(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799170
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】ガス分離タービン内の統合されたCO2捕捉プロセス
(51)【国際特許分類】
B01D 53/22 20060101AFI20201130BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20201130BHJP
B01D 71/06 20060101ALI20201130BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20201130BHJP
【FI】
B01D53/22
B01D53/62
B01D71/06
C01B32/50
【請求項の数】27
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-547067(P2019-547067)
(86)(22)【出願日】2017年11月17日
(65)【公表番号】特表2019-537511(P2019-537511A)
(43)【公表日】2019年12月26日
(86)【国際出願番号】PE2017000026
(87)【国際公開番号】WO2018117874
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年7月1日
(31)【優先権主張番号】15/353,310
(32)【優先日】2016年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519169465
【氏名又は名称】メンブレイン テクノロジー アンド リサーチ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー, リチャード ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】マーケル, ティモシー シー.
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−500570(JP,A)
【文献】
特表2014−515800(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0262328(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00−71/82
B01D 53/22
B01D 53/62
B01D 71/06
C01B 32/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼プロセスからの二酸化炭素排気を制御するためのプロセスであって、
(a)第1の圧縮ステップにおいて、酸素含有流を圧縮し、それによって、第1の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(b)二酸化炭素を選択的に除去するように適合されるガス分離装置に前記第1の圧縮されたガス流の少なくとも一部を経路指定し、それによって、二酸化炭素富化流および二酸化炭素枯渇流を生産するステップと、
(c)第2の圧縮ステップにおいて、前記二酸化炭素枯渇流を圧縮し、それによって、第2の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(d)燃焼装置において、前記第2の圧縮されたガス流の少なくとも一部とガス状燃料を燃焼させ、それによって、燃焼されたガス流を生産するステップと、
(e)作業ガス流の一部として電気発生器に機械的に結合されるガスタービン装置に前記燃焼されたガス流を経路指定し、前記ガスタービン装置を動作させ、それによって、電力を発生させ、タービン排気流を生産するステップと、
(f)前記タービン排気流の少なくとも一部を膜分離ステップに通過させるステップであって、前記膜分離ステップは、
(i)給送側および透過側を有し、窒素より二酸化炭素におよび酸素より二酸化炭素に選択的に透過性である膜を提供するステップと、
(ii)前記タービン排気流の少なくとも一部を前記給送側を横断して通過させるステップと、
(iii)空気、酸素富化空気、または酸素を掃引流として前記透過側を横断して通過させるステップと、
(iv)前記給送側から、前記タービン排気流と比較して二酸化炭素が枯渇した残留物流を引き出すステップと、
(v)前記透過側から、酸素および二酸化炭素を含む透過流を引き出すステップと
を含む、ステップと、
(g)前記透過流をステップ(a)に酸素含有ガスの少なくとも一部として通過させるステップと
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記ガス分離装置は、吸収、吸着、液化、および膜分離から成る群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ガス分離装置は、膜分離装置である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記膜分離装置は、ポリマー膜を組み込む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第2の圧縮されたガス流は、第1の部分および第2の部分を含み、前記第2の圧縮されたガス流の前記第1の部分は、ステップ(d)において燃焼させられ、前記プロセスは、前記第2の圧縮されたガス流の前記第2の部分をステップ(e)に前記作業ガス流の一部として通過させるステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記タービン排気流は、第1の部分および第2の部分を含み、前記タービン排気流の前記第1の部分は、ステップ(f)において前記膜分離ステップに通過させられ、前記プロセスは、
(h)ステップ(f)を行う前に、前記タービン排気流の前記第2の部分をステップ(a)に前記酸素含有ガスの少なくとも一部として通過させるステップをさらに含む、請求項1または5に記載のプロセス。
【請求項7】
ステップ(f)を行う前に、前記タービン排気流の少なくとも一部を排熱回収ボイラに経路指定するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
ステップ(f)を行う前に、前記タービン排気流の少なくとも一部を冷却するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記残留物流は、5体積%未満の二酸化炭素濃度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第1の圧縮されたガス流は、2バール〜10バールの範囲内の圧力で前記第1の圧縮ステップから引き出される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記第2の圧縮されたガス流は、30バールで前記第2の圧縮ステップから引き出される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
ステップ(b)に先立って、前記第1の圧縮されたガスを30〜100℃の温度まで冷却するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ガス状燃料は、天然ガスを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第1の圧縮されたガス流は、第1の部分および第2の部分を含み、前記第1の圧縮されたガス流の前記第1の部分は、ステップ(b)において前記ガス分離装置に経路指定され、前記第1の圧縮されたガス流の前記第2の部分は、ステップ(c)に先立って、ステップ(b)からの前記二酸化炭素枯渇流と混合される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
燃焼プロセスからの二酸化炭素排気を制御するためのプロセスであって、
(a)第1の圧縮装置において、酸素含有流を圧縮し、それによって、第1の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(b)第2の圧縮装置において、二酸化炭素含有流を圧縮し、それによって、第2の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(c)燃焼装置において、前記第1の圧縮されたガス流とガス状燃料を燃焼させ、それによって、燃焼されたガス流を生産するステップと、
(d)二酸化炭素を選択的に除去するように適合されるガス分離装置に前記第2の圧縮されたガス流の少なくとも一部を経路指定し、それによって、二酸化炭素富化流および二酸化炭素枯渇流を生産するステップと、
(e)第3の圧縮装置において、前記二酸化炭素枯渇流を圧縮し、それによって、第3の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(f)作業ガス流の一部として電気発生器に機械的に結合されるガスタービン装置に前記燃焼されたガス流および前記第3の圧縮されたガス流を経路指定し、前記ガスタービン装置を動作させ、それによって、電力を発生させ、タービン排気流を生産するステップであって、前記タービン排気流は、第1の部分、第2の部分、および第3の部分を含む、ステップと、
(g)前記タービン排気流の前記第1の部分を第2のコンプレッサに前記二酸化炭素含有流の少なくとも一部として戻すステップと、
(h)前記タービン排気流の前記第2の部分を膜分離ステップに通過させるステップであって、前記膜分離ステップは、
(i)給送側および透過側を有し、窒素より二酸化炭素におよび酸素より二酸化炭素に選択的に透過性である膜を提供するステップと、
(ii)前記タービン排気流の前記第3の部分を前記給送側を横断して通過させるステップと、
(iii)空気、酸素富化空気、または酸素を掃引流として前記透過側を横断して通過させるステップと、
(iv)前記給送側から、前記タービン排気流と比較して二酸化炭素が枯渇した残留物流を引き出すステップと、
(v)前記透過側から、酸素および二酸化炭素を含む透過流を引き出すステップと
を含む、ステップと、
(i)前記透過流をステップ(a)に酸素含有ガスの少なくとも一部として通過させるステップと
を含む、プロセス。
【請求項16】
前記ガス分離装置は、吸収、吸着、液化、および膜分離から成る群から選択される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ガス分離装置は、膜分離装置である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記膜分離装置は、ポリマー膜を組み込む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
ステップ(g)を行う前に、前記タービン排気流の前記第3の部分をステップ(a)に前記酸素含有ガスの少なくとも一部として通過させるステップをさらに含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項20】
ステップ(g)を行う前に、前記タービン排気流を排熱回収ボイラに経路指定するステップをさらに含む、請求項15または19に記載のプロセス。
【請求項21】
ステップ(g)を行う前に、前記タービン排気流を冷却するステップをさらに含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項22】
前記残留物流は、5体積%未満の二酸化炭素濃度を有する、請求項15に記載のプロセス。
【請求項23】
前記第2の圧縮されたガス流は、2バール〜10バールの範囲内の圧力で前記第2のコンプレッサから引き出される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項24】
前記第1の圧縮されたガス流は、30バールで第1のコンプレッサから引き出される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項25】
ステップ(d)に先立って、前記第2の圧縮されたガス流を30〜100℃の温度まで冷却するステップをさらに含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項26】
前記ガス状燃料は、天然ガスを含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項27】
前記第2の圧縮されたガス流は、第1の部分および第2の部分を含み、前記第2の圧縮されたガス流の前記第1の部分は、ステップ(d)において前記ガス分離装置に経路指定され、前記第2の圧縮されたガス流の前記第2の部分は、ステップ(e)に先立って、ステップ(d)からの前記二酸化炭素枯渇流と混合される、請求項15に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜ベースのガス分離プロセスに関し、具体的には、二酸化炭素を燃焼ガスから除去するための掃引ベースの膜分離プロセスに関する。より具体的には、本発明は、ガス燃料式発電所中に統合された低圧低温CO
2捕捉ステップを使用する。
【背景技術】
【0002】
下記に提示されるのは、詳細な説明において参照される技術的特徴に関するが、必ずしも、詳細に説明されない場合がある、本発明のある側面に関する背景情報である。下記の議論は、請求される発明についての情報または説明される資料の先行技術効果についての情報の関連性に関する容認として解釈されるべきではない。
【0003】
世界の電気の多くは、石炭発電所によって発生されている。これらの発電所は、生産された電気のキロワットあたり約800gのCO
2を大気中に排出している。これらの放出物は、地球温暖化の主な寄与因子である。天然ガスが、石炭に取って代わるためにますます使用されており、特に、米国では、傾斜掘削および水圧破砕の開発によって、大量の低コストガスの供給量が生産されている。天然ガス発電所は、生産された電気のキロワットあたり約400gのCO
2を大気中に排出しており、したがって、石炭から天然ガスへの燃料の切替は、CO
2放出物を半分まで削減する。しかしながら、より長期的に見ると、天然ガス発電所の放出物もまた、地球温暖化標的が満たされるべき場合、制御される必要があるであろう。
【0004】
種々の技術が、CO
2を発電所燃焼排ガスから分離するために開発されており、したがって、CO
2は、隔離され得る。アミン吸収は、先進技術であるが、コストがかかり、その独自の大気放出物を生産し、慎重な運用および保守を要求し、非常に大占有面積を有する。膜技術もまた、開発されており、より低い資本および動作コスト、モジュール式構造、小占有面積、無放出物、および発電所蒸気サイクルに対して変更が要求されないことを含む、多くの利点を有する。しかしながら、本技術は、アミンほど発展されていないものの、最大20トンCO
2/日を処理する実証用ユニットが、構築されている。
【0005】
米国特許第7,962,020号において、我々は、CO
2を石炭発電所燃焼排ガスから捕捉するための膜プロセスを開示している。これらのプロセスは、燃焼空気を掃引流として膜接触器内で使用する。空気掃引は、CO
2を燃焼排ガスから引き離し、それをボイラに戻してリサイクルする。CO
2をリサイクルする選択性によって、燃焼排ガス中のCO
2の濃度は、増加され、その分離をはるかに容易にする。これらのプロセスは、続いて、米国特許第8,220,247号等において、ガスタービン発電所に適用されている。
【0006】
天然ガスタービン発電所は、コストがかかり、大型であって、高度に最適化された機械である。タービンに対する軽微な修正のみが、必要とされ、これらのCO
2分離システムが既存のタービンに改造され得ることが期待される。しかしながら、新しい発電所にとって、CO
2捕捉コストの大幅な削減のための最大の希望は、捕捉プロセスをタービン設計の中に統合することである。
【0007】
1つのそのような統合されたプロセスは、我々の米国特許第9,140,186号に開示されており、本明細書では、
図4に示される。空気吸気流406が、第1のコンプレッサ401aに指向される。圧縮されたガス流443が、燃焼器402において、流入燃料ガス流416と燃焼される。燃焼器からの高温高圧ガス流417は、次いで、ガスタービン403を通して膨張される。ガスタービンは、シャフト405によって、それぞれ、第1および第2のコンプレッサ401aおよび401bと、電気発生器404とに機械的に連結される。ガスタービンからの低圧排ガス流419は、依然として、高温であって、排熱回収ボイラ420に送出される。本区分は、蒸気421を生産するボイラを含み、これは、蒸気タービン(図示せず)に指向され得る。排熱回収ボイラから退出するガスの第1の部分、すなわち流425は、給送ガスとして、掃引ベースの膜分離ステップ426に経路指定される。
【0008】
ステップ426は、酸素および窒素より二酸化炭素に有利に働くように選択的である、膜を使用して、実施される。給送流425は、膜の給送側を横断して流動し、空気、酸素富化空気、または酸素を含む掃引ガス流428は、透過側を横断して流動する。膜分離ステップは、流425を給送流425と比較して二酸化炭素が枯渇した残留物流429と、透過流/掃引流430とに分割する。残留物流は、プロセスによって生産された処理済み燃焼排ガスを形成する。少なくとも10体積%二酸化炭素を含有する、透過/掃引流430が、膜ユニットから引き出され、空気吸気流406の少なくとも一部を形成するためのコンプレッサ101aに、すなわち、第1の圧縮ステップ101aに通過される。
【0009】
タービン排気の第2の部分、すなわち流445が、第2のコンプレッサ401bに指向される。第2の圧縮流444が、次いで、ガス−膜分離ステップ412に指向される。ステップ412は、溶融塩膜446を使用し、これは、酸素および窒素より二酸化炭素に選択的であって、第2の圧縮流444を二酸化炭素富化透過流413と、二酸化炭素枯渇残留物流414とに分離する。ステップ412は、発生された二酸化炭素の少なくとも50%〜80%の任意の割合を燃焼器から除去するか、または、90%すら燃焼器から除去する。ステップ412による高レベルの二酸化炭素除去は、残留物流414が大気に排出されず、タービン403に戻されるため、要求されない。
【0010】
しかしながら、本設計の1つの不利点は、ガス分離ユニットの中に給送されている圧縮された空気が、約500℃と極度に高温であることである。実践的問題として、これは、CO
2透過性膜446を、高温に耐え得る、セラミックまたはゼオライト等の非常に高価な無機材料に限定する。より容易に利用可能であり、かつ、より低いコストのポリマー膜が、使用されるべき場合、ガスを30〜100℃範囲までもたらすための給送ガスの大量の冷却が、要求される。
【0011】
したがって、CO
2分離のためのより経済的である統合されたガス分離−タービンプロセスがもし開発されたとしたら有益となるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第7,962,020号明細書
【特許文献2】米国特許第8,220,247号明細書
【特許文献3】米国特許第9,140,186号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ガス燃料式発電所からの二酸化炭素放出物を低減させるための掃引ベースの膜ガス分離ステップを伴う、プロセスである。掃引ベースの膜ガス分離ステップは、二酸化炭素をタービン排ガスから除去し、それを流入掃引流とともに第1の圧縮ステップに戻す。本プロセスはまた、第2の圧縮ステップと、燃焼ステップと、膨張/発電ステップとを含む。
【0014】
本プロセスはさらに、第1の圧縮ステップと第2の圧縮ステップとの間に統合された二酸化炭素捕捉ステップを含む。炭素捕捉ステップは、第1の圧縮ステップからの圧縮されたガス流を処理し、プロセスから引き出される二酸化炭素富化流と、燃焼ステップに先立って、第2の圧縮ステップにおけるさらなる圧縮のために経路指定される、二酸化炭素枯渇流とを生産するステップを伴う。
【0015】
二酸化炭素捕捉ステップをタービン圧縮プロセスに統合することによって、膨大なエネルギーおよびコスト節約が、結果としてもたらされ得る。二酸化炭素捕捉プロセスは、従来のプロセスにおけるように、30バールで圧縮されたガス流に実施され得るが、本ガスは、極度に高温、典型的には、約500〜800℃である。本ガスを、本高温ガスを処理し得る、従来の膜または吸収または吸着プロセスのために十分に低い温度まで冷却することは、高価であって、ターボ膨張機を駆動するために要求される有意な割合の熱を喪失させるであろう。炭素捕捉ユニットを約2〜10バールの範囲内の中間圧縮段階に位置付けることによって、要求される冷却の量が、大幅に低減される。ベンフィールド炭酸カリウムプロセスは、100〜120℃の温度で動作することができる。いくつかのポリマー膜もまた、これらの温度で動作することができる。これは、限定された冷却のみが、要求され、したがって、プロセスを著しく簡略化するであろうことを意味する。
【0016】
故に、本発明の基本実施形態は、燃焼プロセスからの二酸化炭素排気を制御するためのプロセスであって、
(a)第1の圧縮装置において、酸素含有流を圧縮し、それによって、第1の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(b)第1の圧縮されたガス流の少なくとも一部を、二酸化炭素を選択的に除去するように適合される、ガス分離装置に経路指定し、それによって、二酸化炭素富化流および二酸化炭素枯渇流を生産するステップと、
(c)第2の圧縮装置において、二酸化炭素枯渇流を圧縮し、それによって、第2の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(d)燃焼装置において、第2の圧縮されたガス流の少なくとも一部とガス状燃料を燃焼させ、それによって、燃焼されたガス流を生産するステップと、
(e)燃焼されたガス流を、作業ガス流の一部として、電気発生器に機械的に結合される、ガスタービン装置に経路指定し、ガスタービン装置を動作させ、それによって、電力を発生させ、タービン排気流を生産するステップと、
(f)タービン排気流の少なくとも一部を膜分離ステップに通過させるステップであって、膜分離ステップは、
(i)給送側および透過側を有し、窒素より二酸化炭素におよび酸素より二酸化炭素に選択的に透過性である、膜を提供するステップと、
(ii)タービン排気流の第1の部分を給送側を横断して通過させるステップと、
(iii)空気、酸素富化空気、または酸素を掃引流として透過側を横断して通過させるステップと、
(iv)給送側から、タービン排気流と比較して二酸化炭素が枯渇した残留物流を引き出すステップと、
(v)透過側から、酸素および二酸化炭素を含む透過流を引き出すステップと、
を含む、ステップと、
(g)透過流をステップ(a)に酸素含有ガスの少なくとも一部として通過させるステップと、
を含む、プロセスである。
【0017】
圧縮ステップは、別個の離散コンプレッサを使用して、または圧縮されたガスの一部が系列内の中間段階において圧縮装置から除去されることを可能にするように修正された、単一圧縮系列または装置を使用して、実施されてもよい。ガスはまた、適切な圧縮段階において圧縮系列に導入されることができる。コンプレッサは、通常、典型的には、同一シャフト上のガスタービンまたは複数のタービンに結合される。
【0018】
ステップ(a)における圧縮後、ガス分離装置に経路指定されることになるガスは、概して、約2〜10バール、より好ましくは、約2〜5バールの圧力と、約200℃未満の温度とにあるであろう。ガス分離装置のための好ましい動作条件に応じて、給送物として二酸化炭素除去/捕捉ステップに通過させる前に、他のプロセス流に対する熱交換等によって、第1の圧縮されたガス流を冷却することが望ましくあり得る。
【0019】
ステップ(b)の二酸化炭素除去/捕捉ステップは、好ましくは、吸収、吸着、液化、および膜分離、またはこれらの組み合わせから成る群から選択される、少なくとも1つのプロセスを含む。最も好ましくは、二酸化炭素除去ステップは、膜分離ステップである。この場合、窒素および酸素より二酸化炭素に選択的に透過性である膜を含有する膜ユニットを組み込む、ガス分離装置/ユニットが、使用される。種々のタイプの膜が、使用されてもよいが、膜は、ポリマー膜であることが好ましい。
【0020】
二酸化炭素含有ガス流中の二酸化炭素の一部のみが、二酸化炭素除去プロセスによって除去される必要がある。いくつかのプロセス、例えば、吸収プロセスは、概して、それらがガス流中の90%以上の二酸化炭素を除去するとき、最も効率的である。この場合、給送ガスの一部のみが、分離ユニットに送出される必要があり、残りは、分離ユニットをバイパスするであろう。膜プロセス等の他のプロセスは、給送ガス中の50%または60%のみの二酸化炭素が膜によって除去されるとき、最も効率的である。この場合、分離ユニットに送出される給送ガスの部分は、より大きくなり、ガスの小部分しか分離ユニットをバイパスしないか、または、全く分離ユニットをバイパスしないであろう。
【0021】
吸収が使用される場合、ガス分離装置は、典型的には、ガスと収着剤を接触させるためのスクラブカラムと、収着剤を再生し、高濃度二酸化炭素流を放出するためのストリップカラムとを組み込むであろう。好ましい収着プロセスは、収着剤としての炭酸カリウムおよびアミンベースのプロセスを使用する、ベンフィールドプロセスを含む。
【0022】
ステップ(b)は、典型的には、60体積%、70体積%、80体積%、またはそれを上回る二酸化炭素を含有する、濃縮流の形態でプロセスから除去される、二酸化炭素を捕捉する。本流は、液化、隔離、または任意のその他の使用のために送出されてもよい。
【0023】
ステップ(c)では、二酸化炭素除去ステップからの二酸化炭素枯渇流は、第2のコンプレッサにおいて、約30バールの圧力および約500℃以上の温度まで圧縮される。
【0024】
ステップ(d)は、天然ガス、水素、または合成ガス、またはさらには蒸発された炭化水素液体等の任意の燃焼性ガスを燃料として使用して実施されてもよい。
【0025】
ステップ(e)は、ガスタービンがコンプレッサおよび発電器に機械的に連結される、発電ステップである。燃焼器からの燃焼されたガスは、作業ガス流の一部としてガスタービンに経路指定され、低圧高温タービン排ガスを生産する。随意に、ある側面では、第2の圧縮流の一部は、燃焼ステップをバイパスし、作業ガス流の一部としての希釈剤流としてタービンに送出されてもよい。
【0026】
ステップ(f)では、タービン排ガスの少なくとも一部は、窒素より二酸化炭素におよび酸素より二酸化炭素に選択的に透過性の膜を含有する、膜分離ユニットの給送側を横断して通過される。
【0027】
排気流は、膜の給送側を横断して流動し、空気、酸素富化空気、または酸素の掃引ガスは、透過側を横断して流動し、経膜透過のための駆動力を提供または増強させる。掃引流は、優先的に透過する二酸化炭素を取り込む。組み合わせられた掃引/透過流は、膜ユニットから引き出され、燃焼器に指向され、燃焼ステップへの空気、酸素富化空気、または酸素給送の少なくとも一部を形成する。
【0028】
掃引ベースの膜分離ステップの不在下では、コンプレッサおよび燃焼器に流入する新鮮な空気は、通常大気含有量の二酸化炭素(300〜400ppm)を含有するであろう。膜透過/掃引流は、大気空気と比較して2〜3桁二酸化炭素が富化され、好ましくは、少なくとも約10体積%二酸化炭素、より好ましくは、少なくとも約15体積%二酸化炭素、または20体積%以上の等のさらにより高い二酸化炭素を含有するであろう。
【0029】
ステップ(f)によってもたらされる流入空気または酸素流中の二酸化炭素の大幅な富化は、本組成物調節空気流が、全体的プロセスのために、二酸化炭素除去および捕捉のための源流として利用されることを可能にする。
【0030】
ステップ(f)(iv)に従って引き出される残留物流は、プロセスによって生産された処理済み燃焼排ガスを形成し、通常、発電所スタックを介して、環境中に放出される。二酸化炭素含有量は、好ましくは、約5体積%未満、より好ましくは、約2体積%未満、最も好ましくは、約1体積%以下である。ガス燃料式発電所からの燃焼排ガスの従来の含有量の20%、10%、またはそれ未満までの二酸化炭素含有量の低減は、発電所の環境影響を大幅に低減させる。
【0031】
本発明のプロセスは、あらゆるタイプのガス燃料式発電所において実施されることができる。コンバインドサイクル発電所では、ガスタービン排ガス流は、掃引ベースの膜分離ステップへの給送ガスが排熱回収ボイラからの排ガスであるように、ステップ(e)と(f)との間の排熱回収ボイラ(HRSG)動作を通して指向されることができる。
【0032】
掃引ベースの膜ステップに通過させる前に、タービン排ガスを冷却することが必要である場合、これは、熱交換によって、または別様に随意の冷却ステップにおいて行われてもよい。任意の凝縮された水は、プロセスから除去され得る。
【0033】
タービン排ガスの全部または一部のいずれかは、次いで、給送物として掃引ベースの膜分離ステップに送出され、結果としてもたらされる透過/掃引流は、ステップ(a)における第1のコンプレッサに返される。我々の前述の第‘247号特許に説明される実施形態と同様に、タービン排気流の一部は、随意に、掃引ベースの膜分離ステップを通して通過せずに、方向転換され、圧縮系列に返されてもよい。
【0034】
上記に議論される実施形態では、二酸化炭素捕捉ステップおよび燃焼ステップは、直列に実施される。すなわち、二酸化炭素捕捉ステップは、燃焼ステップの前に生じる。しかしながら、炭素捕捉ステップおよび燃焼ステップを同時に並行して実施することが望ましくあり得る。このように、典型的には、少なくとも15%酸素を含有する、酸素豊富ガスが、燃焼器ユニットに送出される一方、第2の二酸化炭素豊富ガスは、最初に、二酸化炭素捕捉/除去ユニットに送出され、次いで、タービン膨張機のための希釈剤ガスとなる。二酸化炭素豊富ガスは、燃焼器に送出されないため、その酸素含有量は、重要ではない。これは、2つのガス流が、プロセス内の別個の場所から取り込まれ、一方では、酸素含有量を最大限にし、他方では、別個に、二酸化炭素含有量を最大限にすることを可能にする。したがって、代替実施形態として、本発明は、以下のステップを含んでもよい。
(a)第1の圧縮ステップにおいて、酸素含有流を圧縮し、それによって、第1の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(b)第2の圧縮ステップにおいて、二酸化炭素含有流を圧縮し、それによって、第2の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(c)燃焼装置において、第1の圧縮されたガス流とガス状燃料を燃焼させ、それによって、燃焼されたガス流を生産するステップと、
(d)第2の圧縮されたガス流の少なくとも一部を、二酸化炭素を選択的に除去するように適合される、ガス分離装置に経路指定し、それによって、二酸化炭素富化流および二酸化炭素枯渇流を生産するステップと、
(e)第3の圧縮ステップにおいて、二酸化炭素枯渇流を圧縮し、それによって、第3の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(f)燃焼されたガス流および第3の圧縮されたガス流を、作業ガス流の一部として、電気発生器に機械的に結合される、ガスタービン装置に経路指定し、ガスタービン装置を動作させ、それによって、電力を発生させ、タービン排気流を生産するステップと、
(g)タービン排気流の第1の部分を第2のコンプレッサに二酸化炭素含有流の少なくとも一部として戻すステップと、
(h)タービン排気流の少なくとも第2の部分を膜分離ステップに通過させるステップであって、膜分離ステップは、
(i)給送側および透過側を有し、窒素より二酸化炭素におよび酸素より二酸化炭素に選択的に透過性である、膜を提供するステップと、
(ii)タービン排気流の第3の部分を給送側を横断して通過させるステップと、
(iii)空気、酸素富化空気、または酸素を掃引流として透過側を横断して通過させるステップと、
(iv)給送側から、タービン排気流と比較して二酸化炭素が枯渇した残留物流を引き出すステップと、
(v)透過側から、酸素および二酸化炭素を含む透過流を引き出すステップと、
を含む、ステップと、
(i)透過流をステップ(a)に酸素含有ガスの少なくとも一部として通過させるステップと、
を含む。
【0035】
本実施形態は、3つの圧縮ステップを伴う。第1の圧縮ステップでは、掃引ベースの膜分離ステップからの透過/掃引流は、第1の空気吸気流として圧縮され、第1の圧縮されたガス流を生産する。第1の空気吸気流は、約30バールの圧力および約500℃以上の温度まで圧縮される。第1の圧縮流は、次いで、燃焼器に、燃料ガス流とともに送出される。
【0036】
第2の圧縮ステップでは、タービン排気流の一部は、掃引ベースの膜分離ステップをバイパスし、圧縮され、第2の圧縮されたガス流を生産する。第2の圧縮されたガス流は、約2〜10バール、より好ましくは、約2〜5バールの圧力まで圧縮される。本流は、約200℃未満の温度を有するであろう。第2の圧縮されたガス流は、次いで、ガス分離装置における処理のために、炭素捕捉ステップに経路指定される。
【0037】
第3の圧縮ステップでは、炭素捕捉ステップからのオフガスは、圧縮され、第3の圧縮されたガス流を生産する。本流は、約30バールの圧力まで圧縮され、第1の圧縮ステップのように、約500℃以上の温度を有する。第3の圧縮流は、次いで、作業ガス流の一部として、燃焼ステップからの燃焼されたガスとともに、ガスタービンに指向される。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
燃焼プロセスからの二酸化炭素排気を制御するためのプロセスであって、
(a)第1の圧縮ステップにおいて、酸素含有流を圧縮し、それによって、第1の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(b)二酸化炭素を選択的に除去するように適合されるガス分離装置に前記第1の圧縮されたガス流の少なくとも一部を経路指定し、それによって、二酸化炭素富化流および二酸化炭素枯渇流を生産するステップと、
(c)第2の圧縮ステップにおいて、前記二酸化炭素枯渇流を圧縮し、それによって、第2の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(d)燃焼装置において、前記第2の圧縮されたガス流の少なくとも一部とガス状燃料を燃焼させ、それによって、燃焼されたガス流を生産するステップと、
(e)作業ガス流の一部として電気発生器に機械的に結合されるガスタービン装置に前記燃焼されたガス流を経路指定し、前記ガスタービン装置を動作させ、それによって、電力を発生させ、タービン排気流を生産するステップと、
(f)前記タービン排気流の少なくとも一部を膜分離ステップに通過させるステップであって、前記膜分離ステップは、
(i)給送側および透過側を有し、窒素より二酸化炭素におよび酸素より二酸化炭素に選択的に透過性である膜を提供するステップと、
(ii)前記タービン排気流の第1の部分を前記給送側を横断して通過させるステップと、
(iii)空気、酸素富化空気、または酸素を掃引流として前記透過側を横断して通過させるステップと、
(iv)前記給送側から、前記タービン排気流と比較して二酸化炭素が枯渇した残留物流を引き出すステップと、
(v)前記透過側から、酸素および二酸化炭素を含む透過流を引き出すステップと
を含む、ステップと、
(g)前記透過流をステップ(a)に酸素含有ガスの少なくとも一部として通過させるステップと
を含む、プロセス。
(項目2)
前記ガス分離装置は、吸収、吸着、液化、および膜分離から成る群から選択される、項目1に記載のプロセス。
(項目3)
前記ガス分離装置は、膜分離装置である、項目2に記載のプロセス。
(項目4)
前記膜分離装置は、ポリマー膜を組み込む、項目3に記載のプロセス。
(項目5)
前記第2の圧縮流の第2の部分をステップ(e)に前記作業ガス流の一部として通過させるステップをさらに含む、項目1に記載のプロセス。
(項目6)
(h)ステップ(f)を行う前に、前記タービン排気流の第2の部分をステップ(a)に前記酸素含有ガスの少なくとも一部として通過させるステップをさらに含む、項目1または5に記載のプロセス。
(項目7)
ステップ(f)を行う前に、前記タービン排気流の少なくとも一部を排熱回収ボイラに経路指定するステップをさらに含む、項目1に記載のプロセス。
(項目8)
ステップ(f)を行う前に、前記タービン排気流の少なくとも一部を冷却するステップをさらに含む、項目1に記載のプロセス。
(項目9)
前記残留物流は、5体積%未満の二酸化炭素濃度を有する、項目1に記載のプロセス。
(項目10)
前記第1の圧縮されたガス流は、約2バール〜約10バールの範囲内の圧力で前記第1の圧縮ステップから引き出される、項目1に記載のプロセス。
(項目11)
前記第2の圧縮されたガス流は、約30バールで前記第2の圧縮ステップから引き出される、項目1に記載のプロセス。
(項目12)
ステップ(b)に先立って、前記第1の圧縮されたガスを約30〜100℃の温度まで冷却するステップをさらに含む、項目1に記載のプロセス。
(項目13)
前記ガス状燃料は、天然ガスを含む、項目1に記載のプロセス。
(項目14)
前記第1の圧縮流の第2の部分は、ステップ(c)に先立って、ステップ(b)からの前記二酸化炭素枯渇流と混合される、項目1に記載のプロセス。
(項目15)
燃焼プロセスからの二酸化炭素排気を制御するためのプロセスであって、
(a)第1の圧縮装置において、酸素含有流を圧縮し、それによって、第1の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(b)第2の圧縮装置において、二酸化炭素含有流を圧縮し、それによって、第2の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(c)燃焼装置において、前記第1の圧縮されたガス流とガス状燃料を燃焼させ、それによって、燃焼されたガス流を生産するステップと、
(d)二酸化炭素を選択的に除去するように適合されるガス分離装置に前記第2の圧縮されたガス流の少なくとも一部を経路指定し、それによって、二酸化炭素富化流および二酸化炭素枯渇流を生産するステップと、
(e)第3の圧縮装置において、前記二酸化炭素枯渇流を圧縮し、それによって、第3の圧縮されたガス流を生産するステップと、
(f)作業ガス流の一部として電気発生器に機械的に結合されるガスタービン装置に前記燃焼されたガス流および前記第3の圧縮されたガス流を経路指定し、前記ガスタービン装置を動作させ、それによって、電力を発生させ、タービン排気流を生産するステップと、
(g)前記タービン排気流の第1の部分を第2のコンプレッサに前記二酸化炭素含有流の少なくとも一部として戻すステップと、
(h)前記タービン排気流の少なくとも第2の部分を膜分離ステップに通過させるステップであって、前記膜分離ステップは、
(i)給送側および透過側を有し、窒素より二酸化炭素におよび酸素より二酸化炭素に選択的に透過性である膜を提供するステップと、
(ii)前記タービン排気流の第3の部分を前記給送側を横断して通過させるステップと、
(iii)空気、酸素富化空気、または酸素を掃引流として前記透過側を横断して通過させるステップと、
(iv)前記給送側から、前記タービン排気流と比較して二酸化炭素が枯渇した残留物流を引き出すステップと、
(v)前記透過側から、酸素および二酸化炭素を含む透過流を引き出すステップと
を含む、ステップと、
(i)前記透過流をステップ(a)に酸素含有ガスの少なくとも一部として通過させるステップと
を含む、プロセス。
(項目16)
前記ガス分離装置は、吸収、吸着、液化、および膜分離から成る群から選択される、項目15に記載のプロセス。
(項目17)
前記ガス分離装置は、膜分離装置である、項目16に記載のプロセス。
(項目18)
前記膜分離装置は、ポリマー膜を組み込む、項目17に記載のプロセス。
(項目19)
ステップ(g)を行う前に、前記タービン排気流の第3の部分をステップ(a)に前記酸素含有ガスの少なくとも一部として通過させるステップをさらに含む、項目15に記載のプロセス。
(項目20)
ステップ(g)を行う前に、前記タービン排気流を排熱回収ボイラに経路指定するステップをさらに含む、項目15または19に記載のプロセス。
(項目21)
ステップ(g)を行う前に、前記タービン排気流を冷却するステップをさらに含む、項目15に記載のプロセス。
(項目22)
前記残留物流は、5体積%未満の二酸化炭素濃度を有する、項目15に記載のプロセス。
(項目23)
前記第2の圧縮されたガス流は、約2バール〜約10バールの範囲内の圧力で前記第2のコンプレッサから引き出される、項目15に記載のプロセス。
(項目24)
前記第1の圧縮されたガス流は、約30バールで第1のコンプレッサから引き出される、項目15に記載のプロセス。
(項目25)
ステップ(d)に先立って、前記第2の圧縮されたガス流を約30〜100℃の温度まで冷却するステップをさらに含む、項目15に記載のプロセス。
(項目26)
前記ガス状燃料は、天然ガスを含む、項目15に記載のプロセス。
(項目27)
前記第2の圧縮流の第2の部分は、ステップ(e)に先立って、ステップ(d)からの前記二酸化炭素枯渇流と混合される、項目15に記載のプロセス。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、2つの圧縮ステップを有し、ガス分離ユニットがステップ間に統合された、本発明の基本実施形態を示す、フロー図の概略図である。
【
図2】
図2は、二酸化炭素選択的膜分離ユニットが使用される、本発明のガス分離区分の拡大図である。
【
図3】
図3は、3つの圧縮ステップを有する本発明の実施形態を示す、フロー図の概略図である。
【
図4】
図4は、2つのコンプレッサを使用したプロセスを示す、フロー図の概略図である(本発明によるものではない)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
用語「ガス」は、本明細書で使用されるように、ガスまたは蒸気を意味する。
【0040】
用語「排ガス」、「燃焼排ガス」、および「放出物流」は、本明細書では、同義的に使用される。
【0041】
用語「モル%」および「体積%」は、本明細書では、同義的に使用される。
【0042】
本発明は、具体的には、従来の発電所、HRSGを組み込むコンバインドサイクル発電所、およびIGCC発電所を含む、ガス燃料式発電所からの二酸化炭素放出物を制御するために、膜ベースのガス分離および発電を伴う、プロセスである。本プロセスは、従来の発電所におけるように、複数の圧縮ステップと、燃焼ステップと、膨張/発電ステップとを含む。本プロセスはまた、掃引駆動式膜分離ステップと、二酸化炭素除去または捕捉ステップとを含む。電力を発生させるプロセスに加え、本プロセスは、2つのガス流、すなわち、発電所スタックに送出され得る、低二酸化炭素濃度の排出または燃焼排ガス流と、精製および/または隔離のために送出され得る、高濃度の二酸化炭素生成物流とをもたらす。
【0043】
本発明による、ガス分離および発電プロセスの基本実施形態のための単純フロー図が、
図1に示される。本明細書のプロセススキームを示す、
図1および他の図は、非常に単純なブロック図であって、本発明のプロセスの重要なユニット動作を明確にするために意図され、実際のプロセス系列は、圧力、温度、流量、および同等物の加熱、深冷、圧縮、凝縮、圧送、監視等の標準的タイプの付加的ステップを含んでもよいことは、当業者によって理解されるであろう。また、ユニット動作自体は、複数のステップとして、または機器の複数の部品の系列において実施されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0044】
図1に戻ると、空気、酸素富化空気、または酸素が、流130としてプロセスの中に導入され、掃引流として、下記により詳細に議論される、掃引駆動式膜分離ユニット127の透過側を横断して流動する。透過流131は、膜128を透過した掃引ガスおよび二酸化炭素の両方を含み、好ましくは、少なくとも約10体積%、より好ましくは、少なくとも約15体積%、最も好ましくは、少なくとも約20体積%の二酸化炭素含有量を有する。流131は、タービン排気流120および/または補給空気流132の一部の随意の追加とともに、空気吸気流135として、圧縮ステップ101に通過する。
【0045】
第1の圧縮ステップは、1つまたは複数の圧縮ユニットにおいて実施され、約2〜10バールの領域内の軽度の圧力で圧縮流102を生産する。
【0046】
典型的には、流102は、約150〜200℃の温度における高温である。分離機器の動作温度に応じて、流102は、熱交換、回収によって、または別様に随意の冷却ステップ103において冷却され、冷却された流104を生産してもよい。流104は、好ましくは、約30〜100℃の温度まで冷却される。冷却の結果として凝縮された水は、流105として除去されてもよい。
【0047】
圧縮流102(または冷却された流104)は、ガス分離ステップ106に指向され、そこで、二酸化炭素は、捕捉され、流107を介して、プロセスから除去される。
【0048】
種々の考慮点が、ステップ106のための技術および動作方法論の選択肢に影響を及ぼす。定常状態では、流107および129においてプロセスから除去される二酸化炭素の質量は、燃焼によって発生された二酸化炭素の質量と等しい。好ましくは、発生された二酸化炭素の少なくとも50%、より好ましくは、少なくとも80%または90%が、流107の中に捕捉されるべきである。
【0049】
なお、ガス分離による給送入口ガス流102または104からの二酸化炭素の非常に高レベルの除去は、オフガス流108が、大気中に排出されず、しかしながら最終的に、掃引ベースの膜分離ステップ127に指向されるため、要求されない。掃引ベースの膜分離ステップは、流102/104中の二酸化炭素濃度が、15体積%、20体積%、またはそれを上回る等、比較的に高い傾向にあるように、流131中の二酸化炭素をリサイクルする。本リサイクル二酸化炭素の一部のみが、流107の中に除去され、標的の高レベルの二酸化炭素捕捉を達成する必要がある。これは、ステップ106が、次いで、比較的に低コストかつ低エネルギーのオプションを使用して動作され得るため、プロセスの有意な利点である。
【0050】
ステップ106は、濃縮二酸化炭素流を流102または104から生成し得る、任意の技術または技術の組み合わせを用いて実施されることができる。使用され得る代表的方法は、限定ではないが、物理的または化学収着、膜分離、圧縮/低温凝縮、および吸着を含む。これらは全て、それらが種々のタイプのガス混合物からの二酸化炭素除去に関するため、当技術分野において周知である。しかしながら、上記に議論される考慮点に基づいて、好ましい技術は、吸収および膜分離である。
【0051】
ステップ106は、プロセスから引き出される、濃縮二酸化炭素流107を生産する。規定された好ましい捕捉標的を満たすことに加え、本流は、比較的に高い二酸化炭素濃度を有し、好ましくは、約60または70体積%を上回る二酸化炭素を含有する。最も好ましくは、本流は、少なくとも約80体積%二酸化炭素を含有する。したがって、異例なことに、プロセスは、1つの流において、高レベルの二酸化炭素捕捉および高い二酸化炭素濃度の両方を達成する。
【0052】
プロセスからの引き出し後、流107は、任意の所望の目的地に通過し得る。高濃度は、液化、移送、導管輸送、注入、および他の形態の隔離を促進する。
【0053】
二酸化炭素除去または捕捉ステップからのオフガス流108は、依然として、二酸化炭素を含有するが、圧縮されたガス流102/104より低い濃度にある。典型的には、必ずしもではないが、本濃度は、少なくとも約5体積%であって、最大約10体積%またはさらにそれを上回り得る。
【0054】
流108(または流136)は、第2の圧縮ステップ109に送出される。第2の圧縮ステップは、1つまたは複数のコンプレッサにおいて実施され、約20バール、30バール、またはさらにより高い圧力で第2の圧縮流109を生産する。
図1における第1および第2の圧縮ステップは、2つの別個のコンプレッサを使用して示されるが、圧縮ステップは、単一圧縮系列または装置を使用して実施されてもよく、これは、圧縮されたガスの一部が、系列/装置内の中間段階において、圧縮装置に導入されるかまたはそこから除去されることを可能にするように修正されている。
【0055】
随意に、第1の圧縮流の一部134は、冷却ステップ103およびガス分離ステップ106をバイパスし、膜残留物流108と混合され、第2の圧縮ステップ109に進入する前に、空気吸気流136を形成することが好ましくあり得る。二酸化炭素除去がガス中のわずか40〜70%の二酸化炭素である膜ガス分離プロセスでは、バイパスは、閉鎖される。二酸化炭素除去が約90%であるアミンプロセスでは、次いで、バイパスは、部分的に開放され、第1の圧縮流の一部のみが、分離ユニットに進む。
【0056】
第2の圧縮流110が、燃料流111とともに、燃焼ステップまたはゾーン112の中に導入される。天然ガス、他のメタン含有ガス、合成ガス、水素、または空気中で燃焼可能な任意の他の燃料も、使用されてもよい。燃焼は、高温高圧ガス流113を生産する。
【0057】
従来のガス燃料式燃焼プロセスでは、燃焼器からの排ガスは、典型的には、約4または5体積%二酸化炭素を含有する。我々のプロセスでは、二酸化炭素は、下記により詳細に議論されるように、流131/133/135を介してリサイクルされる。その結果、流113中の二酸化炭素の濃度は、従来の天然ガス燃料式発電所におけるより高く、頻繁に、少なくとも約10体積%、さらに少なくとも15体積%、20体積%、またはそれを上回って高くなる。
【0058】
流113は、次いで、作業ガス流115として、ガスタービン区分116に送出される。随意に、第2の圧縮流の一部114は、ガスタービン区分116に送出される前に、流113と混合され、作業ガス流115を形成してもよい。本区分は、1つ以上の一般に複数のガスタービンを含有し、これは、シャフト117を用いて、コンプレッサ101および109と、電気発生器118とに結合される。作業ガスは、ガスタービンを駆動し、これは、ひいては、発生器を駆動し、電力を生産する。
【0059】
タービンからの低圧排ガス、すなわち流119は、依然として、高温であって、随意に、好ましくは、排熱回収ボイラ121に指向される。本区分は、蒸気タービン(図示せず)に指向され得る蒸気122を生産するボイラを含む。排熱回収ボイラから退出するガス、すなわち流123は、給送ガスとして、掃引ベースの膜分離ステップ127に経路指定される。膜ユニットに通過させる前に、タービン排ガスを冷却する必要がある場合、これは、熱交換によって、または別様に冷却ステップ124において行われてもよい。任意の凝縮された水は、流125として除去され得る。随意のHRSG121を通した通過、随意の冷却ステップ、または両方の後、タービン排気流は、ここで、給送流126として、掃引ベースの膜分離ステップ127に通過する。
【0060】
ステップ127は、酸素および窒素より二酸化炭素に有利に働くように選択的である、膜を使用して実施される。膜は、プロセスの動作条件下、少なくとも約10、最も好ましくは、少なくとも約20の二酸化炭素/窒素選択性を提供することが好ましい。少なくとも10または20の二酸化炭素/酸素選択性もまた、好ましい。少なくとも約300gpu、より好ましくは、少なくとも約500gpu、最も好ましくは、少なくとも約1,000gpuの二酸化炭素透過率が、望ましい。透過率は、分離性能に影響を及ぼさないが、透過率が高いほど、同一の分離を実施するために要求される膜面積は、小さくなるであろう。
【0061】
好適な性能特性を伴う任意の膜が、使用されてもよい。多くのポリマー材料、特に、エラストマ材料は、二酸化炭素に非常に透過性である。二酸化炭素を窒素または他の不活性ガスから分離するための好ましい膜は、ポリエーテルに基づく選択的層を有する。いくつかのそのような膜は、30、40、50、またはそれを上回る等の高い二酸化炭素/窒素選択性を有することが公知である。選択的層のための代表的な好ましい材料は、米国特許第4,963,165号に詳細に説明される、Pebax、すなわち、ポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマー材料である。
【0062】
膜は、均質フィルム、一体型非対称膜、多層複合膜、ゲルまたは液体層を組み込む膜、または微粒子の形態、または当技術分野において公知の任意の他の形態をとってもよい。エラストマ膜が、使用される場合、好ましい形態は、機械的強度のための微小多孔性支持層と、分離性質に関わるゴム状コーティング層とを含む、複合膜である。
【0063】
膜は、平坦シートまたは繊維として製造され、渦巻状に巻回されたモジュール、プレートおよびフレームモジュール、および注封された中空繊維モジュールを含む、任意の便宜的モジュール形態に格納されてもよい。全てのこれらのタイプの膜およびモジュールの作製は、当技術分野において周知である。渦巻状に巻回されたモジュールにおける平坦シート膜の使用が好ましい。
【0064】
ステップ127は、膜モジュールの単一バンクまたはモジュールのアレイにおいて実施されてもよい。膜モジュールの1つまたはバンクを含有する単一のユニットまたは段階は、多くの用途のために適正である。残留物流が、さらなる精製を要求する場合、第2の処理ステップのために、膜モジュールの第2のバンクに通過されてもよい。透過流が、さらなる濃縮を要求する場合、第2段階処理のために、膜モジュールの第2のバンクに通過されてもよい。そのような多段階または多ステッププロセスおよびその変形は、膜分離ステップが、単段階、多段階、多ステップ、または直列またはカスケード配列における2つ以上のユニットのより複雑なアレイを含む多くの可能性として考えられる方法において構成され得ることを理解するであろう当業者に周知であろう。
【0065】
流126は、膜の給送側を横断して流動し、空気、酸素富化空気、または酸素の掃引ガス流130は、透過側を横断して流動する。膜モジュール内のガス流動パターンは、好ましくは、必ずしもではないが、透過側の流動が給送側の流動と少なくとも部分的にまたは実質的に対向流であるようなものであるべきである。
【0066】
膜ガス分離プロセスでは、経膜透過のための駆動力は、透過側の所望の透過物の部分圧力を給送側のその部分圧力を下回るレベルまで降下させることによって供給される。掃引ガス流130の使用は、低二酸化炭素部分圧力を透過側に維持し、それによって、駆動力を提供する。
【0067】
透過側の二酸化炭素の部分圧力は、掃引流の流率を調節することによって制御されてもよい。高掃引流率は、膜給送ガスからの最大二酸化炭素除去を達成するが、比較的に二酸化炭素が希釈された透過流となるであろう(すなわち、モジュールから退出する掃引ガス中の比較的に低い二酸化炭素富化)。低掃引流率は、透過物中の高濃度の二酸化炭素を達成するであろうが、給送物からの比較的に低レベルの二酸化炭素除去となるであろう。
【0068】
典型的には、好ましくは、掃引流の流率は、膜給送流の流率の約50%〜200%、最も好ましくは、約80%〜120%であるべきである。多くの場合、約1:1の比率が、便宜的かつ適切である。
【0069】
膜の各側の総ガス圧力は、同一または異なってもよく、それぞれ、大気圧を上回ってもよいまたは下回ってもよい。圧力が、ほぼ同一である場合、駆動力全体が、掃引モード動作によって提供される。随意に、流126は、若干高圧で膜ユニットに供給されてもよく、これは、2バール、3バール、または5バール等の数バールの圧力を意味する。これが、流126の再圧縮を要求する場合、コンプレッサのために使用されるエネルギーの一部が、タービン内の残留物流129を膨張させることによって回収されてもよい。
【0070】
膜分離ステップは、流126を、二酸化炭素が枯渇した残留物流129と、透過/掃引流131とに分割する。残留物流は、プロセスによって生産された処理済み燃焼排ガスを形成し、通常、発電所スタックを介して、環境中に放出される。本流の二酸化炭素含有量は、好ましくは、約5体積%未満、より好ましくは、約2体積%未満、最も好ましくは、約1体積%以下である。
【0071】
好ましくは、少なくとも10体積%二酸化炭素、より好ましくは、少なくとも約15体積%二酸化炭素を含有する、透過/掃引流131は、膜ユニットから引き出され、第1の圧縮ユニット101に通過され、空気、酸素富化空気、または酸素給送の少なくとも一部を形成する。
【0072】
随意に、タービン排気流119は、第2の部分に分裂されてもよく、破線120によって示される、第2の部分は、掃引ベースの膜分離をバイパスし、流133として流131とともに、空気、酸素富化空気、または酸素給送の少なくとも一部として、第1の圧縮ユニット101に送出されてもよい。
【0073】
図2は、二酸化炭素除去ステップ105のための膜分離を使用する、代表的実施例を示し、熱統合が、流入給送流中の冷却のために使用される。同様の要素は、
図1におけるよう付番される。
【0074】
図2を参照すると、第1の圧縮流102が、
図1に示されるように、冷却ステップ103を通して通過され、この場合、2つの熱交換ステップ103aおよび103bにおいて実施される。ステップ103aでは、流102が、膜残留物流108と衝突し、流108は、位置Aとして示される熱交換器に進入し、位置Bから退出する。加熱された流108は、次いで、
図1に関して上記に説明されるように、第2の圧縮ステップ109に指向される。
【0075】
ステップ103bでは、流102の付加的冷却が、冷却された流104として膜235を含有する膜ステップ105に通過する前に、提供される。
【0076】
本発明の代替実施形態は、
図3に示される。空気、酸素富化空気、または酸素が、流327としてプロセスの中に導入され、掃引流として、下記により詳細に議論される、掃引駆動式膜分離ユニット324の透過側を横断して流動する。透過流328は、膜325を透過した掃引ガスおよび二酸化炭素の両方を含み、好ましくは、少なくとも約10体積%、より好ましくは、少なくとも約15体積%、最も好ましくは、少なくとも約20体積%の二酸化炭素含有量を有する。流328は、流331および補給空気流332の随意の追加を伴って、空気吸気流330として、第1の圧縮ステップ301に通過する。
【0077】
第1の圧縮ステップは、1つまたは複数のコンプレッサにおいて実施され、20バールまたは30バール等の数十バールの典型的圧力で第1の圧縮流302を生産する。流302は、燃料流304とともに、燃焼ステップまたはゾーン303の中に導入される。天然ガス、他のメタン含有ガス、合成ガス、水素、または空気中で燃焼可能な任意の他の燃料も、使用されてもよい。燃焼は、高温高圧ガス流313を生産する。
【0078】
従来のガス燃料式燃焼プロセスでは、燃焼器からの排ガスは、典型的には、約4または5体積%二酸化炭素を含有する。我々のプロセスでは、二酸化炭素は、下記により詳細に議論されるように、流328/330を介してリサイクルされる。その結果、流313中の二酸化炭素の濃度は、従来の天然ガス燃料式発電所におけるより高く、頻繁に、少なくとも約10体積%、さらに少なくとも15体積%、20体積%、またはそれを上回って高くなる。
【0079】
タービン排気流の一部329は、第2の圧縮ステップ305に送出される。第2の圧縮ステップは、1つまたは複数のコンプレッサにおいて実施され、2〜10バール、好ましくは、約5バール、より好ましくは、約2バールの典型的圧力で第2の圧縮流306を生産する。流306は、ガス分離ステップ310に指向され、そこで、二酸化炭素は、捕捉され、流311を介して、プロセスから除去される。分離機器の動作温度に応じて、流306は、熱交換によって、または別様に随意の冷却ステップ307において冷却され、冷却された流309を生産してもよい。冷却の結果として凝縮された水は、流308として除去され得る。
【0080】
種々の考慮点が、ステップ310のための技術および動作方法論の選択肢に影響を及ぼす。定常状態では、流311および326においてプロセスから除去される二酸化炭素の質量は、燃焼によって発生された二酸化炭素の質量と等しい。好ましくは、発生された二酸化炭素の少なくとも50%、より好ましくは、少なくとも80%または90%が、流311の中に捕捉されるべきである。
【0081】
なお、ガス分離による給送入口ガス流306または309からの二酸化炭素の非常に高レベルの除去は、オフガス流312が、大気中に排出されず、掃引ベースの膜分離ステップ324に指向されるため、要求されない。掃引ベースの膜分離ステップは、流309中の二酸化炭素濃度が、15体積%、20体積%、またはそれを上回る等、比較的に高い傾向にあるように、流330中の二酸化炭素をリサイクルする。本リサイクル二酸化炭素の一部のみが、流311の中に除去され、標的の高レベルの二酸化炭素捕捉を達成する必要がある。これは、ステップ310が、次いで、比較的に低コストかつ低エネルギーのオプションを使用して動作され得るため、プロセスの有意な利点である。
【0082】
ステップ310は、濃縮二酸化炭素流を流306または309から生成し得る、任意の技術または技術の組み合わせを用いて実施されることができる。使用され得る代表的方法は、限定ではないが、物理的または化学収着、膜分離、圧縮/低温凝縮、および吸着を含む。これらは全て、それらが種々のタイプのガス混合物からの二酸化炭素除去に関するため、当技術分野において周知である。しかしながら、上記に議論される考慮点に基づいて、好ましい技術は、吸収および膜分離である。
【0083】
ステップ310は、プロセスから引き出される、濃縮二酸化炭素流311を生産する。規定された好ましい捕捉標的を満たすことに加え、本流は、比較的に高い二酸化炭素濃度を有し、好ましくは、60または70体積%を上回る二酸化炭素を含有する。最も好ましくは、本流は、少なくとも約80体積%二酸化炭素を含有する。したがって、異例なことに、プロセスは、1つの流において、高レベルの二酸化炭素捕捉および高い二酸化炭素濃度の両方を達成する。
【0084】
プロセスからの引き出し後、流311は、任意の所望の目的地に通過し得る。高濃度は、液化、移送、導管輸送、注入、および他の形態の隔離を促進する。
【0085】
二酸化炭素除去または捕捉ステップからのオフガス流312は、依然として、二酸化炭素を含有するが、圧縮されたガス流306/309より低い濃度にある。典型的には、必ずしもではないが、本濃度は、少なくとも約5体積%であって、最大約10体積%またはさらにそれを上回り得る。
【0086】
流312は、空気吸気流として、第3の圧縮ステップ314に送出される。随意に、第2の圧縮流の一部333は、冷却ステップ307およびガス分離ステップ310をバイパスし、第2の圧縮ステップ314に進入する前に、膜残留物流312と混合され、空気吸気流335を形成することが好ましくあり得る。二酸化炭素除去がガス中のわずか40〜70%の二酸化炭素である膜ガス分離プロセスでは、バイパスは、閉鎖される。二酸化炭素除去が約90%であるアミンプロセスでは、次いで、バイパスは、部分的に開放され、第1の圧縮流の一部のみが、分離ユニットに進む。
【0087】
第3の圧縮ステップは、1つまたは複数のコンプレッサにおいて実施され、20バールまたは30バール等の数十バールの典型的圧力で第3の圧縮流315を生産する。
【0088】
流315は、燃焼されたガス流313と組み合わせられ、ガスタービン区分317の中に導入される、作業ガス流316を生産する。本区分は、1つ以上のガスタービンを含有し、これは、シャフト318を用いて、コンプレッサ301、305、および314と、電気発生器319とに結合される。作業ガスは、ガスタービンを駆動し、これは、ひいては、発生器を駆動し、電力を生産する。
【0089】
タービンからの低圧排ガス、すなわち流317は、依然として、高温であって、随意に、好ましくは、排熱回収ボイラ321に指向される。本区分は、蒸気タービン(図示せず)に指向され得る、蒸気流322を生産するボイラを含む。排熱回収ボイラから退出するガス、すなわち流323は、給送ガスとして、掃引ベースの膜分離ステップ324に経路指定される。膜ユニットに通過させる前に、タービン排ガスを冷却する必要がある場合、これは、熱交換によって、または別様に冷却ステップ(図示せず)において行われてもよい。随意のHRSG321を通した通過、随意の冷却ステップ、または両方の後、タービン排気流は、ここで、給送流323として、掃引ベースの膜分離ステップ324に通過する。
【0090】
ステップ324は、酸素および窒素より二酸化炭素に有利に働くように選択的である、膜325を使用して実施される。膜は、プロセスの動作条件下、少なくとも約10、最も好ましくは、少なくとも約20の二酸化炭素/窒素選択性を提供することが好ましい。少なくとも10または20の二酸化炭素/酸素選択性もまた、好ましい。少なくとも約300gpu、より好ましくは、少なくとも約500gpu、最も好ましくは、少なくとも約1,000gpuの二酸化炭素透過率が、望ましい。透過率は、分離性能に影響を及ぼさないが、透過率が高いほど、同一の分離を実施するために要求される膜面積は、小さくなるであろう。
【0091】
好適な性能特性を伴う任意の膜が、使用されてもよい。多くのポリマー材料、特に、エラストマ材料は、二酸化炭素に非常に透過性である。二酸化炭素を窒素または他の不活性ガスから分離するための好ましい膜は、ポリエーテルに基づく選択的層を有する。いくつかのそのような膜は、30、40、50、またはそれを上回る等の高い二酸化炭素/窒素選択性を有することが公知である。選択的層のための代表的な好ましい材料は、米国特許第4,963,165号に詳細に説明される、Pebax、すなわち、ポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマー材料である。
【0092】
膜は、均質フィルム、一体型非対称膜、多層複合膜、ゲルまたは液体層を組み込む膜、または微粒子の形態、または当技術分野において公知の任意の他の形態をとってもよい。エラストマ膜が、使用される場合、好ましい形態は、機械的強度のための微小多孔性支持層と、分離性質に関わるゴム状コーティング層とを含む、複合膜である。
【0093】
膜は、平坦シートまたは繊維として製造され、渦巻状に巻回されたモジュール、プレートおよびフレームモジュール、および注封された中空繊維モジュールを含む、任意の便宜的モジュール形態に格納されてもよい。全てのこれらのタイプの膜およびモジュールの作製は、当技術分野において周知である。渦巻状に巻回されたモジュールにおける平坦シート膜の使用が好ましい。
【0094】
ステップ324は、膜モジュールの単一バンクまたはモジュールのアレイにおいて実施されてもよい。膜モジュールの1つまたはバンクを含有する単一ユニットまたは段階は、多くの用途のために適正である。残留物流が、さらなる精製を要求する場合、第2の処理ステップのために、膜モジュールの第2のバンクに通過されてもよい。透過流が、さらなる濃縮を要求する場合、第2段階処理のために、膜モジュールの第2のバンクに通過されてもよい。そのような多段階または多ステッププロセスおよびその変形は、膜分離ステップが、単段階、多段階、多ステップ、または直列またはカスケード配列における2つ以上のユニットのより複雑なアレイを含む多くの可能性として考えられる方法において構成され得ることを理解するであろう当業者に周知であろう。
【0095】
流323は、膜の給送側を横断して流動し、空気、酸素富化空気、または酸素の掃引ガス流327は、透過側を横断して流動する。膜モジュール内のガス流動パターンは、好ましくは、必ずしもではないが、透過側の流動が給送側の流動と少なくとも部分的にまたは実質的に対向流であるようなものであるべきである。
【0096】
膜ガス分離プロセスでは、経膜透過のための駆動力は、透過側の所望の透過物の部分圧力を給送側のその部分圧力を下回るレベルまで降下させることによって供給される。掃引ガス流327の使用は、低二酸化炭素部分圧力を透過側に維持し、それによって、駆動力を提供する。
【0097】
透過側の二酸化炭素の部分圧力は、掃引流の流率を調節することによって制御されてもよい。高掃引流率は、膜給送ガスからの最大二酸化炭素除去を達成するが、比較的に二酸化炭素が希釈された透過流となるであろう(すなわち、モジュールから退出する掃引ガス中の比較的に低い二酸化炭素富化)。低掃引流率は、透過物中の高濃度の二酸化炭素を達成するであろうが、給送物からの比較的に低レベルの二酸化炭素除去となるであろう。
【0098】
典型的には、好ましくは、掃引流の流率は、膜給送流の流率の約50%〜200%、最も好ましくは、約80%〜120%であるべきである。多くの場合、約1:1の比率が、便宜的かつ適切である。
【0099】
膜の各側の総ガス圧力は、同一または異なってもよく、それぞれ、大気圧を上回ってもよいまたは下回ってもよい。圧力が、ほぼ同一である場合、駆動力全体が、掃引モード動作によって提供される。随意に、流323は、若干高圧で膜ユニットに供給されてもよく、これは、2バール、3バール、または5バール等の数バールの圧力を意味する。これが、流323の再圧縮を要求する場合、コンプレッサのために使用されるエネルギーの一部が、タービン内の残留物流326を膨張させることによって回収されてもよい。
【0100】
膜分離ステップは、流323を、二酸化炭素が枯渇した残留物流326と、透過/掃引流328とに分割する。残留物流は、プロセスによって生産された処理済み燃焼排ガスを形成し、通常、発電所スタックを介して、環境中に放出される。本流の二酸化炭素含有量は、好ましくは、約5体積%未満、より好ましくは、約2体積%未満、最も好ましくは、約1体積%以下である。
【0101】
好ましくは、少なくとも10体積%二酸化炭素、より好ましくは、少なくとも約15体積%二酸化炭素を含有する、透過/掃引流328は、膜ユニットから引き出され、圧縮ユニットに通過され、空気、酸素富化空気、または酸素給送の少なくとも一部を形成する。
【0102】
タービン排気流320/323は、第2の部分流329に分裂されてもよく、これは、掃引ベースの膜分離をバイパスし、第2の圧縮ユニット305に送出される。
【0103】
随意に、タービン排気流320/323は、破線331によって示される第3の部分に分裂されてもよく、これは、掃引ベースの膜分離をバイパスし、流328とともに、空気、酸素富化空気、または酸素給送の少なくとも一部として、第1の圧縮ユニット301に送出されてもよい。
【0104】
本発明は、ここで、具体的実施例によってさらに詳細に図示される。これらの実施例は、本発明をさらに明確化するために意図され、本範囲をいかようにも限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0105】
全ての計算は、MTRのエンジニアリンググループによって開発された膜動作のためのコードを含有する、モデル化プログラムChemCad6.3(ChemStation, Inc.(Houston, TX))を用いて実施された。計算に関して、全てのコンプレッサおよび真空ポンプは、85%効率であると仮定された。それぞれの場合において、計算は、1トン/時間の二酸化炭素を生産する燃焼プロセスに正規化された。
【0106】
さらに、膜分離ユニットは、炭素捕捉ユニットとして使用されると仮定された。
(実施例1)
実施例1:ガス分離ステップ、2つのコンプレッサループのために使用される溶融塩膜(本発明によるものではない)
【0107】
比較実施例として、コンピュータ計算が、
図4に示される設計を伴うプロセスの性能をモデル化するために実施された。各コンプレッサは、30バールで圧縮されたガスを送達すると仮定された。掃引ユニットに指向されるタービン排ガス対圧縮ステップ401bに指向されるガスの比率は、3:1に設定された。溶融塩膜は、ステップ412のために使用されると仮定された。膜の透過側は、2バールであると仮定された。
【0108】
計算の結果は、表1に示される。
【表1】
【0109】
本プロセスは、0.8体積%二酸化炭素を含有するスタックガスと、約90体積%二酸化炭素を含有する濃縮生成物流とを生産する。本プロセスは、ガス流444中の二酸化炭素の82%を除去する、溶融塩膜のための約74m
2の膜面積と、掃引ベースのユニットのための約1,430m
2の膜面積とを要求する。
(実施例2)
実施例2:
図1の実施形態、ガス分離ステップのための5バールにおける給送ガス圧力
【0110】
計算が、
図1に示される本発明のプロセスの性能をモデル化するために実施され、ガス分離ステップ106への給送ガスは、圧縮ステップ101によって5バールの圧力まで圧縮される。
【0111】
計算に関して、給送ガス流104は、16,557kg/時の流率を有し、窒素、酸素、二酸化炭素、および水を含有するように計算された。また、モル組成物が以下のように近似的に計算された。
窒素: 74.4%
酸素 14.4%
二酸化炭素:10.4%
水: 0.8%
【0112】
排ガス119の一部は、流120として内部リサイクルとして使用されると仮定された。
【0113】
計算の結果は、表2に示される。
【表2】
【0114】
本プロセスは、1.3%二酸化炭素を含有するスタックガスと、約69%二酸化炭素を含有する濃縮生成物流とを生産する。本プロセスは、80%の二酸化炭素回収を達成する。ステップ106のために使用される膜面積は、198m
2であって、ステップ127のために要求される膜面積は、10,000m
2であった。
(実施例3)
実施例3:
図1の実施形態、ガス分離ステップのための2バールにおける給送ガス圧力
【0115】
計算が、
図1に示される本発明のプロセスの性能をモデル化するために実施され、ガス分離ステップ106への給送ガスは、圧縮ステップ101によって2バールの圧力まで圧縮される。
【0116】
計算に関して、給送ガス流104は、16,354kg/時の流率を有し、窒素、酸素、二酸化炭素、および水を含有するように計算された。また、モル組成物が以下のように近似的に計算された。
窒素: 70.9%
酸素 14.8%
二酸化炭素:12.2%
水: 2.1%
【0117】
排ガス119の一部は、流120として内部リサイクルとして使用されると仮定された。
【0118】
計算の結果は、表3に示される。
【表3】
【0119】
本プロセスは、3%二酸化炭素を含有するスタックガスと、約62%二酸化炭素を含有する濃縮生成物流とを生産する。本プロセスは、60%の二酸化炭素回収を達成する。ステップ106のために使用される膜面積は、456m
2であって、ステップ127のために要求される膜面積は、6,000m
2であった。
(実施例4)
実施例4:
図3の実施形態、3つのコンプレッサループ
【0120】
計算が、
図3に示される設計に従って、3つのコンプレッサを使用して、本発明のプロセスの性能をモデル化するために実施された。ガス分離ステップ310への給送ガスは、圧縮ステップ305によって2バールの圧力まで圧縮された。
【0121】
計算に関して、給送ガス流309は、16,354kg/時の流率を有し、窒素、酸素、二酸化炭素、および水を含有するように計算された。また、モル組成物が以下のように近似的に計算された。
窒素: 70.9%
酸素 14.8%
二酸化炭素:12.2%
水: 2.1%
【0122】
排ガス323の一部は、流331として内部リサイクルとして使用されると仮定された。
【0123】
計算の結果は、表4に示される。
【表4】
【0124】
本プロセスは、4.5%二酸化炭素を含有するスタックガスと、約70%二酸化炭素を含有する濃縮生成物流とを生産する。本プロセスはまたは、60%の二酸化炭素回収を達成する。ステップ310のために使用される膜面積は、360m
2であって、ステップ324のために要求される膜面積は、2,000m
2であった。