(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799286
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】鉄道用分岐器におけるトングレールと転てつ棒との連結装置
(51)【国際特許分類】
E01B 7/02 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
E01B7/02
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-56124(P2016-56124)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-172118(P2017-172118A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】516083704
【氏名又は名称】小倉 雅彦
(73)【特許権者】
【識別番号】516083715
【氏名又は名称】小尾 実
(73)【特許権者】
【識別番号】506183085
【氏名又は名称】佐藤 泰生
(74)【代理人】
【識別番号】100078709
【弁理士】
【氏名又は名称】浅賀 一樹
(72)【発明者】
【氏名】小倉 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】小尾 実
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰生
【審査官】
湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−231793(JP,A)
【文献】
特開2001−180491(JP,A)
【文献】
特開2011−256628(JP,A)
【文献】
実開昭61−093501(JP,U)
【文献】
米国特許第06286791(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 7/02
E01B 7/00
E01B 25/06
E01B 25/12
E01B 25/26
E01B 25/28
E01B 25/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸部材と、前記凸部材に対応する外嵌部を有する凹部材とを抜脱不能に凹凸嵌合してトングレールと転てつ棒とを連結する鉄道分岐器におけるトングレールと転てつ棒との連結装置において、前記凹部材が、角片から成るとともにその内部に前記外嵌部として半球状孔を有し、しかも前記半球状孔に連通する開口部が形成され、前記開口部は前記角片の側面に球帯状の凸部材を挿入かつ抜止する第1の開口部と、前記角片における前記凸部材の対向面に前記凸部材を係止する第2の開口部とから成り、さらに前記凸部材が連結板を介して前記トングレールに固定され、また前記凹部材が前記転てつ棒の端部に突設されて成ることを特徴とする鉄道分岐器におけるトングレールと転てつ棒との連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道用分岐器において、トングレールに転てつ棒を連結する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から図
9で示すように接続板a1、a2の各一端を各トングレールR1、R2にボルト・ナット締めし、また、各接続板a1、a2の各他端を転てつ棒cに固着した側面視U字状金具e1、e2に嵌入するとともに各ボルトb1、ナットb2締めして各トングレールR1、R2と転てつ棒c、cとを連結し、矢印で示すように転てつ棒cの左右動により各トングレールR1、R2を転換して基本レールr1、r2に接離している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】なし。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トングレールの転換時に転てつ棒からトングレールに作用する転換力(転てつ棒の左右動、基本レールへのトングレールの押付け)と車両通過時のトングレールの振動とがU字状金具と接続板とを接続する前記各ボルトb1、各ナットb2に作用するため前記各ナットb2が弛緩して脱落し、トングレールと転てつ棒が分離し、脱線事故が発生する可能性があるものと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明
の手段は、
凸部材と、前
記凸部材に対応する外嵌部を有する凹部材とを抜脱不能に凹凸嵌合してトングレールと転てつ棒とを連結す
る鉄道分岐器におけるトングレールと転てつ棒との連結装
置において、前記凹部材が、角片から成るとともにその内部に前記外嵌部として半球状孔を有し、しかも前記半球状孔に連通する開口部が形成され、前記開口部は前記角片の側面に球帯状の凸部材を挿入かつ抜止する第1の開口部と、前記角片における前記凸部材の対向面に前記凸部材を係止する第2の開口部とから成り、さらに前記凸部材が連結板を介して前記トングレールに固定され、また前記凹部材が前記転てつ棒の端部に突設されて成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれ
ば、転てつ棒からトングレールに作用する転換力および車両通過時のトングレールの振動によりトングレールと転てつ棒とが外れるおそれがな
いのは勿論、特に抜脱不能に凹凸嵌合することが極めて容易かつ確実にでき
、しかも組立作業が極めて容易でかつ迅速にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】一部の部材および中間を省略した本発明の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
従来および本発明例において、転てつ棒2はその長手方向において1本棒ではなく、
図4で示すように1対の転てつ棒部2a、2bをその中央でトングレール相互を絶縁するための信号部品を介してボルト・ナット等、多数の部品で連結して1本にしてあるが、本発明では前記構成は全く関係がないので、その説明と図示を省略している。
【0010】
また本明細書、特許請求の範囲で「球帯状」という表現をしているが、
図1・2・4・5で見られるような介在片32から延出する凸部材3の外向縁まで球帯である場合、
図7・
8で見られるような凸部材3の外向縁を垂直に切断し、大部分を球帯、厳密には一部球帯をも含む意味である。対応部分は半球状孔4aとなる。
【0011】
本発明は、
図1・4で示すように外向面33がトングレール1の内向面に当接する形状の略直方体の連結板31の左右にボルト挿通孔35、35を穿設し、連結板31の中央から内向きの介在片32を突設し、この介在板32に球帯状に形成した凸部材3を内向きに突設し、連結板31をボルト挿通孔35、35を介してトングレール1にボルト・ナット締めする。
【0012】
一方、転てつ棒2の両端に角片42から成るとともに開口部41を有する凹部材4、4を溶着する。なお転てつ棒2の両端にボルト締めした符号21の細長片はトングレール1の跳ね上がり防止部であるが、本発明とは無関係につき、その説明を省略する。
【0013】
図5で示すように各凹部材4は、その角片42に開口部41を形成し、その側面を下面状態にしたときに直立状態の凸部材3全体を外挿するとともに側面状態では前記凸部材を抜止する第1の開口部41aと、角片42の凹凸対向面に直立状態の凸部材3が係止されて抜脱不能な第2の開口部41bを連設し、また
図6で示すように角片42の内部に半球状孔4aを穿設し、この結果、この半球状孔4aにおける凸部材3の表面部分との当接部が外嵌部40となる。
【0014】
次に本発明の組立て法を説明すれば、連結板31をトングレールにボルト・ナット締めして固着しておき、
図5(1)で示すように、転てつ棒2を直角に起立し、内端が弧41c(
図5(3)で図示)状の第1の開口部41aを下向きにし、各凹部材4を矢印(イ)方向に降ろし、
図5(2)で示すように直立状態の凸部材3全体に外挿し、続いて
図5(2)の矢印(ロ)方向、すなわち直角方向に回動して
図5(3)で示すように凸部材3を半球状孔4aで外嵌し、第2の開口部41bで係止して凸部材3を抜脱不能とする。また凸部材3は
図3で示すように第1の開口部41aで抜止め状態になる。前記回動は凹部材4の内部が
図6で示すように半球状孔4aなのでスムーズに行われる。
【0015】
図7.8に示すものは前記本発明の変形例であり、前記のように凸部材3の外向縁つまり先端を垂直に切削したものであり、他の構造は先述例と同様であり、同一符号をもってその詳細な説明を省略する。
【0016】
先述例の方が嵌合性が大であり、変形例の方が材料費が安価で足りる。
【符号の説明】
【0017】
1 トングレール
2 転てつ棒
3 凸部材
4 凹部材
4a 半球状孔
5 取付部
31 連結板
40 外嵌部
41 開口部
41a 第1の開口部
41b 第2の開口部
42 角片