(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799180
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】全方向ボールホイール
(51)【国際特許分類】
B60B 19/14 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
B60B19/14
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-564063(P2019-564063)
(86)(22)【出願日】2017年12月18日
(65)【公表番号】特表2020-520843(P2020-520843A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】CN2017116990
(87)【国際公開番号】WO2019019538
(87)【国際公開日】20190131
【審査請求日】2019年11月19日
(31)【優先権主張番号】201710625715.X
(32)【優先日】2017年7月27日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201720928752.3
(32)【優先日】2017年7月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518339526
【氏名又は名称】北京猟戸星空科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING ORION STAR TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】スー ウェンリー
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
中国実用新案第205736640(CN,U)
【文献】
中国実用新案第203902137(CN,U)
【文献】
特表2017−507056(JP,A)
【文献】
特開2000−335726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 19/00,33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全方向ボールホイールであって、
ボールホイール骨組と、少なくとも三つの第1のホイールと、を含み、
前記ボールホイール骨組は、曲面である外面を有し、前記ボールホイール骨組は、ピボット可能であり、且つ第1のピボット軸線を有し、
各第1のホイールは、曲面である外面を有し、各第1のホイールは、前記ボールホイール骨組にピボット可能に接続され、且つ第2のピボット軸線を有し、前記少なくとも三つの第1のホイールの外面は、いずれも前記ボールホイール骨組の外面とは同じボール面にあり、前記第2のピボット軸線は、前記第1のピボット軸線に垂直して交差し、
各第1のホイールの外面の頂部に第2のホイールを収容する貫通孔が設けられ、前記第2のホイールは、前記ボールホイール骨組にピボット可能に接続され、且つ第3のピボット軸線を有し、前記第1のホイールの外面は、前記第2のホイールの外面の一部とは同じボール面にあり、前記第3のピボット軸線は、前記第1のピボット軸線及び前記第2のピボット軸線に同時に垂直する、
ことを特徴とする全方向ボールホイール。
【請求項2】
前記ボールホイール骨組にキャビティが形成され、前記キャビティの数は、前記第1のホイールの数に対応しており、各キャビティ内に筒状取付部が設置され、前記筒状取付部の軸線は、前記第1のピボット軸線に垂直して交差し、前記第1のホイール及び前記第2のホイールは、それぞれ前記筒状取付部を介して前記ボールホイール骨組に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の全方向ボールホイール。
【請求項3】
前記ボールホイール骨組は、一体に形成されるハウジングと、センターポストと、仕切り板とを含み、前記ハウジングは、開口を有するボール状のハウジングであり、前記センターポストの両端は、前記ハウジングに形成され、且つ前記センターポストの軸線は、前記第1のピボット軸線を定義し、前記仕切り板の数は、前記キャビティの数に対応しており、各仕切り板は、それぞれ前記センターポストの外面から前記ハウジングの内面に延びて前記キャビティを区画し、前記筒状取付部は、隣接する二つの仕切り板から外方へ延びて前記ハウジングの開口から延出して形成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の全方向ボールホイール。
【請求項4】
前記全方向ボールホイールは、駆動主軸をさらに含み、前記ボールホイール骨組のセンターポストに前記駆動主軸を取り付けるための軸穴が区画される、
ことを特徴とする請求項3に記載の全方向ボールホイール。
【請求項5】
前記ボールホイール骨組のハウジングは、前記第1のピボット軸線に沿う両端が平面として構成される、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の全方向ボールホイール。
【請求項6】
前記第1のホイールは、ゴム層と第1の骨組とを含み、前記ゴム層は、曲面である外面を有し、前記第1の骨組は、前記ゴム層を支持する、
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の全方向ボールホイール。
【請求項7】
前記第1の骨組の圧縮強度は、前記ゴム層の圧縮強度より高い、
ことを特徴とする請求項6に記載の全方向ボールホイール。
【請求項8】
前記第1の骨組は階段状である、
ことを特徴とする請求項7に記載の全方向ボールホイール。
【請求項9】
前記第1のホイールは、第1のベアリングとベアリングプラテンとをさらに含み、前記第1の骨組によって第1の溝が区画され、前記ベアリングプラテンによって前記第1の溝に結合される第2の溝が区画され、前記第1の溝と前記第2の溝とによって前記第1のベアリングを収容するための収容空間が区画され、前記第1のベアリングの外輪は、前記収容空間に押し付けられ、前記第1のベアリングの内輪は、前記筒状取付部に嵌め込まれる、
ことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の全方向ボールホイール。
【請求項10】
前記筒状取付部の外周壁に軸方向に延びる複数のリブが形成される、
ことを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の全方向ボールホイール。
【請求項11】
前記第2のホイールは、ゴムホイールと押さえ蓋とを含み、前記ゴムホイールは、紡錘形であり、且つ前記押さえ蓋にピボット可能に接続され、前記押さえ蓋は、前記筒状取付部に固定的且つ定方向的に接続される、
ことを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の全方向ボールホイール。
【請求項12】
前記第2のホイールは、二つの第2のベアリングとホイール軸とをさらに含み、前記ゴムホイールの両端に第1の凹部がそれぞれ区画され、前記第1の凹部は、それぞれ前記第2のベアリングの外輪に締まり嵌めされ、前記第2のベアリングの内輪は、それぞれ前記ホイール軸に締まり嵌めされ、前記押さえ蓋は、リング部を有し、前記リング部の内側に二つの対向する第2の凹部が形成され、二つの前記第2の凹部は、前記ホイール軸に締まり嵌めされる、
ことを特徴とする請求項11に記載の全方向ボールホイール。
【請求項13】
前記押さえ蓋は、蓋部をさらに有し、前記蓋部にネジを取り付けるための複数のザグリ穴が設けられ、前記リング部に軸線に沿って前記ボールホイール骨組に向けて延びる位置決めピンが設けられる、
ことを特徴とする請求項12に記載の全方向ボールホイール。
【請求項14】
前記筒状取付部に、前記蓋部におけるザグリ穴に結合して使用されるネジコラム、及び前記リング部における位置決めピンに結合して使用される位置決めポストが設けられる、
ことを特徴とする請求項13に記載の全方向ボールホイール。
【請求項15】
前記リング部は、前記第1のホイールの貫通孔内に収容されるサイズを有し、前記蓋部に前記ゴムホイールを収容するスロットが形成される、
ことを特徴とする請求項13に記載の全方向ボールホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動機械技術の分野に関し、具体的には、全方向ボールホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
全方向ボールホイールは、任意の方向に移動可能なホイールであり、一つの主動移動方向と一つの従動移動方向とを有し、この二つの移動を同時に備える場合、各方向の速度の違いによって、全方向ボールホイールは、任意の方向に移動することができ、全方向への移動が実現される。
【0003】
特許CN201320814107.0に、主にホイールハブと第2のホイールとによって構成される全方向ホイールであって、当該ホイールハブの外円周に三つ以上のホイールハブ歯が均一に設けられ、二つずつのホイールハブ歯の間に一つの第2のホイールが設けられ、当該第2のホイールの径方向は、ホイールハブの外円周の接線方向に垂直する全方向ホイールが開示されている。このような全方向ホイールの構造では、外輪が複数の小さな第2のホイールで構成されるため、第2のホイール間には、避けられない隙間がある。これにより、全方向ホイールが狭小な障害物に引っかかって障害物を越えることが失敗しやすくなるとともに、第2のホイールのスクロール半径が極めて小さいため、障害物を越える能力が悪い。
【0004】
特許CN201620668906.5に、主軸板と、従動ホイールと、二つのハーフボール状駆動ホイールとを含む全方向ボールホイールであって、二つのハーフボール状駆動ホイールが、それぞれ主軸板に対してピボット可能に主軸板の両側に設けられ、従動ホイールは、主軸板に対してピボット可能に主軸板に設けられる全方向ボールホイールが開示されている。このような構造の全方向ホイールの各方向におけるスクロール半径が、いずれもボール体の半径であるため、強い障害物を越える能力を有するが、二つの半ボール状駆動ホイール間に大きい隙間があるため、移動が円滑ではなく、衝撃が大きく、駆動の有効なロードが減少する不具合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、関連技術における技術的課題の一つを少なくともある程度解决することを目的とする。そのため、本開示の一つの目的は、全方向へのスクロールを実現することができ、移動がより円滑な全方向ボールホイールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施例に係る全方向ボールホイールは、ボールホイール骨組と、少なくとも三つの第1のホイールと、を含み、ボールホイール骨組は、曲面である外面を有し、ボールホイール骨組は、ピボット可能であり、且つ第1のピボット軸線を有し、各第1のホイールは、曲面である外面を有し、各第1のホイールは、ボールホイール骨組にピボット可能に接続され、且つ第2のピボット軸線を有し、少なくとも三つの第1のホイールの外面は、いずれもボールホイール骨組の外面とは同じボール面にあり、第2のピボット軸線は、第1のピボット軸線に垂直して交差し、各第1のホイールの外面の頂部に第2のホイールを収容する貫通孔が設けられ、第2のホイールは、ボールホイール骨組にピボット可能に接続され、且つ第3のピボット軸線を有し、第1のホイールの外面は、第2のホイールの外面の一部とは同じボール面にあり、第3のピボット軸線は、第1のピボット軸線及び第2のピボット軸線に同時に垂直する。これにより、本開示の実施例に係る全方向ボールホイールは、全方向へのスクロールを実現することができ、移動がより円滑になる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記ボールホイール骨組にキャビティが形成され、前記キャビティの数は、前記第1のホイールの数に対応しており、各キャビティ内に筒状取付部が設置され、前記筒状取付部の軸線は、前記第1のピボット軸線に垂直して交差し、前記第1のホイール及び前記第2のホイールは、それぞれ前記筒状取付部を介して前記ボールホイール骨組に接続される。これにより、第1のホイール及び第2のホイールの取り付けが容易になり、全方向ボールホイールの軽量化に有利である。
【0008】
いくつかの実施例では、前記ボールホイール骨組は、一体に形成されるハウジングと、センターポストと、仕切り板とを含み、前記ハウジングは、開口を有するボール状のハウジングであり、前記センターポストの両端は、前記ハウジングに形成され、且つ前記センターポストの軸線は、前記第1のピボット軸線を定義し、前記仕切り板の数は、前記キャビティの数に対応しており、各仕切り板は、それぞれ前記センターポストの外面から前記ハウジングの内面に延びて前記キャビティを区画し、前記筒状取付部は、隣接する二つの仕切り板から外方へ延びて前記ハウジングの開口から延出して形成される。これにより、ボールホイール骨組の構造は、簡単であり、且つ変形しにくく、ボールホイール骨組の外面をボール状に維持させることが容易になる。
【0009】
いくつかの実施例では、全方向ボールホイールは、駆動主軸をさらに含み、ボールホイール骨組のセンターポストに駆動主軸を取り付けるための軸穴が区画される。これにより、全方向ボールホイールをモータ及び減速機に接続することが容易になり、全方向ボールホイールの駆動が実現される。
【0010】
いくつかの実施例では、前記ボールホイール骨組のハウジングは、前記第1のピボット軸線に沿う両端が平面として構成される。これにより、ハウジングのピボット軸線に沿う両端の厚さを小さくすることができ、金型への影響が少なくなり、ボールホイール骨組の射出成形が容易になる。
【0011】
いくつかの実施例では、第1のホイールは、ゴム層と第1の骨組とを含み、第1の骨組は、ゴム層を支持する。
【0012】
いくつかの実施例では、第1の骨組の圧縮強度は、ゴム層の圧縮強度より高い。
【0013】
いくつかの実施例では、第1の骨組は階段状である。
【0014】
これにより、ゴム層及び第1の骨組を設置することによって、ゴム層の外面をボール状に維持させることが容易になる。
【0015】
いくつかの実施例では、第1のホイールは、前記第1のホイールは、第1のベアリングとベアリングプラテンとをさらに含み、前記第1の骨組によって第1の溝が区画され、前記ベアリングプラテンによって前記第1の溝に結合される第2の溝が区画され、前記第1の溝と前記第2の溝とによって前記第1のベアリングを収容するための収容空間が区画され、前記第1のベアリングの外輪は、前記収容空間に押し付けられ、前記第1のベアリングの内輪は、前記筒状取付部に嵌め込まれる。これにより、第1のホイールをボールホイール骨組にピボット可能に接続することが容易になる。
【0016】
いくつかの実施例では、筒状取付部の外周壁に軸方向に延びる複数のリブが形成される。これにより、第1のホイールのボールホイール骨組における位置を制限することが容易になり、全方向ボールホイールの外面をボール状に維持させることが容易になる。
【0017】
いくつかの実施例では、第2のホイールは、ゴムホイールと押さえ蓋とを含み、ゴムホイールは、紡錘形であり、且つ押さえ蓋にピボット可能に接続され、押さえ蓋は、筒状取付部に固定的且つ定方向的に接続される。これにより、第2のホイールをボールホイール骨組にピボット可能に取り付けることが容易になる。
【0018】
いくつかの実施例では、前記第2のホイールは、二つの第2のベアリングとホイール軸とをさらに含み、前記ゴムホイールの両端に第1の凹部がそれぞれ区画され、前記第1の凹部は、それぞれ前記第2のベアリングの外輪に締まり嵌めされ、前記第2のベアリングの内輪は、それぞれ前記ホイール軸に締まり嵌めされ、前記押さえ蓋は、リング部を有し、前記リング部の内側に二つの対向する第2の凹部が形成され、二つの前記第2の凹部は、前記ホイール軸に締まり嵌めされる。これにより、ゴムホイールを押さえ蓋にピボット可能に接続することが容易になる。
【0019】
いくつかの実施例では、押さえ蓋は、蓋部をさらに有し、蓋部にネジを取り付けるための複数のザグリ穴が設けられ、リング部に軸線に沿ってボールホイール骨組に向けて延びる位置決めピンが設けられる。
【0020】
いくつかの実施例では、前記筒状取付部に、前記蓋部におけるザグリ穴に結合して使用されるネジコラム、及び前記リング部における位置決めピンに結合して使用される位置決めポストが設けられる。
【0021】
これにより、押さえ蓋を筒状取付部に固定的且つ定方向的に接続することが容易になる。
【0022】
いくつかの実施例では、前記リング部は、前記第1のホイールの貫通孔内に収容されるサイズを有し、前記蓋部に前記ゴムホイールを収容するスロットが形成される。これにより、押さえ蓋は、ゴムホイールが第1のホイールの貫通孔内に収容される時に形成される隙間を塞ぐことができる。
【0023】
本開示の付加的な特徴及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明により明らかになり、又は本開示の実践により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の上記及び/又は付加的な側面及び利点は、図面を参照した実施例について以下の説明において、明らかになり、理解しやすくなる。
【0025】
【
図1】本開示の一実施例に係る全方向ボールホイールの斜視図を示す。
【
図2】本開示の一実施例に係る全方向ボールホイールの分解図を示す。
【
図3】本開示の一実施例に係る全方向ボールホイールの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。前記実施例における例が図面に示され、同一又は類似する符号は、常に同一又は類似する要素、或いは、同一又は類似する機能を有する要素を示す。以下に、図面を参照しながら説明される実施例は例示するものであり、本開示を解釈するためだけに用いられ、本開示を限定するものと理解してはならない。
【0027】
本開示の説明では、「第1」、「第2」が限定されている特徴は、少なくとも一つの当該特徴を含むことを、明示又は暗黙的に指定している。本発明の説明において、ほかの説明がない限り、「複数」とは、二つ以上を意味する。
【0028】
本開示の説明において、明確な規定及び限定がない限り、「互いに接続」、「接続」との用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能である。机械的な接続や、電気的な接続も可能である。直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することや、二つの要素の内部が連通することや、あるいは二つの要素の間に相互作用関係があることも可能である。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本開示においての具体的な意味を理解することができる。
【0029】
本開示の一実施例では、ボールホイール骨組と、少なくとも三つの第1のホイールと、第2のホイールとを含む全方向ボールホイールが開示され、ボールホイール骨組は、曲面である外面を有し、ボールホイール骨組は、ピボット可能であり、且つ第1のピボット軸線を有し、各第1のホイールは、曲面である外面を有し、各第1のホイールは、ボールホイール骨組にピボット可能に接続され、且つ第2のピボット軸線を有し、少なくとも三つの第1のホイールの外面は、いずれもボールホイール骨組の外面とは同じボール面にあり、且つ第2のピボット軸線は、第1のピボット軸線に垂直して交差し、各第1のホイールの外面の頂部に第2のホイールを収容する貫通孔が設けられる。第2のホイールは、ボールホイール骨組にピボット可能に接続され、且つ第3のピボット軸線を有し、第1のホイールの外面は、第2のホイールの外面の一部とは同じボール面にあり、第3のピボット軸線は、第1のピボット軸線及び第2のピボット軸線に同時に垂直する。
【0030】
以下、附
図1〜
図4を合わせて本開示の実施例に係る全方向ボールホイール100を説明する。
【0031】
図1は、本開示の一実施例に係る全方向ボールホイールの斜視図である。
図1に示すように、本開示の実施例に係る全方向ボールホイール100は、ボールホイール骨組110と、第1のホイール120と、第2のホイール130とを含む。ボールホイール骨組110は、曲面である外面を有し、ボールホイール骨組110は、ピボット可能であり、且つ第1のピボット軸線101を有する。第1のホイール120も、曲面である外面を有し、第1のホイール120は、ボールホイール骨組110にピボット可能に接続され、且つ第2のピボット軸線102を有し、第1のホイール120の外面は、ボールホイール骨組110の外面とはほぼ同じボール面にあり、第2のピボット軸線102は、第1のピボット軸線101に垂直して交差する。第1のホイール120の外面の頂部に第2のホイール130を収容する貫通孔が設けられ、第2のホイール130は、ボールホイール骨組110にピボット可能に接続され、且つ第3のピボット軸線103を有し、第2のホイール130の外面の一部と第1のホイール120の外面とは、ほぼ同じボール面にあり、且つ第3のピボット軸線103は、第2のピボット軸線102及び第3のピボット軸線103に同時に垂直する。また、全方向ボールホイール100は、モータと減速機とを接続するための駆動主軸140をさらに含む。
【0032】
なお、第1のホイール120の「外面の頂部」とは、第1のホイール120の外面と第2のピボット軸線102との交点における部分を指す。
【0033】
図2は、本開示の一実施例に係る全方向ボールホイールの分解図を示す。
図2に示すように、第1のホイール120は、ゴム層121と、第1の骨組122と、第1のベアリング123と、ベアリングプラテン124とを含む。ゴム層121は、曲面である外面を有し、当該外面は地面に接触する。第1のホイール120の貫通孔は、ゴム層121に形成される。第1の骨組122は、ゴム層121を支持することにより、ゴム層121の外面がボール状になって、全方向ボールホイール100の各方向におけるスクロール半径が同じであることを確保する。ベアリングプラテン124は、環状の板状であり、第1の骨組122に固定的に接続される。第1のベアリング123は第1の骨組122とベアリングプラテン124との間に収容されることにより、第1のホイール120はピボット可能となる。第1の骨組122の圧縮強度は、ゴム層121の圧縮強度より高いため、第1の骨組122は、ゴム層121を支持することができる。例えば、第1の骨組122の材質は、POMプラスチック、ABSプラスチック、PAプラスチックなどであってもよく、これらの材料は、軽量であり、且つ強度が高い。第1の骨組122は、ゴム層121を均一に支持するように階段状としてされており、これにより、ゴム層121の外面をボール状に維持させることが容易になる。
【0034】
さらに、
図2に示すように、第2のホイール130は、ゴムホイール131と、二つの第2のベアリング133と、ホイール軸134と、押さえ蓋132とを含む。ゴムホイール131は、紡錘形であり、地面に接触する。ゴムホイール131は、二つの第2のベアリング133を介してホイール軸134にピボット可能に嵌め込まれ、ホイール軸134は、押さえ蓋132に固定的に接続される。
【0035】
図3は、本開示の一実施例に係る全方向ボールホイールの側面図を示す。
【0036】
図4は、
図3のC−C線に沿う断面図を示す。
図4に示すように、ボールホイール骨組110は、ハウジング111と、センターポスト112と、三つの仕切り板113とを含む。ハウジング111と、センターポスト112と、三つの仕切り板113とは、一体に形成される。ハウジング111は、開口を有するボール状のハウジングである。センターポスト112の両端は、ハウジング111に形成され、且つセンターポスト112の軸線は、第1のピボット軸線101を定義する。各仕切り板113は、センターポストの外面からハウジング111の内面に径方向に延びることにより、ボールホイール骨組110内に三つの同じキャビティ115が形成され、すなわち、隣接する仕切り板113の夾角がいずれも等しい。ボールホイール骨組110のキャビティ115は、それぞれハウジング111の開口を介して外部に連通される。ボールホイール骨組110は、三つの筒状取付部114をさらに含み、各筒状取付部114は、それぞれボールホイール骨組110のキャビティ115に設置され、筒状取付部114は、隣接する二つの仕切り板113から外方に向けて延びてハウジング111の開口から延出して形成される。そして、筒状取付部114の軸線は、センターポスト112の軸線に垂直して交差し、すなわち筒状取付部114の軸線は、第2のピボット軸線102を定義する。第1のホイール120及び第2のホイール130は、それぞれ筒状取付部114を介してボールホイール骨組110に接続される。また、ボールホイール骨組110のセンターポスト112に駆動主軸140を取り付けるための軸穴1121が区画され、駆動主軸140は、センターポストの軸穴1121に締まり嵌めされる。これにより、モータ及び減速機は、駆動主軸140を介して全方向ボールホイール100の回転を駆動することができる。
【0037】
さらに、
図4に示すように、第1の骨組122によって第1の溝1221が区画され、ベアリングプラテン124によって第1の溝1221に結合される第2の溝1241が区画される。これにより、第1の溝1221と第2の溝1241とによって第1のベアリング123を収容するための収容空間が区画される。第1のベアリング123は、収容空間に収容され、ベアリングプラテン124は、ネジによって第1の骨組122に固定的に接続されることによって、第1のベアリング123の外輪が収容空間に押し付けられ、且つ第1のベアリング123の内輪は、ボールホイール骨組110の筒状取付部114に嵌め込むことができる。これにより、第1のホイール120は、ボールホイール骨組110に接続することができ、且つ第1のホイール120は、ボールホイール骨組110の筒状取付部114の軸線回りに回転することができる。例えば、第1のベアリング123は、ボールベアリング又はスフェリカルローラーベアリングであってもよい。これにより、第1のホイール120は、一定の軸方向ロードに耐えることができ、全方向ボールホイール100の使用要件を満たすことができる。
【0038】
図1及び
図4に示すように、第1のホイール120は、筒状取付部114に嵌め込まれ、筒状取付部114の外面に軸方向に延びる複数のリブ1141が設置されて、第1のホイール120の取り付け位置を制限することによって、全方向ボールホイール100の外面をボール状に維持させることが容易になる。
【0039】
さらに、
図4に示すように、第2のホイール130のゴムホイール131の両端に第1の凹部1311がそれぞれ区画され、二つの第2のベアリング133の外輪は、それぞれゴムホイール131両端の第1の凹部1311に締まり嵌めされ、且つ二つの第2のベアリング133の内輪は、それぞれホイール軸134に締まり嵌めされる。押さえ蓋132は、円形の板状であり、リング部1321を有し、リング部1321の内側に二つの対向する第2の凹部1323が形成され、二つの第2の凹部1323はホイール軸134に締まり嵌めされる。これにより、ゴムホイール131は、二つの第2のベアリングを介してホイール軸134にピボット可能に嵌め込まれ、ホイール軸134は、押さえ蓋132の第2の凹部1323に締まり嵌めされ、すなわちホイール軸134は、押さえ蓋132に固定的に接続される。
【0040】
図1、
図2及び
図4に示すように、押さえ蓋132は、ボールホイール骨組110に固定的且つ定方向的に接続される。具体的に、押さえ蓋132は、蓋部1322をさらに有し、蓋部1322にネジを取り付けるための複数のザグリ穴1324が設けられ、リング部1321に軸線に沿ってボールホイール骨組110に向けて延びる位置決めピン1325が設けられる。これに対応して、ボールホイール骨組110の筒状取付部114に、蓋部1322におけるザグリ穴1324に結合して使用されるネジコラム1142、及びリング部1321における位置決めピン1325に結合して使用される位置決めポスト1143が設けられる。これにより、押さえ蓋132をボールホイール骨組110の筒状取付部114に対して方向決め及び固定することができ、ゴムホイール131のピボット軸線である第3のピボット軸線103が第1のピボット軸線101及び第2のピボット軸線102に同時に垂直するようになる。そして、押さえ蓋132は、さらに、第1のベアリング123をボールホイール骨組110に押し付けることによって、第1のベアリング123又は第1のホイール120全体の脱落を防止することができる。また、リング部1321は、ゴム層121の貫通孔内に収容されるるサイズを有し、蓋部1322にゴムホイール131を収容するスロットが形成されることによって、押さえ蓋132は、ゴムホイール131がゴム層121の貫通孔内に収容される時に形成される隙間を塞ぐことができる。
【0041】
また、
図1、
図2及び
図3に示すように、ボールホイール骨組110のハウジング111は、第1のピボット軸線101に沿う両端が平面として構成される。ことにより、ハウジング111のピボット軸線沿う両端の厚さを小さくすることができ、金型への影響が少なくなり、ボールホイール骨組110の射出成形が容易になる。
【0042】
少なくとも一つの実施例では、
図1及び
図4に示すように、本開示の実施例に係る全方向ボールホイール100は、ボールホイール骨組110と、三つの第1のホイール120と、第2のホイール130とを含む。ボールホイール骨組110は、曲面である外面を有し、ボールホイール骨組110は、ピボット可能であり、且つ第1のピボット軸線101を有する。各第1のホイール120は、曲面である外面を有し、各第1のホイール120は、ボールホイール骨組110にピボット可能に接続され、且つ第2のピボット軸線102を有する。三つの第1のホイール120の外面は、いずれもボールホイール骨組110の外面とは同じボール面にあり、且つ第2のピボット軸線102は、第1のピボット軸線101に垂直して交差する。各第1のホイール120の外面の頂部に第2のホイール130を収容する貫通孔が設けられ、第2のホイール130は、ボールホイール骨組110にピボット可能に接続され、且つ第3のピボット軸線103を有する。第1のホイール120の外面は、第2のホイール130の外面の一部とは同じボール面にあり、第3のピボット軸線103は、第2の軸線及び第3の軸線に同時に垂直する。これにより、本開示の実施例に係る全方向ボールホイール100は、全方向へのスクロールを実現することができ、移動がより円滑になる。
【0043】
少なくとも一つの実施例では、
図4に示すように、ボールホイール骨組110に三つのキャビティ115が形成され、各キャビティ115内に筒状取付部114が設置され、筒状取付部114の軸線は、第1のピボット軸線101に垂直して交差し、第1のホイール120及び第2のホイール130は、それぞれ筒状取付部114を介してボールホイール骨組110に接続される。これにより、第1のホイール120と第2のホイール130との取り付けが容易になり、全方向ボールホイール100の軽量化に有利である。
【0044】
少なくとも一つの実施例では、
図4に示すように、ボールホイール骨組110は、一体に形成されるハウジング111と、センターポスト112と、三つの仕切り板113とを含む。ハウジング111は、開口を有するボール状のハウジングであり、センターポスト112の両端は、ハウジング111に形成され、且つセンターポスト112の軸線は、第1のピボット軸線101を定義する。各仕切り板113は、それぞれセンターポスト112の外面からハウジング111の内面に延びてキャビティ115を区画し、筒状取付部114は、隣接する二つの仕切り板113から外方に向けて延びてハウジング111の開口から延出して形成される。これにより、ボールホイール骨組110の構造は、簡単であり、且つ変形しにくく、ボールホイール骨組110の外面をボール状に維持させることが容易になる。
【0045】
少なくとも一つの実施例では、
図4に示すように、第1のホイール120は、第1のベアリング123とベアリングプラテン124とを含み、第1の骨組122によって第1の溝1221が区画され、ベアリングプラテン124によって第1の溝1221に結合される第2の溝1241が区画され、第1の溝1221と第2の溝1241とによって第1のベアリング123を収容するための収容空間が区画され、第1のベアリング123の外輪は、前記収容空間に押し付けられ、第1のベアリング123の内輪は、筒状取付部114に嵌め込まれる。これにより、第1のホイール120をボールホイール骨組110にピボット可能に接続することが容易になる。
【0046】
少なくとも一つの実施例では、
図4に示すように、第2のホイール130は、ゴムホイール131と押さえ蓋132とを含み、ゴムホイール131は、紡錘形であり、且つ押さえ蓋132にピボット可能に接続され、押さえ蓋132は、筒状取付部114に固定的且つ定方向的に接続される。これにより、第2のホイール130をボールホイール骨組110にピボット可能に取り付けることが容易になる。
【0047】
少なくとも一つの実施例では、
図4に示すように、第2のホイール130は、二つの第2のベアリング133と、ホイール軸134とさらに含み、ゴムホイール131の両端に第1の凹部1311がそれぞれ区画され、二つの第1の凹部1311は、それぞれ第2のベアリング133の外輪に締まり嵌めされ、第2のベアリング133の内輪は、それぞれホイール軸134に締まり嵌めされる。押さえ蓋132は、リング部1321を有し、リング部1321の内側に二つの対向する第2の凹部1323が形成され、二つの第2の凹部1323がホイール軸134に締まり嵌めされる。これにより、ゴムホイール131を押さえ蓋132にピボット可能に接続することが容易になる。
【0048】
少なくとも一つの実施例では、
図1及び
図2に示すように、押さえ蓋132は、蓋部1322をさらに有し、蓋部1322にネジを取り付けるための複数のザグリ穴1324が設けられ、リング部1321に軸線に沿ってボールホイール骨組110に向けて延びる位置決めピン1325が設けられる。
【0049】
少なくとも一つの実施例では、
図1及び
図2に示すように、筒状取付部114に、蓋部1322におけるザグリ穴1324に結合して使用されるネジコラム1142、及びリング部1321における位置決めピン1325に結合して使用される位置決めポスト1143が設けられる。これにより、押さえ蓋132を筒状取付部114に固定的且つ定方向的に接続することが容易になる。
【0050】
以下、図面を合わせて本開示の実施例に係る全方向ボールホイール100の動作プロセスを説明する。
【0051】
図1に示すように、ボールホイール骨組110は、モータ及び減速機の駆動で回転することによって、A方向に移動するように全方向ボールホイール100全体を駆動ことができ、当該移動は、全方向ボールホイール100の主動移動である。全方向ボールホイール100がB方向に移動する場合、第1のホイール120は、ボールホイール骨組110に対して回転し、全方向ボールホイール100は地面でスクロールし、当該移動は、全方向ボールホイール100の従動移動である。全方向ボールホイール100がA方向及びB方向に同時に移動する場合、運動の合成原理により、全方向ボールホイール100は、全方向へのスクロールを実現することができる。しかし、第1のホイール120の外面の頂部が地面に接触し且つ全方向ボールホイール100がB方向に移動する場合、この場合の第1のホイール120が回転しないため、全方向ボールホイール100全体は、地面でスライドする。したがって、第1のホイール120の外面の頂部に第2のホイール130を設置することにより、第1のホイール120の外面の頂部が地面に接触し且つ全方向ボールホイール100がB方向に移動する場合に、当該第2のホイール130が回転することができる。したがって、全方向ボールホイール100のボール状表面のどの部分が地面に接触しても、全方向ボールホイール100が任意の方向においてもスクロール移動となり、これにより、全方向ボールホイール100の全方向へのスクロールが実現される。
【0052】
本開示の実施例に係る全方向ボールホイール100は、どの方向にスクロールしても、そのスクロール方向における断面は、いずれも半径が同じな円形であり、その各方向における障害物を越える能力が同じであり、これにより、本開示の実施例に係る全方向ボールホイール100は、障害物を越える能力が強く、凹凸の度合いが適切な地面で全方向へ移動することができる。また、本開示の実施例に係る全方向ボールホイール100外面はボール面であるため、各第1のホイール120とボールホイール骨組110との間の隙間は小さく、且つ第1のホイール120と第2のホイール130との間の隙間も小さい。これにより、従来技術における全方向ボールホイールと比較して、本開示の実施例に係る全方向ボールホイール100は、隙間が小さく、移動がより円滑になり、衝撃が小さく、駆動の有効なロードが減少しない。
【0053】
なお、本開示の実施例に係る全方向ボールホイール100は、三つのキャビティ115と、三つの第1のホイール120と、三つの第2のホイール130とを有し、すなわち、全方向ボールホイール100は、三つの部分に分割されるので、3ローブ全方向ボールホイールと呼ぶことができる。本開示では、3ローブ全方向ボールホイールの各ローブが同じである場合のみを説明したが、当業者であれば、3ローブ全方向ボールホイールの各ローブが異なっていてもよいことを理解することができる。各ローブが同じである3ローブ全方向ボールホイールは、汎用化及びモジュール化のレベルを向上させ、且つ第1のホイール120及び第2のホイール130の分布がより均一であり、制御しやすい。本開示では、3ローブ全方向ボールホイールの場合のみを説明したが、当業者であれば、本開示の技術案が4ローブ全方向ボールホイールや5ローブ全方向ボールホイールなどにも適用されることを理解することができる。
【0054】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、或いは「いくつかの例」などの用語を参照した説明とは、当該実施例或いは例に結合して説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特徴が、本開示の少なくとも一つの実施例或いは例に含まれることである。本明細書において、上記用語に対する例示的な表現は、必ずしも同じ実施例或いは例を示すものではない。また、説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特徴は、いずれか一つ或いは複数の実施例又は例において適切に結合することができる。また、当業者は、本明細書で説明された異なる実施例又は例を結合及び組み合わせすることができる。
【0055】
上記の記載において本開示の実施例を示して説明したが、上記の実施例は、例示するものであり、本開示を限定するものであると理解されてはならない。当業者は、本開示の範囲内で上記の実施例に対して変更、修正、置き換え及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
100 全方向ボールホイール
110 ボールホイール骨組
111 ハウジング
112 センターポスト
1121 軸穴
113 仕切り板
114 筒状取付部
1141 リブ
1142 ネジコラム
1143 位置決めポスト
115 キャビティ
120 第1のホイール
121 ゴム層
122 第1の骨組
1221 第1の溝
123 第1のベアリング
124 ベアリングプラテン
1241 第2の溝
130 第2のホイール
131 ゴムホイール
1311 第1の凹部
132 押さえ蓋
1321 リング部
1322 蓋部
1323 第2の凹部
1324 ザグリ穴
1325 位置決めピン
133 第2のベアリング
134 ホイール軸
140 駆動主軸