【文献】
Chih-Ming Fu, et al.,Non-CE1: Bug-fix of offset coding in SAO interleaving mode,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,2012年 4月27日,JCTVC-I0168
【文献】
Yu-Wen Huang,BoG report on SAO,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,2012年 5月 4日,JCTVC-I0576
【文献】
Toru Matsunobu, et al.,AHG5/AHG6: Bypass coding for SAO syntax elements,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,2012年 7月,JCTVC-J0148r1
【文献】
In Suk Chong, et al.,AHG6/AHG5: Simplified SAO coding,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,2012年 7月,JCTVC-J0347-v3
【文献】
In Suk Chong, et al.,AHG6/AHG5: SAO offset coding,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,2012年 7月 3日,JCTVC-J0106
【文献】
Woo-shik Kim, et al.,AhG6: SAO Offset Bypass Coding,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,2012年 7月11日,JCTVC-J0141
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した画像符号化方法等に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0014】
上述したように、HEVC規格では、オフセット処理であるSAO処理のオフセット値を、算術符号化処理して符号列に付与する。より詳細には、HEVC規格の算術符号化処理では、符号化対象の信号(例えば、SAOオフセット値)を、多値信号から2値信号に変換し、当該2値信号(bin string)を算術符号化処理する。
【0015】
ここで、算術符号化処理には2種類あり、(1)適応的なシンボル発生確率を用いて算術符号化処理するコンテキスト算術符号化処理と、(2)シンボル発生確率を、例えば、50%に固定して算術符号化処理するバイパス(Bypass)算術符号化処理がある。
【0016】
(1)コンテキスト算術符号化処理では、符号化対象の信号毎にコンテキストが選択される。シンボル発生確率は、コンテキストに対応して決められる。さらに、コンテキスト算術符号化処理では、選択したコンテキストをロードし、そのコンテキストに応じたシンボル発生確率を基に符号化対象の信号の算術符号化処理が行われる。さらに、コンテキスト算術符号化処理では、符号化対象の信号の値に応じて、コンテキストのシンボル発生確率(例えば、1になる確率)を更新するコンテキスト更新処理が行われる。
【0017】
(2)一方、バイパス算術符号化処理では、符号化対象の信号は、コンテキストを用いず、シンボル発生確率を、例えば、50%に固定して算術符号化処理される。このため、バイパス算術符号化処理では、コンテキストのロードおよびコンテキスト更新処理は行われない。
【0018】
従来、画像符号化装置では、SAOオフセット値を、コンテキスト算術符号化処理している。これは、HEVC規格(非特許文献1)では、SAOオフセット値を示す2値信号のシンボル発生確率に偏りがあると考えられているためである。シンボル発生確率に偏りがある場合は、コンテキスト算術符号化処理を用いることで、符号化効率の低下を抑制できる。
【0019】
しかしながら、上述したように、コンテキスト算術符号化処理では、コンテキストのロードおよび更新等の処理が必要であった。また、所定のSAOオフセット値のコンテキスト算術符号化処理において選択されたコンテキストと同じコンテキストが他のSAOオフセット値のコンテキスト算術符号化処理において選択された場合、先に算術符号化処理を開始したSAOオフセット値に対するコンテキストの更新処理が完了するまで、次のSA
Oオフセット値に対するコンテキスト算術符号化処理を開始することができない。このため、処理が順次的になり、スループットが低下するという問題がある。
【0020】
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る画像符号化方法は、入力画像を符号化する画像符号化方法であって、前記入力画像に対応する再構成画像の画素値に適用されるオフセット処理で用いられるオフセット値を2値信号に変換するステップと、前記2値信号に対して、固定確率を用いるバイパス算術符号化処理を行うステップとを有する。
【0021】
上記構成の画像符号化方法では、バイパス算術符号化処理を用いてSAOオフセット値を算術符号化処理するため、処理を高速化させることができる。
【0022】
後で詳述するが、本発明者らは、SAOオフセット値を示す2値信号のシンボル発生確率には、あまり偏りがないことを発見した。従って、バイパス算術符号化処理を用いた場合でも、符号化効率が低下しないと考えられる。そこで、本発明者らは、SAOオフセット値に対する算術符号化処理として、バイパス算術符号化処理を用いた場合でも、符号化効率が低下しないことを実験により確認した。
【0023】
従って、上記構成の画像符号化方法では、符号化効率を低下させることなく、算術符号化処理を高速化させることが可能である。
【0024】
また、本発明の一態様に係る画像復号方法は、符号化画像を復号する画像復号方法であって、符号化された2値信号であって、前記符号化画像に対応する再構成画像の画素値に適用されるオフセット処理で用いられるオフセット値を示す2値信号に対し、固定確率を用いるバイパス算術復号処理を行うステップと、前記バイパス算術復号処理された前記2値信号を前記オフセット値に変換するステップとを有する。
【0025】
また、本発明の一態様に係る画像符号化装置は、制御回路と、前記制御回路に電気的に接続される記憶装置とを備え、入力画像を符号化する画像符号化装置であって、前記制御回路は、前記入力画像に対応する再構成画像の画素値に適用されるオフセット処理で用いられるオフセット値を2値信号に変換するステップと、前記2値信号に対して、固定確率を用いるバイパス算術符号化処理を行うステップとを実行する。
【0026】
また、本発明の一態様に係る画像復号装置は、制御回路と、前記制御回路に電気的に接続される記憶装置とを備え、符号化画像を復号する画像復号装置であって、前記制御回路は、符号化された2値信号であって、前記符号化画像に対応する再構成画像の画素値に適用されるオフセット処理で用いられるオフセット値を示す2値信号に対し、固定確率を用いるバイパス算術復号処理を行うステップと、前記バイパス算術復号処理された前記2値信号を前記オフセット値に変換するステップとを実行する。
【0027】
また、本発明の一態様に係る画像符号化復号装置は、上記画像符号化装置と、上記画像復号装置とを備える。
【0028】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0030】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0031】
(実施の形態1)
実施の形態1の画像符号化装置および画像符号化方法について、
図1〜
図9を基に説明する。
【0032】
<1−1.装置構成>
本実施の形態の画像符号化装置について、
図1を基に説明する。
図1は、本実施の形態のHEVC規格に係る動画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【0033】
画像符号化装置100は、入力される画像(入力画像)をブロック毎に符号化して、符号列(符号化ビットストリーム)を生成する装置である。
【0034】
図1に示すように、画像符号化装置100は、ブロック分割部101、減算部102、変換部103、可変長符号化部(エントロピー符号化部)104、逆変換部105、加算部106、SAO処理部107、SAOパラメータ符号化部110、フレームメモリ108、および、予測部109を備えている。
【0035】
ブロック分割部101は、入力画像を、複数の画素で構成される複数の予測対象ブロックに分割する。予測対象ブロックは、サイズが可変のブロックであり、例えば、最小のサイズは4×4、最大のサイズは32×32である。
【0036】
減算部102は、予測対象ブロックから、後述する予測部109により予測された予測ブロックを減算して、差分ブロックを算出する。変換部103は、差分ブロックを画像領域から周波数領域に変換して周波数係数を導出する変換処理、および、周波数係数を量子化する量子化処理を行う。なお、以降の説明では、量子化された周波数係数を量子化係数と称する。
【0037】
可変長符号化部104は、変換部103から出力された量子化係数、および、復号に必要な各種情報(予測対象ブロックのパーティション情報、予測の種別、動きベクトル、予測モード(面内予測モード)、および、量子化パラメータ等)に対して、エントロピー符号化を施すことにより、符号列を生成する。
【0038】
逆変換部105は、変換部103から出力された量子化係数に対し、周波数係数に変換する逆量子化処理、および、周波数係数を周波数領域から画像領域に変換して再構成差分ブロックを導出する逆変換処理を行う。加算部106は、後述する予測部109により予測された予測ブロックと逆変換部105において導出された再構成差分ブロックとを加算して、再構成ブロックを生成する。
【0039】
SAO処理部107は、後で詳述するが、再構成ブロックに対し、再構成ブロックを構成する各画素の画素値に、各画素の属するカテゴリ(クラス)に対応したSAOオフセット値を加算するSAO処理(オフセット処理)を行う。ここで、上述した変換部103の処理は、不可逆処理であるため、入力画像の予測対象ブロックと再構成ブロックとの間に誤差が生じる。SAOオフセット値は、当該誤差を補正するための値であり、カテゴリ毎に設定されている。
【0040】
SAOパラメータ符号化部110は、SAO処理に用いられる各種パラメータを可変長符号化し、可変長符号化部104から出力される符号列に付与する。なお、本実施の形態では、SAOパラメータとして、上述したSAOオフセット値を示すsao_offsetと、SAOオフセット値の分類を示すsao_type_idxとを例に説明する。
【0041】
図2は、SAOパラメータ符号化部110の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、SAOパラメータ符号化部110は、sao_type_idx符号化部111と、sao_offset符号化部112とを備えている。
【0042】
sao_type_idx符号化部111は、sao_offsetの分類を示すsao_type_idxを算術符号化処理する。ここで、sao_offsetの分類(カテゴリ)には、周囲の画素の状況に応じて値が決まるエッジオフセット値と、自分の画素値がどの領域に属するかに応じて値が決まるバンドオフセット値の2つのカテゴリがある。
【0043】
sao_offset符号化部112は、sao_offsetを算術符号化処理する。
図3は、sao_offset符号化部112の構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
sao_offset符号化部112は、
図3に示すように、sao_offset2値化部113と、算術符号化切替部114と、コンテキスト0算術符号化部115と、コンテキスト1算術符号化部116と、バイパス算術符号化部(
図3では「Bypass算術符号化部」と表記)117とを備えている。
【0045】
sao_offset2値化部113は、多値信号であるsao_offsetを2値化する(0と1の信号に変換する)。算術符号化切替部114は、sao_offsetに適用する算術符号化処理の方法を切り替える。コンテキスト0算術符号化部115は、第一のコンテキスト(コンテキスト0)を用いたコンテキスト0算術符号化処理を行う。コンテキスト1算術符号化部116は、第二のコンテキスト(コンテキスト1)を用いたコンテキスト1算術符号化処理を行う。バイパス算術符号化部117は、固定確率を用いるバイパス算術符号化処理を行う。
【0046】
フレームメモリ108は、RAM(Random Access Memory)あるいはROM(Read Only Memory)等の記憶装置で構成されている。
【0047】
予測部109は、インター予測またはイントラ予測により、予測ブロックを生成する。予測部109は、インター予測では、予測対象ブロックを用いて動きベクトルを導出し、フレームメモリ108に記憶されたSAO処理後の再構成ブロックと導出した動きベクトルとを用いて予測ブロックを生成する。予測部109は、イントラ予測では、予測モードに応じて、フレームメモリ108に記憶されたSAO処理後の再構成ブロックを用いて予測ブロックを生成する。
【0048】
<1−2.動作(全体)>
次に、画像符号化装置100の動作について、
図4を基に説明する。
図4は、画像符号化装置100の処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
画像符号化装置100は、先ず、ブロック分割部101によって入力画像を複数の予測対象ブロックに分割し、予測対象ブロックを順次、減算部と予測部に出力する(S101)。本実施の形態では、予測対象ブロックのサイズは可変である。入力画像は、画像の特徴を用いて分割される。予測対象ブロックの最小サイズは、本実施の形態では、横4画素×縦4画素である。また、予測対象ブロックの最大サイズは、本実施の形態では、横32
画素×縦32画素である。
【0050】
画像符号化装置100は、予測部109によって、予測対象ブロックとフレームメモリ108に格納されている再構成ブロックとを用いて予測ブロックを生成する(S102)。
【0051】
画像符号化装置100は、減算部102によって、予測対象ブロックから予測ブロックを減算して差分ブロックを生成する(S103)。
【0052】
画像符号化装置100は、変換部103によって、差分ブロックを周波数係数に変換し、周波数係数を量子化係数に変換する(S104)。
【0053】
画像符号化装置100は、逆変換部105によって、量子化係数を逆量子化して周波数係数を導出し、当該周波数係数を周波数領域から画像領域に変換し、再構成差分ブロックを生成する(S105)。
【0054】
画像符号化装置100は、加算部106によって、復元した再構成差分ブロックと予測ブロックとを加算して再構成ブロックを生成する(S106)。
【0055】
画像符号化装置100は、SAO処理部107によって、SAO処理を行う(S107)。SAO処理部107は、まず、SAO処理に用いるSAOパラメータを決定する。本実施の形態では、SAOパラメータは、SAOオフセット値の分類を示すsao_type_idx、および、SAOオフセット値を示すsao_offsetである。SAO処理部107は、再構成ブロックを構成する各画素の画素値にSAOオフセット値を加算し、SAOオフセット値を加算した再構成ブロックをフレームメモリ108に格納する。なお、SAO処理では、再構成ブロックを構成する各画素は複数のカテゴリに分類され、カテゴリ毎にSAOオフセット値が導出される。各画素を複数のカテゴリに分類するための方法は複数ある。このため、SAOオフセット値の分類を示すパラメータsao_type_idxを用いている。
【0056】
画像符号化装置100は、SAOパラメータ符号化部110によって、SAOパラメータを可変長符号化し、可変長符号化部104から出力される符号列に付加する(S108)。SAOパラメータ符号化部110の処理については、後で説明する。
【0057】
画像符号化装置100は、可変長符号化部104によって、変換部103から出力された量子化係数を可変長符号化し、符号列を出力する(S109)。
【0058】
画像符号化装置100は、入力画像の全ての予測対象ブロックの符号化が完了するまで、ステップS102からステップS109を繰り返し実行する(S110)。
【0059】
<1−2−1.動作(SAOパラメータ符号化部の動作)>
本実施の形態のSAOパラメータ符号化部110の動作について、
図5を基に説明する。
【0060】
図5は、SAOパラメータ符号化部110の処理の一例を示すフローチャートであり、
図4のステップS108の詳細を示している。
【0061】
SAOパラメータ符号化部110は、sao_type_idx符号化部111において、sao_type_idxを符号化する(S111)。
【0062】
SAOパラメータ符号化部110は、sao_offset符号化部112において、sao_offsetを符号化する(S112)。
【0063】
<1−2−2.動作(sao_offset符号化部の動作)>
本実施の形態のsao_offset符号化部112の動作について、
図6Aを基に説明する。
図6Aは、sao_offset符号化部112の処理の一例を示すフローチャートである。
【0064】
sao_offset符号化部112は、sao_offset2値化部113によって、sao_offsetを多値信号から2値信号(bin string)に変換する(S121)。
【0065】
ここで、本実施の形態では、sao_offsetが0〜7の値を取る場合について説明する。
図7は、多値信号と2値信号との対応関係を示す表である。
図7からわかるように、2値信号の先頭からの“1”の連続回数が、多値信号が示す値となっている。また、
図7では、多値信号が“0”〜“6”の場合は、最後に0が付与されている。多値信号が最大値の“7”の場合は、最後の0が付かないようになっている。ここで、binIdxは2値信号(bin string)を構成するbin(2値信号のうちの1ビット)のインデックスである。binIdxは、先頭が0で以降は1ずつインクリメントした値となっている。2値信号は、binIdxが0のbinから順に、算術符号化切替部114に出力される。
【0066】
sao_offset符号化部112は、算術符号化切替部114によって、binIdxの値を判定する(S122、S124、S126)。
【0067】
算術符号化切替部114は、binIdxが0である場合は(S122で「Yes」)、binをコンテキスト0算術符号化部115に出力する。コンテキスト0算術符号化部115は、コンテキスト0を用いてコンテキスト算術符号化処理を行う(S123)。
【0068】
算術符号化切替部114は、binIdxが1である場合は(S122で「No」、S124で「Yes」)、binをコンテキスト1算術符号化部116に出力する。コンテキスト1算術符号化部116は、コンテキスト1を用いてコンテキスト算術符号化処理を行う(S125)。
【0069】
算術符号化切替部114は、binIdxが0でも1でもない場合は(S122で「No」、S124で「No」)、binをバイパス算術符号化部117に出力する。バイパス算術符号化部117は、バイパス算術符号化処理を行う(S126)。
【0070】
なお、バイパス算術符号化部117ではコンテキストを用いないため、sao_offset符号化部112全体では、本実施の形態では、2種類のコンテキストが用いられることになる。
【0071】
sao_offset符号化部112は、2値信号を構成する全てのbinの処理が完了するまで(S127)、ステップS122〜ステップS127を繰り返し実行する。
【0072】
<1−3.効果、変形例等>
以上、本実施の形態の画像符号化装置100は、sao_offsetの後半のbinに対し、バイパス算術符号化処理を行うため、処理を高速化することが可能となる。より具体的には、本実施の形態では、binIdexが2以上のbinに対しては、コンテキスト算術符号化処理ではなくバイパス算術符号化処理が行われる。上述したように、バイ
パス算術符号化処理は、コンテキストのロードおよび更新が不要である。このため、他の予測対象ブロックのSAOオフセット値の算術符号化処理の完了を待つことなく、SAOオフセット値の算術符号化処理を始めることが可能になり、処理を高速化することが可能である。
【0073】
また、現在検討されているHEVC規格(非特許文献1)では、binIdx1〜6のシンボル発生確率(1になる確率)は同じくらいであり、50%ではないなんらかの偏りがあると考えられていた。より具体的には、binIdx1以降が存在する場合(sao_offsetが1以上の場合)は、binIdx1が0でbinIdx2以降は存在しないケース(sao_offsetは1)か、binIdx1〜6が全て1になるケース(sao_offsetは7)が多いと考えられていた。
【0074】
これに対し、本発明者は、binIdx1〜6のシンボル発生確率を50%固定で符号化する実験を行った結果、ほとんど符号化効率は劣化しないことを発見した。つまり、sao_offsetは中間の値(2〜6)になるケースも多く、binIdx1〜6のシンボル発生確率は50%に近いことがわかった。よって、binIdx2以降は、コンテキスト算術符号化処理ではなく、バイパス算術符号化処理を用いることによって、符号化効率の低下を抑制した処理高速化が可能となる。
【0075】
<1−3−1.変形例>
なお、上記実施の形態1では、binIdx2以降のbinをバイパス算術符号化処理しているが、これに限るものではない。
【0076】
ここで、
図8は、binIdxを構成するbinと、適用される算術符号化処理との対応を示す表である。
図8において、「実施例1」は、上述した実施の形態1におけるbinと適用される算術符号化処理との対応関係を示している。また、「コンテキスト0」は、コンテキスト0を用いたコンテキスト算術符号化処理を示している。「コンテキスト1」は、コンテキスト1を用いたコンテキスト算術符号化処理を示している。「Bypass」は、バイパス算術符号化処理を示している。
【0077】
図8の「変更1」は、変形例1を示している。変形例1では、
図8に示すように、binIdx0のbinをコンテキスト算術符号化処理し、binIdx1以降のbinをバイパス算術符号化処理している。変形例1では、
図2に示すsao_offset符号化部112は、sao_offset2値化部113、算術符号化切替部114、コンテキスト0算術符号化部115およびバイパス算術符号化部117を備えていればよい。言い換えると、コンテキスト1算術符号化部116を備えていなくてもよい。
【0078】
図8の「変更2」は、変形例2を示している。変形例2では、
図8に示すように、全てのbinIdxのbinをバイパス算術符号化処理している。
【0079】
図6Bは、変形例2におけるsao_offset符号化部112の処理(画像符号化方法)の一例を示すフローチャートである。
図6Bでは、sao_offsetを2値化し(S121、オフセット値を2値信号に変換するステップ)、sao_offsetを構成する全てのbinについて、バイパス算術符号化処理を行う(S126、S127、バイパス算術符号化処理を行うステップ)。なお、変形例2の場合は、全てのbinをバイパス算術符号化処理するため、最も処理を高速化させることが可能である。
【0080】
また、変形例2では、
図2に示すsao_offset符号化部112は、sao_offset2値化部113およびバイパス算術符号化部117を備えていればよい。言い換えると、算術符号化切替部114、コンテキスト0算術符号化部115およびコンテキ
スト1算術符号化部116を備えていなくてもよい。
【0081】
さらに、図示しないが、binIdx0〜2ではコンテキスト算術符号化処理を用い、binIdx3以降はバイパス算術符号化処理を用いる構成としてもよいことは言うまでもない。
【0082】
<1−3−2.符号化効率の実験結果>
図9は、実施の形態1および変形例における符号化効率の実験結果を示す表である。
【0083】
図9では、現在のHEVC規格(非特許文献1)でSAOオフセット値に対する算術符号化処理を行った場合の符号化効率と、実施の形態1および変形例における符号化効率とを比較した結果を示している。なお、実験条件は、HEVC規格化団体の共通実験条件に従っている。
【0084】
図9では、数値が大きいほど符号化効率が低下していることを示し、負の値であれば符号化効率が向上していることを示す。
【0085】
実施の形態1については、
図9の「実施例1」から分かるように、比較結果の数値が−0.1〜0.1%の範囲に収まっている。これは、SAOオフセット値のbinIdx2〜6をコンテキスト算術符号化処理した場合とバイパス算術符号化処理した場合とで、符号化効率がほとんど変わらないことを示している。
【0086】
変形例1については、
図9の「変更1」から分かるように、実施の形態1よりも符号化効率は低下するが、0〜0.1%の範囲に収まっており、符号化効率がほとんど変わらないと言える。
【0087】
変形例2についても同様に、
図9の「変更2」から分かるように、実施の形態1よりも符号化効率は低下するが、0〜0.1%の範囲に収まっており、符号化効率がほとんど変わらないと言える。
【0088】
以上、符号化効率の実験結果から、SAOオフセット値の算術符号化処理において、バイパス算術符号化処理を適用すれば、符号化効率をあまり低下させることなく、算術符号化処理の高速化を実現することが可能になる。
【0089】
(実施の形態2)
実施の形態2の画像復号装置および画像復号方法について、
図10〜
図15Aを基に説明する。
【0090】
<2−1.装置構成>
本実施の形態の画像復号装置について、
図10を基に説明する。
図10は、本実施の形態のHEVC規格に係る画像復号装置の構成を示すブロック図である。
【0091】
画像復号装置200は、入力される符号列(符号化ビットストリーム)を復号して、復号画像(
図10では「画像」と表記)を生成する装置である。
【0092】
図10に示すように、画像復号装置200は、可変長復号部201、逆変換部202、加算部203、SAOパラメータ復号部210、SAO処理部204、復号ブロック結合部205、フレームメモリ206、および、予測部207を備えている。
【0093】
可変長復号部201は、画像復号装置200に入力された符号列をエントロピー復号(
可変長復号)することにより、量子化係数、および、復号に必要な各種情報(予測対象ブロックのパーティション情報、予測の種別、動きベクトル、予測モード(面内予測モード)、および、量子化パラメータ等)を取得する。
【0094】
逆変換部202は、可変長復号部201から出力された量子化係数に対し、周波数係数に変換する逆量子化処理、および、周波数係数を周波数領域から画像領域に変換して差分ブロックを導出する逆変換処理を行う。
【0095】
加算部203は、予測部207から出力される予測ブロックと、逆変換部202から出力された差分ブロックとを加算して、復号ブロックを生成する。
【0096】
SAOパラメータ復号部210は、SAO処理に用いられる各種パラメータを、符号列から復号する。なお、本実施の形態では、SAOパラメータとして、SAOオフセット値を示すsao_offsetと、SAOオフセット値の分類を示すsao_type_idxとを例に説明する。
【0097】
図11は、SAOパラメータ復号部210の構成の一例を示すブロック図である。
図11に示すように、SAOパラメータ復号部210は、sao_type_idxを算術復号処理するsao_type_idx復号部211と、sao_offsetを算術復号処理するsao_offset復号部212とを備えている。
【0098】
図12は、sao_offset復号部212の構成の一例を示すブロック図である。
図12に示すように、sao_offset復号部212は、算術復号切替部213と、コンテキスト0算術復号部214と、コンテキスト1算術復号部215と、バイパス算術復号部(
図12では「Bypass算術復号部」と表記)216と、sao_offset多値化部217とを備えている。
【0099】
算術復号切替部213は、符号列に適用する算術復号処理の方法を切り替える。コンテキスト0算術復号部214は、第一のコンテキスト(コンテキスト0)を用いたコンテキスト0算術復号処理を行う。コンテキスト1算術復号部215は、第二のコンテキスト(コンテキスト1)を用いたコンテキスト1算術復号処理を行う。バイパス算術復号部216は、固定確率を用いるバイパス算術復号処理を行う。sao_offset多値化部217は、コンテキスト0算術復号部214およびコンテキスト1算術復号部215およびバイパス算術復号部216から出力された2値信号のsao_offsetを多値化して、多値のsao_offsetを導出する。
【0100】
SAO処理部204は、後で詳述するが、加算部203から出力された復号ブロックに対し、復号ブロックを構成する各画素の画素値に、SAOオフセット値を加算するSAO処理(オフセット処理)を行う。
【0101】
復号ブロック結合部205は、SAO処理後の複数の復号ブロックを結合させて、復号画像を復元する。さらに、復号ブロック結合部205は、フレームメモリ206に復号画像を記憶する。
【0102】
フレームメモリ206は、RAMあるいはROM等の記憶装置で構成されている。
【0103】
予測部207は、インター予測またはイントラ予測により、予測ブロックを生成する。予測部207で用いられる予測方法は、予測部109と同じである。
【0104】
<2−2.動作(全体)>
次に、画像復号装置200の動作について、
図13を基に説明する。
図13は、画像復号装置200の処理手順を示すフローチャートである。
【0105】
画像復号装置200は、符号列が入力されると、SAOパラメータ復号部210によって、SAOパラメータを可変長復号する(S201)。
【0106】
画像復号装置200は、可変長復号部201によって、符号列を可変長復号して量子化係数を取得し、当該量子化係数を逆変換部202へ出力する(S202)。
【0107】
画像復号装置200は、逆変換部202によって、量子化係数に対する逆量子化処理を実行して周波数係数を取得し、取得した周波数係数に対する逆変換処理を実行して差分ブロックを生成する(S203)。
【0108】
画像復号装置200は、予測部207によって、フレームメモリ206に格納されている復号画像から予測ブロックを生成する。さらに、画像復号装置200は、加算部203によって、予測部207から出力された予測ブロックと、逆変換部202から出力された差分ブロックを加算して復号ブロックを生成する(S204)。
【0109】
画像復号装置200は、SAO処理部204によって、SAO処理を行う(S205)。SAO処理部204は、SAO処理において、SAOパラメータに従い、復号ブロックの各画素をカテゴリに分類し、カテゴリ毎に対応したオフセット値を加算する。SAOパラメータにはカテゴリを示すパラメータsao_type_idxとオフセット値を示すパラメータsao_offsetがある。
【0110】
画像復号装置200は、符号化画像に含まれる全ての復号ブロックの復号が完了するまで、ステップS201〜ステップS205を繰り返し実行する(S206)。
【0111】
画像復号装置200は、復号ブロック結合部205によって、復号された復号ブロックを結合することにより復号画像を生成すると共に、フレームメモリ206に当該復号画像を格納する(S207)。
【0112】
<2−2−1.動作(SAOパラメータ可変長復号化部の動作)>
本実施の形態のSAOパラメータ復号部210の動作について、
図14を基に説明する。
【0113】
図14は、SAOパラメータ復号部210の処理の一例を示すフローチャートであり、
図13のステップS205の詳細を示している。
【0114】
SAOパラメータ復号部210は、sao_type_idx復号部211において、sao_type_idxを復号する(S211)。
【0115】
SAOパラメータ復号部210は、sao_offset復号部212において、sao_offsetを復号する(S212)。
【0116】
<2−2−2.動作(sao_offset復号部212の動作)>
本実施の形態のsao_offset復号部212の動作について、
図15Aを基に説明する。
図15Aは、sao_offset復号部212の処理の一例を示すフローチャートである。
【0117】
sao_offset復号部212は、算術復号切替部213によって、復号対象のb
inのbinIdx値を判定する(S221、S223、S225)。
【0118】
算術復号切替部213は、binIdxが0である場合は(S221で「Yes」)、復号対象のbinをコンテキスト0算術復号部214に出力する。コンテキスト0算術復号部214は、コンテキスト0を用いてコンテキスト算術復号処理を行う(S222)。
【0119】
算術復号切替部213は、binIdxが1である場合は(S221で「No」、S223で「Yes」)、復号対象のbinをコンテキスト1算術復号部215に出力する。コンテキスト1算術復号部215は、コンテキスト1を用いてコンテキスト算術復号処理を行う(S224)。
【0120】
算術復号切替部213は、binIdxが0でも1でもない場合は(S221で「No」、S223で「No」)、復号対象のbinをバイパス算術復号部216に出力する。バイパス算術復号部216は、バイパス算術復号処理を行う。
【0121】
sao_offset復号部212は、算術復号したbinの値が0、もしくはbinIdxが6のbinを復号するまでステップS221〜ステップS226を繰り返し実行する(S226)。
【0122】
sao_offset復号部212は、sao_offset多値化部217によって、復号されたbinからなる2値信号を多値信号に変換する(S227)。なお、2値信号と多値信号との対応関係は、実施の形態1の
図7と同じである。
【0123】
<2−3.効果等>
以上、本実施の形態の画像復号装置200は、sao_offsetの後半のbinに対し、バイパス算術復号処理を行うため、処理を高速化することが可能となる。
【0124】
<2−3−1.変形例>
なお、上記実施の形態2では、binIdx2以降のbinをバイパス算術復号処理しているが、これに限るものではない。実施の形態1と同様に、binIdx1以降のbinをバイパス算術復号処理しても良いし(変形例1)、全てのbinをバイパス算術復号処理してもよい(変形例2)。
【0125】
実施の形態2の変形例1では、binIdx0のbinをコンテキスト算術復号処理し、binIdx1以降のbinをバイパス算術復号処理している。これは、
図8に示す実施の形態1の変形例1の符号化処理に対応する復号処理である。当該変形例1では、
図12に示すsao_offset復号部212は、binIdx1以降のbinをバイパス算術復号処理するため、算術復号切替部213、コンテキスト0算術復号部214、バイパス算術復号部216、および、sao_offset多値化部217を備えていればよい。言い換えると、実施の形態2の変形例1のsao_offset復号部212は、コンテキスト1算術復号部215を備えていなくてもよい。
【0126】
実施の形態2の変形例2では、全てのbinIdxのbinをバイパス算術復号処理している。これは、
図8に示す実施の形態1の変形例2の符号化処理に対応する復号処理である。
【0127】
図15Bは、実施の形態2の変形例2におけるsao_offset復号部212の処理(画像復号方法)の一例を示すフローチャートである。
図15Bでは、sao_offsetを構成する全てのbinについて、バイパス算術復号処理を行い(S225、S226、バイパス算術復号処理を行うステップ)、復号されたsao_offsetを多値
化する(S227、2値信号をオフセット値に変換するステップ)。なお、当該変形例2の場合は、全てのbinをバイパス算術復号処理するため、最も処理を高速化させることが可能である。
【0128】
また、当該変形例2では、
図12に示すsao_offset復号部212は、全てのbinをバイパス算術復号処理するため、バイパス算術復号部216、および、sao_offset多値化部217を備えていればよい。言い換えると、実施の形態2の変形例2のsao_offset復号部212は、算術復号切替部213、コンテキスト0算術復号部214、および、コンテキスト1算術復号部215を備えていなくてもよい。
【0129】
さらに、図示しないが、実施の形態1と同様に、binIdx0〜2ではコンテキスト算術符号を用い、binIdx3以降はバイパス算術符号を用いる構成としてもよいことは言うまでもない。
【0130】
(実施の形態1および実施の形態2の他の変形例)
(1)上記実施の形態1および実施の形態2(変形例を含む)では、SAOパラメータとして、SAOオフセット値の分類を示すsao_type_idxとSAOオフセット値を示すsao_offsetとを用いているが、これに限るものではない。他のSAOパラメータとしては、例えば、例えば、画素を分類分けする補助情報となるパラメータを追加してもよい。
【0131】
(2)また、上記実施の形態1(変形例を含む)では、予測対象ブロック毎にSAOパラメータを符号化しているが、これに限るものではない。符号化は、予測対象ブロック単位ではなく、予測対象ブロックよりも小さい単位でSAOパラメータを符号化してもよいし、逆に予測対象ブロックを複数連結した単位でSAOパラメータを符号化してもよい。また、予測対象ブロックではSAOパラメータを符号化せず、別のブロックの値をコピーして使う構成にしてもよい。
【0132】
この場合、実施の形態2(変形例を含む)の画像復号装置200は、画像符号化装置100におけるSAOパラメータの符号化のサイズに応じて、符号化されたSAOパラメータを復号する。
【0133】
(3)また、上記実施の形態1および実施の形態2(変形例を含む)では、sao_offsetは、0〜7の値としているが、これに限られるものではなく、8以上の値をとる構成としてもよい。また、sao_offsetは、負の値を取ってもよく、その場合は符号ビットを表すsao_offset_signを設けてもよい。
【0134】
(4)また、上記実施の形態1(変形例を含む)では、sao_offsetを符号化する場合について説明したが、これに限るものではない。符号列に付与する他のsyntaxに対する符号化において、上記実施の形態1(変形例を含む)のSAOパラメータの符号化方法を用いてもよい。さらに、複数のsyntaxに対する符号化に、上記実施の形態1およびその変形例1のSAOパラメータの符号化方法を適用し、且つ、コンテキストの用い方(コンテキストを利用するbinの数およびbinIdx)を統一すれば、複数のsyntaxに対する符号化で同じ可変長符号化部を利用可能になる。これにより、装置構成を簡素化することが可能になる。
【0135】
なお、上記実施の形態1およびその変形例1および変形例2のSAOパラメータの符号化方法を適用するsyntaxとしては、例えば、現在のHEVC規格(非特許文献1)においては、参照画像のインデックスを示すref_idx、動きベクトル等のコピー元を示すmerge_idx、画面内予測モードを示すmpm_idx、あるいは、int
ra_chroma_pred_mode等が考えられる。
【0136】
なお、この場合は、実施の形態2(変形例を含む)の画像復号装置200についても、SAOパラメータの符号化方法を適用したsyntaxに対し、SAOパラメータの復号方法を適用して復号する。
【0137】
(5)また、上記実施の形態1および実施の形態2(変形例を含む)では、予測対象ブロックのサイズは、最大32×32、最小4×4としたが、これに限るものではない。また、上記実施の形態1および実施の形態2(変形例を含む)では、予測対象ブロックのサイズが可変である場合について説明したが、予測対象ブロックのサイズは固定されていてもよい。
【0138】
(6)更に、上記実施の形態1および実施の形態2(変形例を含む)における処理は、ソフトウェアで実現してもよい。そして、このソフトウェアをダウンロード等により配布してもよい。また、このソフトウェアをCD−ROMなどの記録媒体に記録して流布してもよい。なお、このことは、本明細書における他の実施例においても該当する。
【0139】
(7)上記実施の形態1および実施の形態2(変形例を含む)において、機能ブロックの各々は、通常、MPUやメモリ等によって実現可能である。また、機能ブロックの各々による処理は、通常、ソフトウェア(プログラム)によって実現することができ、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。そして、このようなソフトウェアをダウンロード等により配布してもよいし、CD−ROMなどの記録媒体に記録して配布してもよい。なお、各機能ブロックをハードウェア(専用回路)によって実現することも、当然、可能である。
【0140】
(8)また、上記実施の形態1および実施の形態2(変形例を含む)において説明した処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよく、あるいは、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0141】
(9)上記実施の形態1および実施の形態2(変形例を含む)において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することにより、実現されても良い。
【0142】
言い換えると、画像符号化装置100および画像復号装置200は、制御回路(Control Circuit)と、当該制御回路に電気的に接続された(当該制御回路からアクセス可能な)記憶装置(Stage)とを備える。制御回路は、専用のハードウェアおよびプログラム実行部の少なくとも一方を含む。また、記憶装置は、制御回路がプログラム実行部を含む場合には、当該プログラム実行部により実行されるソフトウェアプログラムを記憶する。
【0143】
本発明は、上記実施の形態1および実施の形態2(変形例を含む)に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0144】
(実施の形態3)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)または動画像復号化方法(画像復号方法)の構成を実現するためのプログラムを記憶メディアに記録することにより、上記各実施の形態で示した処理を独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。記憶メディアは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、半導体メモリ等、プログラムを記録できるものであればよい。
【0145】
さらにここで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)や動画像復号化方法(画像復号方法)の応用例とそれを用いたシステムを説明する。当該システムは、画像符号化方法を用いた画像符号化装置、及び画像復号方法を用いた画像復号装置からなる画像符号化復号装置を有することを特徴とする。システムにおける他の構成について、場合に応じて適切に変更することができる。
【0146】
図16は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示す図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex106、ex107、ex108、ex109、ex110が設置されている。
【0147】
このコンテンツ供給システムex100は、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex106からex110を介して、コンピュータex111、PDA(Personal Digital Assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115などの各機器が接続される。
【0148】
しかし、コンテンツ供給システムex100は
図16のような構成に限定されず、いずれかの要素を組合せて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex106からex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。また、各機器が近距離無線等を介して直接相互に接続されていてもよい。
【0149】
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器であり、カメラex116はデジタルカメラ等の静止画撮影、動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話ex114は、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはLTE(Long Term Evolution)方式、HSPA(High Speed Packet Access)の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
【0150】
コンテンツ供給システムex100では、カメラex113等が基地局ex109、電話網ex104を通じてストリーミングサーバex103に接続されることで、ライブ配信等が可能になる。ライブ配信では、ユーザがカメラex113を用いて撮影するコンテンツ(例えば、音楽ライブの映像等)に対して上記各実施の形態で説明したように符号化処理を行い(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、ストリーミングサーバex103に送信する。一方、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して送信されたコンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115等がある。配信されたデータを受信した各機器では、受信したデータを復号化処理して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
【0151】
なお、撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。同様に配信されたデータの復号化処理はクライアントで行っても、ストリーミングサーバex
103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。また、カメラex113に限らず、カメラex116で撮影した静止画像および/または動画像データを、コンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信してもよい。この場合の符号化処理はカメラex116、コンピュータex111、ストリーミングサーバex103のいずれで行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。
【0152】
また、これら符号化・復号化処理は、一般的にコンピュータex111や各機器が有するLSIex500において処理する。LSIex500は、ワンチップであっても複数チップからなる構成であってもよい。なお、動画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な何らかの記録メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込み、そのソフトウェアを用いて符号化・復号化処理を行ってもよい。さらに、携帯電話ex114がカメラ付きである場合には、そのカメラで取得した動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex114が有するLSIex500で符号化処理されたデータである。
【0153】
また、ストリーミングサーバex103は複数のサーバや複数のコンピュータであって、データを分散して処理したり記録したり配信するものであってもよい。
【0154】
以上のようにして、コンテンツ供給システムex100では、符号化されたデータをクライアントが受信して再生することができる。このようにコンテンツ供給システムex100では、ユーザが送信した情報をリアルタイムでクライアントが受信して復号化し、再生することができ、特別な権利や設備を有さないユーザでも個人放送を実現できる。
【0155】
なお、コンテンツ供給システムex100の例に限らず、
図17に示すように、デジタル放送用システムex200にも、上記各実施の形態の少なくとも動画像符号化装置(画像符号化装置)または動画像復号化装置(画像復号装置)のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex201では映像データに音楽データなどが多重化された多重化データが電波を介して通信または衛星ex202に伝送される。この映像データは上記各実施の形態で説明した動画像符号化方法により符号化されたデータである(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置によって符号化されたデータである)。これを受けた放送衛星ex202は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送の受信が可能な家庭のアンテナex204が受信する。受信した多重化データを、テレビ(受信機)ex300またはセットトップボックス(STB)ex217等の装置が復号化して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
【0156】
また、DVD、BD等の記録メディアex215に記録した多重化データを読み取り復号化する、または記録メディアex215に映像信号を符号化し、さらに場合によっては音楽信号と多重化して書き込むリーダ/レコーダex218にも上記各実施の形態で示した動画像復号化装置または動画像符号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex219に表示され、多重化データが記録された記録メディアex215により他の装置やシステムにおいて映像信号を再生することができる。また、ケーブルテレビ用のケーブルex203または衛星/地上波放送のアンテナex204に接続されたセットトップボックスex217内に動画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex219で表示してもよい。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に動画像復号化装置を組み込んでもよい。
【0157】
図18は、上記各実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いたテレビ(受信機)ex300を示す図である。テレビex300は、上記放送を受信するアンテナex204またはケーブルex203等を介して映像データに音声データが多重化された多重化データを取得、または出力するチューナex301と、受信した多重化データを
復調する、または外部に送信する多重化データに変調する変調/復調部ex302と、復調した多重化データを映像データと、音声データとに分離する、または信号処理部ex306で符号化された映像データ、音声データを多重化する多重/分離部ex303を備える。
【0158】
また、テレビex300は、音声データ、映像データそれぞれを復号化する、またはそれぞれの情報を符号化する音声信号処理部ex304、映像信号処理部ex305(本発明の一態様に係る画像符号化装置または画像復号装置として機能する)を有する信号処理部ex306と、復号化した音声信号を出力するスピーカex307、復号化した映像信号を表示するディスプレイ等の表示部ex308を有する出力部ex309とを有する。さらに、テレビex300は、ユーザ操作の入力を受け付ける操作入力部ex312等を有するインタフェース部ex317を有する。さらに、テレビex300は、各部を統括的に制御する制御部ex310、各部に電力を供給する電源回路部ex311を有する。インタフェース部ex317は、操作入力部ex312以外に、リーダ/レコーダex218等の外部機器と接続されるブリッジex313、SDカード等の記録メディアex216を装着可能とするためのスロット部ex314、ハードディスク等の外部記録メディアと接続するためのドライバex315、電話網と接続するモデムex316等を有していてもよい。なお記録メディアex216は、格納する不揮発性/揮発性の半導体メモリ素子により電気的に情報の記録を可能としたものである。テレビex300の各部は同期バスを介して互いに接続されている。
【0159】
まず、テレビex300がアンテナex204等により外部から取得した多重化データを復号化し、再生する構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、CPU等を有する制御部ex310の制御に基づいて、変調/復調部ex302で復調した多重化データを多重/分離部ex303で分離する。さらにテレビex300は、分離した音声データを音声信号処理部ex304で復号化し、分離した映像データを映像信号処理部ex305で上記各実施の形態で説明した復号化方法を用いて復号化する。復号化した音声信号、映像信号は、それぞれ出力部ex309から外部に向けて出力される。出力する際には、音声信号と映像信号が同期して再生するよう、バッファex318、ex319等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。また、テレビex300は、放送等からではなく、磁気/光ディスク、SDカード等の記録メディアex215、ex216から多重化データを読み出してもよい。次に、テレビex300が音声信号や映像信号を符号化し、外部に送信または記録メディア等に書き込む構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、制御部ex310の制御に基づいて、音声信号処理部ex304で音声信号を符号化し、映像信号処理部ex305で映像信号を上記各実施の形態で説明した符号化方法を用いて符号化する。符号化した音声信号、映像信号は多重/分離部ex303で多重化され外部に出力される。多重化する際には、音声信号と映像信号が同期するように、バッファex320、ex321等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。なお、バッファex318、ex319、ex320、ex321は図示しているように複数備えていてもよいし、1つ以上のバッファを共有する構成であってもよい。さらに、図示している以外に、例えば変調/復調部ex302や多重/分離部ex303の間等でもシステムのオーバフロー、アンダーフローを避ける緩衝材としてバッファにデータを蓄積することとしてもよい。
【0160】
また、テレビex300は、放送等や記録メディア等から音声データ、映像データを取得する以外に、マイクやカメラのAV入力を受け付ける構成を備え、それらから取得したデータに対して符号化処理を行ってもよい。なお、ここではテレビex300は上記の符号化処理、多重化、および外部出力ができる構成として説明したが、これらの処理を行うことはできず、上記受信、復号化処理、外部出力のみが可能な構成であってもよい。
【0161】
また、リーダ/レコーダex218で記録メディアから多重化データを読み出す、または書き込む場合には、上記復号化処理または符号化処理はテレビex300、リーダ/レコー
ダex218のいずれで行ってもよいし、テレビex300とリーダ/レコーダex218が互いに分担して行ってもよい。
【0162】
一例として、光ディスクからデータの読み込みまたは書き込みをする場合の情報再生/記録部ex400の構成を
図19に示す。情報再生/記録部ex400は、以下に説明する要素ex401、ex402、ex403、ex404、ex405、ex406、ex407を備える。光ヘッドex401は、光ディスクである記録メディアex215の記録面にレーザスポットを照射して情報を書き込み、記録メディアex215の記録面からの反射光を検出して情報を読み込む。変調記録部ex402は、光ヘッドex401に内蔵された半導体レーザを電気的に駆動し記録データに応じてレーザ光の変調を行う。再生復調部ex403は、光ヘッドex401に内蔵されたフォトディテクタにより記録面からの反射光を電気的に検出した再生信号を増幅し、記録メディアex215に記録された信号成分を分離して復調し、必要な情報を再生する。バッファex404は、記録メディアex215に記録するための情報および記録メディアex215から再生した情報を一時的に保持する。ディスクモータex405は記録メディアex215を回転させる。サーボ制御部ex406は、ディスクモータex405の回転駆動を制御しながら光ヘッドex401を所定の情報トラックに移動させ、レーザスポットの追従処理を行う。システム制御部ex407は、情報再生/記録部ex400全体の制御を行う。上記の読み出しや書き込みの処理はシステム制御部ex407が、バッファex404に保持された各種情報を利用し、また必要に応じて新たな情報の生成・追加を行うと共に、変調記録部ex402、再生復調部ex403、サーボ制御部ex406を協調動作させながら、光ヘッドex401を通して、情報の記録再生を行うことにより実現される。システム制御部ex407は例えばマイクロプロセッサで構成され、読み出し書き込みのプログラムを実行することでそれらの処理を実行する。
【0163】
以上では、光ヘッドex401はレーザスポットを照射するとして説明したが、近接場光を用いてより高密度な記録を行う構成であってもよい。
【0164】
図20に光ディスクである記録メディアex215の模式図を示す。記録メディアex215の記録面には案内溝(グルーブ)がスパイラル状に形成され、情報トラックex230には、予めグルーブの形状の変化によってディスク上の絶対位置を示す番地情報が記録されている。この番地情報はデータを記録する単位である記録ブロックex231の位置を特定するための情報を含み、記録や再生を行う装置において情報トラックex230を再生し番地情報を読み取ることで記録ブロックを特定することができる。また、記録メディアex215は、データ記録領域ex233、内周領域ex232、外周領域ex234を含んでいる。ユーザデータを記録するために用いる領域がデータ記録領域ex233であり、データ記録領域ex233より内周または外周に配置されている内周領域ex232と外周領域ex234は、ユーザデータの記録以外の特定用途に用いられる。情報再生/記録部ex400は、このような記録メディアex215のデータ記録領域ex233に対して、符号化された音声データ、映像データまたはそれらのデータを多重化した多重化データの読み書きを行う。
【0165】
以上では、1層のDVD、BD等の光ディスクを例に挙げ説明したが、これらに限ったものではなく、多層構造であって表面以外にも記録可能な光ディスクであってもよい。また、ディスクの同じ場所にさまざまな異なる波長の色の光を用いて情報を記録したり、さまざまな角度から異なる情報の層を記録したりなど、多次元的な記録/再生を行う構造の光ディスクであってもよい。
【0166】
また、デジタル放送用システムex200において、アンテナex205を有する車ex210で衛星ex202等からデータを受信し、車ex210が有するカーナビゲーションex211等の表示装置に動画を再生することも可能である。なお、カーナビゲーションex211の構成は例えば
図18に示す構成のうち、GPS受信部を加えた構成が考えられ、同様な
ことがコンピュータex111や携帯電話ex114等でも考えられる。
【0167】
図21Aは、上記実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いた携帯電話ex114を示す図である。携帯電話ex114は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex350、映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex365、カメラ部ex365で撮像した映像、アンテナex350で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex358を備える。携帯電話ex114は、さらに、操作キー部ex366を有する本体部、音声を出力するためのスピーカ等である音声出力部ex357、音声を入力するためのマイク等である音声入力部ex356、撮影した映像、静止画、録音した音声、または受信した映像、静止画、メール等の符号化されたデータもしくは復号化されたデータを保存するメモリ部ex367、又は同様にデータを保存する記録メディアとのインタフェース部であるスロット部ex364を備える。
【0168】
さらに、携帯電話ex114の構成例について、
図21Bを用いて説明する。携帯電話ex114は、表示部ex358及び操作キー部ex366を備えた本体部の各部を統括的に制御する主制御部ex360に対して、電源回路部ex361、操作入力制御部ex362、映像信号処理部ex355、カメラインタフェース部ex363、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex359、変調/復調部ex352、多重/分離部ex353、音声信号処理部ex354、スロット部ex364、メモリ部ex367がバスex370を介して互いに接続されている。
【0169】
電源回路部ex361は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することにより携帯電話ex114を動作可能な状態に起動する。
【0170】
携帯電話ex114は、CPU、ROM、RAM等を有する主制御部ex360の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex356で収音した音声信号を音声信号処理部ex354でデジタル音声信号に変換し、これを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理し、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。また携帯電話ex114は、音声通話モード時にアンテナex350を介して受信した受信データを増幅して周波数変換処理およびアナログデジタル変換処理を施し、変調/復調部ex352でスペクトラム逆拡散処理し、音声信号処理部ex354でアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex357から出力する。
【0171】
さらにデータ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キー部ex366等の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex362を介して主制御部ex360に送出される。主制御部ex360は、テキストデータを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して基地局ex110へ送信する。電子メールを受信する場合は、受信したデータに対してこのほぼ逆の処理が行われ、表示部ex358に出力される。
【0172】
データ通信モード時に映像、静止画、または映像と音声を送信する場合、映像信号処理部ex355は、カメラ部ex365から供給された映像信号を上記各実施の形態で示した動画像符号化方法によって圧縮符号化し(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、符号化された映像データを多重/分離部ex353に送出する。また、音声信号処理部ex354は、映像、静止画等をカメラ部ex365で撮像中に音声入力部ex356で収音した音声信号を符号化し、符号化された音声データを多重/分離部ex353に送出する。
【0173】
多重/分離部ex353は、映像信号処理部ex355から供給された符号化された映像データと音声信号処理部ex354から供給された符号化された音声データを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変調/復調部(変調/復調回路部)ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。
【0174】
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、または映像およびもしくは音声が添付された電子メールを受信する場合、アンテナex350を介して受信された多重化データを復号化するために、多重/分離部ex353は、多重化データを分離することにより映像データのビットストリームと音声データのビットストリームとに分け、同期バスex370を介して符号化された映像データを映像信号処理部ex355に供給するとともに、符号化された音声データを音声信号処理部ex354に供給する。映像信号処理部ex355は、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法に対応した動画像復号化方法によって復号化することにより映像信号を復号し(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)、LCD制御部ex359を介して表示部ex358から、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる映像、静止画が表示される。また音声信号処理部ex354は、音声信号を復号し、音声出力部ex357から音声が出力される。
【0175】
また、上記携帯電話ex114等の端末は、テレビex300と同様に、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末という3通りの実装形式が考えられる。さらに、デジタル放送用システムex200において、映像データに音楽データなどが多重化された多重化データを受信、送信するとして説明したが、音声データ以外に映像に関連する文字データなどが多重化されたデータであってもよいし、多重化データではなく映像データ自体であってもよい。
【0176】
このように、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法あるいは動画像復号化方法を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記各実施の形態で説明した効果を得ることができる。
【0177】
また、本発明はかかる上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。
【0178】
(実施の形態4)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置と、MPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1など異なる規格に準拠した動画像符号化方法または装置とを、必要に応じて適宜切替えることにより、映像データを生成することも可能である。
【0179】
ここで、それぞれ異なる規格に準拠する複数の映像データを生成した場合、復号する際に、それぞれの規格に対応した復号方法を選択する必要がある。しかしながら、復号する映像データが、どの規格に準拠するものであるか識別できないため、適切な復号方法を選択することができないという課題を生じる。
【0180】
この課題を解決するために、映像データに音声データなどを多重化した多重化データは、映像データがどの規格に準拠するものであるかを示す識別情報を含む構成とする。上記各実施の形態で示す動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを含む多重化データの具体的な構成を以下説明する。多重化データは、MPEG−2トランスポートストリーム形式のデジタルストリームである。
【0181】
図22は、多重化データの構成を示す図である。
図22に示すように多重化データは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム(PG)、インタラクティブグラフィックスストリームのうち、1つ以上を多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の主映像および副映像を、オーディオストリーム(IG)は映画の主音声部分とその主音声とミキシングする副音声を、プレゼンテーショングラフィックスストリームは、映画の字幕をそれぞれ示している。ここで主映像とは画面に表示される通常の映像を示し、副映像とは主映像の中に小さな画面で表示する映像のことである。また、インタラクティブグラフィックスストリームは、画面上にGUI部品を配置することにより作成される対話画面を示している。ビデオストリームは、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠した動画像符号化方法または装置によって符号化されている。オーディオストリームは、ドルビーAC−3、Dolby Digital Plus、MLP、DTS、DTS−HD、または、リニアPCMのなどの方式で符号化されている。
【0182】
多重化データに含まれる各ストリームはPIDによって識別される。例えば、映画の映像に利用するビデオストリームには0x1011が、オーディオストリームには0x1100から0x111Fまでが、プレゼンテーショングラフィックスには0x1200から0x121Fまでが、インタラクティブグラフィックスストリームには0x1400から0x141Fまでが、映画の副映像に利用するビデオストリームには0x1B00から0x1B1Fまで、主音声とミキシングする副音声に利用するオーディオストリームには0x1A00から0x1A1Fが、それぞれ割り当てられている。
【0183】
図23は、多重化データがどのように多重化されるかを模式的に示す図である。まず、複数のビデオフレームからなるビデオストリームex235、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリームex238を、それぞれPESパケット列ex236およびex239に変換し、TSパケットex237およびex240に変換する。同じくプレゼンテーショングラフィックスストリームex241およびインタラクティブグラフィックスex244のデータをそれぞれPESパケット列ex242およびex245に変換し、さらにTSパケットex243およびex246に変換する。多重化データex247はこれらのTSパケットを1本のストリームに多重化することで構成される。
【0184】
図24は、PESパケット列に、ビデオストリームがどのように格納されるかをさらに詳しく示している。
図24における第1段目はビデオストリームのビデオフレーム列を示す。第2段目は、PESパケット列を示す。
図24の矢印yy1,yy2,yy3,yy4に示すように、ビデオストリームにおける複数のVideo Presentation UnitであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャは、ピクチャ毎に分割され、PESパケットのペイロードに格納される。各PESパケットはPESヘッダを持ち、PESヘッダには、ピクチャの表示時刻であるPTS(Presentation Time−Stamp)やピクチャの復号時刻であるDTS(Decoding Time−Stamp)が格納される。
【0185】
図25は、多重化データに最終的に書き込まれるTSパケットの形式を示している。TSパケットは、ストリームを識別するPIDなどの情報を持つ4ByteのTSヘッダとデータを格納する184ByteのTSペイロードから構成される188Byte固定長のパケットであり、上記PESパケットは分割されTSペイロードに格納される。BD−ROMの場合、TSパケットには、4ByteのTP_Extra_Headerが付与され、192Byteのソースパケットを構成し、多重化データに書き込まれる。TP_Extra_HeaderにはATS(Arrival_Time_Stamp)などの情報が記載される。ATSは当該TSパケットのデコーダのPIDフィルタへの転送開始
時刻を示す。多重化データには
図25下段に示すようにソースパケットが並ぶこととなり、多重化データの先頭からインクリメントする番号はSPN(ソースパケットナンバー)と呼ばれる。
【0186】
また、多重化データに含まれるTSパケットには、映像・音声・字幕などの各ストリーム以外にもPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、PCR(Program Clock Reference)などがある。PATは多重化データ中に利用されるPMTのPIDが何であるかを示し、PAT自身のPIDは0で登録される。PMTは、多重化データ中に含まれる映像・音声・字幕などの各ストリームのPIDと各PIDに対応するストリームの属性情報を持ち、また多重化データに関する各種ディスクリプタを持つ。ディスクリプタには多重化データのコピーを許可・不許可を指示するコピーコントロール情報などがある。PCRは、ATSの時間軸であるATC(Arrival Time Clock)とPTS・DTSの時間軸であるSTC(System Time Clock)の同期を取るために、そのPCRパケットがデコーダに転送されるATSに対応するSTC時間の情報を持つ。
【0187】
図26はPMTのデータ構造を詳しく説明する図である。PMTの先頭には、そのPMTに含まれるデータの長さなどを記したPMTヘッダが配置される。その後ろには、多重化データに関するディスクリプタが複数配置される。上記コピーコントロール情報などが、ディスクリプタとして記載される。ディスクリプタの後には、多重化データに含まれる各ストリームに関するストリーム情報が複数配置される。ストリーム情報は、ストリームの圧縮コーデックなどを識別するためストリームタイプ、ストリームのPID、ストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)が記載されたストリームディスクリプタから構成される。ストリームディスクリプタは多重化データに存在するストリームの数だけ存在する。
【0188】
記録媒体などに記録する場合には、上記多重化データは、多重化データ情報ファイルと共に記録される。
【0189】
多重化データ情報ファイルは、
図27に示すように多重化データの管理情報であり、多重化データと1対1に対応し、多重化データ情報、ストリーム属性情報とエントリマップから構成される。
【0190】
多重化データ情報は
図27に示すようにシステムレート、再生開始時刻、再生終了時刻から構成されている。システムレートは多重化データの、後述するシステムターゲットデコーダのPIDフィルタへの最大転送レートを示す。多重化データ中に含まれるATSの間隔はシステムレート以下になるように設定されている。再生開始時刻は多重化データの先頭のビデオフレームのPTSであり、再生終了時刻は多重化データの終端のビデオフレームのPTSに1フレーム分の再生間隔を足したものが設定される。
【0191】
ストリーム属性情報は
図28に示すように、多重化データに含まれる各ストリームについての属性情報が、PID毎に登録される。属性情報はビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム、インタラクティブグラフィックスストリーム毎に異なる情報を持つ。ビデオストリーム属性情報は、そのビデオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか、アスペクト比はどれだけであるか、フレームレートはどれだけであるかなどの情報を持つ。オーディオストリーム属性情報は、そのオーディオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、そのオーディオストリームに含まれるチャンネル数は何であるか、何の言語に対応するか、サンプリング周波数
がどれだけであるかなどの情報を持つ。これらの情報は、プレーヤが再生する前のデコーダの初期化などに利用される。
【0192】
本実施の形態においては、上記多重化データのうち、PMTに含まれるストリームタイプを利用する。また、記録媒体に多重化データが記録されている場合には、多重化データ情報に含まれる、ビデオストリーム属性情報を利用する。具体的には、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置において、PMTに含まれるストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に対し、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示す固有の情報を設定するステップまたは手段を設ける。この構成により、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成した映像データと、他の規格に準拠する映像データとを識別することが可能になる。
【0193】
また、本実施の形態における動画像復号化方法のステップを
図29に示す。ステップexS100において、多重化データからPMTに含まれるストリームタイプ、または、多重化データ情報に含まれるビデオストリーム属性情報を取得する。次に、ステップexS101において、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された多重化データであることを示しているか否かを判断する。そして、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものであると判断された場合には、ステップexS102において、上記各実施の形態で示した動画像復号方法により復号を行う。また、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠するものであることを示している場合には、ステップexS103において、従来の規格に準拠した動画像復号方法により復号を行う。
【0194】
このように、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に新たな固有値を設定することにより、復号する際に、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法または装置で復号可能であるかを判断することができる。従って、異なる規格に準拠する多重化データが入力された場合であっても、適切な復号化方法または装置を選択することができるため、エラーを生じることなく復号することが可能となる。また、本実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、または、動画像復号方法または装置を、上述したいずれの機器・システムに用いることも可能である。
【0195】
(実施の形態5)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法および装置、動画像復号化方法および装置は、典型的には集積回路であるLSIで実現される。一例として、
図30に1チップ化されたLSIex500の構成を示す。LSIex500は、以下に説明する要素ex501、ex502、ex503、ex504、ex505、ex506、ex507、ex508、ex509を備え、各要素はバスex510を介して接続している。電源回路部ex505は電源がオン状態の場合に各部に対して電力を供給することで動作可能な状態に起動する。
【0196】
例えば符号化処理を行う場合には、LSIex500は、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有する制御部ex501の制御に基づいて、AV I/Oex509によりマイクex117やカメラex113等からAV信号を入力する。入力されたAV信号は、一旦SDRAM等の外部のメモリex511に蓄積される。制御部ex501の制御に基づいて、蓄積したデータは処理量や処理速度に応じて適宜複数回に分けるなどされ信号処理部ex507に送られ、信号処理部ex507において音声信号の符号化および/または映像信号の符号化が行われる。ここで映像信号の符号化処理は上記各実施の形態で説明した符号化処理である。信号処理
部ex507ではさらに、場合により符号化された音声データと符号化された映像データを多重化するなどの処理を行い、ストリームI/Oex506から外部に出力する。この出力された多重化データは、基地局ex107に向けて送信されたり、または記録メディアex215に書き込まれたりする。なお、多重化する際には同期するよう、一旦バッファex508にデータを蓄積するとよい。
【0197】
なお、上記では、メモリex511がLSIex500の外部の構成として説明したが、LSIex500の内部に含まれる構成であってもよい。バッファex508も1つに限ったものではなく、複数のバッファを備えていてもよい。また、LSIex500は1チップ化されてもよいし、複数チップ化されてもよい。
【0198】
また、上記では、制御部ex501が、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有するとしているが、制御部ex501の構成は、この構成に限らない。例えば、信号処理部ex507がさらにCPUを備える構成であってもよい。信号処理部ex507の内部にもCPUを設けることにより、処理速度をより向上させることが可能になる。また、他の例として、CPUex502が信号処理部ex507、または信号処理部ex507の一部である例えば音声信号処理部を備える構成であってもよい。このような場合には、制御部ex501は、信号処理部ex507、またはその一部を有するCPUex502を備える構成となる。
【0199】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0200】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。このようなプログラマブル・ロジック・デバイスは、典型的には、ソフトウェア又はファームウェアを構成するプログラムを、ロードする又はメモリ等から読み込むことで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法、又は動画像復号化方法を実行することができる。
【0201】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【0202】
(実施の形態6)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを復号する場合、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データを復号する場合に比べ、処理量が増加することが考えられる。そのため、LSIex500において、従来の規格に準拠する映像データを復号する際のCPUex502の駆動周波数よりも高い駆動周波数に設定する必要がある。しかし、駆動周波数を高くすると、消費電力が高くなるという課題が生じる。
【0203】
この課題を解決するために、テレビex300、LSIex500などの動画像復号化装置は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別し、規格に応じて駆動周波数を切替える構成とする。
図31は、本実施の形態における構成ex800を示している。駆動周波数切替え部ex803は、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、駆動周波数を高く設定する。そして、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801に対し、映像データを復号するよう指示する。一方、映像データが、従来の規格に準拠する映像デー
タである場合には、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、駆動周波数を低く設定する。そして、従来の規格に準拠する復号処理部ex802に対し、映像データを復号するよう指示する。
【0204】
より具体的には、駆動周波数切替え部ex803は、
図30のCPUex502と駆動周波数制御部ex512から構成される。また、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801、および、従来の規格に準拠する復号処理部ex802は、
図30の信号処理部ex507に該当する。CPUex502は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別する。そして、CPUex502からの信号に基づいて、駆動周波数制御部ex512は、駆動周波数を設定する。また、CPUex502からの信号に基づいて、信号処理部ex507は、映像データの復号を行う。ここで、映像データの識別には、例えば、実施の形態4で記載した識別情報を利用することが考えられる。識別情報に関しては、実施の形態4で記載したものに限られず、映像データがどの規格に準拠するか識別できる情報であればよい。例えば、映像データがテレビに利用されるものであるか、ディスクに利用されるものであるかなどを識別する外部信号に基づいて、映像データがどの規格に準拠するものであるか識別可能である場合には、このような外部信号に基づいて識別してもよい。また、CPUex502における駆動周波数の選択は、例えば、
図33のような映像データの規格と、駆動周波数とを対応付けたルックアップテーブルに基づいて行うことが考えられる。ルックアップテーブルを、バッファex508や、LSIの内部メモリに格納しておき、CPUex502がこのルックアップテーブルを参照することにより、駆動周波数を選択することが可能である。
【0205】
図32は、本実施の形態の方法を実施するステップを示している。まず、ステップexS200では、信号処理部ex507において、多重化データから識別情報を取得する。次に、ステップexS201では、CPUex502において、識別情報に基づいて映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものであるか否かを識別する。映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、ステップexS202において、駆動周波数を高く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、高い駆動周波数に設定される。一方、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、ステップexS203において、駆動周波数を低く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、低い駆動周波数に設定される。
【0206】
さらに、駆動周波数の切替えに連動して、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を変更することにより、省電力効果をより高めることが可能である。例えば、駆動周波数を低く設定する場合には、これに伴い、駆動周波数を高く設定している場合に比べ、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することが考えられる。
【0207】
また、駆動周波数の設定方法は、復号する際の処理量が大きい場合に、駆動周波数を高く設定し、復号する際の処理量が小さい場合に、駆動周波数を低く設定すればよく、上述した設定方法に限らない。例えば、MPEG4−AVC規格に準拠する映像データを復号する処理量の方が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置により生成された映像データを復号する処理量よりも大きい場合には、駆動周波数の設定を上述した場合の逆にすることが考えられる。
【0208】
さらに、駆動周波数の設定方法は、駆動周波数を低くする構成に限らない。例えば、識
別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を高く設定し、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することも考えられる。また、他の例としては、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、CPUex502の駆動を停止させることなく、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、処理に余裕があるため、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合であっても、処理に余裕があれば、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。この場合は、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合に比べて、停止時間を短く設定することが考えられる。
【0209】
このように、映像データが準拠する規格に応じて、駆動周波数を切替えることにより、省電力化を図ることが可能になる。また、電池を用いてLSIex500またはLSIex500を含む装置を駆動している場合には、省電力化に伴い、電池の寿命を長くすることが可能である。
【0210】
(実施の形態7)
テレビや、携帯電話など、上述した機器・システムには、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力される場合がある。このように、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力された場合にも復号できるようにするために、LSIex500の信号処理部ex507が複数の規格に対応している必要がある。しかし、それぞれの規格に対応する信号処理部ex507を個別に用いると、LSIex500の回路規模が大きくなり、また、コストが増加するという課題が生じる。
【0211】
この課題を解決するために、上記各実施の形態で示した動画像復号方法を実行するための復号処理部と、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する復号処理部とを一部共有化する構成とする。この構成例を
図34Aのex900に示す。例えば、上記各実施の形態で示した動画像復号方法と、MPEG4−AVC規格に準拠する動画像復号方法とは、エントロピー符号化、逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償などの処理において処理内容が一部共通する。共通する処理内容については、MPEG4−AVC規格に対応する復号処理部ex902を共有し、MPEG4−AVC規格に対応しない、本発明の一態様に特有の他の処理内容については、専用の復号処理部ex901を用いるという構成が考えられる。復号処理部の共有化に関しては、共通する処理内容については、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行するための復号処理部を共有し、MPEG4−AVC規格に特有の処理内容については、専用の復号処理部を用いる構成であってもよい。
【0212】
また、処理を一部共有化する他の例を
図34Bのex1000に示す。この例では、本発明の一態様に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1001と、他の従来規格に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1002と、本発明の一態様に係る動画像復号方法と他の従来規格の動画像復号方法とに共通する処理内容に対応した共用の復号処理部ex1003とを用いる構成としている。ここで、専用の復号処理部ex1001、ex1002は、必ずしも本発明の一態様、または、他の従来規格に特有の処理内容に特化したものではなく、他の汎用処理を実行できるものであってもよい。また、本実施の形態の構成を、LSIex500で実装することも可能である。
【0213】
このように、本発明の一態様に係る動画像復号方法と、従来の規格の動画像復号方法とで共通する処理内容について、復号処理部を共有することにより、LSIの回路規模を小さくし、かつ、コストを低減することが可能である。