特許第6799130号(P6799130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799130支払管理システム、支払管理方法及び支払管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6799130
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】支払管理システム、支払管理方法及び支払管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/14 20120101AFI20201130BHJP
【FI】
   G06Q20/14
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-236262(P2019-236262)
(22)【出願日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年12月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592052416
【氏名又は名称】株式会社 みずほ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 初之
(72)【発明者】
【氏名】達 夢
【審査官】 永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−015137(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0132719(US,A1)
【文献】 特開2004−086580(JP,A)
【文献】 特開2005−141771(JP,A)
【文献】 特開2008−234571(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0123948(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀行システムに開設された第1口座を引落口座とする請求をユーザの第2口座から引き落とした出金履歴を取得する制御部と、
前記第1口座の口座識別子に対して、収納先の支払用途を記憶した口座情報記憶部とを備えた支払管理システムであって、
前記制御部が、
前記収納先において与信カードを利用した支払が可能な場合には与信カード情報を提供可能にし、前記第1口座を引落口座として設定されて、前記ユーザに対して発行された与信カードの与信カード情報を、前記収納先への支払に用いるために設定して提供し前記収納先において前記与信カードを利用した支払ができない場合には前記第1口座の口座識別子を引落口座として、前記収納先への支払に用いるために設定して提供し、
前記第1口座の口座識別子に対して支払用途を関連付けて、前記口座情報記憶部に記録し、
前記第2口座の出金履歴を取得し、
前記出金履歴に含まれる第1口座の口座識別子を、前記口座情報記憶部を用いて支払用途に変換して出力することを特徴とする支払管理システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記第1口座の設定とともに前記与信カードを発行する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の支払管理システム。
【請求項3】
銀行システムに開設された第1口座を引落口座とする請求をユーザの第2口座から引き落とした出金履歴を取得する制御部と、
前記第1口座の口座識別子に対して、収納先の支払用途を記憶した口座情報記憶部とを備えた支払管理システムを用いて、支払を支援する方法であって、
前記制御部が、
前記収納先において与信カードを利用した支払が可能な場合には与信カード情報を提供可能にし、前記第1口座を引落口座として設定されて、前記ユーザに対して発行された与信カードの与信カード情報を、前記収納先への支払に用いるために設定して提供し前記収納先において前記与信カードを利用した支払ができない場合には前記第1口座の口座識
別子を引落口座として、前記収納先への支払に用いるために設定して提供し、
前記第1口座の口座識別子に対して支払用途を関連付けて、前記口座情報記憶部に記録し、
前記第2口座の出金履歴を取得し、
前記出金履歴に含まれる第1口座の口座識別子を、前記口座情報記憶部を用いて支払用途に変換して出力することを特徴とする支払管理方法。
【請求項4】
銀行システムに開設された第1口座を引落口座とする請求をユーザの第2口座から引き落とした出金履歴を取得する制御部と、
前記第1口座の口座識別子に対して、収納先の支払用途を記憶した口座情報記憶部とを備えた支払管理システムを用いて、支払を支援するプログラムであって、
前記制御部を、
前記収納先において与信カードを利用した支払が可能な場合には与信カード情報を提供可能にし、前記第1口座を引落口座として設定されて、前記ユーザに対して発行された与信カードの与信カード情報を、前記収納先への支払に用いるために設定して提供し前記収納先において前記与信カードを利用した支払ができない場合には前記第1口座の口座識別子を引落口座として、前記収納先への支払に用いるために設定して提供し、
前記第1口座の口座識別子に対して支払用途を関連付けて、前記口座情報記憶部に記録し、
前記第2口座の出金履歴を取得し、
前記出金履歴に含まれる第1口座の口座識別子を、前記口座情報記憶部を用いて支払用途に変換して出力する手段として機能させることを特徴とする支払管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つの口座からの複数の引落による支払を管理するための支払管理システム、支払管理方法及び支払管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の関連組織を有する企業における資金を、1つの口座で管理することにより、企業の資金をまとめて管理することができる。ここで、代表組織としての支払者が指定する口座振替の引落指定口座から、支払者の多数の関連組織の引落を収納機関に対して一括して行なうための技術が検討されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、代表組織としての支払者が指定する口座振替の引落指定口座から、支払者の多数の関連組織の引落を収納者に対して一括して行なう。ここでは、多数の関連組織のそれぞれに対して仮想引落指定口座を割当て、仮想引落指定口座の仮想口座番号を、支払者が指定する引落指定口座の口座番号に読替え可能にリンクさせる。
【0003】
また、クレジットカードを利用する場合、パーチェシングカードサービスも検討されている(例えば、特許文献2参照)。この技術では、プラスチックカードを発行することなく、仮想的に設定されたクレジットカード番号を利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−15137号公報
【特許文献2】特開2008−123286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、収納機関の引落のタイミングが異なることがある。企業口座からの引き落としの時期が異なる場合、資金管理が煩雑になる。また、自動引き落としを利用する場合、クレジットカードを利用できない収納機関も存在する。そして、企業における各関連組織の引落を一元管理できないと煩雑である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する支払管理システムは、銀行システムに開設された第1口座を引落口座とする請求をユーザの第2口座から引き落とした出金履歴を取得する制御部と、前記第1口座の口座識別子に対して、収納先の支払用途を記憶した口座情報記憶部とを備える。そして、前記制御部が、前記第1口座を引落口座として設定されて、前記ユーザに対して発行された与信カードを、前記収納先への支払に用いるために設定し、前記第1口座の口座識別子に対して支払用途を関連付けて、前記口座情報記憶部に記録し、前記第2口座の出金履歴を取得し、前記出金履歴に含まれる第1口座の口座識別子を、前記口座情報記憶部を用いて支払用途に変換して出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一つの口座からの支払を効率的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のシステム概略図。
図2】ハードウェア構成例の説明図。
図3】実施形態の自動引落の説明図。
図4】実施形態の処理手順の説明図。
図5】実施形態の引落時期の説明図であって、(a)は通常の引落時期、(b)はカード利用時の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図5を用いて、支払管理システム、支払管理方法及び支払管理プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、複数の拠点(関連組織)に対する請求を、企業口座(統括組織の口座)から自動引落サービスやクレジットカード(与信カード)を利用して支払う場合を想定する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の支払管理方法においては、ネットワークを介して相互に接続された収納機関システム10、銀行システム20、クレジットカード会社システム30、管理システム40を用いる。
【0011】
(ハードウェア構成例)
図2は、収納機関システム10〜管理システム40等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0012】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶部H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0013】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースカードや無線インタフェース等である。
【0014】
入力装置H12は、利用者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0015】
記憶部H14は、収納機関システム10〜管理システム40の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置(例えば、後述する口座情報記憶部22、仮想口座情報記憶部23、カード情報記憶部32、仮想口座情報記憶部42、支払情報記憶部43)である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0016】
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、収納機関システム10〜銀行システム20における各処理(例えば、後述する口座管理部21、制御部41における処理)を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、収納機関システム10〜管理システム40のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する図4に示す各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0017】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0018】
(各情報処理装置の機能)
図1を用いて、収納機関システム10〜管理システム40の機能を説明する。
収納機関システム10は、企業の関連組織との契約により、サービスを提供して、そのサービスの料金を収納する収納機関(収納先)が用いるコンピュータシステムである。収納機関としては、電気、ガス、水道等の公共料金の収納機関の他、企業の関連組織と取引がある各種企業等がある。統括組織の担当者は、この収納機関システム10を用いて、所定の支払先に対する支払依頼を行なう。本実施形態では、収納機関は、銀行が提供する自動口座引落やクレジットカード払い等を利用して、料金を収納する場合を想定する。
【0019】
銀行システム20は、金融機関の顧客の口座を管理する金融機関のコンピュータシステムである。この銀行システム20は、口座管理部21、口座情報記憶部22、仮想口座情報記憶部23を備える。
【0020】
口座管理部21は、金融機関に開設された口座を管理する処理を実行する。この口座管理部21は、収納機関から口座引落依頼を取得し、自動引落サービスを利用する利用者の引落口座から、収納機関から取得した収納金額を引き落とす。本実施形態では、収納機関にはクレジットカード会社も含まれており、クレジットカード会社システム30の口座引落依頼において、仮想口座を引落口座とする口座引落依頼も含まれる。
【0021】
口座情報記憶部22には、金融機関に開設された実口座を管理するための口座管理情報が記録される。この口座管理情報には、口座識別子情報、口座名義人情報、残高情報、入出金履歴が記録される。
【0022】
口座識別子情報領域には、金融機関に開設された実口座を特定するための識別子(本支店コード、預金種別、口座番号)に関するデータが記録される。
口座名義人情報領域には、この口座の名義人を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0023】
残高情報領域には、この口座の残高に関するデータが記録される。
入出金履歴情報領域には、この口座への入金や、この口座からの出金の履歴情報(入出金年月日、金額、備考等)が記録される。仮想口座からの出金は、この仮想口座の口座識別子が、入出金履歴の備考として記録される。
【0024】
仮想口座情報記憶部23には、金融機関に開設された仮想口座を管理するための仮想口座管理情報が記録される。この仮想口座管理情報には、仮想口座識別子情報、実口座識別子情報が記録される。
【0025】
仮想口座識別子情報領域には、金融機関に開設された仮想口座(第1口座)を特定するための口座識別子(本支店コード、預金種別、口座番号)に関するデータが記録される。
実口座識別子情報領域には、この仮想口座に関連付けられた実口座(第2口座)を特定するための口座識別子(本支店コード、預金種別、口座番号)に関するデータが記録される。この仮想口座からの引落は実口座から出金される。また、仮想口座に入金された資金は実口座に入金される。
【0026】
クレジットカード会社システム30は、クレジットカードによる与信サービスを提供する会社のコンピュータシステムである。このクレジットカード会社システム30は、カード管理部31、カード利用情報記憶部32を備える。
【0027】
カード管理部31は、クレジットカードの利用情報を取得して、カード利用情報記憶部32に記録する。
カード利用情報記憶部32には、利用者に提供されたクレジットカードの利用状況を管理するための利用管理情報が記録される。この利用管理情報には、カード情報、利用者情報、与信枠情報、支払情報、利用履歴が記録される。
【0028】
カード情報領域には、利用者に提供されたクレジットカードを特定するための識別子、有効期限、セキュリティコードに関するデータが記録される。このクレジットカードの中には、利用者に対してプラスチックカードを提供せずに、クレジットカードを利用するために必要なカード情報のみを提供する仮想カードも含まれる。
【0029】
利用者情報領域には、このクレジットカードの名義人を特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、企業が名義人となり、各関連組織に対して、カード識別子を提供する。
【0030】
支払情報領域には、このクレジットカードの支払のための引落口座を特定するための識別子に関するデータが記録される。
与信枠情報領域には、このクレジットカードの利用限度額に関するデータが記録される。
利用履歴データ領域には、このクレジットカードを用いた支払の履歴情報が記録される。
【0031】
管理システム40は、企業の統括組織が用いるコンピュータシステムである。この管理システム40は、制御部41、仮想口座情報記憶部42、支払情報記憶部43を備える。
【0032】
制御部41は、支払管理プログラムを実行することにより、設定部410、取得部411、マッチング部412として機能する。
設定部410は、支払を管理するための仮想口座を設定する処理を実行する。
取得部411は、銀行システム20から、企業口座の入出金履歴情報を取得する処理を実行する。
マッチング部412は、取得した入出金履歴情報において、各出金の使途を特定する処理を実行する。
【0033】
仮想口座情報記憶部42には、統括組織が金融機関に開設した仮想口座に関する仮想口座管理情報が記録される。仮想口座管理情報は、金融機関に開設した仮想口座を登録した場合に記録される。仮想口座管理情報には、口座識別子情報、カード識別子情報、関連組織情報、使途情報が記録される。
【0034】
口座識別子情報領域には、仮想口座を特定するための識別子(本支店コード、預金種別、口座番号等)に関するデータが記録される。
カード識別子情報領域には、収納機関においてクレジットカード払いが可能な場合、支払に利用するクレジットカードを特定するための識別子に関するデータが記録される。なお、収納機関においてクレジットカード払いができない場合には、この情報領域は空欄にしておく。
【0035】
関連組織情報領域には、この仮想口座を支払に利用する関連組織を特定するための識別子に関するデータが記録される。
使途情報領域には、この関連組織において、仮想口座を支払に利用する使途を特定するための識別子に関するデータが記録される。関連組織及び使途により、支払用途を特定することができる。
【0036】
図3に示すように、仮想口座101〜106に対して、それぞれ「A拠点・電気代」〜「E拠点・広告費」のように設定する。ここで、電力会社D〜広告会社Fはクレジットカード払いが可能の場合、カードd〜fを用いて支払う。この場合、カードd〜fの引落口座は、それぞれ仮想口座104〜106を用いる。
【0037】
支払情報記憶部43には、仮想口座を用いた支払に関する支払管理情報が記録される。支払管理情報は、銀行システム20から取得した企業口座の入出金履歴のマッチングを行なった場合に記録される。支払管理情報には、関連組織、使途、支払日、支払額に関するデータが記録される。
【0038】
関連組織データ領域には、関連組織を特定するための識別子に関するデータが記録される。
使途データ領域には、支払の使途を特定するための識別子に関するデータが記録される。
支払日データ領域には、支払が行なわれた年月日に関するデータが記録される。
支払額データ領域には、支払金額に関するデータが記録される。
【0039】
(支払処理)
次に、図4図5を用いて、支払処理を説明する。統括組織において関連組織における支払を管理する場合、統括組織の担当者は、収納機関システム10を用いて、管理システム40にアクセスする。
【0040】
(管理情報の登録)
まず、管理システム40の制御部41は、仮想口座の開設処理を行なう(ステップS1−1)。具体的には、管理システム40において、入力装置H12を用いて、仮想口座の開設指示が入力された場合、制御部41の設定部410は、銀行システム20に対して、統括組織の実口座に対して仮想口座の開設を依頼する。この場合、銀行システム20は、統括組織からの依頼に基づいて、仮想口座情報記憶部23に仮想口座管理情報を登録し、統括組織の実口座と関連付ける。設定部410は、銀行システム20から仮想口座の口座識別子を取得する。
【0041】
次に、管理システム40の制御部41は、仮想口座と支払先との関連付け処理を行なう(ステップS1−2)。具体的には、制御部41の設定部410は、仮想口座情報記憶部42に、口座識別子を含めた仮想口座管理情報を生成し、仮想口座情報記憶部42に登録する。この場合、統括組織の担当者は、仮想口座に対して各関連組織の使途を割り当てる。そして、管理システム40の入力装置H12を用いて、割り当てた関連組織、使途が入力された場合、設定部410は、仮想口座情報記憶部42に記録された仮想口座管理情報に、割り当てた関連組織、使途を記録する。
【0042】
次に、管理システム40の制御部41は、クレジットカード払い可否判定を行なう(ステップS1−3)。具体的には、制御部41の設定部410は、支払方法設定画面を管理システム40の表示装置H13に出力する。この支払方法設定画面には、支払対象の収納機関に対する支払方法の選択欄が設けられている。この場合、統括組織の担当者は、管理システム40の入力装置H12を用いて、支払方法設定画面に、クレジットカード払い又は自動口座引落の何れかを選択する。
【0043】
収納先においてクレジットカード払いが許容されておらず、自動口座引落が選択された場合には、管理システム40の制御部41は、自動口座引落の設定処理を行なう(ステップS1−4)。具体的には、制御部41の設定部410は、収納機関システム10に対して、支払設定依頼を送信する。この支払設定依頼には、サービスを利用する拠点情報、支払に利用する仮想口座の仮想口座識別子に関する情報を含める。この場合、収納機関システム10は、利用者情報(拠点)に関連付けて、支払方法(口座振替)、利用料を引き落とす口座情報を記録する。
【0044】
一方、収納先においてクレジットカード払いが可能であり、クレジットカード払いが選択された場合には、管理システム40の制御部41は、仮想口座を支払口座とするカードの発行処理を行なう(ステップS1−5)。具体的には、制御部41の設定部410は、クレジットカード会社システム30に対して、クレジットカードの発行依頼を送信する。この発行依頼には、クレジットカードの利用料金の支払口座として、仮想口座の口座識別子に関する情報を含める。そして、設定部410は、クレジットカード会社システム30から、カード情報(カード識別子、有効期限、セキュリティコード)を取得する。
【0045】
次に、管理システム40の制御部41は、カード支払の設定処理を行なう(ステップS1−6)。具体的には、制御部41の設定部410は、収納機関システム10に対して、支払設定依頼を送信する。この支払設定依頼には、サービスを利用する拠点情報、支払に利用するクレジットカードのカード情報を含める。この場合、収納機関システム10は、利用者情報(拠点)に関連付けて、支払方法(クレジットカード払い)、利用料を請求するカード情報を記録する。
【0046】
(支払の請求)
そして、収納機関システム10は、利用料金の請求処理を行なう(ステップS1−7)。具体的には、収納機関システム10は、前回請求時期から今回請求時期までの利用に応じた請求額を算出する。支払方法として「口座振替」が設定されている場合には、収納機関システム10は、銀行システム20に対して、口座引落依頼を送信する。この口座引落依頼には、利用者の引落口座(仮想口座)の口座識別子、請求金額に関する情報を含める。
【0047】
一方、支払方法として「クレジットカード払い」が設定されている場合には、収納機関システム10は、クレジットカード会社システム30に対して、支払依頼を送信する。この支払依頼には、利用者のクレジットカードのカード識別子、請求額に関する情報を含める。
【0048】
更に、クレジットカード会社システム30は、クレジットカードの支払時になった場合、銀行システム20に対して、口座引落依頼を送信する。この口座引落依頼には、クレジットカードの利用料金の支払口座(仮想口座)の口座識別子、請求金額に関する情報を含める。
【0049】
次に、銀行システム20の口座管理部21は、口座引落処理を行なう(ステップS1−8)。具体的には、口座管理部21は、仮想口座情報記憶部23において、仮想口座に関連付けられた実口座を特定する。そして、口座管理部21は、口座情報記憶部22に記録された実口座の残高から、請求額を引き落とす。この場合、口座管理部21は、口座情報記憶部22において、実口座の口座管理情報の入出金履歴に出金履歴情報を記録する。この出金履歴情報には、請求があった仮想口座の口座識別子、請求額(引落額)に関する情報を含める。そして、口座管理部21は、引落金額を請求元の口座に入金する。
【0050】
(支払の管理)
次に、管理システム40の制御部41は、支払明細の取得処理を行なう(ステップS1−9)。具体的には、制御部41の取得部411は、銀行システム20の口座情報記憶部22から、実口座の口座管理情報の入出金履歴を取得する。
【0051】
次に、管理システム40の制御部41は、使途の特定処理を行なう(ステップS1−10)。具体的には、制御部41のマッチング部412は、入出金履歴において、仮想口座の口座識別子が記録されている場合には、仮想口座情報記憶部42から、口座識別子に関連付けられた関連組織、使途を取得する。そして、マッチング部412は、関連組織、使途に出金額を関連付けた支払管理情報を出力し、支払情報記憶部43に記録する。
【0052】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、管理システム40の制御部41は、仮想口座の開設処理(ステップS1−1)、仮想口座と支払先との関連付け処理(ステップS1−2)を行なう。そして、管理システム40の制御部41は、支払明細の取得処理(ステップS1−9)、使途の特定処理(ステップS1−10)を行なう。これにより、仮想口座を用いて、各支払の拠点や使途を特定することができる。
【0053】
(2)本実施形態では、収納先においてクレジットカード払いが許容されておらず、自動口座引落が選択された場合には、管理システム40の制御部41は、自動口座引落の設定処理を行なう(ステップS1−4)。これにより、クレジットカード払いができない場合には、収納機関によって引き落とされた仮想口座を用いて、各支払の拠点や使途を特定することができる。
【0054】
(3)本実施形態では、収納先においてクレジットカード払いが可能であり、クレジットカード払いが選択された場合には、管理システム40の制御部41は、仮想口座を支払口座とするカード発行処理(ステップS1−5)、カード支払の設定処理(ステップS1−6)を行なう。これにより、収納機関に対する支払の引落時期をまとめることができる。
【0055】
例えば、図5(a)に示すように、仮想口座を収納機関の引落口座として利用した場合、収納機関A〜Cによって引落時期が異なる場合がある。一方、図5(b)に示すように、収納機関D〜Fに対する支払をクレジットカード払いとした場合には、各引落時期をクレジットカードの引落時期にまとめることができる。そして、クレジットカードの引落時期までは、クレジットカードによる与信が行なわれるため、実口座の残高管理を効率化することができる。
【0056】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、管理システム40の制御部41は、仮想口座と支払先との関連付け処理を行なう(ステップS1−2)。収納先においてクレジットカード払い可能で、クレジットカード払いが選択された場合には、管理システム40の制御部41は、仮想口座を支払口座とするカード発行処理を行なう(ステップS1−5)。仮想口座と支払先の関連付け、カード発行の順番、仮想口座の開設時期及びカード発行時期は、これに限定されるものではない。各クレジットカードと各仮想口座とが個別に関連付けられていればよく、例えば、仮想口座の開設及びカード発行を同時期に行なってもよい。そして、仮想口座を引落口座とするクレジットカードを予め準備し、支払先を決定した場合に、仮想口座と支払先とを関連づけるようにしてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、管理システム40の制御部41は、仮想口座と支払先との関連付け処理(ステップS1−2)において、仮想口座とカード情報とを一対一対応で関連付ける。関連付けの方法は、これに限定されるものではない。例えば、一つの仮想口座を、複数のクレジットカードの引落口座として用いてもよい。この場合には、クレジットカード会社システム30から取引明細を取得し、取引明細により拠点や使途を特定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、収納機関システム10〜管理システム40を用いる。与信カードの引落口座として仮想口座を設定できれば、ハードウェア構成は、これらに限定されるものではない。例えば、管理システム40の各機能を、異なるシステムで実現してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…収納機関システム、20…銀行システム、21…口座管理部、22…口座情報記憶部、23…仮想口座情報記憶部、30…クレジットカード会社システム、31…カード管理部、32…カード利用情報記憶部、40…管理システム、41…制御部、410…設定部、411…取得部、412…マッチング部、42…仮想口座情報記憶部、43…支払情報記憶部。
【要約】
【課題】一つの口座からの支払を効率的に管理するための支払管理システム、支払管理方法及び支払管理プログラムを提供する。
【解決手段】管理システム40は、銀行システム20に開設された第1口座に対する請求を第2口座から引き落とした出金履歴を取得する制御部41と、第1口座の口座識別子に対して、収納先の支払用途を記憶した仮想口座情報記憶部42とを備える。そして、制御部41が、第1口座を引落口座として設定されて、ユーザに対して発行された与信カードを、収納先への支払に用いるために設定し、第1口座の口座識別子に対して支払用途を関連付けて、仮想口座情報記憶部42に記録し、第2口座の出金履歴を取得し、出金履歴に含まれる第1口座の口座識別子を、仮想口座情報記憶部42を用いて支払用途に変換して出力する。
【選択図】図1
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図2
図3
図4
図5