(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る遊技盤ユニットを備えた遊技機の代表例として、ぱちんこ遊技機PMを
図1〜
図5に示しており、まず、これらの図を参照してぱちんこ遊技機PMの全体構成について説明する。なお、以降の説明においては、便宜上、
図2の各矢印で示す方向をそれぞれ、前後方向、左右方向、上下方向と称して説明する。
【0011】
[遊技機の全体構成]
始めに、ぱちんこ遊技機PMの前面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機PMは、
図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの前面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3a,3bにより横開き開閉及び着脱可能に取
り付けられ、前面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
【0012】
前枠2には、この前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス枠5が上下のヒンジ機構3a,3bを利用して横開き開閉及び着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。前枠2の前面側には、遊技盤20が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス枠5の複層ガラス5aを通して遊技盤20の正面の遊技領域PAを視認可能に臨ませるようになっている。
【0013】
遊技盤20は、ベニヤ板を用いて矩形平板状に形成された基板(ベニヤ板以外に、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成することも可能)をベースとして構成されている。遊技盤20の前面には、
図3に示すように、左下部から右上部にかけて配設された円弧状の外レール21と、外レール21の内側において左下部から左上部にかけて配設された円弧状の内レール22と、外レール21の右上部から該盤面の下部までの間に配設されて左向きに開く湾曲形状に形成されたレール飾り23とを備えており、外レール21と内レール22とレール飾り23とで囲まれた内側に略円形の遊技領域PAが区画形成されている。また、外レール21と内レール22とにより、発射機構42(
図3を参照)により打ち出された遊技球を遊技領域PAへ案内するための案内通路24が形成される。この案内通路24における遊技球の出口開口の近傍位置、すなわち、内レール22の先端部に、案内通路24を通って出口開口から遊技領域PA内へ放出された遊技球が再び案内通路24へ逆戻りするのを防止する球戻り防止弁25が配設されている。
【0014】
遊技領域PAには、
図3では詳細な図示を省略しているが、多数本の遊技釘や風車等とともに、第1始動口、第2始動口、作動ゲート、大入賞口、一般入賞口等の各種入賞口の他、第1特別図柄表示装置、第2特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、演出表示装置等の各種表示装置などが配設されている。遊技領域PAの略中央にはセンター役物26が配設されており、このセンター役物26の下方の開口を通して演出表示装置27の画面が視認可能に設けられている。また、遊技領域PAには、センター役物26及び演出表示装置27を囲むように配されたセンターフレーム28が設けられており、遊技領域PAの下端には、各種入賞口に入球せずに流下した遊技球が通過可能なアウト口29が設けられている。さらに、遊技盤20の前面には、盤面(主に遊技領域PA)を装飾するための盤面装飾シート400が、センターフレーム28の外側の領域(遊技領域PAを含む)に貼着されている。この盤面装飾シート400の詳細構成については後述するが、盤面装飾シート400には、人物キャラクタ等の絵柄が印刷されるキャラクタ印刷領域401や、英文字等が印刷される文字印刷領域402、基板に穿設された孔部(図示略)の後側に配置されたLEDランプの光を透過する発光領域403等が設けられている。
【0015】
ガラス枠5の下部には、遊技球を貯留する上下の球皿(上球皿6及び下球皿7)が設けられる。ガラス枠5の上部には、遊技の展開状況に応じて発光する演出ランプ11や、遊技の展開状況に応じて効果音を発生させるスピーカ8が設けられている。ここで、下球皿7は、ガラス枠5の左右の中心に対して左側に寄って配置されている。これにより、下球皿7の正面右側には空きスペースが形成され、その部分に所定の演出操作を行うためのボタンやスイッチ、ダイヤル等の演出操作手段12などが取り付けられる。
【0016】
前枠2の右下部には、遊技球の発射操作を行う発射ハンドル9が設けられている。前枠2の下部には、
図3に示すように、ガラス枠5の背後において遊技盤20と上下に整合し得る位置に遊技補助盤(40)と称される補助機構部が形成されており、この遊技補助盤40の各部に、上球皿6に貯留された遊技球を1球ずつ送り出す整流器41、整流器41から送り出された遊技球を遊技領域PAに向けて打ち出す発射機構42、発射機構42の
作動を制御する発射制御基板43などが設けられている。
【0017】
続いて、ぱちんこ遊技機PMの後面側の基本構造を説明する。前枠2の後面側には、
図2に示すように、中央に前後連通する窓口を有して前枠2よりも幾分小型の矩形枠状に形成された裏セット盤50が取り付けられている。裏セット盤50の各部には、遊技施設側から供給される多数個の遊技球を貯留する貯留タンク51、貯留タンク51からの遊技球を流下させる樋部材52、樋部材52により導かれた遊技球を払い出す賞球払出ユニット53、賞球払出ユニット53から払い出された遊技球を上球皿6又は下球皿7へ流下させる裏側通路部材54などが設けられている。また、
図2では図示を省略しているが、裏セット盤50の後面側には、前面開放の矩形箱状をなす裏セットカバー55(
図4,5を参照)が着脱自在に装着されており、常には前枠2に取り付けられた遊技盤20の後面側を覆って配設されている。
【0018】
遊技盤20の後側には、ぱちんこ遊技機PMの作動を統括的に制御する主制御装置100や、遊技展開に応じた画像表示、効果照明、効果音等の演出全般の制御を行う副制御装置60等が取り付けられている。また、遊技盤20の後面側には、遊技盤裏ベース部材70(
図5を参照)が装着されており、主制御装置100や副制御装置60等は、主にこの遊技盤裏ベース部材70を介して遊技盤20の後側に取り付けられている。遊技盤20は、これらの主制御装置100、副制御装置60、遊技盤裏ベース部材70及び後述する自立支援機構300L,300R(
図10を参照)と共に、遊技盤ユニット200を構成する。この遊技盤ユニット200は、
図5に示すように、前枠2の内側左側縁部に配設された上下の支持部15a,15b(詳しくは、右方に開口したコの字状の支持基部と、支持基部後方側に配設され、支持基部内に挿入された遊技盤ユニット200を弾性力により前方に付勢して押さえつける板バネ部材とにより構成される)に対し、横開き開閉及び着脱可能に取り付けられる。なお、前枠2は、遊技盤ユニット200保持可能な保持枠として機能し、前枠2の内側及び前枠2と裏セット盤50(裏セットカバー55)との間には、遊技盤ユニット200を収納可能なスペース(以下「収納部ST」と称する)が形成されている(
図5を参照)。これに対して、裏セット盤50の後側には、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御装置80や、遊技施設側から受電して各種制御装置や電気・電子部品に電力を供給する電源基板ユニット(図示略)等が取り付けられている。これらの制御装置とぱちんこ遊技機PM各部の電気・電子部品とがハーネス(コネクタケーブル)で接続されて、ぱちんこ遊技機PMが作動可能に構成されている。
【0019】
ぱちんこ遊技機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠2、ガラス枠5等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、上球皿6に遊技球を貯留させて発射ハンドル9を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル9が回動操作されると、上球皿6に貯留された遊技球が、整流器41によって1球ずつ発射機構42に送り出され、発射機構42により遊技領域PAに向けて打ち出される。
【0020】
[遊技盤ユニットの構成]
次に、
図6〜
図13を追加参照して、遊技盤ユニット200の構成について詳細に説明する。先に略述しているように遊技盤ユニット200は、遊技盤20と、遊技盤20の後面側に取り付けられた主制御装置100、副制御装置60及び遊技盤裏ベース部材70と、遊技盤ユニット200の後側下部に配設された左右一対の自立支援機構300L,300Rと、を主体として構成される(
図6を参照)。以下の説明では、遊技盤ユニット200における、自立支援機構300L,300Rを除いた部分全体のことをユニット本体210と称し、ユニット本体210に自立支援機構300L,300Rを加えたものを遊技盤ユニット200と称することとする。
【0021】
自立支援機構300L,300Rは、主制御装置100が着脱可能に取り付けられる主
基板ブラケット部材110を介して、ユニット本体210の後面下部に配設されている。主基板ブラケット部材110は、主制御装置100のケース101の外周形状に合わせた板状に形成される(
図11を参照)。主基板ブラケット部材110の左端部の上下2箇所には、穴部を有する取付ヒンジ部111が形成されており、この取付ヒンジ部111は、遊技盤裏ベース部材70の対応する2箇所に設けられた支持軸部71(
図8を参照)に回転自在に連結される。これにより、主基板ブラケット部材110は、遊技盤裏ベース部材70の後側下部に左右方向に揺動自在に取り付けられる。
図11に示すように、主基板ブラケット部材110の右端部には、ニフラッチ、ナイラッチ等と称されるボタン型の結合部材(図示略)を挿通させることが可能な取付穴部112が形成されており、結合部材を取付穴部112に挿通させて遊技盤裏ベース部材70の後側下部に設けられた被結合部(図示略)に結合させることで、主基板ブラケット部材110が取り付け固定される。
【0022】
図11に示すように、自立支援機構300L,300Rはそれぞれ、自立用スタンド310、回動軸部320、ねじりバネ330及びスタンド支持ブラケット340を備えて構成される。自立用スタンド310は、樹脂材料で形成されており、
図12に示すように、一部が中空に形成された矩形板状の基部プレート311と、基部プレート311の基端部(図中上端部)に形成された円筒状の軸挿入部316とを備えて構成されている。基部プレート311の前面部312は平面状に形成されており、その右上部には、前面部312の一部を矩形状に切り欠いて形成されたバネ掛け部313が設けられている。基部プレート311の後面部314は、前面部312に対し平行に形成された平行面部314aと、平行面部314aに対し屈曲して傾斜した(
図12(A)において上方に行くに従い後方(図中左方)に張り出すように傾斜した)傾斜面部314bとを備えている。基部プレート311の先端面部315は、前面部312に対し垂直ではなく若干傾斜する(
図12(A)において後方(前面部312の側から後面部314の側)に向かって下り勾配となるように傾斜する)ように形成されている。
【0023】
スタンド支持ブラケット340は、樹脂材料で形成されており、
図11に示すように、矩形板状の基部341と、基部341の左右両端部において基部341に対し垂直に設けられた三角形状の一対の側板部342とを備えて構成され、各側板部342には、軸受用孔部343が形成されている。スタンド支持ブラケット340は、主基板ブラケット部材110の前面下部に取り付けられる(
図10を参照)。スタンド支持ブラケット340が取り付けられる箇所における主基板ブラケット部材110の前側下面部には、自立用スタンド310の下方への突出を可能とするための切欠き部113が形成されている(
図11を参照)。
【0024】
回動軸部320は、
図11に示すように、金属製の円柱状部材により構成されており、その両端部には、スタンド支持ブラケット340の軸受用孔部343と係合する溝部321が形成されている。回動軸部320は、自立用スタンド310の軸挿入部316内に挿入され、さらに両端部がスタンド支持ブラケット340の軸受用孔部343と係合されることにより、スタンド支持ブラケット340に保持される。また、これにより自立用スタンド310が、回動軸部320を介してスタンド支持ブラケット340に、上下方向に起伏揺動可能に支持されることとなる。
【0025】
ねじりバネ330は、鋼製のワイヤにより構成されており、ワイヤが複数回巻回されて構成された巻回部331(
図11では巻回されたワイヤの一部の図示を省略)と、巻回部331から延び出た第1アーム部332及び第2アーム部333とを備えている。第1アーム部332は直線状に形成され、第2アーム部33は先端部がL字状に折り曲げて形成されている。このねじりバネ330は、スタンド支持ブラケット340に揺動可能に支持される自立用スタンド310の軸挿入部316が巻回部331内に挿通され、第1アーム部332の先端部がスタンド支持ブラケット340の基部341に当接し、第2アーム部
333のL字状の先端部が自立用スタンド310のバネ掛け部313に掛けられた状態で、スタンド支持ブラケット340と自立用スタンド310との間に装着される(
図10を参照)。装着されたねじりバネ330は、自立用スタンド310を、後述する自立支援位置に変位させるように常時付勢する付勢部材として機能する。
【0026】
このように構成された自立支援機構300L,300Rは、主基板ブラケット部材110の前面下部に取り付けられ(
図10を参照)、さらに主基板ブラケット部材110を介して、ユニット本体210の後面下部に配設される(
図8を参照)。ユニット本体210の後面下部に配設された自立支援機構300L,300Rでは、自立用スタンド310が、自立支援位置とスタンド収納位置との間を揺動して変位することが可能となるとともに、ねじりバネ330の付勢力によって自立支援位置に変位するように常時付勢される。自立支援位置とは、自立用スタンド310がユニット本体210を自立した状態で支えることが可能となる位置であり、スタンド収納位置とは、自立用スタンド310がユニット本体210と共に収納部ST内に収納可能となる位置である。
【0027】
本実施形態では
図7に示すように、遊技盤裏ベース部材70の後側下部に、自立用スタンド310(基部プレート311)を収納することが可能な収納凹部72が設けられており、この収納凹部72内に自立用スタンド310が倒伏した状態で収納される位置、詳しくは、基部プレート311の前面部312が収納凹部72の上面部72aと近接して対峙する(または当接する)位置を、スタンド収納位置として設定している。一方、自立用スタンド310(基部プレート311)が起立して収納凹部72の下方に突出する位置、詳しくは、基部プレート311の後面部314の傾斜面部314bがスタンド支持ブラケット340の基部341の前面に面同士で当接する位置を、自立支援位置として設定している。
【0028】
自立用スタンド310は、ねじりバネ330の付勢力によって自立支援位置に変位するように常時付勢されているので、遊技盤ユニット200が収納部STから出されると、自動的に自立支援位置に変位する。このため、遊技盤ユニット200を交換する際などに、作業者が自立用スタンド310を自立支援位置に変位させる手間を省くことができる。自立用スタンド310が自立支援位置に変位すると、前枠2から取り外された遊技盤ユニット200(ユニット本体210)を自立させることができる。自立させるときは
図13に示すように、遊技盤ユニット200を床等の水平な載置面FL上に立てた状態で載置する。具体的には、自立支援位置に変位した左右一対の自立用スタンド310(
図11では左側の自立支援機構300Lの自立用スタンド310のみを図示)の先端面部315を載置面FLに当接させるとともに、遊技盤20の下辺縁部20aを載置面FLに当接させて自立させる。
【0029】
本実施形態では、遊技盤ユニット200を自立させたとき、遊技盤ユニット200が全体的に若干後側に傾くように構成(自立用スタンド310の長さ等が設定)されている。これは、遊技盤ユニット200の重心が、後側に少し寄った高い位置にあることを考慮したものであり、自立させたときに遊技盤ユニット200が若干後側に傾くことによって、遊技盤ユニット200が前方に倒れ難くなり、安定して自立させることが可能となる。また、自立用スタンド310(基部プレート311)の先端面部315が、前面部312に対し垂直ではなく若干傾斜するように形成されていることは先に述べたが、その傾斜角度は、遊技盤ユニット200を自立させたときに先端面部315が、載置面FLに対し面同士で当接し得るような角度に設定されている。これにより、自立用スタンド310の先端面部315と載置面FLとの接触面積が大きくなって両面間の摩擦力を大きくすることが可能となるので、遊技盤ユニット200をより安定して自立させることができる。
【0030】
さらに、先に略述したように、自立用スタンド310が自立支援位置に変位した状態で
は、自立用スタンド310(基部プレート311)の後面部314の傾斜面部314bがスタンド支持ブラケット340の基部341の前面に面同士で当接するようになっている(
図7を参照)。スタンド支持ブラケット340の基部341は、ねじりバネ330の付勢力に抗して自立用スタンド310を自立支援位置に停止保持するストッパとしての機能を有しているので、上述のように面同士で当接する構成としたことにより、自立用スタンド310を自立支援位置に安定して停止保持することが可能となっている。
【0031】
また、先に略述しているように、自立用スタンド310(基部プレート311)の後面部314の平行面部314aは傾斜面部314bに対して屈曲して形成されている。具体的には
図7に示すように、自立用スタンド310が自立支援位置に変位した状態において、平行面部314aは、スタンド支持ブラケット340の基部341に当接している傾斜面部314bに対し、後方に屈曲するように形成されている。これにより、自立用スタンド310(基部プレート311)の先端面部315を、スタンド支持ブラケット340の基部341と自立用スタンド310の傾斜面部314bとの当接位置よりも後方に位置させることができる。このため、遊技盤ユニット200を自立させるときに、載置面FLに当接する前後方向の2つの位置(自立用スタンド310の先端面部315の位置と、遊技盤20の下辺縁部20aの位置)の間の距離を長くすることが可能となるので、遊技盤ユニット200をより一層安定して自立させることができる。なお、本実施形態では、自立用スタンド310(基部プレート311)の後面部314側のみを屈曲させているが、前面部312側も同様に屈曲形成してもよい。以上のように、自立支援機構300L,300Rを備えた遊技盤ユニット200は、収納部STから出されると、自立用スタンド310が自動的に自立支援位置に変位するので、交換作業等を行う際に、極めて容易に自立させることが可能である。
【0032】
[遊技盤ユニット収納時の自立支援機構の動作]
次に、
図14〜
図19を追加参照して、遊技盤ユニット200を収納部ST内に収納する際の自立支援機構300L,300Rの動作について説明する。上述したように、自立支援機構300L,300Rの自立用スタンド310は、遊技盤ユニット200が収納部STから出されると、ねじりバネ330の付勢力によって自動的に自立支援位置に変位する。一方、自立支援位置に変位した状態の自立用スタンド310は、遊技盤ユニット200が収納部ST内に収納されると、その過程において、収納部ST内の所定の部材(以下「収納部内被当接部材」と称する)と当接し、その当接により、ねじりバネ330の付勢力に抗して、スタンド収納位置に変位するように構成されている。以下、その詳細について説明する。
【0033】
図14に示すように、前枠2の下部には、整流器41等が取り付けられる前枠ベース部材91と、入賞口を通過した遊技球を集めるように中央部が凹んだ形状に形成された流路カバー部材92と、流路カバー部材92と共に遊技球の排出流路を形成する流路ベース部材93とが配設されており、これらの部材が収納部内被当接部材として機能する。すなわち、自立支援位置に変位した状態の自立用スタンド310は、遊技盤ユニット200が収納部ST内に収納される(前枠2に横開き開閉可能に取り付けられた遊技盤ユニット200が揺動しながら、その後側の部分から収納部ST内に収納される)過程において、前枠ベース部材91や流路カバー部材92と当接し、これにより、収納凹部72内に倒伏するように変位しつつ(
図17を参照)、さらに流路ベース部材93と当接することによって、最終的にスタンド収納位置まで変位する(
図19を参照)。なお、
図17は、自立支援機構300Lの自立用スタンド310を示し、
図19は、自立支援機構300Rの自立用スタンド310を示している。どちらの自立用スタンド310も収納時の動作の概要は同じであるが、収納時に当接する箇所や収納されるタイミングなどは異なっている。
【0034】
すなわち、自立支援機構300Lの自立用スタンド310と自立支援機構300Rの自
立用スタンド310とでは、それぞれの配設位置が異なるので、遊技盤ユニット200が収納部ST内に収納される際に収納部内被当接部材(前枠ベース部材91、流路カバー部材92及び流路ベース部材93)と当接する箇所がそれぞれ異なっている。
図14におけるG部は、自立支援機構300Lの自立用スタンド310と収納部内被当接部材との当接箇所を概略的に示しており、同図におけるH部は、自立支援機構300Rの自立用スタンド310と収納部内被当接部材との当接箇所を概略的に示している。また、遊技盤ユニット200は、その左側縁部が前枠2に支持されているため、遊技盤ユニット200が収納部ST内に収納される際には、自立支援機構300Lの自立用スタンド310の方が先に収納部内被当接部材と当接してスタンド収納位置へと変位し、それよりも少し遅れて自立支援機構300Rの自立用スタンド310が収納部内被当接部材と当接してスタンド収納位置へと変位する(
図15を参照)。なお、遊技盤ユニット200を収納部ST内から取り出す際の自立支援機構300L,300Rの動作は、上述の収納時の動作を時間的に反転させたものに相当する。
【0035】
このように自立支援機構300L,300Rの自立用スタンド310は、遊技盤ユニット200が収納部ST内に収納される際に、収納部内被当接部材(前枠ベース部材91、流路カバー部材92及び流路ベース部材93)と当接することにより、ねじりバネ330の付勢力に抗して、スタンド収納位置に自動的に変位する。このため、作業者が自立用スタンド310をスタンド収納位置に変位させるという手間を省くことができ、作業効率を高めることが可能となる。なお、作業者が所定の作業を行わなければ自立用スタンド310をスタンド収納位置に変位させることができないように構成することも可能である。ただし、その場合には、作業者がそのような所定の作業を行うことを忘れてしまい、遊技盤ユニット200を収納部ST内に収納する際に、突出した状態の自立用スタンド310が収納部内被当接部材と強く衝突し、収納部内被当接部材や自立用スタンド310が破損する虞がある。本実施形態によれば、そのような事態が生じることを防止することが可能である。
【0036】
本実施形態では、2個の自立用スタンド310を設けているが、3個以上の自立用スタンドを設けることや、自立用スタンドを左右方向に延びる1枚の板状部材で構成することによって、自立用スタンドを1個とすることも可能である。また、本実施形態では、遊技盤ユニット200に対して自立用スタンド310が起伏揺動する構成としているが、遊技盤ユニットに対して自立用スタンドがスライド移動する構成とすることも可能である。さらに、本実施形態では、自立用スタンド310の付勢部材としてねじりバネ330を用いているが、コイルバネや板バネ等を付勢部材として用いてもよい。また、自立用スタンド310の先端面部315に、ゴム等の滑り難い部材を取り付けるなどの滑り止め加工を施してもよい。
【0037】
[盤面装飾シートの構成]
先に略述したように、遊技盤20の前面には、盤面を装飾するための盤面装飾シート400が貼着されている(
図3を参照)。以下、
図20を追加参照して、盤面装飾シート400の詳細構成について説明する。
【0038】
盤面装飾シート400は、
図20に示すように、基板の前面(図中上面)に、接着剤(例えば、酢酸ビニル系の接着剤)405を介して貼り付けられる。盤面装飾シート400は、前方側(遊技者側)から順に、透明なフィルム層410、装飾インク層420、第1糊層430、立体的装飾反射層440、第2糊層450、及び紙層460を備えて構成される。なお、
図20の各層内に示すミリメートルを単位とする数値は、各層の厚みの一例を示している。
【0039】
フィルム層410は、CAB(セルロースアセテートブチレート)樹脂により形成され
、装飾インク層420により形成される絵柄を遊技者に視認可能とする透明性を有するとともに、立体的装飾反射層440のレンズ状の凹凸部(詳しくは後述する)や変形の影響を抑えて盤面装飾シート400の前面を平滑に保ち、遊技領域PAを流下する遊技球の動作に悪影響が及ぶことを防止する機能を備えている。
【0040】
装飾インク層420は、人物キャラクタや文字等の絵柄を形成するために、フィルム層410の後面(図中下面)に対し施される印刷によって形成される層である。本実施形態では、シルク印刷とオフセット印刷(インクジェット印刷としてもよい)の2つの印刷手法を用いて、絵柄が形成される。シルク印刷はインクの粒子間の距離が短いため光を通し難く、絵柄をはっきりと視認することが可能となる。オフセット印刷(インクジェット印刷)は、シルク印刷に比べてインクの粒子間の距離が長いため光を通し易く、後述する立体的装飾反射層440の装飾効果が表れ易い。本実施形態では、
図3に示すキャラクタ印刷領域401に印刷される人物キャラクタ(図示略)の顔や輪郭線の部分はシルク印刷を用いて立体的装飾反射層400の効果を減らす(無くす)とともに、人物キャラクタの髪の部分や文字印刷領域402に印刷される文字(図示略)の部分はオフセット印刷(インクジェット印刷)を用いて描画しており、立体的装飾反射層400の反射光による装飾効果を印刷された絵柄に付加して表現することを可能としている。
【0041】
第1糊層430は、装飾インク層420を介して、フィルム層410と立体的装飾反射層440とを貼り付けるための層であり、本実施形態では硬化した状態で透光性を有する接着剤を用いて形成される。
【0042】
立体的装飾反射層440は、ホログラムのような立体的で光沢感のある装飾性を得ることができる層であり、
図20に示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂で形成され、升目状(格子状)に区画された各区画領域内に球面レンズ状またはフレネルレンズ状の凹凸部を有するレンズ状透明層441と、アルミ箔で形成された反射層442と、紙で形成されたベース層443と、を備えて構成される。この立体的装飾反射層440を、レンズ状透明層441の側から見ると、複数の升目状の各区画領域内に金属的な光沢感を有するレンズ状の模様が見える(
図21を参照)。本実施形態では、このような立体的装飾反射層440を、盤面装飾シート400に用いているので、盤面の装飾性を格段に高めることが可能となる。また、この立体的装飾反射層440を装飾インク層420の後面側に配していることにより、装飾インク層420により形成された絵柄の装飾性向上にも寄与する。特に、オフセット印刷(インクジェット印刷)を用いて描画した領域では、立体的装飾反射層440が透けて見える(立体的装飾反射層440からの反射光が透過する)ため装飾性の向上効果が高い。これに対し、シルク印刷を用いて描画した領域では、立体的装飾反射層440からの反射光が透過し難いので、立体的装飾反射層440による装飾性の向上効果は限定的となる。
【0043】
この立体的装飾反射層440は、
図3に示す発光領域403に対応する部分ではトムソン加工(打ち抜き加工)が施される。トムソン加工を施した部分は、遊技機内部の熱(発光部材の熱や可動役物の熱)により、樹脂で構成されている層が膨らみ等の変形を起こし易いが、フィルム層410の厚みをある程度確保する(例えば、
図20に例示した、0.4ミリメートルとする)ことにより、このようなトムソン加工部の変形を防止することが可能となる。ただし、フィルム層410の厚みが増すほど、フィルム層410のコストが増大する。また、フィルム層410の厚みが増すと重量も増加し、その影響で立体的装飾反射層440のベース層443が剥離する可能性も出てくる。一方、フィルム層410を薄く(例えば、0.22ミリメートル)して重量を抑えることにより、このようなベース層443の剥離現象を抑制することが可能となり、フィルム層410のコストも削減することができる。ただし、トムソン加工部の変形防止効果や、レンズ状透明層441の凹凸部の影響を抑えて盤面装飾シート400の前面を平滑に保つ効果は低下する。このような
事情に鑑み、フィルム層410の厚みを適正に決定することが好ましい。
【0044】
第2糊層450は、
図20に示すように、立体的装飾反射層440と紙層460とを貼り合わせるための層であり、本実施形態では、PET樹脂で形成される支持体452の両面に粘着剤451,453を形成して構成された両面テープにより形成される。
【0045】
紙層460は、半透明のトレーシングペーパーにより形成される。トレーシングペーパーを用いることにより、盤面装飾シート400と基板(ベニヤ板)との接着性を向上させることができる。盤面装飾シート400の近傍には、可動役物(図示略)や、
図3に示す発光領域403におけるLEDランプ等の発熱源が配置されており、これらの発熱源からの熱によってフィルム層410が変形し易い環境にあるが、トレーシングペーパーを介在させることにより、発光領域403の光源であるLED等の光を、点状に見えない(点光りしない)ように拡散させる効果が得られるとともに、フィルム層410の変形を防止し、ひいては盤面装飾シート400と基板との接着性を向上させることが可能となっている。
【0046】
[立体的装飾反射層の変形例]
次に、
図22を追加参照して、立体的装飾反射層の変形例について説明する。
図22に示す立体的装飾反射層470は、レンズ状透明層471と、ミラーインク層472と、白色インク層473とを備えて構成され、上述の立体的装飾反射層440に代えて盤面装飾シート400に用いることが可能である。レンズ状透明層471は、上述のレンズ状透明層441と同様の構成、機能を有するものである。ミラーインク層472は、金属箔を用いることなく、インクにより同様の金属的な反射効果を得る層である。白色インク層473は、周辺の光を拡散反射し易い層であり、これにより、ミラーインク層472の塗装ムラ(抜け)を目立たなくする効果が得られる。この立体的装飾反射層470を、上述の立体的装飾反射層440に代えて盤面装飾シート400に用いることによっても、同様の優れた装飾効果を得ることが可能となる。
【0047】
[その他の変形例]
上記実施形態では、立体的装飾反射層440(レンズ状透明層441)における、レンズ状の凹凸部を有する各区画領域が升目状(格子状)に形成されているが、各区画領域の形状はこれに限定されるものではなく、縦縞状や横縞状に形成したり、ハニカム状やダイヤカット状に形成したりすることも可能である。また、互いに異なる装飾効果(光反射効果)を有する複数種類の立体的装飾反射層を設けるようにしてもよい。例えば、文字印刷領域402等のオフセット印刷領域を複数設け、各々の印刷領域に対して、異なる光反射効果を有する立体的装飾反射層をその後面側に配置することにより、各印刷領域の絵柄に対し、それぞれ異なる光反射効果を付加することも可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、ベニヤ板で形成される基板に盤面装飾シートを貼着する例を示しているが、アクリル樹脂等の合成樹脂材料により形成された透明基板に、盤面装飾シートを貼着することも可能である。その場合、樹脂製の透明基板の前面に盤面装飾シートを貼着してもよいし、後面に盤面装飾シートを貼着してもよい。後面に盤面装飾シートを貼着する態様に代えて、透明基板の後面に、絵柄の印刷を直接施して装飾インク層を形成し、その後面側に、立体的装飾反射層を備えた装飾シート部材を貼着するようにしてもよい。この場合、立体的装飾反射層の凹凸部や変形の影響が、透明基板前面の遊技領域に及ぶことはない。また、装飾インク層や紙層などは、必要に応じて適宜省くことが可能であり、各層の構成についても適宜変更することが可能である。例えば、立体的装飾反射層として、レンチキュラーレンズを用いてホログラム的な視覚的効果を得ることが可能に構成された印刷シートを用いることもできる。