特許第6799103号(P6799103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799103レンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799103
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】レンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20201130BHJP
   G03B 11/00 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   G02B5/20
   G03B11/00
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-63296(P2019-63296)
(22)【出願日】2019年3月28日
(65)【公開番号】特開2020-144351(P2020-144351A)
(43)【公開日】2020年9月10日
【審査請求日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】108107175
(32)【優先日】2019年3月5日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】510114723
【氏名又は名称】コンクラフト ホールディング コーポレーション エルティーデー
【氏名又は名称原語表記】Concraft Holding Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】荘 艶奎
(72)【発明者】
【氏名】楊 恒
【審査官】 三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−060161(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/094777(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0154154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00
G02B 5/20
G02B 7/00
H01L 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリであって、固定座体と、フィルター片と、遮光片と、接着部材を含み、
前記固定座体が中央に中空部を備え、該中空部の周囲に、前記固定座体から前記中空部に向かって延伸された支持部が設けられ、かつ、該支持部と前記固定座体の間に第1接着空間が形成され、
前記フィルター片が、前記固定座体の中空部の位置に設置され、かつ前記支持部により支持され、該フィルター片の外周縁が該第1接着空間内まで延伸され、
前記遮光片が、環状を呈し、かつ前記フィルター片の前記支持部と互いに向かい合う面とは反対側の面上に設置され、該遮光片の外周縁が該第1接着空間内まで延伸され、
前記接着部材は、前記第1接着空間内に注入された粘着性を備えた材料が冷却して成型され、前記フィルター片と前記遮光片を前記中空部の位置に留まらせ、前記フィルター片及び前記遮光片を前記固定座体上に固定する、
ことを特徴とする、レンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ。
【請求項2】
前記粘着性を備えた材料がシリコンであることを特徴とする、請求項1に記載のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ。
【請求項3】
前記支持部が支持台を含み、前記フィルター片が該支持台上に載置されることを特徴とする、請求項1に記載のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ。
【請求項4】
前記支持台上に第2接着空間が凹設され、該第2接着空間が内部にさらに補助接着部材を含み、前記フィルター片と前記支持台が該補助接着部材により接着されることを特徴とする、請求項3に記載のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ。
【請求項5】
前記補助接着部材が、粘着性を備えた材料が前記第2接着空間内に注入されて形成され、前記支持部上に載置された前記フィルター片が、該補助接着部材により前記支持部上に位置決めされることを特徴とする、請求項4に記載のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ。
【請求項6】
前記第2接着空間内に注入される前記粘着性を備えた材料がシリコンであることを特徴とする、請求項5に記載のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ。
【請求項7】
前記接着部材上に、前記フィルター片と前記遮光片の外周縁を取り囲む接着槽が設けられ、該フィルター片と該遮光片の外周部が該接着槽により被覆されることを特徴とする、請求項1に記載のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ。
【請求項8】
前記接着槽が、第1接着面と、該第1接着面に相対する第2接着面と、該第1接着面と該第2接着面の間に連接された第3接着面と、で形成されることを特徴とする、請求項7に記載のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ。
【請求項9】
前記第1接着面が、前記遮光片を備えた前記フィルター片の一面に位置し、かつ前記フィルター片の一部及び前記遮光片の一部とそれぞれ相互に接着されることを特徴とする、請求項8に記載のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ。
【請求項10】
前記第2接着面が、前記フィルター片の前記遮光片とは反対側の面に位置し、かつ該フィルター片の一部と相互に接着されることを特徴とする、請求項8に記載のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズモジュールの組立て効率を高め、同時に人力のコストを大幅に抑えることができる、レンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルターは、主にレンズモジュール内に設置されて光線をろ過するために用いられ、それにより該レンズモジュールの良好な結像品質を確保する。
通常、フィルターは、ディスペンサーによる接着剤塗布方式でスペーサリング上に接着される。このような接着剤塗布方式は接着剤の変質、不均一な塗布または不完全な硬化等の問題により、フィルターとスペーサリング間の接着力が不足して、フィルターとスペーサリングが剥離しやすく、レンズモジュールの効果が失われ、生産の歩留まり低下を招きやすい。
【0003】
また、特許文献1に記載されたレンズモジュールは、レンズバレルと、該レンズバレル内に収容されるフィルター片とスペーサリングを含む。該フィルター片と該スペーサリングは一体成型構造である。該レンズモジュールは、該フィルター片と該スペーサリングが一体成型構造であるため、該フィルター片が該スペーサリング上にしっかり固定され、該スペーサリング上から脱落することがなく、該フィルター片と該スペーサリング間の接着剤塗布工程を回避でき、製品の生産歩留まりを向上することができる。
【0004】
上記特許文献1に記載のレンズモジュールは7、フィルター片がスペーサリング上から脱落することを回避できるが、該スペーサリングが射出成型方式で該フィルター片の周縁に直接形成されるため、該フィルター片が成型金型内に設置されたとき、樹脂材料が該成型金型内で逃げる現象を回避するために、該成型金型を通じて該フィルター片に対し一定の挟持力を生じる必要があり、該フィルター片が該成型金型内で破裂する現象が生じやすい。
また、樹脂材料が冷却する過程で、スペーサリングの変形が引き起こされ、該スペーサリングを該レンズモジュール内に組み込むときにずれが生じやすくなり、該レンズモジュールの結像品質に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許公告第I366737号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、レンズモジュールの組立て効率を高め、同時に人力のコストを大幅に抑えることができる、レンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリは、固定座体と、フィルター片と、遮光片と、接着部材を含み、前記固定座体が中央に中空部を備え、該中空部の周囲に、前記固定座体から前記中空部に向かって延伸された支持部が設けられ、かつ、該支持部と前記固定座体の間に第1接着空間が形成され、前記フィルター片が、前記固定座体の中空部の位置に設置され、かつ前記支持部により支持され、該フィルター片の外周縁が該第1接着空間内まで延伸され、前記遮光片が、環状を呈し、かつ前記フィルター片の前記支持部と互いに向かい合う面とは反対側の面上に設置され、該遮光片の外周縁が該第1接着空間内まで延伸され、前記接着部材は、前記第1接着空間内に注入された粘着性を備えた材料が冷却して成型され、前記フィルター片と前記遮光片を前記中空部の位置に留まらせ、前記フィルター片及び前記遮光片を前記固定座体上に固定する。
【0008】
一実施例において、前記粘着性を備えた材料がシリコンである。
【0009】
一実施例において、前記支持部が支持台を含み、前記フィルター片が該支持台上に載置される。
【0010】
一実施例において、前記支持台上に第2接着空間が凹設され、該第2接着空間が内部にさらに補助接着部材を含み、前記フィルター片と前記支持台が該補助接着部材により接着される。
【0011】
一実施例において、前記補助接着部材が、粘着性を備えた材料が前記第2接着空間内に注入されて形成され、前記支持部上に載置された前記フィルター片が、該補助接着部材により前記支持部上に位置決めされる。
【0012】
一実施例において、前記第2接着空間内に注入される前記粘着性を備えた材料がシリコンである。
【0013】
一実施例において、前記接着部材上に、前記フィルター片と前記遮光片の外周縁を取り囲む接着槽が設けられ、該フィルター片と該遮光片の外周部が該接着槽により被覆される。
【0014】
一実施例において、前記接着槽が、第1接着面と、該第1接着面に相対する第2接着面と、該第1接着面と該第2接着面の間に連接された第3接着面と、で形成される。
【0015】
一実施例において、前記第1接着面が、前記遮光片を備えた前記フィルター片の一面に位置し、かつ前記フィルター片の一部及び前記遮光片の一部とそれぞれ相互に接着される。
【0016】
一実施例において、前記第2接着面が、前記フィルター片の前記遮光片とは反対側の面に位置し、かつ該フィルター片の一部と相互に接着される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のフィルターアセンブリは、従来技術と比較して次の利点を備えている。
1.接着部材を通じてフィルター片と遮光片を同時に固定座体上に固定し、フィルターアセンブリを一体成型で形成でき、これによりフィルターアセンブリを迅速にレンズモジュール内に取り付けることができる。
2.フィルター片と遮光片が接着部材により固定座体と相互に接着され、従来の固定座体のように、射出成型方式でフィルター片上に形成されるとき、収縮により変形することがなく、フィルターアセンブリの生産歩留まりを大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例を示すレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリの分解斜視図である。
図2】本発明の実施例を示すレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリの別角度から見た分解斜視図である。
図3】本発明の実施例を示すレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリの平面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5図4の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1から図5に示すように、本発明のレンズモジュール内に用いるフィルターアセンブリ10は、固定座体20と、フィルター片30と、遮光片40と、接着部材50と、補助接着部材60を含む。
【0020】
固定座体20は樹脂材料を射出成型方式で成型して成り、固定座体20の中央に中空部21が設けられる。中空部21の周囲には、固定座体20から中空部21に向かって延伸された支持部22が設けられ、かつ支持部22と固定座体20の間に第1接着空間23が形成される。
また、支持部22上にさらに支持台24が形成され、かつ支持台24上に第2接着空間25が設けられる。
【0021】
フィルター片30は中空部21上に設置され、支持部22の支持台24上に載置され、かつ、フィルター片30の外周縁が第1接着空間23内まで延伸される。
【0022】
遮光片40は、環状を呈し、フィルター片30の支持部22と互いに向かい合う面とは反対側の面上に設置され、かつ、遮光片40の外周縁が第1接着空間23内まで延伸される。
【0023】
接着部材50は、粘着性を備えた材料を第1接着空間23内に注入し、冷却後に成型され、接着部材50に第1接着空間23内でフィルター片30と遮光片40の外周縁を同時に被覆させる。
接着部材50が粘着性を備えているため、接着部材50が第1接着空間23内部で成型されると、フィルター片30と遮光片40を効果的に固定座体20と相互に接合でき、かつ、フィルター片30を中空部21の位置に効果的に配置することができる。
【0024】
本実施例のフィルターアセンブリ10を実際に製造するには、先に射出成型方式で固定座体20を形成してから、固定座体20を下ダイホルダー(図示しない)内に設置し、続いて固定座体20の第2接着空間25内に粘着性を備えた材料を注入した後、フィルター片30と遮光片40を順に中空部21内に入れ、フィルター片30を支持台24上に載置し、かつ支持部22と相互に接合して、予め支持部22上に位置決めする。
その後、上ダイホルダー(図示しない)を該下ダイホルダー上に被せ、さらに粘着性を備えた材料を上ダイホルダーと下ダイホルダーの間に注入し、該粘着性を備えた材料を第1接着空間23内に充填して、該粘着性を備えた材料がそれぞれ第1接着空間23及び第2接着空間25内で冷却されるのを待つと、第1接着空間23内に接着部材50が形成され、第2接着空間25内に補助接着部材60が形成される。
最後に成型されたフィルターアセンブリ10を上ダイホルダーと下ダイホルダーの間から取り出す。
【0025】
補助接着部材60は、接着部材50と同じ粘着性を備えた材料を、予め第2接着空間25内に注入しておき、フィルター片30を支持部22上に載置した跡に成型され、フィルター片30を支持部22上にしっかり固定することができ、接着部材50の成型時にフィルター片30が支持部22上でずれる現象の発生を回避できる。
【0026】
前述の粘着性を備えた材料は、主にシリコンである。シリコンは高い粘着性、低い融点等の特性を備えている。該シリコンは第1接着空間23と第2接着空間25内部に注入される前に、加熱を経て液体状にされ、これにより第1接着空間23と第2接着空間25内に容易に注入することができる。
シリコンは低融点の特性を備えているため、固定座体20に溶融現象を生じさせることがなく、固定座体20の変形も引き起こすことがない。同時に、該シリコンが冷却を経て成型された後、フィルター片30と遮光片40が固定座体20上にしっかりと保持され、フィルターアセンブリ10の生産歩留まりを向上することができる。
【0027】
接着部材50が第1接着空間23内部で成型されると、接着部材50には、フィルター片30と遮光片40の外周縁を取り囲む接着槽51が形成され、接着槽51がフィルター片30と遮光片40の外周部を被覆する。
接着槽51は、第1接着面52と、第1接着面52に相対する第2接着面53と、第1接着面52と第2接着面53の間に連接された第3接着面54を含む。第1接着面52は遮光片40を備えたフィルター片30の一面上に位置し、かつフィルター片30の一部及び該遮光片40の一部とそれぞれ相互に接着される。第2接着面53はフィルター片30の他面上に位置し、かつフィルター片30の一部と相互に接着され、フィルター片30と遮光片40が固定座体20上にしっかりと粘着されるよう確約する。
【0028】
これにより、フィルターアセンブリはより高い生産歩留まりを達成することができ、レンズモジュール(図示しない)内部に取り付けたとき、フィルター片と固定座体に剥離が生じる現象を効果的に防止でき、レンズモジュールは良好な結像品質が得られ、レンズモジュールの使用寿命が延長される。
【0029】
以上は、本発明の実施例にすぎず、これを以って本発明の権利範囲を限定することはできない。当業者による本発明の要旨を逸脱しない同等効果の修飾や変化は、いずれも本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
10 フィルターアセンブリ
20 固定座体
21 中空部
22 支持部
23 第1接着空間
24 支持台
25 第2接着空間
30 フィルター片
40 遮光片
50 接着部材
51 接着槽
52 第1接着面
53 第2接着面
54 第3接着面
60 補助接着部材
図1
図2
図3
図4
図5