特許第6799355号(P6799355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6799355-床材用化粧シート 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799355
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】床材用化粧シート
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/16 20060101AFI20201207BHJP
   B32B 7/02 20190101ALI20201207BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20201207BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20201207BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   E04F15/16 A
   B32B7/02
   B32B27/00 E
   B32B27/20 Z
   B32B33/00
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-264891(P2014-264891)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-125219(P2016-125219A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年11月21日
【審判番号】不服2019-7839(P2019-7839/J1)
【審判請求日】2019年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】関野 峰帆
(72)【発明者】
【氏名】播摩 一
【合議体】
【審判長】 森次 顕
【審判官】 住田 秀弘
【審判官】 土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−34011(JP,A)
【文献】 特開2010−133219(JP,A)
【文献】 特開2009−233989(JP,A)
【文献】 特開2008−75367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の基材シートの一方の面側に化粧シート層が積層した床材用化粧シートであって、
前記基材シートは、熱可塑性樹脂30質量%以上45質量%以下、粉末を10質量%以上30質量%以下、無機充填材を25質量%以上60質量%以下の割合で含有し、厚みが200μm以上400μm以下に構成し、この構成で、前記基材シートの線膨張係数を6×10-5以下とし、
前記無機充填材の含有量は、前記粉末の含有量よりも多く、
前記基材シートは、ステアリン酸カルシウムを含み、
前記熱可塑性樹脂は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、またはABSであることを特徴とする床材用化粧シート。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、またはABSであることを特徴とする請求項1に記載した床材用化粧シート。
【請求項3】
前記粉末は、バージン紙からなる紙粉であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した床材用化粧シート。
【請求項4】
前記基材シートと、前記化粧シート層とは、PUR接着剤で接着されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載した床材用化粧シート。
【請求項5】
前記樹脂製の基材シートは、着色されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載した床材用化粧シート。
【請求項6】
前記無機充填材は、炭酸カルシウムと、タルクとを含み、
前記炭酸カルシウムの含有量は、前記タルクの含有量よりも多く、
前記タルクの含有量は、前記ステアリン酸カルシウムの含有量よりも多いことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載した床材用化粧シート。
【請求項7】
前記炭酸カルシウムの含有量及び前記タルクの含有量は、前記粉末の含有量よりもそれぞれ多いことを特徴とする請求項に記載した床材用化粧シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質基材上に貼り合わされて床材を構成する床材用化粧シートに関する。特に、戸建住宅、集合住宅、賃貸住宅、高齢者用住宅等の建築物における床面を形成し、耐衝撃性、耐キャスター性に優れる床材用に好適な化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
合板やMDF、パーチクルボード等の木質基材の表面側に、化粧シートを貼り合わせたシートフローリング材が普及してきている。この背景には、床表面を突板とする施工現場で表層の色目が合わない等の問題が起きること、またより高意匠の突板を求めると高級材を使用することになり、非常に高価なフローリング材になってしまうこと等に起因する。
シートフローリング材が普及してくると、木質基材の耐衝撃性、耐キャスター性にバラツキがあり、品質が安定しないという問題点が重要視されてきた。さらに木質基材は従来までは比較的表面強度が高く不陸の少ないラワン等の広葉樹が使用されてきたが、より安価ではあるが表面の不陸が大きい針葉樹系の合板が使用されるようになってきたため、さらに品質の安定化が課題となってきている。
【0003】
こうした状況を鑑み化粧シートの裏面側に0.1mm以上0.6mm以下程度のポリエチレンテレフタレートフィルム等のバッカー層を貼り合わせた仕様が上市されてきた(特許文献1参照)。なお、バッカー層とは、木質基材の表面凹凸の影響を緩和するとともに、耐衝撃性、耐キャスター性等の特性の発現に有効となる、比較的厚みの大きな合成樹脂層である。このように、フローリング材の分野では、耐衝撃性、耐キャスター性が求められている。中でも木粉などの粉末を含有した樹脂シートをバッカー材として使用した仕様は広く一般に普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5045180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂系の基材シートは、熱膨張があり、床面に敷設した際に熱膨張し突き上げや過度な段差を発生させてしまうことがあった。一方で、粉末や無機充填材を含有した従来の基材シートでは熱膨張は抑制できるが、シート成形の安定性や巻取り時の表面割れの発生など、インライン生産での安定性に不安が残っていた。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、インライン成形に優れつつ、床面に敷設した際に熱膨張し突き上げや過度な段差の発生を抑えることが可能な化粧シートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するために、本発明の一態様である床材用化粧シートは、樹脂製の基材シートの一方の面側に化粧シート層が積層した床材用化粧シートであって、基材シートは、熱可塑性樹脂30質量%以上45質量%以下、粉末を10質量%以上30質量%以下、無機充填材を25質量%以上60質量%以下の割合で含有し、厚みが200μm以上400μm以下に構成し、この構成で、前記基材シートの線膨張係数を6×10-5以下とし、前記無機充填材の含有量は、前記粉末の含有量よりも多く、前記基材シートは、ステアリン酸カルシウムを含むことを特徴とする。
化粧シート層は、例えば絵柄模様を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の床材用化粧シートは、樹脂系の基材シートが含有する材料の配合比や厚みを規定することにより、インライン成形に優れつつ、上記の構成にすることで基材シートの線膨張係数6×10−5以下であることから、床面に敷設した際に熱膨張し突き上げや過度な段差の発生を低減可能である。
また、基材シートが着色した場合には、端部C面部切削加工時あるいはV溝切削時に粉末含有樹脂系基材の断面が露出しても別途着色する必要がないため、工程を省き低コストで作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に基づく実施形態に係る化粧シートを示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
本実施形態の床材用化粧シートは、図1に示すように、樹脂製からなる基材シート2の一方の面側に、絵柄模様を有する化粧シート層1が形成されて構成される。基材シート2は、熱可塑性樹脂30質量%以上45質量%以下、粉末を10質量%以上30質量%以下、無機充填材を25質量%以上60質量%以下の割合で含有し、厚みが200μm以上400μm以下で、線膨張係数が6×10−5以下である。
【0011】
(化粧シート層)
本実施形態の化粧シート層1は、絵柄模様を有するシート状の部材である。
本実施形態の化粧シート層1は、ポリオレフィン系樹脂シートの表面側に絵柄模様層を印刷した上で、その絵柄模様層の表面側に、透明樹脂層と表面保護層とをこの順に積層して構成されている。
ポリオレフィン系樹脂シートは、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により、ポリオレフィン系樹脂をシート状にしたものである。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。
【0012】
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
もっとも、絵柄模様層のない単色の化粧シート層、又は透明樹脂層のない化粧シート層等も本発明の化粧シート層1に含まれる。また化粧シート層1として、公知の化粧シートを使用しても良い。
印刷インキについては、特に限定するものではないが、印刷方式に対応したインキを適宜選ぶことができる。とくに樹脂製の基材シート2に対する密着性や印刷適性また床材としての耐候性を考慮して選択することが好ましい。
【0013】
透明樹脂層は、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、またポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂あるいはポリエチレン樹脂、などを用いることができる。なかでも環境適合性や加工性、価格の点でポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。
樹脂のグレードや組成は、そのほかにシーティングの容易さや印刷適性、曲げ加工に対する適性を考慮して選択することができる。透明樹脂層によって、化粧シートは意匠的に厚みや深みが出る効果を有するほか、化粧シートの耐候性、耐磨耗性能を向上させることができる。
【0014】
透明樹脂層は、透明接着層で接着される。
透明接着層は、基材シート2および絵柄模様層と透明樹脂層の接着を強固にする目的で設けられる。この接着が強固であることによって、化粧シートに対し曲面や直角面に追随する曲げ加工性を付与することができる。
透明接着層と透明樹脂層の形成は、例えば共押し出しで両者を同時に押し出しによって形成することができる。
【0015】
透明樹脂層の上には表面保護層を設ける。表面保護層は単層でも良く、また複数の層を重ねて表面保護層としても良い。
表面保護層は、例えば、紫外線硬化型樹脂および熱硬化型樹脂の混合物からなる。その混合物に適宜他の添加物を付与しても良い。紫外線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂との混合比は、例えば質量比で、7:3〜9:1の範囲となるように設定する。
なお、化粧シート層1を形成してから基材シート2に積層する必要は無い。基材シート2の上に、化粧シート層1を構成する各層を順次形成していっても良い。
【0016】
(基材シート)
基材シート2は、粉末含有樹脂系基材層からなる。
粉末含有樹脂系基材層は、樹脂に、木粉や紙粉等の粉末状のセルロース(粉末)と、炭酸カルシウム、タルク(滑石)、マイカ(雲母)等の無機物からなる無機充填材とが添加される。これによって、粉末含有樹脂系基材層の線膨張を抑制、つまり線膨張係数を規制し、床面に敷設した際の突き上げや過度な段差等の発生が抑制可能となる。
【0017】
しかしながら、熱膨張を抑えるために木粉や紙粉、無機物を闇雲に増やしていくだけでは、本発明の目的である耐衝撃性及び耐キャスター性の向上や、製造する上での成形安定性を実現するのは困難となる。これに対し、本実施形態では、添加する木粉や紙粉、無機物の配合を最適化して、線膨張係数を所定値以下に抑えることで、耐衝撃性及び耐キャスター性の向上や、製造する上での成形安定性を実現している。
即ち、本実施形態の粉末含有樹脂系基材層は、熱可塑性樹脂と、粉末と、無機充填材とを含有する。
【0018】
熱可塑性樹脂は、30質量%以上45質量%以下に設定されている。熱可塑性樹脂が30質量%未満であると、バインダー効果が薄れ、成形時に脆くなり、押出成形後に引っ張った際に千切れることがある。また、熱可塑性樹脂が45質量%より多いと、粉末含有樹脂層の線膨張係数が6×10−5以上となり、床面に敷設した際の突き上げや過度な段差等の不具合が発生する。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等が挙げられる。
【0019】
粉末は、10質量%以上30質量%以下に設定されている。粉末が10質量%未満であると、流れ方向の線膨張係数が6×10−5以上となり、床面に敷設した際の突き上げや過度な段差等の不具合が発生する。また粉末が30質量%より多いと、成形時に脆くなり、押出成形後に引っ張った際に千切れることがある。
粉末は、粒径が10μm以上100μm以下程度の微細な粉末であると好ましい。粉末粒径が100μmを超えると、粉末含有樹脂系基材層の断面において、熱可塑性樹脂を海とし、粉末とによる海島模様(海島構造)が目視にて認識されてしまい、意匠的に好ましくない。
【0020】
粉末は、木粉や紙粉等の木質系素材の粒子であると好ましい。木粉としては、製材所等で発生する杉やツガ等の切断屑が使用可能である。紙粉としては、バージンパルプ、製紙段階での断裁片、加工段階での加工ロス、印刷段階での裁ち落とし、古紙等の損紙等が使用可能である。但し、実際には、これらの例に限定されない。例えば、木質系バイオマス等も使用可能である。成形安定性を考慮すると、一定程度の品種に絞って使用することが好ましい。
【0021】
無機充填材は、25質量%以上60質量%以下に設定されている。無機充填材が25質量%未満であると、粉末含有樹脂層の線膨張係数が6×10−5以上となり、床面に敷設した際の突き上げや過度な段差等の不具合が発生することがある。また、無機充填材が60質量%より多いと、成形時に脆くなり、押出成形後に引っ張った際に千切れることがある。
無機充填材は、炭酸カルシウム等の球形のものよりも、タルク、マイカ等の鱗片状の無機材が好ましい。
以上の構成によって、本実施形態の化粧シートは、インライン成形に優れつつ、床面に敷設した際に熱膨張し突き上げや過度な段差の発生を低減可能である。
【0022】
また、基材シート2が着色している場合には、端部C面部切削加工時あるいはV溝切削時に粉末含有樹脂系基材の断面が露出しても別途着色する必要がないため、工程を省き低コストで作製することができる。また、基材シート2を着色する場合には、化粧シートを貼り合せる基材を隠蔽し、また絵柄模様層の下地色として色相を適宜、選択することができる。
例えば、顔料などの着色剤を混合、練りこむなどしておくことで着色ができる。あるいは絵柄模様層を設ける前にベタインキ層として、コーティングあるいは印刷の手法を用いて絵柄模様層の下に着色層を設けることもできる。
【実施例】
【0023】
次に、本発明の実施例について説明する。
〈実施例1〉
市販のホモポリプロピレン樹脂(曲げ初期弾性率1500MPa)40質量%、バージン紙をボールミルを使用して粒径50μmとなるように粉砕した紙粉15質量%、着色用顔料5質量%、ステアリン酸カルシウムを3質量%、炭酸カルシウムを20質量%、タルクを17質量%とを、2軸押出機によって混合、押出し、厚さ300μm、幅450mmの断面長方形状に成形し、その表裏にコロナ放電処理を施して基材シート2(粉末含有樹脂系基材)を得た。表面側に厚さ160μmの化粧シート層1を、透明接着剤層としてPUR接着剤50μmを塗布し接着し、床材用化粧シートを得た。
【0024】
〈実施例2〉
基材シート2の厚みを200μmとした以外は、実施例1と同様にして床材用化粧シートを得た。
〈実施例3〉
基材シート2の厚みを400μmとした以外は、実施例1と同様にして床材用化粧シートを得た。
【0025】
〈比較例1〉
基材シート2の厚みを150μmとした以外は、実施例1と同様にして床材用化粧シートを得た。
〈比較例2〉
基材シート2の厚みを450μmとした以外は、実施例1と同様にして床材用化粧シートを得た。
〈比較例3〉
ホモポリプロピレン樹脂を50質量%、炭酸カルシウムを10質量%とした以外は、実施例1と同様にして床材用化粧シートを得た。
〈比較例4〉
ホモポリプロピレン樹脂を20質量%、紙粉を25質量%、炭酸カルシウムを30質量%とした以外は、実施例1と同様にして床材用化粧シートを得た。
【0026】
〈評価項目〉
以上の実施例1〜3、比較例1〜4の床材用化粧シートについて、以下の3項目について性能評価を行った。
成形性:基材層を2軸押出機によって混合、押出し成形する際の成形のしやすさを確認した。
評価は次の通りである。
○:成形性良好
△:成形安定性にやや難有り、寸法安定性等に欠く
×:成形不可
【0027】
巻取り性:基材層を2軸押出機によって混合、押出し成形した後、3インチ紙管で巻き取った際の粉末含有樹脂系基材の状態を確認した。
評価は次の通りである。
○:問題なく巻取りが可能である
△:表面や端部に割れが発生し始め、巻取りに慎重性を要する
×:表面や端部に割れが発生し、製品として使用不可
【0028】
熱安定性:熱機械分析装置TMAにて0℃〜40℃の温度域における線膨張係数を算出した。
評価は次の通りである。
〇:6×10−5以下
△:6×10−5〜10×10−5未満
×:10×10−5以上
【0029】
以上の結果を表1に示す。
【表1】
【0030】
表1から分かるように、本発明の範囲内に粉末含有樹脂系基材作製時の樹脂分及びその他の材料の配合化や、最適厚みを設定することで、成形性・熱安定性を確保しつつ、汚染性や切削断面の着色効果に優れる基材層を作成することが可能となる。
ここで、実施例1〜3の無機充填材は40質量%の場合であるが、無機充填材が25質量%、及び60質量%の場合でも、同様の評価を得たことを確認している。
また実施例1〜3の熱可塑性樹脂は40質量%の場合であるが、熱可塑性樹脂が30質量%、及び45質量%の場合でも、同様の評価を得たことを確認している。
また、実施例1〜3の粉砕した紙粉15質量%の場合であるが、粉砕した紙粉15が10質量%及び30質量%の場合でも、同様の評価を得たことを確認している。
【符号の説明】
【0031】
1 化粧シート層
2 基材シート
図1