(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799118
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】三次元的な物体を付加的に製造するための装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/264 20170101AFI20201130BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20201130BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20201130BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20201130BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20201130BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20201130BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20201130BHJP
【FI】
B29C64/264
B29C64/153
B33Y30/00
B22F3/105
B22F3/16
B23K26/21 Z
B23K26/34
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-134299(P2019-134299)
(22)【出願日】2019年7月22日
(62)【分割の表示】特願2017-184780(P2017-184780)の分割
【原出願日】2017年9月26日
(65)【公開番号】特開2019-199086(P2019-199086A)
(43)【公開日】2019年11月21日
【審査請求日】2019年7月31日
(31)【優先権主張番号】10 2016 121 781.6
(32)【優先日】2016年11月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ダーニエール・ヴィニアルスキー
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・シュタムベルガー
【審査官】
北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/116139(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/052774(WO,A2)
【文献】
独国特許出願公開第102014010931(DE,A1)
【文献】
特表2002−527613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム(6)を用いて凝固化可能な構造材料(3)から成る構造材料層の凝固化とによって三次元的な物体(2)を付加的に製造するための装置(1)であって、1つ又は複数のフレーム構造要素を含む外側のフレーム構造(4)を含む前記装置において、
外側フレーム(4)と、
前記外側フレーム(4)の内部に配置され、プロセスチャンバ(12)を画成するプロセスブロック(8)と、
前記プロセスブロック(8)と前記外側フレーム(4)の間に配置又は形成された複数の振動分離要素(16)であって、前記プロセスブロック(8)は前記複数の振動分離要素(16)によって前記外側フレーム(4)に少なくとも部分的に結合可能であり、前記外側フレーム(4)によって示される振動から前記プロセスブロック(8)を分離する複数の振動分離要素(16)と、
を含む装置(1)。
【請求項2】
前記プロセスブロック(8)が前記外側フレーム(4)に対して無関係に移動可能である、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記プロセスブロック(8)がプロセスブロック本体(10)を含む、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記プロセスブロック(8)が粉体収容空間(14)を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記プロセスブロック(8)が粉体モジュール(15)を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記プロセスブロック(8)が、それぞれが機能構成要素を受けるように構成された1つ以上の固定インターフェースを含み、前記機能構成要素は、付加的な製造工程の実行時に使用されるよう構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記1つ以上の固定インターフェースが、前記機能構成要素を前記プロセスブロック(8)に固定するように構成された取付部材(17)に含まれる、請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記機能構成要素が、構造材料層をエネルギービームに露光して前記構造材料層を選択的に固化するように構成された露光装置を含む、請求項6または7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記露光装置(7)が、エネルギービーム発生装置(7b)、ビーム偏向装置(7a)及び/又は少なくとも1つの光学素子を含む、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記機能構成要素が、選択的に固化されるべき構造材料層を形成するように構成された積層装置を含む、請求項6から9のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記積層装置が積層要素(5b)及びガイド装置(5c)を含む、請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記機能構成要素が、プロセスに関連したパラメータに関するプロセス変量を検出するように構成された光学検出装置を含む、請求項6から11のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記光学検出装置の構成要素として、光学的な検出要素又は熱による検出要素が配置可能又は配置されている、請求項12に記載の装置(1)。
【請求項14】
外部のエネルギー供給部を前記機能構成要素に提供するように構成された接続要素を含む、請求項6から13のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記外側フレーム(4)の外部の非動作位置から前記外側フレーム(4)の内部の動作位置へ前記プロセスブロック(8)を移動させるように構成された1つ以上のガイド要素を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって三次元的な物体を付加的に製造するための装置であって、1つ又は複数のフレーム構造要素を含む外側のフレーム構造を含む前記装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元的な物体を付加的に製造するための適当な装置は、例えば選択的レーザ焼結法あるいは選択的レーザ溶融法を実行するための装置の形態で知られている。適当な装置は、1つ又は複数のフレーム構造要素を含むフレーム構造を含んでいる。例えば露光装置のような装置の機能構成要素は、典型的には外側のフレーム構造あるいはこれに属するフレーム構造要素に配置されている。
【0003】
これまで、外側のフレーム構造あるいはこれに属するフレーム構造要素は、装置の機能構成要素の所定の空間的な配置及び/又は整向のための基準系を形成することが通常である。機能構成要素の所定の空間的な配置及び/又は整向のための基準系として、外側のフレーム構造は、構造上の観点から比較的狭い公差を有している必要がある。したがって、外側のフレーム構造は、幾何学的−構造上の観点においても、また製造技術の観点においても、装置の比較的手間のかかるアセンブリである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基礎をなす課題は、これに比較して改善された、三次元的な物体を付加的に製造するための装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、請求項1による、三次元的な物体を付加的に製造するための装置によって解決される。これに従属する請求項は、装置の可能な実施形態に関するものである。
【0006】
ここに記載されている装置(「装置」)は、連続的で層ごとの選択的な露光及びこれに伴う、固化可能な材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な固化によって、三次元的な物体、すなわち例えば技術的な部材あるいは技術的なアセンブリを付加的に製造するために設置されている。構造材料は、特に粒子状あるいは粉体状の金属材料、合成樹脂材料及び/又はセラミック材料であり得る。選択的に固化される各構造材料層の選択的な固化は、物体に関する構造データを基礎として行われる。適当な構造データは、付加的に製造されるべき各物体の幾何学的−構造上の形状を示すものであり、例えば付加的に製造されるべき物体の「スライスされた」CADデータを含むことが可能である。装置は、SLM装置として、すなわち選択的レーザ溶融法(SLM法)を実行するための装置として、又はSLS装置として、すなわち選択的レーザ焼結法(SLS法)を実行するための装置として形成されることが可能である。
【0007】
装置は、付加的な構造工程の実行に必要な機能構成要素を含んでいる。これには、特に、選択的に固化されるべき(装置の構造平面内における)構造材料層を形成するために設置されている積層装置と、選択的に固化されるべき(装置の構造平面内における)構造材料層を選択的に露光するために設置されている露光装置とが含まれている。積層装置は、典型的には複数の構成要素、すなわち例えば特にブレード状の積層工具を含む積層要素と、積層要素を所定の運動軌道に沿ってガイドするためのガイド装置とを含んでいる。露光装置も、典型的には複数の構成要素、すなわち例えばエネルギービームあるいはレーザビームを発生させるためのビーム発生装置と、ビーム発生装置によって発生されるエネルギービームあるいはレーザビームを選択的に固化されるべき積層装置の露光されるべき範囲へ偏向させるためのビーム偏向装置と、例えばフィルタ要素、対物レンズ要素、レンズ要素のような様々な光学的な要素とを含んでいる。
【0008】
装置は、1つ又は複数のフレーム構造要素を含む外側のフレーム構造又は枠構造(「フレーム構造」)を含んでいる。フレーム構造は、(閉鎖された)ハウジング構造あるいはカバー構造を形成している。したがって、フレーム構造は、(本質的に)装置の外側の形状を規定している。
【0009】
装置は、フレーム構造のほかにフレーム構造の内部に配置可能であるか、あるいは配置されたプロセスブロックを含んでいる。装置の複数の機能構成要素(「機能構成要素」)は、プロセスブロックに、及び/又はプロセスブロック内に配置又は形成されている。したがって、プロセスブロックは、少なくとも1つの機能構成要素をプロセスブロックに固定するために設置された1つ又は複数の固定インターフェースを含んでいる。各固定インターフェースは、プロセスブロックにおける機能構成要素の係合式及び/又は摩擦結合式及び/又は材料結合式の固定を可能とすることができる。プロセスブロックにおける機能構成要素の摩擦結合式の固定を可能とする固定インターフェースは、ネジ要素が貫通可能な孔、特にネジ孔であることができるか、又はこのようなものを含むことができる。考慮に値する係合式の固定形態は例えばクリップ固定又は係止固定であり、考慮に値する材料結合式の固定形態は例えば接着結合、はんだ付け又は溶接結合である。例えば付加的な構造工程を実行するための機能構成要素の動作を制御する装置の制御装置と通信する、例えばタッチパネルの形態の操作要素及び/又は例えば所定の機能工程要素のための外部の(電気的な)エネルギー供給部の接続のための接続要素のような何らかのユーザインターフェースあるいは操作インターフェースのほかに、フレーム構造には機能構成要素を配置又は形成する必要はない。
【0010】
このプロセスブロックに及び/又はこのプロセスブロック内に配置あるいは形成された機能構成要素と共に、プロセスブロックは、(フレーム構造に対して)個別の、すなわち特にフレーム構造とは無関係に移動可能な構造ユニットであり、プロセスブロックは、フレーム構造の構成要素を形成しない。プロセスブロックは、特に、このプロセスブロックあるいはプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素がフレーム構造に接触しないようにフレーム構造の内部に配置されることができる。したがって、プロセスブロックあるいはプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素の間には機械的な接触が存在しないことが考えられる。したがって、プロセスブロックあるいはプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素は、フレーム構造から機械的に分離されることができる。場合によってはあり得る、フレーム構造内へ作用する力、振動などは、このようにしてプロセスブロックあるいはプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素へ伝達されることがなく、このことは、その動作にポジティブな影響を与えるものである。
【0011】
プロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素は、このプロセスブロックで及び/又はこのプロセスブロック内で正確に規定可能なあるいは規定された空間的な位置決めすなわち配置及び/又は整向において配置されている。このとき、プロセスブロックは、このプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素の規定された空間的な配置のための基準系(Bezugssystem)を形成している。このために、典型的には、プロセスブロックは規定されたプロセスブロック軸線を備えており、これらプロセスブロック軸線は、プロセスブロックの例えばデカルト座標系を形成することができる。フレーム構造が構造上の観点から比較的狭い寸法公差(「公差」)を有していることは不要である。したがって、フレーム構造は、幾何学的−構造上の観点においても、また製造技術上の観点においても比較的手間のかかる装置のアセンブリである必要はない。むしろ、プロセスブロックは、幾何学的−構造上の観点において比較的単純に構成された構造ユニットであり、その結果、機能構成要素の正確な位置決めのための基準系としてのプロセスブロックの使用に必要な構造ユニットを狭い公差で製造することが比較的わずかな手間で済む。具体的には、プロセスブロックは、フライス部材であり得る。
【0012】
プロセスブロックと、このプロセスブロックに又はプロセスブロック内に形成された機能構成要素とは、予備構成可能な、又は予備構成された、個別に操作可能なアセンブリを形成することができる。したがって、プロセスブロックが所定の機能構成要素を備えることが可能であるか、あるいは予備構成されることができるとともに、このようにして予備構成され、個別に操作可能な、すなわち特に可搬式のアセンブリを形成することが可能である。このようにして、例えば装置の取付作業、修理作業及び保守点検作業が容易化され得る。
【0013】
機能構成要素は、直接的に、又は間接的にすなわち少なくとも1つの取付部材を介してプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置されることが可能である。機能構成要素の間接的な固定の場合については、プロセスブロックに配置された機能構成要素が、プロセスブロックに固定可能な、又は固定された取付部材を介してプロセスブロックに固定されることが可能である。このとき、機能構成要素は、不動の位置固定された配置及び整向において固定部材に固定されることが可能であり、取付部材は、不動の位置固定された配置及び整向においてプロセスブロックに固定されることが可能である。取付部材は、例えば取付ブロック又は取付ブラケットとして形成されることが可能である。取付部材はわずかな公差を有しており、その結果、この取付部材を介してプロセスブロックに固定された機能構成要素は、正確に位置決めされている。
【0014】
ここでは、それぞれフレーム構造に固定された機能構成要素の位置決めを後に、すなわちその実際の取付後に必要な位置精度に関して適合あるいは変更することが可能であるために、特に適切な設定装置あるいは調整装置による、これまで通常であった装置側の手間のかかる予防措置が作用する(treffen)ことに言及する。ここに記載された装置では、それぞれフレーム構造に固定された機能構成要素の位置決めを後に適合あるいは変更させるように設置されているこのような設定装置あるいは調整装置を完全に省略することが可能である。各機能構成要素の要求された正確な位置決めは、プロセスブロックにおける、及び/又はプロセスブロック内におけるその配置又は形成によって保証されている。上述のように、典型的にはプロセスブロックが狭い公差をもって存在し、これにより、各機能構成要素の正確な位置決めが可能となる。
【0015】
適当な取付部材は、機能構成要素を不動の、位置固定された位置決めにおいて取付部材に固定するために設置されている少なくとも1つの第1の固定インターフェースを含むことができる。第1の固定インターフェースは、取付部材における機能構成要素の係合式及び/又は摩擦結合式及び/又は材料結合式の固定を可能とすることができる。適当な取付部材は、更に、機能構成要素を不動の、位置固定された位置決めにおいてプロセスブロックに固定するために設置されている少なくとも1つの第2の固定インターフェースを含むことができる。取付部材への機能構成要素の摩擦結合式の固定を可能とする固定インターフェースは、例えば、ネジ要素によって貫通可能な孔、特にネジ孔であり得るか、又はこのようなものを含むことができる。プロセスブロックへの取付部材の摩擦結合式の固定を可能とする固定インターフェースも、例えばネジ要素によって貫通可能な孔、特にネジ孔であり得るか、又はこのようなものを含むことができる。係合式あるいは材料係合式の固定態様については上述されている。取付部材における機能構成要素の位置決めあるいはプロセスブロックにおける取付部材の位置決めが不動に位置固定されているとしても、この位置決めは、(損傷なしに、あるいは破壊されることなく取り外し可能である)。
【0016】
プロセスブロックは、プロセスブロック本体を含んでいる。プロセスブロック本体は、機能構成要素である装置のプロセスチャンバを画成することができる。したがって、装置のプロセスチャンバは、適当な内部空間によってプロセスブロック(本体)内に形成されることが可能である。
【0017】
プロセスブロック本体には、選択的に凝固化されるべき構造材料層の選択的な露光のための設置された、機能構成要素を形成する露光装置の少なくとも1つの構成部材が正確に位置決めされて配置可能であり得るか、あるいは配置されていることが可能である。露光装置の少なくとも1つの構成部材は、例えばプロセスブロック本体の露出した外面に配置あるいは固定されることができる。露光装置の構成部材として、例えばエネルギービーム発生装置及び/又はビーム偏向装置及び/又は露光装置の少なくとも1つの光学的な要素、特にフィルタ要素、対物レンズ要素又はレンズ要素をプロセスブロック本体に配置可能であり得るか、又は配置可能である。露光装置の適当な構成部材を、少なくとも1つの適当な取付部材を介してプロセスブロック本体に固定することが可能である。
【0018】
プロセスブロック本体には、装置の構造平面において選択的に凝固化されるべき構造材料層を形成するために設置されている、機能構成要素を形成する積層装置の少なくとも1つの構成部材(も)正確に位置決めされて配置可能であり得るか、配置可能である。露光装置の少なくとも1つの構成部材は、例えばプロセスチャンバを画成するプロセスブロック本体の内面に配置又は固定されることができる。積層装置の構成部材として、特にブレード状の積層工具を備えた積層要素及び/又は特にブレード状の積層工具を備えた積層要素のためのガイド装置がプロセスブロック本体に配置可能であり得るか、又は配置可能である。積層装置の適当な構成部材も、適当な取付部材を介してプロセスブロック本体に固定可能である。
【0019】
さらに、プロセスブロック本体には、例えば大気圧、圧力、温度、溶融プール幾何形状などのような特にプロセスに関連した(物理的な)パラメータに関する検出量を光学的に検出するために設置されている、装置の機能構成要素を形成する検出装置の少なくとも1つの構成部材(も)正確に位置決めして配置可能であり得るか、又は配置可能である。検出装置の少なくとも1つの構成部材も、例えばプロセスチャンバを画成するプロセスブロック本体の内面に配置あるいは固定されることが可能である。検出装置の構成部材として、例えば光学的な、又は熱による検出要素、特に光学的な、又は熱によるカメラをプロセスブロック本体に配置可能であり得るか、又は配置可能である。検出装置の適当な構成部材も、適当な取付部材を介してプロセスブロック本体に固定可能である。
【0020】
プロセスブロック本体には、更に、粉体収容空間を画成する粉体モジュールが正確に位置決めされた配置可能であり得るか、又は配置可能である。粉体モジュールは、プロセスブロック本体の底部側の接続部を形成することができる。粉体モジュールは、特に、その粉体収容空間(構造空間)内で実際の三次元的な物体の付加的な製造がなされる構造モジュールであり得る。
【0021】
フレーム構造からのプロセスブロックの振動分離を実現するために、プロセスブロックとフレーム構想の間には少なくとも1つの緩衝要素あるいは振動分離要素を配置又は形成することができる。典型的には、十分な振動分離のために、複数の緩衝要素あるいは振動分離要素がプロセスブロックとフレーム構造の間に接続されるべきである。各緩衝要素あるいは振動分離要素は、例えば弾性体又は粘弾性体として、特に弾性的なスプリング体として、又は粘弾性的エラストマ体として形成されることが可能である。
【0022】
プロセスブロックにはガイド装置を割り当てることができる。ガイド装置は、プロセスブロックがフレーム構造の内部に配置されている動作位置へ、及びプロセスブロックがフレーム構造の外部に配置されている非動作位置へ、並びにその逆へプロセスブロックを移動させるために設置されることが可能である。フレーム構造の内部の複数の所定の位置へプロセスブロックを移動させ、すなわち場合によっては回転もさせるためにガイド装置を設置することも考えられる。適当なガイド装置は、適切な、例えばレール形あるいはレール状のガイド要素を含むことができ、このガイド要素に沿ってプロセスブロックが例えば動作位置と非動作位置の間で移動可能である。適当なガイド装置を設けることで、例えば装置の取付作業、修理作業及び保守点検作業を簡易化することが可能である。
【0023】
プロセスブロックは、少なくとも1つの接続要素、例えばプロセスブロックに、又はプロセスブロック内に配置又は形成された機能構成要素のための外部の(電気的な)エネルギー供給部又は不活性ガス供給部を含むことができる。したがって、プロセスブロックは、(ほぼ)自給式の機能ユニットを形成することが可能である。
【0024】
図面において、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】一実施例による装置の機能構成要素の取付状況の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、一実施例による装置1の原理図が示されている。
図1では、装置1における後述の原理の説明に関連する部分のみが切断された視点において示されている。
【0027】
装置1は、連続的で層ごとの選択的な露光及びこれに伴う、レーザビーム6によって凝固化可能な構造材料3すなわち例えば金属粉体から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化によって、三次元的な物体2、すなわち特に技術的な部材あるいは技術的な部材群の付加的な製造に用いられる。凝固化されるべき各構造材料層の選択的な凝固化は、物体に関連した構造データに基づいてなされる。適当な構造データは、付加的に製造されるべき各物体2の幾何学的な、あるいは幾何学的−構造上の形状を示すとともに、製造されるべき物体2の例えば「スライスされた」CADデータを含むことができる。装置1は、LaserCUSING(登録商標)装置として、すなわち選択的レーザ溶融法を実行するための装置として形成されることができる。
【0028】
装置1は、1つ又は複数のフレーム構造要素(不図示)を含む外側のフレーム構造4を含んでいる。フレーム構造4は、装置1の(閉鎖された)ハウジング構造あるいはカバー構造を形成している。したがって、装置1の外側の形状は、(本質的に)フレーム構造によって規定されている。
【0029】
装置1は、付加的な構造工程の実行に必要な機能構成要素を含んでいる。これには、選択的に固化されるべき(装置1の構造平面E内における)構造材料層を形成するために設置されている積層装置5と、選択的に固化されるべき(装置1の構造平面E内における)構造材料層を選択的に露光するために設置されている露光装置7とが含まれている。積層装置5は、複数の構成要素、すなわち特にブレード状の積層工具5aを含む積層要素5bと、積層要素5bを所定の運動軌道に沿ってガイドするためのガイド装置5cとを含んでいる。露光装置7も、複数の構成要素、すなわちレーザビーム6を発生させるためのビーム発生装置7aと、ビーム発生装置によって発生されるレーザビーム6を選択的に固化されるべき構造材料層の露光されるべき範囲へ偏向させるためのビーム偏向装置7bと、典型的にはビーム発生装置7aとビーム偏向装置7bの間に配置されている、例えばフィルタ要素、対物レンズ要素、レンズ要素のような様々な光学的な要素とを含んでいる。
【0030】
装置1は、フレーム構造4のほかにフレーム構造4の内部に配置されたプロセスブロック8を含んでいる。装置1の上述の機能構成要素は、プロセスブロック8内に、及び/又はプロセスブロック8に配置されていることが分かる。したがって、プロセスブロック8は、少なくとも1つの機能構成要素をプロセスブロック8に固定するために設置された1つ又は複数の固定インターフェース(不図示)を含んでいる。各固定インターフェースは、プロセスブロック8における機能構成要素の係合式及び/又は摩擦結合式及び/又は材料結合式の固定を可能とすることができる。プロセスブロック8における機能構成要素の摩擦結合式の固定を可能とする固定インターフェースは、ネジ要素が貫通可能な孔、特にネジ孔であることができるか、又はこのようなものを含むことができる。考慮に値する係合式の固定形態は例えばクリップ固定又は係止固定であり、考慮に値する材料結合式の固定形態は例えば接着結合、はんだ付け又は溶接結合である。例えば付加的な構造工程を実行するための機能構成要素の動作を制御する制御装置(不図示)と通信する、例えばタッチパネルの形態の操作要素及び/又は例えば所定の機能工程要素のための外部の(電気的な)エネルギー供給部の接続のための接続要素(不図示)のような何らかのユーザインターフェースあるいは操作インターフェース(不図示)のほかに、フレーム構造4には機能構成要素を配置又は形成する必要はない。
【0031】
このプロセスブロックに及び/又はこのプロセスブロック内に配置あるいは形成された機能構成要素と共に、プロセスブロック8は、(フレーム構造4に対して)個別の、すなわち特にフレーム構造4とは無関係に移動可能な構造ユニットであり、プロセスブロック8がフレーム構造4の構成要素を形成しないことが分かる。プロセスブロック8は、このプロセスブロックあるいはプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素がフレーム構造4に接触しないようにフレーム構造4の内部に配置されている。プロセスブロック8あるいはプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素とフレーム構造4の間には機械的な接触が存在しない。したがって、プロセスブロックあるいはプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素は、フレーム構造4から機械的に分離されている。場合によってはあり得る、フレーム構造4内へ作用する力、振動などは、このようにしてプロセスブロックあるいはプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素へ伝達されることがなく、このことは、その動作にポジティブな影響を与えるものである。
【0032】
プロセスブロック8に及び/又はプロセスブロック8内に配置若しくは形成された機能構成要素は、このプロセスブロックで及び/又はこのプロセスブロック内で正確に規定可能なあるいは規定された空間的な位置決めすなわち配置及び/又は整向において配置されている。このとき、プロセスブロック8は、このプロセスブロックに及び/又はプロセスブロック内に配置若しくは形成された機能構成要素の規定された空間的な配置のための基準系(Bezugssystem)を形成している。このために、プロセスブロック8は規定されたプロセスブロック軸線(x軸、y軸及びz軸)を備えており、これらプロセスブロック軸線は、プロセスブロック8の例えばデカルト座標系を形成している。プロセスブロック8は、幾何学的−構造上の観点において比較的単純に構成された構造ユニットであり、具体的には、プロセスブロック8は、例えば、狭い公差をもって比較的わずかな手間で製造可能なフライス部分であり得る。適当に狭い公差は、機能構成要素の正確な位置決めのための基準系としてのプロセスブロック8の使用に必要である。
【0033】
プロセスブロック8は、プロセスブロック本体10を含んでおり、この実施例では、プロセスブロック本体10は、1つ又は複数の、互いに部分的に角度をもって(直角状に)延び、内部空間11を画成する壁部あるいは壁部分(不図示)を含んでいる。プロセスブロック本体10の内部空間11は、1つの機能構成要素である(不活性化可能な)装置1のプロセスチャンバ12を形成している。したがって、装置1のプロセスチャンバ12は、プロセスブロック8内に形成されている。
【0034】
プロセスブロック本体10には、更に構成要素、すなわち機能構成要素を形成する露光装置7の、レーザビーム発生装置7a、ビーム偏向装置7bが正確に位置決めされた配置されている。この実施例において、露光装置7の構成要素は、レーザビーム6のための貫通開口部13を備えた、プロセスブロック本体10の上側の壁部によって形成された、露出されたプロセスブロック本体10の外面に配置されているか、あるいは固定されている。
【0035】
プロセスブロック本体10には、更に構成部材、すなわち機能構成要素を形成する積層装置5の、積層工具5a、積層要素5b、ガイド装置5cも正確に位置決めされて配置されている。この実施例において、積層装置5の構成部材は、内部空間11あるいはプロセスチャンバ12を画成する壁部によって形成されたプロセスブロック本体10の内面に配置あるいは固定されている。
【0036】
さらに、プロセスブロック本体10には、装置1の機能構成要素を形成する検出装置(不図示)の構成部材(不図示)(も)配置可能あるいは配置されていることが可能であり、検出装置は、少なくとも1つの、例えば気圧、圧力、温度、溶融プール幾何形状(Schmelzpoolgeometrie)などのような特にプロセスに関連した(物理的な)パラメータに関する検出量を光学的に検出するために設置されている。検出装置の構成部材も、例えばプロセスブロック本体10の適当な内面に配置あるいは固定されていることが可能である。検出装置の構成部材として、例えば光学的な、又は熱による検出要素、特に光学的な、又は熱によるカメラがプロセスブロック本体10に配置可能又は配置されていることが可能である。
【0037】
プロセスブロック本体10には、更に、粉体収容空間14を画成する粉体モジュール15が正確に位置決めされて配置されている。粉体モジュール15は、プロセスブロック本体10の底側の末端部を形成している。粉体モジュール15は、その収容空間14(構造空間)内で三次元的な物体2の実際の付加的な製造がなされる構造モジュールである。
【0038】
プロセスブロック8と、このプロセスブロックに又はプロセスブロック内に形成された機能構成要素とは、予備構成可能な、又は予備構成された、個別に操作可能なアセンブリを形成している。したがって、プロセスブロック8が所定の機能構成要素を備えることが可能であるか、あるいは予備構成されることができるとともに、このようにして予備構成され、個別に操作可能な、すなわち特に可搬式のアセンブリを形成することが可能である。
【0039】
フレーム構造4からのプロセスブロック8の振動分離を実現するために、この実施例では、プロセスブロック8とフレーム構造4の間に配置あるいは形成された減衰要素あるいは振動分離要素16が存在する。各減衰要素あるいは振動分離要素16は、例えば弾性体あるいは粘弾性体として、特に弾性的なバネ体又は粘弾性的なエラストマ体として形成されることが可能である。適当な減衰要素16あるいは振動分離要素16は任意に存在する。
【0040】
プロセスブロック8には、ガイド装置(不図示)を割り当てることが可能である。ガイド装置は、例えば、プロセスブロック8がフレーム構造4の内部に配置されている動作位置と、プロセスブロック8がフレーム構造4の外部に配置されている非動作位置へ、及びその逆にプロセスブロック8を移動させるために設置されている。プロセスブロック8をフレーム構造4の内部における所定の複数の位置へ移動させるために、すなわち場合によっては回転させるためにガイド装置を設置することも考えられる。適当なガイド装置は、適切な、例えばレール型あるいはレール上のガイド要素を含んでおり、これらガイド要素に沿ってプロセスブロック8が異なる位置の間で、すなわち例えば動作位置と非動作位置の間で移動可能である。
【0041】
プロセスブロック8は、例えばプロセスブロック8に、又はプロセスブロック8内に配置若しくは形成された機能構成要素のための外部の(電気的な)エネルギー供給部又は不活性ガス供給部を接続するための少なくとも1つの接続要素(不図示)を含むことが可能である。適当な接続要素は、例えば、プロセスブロック本体10に配置又は形成されることができる。
【0042】
基本的に、機能構成要素は、直接的に、又は間接的にすなわち少なくとも1つの取付部材17(
図2参照)を介してプロセスブロック8に及び/又はプロセスブロック8内に配置されることが可能である。
【0043】
図2には、一実施例による装置1の機能構成要素の取付状況の原理図が示されている。
【0044】
図2では、機能構成要素、ここでは例示的に露光装置7の構成部材としてのビーム偏向装置7bの間接的な固定の場合が示されている。機能構成要素は、プロセスブロック8あるいはプロセスブロック本体10に固定された取付部材17を介してプロセスブロック8に固定されている。このとき、機能構成要素は、不動の、位置固定された配置及び整向において取付部材17に固定されており、取付部材17は、不動の、位置固定された配置及び整向においてプロセスブロック8に固定されている。例えば取付ブロックとして、又は取付ブラケットとして形成されることができる取付部材17は狭い公差を有しており、その結果、この取付部材を介してプロセスブロック8に固定された機能構成要素は、正確に位置決めされている。
【0045】
取付部材17は、機能構成要素を不動の、位置固定された位置決めにおいて取付部材17に固定するために設置されている少なくとも1つの第1の固定インターフェース18を含んでいる。この実施例では、第1の固定インターフェース18により、取付部材17における機能構成要素の摩擦結合式の固定が可能となる。具体的には、第1の固定インターフェース18は、ネジ要素19が貫通可能な複数の孔(不図示)、特にネジ孔を含んでいる。
【0046】
取付部材17は、更に、機能構成要素を不動の、位置固定された位置決めにおいてプロセスブロック8に固定するために設置されている少なくとも1つの第2の固定インターフェース20を含んでいる。この実施例では、第2の固定インターフェース20によっても、プロセスブロック8における機能構成要素の摩擦結合式の固定が可能となる。具体的には、第2の固定インターフェース20も、ネジ要素21が貫通可能な複数の孔(不図示)、特にネジ孔を含んでいる。
【0047】
取付部材17における機能構成要素の位置決めあるいはプロセスブロック8における取付部材17の位置決めが不動に位置固定されていても、ネジ固定に基づき分かるように、この位置決めは、(損傷なしに、あるいは破壊されることなく取り外し可能である)。