(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記第2の酸化物半導体層の前記低抵抗領域は、前記島状絶縁体層の両側にそれぞれ位置する第1領域および第2領域を含み、
前記第1領域は、前記ソース電極と電気的に接続され、
前記第2領域は、前記複数の画素領域のそれぞれに設けられた画素電極と電気的に接続されている、請求項1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
前記第2のTFTは、前記上部絶縁層上に配置され、前記上部絶縁層に形成されたドレイン側開口部内で前記第2領域と接するドレイン電極をさらに備え、前記第2領域は前記ドレイン電極を介して前記画素電極と電気的に接続されている、請求項9に記載のアクティブマトリクス基板。
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記第2の酸化物半導体層の前記低抵抗領域は、前記島状絶縁体層の両側にそれぞれ位置する第1領域および第2領域を含み、
前記第1領域は、前記ソース電極と電気的に接続され、
前記第2領域は、前記複数の画素領域のそれぞれの画素電極として機能する部分を含む、請求項1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に設けられた非表示領域とを有し、前記非表示領域に配置された、少なくとも1つの第1のTFTを含む周辺回路と、前記表示領域の前記複数の画素領域のそれぞれに配置された第2のTFTとを備える、アクティブマトリクス基板の製造方法であって、
基板の主面上に、前記第2のTFTのゲート電極と、複数のゲートバスラインとを含むゲートメタル層を形成する工程と、
前記ゲートメタル層を覆う下部絶縁層を形成する工程と、
前記下部絶縁層上に、前記第1のTFTの活性層となる第1の酸化物半導体層および前記第2のTFTの活性層となる第2の酸化物半導体層を形成する工程と、
前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層を覆う絶縁膜および導電膜をこの順で形成し、前記導電膜のパターニングを行い、さらに、前記パターニングされた導電膜をマスクとして用いるか、前記導電膜のパターニングで使用したマスクを用いて前記絶縁膜をパターニングすることにより、前記絶縁膜から前記第1の酸化物半導体層の一部上にゲート絶縁層と前記第2の酸化物半導体層の一部上に島状絶縁体層とを形成し、前記導電膜から前記ゲート絶縁層上に上部ゲート電極と前記島状絶縁体層上に島状導電体層とを形成する工程であって、前記島状導電体層は、前記第2のTFTの前記ゲート電極と電気的に分離されている、工程と、
前記上部ゲート電極および前記島状導電体層をマスクとして、前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層の低抵抗化処理を行う工程と、
前記上部ゲート電極、前記島状導電体層、前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層を覆う上部絶縁層を形成する工程と、
前記上部絶縁層上に、前記第1のTFTおよび前記第2のTFTのソース電極と、前記複数のゲートバスラインのそれぞれと前記下部絶縁層および前記上部絶縁層を介して交差するように延びる複数のソースバスラインとを含むソースメタル層を形成する工程と
を包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
TFT基板の製造プロセスの観点から、画素TFTと回路TFTとは、同一の酸化物半導体膜を用いて形成され、なおかつ、同じまたは類似のTFT構造を有することが好ましい。
【0008】
しかしながら、画素TFTと回路TFTとでは求められる特性が異なっており、製造プロセスを複雑にすることなく、それぞれの用途に応じた特性を有する酸化物半導体TFTを作り分けることは困難であった。
【0009】
さらに、本発明者が検討したところ、例えば、高い電流供給性能を求められる回路TFTとしてトップゲート構造のTFTを用いる場合に、画素TFTとしてもトップゲート構造のTFTを用いると、ゲートバスラインとソースバスラインとの交差部において容量Cgsが大きくなる場合がある(詳細は後述する)。このようなTFT基板を表示装置に用いると、各バスラインに供給される信号波形の鈍りが大きくなり、輝度ムラ、フリッカなどが生じて表示品位が低下するおそれがある。また、容量Cgsが大きくなると、消費電力が増大するおそれもある。これらの問題は、バスラインの本数の多い高精細の表示装置で特に顕著である。
【0010】
本発明の一実施形態は、画素内および周辺回路内にそれぞれの用途に適した特性を有する酸化物半導体TFTを備え、かつ、寄生容量の増大を抑制し得るアクティブマトリクス基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、以下の項目に記載のアクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板の製造方法、および表示装置を開示している。
【0012】
[項目1]
複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に設けられた非表示領域とを有するアクティブマトリクス基板であって、
主面を有する基板と、前記非表示領域において、前記基板の主面側に支持された、少なくとも1つの第1のTFTを含む周辺回路と、前記表示領域において、前記複数の画素領域のそれぞれに配置された第2のTFTと、第1方向に延びる複数のソースバスラインを含むソースメタル層と、前記第1方向に交差する第2方向に延びる複数のゲートバスラインを含むゲートメタル層とを備え、
前記第1のTFTは、第1の酸化物半導体層と、前記第1の酸化物半導体層の一部上にゲート絶縁層を介して配置された上部ゲート電極とを有するトップゲート構造TFTであるか、または、前記第1の酸化物半導体層の前記基板側に配置された第1の下部ゲート電極を前記トップゲート構造TFTに対してさらに有するダブルゲート構造TFTであり、
前記第2のTFTは、第2の酸化物半導体層と、前記第2の酸化物半導体層の前記基板側に下部絶縁層を介して配置された第2の下部ゲート電極とを有し、かつ、前記第2の酸化物半導体層の上にはゲート電極が設けられていない、ボトムゲート構造TFTであり、
前記第2のTFTは、
前記第2の酸化物半導体層の一部上に、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき前記第2の下部ゲート電極の少なくとも一部と重なるように配置された島状絶縁体層と、
前記第2の酸化物半導体層および前記島状絶縁体層の上に配置された上部絶縁層と、
前記上部絶縁層上に配置され、かつ、前記上部絶縁層に形成されたソース側開口部内で前記第2の酸化物半導体層の他の一部と接するソース電極と
を有し、
前記第2の酸化物半導体層は、前記第1のTFTの前記第1の酸化物半導体層と同じ半導体膜から形成され、前記島状絶縁体層は、前記第1のTFTの前記ゲート絶縁層と同じ絶縁膜から形成され、前記第2の下部ゲート電極は前記ゲートメタル層内、前記ソース電極は前記ソースメタル層内に形成されており、
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記第2の酸化物半導体層のうち前記島状絶縁体層と重なっていない部分は、前記島状絶縁体層と重なる部分よりも比抵抗の低い低抵抗領域であり、
前記複数のソースバスラインの1つと前記複数のゲートバスラインの1つとが交差する交差部において、前記1つのソースバスラインと前記1つのゲートバスラインとの間に前記下部絶縁層および前記上部絶縁層が位置している、アクティブマトリクス基板。
【0013】
[項目2]
前記島状絶縁体層と前記上部絶縁層との間に配置された島状導電体層をさらに備え、
前記島状導電体層は、前記第1のTFTの前記上部ゲート電極と同じ導電膜から形成されている、項目1に記載のアクティブマトリクス基板。
【0014】
[項目3]
前記島状導電体層は、他の配線と電気的に分離されている、項目2に記載のアクティブマトリクス基板。
【0015】
[項目4]
前記島状導電体層は、電気的にフローティングである、項目2に記載のアクティブマトリクス基板。
【0016】
[項目5]
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記島状導電体層は、前記第2のTFTのチャネル長方向において前記第2の下部ゲート電極の内側に位置する、項目2から4のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0017】
[項目6]
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記島状導電体層は前記第2の下部ゲート電極の内部に位置する、項目2から5のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0018】
[項目7]
前記島状導電体層の側面および前記島状絶縁体層の側面は整合し、前記上部ゲート電極の側面および前記ゲート絶縁層の側面は整合している、項目2から6のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0019】
[項目8]
前記島状絶縁体層の上面全体は前記上部絶縁層と直接接している、項目1に記載のアクティブマトリクス基板。
【0020】
[項目9]
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記第2の酸化物半導体層のうち前記島状絶縁体層と重なる部分は、前記第2の下部ゲート電極と重なるチャネル領域と、前記第2の下部ゲート電極と重ならない高抵抗領域とを含み、前記高抵抗領域は前記チャネル領域と前記低抵抗領域との間に位置する、項目8に記載のアクティブマトリクス基板。
【0021】
[項目10]
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記第2の酸化物半導体層の前記低抵抗領域は、前記島状絶縁体層の両側にそれぞれ位置する第1領域および第2領域を含み、
前記第1領域は、前記ソース電極と電気的に接続され、
前記第2領域は、前記複数の画素領域のそれぞれに設けられた画素電極と電気的に接続されている、項目1から9のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0022】
[項目11]
前記第2のTFTは、前記上部絶縁層上に配置され、前記上部絶縁層に形成されたドレイン側開口部内で前記第2領域と接するドレイン電極をさらに備え、前記第2領域は前記ドレイン電極を介して前記画素電極と電気的に接続されている、項目10に記載のアクティブマトリクス基板。
【0023】
[項目12]
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記第2の酸化物半導体層の前記低抵抗領域は、前記島状絶縁体層の両側にそれぞれ位置する第1領域および第2領域を含み、
前記第1領域は、前記ソース電極と電気的に接続され、
前記第2領域は、前記複数の画素領域のそれぞれの画素電極として機能する部分を含む、項目1から9のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0024】
[項目13]
前記ソース電極は、前記複数のソースバスラインの1つに電気的に接続され、
前記第2の下部ゲート電極は、前記複数のゲートバスラインの1つに電気的に接続されている、項目1から12のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0025】
[項目14]
前記交差部において、前記下部絶縁層と前記上部絶縁層との間に配置された他の島状絶縁体層をさらに備える、項目1から13のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0026】
[項目15]
前記交差部において、前記他の島状絶縁体層と前記上部絶縁層との間に配置された他の島状導電体層とをさらに備え、
前記他の島状導電体層は、前記第1のTFTの前記上部ゲート電極と同じ導電膜から形成されている、項目14に記載のアクティブマトリクス基板。
【0027】
[項目16]
前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層は、In−Ga−Zn−O系半導体を含む、項目1から15のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0028】
[項目17]
複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に設けられた非表示領域とを有し、前記非表示領域に配置された、少なくとも1つの第1のTFTを含む周辺回路と、前記表示領域の前記複数の画素領域のそれぞれに配置された第2のTFTとを備える、アクティブマトリクス基板の製造方法であって、
基板の主面上に、前記第2のTFTのゲート電極と、複数のゲートバスラインとを含むゲートメタル層を形成する工程と、
前記ゲートメタル層を覆う下部絶縁層を形成する工程と、
前記下部絶縁層上に、前記第1のTFTの活性層となる第1の酸化物半導体層および前記第2のTFTの活性層となる第2の酸化物半導体層を形成する工程と、
前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層を覆う絶縁膜および導電膜をこの順で形成し、前記導電膜のパターニングを行い、さらに、前記パターニングされた導電膜をマスクとして用いるか、前記導電膜のパターニングで使用したマスクを用いて前記絶縁膜をパターニングすることにより、前記絶縁膜から前記第1の酸化物半導体層の一部上にゲート絶縁層と前記第2の酸化物半導体層の一部上に島状絶縁体層とを形成し、前記導電膜から前記ゲート絶縁層上に上部ゲート電極と前記島状絶縁体層上に島状導電体層とを形成する工程であって、前記島状導電体層は、前記第2のTFTの前記ゲート電極と電気的に分離されている、工程と、
前記上部ゲート電極および前記島状導電体層をマスクとして、前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層の低抵抗化処理を行う工程と、
前記上部ゲート電極、前記島状導電体層、前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層を覆う上部絶縁層を形成する工程と、
前記上部絶縁層上に、前記第1のTFTおよび前記第2のTFTのソース電極と、前記複数のゲートバスラインのそれぞれと前記下部絶縁層および前記上部絶縁層を介して交差するように延びる複数のソースバスラインとを含むソースメタル層を形成する工程と
を包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【0029】
[項目18]
前記島状導電体層は、電気的にフローティングである、項目17に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【0030】
[項目19]
複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に設けられた非表示領域とを有し、前記非表示領域に配置された、少なくとも1つの第1のTFTを含む周辺回路と、前記表示領域の前記複数の画素領域のそれぞれに配置された第2のTFTとを備える、アクティブマトリクス基板の製造方法であって、
基板の主面上に、前記第2のTFTのゲート電極と、複数のゲートバスラインとを含むゲートメタル層を形成する工程と、
前記ゲートメタル層を覆う下部絶縁層を形成する工程と、
前記下部絶縁層上に、前記第1のTFTの活性層となる第1の酸化物半導体層および前記第2のTFTの活性層となる第2の酸化物半導体層を形成する工程と、
前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層を覆う絶縁膜を形成し、前記絶縁膜のパターニングを行うことにより、前記第1の酸化物半導体層の一部上にゲート絶縁層と前記第2の酸化物半導体層の一部上に島状絶縁体層とを形成する工程と、
前記ゲート絶縁層および前記島状絶縁体層をマスクとして、前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層の低抵抗化処理を行う工程と、
前記低抵抗化処理を行った後の前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層を覆うように導電膜を形成し、前記導電膜のパターニングを行うことにより、前記ゲート絶縁層上に上部ゲート電極を形成し、かつ、前記導電膜のうち前記島状絶縁体層および前記第2の酸化物半導体層上に位置する部分を除去する工程と、
前記上部ゲート電極、前記島状絶縁体層、前記第1の酸化物半導体層および前記第2の酸化物半導体層を覆う上部絶縁層を形成する工程と、
前記上部絶縁層上に、前記第1のTFTおよび前記第2のTFTのソース電極と、前記複数のゲートバスラインのそれぞれと前記下部絶縁層および前記上部絶縁層を介して交差するように延びる複数のソースバスラインとを含むソースメタル層を形成する工程と
を包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【0031】
[項目20]
項目1から16のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板を備える表示装置。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施形態によると、画素内および周辺回路内にそれぞれの用途に適した特性を有する酸化物半導体TFTを備え、かつ、寄生容量の増大を抑制し得るアクティブマトリクス基板が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
アクティブマトリクス基板において、周辺回路を構成する回路TFTは、画素TFTよりも大きな容量(バスライン容量)を充電するために用いられる。また、回路面積を低減して、非表示領域の面積を小さくする(狭額縁化)ためには、回路TFTのサイズを小さく抑えることが好ましい。このため、回路TFTには、高い電流供給能力が求められる。
【0035】
そこで、本発明者は、回路TFTとして、トップゲート構造TFT(またはダブルゲート構成TFT)を用いる構成を検討した。なお、本明細書では、活性層である酸化物半導体層の基板側および基板と反対側にそれぞれゲート電極が配置された構造を「ダブルゲート構造」、酸化物半導体層の基板側のみにゲート電極が配置された構造を「ボトムゲート構造」、酸化物半導体層の基板と反対側のみにゲート電極が配置された構造を「トップゲート構造」と呼ぶ。
【0036】
トップゲート構造TFTは、以下の理由から、ボトムゲート構造TFTよりも、高い電流供給能力(高いオン電流)を実現し得る。ボトムゲート構造TFTでは、通常、ゲート絶縁層は厚いゲートメタル層を覆うように形成され、さらにゲートバスラインとソースバスラインとの短絡を回避する役割も担うので、所定の厚さを有する必要がある。これに対し、トップゲート構造TFTでは、ゲート絶縁層は活性層(酸化物半導体層)を覆っていればよい。このため、ゲート絶縁層を薄くできるので、オン電流を高めることが可能である。また、トップゲート構造TFTの酸化物半導体層の基板側にさらにゲート電極(下部ゲート電極)が設けることで(ダブルゲート構造TFT)、電流供給能力をさらに向上でき、オフ状態の特性も安定化できる。
【0037】
上述したように、製造プロセスの観点から、画素TFTと回路TFTとは同じTFT構造を有することが好ましい。しかしながら、画素TFTとしてトップゲート構造TFTを用いると、ソースバスラインとゲートバスラインとの間の容量Cgsが大きくなるという問題がある。
図17を参照して後で詳述するように、画素TFT(トップゲート構造TFT)のゲート電極とゲートバスラインとを同じ導電層(ゲートメタル層)内に形成し、ソース電極をソースバスラインと同じ導電層(ソースメタル層)内に形成すると、ゲートバスラインとソースバスラインとの間に介在する絶縁層が薄くなってしまうからである。
【0038】
また、画素TFTとして、回路TFTと同じ構造を有するTFTを形成すると、画素TFTに求められる特性が得られない可能性がある。画素電極を充電させるための画素TFTには、画素容量が小さいことから、通常、回路TFTほどの高い充電性能は求められない。ただし、ゲートOFF期間において画素電位を保持する必要があるため、高いオフ特性、すなわちオフ電流(ゲートlow電位が選択されたときの電流)が小さいことが求められる。
【0039】
このように、従来は、製造プロセスを複雑化させたり、または寄生容量を増大させたりすることなく、同一の酸化物半導体膜を用いて、それぞれが用途に応じて要求される特性を有し得る画素TFTおよび回路TFTを形成することが困難であった。
【0040】
本発明者は、上記知見に基づいて検討を重ねた結果、回路TFTにトップゲート構造またはダブルゲート構造TFTを用い、画素TFTにボトムゲート構造TFTを用いることによって、回路TFTおよび画素TFTのそれぞれに対して求められる特性を両立するとともに、ソースバスラインとゲートバスラインとの間の容量を低減し得るアクティブマトリクス基板の構成を見出し、本願発明に想到した。
【0041】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、第1の実施形態のアクティブマトリクス基板を説明する。以下では、ゲートドライバおよびソース切替(Source Shared driving:SSD)回路がモノリシックに形成されたアクティブマトリクス基板を例に説明する。なお、本実施形態のアクティブマトリクス基板は、モノリシックに形成された、少なくとも1つの回路TFTを含む周辺回路を有していればよい。
【0042】
図1は、本実施形態のアクティブマトリクス基板1001の平面構造の一例を示す概略図である。
【0043】
アクティブマトリクス基板1001は、表示領域DRと、表示領域DR以外の領域(非表示領域または額縁領域)FRとを有している。表示領域DRは、マトリクス状に配列された画素領域PIXによって構成されている。画素領域PIX(単に「画素」と呼ぶこともある)は、表示装置の画素に対応する領域である。非表示領域FRは、表示領域DRの周辺に位置し、表示に寄与しない領域である。
【0044】
表示領域DRには、x方向(行方向、第2方向ともいう)に延びる複数のゲートバスラインGL(1)〜GL(j)(jは2以上の整数、以下、「ゲートバスラインGL」と総称する)と、y方向(列方向、第1方向ともいう)に延びる複数のソースバスラインSL(1)〜SL(k)(kは2以上の整数、以下、「ソースバスラインSL」と総称する)とが形成されている。各画素領域PIXは、例えばゲートバスラインGLおよびソースバスラインSLで規定されている。
【0045】
各画素領域PIXは、薄膜トランジスタ(画素TFT)201と、画素電極PEとを有している。薄膜トランジスタ201は上部ゲート電極および下部ゲート電極(図示せず)を備える。これらのゲート電極は、対応するゲートバスラインGLに電気的に接続されている。薄膜トランジスタ201のソース電極は、対応するソースバスラインSLに電気的に接続され、ドレイン電極は画素電極PEに電気的に接続されている。アクティブマトリクス基板を、FFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界モードの表示装置に適用する場合には、アクティブマトリクス基板に、複数の画素に対して共通の電極(共通電極)CEが設けられる。アクティブマトリクス基板を縦電界モードの表示装置に適用する場合には、共通電極CEは、アクティブマトリクス基板とは液晶層を挟んで対向して配置される対向基板に設けられる。
【0046】
非表示領域FRには、例えばゲートバスラインGLを駆動するゲートドライバGDが一体的(モノリシック)に設けられている。ゲートバスラインGLは、それぞれ、ゲートドライバGDの各端子に接続されている。非表示領域FRには、また、ソースバスラインSLを時分割で駆動するSSD回路Scが一体的に設けられている。ソースバスラインSLは、それぞれ、SSD回路Scの各端子に接続されている。
【0047】
この例では、アクティブマトリクス基板1001に、ソースドライバおよびタイミングコントローラ等を含むドライバIC1100が実装されている。ゲートドライバGDおよびSSD回路Scには、それぞれ、ドライバIC1100から信号が供給される。
【0048】
SSD回路は、ソースドライバの各端子からのビデオ信号線1本から、複数本のソースバスラインへビデオデータを振り分ける回路である。SSD回路の搭載により、非表示領域FRにおける端子部が配置される領域(端子部形成領域)をさらに狭くできる。また、ソースドライバからの出力数が減り、回路規模を小さくできるので、ドライバIC1100のコストを低減できる。
【0049】
このように、アクティブマトリクス基板1001の非表示領域FRには、ゲートドライバGDおよびSSD回路Scなどの、複数のTFT(回路TFT)を含む周辺回路が形成されている。複数の回路TFTの一部または全部は、トップゲート構造またはダブルゲート構造を有する酸化物半導体TFT(以下、「第1のTFT」と呼ぶ。)である。一方、表示領域DRの各画素領域PIXには、画素TFTが配置されている。画素TFTは、第1のTFTと同じ酸化物半導体膜を用いて形成された、ボトムゲート構造の酸化物半導体TFT(以下、「第2のTFT」と呼ぶ。)である。
【0050】
以下、FFSモードの液晶表示装置に適用されるアクティブマトリクス基板を例に、周辺回路および画素領域PIXの構造を具体的に説明する。なお、以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。
【0051】
<周辺回路および第1のTFT>
第1のTFTを含む周辺回路は、アクティブマトリクス基板1001にモノリシックに形成された回路であればよく、ゲートドライバGDまたはSSD回路Scであってもよいし、他の回路であってもよい。周辺回路として、公知の回路を用いることができる。
【0052】
図2は、周辺回路を構成する第1のTFT101の模式的な断面図である。
【0053】
第1のTFT101を含む周辺回路は、基板1の主面1Sに支持されている。第1のTFT101は、チャネル領域70Aを含む第1の酸化物半導体層7Aと、第1の酸化物半導体層7Aの一部上にゲート絶縁層9Aを介して配置された上部ゲート電極10Aと、第1のソース電極8Asおよび第1のドレイン電極8Adとを備える。
【0054】
第1の酸化物半導体層7Aの基板1側に、下部絶縁層5を介して配置された下部導電層3Aをさらに備えてもよい。下部導電層3Aは、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、チャネル領域70Aと少なくとも部分的に重なるように配置されており、バックライト側からチャネル領域70Aに向かう光を遮る遮光膜として機能し得る。
【0055】
第1のTFT101はダブルゲート構造TFTであってもよい。この場合、下部導電層3Aは、遮光膜の他に、ゲート電極(第1の下部ゲート電極)として機能し、第1の酸化物半導体層7Aを挟んで配置された上部ゲート電極10Aおよび下部導電層(第1の下部ゲート電極)3Aの両方にゲート信号が入力される。図示していないが、下部導電層3Aと上部ゲート電極10Aとを電気的に接続するコンタクト部が設けられていてもよい。
【0056】
あるいは、第1のTFT101はトップゲート構造TFTであってもよい。この場合、上部ゲート電極10Aにゲート信号が入力されるが、下部導電層3Aにはゲート信号は入力されない。つまり、下部導電層3Aはゲート電極として機能しない。下部導電層3Aは、電気的にフローティングされたフローティング層でもよいし、固定電位に接続されていてもよい。
【0057】
なお、アクティブマトリクス基板1001は、複数の第1のTFT101を有していてもよい。複数の第1のTFT101のうち、一部がトップゲート構造TFTであり、他の一部がダブルゲート構造TFTであってもよい。
【0058】
上部ゲート電極10Aおよびゲート絶縁層9Aの側面は整合していてもよい。つまり、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、上部ゲート電極10Aおよびゲート絶縁層9Aの周縁は整合していてもよい。このような構成は、例えば、上部ゲート電極10Aおよびゲート絶縁層9Aを同一のマスクを用いてパターニングすることで得られる。
【0059】
ゲート絶縁層9Aおよび上部ゲート電極10Aは、例えば、第1の酸化物半導体層7Aの一部をチャネル幅方向に横切るように延びていてもよい。この場合、ゲート絶縁層9Aの下面は、第1の酸化物半導体層7Aaおよび下部絶縁層5と直接接していてもよい。
【0060】
基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、第1の酸化物半導体層7Aのうちゲート絶縁層9Aと重ならない部分(この例では、上部ゲート電極10Aおよびゲート絶縁層9Aと重ならない部分)7bは、ゲート絶縁層9A(および上部ゲート電極10A)と重なる部分7aよりも比抵抗の小さい低抵抗領域である。低抵抗領域7bは、例えば、上部ゲート電極10Aおよびゲート絶縁層9Aをマスクとして第1の酸化物半導体層7Aの低抵抗化処理を行うことで形成され得る。上部ゲート電極10Aおよびゲート絶縁層9Aでマスクされ、低抵抗化されなかった部分7aを「第1半導体領域」と呼ぶ。第1のTFT101では、第1半導体領域7aは、第1のTFT101のチャネルが形成されるチャネル領域70Aとなる。低抵抗領域7bは、チャネル領域70Aの両側にそれぞれ位置する第1領域71Aおよび第2領域72Aを含む。
【0061】
第1の酸化物半導体層7A、ゲート絶縁層9Aおよび上部ゲート電極10Aの上には、上部絶縁層11が配置されている。第1のソース電極8Asは、上部絶縁層11上および上部絶縁層11に形成された開口部(第1のソース側開口部)11As内に配置され、ソース側開口部11As内で第1の酸化物半導体層7Aの一部(この例では第1領域71Aの一部)と電気的に接続されている。同様に、第1のドレイン電極8Adは、上部絶縁層11上および上部絶縁層11に形成された開口部(第1のドレイン側開口部)11Ad内に配置され、ドレイン側開口部11Ad内で第1の酸化物半導体層7Aの他の一部(この例では第2領域72Aの一部)と電気的に接続されている。第1のソース電極8As、第1のドレイン電極8Adは、それぞれ、第1の酸化物半導体層7Aと直接接していてもよい。
【0062】
第1のTFT101は、層間絶縁層16で覆われていてもよい。層間絶縁層16は、例えば、無機絶縁層12と、無機絶縁層12上に配置された有機絶縁層13との積層構造を有していてもよい。層間絶縁層16上には、誘電体層17が配置されていてもよい。図示していないが、誘電体層17上または誘電体層17と層間絶縁層16との間に、シールド層として透明導電層が設けられていてもよい。シールド層として機能する透明導電層は、画素電極または共通電極と同じ透明導電膜から形成されていてもよい。
【0063】
<画素領域PIXおよび第2のTFT>
図3は、本実施形態のアクティブマトリクス基板1001の画素領域PIXを例示する平面図である。
図4Aおよび
図4Bは、それぞれ、
図3に示すIVa−IVa’線、IVb−IVb’線に沿った模式的な断面図である。
【0064】
画素領域PIXは、y方向に延びるソースバスラインSL、および、ソースバスラインSLと交差するx方向に延びるゲートバスラインGLに包囲された領域である。
【0065】
画素領域PIXは、基板1と、基板1の主面1Sに支持された第2のTFT(画素TFT)201と、下部透明電極15と、上部透明電極19とを有している。上部透明電極19は、画素ごとにスリットまたは切り欠き部を有する。この例では、下部透明電極15は共通電極CEであり、上部透明電極19は画素電極PEである。
【0066】
第2のTFT201は、ボトムゲート構造を有する酸化物半導体TFTである。第2のTFT201は、第2の酸化物半導体層7Bと、第2の酸化物半導体層7Bの基板1側に下部絶縁層5を介して配置された下部ゲート電極(「第2の下部ゲート電極」ともいう。)3Bと、第2のソース電極8Bsおよび第2のドレイン電極8Bdとを有している。下部ゲート電極3Bは、対応するゲートバスラインGLに電気的に接続され、ソース電極8Bsは対応するソースバスラインSLに電気的に接続されている。ドレイン電極8Bdは画素電極PEと電気的に接続されている。
【0067】
第2の酸化物半導体層7Bの一部上には、島状絶縁体層(第1の島状絶縁体層ともいう。)9Bを介して、島状導電体層(第1の島状導電体層ともいう。)10Bが配置されている。島状絶縁体層9Bおよび島状導電体層10Bは、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、下部ゲート電極3Bと少なくとも部分的に重なるように配置されている。島状導電体層10Bは、電気的にフローティングである(すなわち、いずれの配線にも電気的に接続されていない)フローティング層である。
【0068】
第2のTFT201は、
図2に示す第1のTFT101と共通の層(膜)を用いて形成されていてもよい。具体的には、第2の酸化物半導体層7Bと、第1のTFT101の第1の酸化物半導体層7A(
図2)とは、同じ酸化物半導体膜を用いて形成されている。複数のソースバスラインSLと、第2のソース電極8Bsおよび第2のドレイン電極8Bdと、第1のTFT101における第1のソース電極8Asおよび第1のドレイン電極8Ad(
図2)とは、同じ導電膜を用いて(すなわちソースメタル層内に)形成されている。ゲートバスラインGLと、下部ゲート電極3Bと、第1のTFT101における下部導電層3A(
図2)とは、同じ導電膜から(すなわちゲートメタル層内に)形成されている。さらに、島状絶縁体層9Bと、第1のTFT101におけるゲート絶縁層9A(
図2)とは、同じ絶縁膜から形成され、島状導電体層10Bと、第1のTFT101における上部ゲート電極10A(
図2)とは同じ導電膜から形成されている。上部ゲート電極10Aと同じ導電膜から形成された層を「上部メタル層」と呼ぶ。
【0069】
島状導電体層10Bおよび島状絶縁体層9Bの側面は整合していてもよい。このような構成は、例えば、島状導電体層10Bおよび島状絶縁体層9Bを同一のマスクを用いてパターニングすることで得られる。
【0070】
島状絶縁体層9Bおよび島状導電体層10Bは、例えば、第2の酸化物半導体層7Bの一部をチャネル幅方向に横切るように延びていてもよい。この場合、島状絶縁体層9Bの下面は、第2の酸化物半導体層7Bおよび下部絶縁層5と直接接していてもよい。
【0071】
第2のTFT201でも、第1のTFT101と同様に、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、第2の酸化物半導体層7Bのうち島状絶縁体層9B(および島状導電体層10B)と重ならない部分7bは、島状絶縁体層9B(および島状導電体層10B)と重なる部分(第1半導体領域)7aよりも比抵抗の小さい低抵抗領域である。低抵抗領域7bは、第1半導体領域7aの両側にそれぞれ位置する第1領域71Bおよび第2領域72Bを含む。第1半導体領域7aのうち、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、下部ゲート電極3Bと重なる部分70Bは、TFT201のチャネルが形成される「チャネル領域」となる。この例では、第1半導体領域7a全体がチャネル領域70Bである。なお、後述するように、第1半導体領域7aは、チャネル領域70Bに加えて、下部ゲート電極3Bと重ならない第3領域(オフセット領域)を含んでもよい。
【0072】
第2の酸化物半導体層7B、島状絶縁体層9Bおよび島状導電体層10Bの上には、上部絶縁層11が配置されている。第2のソース電極8Bsは、上部絶縁層11上および上部絶縁層11に形成された開口部(第2のソース側開口部)11Bs内に配置され、ソース側開口部11Bs内で第2の酸化物半導体層7Bの一部(この例では第1領域71Bの一部)と電気的に接続されている。同様に、第2のドレイン電極8Bdは、上部絶縁層11上および上部絶縁層11に形成された開口部(第2のドレイン側開口部)11Bd内に配置され、ドレイン側開口部11Bd内で第2の酸化物半導体層7Bの他の一部(この例では第2領域72Bの一部)と電気的に接続されている。第2のソース電極8Bs、第2のドレイン電極8Bdは、それぞれ、第2の酸化物半導体層7Bと直接接していてもよい。
【0073】
第2のTFT201の第2のソース電極8Bsは、対応するソースバスラインSLの一部であってもよいし、ソースバスラインSLから例えばx方向に突出する突出部であってもよい。下部ゲート電極3Bは、対応するゲートバスラインGLの一部であってもよいし、ゲートバスラインGLから例えばy方向に突出する突出部であってもよい。
【0074】
図3に示すように、各ソースバスラインSLは、表示領域DRにおいて、複数のゲートバスラインGLのそれぞれと交差するように延びている。1つのソースバスラインと1つのゲートバスラインとが交差する部分Rを「交差部」と呼ぶ。
図4Bに示すように、交差部Rでは、ソースバスラインSLは、下部絶縁層5および上部絶縁層11を介してゲートバスラインGLと重なっている。このように、ソースバスラインSLとゲートバスラインGLとの間に、少なくとも2つの絶縁層5、11が位置するので、ゲートバスラインGLとソースバスラインSLとの重なり容量を低減できる。
【0075】
第1のTFT101と同様に、TFT201は、層間絶縁層16で覆われていてもよい。層間絶縁層16上には下部透明電極15が配置されている。下部透明電極15上には、誘電体層17を介して上部透明電極19が配置されている。下部透明電極15および上部透明電極19の一方(ここでは上部透明電極19)は画素電極PE、他方(ここでは下部透明電極15)は共通電極CEとして機能する。画素電極PEは、画素毎に分離されている。共通電極CEは、画素毎に分離されていなくても構わない。
【0076】
画素電極PEは、TFT201のドレイン電極8Bdと電気的に接続されている。この例では、画素電極PEは、層間絶縁層16および誘電体層17に形成された画素コンタクトホール内で第2のドレイン電極8Bdと接している。画素コンタクトホールは、例えば、有機絶縁層13に形成された開口部13pと、誘電体層17および無機絶縁層12に形成された開口部17pとによって構成されていてもよい。画素コンタクトホールはドレイン側開口部11Bdと部分的または全体的に重なっていてもよい。
【0077】
共通電極CEは、TFT201の画素コンタクトホールが形成されている領域上に開口部15pを有し、この領域を除く画素領域PIX全体に亘って形成されていてもよい。
【0078】
図3に示すように、アクティブマトリクス基板1001では、TFT201は、チャネル長方向がy方向(ソースバスラインSLの延びる方向)となるように配置されていてもよい(TFT縦置き構造)。なお、後述するように、TFT201は、チャネル長方向がx方向となるように配置されてもよい(TFT横置き構造)。本明細書では、チャネル長方向は、基板1の主面1Sに平行な面内において、チャネル領域を電流が流れる方向を指し、チャネル幅方向は、チャネル長方向に直交する方向を指す。
【0079】
図3に示す例では、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、第2のTFT201の第2の酸化物半導体層7Bは、y方向に隣接する他の画素領域PIX(2)から、ゲートバスラインGLを横切って当該画素領域PIX(1)まで延びている。第2の酸化物半導体層7BのうちゲートバスラインGLと重なる部分にチャネル領域70Bが形成されている。つまり、ゲートバスラインGLのうち第2の酸化物半導体層7Bと重なる部分が下部ゲート電極3Bとして機能する。第2の酸化物半導体層7Bの第1領域71Bは、他の画素領域PIX(2)においてソースバスラインSLの一部と重なっており、重なっている部分に配置されたソース側開口部11Bs内でソースバスラインSLに接続されている。つまり、ソースバスラインSLのうち第2の酸化物半導体層7Bと重なる部分がソース電極8Bsとして機能する。一方、第2領域72Bは、画素領域PIX(1)内においてドレイン電極8Bdに接続されている。
【0080】
図示していないが、第2のTFT201は、ソースメタル層内にドレイン電極8Bdを有していなくてもよい。この場合、画素電極PEを、画素コンタクトホール内で第2の酸化物半導体層7Bの第2領域72Bに直接接触させることで、第2の酸化物半導体層7Bと電気的に接続させてもよい。あるいは、第2の酸化物半導体層7Bの低抵抗領域である第2領域72Bを画素電極PEとして利用することも可能である。
【0081】
<効果>
本実施形態のアクティブマトリクス基板1001は上記構成を有するので、以下のような効果を奏する。
【0082】
回路TFTおよび画素TFTの構造を異ならせることで、それぞれに求められる特性を両立させることが可能である。具体的には、回路TFTとして、トップゲートまたはダブルゲート構造の第1のTFT101を用いる。第1のTFT101では、ゲート絶縁層となるゲート絶縁層9Aを薄くできるので、高い電流供給性能が得られる。このため、回路面積を縮小でき、非表示領域FRの面積を低減できる(狭額縁化)。一方、画素TFTとして、ボトムゲート構造の第2のTFT201を用いることで、高いオフ特性を実現できる。
【0083】
また、第1のTFT101と第2のTFT201とは、共通の層(膜)を用いて形成されているので、製造工程数を増加させることなく、これらのTFT101、201を作り分けることができる。
【0084】
さらに、画素TFTとして第2のTFT201を用いると、第1のTFT101と同様のトップゲート構造TFTを用いる場合よりも、ソースバスラインSLとゲートバスラインGLとの容量Cgsを低減できる。この結果、表示領域DRにおけるこれらのバスラインSL、GLの容量を低減できるので、非表示領域FRに設けられた周辺回路をさらに縮小および/または安定化させることが可能になる。
【0085】
ここで、図面を参照しながら、容量Cgsを低減できる理由を説明する。
【0086】
図17Aおよび
図17Bは、それぞれ、参考例のアクティブマトリクス基板における画素領域PIXの一部を示す平面図およびA−A’線に沿った断面図である。
図17Aおよび
図17Bでは、
図3、
図4Aおよび
図4Bと同様の構成要素には同じ参照符号を付している。
【0087】
参考例では、画素TFT900として、第1のTFT101と同様のトップゲート構造TFTを用いている。画素TFT900は、酸化物半導体層907と、酸化物半導体層907の基板1側に下部絶縁層905を介して配置された遮光層903、酸化物半導体層907上にゲート絶縁層909を介して配置されたゲート電極910、ソース電極908sおよびドレイン電極908dを有している。ソース電極908sおよびドレイン電極908dは、ゲート電極910を覆う上部絶縁層911上に配置されている。ソース電極908sはソースメタル層内に形成されており、ゲート電極910はゲートメタル層内に形成されている。ここでは、ソース電極908sはソースバスラインSLの一部であり、ゲート電極910はゲートバスラインGLの一部である。
【0088】
参考例では、ゲートメタル層とソースメタル層との間には、1層の絶縁層(上部絶縁層911)のみが介在する。このため、ゲートバスラインGLとソースバスラインSLとの交差部Rでは、これらのバスラインの間に上部絶縁層911のみが位置する。上部絶縁層911には、酸化物半導体層907とソースおよびドレイン電極908s、908dとを接続するための開口部を設ける必要があることから、上部絶縁層911には、通常、窒化シリコン膜または酸化シリコン膜などの比較的薄い無機絶縁膜が用いられる。このため、ゲートバスラインGLとソースバスラインSLとの容量Cgsを低減することは困難である。
【0089】
これに対し、本実施形態のアクティブマトリクス基板1001では、画素TFTとしてボトムゲート構造を有する第2のTFT201を用いており、第2のTFT201の下部ゲート電極3BとゲートバスラインGLとが同じ層(ゲートメタル層)内に形成されている。つまり、ゲートメタル層は、第2の酸化物半導体層7Bよりも下部絶縁層5を介して基板1側に位置する。このため、交差部Rにおいて、ゲートバスラインGLとソースバスラインSLとの間には、下部絶縁層5および上部絶縁層11の2層が介在する。従って、参考例よりも、ゲートバスラインGLとソースバスラインSLとの間に位置する誘電体の厚さ(下部絶縁層5および上部絶縁層11の合計厚さ)を大きくできるので、参考例よりも交差部Rにおける容量Cgsを低減することが可能になる。例えば、下部絶縁層5と上部絶縁層11とが同じ材料から形成され、同じ厚さを有する場合には、参考例と比べて、容量Cgsは約1/2に低減される。
【0090】
また、本実施形態によると、画素TFTに別途遮光層を形成する必要がないというメリットもある。
【0091】
画素TFTとして酸化物半導体TFTを用いる場合、酸化物半導体TFTのチャネル領域に特定波長の光が入射すると、光励起電流などの影響でOFF特性が低下し、画素電位を保持することが困難となるおそれがある。このため、画素TFTとしてトップゲート構造TFTを用いる場合には、アクティブマトリクス基板の背面側からのバックライト光のうちチャネル領域に向かう光を遮るための遮光層を別途設ける必要があり、製造工程数が増加するという問題があった。また、遮光層を電気的にフローティングである層(浮島状遮光層)とすると、浮島状遮光層は、間接的に、ゲート(トップゲート)と容量を形成する中間電極として機能してしまう。このため、ソース−ゲート間容量(ゲート−浮島状遮光層−ソース間の間接容量)の増大や、ドレイン−ゲート間容量(ゲート−浮島状遮光層−ドレイン(画素電極)間の間接容量)が増大する懸念があり、バスライン負荷の増大、画素寄生容量の増大などの要因となり得る。
【0092】
これに対し、本実施形態では、下部ゲート電極3Bが遮光層としても機能するため、製造工程数の増加を抑制できる。また、浮島状遮光層を形成する必要がないので、上記のような容量の増大は生じない。
【0093】
さらに、画素TFTとしてトップゲート構造TFTを用いると、遮光層を設けても、バックライト光のチャネル領域への入射を十分に抑制できない場合がある。例えば、参考例のTFT900では、
図17Cに示すように、酸化物半導体層907の基板1側に、チャネル幅よりも大きい幅を有する遮光層903が設けられている。この構成では、バックライト光920の一部は、遮光層903の周囲からゲートバスラインGLに入射し、ゲートバスラインGLの下面と遮光層903の上面との間で反射を繰り返して(多重反射)、酸化物半導体層907のチャネル領域に入射するおそれがある。従って、遮光層903のみでは、バックライト光に起因するTFT特性の劣化を十分に抑制できない可能性がある。チャネル領域に入射する光をさらに低減するために、遮光層903のサイズを大きくすると、前述した間接容量が増大したり、画素開口率が低下する等の問題が生じ得る。
【0094】
これに対し、本実施形態では、チャネル領域70Bの基板1側に位置するゲートメタル層内にゲートバスラインGLおよび下部ゲート電極3Bを形成し、チャネル領域70Bの上に形成される上部メタル層には島状導電体層10Bが形成される。島状導電体層10Bは、第2の酸化物半導体層7Bの一部を低抵抗化させる際にマスクとして用いるため、第2の酸化物半導体層7Bのうちチャネルを形成する部分を覆っていればよいので、チャネル遮光層として機能させるときに必要となるサイズ(例えば下部ゲート電極3Bのサイズ)よりも小さくてもよい。島状導電体層10Bの幅を、ゲートメタル層内の下部ゲート電極3BおよびゲートバスラインGLの幅よりも小さくすることで、下部ゲート電極3Bの周囲から入射したバックライト光が島状導電体層10Bに入射し難くなる。従って、バックライト光が、島状導電体層10Bとゲートメタル層との間で反射を繰り返してチャネル領域70Bに入射することを抑制できるので、第2のTFT201の特性をより安定化できる。以下、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0095】
図5は、本実施形態における第2のTFT201のチャネル長方向LD(TFT縦置き構造ではy方向、TFT横置き構造ではx方向)に沿った断面図である。
【0096】
図5に例示するように、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、島状導電体層10Bは、第2のTFT201のチャネル長方向LDにおいて下部ゲート電極3Bの内側に位置してもよい。例えば、島状導電体層10Bは、下部ゲート電極3Bの縁部から1μm程度以上、または2μ程度以上内側に位置していてもよい(Δw≧1μm、またはΔw≧2μm)。これにより、下部ゲート電極3Bの周囲から入射したバックライト光21が、直接島状導電体層10Bに入射し難くなるので、多重反射によって第2の酸化物半導体層7Bのチャネル領域70Bに光が入射することを抑制できる。
【0097】
基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、島状導電体層10Bの全体が下部ゲート電極3Bと重なっていてもよい。好ましくは、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、任意の方向において、島状導電体層10Bは下部ゲート電極3Bの内側に位置する。これにより、下部ゲート電極3Bと島状導電体層10Bとの間で生じる多重反射をより効果的に抑制できる。
【0098】
図6は、第2のTFT201にさらに他の例を示す平面図である。
図6に例示するように、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、ゲートバスラインGLのうち島状導電体層10Bと重なる部分の幅を、ゲートバスラインGLの他の部分の幅よりも大きくしてもよい。これにより、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、島状導電体層10Bを、より確実に下部ゲート電極3Bの内側に配置することができる。
【0099】
アクティブマトリクス基板1001は、例えばFFSモード、IPSモードの表示装置に適用され得る。FFSモードは、一方の基板に一対の電極を設けて、液晶分子に、基板面に平行な方向(横方向)に電界を印加する横方向電界方式のモードである。この例では、画素電極PEから出て液晶層(図示せず)を通り、さらに画素電極PEのスリット状の開口を通って共通電極CEに出る電気力線で表される電界が生成される。この電界は、液晶層に対して横方向の成分を有している。その結果、横方向の電界を液晶層に印加することができる。横方向電界方式では、基板から液晶分子が立ち上がらないため、縦方向電界方式よりも広視野角を実現できるという利点がある。
【0100】
共通電極CE上に誘電体層17を介して画素電極PEが配置される電極構造は、例えば国際公開第2012/086513号に記載されている。なお、画素電極PE上に誘電体層17を介して共通電極CEが配置されていてもよい。すなわち、下部透明導電層に形成される下部透明電極15が画素電極PEであり、上部透明導電層に形成される上部透明電極19が共通電極CEであってもよい。このような電極構造は、例えば特開2008−032899号公報、特開2010−008758号公報に記載されている。参考のため、国際公開第2012/086513号、特開2008−032899号公報および特開2010−008758号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0101】
なお、本実施形態のアクティブマトリクス基板は、共通電極CEを有していなくてもよい。このようなアクティブマトリクス基板は、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)などの表示装置に用いられ得る。VAモード、TNモードは、液晶層を挟んで配置される一対の電極により、液晶分子に電界を印加する縦方向電界方式のモードである。
【0102】
アクティブマトリクス基板1001は、例えば液晶表示装置などの表示装置(表示パネル)に適用され得る。表示パネルは、アクティブマトリクス基板1001と、アクティブマトリクス基板1001に対向するように配置された対向基板と、アクティブマトリクス基板1001と対向基板との間に設けられた表示媒体層とを有する。アクティブマトリクス基板1001の背面側(観察者側と反対側)にバックライトが設けられることがある。表示媒体層は、液晶層、有機EL層などであってもよい。
【0103】
<アクティブマトリクス基板1001の製造方法>
本実施形態における第1のTFT101と第2のTFT201とは、共通のプロセスで製造され得る。第1のTFT101の製造工程を利用して第2のTFT201を製造することで、製造工程やフォトマスクを追加することなく、第1のTFT101と第2のTFT201とを作り分けることが可能である。
【0104】
以下、
図2〜
図4Bおよび
図7を参照しながら、アクティブマトリクス基板1001の製造方法の一例を説明する。
図7は、アクティブマトリクス基板1001の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0105】
・STEP1−1
まず、基板1上に、ゲートバスラインGL、第1のTFT101の下部導電層3Aおよび第2のTFT201の下部ゲート電極3Bを含むゲートメタル層を形成する。
【0106】
基板1としては、例えばガラス基板、シリコン基板、耐熱性を有するプラスチック基板(樹脂基板)などを用いることができる。
【0107】
ゲートメタル層は、例えばスパッタ法などによって、下部ゲート用導電膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を形成し、下部ゲート用導電膜のパターニングを行うことによって得られる。
【0108】
下部ゲート用導電膜として、例えばアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)あるいはタングステン(W)から選ばれた元素を含む金属膜、またはこれらの元素を成分とする合金膜などを用いることができる。また、これらのうち複数の膜を含む積層膜を用いてもよい。例えば、チタン膜−アルミニウム膜−チタン膜の3層構造あるいはモリブデン膜−アルミニウム膜−モリブデン膜の3層構造を有する積層膜を用いることができる。なお、下部ゲート用導電膜は3層構造に限られず、単層、または2層構造、あるいは4層以上の積層構造を有していてもよい。ここでは、下部ゲート用導電膜として、Ti膜(厚さ:15〜70nm)を下層、Cu膜(厚さ:200〜400nm)を上層とする積層膜を用いる。
【0109】
・STEP1−2
次いで、ゲートメタル層を覆う下部絶縁層(厚さ:例えば200nm以上600nm以下)5を形成する。
【0110】
下部絶縁層5としては、酸化珪素(SiO
2)層、窒化珪素(SiNx)層、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)層、酸化アルミニウム層または酸化タンタル層等を適宜用いることができる。下部絶縁層5は、積層構造を有していてもよい。ここでは、下部絶縁層5として、例えば、CVD法を用いて、窒化珪素(SiNx)層(厚さ:50〜600nm)を下層、酸化珪素(SiO
2)層(厚さ:50〜600nm)を上層とする積層膜を形成する。下部絶縁層5として(下部絶縁層5が積層構造を有する場合には、その最上層として)、酸化珪素膜などの酸化物膜を用いると、後で形成される酸化物半導体層のチャネル領域に生じた酸化欠損を酸化物膜によって低減できるので、チャネル領域の低抵抗化を抑制できる。
【0111】
・STEP1−3
次いで、下部絶縁層5上に、例えばスパッタリング法を用いて酸化物半導体膜(厚さ:例えば15nm以上200nm以下)を形成し、酸化物半導体膜のパターニングを行うことで、第1のTFT101の第1の酸化物半導体層7Aおよび第2のTFT201の第2の酸化物半導体層7Bを形成する。酸化物半導体膜は、特に限定しないが、例えばIn−Ga−Zn−O系半導体膜であってもよい。
【0112】
・STEP1−4
続いて、第1の酸化物半導体層7Aおよび第2の酸化物半導体層7Bを覆うように、絶縁膜(厚さ:例えば80nm以上250nm以下)および上部ゲート用導電膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)をこの順で形成する。上部ゲート用導電膜は例えばスパッタリング法を用いて形成され、絶縁膜は例えばCVD法で形成され得る。
【0113】
絶縁膜として、下部絶縁層5と同様の絶縁膜(下部絶縁層5として例示した絶縁膜)を用いることができる。絶縁膜として、酸化珪素膜などの酸化物膜を用いると、酸化物半導体層7A、7Bのチャネル領域に生じた酸化欠損を酸化物膜によって低減できるので、チャネル領域の低抵抗化を抑制できる。上部ゲート用導電膜として、下部ゲート用導電膜と同様の導電膜を用いることができる。ここでは、絶縁膜として、例えば酸化珪素(SiO
2)膜を用いる。上部ゲート用導電膜としては、例えばTi膜(厚さ:15〜70nm)を下層、Cu膜(厚さ:200〜400nm)を上層とする積層膜を用いる。
【0114】
続いて、図示しない第1レジストマスクを用いて、上部ゲート用導電膜のパターニングを行い、第1のTFT101の上部ゲート電極10Aおよび第2のTFT201の島状導電体層10Bを形成する。上部ゲート用導電膜のパターニングは、ウェットエッチングまたはドライエッチングで行うことができる。
【0115】
この後、上記第1レジストマスクを用いて、絶縁膜のパターニングを行う。あるいは、上記第1レジストマスクを除去した後、パターニングされた上部ゲート電極10Aおよび島状導電体層10Bをマスクとして絶縁膜のパターニングを行ってもよい。これにより、第1のTFT101のゲート絶縁層9Aおよび第2のTFT201の島状絶縁体層9Bを得る。絶縁膜のパターニングは、例えばドライエッチングで行うことができる。
【0116】
なお、絶縁膜のパターニング時に、下部絶縁層5のうち第1の酸化物半導体層7A、第2の酸化物半導体層7Bで覆われていない部分の表層部もエッチング(オーバーエッチング)されることがある。
【0117】
本工程では、同一のマスクを用いて絶縁膜および上部ゲート用導電膜のパターニングを行うので、ゲート絶縁層9Aの側面と上部ゲート電極10Aの側面とが厚さ方向に整合する。同様に、島状絶縁体層9Bの側面と島状導電体層10Bの側面とが厚さ方向に整合する。つまり、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、ゲート絶縁層9Aおよび島状絶縁体層9Bの周縁は、それぞれ、上部ゲート電極10Aの周縁および島状導電体層10Bの周縁と整合する。
【0118】
・STEP1−5
続いて、第1の酸化物半導体層7Aおよび第2の酸化物半導体層7Bの低抵抗化処理を行う。低抵抗化処理として、例えばプラズマ処理を行ってもよい。これにより、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、第1の酸化物半導体層7Aのうち上部ゲート電極10Aおよびゲート絶縁層9Aと重なっていない領域7bは、上部ゲート電極10Aおよびゲート絶縁層9Aと重なっている領域7aよりも比抵抗の低い低抵抗領域となる。同様に、第2の酸化物半導体層7Bのうち島状導電体層10Bおよび島状絶縁体層9Bで重なっていない領域7bは、島状導電体層10Bおよび島状絶縁体層9Bと重なっている領域7aよりも比抵抗の低い低抵抗領域となる。低抵抗領域7bは、導電体領域(例えばシート抵抗:200Ω/□以下)であってもよい。
【0119】
低抵抗化処理(プラズマ処理)では、酸化物半導体層7A、7Bのうち上部ゲート電極10Aまたは島状導電体層10Bで覆われていない部分を、還元性プラズマまたはドーピング元素を含むプラズマ(例えばアルゴンプラズマ)に晒してもよい。これにより、酸化物半導体層7A、7Bのうち露出された部分の表面近傍で抵抗が低下し、低抵抗領域7bとなる。酸化物半導体層7A、7Bのうち上部ゲート電極10Aまたは島状導電体層10Bでマスクされた部分7aは、第1半導体領域として残る。なお、低抵抗化処理の方法および条件などは、例えば特開2008−40343号公報に記載されている。参考のために、特開2008−40343号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0120】
・STEP1−6
次いで、上部ゲート電極10A、島状導電体層10B、第1の酸化物半導体層7A、第2の酸化物半導体層7Bを覆う上部絶縁層11を形成する。上部絶縁層11として、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜などの無機絶縁層を単層又は積層させて形成することができる。無機絶縁層の厚さは100nm以上500nm以下でもよい。上部絶縁層11を窒化シリコン膜などの酸化物半導体を還元させる絶縁膜を用いて形成すると、酸化物半導体層7A、7Bのうち上部絶縁層11と接する領域(ここでは低抵抗領域7b)の比抵抗を低く維持できるので好ましい。ここでは、上部絶縁層11として、例えば、SiNx層(厚さ:300nm)をCVD法で形成する。
【0121】
この後、例えばドライエッチングで、上部絶縁層11に、第1の酸化物半導体層7Aおよび第2の酸化物半導体層7Bに達する開口部11As、11Ad、11Bs、11Bdを形成する。
【0122】
・STEP1−7
次いで、上部絶縁層11上に、ソース電極8As、8Bs、ドレイン電極8Ad、8BdおよびソースバスラインSLを含むソースメタル層を形成する。ここでは、上部絶縁層11上および開口部11As、11Ad、11Bs、11Bd内に、ソース用導電膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を形成し、ソース用導電膜のパターニングを行うことで、ソースメタル層を得る。パターニングは、ドライエッチングまたはウェットエッチングで行うことができる。このようにして、第1のTFT101及び第2のTFT201を得る。
【0123】
ソース用導電膜として、例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)あるいはタングステン(W)から選ばれた元素、またはこれらの元素を成分とする合金などを用いることができる。例えば、チタン膜−アルミニウム膜−チタン膜の3層構造、モリブデン膜−アルミニウム膜−モリブデン膜などの3層構造などを有していてもよい。なお、ソース用導電膜は3層構造に限られず、単層、または2層構造、あるいは4層以上の積層構造を有していてもよい。ここでは、Ti膜(厚さ:15〜70nm)を下層、Cu膜(厚さ:200〜400nm)を上層とする積層膜を用いる。
【0124】
・STEP1−8
続いて、第1のTFT101、第2のTFT201およびソースバスラインSLを覆うように、層間絶縁層16を形成する。ここでは、層間絶縁層16として、無機絶縁層(厚さ:例えば100nm以上400nm以下)12と、有機絶縁層(厚さ:例えば1〜3μm、好ましくは2〜3μm)13とをこの順で形成する。無機絶縁層12の材料は、上部絶縁層11の材料として例示した材料と同じであってもよい。ここでは、無機絶縁層12として、CVD法でSiNx層(厚さ:例えば200nm)を形成する。有機絶縁層13は、例えば、感光性樹脂材料を含む有機絶縁膜であってもよい。この後、有機絶縁層13のパターニングを行い、開口部13pを形成する。
【0125】
・STEP1−9
続いて、共通電極CEとなる下部透明電極15を形成する。
【0126】
まず、層間絶縁層16上および開口部13p内に第1の透明導電膜(厚さ:20〜300nm)を形成する。ここでは、例えば、スパッタリング法で、第1の透明導電膜としてインジウム−亜鉛酸化物膜を形成する。第1の透明電極膜の材料としては、インジウム−錫酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物、ZnO等の金属酸化物を用いることができる。この後、例えばウェットエッチングにより第1の透明導電膜のパターニングを行う。これにより、下部透明電極15を得る。この例では、下部透明電極15は、表示領域の略全体に亘って配置されている。ただし、下部透明電極15は、画素コンタクトホールが形成される領域に開口部15pを有する。この例では、第1の透明導電膜のうち開口部13p内に位置する部分は除去される。なお、第1の透明導電膜を用いて、周辺回路の一部または全体を覆うシールド層を形成してもよい。
【0127】
・STEP1−10
次いで、層間絶縁層16および下部透明電極15上、および、開口部13p内に、誘電体層(厚さ:50〜500nm)17を形成する。誘電体層17の材料は、無機絶縁層12の材料として例示した材料と同じであってもよい。ここでは、誘電体層17として、例えばCVD法でSiN膜を形成する。
【0128】
この後、誘電体層17および無機絶縁層12(無機絶縁層12のうち開口部13p内に位置する部分)のエッチングを行い、第2の酸化物半導体層7Bの第2領域72Bの一部に達する開口部17pを形成する。基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、開口部17pは、少なくとも部分的に開口部13pと重なるように配置されてもよい。これにより、有機絶縁層13の開口部13pおよび誘電体層17の開口部17pで構成された画素コンタクトホールが得られる。
【0129】
・STEP1−11
次いで、誘電体層17上および画素コンタクトホール内に第2の透明導電膜(厚さ:20〜300nm)を形成する。この後、第2の透明導電膜のパターニングを行い、誘電体層17上に、画素電極PEとして機能する上部透明電極19を形成する。上部透明電極19には、画素ごとに少なくとも1つの開口部(または切り欠き部)を設ける。
【0130】
第2の透明導電膜の材料は、第1の透明導電膜の材料として例示した材料と同じであってもよい。第2の透明導電膜は単層でもよいし、積層膜でもよい。ここでは、例えば、スパッタリング法で、インジウム−亜鉛酸化物膜を形成する。上部透明電極19の一部を、誘電体層17を介して下部透明電極15と重なるように配置して、補助容量を構成してもよい。このようにして、アクティブマトリクス基板1001が製造される。
【0131】
<変形例>
図8は、それぞれ、本実施形態の他のアクティブマトリクス基板における画素領域PIXを例示する平面図である。
【0132】
図8に示すように、画素TFTである第2のTFT201aは、対応する画素領域PIX内において、チャネル長方向がx方向となるように配置されていてもよい(TFT横置き構造)。ここでは、ソースバスラインSLの一部が、第2のソース電極8Bsとして機能している。ゲートバスラインGLは、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、x方向に延びる主部と、主部からy方向に突き出た突出部とを有しており、突出部が下部ゲート電極3Bとして機能している。第2の酸化物半導体層7Bは、ソースバスラインSL上から、ゲートバスラインGLの突出部を横切って延びていてもよい。
【0133】
島状導電体層10Bは、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、下部ゲート電極3Bと少なくとも部分的に重なるように配置されている。島状導電体層10Bは、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、第2の酸化物半導体層7Bの一部をy方向(チャネル幅方向)に横切るように延びていてもよい。この例では、島状導電体層10Bは、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、ゲートバスラインGLの突出部の内側に配置されている。これにより、前述したように、下部ゲート電極3Bの周囲からパネル内に入射したバックライト光が島状導電体層10Bで反射・散乱され難くなるので、チャネル領域に光が入射することによる特性劣化を抑制できる。
【0134】
第2のTFT201aでも、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、第2の酸化物半導体層7Bのうち島状導電体層10Bおよび島状絶縁体層9Bと重ならない部分7bは、島状導電体層10Bおよび島状絶縁体層9Bと重なる部分(第1半導体領域)7aよりも比抵抗の小さい低抵抗領域である。第1半導体領域7aのうち、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、下部ゲート電極3Bと重なる部分70Bは、チャネル領域となる。
【0135】
なお、
図8に示す例では、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、島状導電体層10Bの全体が下部ゲート電極3Bと重なっているが、島状導電体層10Bの一部のみが下部ゲート電極3Bと重なっていてもよい。例えば
図9に示すように、島状導電体層10Bは、第2の酸化物半導体層7Bのチャネル領域70B、および、突出部のエッジ(突出部のエッジのうち、ゲートバスラインGLの主部からy方向に最も遠くに位置する部分)をy方向に横切るように延びていてもよい。この場合でも、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、島状導電体層10Bが、第2のTFT201のチャネル長方向(この例ではx方向)において下部ゲート電極3Bの内側(例えば1μm以上内側)に位置していれば、多重反射した光がチャネル領域に入射することを抑制できる。島状導電体層10Bのうち下部ゲート電極3Bと重なっていない部分はチャネル領域70Bから離れているので、ゲートバスラインGLと島状導電体層10Bとの間で多重反射を生じても、その光はチャネル領域70Bに入射し難い。
【0136】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態のアクティブマトリクス基板を説明する。
【0137】
本実施形態は、ボトムゲート構造を有する第2のTFT(画素TFT)が島状導電体層10Bを有していない点で、第1の実施形態と異なる。
【0138】
図10は、回路TFTである第1のTFT102の模式的な断面図である。
図11は、本実施形態のアクティブマトリクス基板1002の画素領域PIXを例示する平面図である。
図12は、画素TFTである第2のTFT202の模式的な断面図であり、
図11に示すXII−XII’線に沿った断面構造を示す。
図2〜
図4Bと同様の構成要素には同じ参照符号を付している。また、前述の実施形態と同様の構成については説明を適宜省略する。
【0139】
第1のTFT102は、
図2に示す第1のTFT101と同様の構成を有するトップゲート構造またはダブルゲート構造TFTである。ただし、第1のTFT102では、上部ゲート電極10Aとゲート絶縁層9Aとは別々のマスクを用いてパターニングされており、これらの側面は整合していない。第1のTFT102のチャネル長方向に沿った断面において、上部ゲート電極10Aの幅は、ゲート絶縁層9Aの幅よりも小さくてもよい。この場合、第1の酸化物半導体層7Aの低抵抗領域7bは、ゲート絶縁層9Aの幅で規定される。すなわち、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき、第1の酸化物半導体層7Aのうちゲート絶縁層9Aと重なる部分7aは第1半導体領域、ゲート絶縁層9Aと重ならない部分は第1半導体領域7aよりも比抵抗の低い低抵抗領域7bとなる。
【0140】
アクティブマトリクス基板1002の各画素領域PIXは、画素TFTとして第2のTFT202を備える。
【0141】
第2のTFT202は、
図4Aおよび
図4Bに示す第2のTFT201と同様の構造を有している。ただし、島状絶縁体層9B上に、第1のTFTの上部ゲート電極と同じ導電膜から形成された(すなわち上部メタル層内に形成された)導電層(
図4Aおよび
図4Bに示す島状導電体層10B)を有していない。この例では、島状絶縁体層9B上には、島状絶縁体層9Bの上面および側面と接するように上部絶縁層11が形成されている。
【0142】
図10では、第2のTFT202は、チャネル領域のチャネル長方向がy方向となるように配置されているが(TFT縦置き構造)、チャネル長方向がx方向となるように配置されていてもよい(TFT横置き構造)。例えば、第2のTFT202は、
図8、
図9に示すTFT201aと、島状導電体層10Bを有していない点以外は同様の構造を有していてもよい。
【0143】
本実施形態でも、交差部Rにおいて、ソースバスラインSLとゲートバスラインGLとの間に下部絶縁層5および上部絶縁層11が位置するので、容量Cgsを低減できる。
【0144】
また、本実施形態では、チャネル領域70Bの上方に、上部メタル層内に形成された導電層が配置されていない。このため、上部メタル層(例えば前述の実施形態における島状導電体層10B)によるバックライト光の反射・散乱が生じないので、透過光の乱れがさらに抑制される。従って、アクティブマトリクス基板1002を表示装置に用いると、表示品位を向上させることができる。また、ゲートメタル層内の下部ゲート電極3B、ゲートバスラインGLと上部メタル層とによる光の多重反射・散乱を考慮して、下部ゲート電極3B、ゲートバスラインGLの幅を大きくする必要がないので、下部ゲート電極3B、ゲートバスラインGLの幅を低減することが可能になる。この結果、画素レイアウトの自由度が高くなり、画素開口率を向上できる。さらに、上部メタル層を中間電極とする間接容量が生じないので、バスライン容量および画素寄生容量をより効果的に低減できる。
【0145】
<アクティブマトリクス基板1002の製造方法>
以下、
図10〜
図13を参照しながら、アクティブマトリクス基板1002の製造方法の一例を説明する。
図13は、アクティブマトリクス基板1001の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0146】
本実施形態の製造方法は、ゲート絶縁層9Aおよび島状絶縁体層9B(またはゲート絶縁層9Aおよび島状絶縁体層9Bをパターニングするためのレジスト層)をマスクとして、第1の酸化物半導体層7Aおよび第2の酸化物半導体層7Bの低抵抗化処理を行った後で、上部ゲート電極10Aを形成する点で、前述の実施形態(
図7)と異なる。
【0147】
以下の説明では、各層の形成方法、材料、厚さなどについて、前述の実施形態(
図7)と同様の場合には適宜説明を省略する。
【0148】
・STEP2−1〜2−3
基板1上に、ゲートバスラインGL、第1のTFT101の下部導電層3Aおよび第2のTFT201の下部ゲート電極3Bを含むゲートメタル層を形成する(STEP2−1)。次いで、ゲートメタル層を覆う下部絶縁層5を形成し(STEP2−2)、下部絶縁層5上に第1の酸化物半導体層7A、第2の酸化物半導体層7Bを形成する(STEP2−3)。これらの工程は、
図7のSTEP1−1〜1−3と同様である。
【0149】
・STEP2−4
続いて、第1の酸化物半導体層7Aおよび第2の酸化物半導体層7Bを覆うように絶縁膜を形成する。この後、絶縁膜上に第2のレジストマスクを形成し、第2のレジストマスクを用いて絶縁膜のパターニングを行う。これにより、ゲート絶縁層9Aおよび島状絶縁体層9Bを得る。
【0150】
・STEP2−5
続いて、第2のレジストマスクを用いて、あるいは、ゲート絶縁層9Aおよび島状絶縁体層9Bをマスクとして用いて、第1の酸化物半導体層7Aおよび第2の酸化物半導体層7Bの低抵抗化処理を行う。これにより、第1の酸化物半導体層7A、第2の酸化物半導体層7Bのうちゲート絶縁層9A、島状絶縁体層9Bから露出した部分は、これらで覆われた部分よりも比抵抗の低い低抵抗領域7bとなる。低抵抗化処理の方法は前述の実施形態と同様であってもよい。
【0151】
・STEP2−6
第2のレジストマスクを除去した後、ゲート絶縁層9A、島状絶縁体層9Bを覆うように上部ゲート用導電膜を形成する。次いで、上部ゲート用導電膜上に第3のレジストマスクを形成し、第3のレジストマスクを用いて、上部ゲート用導電膜のパターニングを行うことで、ゲート絶縁層9A上に、上部ゲート電極10Aを形成する。上部ゲート用導電膜のうち島状絶縁体層9B上に位置する部分は除去する。このように、本実施形態では、第1および第2のTFTにおけるゲート絶縁層9A、島状絶縁体層9Bと、第1のTFTの上部ゲート電極10Aとを、別々のレジストマスクを用いてパターニングする。
【0152】
・STEP2−7〜2−12
この後は、前述の実施形態(STEP1−6〜1−12)と同様の方法で、上部絶縁層11、ソースメタル層、下部透明電極15、誘電体層17および上部透明電極19を形成する。このようにして、アクティブマトリクス基板1002が製造される。
【0153】
なお、アクティブマトリクス基板1002の製造方法は、上記方法に限定されない。例えば、プラズマ処理などの低抵抗化処理を行わずに、窒化物膜などの酸化物半導体を還元させる絶縁膜を利用して、酸化物半導体層7A、7Bの一部のみを低抵抗化させてもよい。具体的には、ゲート絶縁層9A、島状絶縁体層9Bとして酸化物膜(例えば酸化シリコン膜)、上部絶縁層11として窒化物膜(例えば窒化シリコン膜)などの酸化物半導体を還元させる絶縁膜を用いることで、酸化物半導体層7A、7Bのうち窒化物膜と接する領域を、酸化物膜と接する領域よりも低抵抗化させることが可能である。
【0154】
<変形例>
図14は、本実施形態の変形例の第2のTFT203の模式的な断面図である。
【0155】
変形例の第2のTFT203では、島状絶縁体層9Bのチャネル長方向の幅は、下部ゲート電極3Bのチャネル長方向の幅よりも大きい。島状絶縁体層9Bは透光性を有するので、島状絶縁体層9Bのサイズを大きくしても、画素開口率の低下、多重反射などの問題は生じない。
【0156】
第2のTFT203における第2の酸化物半導体層7Bは、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき島状絶縁体層9Bと重なる第1半導体領域7aと、島状絶縁体層9Bと重ならない低抵抗領域7bとを有する。第1半導体領域7aは、基板1の主面1Sの法線方向から見たとき下部ゲート電極3Bと重なるチャネル領域70Bと、下部ゲート電極3Bと重ならない第3領域73Bとを含む。第3領域73Bは、チャネル領域70Bと低抵抗領域7b(第1領域71Bまたは第2領域72B)との間に位置する。このような構成は、島状絶縁体層9Bをマスクとして第2の酸化物半導体層7Bの低抵抗化処理を行うことにより、容易に得られる。
【0157】
本変形例では、島状絶縁体層9Bのサイズを制御することで、第2の酸化物半導体層7Bのチャネル領域70Bと第1領域71Bまたは第2領域72Bとの間に、第1領域71Bおよび第2領域72Bよりも比抵抗の高い第3領域(高抵抗領域またはオフセット領域ともいう。)73Bを所定の幅で配置できる。第3領域73Bを設けることで、オフリーク電流を低減でき、所望のオフ特性を実現できる。
【0158】
(第3の実施形態)
本実施形態のアクティブマトリクス基板は、ソースバスラインSLとゲートバスラインGLとの交差部にさらなる絶縁層が配置されている点で、前述の実施形態と異なる。
【0159】
図15Aおよび
図15Bは、それぞれ、本実施形態における画素領域PIXの一部を示す平面図およびXVb−XVb’線に沿った断面図である。
【0160】
ソースバスラインSLとゲートバスラインGLとの交差部R1では、下部絶縁層5と上部絶縁層11との間に、他の島状絶縁体層(第2の島状絶縁体層ともいう。)9Rおよび他の島状導電体層(第2の島状導電体層ともいう。)10Rが配置されている。第2の島状絶縁体層9Rは、ゲート絶縁層9A、島状絶縁体層9Bと同じ絶縁膜を用いて形成されている。第2の島状導電体層10Rは、上部ゲート電極10A、島状導電体層10Bと同じ導電膜から(すなわち、上部メタル層内に)形成されている。その他の構造は、
図8と同様である。
【0161】
図16は、本実施形態における他の交差部R2を例示する断面図である。ソースバスラインSLとゲートバスラインGLとの交差部R2では、下部絶縁層5と上部絶縁層11との間に第2の島状絶縁体層9Rが配置され、第2の島状導電体層10Rが配置されていない。その他の構造は、
図15Aおよび
図15Bと同様である。
【0162】
本実施形態によると、ソースバスラインSLとゲートバスラインGLとの交差部R1、R2において、下部絶縁層5と上部絶縁層11との間に、第2の島状絶縁体層9R、または、第2の島状絶縁体層9Rおよび第2の島状導電体層10Rをさらに設けることで、交差部R1、R2の容量をさらに低減することが可能になる。この結果、ソースバスラインSLおよびゲートバスラインGLの容量が低減されるので、周辺回路のさらなる縮小化を実現できる。
【0163】
本実施形態における交差部R1、R2は、前述の、TFT横置き構造またはTFT横置き構造の種々のアクティブマトリクス基板に適用され得る。交差部R1、R2は、画素TFTが島状絶縁体層9Bおよび島状導電体層10Bを有する第1の実施形態のアクティブマトリクス基板(
図3、
図8など)に適用してもよいし、画素TFTが島状絶縁体層9Bを有するが、島状導電体層10Bを有しない第2の実施形態のアクティブマトリクス基板(
図11など)に適用してもよい。
【0164】
第2の島状絶縁体層9Rは、ゲート絶縁層9Aおよび島状絶縁体層9Bと同時に形成され、第2の島状導電体層10Rは、上部ゲート電極10Aおよび島状導電体層10B(島状導電体層10Bを形成しない場合には上部ゲート電極10A)と同時に形成され得る。従って、本実施形態のアクティブマトリクス基板は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様のプロセスを用いて、フォトマスクの枚数を増やすことなく、製造され得る。例えば、
図16に示す交差部R2は、好ましくは、第2の実施形態のアクティブマトリクス基板に適用される。これにより、製造プロセスを増やすことなく、容量の小さい交差部R2を形成できる。
【0165】
(酸化物半導体について)
第1および第2の酸化物半導体層7A、7Bに含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0166】
酸化物半導体層7A、7Bは、2層以上の積層構造を有していてもよい。酸化物半導体層7A、7Bが積層構造を有する場合には、酸化物半導体層7A、7Bは、非晶質酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよい。あるいは、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、複数の非晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層7A、7Bが上層と下層とを含む2層構造を有する場合、上層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップは、下層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きいことが好ましい。ただし、これらの層のエネルギーギャップの差が比較的小さい場合には、下層の酸化物半導体のエネルギーギャップが上層の酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きくてもよい。
【0167】
非晶質酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014−007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014−007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0168】
酸化物半導体層7A、7Bは、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。本実施形態では、酸化物半導体層7A、7Bは、例えば、In−Ga−Zn−O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In−Ga−Zn−O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層7A、7Bは、In−Ga−Zn−O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0169】
In−Ga−Zn−O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体が好ましい。
【0170】
なお、結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014−007399号公報、特開2012−134475号公報、特開2014−209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012−134475号公報および特開2014−209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a−SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a−SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFT(例えば、複数の画素を含む表示領域の周辺に、表示領域と同じ基板上に設けられる駆動回路に含まれるTFT)および画素TFT(画素に設けられるTFT)として好適に用いられる。
【0171】
酸化物半導体層7A、7Bは、In−Ga−Zn−O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn−Sn−Zn−O系半導体(例えばIn
2O
3−SnO
2−ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In−Sn−Zn−O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層7A、7Bは、In−Al−Zn−O系半導体、In−Al−Sn−Zn−O系半導体、Zn−O系半導体、In−Zn−O系半導体、Zn−Ti−O系半導体、Cd−Ge−O系半導体、Cd−Pb−O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg−Zn−O系半導体、In−Ga−Sn−O系半導体、In−Ga−O系半導体、Zr−In−Zn−O系半導体、Hf−In−Zn−O系半導体、Al−Ga−Zn−O系半導体、Ga−Zn−O系半導体、In−Ga−Zn−Sn−O系半導体などを含んでいてもよい。