特許第6799196号(P6799196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799196希土類ボンド磁性粉末、その作製方法及びボンド磁石
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799196
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】希土類ボンド磁性粉末、その作製方法及びボンド磁石
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20201130BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20201130BHJP
   B22F 3/00 20060101ALI20201130BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20201130BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20201130BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20201130BHJP
【FI】
   H01F1/057 120
   H01F1/057 180
   H01F41/02 G
   B22F3/00 C
   B22F1/00 Y
   B22F1/02 G
   B22F1/02 E
   !C22C38/00 303D
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-513393(P2020-513393)
(86)(22)【出願日】2018年6月20日
(65)【公表番号】特表2020-521339(P2020-521339A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】CN2018092020
(87)【国際公開番号】WO2019105013
(87)【国際公開日】20190606
【審査請求日】2019年11月13日
(31)【優先権主張番号】201711225326.4
(32)【優先日】2017年11月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515330421
【氏名又は名称】有研稀土新材料股▲フン▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519229622
【氏名又は名称】有研稀土高技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】GRIREM HI−TECH CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】羅 陽
(72)【発明者】
【氏名】張 洪濱
(72)【発明者】
【氏名】胡 州
(72)【発明者】
【氏名】于 敦波
(72)【発明者】
【氏名】権 寧涛
(72)【発明者】
【氏名】楊 遠飛
(72)【発明者】
【氏名】▲イェン▼ 文龍
(72)【発明者】
【氏名】謝 佳君
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第105206366(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104959618(CN,A)
【文献】 特開平01−014902(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/071111(WO,A1)
【文献】 特開2007−281433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/057
B22F 1/00
B22F 1/02
B22F 3/00
H01F 41/02
C22C 38/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア層と酸化防止剤層とを含む多層コアシェル構造の希土類ボンド磁性粉末において、コア層がRFeMBからなり、RがNd及び/又はPrNdであり、MがCo、Nb、Zrのうちの1種又は複数種である希土類ボンド磁性粉末であって、
コア層外部には、窒化鉄層が被覆されていることを特徴とする希土類ボンド磁性粉末。
【請求項2】
前記RFeMBは、Rの含有量が20〜30wt.%であり、Mの含有量が0〜6wt.%であり、Bの含有量が0.85〜1.05wt.%であり、残量はFeであることを特徴とする請求項1に記載の希土類ボンド磁性粉末。
【請求項3】
前記窒化鉄層は、鉄窒素化合物からなり、窒化鉄層の厚みは50〜500nmであり、好ましくは、厚みは100〜400nmであり、より好ましくは、厚みは150〜350nmであり、最も好ましくは、厚みは200〜300nmであることを特徴とする請求項1に記載の希土類ボンド磁性粉末。
【請求項4】
前記酸化防止剤層は、リン酸塩複合物からなり、厚みは10〜200nmであり、好ましくは、厚みは20〜160nmであり、最も好ましくは、厚みは50〜80nmであることを特徴とする請求項1に記載の希土類ボンド磁性粉末。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の希土類ボンド磁性粉末を作製する方法であって、
磁性原料粉末に対して表面窒化処理を行って窒化物粉末を得ることと、
酸化防止剤溶液を作製することと、
窒化物粉末を酸化防止剤溶液に浸漬し、乾燥を経て、コアシェル構造のボンド磁性粉末を得ることと、を含み、
前記表面窒化処理では、窒化温度は300〜550℃であり、時間は10〜120minであり、好ましくは、窒化温度は350〜550℃であり、時間は10〜100minであり、より好ましくは、窒化温度は400〜550℃であり、時間は10〜60minであり、最も好ましくは、窒化温度は450〜550℃であり、時間は10〜30minであることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記表面窒化処理は、磁性原料粉末と、窒素含有雰囲気とを反応させることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記窒素含有雰囲気は、主に窒素ガスで構成されているが、アンモニアガス及び水素ガスを含まないことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化防止剤溶液は、リン酸又はその塩を有機溶剤に溶解した溶液であり、酸化防止剤と、有機溶剤との割合は(0.1〜5)g:100mLであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記乾燥温度は80〜110℃であり、好ましくは、乾燥温度は85〜105℃であり、より好ましくは、乾燥温度は90〜105℃であり、最も好ましくは、乾燥温度は95〜105℃であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜4に記載の希土類ボンド磁性粉末によって作製され、又は、請求項5〜9に記載の方法で作製されたボンド磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類ボンド磁性粉末その作製方法及びボンド磁石に関し、希土類材料の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
現在、NdFeB系希土類永久磁石材料は、多くの分野でかけがえのない基礎材料となっており、電子、自動車、コンピュータ等の多くの分野で広く応用されており、さまざまな産業の発展を促進している。従来のボンド磁石の作製方法は、永久磁石の性能を有する希土類ボンド磁性粉末と、樹脂バインダー(例えば、エポキシ樹脂又はナイロン)とを混合し、その混合物に対して圧縮成形又は射出成形を行うものである。最終的な磁性体に関しては、磁気性能は主にボンド磁性粉末に由来するが、機械的性能は主にバインダーに由来する。
【0003】
希土類永久磁石材料は、一般的に、一定の温度及び環境で作動する必要があり、長期的な作動プロセスで、その外寸の完全性及び磁気性能の安定性を維持する必要がある。ボンド磁石にとって、その使用性能に影響する重要な要素が2つある。まず、バインダーであり、バインダーの存在により、焼成磁性体に対して強力な利点を有しているが、高分子材料自体の欠点により、磁性体の分解及び軟化温度が金属材料よりも低いのは明らかであり、最終的にそれに含まれる材料の性能に影響してしまう。次に、ボンド磁性粉末は外側の高分子材料によって被覆されているが、酸化が生じ、温度が高くなるほど酸化が容易に進行し、このような酸化により、材料の不可逆的な磁束損失を明らかに増加させ、磁性体のさび、磁束損失等の多くの問題が生じてしまう。
【0004】
磁性体は、使用中に酸化されるだけでなく、作製プロセス中にも酸化される。このように、作製中に安全上の危険が存在するだけでなく、製品の安定性が悪くなってしまう。そして、ボンド磁石の応用分野の拡張を大きく制限している。
【0005】
現在、ボンド磁性粉末の耐酸化性の改善について、中国特許出願CN102498530A、CN101228024A、CN103503086A等には、いずれも希土類ボンド磁性粉末の表面に有機コーティングを蒸着する方法が言及されており、希土類ボンド磁性粉末に有機不動態化層が形成されることで、アンチエイジングの目的を達成することもできる。中国特許CN1808648Bには、異方性ボンド磁性粉末の表面処理プロセスも提案されており、異方性磁性粉末に対して無水リン酸化処理を行うことで、異方性磁性粉末が高温射出成形プロセス中に酸化されることを防止している。また、中国特許出願CN103862033A及びCN102744403A等には、軟磁性粉末コアの渦電流損失を低減するために、軟磁性粉末に対して表面処理を行う方法も言及されている。
【0006】
しかし、上記の従来技術は、いずれも粉末表面の化学的処理の観点から改良するものであるが、化学的処理では、酸素、水等の腐食を起こす物質と接触するのは避けられず、依然として部分的に酸化されることがある。
したがって、従来技術の欠点について、性能がより有益な表面処理プロセスを探求する必要が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、希土類ボンド磁性粉末の酸化防止及び防食特性をさらに向上するための希土類ボンド磁性粉末及びその作製方法を提供することを目的としている。
当該問題を解決するために、本発明は、以下の解決手段を講じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
コア層と酸化防止剤層とを含む多層コアシェル構造の希土類ボンド磁性粉末において、コア層がRFeMBからなり、RがNd及び/又はPrNdであり、MがCo、Nb、Zrのうちの1種又は複数種である希土類ボンド磁性粉末であって、コア層外部には、窒化鉄層が被覆されている。
【0009】
本発明に係る希土類ボンド磁性粉末によれば、前記RFeMBは、Rの含有量は20〜30wt.%であり、Mの含有量は0〜6wt.%であり、Bの含有量は0.85〜1.05wt.%であり、残量はFeである。
【0010】
本発明に係る希土類ボンド磁性粉末によれば、前記窒化鉄層は、鉄窒素化合物からなり、窒化鉄層の厚みは50〜500nmであり、好ましくは、厚みは100〜400nmであり、より好ましくは、厚みは150〜350nmであり、最も好ましくは、厚みは200〜300nmである。
【0011】
本発明に係る希土類ボンド磁性粉末によれば、前記酸化防止剤層は、リン酸塩複合物からなり、厚みは10〜200nmであり、好ましくは、厚みは20〜160nmであり、最も好ましくは、厚みは50〜80nmである。
【0012】
他方、本発明は、上記の希土類ボンド磁性粉末を作製する方法をさらに提供し、当該希土類ボンド磁性粉末は、磁性原料粉末に対して表面窒化処理を行って窒化物粉末を得ることと、
【0013】
酸化防止剤溶液を作製することと、窒化物粉末を酸化防止剤溶液に浸漬し、乾燥を経て、コアシェル構造のボンド磁性粉末を得ることと、を含む。ただし、窒化温度は300〜550℃であり、時間は10〜120minであり、好ましくは、窒化温度は350〜550℃であり、時間は10〜100minであり、より好ましくは、窒化温度は400〜550℃であり、時間は10〜60minであり、最も好ましくは、窒化温度は450〜550℃であり、時間は10〜30minである。
本発明に係る作製方法によれば、前記表面窒化処理では、磁性原料粉末と、窒素含有雰囲気とを反応させる。
【0014】
本発明に係る作製方法によれば、前記窒素含有雰囲気は、主に窒素ガスで構成されるが、アンモニアガス及び水素ガスを含まない。本発明では、「主に」とは、70%以上を指す。
【0015】
本発明に係る作製方法によれば、前記酸化防止剤溶液は、リン酸又はその塩を有機溶剤に溶解した溶液であり、酸化防止剤と、有機溶剤との割合は(0.1〜5)g:100mLである。
【0016】
本発明に係る作製方法によれば、前記乾燥温度は80〜110℃であり、好ましくは、乾燥温度は85〜105℃であり、より好ましくは、乾燥温度は90〜105℃であり、最も好ましくは、乾燥温度は95〜105℃である。
【0017】
本発明は、上記の希土類ボンド磁性粉末を含み、又は上記の方法で作製されたボンド磁石も提供する。
【発明の効果】
【0018】
上記の方法によれば、ボンド磁性粉末の表面には、より多くの保護層を形成することができ、後続の化学的処理プロセス中の酸素等の導入による性能の影響を回避し、後の化学的処理の効果を高め、ボンド磁石の耐酸化性、耐腐食性、高温での性能の安定性を大幅に改善する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る希土類ボンド磁性粉末の表面多層構造の模式図である。
図2】本発明に係る希土類ボンド磁性粉末の作製プロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る目的/又は技術案は、好ましい実施形態で与えられている。これらの実施形態の説明は、本発明を理解するためのものであり、実行可能な他の方法を制限するものではなく、これらの実行可能な他の実施形態は、本発明の実践から得られる。
【0021】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明の範囲が以下の実施例に限定されないのは、明らかである。
【0022】
図1に示すように、本発明では、希土類ボンド磁性粉末は、多層コアシェル構造で構成されており、コア層は、成分がRFeMBである磁性原料粉末1であり、コア層外部には、窒化鉄層2及び酸化防止剤層3が順に被覆されている。ただし、窒化鉄層2及び酸化防止剤層3は、それぞれ異なるプロセスで順に形成される。
【0023】
本発明に係る磁性原料粉末1の好ましい成分はRFeMBであり、ここで、RはNd及び/又はPrNdであり、MはCo、Nb、Zrのうちの1種又は複数種である。磁性原料粉末1は、NdFe14Bを主相構造とする。本発明では、「主相」とは、材料の構造及び性能の主体を構成し、材料の性質を支配する結晶相を意味する。本発明では、NdFe14Bの主相は、永久磁石の性能の基礎を構成し、最終的な磁性粉末は一定の残留磁気、保磁力等の磁気性能を有することを保証する。当業者には理解できることであるが、主相に加えて、本発明のRFeMBは、一定量のα−Fe、Ndリッチ相、鉄ホウ素等の補助相をさらに含むことができる。補助相は、主に成分調整及び作製プロセスの最適化中に導入される。補助相の添加量は、当業界の通常の添加量でもある。
【0024】
本発明では、Rの含有量は20〜30wt.%であり、Mの含有量は0〜6wt.%であり、Bの含有量は0.85〜1.05wt.%であり、残量はFeであるのが好ましい。これらの成分範囲は、一定の主相構造及び永久磁石の性能を確保するために、必要なものであり、希土類ボンド磁性粉末の耐熱性、耐腐食性及び性能を改良するために、少量のCo、Nb、Zrを添加する。一実施形態では、MがCoである場合、Coの含有量は2〜6at.%である。
【0025】
本発明では、磁性原料粉末1は、当該分野で周知な方法で作製されてもよく、焼入れ、エアロゾル化方法等を含むが、これに限らない。
【0026】
焼入れ法を例として、当該方法は、主に熔融された合金溶液をノズルにより高速に回転しているローラに噴射し、急速冷却後、シート状の希土類合金粉末を形成するものである。
【0027】
焼入れ方法において、熔融合金溶液は、中間周波又は高周波誘導融解法で実現され、原料を誘導溶解する速度は高速で、原料溶解プロセスに溶液を撹拌し、原料溶解の均一性を確保し、成分分離を回避する。熔融合金液は、ノズルにより高速に回転しているローラに噴射されて、ノズル材料は石英、BN、Al等の高温耐火材料で作製されてもよく、孔径は0.5〜2mmの範囲であり、ローラは、銅、銅合金、炭素鋼、W、Mo等の導熱性が優れた材料で構成されてもよい。総合材料の作製、熔融合金液とローラの浸潤性、材料の強度及び耐摩耗性等の特徴から、ローラ材料は銅、銅合金、Mo又はMo合金であることが好ましい。ローラ直径は250mm〜500mmであるのが好ましく、内部には水路を設け、ローラ温度を保証することで、熔融合金に対して大きな温度勾配を形成し、ローラに噴射された合金は、コアを形成する暇がなく又は成長する暇がなく、アモルファス又はナノ結晶のシート状の希土類合金粉末を得る。
【0028】
焼入れプロセス全体は、非酸化性雰囲気で行われ、好ましくは、主にArであり、環境におけるAr圧力範囲Pは10〜80kPaであり、20〜60kPaであるのが好ましい。ローラに接触して引き出された希土類合金粉末は、フライアウトプロセス中に非酸化性雰囲気で一度冷却され、圧力が10kPa未満であると、迅速冷却効果を達成できず、高すぎると、焼入れプロセス中の溶液とローラとの十分な濡れに不利であり、これによって、最終的な磁性粉末の表面粗さ状態に影響し、希土類ボンド磁性粉末全体の作製に不利である。
【0029】
焼入れプロセスは、製錬及び焼入れを1つのチャンバーで行うことができ、このとき、製錬及び焼入れが所在している環境の圧力は同じであり、溶鋼は、自重によりノズルから噴出される。製錬及び焼入れは、2つの独立したチャンバーで行うこともでき、その間はノズルによって接続されており、製錬チャンバーの圧力を調節することにより、噴出速度及び噴出の安定性を調整する。
【0030】
焼入れプロセスが終了し、焼入れによって得られる磁性原料粉末を収集し、次の処理、すなわち、窒化処理及び酸化防止処理を行う。
【0031】
本発明では、窒化処理により磁性原料粉末1の外層には、厚みが50〜500nmである窒化鉄層を1層形成する。窒化鉄層は、鉄窒素化合物を主な成分として、FeN、FeN、FeN等を含む。鉄窒素化合物は、Feを含む材料と窒素含有雰囲気とを反応させることにより生成されたものであり、主な作用は、コア層の磁性原料粉末1が後の酸化防止剤層3の形成プロセス及び後の成形プロセスに水、空気等と接触し、酸化されて、後の性能に影響することを防止するものである。本発明では、主にRFeMBと窒素含有雰囲気とを反応させることにより形成されたものである。
【0032】
反応は、一定温度で行われる必要がある。反応は、300〜550℃の温度、10〜120minの時間で行われるのが有利である。
【0033】
本発明では、窒化鉄層2の厚みは50〜500nmであり、当該厚みは、コア部分の磁気性能が大幅に低減しないことを保証する場合、窒化鉄層を形成することができる。好ましくは、窒化鉄層2の厚みは100〜400nmであり、より好ましくは、窒化鉄層2の厚みは150〜350nmであり、最も好ましくは、窒化鉄層2の厚みは200〜300nmである。
【0034】
1つの具体的な実施形態では、窒化鉄層2の厚みは250nmである。
【0035】
本発明では、窒化鉄層2の外部には、一層の酸化防止剤層3がさらに被覆されており、好ましくは、酸化防止剤層はリン酸塩複合物である。当該リン酸塩複合物は、リン酸又はリン酸塩と磁性原料粉末1及び窒化鉄層2とを反応させることにより形成され、当該リン酸化層3の形成により、コア部分に対して2番目のバリア保護作用をしており、これによって、コア部分の酸化及び腐食を効果的に回避する。
【0036】
本発明では、酸化防止剤層の厚みは10〜200nmであり、厚すぎると、磁気性能の向上に影響し、薄すぎると、保護効果が得られない。好ましくは、酸化防止剤層の厚みは20〜160nmであり、より好ましくは、酸化防止剤層の厚みは40〜120nmであり、最も好ましくは、酸化防止剤層の厚みは50〜80nmである。
【0037】
1つの具体的な実施形態では、酸化防止剤層の厚みは60nmである。
【0038】
別の態様によれば、本発明は、さらに当該希土類ボンド磁性粉末の作製方法に関する。図2は、希土類ボンド磁性粉末作製プロセスのフローチャートである。作製方法は、主に下記のステップを含む。
【0039】
(1)磁性原料粉末に対して表面窒化処理を行って窒化物粉末を得る。
当該ステップは、主に窒化鉄層1を形成するためのものであり、当該プロセスでは、好ましくは、窒化処理の雰囲気は窒素であり、他のN+H、NH+H等の雰囲気は窒化効率を向上できるが、NdFe14Bの主相の分解が不可避であり、最終的な磁性粉末の性能に大きく影響する。本ステップは、磁性原料粉末に特定の分布の窒素を形成し、窒素が磁性粉末の表面層に集中し、磁性粉末の主相であるNdFe14Bグリッドにできるだけ少なく侵入して主相を安定にさせることが鍵である。
【0040】
本発明では、窒化温度は300〜550℃であり、時間は10〜120minである。好ましくは、窒化温度は350〜550℃であり、時間は10〜100minであり、より好ましくは、窒化温度は400〜550℃であり、時間は10〜60minであり、最好ましくは、窒化温度は450〜550℃であり、時間は10〜30minである。
【0041】
1つの具体的な実施形態では、窒化温度は500℃であり、時間は20minである。
【0042】
(2)酸化防止剤溶液を作製する。
酸化防止剤を有機溶剤に溶解し、溶液を形成し、当該酸化防止剤は、リン酸又はリン酸塩を含む。水分が磁性原料粉末1及び窒化層2と反応することを回避するように、好ましくは、リン酸が無水リン酸である。好ましくは、リン酸塩がIA族、IIA族、IIIA族金属のリン酸塩から選択されたものである。好ましくは、有機溶剤がアセトン又はアルコールであり、酸化防止剤を十分に溶解させることができるだけでなく、酸化防止剤が十分均一に付着させてから、揮発して、固体を完全的に形成することができる。
【0043】
本発明では、酸化防止剤と有機溶剤との割合は(0.1〜5)g:100mLである。好ましくは、酸化防止剤と有機溶剤との割合は(0.2〜4)g:100mLであり、より好ましくは、酸化防止剤と有機溶剤との割合は(0.4〜3)g:100mLであり、最も好ましくは、酸化防止剤と有機溶剤との割合は(0.6〜2)g:100mLである。
【0044】
1つの具体的な実施形態では、酸化防止剤と有機溶剤との割合は1.2g:100mLである。
【0045】
(3)窒化物粉末を酸化防止剤溶液に浸漬し、乾燥を経てコアシェル構造のボンド磁性粉末を得る。
当該ステップにおいて、磁性粉末と酸化防止剤とを所定の割合で配合し、酸化防止剤溶液に入れて、好ましくは、撹拌方式で十分に反応させる。これは、磁性粉末と酸化防止剤とを均一に反応させるのに有利である。処理してフィルタリングを行った後、乾燥する。
【0046】
本発明では、乾燥温度は80〜110℃である。好ましくは、乾燥温度は85〜105℃であり、より好ましくは、乾燥温度は90〜105℃であり、最も好ましくは、乾燥温度は95〜105℃である。
【0047】
更なる態様によれば、本発明は、上記作製方法で得られるボンド磁石を含む。
【0048】
従来技術に比べて、本発明の最も大きな利点は、従来のリン酸化ステップの前に窒化処理ステップを追加し、これによって、磁性原料粉末1と、酸化防止剤層3との間に窒化層2を形成し、リン酸化及び後の処理プロセスに磁性原料粉末の酸化及び腐食を効果的に回避し、材料の長期耐熱性及び環境耐性をさらに向上することである。
【0049】
具体的な実施形態
以下、実施例により、さらに、本発明を具体的に説明する。
【0050】
実施例1〜25
割合で表1のNo.1〜No.9の各実施例に挙げられた各種の原料(Nd、NdPr、Fe、Co、B、Zr、Nb)を混合した後、誘導溶解炉に入れて、Arガスの保護下で製錬を行い合金インゴットを得る。
【0051】
合金インゴットを粗粉砕した後、焼入れ炉に入れて焼入れを行い、焼入れ後、磁性原料粉末を得る。
【0052】
これによって、平均厚みが15〜100μmである希土類合金粉末を作製し、得られた希土類合金粉末をXRDにより相構造を決定する。
【0053】
上記磁性原料粉末をArガスの保護下で一定の温度及び時間に処理した後、N雰囲気に入れて、窒化を行い、磁性原料粉末の表面に、窒化鉄層を形成する。
【0054】
酸化防止剤を有機溶剤に溶解して、溶液を形成する。
【0055】
窒化物粉末を酸化防止剤溶液に浸漬し、乾燥を経てコアシェル構造のボンド磁性粉末を得る。
【0056】
比較例CompNo.1
表面窒化処理ステップは省略され、その他のステップは実施例1と同様である。
【0057】
比較例CompNo.2
具体的には、表1を参照されたい。
【0058】
【0059】
磁性粉末の性能評価方法
(1)希土類ボンド磁性粉末成分
希土類ボンド磁性粉末の成分は、焼入れ後、得られた希土類合金粉末が熱処理及び窒化処理を経た成分であり、成分は、原子%で表される。
【0060】
(2)磁性粉末の性能
磁性粉末の性能は、振動サンプル磁力計(VSM)により測定することができる。
ただし、Brは残留磁気であり、単位はkGsである。
Hcjは固有保磁力であり、単位はkOeである。
(BH)は磁気エネルギー積であり、単位はMGOeである。
【0061】
(3)耐腐食性能η
まず、窒化後の希土類ボンド磁性粉末を300メッシュスクリーンに通し、50μm未満の細粉を取り出し、細粉を除去した後の希土類ボンド磁性粉末質量W1を量る。
【0062】
5%のNaCl水溶液の中に、80℃で48h処理し、処理された磁性粉末を乾燥後、引き続き300メッシュスクリーンを通過させ、処理された希土類ボンド磁性粉末質量W2を量る。
耐腐食性能η=(W1−W2)/W1;
損失が1wt.%未満であるサンプルは、耐腐食性が合格であると認定する。
【0063】
(4)耐熱性
120℃での1000hの不可逆的な磁束損失により測定される。
【0064】
表2には、本発明の実施例No.1−9及び比較例CompNo.1−2の希土類ボンド磁性粉末成分、磁性粉末の性能、耐腐食性能力及び耐熱性を記載する。
【0065】
【0066】
比較例に比べて、本発明の実施例No.1−9は、リン酸化及び後の処理プロセスにおいて磁性原料粉末の酸化及び腐食を効果的に回避し、材料の長期耐熱性及び環境耐性をさらに向上することが分かる。
【0067】
以上、上記実施例は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、実施形態を限定するものではない。当業者にとって、本発明は、各種の変更及び修飾を行うことができる。本発明の思想及び原則内であれば、なされた如何なる補正、同等置換、改良は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
図1
図2