特許第6799238号(P6799238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6799238-増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799238
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器
(51)【国際特許分類】
   F15B 3/00 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   F15B3/00 F
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-510603(P2020-510603)
(86)(22)【出願日】2018年9月21日
(65)【公表番号】特表2020-527216(P2020-527216A)
(43)【公表日】2020年9月3日
(86)【国際出願番号】CN2018106900
(87)【国際公開番号】WO2019205471
(87)【国際公開日】20191031
【審査請求日】2020年2月20日
(31)【優先権主張番号】201810366010.5
(32)【優先日】2018年4月23日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518139627
【氏名又は名称】中国▲鉱▼▲業▼大学
(73)【特許権者】
【識別番号】518295532
【氏名又は名称】徐州秩潤鉱山設備科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】XUZHOU ZHIRUN MINING EQUIPMENT SCIENCE AND TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】劉 送永
(72)【発明者】
【氏名】朱 真才
(72)【発明者】
【氏名】王 博文
(72)【発明者】
【氏名】沈 剛
(72)【発明者】
【氏名】江 紅祥
(72)【発明者】
【氏名】崔 新霞
(72)【発明者】
【氏名】李 偉
(72)【発明者】
【氏名】李 洪盛
(72)【発明者】
【氏名】張 新
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−018401(JP,U)
【文献】 特開2002−155902(JP,A)
【文献】 特開2013−199869(JP,A)
【文献】 米国特許第05971027(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器であって、
多段階増圧構造と、作動油回路及びその制御部材と、増圧流体回路及びその制御部材とを含み、
前記多段階増圧構造は、増圧器ハウジングと、前記増圧器ハウジングの両端に接続された高圧シリンダ蓋とを含み、前記ハウジング内にピストンと、前記ピストンの両端に取り付けられたピストンロッドと、接続弁体とが設けられ、
前記増圧流体回路中の流体と作動油回路中の流体とは、同じ又は異なる媒体を使用し、
前記ハウジング内のピストンは、伝達ピストン(1)と、2つの一次増圧ピストン(3)と、2つの二次増圧ピストン(5)と、2つの三次増圧ピストン(14)とを含み、前記伝達ピストン(1)は、前記増圧器ハウジングの中央に設けられ、前記一次増圧ピストン(3)は、一次ピストンロッド(12)を介して前記伝達ピストン(1)の両側に対称に接続され、前記二次増圧ピストン(5)は、二次ピストンロッド(4)を介して前記一次増圧ピストン(3)の両側に対称に接続され、前記三次増圧ピストン(14)は、三次ピストンロッド(13)を介して二次増圧ピストン(5)の両側に対称に接続され、前記伝達ピストン(1)、前記一次増圧ピストン(3)、前記二次増圧ピストン(5)及び前記三次増圧ピストン(14)は、面積が順次比例的に減少し、前記伝達ピストン(1)と2つの前記一次増圧ピストン(3)は、左右2つの作動油キャビティ(C1)を構成し、2つの前記一次増圧ピストン(3)と2つの前記二次増圧ピストン(5)は、左右2つの一次増圧キャビティ(C2)を構成し、2つの前記二次増圧ピストン(5)と2つの前記三次増圧ピストン(14)は、左右2つの二次増圧キャビティ(C3)を構成し、2つの前記三次増圧ピストン(14)と両側の前記高圧シリンダ蓋は、左右2つの三次増圧キャビティ(C4)を構成し、
前記作動油回路は、作動油入口(P3)と作動油戻り口(P4)とを含み、前記作動油回路制御部材は、1つの3位置4方向電磁切換弁(10)を含み、前記作動油が前記作動油入口(P3)から前記3位置4方向電磁切換弁(10)を経て一方側の作動油キャビティ(C1)に入り、他方側の作動油キャビティ(C1)内の作動油が前記3位置4方向電磁切換弁(10)を経て前記作動油戻り口(P4)に戻り、
前記増圧流体回路は、増圧流体入口(P1)と、非増圧流体出口(P2)と、増圧流体出口(P5)とを含み、前記増圧流体回路制御部材は、油圧制御逆止弁と、2位置2方向電磁切換弁と、2位置3方向電磁切換弁とを含み、前記増圧流体入口(P1)から入った低圧流体がそれぞれ前記一次増圧キャビティ(C2)、前記二次増圧キャビティ(C3)及び前記三次増圧キャビティ(C4)に入り、3つの前記2位置3方向電磁切換弁の右位置が一方側の前記作動油キャビティ(C1)に並列接続され、第1の2位置3方向電磁切換弁(9−1)の左位置が第1の油圧制御逆止弁(7−1)の制御口に接続され、第2の2位置3方向電磁切換弁(9−2)の左位置が第2の油圧制御逆止弁(7−2)の制御口に接続され、第3の2位置3方向電磁切換弁(9−3)の左位置が第3の油圧制御逆止弁(7−3)の制御口に接続され、
前記一次増圧キャビティ(C2)を経て流出した流体がそれぞれ前記第1の油圧制御逆止弁(7−1)及び1の2位置2方向電磁切換弁(8−1)の油入口に連通し、前記二次増圧キャビティ(C3)を経て流出した流体がそれぞれ前記第2の油圧制御逆止弁(7−2)及び2の2位置2方向電磁切換弁(8−2)の油入口に連通し、前記三次増圧キャビティ(C4)を経て流出した流体がそれぞれ前記第3の油圧制御逆止弁(7−3)及び3の2位置2方向電磁切換弁(8−3)の油入口に連通し、3つの前記油圧制御逆止弁の油出口が前記増圧流体出口(P5)に並列接続され、3つの前記2位置2方向電磁切換弁の油出口が前記非増圧流体出口(P2)に並列接続され、
前記2位置2方向電磁切換弁、前記3位置4方向電磁切換弁(10)及び前記2位置3方向電磁切換弁は、いずれも制御器(11)からの信号により制御されることを特徴とする、増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器。
【請求項2】
前記増圧流体回路制御部材は、逆止弁をさらに含み、
前記増圧流体入口(P1)と前記一次増圧キャビティ(C2)とを接続する油路に第一逆止弁(6−1)が設けられ、前記増圧流体入口(P1)と前記二次増圧キャビティ(C3)とを接続する油路に第二逆止弁(6−2)が設けられ、前記増圧流体入口(P1)と前記三次増圧キャビティ(C4)とを接続する油路に第三逆止弁(6−3)が設けられ、
前記一次増圧キャビティ(C2)と前記第1の油圧制御逆止弁(7−1)及び前記第1の2位置2方向電磁切換弁(8−1)の油入口とを接続する油路に第四逆止弁(6−4)が設けられ、前記二次増圧キャビティ(C3)と前記第2の油圧制御逆止弁(7−2)及び前記第2の2位置2方向電磁切換弁(8−2)の油入口とを接続する油路に第五逆止弁(6−5)が設けられ、前記三次増圧キャビティ(C4)と前記第3の油圧制御逆止弁(7−3)及び前記第3の2位置2方向電磁切換弁(8−3)の油入口を接続する油路に第六逆止弁(6−6)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器。
【請求項3】
両側の前記作動油キャビティ(C1)の両端限界位置に電磁トラベルリミットスイッチ(2)が設けられ、前記電磁トラベルリミットスイッチ(2)が制御器(11)に信号的に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器。
【請求項4】
前記一次ピストンロッド(12)、前記二次ピストンロッド(4)及び前記三次ピストンロッド(13)は、それぞれ直径が同一であることを特徴とする、請求項3に記載の増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器。
【請求項5】
前記三次ピストンロッド(13)及び前記三次増圧ピストン(14)はプランジャ機構であることを特徴とする、請求項4に記載の増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器。
【請求項6】
前記増圧器は、シール、支持リング及びガイドリングによってガイドシールされ、
双方向シールが必要とされる箇所は、高耐摩耗性のポリテトラフルオロエチレン複合材料で作製された矩形リングとO型ゴムシールリングとからなる双方向ゴム複合型スリップシールによりシールされ、
一方向シールが必要とされる箇所は、高耐摩耗性のポリテトラフルオロエチレン複合材料で作製された階段リングとO型ゴムシールリングとからなる一方向ゴム複合型スリップシールによりシールされることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増圧器に関し、具体的には、増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器に関し、油圧制御装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
工業設備に用いられる油圧駆動システムは、一般には、低圧システムと高圧システムに分けられている。低圧システムで駆動される設備では、高圧システムで個別部材を駆動する必要がある場合、低圧システムに油路を増設し、この油路に油圧増圧器を取り付けることにより、低圧システムの低圧油を高圧システムに必要な高圧油又は超高圧油に変換し、便利で実用である。
【0003】
従来の油圧増圧器は、ベースと、低圧シリンダと、接続弁と、高圧シリンダと、シリンダ蓋、ピストンと、プランジャと、電磁弁などの制御機構を含み、面積が異なるピストン及びプランジャにより増圧倍数が異なる油圧増圧器を構成し、面積が小さいプランジャが押動されるように、作動油により面積が大きなピストンの一端を駆動し、プランジャと協働する高圧シリンダは、高圧作動油を出力することができる。しかし、従来の増圧器、例えば、工作機械上の増圧器は、1回の増圧しかできず、1回の増圧後に戻って新たに増圧する必要があり、連続増圧できない。異なる倍数のブースト圧を使用する必要がある場合、所望な効果を達成するために、増圧器の着脱及び交換が必要となり、着脱過程が煩雑で時間と労力がかかるので、経済性と実用性が欠如している。また、従来の増圧器は、1つの油入口、1つの油戻り口及び1つの高圧油出力口のみを含む場合が多く、被増圧体として作動油しか適用できず、他の流体の増圧を達成できないので、使用範囲が制限されている。
【発明の概要】
【0004】
従来技術の不足を克服するために、本発明は、駆動媒体と増圧媒体が異なる流体の増圧に適用され、複数の増圧倍数を有し、構造が簡単で、メンテナンスが便利で、使用範囲が広い増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器を提供する。
【0005】
上述の問題を解決するために、本発明は、増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器であって、
多段階増圧構造と、作動油回路及びその制御部材と、増圧流体回路及びその制御部材とを含む。
前記多段階増圧構造は、増圧器ハウジングと、前記増圧器ハウジングの両端に接続された高圧シリンダ蓋とを含み、前記ハウジング内にピストンと、前記ピストンの両端に取り付けられたピストンロッドと、接続弁体とが設けられている。
前記増圧流体回路中の流体と作動油回路中の流体とは、同じ又は異なる媒体を使用する。
前記ハウジング内のピストンは、伝達ピストンと、2つの一次増圧ピストンと、2つの二次増圧ピストンと、2つの三次増圧ピストンとを含み、前記伝達ピストンは、前記増圧器ハウジングの中央に設けられ、前記一次増圧ピストンは、一次ピストンロッドを介して前記伝達ピストンの両側に対称に接続され、前記二次増圧ピストンは、二次ピストンロッドを介して前記一次増圧ピストンの両側に対称に接続され、前記三次増圧ピストンは、三次ピストンロッドを介して二次増圧ピストンの両側に対称に接続され、前記伝達ピストン、前記一次増圧ピストン、前記二次増圧ピストン及び前記三次増圧ピストンは、面積が順次比例的に減少し、前記伝達ピストンと2つの前記一次増圧ピストンは、左右2つの作動油キャビティを構成し、2つの前記一次増圧ピストンと2つの前記二次増圧ピストンは、左右2つの一次増圧キャビティを構成し、2つの前記二次増圧ピストンと2つの前記三次増圧ピストンは、左右2つの二次増圧キャビティを構成し、2つの前記三次増圧ピストンと両側の前記高圧シリンダ蓋は、左右2つの三次増圧キャビティを構成し、
前記作動油回路は、作動油入口と作動油戻り口とを含み、前記作動油回路制御部材は、1つの3位置4方向電磁切換弁を含み、前記作動油が前記油入口から前記3位置4方向電磁切換弁を経て一方側の作動油キャビティに入り、他方側の作動油キャビティ内の作動油が前記3位置4方向電磁切換弁を経て前記作動油戻り口に戻り、
前記増圧流体回路は、増圧流体入口と、非増圧流体出口と、増圧流体出口とを含み、前記増圧流体回路制御部材は、油圧制御逆止弁と、2位置2方向電磁切換弁と、2位置3方向電磁切換弁とを含み、前記増圧流体入口から入った低圧流体がそれぞれ前記一次増圧キャビティ、前記二次増圧キャビティ及び前記三次増圧キャビティに入り、3つの前記2位置3方向電磁切換弁の右位置が一方側の前記作動油キャビティに並列接続され、第1の2位置3方向電磁切換弁の左位置が第1の油圧制御逆止弁の制御口に接続され、第2の2位置3方向電磁切換弁の左位置が第2の油圧制御逆止弁の制御口に接続され、第3の2位置3方向電磁切換弁の左位置が第3の油圧制御逆止弁の制御口に接続され、
前記一次増圧キャビティを経て流出した流体がそれぞれ前記第1の油圧制御逆止弁及び前記第1の2位置2方向電磁切換弁の油入口に連通し、前記二次増圧キャビティを経て流出した流体がそれぞれ前記第2の油圧制御逆止弁及び前記第2の2位置2方向電磁切換弁の油入口に連通し、前記三次増圧キャビティを経て流出した流体がそれぞれ前記第3の油圧制御逆止弁及び前記第3の2位置2方向電磁切換弁の油入口に連通し、3つの前記油圧制御逆止弁の油出口が前記増圧流体出口に並列接続され、3つの前記2位置2方向電磁切換弁の油出口が前記非増圧流体出口に並列接続され、
前記2位置2方向電磁切換弁、前記3位置4方向電磁切換弁及び前記2位置3方向電磁切換弁は、いずれも制御器からの信号により制御される。
【0006】
増圧構造は、双方向往復移動構造及び三段階増圧構造を採用する。両側の一次増圧キャビティを左右往復移動させるのは、作動油入口から油が入り作動油戻り口から油が戻り、両側の作動油キャビティにより駆動される伝達ピストンによって一次ピストンロッドに送達される油圧力である。両側の二次増圧キャビティを往復移動させるのは、作動油入口から油が入り作動油戻り口から油が戻り、両側の作動油キャビティにより駆動される伝達ピストンによって一次ピストンロッド、二次増圧ピストン及び二次ピストンロッドに伝達される油圧力である。両側の三次増圧キャビティを往復移動させるのは、作動油入口から油が入り作動油戻り口から油が戻り、両側の作動油キャビティにより駆動される伝達ピストンによって一次ピストンロッド、二次増圧ピストン、三次ピストンロッド及び三次増圧ピストンに伝達される油圧力である。制御器及び各管路分流の共同作用下で、異なる増圧キャビティの異なる容積の組み合わせにより、異なる増圧器の増圧比の組み合わせが得られる。作動油が作動油入口から入り、3位置4方向電磁切換弁に到達して右向きに増圧するときに、制御器は、3位置4方向電磁切換弁を左位置に位置させる一方、左向きに増圧するときに、制御器は、3位置4方向電磁切換弁を右位置に位置させる。増圧が必要とされないキャビティは、それと接続された2位置3方向電磁切換弁が右位置に位置するように制御器により制御されることで、油圧により往復押動される回路に油液を供給する。増圧が必要されるキャビティは、それと接続された2位置3方向電磁切換弁が左位置に位置するように制御器により制御されることで、それと接続された油圧制御逆止弁の制御口に油液を供給し、ひいては油圧制御逆止弁がある流体管路の開放を制御する。2位置2方向電磁切換弁及び油圧制御逆止弁は、油圧制御と電気制御の結合により相補的制御を行う。つまり、2位置2方向電磁切換弁がオフ状態にあるときに、油圧制御逆止弁がオンにされ、油圧制御逆止弁がオフ状態にあるときに2位置2方向電磁切換弁がオンにされることにより、高圧流体の出力及び低圧流体の出力が異なる管路にあることが保証される。前記2位置2方向電磁切換弁及び2位置3方向電磁切換弁は、同一の制御信号によって制御される。2位置2方向電磁切換弁が開放位置にあるときに、2位置3方向電磁切換弁が対流位置、即ち、右位置にあることで、対応する増圧キャビティが非増圧状態にある。2位置2方向電磁切換弁が遮断位置にあるときに、2位置3方向電磁切換弁が斜流位置、即ち、左位置にあることで、対応する増圧キャビティが増圧状態にある。
【0007】
さらに、前記増圧流体回路制御部材は、逆止弁をさらに含む。前記増圧流体入口と前記一次増圧キャビティとを接続する油路に第一逆止弁が設けられ、前記増圧流体入口と前記二次増圧キャビティとを接続する油路に第二逆止弁が設けられ、前記増圧流体入口と前記三次増圧キャビティとを接続する油路に第三逆止弁が設けられ、前記一次増圧キャビティと前記第1の油圧制御逆止弁及び前記第1の2位置2方向電磁切換弁の油入口とを接続する油路に第四逆止弁が設けられ、前記二次増圧キャビティと前記第2の油圧制御逆止弁及び前記第2の2位置2方向電磁切換弁の油入口とを接続する油路に第五逆止弁が設けられ、前記三次増圧キャビティと前記第3の油圧制御逆止弁及び前記第3の2位置2方向電磁切換弁の油入口を接続する油路に第六逆止弁が設けられる。
【0008】
増圧キャビティ前後の両側に増設された逆止弁により、各段階の増圧キャビティへの作動流体の逆流が防止され、増圧効率及び精度が保証される。
【0009】
さらに、両側の前記作動油キャビティの両端限界位置に電磁トラベルリミットスイッチが設けられ、前記電磁トラベルリミットスイッチが制御器に信号的に接続される。
【0010】
伝達ピストンが両端の油液キャビティの限界位置まで移動すると、電磁トラベルリミットスイッチの触点に接触し、電磁トラベルリミットスイッチは、制御器に電気信号を送信し、制御器は、信号を3位置4方向電磁切換弁にフィードバックすることで、3位置4方向電磁切換弁がオンにされて方向を切換することにより、油入口管路は、作動油を他方側の油液キャビティに供給し、一次往復移動が完了する。次いで、上記過程と同様に次の往復移動を行うことにより、増圧器は自動的に方向を切換し、人間の介入が必要ではない。
【0011】
取り付けと製造を容易にするために、一次ピストンロッド、二次ピストンロッド及び三次ピストンロッドは、同一の直径を採用する。
【0012】
好ましくは、三次ピストンロッド及び三次増圧ピストンはプランジャ機構である。
【0013】
増圧器のシール効果をさらに向上させるために、前記増圧器は、シール、支持リング及びガイドリングによってガイドシールされ、双方向シールが必要とされる箇所は、高耐摩耗性のポリテトラフルオロエチレン複合材料で作製された矩形リングとO型ゴムシールリングとからなる双方向ゴム複合型スリップシールによりシールされ、一方向シールが必要とされる箇所は、高耐摩耗性のポリテトラフルオロエチレン複合材料で作製された階段リングとO型ゴムシールリングとからなる一方向ゴム複合型スリップシールによりシールされる。
【0014】
従来技術と比較して、本発明は、双方向往復移動構造及び三段階増圧構造を使用するとともに、二流体回路を使用することにより、駆動媒体と増圧媒体として異なる種類の流体を使用することができるとともに、各制御部材により増圧器の自動転向増圧が実現され、増圧時間が節約され、増圧部材を交換することがなく異なる6つの増圧比での自動増圧が達成され、増圧器の使用範囲及び増圧環境が拡大され、1つのデバイスで複数の用途及び複数の圧力を実現できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の構造の原理模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明を詳しく説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の増圧比可変な多段階多用途油圧増圧器は、多段階増圧構造と、作動油回路及びその制御部材と、増圧流体回路及びその制御部材とを含み、前記多段階増圧構造は、増圧器ハウジングと、前記増圧器ハウジングの両端に接続された高圧シリンダ蓋とを含み、前記ハウジング内にピストンと、前記ピストンの両端に取り付けられたピストンロッドと、接続弁体とが設けられ、前記増圧流体回路中の流体と作動油回路中の流体とは、同じ又は異なる媒体を使用し、前記ハウジング内のピストンは、伝達ピストン1と、2つの一次増圧ピストン3と、2つの二次増圧ピストン5と、2つの三次増圧ピストン14とを含み、前記伝達ピストン1は、前記増圧器ハウジングの中央に設けられ、前記一次増圧ピストン3は、一次ピストンロッド12を介して前記伝達ピストン1の両側に対称に接続され、前記二次増圧ピストン5は、二次ピストンロッド4を介して前記一次増圧ピストン3の両側に対称に接続され、前記三次増圧ピストン14は、三次ピストンロッド13を介して二次増圧ピストン5の両側に対称に接続され、前記伝達ピストン1、前記一次増圧ピストン3、前記二次増圧ピストン5及び前記三次増圧ピストン14は、面積が順次比例的に減少し、前記伝達ピストン1と2つの前記一次増圧ピストン3は、左右2つの作動油キャビティC1を構成し、2つの前記一次増圧ピストン3と2つの前記二次増圧ピストン5は、左右2つの一次増圧キャビティC2を構成し、2つの前記二次増圧ピストン5と2つの前記三次増圧ピストン14は、左右2つの二次増圧キャビティC3を構成し、2つの前記三次増圧ピストン14と両側の前記高圧シリンダ蓋は、左右2つの三次増圧キャビティC4を構成する。
【0018】
前記作動油回路は、作動油入口P3と作動油戻り口P4とを含み、前記作動油回路制御部材は、1つの3位置4方向電磁切換弁10を含み、前記作動油が前記油入口P3から前記3位置4方向電磁切換弁10を経て一方側の作動油キャビティC1に入り、他方側の作動油キャビティC1内の作動油が前記3位置4方向電磁切換弁10を経て前記作動油戻り口P4に戻る。
【0019】
前記増圧流体回路は、増圧流体入口P1と、非増圧流体出口P2と、増圧流体出口P5とを含み、前記増圧流体回路制御部材は、油圧制御逆止弁と、2位置2方向電磁切換弁と、2位置3方向電磁切換弁とを含み、前記増圧流体入口P1から入った低圧流体がそれぞれ前記一次増圧キャビティC2、前記二次増圧キャビティC3及び前記三次増圧キャビティC4に入り、3つの前記2位置3方向電磁切換弁の右位置が一方側の前記作動油キャビティC1に並列接続され、第1の2位置3方向電磁切換弁9−1の左位置が第1の油圧制御逆止弁7−1の制御口に接続され、第2の2位置3方向電磁切換弁9−2の左位置が第2の油圧制御逆止弁7−2の制御口に接続され、第3の2位置3方向電磁切換弁9−3の左位置が第3の油圧制御逆止弁7−3の制御口に接続される。
【0020】
前記一次増圧キャビティC2を経て流出した流体がそれぞれ前記第1の油圧制御逆止弁7−1及び前記第1の2位置2方向電磁切換弁8−1の油入口に連通し、前記二次増圧キャビティC3を経て流出した流体がそれぞれ前記第2の油圧制御逆止弁7−2及び前記第2の2位置2方向電磁切換弁8−2の油入口に連通し、前記三次増圧キャビティC4を経て流出した流体がそれぞれ前記第3の油圧制御逆止弁7−3及び前記第3の2位置2方向電磁切換弁8−3の油入口に連通し、3つの前記油圧制御逆止弁の油出口が前記増圧流体出口P5に並列接続され、3つの前記2位置2方向電磁切換弁の油出口が前記非増圧流体出口P2に並列接続される。
【0021】
前記2位置2方向電磁切換弁、前記3位置4方向電磁切換弁10及び前記2位置3方向電磁切換弁は、いずれも制御器11からの信号により制御される。
【0022】
増圧構造は、双方向往復移動構造及び三段階増圧構造を採用する。両側の一次増圧キャビティC2を左右往復移動させるのは、作動油入口P3から油が入り作動油戻り口P4から油が戻り、両側の作動油キャビティC1により駆動される伝達ピストン1によって一次ピストンロッド12に送達される油圧力である。両側の二次増圧キャビティC3を往復移動させるのは、作動油入口P3から油が入り作動油戻り口P4から油が戻り、両側の作動油キャビティC1により駆動される伝達ピストン1によって一次ピストンロッド12、二次増圧ピストン5及び二次ピストンロッド4に伝達される油圧力である。両側の三次増圧キャビティC4を往復移動させるのは、作動油入口P3から油が入り作動油戻り口P4から油が戻り、両側の作動油キャビティC1により駆動される伝達ピストン1によって一次ピストンロッド12、二次増圧ピストン5、三次ピストンロッド13及び三次増圧ピストン14に伝達される油圧力である。制御器11及び各管路分流の共同作用下で、異なる増圧キャビティの異なる容積の組み合わせにより、異なる増圧器の増圧比の組み合わせが得られる。作動油が作動油入口P3から入り、3位置4方向電磁切換弁10に到達して右向きに増圧するときに、制御器11は、3位置4方向電磁切換弁10を左位置に位置させる一方、左向きに増圧するときに、制御器11は、3位置4方向電磁切換弁10を右位置に位置させる。増圧が必要とされないキャビティは、それと接続された2位置3方向電磁切換弁が右位置に位置するように制御器11により制御されることで、油圧により往復押動される回路に油液を供給する。増圧が必要されるキャビティは、それと接続された2位置3方向電磁切換弁が左位置に位置するように制御器11により制御されることで、それと接続された油圧制御逆止弁の制御口に油液を供給し、ひいては油圧制御逆止弁がある流体管路の開放を制御する。2位置2方向電磁切換弁及び油圧制御逆止弁は、油圧制御と電気制御の結合により相補的制御を行う。つまり、2位置2方向電磁切換弁がオフ状態にあるときに、油圧制御逆止弁がオンにされ、油圧制御逆止弁がオフ状態にあるときに2位置2方向電磁切換弁がオンにされることにより、高圧流体の出力P5及び低圧流体の出力P2が異なる管路にあることが保証される。前記2位置2方向電磁切換弁及び2位置3方向電磁切換弁は、同一の制御信号によって制御される。2位置2方向電磁切換弁が開放位置にあるときに、2位置3方向電磁切換弁が対流位置、即ち、右位置にあることで、対応する増圧キャビティが非増圧状態にある。2位置2方向電磁切換弁が遮断位置にあるときに、2位置3方向電磁切換弁が斜流位置、即ち、左位置にあることで、対応する増圧キャビティが増圧状態にある。
【0023】
さらに、前記増圧流体回路制御部材は、逆止弁をさらに含む。前記増圧流体入口P1と前記一次増圧キャビティC2とを接続する油路に第一逆止弁6−1が設けられ、前記増圧流体入口P1と前記二次増圧キャビティC3とを接続する油路に第二逆止弁6−2が設けられ、前記増圧流体入口P1と前記三次増圧キャビティC4とを接続する油路に第三逆止弁6−3が設けられ、前記一次増圧キャビティC2と前記第1の油圧制御逆止弁7−1及び前記第1の2位置2方向電磁切換弁8−1の油入口とを接続する油路に第四逆止弁6−4が設けられ、前記二次増圧キャビティC3と前記第2の油圧制御逆止弁7−2及び前記第2の2位置2方向電磁切換弁8−2の油入口とを接続する油路に第五逆止弁6−5が設けられ、前記三次増圧キャビティC4と前記第3の油圧制御逆止弁7−3及び前記第3の2位置2方向電磁切換弁8−3の油入口を接続する油路に第六逆止弁6−6が設けられる。
【0024】
増圧キャビティ前後の両側に増設された逆止弁により、各段階の増圧キャビティC2、C3、C4への作動流体の逆流が防止され、増圧効率及び精度が保証される。
【0025】
さらに、両側の前記作動油キャビティC1の両端限界位置に電磁トラベルリミットスイッチ2が設けられ、前記電磁トラベルリミットスイッチ2が制御器11に信号的に接続される。
【0026】
伝達ピストン1が両端の油液キャビティの限界位置まで移動すると、電磁トラベルリミットスイッチ2の触点に接触し、電磁トラベルリミットスイッチ2は、制御器11に電気信号を送信し、制御器11は、信号を3位置4方向電磁切換弁10にフィードバックすることで、3位置4方向電磁切換弁10がオンにされて方向を切換することにより、油入口管路は、作動油を他方側の油液キャビティに供給し、一次往復移動が完了する。次いで、上記過程と同様に次の往復移動を行うことにより、増圧器は自動的に方向を切換し、人間の介入が必要ではない。
【0027】
取り付けと製造を容易にするために、一次ピストンロッド12、二次ピストンロッド4及び三次ピストンロッド13は、同一の直径を採用する。
【0028】
好ましくは、三次ピストンロッド13及び三次増圧ピストン14はプランジャ機構である。
【0029】
増圧器のシール効果をさらに向上させるために、前記増圧器は、シール、支持リング及びガイドリングによってガイドシールされ、双方向シールが必要とされる箇所は、高耐摩耗性のポリテトラフルオロエチレン複合材料で作製された矩形リングとO型ゴムシールリングとからなる双方向ゴム複合型スリップシールによりシールされ、一方向シールが必要とされる箇所は、高耐摩耗性のポリテトラフルオロエチレン複合材料で作製された階段リングとO型ゴムシールリングとからなる一方向ゴム複合型スリップシールによりシールされる。
【0030】
伝達ピストン直径:一次増圧ピストン直径:二次増圧ピストン直径:三次増圧ピストン直径=8:4:2:1とすると、可能な増圧倍数は、8、4、2、8/3、8/5、8/6の6つである。
【0031】
図1に示すように、増圧器の左端油路が8/5増圧される場合を例として、本発明の増圧器の増圧過程を説明する。
【0032】
ロードする前に、伝達ピストン1が中央にあり、自油圧ポンプステーションから出力された作動油がP3を経て3位置4方向電磁切換弁10に到達する。この場合、プログラムされた制御器11は3位置4方向電磁切換弁10に信号を送信し、電磁コイルに電磁力が発生してスプールバルブコアを中央から左に引くことで3位置4方向電磁切換弁10が中央から左位置に切換され、制御器は、信号により3位置4方向切換弁10を左位置に位置させ、要求される増圧比に応じて第2の2位置3方向電磁切換弁9−2を対流位置、即ち図の右位置に位置させるとともに、第2の2位置2方向切換弁8−2を開放位置、即ち図の上位置に位置させ、第1の2位置2方向電磁切換弁及び第3の2位置2方向電磁切換弁をいずれも斜流位置、即ち図の左位置に位置させ、第1の2位置2方向切換弁8−1及び第3の2位置2方向切換弁8−3を遮断部位、即ち図の下位置に位置させる。
【0033】
作動油入口P3から流入した作動油は、3位置4方向切換弁10の左位置を経た後、分流ノードaに到達する。作動油の一部分が第2の2位置3方向電磁切換弁9−2の右位置を経て左側作動油キャビティC1に入って伝達ピストン1を右に移動するように押動し、作動油の他の部分は、第1の2位置3方向電磁切換弁9−1及び第3の2位置3方向電磁切換弁9−3の左位置を経てそれぞれ第1の油圧制御逆止弁7−1及び第3の油圧制御逆止弁7−3の制御口に流入し、2つの油圧制御逆止弁をオンにする。増圧される流体は、増圧流体入口P1から入り、それぞれ第一逆止弁、第二逆止弁、第三逆止弁を経て一次増圧キャビティC2、二次増圧キャビティC3及び三次増圧キャビティC4に流入して吸液過程を行う。伝達ピストン1が右側限界位置に移動したとき、制御器は3位置4方向電磁切換弁10を右位置に切換し、作動油は伝達ピストン1を左に移動させることで加圧し始める。ここで、一次増圧キャビティC2により増圧されて流出した流体は、順に第四逆止弁、第1の油圧制御逆止弁を経て、三次増圧キャビティC4により増圧された流体は、順に第六逆止弁、第3の油圧制御逆止弁を経て、2つの増圧流体は合流ノードbに到達した後、さらに増圧流体出口P5に到達し、設備への供給を準備する。二次増圧キャビティC3から流出した流体は、順に第五逆止弁、第2の2位置2方向切換弁8−2を経た後、非増圧流体出口P2に到達し、廃液として回収され、必要に応じて再利用される。他の所望な増圧倍数は、上記と同様に達成できる。
【0034】
アンロードに際して、制御器11は信号を送信して3位置4方向電磁切換弁10を制御し、電磁コイルに電磁力が発生してスプールバルブコアを両側位置から中央に解放することにより、3位置4方向電磁切換弁10が両側位置から中央に切換され、他のすべての電磁弁が同時に復帰し、この場合、増圧器は動作を停止する。
【符号の説明】
【0035】
1 伝達ピストン、
2 電磁トラベルリミットスイッチ、
3 一次増圧ピストン、
4 二次ピストンロッド、
5 二次増圧ピストン、
6−1 第一逆止弁、
6−2 第二逆止弁、
6−3 第三逆止弁、
6−4 第四逆止弁、
6−5 第五逆止弁、
6−6 第六逆止弁、
7−1 第1の油圧制御逆止弁、
7−2 第2の油圧制御逆止弁、
7−3 第3の油圧制御逆止弁、
8−1 第1の2位置2方向電磁切換弁、
8−2 第2の2位置2方向電磁切換弁、
8−3 第3の2位置2方向電磁切換弁、
9−1 第1の2位置3方向電磁切換弁、
9−2 第2の2位置3方向電磁切換弁、
9−3 第3の2位置3方向電磁切換弁、
10 3位置4方向電磁切換弁、
11 制御器、
12 一次ピストンロッド、
13 三次ピストンロッド、
14 三次増圧ピストン、
C1 作動油キャビティ、
C2 一次増圧キャビティ、
C3 二次増圧キャビティ、
C4 三次増圧キャビティ、
P1 増圧流体入口、
P2 非増圧流体出口、
P3 作動油入口、
P4 作動油戻り口、
P5 増圧流体出口、
a 分流ノード、
b 合流ノード。
図1