特許第6799248号(P6799248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799248
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】細胞シートの切断方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/42 20060101AFI20201207BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20201207BHJP
【FI】
   C12M1/42
   C12N5/071
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-189727(P2016-189727)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-50527(P2018-50527A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政代
(72)【発明者】
【氏名】小出 直史
(72)【発明者】
【氏名】大西 琢也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 基
(72)【発明者】
【氏名】江尻 雅成
【審査官】 坂井田 京
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−504824(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/115244(WO,A1)
【文献】 特開2014−155494(JP,A)
【文献】 特開2015−070797(JP,A)
【文献】 特開2006−149268(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/049701(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/176106(WO,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02874324(CA,A1)
【文献】 特開2004−321111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00− 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞シートを収容した容器をレーザ光を照射する切断装置に移動させ、当該容器内の細胞シートをレーザ光により切断する細胞シートの切断方法において、
上記容器に培地を収容するとともに、当該培地を用いて上記細胞シートの培養を行い、
無菌状態に維持された無菌室の内部で、上記容器から培地を除去するとともに、上記容器を、レーザ光を透過可能な素材からなる透過部を設けた蓋部によって密閉し、
上記蓋部により密閉された容器を無菌室より取り出して、当該無菌室の外部に設けた上記切断装置に移動させ、
上記切断装置において、上記レーザ光を、上記透過部を透過させて、当該レーザ光により上記細胞シートを切断することを特徴とする細胞シートの切断方法。
【請求項2】
上記容器は、培地および上記細胞シートを収容可能な内容器と、上記内容器を収容する外容器とによって構成され、
上記容器を蓋部により密閉する際には、上記外容器に上記蓋部を装着することを特徴とする請求項1に記載の細胞シートの切断方法。
【請求項3】
上記内容器は底部に上記培地を透過させるメンブレンを備え、
上記細胞シートを培養する際には、上記内容器のメンブレン上で上記細胞シートを培養するとともに、上記外容器に上記培地を収容して、当該培地が上記メンブレンを介して内容器および外容器との間を流通可能な状態とすることを特徴とする請求項2に記載の細胞シートの切断方法。
【請求項4】
上記内容器におけるメンブレンの上面にコラーゲンからなる層を設けて、当該コラーゲンの上面で細胞シートを培養し、
上記切断装置のレーザ光により細胞シートを切断し、当該切断された細胞シートを収容した容器を無菌室の内部に移動させて、上記外容器から蓋部を取り除いたら、上記内容器のコラーゲンをコラゲナーゼにより分解して、当該内容器から切断された細胞シートを取り出すことを特徴とする請求項3に記載の細胞シートの切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞シートの切断方法に関し、詳しくはレーザ光によって細胞シートを切断する切断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、培養した細胞シートを検査や治療に用いるため、当該細胞シートを所要の大きさに切断することが行われており、このような細胞シートを切断する方法としてレーザ光を用いたものが知られている(特許文献1、特に第0050欄)。
このようなレーザ光を用いた細胞シートの切断方法に用いる切断装置としては、上記細胞シートを収容した培養容器を保持する保持テーブルと、上記レーザ光を照射するレーザ光照射手段と、上記保持テーブルとレーザ光とを相対移動させる移動手段とを備えたものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/115244号
【特許文献2】特表2005−534941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで上記特許文献1のように細胞シートをレーザ光で切断する際には、培養容器を上記切断装置へと移動させる必要があるが、その際に上記培養容器内の細胞シートに異物や微生物等が付着してしまうという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は無菌状態を維持したまま細胞シートを切断することが可能な細胞シートの切断方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる細胞シートの切断方法は、細胞シートを収容した容器をレーザ光を照射する切断装置に移動させ、当該容器内の細胞シートをレーザ光により切断する細胞シートの切断方法において、
上記容器に培地を収容するとともに、当該培地を用いて上記細胞シートの培養を行い、
無菌状態に維持された無菌室の内部で、上記容器から培地を除去するとともに、上記容器を、レーザ光を透過可能な素材からなる透過部を設けた蓋部によって密閉し、
上記蓋部により密閉された容器を無菌室より取り出して、当該無菌室の外部に設けた上記切断装置に移動させ、
上記切断装置において、上記レーザ光を、上記透過部を透過させて、当該レーザ光により上記細胞シートを切断することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1の発明によれば、アイソレータの内部で培養容器を蓋部によって密閉することで、当該培養容器の内部を無菌状態を維持したまま、細胞シートの切断をすることができる。
その際、上記蓋部にレーザ光を透過可能な素材からなる透過部を設けることで、上記レーザ光が上記透過部を透過し、当該レーザ光により上記細胞シートを切断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施例にかかる細胞シート切断システムを示す図
図2】本実施例にかかる培養容器を示す図
図3】細胞シートの切断方法を示す図
図4】細胞シートの切断方法を示す図
図5】他の態様を有する培養容器を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1は培養した細胞シートSを所要の大きさに切断する細胞シート切断システム1を示し、内部が無菌状態に維持された無菌室としてのアイソレータ2と、レーザ光Lにより上記細胞シートSを切断する切断装置3とから構成されている。
本実施例で扱う細胞シートSとしては、例えば特許文献1に記載された網膜色素上皮細胞によって構成されるものや、他の組織から構成された細胞シートSを扱うことができる。
上記アイソレータ2および切断装置3としては従来公知のものを使用することができ、アイソレータ2の内部は図示しない空気清浄手段によって内部が無菌状態に維持され、これに対し上記切断装置3はアイソレータ2の外部の外部空間に設けられている。
上記アイソレータ2および切断装置3はクリーンルーム等の環境下に設置されるが、アイソレータ2の内部空間のような無菌状態を維持された環境ではなく、異物や微生物等が浮遊する恐れがある。
そこで、この細胞シート切断システム1では、上記アイソレータ2の無菌環境下で細胞シートSに対して所要の作業を行うとともに、下記培養容器4を用いることで、無菌状態を維持したまま上記切断装置3において細胞シートSを切断するようになっており、細胞シートSを切断する際の異物や微生物の付着を防止することができる。
【0009】
図2は上記細胞シートSを収容する培養容器4を示し、細胞シートSを収容する内容器11と、当該内容器11を複数収容するとともに培地Mを収容する外容器12とから構成され、また本実施例の培養容器4は蓋部13によって内部空間が密閉されるようになっている。
上記内容器11は、テーパ状に形成された樹脂製の筒状部11aと、当該筒状部11aの底面に設けられた樹脂製のメンブレン11bとから構成され、上記細胞シートSは上記メンブレン11bの上部で培養されるようになっている。
上記メンブレン11bは図示しないが無数の貫通孔を有しており、当該貫通孔を上記培地Mが流通可能となっている。
また上記細胞シートSを培養する際には、上記メンブレン11bの上面にコラーゲンからなるコラーゲンゲル層Cを形成し、当該コラーゲン層の上面で細胞シートSを培養するようになっている。
【0010】
上記外容器12はレーザ光Lを透過させる素材によって構成されるとともに有底箱状を有しており、底部には上記内容器11を支持するための凹状の支持部12aが複数形成され、複数の内容器11により複数の細胞シートSを培養することが可能となっている。
上記支持部12aにはそれぞれ培地Mが収容されるようになっており、かつ支持部12aによって支持された内容器11は、上記メンブレン11bが上記外容器12の底面に対して上方に離隔するようになっている。
このような構成により、各支持部12aに収容された培地Mは、上記隙間から上記メンブレン11bに形成された貫通孔を介して、内容器11の内部との間で流通可能となっている。
【0011】
上記蓋部13は上記外容器12の上方に形成された開口部に装着され、上記外容器12の開口部を覆う上面部分13aと、当該上面部分13aの外周に設けられた側部13bと、当該側部13bと外容器12との間に設けられたシール手段14とによって構成されている。
上記蓋部13によって上記外容器12を閉鎖することで、上記シール手段14が外容器12の外周面に密着し、培養容器4の内部への異物や微生物等の混入を防止するようになっている。
また上記蓋部13における上面部分13aは、ポリスチレン等の樹脂、アクリル、ガラス、石英ガラスといった、レーザ光Lを透過させる素材からなる透過部を構成している。なお、上記上面部分13aの一部だけを透過部としてもよく、また蓋部13の全体を透過部を構成する素材によって形成してもよい。
【0012】
上記アイソレータ2の側面には、作業者が装着して当該アイソレータ2の内部で作業を行うためのグローブ2aと、当該アイソレータ2内への資材等の搬出入を行うためのパスボックス21とが設けられている。
上記パスボックス21には外部に解放可能な搬出入扉21aと、上記アイソレータ2との間に設けられた接続扉21bとが設けられており、またパスボックス21には図示しないが過酸化水素蒸気等を用いた除染手段が設けられている。
上記アイソレータ2内に資材等を搬入する際、上記接続扉21bを閉鎖した状態で上記搬出入扉21aよりパスボックス21内に資材を搬入し、搬出入扉21aを閉鎖した状態でパスボックス21内の資材等の除染を行う。
その後、上記接続扉21bを開放して資材をアイソレータ2内に移動させることにより、外部空間で資材等に付着した異物や微生物等を除染した状態で当該資材をアイソレータ2内に移動させることが可能となっている。
またアイソレータ2には図示しないが細胞シートSを培養するためのインキュベータが接離可能に設けられており、上記培養容器4ごと上記細胞シートSをインキュベータに収容して、アイソレータ2より離隔した位置で細胞の培養を行うようになっている。
上記アイソレータ2とインキュベータとは無菌状態を維持したまま接離をすることが可能となっており、アイソレータ2とインキュベータとの間では上記蓋部13を取り除いた開放状態で培養容器4を移動させることが可能となっている。
【0013】
上記切断装置3は、上記培養容器4を保持する保持テーブル22と、レーザ光Lを照射させるレーザ光照射手段23と、上記保持テーブル22とレーザ光照射手段23とを相対移動させる図示しない移動手段とを備えている。なお、このような切断装置3自体は特許文献2にあるように従来公知となっている。
上記保持テーブル22には上記蓋部13の装着された培養容器4を載置することが可能となっており、上記移動手段はこの保持テーブル22ごと培養容器4を水平方向に移動させるようになっている。
上記レーザ光照射手段23は下方に向けてレーザ光Lを照射するようになっており、これにより照射されたレーザ光Lは上記培養容器4に装着された蓋部13を構成する透過部を透過して、内部に収容された上記細胞シートSに照射されるようになっている。
一方、上記移動手段が培養容器4を移動させることで、上記細胞シートSをレーザ光Lによって所要の形状に切断することができ、このとき細胞シートSを保持するコラーゲンゲル層Cもレーザ光Lによって切断される。
上記細胞シートSおよびコラーゲンゲル層Cを切断したレーザ光Lは、上記メンブレン11bおよび外容器12の底面を透過し、上記保持テーブル22に吸収されるようになっている。
ここで、上記レーザ光照射手段23が照射するレーザ光Lはその波長が300nm〜500nmの範囲であることが望ましい。波長を300nm未満に設定した場合、レーザ光Lが上記蓋部13を透過できず、500nmを超えて設定した場合は微細加工に不向きとなる。
【0014】
以下図3図4を用いて、上記構成を有する細胞シート切断システム1による上記細胞シートSの切断方法を説明する。
予め培養容器4では細胞シートSの培養が行われている。具体的には、上記培養容器4の内容器11において、上記メンブレン11bの上面に形成したコラーゲンゲル層Cの上面に細胞を播種する。
続いて、上記内容器11を上記外容器12の底面に形成された支持部12aにセットし、内容器11の内部および外容器12の各支持部12aにそれぞれ所定量の培地Mを供給する。
その後、培養容器4はアイソレータ2に接続されたインキュベータに移載され、当該インキュベータはアイソレータ2より分離されて所定の期間上記細胞の培養が行われる。そして培地Mの交換等の作業を繰り返すことで上記細胞シートSを得ることができる。
その間、上記内容器11の内部および外容器12の各支持部12aとの間では、上記内容器11のメンブレン11bを介して培地Mが流通し、メンブレン11b上の細胞シートSの表面および裏面への培地Mの供給がなされ、効率的な培養を行うことが可能となっている。
【0015】
図3(a)は上記アイソレータ2内に収容された培養容器4から培地Mを除去する作業を示したものである。
培養容器4内で細胞シートSの培養が完了すると、当該細胞シートSを収容したインキュベータをアイソレータ2に接続し、上記培養容器4を当該アイソレータ2へと移送する。このとき、培養容器4の外容器12には蓋部13は装着されておらず、また外容器12には上記培地Mが収容されている。
この状態から、作業者は上記アイソレータ2のグローブ2aを装着してピペット等の吸引手段を操作し、上記内容器11の内部および外容器12の支持部12aから培地Mを吸引し、これによりそれまで細胞シートSを覆っていた培地Mが除去される。
【0016】
図3(b)はアイソレータ2内において上記培養容器4に蓋部13を装着する作業を示したものである。
上記アイソレータ2の内部は無菌状態が維持されているため、上記培養容器4の外容器12に蓋部13を装着すると、外容器12および蓋部13によって密閉された内部空間が無菌状態に維持されることとなる。
【0017】
図3(c)は上記蓋部13の装着された培養容器4を上記切断装置3に移動させる作業を示したものである。
上記培養容器4は、図3(c)には図示しない上記パスボックス21を介してアイソレータ2の外部に出され、上記切断装置3の保持テーブル22に上記蓋部13が装着されたままの状態で載置される。
このとき、培養容器4内の内部空間は上記蓋部13によって密閉されているため、培養容器4内の細胞シートSが外部空間の異物や微生物によって汚染されることが防止される。
【0018】
図4(d)は上記切断装置3によって培養容器4内の細胞シートSを切断する作業を示している。
上記切断装置3では上記レーザ光照射手段23がレーザ光Lを下方に向けて照射し、レーザ光Lは上記蓋部13を構成する透過部を透過してから培養容器4内の細胞シートSに照射され、併せて上記保持テーブル22が移動手段によって移動することにより、細胞シートSがレーザ光Lによって所要の形状に切断される。
この時、レーザ光Lは上側から細胞シートSに照射され、かつ細胞シートSはコラーゲンゲル層Cに固定された状態であることから、細胞シートSを高精度に切断することが可能となっている。
また、培養容器4内の培地Mは除去されているため、蓋部13を透過したレーザ光Lは培地Mに吸収されることなく細胞シートSに照射され、これを切断することができる。
細胞シートSを切断したレーザ光Lは上記コラーゲンゲル層Cも切断するが、その下方のメンブレン11bおよび外容器12の底部は透過し、その後上記保持テーブル22に吸収されるようになっている。
そして所要の内容器11に収容された細胞シートSを切断すると、移動手段は別の内容器11をレーザ光Lの照射位置へと移動させ、細胞シートSの切断を繰り返す。
【0019】
図4(e)は上記切断の終了した細胞シートSを再度アイソレータ2に移送するために、上記培養容器4をパスボックス21において除染する作業を示している。
上記切断装置3は外部空間に設けられているため、当該切断装置3において細胞シートSを切断するためには上記培養容器4を外部に取り出す必要があり、その結果培養容器4の外面には異物や微生物等が付着する恐れがある。
そこで、上記培養容器4から細胞シートSをアイソレータ2の内部で取り出すためには、培養容器4の外面を除染してアイソレータ2の内部空間が汚染されないようにする必要がある。
そこで、上記培養容器4をパスボックス21に収容してその外面を過酸化水素蒸気等によって除染する。ここで、培養容器4は蓋部13によって密閉されているため、上記過酸化水素蒸気等が培養容器4内に進入することはなく、細胞シートSが損なわれることはない。
【0020】
図4(f)はアイソレータ2内で切断された細胞シートSを回収する作業を示している。
上記パスボックス21において除染された培養容器4は、上記接続扉21bを介してアイソレータ2内に移動され、無菌状態に維持されたアイソレータ2の内部で上記蓋部13が取り除かれる。
続いて、作業者は内容器11にコラゲナーゼを投入して、上記メンブレン11bの上面に形成されて上記細胞シートSを保持していたコラーゲンゲル層Cを分解する。
これにより、それまでコラーゲンゲル層Cに密着していた細胞シートSが遊離し、上記メンブレン11bの上面に単に載置された状態となる。なお具体的な作業については特許文献1に記載されているので説明を省略する。
そして作業者は、ピペットなどの採取用具を用いて、所要の形状に切断された細胞シートSを採取する。このとき細胞シートSはメンブレン11bの上面に密着していない為、細胞シートSを痛めることなくこれを採取することができる。
【0021】
上記実施例によれば、細胞シートSを収容した培養容器4を蓋部13によって密閉し、レーザ光Lを上記蓋部13を構成する透過部を透過させてから細胞シートSに照射することで、無菌環境に設置することが困難な切断装置3において、無菌環境を維持したまま細胞シートSの切断を行うことができる。
また、上記内容器11のメンブレン11bの上面にコラーゲンからなる層を設けて、レーザ光Lによって細胞シートSをコラーゲンごと切断するため、細胞シートSを高精度に切断することができ、またその後上記コラーゲンをコラゲナーゼにより分解するため、細胞シートSを容器から遊離した状態で採取することができる。
【0022】
なお、上記実施例では内容器11および外容器12から培地Mを排出し、その後当該外容器12に蓋部13を装着してアイソレータ2の外部に移動させているが、上記細胞シートSを収容した内容器11を培地の収容された外容器12から取り出して、これを培地Mの収容されていない他の外容器12に移動させ、当該他の外容器12に蓋部13を装着するようにしてもよい。
また上記実施例ではレーザ光Lによって細胞シートSをコラーゲンごと切断しているが、図3(a)にかかる工程においてコラーゲン層Cを分解し、その後細胞シートSをレーザ光Lによって切断してもよい。
【0023】
そして本発明にかかる切断方法によれば、図5に示すようにシャーレ状の培養容器4で細胞シートSを培養し、当該培養容器4から培地Mを除去するとともに、上記蓋部13を装着すれば、上記実施例と同様の切断方法を用いて細胞シートSの切断を無菌状態下で行うことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 細胞シート切断システム 2 アイソレータ
3 切断装置 4 培養容器
11 内容器 11b メンブレン
12 外容器 13 蓋部
S 細胞シート L レーザ光
M 培地 C コラーゲンゲル層
図1
図2
図3
図4
図5