(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
自車両の最適な制御は走行場面毎に異なる。例えば、特定領域か非特定領域かで異なり、更に特定領域の種別毎によっても異なる。このため、自車両が特定領域を通過する際には、一律に同じ制御を行うのではなく、特定領域に合った制御を行うことが望ましい。
【0005】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、自車両が特定領域を通過する際に特定領域に合った制御を行うことができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明に係る車両制御装置は、
自車両の進行方向に存在する特定領域を認識しその種別を識別する領域認識部と、
前記特定領域の出口の外側に前記自車両が進入可能なスペースがあるか否かを判定するスペース有無判定部と、
前記スペースの有無に応じて前記自車両の制御を行う車両制御部と、を備え、
前記スペース有無判定部は、前記特定領域の種別に応じて前記スペースの有無を判定する方法を切り替える
ことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、自車両が特定領域の出口の外側にあるスペースに向かって走行する際に、特定領域の種別に応じて進入可能なスペースの有無を判定する方法を切り替えるため、特定領域に合ったスペースの有無判定を行うことができる。結果として、自車両が特定領域を通過する際に特定領域に合った制御を行うことができる。
【0008】
本発明に係る車両制御装置において、
前記自車両の前方を走行する先行車両を認識する他車認識部と、
前記先行車両の挙動を予測する他車挙動予測部と、を更に備え、
前記スペース有無判定部は、
前記領域認識部が前記特定領域を交差点として識別し、かつ、前記他車認識部が前記交差点の出口の外側に前記先行車両を認識する場合に、前記他車挙動予測部の予測結果に基づいて、現時点以降、前記先行車両の後方に前記スペースがあるか否かを判定し、
前記領域認識部が前記特定領域を踏切として識別し、かつ、前記他車認識部が前記踏切の出口の外側に前記先行車両を認識する場合に、前記他車認識部の認識結果に基づいて、現時点で、前記先行車両の後方に前記スペースがあるか否かを判定するようにしてもよい。
【0009】
上記構成によれば、交差点では現時点以降に先行車両の後方にスペースがあるか否かを判定するため、自車両が交差点を迅速に通過可能となる。仮に、自車両の後に自車両とは別方向に進行しようとする他車両が存在する場合、自車両が交差点に迅速に進入することにより他車両は別方向に迅速に進行することができる。このように、上記構成は渋滞の緩和に寄与する。また、上記構成によれば、踏切では現時点で先行車両の後方にスペースがあるか否かを判定するため、自車両は現時点でスペースがあるときに踏切に進入する。このとき、乗員は自車両が踏切を確実に通過できることを把握でき、安心して乗車することができる。
【0010】
スペース有無判定部は、前記先行車両と前記踏切の出口との距離が前記自車両の長さよりも長い場合に、前記スペースがあると判定してもよい。
【0011】
上記構成によれば、自車両は、踏切を通過して踏切の出口の外側にあるスペースに進入することができる。
【0012】
本発明によれば、自車両が特定領域を通過する際に特定領域に合った制御を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両制御装置について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、説明の主体となる車両を自車両といい、自車両以外の他の車両を他車両という。更に、自車両の進行方向の前方を走行する他車両を先行車両という。特に断りがない限り、先行車両というのは自車両の1台前を走行する他車両のことを意味する。
【0015】
[1.自車両10の構成]
図1に示されるように、自車両10は、車両制御装置12と、車両制御装置12が入力する各種情報を取得または記憶する入力系装置群14と、車両制御装置12が出力する各種指示に応じて動作する出力系装置群16と、を備える。自車両10は、車両制御装置12により運転操作が行われる自動運転車両(完全自動運転車両を含む。)、または、一部の運転操作を支援する運転支援車両である。
【0016】
[1.1.入力系装置群14]
入力系装置群14には、自車両10の周囲(外界)の状態を検出する外界センサ18と、自車両10の外部にある各種通信機器と情報の送受信を行う通信装置20と、位置精度がセンチメートル単位以下であるMPU(高精度地図)22と、目的地までの走行経路を生成すると共に自車両10の位置を計測するナビゲーション装置24と、自車両10の走行状態を検出する車両センサ26と、が含まれる。
【0017】
外界センサ18には、外界を撮像する1以上のカメラ28と、自車両10と周囲の物体との距離および自車両10と周囲の物体との相対速度を検出する1以上のレーダ30および1以上のLIDAR32と、が含まれる。通信装置20には、他車両100に設けられる通信装置102との間で車車間通信を行う第1通信装置34と、走行路120や踏切140等のインフラに設けられる通信装置122との間で路車間通信を行う第2通信装置36と、が含まれる。ナビゲーション装置24には、衛星航法システムおよび自立航法システムが含まれる。車両センサ26には、図示しない車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、傾斜センサ等が含まれる。
【0018】
[1.2.出力系装置群16]
出力系装置群16には、駆動力出力装置40と操舵装置42と制動装置44と報知装置46とが含まれる。駆動力出力装置40には、駆動力出力ECUと、エンジンや駆動モータ等の駆動源と、が含まれる。駆動力出力装置40は、乗員が行うアクセルペダルの操作または車両制御装置12から出力される駆動の制御指示に応じて駆動力を発生させる。操舵装置42には、電動パワーステアリングシステム(EPS)ECUと、EPSアクチュエータと、が含まれる。操舵装置42は、乗員が行うステアリングホイールの操作または車両制御装置12から出力される操舵の制御指示に応じて操舵力を発生させる。制動装置44には、ブレーキECUと、ブレーキアクチュエータと、が含まれる。制動装置44は、乗員が行うブレーキペダルの操作または車両制御装置12から出力される制動の制御指示に応じて制動力を発生させる。報知装置46には、報知ECUと、情報伝達装置(表示装置、音響装置、触覚装置等)と、が含まれる。報知装置46は、車両制御装置12または他のECUから出力される報知指示に応じて乗員に対する報知を行う。
【0019】
[1.3.車両制御装置12]
車両制御装置12はECUにより構成され、プロセッサ等の演算装置50と、ROMやRAM等の記憶装置52と、を備える。車両制御装置12は、演算装置50が記憶装置52に記憶されるプログラムを実行することにより各種機能を実現する。
図2に示されるように、演算装置50は外界認識部60と自車位置認識部70と行動計画部80と車両制御部90として機能する。
【0020】
外界認識部60は、外界センサ18から出力される情報に基づいて、自車両10の周囲の状況および物体を認識する。外界認識部60には、領域認識部62と他車認識部64と外界状態認識部66とが含まれる。領域認識部62は、カメラ28の画像情報に基づいて、自車両10の進行方向106(
図5等)に位置する特定領域{踏切140(
図5等)、交差点160(
図8等)、可動橋等}の存在、種別、大きさ、境界の位置等を認識する。他車認識部64は、カメラ28の画像情報および/またはレーダ30、LIDAR32の検知情報に基づいて、自車両10の周辺で走行または停車する他車両100の存在、位置、大きさ、種別を認識すると共に、自車両10と他車両100との距離、相対速度を認識する。外界状態認識部66は、カメラ28の画像情報に基づいて、道路環境全般、例えば、道路形状、道路幅、レーンマークの位置、車線数、車線幅、交通信号機162(
図8等)の点灯状態、遮断機142(
図5等)の開閉状態等を認識する。
【0021】
自車位置認識部70は、MPU22およびナビゲーション装置24から出力される情報に基づいて、自車両10の位置およびその位置周辺の地図情報を認識する。
【0022】
行動計画部80は、外界認識部60および自車位置認識部70の認識結果と、車両センサ26の検出結果と、に基づいて、自車両10の走行状況を判断し、自車両10の各種行動を策定する。行動計画部80には、他車挙動予測部82とスペース有無判定部84と通行可否判定部86と行動設定部88とが含まれる。他車挙動予測部82は、他車認識部64の認識結果に基づいて、他車両100の挙動を予測する。スペース有無判定部84は、外界認識部60の認識結果と他車挙動予測部82の予測結果とに基づいて、特定領域の出口140o、160o(
図5、
図8等)の外側に自車両10が進入可能なスペース130(
図5、
図8等)があるか否かを判定する。スペース有無判定部84は、特定領域の種別に応じてスペース130の有無を判定する方法を切り替える。通行可否判定部86は、外界認識部60の認識結果に基づいて、特定領域が通行可能状態であるか通行不可状態であるかを判定する。行動設定部88は、外界認識部60と自車位置認識部70の認識結果、および、他車挙動予測部82とスペース有無判定部84と通行可否判定部86の判定結果に基づいて、自車両10がとるべき行動を設定する。自車両10を走行させる場合は自車両10が目標とする走行軌道(目標走行軌道)および車速(目標車速)を設定する。
【0023】
車両制御部90は、行動計画部80の決定結果に基づいて出力系装置群16に対する制御指令値を算出する。車両制御部90には、走行制御を行う運転制御部92と報知制御を行う報知制御部94とが含まれる。運転制御部92は、行動計画部80で設定される目標走行軌道および目標車速に応じて制御指示を生成し、駆動力出力装置40、操舵装置42、制動装置44に対して出力する。報知制御部94は、乗員に対する報知指示を生成し、報知装置46に対して出力する。
【0024】
[2.車両制御装置12の動作]
[2.1.主処理]
図3を用いて車両制御装置12が行う主処理を説明する。本発明は、特定領域の種別に応じて特定領域の出口140o、160oの外側に自車両10が進入可能なスペース130があるか否かを判定する方法を切り替えるものである。ここでは一例として、特定領域が踏切140である場合と交差点160(踏切140以外)である場合とでスペース130の有無の判定方法を切り替える車両制御装置12の処理を説明する。以下で説明する処理は、自車両10の電源が投入されている間に繰り返し実行される。
【0025】
ステップS1において、外界認識部60は、入力系装置群14から出力される最新の情報を入力して外界を認識する。
【0026】
ステップS2において、領域認識部62は、自車両10の前方の領域を認識する。領域認識部62は、特定領域、ここでは踏切140および交差点160特有の設備や構造物を認識する場合に、特定領域の存在を認識する。例えば、遮断機142や線路146(共に
図5等)を認識することにより踏切140の存在を認識し、交通信号機162や自車両10の前方を横切る走行路120(共に
図8等)を認識することにより交差点160を認識する。更に、自車両10と特定領域との間に先行車両100fが認識されない場合に、自車両10の目の前に特定領域があると認識する。特定領域が存在する場合(ステップS2:YES)、処理はステップS3に移行する。一方、特定領域が存在しない場合(ステップS2:NO)、処理は一旦終了して次のサイクルの処理まで待機する。
【0027】
ステップS2からステップS3に移行すると、特定領域の種別が踏切140か否かが判定される。領域認識部62が踏切140を認識する場合(ステップS3:YES)、処理はステップS4に移行する。一方、領域認識部62が交差点160を認識する場合、すなわち踏切140を認識しない場合(ステップS3:NO)、処理はステップS5に移行する。
【0028】
ステップS3からステップS4に移行すると、踏切通過処理が行われる。踏切通過処理は、踏切140の出口140oの外側に自車両10が進入できるスペース130が形成されるまで、自車両10を踏切140の手前で待機させる処理である。踏切通過処理については下記[2.2]で説明する。
【0029】
ステップS3からステップS5に移行すると、交差点通過処理が行われる。交差点通過処理は、交差点160の出口160oの外側に自車両10が進入できるスペース130が形成されるか、または、形成されることが予測されるまで、自車両10を交差点160の手前で待機させる処理である。交差点通過処理については下記[2.3]で説明する。
【0030】
ステップS4の処理またはステップS5の処理が終了すると、ステップS6において、通行可否判定部86により特定領域が通行可能状態であるか通行不可状態であるかが判定される。例えば、判定は次のようにして行われる。
【0031】
特定領域が踏切140である場合、外界状態認識部66は、カメラ28の画像情報に基づいて、遮断機142のゲート144(遮断桿やロープ等、
図5等)や警告灯を認識する。通行可否判定部86は、外界状態認識部66により認識されるゲート144が停止しかつ所定位置よりも高い位置にあるときに通行可能状態であると判定し、ゲート144が動作しているかまたは所定位置よりも低い位置にあるときに通行不可状態であると判定する。これとは別に、通行可否判定部86は、外界状態認識部66により認識される警告灯が消灯しているときに通行可能状態であると判定し、警告灯が点灯しているときに通行不可状態であると判定してもよい。
【0032】
特定領域が交差点160である場合、外界状態認識部66は、カメラ28の画像情報に基づいて、交通信号機162を認識する。通行可否判定部86は、交通信号機162が進行許可を示すときに通行可能状態であると判定し、交通信号機162が進行許可以外(停止指示等)を示すときに通行不可状態であると判定する。
【0033】
なお、第2通信装置36を介して外部から受信する情報が特定領域の通行可否の情報を含む場合、通行可否判定部86は、その情報に基づいて特定領域が通行可能状態であるか通行不可状態であるかを判定してもよい。
【0034】
特定領域が通行可能状態である場合(ステップS6:YES)、処理はステップS7に移行する。一方、特定領域が通行不可状態である場合(ステップS6:NO)、処理はステップS8に移行する。
【0035】
ステップS6からステップS7に移行すると、行動設定部88は、自車両10の走行制御を行うことを選択する。例えば、自動運転中であれば、行動設定部88は自車両10を特定領域の出口140o、160oに向かって走行させるために目標走行軌道と目標車速を設定する。運転制御部92は目標走行軌道と目標車速に応じた制御指示を駆動力出力装置40、操舵装置42、制動装置44に出力する。手動運転中であれば、行動設定部88は進行可能であることの報知を選択する。行動設定部88は報知指示を報知装置46に出力する。
【0036】
ステップS6からステップS8に移行すると、行動設定部88は、自車両10の待機制御を行うことを選択する。例えば、自動運転中であれば、行動設定部88は自車両10を特定領域の入口140i、160i(
図5等)で停車させるために目標走行軌道と目標車速を設定する。自車両10が既に停車している場合は停車を継続する。運転制御部92は目標走行軌道と目標車速に応じた制御指示を駆動力出力装置40、操舵装置42、制動装置44に出力する。手動運転中であれば、行動設定部88は進行不可能であることの報知を選択する。行動設定部88は報知指示を報知装置46に出力する。
【0037】
[2.2.踏切通過処理]
図4〜
図6を用いて車両制御装置12が行う踏切通過処理を説明する。踏切通過処理は、
図3に示される主処理のステップS4で行われる処理である。ここでは、踏切140の出口140oの外側に自車両10が進入可能なスペース130があるか(
図5)、ないか(
図6)の判定処理、および、後者の場合は踏切140の前で自車両10を待機させる処理が行われる。
【0038】
ステップS11において、外界認識部60は、入力系装置群14から出力される最新の情報を入力して外界を認識する。
【0039】
ステップS12において、他車認識部64により踏切140の出口140oの外側に先行車両100fが認識されるか否かが判定される。先行車両100fが認識される場合(ステップS12:YES)、処理はステップS13に移行する。一方、先行車両100fが認識されない場合(ステップS12:NO)、踏切140の出口140oの外側には十分なスペース130があるため、踏切通過処理は終了して
図3に示される主処理のステップS6に移行する。
【0040】
ステップS12からステップS13に移行すると、スペース有無判定部84は、現時点で先行車両100fの後方にあるスペース130の大きさを算出する。例えば、
図5、
図6に示されるように、他車認識部64により認識される先行車両100fの後部104(後輪、ナンバープレート、バンパー等)の位置と、領域認識部62により認識される踏切140の出口140oの位置と、の距離をスペース130の大きさ(スペース長L2)として算出する。ここで、領域認識部62は、次のようにして踏切140の境界線148の位置、入口140i、出口140oの位置を認識する。遮断機142の位置を通り、かつ、線路146と平行する仮想線を境界線148とする。または、線路146から走行路120に沿って所定距離離れ、かつ、線路146と平行する仮想線を境界線148としてもよい。そして、自車両10の進行方向106に沿って踏切140の外部から内部に入るときに跨ぐ境界線148の位置を入口140iの位置とする。また、自車両10の進行方向106に沿って踏切140の内部から外部に出るときに跨ぐ境界線148の位置を出口140oの位置とする。
【0041】
ステップS14において、スペース有無判定部84は、認識結果に基づいて、自車両10が進入可能なスペース130があるか否かを判定する。スペース有無判定部84は、スペース長L2と自車両10の車長L1とを比較する。車長L1は予め記憶装置52に記載される。
図5に示されるように、車長L1<スペース長L2である場合、すなわち進入可能なスペース130がある場合(ステップS14:YES)、踏切通過処理は終了して主処理のステップS6に移行する。一方、
図6に示されるように、車長L1≧スペース長L2である場合、すなわち進入可能なスペース130がない場合(ステップS14:NO)、処理はステップS15に移行する。なお、スペース長L2に余裕分の所定距離αを加算し、車長L1とスペース長L2+αとを比較するようにしてもよい。
【0042】
ステップS14からステップS15に移行すると、行動設定部88は、自車両10の待機制御を行うことを選択する。例えば、自動運転中であれば、行動設定部88は自車両10を特定領域の入口140iまたは停止線124で停車させるために目標走行軌道と目標車速を設定する。自車両10が既に停車している場合は停車を継続する。運転制御部92は目標走行軌道と目標車速に応じた制御指示を駆動力出力装置40、操舵装置42、制動装置44に出力する。手動運転中であれば、行動設定部88は進行不可能であることの報知を選択する。報知制御部94は報知指示を報知装置46に出力する。
【0043】
[2.3.交差点通過処理]
図7〜
図9を用いて交差点通過処理の説明をする。交差点通過処理は、
図3に示される主処理のステップS5で行われる処理である。ここでは、交差点160の出口160oの外側に自車両10が進入可能なスペース130があるか(
図8)、ないか(
図9)の判定処理、および、後者の場合は交差点160の前で自車両10を待機させる処理が行われる。
【0044】
ステップS21において、外界認識部60は、入力系装置群14から出力される最新の情報を入力して外界を認識する。
【0045】
ステップS22において、他車認識部64により交差点160の出口160oの外側に先行車両100fが認識されるか否かが判定される。先行車両100fが認識される場合(ステップS22:YES)、処理はステップS23に移行する。一方、先行車両100fが認識されない場合(ステップS22:NO)、交差点160の出口160oの外側には十分なスペース130があるため、交差点通過処理は終了して
図3に示される主処理のステップS6に移行する。
【0046】
ステップS22からステップS23に移行すると、他車挙動予測部82は、現時点以降に先行車両100fの後方にスペース130があるかを予測する。例えば、他車挙動予測部82は、他車認識部64の認識結果に基づいて、先行車両100fのブレーキランプ108の点灯状態を判定する。先行車両100fのブレーキランプ108が点灯している場合、現時点で先行車両100fは停車している可能性が高く、所定時間内に交差点160の出口160oの外側に自車両10が進入可能なスペース130が形成される可能性は低い。このため、他車挙動予測部82は、現時点以降、先行車両100fが現在位置に留まるものと予測し、交差点160の出口160oの外側に自車両10が進入可能なスペース130はないものと予測する。一方、先行車両100fのブレーキランプ108が消灯している場合、現時点で先行車両100fは前方に進行している可能性が高く、所定時間内に交差点160の出口160oの外側に自車両10が進入可能なスペース130が形成される可能性は高い。このため、他車挙動予測部82は、現時点以降、先行車両100fが交差点160から十分離れるものと予測し、交差点160の出口160oの外側に自車両10が進入可能なスペース130はあるものと予測する。
【0047】
なお、先行車両100fのブレーキランプ108の点灯状態でなく、先行車両100fの車速を検出することにより、スペース130の有無を予測してもよい。このとき、先行車両100fの車速が0である場合にスペース130はないものと予測し、先行車両100fの車速が0よりも大きい場合にスペース130はあるものと予測する。また、自車両10の2〜3台前を走行する先行車両100fの挙動を予測し、これらの先行車両100fが前方に進行することを予測する場合に、自車両10の1台前を走行する先行車両100fが前方に進行するものと予測してもよい。
【0048】
ステップS24において、スペース有無判定部84は、予測結果に基づいて、自車両10が進入可能なスペース130があるか否かを判定する。進入可能なスペース130がある場合(ステップS24:YES)、交差点通過処理は終了して
図3に示される主処理のステップS6に移行する。一方、進入可能なスペース130がない場合(ステップS24:NO)、処理はステップS25に移行する。
【0049】
ステップS24からステップS25に移行すると、行動設定部88は、自車両10の待機制御を行うことを選択する。ここでは、
図4に示されるステップS15と同じ処理が行われる。
【0050】
[3.変形例]
上述した実施形態は本発明の一例である。本発明には様々な実施形態がある。例えば、外界認識部60で領域認識部62の機能を実行するのではなく、自車位置認識部70で領域認識部62の機能を実行するようにしてもよい。この場合、領域認識部62は、MPU22およびナビゲーション装置24の情報に基づいて特定領域を認識する。具体的には、自車両10の前方の地図情報をMPU22から取得することにより、特定領域の存在、種別、大きさ、境界の位置等を認識する。なお、特定領域の情報は、第2通信装置36によって取得することも可能である。
【0051】
また、他車認識部64は、外界センサ18の代わりに、第1通信装置34が行う車車間通信により先行車両100fの各種情報、例えば、車速、位置、進行方向等の情報を取得してもよい。
【0052】
また、外界状態認識部66は、外界センサ18の代わりに、第2通信装置36から交通信号機162の点灯状態や遮断機142の開閉状態等の情報を取得してもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、踏切140と交差点160のみを特定領域として認識する車両制御装置12の処理を説明したが、他の特定領域、例えば、可動橋等を認識し、スペース130の有無の判定方法を切り替えるようにしてもよい。
【0054】
[4.本実施形態のまとめ]
車両制御装置12は、自車両10の進行方向106に存在する特定領域、例えば踏切140や交差点160を認識しその種別を識別する領域認識部62と、特定領域の出口140o、160oの外側に自車両10が進入可能なスペース130があるか否かを判定するスペース有無判定部84と、スペース130の有無に応じて自車両10の制御を行う車両制御部90と、を備える。更に、スペース有無判定部84は、特定領域の種別に応じてスペース130の有無を判定する方法を切り替える。
【0055】
上記構成によれば、自車両10が特定領域の出口140o、160oの外側にあるスペース130に向かって走行する際に、特定領域の種別に応じて進入可能なスペース130の有無を判定する方法を切り替えるため、特定領域に合ったスペース130の有無判定を行うことができる。結果として、自車両10が特定領域を通過する際に特定領域に合った制御を行うことができる。
【0056】
また、車両制御装置12は、自車両10の前方を走行する先行車両100fを認識する他車認識部64と、先行車両100fの挙動を予測する他車挙動予測部82と、を更に備える。スペース有無判定部84は、領域認識部62が特定領域を交差点160として識別し、かつ、他車認識部64が交差点160の出口160oの外側に先行車両100fを認識する場合(
図7のステップS22:YES)に、他車挙動予測部82の予測結果に基づいて、現時点以降、先行車両100fの後方にスペース130があるか否かを判定する(
図7のステップS24)。また、スペース有無判定部84は、領域認識部62が特定領域を踏切140として識別し、かつ、他車認識部64が踏切140の出口140oの外側に先行車両100fを認識する場合(
図4のステップS12:YES)に、他車認識部64の認識結果に基づいて、現時点で、先行車両100fの後方にスペース130があるか否かを判定する(
図4のステップS14)。
【0057】
上記構成によれば、交差点160では現時点以降に先行車両100fの後方にスペース130があるか否かを判定するため、自車両10が交差点160を迅速に通過可能となる。仮に自車両10の後に自車両10とは別方向に進行しようとする他車両100が存在する場合、自車両10が交差点160に迅速に進入することにより他車両100は別方向に迅速に進行することができる。このように、上記構成は渋滞の緩和に寄与する。また、上記構成によれば、踏切140では現時点で先行車両100fの後方にスペース130があるか否かを判定するため、自車両10は現時点でスペース130があるときに踏切140に進入する。このとき、乗員は自車両10が踏切140を確実に通過できることを把握でき、安心して乗車することができる。
【0058】
スペース有無判定部84は、先行車両100fと踏切140の出口140oとの距離(スペース長L2)が自車両10の長さ(車長L1)よりも長い場合に、スペース130があると判定する。
【0059】
上記構成によれば、自車両10は、踏切140を通過して踏切140の出口140oの外側にあるスペース130に進入することができる。
【0060】
なお、本発明に係る車両制御装置は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。