(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測光による分析装置に取り付けられ、被検試料を収容する一端面が開口した有底のホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを材料とする角形セルを製造するための製造装置であって、
内部に内形型を収容した状態のホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを材料とする有底管の開口部に連結される連結部と、
前記連結部と前記連結部に連結される前記有底管との間を気密に封止するシール材と、
前記連結部と連通する単一の管と、
前記連結部に連結され前記シール材により気密に封止された前記有底管の内部から、前記連結部及び前記管を介して気体を外部へ排出し前記有底管の内部を大気圧に対し負圧にする排出機構と、
前記連結部に連結され前記シール材により気密に封止された前記有底管の内部へ、前記管及び前記連結部を介して前記内形型からの前記有底管の離型を促進する所定種類のガスを注入する注入機構と、
前記排出機構と前記管との通気と、前記注入機構と前記管との通気とを選択的に切り替える切替機構と、
内部に前記内形型を収容し、前記連結部に連結され、前記シール材により気密に封止され、内部に前記所定種類のガスが注入された前記有底管を加熱する加熱部と
を備える製造装置。
前記駆動チェーンは、複数の前記スプロケットのうち互いに隣り合う2つの前記スプロケットの回転軸から見て互いに異なる側で前記スプロケットに噛み合うように、複数の前記スプロケットに互い違いに架け渡されている
請求項3に記載の製造装置。
前記連結部と前記連結部に連結される前記有底管との間を気密に封止し、前記開口部から前記有底管に前記連結部が差し込まれた状態で前記連結部と前記有底管との連結を保持するシール材を備える
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造装置。
前記有底管を移動して前記有底管に前記連結部を差し込むことで前記連結部に対し前記有底管を連結し、前記有底管を移動して前記有底管から前記連結部を抜き取ることで前記連結部に対する前記有底管の連結を解除するロボットを備える
請求項6に記載の製造装置。
測光による分析装置に取り付けられ、被検試料を収容する一端面が開口した有底のホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを材料とする角形セルを製造するための製造方法であって、
ホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを材料とする有底管の開口部から前記有底管の内部へ内形型を投入する処理と、
内部に前記内形型を収容した状態の前記有底管の開口部に、単一の管と連通している連結部を、シール材を介して連結して、前記有底管を気密に封止された状態にする処理と、
前記連結部及び前記管を介して、前記連結部に連結された前記有底管の内部から気体を排出して、前記有底管の内部の気圧を低下させる処理と、
前記管及び前記連結部を介して、前記連結部に連結され内部の気圧が低下している前記有底管の内部へ、前記内形型からの前記有底管の離型を促進する所定種類のガスを注入する処理と、
内部に前記内形型を収容し、前記連結部に連結され、内部に前記所定種類のガスが注入された状態の前記有底管を加熱する処理と、
前記連結部及び前記管を介して、内部に前記内形型を収容し、前記連結部に連結され、内部に前記所定種類のガスが注入され、所定の温度まで加熱された状態の前記有底管の内部から気体を外部へ排出して、前記有底管の内部を大気圧に対し負圧にし、前記内形型の形状へと前記有底管を変形させる処理と
を備える製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、収縮変形したガラス有底管が内形型である金型に密着しすぎて、徐冷工程中にガラス有底管と金型とを互いに離反させる際にガラス有底管を破損してしまう場合がある。
そこで、本発明は、ガラスセルの製造において変形後の有底管から内形型を取り出しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、測光による分析装置に取り付けられ、被検試料を収容する一端面が開口した有底のホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを材料とする角形セルを製造するための製造装置であって、
内部に内形型を収容した状態のホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを材料とする有底管の開口部に連結される連結部と、
前記連結部と前記連結部に連結される前記有底管との間を気密に封止するシール材と、前記連結部と連通する単一の管と、前記連結部に連結され前記シール材により気密に封止された前記有底管の内部から、前記連結部及び前記管を介して気体を外部へ排出し前記有底管の内部を大気圧に対し負圧にする排出機構と、前記連結部に連結され
前記シール材により気密に封止された前記有底管の内部へ、
前記管及び前記連結部を介して前記内形型からの前記有底管の離型を促進する所定種類のガスを注入する注入機構と、
前記排出機構と前記管との通気と、前記注入機構と前記管との通気とを選択的に切り替える切替機構と、内部に前記内形型を収容し、前記連結部に連結され、
前記シール材により気密に封止され、内部に前記所定種類のガスが注入された前記有底管を加熱する加熱部とを備える製造装置を提供する。
【0006】
また、前記加熱部が前記有底管を加熱する間、前記連結部を前記有底管の周方向に回転させる自転機構を備えてもよい。
【0007】
また、複数の前記連結部を備え、前記自転機構は、複数の前記連結部の各々に取り付けられたスプロケットと、複数の前記スプロケットに架け渡された駆動チェーンと、前記駆動チェーンを介して複数の前記スプロケットを回転させる原動機を有してもよい。
【0008】
また、前記駆動チェーンは、複数の前記スプロケットのうち互いに隣り合う2つの前記スプロケットの回転軸から見て互いに異なる側で前記スプロケットに噛み合うように、複数の前記スプロケットに互い違いに架け渡されていてもよい。
【0009】
また、前記自転機構は、所定範囲内で任意に設定された回転速度で前記有底管を周方向に回転させてもよい。
【0010】
また、前記連結部と前記連結部に連結される前記有底管との間を気密に封止し、前記開口部から前記有底管に前記連結部が差し込まれた状態で前記連結部と前記有底管との連結を保持するシール材を備えてもよい。
【0011】
また、前記有底管を移動して前記有底管に前記連結部を差し込むことで前記連結部に対し前記有底管を連結し、前記有底管を移動して前記有底管から前記連結部を抜き取ることで前記連結部に対する前記有底管の連結を解除するロボットを備えてもよい。
【0012】
また、前記連結部と前記加熱部の距離を変更するアクチュエータを備えてもよい。
【0013】
また、円の周上に並べて配置された複数の前記連結部を備えてもよい。
【0014】
また、複数の前記連結部を前記円の中心点を通る軸周りに回転させる公転機構を備えてもよい。
【0015】
また、互いに平行な複数の直線上に並べて配置された複数の前記連結部を備えてもよい。
【0016】
また、前記複数の直線の各々に関し、当該直線上に並べて配置された複数の前記連結部を当該直線の延伸方向に移動させる移動機構を備えてもよい。
【0017】
また、複数の前記連結部の各々に応じて設けられ、対応する前記連結部に連結された前記有底管を加熱する複数の前記加熱部を備えてもよい。
【0018】
本発明は、測光による分析装置に取り付けられ、被検試料を収容する一端面が開口した有底のホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを材料とする角形セルを製造するための製造方法であって、ホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを材料とする有底管の開口部から前記有底管の内部へ内形型を投入する処理と、内部に前記内形型を収容した状態の前記有底管の開口部に、
単一の管と連通している連結部を、
シール材を介して連結
して、前記有底管を気密に封止された状態にする処理と、
前記連結部及び前記管を介して、前記連結部に連結された前記有底管の内部から気体を排出して、前記有底管の内部の気圧を低下させる処理と、前記管及び前記連結部を介して、前記連結部に連結され
内部の気圧が低下している前記有底管の内部へ、前記内形型からの前記有底管の離型を促進する所定種類のガスを注入する処理と、内部に前記内形型を収容し、前記連結部に連結され、内部に前記所定種類のガスが注入された状態の前記有底管を加熱する処理と、
前記連結部及び前記管を介して、内部に前記内形型を収容し、前記連結部に連結され、内部に前記所定種類のガスが注入され、所定の温度まで加熱された状態の前記有底管の内部から気体を外部へ排出し
て、前記有底管の内部を大気圧に対し負圧に
し、前記内形型の形状へと前記有底管を変形させる処理とを備える製造方法を提供する。
【0019】
また、前記内形型を投入する処理において、表面に離型剤の塗布又は離型膜の貼付が行われていない前記内形型を前記有底管の内部へ投入してもよい。
【0020】
また、前記有底管の内部へ投入される前の前記内形型の表面にDNF(AlCrN)被膜ではない金属被膜を形成する処理を備え、前記内形型を投入する処理において、表面にDNF(AlCrN)被膜ではない金属被膜が形成された状態の前記内形型を前記有底管の内部へ投入してもよい。
【0021】
また、前記有底管を加熱する間、前記有底管を周方向に回転させる処理を備えてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ガラスセルの製造において変形後の有底管から内形型を取り出しやすくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[1]実施例
図1は実施例に係るガラスセル製造装置1の外観を表す。ガラスセル製造装置1は、ガラスセルを製造するための装置であり、本発明の「製造装置」の一例である。ガラスセルとは、被検試料を収容し、測光による分析装置に取り付けられるセルである。ガラスセルは、一端面が開口した有底かつ角形の形状をしている。ガラスセルは、ホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを材料として形成される。
【0025】
ガラスセル製造装置1は、中央支持部10と、複数のアーム部20と、複数の炉30とを備える。アーム部20及び炉30は同数であるが、
図1では、図を見やすくするために、複数のアーム部20のうちの1つのアーム部20だけを図示している。中央支持部10は、複数のアーム部20を支持する部分である。アーム部20は、ガラスセルの材料となる有底管2を支持する。
【0026】
炉30は、円柱状の加熱空間31を有し、アーム部20により支持された有底管2を加熱空間31において加熱する。炉30は本発明の「加熱部」の一例である。有底管2は、炉30により加熱されることで軟化し、角形に加工される。
図2は有底管2を表す。有底管2は、一端面が開口した有底かつ円筒形の形状をしており、ホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを材料として形成されている。
【0027】
有底管2がアーム部20に支持される際には、
図2(a)、(b)に表すように、有底管2の内部に角形の金芯3が収容される。金芯3は本発明の「内形型」の一例である。炉30により加熱されて軟化した有底管2を金芯3に押し付ける方向の力が有底管2に加わることで、有底管2が金芯3に密着する形に変形して角形に加工される。この力を加える方法については後ほど詳しく説明する。
【0028】
図1に表すアーム部20は、アーム21と、回転機構22と、通気用パイプ23とを備える。アーム21は、一端が中央支持部10により支持され、他端側に回転機構22が設けられた棒状の部材である。回転機構22は、図示せぬ駆動手段(駆動手段については後述する)により回転する機構である。ガラスセル製造装置1においては、複数の回転機構22が
図1に表すように円の周上に並べて配置されている。
【0029】
回転機構22は、鉛直下方側が内部に金芯3を収容した状態の有底管2の開口部に連結され、自機構が回転することで有底管2を回転させる。回転機構22は本発明の「連結部」の一例である。炉30は、複数の回転機構22の各々に応じて設けられ、対応する回転機構22に連結された有底管2を加熱する。通気用パイプ23は、回転機構22を介して有底管2に繋がっており、有底管2の内部から排出される気体及び有底管2の内部に注入される気体が通過する管である。通気用パイプ23は本発明の「管」の一例である。
【0030】
図3は気体が通過する部分を詳細に表す。
図3(a)では、水平方向から見た回転機構22の周辺の断面が表されている。
図3(b)では、鉛直上方から見た回転機構22の周辺の断面が表されている。通気用パイプ23は、L字型の接続パイプ25と接続されている。接続パイプ25は、アーム21に設けられた通気部26と接続されている。通気部26には、回転機構22に設けられた通気部222が面している。
【0031】
通気部222は、回転機構22の内部に設けられた通気部223に接続されている。通気部26、222、223は、いずれも、気体を通過させるために設けられた孔である。回転機構22には、
図3(b)に表すように、どの向きで止まっても通気部26と接続されるように複数の通気部222が設けられている。通気部223は、回転機構22に連結された有底管2の内部空間4に接続されている。
【0032】
このように、回転機構22の通気部222は、接続パイプ25及び通気部26を介して通気用パイプ23の内部空間と繋がっている。また、回転機構22の通気部223は、有底管2の内部空間4と繋がっている。つまり、回転機構22は、接続パイプ25及び通気部26を介して通気用パイプ23に連通され、有底管2の内部空間4とは直接連通されている。
【0033】
従って、有底管2の内部空間4の気体は、通気用パイプ23、接続パイプ25、通気部26及び回転機構22を介して排出され又は注入されるようになっている。
図4はガラスセル製造装置1のブロック図を表す。ガラスセル製造装置1は、真空ポンプ11と、第1弁12と、ガスボンベ13と、第2弁14と、フローメータ15と、圧力計16と、温度計17と、制御装置18と、回転機構22と、通気用パイプ23と、第3弁24とを備える。
【0034】
真空ポンプ11は、空気を大気中に排出して真空に近い状態を作り出すポンプである。真空ポンプ11は、第1弁12を介して通気用パイプ23に接続されている。第1弁12は、真空ポンプ11と通気用パイプ23との間の通気の可否を切り替える。第1弁12が開いていると通気が可能になり、第1弁12が閉じていると通気が不可になる(第2弁14及び第3弁24も同様である)。
【0035】
ガスボンベ13は、ガスが充填されたボンベであり、充填されたガスを外部に排出する。ガスボンベ13には、金芯3に密着した有底管2の金芯3からの離型を促進する所定種類のガスであるアセチレンガスが充填されている。ガスボンベ13は、第2弁14及びフローメータ15を介して通気用パイプ23に接続されている。第2弁14は、ガスボンベ13と通気用パイプ23との間の通気の可否を切り替える。フローメータ15は、ガスボンベ13から排出されるガスの量を測定するメータである。
【0036】
圧力計16は、通気用パイプ23の内部空間に接続し、その内部空間の気圧を測定する。第3弁24は、通気用パイプ23と大気の間の通気の可否を切り替える。温度計17は、例えば非接触で物体の温度を測定する機械であり、有底管2の温度を測定する。制御装置18は、ガラスセル製造装置1が備える各部(
図4に表す各部に加えて回転機構22及び炉30等を含む)の動作を制御する。
【0037】
制御装置18は、プロセッサ、メモリ及びストレージ等を備えるコンピュータである。プロセッサは、例えば周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成され、プログラム等をメモリ及びストレージに読み出して各種の処理を実行する。制御装置18は、予め設定された自律的な制御(自動制御)と、図示せぬ操作子(物理的な操作子、仮想的な操作子のいずれでもよい)に対する作業員の操作に応じた制御(手動制御)のどちらも実行する。
【0038】
前述したように回転機構22に有底管2が連結された状態では、有底管2の内部空間が回転機構22等を介して通気用パイプ23の内部空間に連通される。そのため、制御装置18が第2弁14及び第3弁24が閉じて且つ第1弁12が開いた状態で真空ポンプ11を稼働させると、通気用パイプ23及び有底管2の内部空間の気圧が低下する。制御装置18は、圧力計16の測定値に基づき有底管2の内部空間の気圧を所定の気圧に調整する。
【0039】
また、有底管2の内部空間の気圧が低下した状態で、制御装置18が第1弁12及び第3弁24が閉じて且つ第2弁14が開いた状態にすると、ガスボンベ13に充填されているアセチレンガスが有底管2の内部空間に注入される。制御装置18は、フローメータ15の測定値に基づき所定の量のアセチレンガスを有底管2の内部空間に注入する。また、制御装置18が第3弁24を開くことで有底管2の内部空間に注入されたアセチレンガスが大気中に排出され、有底管2の内部空間が外気圧と等しくなる。
【0040】
このように、通気用パイプ23及び回転機構22を介して有底管2の内部にアセチレンガスを注入する第2弁14及びガスボンベ13は、本発明の「注入機構」の一例である。内部に金芯3を収容し、内部にアセチレンガスが注入された状態の有底管2は、上述したとおり炉30により加熱される。有底管2を炉30の加熱空間31に挿入するため、アーム部20は上下に移動するようになっている。
【0041】
図5は上下に移動するアーム部20を表す。アーム部20を支持する中央支持部10は、アーム部20を上下に移動させる昇降機構19を備える。昇降機構19は、ソレノイド、サーボモータ又はシリンダー等の部品を有し、アーム部20を鉛直方向の上下に移動させることで、回転機構22と炉30との距離を変更する。昇降機構19は本発明の「アクチュエータ」の一例である。昇降機構19は、本実施例では、回転機構22と炉30との鉛直方向の距離を変更する。
【0042】
まず、昇降機構19がアーム部20を鉛直上方に移動させた状態で回転機構22への有底管2の連結が行われる。回転機構22に有底管2が連結された状態で昇降機構19がアーム部20を鉛直下方に移動させ、有底管2を炉30の加熱空間31に挿入する。このように、昇降機構19が回転機構22と炉30との距離を変更することで、この距離が不変の場合に比べて有底管2の着脱を容易にすることができる。炉30が有底管2を加熱する間、回転機構22が有底管2の周方向に回転する。
【0043】
図6は回転機構22を拡大して表す。回転機構22は、スプロケット部221と、通気部222と、先端部224と、シール部225とを備える。スプロケット部221は、回転機構22の鉛直上方側(設置時に鉛直上方になる側)に設けられた円盤状のギアである。回転機構22は、スプロケット部221に駆動力が伝達されることで回転する。スプロケット部221に駆動力を伝達して回転機構22を回転させる仕組みについて
図7を参照して説明する。
【0044】
図7は回転機構22を回転させる仕組みを説明するための図である。
図7では、複数の回転機構22を回転させるチェーン機構40が表されている。チェーン機構40は本発明の「自転機構」の一例である。
図7では、説明を分かりやすくするため、チェーン機構40が回転させる回転機構22の数を少なくして模式的に表している。チェーン機構40は、チェーン41と、駆動ギア42と、モータ43とを備える。
【0045】
チェーン41は、複数の回転機構22の各々に取り付けられたスプロケット部221に架け渡されている。チェーン41は本発明の「駆動チェーン」の一例である。駆動ギア42は、1つのスプロケット部221に噛み合わされた円盤状のギアであり、モータ43から伝達される駆動力によって回転する。モータ43は、駆動ギア42及びチェーン41を介して複数のスプロケット部221を回転させる原動力を生じさせる。モータ43は本発明の「原動機」の一例である。
【0046】
チェーン41は、
図7に表すように、複数のスプロケット部221のうち互いに隣り合う2つのスプロケット部221の回転軸から見て互いに異なる側でスプロケット部221に噛み合うように、複数のスプロケット部221に互い違いに架け渡されている。なお、駆動ギア42は、スプロケット部221に直接噛み合わせるのではなく、スプロケット部221と同軸で設けられたギアに噛み合わされていてもよい。
【0047】
また、チェーン41に代えてベルトが用いられてもよい。その場合、各回転機構22には、スプロケット部221の代わりにプーリー部(ベルトを架け渡して動力を伝達する部品)が設けられる。
図7に表す構成により、例えば複数の回転機構22の各々に原動機及びギア等の動力伝達機構を設ける場合に比べて、複数の回転機構22を回転させる機構の小型化及び省スペース化が可能になる。
【0048】
また、チェーン41を
図7に表すように架け渡すことで、例えばチェーンをスプロケット部221の回転軸から見て外側だけに架け渡す場合に比べて、チェーンの脱落を生じにくくすることができる。また、有底管2の加熱中に上記のとおり回転機構22を回転させることで、回転機構22に連結された有底管2も回転し、これらの回転がない場合に比べて、炉30から有底管2に加えられる熱量のムラを抑制することができる。
【0049】
図6に表す通気部222は、上述した有底管2の内部空間と通気用パイプ23の内部空間を接続する通気用の孔である。先端部224は、回転機構22の鉛直下方側(設置時に鉛直下方になる側)に設けられ、且つ、通気部222と連通した孔が設けられた円筒形の部分である。有底管2は、この先端部224に連結される。先端部224の外周には、シール部225が設けられている。
【0050】
シール部225は、回転機構22に有底管2が連結されたときに有底管2の内部空間から外部に気体が漏れ出さないように遮断し、また、有底管2の外部から内部空間に気体を侵入させないようにするための部材である。シール部225は、ゴム等の弾性部材を材料として形成されたOリング2251、2252、2253を有する。回転機構22への有底管2の連結は、本実施例では、作業員が手作業で行う。
【0051】
図8は有底管2の回転機構22への連結方法を表す。有底管2を回転機構22に連結する際は、有底管2の開口部5側にチャック50を取り付ける。チャック50は、
図6(a)に表すように、有底管2に取り付けられて有底管2を支持する部材である。チャック50は、円筒支持部51と、持ち手部52とを有する。円筒支持部51は、円筒形をした有底管2に接触して有底管2を支持する部分である。
【0052】
持ち手部52は、有底管2を回転機構22に着脱する際に持ち手となる部分である。有底管2の着脱は、本実施例では、人間の作業員が行うものとする。作業員は、
図6(b)に表すように有底管2に取り付けられたチャック50の持ち手部52を持って、
図6(c)に表すように回転機構22の先端部224に取り付ける。シール部225は、いずれも、
図8(d)に表すように有底管2の内周面7に密着して、回転機構22と回転機構22に連結される有底管2との間を気密に封止する。
【0053】
また、シール部225は、Oリング2251、2252、2253が有底管2の内周面7に密着して摩擦力を生じさせることで、開口部5から有底管2に回転機構22が差し込まれた状態で回転機構22と有底管2との連結を保持する。シール部225は本発明の「シール材」の一例である。シール部225を用いることで、有底管2を抜き差しするだけで気密の保持及び連結の保持を行うことができる。
【0054】
有底管2の開口部5側には、肉厚部6が形成されている。円筒支持部51は、
図6(b)に表すように、肉厚部6に密着する形に形成されている。そのため、円筒支持部51は、有底管2を連結するときも有底管2を取り外すときも、肉厚部6に引っ掛かり、
図6(c)及び(d)に表すように有底管2を移動させる方向への力を肉厚部6に加えることができる。その結果、例えば円筒支持部51の内周面が単なる円筒の内周面である場合に比べて、有底管2の着脱を容易に行うことができる。
【0055】
有底管2が回転機構22に取り付けられると、有底管2の加工が開始される。まず、
図4の説明で述べたように真空ポンプ11、ガスボンベ13、第1弁12、第2弁14及び第3弁24が動作することでアセチレンガスが有底管2の内部空間4に注入される。また、
図5に表す昇降機構19がアーム部20を下降させ、炉30による有底管2の加熱が開始される。
【0056】
有底管2が軟化する温度まで有底管2が加熱されると、第1弁12が開いた状態で真空ポンプ11が稼働して有底管2の内部空間4が大気圧に対して負圧になる。このように、第1弁12及び真空ポンプ11は、内部に金芯3を収容し、内部にアセチレンガスが注入され、軟化する温度まで加熱された有底管2の内部から通気用パイプ23及び回転機構22を介して気体を外部へ排出し、有底管2の内部を大気圧に対し負圧にする。第1弁12及び真空ポンプ11は本発明の「排出機構」の一例である。
【0057】
内部空間4が負圧になることで有底管2が大気圧によって金芯3に対して押し付けられ、ガラスセルの形状に変形する。ガラスセルへの変形が完了すると、炉30が加熱を終了し、昇降機構19がアーム部20を上昇させる。そして、第3弁24を開くことでガラスセルの内部空間が大気圧と一緒になり、作業員によるガラスセルの回転機構22からの取り外しが容易になる。
【0058】
内部空間4に空気が入った状態で変形が行われると、金芯3に密着した有底管2が金芯3にくっついてしまい、金芯3の取り出しが困難になる場合がある。本実施例では、変形前の有底管2の内部空間4には、金芯3に密着した有底管2の金芯3からの離型を促進する所定種類のガスであるアセチレンガスが注入されている。これにより、ガラスセルの製造において、アセチレンガスが注入されない場合に比べて、変形後の有底管2から金芯3を取り出しやすくすることができる。
【0059】
ガラスセル製造装置1がガラスセルを製造する製造方法について説明する。
図9はガラスセルの製造方法における動作手順の一例を表す。まず、図示せぬ被膜形成装置が、有底管2の内部空間4へ投入される前の金芯3の表面に金属被膜を形成する処理を行う(ステップS11)。金属被膜の形成は、金芯3の硬さ、耐摩耗性、耐食性、耐酸化性及び耐熱性等を高めるために行われる。
【0060】
次に、作業員が、有底管2の開口部5から有底管2の内部空間4へ金属被膜が形成された状態の金芯3を投入する処理を行う(ステップS12)。一般に、ガラスセルに加工された後に金芯3を有底管2から取り出しやすくするため、金芯3の表面に離型剤の塗布又は離型膜の貼付が行われる場合がある。しかし、ガラスセル製造装置1においては、離型を促進するアセチレンガスが注入される。
【0061】
そのため、ステップS11において、表面に離型剤の塗布又は離型膜の貼付が行われていない金芯3が有底管2の内部空間4へ投入されている。離型剤の塗布又は離型膜の貼付が行われると、製造されたガラスセル及び金芯3から離型剤又は離型膜を取り除く洗浄が必要になるが、本実施例では、アセチレンガスを用いることでそのような洗浄を不要にすることができる。
【0062】
また、金芯3にDNF(AlCrN)被膜を形成することでも、離型を促進することができるが、この被膜は、金属皮膜に比べて高価である。本実施例では、ステップS11において被膜形成装置が金芯3の表面にDNF(AlCrN)被膜ではない金属被膜を形成している。つまり、アセチレンガスを用いることで金属皮膜を選択可能にして、DNF(AlCrN)被膜を形成する場合に比べてコストを抑えることを可能にしている。
【0063】
次に、作業員は、金芯3が投入された有底管2に
図8に表すチャック50を取り付ける(ステップS13)。続いて、作業員は、チャック50の持ち手部52を持って有底管2を回転機構22に連結する(ステップS14)。ステップS11からS14までは、複数の回転機構22の各々について行われる。加工対象の有底管2が全て回転機構22に連結されると、次に、
図4に表す制御装置18が、真空ポンプ11等を制御して、通気用パイプ23及び有底管2の内部空間の気圧を低下させる処理を行う(ステップS21)。
【0064】
そして、制御装置18が、ガスボンベ13等を制御して、通気用パイプ23を介して有底管2の内部空間4にアセチレンガスを注入する処理を行う(ステップS22)。ステップS21及びS22の処理は、内部に金芯3を収容した状態の有底管2の開口部5から有底管2の内部へアセチレンガスを注入する処理の一例である。次に、制御装置18が、
図5に表す昇降機構19を制御して、アーム部20を下降させる(ステップS23)。
【0065】
続いて、
図1に表す制御装置18が、炉30を制御して、炉30の加熱空間31に挿入された有底管2の加熱を開始する(ステップS31)。ステップS31の処理は、内部に金芯3を収容し、内部にアセチレンガスが注入された状態の有底管2を加熱する処理の一例である。次に、制御装置18が、回転機構22等を制御して、回転機構22に連結された有底管2の回転を開始する(ステップS32)。ステップS32の処理は、有底管2を加熱する間、有底管2を周方向に回転させる処理の一例である。
【0066】
続いて、
図4に表す制御装置18が、温度計17が測定する有底管2の温度が軟化温度になったか否かを判断し(ステップS33)、軟化温度になった(YES)と判断するまでステップS33を繰り返す。軟化温度とは、個体である有底管2の流動性が急激に増加する温度である。軟化温度は本発明の「所定の温度」の一例である。制御装置18は、軟化温度になった(YES)と判断すると、真空ポンプ11等を制御して、有底管2の内部空間を大気圧に対して負圧にする処理を行う(ステップS34)。
【0067】
ステップS34の処理は、内部に金芯3を収容し、内部にアセチレンガスが注入され、軟化温度まで加熱された有底管2の内部から気体を外部へ排出し有底管2の内部を大気圧に対し負圧にする処理の一例である。この処理により、有底管2が変形して角形に加工される。次に、制御装置18は、炉30による加熱及び回転機構22等による有底管2の回転を終了する(ステップS35)。続いて、制御装置18が、昇降機構19を制御して、アーム部20を上昇させる(ステップS41)。
【0068】
次に、作業員は、チャック50の持ち手部52を持って有底管2を回転機構22から取り外す(ステップS42)。そして、作業員は、有底管2から金芯3を取り出す(ステップS43)。アセチレンガスが離型を促進するため、金芯3が容易に取り出せるようになっている。金芯3が取り出された有底管2は、金芯3が入っていた部分が角形に加工されている。この角形に加工された部分以外を切り取れば、ガラスセルが完成する。以上がガラスセルの製造方法である。
【0069】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず以下のように変形させてもよい。また、上述した実施例及び以下に示す各変形例は必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0070】
[2−1]自転機構
実施例では、チェーン機構40が複数の回転機構22を回転させたが、複数の回転機構22の各々に原動機等を有する自転機構が備えられていてもよい。
【0071】
[2−2]回転速度の調整
図7に表すチェーン機構40は、所定範囲内で任意に設定された回転速度で有底管2を周方向に回転させてもよい。本変形例では、モータ43として、回転速度を制御可能なモータが用いられる。例えば炉30を長く使っていると、劣化等により発熱量のムラが生じることがある。
【0072】
また、有底管2が傾いて回転機構22に取り付けられ、炉30との距離が不均一になり加熱される熱量に偏りが生じることがある。いずれの場合も、有底管2の温度にムラが生じて変形時に歪みが生じる原因になる。これらの場合、有底管2の回転速度が遅いほど不均一な加熱をされる時間が増加して有底管2の温度ムラが大きくなる。言い換えると、有底管2の回転速度を速くするほど有底管2の温度ムラが小さくなるので望ましい。
【0073】
作業者は、例えば有底管2に温度ムラが生じるようになった場合、それまでよりも回転速度を高くするよう制御装置18を操作することで、回転速度が不変の場合に比べて有底管2の温度ムラを小さくすることができる。また、複数の回転機構22の各々に自転機構が備えられている場合は、有底管2の温度ムラが生じる炉30のみ回転速度を高くしてもよい。
【0074】
[2−3]着脱用ロボット
実施例では、有底管2の着脱を作業員が行ったが、これをロボットが行ってもよい。本変形例のガラスセル製造装置1は、有底管2を移動して有底管2に回転機構22を差し込むことで回転機構22に対し有底管2を連結し、有底管2を移動して有底管2から回転機構22を抜き取ることで回転機構22に対する有底管2の連結を解除するロボットを備える。
【0075】
上記のロボットは、例えば、
図8に表すチャック50の持ち手部52を挟み込んで保持することが可能な保持機構と、保持機構を上下に移動させることが可能なアーム機構とを有する。ロボットは、保持機構で持ち手部52を保持した状態でアーム機構が保持機構を上下に移動させることで、有底管2の連結及び連結の解除を行う。本変形例によれば、有底管2の着脱を人手で行う場合に比べて、ガラスセル製造時の人の手間を減らすことができる。
【0076】
[2−4]公転機構
実施例では、複数の回転機構22が円の周上に並べて配置されていたが、各回転機構22の位置は鉛直方向の位置を除いて固定されていた。そのため、作業員が有底管2の着脱作業を行う際には、ガラスセル製造装置1の周りを移動する必要があった。そこで、本変形例では、中央支持部10が、複数の回転機構22を円の中心点を通る軸周りに回転させる。本変形例の中央支持部10は本発明の「公転機構」の一例である。
【0077】
中央支持部10は、アーム部20を回転可能に支持する回転軸と、制御装置18により制御されて回転軸を回転させる原動機とを備える。制御装置18が原動機を制御してアーム部20を回転させることで、複数の回転機構22及び回転機構22に連結された有底管2が軸周りに回転する。これにより、作業員が移動しなくても有底管2の着脱作業を行うことができるようになる。
【0078】
[2−5]アクチュエータ
実施例では、昇降機構19がアーム部20を鉛直下方に移動させることで有底管2が炉30によって加熱される状態になったが、反対に、昇降機構19がアーム部20を鉛直上方に移動させることで有底管2が炉30によって加熱される状態になってもよい。その場合、回転機構22が実施例とは上下反対に設けられており、回転機構22の鉛直上方側に有底管2が連結される。
【0079】
また、昇降機構19がアーム部20を水平方向に移動させることで有底管2が炉30によって加熱される状態になってもよい。その場合、回転機構22及び炉30が実施例とは90度傾けて設けられており、回転機構22の水平方向且つ炉30側の端に有底管2が連結される。いずれの場合も、昇降機構19は、回転機構22と炉30との距離を変更するように動作すればよい。
【0080】
[2−6]回転機構の配置
複数の回転機構22の配置方法は実施例と異なっていてもよい。例えば、実施例よりも少ない回転機構22又は多い回転機構22が円の周上に並べて配置されていてもよい。また、複数の回転機構22が直線上に並べて配置されていてもよい。
【0081】
図10は本変形例の複数の回転機構の配置の一例を表す。
図10では、鉛直上方から見た複数の炉30aが表されている。複数の炉30aは、互いに平行な複数の直線上に並べて配置されている。有底管2を加熱する際には、各炉30aの鉛直上方には、有底管2が連結された本変形例の回転機構が配置される。つまり、本変形例の回転機構は、互いに平行な複数の直線上に並べて配置される。
【0082】
図10のように配置されることで、実施例のように円の周上に並べて配置される場合に比べて、単位面積に配置される有底管2の個数を多くすることができる。なお、実施例のように回転機構22が円の周上に並べて配置される場合は、直線上に並べられる場合に比べて、真空ポンプやガスボンベから回転機構に連結された各有底管2までの距離を一定にしやすく、その結果、各有底管2の内部空間の気圧を一定に揃えやすくすることができる。
【0083】
図11は有底管2を加熱するまでの手順の一例を表す。
図11(a)、(b)では、鉛直上方から見たアーム部20aと、複数の炉30aとが表されている。また、
図11(c)、(d)では、水平方向に見たアーム部20aと、複数の炉30aとが表されている。なお、
図11では、図を見やすくするため、複数の炉30aの数を減らし且つ1列のみ表している。
【0084】
アーム部20aは、複数のアーム21aと、複数の回転機構22aと、レール23aと、移動機構24aとを備える。レール23aは、細長い板状の部材であり、その長手方向A1に沿って複数のアーム21aが並べて固定されている。各アーム21aは、細長い棒状の部材であり、一方の端部がレール23aに固定され、他方の端部に回転機構22aが設けられている。
【0085】
複数の炉30a及び複数の回転機構22aは、いずれも、長手方向A1に沿った直線状に並べて配置されている。レール23aは、昇降機構19aによって鉛直方向に移動可能に支持されている。また、レール23aは、移動機構24aにより、長手方向A1に移動可能に支持されている。移動機構24aは、例えば、レール23aが固定された無端のベルトと、ベルトを回転させる駆動機構とを有し、ベルトを回転させることでレール23aを長手方向A1に移動させる。
【0086】
移動機構24aは、図示を省略した他のレール23aについても設けられている。つまり、移動機構24aは、複数の直線の各々に関し、それらの直線上に並べて配置された複数の回転機構22aをその直線の延伸方向(長手方向A1に相当)に移動させる。移動機構24aは本発明の「移動機構」の一例である。移動機構24aは、昇降機構19aと同様に、
図4に表す制御装置18によって動作が制御される。
【0087】
まず、制御装置18は、
図11(a)に表すように、長手方向A1に並ぶ複数の炉30aの端よりも外側に全ての回転機構22aが位置する場所までレール23aを移動させる。
図11(a)の状態では、全ての回転機構22aの鉛直下方に炉30aのない空間が存在するので、回転機構22aが炉30aの鉛直上方にある場合に比べて、有底管2の連結作業を行いやすくすることができる。
【0088】
加工対象の有底管2が全て連結されると、制御装置18は、
図11(b)に表すように、複数の回転機構22aの各々の鉛直下方に各炉30aが位置する場所までレール23aを移動させる。そして、制御装置18は、
図11(c)、(d)に表すように、有底管2が炉30aの加熱空間31aに挿入される位置までレール23aを移動させる。
図11(d)に表す状態で、複数の炉30aが有底管2を加熱し、実施例と同様に有底管2が加工される。
【0089】
なお、実施例及び本変形例では、ガラスセル製造装置が、いずれも複数の回転機構と、回転機構と同じ数の炉を備えていたが、これに限らない。例えば、ガラスセル製造装置が、複数の回転機構の各々に連結された有底管2を全て加熱可能な1つの大きな炉(これを「一体型の加熱部」と言う)を備えていてもよいし、1つの回転機構と1つの炉だけを備えていてもよい。
【0090】
但し、炉が複数の回転機構の各々に対応して設けられている場合には、例えば炉が故障しても一体型の加熱部に比べて容易に交換することができる。また、生産数管理等の理由で複数の回転機構の全てではなく一部にのみ有底管2を連結させるような場合に、必要な炉だけを稼働させることができる。
【0091】
[2−7]発明のカテゴリ
本発明は、ガラスセル製造装置1のような製造装置の他、その製造装置を用いて
図9に表す手順でガラスセルを製造する製造方法としても捉えられる。また、本発明は、制御装置18のような情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
加工対象の有底管が全て回転機構に連結されると、制御装置が、通気用パイプ及び有底管の内部空間の気圧を低下させる(ステップS21)。制御装置が、通気用パイプを介して有底管の内部空間にアセチレンガスを注入する(ステップS22)。制御装置が、炉の内部空間に挿入された有底管の加熱を開始する(ステップS31)。制御装置が、回転機構に連結された有底管の回転を開始する(ステップS32)。制御装置は、軟化温度になった(ステップS33;YES)と判断すると、有底管の内部空間を大気圧に対して負圧にする処理を行う(ステップS34)。この処理により、有底管が変形して角形に加工される。