特許第6799304号(P6799304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799304ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法及びそれから製造されたゼオライト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799304
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法及びそれから製造されたゼオライト
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20201207BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20201207BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20201207BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20201207BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   C01B39/48
   B01J29/70 A
   B01J29/76 A
   B01J37/10
   B01D53/94 222
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-552435(P2019-552435)
(86)(22)【出願日】2017年11月27日
(65)【公表番号】特表2020-513399(P2020-513399A)
(43)【公表日】2020年5月14日
(86)【国際出願番号】KR2017013620
(87)【国際公開番号】WO2018110860
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2019年6月12日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0168865
(32)【優先日】2016年12月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516315258
【氏名又は名称】全南大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRY FOUNDATION OF CHONNAM NATIONAL UNIVERSITY
(73)【特許権者】
【識別番号】314000442
【氏名又は名称】高麗大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ジョ ソンジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ グァンヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク スンヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ スングァン
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−511462(JP,A)
【文献】 米国特許第07597874(US,B1)
【文献】 特開2011−246339(JP,A)
【文献】 特開2010−163349(JP,A)
【文献】 特表2010−514663(JP,A)
【文献】 Masaya ITAKURA et al.,Synthesis of high-silica CHA zeolite from FAU zeolite in the presence of benzyltrimethylammonium hydroxide,Chemistry Letters,Published on the web 26 July 2008,Vol.37, No.9, pp.908-909
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B33/20−39/54
B01J21/00−38/74
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトの製造方法において、
ベンジル基を含む第1構造誘導物質、ゼオライトの原料結晶、塩基性物質、及び蒸留水を含む水和ゲルを準備するステップ;並びに
前記水和ゲルを水熱合成するステップ
を含み、
前記ゼオライトの原料結晶は、アルミニウム酸化物及びシリカを含み、
前記ベンジル基を含む第1構造誘導物質は、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、ベンジルトリプロピルアンモニウムイオン及びベンジルトリブチルアンモニウムイオンを陽イオンとする水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記水和ゲルは、第2構造誘導物質をさらに含み、
前記第2構造誘導物質は、下記化学式で表されるイオンを陽イオンとする水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
【化1】
前記化学式で、Rは、C〜Cのアルキル基からなる群より選択された1つであり、Rは、C〜Cのアルキル基からなる群より選択された1つであり、Rは、C〜C20のアルキル基からなる群より選択された1つである
ことを特徴とする、ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法。
【請求項2】
製造されたゼオライトの平均粒子直径が、0.2μm〜1.0μmであることを特徴とする、請求項に記載のベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法。
【請求項3】
前記ゼオライトの原料結晶は、SiO/Alのモル比が5〜600であることを特徴とする、請求項1に記載のベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法。
【請求項4】
製造されたゼオライトが、SSZ−13(Standard Oil Synthetic Zeolite−13)形態であることを特徴とする、請求項に記載のベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法。
【請求項5】
前記ゼオライトの原料結晶は、SiO/Alのモル比が490〜510であり、該原料結晶から製造されたゼオライトが、BEA(Zeolite Beta)形態であることを特徴とする、請求項に記載のベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法。
【請求項6】
前記水和ゲルは、硫酸イオンを含む化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法及びそれから製造されたゼオライトに関する。より詳しくは、本発明は、ベンジル基を含む構造誘導物質を用いることで、原資材費用の減少、工程費用の減少等の効果が得られる、ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、分子出入が可能な細孔が規則的に分布された3次元的なアルミノシリケート鉱物であり、1756年にスウェーデンの鉱物学者であるCronstedにより初めて発見された。彼が、天然ゼオライト鉱石を加熱したときに泡を立てながら沸くような現象を観察して、沸石という意味を有するゼオライト(zeolite)と名付けた。
【0003】
ゼオライトは一般に、内部にあるナノサイズ(nanosize)の細孔(pore)中に水分子が満たされているが、加熱や減圧によってゼオライトの構造に本質的変化を起こすことなく脱離し、大気中に放置すると、再び吸着(adsorption)する性質がある。このような特異な性質のため、ゼオライトは鉱物学者や化学者の研究対象となった。
【0004】
ゼオライト骨格の一般的な化学的組成は、SiO4−とAlO5−とで構成された正四面体の単位が酸素架橋を通じて連結されている。このとき、Siは+4の形式電荷を有するが、Alは+3の形式電荷しか有しないので、Alが存在する位置ごとに陰電荷を1つずつ収容している。したがって、電荷の相殺のために陽イオンが存在するようになり、陽イオンは細孔の内部に存在し、残りの空間は一般に水分子で満たされている。ゼオライトは、特異な結晶構造から吸着能やイオン交換能力を有し、産業的に有用な物理化学的特性を有している。鉱物質のうち最も優れた陽イオン交換能力を有し、陽イオンを選択的に交換してゼオライトの種類によってそれぞれ異なる選択的交換特性を示す。ゼオライトの骨格を成すSiは+4価であるが、Alは+3価であるため、アルミニウムにより生じた電荷の差を中和させるために陽イオンが必要である。陽イオンは、特定の位置に固定されていないでゼオライトの骨格において陰電荷を帯びる位置に帯電されているので、他の陽イオンに変わることができる。例えば、A陽イオンが含まれているゼオライトをB陽イオンが含まれている水溶液に入れると、A陽イオンは水溶液側に出て、B陽イオンがゼオライトに入る。このようにゼオライトに含まれている陽イオンと溶液に含まれている陽イオンとが互いに変わる現象を陽イオン交換(cation exchange)と言う。ゼオライトの陽イオン交換は、陽イオンの種類、サイズ及び電荷量、イオン交換の温度、陽イオンの濃度、溶液で陽イオンに影響を与える陰イオンの種類、溶液の特性及びゼオライトの構造的特性に影響を受ける。
【0005】
最近では、自動車の排気ガス中における窒素酸化物の選択還元触媒として、特に、銅が担持されているゼオライトが注目されている。しかし、工業的に用いるためには、充分なイオン交換能力や固体酸性を有すると同時に、吸着剤あるいは触媒担体としての耐久性が必要である。
【0006】
例えば、従来報告されているゼオライトを吸着剤あるいは触媒担体に用いた場合、耐久性及び耐熱性が低くなり、水熱処理過程でゼオライトの構造が破壊される問題点を有している。
【0007】
したがって、水熱処理過程でゼオライトの構造が破壊される問題点を克服し得る新規ゼオライトの製造方法及びそれから製造されたゼオライトが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記したような従来技術の短所及び問題点を改善することであり、本発明の一側面は、ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の側面は、前記一側面の製造方法によって製造されたベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を達成するために、本発明は、ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法を提供する。前記ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法は、
ベンジル基を含む第1構造誘導物質、ゼオライトの原料結晶、塩基性物質、及び蒸留水を含む水和ゲルを準備するステップ;並びに
前記水和ゲルを水熱合成するステップ
を含み、
前記ゼオライトの原料結晶は、アルミニウム酸化物及びシリカを含み、
前記ベンジル基を含む第1構造誘導物質は、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、ベンジルトリプロピルアンモニウムイオン及びベンジルトリブチルアンモニウムイオンを陽イオンとする水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む、ベンジル基を含む構造誘導物質を用いる。
【0011】
本発明の一実施例によると、前記水和ゲルは、第2構造誘導物質をさらに含むことができ、前記第2構造誘導物質は、下記化学式で表されるイオンを陽イオンとする水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み得る。
【化1】
【0012】
前記化学式で、Rは、C〜Cのアルキル基からなる群より選択された1つであり、Rは、C〜Cのアルキル基からなる群より選択された1つであり、Rは、C〜C20のアルキル基からなる群より選択された1つであることを特徴とする。
【0013】
第2構造誘導物質をさらに含んだ水和ゲルを用いて製造されたゼオライトの平均粒子直径は、0.2μm〜1.0μmであってもよい。
【0014】
本発明の一実施例によると、前記ゼオライトの原料結晶は、SiO/Alのモル比が5〜600であり、前記製造方法によって製造されたゼオライトは、SSZ−13(Standard Oil Synthetic Zeolite−13)の形態を有し得る。
【0015】
本発明の一実施例によると、前記合成ゼオライトは、SiO/Alのモル比が490〜510のゼオライト原料を使用するBEA(Zeolite Beta)の形態であってもよい。
【0016】
本発明の一実施例によると、前記水和ゲルは、硫酸イオンを含む化合物をさらに含み得る。
【0017】
前記課題を達成するために、本発明の他の側面は、Si/Alのモル比が10〜100であり、750℃〜950℃の温度範囲で水熱処理した後もゼオライトの構造が維持されるゼオライトを提供する。
【0018】
前記ゼオライトの構造は、850℃〜950℃の高い温度範囲で水熱処理した後もゼオライトの構造が維持される。
【0019】
前記ゼオライトは、前記水熱処理した後も比表面積が500m/g以上、600m/g以下であってもよい。
【0020】
前記ゼオライトの構造は、ゼオライトの格子当たりAl原子が0〜4個含まれ、Cu/Alのモル比が0.2〜0.4であってもよい。
【0021】
前記ゼオライトは、高温での水熱処理後に250℃〜500℃の温度範囲で選択的触媒還元反応が行われるとき、NOx転換率が50%以上、80%以下を維持し得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、ベンジル基を含む構造誘導物質を用いることで、原資材費用の減少、工程費用の減少等の効果を得ることができる。
【0023】
また、本発明の第1構造誘導物質及び第2構造誘導物質を用いることで、水熱の安定性に優れたゼオライトを製造することができる。それによって、高温での水熱処理後もゼオライトの構造が維持されて高い選択的触媒還元反応(Selective Catalytic Reduction)の活性を得ることができる。
【0024】
また、C〜C20のアルキル基を有するベンジル基を含む構造誘導物質をさらに用いることで、マイクロ細孔とメソ細孔とを同時に有するゼオライトを製造することができる。それによって、反応物の拡散が容易になり、多様な触媒反応に適用できる。
【0025】
また、ゼオライトの合成母液に硫酸イオンを添加することで、水熱反応の速度が高くなってゼオライトの合成時間が短くなる。それによって、工程時間短縮の効果を得ることができる。
【0026】
また、アルミニウム酸化物及びシリカを含む原料のSiO/Alのモル比に応じて、所望する構造を有するゼオライトを製造することができる。
【0027】
本発明の技術的効果は、以上で言及したことに制限されず、言及しなかったまた他の技術的効果は、以下の記載から当業者に明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の好ましい実施例によって、ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法を示したフローチャートである。
図2】製造例1及び比較例のゼオライトのXRDパターン並びに29Si−NMRスペクトルを示した図である。
図3】比較例、製造例1、及び製造例4のゼオライトのSEMイメージである。
図4】製造例1、製造例2、製造例3、製造例4、及び製造例5のゼオライトのXRDパターンである。
図5】製造例6のゼオライトのXRDパターン及びSEMイメージである。
図6】比較例及び製造例1のゼオライトにそれぞれ銅が担持された銅担持ゼオライトのXRDパターンである。
図7】比較例及び製造例1のゼオライトにそれぞれ銅が担持された銅担持ゼオライトに水熱処理を行った後のイメージである。
図8】比較例及び製造例1のゼオライトにそれぞれ銅が担持された銅担持ゼオライトのSCR反応活性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、様々な修正及び変形を許容し、その特定の実施例が図面に例示され、以下で詳しく説明される。しかし、本発明は開示された特別な形態に限定されず、本発明は請求項によって定義された本発明の思想と合致する全ての修正、均等、及び代用を含む。
【0030】
層、領域、又は基板のような要素が他の構成要素の「上(on)」に存在すると言及されるとき、これは、直接的に他の要素上に存在するか又はその間に中間要素が存在できることを理解すべきである。
【0031】
例えば、第1、第2等の用語が様々な要素、成分、領域、層、及び/又は地域を説明するために用いられ得るが、このような要素、成分、領域、層、及び/又は地域は、このような用語によって限定されないことを理解すべきである。
【0032】
図1は、本発明の好ましい実施例によって、ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法を示したフローチャートである。
【0033】
図1を参照すると、本発明によるベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの製造方法は、大きく2つのステップで形成される。
【0034】
まず、水和ゲルを準備するステップである(ステップS100)。
【0035】
具体的に、前記水和ゲルは、アルミニウム酸化物及びシリカを含む原料、ベンジル基を含む第1構造誘導物質(Structure Directing Agent、SDA)、塩基性物質、及び蒸留水を含む。
【0036】
前記アルミニウム酸化物及びシリカを含むゼオライトの原料としては、ゼオライトYの形態、超安定ゼオライトY(Ultra Stable Zeolite Y、ゼオライトUSY)の形態等の原料を用いることができる。
【0037】
前記アルミニウム酸化物及びシリカを含むゼオライトの原料物質のSiO/Alのモル比に応じて、本発明で製造されるベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの形態が変わり、所望する構造を有するゼオライトを製造することができる。
【0038】
前記ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの第1形態は、SSZ−13(Standard Oil Synthetic Zeolite−13)の形態であり、前記ゼオライトの原料物質のSiO/Alのモル比が5〜600である場合に製造される。一実施例で、本発明では、SiO/Alのモル比が30であるゼオライトUSYを用いた。
【0039】
前記ゼオライトの原料物質のSiO/Alのモル比が5〜80である場合、特に本発明の目的である水熱安定性に優れたゼオライトを得ることができる。
【0040】
前記ベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトの第2形態は、BEA(Zeolite Beta)の形態であり、前記ゼオライトの原料物質のSiO/Alのモル比が特定範囲の490〜510である場合に製造される。一実施例で、本発明では、SiO/Alのモル比が500であるゼオライトUSYを用いた。
【0041】
前記第1構造誘導物質(Structure Directing Agent、SDA)は、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、ベンジルトリプロピルアンモニウムイオン及びベンジルトリブチルアンモニウムイオンを陽イオンとする水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を用いることができる。
【0042】
例えば、前記第1構造誘導物質(SDA)として、ベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物、ベンジルトリエチルアンモニウム水酸化物、ベンジルトリプロピルアンモニウム水酸化物、ベンジルトリブチルアンモニウム水酸化物、ベンジルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、ベンジルトリエチルアンモニウムハロゲン化物、ベンジルトリプロピルアンモニウムハロゲン化物、及びベンジルトリブチルアンモニウムハロゲン化物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を用いることができる。
【0043】
既存のアダマンタン系列の構造誘導物質を用いず、上述したベンジル基を含む構造誘導物質を用いることで、原材料費用の減少、工程費用の減少等の効果を得ることができる。
【0044】
前記塩基性物質は、前記蒸留水に混合して塩基性水溶液を調製するための物質であって、前記水和ゲルとの相溶性に問題がない塩基性物質であれば限定なく用いることができ、例えば、NaOHを用いることができる。
【0045】
本発明のベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトのメソ細孔を形成するために、前記水和ゲルは、第2構造誘導物質をさらに含み得る。
【0046】
前記第2構造誘導物質は、下記化学式で表される陽イオンを含む水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1つの化合物である。
【化2】
【0047】
前記化学式で、R及びRは、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基のいずれか1つであり、Rは、炭素数8〜20のアルキル基からなる群より選択された1つであってもよい。好ましくは、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムハロゲン化物を用いた。
【0048】
このように、炭素数8〜20のアルキル基を有するベンジル基を含む第2構造誘導物質をさらに含むことで、マイクロ細孔とメソ細孔とを同時に有するゼオライトを製造することができる。それによって、反応物の拡散が容易になり、多様な触媒反応に適用できる。
【0049】
前記水和ゲルを準備した後、前記水和ゲルを水熱合成するステップが行われる(ステップS200)。
【0050】
前記水熱合成は、既知の水熱合成過程により、好ましくは、140℃にて20rpm〜60rpmで回転しながら、4日〜10日間水熱合成した。
【0051】
一方、水和ゲルを準備するステップ(ステップS100)で、前記水和ゲルが硫酸イオンを含有した化合物をさらに含む場合、水熱反応速度が高くなってゼオライトの合成時間が短くなる。それによって、工程時間短縮の効果を得ることができる。
【0052】
一実施例で、硫酸イオン含有化合物としてNaSOを用いた。それによって、水熱合成工程が1日〜4日に短縮された。
【0053】
本発明の他の実施例によると、上述した製造方法によって製造されたベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトが提供される。
【0054】
本実施例によるベンジル基を含む構造誘導物質を用いたゼオライトは、Si/Alのモル比が10〜100であり、アルミニウムの含量が少なく、水熱安定性に優れる。したがって、750℃以上の水熱処理工程に供してもゼオライトの構造的変化が起きない特徴を有する。
【0055】
前記ゼオライトは、平均粒子直径が0.2μm〜0.5μmであって、マイクロ細孔を有することができる。また、前記ゼオライトの製造時に前記第2構造誘導物質がさらに含まれる場合、平均粒子直径が0.2μm〜1.0μmであって、マイクロ細孔とメソ細孔とを同時に有するゼオライトが得られる。
【0056】
一方、前記製造されたゼオライトに銅を担持させる工程を通じて、銅が担持されたSSZ−13形態のゼオライト(Cu−SSZ−13)を製造することができる。Cu−SSZ−13は、窒素酸化物の還元触媒、特に、アンモニアを還元剤で用いる選択的触媒還元(SCR)に用いられるゼオライトとして知られている。
【0057】
本発明のゼオライトは、750℃以上の水熱処理工程に供してもゼオライトの構造的変化が起きないので、銅が担持されたSSZ−13形態のゼオライト(Cu−SSZ−13)を製造して、750℃以上の温度でSCRの触媒として用いることができる。
【0058】
具体的に、本発明の一実施例による銅が担持されたSSZ−13形態のゼオライト(Cu−SSZ−13)は、750℃〜950℃の温度でSCRの触媒として用いることができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実験例(example)を提示する。ただし、下記の実験は本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明が下記の実験例によって限定されるものではない。
【0060】
以下で用いられる構造誘導物質はSDAと表記する。
【0061】
<製造例1:ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(SDA1)を用いたゼオライトの製造>
蒸留水にNaOHを溶解させた後、アルミニウム酸化物及びシリカを含むゼオライトUSY(このとき、SiO/Alのモル比=30)を添加し、均一溶液になるまで混合して混合溶液を調製した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(SDA1)を前記混合溶液に添加した後、均一溶液になるまで混合して、次のようなモル比の組成を有する水和ゲルを製造した。
SiO:NaOH:SDA1:HO=1:0.2:0.2:22.62
【0062】
前記水和ゲルを、140℃にて20rpm〜60rpmで回転しながら4日〜10日間水熱合成した後、遠心分離して試料を回収した。
【0063】
<製造例2:ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(SDA2)を用いたゼオライトの製造>
蒸留水にNaOHを溶解させた後、アルミニウム酸化物及びシリカを含むゼオライトUSY(このとき、SiO/Alのモル比=30)を添加し、均一溶液になるまで混合して混合溶液を調製した。ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(SDA2)を前記混合溶液に添加した後、均一溶液になるまで混合して、次のようなモル比の組成を有する水和ゲルを製造した。
SiO:NaOH:SDA2:HO=1:0.4:0.4:22.62
【0064】
前記水和ゲルを、140℃にて20rpm〜60rpmで回転しながら4日〜10日間水熱合成した後、遠心分離して試料を回収した。
【0065】
<製造例3:ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(SDA3)を用いたゼオライトの製造>
蒸留水にNaOHを溶解させた後、アルミニウム酸化物及びシリカを含むゼオライトUSY(このとき、SiO/Alのモル比=30)を添加し、均一溶液になるまで混合して混合溶液を調製した。ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(SDA3)を前記混合溶液に添加した後、均一溶液になるまで混合して、次のようなモル比の組成を有する水和ゲルを製造した。
SiO:NaOH:SDA3:HO=1:0.4:0.4:22.62
【0066】
前記水和ゲルを、140℃にて20rpm〜60rpmで回転しながら4日〜10日間水熱合成した後、遠心分離して試料を回収した。
【0067】
<製造例4:ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(SDA1)及びベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド(SDA4)を用いたゼオライトの製造>
蒸留水にNaOHを溶解させた後、アルミニウム酸化物及びシリカを含むゼオライトUSY(このとき、SiO/Alのモル比=30)を添加し、均一溶液になるまで混合して混合溶液を調製した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(SDA1)及びベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド(SDA4)を前記混合溶液に添加した後、均一溶液になるまで混合して、次のようなモル比の組成を有する水和ゲルを製造した。
SiO:NaOH:SDA1:SDA4:H
=1:0.2:0.2:0.01:22.62
【0068】
前記水和ゲルを、140℃にて20rpm〜60rpmで回転しながら4日〜10日間水熱合成した後、遠心分離して試料を回収した。
【0069】
<製造例5:ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(SDA1)及びNaSOを用いたゼオライトの製造>
蒸留水にNaOHを溶解させた後、アルミニウム酸化物及びシリカを含むゼオライトUSY(このとき、SiO/Alのモル比=30)を添加し、均一溶液になるまで混合して混合溶液を調製した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(SDA1)及びNaSOを前記混合溶液に添加した後、均一溶液になるまで混合して、次のようなモル比の組成を有する水和ゲルを製造した。
SiO:NaOH:SDA1:HO:NaSO
=1:0.2:0.2:22.62:0.1
【0070】
前記水和ゲルを、140℃にて20rpm〜60rpmで回転しながら1日〜4日間水熱合成した後、遠心分離して試料を回収した。
【0071】
<製造例6:SiO/Alのモル比が500であるゼオライトUSYを用いたゼオライトの製造>
蒸留水にNaOHを溶解させた後、アルミニウム酸化物及びシリカを含むゼオライトUSY(このとき、SiO/Alのモル比=500)を添加し、均一溶液になるまで混合して混合溶液を調製した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(SDA1)を前記混合溶液に添加した後、均一溶液になるまで混合して、次のようなモル比の組成を有する水和ゲルを製造した。
SiO:NaOH:SDA1:HO=1:0.3:0.2:22.62
【0072】
前記水和ゲルを、140℃にて20rpm〜60rpmで回転しながら4日〜10日間水熱合成した後、遠心分離して試料を回収した。
【0073】
下記表1に、前記製造例1〜6で用いられた混合物の組成を纏めた。
【0074】
【表1】
【0075】
<比較例>
常用化されたSSZ−13形態のゼオライトとして、N,N,N−トリアルキルアダマンタンアンモニウム水酸化物を含んだ水和ゲルを、水熱合成して製造した。
【0076】
図2は、前記製造例1及び比較例のゼオライトのXRDパターン並びに29Si−NMRスペクトルを示した図である。
【0077】
図2を参照すると、SiO/Alのモル比が30であるゼオライトUSYを用いた場合、SSZ−13(Standard Oil Synthetic Zeolite−13)形態のゼオライトが製造されたことが分かる。
【0078】
また、図2の(a)を参照すると、高価なアダマンタン系列の構造誘導物質を用いなくとも、結晶性に優れたSSZ−13形態のゼオライトが製造されたことが確認できる。
【0079】
図2の(b)を参照すると、製造例1の製造過程を通じてSi/Alのモル比が大きいSSZ−13形態のゼオライトが製造されたことが確認できる。
【0080】
したがって、原料のSiO/Alのモル比が5〜600である場合、SSZ−13形態のゼオライトが製造されることが確認できる。
【0081】
このように、アダマンタン系列の構造誘導物質ではないベンジル基を含む構造誘導物質を用いることで、相対的に高価なアダマンタン系列の構造誘導物質が不必要となるので、原資材費用が節減され、工程時間も短縮されて、水熱合成に所与される費用が減少する等の効果が得られる。
【0082】
図3は、比較例、製造例1、及び製造例4のゼオライトのSEMイメージである。
【0083】
図3の(a)を参照すると、既存のSSZ−13ゼオライトは、1μm以上の平均粒子直径を有することが確認できる。
【0084】
図3の(b)を参照すると、製造例1で製造されたゼオライトは、ナノサイズの粒子直径を有するもので、特に、0.2μm〜0.5μmの平均粒子直径を有することが確認できる。すなわち、製造例1によって、粒子サイズが小さいゼオライトが製造されたことが分かる。
【0085】
図3の(c)を参照すると、製造例4で製造されたゼオライトは、0.2μm〜1.0μmの平均粒子直径を有することが確認できる。すなわち、分子鎖が長いベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムを添加することで、マイクロ細孔とメソ細孔とを同時に有するゼオライトが製造されたことが分かる。
【0086】
したがって、炭素数8〜炭素数20のアルキル基を有するベンジル基を含む第2構造誘導物質を追加で用いることで、マイクロ細孔とメソ細孔とを同時に有するゼオライトを製造することができる。それによって、反応物の拡散が容易になり、多様な触媒反応に適用できることを確認することができる。
【0087】
図4は、製造例1、製造例2、製造例3、製造例4、及び製造例5のゼオライトのXRDパターンである。
【0088】
図4を参照すると、製造例1、製造例2、製造例3、製造例4、及び製造例5で製造されたゼオライトは、全てSSZ−13構造であることが分かる。
【0089】
したがって、本発明の好ましい実施例によって、ベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物、ベンジルトリエチルアンモニウム水酸化物、ベンジルトリプロピルアンモニウム水酸化物、ベンジルトリブチルアンモニウム水酸化物、ベンジルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、ベンジルトリエチルアンモニウムハロゲン化物、ベンジルトリプロピルアンモニウムハロゲン化物、及びベンジルトリブチルアンモニウムハロゲン化物からなる群より選択される少なくとも1種の構造誘導物質を用いてゼオライトを製造する場合、同一の構造を有するゼオライトが製造されることが分かる。
【0090】
一方、製造例5で、NaSOを水和ゲルに添加することで、1日〜4日間の水熱合成だけでも、4日〜10日間水熱合成したゼオライトと同一の構造を有するゼオライトを製造できることが分かる。
【0091】
したがって、硫酸イオンを含む化合物をさらに含む場合、水熱反応速度が高くなってゼオライトの合成時間が短くなり、それによって、工程時間が短縮され得る。
【0092】
図5は、製造例6のゼオライトのXRDパターン及びSEMイメージである。
【0093】
図5の(a)及び図5の(b)を参照すると、SiO/Alのモル比が500であるゼオライトUSYを用いた場合、BEA(Zeolite Beta)形態のゼオライトが製造されたことが分かる。
【0094】
したがって、ゼオライトUSYのSiO/Alのモル比が特定数値である場合、SSZ−13形態のゼオライト以外に他の形態のゼオライトが製造され得ることを確認することができる。一実施例で、SiO/Alのモル比が490〜510である原料で製造されたゼオライトは、BEA(Zeolite Beta)形態であることが分かる。
【0095】
図6は、比較例及び製造例1のゼオライトにそれぞれ銅が担持された銅担持ゼオライトのXRDパターンである。
【0096】
具体的に、製造例1で製造されたゼオライト及び比較例のゼオライトに銅を担持させた後、750℃及び900℃でそれぞれ水熱処理(Hydrothermal Aging、HTA)し、水熱処理されていない銅担持ゼオライト(fresh)とともにXRDパターンを確認した。
【0097】
図6の(a)を参照すると、銅が担持された比較例、すなわち、既存のCu−SSZ−13の場合、900℃の水熱処理過程を経ると、ゼオライトピークが消えて石英ピークが現われることが分かる。
【0098】
図6の(b)を参照すると、銅が担持された製造例1、すなわち、本発明のCu−SSZ−13の場合、900℃の水熱処理過程を経た後も、ゼオライトピークが消えないことが分かる。
【0099】
したがって、本発明の実施例によって製造されたゼオライトは、Si/Alのモル比が10〜100であり、アルミニウムの含量が少なく、水熱安定性に優れ、既存のゼオライトの構造的破壊が始まる温度である750℃以上の水熱処理工程でも、ゼオライトの構造的変化が起きないことが確認できる。また、既存のゼオライトの構造が完全に破壊される温度である900℃でも、ゼオライト特性ピークが維持されていることが確認できる。
【0100】
図7は、比較例及び製造例1のゼオライトにそれぞれ銅が担持された銅担持ゼオライトに水熱処理を行った後のイメージである。
【0101】
具体的に、製造例1で製造されたゼオライト及び比較例のゼオライトに銅を担持させた後、900℃で水熱処理した状態を示した。
【0102】
図7の(a)及び図7の(b)を参照すると、銅が担持された比較例(既存のCu−SSZ−13)の場合、900℃で水熱処理に供すると、肉眼でも区分できる程度にゼオライトの特性を失うが。一方、銅が担持された製造例1(本発明のCu−SSZ−13)の場合、900℃で水熱処理した後も銅担持されたゼオライト特有の青色を帯びることが分かる。
【0103】
したがって、既存のゼオライトの構造が完全に破壊される温度である900℃でも、ゼオライトの特徴が維持されることが確認できる。
【0104】
図8は、比較例及び製造例1のゼオライトにそれぞれ銅が担持された銅担持ゼオライトのSCR反応活性を示したグラフである。
【0105】
具体的に、製造例1で製造されたゼオライト及び比較例のゼオライトに銅を担持させた後、750℃又は900℃で水熱処理(HTA)し、水熱処理しない銅担持ゼオライト(fresh)と比較した。
【0106】
図8の(a)を参照すると、銅が担持された比較例(既存のCu−SSZ−13)の場合、750℃で水熱処理(HTA)すると、SCR反応活性が少し低くなり、900℃で水熱処理すると、SCR反応活性を失う。
【0107】
一方、図8の(b)を参照すると、銅が担持された製造例1(既存のCu−SSZ−13)の場合、750℃で水熱処理(HTA)しても、SCR反応活性に変化がなく、900℃で水熱処理しても、SCR反応活性が比較的高く維持されることが分かる。
【0108】
したがって、本発明のゼオライトは、750℃以上の水熱処理工程でもゼオライトの構造的変化が起きないので、銅が担持されたSSZ−13形態のゼオライト(Cu−SSZ−13)を製造して、既存の銅が担持されたSSZ−13形態のゼオライトが変形される温度である750℃以上の温度で、SCR触媒として用いられ得ることが確認できる。
【0109】
具体的に、本発明の一実施例による銅が担持されたSSZ−13(Cu−SSZ−13)形態のゼオライトは、既存の銅が担持されたSSZ−13形態のゼオライトがSCR反応活性を失い始める750℃以上の温度から、SCR反応活性を完全に喪失する900℃の温度まで、SCR触媒として用いられ得ることが確認できる。
【0110】
上述したように、本発明は、低価格のベンジル基を含む構造誘導物質(SDA)を用いたゼオライトの製造方法に関するものであり、それによって、原資材費用の減少、工程費用の減少等の効果を得ることができる。
【0111】
また、アルミニウム酸化物及びシリカを含む原料のSiO/Alのモル比を調節して、多様な形態のゼオライトを製造することができ、第2構造誘導物質及び硫酸イオンを含んだ化合物等の添加による追加的な効果を得ることもできる。
【0112】
一方、既存のゼオライトは、750℃以上の高温で熱処理すると、結晶構造が崩壊されてゼオライトの特性を失う。一方、本発明で製造したゼオライトは、水熱安定性及び触媒活性が遥かに向上した。これを確認するために、10%のHOを含有した空気状態にて900℃で水熱処理した後に、物性を測定した。特に、ゼオライトの微細細孔の維持可否を示す比表面積と、自動車の排気ガスの有害成分であるNOxを除去するための選択的触媒還元反応の活性を調査した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8