特許第6799306号(P6799306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799306嵌合構造及びこれを備えたステアリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799306
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】嵌合構造及びこれを備えたステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/16 20060101AFI20201207BHJP
   B62D 3/12 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   B62D1/16
   B62D3/12 507
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-177937(P2016-177937)
(22)【出願日】2016年9月12日
(65)【公開番号】特開2018-43551(P2018-43551A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】000157278
【氏名又は名称】丸五ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】泉 佳明
(72)【発明者】
【氏名】大皿 敏之
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 常春
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 誠
(72)【発明者】
【氏名】今岡 創介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 翔平
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−193592(JP,A)
【文献】 実開昭55−151964(JP,U)
【文献】 中国実用新案第205118233(CN,U)
【文献】 特開2006−001504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00− 3/14
F16J 15/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のシール部材と、
筒状の第1筒状嵌合部、前記シール部材に軸方向一端側から当接する第1挟持部、及び前記第1挟持部とは異なる位置に設けられる第1規制部を有する第1嵌合部材と、
前記第1筒状嵌合部に対して軸方向他端側から嵌合する筒状の第2筒状嵌合部、前記シール部材に軸方向他端側から当接する第2挟持部、及び前記第1挟持部と前記第2挟持部との間で前記シール部材が所定量圧縮された状態で前記第1規制部に軸方向他端側から当接する第2規制部を有し、前記第1嵌合部材に対して外嵌される第2嵌合部材とを備え、
前記第1規制部は、前記第1嵌合部材における前記第1挟持部よりも軸方向他端側に設けられ、
前記第2規制部は、前記第2嵌合部材における前記第2挟持部よりも軸方向他端側に設けられ
前記第2嵌合部材は、軸方向一端側に延びる腕部及び該腕部の先端から径方向に突出する爪部を有し、
前記第1嵌合部材は、前記爪部が係合可能な被係合部を有する嵌合構造。
【請求項2】
請求項1に記載の嵌合構造において、
前記第2嵌合部材は、前記第2筒状嵌合部が前記第1筒状嵌合部に隙間嵌めされることにより前記第1嵌合部材に嵌合されるものであり、
前記第1筒状嵌合部と前記第2筒状嵌合部との嵌合部分の軸方向長さは、前記第2筒状嵌合部が前記第1筒状嵌合部に対して最も傾斜した状態で、前記第1挟持部と前記第2挟持部との間において前記シール部材の圧縮が保たれるように設定された嵌合構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の嵌合構造を備え、
ラックアンドピニオン機構を構成するピニオンシャフトを一部突出する態様で収容するハウジングを前記第1嵌合部材とし、
前記ハウジングと車両のダッシュパネルとの間で前記ピニオンシャフトを覆うホールカバーを前記第2嵌合部材とするステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合構造及びこれを備えたステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のステアリング装置として、ステアリング操作に伴う回転をラックアンドピニオン機構によりラックシャフトの往復直線運動に変換して転舵輪の舵角を変更するものがある。こうしたステアリング装置では、ラックハウジングにおけるピニオンシャフトを収容する筒状部にホールカバーが嵌合されており、ステアリング装置は、車両のサスペンションメンバに固定された状態で、ホールカバーを介して車両のダッシュパネル外側に押し付けられる。このようにステアリング装置は車室外に設けられるため、路面からの雨水や塵等が付着し易い。
【0003】
そこで、例えば特許文献1のステアリング装置では、ラックハウジングの筒状部とホールカバーとの間にシール部材を介在させることにより、ラックハウジング内に雨水等が侵入することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−1504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の構成では、シール部材は、ラックハウジングの筒状部に形成されたフランジとホールカバーの軸方向端面との間で軸方向に圧縮されており、ラックハウジング(筒状部)の車両上側(ホールカバー側)への変位は、シール部材及びホールカバーを介してダッシュパネルにより規制される。そのため、例えば車両の走行に伴う路面反力等によりラックハウジングを車両上側へ押し上げる外力が作用した場合、ラックハウジングの筒状部とホールカバーとの間に作用する軸方向の全荷重がそのままシール部材に作用することになる。その結果、シール部材が、筒状部とホールカバーとの間で過度に圧縮されてしまい、劣化し易くなる。
【0006】
本発明の目的は、シール部材の劣化が早まることを抑制できる嵌合構造及びこれを備えたステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する嵌合構造は、環状のシール部材と、筒状の第1筒状嵌合部、前記シール部材に軸方向一端側から当接する第1挟持部、及び前記第1挟持部とは異なる位置に設けられる第1規制部を有する第1嵌合部材と、前記第1筒状嵌合部に対して軸方向他端側から嵌合する筒状の第2筒状嵌合部、前記シール部材に軸方向他端側から当接する第2挟持部、及び前記第1挟持部と前記第2挟持部との間で前記シール部材が所定量圧縮された状態で前記第1規制部に軸方向他端側から当接する第2規制部を有する第2嵌合部材とを備える。
【0008】
上記構成によれば、例えば第1嵌合部材に第2嵌合部材へ近接する方向の外力が作用した場合、第1規制部と第2規制部とが互いに当接してこれら第1及び第2規制部間で外力に基づく軸方向荷重が支持される。このように第1規制部と第2規制部とが互いに当接して軸方向荷重を受けることで、シール部材が所定量以上圧縮されることが防止されるため、該シール部材が過度に圧縮されて劣化が早まることを抑制できる。
【0009】
上記嵌合構造において、前記第1規制部は、前記第1嵌合部材における前記第1挟持部よりも軸方向他端側に設けられ、前記第2規制部は、前記第2嵌合部材における前記第2挟持部よりも軸方向他端側に設けられることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、第2規制部が第2挟持部よりも第2嵌合部材における軸方向一端側の開口から離間して設けられるため、第2嵌合部材は、軸方向一端側の開口から離れた部位で軸方向荷重を支持することになる。そのため、第2嵌合部材における軸方向一端側の開口付近で軸方向荷重を受ける場合に比べて該第2嵌合部材が変形し難く、該軸方向荷重を受けた際に第2挟持部に及ぶ影響を低減できる。これにより、シール部材が過度に圧縮されることを好適に抑制できる。
【0011】
上記嵌合構造において、前記第2嵌合部材は、軸方向一端側に延びる腕部及び該腕部の先端から径方向に突出する爪部を有し、前記第1嵌合部材は、前記爪部が係合可能な被係合部を有することが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、爪部が被係合部に係合することで第2嵌合部材が軸方向他端側に移動して第1嵌合部材から離間することが規制されるため、例えば第1嵌合部材に第2嵌合部材を嵌合させた状態で搬送等を行う際に、第2嵌合部材が脱落することを抑制できる。
【0013】
上記嵌合構造において、前記第2嵌合部材は、前記第2筒状嵌合部が前記第1筒状嵌合部に隙間嵌めされることにより前記第1嵌合部材に嵌合されるものであり、前記第1筒状嵌合部と前記第2筒状嵌合部との嵌合部分の軸方向長さは、前記第2筒状嵌合部が前記第1筒状嵌合部に対して最も傾斜した状態で、前記第1挟持部と前記第2挟持部との間において前記シール部材の圧縮が保たれるように設定されることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、第2筒状嵌合部が第1筒状嵌合部に隙間嵌めされるため、圧入する場合に比べ、嵌合状態で第1及び第2嵌合部材に作用する応力を低減でき、例えば高温下などの過酷な環境に配置した場合に第1及び第2嵌合部材の劣化が早まることを抑制できる。一方で、隙間嵌めにより嵌合した場合には、第2嵌合部材の第1嵌合部材に対する傾斜が生じる可能性がある。この点、上記構成では、第2筒状嵌合部が第1筒状嵌合部に対して最も傾斜した状態でもシール部材の圧縮が保たれるように、第1筒状嵌合部と第2筒状嵌合部との嵌合部分の軸方向長さが設定されるため、第1嵌合部材と第2嵌合部材とを隙間嵌めによって嵌合しても、シール性能を確保できる。
【0015】
上記課題を解決するステアリング装置は、上記いずれかの構成の嵌合構造を備え、ラックアンドピニオン機構を構成するピニオンシャフトを一部突出する態様で収容するハウジングを前記第1嵌合部材とし、前記ハウジングと車両のダッシュパネルとの間で前記ピニオンシャフトを覆うホールカバーを前記第2嵌合部材とする。
【0016】
上記構成によれば、例えば路面反力等によって大きな外力がラックハウジングに作用した場合等に、シール部材が過度に圧縮されることが抑制されるため、シール部材の劣化が早まることを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シール部材の劣化が早まることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ステアリング装置の概略構成図。
図2】ラックハウジングの筒状部とホールカバーとの嵌合構造を示す分解斜視図。
図3】ラックハウジングの筒状部とホールカバーとの嵌合構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、嵌合構造及びステアリング装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ステアリング装置1は、ステアリングホイール2が固定されるステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3の回転に応じて軸方向に往復動するラックシャフト4とを有する操舵機構5を備えている。また、ステアリング装置1は、ラックシャフト4が往復動可能に挿通されるハウジングとしてのラックハウジング6を備えている。なお、ステアリングシャフト3は、ステアリングホイール2側から順にコラムシャフト7、インターミディエイトシャフト8、及びピニオンシャフト9を連結することにより構成されている。
【0020】
ラックシャフト4とピニオンシャフト9とは、ラックハウジング6内に所定の交差角をもって配置されており、ラックシャフト4に形成されたラック歯とピニオンシャフト9に形成されたピニオン歯とが噛合されることでラックアンドピニオン機構10が構成されている。また、ラックシャフト4の両端には、図示しないタイロッドを介して転舵輪が組み付けられたナックルに連結される。したがって、ステアリング装置1では、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転がラックアンドピニオン機構10によりラックシャフト4の軸方向移動に変換され、この軸方向移動がタイロッドを介してナックルに伝達されることにより、転舵輪の転舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
【0021】
ラックハウジング6は、ラックシャフト4の軸方向に延びる円筒状のハウジング本体11と、ハウジング本体11と一体形成されるとともにピニオンシャフト9の軸方向に延びる円筒状の筒状部12を有している。なお、ラックハウジング6は、アルミ等の金属材料により構成されている。ハウジング本体11の両端部には、車両上下方向に沿って延びる貫通孔13を有する取付部14がそれぞれ形成されている。ピニオンシャフト9は、筒状部12から突出しており、ダッシュパネルDの内側(車室内)まで延在し、インターミディエイトシャフト8に連結されている。
【0022】
第1嵌合部材としてのラックハウジング6の筒状部12には、筒状部12とダッシュパネルDとの間でピニオンシャフト9を覆う第2嵌合部材としてのホールカバー15が嵌合されている。なお、ホールカバー15とダッシュパネルDとの間には、図示しないシール部材が介在される。そして、ステアリング装置1は、ホールカバー15を介して車両のダッシュパネルDに押し付けられた状態で、ラックハウジング6が貫通孔13に挿通されるボルトを介して車両のサスペンションメンバ(ともに図示略)に連結されることにより、車両本体に取り付けられるようになっている。
【0023】
次に、筒状部12とホールカバー15との嵌合構造について説明する。
図2及び図3に示すように、ホールカバー15は、円環状に形成されたパッキン等のシール部材17を筒状部12との間で軸方向から挟み込んで筒状部12に嵌合されており、筒状部12及びホールカバー15間に路面からの雨水や塵等が侵入することを防止している。なお、以下では、説明の便宜上、車両下側を軸方向一端側とし、車両上側を軸方向他端側とする。
【0024】
筒状部12は、軸方向他端側に開口する円筒状の第1筒状嵌合部21と、第1筒状嵌合部21の軸方向一端部から径方向外側に延出される円環状の第1挟持部22と、第1挟持部22の軸方向一端面から周方向の所定範囲に亘って軸方向一端側に延出される複数の被係合部23とを有している。第1筒状嵌合部21の開口端部は、その全周に亘って平坦な端面を有する第1規制部24とされている。つまり、第1規制部24は、筒状部12における第1挟持部22よりも軸方向他端側に設けられている。第1筒状嵌合部21の外径はシール部材17の内径と略等しく設定され、第1挟持部22の外径は、シール部材17の外径と略等しく設定されている。第1挟持部22は、軸方向一端側からシール部材17に当接しており、その軸方向他端側の端面がシール部材17に当接している。なお、第1挟持部22の外周面と被係合部23の外周面とは面一に形成されている。筒状部12の内周には、ピニオンシャフト9を回転可能に支持する軸受25が固定されるとともに、軸受25の軸方向他端側(筒状部12の開口端側)には、リップシール等のシール部材26が固定されている。
【0025】
ホールカバー15は、樹脂材料により構成されており、全体として筒状に形成されている。ホールカバー15は、円筒状の第2筒状嵌合部31と、第2筒状嵌合部31の軸方向一端から径方向外側に延出される円環状の第2挟持部32と、第2挟持部32の径方向外側端部から軸方向一端側に延出される円筒状のスカート部33とを有している。第2筒状嵌合部31の内径は、第1筒状嵌合部21の外径よりも僅かに大きく設定されており、第1筒状嵌合部21の外周に隙間嵌めによって嵌合されている。そして、第2筒状嵌合部31と第1筒状嵌合部21との嵌合部分の軸方向長さは、第2筒状嵌合部31が第1筒状嵌合部21に対して最も傾斜した状態でも、第1挟持部22と第2挟持部32との間においてシール部材17の圧縮が保たれるような所定長さ以上に設定されている。第2挟持部32は、軸方向他端側からシール部材17に当接しており、その軸方向一端側の内端面がシール部材17に当接している。スカート部33の内径は、第1挟持部22の外径よりも僅かに大きく形成されており、第1挟持部22の外周に隙間嵌めによって嵌合されている。スカート部33における上記被係合部23に対応する複数箇所(本実施形態では、3箇所)には、軸方向一端側に向かって延びる長方形板状の腕部34が形成されるとともに、各腕部34の軸方向一端部には、径方向内側に向かって突出する爪部35が形成されている。各爪部35は、軸方向一端から他端側に向かって突出量が徐々に大きくなる断面三角形状に形成されている。
【0026】
また、ホールカバー15は、第2筒状嵌合部31の軸方向他端から径方向内側に延出される円環状の第2規制部36と、第2規制部36の内周縁から軸方向他端側に向かって先細となるテーパ筒部37と、テーパ筒部37の軸方向他端部から径方向外側に延出されるフランジ部38とを有している。つまり、第2規制部36は、ホールカバー15における第2挟持部32よりも軸方向他端側に設けられている。第2規制部36の内径は、第1筒状嵌合部21の内径と略等しく設定されている。フランジ部38は、長円状に形成されるとともに、テーパ筒部37の軸方向他端部からラックシャフト4とピニオンシャフト9との交差角に応じて軸方向と交差する方向に傾斜して設けられている。
【0027】
そして、ホールカバー15は、第2筒状嵌合部31が第1筒状嵌合部21の外周に隙間嵌めにより嵌合するとともに、スカート部33が第2挟持部32の外周に隙間嵌めにより嵌合し、爪部35が被係合部23に係合することで、筒状部12に組み付けられている。この状態において、第1規制部24の端面は第2規制部36の軸方向一端側の内端面に当接し、シール部材17は第1挟持部22と第2挟持部32との間で所定量圧縮されることにより、筒状部12とホールカバー15との間をシールしている。ホールカバー15は、第2筒状嵌合部31が第1筒状嵌合部21に嵌合することにより径方向への移動が規制され、第2規制部36が第1規制部24に当接することにより軸方向一端側(押し込み方向)への移動が規制され、爪部35が被係合部23に係合することにより軸方向他端側(抜け方向)への移動が規制される。なお、爪部35は、被係合部23の軸方向一端面には常には係合せず、軸方向に若干の隙間を空けて対向している。また、シール部材17の圧縮される所定量は、筒状部12とホールカバー15との間のシール性能を十分に確保しつつ、シール部材17の劣化が早まるほど過度に圧縮しない量であり、予め実験等により求められている。
【0028】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)ラックハウジング6における筒状部12の第1挟持部22とホールカバー15の第2挟持部32との間でシール部材17を所定量圧縮した状態で、筒状部12の第1規制部24に軸方向他端側から当接する第2規制部36をホールカバー15に設けた。そのため、例えばラックハウジング6にホールカバー15へ近接する方向の外力が作用した場合、第1規制部24と第2規制部36とが互いに当接してこれら第1及び第2規制部24,36間で外力に基づく軸方向荷重が支持される。つまり、ラックハウジング6(筒状部12)の車両上側(ホールカバー15側)への変位は、ホールカバー15を介してダッシュパネルDにより規制される。したがって、シール部材17が所定量以上圧縮されることが防止されるため、シール部材17が過度に圧縮されて劣化が早まることを抑制でき、長期に亘ってシール性能を維持することができる。
【0029】
(2)第1及び第2規制部24,36を第1及び第2挟持部22,32よりも軸方向他端側に設けた。すなわち、第2規制部36が第2挟持部32よりもホールカバー15における軸方向一端側の開口から離間して設けられるため、ホールカバー15は、軸方向一端側の開口から離れた部位で軸方向荷重を支持することになる。そのため、ホールカバー15における軸方向一端側の開口付近で軸方向荷重を受ける場合に比べてホールカバー15が変形し難く、該軸方向荷重を受けた際に第2挟持部32に及ぶ影響を低減できる。これにより、シール部材17が過度に圧縮されることを好適に抑制できる。特に本実施形態では、筒状部12(ラックハウジング6)が金属材料からなるとともに、ホールカバー15が樹脂材料からなり、ホールカバー15の強度が筒状部12に比べて低く、変形し易いため、同構成を適用する効果は大である。
【0030】
(3)ホールカバー15に、筒状部12の被係合部23に対して係合可能な爪部35を設けたため、ホールカバー15が軸方向他端側に移動して筒状部12から離間することが規制される。これにより、例えばラックハウジング6にホールカバー15を嵌合させた状態で搬送等を行う際に、ホールカバー15が脱落することを抑制できる。
【0031】
(4)第2筒状嵌合部31を第1筒状嵌合部21に隙間嵌めするようにしたため、圧入する場合に比べ、嵌合状態でホールカバー15に作用する応力を低減でき、例えば高温下などの過酷な環境に配置した場合にホールカバー15の劣化が早まることを抑制できる。特に本実施形態では、ホールカバー15が樹脂材料からなるため、同構成を適用する効果は大である。一方で、隙間嵌めにより嵌合した場合には、ホールカバー15の筒状部12に対する傾斜が生じる可能性がある。この点、本実施形態では、第1筒状嵌合部21と第2筒状嵌合部31との間の隙間及び嵌合部分の軸方向長さを、第2筒状嵌合部31が第1筒状嵌合部21に対して最も傾斜した状態で、第1挟持部22と第2挟持部32との間においてシール部材17の圧縮が保たれるように設定した。そのため、筒状部12にホールカバー15を隙間嵌めにより嵌合しても、シール性能を確保できる。
【0032】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態において、第1筒状嵌合部21と第2筒状嵌合部31との嵌合部分の軸方向長さを、上記所定長さよりも短く設定してもよい。また、第2筒状嵌合部31を第1筒状嵌合部21に圧入により嵌合させてもよい。
【0033】
・上記実施形態では、第1及び第2規制部24,36を第1及び第2挟持部22,32よりも軸方向他端側に設けたが、これに限らず、第1及び第2規制部24,36を第1及び第2挟持部22,32と同じ軸方向位置又はこれらより軸方向一端側に設けてもよい。
【0034】
・上記実施形態において、ホールカバー15に腕部34及び爪部35、筒状部12に被係合部23を設けず、ホールカバー15の軸方向他端側への移動を規制しない構成としてもよい。この場合、例えばスカート部33を第1挟持部22の外周に軽圧入してもよい。
【0035】
・上記実施形態では、筒状部12にホールカバー15を組み付け、ステアリング装置1を車両に取り付けた状態において、シール部材17が第1挟持部22と第2挟持部32との間で所定量圧縮され、第1規制部24が第2規制部36に当接するようにした。しかし、これに限らず、ステアリング装置1を車両に取り付けた状態でシール部材17によるシール性を確保できれば、第1規制部24が第2規制部36に常には当接しないようにしてもよく、外力が作用した場合等において、シール部材17の圧縮量が過度に(所定量以上に)圧縮される前にのみ、第1規制部24が第2規制部36に当接してもよい。
【0036】
・上記実施形態では、ラックハウジング6(筒状部12)を第1嵌合部材、ホールカバー15を第2嵌合部材としてステアリング装置1に嵌合構造を適用したが、これに限らず、他の装置に本実施形態の嵌合構造を適用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…ステアリング装置、6…ラックハウジング(第1嵌合部材)、9…ピニオンシャフト、10…ラックアンドピニオン機構、11…ハウジング本体、12…筒状部、15…ホールカバー(第2嵌合部材)、17…シール部材、21…第1筒状嵌合部、22…第1挟持部、23…被係合部、24…第1規制部、31…第2筒状嵌合部、32…第2挟持部、33…スカート部、34…腕部、35…爪部、36…第2規制部、37…テーパ筒部、38…フランジ部、D…ダッシュパネル。
図1
図2
図3