【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、下記反応式1のような製造方法を提供し、より具体的には下記の段階を含む製造方法を提供する:
1)下記化学式1−1で表される化合物を、アンモニウムクロリド、およびシアン化ナトリウム、またはシアン化カリウムと反応させた後、酸と反応させて、下記化学式1−2で表される化合物を製造する段階、
2)下記化学式1−2で表される化合物をアミン保護基(P)で保護して下記化学式1−3で表される化合物を製造する段階、
3)下記化学式1−3で表される化合物を、(i)マロン酸メチルカリウムまたはマロン酸メチルナトリウム、(ii)カルボニルジイミダゾール、および(iii)ハロゲン化マグネシウムと反応させた後、酸と反応させて、下記化学式1−4で表される化合物を製造する段階、
4)下記化学式1−4で表される化合物を、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと反応させて、下記化学式1−5で表される化合物を製造する段階、
5)下記化学式1−5で表される化合物を、硫酸ジメチルと反応させて、下記化学式1−6で表される化合物を製造する段階、および
6)下記化学式1−6で表される化合物を、酸と反応させて脱保護化して、下記化学式1で表される化合物を製造する段階。
[反応式1]
以下、各段階別に本発明を詳しく説明する。
【0012】
(段階1)
前記段階1は、Strecker amino acid synthesisに関し、上記化学式1−1から上記化学式1−2で表される化合物のようにアミノ酸を製造する段階である。
【0013】
前記反応は実質的に二つの反応からなる。まず、一番目の反応は、上記化学式1−1で表される化合物を、アンモニウムクロリド、およびシアン化ナトリウム、またはシアン化カリウムと反応させることである。
【0014】
好ましくは、上記化学式1−1で表される化合物とアンモニウムクロリドのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。好ましくは、上記化学式1−1で表される化合物とシアン化ナトリウム、またはシアン化カリウムのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。
【0015】
好ましくは、前記一番目の反応溶媒は、炭素数1〜4のアルコール、および水酸化アンモニウムまたは炭酸アンモニウムを使用する。より好ましくは、前記炭素数1〜4のアルコールはメタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、またはtert−ブタノールを使用する。
【0016】
好ましくは、前記一番目の反応は0℃〜40℃で行う。前記反応温度が0℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が40℃超過の場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0017】
好ましくは、前記一番目の反応は1時間〜48時間行う。前記反応時間が1時間未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が48時間を超える場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0018】
一方、前記一番目の反応が終了した以降には、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。好ましくは、前記精製は、前記反応の生成物からシアナミド化合物を結晶化して行う。前記結晶化溶媒としては水、および炭素数1〜4のアルコールを使用することができる。好ましくは、前記炭素数1〜4のアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、またはtert−ブタノールである。好ましくは、前記反応の生成物に水を投入し、10〜15℃に冷却した後、炭素数1〜4のアルコールを投入して10分〜2時間攪拌して行うことができる。
【0019】
前記一番目の反応が終了した後、前記一番目の反応生成物を酸と反応させる二番目の反応を行う。
【0020】
前記使用可能な酸として、酢酸、または塩酸が挙げられる。好ましくは、酢酸と塩酸を共に使用する。前記酸は、二番目の反応の反応物質であるだけでなく、溶媒としての役割も有する。したがって、前記一番目の生成物を十分に溶解可能な量で使用することが好ましい。
【0021】
好ましくは、前記二番目の反応は80〜120℃で行う。前記反応温度が80℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が120℃超過の場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0022】
好ましくは、前記二番目の反応は1時間〜10時間行う。前記反応時間が1時間未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が10時間を超える場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0023】
一方、前記二番目の反応が終了した後、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。
【0024】
(段階2)
前記段階2は、上記化学式1−2で表される化合物をアミン保護基(P)で保護する段階であって、上記化学式1−2で表される化合物を、アミン保護基(P)を導入することができる化合物と反応させて、下記化学式1−3で表される化合物を製造する段階である。
【0025】
好ましくは、前記アミン保護基(P)は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、トシル(Tosy)、またはアシル(Acyl)である。また、前記アミン保護基(P)を導入することができる化合物とは、前記保護基を導入するために当業界で使用される多様な化合物を指し、例えば、前記アミン保護基(P)がtert−ブトキシカルボニル(Boc)の場合、前記アミン保護基を導入することができる化合物としては、ジ−tert−ブチルジカーボネートが挙げられる。
【0026】
好ましくは、上記化学式1−2で表される化合物とアミン保護基(P)を導入することができる化合物のモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは3:1〜1:5である。
【0027】
好ましくは、前記反応は塩基存在下で行うことが好ましい。前記塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、メチル酸ナトリウム、ブチル酸カリウム、または炭酸セシウムを使用することができ、好ましくは炭酸水素ナトリウムを使用する。好ましくは、上記化学式1−2で表される化合物と塩基のモル比は1:1〜1:10であり、より好ましくは1:1〜1:5である。
【0028】
好ましくは、前記反応の溶媒としては、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物を使用する。好ましくは、水とテトラヒドロフランを共に使用する。
【0029】
好ましくは、前記反応は10〜40℃で行う。前記反応温度が10℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が40℃超過の場合には製造収率が実質的に増加しない。より好ましくは、前記反応は20〜30℃で行う。
【0030】
好ましくは、前記反応は1時間〜48時間行う。前記反応時間が1時間未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が48時間を超える場合には製造収率が実質的に増加しない。より好ましくは、前記反応は6時間〜24時間行う。
【0031】
一方、前記反応が終了した後、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。
【0032】
(段階3)
前記段階3は、上記化学式1−3で表される化合物のカルボキシ基を置換する反応であって、前記反応は実質的に二つの反応からなる。
【0033】
まず、一番目の反応は、製造しようとする上記化学式1−4で表される化合物のマグネシウム塩である化合物を製造する反応であり、二番目の反応は、製造された上記化学式1−4で表される化合物のマグネシウム塩を酸に解離して上記化学式1−4の化合物を製造する反応である。
【0034】
上記化学式1−4で表される化合物は結晶化しにくいため、本発明ではそのマグネシウム塩をまず製造した後、結晶化を通して精製することによってこれを製造する。
【0035】
まず、一番目の反応は、上記化学式1−3で表される化合物を、(i)マロン酸メチルカリウムまたはマロン酸メチルナトリウム、(ii)カルボニルジイミダゾール、および(iii)ハロゲン化マグネシウムと反応させる反応である。好ましくは、前記ハロゲン化マグネシウムとしては、塩化マグネシウムまたは臭化マグネシウムを使用することができ、より好ましくは塩化マグネシウムを使用する。
【0036】
好ましくは、上記化学式1−3で表される化合物とマロン酸メチルカリウムまたはマロン酸メチルナトリウムのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。好ましくは、上記化学式1−3で表される化合物とカルボニルジイミダゾールのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。好ましくは、上記化学式1−3で表される化合物とハロゲン化マグネシウムのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。
【0037】
好ましくは、前記一番目の反応は、トリエチルアミンの存在下で行うことが好ましい。好ましくは、上記化学式1−3で表される化合物とトリエチルアミンのモル比はそれぞれ10:1〜1:10であり、より好ましくはそれぞれ5:1〜1:5であり、最も好ましくはそれぞれ3:1〜1:3である。
【0038】
好ましくは、前記一番目の反応溶媒としてはアセトニトリル、またはテトラヒドロフランを使用し、より好ましくはアセトニトリルを使用する。
【0039】
好ましくは、前記一番目の反応は50〜100℃で行う。前記反応温度が50℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が100℃超過の場合には副反応が起こり、好ましくない。
【0040】
好ましくは、前記一番目の反応は10分〜10時間行う。前記反応時間が10分未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が10時間を超える場合には副反応が起こり、好ましくない。より好ましくは、前記反応は10分〜5時間行う。
【0041】
前記一番目の反応が終了した後、前記一番目の反応生成物を酸と反応させる二番目の反応を行う。
【0042】
前記使用可能な酸として塩酸、硝酸、硫酸、または燐酸があり、好ましくは塩酸を使用する。
【0043】
前記二番目の反応の溶媒としては、酢酸エチル、水、塩化メチレン、またはこれらの混合物を使用することができ、好ましくは酢酸エチルと水を共に使用する。
【0044】
前記二番目の反応は0〜40℃、酸でpH4〜8に調節する。前記反応温度が0℃未満、または40℃超過の場合には、製造収率が低くなる問題がある。好ましくはpH6〜8に調節する。pH8以上ではマグネシウム塩は完全に解離せず、製造収率が低くなる。
【0045】
一方、前記二番目の反応が終了した後、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。
【0046】
(段階4)
前記段階4は、上記化学式1−4で表される化合物からピロール誘導体を製造する段階であって、上記化学式1−4で表される化合物を、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと反応させて、下記化学式1−5で表される化合物を製造する段階である。
【0047】
好ましくは、上記化学式1−4で表される化合物とN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールのモル比は1:1〜1:10であり、より好ましくは1:1〜1:5である。
【0048】
好ましくは、前記反応溶媒としてはトルエン、またはキシレンを使用することができ、より好ましくはトルエンを使用する。
【0049】
好ましくは、前記反応は20〜70℃で行う。前記反応温度が20℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が70℃超過の場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0050】
好ましくは、前記反応は30分〜12時間行う。前記反応時間が30分未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が12時間を超える場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0051】
一方、前記反応の生成物である上記化学式1−5で表される化合物は化学的に不安定であるので、別途の精製段階なしに次の段階5を連続的に行うことが好ましい。
【0052】
(段階5)
前記段階5は、上記化学式1−5で表される化合物のヒドロキシ基をメトキシに置換する反応であって、上記化学式1−5で表される化合物を、硫酸ジメチルと反応させて、上記化学式1−6で表される化合物を製造する段階である。
【0053】
好ましくは、上記化学式1−5で表される化合物と硫酸ジメチルのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。
【0054】
また、前記反応は塩基の存在下で行うことが好ましい。前記塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、メチル酸ナトリウム、ブチル酸カリウム、または炭酸セシウムを使用することができ、好ましくは炭酸カリウムを使用する。また、前記反応は、塩基存在下でヨウ化メチルを使用して行うことができる。好ましくは、上記化学式1−5で表される化合物と塩基のモル比は1:1〜1:5であり、より好ましくは1:1〜1:3である。
【0055】
好ましくは、前記反応溶媒としては、炭素数1〜4のアルコール、または炭素数3〜6のケトンを使用する。より好ましくは、前記反応溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、またはイソブチルケトンを使用する。
【0056】
好ましくは、前記反応は20〜60℃で行う。前記反応温度が20℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が60℃超過の場合には副反応が起こり、好ましくない。
【0057】
好ましくは、前記反応は1時間〜24時間行う。前記反応時間が1時間未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が24時間を超える場合には副反応が起こり、好ましくない。
【0058】
一方、前記反応が終了した後、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。
【0059】
(段階6)
前記段階6は、上記化学式1−6で表される化合物の保護基を除去する段階であって、上記化学式1−6で表される化合物を、酸と反応させて、上記化学式1で表される化合物を製造する段階である。
【0060】
前記使用可能な酸としては、トリフルオロ酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、または燐酸があり、好ましくはトリフルオロ酢酸を使用する。
【0061】
好ましくは、上記化学式1−6で表される化合物と前記酸のモル比は1:1〜1:30であり、より好ましくは1:5〜1:20である。
【0062】
好ましくは、前記反応溶媒としては、塩化メチレン、酢酸エチル、メタノール、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、または水を使用することができ、好ましくは塩化メチレンを使用する。
【0063】
好ましくは、前記反応は10〜40℃で行う。前記反応温度が10℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が40℃超過の場合には副反応が起こり、好ましくない。
【0064】
好ましくは、前記反応は1時間〜24時間行う。前記反応時間が1時間未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が24時間を超える場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0065】
一方、前記反応が終了した後、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。