特許第6799174号(P6799174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799174有機発光素子および有機発光素子の有機物層用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799174
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】有機発光素子および有機発光素子の有機物層用組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20201130BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20201130BHJP
   C07D 409/14 20060101ALN20201130BHJP
   C07D 209/86 20060101ALN20201130BHJP
   C07D 487/04 20060101ALN20201130BHJP
   C07D 495/04 20060101ALN20201130BHJP
   C07D 491/048 20060101ALN20201130BHJP
【FI】
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
   H05B33/14 B
   C09K11/06 690
   !C07D409/14
   !C07D209/86
   !C07D487/04 137
   !C07D495/04 103
   !C07D491/048
【請求項の数】11
【全頁数】78
(21)【出願番号】特願2019-554466(P2019-554466)
(86)(22)【出願日】2017年12月20日
(65)【公表番号】特表2020-503698(P2020-503698A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】KR2017015073
(87)【国際公開番号】WO2018117618
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年6月26日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0174449
(32)【優先日】2016年12月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】パク,ゴンユ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ジンソク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,デユク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュドン
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−051901(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0111657(US,A1)
【文献】 特開2016−111346(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/158363(WO,A1)
【文献】 特開2006−148045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、陰極と、前記陽極および陰極の間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、
前記有機物層のうちの1層以上が、下記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および下記化学式2:
【化18】

【化19】

で表される化合物を同時に含むことを特徴とし
前記化学式1および2において、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合、または置換もしくは非置換のC〜C60のアリーレン基であり、
Ar1は、置換もしくは非置換のピリジン基、置換もしくは非置換のピリミジン基、置換もしくは非置換のトリアジン基、置換もしくは非置換のキノリン基、置換もしくは非置換のキナゾリン基、置換もしくは非置換のフェナントロリン基、または置換もしくは非置換のベンゾイミダゾール基であり
Ar2は、下記化学式3および4のうちのいずれか1つで表され、
【化20】

【化21】

Y1〜Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のC〜C60の芳香族炭化水素環;または置換もしくは非置換のC〜C60の芳香族ヘテロ環であり、
R1〜R7、R3’、およびR4’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;およびC〜C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基、またはC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成し、
R1’は、−(L1’)p’−(Ar1’)q’で表され、
R2’は、−(L2’)r’−(Ar2’)s’で表され、
L1’およびL2’は、それぞれ独立に、直接結合、または置換もしくは非置換のC〜C60のアリーレン基であり、
Ar1’およびAr2’は、それぞれ独立に、−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;−SiRR’R”;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
化学式3は、以下の構造式:
【化22】

のうちのいずれか1つで表され、
前記構造式において、X1〜X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、NR、S、O、またはCR’R”であり、
R8〜R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;およびC〜C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基、またはC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成し、
R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
p’およびr’は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、
q’およびs’は、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、
m’およびn’は、それぞれ独立に、0〜7の整数であり、
mは、0〜8の整数であり、n、o、p、q、rおよびsは、それぞれ独立に、0〜6の整数であり、
但し、R8が水素でm=8の場合、Ar1は置換もしくは非置換のピリジン基、置換もしくは非置換のキノリン基、置換もしくは非置換のキナゾリン基、置換もしくは非置換のフェナントロリン基、または置換もしくは非置換のベンゾイミダゾール基である、有機発光素子
【請求項2】
前記化学式4は、下記構造式
【化23】

のうちのいずれか1つで表されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子であって、
前記構造式において、X7およびX8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、NR、S、O、またはCR’R”であり、
R15〜R18は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;およびC〜C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基、またはC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成し、
R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
tは、0〜7の整数である、有機発光素子
【請求項3】
前記化学式1は、下記化学式5〜10
【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

のうちのいずれか1つで表されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子であって、
前記化学式5〜10において、
R1〜R6、L1、およびAr1の定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
X1、X4およびX5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、NR、S、O、またはCR’R”であり、
R8、R9、R12、R13およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;およびC〜C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基、またはC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成し、
R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
mは、0〜8の整数であり、n、qおよびrは、それぞれ独立に、0〜6の整数であり、tは、0〜7の整数であり、
但し、R8が水素でm=8の場合、Ar1は置換もしくは非置換のピリジン基、置換もしくは非置換のキノリン基、置換もしくは非置換のキナゾリン基、置換もしくは非置換のフェナントロリン基、または置換もしくは非置換のベンゾイミダゾール基である、有機発光素子
【請求項4】
前記化学式1は、下記の化合物のうちのいずれか1つで表されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子:
【化30】










【請求項5】
前記化学式2は、下記の化合物のうちのいずれか1つで表されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子:
【化31】








【請求項6】
前記有機物層は、正孔阻止層、電子注入層、および電子輸送層のうちの少なくとも1層を含み、前記正孔阻止層、電子注入層、および電子輸送層のうちの少なくとも1層が前記ヘテロ環化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層が前記ヘテロ環化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、並びに正孔注入および正孔輸送を同時に行う層のうちの1層以上の層を含み、前記層のうちの1層が前記ヘテロ環化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項9】
下記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および下記化学式2
【化32】

【化33】

で表される化合物を同時に含むことを特徴とする有機発光素子の有機物層用組成物であって、
前記化学式1および2において、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合、または置換もしくは非置換のC〜C60のアリーレン基であり、
Ar1は、置換もしくは非置換のピリジン基、置換もしくは非置換のピリミジン基、置換もしくは非置換のトリアジン基、置換もしくは非置換のキノリン基、置換もしくは非置換のキナゾリン基、置換もしくは非置換のフェナントロリン基、または置換もしくは非置換のベンゾイミダゾール基であり、
Ar2は、下記化学式3および4
【化34】

【化35】

のうちのいずれか1つで表され、
Y1〜Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のC〜C60の芳香族炭化水素環;または置換もしくは非置換のC〜C60の芳香族ヘテロ環であり、
R1〜R7、R3’、およびR4’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;およびC〜C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基、またはC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成し、
R1’は、−(L1’)p’−(Ar1’)q’で表され、
R2’は、−(L2’)r’−(Ar2’)s’で表され、
L1’およびL2’は、それぞれ独立に、直接結合、または置換もしくは非置換のC〜C60のアリーレン基であり、
Ar1’およびAr2’は、それぞれ独立に、−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;−SiRR’R”;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
化学式3は、以下の構造式:
【化42】

のうちのいずれか1つで表され、
前記構造式において、X1〜X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、NR、S、O、またはCR’R”であり、
R8〜R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;およびC〜C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基、またはC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成し、
R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
p’およびr’は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、
q’およびs’は、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、
m’およびn’は、それぞれ独立に、0〜7の整数であり、
mは、0〜8の整数であり、n、o、p、q、rおよびsは、それぞれ独立に、0〜6の整数であり、
但し、R8が水素でm=8の場合、Ar1は置換もしくは非置換のピリジン基、置換もしくは非置換のキノリン基、置換もしくは非置換のキナゾリン基、置換もしくは非置換のフェナントロリン基、または置換もしくは非置換のベンゾイミダゾール基である、有機発光素子の有機物層用組成物
【請求項10】
前記組成物内の、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物:前記化学式2で表される化合物の重量比は、1:10〜10:1であることを特徴とする請求項に記載の有機発光素子の有機物層用組成物。
【請求項11】
前記化学式1は、下記化学式5〜10
【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

のうちのいずれか1つで表されることを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子の有機物層用組成物であって、
前記化学式5〜10において、
R1〜R6、L1、およびAr1の定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
X1、X4およびX5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、NR、S、O、またはCR’R”であり、
R8、R9、R12、R13およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;およびC〜C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基、またはC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成し、
R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
mは、0〜8の整数であり、n、qおよびrは、それぞれ独立に、0〜6の整数であり、tは、0〜7の整数であり、
但し、R8が水素でm=8の場合、Ar1は置換もしくは非置換のピリジン基、置換もしくは非置換のキノリン基、置換もしくは非置換のキナゾリン基、置換もしくは非置換のフェナントロリン基、または置換もしくは非置換のベンゾイミダゾール基である、有機発光素子の有機物層用組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年12月20日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2016−0174449号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
本出願は、有機発光素子および有機発光素子の有機物層用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であって、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという利点がある。
有機発光素子は、2つの電極の間に有機薄膜を配置させた構造を持っている。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅しながら光を発する。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層から構成される。
【0003】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有することができる。例えば、有機薄膜材料には、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が使用されてもよく、またはホスト−ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たす化合物が使用されてもよい。その他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子ブロック、正孔ブロック、電子輸送、電子注入などの役割を果たす化合物が使用されてもよい。
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機発光素子で使用可能な物質に求められる条件、例えば、適切なエネルギー準位、電気化学的安定性および熱的安定性などを満足させることができ、置換基によって有機発光素子で求められる多様な役割を果たす化学構造を有する化合物を含む有機発光素子に対する研究が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の一実施態様は、陽極と、陰極と、前記陽極および陰極の間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、
前記有機物層のうちの1層以上が、下記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および下記化学式2で表されるヘテロ環化合物を同時に含むことを特徴とする有機発光素子を提供する。
【化1】

【化2】

前記化学式1および2において、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合、または置換もしくは非置換のC〜C60のアリーレン基であり、
Ar1は、置換もしくは非置換であり、少なくとも1つのNを含むC〜C60のヘテロアリール基であり、
Ar2は、下記化学式3および4のうちのいずれか1つで表され、
【化3】

【化4】

Y1〜Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のC〜C60の芳香族炭化水素環;または置換もしくは非置換のC〜C60の芳香族ヘテロ環であり、
R1〜R7、R3’、およびR4’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;およびC〜C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基、またはC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成し、
R1’は、−(L1’)p’−(Ar1’)q’で表され、R2’は、−(L2’)r’−(Ar2’)s’で表され、
L1’およびL2’は、それぞれ独立に、直接結合、または置換もしくは非置換のC〜C60のアリーレン基であり、
Ar1’およびAr2’は、それぞれ独立に、−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;−SiRR’R”;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
p’およびr’は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、
q’およびs’は、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、
m’およびn’は、それぞれ独立に、0〜7の整数である。
また、本出願の他の実施態様は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表される化合物を同時に含むことを特徴とする有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本出願の一実施態様に係るヘテロ環化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用できる。前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子において正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電荷生成層などの材料として使用できる。特に、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表される化合物は、同時に有機発光素子の発光層の材料として使用できる。また、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物と前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を同時に有機発光素子に用いる場合、素子の駆動電圧を低下させ、光効率を向上させ、化合物の熱的安定性によって素子の寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図2】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図3】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本出願について詳細に説明する。
本出願の一実施態様に係る有機発光素子は、陽極と、陰極と、前記陽極および陰極の間に備えられた1層以上の有機物層とを含み、前記有機物層のうちの1層以上が、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表される化合物を含むことを特徴とする。
前記化学式3および4において、*は、前記化学式1のL2と連結される位置を示したものである。
本出願の一実施態様によれば、前記化学式3は、下記構造式のうちのいずれか1つで表されてもよい。
【化5】

前記構造式において、X1〜X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、NR、S、O、またはCR’R”であり、
R8〜R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;およびC〜C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基、またはC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成し、
R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
mは、0〜8の整数であり、n、o、p、q、rおよびsは、それぞれ独立に、0〜6の整数である。
【0009】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式4は、下記構造式のうちのいずれか1つで表されてもよい。
【化6】

前記構造式において、X7およびX8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、NR、S、O、またはCR’R”であり、
R15〜R18は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;およびC〜C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基、またはC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成し、
R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であり、
tは、0〜7の整数である。
【0010】
本出願の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合、または置換もしくは非置換のC〜C60のアリーレン基であってもよい。
【0011】
他の実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合、または置換もしくは非置換のC〜C40のアリーレン基であってもよい。
【0012】
さらに他の実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合、または置換もしくは非置換のC〜C20のアリーレン基であってもよい。
【0013】
さらに他の実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合、またはC〜C20のアリーレン基であってもよい。
【0014】
さらに他の実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合、または単環のアリーレン基であってもよい。
【0015】
さらに他の実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合、またはフェニレン基であってもよい。
【0016】
本出願の一実施態様によれば、前記Ar1は、置換もしくは非置換であり、少なくとも1つのNを含むC〜C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0017】
他の実施態様によれば、前記Ar1は、置換もしくは非置換であり、少なくとも1つのNを含むC〜C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0018】
さらに他の実施態様によれば、前記Ar1は、C〜C20のアルキル基、C〜C40のアリール基、およびC〜C40のヘテロアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であり、少なくとも1つのNを含むC〜C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0019】
さらに他の実施態様によれば、前記Ar1は、フェニル基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基、ビフェニル基、ジベンゾチオフェン基、およびジメチルフルオレン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、ジベンゾチオフェン基、およびジメチルフルオレン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;フェニル基で置換もしくは非置換のキノリン基;フェニル基またはビフェニル基で置換もしくは非置換のキナゾリン基;フェナントロリン基;またはフェニル基で置換もしくは非置換のベンゾイミダゾール基であってもよい。
【0020】
本出願の一実施態様において、前記Ar1は、NOまたはCNで再度置換されていてもよい。
【0021】
本出願の一実施態様によれば、前記Y1〜Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のC〜C60の芳香族炭化水素環;または置換もしくは非置換のC〜C60の芳香族ヘテロ環であってもよい。
【0022】
他の実施態様によれば、前記Y1〜Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のC〜C40の芳香族炭化水素環;または置換もしくは非置換のC〜C40の芳香族ヘテロ環であってもよい。
【0023】
さらに他の実施態様によれば、前記Y1〜Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、C〜C40のアリール基およびC〜C40のヘテロアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC〜C40の芳香族炭化水素環;またはC〜C40のアリール基で置換もしくは非置換のC〜C40の芳香族ヘテロ環であってもよい。
【0024】
さらに他の実施態様によれば、前記Y1〜Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、カルバゾール基、ジベンゾチオフェン基、およびジベンゾフラン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC〜C40の芳香族炭化水素環;またはフェニル基で置換もしくは非置換のC〜C40の芳香族ヘテロ環であってもよい。
【0025】
さらに他の実施態様によれば、前記Y1〜Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、カルバゾール基、ジベンゾチオフェン基、およびジベンゾフラン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のベンゼン環;ジメチルフルオレン基;フェニル基で置換もしくは非置換のカルバゾール基;ジベンゾチオフェン基;またはジベンゾフラン基であってもよい。
【0026】
本出願の一実施態様において、前記Y1〜Y4は、再度フェニル基で置換もしくは非置換であってもよい。
【0027】
本出願の一実施態様において、前記R7は、置換もしくは非置換のC〜C30のアリール基であってもよい。
【0028】
他の実施態様において、前記R7は、C〜C30のアリール基であってもよい。
【0029】
さらに他の実施態様において、前記R7は、フェニル基であってもよい。
【0030】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式5〜10のうちのいずれか1つで表されてもよい。
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

前記化学式5〜10において、R1〜R6、R8、R9、R12、R13、R16、L1、Ar1、X1、X4、X5、m、n、q、r、およびtの定義は、前記化学式1および構造式における定義と同じである。
【0031】
本出願の一実施態様において、前記化学式1のR1〜R6は、それぞれ独立に、水素または重水素であってもよい。
【0032】
本出願の一実施態様において、前記構造式のR8〜R18は、それぞれ独立に、水素;重水素;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0033】
他の実施態様において、前記構造式のR8〜R18は、それぞれ独立に、水素;置換もしくは非置換のC〜C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0034】
さらに他の実施態様において、前記構造式のR8〜R18は、それぞれ独立に、水素;C〜C40のアリール基;またはC〜C40のアリール基で置換もしくは非置換のC〜C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0035】
さらに他の実施態様において、前記構造式のR8〜R18は、それぞれ独立に、水素;フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;フェニル基で置換もしくは非置換のカルバゾール基;ジベンゾチオフェン基;またはジベンゾフラン基であってもよい。
【0036】
本出願の一実施態様において、前記化学式1のR、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;または置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基である。
【0037】
他の実施態様において、前記化学式1のR、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のC〜C30のアルキル基;または置換もしくは非置換のC〜C30のアリール基である。
【0038】
さらに他の実施態様において、前記化学式1のR、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、C〜C30のアルキル基;またはC〜C30のアリール基である。
【0039】
さらに他の実施態様において、前記化学式1のR、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、メチル基;またはフェニル基である。
【0040】
本出願の一実施態様において、前記化学式2のR3’およびR4’は、それぞれ独立に、水素または重水素であってもよい。
【0041】
本出願の一実施態様において、前記化学式2のAr1’およびAr2’は、それぞれ独立に、−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;−SiRR’R”;または置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基であってもよい。
【0042】
他の実施態様において、前記化学式2のAr1’およびAr2’は、それぞれ独立に、−CN;置換もしくは非置換のC〜C40のアルキル基;−SiRR’R”;または置換もしくは非置換のC〜C40のアリール基であってもよい。
【0043】
さらに他の実施態様において、前記化学式2のAr1’およびAr2’は、それぞれ独立に、−CN;C〜C40のアルキル基;−SiRR’R”;またはC〜C40のアリール基であってもよい。
【0044】
さらに他の実施態様において、前記化学式2のAr1’およびAr2’は、それぞれ独立に、−CN;メチル基;フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;ジメチルフルオレン基;フルオレン基;ジフェニルフルオレン基;スピロビフルオレン基;トリフェニレン基;または−SiRR’R”であってもよい。
【0045】
本出願の一実施態様において、L1’およびL2’は、それぞれ独立に、直接結合、または置換もしくは非置換のC〜C60のアリーレン基であってもよい。
【0046】
他の実施態様において、L1’およびL2’は、それぞれ独立に、直接結合、またはC〜C60のアリーレン基であってもよい。
【0047】
さらに他の実施態様において、L1’およびL2’は、それぞれ独立に、直接結合、またはC〜C40のアリーレン基であってもよい。
【0048】
さらに他の実施態様において、L1’およびL2’は、それぞれ独立に、直接結合;フェニレン基;またはビフェニレン基であってもよい。
【0049】
本出願において、前記化学式1および2の置換基をより具体的に説明すれば、下記の通りである。
【0050】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、重水素;ハロゲン基;−CN;C〜C60のアルキル基;C〜C60のアルケニル基;C〜C60のアルキニル基;C〜C60のシクロアルキル基;C〜C60のヘテロシクロアルキル基;C〜C60のアリール基;C〜C60のヘテロアリール基;−SiRR’R”;−P(=O)RR’;C〜C20のアルキルアミン基;C〜C60のアリールアミン基;およびC〜C60のヘテロアリールアミン基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記置換基のうち2以上が結合した置換基で置換もしくは非置換であるか、前記置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。前記追加の置換基は、追加的にさらに置換されていてもよい。前記R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;−CN;置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基である。
【0051】
本出願の一実施態様によれば、前記「置換もしくは非置換」とは、重水素、ハロゲン基、−CN、SiRR’R”、P(=O)RR’、C〜C20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、C〜C60のアリール基、およびC〜C60のヘテロアリール基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であり、
前記R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;−CN;重水素、ハロゲン基、−CN、C〜C20のアルキル基、C〜C60のアリール基、およびC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル基;重水素、ハロゲン、−CN、C〜C20のアルキル基、C〜C60のアリール基、およびC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のC〜C60のシクロアルキル基;重水素、ハロゲン、−CN、C〜C20のアルキル基、C〜C60のアリール基、およびC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のC〜C60のアリール基;または重水素、ハロゲン、−CN、C〜C20のアルキル基、C〜C60のアリール基、およびC〜C60のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のC〜C60のヘテロアリール基である。
【0052】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0053】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であってもよい。
【0054】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1〜60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルキル基の炭素数は1〜60、具体的には、1〜40、さらに具体的には、1〜20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、1−メチル−ブチル基、1−エチル−ブチル基、ペンチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、1−エチル−プロピル基、1,1−ジメチル−プロピル基、イソヘキシル基、2−メチルペンチル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0055】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2〜60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2〜60、具体的には、2〜40、さらに具体的には、2〜20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、アリル基、1−フェニルビニル−1−イル基、2−フェニルビニル−1−イル基、2,2−ジフェニルビニル−1−イル基、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル基、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2〜60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2〜60、具体的には、2〜40、さらに具体的には、2〜20であってもよい。
【0057】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3〜60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3〜60、具体的には、3〜40、さらに具体的には、5〜20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、2,3−ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、2,3−ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5−トリメチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、N、またはSiを含み、炭素数2〜60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2〜60、具体的には、2〜40、さらに具体的には、3〜20であってもよい。
【0059】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6〜60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基は、スピロ基を含む。前記アリール基の炭素数は6〜60、具体的には、6〜40、さらに具体的には、6〜25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、ベンゾフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、2,3−ジヒドロ−1H−インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0060】
本明細書において、前記スピロ基は、スピロ構造を含む基であって、炭素数15〜60であってもよい。例えば、前記スピロ基は、フルオレニル基に2,3−ジヒドロ−1H−インデン基またはシクロヘキサン基がスピロ結合した構造を含むことができる。具体的には、下記のスピロ基は、下記構造式の基のうちのいずれか1つを含むことができる。
【化13】
【0061】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてS、O、Se、N、またはSiを含み、炭素数2〜60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は2〜60、具体的には、2〜40、さらに具体的には、3〜25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3−a]カルバゾリル基、インドロ[2,3−b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10−ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5−c]キナゾリニル基、ピリド[1,2−b]インダゾリル基、ピリド[1,2−a]イミダゾ[1,2−e]インドリニル基、5,11−ジヒドロインデノ[1,2−b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0062】
本明細書において、前記アミン基は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;−NH;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよいし、炭素数は特に限定されないが、1〜30のものが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9−メチル−アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0063】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0064】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記の化合物のうちのいずれか1つで表されてもよいが、これにのみ限定されるものではない。
【化14】










【0065】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式2は、下記の化合物のうちのいずれか1つで表されてもよいが、これにのみ限定されるものではない。
【化15】







【0066】
また、前記化学式1および2の構造に多様な置換基を導入することにより、導入された置換基固有の特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に使用される正孔注入層物質、正孔輸送用物質、発光層物質、電子輸送層物質、および電荷生成層物質に主に使用される置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層で求める条件を満たす物質を合成することができる。
【0067】
さらに、前記化学式1および2の構造に多様な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細に調節可能にし、一方で、有機物間の界面における特性を向上させ、物質の用途を多様化することができる。
【0068】
一方、前記ヘテロ環化合物は、ガラス転移温度(Tg)が高くて熱的安定性に優れる。このような熱的安定性の増加は、素子に駆動安定性を提供する重要な要因になる。
【0069】
本出願の一実施態様に係るヘテロ環化合物は、多段階の化学反応で製造することができる。一部の中間体化合物が先に製造され、その中間体化合物から化学式1または2の化合物が製造される。より具体的には、本出願の一実施態様に係るヘテロ環化合物は、後述する製造例に基づいて製造される。
【0070】
また、本出願の他の実施態様は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表される化合物を同時に含むことを特徴とする有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【0071】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表される化合物に関する具体的な内容は、前述したものと同じである。
【0072】
前記組成物内の、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物:前記化学式2で表される化合物の重量比は、1:10〜10:1でもよく、1:8〜8:1でもよく、1:5〜5:1でもよいし、1:2〜2:1でもよいが、これにのみ限定されるものではない。
【0073】
前記組成物は、有機発光素子の有機物の形成時に使用可能であり、特に、発光層のホストの形成時により好ましく使用可能である。
【0074】
前記組成物は、2つ以上の化合物が単純混合されている形態であり、有機発光素子の有機物層の形成前にパウダー状態の材料を混合してもよく、適正温度以上で液状状態になっている化合物を混合することができる。前記組成物は、各材料の融点以下では固体状態であり、温度を調整すれば液状に維持することができる。
【0075】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子は、前述した化学式1で表されるヘテロ環化合物、および化学式2で表されるヘテロ環化合物を用いて、1層以上の有機物層を形成することを除けば、通常の有機発光素子の製造方法および材料により製造される。
【0076】
前記化学式1で表される化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法だけでなく、溶液塗布法によって有機物層に形成される。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらにのみ限定されるものではない。
【0077】
具体的には、本出願の一実施態様に係る有機発光素子は、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含み、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む。
【0078】
図1〜3に、本出願の一実施態様に係る有機発光素子の電極と有機物層の積層順序を例示した。しかし、これらの図面によって本出願の範囲が限定されることを意図したわけではなく、当技術分野で知られている有機発光素子の構造が本出願にも適用可能である。
【0079】
図1によれば、基板100上に、陽極200、有機物層300、および陰極400が順次に積層された有機発光素子が示される。しかし、このような構造にのみ限定されるものではなく、図2のように、基板上に、陰極、有機物層、および陽極が順次に積層された有機発光素子が実現されてもよい。
【0080】
図3は、有機物層が多層の場合を例示したものである。図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔阻止層304、電子輸送層305、および電子注入層306を含む。しかし、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて、発光層を除いた残りの層は省略されてもよく、必要な他の機能層がさらに追加されてもよい。
【0081】
本明細書に係る有機発光素子は、有機物層のうちの1層以上に、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含むことを除けば、当技術分野で知られている材料および方法で製造される。
【0082】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む有機物層は、必要に応じて、他の物質を追加的に含んでもよい。
【0083】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物は、有機発光素子において電荷生成層の材料として使用できる。
【0084】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物は、有機発光素子において電子輸送層、正孔阻止層、発光層の材料などに使用できる。一例として、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物は、有機発光素子の電子輸送層、正孔輸送層、または発光層の材料として使用できる。
【0085】
また、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表される化合物は、有機発光素子において発光層の材料として使用できる。一例として、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表される化合物は、有機発光素子において発光層の燐光ホストの材料として使用できる。
【0086】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式1のヘテロ環化合物、および前記化学式2のヘテロ環化合物以外の材料を下記に例示するが、これらは例示のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野で公知の材料に代替可能である。
【0087】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを使用することができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0088】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物、または導電性高分子などを使用することができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造の物質などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0089】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、または文献[Advanced Material、6、p.677(1994)]に記載のスターバースト型アミン誘導体類、例えば、トリス(4−カルバゾイル−9−イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4”−トリ[フェニル(m−トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)、1,3,5−トリス[4−(3−メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m−MTDAPB)、溶解性のある導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene)/Poly(4−styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)、またはポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4−styrene−sulfonate))などを使用することができる。
【0090】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが使用可能であり、低分子または高分子材料が使用されてもよい。
【0091】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体などが使用可能であり、低分子物質だけでなく、高分子物質が使用されてもよい。
【0092】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界で代表的に使用されるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0093】
発光材料としては、赤色、緑色または青色発光材料が使用可能であり、必要な場合、2以上の発光材料を混合して使用することができる。この時、2以上の発光材料を個別的な供給源として蒸着して使用するか、予備混合して1つの供給源として蒸着して使用することができる。また、発光材料として蛍光材料を使用してもよいが、燐光材料として使用してもよい。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が使用されてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が使用されてもよい。
【0094】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同じ系列のホストを混合して使用してもよく、異なる系列のホストを混合して使用してもよい。例えば、nタイプのホスト材料またはpタイプのホスト材料のうちいずれか2種類以上の材料を選択して、発光層のホスト材料として使用することができる。
【0095】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0096】
本出願の一実施態様に係るヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどを含めた有機電子素子においても、有機発光素子に適用されるのと類似の原理で作用することができる。
【実施例】
【0097】
以下、実施例を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではない。
<実施例>
【化16】
【0098】
1)化合物1−39−2の製造
2−ブロモジベンゾ[b,d]チオフェン5.0g(19.0mM)、2−フェニル−9H−カルバゾール3.8g(15.8mM)、CuI3.0g(15.8mM)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン1.9mL(15.8mM)、KPO 3.3g(31.6mM)を1,4−オキサン100mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCM(Dichloromethane)を入れて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物1−39−2 5.7g(85%)を得た。
【0099】
2)化合物1−39−1の製造
化合物1−39−2 6.1g(14.3mM)とTHF(Tetrahydrofuran)100mLを入れた混合溶液を、−78℃で2.5M n−BuLi7.4mL(18.6mM)を滴加し、室温で1時間撹拌した。反応混合物にトリメチルボレート(B(OMe))4.8mL(42.9mM)を滴加し、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:3)で精製し、DCMで再結晶して、目的化合物1−39−1 4.7g(70%)を得た。
【0100】
3)化合物1−39の製造
1−39−1 8.9g(19.0mM)、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン5.1g(19.0mM)、Pd(PPh 1.1g(0.95mM)、KCO 5.2g(38.0mM)をトルエン/EtOH/HO100/20/20mLに溶かした後、12時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物1−39 8.7g(70%)を得た。
前記製造例1において、2−フェニル−9H−カルバゾールの代わりに下記表1の中間体Aを用い、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの代わりに下記表1の中間体Bを用いたことを除き、製造例1の製造と同様の方法で製造して、目的化合物Aを合成した。
【0101】
【表1】
【0102】
【化17】
【0103】
1)化合物2−3の製造
3−ブロモ−1,1’−ビフェニル3.7g(15.8mM)、9−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール6.5g(15.8mM)、CuI3.0g(15.8mM)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン1.9mL(15.8mM)、KPO 3.3g(31.6mM)を1,4−オキサン100mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物2−3 7.5g(85%)を得た。
前記製造例2において、3−ブロモ−1,1’−ビフェニルの代わりに下記表2の中間体Aを用い、9−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾールの代わりに下記表2の中間体Bを用いたことを除き、製造例2の製造と同様の方法で製造して、目的化合物Aを合成した。
【0104】
【表2】
【0105】
前記製造例と同様の方法で化合物を製造し、その合成確認の結果を、下記表3〜5に示した。
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】

【0109】
前記表3は、NMR値であり、表4および5は、FD−質量分析計(FD−MS:Field desorption mass spectrometry)の測定値である。
【0110】
<実験例1>有機発光素子の作製
1,500Åの厚さにITOが薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、UV洗浄機でUVを用いて5分間UVO処理した。この後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送させた後、真空状態でITO仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理をして、有機蒸着用熱蒸着用装備に搬送した。
前記ITO透明電極(陽極)上に、共通層の正孔注入層2−TNATA(4,4’,4”−Tris[2−naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’−Di(1−naphthyl)−N,N’−diphenyl−(1,1’−biphenyl)−4,4’−diamine)を形成させた。
その上に、発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、ホストとして、化学式1に記載の化合物1種と、化学式2に記載の化合物1種とを予備混合後、1つの工程で400Å蒸着し、緑色燐光ドーパントはIr(ppy)を7%ドーピングして蒸着した。この後、正孔阻止層としてBCPを60Å蒸着し、その上に電子輸送層としてAlqを200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上に、アルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を製造した。
【0111】
一方、OLED素子の作製に必要なすべての有機化合物は、材料ごとに、それぞれ10−6〜10−8torr下で真空昇華精製して、OLEDの作製に使用した。
前記実験例1による有機電界発光素子の駆動電圧および発光効率は、下記表6の通りである。
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもって、マックサイエンス社製の寿命装備測定装備(M6000)により、基準輝度が6,000cd/mの時の、T90を測定した。
本発明の有機電界発光素子の特性は、下記表6の通りである。
【0112】
【表6】

【0113】
本発明の有機発光素子は、ホストと燐光ドーパントを用いる発光層を含み、前記ホストは、2つ以上の化合物が混合されたホスト化合物(p−n type)から構成されることにより、従来の単一化合物からなるホスト化合物を含む有機発光素子より優れた寿命特性を有する効果がある。
特に、本発明のp−n typeホストの場合、ホストの比率を調節して発光特性を増加させることができるという利点があるが、これは、正孔移動度が良いPホストと、電子移動度が良いnホストとの適切な組み合わせからなしうる結果である。
【0114】
また、本発明では、複数種の化合物からなる発光ホストは、化合物を予備混合した後、1つの蒸着供給源として形成して蒸着した。この時、数回の蒸着を施さないので、薄膜の均一さおよび薄膜特性を改善させることができ、工程過程を簡素化させ、費用を減少させ、効率および寿命が改善された素子を形成することができる。
【符号の説明】
【0115】
100:基板
200:陽極
300:有機物層
301:正孔注入層
302:正孔輸送層
303:発光層
304:正孔阻止層
305:電子輸送層
306:電子注入層
400:陰極
図1
図2
図3