特許第6799224号(P6799224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799224情報処理装置、改案支援方法、および改案支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6799224
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】情報処理装置、改案支援方法、および改案支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20201207BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20201207BHJP
【FI】
   G06Q30/02 382
   G06Q10/02
【請求項の数】14
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2020-68925(P2020-68925)
(22)【出願日】2020年4月7日
【審査請求日】2020年5月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100174528
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 晋朗
(72)【発明者】
【氏名】荒川 大
(72)【発明者】
【氏名】秋野 里奈
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 智博
(72)【発明者】
【氏名】岸本 渉
【審査官】 衣川 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−193701(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/199549(WO,A1)
【文献】 特表2016−505996(JP,A)
【文献】 特開2011−203831(JP,A)
【文献】 蔵本 賢,最新広告業界の動向とカラクリがよくわかる本 [第4版],株式会社秀和システム,2017年11月10日,第1版,pp.119-124,ISBN:978-4-7980-5135-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組表に含まれる複数の番組枠のうちで、クライアントの広告キャンペーンと対応するコマーシャルを放送する放送枠を判別するための判別情報を前記番組表において前記放送枠と対応づけて表示させる表示情報を出力する出力部と、
前記番組表に含まれる前記複数の番組枠の各番組枠に対して第1の予測アルゴリズムにより予測された第1の予測視聴率と、前記第1の予測アルゴリズムよりも予測精度の高い第2の予測アルゴリズムにより予測された第2の予測視聴率とを比較する比較部と、を含み、
前記出力部は、前記第1の予測視聴率よりも前記第2の予測視聴率で視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している第1の番組枠を、前記番組表において他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように前記表示情報を出力する、情報処理装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記放送枠のうちで、前記第1の予測視聴率よりも前記第2の予測視聴率で視聴率が所定の低下条件を満たして低下している放送枠の前記判別情報を、他の放送枠の判別情報とは異なる表示形式で表示させるように前記表示情報を出力する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記第1の番組枠の表示形式を、前記第1の予測視聴率と前記第2の予測視聴率との間の視聴率の差の大きさに応じて異ならせるように前記表示情報を出力する、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記第1の予測視聴率よりも前記第2の予測視聴率で視聴率が所定の低下条件を満たして低下している放送枠の表示形式を、前記第1の予測視聴率と前記第2の予測視聴率との間の視聴率の差の大きさに応じて異ならせるように前記表示情報を出力する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の番組枠は、前記番組表において前記第1の予測視聴率よりも前記第2の予測視聴率で視聴率が前記所定の上昇条件を満たして上昇しており、かつ、前記クライアントの前記広告キャンペーンの発注条件で指定されているゾーンに属している番組枠であり、
前記ゾーンは、逆L型、全日型、ヨの字型、コの字型、逆F型、深夜型、および全日昼型のうちの少なくとも1つを含み、前記番組表においてコマーシャルを割り当てる対象とする時間帯を指定する情報である、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記クライアントの広告キャンペーンと対応する前記コマーシャルを放送する前記放送枠のうちから前記コマーシャルの放送を取りやめる削除対象として指定された削除枠と、新たに前記コマーシャルを放送する放送枠の候補として指定された追加候補枠とを含む改案指示を通知する通知部と、
前記改案指示で指定された前記削除枠および前記追加候補枠の情報を前記クライアントと対応づけた改案履歴情報を記憶部に保存する保存部と、
を更に含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の予測視聴率よりも前記第2の予測視聴率で視聴率が第2の低下条件を満たして低下している放送枠を、前記削除枠として指定する指定部を更に含む、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記改案履歴情報には、前記クライアントの過去の広告キャンペーンにおける前記改案指示で指定された前記削除枠および前記追加候補枠が前記クライアントと対応づけて登録されており、
前記改案履歴情報において、前記削除枠として所定の条件を満たして高い頻度で指定される番組位置と対応する前記番組表における第2の番組枠が、前記コマーシャルを放送する前記放送枠である場合に、前記第2の番組枠を前記削除枠として指定する指定部を更に含む、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記改案履歴情報には、前記クライアントの過去の広告キャンペーンにおける前記改案指示で指定された前記削除枠および前記追加候補枠が前記クライアントと対応づけて登録されており、
前記改案履歴情報において、前記追加候補枠として所定の条件を満たして高い頻度で指定される番組位置と対応する前記番組表における第2の番組枠が、前記コマーシャルを放送する前記放送枠でない場合に、前記第2の番組枠を前記追加候補枠として指定する指定部を更に含む、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記改案履歴情報は、更に、前記追加候補枠と対応づけて、前記追加候補枠の改案指示が成功したか否かを示す改案の成否の情報を含み、
前記指定部は、前記番組位置の番組枠への前記追加候補枠の改案指示の成功率を、前記改案の成否の情報に基づき特定し、前記改案指示の成功率が所定の閾値以下である場合、前記第2の番組枠の前記追加候補枠への指定を取りやめる、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記保存部は、前記改案履歴情報において、前記改案指示で指定された前記削除枠および前記追加候補枠の情報を、更に前記クライアントの前記広告キャンペーンの発注条件で指定されているターゲット層の情報と対応づけて保存し、
前記ターゲット層は、マーケティングの分野における性および年齢別の区分を含むコマーシャルのターゲットを指定する情報である、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項12】
番組表に含まれる複数の番組枠のうちで、クライアントの広告キャンペーンと対応するコマーシャルを放送する放送枠を判別するための判別情報を前記番組表において前記放送枠と対応づけて表示させる表示情報を出力する工程と、
前記番組表に含まれる前記複数の番組枠の各番組枠に対して第1の予測アルゴリズムにより予測された第1の予測視聴率と、前記第1の予測アルゴリズムよりも予測精度の高い第2の予測アルゴリズムにより予測された第2の予測視聴率とを比較する工程と、
を含む、情報処理装置が実行する改案支援方法であって、
前記出力する工程は、前記第1の予測視聴率よりも前記第2の予測視聴率で視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している第1の番組枠を、前記番組表において他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように前記表示情報を出力する、ことを特徴とする改案支援方法。
【請求項13】
番組表に含まれる複数の番組枠のうちで、クライアントの広告キャンペーンと対応するコマーシャルを放送する放送枠を判別するための判別情報を前記番組表において前記放送枠と対応づけて表示させる表示情報を出力し、
前記番組表に含まれる前記複数の番組枠の各番組枠に対して第1の予測アルゴリズムにより予測された第1の予測視聴率と、前記第1の予測アルゴリズムよりも予測精度の高い第2の予測アルゴリズムにより予測された第2の予測視聴率とを比較する、
処理を、コンピュータに実行させる改案支援プログラムであって、
前記出力する処理は、前記第1の予測視聴率よりも前記第2の予測視聴率で視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している第1の番組枠を、前記番組表において他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように前記表示情報を出力する、ことを特徴とする、改案支援プログラム。
【請求項14】
番組表に含まれる複数の番組枠のうちで、クライアントの広告キャンペーンと対応するコマーシャルを放送する放送枠を判別するための判別情報を前記番組表において前記放送枠と対応づけて表示させる表示情報を出力する出力部と、
前記番組表に含まれる前記複数の番組枠の各番組枠に対して第1のデータを用いて予測された第1の予測視聴率と、前記第1のデータよりも後に収集された第2のデータを用いて予測された第2の予測視聴率とを比較する比較部と、を含み、
前記出力部は、前記第1の予測視聴率よりも前記第2の予測視聴率で視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している第1の番組枠を、前記番組表において他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように前記表示情報を出力する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、改案支援方法、および改案支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地上波放送などのテレビ放送においては、広告としてコマーシャル(CM:Commercial Message)が放送される。CMは、タイムCM(time CM)およびスポットCM(spot CM)に大別される。タイムCMは、例えば、番組と一体で売買される枠で放送されるCMであって、プログラムコマーシャル(program commercial)、番組CM、提供CMなどと呼ばれてもよい。
【0003】
スポットCMは、例えば、番組に関係なくテレビ局が定めた時間に挿入されるCMである。スポットCMは、番組間で放送されるステーションブレイク(SB:Station Break)、番組内に挿入されるが提供表示が付かないパーティシペーション(PT:Participation)(またはパーティシペーティングCM)などに分けられる。
【0004】
スポットCMでは、例えば、放送局における作案担当者と、広告代理店のテレビ局担当およびプランナーなどが経験に基づいて、どのCMをどの時間帯に放送するかを示すCMの放送スケジュールを決定する作案の作業を行っている。なお、放送局における作案担当者は、例えば、作案デスクなどと呼ばれてもよい。また、広告代理店のテレビ局担当は、例えば、局担当などと呼ばれてもよい。
【0005】
そして、広告スケジュールを決定する作業を効率化することに関する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019−144634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、作案では、例えば、放送局の都合と、広告を依頼するクライアントの要望とを合致させるために、作案で決定したCMの放送スケジュールに変更が求められることがある。この場合に、どのCMの放送枠を削除し、また、どの番組の広告枠をCMの放送枠として追加するかなどの変更対象とする番組の検討に時間や手間を要することがある。
【0008】
そこで、1つの側面では、本発明は、CMの放送スケジュールの変更作業を容易にすることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの態様の情報処理装置は、番組表に含まれる複数の番組枠のうちで、クライアントの広告キャンペーンと対応するコマーシャルを放送する放送枠を判別するための判別情報を番組表において放送枠と対応づけて表示させる表示情報を出力する出力部と、番組表に含まれる前記複数の番組枠の各番組枠に対して第1の予測アルゴリズムにより予測された第1の予測視聴率と、第1の予測アルゴリズムよりも予測精度の高い第2の予測アルゴリズムにより予測された第2の予測視聴率とを比較する比較部と、を含み、出力部は、第1の予測視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している第1の番組枠を、番組表において他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように表示情報を出力する。
【0010】
また、本発明の別の態様の情報処理装置は、番組表に含まれる複数の番組枠のうちで、クライアントの広告キャンペーンと対応するコマーシャルを放送する放送枠を判別するための判別情報を番組表において放送枠と対応づけて表示させる表示情報を出力する出力部と、番組表に含まれる複数の番組枠の各番組枠に対して第1のデータを用いて予測された第1の予測視聴率と、第1のデータよりも後に収集された第2のデータを用いて予測された第2の予測視聴率とを比較する比較部と、を含み、出力部は、第1の予測視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している第1の番組枠を、番組表において他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように表示情報を出力する。
【発明の効果】
【0011】
一つの態様によれば、CMの放送スケジュールの変更作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るCMの放送スケジュールの作案システムを例示する図である。
図2】実施形態に係る改案サーバのブロック構成を例示する図である。
図3】実施形態に係る番組情報を例示する図である。
図4】実施形態に係る番組表を例示する図である。
図5】実施形態に係る広告依頼情報を例示する図である。
図6】実施形態に係る放送スケジュール情報を例示する図である。
図7】実施形態に係る番組表の表示画面を例示する図である。
図8】実施形態に係る番組表の別の表示画面を例示する図である。
図9】実施形態に係る改案指示が登録された表示画面を例示する図である。
図10】実施形態に係る改案指示を例示する図である。
図11】実施形態に係る改案履歴情報を例示する図である。
図12】実施形態に係る改案指示の履歴を含む表示画面を例示する図である。
図13】過去の改案指示の傾向に基づく改案指示を含む番組表の表示画面を例示する図である。
図14】実施形態に係るCMの放送スケジュールの改案支援処理の動作フローを例示する図である。
図15】実施形態に係る表示情報に基づき表示される番組表の表示例を示す図である。
図16】実施形態に係る改案サーバを実現するためのコンピュータなどの情報処理装置のハードウェア構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。
【0014】
例えば、広告代理店では、クライアントからスポットCMを放送する広告キャンペーンの依頼を受け付けている。なお、広告キャンペーンとは、例えば、広告を管理するための単位で、所定のテーマを共有するものであってよい。そして、広告キャンペーンの依頼が来ると、広告代理店は、クライアントからの依頼の発注条件に基づいて広告枠の取引を行う。その後、広告代理店は、クライアントからの発注条件を放送局に伝える。放送局では、複数のクライアントの発注条件を収集し、それらの複数のクライアントの発注条件を満たすように、クライアントごとにCMを放送する放送枠を決定して、CMの放送スケジュールを作案する。そして、作案されたクライアントのCMの放送スケジュールは、広告代理店に提供される。
【0015】
広告代理店では、クライアントのCMの放送スケジュールを受け取ると、放送スケジュールがクライアントからの要望を満たしているかの確認を行い、クライアントの要望が満たされていなければ、放送局の都合を考慮しつつ改案指示を放送局に通知する。
【0016】
改案指示を受け取ると、放送局では他のクライアントからの要望なども考慮しつつ、改案指示に基づいてクライアントのCMの放送スケジュールを修正し、得られた改案は、また広告代理店に提供される。
【0017】
こうしたCMの放送スケジュールの作案では、放送局の都合とクライアントの要望とをすり合わせる必要があるため、作案の作業はなかなか1度では完了せず、作案されたCMの放送スケジュールをベースに改案が繰り返されることがある。
【0018】
そして、改案作業では、放送スケジュールにおいてCMの放送が割り付けられた放送枠のうちから、どの放送枠を削り、また、どの番組を放送枠として追加するかなどの放送枠の変更の検討が必要であり、この検討に時間や手間を要することがある。そのため、CMの放送スケジュールの変更作業を容易にすることのできる技術の提供が望まれている。
【0019】
ところで、スポットCMの広告枠の取引は、一般には、累計視聴率を用いて行われている。累計視聴率は、例えば、GRP(Gross Rating Point)、ALL(P+C7)、TRP(Target Rating Point)と呼ばれる視聴率を含んでよい。
【0020】
そして、広告枠の取引が行われるのは、CMが放送される放送日の数カ月前(例えば、2カ月前程度)であるため、取引の段階では実際にその番組を放送した際の視聴率がいくつになるのかは不明である。そのため、取引は、予測視聴率に基づいて売買が行われる。なお、取引において価格の見積もりに用いられる予測視聴率を、以下では見積視聴率または第1の予測視聴率と呼ぶことがある。また、放送した際の実際の視聴率を、以下ではアクチュアルの視聴率と呼ぶことがある。
【0021】
取引に用いられる見積視聴率は、例えば、第1の予測アルゴリズムで予測された視聴率であってよく、または、見積視聴率は、例えば、第1のデータに基づいて予測された視聴率であってよい。一例として、見積視聴率には、4週平均視聴率および8週平均視聴率などの過去の放送実績に基づく予測視聴率が利用されている。4週平均視聴率は、例えば、発注号数の当週を除いた前4週間分の同じ曜日、同じ時間区分の平均視聴率である。なお、発注号数とは、1年の最初の月曜日を含む週を1号と数え、以降、週ごとに2号、3号と付与される1年間における週の位置を指定する番号である。
【0022】
クライアントは、例えば、発注号数と発注の累計視聴率とを指定してCMの広告キャンペーンを依頼し、取引は、発注の累積視聴率に対して価格が設定されて行われる。そして、作案では、この発注号数で計算された見積視聴率に基づいて、発注の累計視聴率が満たされるようにCMの放送枠の枠取りが行われる。
【0023】
しかしながら、取引に用いられる4週平均視聴率などの見積視聴率はあくまで予測であるため、実際に放送してアクチュアルの視聴率を測定すると、見積視聴率を大きく下回る番組がでてしまうことがある。そして、このように見積視聴率よりもアクチュアルの視聴率が低下する番組でCMを放送してしまうと、クライアントが発注の際に指定した累計視聴率をアクチュアルの視聴率が大きく下回ることがあり、クライアントが期待した広告効果を提供できないことがある。
【0024】
そのため、例えば、取引に用いた見積視聴率などの予測視聴率を、アクチュアルの視聴率が下回ることが推定される番組がCMの放送枠として設定されている場合には、その番組に割り当てたCMの放送を取りやめて、別の枠で放送するなどの改案を行うことが望ましい。また、改案において新たにCMの放送枠として指定する番組は、見積視聴率などの予測視聴率を、アクチュアルの視聴率が上回ることが推定される番組であることが望ましい。
【0025】
なお、視聴率の予測精度は、放送日が近づくにつれ向上させることが可能である。ここで、予測視聴率の予測精度が高いとは、例えば、アクチュアルの視聴率により近い視聴率を予測できることを表す。例えば、放送日が近づいてくると、番組に関する詳細な情報が利用可能となったり、放送日の天候や放送日付近での時事に関する情報などを入手できたりするようになり、こうした情報を利用することで視聴率の予測精度を向上させることができる。
【0026】
例えば、番組のジャンル、放送内容、および出演者などの番組に関する詳細な情報は、放送日が近づくと放送局から提供を受けることが可能である。これらの情報を用いて予測視聴率を補正することで視聴率の予測精度を向上させることが可能である。
【0027】
一例として、番組の放送内容を説明する記述に、トレンドワード(トレンドキーワードとも呼ぶことがある)や、人気のあるタレントの名前が含まれている場合、番組の視聴率が上昇する傾向がある。なお、トレンドワードとは、例えば、現在注目されているタレントまたは話題等を示すワードであってよい。そのため、例えば、番組の放送内容を説明する記述などにトレンドワードや、人気のある所定のタレントの名前が含まれている場合、予測した番組の視聴率を上方修正することで、視聴率の予測精度を高めることができる。
【0028】
また、例えば、晴れの日および雨の日におけるアクチュアル視聴率を調査すると、雨の日の方が晴れの日よりも視聴率が高くなる傾向があることが分かる。そして、放送日の天気予報のデータは、例えば、放送日が近づくにつれより高い精度で利用可能である。そこで、天気予報を利用して予測視聴率を補正することで、予測視聴率の予測精度を向上させることができる。一例として、天気予報のデータから放送日の降水量パターンを推定し、降水量パターンに基づいて予測視聴率を補正することで、放送日の天気を反映した予測視聴率を求めることが可能である。
【0029】
そして、以上のように、例えば、見積視聴率の予測に用いた第1の予測アルゴリズムよりも予測精度の高い第2の予測アルゴリズムを用いて予測を行うことで、取引に用いられた見積視聴率よりも予測精度の高い予測視聴率を取得することができる。或いは、例えば、見積視聴率の予測に用いた第1のデータよりも後(放送日により近い日時)に取得された第2のデータを用いて予測を行うことで、取引に用いられた見積視聴率よりも予測精度の高い予測視聴率を取得することができる。なお、以下では、この見積視聴率よりも予測精度の高い予測視聴率を、第2の予測視聴率と呼ぶことがある。ここで、第2の予測視聴率の予測精度は、予測された視聴率の全てで第1の予測視聴率よりも予測精度が高くなくてもよく、例えば、番組表に含まれる複数の番組のうちで、第1の予測視聴率よりも第2の予測視聴率の方が予測精度の高かった番組が、所定の割合(70〜90%以上など)以上で含まれていればよい。
【0030】
そして、以下で述べる実施形態では、取引に用いられた見積視聴率よりも予測精度の高い第2の予測視聴率を用いて、アクチュアルの視聴率が見積視聴率から低下する可能性の低い番組枠を特定し、その番組枠を、番組表において他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように表示情報を出力する。そのため、表示情報に基づき表示される表示画面を参照することで、改案を検討する担当者は、アクチュアルの視聴率が見積視聴率から低下する可能性の低い番組を容易に見つけることができ、改案において新たにCMの放送枠として指定する番組を容易に決定することができる。
【0031】
また、以下で述べる実施形態では、放送スケジュールで指定されているクライアントの広告キャンペーンのCMを放送する放送枠のうちから、第2の予測視聴率を用いて、アクチュアルの視聴率が見積視聴率から低下する可能性の高い放送枠を特定する。そして、その特定した放送枠を、番組表において他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように表示情報を出力する。そのため、表示情報に基づき表示される表示画面を参照することで、改案を検討する担当者は、アクチュアルの視聴率が見積視聴率から低下する可能性の高い番組を容易に見つけることができ、その番組での放送を取りやめることができる。
【0032】
従って、実施形態によれば、CMの放送スケジュールの変更作業が容易になる。以下、実施形態を更に詳細に説明する。
【0033】
図1は、実施形態に係るCMの放送スケジュールの作案システム100を例示する図である。作案システム100は、例えば、放送局101、広告代理店102、およびクライアント103を含む。
【0034】
放送局101は、放送を行う事業体または設備である。放送局101は、例えば、放送スケジュールに従って番組やCMを放送する。広告代理店102は、クライアント103からの広告依頼を受けてCMの放送を放送局101に依頼し、CMは番組の広告枠において放送される。クライアント103は、例えば、広告代理店102に広告を依頼する企業および団体などであってよい。
【0035】
放送局101は、放送スケジュールに従って番組やCMを放送するための営放システム111を備えている。営放システム111は、例えば、テレビ(TV:television)に対して放送を配信する装置であり、地上波放送、放送衛星(BS:Broadcasting Satellite)/通信衛星(CS:Communications Satellite)による放送、インターネット放送(インターネットテレビ)などの少なくとも1つを含んでよい。また、テレビは、例えば、多機能テレビ、スマートTV、IP(Internet Protocol)TV、セットトップボックスなどを含んでもよい。
【0036】
そして、実施形態では、広告代理店102は、CMの放送スケジュールの変更作業を支援する改案サーバ121を備える。以下、改案サーバ121を用いた改案支援の流れについて説明する。
【0037】
例えば、クライアント103が、広告代理店102に広告キャンペーンの発注条件を提示し、CMの放送を依頼する広告依頼をしたとする(図1の(1))。この場合、広告代理店102は、広告依頼を受けると、依頼された広告キャンペーンの発注条件を放送局101に伝えて、その広告キャンペーンのCMを放送する放送スケジュールの作案を依頼する(図1の(2))。
【0038】
放送局101では作案担当者は、様々なクライアント103からの作案依頼に含まれる発注条件を考慮しつつ、番組の広告枠にクライアントのCMを割り当てて、クライアントの広告依頼に対するCMの放送スケジュールを作案する。なお、以下、このクライアントの広告依頼に対して最初に作成されるCMの放送スケジュールを初案と呼ぶことがある。
【0039】
作成された初案は、例えば、EDIなどの通信を介して営放システム111から広告代理店102の改案サーバ121に提供される(図1の(3))。なお、EDI(Electronic Data Interchange)は、電子データ交換とも呼ばれ、例えば、受発注、出荷、請求、支払などの各種取引データを、通信回線(オンラインを含んでよい)を通じて企業間でやり取りするための電子商取引の仕組みである。
【0040】
広告代理店102の改案サーバ121に初案が届くと、広告代理店102では放送スケジュールの初案の改案の検討が行われる。改案サーバ121には、例えば、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して少なくとも1つの端末122が接続されていてよい。端末122は、表示装置123を含んでよく、または表示装置123と接続されていてよい。表示装置123は、例えば、ディスプレーやプロジェクタなどの情報を表示するデバイスである。
【0041】
そして、端末122の利用者は、端末122を介して改案サーバ121に接続し、改案サーバ121から受信した表示情報に基づいて初案などのCMの放送スケジュールを表示装置123に表示させて改案を検討する(図1の(4))。なお、端末122の利用者は、例えば、放送局側の観点から改案の検討を行う局担当や、クライアント側の観点から改案の検討を行うプランナーを含んでよく、局担当とプランナーでは改案において重視するポイントが異なるため、改案サーバ121では複数回の改案の検討作業が行われてよい。
【0042】
改案の検討結果がまとまると、改案サーバ121は改案指示を例えばメールなどを介して放送局101に通知する(図1の(5))。改案指示は、例えば、CMの放送スケジュールにおいて放送を取りやめる広告枠を示す削除枠の情報や、新たにCMの放送を希望する追加候補の番組枠を示す追加候補枠の情報を含んでよい。
【0043】
放送局101では作案担当者は、改案指示の通知を受けると、改案指示の内容を参考に、初案を編集して改案を作成し、改案をEDIなどの通信を介して営放システム111から広告代理店102の改案サーバ121に提供する(図1の(6))。
【0044】
広告代理店102は、改案サーバ121に提供された改案をクライアントに通知する(図1の(7))。その後も、改案に対してクライアントが同意しなかったり、視聴率予測の結果、発注の累積視聴率に対して十分な累積視聴率が稼げないことが発覚したりといった、更なる改案を要する事象が発生すると、改案の検討サイクルは繰り返され、最終的なCMの放送スケジュールが作成される。
【0045】
そして、例えば、上述の局担当やプランナーなどの端末122の利用者が改案を検討する際に(図1の(4))、実施形態では改案サーバ121は、改案の検討を支援する表示画面を表示するための表示情報を、端末122などに出力する。以下、改案サーバ121が実行する改案の検討を支援する処理について、更に詳細に説明する。
【0046】
図2は、実施形態に係る改案サーバ121のブロック構成を例示する図である。改案サーバ121は、例えば、コンピュータなどの情報処理装置であってよい。改案サーバ121は、例えば、制御部201、記憶部202、および通信部203を含む。制御部201は、例えば、改案サーバ121の全体を制御する。制御部201は、例えば、出力部211、比較部212、通知部213、保存部214、および指定部215などを含み、その他の機能部を含んでもよい。改案サーバ121の記憶部202は、例えば、後述する番組情報300、広告依頼情報500、放送スケジュール情報600、改案履歴情報1100などの情報を記憶している。通信部203は、制御部201の指示に従って、営放システム111や端末122などの他の装置と通信する。これらの各部の詳細および記憶部202に格納されている情報の詳細については後述する。
【0047】
図3は、実施形態に係る番組情報300を例示する図である。番組情報300には、CMの放送を割り当てる対象の広告枠を含む放送局の所定期間の番組の情報が登録されている。図3の例では、番組情報300には、放送局コード、放送日、開始時間、終了時間、放送分数、番組名、番組詳細、ジャンル、予測視聴率、そして、広告依頼識別子ごとの見積視聴率の情報が対応付けられたレコードが登録されている。
【0048】
放送局コードは、放送局101を識別するための情報である。放送日は、レコードと対応する番組が放送される日付である。開始時間、終了時間、および放送分数は、レコードと対応する番組の放送の開始時刻、放送の終了時刻、および放送される分数を示している。番組名は、レコードと対応する番組の名称であり、番組詳細は、レコードと対応する番組についての詳細な情報が登録される。番組詳細は、例えば、番組で放送する話題などの内容に関する情報、出演タレントの情報などを含んでよい。ジャンルは、レコードと対応する番組のジャンルを示す情報である。番組のジャンルは、例えば、ニュース、バラエティ、ドラマ、映画、音楽、スポーツ、その他などを含んでよい。予測視聴率は、レコードと対応する番組に対する予測視聴率である。見積視聴率は、レコードと対応する番組に対して、広告依頼識別子で識別される広告依頼の取引の見積もりで用いられた予測視聴率である。見積視聴率は、一例では、発注条件で指定された発注号数に基づいて決定されてよい。番組情報300の予測視聴率は、見積視聴率よりも予測精度の高い第2の予測視聴率であってよい。
【0049】
そして、制御部201は、例えば、図3の番組情報300から所定の期間の番組の情報を読み出し、番組表を生成することができる。一例では、制御部201は、クライアントからの広告依頼でCMを割り当てる対象として指定される期間内の1週間の番組の情報を読み出し、番組表を生成してよい。
【0050】
図4は、実施形態に係る番組表を例示する図である。例えば、図4では、4月1日〜7日(月〜金)までの一週間において朝の5時から深夜29時までの放送時間の番組が、番組ごとに分割されて示されている。なお、番組は、少なくとも1つの広告枠を含んでよいが、必ずしも広告枠を含まなくてもよい。以下の説明において、番組にCMを割り当てるとは、例えば、番組内の広告枠にCMの放送を割り当てることを意味してよい。また、放送枠は、例えば、CMの放送が割り当てられた番組枠および広告枠を意味してよい。なお、番組表は、図4に示す例に限定されるものではない。例えば、番組表は、放送される番組の放送の予定を、放送局と放送時間とによってまとめたその他の表形式の情報であってもよい。以下、番組表の番組枠へのクライアントの広告キャンペーンのCMの割り当てについて説明する。
【0051】
図5は、実施形態に係る広告依頼情報500を例示する図である。広告依頼情報500には、クライアント103からの広告依頼と対応するレコードが登録されている。図5の例では、広告依頼情報500には、例えば、広告依頼識別子、クライアント、発注の累積視聴率、ゾーン指定、秒数、開始、終了、P/C、A単価、AGシェア、含有比率、週別バランス、および段積みの情報を対応づけるレコードが登録されている。
【0052】
広告依頼識別子は、例えば、レコードと対応する広告依頼を識別するための識別子である。クライアントは、例えば、レコードと対応する広告依頼を行ったクライアントを示す情報である。発注の累積視聴率は、例えば、レコードと対応する広告依頼で発注された累積視聴率を示す情報である。なお、累積視聴率は、例えば、GRP、ALL(P+C7)、TRPなどを含む視聴率を用いて表されてよい。ゾーン指定は、例えば、レコードと対応する広告依頼で指定されたCMを放送するゾーンを番組表において指定する情報である。ゾーンは、例えば、逆L型、全日型、ヨの字型、コの字型、逆F型、深夜型、全日昼型などと呼ばれるゾーンを含んでよい。或いは、ゾーンは、クライアントなどが番組表において任意に指定したゾーンなどのその他のゾーンであってもよい。秒数は、例えば、レコードと対応する広告依頼で放送するCMの秒数である。開始および終了は、レコードと対応する広告依頼でCMを放送する対象とする期間を示す情報であり、開始はCMの放送開始日、終了はCMの放送終了日を示す情報である。
【0053】
P/C(パーコスト)は、例えば、レコードと対応する広告依頼で指定された発注の累積視聴率1%あたりの値段を示す情報である。A単価は、例えば、レコードと対応する広告依頼で指定されるA単価である。A単価は、例えば、発注金額をAタイムの本数で割った値を指定する情報である。AGシェアは、例えば、レコードと対応する広告依頼で指定されるAGシェアである。AGシェアとは、例えば、発注の累積視聴率に対して、Aタイムだけで獲得される累積視聴率の割合を指定する情報である。含有比率は、例えば、ターゲット視聴率(TRP)/世帯視聴率(GRP)を表す比であってよい。なお、含有比率は、含有率と呼ばれることもある。また、ターゲット視聴率のターゲット層は、例えば、マーケティングの分野で用いられる性・年齢別区分(C(Child)層、T(Teen)層、M(Male)1−M3層、F(Female)1−F3層)であってよいが、これに限られない。ターゲットの含有比率の高い番組枠を見つけることができれば、同じ累積視聴率でもより多くのターゲットにCMをリーチさせることができる。週別バランスは、例えば、広告依頼で依頼されたCMを放送する対象とする期間において、発注の累積視聴率に対して週で獲得する累積視聴率を指定する情報であってよい。段積みは、例えば、1つの番組で同じCMを複数回(例えば、2回)流すという段積みのパターンのCMを許容するか否かを示す情報である。なお、広告依頼情報500に登録される情報は、これらに限定されるものではない。例えば、図5の広告依頼情報500に示される情報の一部は含まれていなくてもよく、更なる別な情報が含まれていてもよい。
【0054】
広告代理店102では、クライアント103から広告依頼を受けると、広告依頼に含まれる情報から、例えば、以上のような情報を特定し、広告依頼情報500にレコードとして登録してよい。また、広告代理店102は、広告依頼の内容を放送局101に通知する。そして、放送局101の作案担当者は、広告依頼の内容に基づいて、クライアント103に対するCMの放送スケジュールの初案を作案したり、その後の改案指示に応じて改案の放送スケジュールを作案したりしてよい。
【0055】
図6は、実施形態に係る放送スケジュール情報600を例示する図である。放送スケジュール情報600には、例えば、広告依頼されたクライアントのCMの放送スケジュールが登録されている。図6の例では、放送スケジュール情報600は、広告依頼識別子、放送日、開始時間、終了時間、CM秒数、タイムランク、種別、予測視聴率、見積視聴率、実績視聴率などが対応づけられた放送枠に関するレコードを含む。広告依頼識別子は、例えば、レコードと対応する放送枠で流すCMの広告依頼を識別するための識別子である。放送スケジュール情報600の広告依頼識別子は、例えば、広告依頼情報500の広告依頼識別子と対応する情報であってよい。放送日、開始時間、および終了時間は、例えば、レコードと対応する放送枠の番組が放送される放送日、開始時間、および終了時間を示す情報である。CM秒数は、例えば、レコードと対応する放送枠で流すCMの秒数を示す情報である。なお、CMは、例えば、15秒または30秒で作成されることが多い。タイムランクは、例えば、レコードと対応する放送枠のタイムランクを示す情報である。タイムランクは、例えば、広告効果およびテレビ視聴状況をもとに、テレビ局が曜日および時間帯別に設定したCM料金の基準のための時間区分である。種別は、例えば、レコードと対応する放送枠でCMを放送する広告枠の種別を示す情報であり、例えば、SBおよびPTを含んでよい。予測視聴率は、例えば、レコードと対応する放送枠の番組に対する予測視聴率である。見積視聴率は、レコードと対応する放送枠の番組に対して、クライアントとの取引で用いられた見積視聴率である。実績視聴率は、例えば、レコードと対応する放送枠の番組を放送した際に計測されるアクチュアルの視聴率である。なお、図6の例では、放送スケジュール情報600に登録されているレコードの放送枠の番組は未だ放送されていないため、実績視聴率には値が登録されていない。放送スケジュール情報600に登録されているレコードの放送枠のCMが放送されると、改案サーバ121の制御部201は、放送の際に計測されたアクチュアルの視聴率を実績視聴率に登録してよい。
【0056】
なお、図6の放送スケジュール情報600は、例えば、放送局101の作案担当者が、広告依頼に対して作成したCMの放送スケジュールの初案や改案に基づいて生成され、記憶部202に記憶されてよい。
【0057】
そして、実施形態では、改案サーバ121の制御部201は、例えば、番組情報300と、放送スケジュール情報600とから、クライアントのCMが番組に割り当てられている番組表の表示画面700を表示するための表示情報を生成する。
【0058】
図7は、実施形態に係る番組表の表示画面700を例示する図である。図7では、クライアントのCMが広告枠に割り当てられている放送枠の番組を判別するための判別情報として、斜めの線、または横線の線引きが表示されている。ここで、斜めの線引きはPTを表しており、また、横の線引きはSBを表している。なお、PTは、番組の中で放送されるCMであり、SBは、番組間で放送されるCMである。
【0059】
また、図7の例では、見積視聴率よりも予測視聴率が上回る番組の線引きが実線で示されており、見積視聴率が予測視聴率を上回る番組の線引きは二重線で示されている。なお、予測視聴率は、例えば、見積視聴率よりも予測精度の高い第2の予測視聴率であってよい。そして、このように、見積視聴率と予測視聴率との大小関係に応じて、線引きなどの判別情報の表示形式を異ならせることで、端末122の利用者は、アクチュアルの視聴率で見積視聴率が確保できる放送枠や、見積視聴率からの視聴率の低下が見込まれる放送枠の容易に特定することが可能である。
【0060】
例えば、広告代理店102の局担当やプランナーは、表示画面700を参照することで、視聴率が見積視聴率を下回る可能性が高い放送枠を、示された二重線の線引きから容易に特定することができる。そして、特定した視聴率が見積視聴率を下回る可能性が高い放送枠でのCMの放送を取りやめるか否かを検討することができる。また、広告代理店102の局担当やプランナーは、例えば、実線が引かれたCM枠については見積視聴率を確保できる可能性が高いことを知ることができる。
【0061】
また、図7の表示画面700では、表示欄701において、目標の累積視聴率、見積の累積視聴率、および予測の累積視聴率の情報が表示されている。目標の累積視聴率は、広告依頼で指定された発注の累積視聴率であってよく、広告依頼で指定された固定値が表示されている。また、見積の累積視聴率は、例えば、表示画面700の番組表に示される各放送枠に対する見積視聴率を累積した値である。予測の累積視聴率は、例えば、表示画面700の番組表に示される各放送枠に対して、見積視聴率よりも高い予測精度で求められた第2の予測視聴率を累積した値である。
【0062】
また、図7の表示欄702には、例えば、端末122の利用者が、タッチパネルなどの入力装置を介して、表示画面700に表示された番組表において番組を選択すると、その選択された番組の情報が表示されてよい。例えば、図7の表示欄702には、選択された番組名:番組Pの情報や、視聴率として、その番組のジャンル、放送時間、放送分数、予測視聴率、見積視聴率、およびそれらの差分が示されている。
【0063】
そのため、端末122の利用者は、放送枠のうちからCMの放送を取りやめる削除枠を選択したり、新たにCMの放送を依頼する追加候補枠を選択したりする際に、表示欄701および表示欄702に表示される情報を利用することができる。
【0064】
また更に、実施形態では制御部201は、見積視聴率と予測視聴率との間の視聴率の差に応じて番組枠を、異なる表示形式で表示させてもよい。
【0065】
図8は、実施形態に係る番組表の別の表示画面800を例示する図である。図8の例では、見積視聴率に対して予測視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している(例えば、0.5%を超えて大きい)番組枠を、第1の網掛けパターン801などの異なる表示形式で表示させている。そのため、局担当やプランナーなどの端末122の利用者は、表示画面800を参照することで、見積視聴率を達成できる可能性の高い安全な番組枠を特定することができる。
【0066】
また、図8の例では、CMの放送が割り当てられている放送枠のうちで、見積視聴率よりも予測視聴率が所定の低下条件を満たして低下している放送枠を、第2の網掛けパターン802などの異なる表示形式で表示させている。なお、所定の低下条件は、例えば、所定の値を超えて視聴率が低下していることであってよい。所定の値は任意に設定可能であり、例えば、0.01%〜3.0%の範囲の値であってよく、一例では、0.5%であってよい。そのため、局担当やプランナーなどの端末122の利用者は、表示画面800を参照することで、見積視聴率を達成できる可能性が低い番組を特定することができる。これら放送枠は、そのままCMを放送してしまうと、取引で用いた見積視聴率よりもアクチュアルの視聴率が低下してしまう恐れが高く、放送枠から外すことが好ましい。そして、このように表示形式を異ならせることで、利用者は放送枠から外した方が好ましい番組を容易に特定することができる。
【0067】
従って、実施形態に係る表示画面800によれば、端末122の利用者は、CMの放送スケジュールの改案の検討が容易になる。そして、端末122の利用者は、例えば、表示画面800に表示された番組の表示形式の表示分けを参考に、改案する番組枠を特定し、番組表に改案指示を登録してよい。
【0068】
図9は、実施形態に係る改案指示が登録された表示画面900を例示する図である。例えば、図9の表示画面900では、CMの放送を取りやめる削除枠901の改案指示が番組表に登録されている。削除枠901は、例えば、削除が必須であることを示す情報や、可能であれば削除を希望することを示す情報などの改案の必要性の度合いを表す付加情報を含んでよい。なお、付加情報は、スタンプや、利用者が任意に設定したコメントなどのその他の情報であってもよい。
【0069】
また、例えば、図9の表示画面900では、新たにCMを放送する候補となる追加候補枠902の改案指示が番組表に登録されている。追加候補枠902は、例えば、優先順位を表す情報などの追加候補枠に対する希望を示す付加情報を含んでよい。
【0070】
なお、端末122の利用者は、例えば、番組表の番組を削除枠や追加候補枠として登録する登録指示を端末122から改案サーバ121に送信することで、改案サーバ121において番組表に改案指示を登録してよい。
【0071】
続いて、改案サーバ121の制御部201は、番組表に登録された改案指示を、放送局101に通知する。例えば、端末122の利用者は、端末122から改案サーバ121に改案指示の通知指示を送信させてよい。それにより、改案サーバ121は、改案指示を放送局101に通知してよい。なお、一例では、改案サーバ121の制御部201は、放送局101の作案担当者のメールアドレスに、改案指示を含むメールを送信してよい。また、別の実施形態では、改案サーバ121の制御部201は、営放システム111に改案指示を送信してもよい。
【0072】
図10は、実施形態に係る改案指示を例示する図である。図10に示すように、改案指示は、例えば、削除枠の番組を示す情報と、追加候補枠の番組を示す情報とを含んでよい。それにより、放送局101の作案担当者は、例えば、通知された改案指示を参考にして、改案を検討することができる。なお、改案サーバ121の制御部201は、改案指示で通知した内容の履歴を記憶部202の改案履歴情報1100に記録してもよい。
【0073】
図11は、実施形態に係る改案履歴情報1100を例示する図である。改案履歴情報1100には、例えば、広告依頼識別子、クライアント、ターゲット、改案指示日時、改案指示、付加情報、および番組情報を対応づけるレコードが登録されている。広告依頼識別子は、例えば、レコードと対応する改案指示が出された広告依頼を識別する情報である。広告依頼識別子は、例えば、広告依頼情報500および放送スケジュール情報600の広告依頼識別子と対応していてよい。クライアントは、例えば、レコードと対応する改案指示が出された広告依頼のクライアントを示す情報である。ターゲットは、レコードと対応する改案指示が出された広告依頼のターゲットを示す情報である。ターゲットには、例えば、広告依頼情報500の含有比率にターゲット層が登録されている場合に、そのターゲット層の情報が登録されてよい。改案指示日時は、例えば、レコードと対応する改案指示が出された日時を示す情報である。改案指示および付加情報は、例えば、レコードと対応する改案指示の内容と、その改案指示において付加されている付加情報が登録されてよい。番組情報は、例えば、改案指示で指定した番組を示す情報であり、その番組の放送日、開始時間、終了時間、および番組名などを含んでよい。
【0074】
そして、実施形態では改案サーバ121の制御部201は、改案履歴情報1100を用いて改案指示の履歴を含む表示画面1200を表示するための表示情報を生成し、出力してよい。なお、出力された表示情報は、例えば、端末122に通知されてよく、表示情報に基づいて表示装置123に表示画面1200が表示されてよい。
【0075】
図12は、実施形態に係る改案指示の履歴を含む表示画面1200を例示する図である。図12では、1次の改案指示から3次の改案指示までの3回の改案指示について、削除枠と、追加候補枠の情報が表示されている。制御部201は、例えば、改案履歴情報1100において広告依頼識別子が一致するレコードを抽出し、改案指示日時で改案指示の版数を特定して履歴を含む表示画面1200の表示情報を生成し、端末122の表示装置123に表示させてよい。
【0076】
そして、端末122の利用者は、例えば、履歴を含む表示画面1200を参照することで、過去のどのような経緯で改案が行われたかを知ることができる。
【0077】
また更に、改案履歴情報1100は、クライアントの好みを把握することにも利用することができる。例えば、クライアントによっては、番組表において特定の番組位置に配置されている番組枠でCMを放送することを好まないこともある。この場合、例えば、放送局101から送られてきた放送スケジュールにおいてクライアント103が好まない番組枠がCMの放送枠となっていると、クライアント103からの要望で、その放送枠を削除枠とする改案指示を出すことになる。そして、改案履歴情報1100には、番組表の特定の番組位置に配置されている番組枠に対する削除枠の改案指示が蓄積することになる。
【0078】
また、例えば、クライアントによっては、番組表において特定の番組位置に配置されている番組枠でのCMの放送を好むこともある。この場合、例えば、放送局101から送られてきた放送スケジュールにおいてクライアント103が好む番組枠にCMの放送が入っていないと、クライアント103からの要望で、その番組枠を、CMを放送する追加候補枠とする改案指示を出すことになる。そして、改案履歴情報1100には、番組表の特定の番組位置に配置されている番組枠に対する追加候補枠の改案指示が蓄積することになる。
【0079】
そのため、改案履歴情報1100に登録されているレコードの情報を集計することで、クライアントの好みに応じた改案指示を設定することができる。
【0080】
例えば、改案履歴情報1100に登録されているレコードをクライアントごとに集計した結果、特定の曜日の特定の時間帯に放送される番組枠などの番組表の特定の番組位置において、削除枠の改案指示が所定の条件を満たして高い頻度(例えば、所定期間に所定の回数以上)であったとする。この場合、番組表のその番組位置は、クライアントが好まない番組位置と見なすことができる。そのため、制御部201は、クライアントのCMの放送スケジュールにおいて、その番組位置に配置されている番組枠が放送枠として指定されている場合、その番組枠を削除枠として改案指示を設定してよい。
【0081】
また、例えば、改案履歴情報1100に登録されているレコードをクライアントごとに集計した結果、特定の曜日の特定の時間帯に放送される番組枠などの番組表の特定の番組位置において、追加候補枠の改案指示が所定の条件を満たして高い頻度(例えば、所定期間に所定の回数以上)であったとする。この場合、番組表のその番組位置は、クライアントが好む番組位置と見なすことができる。そのため、制御部201は、クライアントのCMの放送スケジュールにおいて、その番組位置に配置されている番組枠が放送枠として指定されていなければ、その番組枠を追加候補枠として改案指示を設定してよい。
【0082】
図13は、過去の改案指示の傾向に基づく改案指示を含む番組表の表示画面1300を例示する図である。図13の例では、改案履歴情報1100において過去に削除枠として指定された頻度が所定の条件を満たして高かった番組位置に配置されている番組枠1301に、削除枠の改案指示が設定されている。
【0083】
また、図13の例では、改案履歴情報1100において過去に追加候補枠として指定された頻度が所定の条件を満たして高かった番組位置に配置されている番組枠1302に、追加候補枠の改案指示が設定されている。なお、これらの改案指示には、過去の傾向に基づいて設定された改案指示であることを示す付加情報(例えば、図13では「過去傾向」の表示)も含まれていてよい。
【0084】
以上で述べたように、実施形態によれば、改案履歴情報1100に登録されている過去の改案指示の履歴に基づいて、改案指示を設定することができる。そして、端末122の利用者は、表示画面1300に表示される番組表を参照することで、過去傾向に基づき、番組枠1301および番組枠1302には改案を行った方がよい可能性があることを知ることができる。なお、以上の例では、過去傾向に基づいて、改案指示を設定する例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではない。別の実施形態では、制御部201は、削除枠や追加候補枠の改案指示を設定する代わりに、削除枠や追加候補枠として改案指示を行うことを勧めるリコメンド情報を、表示画面1300の番組表に表示させるように設定を行ってもよい。
【0085】
また更に、別の実施形態では改案履歴情報1100は、レコードと対応する改案指示が実行されたか否かを示す改案の成否の情報を含んでいてもよい。そして、制御部201は、例えば、改案履歴情報1100に基づいて、過去に高い頻度で改案指示が出されている番組位置が特定された場合に、その番組位置の改案指示について、改案の成否の情報から改案の成功率を算出してよい。更に、制御部201は、改案の成功率が低い場合に、その番組位置の番組への改案指示の設定に、改案の成功率が低いことを示す情報を含めてもよく、或いは、その番組位置の番組への改案指示の設定を取りやめてもよい。
【0086】
一例として、或るクライアントについて、改案履歴情報1100から追加候補枠として指定された頻度が所定の条件を満たして高い番組位置が特定されたとする。この場合に、制御部201は、その番組位置でのクライアントの追加候補枠の改案指示について改案の成否の情報を集計し、改案指示の成功率を取得する。そして、制御部201は、改案指示の成功率が、例えば30%以下など任意の所定閾値を下回って低かった場合に、その番組位置に配置されている番組枠への追加候補枠の改案指示の設定を取りやめてよい。
【0087】
また、制御部201は、或るクライアントについて、追加候補枠として指定された頻度が所定の条件を満たして高い番組位置が複数特定された場合に、複数の番組位置のうちから改案指示の成功率に基づいて改案指示を設定する番組位置を絞り込む処理を実行してもよい。例えば、制御部201は、成功率が所定値以上の番組位置に絞り込んだり、成功率が上位の所定数の番組位置に絞り込んだりする処理を実行してよい。
【0088】
以上で述べたように、実施形態によれば、CMの放送スケジュールの改案の検討を容易に実行することが可能になる。以下、上述の実施形態で述べたCMの放送スケジュールの改案支援についての動作フローの例を更に説明する。
【0089】
図14は、実施形態に係るCMの放送スケジュールの改案支援処理の動作フローを例示する図である。例えば、端末122から改案対象とする広告依頼の広告依頼識別子や期間の指定とともに改案支援処理の実行指示が入力されると、改案サーバ121の制御部201は、図14の動作フローを開始してよい。
【0090】
ステップ1401(以降、ステップを“S”と記載し、例えば、S1401と表記する)において改案サーバ121の制御部201は、指定された広告依頼識別子で識別される広告依頼と対応する指定された期間の番組表を生成する。例えば、制御部201は、指定された期間の番組の情報を番組情報300から読み出し、図4で例示した番組表を生成してよい。
【0091】
S1402において制御部201は、指定された広告依頼識別子で識別される広告依頼と対応する見積視聴率(第1の予測視聴率)を取得する。例えば、制御部201は、番組情報300から広告依頼識別子に基づき見積視聴率を取得してもよいし、別の実施形態では、広告依頼情報500から広告依頼識別子と対応する発注号数を特定し、見積視聴率を算出してもよい。
【0092】
S1403において制御部201は、第2の予測視聴率を取得する。例えば、制御部201は、所定のアルゴリズムに従って番組表の各番組の視聴率を予測し、第2の予測視聴率を取得してよい。なお、第2の予測視聴率の予測精度は、見積視聴率よりも高い予測精度であってよい。一例では、制御部201は、放送日の天気予報や、番組の放送内容などの情報を用いて、見積視聴率よりも高い予測精度の第2の予測視聴率を取得してよい。
【0093】
S1404において制御部201は、見積視聴率と、第2の予測視聴率とを比較して、見積視聴率と、第2の予測視聴率との差分を求める。
【0094】
そして、S1405において制御部201は、差分に基づいて番組表の番組枠の表示形式を決定する。
【0095】
例えば、制御部201は、番組表に含まれる複数の番組枠において、クライアントの広告キャンペーンと対応するCMを放送する放送枠に、放送枠を判別するための判別情報を表示させるように表示形式を決定してよい。図7は、この場合の番組表の表示形式を例示しており、放送枠には判別情報として線引きが表示されている。
【0096】
また更に、制御部201はS1405の処理で、放送枠のうち、見積視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が所定の低下条件を満たして低下している放送枠の判別情報を、他の放送枠の判別情報とは異なる表示形式で表示させるように表示形式を決定してよい。図7は、この場合の番組表の表示形式を例示しており、見積視聴率よりも第2の予測視聴率が低い放送枠の線引きが、他の放送枠と異なるように二重線で表示されている。
【0097】
また、制御部201はS1405の処理で、例えば、番組表において見積視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している番組枠を、他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように表示形式を決定してよい。
【0098】
また、制御部201はS1405の処理で、例えば、見積視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が所定の低下条件を満たして低下している放送枠の表示形式を、見積視聴率と第2の予測視聴率との間の視聴率の差の大きさに応じて異ならせるように決定してよい。
【0099】
図8は、S1405の処理で以上のように番組表の表示形式が決定された場合に表示される表示画面800を例示している。例えば、図8では、見積視聴率よりも第2の予測視聴率が0.5%以上高い番組枠は、第1の網掛けパターン801で表示するように表示形式が決定されている。また、図8では、放送枠のうちで、見積視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が0.5%以上低下している放送枠は、視聴率の低下が0.5%未満の放送枠と異なり、第2の網掛けパターン802で表示するように表示形式が決定されている。
【0100】
なお、制御部201は、見積視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が上昇している番組枠を、見積視聴率と第2の予測視聴率との間の視聴率の差の大きさに応じて異ならせるように表示形式を決定してもよい。即ち、例えば、制御部201は、見積視聴率よりも第2の予測視聴率が1.0%以上高い番組枠は、更に別の網掛けパターンで表示するというように表示形式を決定してもよい。
【0101】
続いて、S1406において制御部201は、改案履歴に基づき削除枠を設定する。例えば、制御部201は、改案履歴情報1100において削除枠として所定の条件を満たして高い頻度で指定される番組位置があり、かつ、その番組位置が番組表においてCMを放送する放送枠に設定されている場合、その放送枠を削除枠として指定してよい。なお、制御部201は、上述のように、削除枠として指定する代わりに、削除枠として指定することを勧めるリコメンド情報を表示させるように番組表に設定を行ってもよい。
【0102】
S1407において制御部201は、改案履歴に基づき追加候補枠を設定する。例えば、制御部201は、改案履歴情報1100において追加候補枠として所定の条件を満たして高い頻度で指定される番組位置があり、かつ、その番組位置が番組表において放送枠に設定されていなければ、追加候補枠として指定してよい。なお、制御部201は、上述のように、追加候補枠として指定する代わりに、追加候補枠として指定することを勧めるリコメンド情報を表示させるように番組表に設定を行ってもよい。
【0103】
S1408において制御部201は、以上の処理で表示形式を設定した表示画面を表示するための表示情報を生成し、端末122に出力する。端末122は、表示情報を受信すると、受信した表示情報に基づいて表示装置123に図13に例示する表示画面1300などの表示画面を表示させてよい。
【0104】
続いて、S1409において制御部201は、削除枠や追加候補枠などを指定して改案指示を設定する。例えば、端末122の利用者は、表示画面1300を見て改案を検討し、削除枠や追加候補枠を登録する登録指示を端末122から改案サーバ121に送信してよい。そして、改案サーバ121の制御部201は、登録指示に従って削除枠や追加候補枠などを指定する改案指示を番組表に設定してよい。
【0105】
S1410において制御部201は、端末122からの登録指示で指定された削除枠や追加候補枠の情報を反映させた表示情報を生成し、端末122に出力する。それにより、端末122の表示装置123には、図15に示す表示画面1500などの表示画面が表示されてよい。図15では、利用者が指定した削除枠および追加候補枠の改案指示が追加で表示されている。なお、S1409およびS1410の処理は、利用者が改案指示を設定するたびに繰り返し実行されてもよい。
【0106】
続いて、S1411において制御部201は、例えば、端末122から改案指示の通知指示を受信すると、削除枠および追加候補枠の情報を含む改案指示を通知する。例えば、制御部201は、放送局101の作案担当者が利用する端末に、メールなどを用いて改案指示を送信してもよいし、別の実施形態では、営放システム111に改案指示を通知してもよい。
【0107】
S1412において制御部201は、改案指示の内容を改案履歴情報1100に登録し、本動作フローは終了する。例えば、制御部201は、改案指示で指定された削除枠および追加候補枠の情報を、広告依頼をしたクライアントや、広告依頼のクライアントおよびそのターゲットと対応づけたレコードを改案履歴情報1100に登録してよい。
【0108】
以上で述べた図14の動作フローによれば、端末122の利用者は、例えば、図15の表示画面1500などの表示画面を参照することで、容易に改案指示を設定し、通知することができる。例えば、利用者は、見積視聴率を達成できる可能性の高い安全な番組枠や、見積視聴率を下回る可能性が高い番組枠を、番組枠の表示形式の違いから特定することができる。また、利用者は、追加候補枠や削除枠の提示を受けることもできる。
【0109】
また、現状では、CMの放送スケジュールの確認や改案指示の作業は、紙に書き込む形式で行われることが一般的である。この場合、紙を紛失してしまったり、手書き指示の読み違いに起因してミスが発生したりしてしまうことがある。しかしながら、上述の実施形態ではCMの放送スケジュールの情報をデジタルに管理して、表示画面1500などのように表示させることができるため、紙と同様の一覧性を確保しつつも、これらの発生を抑制することができる。また更には、実施形態によれば、スクリーンショットを撮影して利用したり、改案の履歴を確認したりすることも可能になる。また、実施形態によれば、1つの広告枠の削除に対して、代りに追加する複数の追加候補枠を指定することができ、改案の必要性の度合いを表す情報や、その他のコメントやスタンプなどの付加情報を容易に付すこともできる。従って、実施形態によればCMの放送スケジュールの変更作業が容易になる。
【0110】
なお、図14の動作フローでは、S1409の処理で、端末122の利用者が削除枠および追加候補枠などを指定して改案指示を設定する例を述べたが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、改案サーバ121の制御部201は、見積視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が所定の第2の低下条件を満たして低下している放送枠を削除枠として指定するというように、差分の大きい番組枠は削除枠や追加候補枠として自動で指定して改案指示を設定してもよい。
【0111】
また、上述のS1405の処理では、差分に基づき番組枠の表示形式を決定しており、例えば、番組表において見積視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している番組枠を、他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように表示形式を決定している。それにより、利用者はCMの放送スケジュールの改案を検討する際に、表示形式の違いから見積視聴率よりもアクチュアルの視聴率が高まる可能性の高い安全な番組枠を知ることができ、新たにCMを放送する候補となる追加候補枠を容易に選択することが可能になる。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、制御部201は、見積視聴率から視聴率が低下しない安全な番組枠の中から、更に、広告依頼の発注条件に基づいて追加候補枠として選択することが好ましい番組枠を抽出し、その表示形式を他の番組枠とは異なる表示形式で表示されるように決定してもよい。
【0112】
例えば、別の実施形態では、制御部201はS1405で、見積視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している番組枠のうちから、更に、クライアントの広告キャンペーンの発注条件で指定されているゾーンに属している番組枠を特定してもよい。そして、制御部201は、その特定された番組枠の表示形式を、他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように決定してよい。或いは、制御部201は、見積視聴率から第2の予測視聴率で視聴率が低下しない安全な番組枠のうちから、発注条件のA単価、AGシェア、含有比率、週別バランス、および段積みなどの条件の少なくとも1つを満たす番組枠を特定してよい。そして、制御部201は、その特定された番組枠の表示形式を、他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように決定してよい。また更に、制御部201は、タイムCMのみで販売される番組枠については選択できないことを示す情報を含むように、表示形式を決定してもよい。
【0113】
なお、以上の図14の動作フローにおいて、S1405、S1408、およびS1410などの処理では改案サーバ121の制御部201は、例えば、出力部211として動作する。また、S1404の処理では改案サーバ121の制御部201は、例えば、比較部212として動作する。S1411の処理では改案サーバ121の制御部201は、例えば、通知部213として動作する。S1412の処理では改案サーバ121の制御部201は、例えば、保存部214として動作する。S1406、S1407、S1409の処理では改案サーバ121の制御部201は、例えば、指定部215として動作する。
【0114】
以上において、実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の動作フローは例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。可能な場合には、動作フローは、処理の順番を変更して実行されてもよく、別に更なる処理を含んでもよく、または、一部の処理が省略されてもよい。例えば、図14のS1406とS1407の処理は順序を入れ替えて実行してもよい。
【0115】
また、上述の実施形態は、テレビのCMを例に説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態は、インターネット経由でコンテンツが配信される同時配信などに適用されてもよい。また、例えば、ラジオCMなどのその他のコンテンツに対するCMに適用されてもよい。当業者であれば、必要に応じて上述の実施形態の説明を読み替えて様々なコンテンツに実施形態を適用することができる。例えば、ラジオCMに適用される場合、上述の実施形態の「視聴」は「聴取」に読み替えられてもよい。
【0116】
また、改案サーバ121の制御部201は、上述の図7図8図9図12図13図15などで例示される実施形態に係る番組表を含む様々な表示画面を、PDFなどの所定のファイル形式で出力する機能を備えていてよい。それにより得られた出力データは、例えば、放送局101やクライアント103などと、改案の検討状況を共有するために利用されてよい。
【0117】
また、上述の実施形態では、予測視聴率に基づいて、改案を支援する表示画面を提示する例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、制御部201は、予測視聴率以外の情報に基づいて改案を支援する表示画面を提示する処理を実行してもよい。一例として、制御部201は、番組枠と紐づけた番組の視聴者に関する属性情報や行動情報に基づいて改案を支援する表示画面を提示してもよい。なお、属性情報は、例えば、視聴者の性別、年齢などのデモグラフィックな情報や、カレー好き、サッカー好きなどの趣味嗜好に関する情報などを含んでよい。また、行動情報は、例えば、番組の視聴時間帯や、購買履歴といった商品の購買傾向を表す情報などの視聴者の行動に関する情報を含んでよい。更には、制御部201は、放送するCMに関する情報に基づいて、改案を支援する表示画面を提示してもよい。一例として、CMの放送に対する消費者の反応率の情報を用いることができる。例えば、或る飲食店のCMは朝に放送した方が、夕方に放送した場合よりも売り上げの上昇率が高かったとする。この場合、朝にCMを放送した方が夕方よりも消費者のCMに対する反応率が高いことが分かる。そして、制御部201は、この様な、CMの放送日や放送時間帯に対する消費者の反応率の情報を用いて、改案を支援する表示画面を提示してもよい。また、制御部201は、これらの情報と、予測視聴率の情報とを組み合わせて改案を支援する表示画面を提示してもよい。
【0118】
また、上述の実施形態において、発注の累積視聴率、見積視聴率、予測視聴率、アクチュアルの視聴率などを含む様々な視聴率は、例えば、GRP、ALL(P+C7)、TRPなどの視聴率で表されてよい。また、視聴率は、例えば、ピープルメータや、その他の方法で測定されてよい。また、上述の実施形態において、放送は、テレビの地上波、衛星もしくは有線の放送、ラジオ放送、インターネットもしくは無線通信を介した放送を含んでよい。
【0119】
また更に、上述の実施形態では、見積もり時に用いた見積視聴率を、第1の予測視聴率として用いる例を述べているが、実施形態に係る第1の予測視聴率はこれに限定されるものではない。例えば、見積視聴率だけでなく一旦予測した予測視聴率があり、その予測視聴率よりも予測精度の高い第2の予測視聴率が入手できたとする。この場合に、その2つの予測視聴率を用いて改案を行う対象の番組枠を検討したり決定したりするために、上述の実施形態が用いられてもよい。
【0120】
また、上述の実施形態における改案サーバ121が実行する処理は、複数の装置を用いて実装されてもよい。
【0121】
図16は、実施形態に係る改案サーバ121を実現するためのコンピュータなどの情報処理装置1600のハードウェア構成を例示する図である。図16のハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1601、メモリ1602、記憶装置1603、読取装置1604、通信インタフェース1606、および入出力インタフェース1607を備える。なお、プロセッサ1601、メモリ1602、記憶装置1603、読取装置1604、通信インタフェース1606、入出力インタフェース1607は、例えば、バス1608を介して互いに接続されている。
【0122】
プロセッサ1601は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ1601は、メモリ1602を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを実行することにより、上述した制御部201の一部または全部の機能を提供する。例えば、プロセッサ1601は、記憶装置1603に格納されているプログラムを読み出して実行することで、出力部211、比較部212、通知部213、保存部214、および指定部215として動作する。
【0123】
メモリ1602は、例えば半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでよい。記憶装置1603は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
【0124】
読取装置1604は、プロセッサ1601の指示に従って着脱可能記憶媒体1605にアクセスする。着脱可能記憶媒体1605は、例えば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD−ROM、DVD、Blu-ray Disc等(Blu-rayは登録商標))などにより実現される。なお、USBは、Universal Serial Busの略称である。CDは、Compact Discの略称である。DVDは、Digital Versatile Diskの略称である。
【0125】
記憶部202は、例えばメモリ1602、記憶装置1603、および着脱可能記憶媒体1605を含んでよい。例えば、改案サーバ121の記憶装置1603には、番組情報300、広告依頼情報500、放送スケジュール情報600、改案履歴情報1100などの情報が格納されている。
【0126】
通信インタフェース1606は、プロセッサ1601の指示に従ってネットワークを介してデータを送受信する。通信インタフェース1606は、上述の通信部203の一例である。例えば、通信インタフェース1606は、プロセッサ1601の指示に従って営放システム111や端末122と通信してよい。
【0127】
入出力インタフェース1607は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースであってよい。入力装置は、例えばユーザからの指示を受け付けるキーボードやマウスなどのデバイスである。出力装置は、例えばディスプレーなどの表示装置、およびスピーカなどの音声装置である。
【0128】
実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態で改案サーバ121に提供される。
(1)記憶装置1603に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体1605により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0129】
なお、図16を参照して述べた改案サーバ121を実現するための情報処理装置1600のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の構成の一部が、削除されてもよく、また、新たな構成が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の制御部201の一部または全部の機能がFPGAおよびSoCなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。
【0130】
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0131】
100 :作案システム
101 :放送局
102 :広告代理店
103 :クライアント
111 :営放システム
121 :改案サーバ
122 :端末
123 :表示装置
201 :制御部
202 :記憶部
203 :通信部
211 :出力部
212 :比較部
213 :通知部
214 :保存部
215 :指定部
300 :番組情報
500 :広告依頼情報
600 :放送スケジュール情報
700,800,900,1200,1300,1500 :表示画面
701,702 :表示欄
801 :第1の網掛けパターン
802 :第2の網掛けパターン
901 :削除枠
902 :追加候補枠
1100 :改案履歴情報
1301,1302 :番組枠
1600 :情報処理装置
1601 :プロセッサ
1602 :メモリ
1603 :記憶装置
1604 :読取装置
1605 :着脱可能記憶媒体
1606 :通信インタフェース
1607 :入出力インタフェース
1608 :バス
【要約】
【課題】CMの放送スケジュールの変更作業を容易にする。
【解決手段】一実施形態に係る情報処理装置は、番組表に含まれる複数の番組枠のうちで、クライアントの広告キャンペーンと対応するコマーシャルを放送する放送枠を判別するための判別情報を番組表において放送枠と対応づけて表示させる表示情報を出力する出力部と、番組表に含まれる前記複数の番組枠の各番組枠に対して第1の予測アルゴリズムにより予測された第1の予測視聴率と、第1の予測アルゴリズムよりも予測精度の高い第2の予測アルゴリズムにより予測された第2の予測視聴率とを比較する比較部と、を含み、出力部は、第1の予測視聴率よりも第2の予測視聴率で視聴率が所定の上昇条件を満たして上昇している第1の番組枠を、番組表において他の番組枠とは異なる表示形式で表示させるように表示情報を出力する。
【選択図】図14
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16