(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサ空間(8)が、当該ボイラー管(2)の第1の円周方向半分(22)内に配置され、前記ダクト(10)が、前記半径方向内側管状部(4)の周りで部分的に延び、前記出口部(12)が、当該ボイラー管(2)の第2の円周方向半分(24)内に配置される、請求項1に記載のボイラー管(2)。
前記半径方向外側管状部(6)が、前記半径方向内側管状部(4)の周りで円周方向に延びるように、前記半径方向内側管状部(4)の周りに形成される、請求項1または2に記載のボイラー管(2)。
第1の長手方向管部(14)および第2の長手方向管部(16)を備え、前記第1の長手方向管部(14)および前記第2の長手方向管部(16)が、前記長手方向延伸部(L)に沿って延び、前記第1の長手方向管部(14)が、前記第2の長手方向管部(16)に対して冶金学的に接合され、前記センサ空間(8)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のボイラー管(2)。
前記半径方向外側管状部(6)から半径方向に延び、前記長手方向延伸部(L)に沿って少なくとも部分的に延びた少なくとも1つのフィン(20、20’)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のボイラー管(2)。
少なくとも第1の水壁パネル(34)を備えた炉(30)であって、前記第1の水壁パネル(34)が、1以上のボイラー管を備え、前記1以上のボイラー管のうちの少なくとも1つの第1のボイラー管(2)が、請求項1から9のいずれか一項に記載のボイラー管(2)である、炉(30)。
第2の水壁パネル(32)を備え、前記第1の水壁パネル(34)が当該炉(30)の側壁の少なくとも一部を形成し、前記第2の水壁パネル(32)が当該炉(30)の床の少なくとも一部を形成する、請求項11または12に記載の炉(30)。
【発明の概要】
【0010】
ボイラーの内側の温度の測定に関連する前述の問題の少なくとも一部を克服または少なくとも軽減できれば都合が良い。これらの懸念事項のうちの1つまたは複数に対してより良く対処するため、独立請求項に規定の特徴を有するボイラー管、ボイラー管ユニット、および炉が提供される。
【0011】
本開示の一態様によれば、長手方向延伸部Lを有するボイラー管であって、長手方向延伸部の少なくとも第1の部分に沿って延びた半径方向内側管状部と、長手方向延伸部の第1の部分に沿って延びた半径方向外側管状部であり、半径方向内側管状部に対して冶金学的に接合された、半径方向外側管状部と、半径方向内側管状部と半径方向外側管状部との間に配置されたセンサ空間であり、半径方向外側管状部の物理的特性を検出するように配置されたセンサを収容するように構成された、センサ空間と、を備え、ダクトがセンサ空間に接続され、半径方向外側管状部を通って、半径方向外側管状部の表面の出口部まで延びており、半径方向内側管状部および半径方向外側管状部が、化学組成の異なる材料を含む、ボイラー管が提供される。
【0012】
ボイラー管は、半径方向内側管状部と半径方向外側管状部との間に配置されたセンサ空間を備え、センサ空間は、半径方向外側管状部の物理的特性を検出するように配置されたセンサを収容するように構成されているため、センサ空間の内側でボイラー管の壁内に保護されるように、センサが配置され得る。このため、炉の内側の高温環境への直接的な曝露なく、たとえば炉の内側の温度またはボイラー管の応力を検出するようにセンサを配置可能なボイラー管が提供される。
【0013】
さらに、半径方向内側管状部および半径方向外側管状部が化学組成の異なる材料を含むため、半径方向内側管状部の化学組成は、ボイラー管の内側の媒体および圧力との接触に適応され、半径方向外側管状部の化学組成は、炉内の物質および燃焼ガスとの接触に適応され得る。また、ダクトがセンサ空間に接続され、半径方向外側管状部を通って延びているため、接続部がセンサ空間からダクトを通って、半径方向外側管状部の表面の出口部まで延び得る。半径方向内側管状部と異なる化学組成の半径方向外側管状部に出口部が設けられているため、ダクト全体が半径方向外側管状部の直下に延びている。このため、ダクト全体およびこれを通って延びる導管は、炉内の物質および燃焼ガスからの保護等、半径方向外側管状部が与える特性の恩恵を受ける。
【0014】
より具体的に、半径方向外側管状部の物理的特性は、たとえば半径方向外側管状部の温度であってもよい。センサ空間内の半径方向外側管状部の温度を検出することにより、ボイラー管の外面上の温度を検出可能である。センサ空間の半径方向位置の把握と併せて、ボイラー管の外面からボイラー管の壁を通ってボイラー管の内側に至る温度勾配を把握することにより、センサ空間においてセンサにより検知された温度に基づいて、ボイラー管の外側の温度を計算することができる。
【0015】
同様に、半径方向外側管状部の物理的特性は、たとえば半径方向外側管状部の応力であってもよい。センサ空間内の半径方向外側管状部の応力を検出することにより、ボイラー管の応力を検出可能である。センサ空間の半径方向位置の把握と併せて、たとえばボイラー管の内径および外径等、ボイラー管の寸法を把握することにより、センサ空間においてセンサにより検知された応力に基づいて、ボイラー管の外側または内側の応力を計算することができる。
【0016】
ボイラー管は、炉の一部を形成する。より具体的に、ボイラー管は、炉のいわゆる水壁パネルの一部を形成する。ボイラー管の使用時には、ボイラー管の内側で水が加熱されて蒸気になるが、任意選択として、過熱により過熱蒸気になる場合もある。ボイラー管の使用時には、ボイラー管の第1の円周方向部が炉の周りの周囲温度に曝され、ボイラー管の第2の円周方向部が炉の内側の高温の燃焼物質および/または燃焼ガスに曝される。
【0017】
管状部(tubular portion)という用語は、文字通り管状部材を表す。より具体的には、半径方向外側管状部が管状部材を形成し、半径方向内側管状部も管状部材を形成する。上述の通り、半径方向外側管状部は、半径方向内側管状部に対して冶金学的に接合されている。したがって、半径方向外側管状部は、半径方向内側管状部の全体または実質的に全体の周りで円周方向に延びている。
【0018】
冶金学的接合(metallurgically bonded)という用語は、金属構成要素(この場合は、半径方向内側および外側管状部)の間の界面が遷移ゾーンを構成することを意味する。2つの金属構成要素間には、界面の線がはっきりと検出されない場合もある。このため、ボイラー管の使用中、ボイラー管の内側とボイラー管の外側との間に温度差が存在する場合は、半径方向内側管状部と半径方向外側管状部との間の冶金学的接合によって、ボイラー管の内側からボイラー管の外側まで、ボイラー管内に段差のない連続した半径方向温度分布がもたらされる。これにより、半径方向内側管状部と半径方向外側管状部との間の界面では、熱伝導率が同じである可能性もあるし、少なくとも急激な階段状変化を示さない可能性もある。同様に、冶金学的接合によって、ボイラー管の断面全体に応力を連続して分散可能となる。
【0019】
センサは、たとえばサーミスタ等の温度センサであってもよいし、ひずみゲージ等の応力センサであってもよい。ダクトは、たとえばセンサ空間との間に延びる電気的接続のためのチャネルであってもよい。
【0020】
ダクトがセンサ空間に接続され、半径方向外側管状部を通って、半径方向外側管状部の表面の出口部まで延びているため、センサ空間内に配置されたセンサへの電気コネクタがダクトを通って延伸し得る。このため、センサ空間内に配置されたセンサは、炉の制御装置に接続可能となる。
【0021】
実施形態によれば、センサ空間は、ボイラー管の第1の円周方向半分内に配置されていてもよい。ダクトは、半径方向内側管状部の周りで部分的に延びていてもよく、出口部は、ボイラー管の第2の円周方向半分内に配置されていてもよい。このように、センサ空間は、炉の内側を向くように形成されたボイラー管の円周方向半分内に配置されていてもよく、一方、出口部は、炉の外側の周囲環境を向くように形成されたボイラー管の他方の円周方向半分内に配置されている。このため、センサ空間内に配置されたセンサからの電気コネクタは、炉の内側よりも温度が低い炉の周囲環境に向かってボイラー管から出るようになっていてもよい。
【0022】
実施形態によれば、ボイラー管は、センサ空間内に配置されたセンサと、センサに接続され、ダクトを通って延びた導管とを備えていてもよい。このように、センサは、ボイラー管の1つまたは複数の物理的特性を測定またはモニタリングするとともに、ボイラー管が配置された炉の1つまたは複数の物理的特性を間接的に測定またはモニタリングするようにしてもよい。導管(電線用導管であってもよい)を介して、センサは、炉の制御またはモニタリング装置に接続されていてもよい。
【0023】
実施形態によれば、センサ空間およびダクトは、半径方向内側管状部上に一部が位置決めされ、半径方向外側管状部を通って延びた管により形成されていてもよく、半径方向外側管状部は、管の周りに構築されていてもよい。このように、管は、ボイラー管の製造時にセンサ空間およびダクトが形成されるようにし得る。また、半径方向外側管状部の形成に先立って管が正しい位置に配置され得るため、ボイラー管内のセンサ空間およびダクトの正しい位置が保証され得る。
【0024】
実施形態によれば、半径方向外側管状部は、金属粉の熱間等静圧圧縮成形により形成されることで、半径方向内側管状部に対して冶金学的に接合されていてもよい。このように、冶金学的接合が実現され得る。このため、ボイラー管の使用中、ボイラー管内の半径方向温度分布および/または半径方向応力分布は、段差なく連続し得る。
【0025】
実施形態によれば、センサ空間およびダクトは、半径方向内側管状部上への半径方向外側管状部の積層造形中に形成されるようになっていてもよい。このように、半径方向内側管状部と半径方向外側管状部との間の冶金学的接合が実現され得る。このため、ボイラー管の使用中、ボイラー管内の半径方向温度分布および/または半径方向応力分布は、段差なく連続し得る。
【0026】
実施形態によれば、ボイラー管は、第1の長手方向管部および第2の長手方向管部を備えていてもよく、第1の長手方向管部および第2の長手方向管部が長手方向延伸部Lに沿って延び、第1の長手方向管部が第2の長手方向管部に対して冶金学的に接合され、第1の長手方向管部がセンサ空間を含む。このように、ボイラー管は、その長手方向延伸部に沿って、異なる部分を備えていてもよい。このため、とりわけセンサ空間を含む第1の長手方向管部は、第1の製造方法に従って製造されていてもよく、第2の長手方向管部は、第2の製造方法に従って製造されていてもよい。第1の製造方法は、たとえば熱間等静圧圧縮成形または積層造形を含んでいてもよい。第1および第2の長手方向管部は、たとえば溶接によって互いに、冶金学的に接合されていてもよい。
【0027】
実施形態によれば、第1の長手方向管部は、屈曲管部を備えていてもよく、センサ空間が屈曲管部内に配置されている。このように、屈曲管部は、炉の水壁に開口を設ける際に利用され得る。すなわち、屈曲管部は、水壁の開口の周りで少なくとも部分的に延びていてもよい。水壁は、このような開口において、高温および/または高応力に曝されることが多い。したがって、屈曲管部にセンサ空間を設けることにより、炉内で厳しい条件が支配的となる水壁の部分にセンサを位置決め可能となり得る。
【0028】
実施形態によれば、ボイラー管は、半径方向外側管状部から半径方向に延び、長手方向延伸部Lに沿って少なくとも部分的に延びた少なくとも1つのフィンを備えていてもよい。このように、ボイラー管には、たとえば水壁中の別のボイラー管に接続するための部材が設けられていてもよい。より具体的に、少なくとも1つのフィンは、水壁の隣り合うボイラー管に対して、当該隣り合うボイラー管の円周方向面に直接溶接されていてもよいし、当該隣り合うボイラー管のフィンに溶接されていてもよい。
【0029】
実施形態によれば、フィンは、半径方向外側管状部と一体的に形成されていてもよい。このように、フィンは、半径方向外側管状部に溶接されている必要がない。このような溶接は、センサ空間と外面部との間のダクトを損傷させてしまう。したがって、このような実施形態においては、フィンの一方の側からフィンの反対側までダクトが延びていてもよい。ダクトは、半径方向内側管状部に沿って好適に延びているため、フィンの直下に延びている。
【0030】
実施形態によれば、少なくとも1つのフィンは、半径方向内側管状部と同じ材料から作られた層を備えていてもよい。このように、フィンは、半径方向内側管状部と同様の物理的特性を与えるように提供されていてもよい。たとえば、半径方向内側管状部の材料の熱伝導率は、半径方向外側管状部の材料の熱伝導率より高くてもよい。このため、半径方向内側管状部と同じ材料から作られたフィンの層により、フィンを介する熱伝導率は、半径方向外側管状部と同じ材料で全体が形成されたフィンよりも高くなり得る。半径方向内側管状部と同じ材料から作られた層は、フィンの主方向すなわち2つのボイラー管の間に延びているのが好適である。
【0031】
また、これらの実施形態において、ダクトは、半径方向内側管状部に沿って好適に延びているため、フィンの直下に延びている。半径方向内側管状部またはその近傍の層中には、ダクトの好適にサイズ規定された開口または凹部が設けられていてもよい。
【0032】
本開示の別の態様によれば、第1のボイラー管および第2のボイラー管を備えたボイラー管ユニットが提供される。第1のボイラー管は、本明細書において論じる態様および/または実施形態のいずれか1つに係るボイラー管であり、少なくとも1つのフィンを備える。第1および第2のボイラー管は、少なくとも1つのフィンを介して互いに接続され、ダクトは、少なくとも1つのフィンの第1の側から少なくとも1つのフィンの第2の側まで延びている。
【0033】
ボイラー管ユニットは、少なくとも1つのフィンを介して互いに接続された第1および第2のボイラー管を備え、ダクトが少なくとも1つのフィンの第1の側から当該フィンの第2の側まで延びていることから、第1のボイラー管を第2のボイラー管に溶接する必要なく、炉内に設置可能である。このため、ダクトおよび当該ダクト内に配置された電気的接続部等の如何なる接続部も、溶接作業において発生し得る熱の影響を受けることも損傷を受けることもない。
【0034】
本開示の別の態様によれば、少なくとも第1の水壁パネルを備えた炉であって、第1の水壁パネルが、1以上のボイラー管を備え、1以上のボイラー管のうちの少なくとも1つの第1のボイラー管が、本明細書において論じる態様および/または実施形態のいずれか1つに係るボイラー管である、炉が提供される。
【0035】
上述の通り、ボイラー管がセンサ空間を備えることから、センサ空間の内側でボイラー管の壁内に保護されるように、センサが配置されていてもよい。このため、炉の内側の高温環境への直接的な曝露なく、炉の内側の温度および/または応力等の物理的特性を検出するようにセンサを配置可能な第1の水壁パネルを備えた炉が提供される。
【0036】
したがって、ボイラー管の物理的特性は、炉の特定曝露位置において、連続的にモニタリングされ得る。センサ空間は、このような曝露位置に配置されるのが好適である。連続的モニタリングによって、炉のオペレータは、炉の動作条件をより把握可能になるとともに、これらを異なる方法で調整することにより、特定の動作条件またはプロセス外乱の負の結果を抑えることが可能となり得る。動作データを常時測定すれば、早期の警報によって、ボイラー管の交換を計画可能となる。炉の重要なエリアにおいて、たとえば温度および/または応力等の物理的特性を規定可能であることは、ボイラー管の過熱および燃焼の原因となり得るボイラー管の一部または全部の閉塞の検出に有用となり得る。
【0037】
第1の水壁パネルは、互いに平行に延びるように配置された複数のボイラー管を備えていてもよい。ボイラー管は、互いに直接または間接的に溶接されていてもよい。炉の少なくとも一部の周りには、1つまたは複数の水壁パネルが配置されていてもよい。
【0038】
実施形態によれば、炉は、本明細書において論じる態様および/または実施形態のいずれか1つに係るボイラー管ユニットを備えていてもよく、少なくとも1つの第1のボイラー管がボイラー管ユニットの第1のボイラー管を形成する。このように、炉内の第1のボイラー管の設置に、ダクト全体の溶接は必要ない。
【0039】
実施形態によれば、炉は、第2の水壁パネルを備えていてもよく、第1の水壁パネルが炉の側壁の少なくとも一部を形成し、第2の水壁パネルが炉の床の少なくとも一部を形成していてもよい。このように、炉の側壁および床の両者に沿って、水、蒸気、および/または過熱蒸気が誘導され得る。
【0040】
第1のボイラー管は、第1および第2の両水壁パネルの一部を形成していてもよい。この代替または追加として、第2の水壁パネルは、本明細書において論じる態様および/または実施形態のいずれか1つに係る少なくとも1つのボイラー管を備えていてもよい。
【0041】
実施形態によれば、第1のボイラー管は、そのセンサ空間が第1の水壁パネル内の開口に近い状態で配置されていてもよい。このように、第1の水壁パネル中の開口(第1の水壁パネルの特定曝露部であってもよい)における物理的特性がモニタリングされ得る。
【0042】
本開示の別の態様によれば、長手方向延伸部Lを有し、長手方向延伸部の少なくとも第1の部分に沿って延びた半径方向内側管状部と、長手方向延伸部の第1の部分に沿って延びた半径方向外側管状部とを備えたボイラー管を製造する方法が提供される。この方法は、
半径方向内側管状部を用意するステップと、
半径方向外側管状部を形成すると同時に、当該形成中に、半径方向外側管状部と半径方向内側管状部との間の冶金学的接合を実現するステップと、
半径方向内側管状部と半径方向外側管状部との間にセンサ空間を形成するステップであり、センサ空間が、半径方向外側管状部の物理的特性を検出するように配置されたセンサを収容するように構成された、ステップと、
を含む。
【0043】
添付の特許請求の範囲および以下の詳細な説明を検討すれば、本開示の他の特徴および利点が明らかとなるであろう。
【0044】
本開示の種々態様および/または実施形態については、その特定の特徴および利点を含めて、以下の詳細な説明および添付の図面において論じる例示的な実施形態から容易に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本開示の態様および/または実施形態をより詳細に説明する。全体を通して、同じ番号は、同じ要素を表す。周知の機能または構成については、簡素化および/または明瞭化のため、必ずしも詳しく説明しない。
【0047】
図1は、実施形態に係る、ボイラー管2を示している。ボイラー管2は、炉の一部を形成していてもよい。ボイラー管2は、長手方向延伸部Lを有する。ボイラー管2は、第1の長手方向管部14および第2の長手方向管部16を備える。第1の長手方向管部14および第2の長手方向管部16は、長手方向延伸部Lに沿って延びている。第1の長手方向管部14は、第2の長手方向管部16に対して冶金学的に接合されている。たとえば、第1および第2の長手方向管部14、16は、溶接によって互いに、冶金学的に接合されていてもよい。
【0048】
純粋に一例として述べるが、ボイラー管2の長手方向延伸部Lは、6〜16mの範囲内であってもよい。ボイラー管2の外径は約60mm、ボイラー管2の内径は約50mmであってもよい。
【0049】
本明細書において、ボイラー管2の長手方向または長手方向延伸部は、ボイラー管2の軸に沿って延びている。したがって、長手方向/延伸部は、
図1のように真っ直ぐであってもよいし、
図3aのように屈曲していてもよい。ボイラー管2の周りには、円周方向が環状に、少なくとも部分的に延びている。また、ボイラー管2の中心を通って半径方向内方または外方に、半径方向が延びている。
【0050】
長手方向延伸部Lの少なくとも第1の部分5に沿って、ボイラー管2は、半径方向内側管状部および半径方向外側管状部を備える。第1の部分5には、センサ空間が配置されている(詳細は、
図2a〜
図2dに関して下記参照)。
【0051】
第1の部分5は、
図1において破線で示すように、第1の長手方向管部14の一部のみを形成していてもよい。あるいは、第1の部分5は、第1の長手方向管部14を形成する。前者の場合、第1の部分5は、たとえば溶接により、第1の長手方向管部14のその他の部分に対して冶金学的に接合される。
【0052】
第2の長手方向管部16および第1の長手方向管部14の第1の部分5以外の部分は、半径方向内側部が低合金鋼または炭素鋼から作られ、半径方向外側部が耐食ステンレス鋼または高合金鋼から作られていてもよい。これら2つの材料は、半径方向内側および外側部の2つの材料間に拡散接合が生成された状態で管状に押し出されるようになっていてもよい。
【0053】
ボイラー管2は、第1および第2の長手方向管部14、16のほか、1つまたは複数の別の長手方向部を備えていてもよい。
【0054】
図2a〜
図2dは、ボイラー管2の種々実施形態を示している。特に、
図2a〜
図2dは、ボイラー管2の第1の部分5の異なる実施形態を示している。
図2aにおいては、第1の部分5の斜視図を示している。
図2bにおいては、
図2aにおける線B−Bに沿った断面を示している。
図2cおよび
図2dにおいては、代替実施形態に係る、第1の部分5の
図2bに対応する断面を示している。以下の記述においては、
図2a〜
図2dのうちの1つまたは複数を具体的に参照しない限り、
図2a〜
図2dのすべてを参照する。
【0055】
ボイラー管2の長手方向延伸部の少なくとも第1の部分5に沿って、ボイラー管2は、半径方向内側管状部4および半径方向外側管状部6を備える。半径方向外側管状部6は、半径方向内側管状部4に対して冶金学的に接合されている。
図2a〜
図2dにおいて、半径方向内側および外側管状部4、6間の遷移ゾーンは、輪状線で示している。実際、半径方向内側および外側管状部4、6間の冶金学的接合は、半径方向延伸部を有する遷移ゾーンを形成する。すなわち、半径方向内側および外側管状部4、6間の界面は、明確に区別できない。界面は、2つの材料すなわち半径方向内側管状部4の材料および半径方向外側管状部6の材料間の拡散接合によって形成される。
【0056】
半径方向外側管状部6は、金属粉の熱間等静圧圧縮成形HIPにより形成されていてもよい。また、HIPにおいて、半径方向外側管状部6は、半径方向内側管状部4に対して冶金学的に接合される。
【0057】
あるいは、半径方向外側管状部6は、積層造形により形成されていてもよい。また、積層造形において、半径方向外側管状部6は、半径方向内側管状部4に対して冶金学的に接合される。
【0058】
HIPおよび積層造形は、周知の製造方法であるため、本明細書においてさらに詳しく説明することはない。
【0059】
半径方向内側管状部4および半径方向外側管状部6は、化学組成の異なる材料を含む。純粋に一例として述べるが、半径方向内側管状部4は、炭素鋼または低合金鋼を含んでいてもよく、半径方向外側管状部6は、ステンレス鋼または高合金鋼を含んでいてもよい。炭素鋼または低合金鋼の半径方向内側管状部4は、熱間圧延および/または低温延伸により製造されるようになっていてもよい。材料の化学組成(chemical composition)という用語は、材料の構成成分の割合に関する。ボイラー管の特定部分の製造方法に応じて、異なる部分の構造は、変化する場合がある。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、炭素鋼は、ASTM規格:EN番号:1.0425、EN名称:P265GHに従い、以下の公称化学組成(重量%)を有する炭素鋼であってもよい。
炭素(C) 最大0.2
マンガン(Mn) 0.7〜1.4
シリコン(Si) 最大0.4
クロム(Cr) 最大0.3
ニッケル(Ni) 最大0.3
銅(Cu) 最大0.3
モリブデン(Mo) 最大0.080
アルミニウム(Al) 最大0.024
チタン(Ti) 最大0.030
リン(P) 最大0.025
ニオブ(Nb) 最大0.020
バナジウム(V) 最大0.020
残部Feおよび通常発生する不純物
【0061】
いくつかの実施形態によれば、低合金鋼は、規格EN番号:1.5415に従い、以下の公称化学組成(重量%)を有する低合金鋼であってもよい。
0.12〜0.2wt% C
最大0.35wt% Si
0.4〜0.9wt% Mn
最大0.3wt% Ni
≦0.035% P
≦0.035% S
≦0.20% Cr
0.25〜0.35wt% Mo
最大0.012wt% N
最大0.3wt%
残部Feおよび通常発生する不純物
【0062】
実施形態によれば、ステンレス鋼または高合金鋼は、規格UNS N08825、UNS N08028、UNS N06690、またはUNS N06625に係る合金等、ニッケル−クロム合金から選択されるようになっていてもよいが、これらに限定されない。これらの合金は、以下の組成を有する。
【0063】
UNS N08825に係る合金は、以下の組成(重量%)を有する。
Ni 38.0〜46.0
Cr 19.5〜23.5
Mo 2.5〜3.5
Cu 1.5〜3.0
Ti 0.6〜1.2
C 最大0.05
S 最大0.03
P 最大0.03
Mn 最大1.0
Si 最大0.5
Al 最大0.2
残部Feおよび通常発生する不純物
【0064】
UNS N08028に係る合金は、以下の組成(重量%)を有する。
Ni 30〜34
Cr 26〜28
Mo 3.0〜4.0
Mn 最大2.5
Cu 0.6〜1.4
Si 最大1.0
C 最大0.030
P 最大0.030
S 最大0.030
残部Feおよび通常発生する不純物
【0065】
UNS N06690に係る合金は、以下の組成(重量%)を有する。
Cr 27.0〜31.0
Fe 7.0〜11.0
C 最大0.05
Si 最大0.50
Mn 最大0.50
S 最大0.015
P 最大0.015
Cu 最大0.50
残部Niおよび通常発生する不純物
【0066】
UNS N06625に係る合金は、以下の組成(重量%)を有する。
Cr 20.0〜23.0
Fe 最大5.0
Mo 8.0〜10.0
Nb(+Ta) 最大0.10
Mn 最大0.50
S 最大0.50
P 最大0.015
S 最大0.015
Al 最大0.40
Ti 最大0.40
Co 最大1.0
Niおよび通常発生する不純物のバランス
【0067】
不純物の例は、故意に添加されたものではないが、たとえば関連する鋼または合金の製造に用いられる素材または付加的な合金化元素において不純物として通常発生するために完全には避けられない元素および化合物である。
【0068】
半径方向内側管状部4と半径方向外側管状部6との間には、センサ空間8が配置されている。センサ空間8は、半径方向外側管状部6の物理的特性を検出するように配置されたセンサを収容するように構成されている。ダクト10がセンサ空間8に接続され、半径方向外側管状部6を通って、半径方向外側管状部6の表面の出口部12まで延びている。
【0069】
ダクト10の目的は、2つである。第1に、ダクト10を通じて、センサ空間8からボイラー管2の外側まで導管が延びていてもよい。第2に、ダクト10の円周方向の延伸によって、ダクト10が出る出口部12は、炉の周囲環境を向くため炉の内側よりも熱に曝されにくいボイラー管2のエリアに位置決め可能となる。
【0070】
ダクト10は、半径方向内側管状部4の一部の周りで円周方向に延びるとともに、
図2bおよび
図2dに示すように半径方向外側管状部6を通って半径方向に延びるか、または、
図2cに示すように半径方向外側管状部6を通って実質的に接線方向に延びていてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、センサ空間8およびダクト10は、半径方向内側管状部4上に一部が位置決めされ、半径方向外側管状部6を通って延びた管7により形成されていてもよい(
図2c参照)。半径方向外側管状部6は、当該半径方向外側管状部6の製造時に管7の周りに構築されるようになっていてもよい。管7は、半径方向外側管状部6と同じ化学組成を有していてもよい。このため、熱伝導率は、半径方向外側管状部6および管7において同じとなる。したがって、半径方向外側管状部6の外側からセンサ空間8中のセンサへの熱伝達は、半径方向外側管状部6および管7を通る場合に同じとなる。
【0072】
半径方向外側管状部6は、熱間等静圧圧縮成形HIPによって、半径方向内側管状部4および管7の周りに形成されていてもよい。あるいは、半径方向外側管状部6は、積層造形によって、半径方向内側管状部4および管7の周りに形成されていてもよい。
【0073】
純粋に一例として述べるが、管7は、2〜4mmの範囲内の内径を有していてもよい。管7は、円形、長円形、正方形、または長方形等、任意好適な断面形状を有していてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、センサ空間8およびダクト10は、半径方向内側管状部4上への半径方向外側管状部6の積層造形中に形成されるようになっていてもよい。すなわち、積層造形中に異なる層が構築されている間に、空隙が形成される。空隙は最終的に、完成した半径方向外側管状部6において、センサ空間8およびダクト10を形成する。
【0075】
半径方向外側管状部6は、半径方向内側管状部4の周りで円周方向に延びている。表現を変えるなら、半径方向外側管状部6は、半径方向内側管状部4の周りで円周方向に延びるように、半径方向内側管状部4の周りに形成される。
【0076】
図2dを参照して、センサ空間8およびダクト10により、ダクト10を通って延びる電線用導管等の導管11を介して、センサ空間8内に配置されたセンサ9が接続されていてもよい。これにより、センサ9は、ボイラー管2が一部を形成する炉の制御またはモニタリング装置に接続されていてもよい。センサ9は、ボイラー管2の1つまたは複数の物理的特性を測定またはモニタリングすることにより、炉の1つまたは複数の物理的特性を間接的に測定またはモニタリングするように構成されている。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、ボイラー管2は、センサ9の周りで少なくとも部分的に、センサ空間8内に配置された熱伝導性材料を含んでいてもよい。このように、半径方向外側管状部6からセンサ空間の内側のセンサ9への良好な熱伝達が保証され得る。たとえば、熱伝導性材料は、金属粉を含んでいてもよい。
【0078】
センサ9および任意選択として熱伝導性材料は、ボイラー管2が製造された後に、導管11を介してセンサ空間8に導入されるようになっていてもよい。たとえば、センサ9は、ボイラー管2が炉の一部を形成し終えた段階で導入されるようになっていてもよい。
【0079】
炉内の燃焼物質および/または燃焼ガスからの熱は、ボイラー管2を通じて、ボイラー管2の内側の水、蒸気、または過熱蒸気へと半径方向に伝達される。ボイラー管2を通じた半径方向の熱伝達は、ボイラー管2の1つまたは複数の材料の熱伝導率によって決まる。半径方向内側および外側管状部4、6間の冶金学的接合により、半径方向内側および外側管状部4、6間の熱伝導率は、半径方向内側および外側管状部4、6が単に隣接する場合と比較して、良好である。このため、半径方向内側および外側管状部4、6の熱伝導率を把握し、センサ空間8の温度すなわちセンサ空間8における半径方向外側管状部6の温度を測定することにより、半径方向外側管状部6およびボイラー管2の外面の温度が規定され得る。
【0080】
同様に、半径方向内側および外側管状部4、6間の冶金学的接合により、半径方向内側および外側管状部4、6の間で、応力がボイラー管2の断面において分散され得る。このため、ボイラー管の形状を把握し、センサ空間8からのボイラー管の応力を測定することにより、半径方向外側管状部6の外面および/または半径方向内側管状部4の内面(すなわち、応力が最大となり得るボイラー管2の部分)における応力が規定され得る。
【0081】
センサ空間8およびダクト10が半径方向外側管状部6から出る外面の出口部12の位置を説明するため、ボイラー管2は、
図2cの真っ直ぐな一点鎖線で示すように、2つの仮想的な円周方向半分に分割可能である。第1の円周方向半分22は、炉の内側に向かって内方を向くように形成され、第2の円周方向半分24は、炉の周囲環境に向かって外方を向くように形成される。
【0082】
センサ空間8は、ボイラー管2の第1の円周方向半分22内に配置されている。ダクト10は、半径方向内側管状部4の周りで部分的に延びている。出口部12は、ボイラー管2の第2の円周方向半分24内に配置されている。このように、センサ空間8は、炉の内側を向くボイラー管2の円周方向半分22内に配置されており、出口部12は、炉の外側を向くボイラー管2の他方の円周方向半分24内に配置されている。
【0083】
純粋に一例として述べるが、
図2cに示すセンサ空間8と出口部12との間の円周方向角αは、45°と小さくてもよいし、
図2bおよび
図2dのように約180°であってもよいし、
図2cのように180°超であってもよい。
【0084】
図3a〜
図3cは、実施形態に係る、ボイラー管2を示している。
図3a〜
図3cにおいては、ボイラー管2の3つの異なる図を示している。この場合も、ボイラー管2は、第1の長手方向管部14および第2の長手方向管部16を備えており、第1の長手方向管部14および第2の長手方向管部16は、長手方向延伸部Lに沿って延びている。第1の長手方向管部14は、第2の長手方向管部16に対して冶金学的に接合されている。長手方向延伸部Lは、たとえば6〜16mの範囲内であってもよい。
【0085】
この場合も、ボイラー管2の少なくとも一部には、互いに冶金学的に接合された半径方向内側および外側管状部を含み、これら半径方向内側および外側管状部の間には、センサ空間が配置されている。
図3cにおいては、センサ空間に至ったダクトが出る半径方向外側管状部の表面の出口部12を示している。
【0086】
これらの実施形態において、ボイラー管2は、90度の角度をなす。このため、ボイラー管2は、炉の2つ以上の水壁パネル上を延びていてもよい。たとえば、第1の長手方向管部14は、炉の側壁の一部を形成する水壁パネルの部分を形成していてもよく、第2の長手方向管部16は、炉の床の一部を形成する水壁パネルの部分を形成していてもよく、その逆もまた同様である。
【0087】
ボイラー管2を他のボイラー管に接続して炉の水壁パネルを形成するため、ボイラー管2は、半径方向外側管状部6から半径方向に延びた少なくとも1つのフィン20、20’を備える。少なくとも1つのフィン20、20’は、長手方向延伸部Lに沿って少なくとも部分的に延びている。
【0088】
図3a〜
図3cの実施形態において、ボイラー管2は、半径方向外側管状部6から半径方向に延び、長手方向延伸部Lに沿って少なくとも部分的に延びた2つのフィン20、20’を備えるが、これら2つのフィン20、20’は、約180度の角度だけ円周方向に分離されている。
【0089】
少なくとも1つのフィン20、20’は、水壁パネルの隣り合うボイラー管に対して、当該ボイラー管の円周方向面に直接溶接されていてもよいし、当該ボイラー管のフィンに溶接されていてもよい。
【0090】
また、
図2a〜
図2cにおいては、フィン20、20’を備えたボイラー管2を示している。
図2aおよび
図2bの実施形態において、ボイラー管2は、2つのフィン20、20’を備える。
図2cの実施形態において、ボイラー管2は、1つのフィン20を備える。
【0091】
このため、フィン20、20’は、ボイラー管2の製造時に、ボイラー管2の円形部に対して冶金学的に接合されるようになっていてもよい。たとえば、フィン20がボイラー管2の円形部に溶接されるようになっていてもよい。
【0092】
代替実施形態によれば、フィン20は、
図2cに示すように、半径方向外側管状部6と一体的に形成されていてもよい。少なくとも第1の部分5に沿って、フィン20は、半径方向外側管状部6と一体的に形成されていてもよい。したがって、フィン20は、半径方向外側管状部6の構築時にHIPまたは積層造形によって形成されるようになっていてもよい。
【0093】
図2bに示すように、ダクト10は、フィン20’の第1の側からフィン20’の反対側の第2の側まで延びていてもよい。ダクト10は、半径方向内側管状部4に沿って延びることにより、フィン20’の直下に延びていてもよい。関連用語「直下(underneath)」は、フィン20’に沿った方向において、ボイラー管2の中心に向かうボイラー管2の半径方向と見なされる。
【0094】
代替実施形態によれば、少なくとも1つのフィン20、20’は、たとえばフィンのコア層等、半径方向内側管状部と同じ材料から作られた層を備えていてもよい(詳細は、
図7cに関して下記参照)。
【0095】
図4は、実施形態に係る、ボイラー管2を示している。この場合も、ボイラー管2の少なくとも一部には、互いに冶金学的に接合された半径方向内側および外側管状部を含み、これら半径方向内側および外側管状部の間には、センサ空間8が配置されている。
図4には、センサ空間に通じるダクトが出る表面の出口部12を示している。
【0096】
これらの実施形態において、ボイラー管2の第1の長手方向管部14は、屈曲管部18を備える。センサ空間は、屈曲管部18内に配置されている。
【0097】
屈曲管部18が炉の水壁において、別のボイラー管3に隣り合って配置されている場合は、水壁パネルに開口36が形成されていてもよい。屈曲管部18は、開口36の周りで少なくとも部分的に延びている。センサ空間が屈曲管部18内に配置されていることから、水壁パネルの開口36における温度および/または応力は、センサ空間内に配置されたセンサにより評価され得る。
【0098】
屈曲部18の一部、屈曲部18の全体、または第1の長手方向部14の全体に、互いに冶金学的に接合された半径方向内側および外側管状部を含んでいてもよい。
【0099】
図7a〜
図7cは、ボイラー管ユニット70の種々実施形態を示している。
図2aには、ボイラー管ユニット70の斜視図を示している。
図7bには、
図7aにおける線B−Bに沿った断面を示している。
図7cは、代替実施形態に係る、ボイラー管ユニット70の対応する断面を示している。以下の記述においては、
図7a〜
図7cのうちの1つまたは複数を具体的に参照しない限り、
図7a〜
図7cのすべてを参照する。
【0100】
ボイラー管ユニット70は、第1のボイラー管2および第2のボイラー管3を備える。第1のボイラー管2は、本明細書において論じる少なくとも1つのフィン20を含む態様および/または実施形態のいずれか1つに係るボイラー管2である。したがって、第1のボイラー管2は、半径方向内側および外側管状部4、6と、センサ空間8と、半径方向外側管状部6の表面の出口部12まで延びたダクト10とを備える。また、第2のボイラー管3は、本明細書において論じる種類の半径方向内側および外側管状部4’、6’を備える。
【0101】
第1および第2のボイラー管2、3は、少なくとも1つのフィン20を介して互いに接続されている。
図7bおよび
図7cの断面図に見られるように、ダクト10は、少なくとも1つのフィン20の第1の側73から少なくとも1つのフィン20の反対側の第2の側75まで延びている。センサ空間8は、少なくとも1つのフィン20の第1の側73に配置されている。半径方向外側管状部6の出口部12は、少なくとも1つのフィン20の第2の側75に配置されている。
【0102】
ボイラー管ユニット70は、炉内への設置の準備が整ったユニットを形成する。このため、管ユニット70が炉の水壁に設置される際に、ダクト10全体の溶接は必要ない。したがって、ダクト10も、内部に配置される電気的接続部のいずれも、溶接作業による熱の影響を一切受けることがない。
【0103】
少なくとも1つのフィン20と反対側の第1および第2のボイラー管2、3の側においては、ダクト10にも、内部に配置される電気的接続部のいずれにも影響を及ぼすことなく、溶接が実行されるようになっていてもよい。この目的のため、第1および第2のボイラー管2、3の一方または両方には、別のフィン20’が設けられていてもよい(
図7bおよび
図7c参照)。別のフィン20’は、隣り合うボイラー管に対して、当該隣り合うボイラー管のフィンまたは円形外面に溶接されるように構成されている。
【0104】
図2a〜
図2dを参照して上述するとともに
図7a〜
図7cに示すように、ボイラー管ユニット70のボイラー管2、3には、1つまたは2つのフィン20、20’が設けられていてもよい。ボイラー管2、3は、フィン20を共有すると考えられるため、それぞれにフィン20が設けられるものと考えられる。
【0105】
図7bに示す実施形態において、第1および第2のボイラー管2、3を接続する少なくとも1つのフィン20は、半径方向外側管状部6、6’と一体的に形成されている。このため、管ユニット70の製造に際しては、半径方向内側管状部4、4’が設けられるとともに、上述の通り、半径方向外側管状部6、6’がHIPまたは積層造形により形成される。半径方向外側管状部6、6’の形成に関連して、フィン20も形成される。したがって、これらの実施形態においては、フィン20の全体が半径方向外側管状部6、6’と同じ材料で形成される。また、半径方向外側管状部6、6’の形成に関連して、別のフィン20’も同じ材料で形成されるようになっていてもよい。
【0106】
図7cに示す実施形態において、第1および第2のボイラー管2、3を接続する少なくとも1つのフィン20は、第1および第2のボイラー管2、3の半径方向内側管状部4、4’と同じ材料から作られた層72を備える。このため、たとえば層72および半径方向内側管状部4、4’の材料が半径方向外側管状部6、6’の材料よりも高い熱伝導率を有する場合は、フィン20とボイラー管2、3との間の熱伝導率が上昇し得る。
【0107】
管ユニット70の製造に際しては、層72が半径方向内側管状部4、4’に溶接されるようになっていてもよい。その後、上述の通り、半径方向外側管状部6、6’がHIPまたは積層造形により形成される。また、半径方向外側管状部6、6’の形成に関連して、フィン20のコアを形成する層72には、半径方向外側管状部6、6’と同じ材料の外層74も設けられる。したがって、これらの実施形態においては、フィン20が半径方向内側および外側管状部4、4’、6、6’と同じ2つの材料で形成される。
【0108】
図2a〜
図2dを参照して上述した通り、
図7a〜
図7cの実施形態においても、ダクト10は、半径方向内側管状部4に沿って延びていてもよく、これにより、ボイラー管2の中心に向かってフィン20に沿う当該ボイラー管2の半径方向に沿った方向に見えるフィン20の直下に延びていてもよい。
【0109】
図7cの実施形態においては、半径方向内側管状部4またはその近傍の層72中に好適なサイズの開口または凹部が設けられていてもよく、この開口または凹部を通って、フィン20の第1の側73からフィン20の第2の側75までダクト10が延びる。
【0110】
ボイラー管ユニット70の第1および第2のボイラー管2、3の一方または両方が別のフィン20’を備える場合(一方の場合を
図7cの右側に示す)、この別のフィン20’もまた、フィン20と同様に形成されていてもよい。すなわち、半径方向内側管状部4、4’と同じ材料のコア層72’および半径方向外側管状部6、6’と同じ材料の外層74’を備えていてもよい。別のフィン20’の端面は、隣り合う管への溶接を容易化するように、好適な角度が付けられている。
【0111】
図7cの左側には、ボイラー管ユニット70のボイラー管2、3の一方または両方が円形外面を有する(すなわち、別のフィン20’が一体化されていない)実施形態において、フィン20’’を第1および/または第2のボイラー管2、3に取り付け可能な方法を示している。隣り合うボイラー管のフィン20’’または別個のフィン20’’が半径方向外側管状部6に溶接されるが、
図7cにおいては、この溶接を省略している。
【0112】
図7cの左側に示すフィン20’’は、第1の層76および第2の層78を備える。第1の層76は、半径方向内側管状部4と同じ材料から作られ、第2の層78は、半径方向外側管状部6と同じ材料から作られている。第2の層78は、炉の内側を向く。このため、第2の層中の第2の外側管状部の材料の特性は、炉の内側の条件からフィン20’’を保護するのに利用される。第1の層76は、炉の外側を向くため、第2の層78と同じ侵食環境には曝されない。第1の層76は、フィン20’’から第1のボイラー管2および図示しない隣り合うボイラー管への良好な熱伝導率等、他の特性を与える。
【0113】
別の実施形態によれば、左側のフィン20’’と同様に、フィン20および/または別のフィン20’もまた、2つの層のみを備え、半径方向内側管状部4、4’と同じ材料から作られた一方の層が炉の外側を向き、半径方向外側管状部6、6’と同じ材料から作られた一方の層が炉の内側を向いていてもよい。
【0114】
図2a〜
図2dに関連して論じたボイラー管2の第1の部分5と同様に、ボイラー管ユニット70は、10〜20cm等の短さで設けられていてもよく、たとえば別の長さの管への溶接による冶金学的接合によって、たとえば6〜16mのボイラー管ユニットを形成する。
【0115】
一例として述べるが、
図7bの実施形態において、第1および第2のボイラー管2、3はそれぞれ、外径が約64mm、壁厚が7mmであってもよく、また、それぞれの中心間の距離が約76mmであってもよい。半径方向外側管状部6と同じ材料のみから作られたフィン20は、幅が最大約17mmであってもよい。フィン20の幅は、第1および第2のボイラー管2、3間の距離である。
図7cの実施形態において、第1および第2のボイラー管2、3はそれぞれ、外径が約76mm、壁厚が7mmであってもよく、また、それぞれの中心間の距離が約102mmであってもよい。幅が約17mmを上回るフィン20には、半径方向内側管状部4と同じ材料から作られた層が用いられるようになっていてもよい。
【0116】
フィン20は、厚さが4mmであってもよい。半径方向内側管状部4、4’は、壁厚が5mmであってもよく、また、半径方向外側管状部6、6’は、壁厚が2mmであってもよい。
【0117】
図5は、ボイラー管を製造する方法100の実施形態を示している。ボイラー管は、本明細書において論じる態様および/または実施形態のいずれか1つに係るボイラー管2であってもよい。したがって、ボイラー管は、長手方向延伸部を有し、長手方向延伸部の少なくとも第1の部分に沿って延びた半径方向内側管状部と、長手方向延伸部の第1の部分に沿って延びた半径方向外側管状部とを備える。方法100は、
半径方向内側管状部を用意するステップ102と、
半径方向外側管状部を形成するステップ104と、
半径方向外側管状部を半径方向内側管状部に対して冶金学的に接合するステップ106と、
半径方向内側管状部と半径方向外側管状部との間にセンサ空間を形成するステップ108であり、センサ空間が、半径方向外側管状部の物理的特性を検出するように配置されたセンサを収容するように構成された、ステップ108と、
を含む。
【0118】
半径方向外側管状部を形成するステップ104および半径方向外側管状部を半径方向内側管状部に対して冶金学的に接合するステップ106は、同時に実行されるようになっていてもよい。さらに、センサ空間を形成するステップ108についても、半径方向外側管状部を形成するステップ104および半径方向外側管状部を半径方向内側管状部に対して冶金学的に接合するステップ106と同時に実行されるようになっていてもよい。
【0119】
方法100の実施形態によれば、センサ空間を形成するステップ108は、
管の一部を半径方向内側管状部上に位置決めするステップ110を含んでいてもよく、半径方向外側管状部を形成するステップ104は、
半径方向外側管状部を管の周りに構築するステップ112を含んでいてもよい。
図2を参照して管7を上述したが、これは、少なくとも部分的に半径方向内側管状部4の周りに配置されている。
【0120】
方法100の実施形態によれば、半径方向外側管状部を形成するステップ104は、
金属粉を熱間等静圧圧縮成形するステップ114を含んでいてもよく、これにより、半径方向外側管状部は、半径方向内側管状部に対して冶金学的に接合される。
【0121】
方法100の代替実施形態によれば、半径方向外側管状部を形成するステップ104は、
半径方向外側管状部を半径方向内側管状部上に積層造形するステップ116を含んでいてもよく、積層造形ステップ116においては、センサ空間を形成するステップ108が実行される。
【0122】
方法100の実施形態によれば、ボイラー管が第1の長手方向管部および第2の長手方向管部を備え、第1の長手方向管部がセンサ空間を含むが、この方法100は、
第1の長手方向管部を第2の長手方向管部に対して冶金学的に接合するステップ118を含んでいてもよい。このように、長手方向延伸部Lを有するボイラー管は、第1および第2の長手方向管部から製造されるようになっていてもよい。さらに、ボイラー管には、第1の長手方向管部にセンサ空間が設けられていてもよい。
【0123】
図6は、実施形態に係る、炉30を示している。炉30は、少なくとも1つの第1の水壁パネル34を備える。第1の水壁パネルは、1以上のボイラー管を備え、1以上のボイラー管のうちの少なくとも1つの第1のボイラー管2が、本明細書において論じる態様および/または実施形態のいずれか1つに係るボイラー管2である。
【0124】
実施形態によれば、炉30は、
図7a〜
図7cを参照して上述したボイラー管ユニット70を備えていてもよい。したがって、少なくとも1つの第1のボイラー管2は、ボイラー管ユニット70の第1のボイラー管2を形成する。また、ボイラー管ユニット70は、第2のボイラー管3を備える。
【0125】
炉30は、たとえば紙パルプ産業において用いられる黒液回収ボイラー等のボイラーまたは火力発電所の一部を形成していてもよい。
【0126】
ボイラー管が半径方向内側管状部と半径方向外側管状部との間に配置されたセンサ空間を備えることから、センサ空間内にはセンサが配置されていてもよく、炉30の温度および/または応力を測定するセンサが保護環境中に設けられていてもよい。
【0127】
第1の水壁パネル34は、互いに平行に延びるように配置された複数のボイラー管を備える。ボイラー管は、上述の通り、フィン(
図6には示さず)を介して互いに間接的に溶接されている。炉30の少なくとも一部の周りには、2つ以上の水壁パネルが配置されている。
【0128】
炉30は、第2の水壁パネル32を備える。これらの実施形態においては、第1の水壁パネル34が炉30の側壁の少なくとも一部を形成し、第2の水壁パネル32が炉30の床の少なくとも一部を形成する。
【0129】
第1のボイラー管2は、そのセンサ空間が第1の水壁パネル34内の開口36に近い状態で配置されている。このように、第1の水壁パネル34中の開口(第1の水壁パネル34の特定曝露部であってもよい)における温度および/または応力がモニタリングされ得る。
【0130】
第1のボイラー管2は、第1および第2の両水壁パネル32、34の一部を形成していてもよい。この代替または追加として、第2の水壁パネル32は、本明細書において論じる態様および/または実施形態のいずれか1つに係る少なくとも1つのボイラー管2’を備えていてもよい。
【0131】
センサ空間内の半径方向外側管状部の温度を測定することにより、炉30内のボイラー管の外面上の温度を検出可能である。センサ空間内のセンサは、炉30の制御またはモニタリング装置40に接続されている。導管11がセンサを制御装置40と接続していてもよい。センサ空間の半径方向位置の把握と併せて、ボイラー管の外面からボイラー管の壁を通ってボイラー管の内側に至る温度勾配を把握することにより、制御装置40は、センサ空間においてセンサにより検知された温度に基づいて、ボイラー管の外側の温度を計算することができる。
【0132】
同様に、センサ空間内からの半径方向外側管状部の応力を測定することにより、炉30内のボイラー管の外面またはボイラー管の内面における応力を検出可能である。センサ空間内のセンサは、炉30の制御またはモニタリング装置40に接続されている。導管11がセンサを制御装置40と接続していてもよい。センサ空間の半径方向位置の把握と併せて、ボイラー管の外面からボイラー管の内側までのボイラー管の壁の形状を把握することにより、制御装置40は、センサ空間においてセンサにより検知された応力に基づいて、ボイラー管の外側および/またはボイラー管の内側における応力を計算することができる。
【0133】
第1のボイラー管2の温度および/または応力がモニタリングされるようになっていてもよい。また、炉30の床に配置された第2の水壁パネル32内に配置された別のボイラー管2’等、センサ空間内に配置されたセンサが設けられた1つまたは複数の別のボイラー管2’の温度および/または応力がモニタリングされるようになっていてもよい。
【0134】
第1のボイラー管2および他のボイラー管2’の温度および/または応力は、炉30の特定曝露部において連続的にモニタリングされるようになっていてもよい。連続的モニタリングによって、炉のオペレータは、炉30の動作条件をより把握可能になるとともに、これらを異なる方法で調整することにより、特定の動作条件またはプロセス外乱の負の結果を抑えることが可能となる。第1のボイラー管2の温度および/または応力等の動作データの常時測定によれば、早期の警報によって、ボイラー管の交換の計画に関する貴重な入力を提供可能となり得る。
【0135】
制御またはモニタリング装置40は、実質的に任意好適な種類のプロセッサ回路またはマイクロコンピュータの形態が可能な計算ユニットを備える。制御装置40は、メモリユニットを備えていてもよい。計算ユニットは、たとえば当該計算ユニットが計算に必要とする格納プログラムコードおよび/または格納データを当該計算ユニットに提供するメモリユニットに接続されている。また、計算ユニットは、1つもしくは複数のセンサにより測定された1つもしくは複数の温度値および/もしくは応力値または炉30の内側の1つもしくは複数の位置における算出温度および/もしくは応力等、計算の部分的または最終的結果をメモリユニットに格納するようになっていてもよい。
【0136】
以上は種々例示的な実施形態の説明であり、本開示は添付の特許請求の範囲によってのみ規定されることが了解されるものとする。当業者であれば、添付の特許請求の範囲により規定される本開示の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態を改良可能であるとともに、例示的な実施形態の異なる特徴の組み合わせによって、本明細書に記載以外の実施形態を生成可能であることが認識されよう。たとえば、センサ空間には、2つのセンサ(たとえば、1つの温度センサおよび1つの応力センサ)が配置されていてもよい。
また、本発明は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
長手方向延伸部(L)を有するボイラー管(2)であって、
前記長手方向延伸部(L)の少なくとも第1の部分(5)に沿って延びた半径方向内側管状部(4)と、
前記長手方向延伸部(L)の前記第1の部分(5)に沿って延びた半径方向外側管状部(6)であり、前記半径方向内側管状部(4)に対して冶金学的に接合された、半径方向外側管状部(6)と、
前記半径方向内側管状部(4)と前記半径方向外側管状部(6)との間に配置されたセンサ空間(8)であり、前記半径方向外側管状部(6)の物理的特性を検出するように配置されたセンサを収容するように構成された、センサ空間(8)と、
を備え、
ダクト(10)が前記センサ空間(8)に接続され、前記半径方向外側管状部(6)を通って、前記半径方向外側管状部(6)の表面の出口部(12)まで延びており、
前記半径方向内側管状部(4)および前記半径方向外側管状部(6)が、化学組成の異なる材料を含む、ボイラー管(2)。
(態様2)
前記センサ空間(8)が、当該ボイラー管(2)の第1の円周方向半分(22)内に配置され、前記ダクト(10)が、前記半径方向内側管状部(4)の周りで部分的に延び、前記出口部(12)が、当該ボイラー管(2)の第2の円周方向半分(24)内に配置される、態様1に記載のボイラー管(2)。
(態様3)
前記半径方向外側管状部(6)が、前記半径方向内側管状部(4)の周りで円周方向に延びるように、前記半径方向内側管状部(4)の周りに形成される、態様1または2に記載のボイラー管(2)。
(態様4)
前記センサ空間(8)および前記ダクト(10)が、前記半径方向内側管状部(4)上に部分的に位置決めされ且つ前記半径方向外側管状部(6)を通って延びた管(7)により形成され、前記半径方向外側管状部(6)が、前記管(7)の周りに構築される、態様1から3のいずれか一項に記載のボイラー管(2)。
(態様5)
前記半径方向外側管状部(6)が、金属粉の熱間等静圧圧縮成形により形成され、前記半径方向内側管状部(4)に対して冶金学的に接合される、態様4に記載のボイラー管(2)。
(態様6)
前記センサ空間(8)および前記ダクトが、前記半径方向内側管状部(4)上への前記半径方向外側管状部(6)の積層造形中に形成される、態様1から4のいずれか一項に記載のボイラー管(2)。
(態様7)
第1の長手方向管部(14)および第2の長手方向管部(16)を備え、前記第1の長手方向管部(14)および前記第2の長手方向管部(16)が、前記長手方向延伸部(L)に沿って延び、前記第1の長手方向管部(14)が、前記第2の長手方向管部(16)に対して冶金学的に接合され、前記センサ空間(8)を含む、態様1から6のいずれか一項に記載のボイラー管(2)。
(態様8)
前記第1の長手方向管部(14)が、屈曲管部(18)を備え、前記センサ空間(8)が、前記屈曲管部(18)内に配置される、態様7に記載のボイラー管(2)。
(態様9)
前記半径方向外側管状部(6)から半径方向に延び、前記長手方向延伸部(L)に沿って少なくとも部分的に延びた少なくとも1つのフィン(20、20’)を備える、態様1から8のいずれか一項に記載のボイラー管(2)。
(態様10)
前記少なくとも1つのフィン(20、20’)が、前記半径方向外側管状部(6)と一体的に形成される、態様9に記載のボイラー管(2)。
(態様11)
前記少なくとも1つのフィン(20、20’)が、前記半径方向内側管状部(4)と同じ材料から作られた層(72、72’、76)を備える、態様9または10に記載のボイラー管(2)。
(態様12)
第1のボイラー管(2)および第2のボイラー管(3)を備えたボイラー管ユニット(70)であって、
前記第1のボイラー管(2)が、態様9から11のいずれか一項に記載のボイラー管であり、
前記第1のボイラー管(2)および前記第2のボイラー管(3)が、前記少なくとも1つのフィン(20、20’)を介して互いに接続され、
前記ダクト(10)が、前記少なくとも1つのフィン(20、20’)の第1の側(73)から前記少なくとも1つのフィン(20、20’)の反対側の第2の側(75)まで延びる、ボイラー管ユニット(70)。
(態様13)
少なくとも第1の水壁パネル(34)を備えた炉(30)であって、前記第1の水壁パネル(34)が、1以上のボイラー管を備え、前記1以上のボイラー管のうちの少なくとも1つの第1のボイラー管(2)が、態様1から12のいずれか一項に記載のボイラー管(2)である、炉(30)。
(態様14)
態様12に記載のボイラー管ユニット(70)を備え、前記少なくとも1つの第1のボイラー管(2)が、前記ボイラー管ユニット(70)の前記第1のボイラー管(2)を形成する、態様13に記載の炉(30)。
(態様15)
第2の水壁パネル(32)を備え、前記第1の水壁パネル(34)が当該炉(30)の側壁の少なくとも一部を形成し、前記第2の水壁パネル(32)が当該炉(30)の床の少なくとも一部を形成する、態様13または14に記載の炉(30)。
(態様16)
前記第1のボイラー管(2)が、そのセンサ空間(8)が前記第1の水壁パネル(34)内の開口(36)に近い状態で配置される、態様15に記載の炉(30)。
本明細書において、ボイラー管(2)は、長手方向延伸部(L)を有し、長手方向延伸部(L)の少なくとも第1の部分(5)に沿って延びた半径方向内側および外側管状部(4、6)を備える。半径方向外側管状部(6)は、半径方向内側管状部(4)に対して冶金学的に接合されている。半径方向内側管状部(4)と半径方向外側管状部(6)との間にはセンサ空間(8)が配置され、このセンサ空間(8)は、半径方向外側管状部(6)の物理的特性を検出するように配置されたセンサを収容するように構成されている。ダクト(10)がセンサ空間(8)に接続され、半径方向外側管状部(6)を通って、半径方向外側管状部(6)の表面の出口部(12)まで延びている。半径方向内側および外側管状部は、化学組成の異なる材料を含む。本明細書においては、ボイラー管ユニットおよび炉も開示される。