特許第6799377号(P6799377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799377
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】変速機及び変速機を備えた駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/029 20120101AFI20201207BHJP
   B62D 55/12 20060101ALI20201207BHJP
   F16H 57/031 20120101ALI20201207BHJP
【FI】
   F16H57/029
   B62D55/12 Z
   F16H57/031
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-24803(P2016-24803)
(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公開番号】特開2017-141936(P2017-141936A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100185487
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 哲生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健司
【審査官】 川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−171567(JP,A)
【文献】 実開平02−143216(JP,U)
【文献】 特開2014−190444(JP,A)
【文献】 実開昭58−158853(JP,U)
【文献】 国際公開第2010/082628(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/029
F16H 57/031
B62D 55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の出力回転を変速する変速機構と、
前記変速機構を収容し、変速された前記出力回転が伝達されて回転する円筒状の回転ハウジングと、
前記回転ハウジングの開口端の内周に嵌装され、前記開口端を閉塞する開口端カバーと、
前記回転ハウジングの内周と前記開口端カバーの外周との間を封止するシール部材と、
前記回転ハウジングと前記開口端カバーとの間の隙間を前記開口端側から覆う環状の隙間カバーと、
を備え
前記隙間カバーは、前記回転ハウジングの端面に当接するように取り付けられ、
前記開口端カバーは、前記隙間カバーに当接することにより前記開口端側への移動が規制される、
ことを特徴とする変速機。
【請求項2】
駆動源の出力回転を変速する変速機構と、
前記変速機構を収容し、変速された前記出力回転が伝達されて回転する円筒状の回転ハウジングと、
前記回転ハウジングの開口端の内周に嵌装され、前記開口端を閉塞する開口端カバーと、
前記回転ハウジングの内周と前記開口端カバーの外周との間を封止するシール部材と、
前記回転ハウジングと前記開口端カバーとの間の隙間を前記開口端側から覆う隙間カバーと、を備え、
前記回転ハウジングは、
前記開口端の内周に形成され、前記隙間カバーが嵌装される大径部と、
前記大径部よりも小径に形成され、前記開口端カバーが嵌装される小径部と、
前記大径部の内周に形成された内周溝と、
を有し、
前記隙間カバーは、
外周に形成された外周溝を有し、
前記内周溝と前記外周溝との間に形成される空間に配設されたワイヤを介して前記回転ハウジングに係止される、
ことを特徴とする変速機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の変速機であって、
前記隙間カバーは、前記回転ハウジングの前記開口端側の端面に取り付けられる、
ことを特徴とする変速機。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載の変速機と、前記駆動源と、を備える駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機及び変速機を備えた駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の無限軌道車両では、無限軌道帯(クローラベルト)の車軸部に走行モータが設けられる。
【0003】
特許文献1には、クローラベルトに噛み合うスプロケットが連結される円筒状の回転ハウジングを有する変速機を備え、当該変速機とスプロケットとが共に回転してクローラベルトを駆動する走行モータが開示されている。
【0004】
上記の変速機は、回転ハウジングの開口端を閉塞する円盤状の開口端カバーを備える。回転ハウジング及び開口端カバーの内部には、油圧モータの出力回転を減速して回転ハウジングに伝達する変速機構が収容されるとともに、変速機構を潤滑する潤滑油が充填される。
【0005】
このため、回転ハウジングの内周と開口端カバーの外周との間には、潤滑油が回転ハウジングの外部に漏れることを防止するためのOリングが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−199968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、回転ハウジングの内周面と開口端カバーの外周面との間には隙間があるので、土砂等が侵入することがある。上述したように、回転ハウジングの内周面と開口端カバーの外周面との間にはOリングが設けられるので、土砂等がそれ以上変速機の内部に入ることは防止できる。しかしながら、隙間に侵入した土砂等がOリング近傍に堆積すると、Oリングの耐久性に影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、回転ハウジングと開口端カバーとの間の隙間への土砂等の侵入を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、変速機であって、駆動源の出力回転を変速する変速機構と、変速機構を収容し、変速された出力回転が伝達されて回転する円筒状の回転ハウジングと、回転ハウジングの開口端の内周に嵌装され、開口端を閉塞する開口端カバーと、回転ハウジングの内周と開口端カバーの外周との間を封止するシール部材と、回転ハウジングと開口端カバーとの間の隙間を開口端側から覆う環状の隙間カバーと、を備え、隙間カバーは、回転ハウジングの端面に当接するように取り付けられ、開口端カバーは、隙間カバーに当接することにより開口端側への移動が規制されることを特徴とする。
【0010】
第1の発明では、回転ハウジングと開口端カバーとの間の隙間が回転ハウジングの開口端側から環状の隙間カバーにより覆われるので、当該隙間に土砂等が直接かかることを防止できる。また、開口端カバーの開口端側への移動が隙間カバーにより規制されるので、開口端カバーの開口端側への移動を規制するための部品を別途設ける必要がない。よって、変速機のコストを抑制できる。
【0011】
第2の発明は、駆動源の出力回転を変速する変速機構と、変速機構を収容し、変速された出力回転が伝達されて回転する円筒状の回転ハウジングと、回転ハウジングの開口端の内周に嵌装され、開口端を閉塞する開口端カバーと、回転ハウジングの内周と開口端カバーの外周との間を封止するシール部材と、回転ハウジングと開口端カバーとの間の隙間を開口端側から覆う隙間カバーと、を備えた変速機であって、回転ハウジングは、開口端の内周に形成され、隙間カバーが嵌装される大径部と、大径部よりも小径に形成され、開口端カバーが嵌装される小径部と、大径部の内周に形成された内周溝と、を有し、隙間カバーは、外周に形成された外周溝を有し、内周溝と外周溝との間に形成される空間に配設されたワイヤを介して回転ハウジングに係止されることを特徴とする。
【0012】
第2の発明では、隙間カバーが回転ハウジングの内周溝と隙間カバーの外周溝との間に形成される空間に配設されたワイヤを介して回転ハウジングに係止されるので、隙間カバーが意図せずに回転ハウジングから外れてしまうことを防止できる。
【0015】
の発明は、変速機であって、隙間カバーは、回転ハウジングの開口端側の端面に取り付けられることを特徴とする。
【0016】
の発明では、隙間カバーが回転ハウジングの開口端側の端面に取り付けられるので、回転ハウジングに隙間カバーを取り付ける構造を簡単にできる。
【0017】
の発明は、駆動装置であって、第1から第のいずれかの発明に係る変速機と、駆動源と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、回転ハウジングと開口端カバーとの間の隙間への土砂等の侵入を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る変速機の側面図である。
図2図1のII−II線に沿う断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る変速機の断面図である。
図4】本発明の変形例に係る変速機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、図1図2を参照しながら本発明の第1実施形態に係る変速機100について説明する。
【0021】
変速機100は、例えば、油圧ショベル等のクローラ式車両の車軸部に設けられてクローラベルトを駆動する走行モータに用いられる。駆動装置としての走行モータは、駆動源としての油圧モータ1と、油圧モータ1のシャフト21の出力回転を減速する変速機100と、を備える。
【0022】
変速機100は、固定ハウジング(図示せず)に対して回転作動する円筒状の回転ハウジング10を備える。回転ハウジング10の外周面にはスプロケット(図示せず)が連結される。回転ハウジング10とスプロケットとが共に回転することで、スプロケットに噛み合うクローラベルト(図示せず)が循環して車両が走行する。
【0023】
固定ハウジング及び回転ハウジング10は、クローラベルトが循環する経路の内側に配置される。回転ハウジング10は、車両のフレームに連結される固定ハウジングに対してベアリング(図示せず)を介して回転自在に支持され、回転軸Oを中心として回転作動する。
【0024】
固定ハウジングの内部には、油圧モータ1が設けられる。油圧モータ1は、例えば、斜板式ピストンモータである。なお、駆動源は油圧モータ以外であってもよく、例えば、電動モータ等を用いてもよい。
【0025】
図2に示すように、回転ハウジング10の内部には、変速機構20が収容される。変速機構20は、油圧モータ1のシャフト21に設けられるサンギヤ22、回転ハウジング10の内壁に設けられるリングギヤであるインナーギヤ23、サンギヤ22とインナーギヤ23との双方に噛み合う複数のプラネタリギヤ24、及び各プラネタリギヤ24を支持するプラネタリキャリア25等によって構成される。
【0026】
変速機構20は、油圧モータ1のシャフト21の出力回転を減速して回転ハウジング10に伝達する。これにより、回転ハウジング10と共にスプロケットが回転作動する。
【0027】
回転ハウジング10の開口端10aの内周には、開口端10aを閉塞する円盤状の開口端カバー30が嵌装される。これにより、回転ハウジング10の内部に、変速機構20を収容するギヤ室110が画成される。また、ギヤ室110には、変速機構20を潤滑する潤滑油が充填される。なお、潤滑油がギヤ室110の空間全てを満たしている必要はなく、ギヤ室110に充填される潤滑油量は適宜調整される。
【0028】
開口端カバー30は、ギヤ室110側の面における外周部に形成された環状の外周端面30aと、外周に形成された外周溝30bと、を有する。
【0029】
開口端カバー30は、外周端面30aがインナーギヤ23の端面と当接することで油圧モータ1側への移動が規制される。
【0030】
外周溝30bには、潤滑油がギヤ室110から外部に漏れることを防止するシール部材としてのOリング40が嵌装される。Oリング40は、外周溝30bの底面と回転ハウジング10の内周面との間で圧縮されてギヤ室110を封止する。
【0031】
また、図1に示すように、開口端カバー30には、3つのポート31〜33が設けられる。
【0032】
ポート31〜33の内周にはねじ部が形成され、ボルト型のプラグ34が螺合してそれぞれ取り付けられる。
【0033】
ポート31は検油ポートであって、開口端カバー30の中央に配置される。ポート31からプラグ34を外すことによって、ギヤ室110内に充填された潤滑油量をポート31を通じて確認することができる。
【0034】
ポート32は図1における開口端カバー30の下部に配置される。ポート32からプラグ34を外すことによって、ギヤ室110内の潤滑油をポート32を通じて外部に排出することができる。
【0035】
ポート33は図1における開口端カバー30の右上部に配置される。ポート33からプラグ34を外すことによって、潤滑油をポート33を通じてギヤ室110内に充填することができる。
【0036】
回転ハウジング10の開口端10a側の端面10bには、回転ハウジング10と開口端カバー30との間の隙間120を覆うとともに、開口端カバー30の開口端10a側への移動を規制する環状の隙間カバー50が取り付けられる。
【0037】
具体的には、隙間カバー50は、図2に示すように、端面10bに形成されたねじ穴10cにボルト51を螺合して取り付けられる。
【0038】
本実施形態では、図1に示すように、ねじ穴10c及びボルト51が周方向等分3か所に設けられているが、ねじ穴10c及びボルト51の数及び位置は任意に設定できる。
【0039】
また、本実施形態では、隙間カバー50を取り外すことなくポート31〜33を使用できるようにするために、隙間カバー50の形状を環状としている。しかしながら、隙間カバー50の形状を円盤状としてもよい。この場合は、ポート31〜33を使用する際に隙間カバー50を取り外せばよい。
【0040】
続いて、変速機100を上記のように構成することの作用効果について説明する。
【0041】
変速機100は、油圧ショベル等の走行モータに用いられる。このため、変速機100は、土砂等がかかりやすい環境下で使用されることが多い。ここで、隙間カバー50が無い場合は、隙間120に土砂等が直接かかるので、隙間120に土砂等が侵入しやすい。
【0042】
上述したように、回転ハウジング10の内周と開口端カバー30の外周との間にはOリング40が設けられるので、土砂等がそれ以上変速機100の内部に入ることは防止できる。しかしながら、隙間120に侵入した土砂等がOリング40の近傍に堆積すると、Oリング40の耐久性に影響を及ぼす可能性がある。
【0043】
これに対して、本実施形態では、変速機100が、回転ハウジング10と開口端カバー30との間の隙間120を回転ハウジング10の開口端10a側から覆う隙間カバー50を備えるので、隙間120に土砂等が直接かかることを防止でき、隙間120への土砂等の侵入を抑制できる。これによれば、Oリング40の近傍への土砂等の堆積を抑制でき、Oリング40の耐久性を向上できる。
【0044】
また、開口端カバー30の開口端10a側への移動が隙間カバー50により規制されるので、開口端カバー30の開口端10a側への移動を規制するための部品を別途設ける必要がない。よって、変速機100のコストを抑制できる。
【0045】
また、隙間カバー50は、回転ハウジング10の開口端10a側の端面10bに取り付けられるので、回転ハウジング10に隙間カバー50を取り付ける構造を簡単にできる。具体的には、隙間カバー50は、回転ハウジング10の端面10bにねじ穴10cを設けておき、ボルト51を締結するだけで取り付け可能となっている。このように、回転ハウジング10に隙間カバー50を取り付ける構造が簡単になることで、隙間カバー50の脱着作業も容易となる。
【0046】
<第2実施形態>
続いて、図3を参照しながら本発明の第2実施形態に係る変速機200について説明する。
【0047】
変速機200は、回転ハウジングに隙間カバーを取り付ける構造が変速機100と相違する。以下、変速機100との相違点を中心に説明し、変速機100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態の回転ハウジング60は、開口端60aの内周に形成された大径部60bと、大径部に連なって大径部60bよりも小径に形成された小径部60cと、大径部60bの内周に形成された内周溝60dと、大径部60bを径方向に貫通する貫通孔60eと、を有する。小径部60cには開口端カバー30が嵌装され、大径部60bには隙間カバー70が嵌装される。
【0049】
隙間カバー70は、外周に形成された外周溝70aを有する。隙間カバー70は、回転ハウジング60の内周溝60dと外周溝70aとの間に形成される空間に配設されたワイヤ71を介して回転ハウジング60に係止される。
【0050】
以下、詳しく説明する。
【0051】
内周溝60dの位置と外周溝70aの位置とは、隙間カバー70を大径部60bに嵌装して小径部60cの端面に当接させた状態で、内周溝60dと外周溝70aとが対向して円筒状の空間を形成するように設定される。
【0052】
ワイヤ71の外径は、内周溝60dと外周溝70aとによって形成される円筒状の空間の内径より小さく形成される。ワイヤ71は、1本の金属製線材からなるものを使用してもよいし、複数の細い金属製線材をまとめた撚線を使用してもよい。
【0053】
ワイヤ71は、回転ハウジング60に開口端カバー30及び隙間カバー70を組み付けた後に、内周溝60dと外周溝70aとで形成された空間に貫通孔60eから挿入される。このようにして、ワイヤ71は、隙間カバー70の周囲を略一周して内周溝60dと外周溝70aとの間の空間に配設される。隙間カバー70を回転ハウジング60から取り外す場合は、貫通孔60eからワイヤ71を抜き取る。
【0054】
以上述べたように、本実施形態によれば、隙間カバー70が回転ハウジング60の内周溝60dと隙間カバー70の外周溝70aとの間に形成される空間に配設されたワイヤ71を介して回転ハウジング60に係止される。これによれば、隙間カバー70が意図せずに回転ハウジング60から外れてしまうことを防止できる。
【0055】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0056】
変速機100、200は、油圧モータ1の出力回転を変速する変速機構20と、変速機構20を収容し、変速された出力回転が伝達されて回転する円筒状の回転ハウジング10、60と、回転ハウジング10、60の開口端10a、60aの内周に嵌装され、開口端10a、60aを閉塞する開口端カバー30と、回転ハウジング10、60の内周と開口端カバー30の外周との間を封止するOリング40と、回転ハウジング10、60と開口端カバー30との間の隙間120を開口端10a、60a側から覆う隙間カバー50、70と、を備えることを特徴とする。
【0057】
この構成では、回転ハウジング10、60と開口端カバー30との間の隙間120が回転ハウジング10、60の開口端10a、60a側から隙間カバー50、70により覆われるので、隙間120に土砂等が直接かかることを防止できる。よって、隙間120への土砂等の侵入を抑制できる。
【0058】
また、開口端カバー30は、隙間カバー50、70により開口端10a、60a側への移動が規制されることを特徴とする。
【0059】
この構成では、開口端カバー30の開口端10a、60a側への移動が隙間カバー50、70により規制されるので、開口端カバー30の開口端10a、60a側への移動を規制するための部品を別途設ける必要がない。よって、変速機100、200のコストを抑制できる。
【0060】
また、隙間カバー50は、回転ハウジング10の開口端10a側の端面10bに取り付けられることを特徴とする。
【0061】
この構成では、隙間カバー50が回転ハウジング10の開口端10a側の端面10bに取り付けられるので、回転ハウジング10に隙間カバー50を取り付ける構造を簡単にできる。
【0062】
また、回転ハウジング60は、開口端60aの内周に形成され、隙間カバー70が嵌装される大径部60bと、大径部60bよりも小径に形成され、開口端カバー30が嵌装される小径部60cと、大径部60bの内周に形成された内周溝60dと、を有し、隙間カバー70は、外周に形成された外周溝70aを有し、内周溝60dと外周溝70aとの間に形成される空間に配設されたワイヤ71を介して回転ハウジング60に係止されることを特徴とする。
【0063】
この構成では、隙間カバー70が回転ハウジング60の内周溝60dと隙間カバー70の外周溝70aとの間に形成される空間に配設されたワイヤ71を介して回転ハウジング60に係止されるので、隙間カバー70が意図せずに回転ハウジング60から外れてしまうことを防止できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体例に限定する趣旨ではない。
【0065】
例えば、上記実施形態では、油圧モータ1の出力回転を減速して回転ハウジング10、60に伝達しているが、出力回転を増速して回転ハウジング10、60に伝達するものであってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、隙間カバー50、70を設けることで隙間120を覆っているが、図4に示す変速機300のように、開口端カバー90に隙間カバーとしての鍔状のカバー部90aを一体に設けてもよい。
【0067】
この場合は、変速機300の回転ハウジング80には、内周溝80aと貫通孔80bとが形成される。また、開口端カバー90には、外周溝90bが形成される。そして、開口端カバー90は、内周溝80aと外周溝90bとの間に形成される空間に配設されたワイヤ71を介して回転ハウジング80に係止される。なお、貫通孔80bは、ワイヤ71挿入後にプラグ(図示せず)で封止される。これによれば、部品数を削減でき、変速機のコストを削減できる。
【0068】
また、上記実施形態では、開口端カバー30の開口端10a、60a側への移動を隙間カバー50、70により規制している。しかしながら、開口端カバー30の開口端10a、60a側への移動をより高精度で規制したい場合は、速機100、200に、開口端カバー90がワイヤ71を介して回転ハウジング80に係止される変速機300の構造を適用してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、開口端カバー30と回転ハウジング10、60との間を封止するシール部材としてOリング40を用いているが、例えば、Xリング、Dリング、角リング等を用いてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、駆動装置として、走行モータを例に説明したが、旋回モータやウィンチなどを駆動するモータなどにも適用できる。
【符号の説明】
【0071】
100・・・変速機、120・・・隙間、1・・・油圧モータ(駆動源)、10・・・回転ハウジング、10a・・・開口端、10b・・・端面、20・・・変速機構、30・・・開口端カバー、40・・・Oリング(シール部材)、50・・・隙間カバー、200・・・変速機、60・・・回転ハウジング、60a・・・開口端、60b・・・大径部、60c・・・小径部、60d・・・内周溝、70・・・隙間カバー、70a・・・外周溝、71・・・ワイヤ、300・・・変速機、90・・・開口端カバー、90a・・・カバー部(隙間カバー)
図1
図2
図3
図4