから翻訳され、上清に分泌されたno.25および1BiMABがそれらのHisタグにより検出された。それに加えて、1BiMABの産生および分泌、同様にまた、bi−scFv特異性コントロールとして使用されているno.25の産生および分泌を証明することができた。
【0365】
実施例25:筋肉内RNA注入の後におけるインビボ翻訳された機能的な1BiMABタンパク質の検出
8週齢〜16週齢でのメスおよびオスのNSGマウスを選択し、5匹のマウスからなる4つの群に分けた。40μlのRNA溶液をマウスおよび大腿筋につき注入した。40μlのRNA溶液は、1×PBS、5μgのD2キャップ化1BiMAB IVT−mRNAまたはIVT−レプリコン、2μgのD1キャップ化ルシフェラーゼIVT−mRNA、および、0μgまたは15μgのD1キャップ化EBK IVT−mRNAからなった。ワクシニアウイルスタンパク質(E3L、B18RおよびK3L)(EBK)をコードするEBK IVT−mRNAを共注入して、IFN応答を阻害し、かつ、PKR活性化をRNA翻訳増強のために打ち消した(特許出願PCT/EP2012/04673)。ルシフェラーゼシグナルを、Xenogen IVIS 2000を用いて注入後24時間でモニターして、シグナルを有しないマウスをサンプル集団から除いた。
血液を、注入の2日後、4日後および7日後に採取した。血清を集め、続いて−80℃で凍結した。強い発光シグナルを有するマウスの筋肉をRNA注入の4日後に解剖し、IHCのために組織固定し、または、ウエスタンブロット分析のために急速凍結した。
【0366】
細胞傷害性アッセイ
NSGマウスの血清をインビトロ細胞傷害性アッセイで分析した。ホタルルシフェラーゼおよびより良好な標的発現のためのヒトCLDN18.2が安定的に形質導入されたNugC4標的細胞を、最大感受性のための30対1のE:T比でのヒトT細胞(実施例16で記載されるように単離されたもの)とともに播種した。アッセイ培地は、10%の熱不活化FCS、0.5%のペニシリン−ストレプトマイシン、1×NEAAおよび1mMのピルビン酸ナトリウムが補充されるRPMI1640培地(Gibco/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)からなった。20μlの解凍された試験血清を試験サンプルウエルあたり加えた。標準物1BiMABタンパク質コントロールウエル、L
minウエルおよびL
maxウエルを、処置されていないNSGマウスの20μlの血清により完成させた。ウエルたりの最終体積が100μlであった。L
minを二連で播種し、L
maxを六連で播種し、試験サンプルを三連で播種した。37℃および5%CO
2における48時間のインキュベーションの後、L
maxウエルを10μlの2%Triton X−100溶液と混合し、10分間インキュベーションした。すべての他のウエルには10μlのアッセイ培地を加えた。50μlのルシフェリン溶液(実施例23を参照のこと)を加え、プレートを、暗所における37℃での30分のインキュベーション工程の後、Infinite M200マイクロプレートリーダー(TECAN、Mannedorf、スイス)で測定した。特異的な標的細胞溶解の計算を実施例23で記載されるように行った。
図30において、パーセント特異的溶解がプロットされる。著しい細胞傷害性影響がそれぞれの群において検出された。細胞溶解影響が、EBKおよび1BiMAB IVT−mRNAが注入され、注入の2日後に集められるマウスの血清を含有するウエルにおいて1.7倍増大した。著しくより低い影響が、注入の4日後または7日後に集められるサンプルによって達成された。1BiMABレプリコンサンプルの場合には、より遅い時点で集められる血清もまた、強い細胞溶解影響を生じさせた。
これらのデータにより、筋肉内注入の後におけるIVT−mRNAまたはIVT−レプリコンからの1BiMABのインビボ翻訳ならびに血流内への分泌が立証される。
【0367】
実施例26:CLDN6およびCD3を標的化する二重特異性結合剤の作製および試験
a.bi−scFv構築物の配列起源、設計およびテンプレートべクターへのクローニング
ヒトT細胞受容体成分CD3およびヒト腫瘍関連抗原(TAA)に対して特異的である結合ドメインを含有する二重特異性のタンデム型単鎖抗体構築物(bi−scFv)を調製した。それぞれの構築物のための対応する可変重鎖領域(VH)および対応する可変軽鎖領域(VL)を具体的には、5'末端から3'末端に、下記の連続する順で配置した:
【化4】
【0368】
表9には、本発明の過程で作製された、TAA CLDN6に対して特異的であるすべてのbi−scFv構築物がまとめられる。CLDN18.2特異的bi−scFv構築物1BiMABをコントロール抗体として使用した。これらのbi−scFv構築物を、対応する抗体のVH配列およびVL配列を使用してGeneArt AG(GeneArt/Life Technologies GmbH、Regensburg、ドイツ)による遺伝子合成によって作製した。コドン最適化、例えば、ヒト(Homo sapiens)(HS)またはハツカネズミ(Mus musculus)(MM)をGeneArt社のGeneOptimizer(登録商標)ソフトウエアによって実行した。これらが表9に示される。特異性、モノクローナル抗体(mAB)からの配列起源、コドン使用頻度、さらなる配列特徴、および、すべての適用されたドメインの参考文献に関する情報が表10にまとめられる。それぞれのCD3抗体の可変ドメイン配列起源が表10に示される。ヒトTAAおよびマウスTAAの大きい相同性のために、同じ抗TAA VH配列およびVL配列を、マウス特異的な抗CD3抗体クローン145−2C11のVH配列、VL配列との組合せでの場合を除いて、マウスアッセイのためのbi−scFv構築物の作製のために使用することができた。
DNAクローニングおよび発現ベクター構築を、当業者によって広く知られている標準的な手順(Green/Sambrook、Molecular Cloning、2012)に従って行った。簡単に記載すると、最初のbi−scFv DNA配列には、5'側でのBsmBI制限部位および3'側でのXhoI制限部位がpST1プラスミドへのクローニングのために与えられた。分泌シグナル配列をbi−scFvの分泌のために5'末端においてbi−scFv配列の上流側に導入した。15個〜18個のアミノ酸の柔軟なグリシン−セリンペプチドリンカーをコードする配列を、一方がCD3に結合し、かつ、他方がTAAに結合する単鎖可変抗体フラグメント(scFv)を組み立てるためのVHドメインおよびVLドメインをつなぎ合わせるために挿入した。二重特異性単鎖抗体を形成するために、これら2つのscFvドメイン配列を、短いペプチドリンカー(GGGGS)をコードする配列によってつないだ。このリンカー配列と一緒に、BamHI制限部位を、今後予定されているbi−scFV構築物のクローニングのためのscFvドメイン交換のために導入した。簡単に記載すると、5'側のscFvドメインをBsmBIおよびBamHIの制限によって交換することができ、3'側のscFvドメインをBamHIおよびXhoIの制限によって交換することができた。C末端の6×Hisタグが、翻訳されたタンパク質の検出分析のために役立った。6RHU3レプリコンベクターの作製のために、分泌シグナルおよび6×Hisタグを含む完全な6RHU3配列を、K.Lundstromによって譲渡されたセムリキ森林ウイルスレプリコンベクター(pSFV)のサブゲノムプロモーターの3'側にサブクローン化した(Lundstrom,K.他(2001)、Histochem.Cell Biol.、115(1)、83頁〜91頁;Ehrengruber,M.U.他(1999)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、96(12)、7041頁〜7046頁)。
すべての構築物をMWGの単回読み取り配列サービス(Eurofins MWG Operon、Ebersberg、ドイツ)による配列決定によって確認し、正しい配列および100個を超えるアデニンのポリ(A)テールを有する構築物のみをインビトロRNA転写のために使用した。
構築物の概要については、
図31Aもまた参照のこと。
【0369】
【表9】
【0370】
【表10】
【0371】
b.IVT−RNA合成
抗CLDN6特異的bi−scFvのIVTテンプレートを作製するために、プラスミドを、クラスIIsのエンドヌクレアーゼを使用してポリ(A)テールの下流側で線状化した。線状化されたテンプレートDNAを、どこか他のところで記載されるようにフェノール/クロロホルム抽出および酢酸ナトリウム沈澱によって精製した(Holtkamp,S.他(2006)、Blood、108(13)、4009頁〜4017頁)。
線状化されたDNAテンプレートを、MEGAscript Kits(Ambion /Life Technologies、Darmstadt、ドイツ)を製造者の指針に従って使用するインビトロ転写に供した:pST1テンプレートを、MEGAscript T7 Kitを用いて転写し、pSFVテンプレートをMEGAscript SP6 Kitを用いて転写した。キャップアナロガとの反応のために、GTP濃度を1.5mMに下げ、6mMのARCA、beta−S−ARCA(D1)またはbeta−S−ARCA(D2)(これらは、どこか他のところで記載されるように合成された)(Grudzien,E.他(2004)、RNA、10(9)、1479頁〜1487頁;Kowalska,J.他(2008)、RNA、14(6)、1119頁〜1131頁;Stepinski,J.他(2001)、RNA、7(10)、1486頁〜1495頁)を反応液に加えた。IVT−RNAの精製を、MEGAclear Kit(Ambion/Life Technologies、Darmstadt、ドイツ)を用いてマニュアルに従って行った。IVT−RNAの濃度および品質を、分光光度法、および、2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies、Santa Clara、CA、米国)での分析によって評価した。
【0372】
実施例27:CLDN6特異的bi−scFvの1BiMABを分泌する標的細胞に標的変更させられるT細胞の顕微鏡法分析
アッセイ設定は原理的には、実施例2.aで記載される通りに行った。
標的細胞株として、高レベルのヒトCLDN6を内因的に発現する卵巣奇形ガン細胞株PA−1(ATCC CRL−1572)のサブクローン物を使用した。ヒト細胞傷害性T細胞を、新たに単離されたPBMCから、Pan T Cell Isolation Kit II(ヒト)(Miltenyi Biotec、Teterow、ドイツ)により製造者の指針に従ってMACSによって単離した。
PA−1標的細胞(これは、どのアッセイの前においてもFACS分析によってTAA発現について日常的に試験される)を、氷冷されたX−Vivo15培地(LONZA、Basel、スイス)により2回洗浄し、2×107細胞/mlの密度に再懸濁した。250μlの細胞懸濁物を、事前に冷却された0.4cmのGene Pulser/MicroPulserキュベット(Bio−Rad、Dreieich、ドイツ)に移し、20μg/mlのIVT−mRNAを加えた。BTX ECM 830エレクトロポレーター(Harvard Apparatus、Holliston、MA、米国)を使用する条件は、200V、12msのパルス長さ、2回のパルス、400msの間隔長さであった。使用されるIVT−mRNAは、6RHU5、6RHU3、no.25であった(詳細については表9および表10を参照のこと)。トランスフェクションされた標的細胞を計数し、1×10
5細胞/mlに調節した。1×10
5個の標的細胞を6ウエルプレートのウエルあたり播種し、ヒト細胞傷害性T細胞を5:1のE:T比に従って加えた。ウエルたりの最終体積が2mlであった。コントロールサンプルは、単独でのトランスフェクション後の標的細胞を、エレクトロポレーション後の健常性を証明するために含み、また、コントロールbi−scFvによりトランスフェクションされた標的細胞を、エフェクター細胞を伴って含んだ。陽性コントロールとして、対応するCLDN6特異的bi−scFvタンパク質の6PHU5および6PHU3を50μg/mlの濃度で実行した。したがって、ヒトT細胞を伴う処理されていないPA−1細胞が使用された。組織培養プレートを続いて、37℃、5%CO
2においてインキュベーションした。6RHU5または6RHU3によりトランスフェクションされた標的細胞を含有するサンプルにおける標的細胞上でのT細胞クラスター化、免疫学的シナプスの形成および標的細胞の殺傷に関しての著しい影響が24時間後に認められ、これらの影響を、Nikon Eclipse TS100倒立顕微鏡(Nikon、日本)を用いて記録した。
図32に示されるように、T細胞クラスター化または標的細胞溶解が、no.25によりトランスフェクションされた標的細胞を有するコントロールサンプルでは何ら認められず、このことは、T細胞の活性化を誘導するためのTAA発現に対する厳密な依存性を暗示していた。bi−scFvを伴わない模擬コントロールも同様に、T細胞のクラスター化を何ら示していない。代わりに、タンパク質コントロールでは、強いT細胞クラスター化および標的細胞溶解がもたらされた。
【0373】
実施例28:CLDN6を標的化するbi−scFv候補物の6RHU5および6RHU3によって誘導されるT細胞活性化
T細胞活性化を検出するために、また、これら2つのCLDN6特異的bi−scFv変化体の効率における違いを明確にするために、FACSに基づくT細胞活性化アッセイを行った。初期活性化マーカーCD69および後期活性化マーカーCD25を蛍光コンジュゲート化抗体による染色のために選択した。標的細胞およびT細胞の混合物におけるヒトT細胞の検出のために、すべてのT細胞によって発現されるCD3を染色した。
標的細胞およびエフェクター細胞を上記(実施例27)で記載されるように調製した。簡単に記載すると、CLDN6を内因的に発現するPA−1標的細胞を、20μg/mlの下記のIVT−mRNAを用いたエレクトロポレーションによってトランスフェクションした:6RHU5、6RHU3およびno.25。no.25(これは、発現されないTAAを標的化する)が特異性コントロールとして役立ち、処理されていない標的細胞が模擬コントロールとして役立った。陽性コントロールとして、50ng/mlの6PHU5タンパク質を使用した。さらに、T細胞を、標的細胞を伴うことなく、6PHU5タンパク質を伴って、または、バックグラウンドの活性化の参照として、6PHU5タンパク質を伴うことなく播種した。それぞれのサンプルを6ウエルプレートに二連で播種し、37℃、5%CO
2においてインキュベーションした。24時間後および48時間後、T細胞をかき取りによって集め、5mlの丸底チューブ(BD Falcon、Heidelberg、ドイツ)に移した。細胞を遠心分離し、DPBSにより洗浄した。細胞染色のために、マウス抗ヒトCD3−FITC、マウス抗ヒトCD69−APCおよびマウス抗ヒトCD25−PE(すべての抗体が、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を使用した。細胞ペレットを、蛍光コンジュゲート化抗体を含有する50μlのFACS緩衝液(5%のFBSが補充されるDPBS)および2μlの7−AAD(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)において再懸濁した。インキュベーションを暗所において4℃で20分間行った後、サンプルを4mlのDPBSにより洗浄し、細胞ペレットを200μlのFACS緩衝液に再懸濁した。サンプルを、FACSCanto IIフローサイトメーター(ともに、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いた測定の期間中を通して氷上および暗所において保った。分析をFlowJoソフトウエア(Tree Star、San Carlos、CA、米国)によって評価した。
図33Aおよび
図33Bに示されるように、両方の変化体がT細胞活性化をもたらし、これに対して、陰性コントロールはどれもが、T細胞活性化マーカーのCD69またはCD25の著しい発現を示さなかった。
6RHU3に対する応答における総T細胞活性化が、6RHU5に対する応答の場合よりも、24時間後(A)では1.53倍大きく、48時間後(B)では1.35倍大きかった。これらの発見に基づいて、すべてのさらなる研究を、変化体6RHU3のみを用いて行った。
【0374】
実施例29:6RHU3によりトランスフェクションされた標的細胞との共インキュベーションによる濃度依存的なT細胞活性化
標的依存的なT細胞活性化を誘導するために必要である最小の6RHU3 IVT−mRNA濃度を求めるために、0.2μg/mlから20μg/mlまでのIVT−mRNAの希釈範囲をPA−1標的細胞にトランスフェクションした。すべてのサンプルをRNAエレクトロポレーションによる同じストレスレベルにさらすために、20μg/mlのIVT−mRNAの総濃度をトランスフェクションした。no.25(これは、発現されないTAAを標的化する)をフィルアップ用のIVT−mRNAとして使用した。したがって、0μg/mlの6RHU3は20μg/mlのno.25に対応する。エレクトロポレーションを実施例27で記載されるように行った。ヒトT細胞をエフェクター細胞として使用した。PBMCからの単離を製造者のマニュアルに従って行った(Pan T Cell Isolation Kit II、Miltenyi、Teterow、ドイツ)。エフェクター細胞および標的細胞を5:1の比率で混合した。T細胞を伴う非処理の標的細胞が模擬コントロールとして役立った。さらに、T細胞を、標的細胞を伴うことなく、6PHU5タンパク質を伴って、または、バックグラウンドの活性化の参照として、6PHU5タンパク質を伴うことなく播種した。陽性コントロールとして、処理されていない標的細胞をT細胞および50ng/mlの6PHU5タンパク質と混合した。すべてのサンプルを6ウエルプレートにおいて二連で調製した。
標的細胞およびエフェクター細胞を、37℃、5%CO
2において48時間にわたって共インキュベーションした。サンプルを、実施例28で記載されるようにフローサイトメトリー分析のために調製した。
図34において、活性化マーカーを発現するCD3陽性T細胞の割合がプロットされる。T細胞活性化がコントロールでは何ら認められなかった。著しいT細胞活性化の検出が、0.7μg/mlの6RHU3 IVT−mRNAの濃度で始まった。2.0μg/mlの6RHU3 IVT−mRNAに対する応答における影響が、50ng/mlの6PHU5タンパク質コントロールによって媒介される影響と同程度であった。したがって、トランスフェクションされたIVT−mRNAからのタンパク質の翻訳および分泌は効率的なプロセスであるようである。
【0375】
実施例30:6RHU3についてのEC
50の決定
bi−scFvをコードするIVT−mRNA 6RHU3の50%最大有効用量を求めるために、6RHU3の力価測定列をインビトロルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイで試験した。安定的にルシフェラーゼを発現するPA−1細胞を、実施例27で記載されるようにエレクトロポレーションによって一過性にトランスフェクションした。使用された6RHU3 IVT−mRNA濃度が、6つの希釈段階で0.004μg/mlから13.3μg/mlにまで及んだ。総IVT−mRNA濃度は常に13.3μg/mlに設定し、no.25をフィルアップ用IVT−mRNAとして使用した。最小溶解コントロール(L
min)として、すべてのトランスフェクションされた標的細胞サンプルを、エフェクター細胞を伴うことなく播種した。この手順によって、それぞれの個々のエレクトロポレーションサンプルのバックグラウンドでの死細胞が差し引かれ、T細胞媒介の溶解影響のみが得られることになる。
トランスフェクションされた標的細胞を、96ウエル形式において三連で、5:1のエフェクター対標的比でのヒトT細胞とともに播種し、37℃、5%CO
2においてインキュベーションした。自然発光カウント数に対して正規化するための最大溶解(L
max)を、Triton X−100をルシフェリン添加の直前に、エフェクター細胞および処理されていない標的細胞を含有するコントロールウエルに加えることによって達成した。ルシフェリン溶液(ウエルあたり、1mg/mlのルシフェリン(BD Monolight、BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)および50mMのHEPESを含有する水溶液の50μl)を加えた後、発光を、Infinite M200 Tecanマイクロプレートリーダーを用いて24時間後および48時間後に測定した。特異的な標的細胞溶解を下記の式によって計算した:%特異的溶解=[1−(発光試験サンプル−L
max)/(L
min_試験サンプル−L
max)]×100。
図35は、6RHU3に対する応答における特異的な標的細胞溶解についての濃度依存的な曲線を示す。GraphPad Prismの式"log(agonist) vs.response−Variable slope"をEC
50値の計算にために使用することにより、EC
50(24h)=548.0ng/ml、および、EC
50(48h)=194.5ng/mlが明らかにされた。このアッセイの結果は、他者によってもまた報告されるように(例えば、Lutterbuese,R他(2010)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、107(28)、12605頁〜12610頁を参照のこと)、ドナーの免疫状態に従って変化するヒトT細胞の効力に強く依存する。したがって、結果がそれぞれのドナーにより異なる可能性がある。
【0376】
実施例31:6RHU3 IVT−mRNAトランスフェクションに対する応答におけるT細胞増殖
T細胞増殖はT細胞活性化の指標である。 bi−scFvをコードするIVT−mRNA 1BiMABに対する応答における特異的なT細胞増殖をCLDN6陽性標的細胞の存在下で示すために、フローサイトメトリー分析を使用した。簡単に記載すると、実施例16で記載されるように単離された1×10
7個のヒトT細胞を、DPBSに溶解される1μMのカルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル(CellTrace CFSE、Invitrogen/Life Technologies GmbH、ドイツ)により暗所においてRTで5分間染色した。細胞をDPBS/5%FCSにより2回洗浄し、2×106細胞/mlにアッセイ培地において再懸濁した。標的細胞として、CLDN6を内因的に発現するPA−1、および、特異的試験のためにはCLDN6陰性乳ガン細胞株MDA−MB−231を選んだ。20μg/mlのIVT−mRNA 6RHU3または非標的化コントロールをエレクトロポレーションのために使用した。PA−1のエレクトロポレーションを実施例27で記載されるように行った。MDA−MB−231のエレクトロポレーションを、下記の条件を使用して行った:400V、3msのパルス長さ、1回のパルス、400msの間隔長さ、0.4cmのGene Pulser/MicroPulserキュベット(Bio−Rad、Dreieich、ドイツ)において。実施例27で記載されるような細胞傷害性アッセイを、トランスフェクションされた標的細胞と、エフェクター細胞としてのCFSE標識されたヒトT細胞とを用いて設定した。単独でのT細胞、および、トランスフェクションされていない標的細胞またはコントロールトランスフェクションされた標的細胞+T細胞を陰性コントロールとして使用した。5μg/mlのOKT3(Bio X Cell、West Lebanon、NH、米国)および2μg/mlの抗CD28(BioLegend、Fell、ドイツ)により刺激される単独でのT細胞が陽性コントロールとして役立った。5ng/mlの濃度での6PHU3タンパク質を、アッセイの妥当性を確認するために、トランスフェクションされていない標的細胞+T細胞に適用した。非標的化bi−scFvタンパク質1BiMABと一緒にされるサンプルを特異性コントロールとして含めた。すべてのサンプルを96ウエルにおける0.2mlのアッセイ培地の総体積において三連で設定した。72時間の共インキュベーションの後、T細胞を集め、5mlの丸底チューブに採取し、洗浄し、ヒトT細胞を腫瘍細胞から区別するために2μlの抗CD45−APCにより、また、200μlのDPBSにおいて死細胞を対比染色するために0.25μlのeFluor506(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)により4℃で30分間染色した。DPBSによる洗浄の後、細胞をFACS緩衝液に再懸濁し、FACSCanto II(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)を用いて分析した。
T細胞の増殖が、CLDN6陽性標的細胞および抗CLDN6特異的bi−scFvの存在下のみにおける低下するCFSEシグナルによって検出された(
図36もまた参照のこと)。陽性コントロールのほかに、49%〜61%のT細胞増殖を、6PHU3タンパク質との組合せでCDLN6陽性標的細胞の存在下で認めることができた。6RHU3のIVT−mRNAによりトランスフェクションされた標的陽性細胞は、62%+/−2%をもたらした。CLDN6陰性標的細胞MDA−MB−231とインキュベーションされるT細胞は、どのような型においてであれ、同様にまた、陽性コントロールを除いて、標的細胞を伴わないT細胞において著しい増殖を示していない。
【0377】
実施例32:6RHU3のIVT−RNAによる哺乳動物細胞のトランスフェクションの後におけるタンパク質産生の定性的分析
タンパク質へのRNA翻訳を哺乳動物細胞において詳しく調べるために、細胞株BHK21(ATCC CRL−13001)を発現系として選んだ。2×10
7個/mlのBHK21細胞を、すべての工程がRTで行われたという違いを伴って実施例16で記載されるようにエレクトロポレーションによってトランスフェクションした。250μlの細胞懸濁物を0.4cmのGene Pulser/MicroPulserキュベット(Bio−Rad、Dreieich、ドイツ)に移し、40μg/mlのno.25 IVT−mRNA、6RHU3 IVT−mRNAまたは6RHU3 IVT−レプリコンRNAを加えた。エレクトロポレーション条件は下記の通りであった:300V、16msのパルス長さ、1回のパルス、400msの間隔長さ。
エレクトロポレーションされた細胞をRTでの培養培地(RPMI1640、10%のFCS)に再懸濁し、15cmの培養ディッシュに移した。播種後5時間で、FCSを含有する培地をFCS非含有培地によって取り換えた。実施例32aおよび実施例32bの場合には、エレクトロポレーション後18時間で、細胞培養上清および細胞を別々に集めた。細胞ペレットを1×LDSサンプル緩衝液(カタログ番号NP0008;Life technologies、Darmstadt、ドイツ)において溶解し、72℃で15分間加熱した。ELISA分析のために、濃縮されていない上清およびおよそ50倍濃縮された上清を使用した。濃縮を、Amicon ウルトラ−15遠心ろ過ユニット(Merck Millipore、Billerica、MA、米国)を用いて製造者のプロトコルに従って行った。実施例32c(IVT−mRNAのみ)の場合には、上清をトランスフェクション後48時間で集め、上記で記載されるように40倍濃縮に供した。
【0378】
a.上清を使用するELISA
ELISA分析のために、ニッケル被覆プレート(Thermo Fisher Scientific、Bonn、ドイツ)を、分析物をそのHisタグにより捕捉するために使用した。最初に、プレートをウエルあたり200μlの洗浄緩衝液(1×PBSにおける0.01%のTween−20)により3回洗浄した。標準物として、精製された6PHU3タンパク質を1×PBSにおける1.75%のNaカゼイン(=希釈液)に希釈した。希釈列は2倍ずつで2.34ng/mlから150ng/mlにまで及んだ。標準希釈物あたり100μlをそれぞれの濃度の三連でウエルに移した。したがって、100μlのサンプルが三連で移された。プレートを接着性フィルムにより密封し、37℃で30分間インキュベーションした。その後、プレートをウエルあたり200μlの洗浄緩衝液により3回洗浄した。6PHU3/6RHU3の検出のために、mCLDN6abのVH−VLに特異的に結合し、したがって、6PHU3/6RHU3にまた特異的に結合する抗イディオタイプのモノクローナルIgG 4F9を使用した。4F9を2.5μg/mlの最終濃度に希釈液に混合した。100μlの抗イディオタイプ抗体溶液をそれぞれのウエルに移し、その後には、37℃での30分のインキュベーション時間が続いた。続いて、プレートをウエルあたり200μlの洗浄緩衝液により3回洗浄し、希釈液で1:500希釈されるAPコンジュゲート化抗マウス検出抗体(Jackson Immuno Research Laboratories、West Grove、PA、米国)の100μlをそれぞれのウエルに加え、その後、37℃で30分のインキュベーションを行った。最後の洗浄工程(200μlの洗浄緩衝液、3回)の後、適切な基質緩衝液(1Mのジエタノールアミン、0.5mMのMgCl2、0.01%のアジ化Na、pH9.8)における1.5mg/mlの基質pNPPをそれぞれのウエルに加え、その後、インキュベーションを暗所においてRTで30分間行った。100μlの3M KOHをそれぞれのウエルのために使用して、酵素反応を停止させた。吸光度を、マイクロプレートリーダー(Infinite M200、Tecan、Mannedorf、スイス)を用いて測定した。二重波長分析のために、405nmを測定波長として選び、492nmを参照波長として選んだ。吸光度値を、参照波長を測定波長から引くことによって計算した。
図37Aにおいて、標準偏差を含む平均吸光度値がプロットされる。6RHU3 IVT−mRNAおよびIVT−レプリコンによりトランスフェクションされた細胞から得られる濃縮された上清は、bi−scFvをコードするIVT−RNAの翻訳を証明する著しいシグナルをもたらした。模擬トランスフェクション細胞およびno.25コントロール(−ctrl)トランスフェクション細胞から得られる濃縮された上清は、予想されるように、シグナルを何ら生じさせなかった。実際のタンパク質濃度は、IVT−mRNA構築物およびIVT−レプリコン構築物の異なる毒性ならびにわずかに異なるx倍濃縮物のために提案することができない。濃縮されていない上清における近似的タンパク質濃度の推定は、IVT−レプリコンについては1.4ng/mlの範囲であり、IVT−mRNAサンプルについては5.9ng/mlの範囲であった。
【0379】
b.上清および細胞溶解物(IVT−mRNAサンプルおよびIVT−レプリコンサンプル)のウエスタンブロット分析
ウエスタンブロットによる分析のために、濃縮上清および細胞溶解物を、NuPAGE Novex 4−12%Bis−Trisゲル(Invitrogen/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)で分離した。6RHU3のIVT−mRNA、IVT−レプリコンRNA、no.25のIVT−mRNAによりトランスフェクションされたBHK21細胞または非処理細胞の上清および細胞溶解物、ならびに、陽性コントロール(0.1μgの精製された6PHU3タンパク質)を負荷した。ウエスタンブロット分析を標準的な手順(Current Protocols in Protein Science、2012)によって行った。簡単に記載すると、タンパク質をPVDFメンブランにブロットし、ブロッキング処理をPBST/3%粉乳により行った後、メンブランを、ブロッキング緩衝液において1:500で希釈される一次抗体Anti−HIS Epitope−Tag(Dianova GmbH、Hamburg、ドイツ)と4℃で1時間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液による繰り返された洗浄の後、メンブランを、ブロッキング緩衝液において1:10000で希釈されるFc特異的な二次のペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗マウスIgG抗体(Sigma Aldrich、ドイツ)と4℃で1時間インキュベーションした。再度、ブロッキング緩衝液による繰り返された洗浄の後、シグナルを、SuperSignal West Femto Chemiluminescent Substrate(Pierce/Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL、米国)によって可視化し、ImageQuant LAS 4000 Imager(GE Healthcare Life Sciences、Munich、ドイツ)によって記録した。6PHU3のシグナルが、内部分子量標準と比較した場合、50kDと60kDとの間に検出された。
図37Bに示されるように、シグナルが、no.25のIVT−mRNAによりトランスフェクションされた細胞(レーン1)、6RHU3のIVT−mRNAによりトランスフェクションされた細胞(レーン4)、および、6RHU3のIVT−レプリコンRNAによりトランスフェクションされた細胞(レーン5)において検出されたが、これに対して、上清が非処理細胞に由来するレーン6はシグナルを伴っていない。強いシグナルを、6RHU3のIVT−mRNAによりトランスフェクションされた細胞(レーン8)、および、6RHU3のIVT−レプリコンRNAによりトランスフェクションされた細胞(レーン9)の細胞溶解物により生じさせることができた。no.25によりトランスフェクションされた細胞に由来する細胞溶解物は非常に弱いシグナルをもたらし(レーン2)、非処理細胞(レーン10)はシグナルを全く示さなかった。精製された6PHU3タンパク質コントロール(レーン11)を検出することができた。上清における比較的弱いシグナル、および、それとともに、弱い6RHU3分泌はおそらくは、トランスフェクション後のインキュベーション時間が比較的短いためである。レプリコンRNAの毒性影響のために、より長いインキュベーション時間は調べることができなかった。
両方の分析(ELISAおよびウエスタンブロット)は定性的であり、タンパク質濃度の決定として役立たない。
【0380】
c.上清(IVT−mRNAサンプル)のウエスタンブロット分析
トランスフェクション後48時間で採取された上清をSDS−PAGEによって分離し、その後、ウエスタンブロット分析を実施例32bで記載されるように行った。
図37Cに示されるように、IVT−mRNAから翻訳され、上清に分泌されたno.25および6RHU3がそれらのHisタグにより検出された。それに加えて、6RHU3の産生および分泌、同様にまた、bi−scFv特異性コントロールとして使用されているno.25の産生および分泌を証明することができた。
【0381】
実施例33:筋肉内RNA注入の後におけるインビボ翻訳された機能的なCLDN6特異的bi−scFvタンパク質の検出
8週齢〜16週齢でのメスおよびオスのNSGマウスを選択し、5匹のマウスからなる4つの群に分けた。40μlのRNA溶液をマウスおよび大腿筋につき注入した。40μlのRNA溶液は、1×PBS、5μgのD2キャップ化6RHU3 IVT−mRNAまたはIVT−レプリコン、2μgのD1キャップ化ルシフェラーゼIVT−mRNA、および、0μgまたは15μgのD1キャップ化EBK IVT−mRNAからなった。ワクシニアウイルスタンパク質(E3L、B18RおよびK3L)(EBK)をコードするEBK IVT−mRNAを共注入して、IFN応答を阻害し、かつ、PKR活性化をRNA翻訳増強のために打ち消した(特許出願PCT/EP2012/04673)。ルシフェラーゼシグナルを、Xenogen IVIS 2000を用いて注入後24時間でモニターして、シグナルを有しないマウスをサンプル集団から除いた。
血液を注入の7日後に採取した。血清を集め、続いて−80℃で凍結した。
【0382】
細胞傷害性アッセイ
NSGマウスの血清をインビトロ細胞傷害性アッセイで分析した。ホタルルシフェラーゼが安定的に形質導入され、かつ、CLDN6を内因的に発現するPA−1標的細胞を、最大感受性のための30対1のE:T比でのヒトT細胞(実施例16で記載されるように単離されたもの)とともに播種した。アッセイ培地は、10%の熱不活化FCS、0.5%のペニシリン−ストレプトマイシン、1×NEAAおよび1mMのピルビン酸ナトリウムが補充されるRPMI1640培地(Gibco/Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)からなった。20μlの解凍された試験血清を試験サンプルウエルあたり加えた。6PHU3タンパク質の標準物コントロールウエル、L
minウエルおよびL
maxウエルを、処置されていないNSGマウスの20μlの血清により完成させた。ウエルたりの最終体積が100μlであった。L
minを二連で播種し、L
maxを六連で播種し、試験サンプルを三連で播種した。37℃、5%CO
2における48時間のインキュベーションの後、L
maxウエルを10μlの2%Triton X−100溶液と混合し、10分間インキュベーションした。すべての他のウエルには10μlのアッセイ培地を加えた。50μlのルシフェリン溶液(実施例23を参照のこと)を加え、プレートを、暗所における37℃での30分のインキュベーション工程の後、Infinite M200マイクロプレートリーダー(TECAN、Mannedorf、スイス)で測定した。特異的な標的細胞溶解の計算を実施例23で記載されるように行った。
図38において、特異的溶解の割合がプロットされる。著しい細胞傷害性影響がそれぞれの群において検出された。CLDN6特異的bi−scFvタンパク質の濃度が、6RHU3 IVT−mRNAの場合にはEBK共注入によって著しく増大した。
これらのデータにより、筋肉内注入の後におけるIVT−mRNAまたはIVT−レプリコンからの6RHU3のインビボ翻訳ならびに血流内への分泌が立証される。
【0383】
実施例34:CLDN18.2またはCLDN6およびCD3を標的化する二重特異性結合剤の作製および試験
抗CLDN18.2特異的および抗CLDN6特異的なbi−scFv抗体フラグメントのさらなる開発のために、元のタンパク質を最適化するための種々の局面を検討した。これらの局面は主として、組換えタンパク質産生のときに形成するかもしれない種々の折り畳み種、ジスルフィド異性体およびオリゴマーに関してのより大きい均質性を有する調製物を得ることに関連した。これらの改変は、bi−scFvタンパク質の機能的活性に対して不利であってはならない。
【0384】
bi−scFvタンパク質の抗CD3結合ドメインにおける余分な(対形成していない)システイン残基の置換
Igドメインの一次配列の中に存在する対形成していないシステイン残基が、生じた抗体フラグメントの適正な折り畳みおよび安定性のために必須である鎖内および/または鎖間のジスルフィド結合の正しい形成を妨害することがあるか否かを詳しく調べるために、いくつかの合成構築物を作製した。そのような対形成していないシステインは、最終的なタンパク質産物の効力、均質性、生産性および安定性を損なう場合があるかもしれず、したがって、避けなければならない。ジスルフィド対形成に関与する"標準的な"一組のシステインに加えて、フリーのシステイン残基が可変ドメインに存在する可能性がある。
例えば、OKT3抗体に由来するVHドメインにおいて、CDR−H3が始まる3残基前には、H92位における保存されたシステインが存在しており、H22位との構造的なジスルフィド結合を形成する。しかし、この分子では、H100A位(CDR−H3)において、別のシステイン(Cys)が、H100AがH92に代わってH22とのジスルフィド結合を形成することに関与し、それにより、誤って折り畳まれた不溶性の非機能的な生成物を生じさせる誤った折り畳みを可能にし得るかもしれない。これらのシステイン残基のこの起こり得る誤った対形成を克服するために、フリーのシステインの部位特異的置換を行った(Kipriyanov、Protein Engineering、10:445〜453、1997)。この単一置換によって、OKT3に由来するscFvの生産性および安定性の著しい増大が、全体的な結合活性を維持して達成された。
本研究で使用される抗CD3抗体TR66のVHドメイン(配列番号36)は、そのようなフリーのシステインを、配列番号36に示されるような一次配列のH103位において含有する。抗CD3抗体TR66のVHドメイン(配列番号36)と抗CD3抗体OKT3のVHドメインとの配列比較では、96.6%の配列相同性が示される。
これらの結果に従って、このフリーのシステインを抗CD3抗体TR66のVHドメインのCDR−H3の中においてセリン残基によって置換することを、CD3(配列番号94)を標的化するbi−scFvタンパク質のために、かつ、CLDN18.2またはCLDN6のどちらかのために行った。そのような置換の導入により、bi−scFvタンパク質の1−BiMAB−S(配列番号103)および6−PHU3−S(配列番号101)の設計がもたらされる(表11および表12をそれぞれ参照のこと)。
【0385】
抗CLDN6 bi−scFvタンパク質の余分な(対形成していない)システイン残基の置換
元の抗CLDN6抗体mCLDN6ab(その可変ドメインが、対応するbi−scFvタンパク質の6PHU3(配列番号45)および6PHU5(配列番号43)の組立てのために使用された)は、対形成していないシステイン残基を、対応する一次配列の46位においてVLドメインのCDR−L2の隣接領域の中に含有する。これは、VLの最初のアミノ酸が除かれている配列番号23の中の45位に対応する。種々の置換を、このフリーのシステインを下記の残基によって置換するために行った:
・セリン残基、この場合は、抗CD3抗体TR66のVHドメインにおける置換と同様である置換である(配列番号100)。
・ロイシン残基、この場合は、他の抗CLDN6抗体のアミノ酸配列との比較による置換である(配列番号97および配列番号98)。
・トリプトファン残基、この場合は、生殖系列データベースとのアミノ酸配列比較による置換である(配列番号99)。
【0386】
抗CLDN18.2bi−scFvタンパク質におけるリンカー長さ、Vドメインの順序および人為的な相互接続ジスルフィド結合の評価
別の一例として、Arndt他(Biochemistry、37:12918〜12926、1998)は、scFvフラグメントの非共有結合により連結されたオリゴマーの出現についての可能な説明として、いわゆるドメイン交換(domain swapping)を記載する。このモデルのもとでは、タンパク質状態は、VL/VH相互接続接点の常に生じる分子内交換および分子間交換のために、モノマー形態とダイマー/オリゴマー形態との間における可能な熱力学的平衡に供される。これらのオリゴマーは、既に細胞培養上清に存在している可能性があるかもしれず、精製プロセスの期間中に除かれなければならない。しかしながら、これらの分子種はまた、精製されたモノマー種の貯蔵の期間中に形成される可能性があるかもしれない。
タンパク質の好ましいエネルギー状態は、その全体的な設計(一次配列、リンカー長さ、VL/VH配向など)によって強く影響される。
WornおよびPluckthun(JMB、305:989〜1010、1999)は、より大きい含有量のモノマー種を有する形態を、20残基以上のリンカーを使用することによって得ることができたと述べた。Desplancq他(Protein Eng.、7:1027〜1033、1994)は、可変ドメインの配向もまた、ダイマーおよび高分子形態の形成に対する影響を有する可能性があるかもしれないことを示した。同じ刊行物において、Desplancqは、25個または30個のアミノ酸(aa)のリンカーがそれらの特定の抗体についてモノマー/ダイマーの最良の比率を与えることを示した。VLのC末端とVHのN末端との距離がおよそ39Å〜43Åであり、VHのC末端とVLのN末端との距離が32Å〜34Åである(Pluckthun他、From PCR to fermentation(J.McCafferty、H.R.Hoogenboom&D.J.Chriswell編)、書名: (IRL Press、203頁〜252頁、1996))。類似する分子特性を得るために、VL−VHを配向させるためのリンカーはVH−VLリンカーよりも長くなければならない。Pluckthun他(From PCR to fermentation(J.McCafferty、H.R.Hoogenboom&D.J.Chriswell編)、書名: (IRL Press、203頁〜252頁、1996))は、VH/VLの配向においては15アミノ酸または20アミノ酸の長さを有するリンカーを使用し、VL/VHの配向においては20アミノ酸または25アミノ酸の長さを有するリンカーを使用することを推奨した。
モノマーの形成を強制させ、かつ、VH/VLドメイン相互作用を安定化させるための別の可能性が、相互接続ジスルフィド結合をこれら2つのドメインの間の接触面の中に操作することである。ジスルフィド架橋をH44−L100の位置(Kabat番号表記)において導入することが、scFvにおいては最も頻繁に使用されており、満足すべき結果が得られている(Brinkmann他、PNAS、90:7538〜7542、1993;WornおよびPluckthun、Biochemistry、38:8739〜8750、1999;Weatherill他、PEDS、25:321〜329、2012)。この戦略が、全長のIgGに融合されるscFvを組み合わせるIgG様二重特異性抗体を安定化させるために首尾良く使用されている(Michaelson他、mAbs、1:128〜141、2009;Schanzer他、Antimicrob.Agents.Chemother.、55:2369〜2378、2011)。
Weatherill他(PEDS、25:321〜239、2012)は、ヒトscFvの(VH−(G4S)4−VLおよびVL−(G4S)4−VH)をVH44位とVL−100位との間のジスルフィド結合により安定化させた。そのうえ、この刊行物は、相互接続ジスルフィド結合を全く含有しないscFvとの可能なドメイン交換の問題に、異なる負荷体積および濃度での異なるSE−HPLC実験を行うことによって対処している。これらのアッセイは、安定化されていないscFvのためのサンプル負荷条件に依存して、異なる結果を与え、しかし、使用された条件に関係なく、ジスルフィドにより安定化された分子はモノマーのように溶出した。Zhao他(Int.J.Mol.Sci.、12:1〜11、2011)は、同じ変異をscFvにおいて導入し、安定化された分子のより大きい安定性を37℃での20時間にわたる貯蔵の後で認めた。
全長IgGに融合されるscFvを使用する二重特異性形式のために、Schanzer他(Antimicrob.Agents Chemother.、55:2369〜2378、2011)はリンカー長さおよび相互接続ジスルフィド結合の影響を比較した。Schanzer他は、元のscFvまたはscdFv(VH−(G4S)3−VL)を重鎖または軽鎖のC末端部分またはN末端部分のどちらかで融合した。異なるリンカー長さ(20個、25個および30個のアミノ酸)について、Schanzer他は元のscFvを重鎖または軽鎖のどちらかのC末端部分に融合した。異なるリンカー長さに関して得られた結果により、30aaのペプチドが、安定なモノマーを製造するためのより好ましいリンカーとして特定された。40℃での7日間の貯蔵の後における凝集物のレベルが、scFv
15については50%であり、scFv
20については18%であり、scFv
25については8%であり、scFv
30については6%であった。しかし、相互接続ジスルフィド結合により安定化されたジスルフィドscFv
15はscFv
30よりもわずかに優れていた。同じ取り組みがMichaelson他(mAbs、1:128〜141、2009)によって使用され、Michaelson他は、15aaのリンカーを有するscFvをVH/VL配向で含有するそれらの元のIgG様二重特異性抗体(これは40%の凝集物を生じさせた)を、リンカー長さをscFvの20aaに増大し、かつ、相互接続ジスルフィド結合をVH44位とVL−100位との間に導入することによって改善した。生じた分子は、4℃で3ヶ月の後で安定であった98%超のモノマーをもたらした。著者らは、二重特異性形式に進む前にscFv分子の改善に取り組むことを決定した。
抗CLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質の場合、ダイマーおよび高分子形態の形成が生じ得るか、また、抗クローディンおよび/または抗CD3のscFv分子に関しては何が関係するかは知られていない。抗CLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質のための最適な全体的分子をそれぞれの別個のscFvについて評価するために、下記の改変が評価されている:
・ドメイン配向
・リンカー長さ
・相互接続ジスルフィド結合の導入
・これら3つの改変の組合せ
【0387】
抗クローディン18.2結合ドメインについては、mCLDN18.2abに由来する可変ドメイン(VH:配列番号8;VL:配列番号15)に加えて、mCLDN18.2ab1に由来する配列(VH:配列番号6;VL:配列番号11)が抗CLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質の構築のために使用されている。
節A.a"32個の抗CLDN18.2特異的bi−scFv構築物の配列起源、設計および発現ベクターへのクローニング"における表11はこれらの異なる構築物を記載する。
【0388】
A.CLDN18.2およびCD3を標的化する二重特異性結合剤の作製および試験
a.32個の抗CLDN18.2特異的bi−scFv構築物の配列起源、設計および発現ベクターへのクローニング
本明細書中に示される二重特異性のタンデム型単鎖抗体構築物bi−scFvは、第1の結合ドメインがヒト腫瘍関連抗原(TAA)に対して特異的であり、これに対して、第2の結合ドメインがヒトT細胞受容体(CD3)のε鎖に対して特異的である2つの異なった結合ドメインを含有する。この二重特異性分子のこれら2つの結合ドメインのそれぞれが、VH−VL配向またはVL−VH配向のどちらかでのscFv成分として配置される2つの抗体可変ドメインを含む。これらの抗体可変ドメインは、配向に依存してG4Sサブユニットの4個または5個の反復からなる柔軟なグリシン−セリンペプチドリンカーを介してつながれる。したがって、VH−VL配向で配置されるscFv成分は20アミノ酸のリンカー(これは"LL4"と名づけられる)によってつながれ、VL−VHは25アミノ酸のリンカー(これは"LL5"と名づけられる)によってつながれる。他方で、これら2つのscFv成分は、6アミノ酸の長さのSG4Sリンカー(これは"SL"と名づけられる)を介してつながれる。モノクローナル抗体(mAB)からの配列起源に関する情報およびドメイン編成が表11にまとめられる。
変化体の5504、5505、5506、5507、5512、5513、5514、5515、5520、5521、5522、5523、5528、5529、5530、5531、5536、5537、5538、5539、5544、5545、5546、5547、5552、5553、5554、5555、5560、5561、5562および5563は、配列番号95によるVH抗CD3と、配列番号96によるVL抗CD3とを含む。
1−BiMAB−Sの具体的な場合には、VH抗CD3(配列番号94)におけるセリンによるフリーのシステインの置換のみが、1−BiMAB配列のアミノ酸配列(配列番号39)に対する比較において行われる。配列番号39は依然として、1−BiMAB bi−scFvタンパク質の細胞培養上清中への分泌を哺乳動物での発現のときに媒介するN末端シグナル配列のアミノ酸配列を含有することには留意しなければならない。このシグナル配列は、細網小胞体の内腔においてシグナルペプチダーゼによって切断されるので、分泌された組換えタンパク質の一部ではない。
これらのbi−scFv構築物をコードする遺伝子を、コドン使用頻度をCHO細胞における発現のために最適化するためにGeneOptimizer(登録商標)ソフトウエアを使用してGeneArt(登録商標)遺伝子合成(Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)により作製した。一般的な分泌シグナルのほかに、すべてのDNA構築物が、同じKozak配列およびHindIII制限を5'末端に含有する。3'末端において、BsiWIおよびXhoIの制限部位を、異なる発現ベクターへの柔軟なサブクローニングについて可能にするために加えた。優れたpCEP4の発現ベクター(Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)へのサブクローニングが、HindIIIおよびXhoIの制限部位を使用して、Life Technologiesによって行われた。
【0389】
【表11】
【0390】
配列番号66〜配列番号93は依然として、1−BiMAB bi−scFvタンパク質の細胞培養上清中への分泌を哺乳動物での発現のときに媒介するN末端シグナル配列のアミノ酸配列を含有することには留意しなければならない。このシグナル配列は、小胞体の内腔においてシグナルペプチダーゼによって切断されるので、分泌された組換えタンパク質の一部ではない。
【0391】
b.一過性トランスフェクションによる32個の抗CLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質の産生および精製
懸濁に適合化されたCHO細胞を加湿CO
2振とう機において血清非含有培地で継代培養した。トランスフェクションの前日に、細胞を振とうフラスコにおいて血清非含有培地に播種した。トランスフェクションの当日に、細胞を遠心分離し(200×gで5分間)、振とうフラスコにおいて新鮮なDMEM培地(Invitrogen、41965−039)に再懸濁した。DNAおよびトランスフェクション試薬を細胞に加え、振とうによって穏やかに混合した。CO
2インキュベーターにおける静置インキュベーションの後、細胞を血清非含有の生育培地により希釈し、インキュベーション振とう機において発現のためにさらに培養した。細胞には、栄養要求に従って、CHO CD EfficientFeed(商標)C(Invitrogen、A13275)を与えた。bi−scFvタンパク質を、細胞の生存性が低下し始めた後で集めた。抗体構築物を、Capto Lセファロースによって精製した。タンパク質濃度を280nmにおける吸光度によって求めた。
【0392】
c.32個の抗CLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質を用いたルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイ
32個の抗CLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質の機能的スクリーニングのために、4点の力価測定点(5000ng/ml、1000ng/ml、200ng/mlおよび40ng/ml)を実施例2.cで記載されるようにインビトロルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイで試験した。
実施例2.cで記載される安定なルシフェラーゼ発現NugC4細胞をヒトT細胞およびbi−scFvタンパク質とともに、または、L
min値を求めるために、bi−scFvタンパク質を伴うことなくインキュベーションした。生細胞の発光を、アッセイ設定後の24時間および48時間で、Infinite M200 Tecanプレートリーダーを用いて測定した。特異的な標的細胞溶解を、実施例2.cにおいて例示される式によって計算した。
【0393】
細胞傷害性結果(
図39a、
図39b、
図39cおよび
図39d)の定性的分析を、scFvの抗CD3 TR66結合ドメインに基づいて行うことによって、下記の所見を引き出すことができた。
ルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイにおける最も良く機能する抗CLDN18.2特異的bi−scFvタンパク質は、抗CD3成分を、相互接続ジスルフィド架橋の有無によらず、"LL4"リンカーによってつながれるVH/VLドメイン配向で含有する(5504、5505、5506、5507、5536、5537、5538、5539、5512、5513、5514、5515、5544、5545、5546、5547;
図39aおよび
図39b)。より低い細胞傷害性活性が、抗CD3成分を、ペプチドリンカー"LL5"を伴うVL/VHドメイン配向で含有し、かつ、相互接続ジスルフィド架橋を含有する変化体により得られる(5528、5529、5530、5531、5560、5561、5562、5563;
図39d)。最も低い細胞傷害性活性が、抗CD3成分を、相互接続ジスルフィド架橋を伴うことなくペプチドリンカー"LL5"を伴うVL/VHドメイン配向で含有する変化体により得られる(5520、5521、5522、5523、5552、5553、5554、5555;
図39c)。
【0394】
B.CLDN6およびCD3を標的化する二重特異性結合剤の作製および試験
a.bi−scFv構築物の配列起源、設計および発現ベクターへのクローニング
本明細書中に示される二重特異性のタンデム型単鎖抗体構築物bi−scFvは、一方がヒト腫瘍関連抗原(TAA)に対して特異的であり、これに対して、他方がヒトT細胞受容体(CD3)のε鎖に対して特異的である2つの異なった結合ドメインを含有する。この二重特異性分子のこれら2つの結合ドメインのそれぞれが、VH−VL配向またはVL−VH配向のどちらかでのscFv成分として配置される2つの抗体可変ドメインを含む。これらの抗体可変ドメインは、柔軟なグリシン−セリンペプチドリンカーを介してつながれる。TAAを標的化するscFv成分はVH−VL配向で配置され、G4Sサブユニットの3つの同一反復からなる15アミノ酸のリンカー(これは"LL3"と名づけられる)によってつながれる。CD3を標的化するscFv成分は、同様にVH−VL配向で配置され、しかし、配列G
4S(G
2S)
3G
3Sを有する18アミノ酸のリンカー(これはLLv1と名づけられる)によってつながれる。他方で、これら2つのscFv成分は、6アミノ酸の長さのSG4Sリンカー(これは"SL"と名づけられる)を介してつながれる。モノクローナル抗体(mAB)からの配列起源に関する情報およびドメイン編成が表12にまとめられる。変化体の5454、5456、5458、5460、5462および5464は、抗CD3結合ドメインのために、配列番号95によるVH抗CD3と、配列番号96によるVL抗CD3とを含む。変化体の5454および5458は配列番号98によるVL抗CLDN6を含み、変化体の5456および5460は配列番号99によるVL抗CLDN6を含み、変化体の5462および5464は配列番号100によるVL抗CLDN6を含む。
6PHU3−S(配列番号101)の具体的な場合には、VH抗CD3(配列番号94)におけるセリン残基によるフリーのシステインの置換のみが、6PHU3配列のアミノ酸配列(配列番号45)に対する比較において行われる。配列番号45は依然として、6PHU−3 bi−scFvタンパク質の細胞培養上清中への分泌を哺乳動物での発現のときに媒介するN末端シグナル配列のアミノ酸配列を含有することには留意しなければならない。このシグナル配列は、小胞体の内腔においてシグナルペプチダーゼによって切断されるので、分泌された組換えタンパク質の一部ではない。そのうえ、6PHU3−SL(配列番号102)については、対応する一次配列の46位でのVL抗CLDN6(配列番号97)におけるフリーシステインのロイシン残基による置換が、6PHU3−Sのアミノ酸配列に対する比較において行われる。これは、VLの最初のアミノ酸が除かれている配列番号23の中の45位に対応する。
【0395】
これらのbi−scFv構築物をコードする遺伝子を、コドン使用頻度をCHO細胞における発現のために最適化するためにGeneOptimizer(登録商標)ソフトウエアを使用してGeneArt(登録商標)遺伝子合成(Life Technologies GmbH、Darmstadt、ドイツ)により作製した。一般的な分泌シグナルのほかに、すべてのDNA構築物が、同じKozak配列およびHindIII制限を5'末端に含有する。3'末端において、BsiWIおよびXhoIの制限部位を、異なる発現ベクターへの柔軟なサブクローニングについて可能にするために加えた。優れたpEE12.4の発現ベクター(Lonza Group Ltd、Basel、スイス)へのサブクローニングを、HindIIIおよびBsiWIの制限部位を使用する標準的な技術を使用して行った。
【0396】
【表12】
【0397】
b.一過性トランスフェクションによる6個の抗CLDN6特異的bi−scFvタンパク質の産生および精製
懸濁に適合化されたCHO細胞を加湿CO
2振とう機において血清非含有培地で継代培養した。トランスフェクションの前日に、細胞を振とうフラスコにおいて血清非含有培地に播種した。トランスフェクションの当日に、細胞を遠心分離し(200×gで5分間)、振とうフラスコにおいて新鮮なDMEM培地(Invitrogen、41965−039)に再懸濁した。DNAおよびトランスフェクション試薬を細胞に加え、振とうによって穏やかに混合した。CO
2インキュベーターにおける静置インキュベーションの後、細胞を血清非含有の生育培地により希釈し、インキュベーション振とう機において発現のためにさらに培養した。細胞には、栄養要求に従って、CHO CD EfficientFeed(商標)C(Invitrogen、A13275)を与えた。bi−scFvタンパク質を、細胞の生存性が低下し始めた後で集めた。抗体構築物を、Capto Lセファロースを使用するFPLCによって精製した。タンパク質濃度を280nmにおける吸光度によって求めた。
【0398】
c.6個の抗CLDN6特異的bi−scFvタンパク質のEC
50の決定
抗CLDN6特異的bi−scFvタンパク質の50%最大有効用量を求めるために、bi−scFvタンパク質の力価測定列を実施例13に記載されるようにインビトロルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイで試験した。
安定的にルシフェラーゼを発現するPA−1細胞とヒトT細胞とを5:1のE:T比で、(10倍ずつで)2.5pg/mlから5μg/mlまでの範囲におけるbi−scFvタンパク質濃度とともに、または、L
min値を求めるために、抗CLDN6特異的bi−scFvタンパク質を伴うことなくインキュベーションした。
3回の独立したアッセイを、ヒトT細胞を調製するための異なるヒトドナーに関して行った。結果が
図40に例示される。
細胞傷害性結果の定量的比較を、セリン、ロイシンまたはトリプトファンのいずれかによるCDR−L2の隣接領域の中におけるシステイン残基置換に基づいて、また、抗CLDN6結合ドメイン位置および抗CD3結合ドメイン位置に基づいて行うことによって、下記の所見を引き出すことができた。
ルシフェラーゼ細胞傷害性アッセイにおける最も良く機能する抗CLDN6特異的bi−scFvタンパク質は、システインからトリプトファンへの置換をbi−scFvタンパク質のN末端部分における抗CLDN6結合ドメインとともに含有する(変化体5456)。わずかにより低い細胞傷害性活性が、抗CLDN6をC末端部分に含有する変化体で、システインのトリプトファンによる置換を有する変化体(変化体5460)、または、システインのセリンによる置換を有する変化体(変化体5464)のどちらに関してでも得られる。システインのロイシンによる置換を含有する変化体で、抗CLDN6をbi−scFvタンパク質のN末端部分(変化体5454)またはC末端部分(変化体5458)に有する変化体については、より低い細胞傷害性活性が前記変化体との比較で測定される。驚くべきことに、システインのセリンによる置換を含有する変化体で、抗CLDN6をbi−scFvタンパク質のN末端部分に有する変化体(変化体5462)が、最も低い細胞傷害性活性を有する。